法令・告示・通達
工業用水法の施行について
環水企8・46企局891
(各都道府県知事あて環境庁水質保全局長・通商産業省企業局長通達)
工業用水法(昭和三十一年法律第百四十六号)および工業用水法の一部を改正する法律(昭和三七年法律第九九号)の一部が、環境庁設置法(昭和四六年法律第八八号)によつて改正されたことにより、左記の一の事務は、昭和四六年七月一日から都道府県知事が施行することとなつたので、左記の二および三に十分留意のうえ、その施行に遺漏なきようご配慮願いたい。
記
一 都道府県知事に移管された施行事務
- (1) 工業用水法(以下「法」という。)第三条第一項の許可
- (2) 法第六条第三項の届出書の受理
- (3) 法第七条第一項の許可
- (4) 法第九条、第十条第三項および第十一条の規定により届出の受理
- (5) 法第十三条第および第十四条の規定による命令
- (6) 法第二十二条の規定による土地の立入
- (7) 法第二十四条の規定による報告の受理
- (8) 法第二十五条第一項の規定による立入検査
- (9) 法第二十六条第一項の聴聞
二 解釈および運用について
(1) 揚水機の吐出口の断面積
揚水機の吐出口の断面積は、揚水機本体の水が最後に通る部分の内径で計るものとするが、揚水機の馬力の大きさ等と吐出口の断面積とは、技術的にみて、均衡的に作られているものであるから、吐出口に改造をほどこしたものについては、その揚水機の馬力等と均衡のとれた状態の吐出口の断面積に復原して測定することを原則とする。
したがつて、従来使用していた技術上の基準に適合した井戸(以下「適合井戸」という。)以外の井戸の揚水機を改造して適合井戸または法の対象外の井戸に改造しようとする場合には、揚水機の吐出口の断面積を縮小するとともに、揚水機の能力が実質的に低下するように、揚水機から地表面までのパイプ(ボアホール型揚水機においては、シヤフトの入つているパイプ)の通水可能部分の断面積の揚水機の吐出口の断面積以下のものにしなければならない。単に揚水機の吐出口あるいはそれに直結するパイプの一部分の断面積を縮小しても、その部分をもつて、吐出口の断面積とは認めることはできない。
また、適合井戸または法対象外の井戸の揚水機が一般に入手困難の場合で、新しい揚水機を適合井戸または法対象外の井戸の揚水機となるよう改造して使用する場合には、適合井戸または法対象外の井戸の揚水機に近い馬力、能力等を有する揚水機について、右記の従来使用していた揚水機を改造する場合に準じた改造を行なわなければならない。
(2) 法第二条第二項の「工業」
① 工業を兼業するサービス業の取扱い
その事業所が主としてサービス業を行なつている場合であつても、同一事業所の一部において物品の製造、加工または修理を目的とする業務を、継続的に業として行なつている場合であつて、当該事業所の用水を、サービス業に関する部分と、製造業に関する部分とを分割して取り扱うことが困難な場合には、当該事業所全体を製造業の事業所と認めるものとする。
② 石油類、都市ガス等の貯蔵所等の取扱い
工業を業とする事業者の貯蔵施設および受配電施設等(ただし、ガソリンスタンド等の小売のための施設を除く。)は、工業の事業所の一部とみなすものとする。
③ 教育、研究機関等の取扱い
不特定の者のための教育、研究、訓練を主たる目的とする独立の人格を有する機関は、教育、研究等の活動の結果できた物品の一部または全部を販売している場合も、工業の事業所とは認められない。例えば、学校法人、社・財団法人の研究所、刑務所等は工業の事業所ではない。
ただし、工業を業とする企業の有する研究所、試験所、訓練所等および主として特定の工業を業とする企業のための研究所、試験所、訓練所等は、工業の事業所とみなすものとする。
(3) 法第三条第一項の許可
① 「工業の用に供しようとする」の意味
「井戸により地下水を採取して、これを工業の用に供しようとする」とは、工業用の井戸の新設の場合、工業用以外の井戸を工業用に転換する場合等、井戸により採取する地下水を新たに工業の用に供する場合をいう。
また、臨時に設置した井戸であつても、工業の用に供する井戸は、法第三条第一項の許可を要する。
② 「工業の用」の意味
「工業の用」とは、工業の生産の工程、原材料および製品の保存のためのみでなく、事業所の環境整備等のために利用される場合をも含むものとする。例えば、工場内の防塵または植樹、植草用の用水および工場事務所内での雑用水等も、工業の用に供されている用水である。
③ 井戸構造等の変更による第三条第一項の「許可」の効力の失効
法第六条第二項、第五項および工業用水法の一部を改正する法律(昭和三十七年法律第九十九号)附則第二項、第四項によつて、法第三条第一項の許可を受けたものとみなされた井戸は、そのストレーナーの位置およびその揚水機の吐出口の断面積により許可を受けたとみなされたものであるから、ストレーナーの位置または揚水機の吐出口の断面積を変更した場合には、ストレーナーの位置をより深くし、または吐出口の断面積をより小さくする場合でも、その許可は消滅する。したがつて、これらの井戸についてストレーナーの位置、揚水機または揚水機の吐出口の断面積を変更する場合には、新たに法第三条第一項に基づく許可を受けなければならない。
④ 新設井戸にかかわる第三条第一項の「許可」のための井戸構造の確認
(イ) 井戸の新設の場合
法指定地域内において、工業用として新たに設置する井戸に対しては、当該井戸のストレーナーの位置等については、その埋設の現場において、揚水機の吐出口の断面積等についてはその設置の現場において確認しなければ、法第三条第一項の許可をしてはならない。
したがつて、法指定地域内において、工業用として新たに井戸を設置しようとする者に対しては、当該井戸のストレーナーの設置、揚水機の吐出口の断面積等が確認できる段階で、事前に必ず管轄都道府県知事に通知し、担当職員の確認を求めるよう指導するものとする。
(ロ) 既存の工業用以外の井戸の転用の場合
法指定地域内において、工業用以外の既存の井戸を工業用に転用しようとする者に対しては、その井戸の構造、当該地点における地下水の水源の状況等を説明する書類、設置後の当該井戸の使用状況等を示す書類等を検討し、かつ、揚水機の構造、大きさ等につき現場において確認した後でなければ、第三条第一項の許可をしてはならない。
(4) 法第三条第一項のストレーナーの位置
ストレーナーの位置とは、その井戸の有するストレーナーの地表面からの深さで表わすものとする。ストレーナーの深さは、通常の土地使用の状態における地表面を基準として測定するものとする。特に人工的に井戸の周囲のみを土盛、かさ上げを行なつた場合にはその位置をもつて地表面と認めることはできない。また、ストレーナーを二ケ所以上に設けている井戸については、その最上端のストレーナーをもつてその井戸のストレーナーの位置とする。
(5) 法第五条第二項による「例外許可」
法第五条第二項の規定によつてする法第三条第一項の許可(以下「例外許可」という。)は、法第五条第一項の規定の例外的措置として設けられているものであるので、地盤沈下防止の重要性にかんがみ、本項の適用による「例外許可」の範囲は最小限にとどめることを基本とする。
- ① この主旨に基づき、例外許可の申請に係る井戸により地下水を採取することが、その指定地域における地下水の水源の保全に著しい支障を及ぼすおそれがない場合であつて、次のイからチのいずれかに該当する場合にのみ、期間を定めて例外許可を行なうことができるものとする。ただし、期間については事情の変更がない場合には更新することができるものとする。
- イ 保安用水のため井戸を使用する場合
次の各号に掲げる事業所または装置に必要な井戸を、不測の事故等により、工業用水道が長時間断水した場合に限り、工場の保安用として使用する場合
- (イ) 事業用火力発電所、事業用変電所または都市ガス供給所等当該事業所の運転停止により、社会一般に極めて大きい影響を及ぼす事業所
- (ロ) 鉄鋼業の製鉄所、化学工業の重合装置またはガラス製造業のガラス溶解炉等の運転停止により公共危険を発生せしめるおそれのある装置および重大な破損を生ずるおそれのある装置
- ロ 既存井戸を暫定的に継続使用する場合
工場の移転または廃止により、工業用井戸が廃止されることが確実な場合において、既に当該移転または廃止の具体的工事に着手しており、一年以内に限り当該既存井戸の使用を継続する場合 - ハ 新設井戸を暫定的に使用する場合
次の(イ)または(ロ)に該当する場合において、法第五条第一項に規定する通商産業省令で定める技術上の基準(以下「技術上の基準」という。)に適合する井戸により地下水を採取して工業用水として使用したのでは、当該工場の運営が著しく困難となると認められる場合であり、かつ、当該地域についての法第六条第二項もしくは第五項または工業用水法の一部を改正する法律(昭和三十七年法律第九十九号、以下「改正法」という。)附則第四項に基づく通商産業省令で定める日から起算して一年以内に限り使用する場合
- (イ) 地域指定もしくは技術上の基準の改正または改正法の施行の際、使用中であつた井戸(技術上の基準に適合しないものに限る。)が使用不可能となつた場合
- (ロ) 地域指定または技術上の基準の改正の際、技術上の基準に適合しない井戸により地下水を取水して工業の用に供する計画で、既に工場の新設、増設または改造の具体的な工事に着手していた場合
- ニ その他の場合
当該地域に供給される工業用水の水質等および当該地域における水道水の供給状況からみて、次の(イ)または(ロ)に該当することにより、当該工場における地下水以外の水源への転換が著しく困難である場合
- (イ) 食品製造業等において衛生上の観点から工業用水道水を使用することができず、かつ、上水道の供給を受けることが困難である場合
- (ロ) 当該工場の事業に係る技術上の理由から、地下水以外の工業用水を使用することが著しく困難である場合
- イ 保安用水のため井戸を使用する場合
- ② ①に基づき例外許可を行なう場合には、法第八条第一項の規定により、次の条件を附するものとする。
- イ 許可の期限
- ロ 例外許可を受けた井戸について、井戸ごとに量水器を設置すること。
- ハ 月ごとのくみ上げ量および地下水位等を記録し、その結果を毎年一回以上都道府県知事に報告すること。
- ニ 当該工場に対して併給される工業用水道水の水質が改善され、もしくは当該工場への上水道の供給事情が改善されたことにより地下水に代わる工業用水源の確保が可能となつた場合または当該地域における地盤沈下もしくは地下水の水源の状況からみて、工業用地下水のくみ上げの規制を強化する必要が認められた場合には許可を取り消すことがあるべきこと。
- ③ なお、例外許可を行なつた場合においても、当該例外許可を受けた者が、地下水揚水量の節減に努めるとともに、可能な限りすみやかに地下水以外の水源へ転換するよう指導するものとする。
(6) 法第六条の経過措置
第六条による経過措置の適用を受ける井戸は、地域指定の政令が施行された日現在において、「地下水を採取してこれを工業の用に供している」ものに限る。したがつて、すでに工業用に使用を開始しており、政令施行の日現在において一時的に停止していたものは含まれるが、指定の日現在において掘さく中のもの、使用開始前のもの、工業用以外の用途に使用されていたものは含まれない。これらを使用しようとする場合は、いずれも例外許可を受ける必要がある。
(7) 法第七条の変更の許可
法第七条第一項の変更の許可は、法第三条第一項の規定により許可を受けた井戸のストレーナーの位置をより浅くし、または揚水機の吐出口の断面積をより大きくする場合にのみ適用するものである。技術上の基準に適合しない井戸の変更については適用されない。
なお、適合井戸のストレーナーの位置を基準に適合する範囲でストレーナーの位置をより深くしたり、揚水機の吐出口の断面積をより小さくしたりする場合等、許可を要しない変更の場合についても、前記(3)の④の例にならつて井戸の構造等が確認できる段階で、事前に必ず都道府県に通知し、担当職員の確認を求めるよう井戸の使用者を指導するものとする。
(8) 法第十一条の廃止
- ① 法第十一条第一項に該当する場合には、廃止後再び工業の用に供するおそれのないよう次の方法により措置すること。
- イ 当該井戸により地下水を採取することを廃止した場合においては、井戸の埋戻しまたは当該井戸に係る揚水機用動力線の切断撤廃もしくは当該井戸に係る配水管の一メートル以上の間隔にわたる切断撤去
- ロ 当該井戸により採取する地下水を工業の用に供することを廃止し、他の用途に使用することとする場合においては、当該井戸に係る工業用配水管の一メートル以上の間隔にわたる切断撤去
- ② 第二号に該当する場合には、前記(3)の③の例にならつて措置するものとし、事前に改造を行なう旨を都道府県知事に通知するとともに、井戸の改造の方法等を確認できる段階でその改造について担当職員の確認を求めるよう井戸の使用者を指導するものとする。
(9) その他
以上のほか、法の運用にあたつては適宜国の指示を受ける等により、遺漏なきを期するものとする。
三 事務の取扱いについて
- (1) 法第三条第一項の許可
- ① 申請に係る井戸が、技術上の基準に適合していると認めるときは、すみやかに許可の決定を行ない、申請者に対し、様式一による通知書を交付するとともに、様式二による総括表を作成し記入すること。
許可番号は、年号の次に井の字、その次に指定地域を代表する一字を用い、次の例によること。
32 井 川 第1号(川崎市)
32 井 四 第1号(四日市市)
32 井 尼 第1号(尼崎市) - ② 法第五条第二項の規定を適用しようとするときは、当該地域の地盤沈下の状況、安全揚水量等を勘案し、前記二、(5)に基づいての方針を決定したうえ、これに基づき、許可または不許可の決定を行ない、ただちに、申請者に対し、様式一による許可書を交付し、または不許可の通知を発するとともに、様式三による総括表を作成し記入すること。
許可番号は①の例によること。
- ① 申請に係る井戸が、技術上の基準に適合していると認めるときは、すみやかに許可の決定を行ない、申請者に対し、様式一による通知書を交付するとともに、様式二による総括表を作成し記入すること。
- (2) 法第六条第三項の届出書の受理
届出書を受理したときは、届出者に対し、すみやかに様式四による受理通知書を交付するとともに、様式五による総括表を作成し記入すること。
届出番号は、井の字の次に指定地域を代表する一字を用い、次の例によること。
井 川 第1号
井 四 第1号
井 尼 第1号 - (3) 法第七条第一項の許可
(1)の例によること。 - (4) 法第九条、第十条第三項および第十一条の規定による届出の受理届出を受理したときは、それぞれ様式六、様式七および様式八による総括表を作成し記入すること。
- (5) 法第二十四条の規定による報告の受理
報告書を受理したときは、様式九および様式十による総括表を作成し記入すること。 - (6) 井戸台帳の作成
許可井戸に関し、様式十一による井戸台帳を作成し、許可または届出番号、使用者の氏名または名称、住所を記入するとともに、その後の井戸の構造等の変更を記録しておくこと。 - (7) 法第二十五条の二の国等の援助
許可井戸に代えて工業用水道等を利用するための施設の設置または改善については、別添のような助成措置がとられている。各都道府県においては、これら助成措置の周知徹底を図るとともに、各般の助成措置を講ずるよう努め、地下水からの円滑な水源転換を促進するものとすること。 - (8) 報告等
右記(1)、(2)、(3)、(4)および(5)に基づき、様式二、三、五、六、七、八、九および十により作成した総括表は、その写し三部を毎年五月十五日までに一括して通商産業局に送付すること。
なお、このほか、国における法の施行に必要な資料等については、国の求めに応じ適宜提出するものとすること。
別表
工業用水道、上水道への転換設備に対する助成措置の概要
一 資金の融資斡旋および貸付け
(1) 日本開発銀行資金による融資の斡旋
① 対象企業
工業用水法第三条第一項の規定により指定された地域内で、工業用井戸を使用している企業とする。ただし中小企業近代化資金助成法および中小企業金融公庫法に基づく助成措置の対象となる中小企業者を除くものとする。
② 対象設備
工業用井戸水から工業用水道水または水道水へ転換するに伴ない、設置することが必要となる設備であつて、次に掲げるものに該当するものとする。
- 給水管
- 受(着)水槽
- 貯水槽
- 冷却塔
- 冷凍機
- 冷水池
- ポンプ
- ろ過設備
- 沈澱設備
③ 貸付条件
- イ 貸付率‥総工事額の五〇%以内
- ロ 貸付額‥原則として一件当たり一、〇〇〇万円以上
- ハ 金利‥当初三年間七・〇%、四年目以降年七・五%
(2) 中小企業近代化資金助成法に基づく設備近代化資金の貸付
- ① 貸付対象企業‥中小企業近代化資金助成法第二条に規定する中小企業者であつて、工業用水源を工業用水法第三条第一項の許可を受けた井戸から工業用水道水または水道水へ転換するもの。
設備名要件(工業用水道等への転換設備)受(着)水槽工業用水道と工場内配管系統の間に設ける受(着)水槽に限り、木製のものを除く。貯水槽工業用水道を使用する工場内の使用水量の増減を調整するための水槽に限り、木製のものを除く。冷却塔工業用水道から供給される水を通風等により冷却するものに限り、木製のものを除く。冷凍機工業用水道から供給される水を湿球温度以下に冷水するために設ける冷凍機に限る。冷水池工業用水道から供給される水を噴霧等の方法により冷却するために使用する池であつて、コンクリート製または鉄製に限る。ポンプ受(着)水槽または貯水槽から配管系統に圧水するためのポンプに限る。ろ過装置工業用水道から供給される水の水質を改良するためのろ過装置に限る。沈でん装置工業用水道から供給される水の水質を改良するための沈でん装置に限る。
- ② 貸付条件
- イ 貸付率:設置に要する金額の二分の一
- ロ 貸付金額等
- ・貸付金額
一企業当たり一〇万円以上五〇〇万円以下 - ・返還期間
一年据置四年均等年賦または半年賦償還 - ・利率:無利子
- ・保証人または担保
次の保証人または担保のいづれかを必要とする。
- ((イ)) 保証人:借主と連帯して債務を負担する保証人(通常二名以上)
- ((ロ)) 担保:物的担保(抵当権、質権、譲渡担保)
- ・貸付金額
(3) 中小企業金融公庫
① 貸付対象企業
中小企業金融公庫法第二条に規定する中小企業者であつて、工業用水源を工業用水法第三条第一項の許可を受けた井戸から工業用水道水または、水道水へ転換するもの。
② 貸付対象施設
施設名 |
要件 |
---|---|
(工業用水道等への転換施設) |
|
用水管 |
工業用水道(水道を含む。以下同じ。)の受水および工場内配水の用に供する管(木製のものを除く。) |
受(着)水槽 |
工業用水道と工場内配管系統との間に設ける受(着)水槽(木製のものを除く。) |
貯水槽 |
工業用水道を使用する工場内の使用水量の増減を調整するための水槽(木製のものを除く。) |
冷却塔 |
工業用水道から供給される水を通風等により冷却するものに限る。 |
冷凍機 |
工業用水道から供給される水を湿球温度以下に冷却するために設ける冷凍機に限る。 |
冷水池 |
工業用水道から供給される水を噴霧等の方法により冷却するために使用する池であつて、コンクリート製または鉄製のものに限る。 |
ポンプ |
受(着)水槽または貯水槽から配管系統に圧水するためのポンプに限る。 |
ろ過装置 |
工業用水道から供給される水の水質を改良するためのろ過装置に限る。 |
沈でん装置 |
工業用水道から供給される水の水質を改良するための沈でん装置に限る。 |
③ 貸付条件
イ 貸付限度
- ・直接貸付けのとき(設備資金合計)六、〇〇〇万円以下。
- ・代理貸付けのとき(設備資金合計)二、〇〇〇万円以下。
なお、最低貸付額は特別の場合を除き一件五〇万円以上である。
ロ 返済期間
二年以内据置き十年以内で六カ月以内の割賦償還
ハ 利率
当初三年間 年六・五%、四年目以降 年七%(基準金利(年八・二%)の利息を一部免除する。)
ニ 保証人および担保
- ・保証人:借主と連帯して債務を負担する保証人(原則として一名以上)なお、代理貸付けの場合には信用保証協会による保証も利用できる。
- ・担保:物的担保 ただし、貸付額が二〇〇万円以下の場合は、担保を免ずることができる。
二 工業用水の転換設備に係る税制上の優遇措置
(1) 特別償却制度
工場の機械、建物または構築物等については、大蔵省令の耐用年数表によつてその機械または構築物別にそれぞれ耐用年数が決められており、毎年定額または定率で償却されるが、これを特別に早く償却できるように税法上の特例を設けたものが、特別償却制度である。
① 対象機械その他の設備
イ 機械その他の設備の種類
大蔵省告示に基づき、特別償却制度の対象となる機械その他の設備の種類は第一表のとおりである。
- (第一表)
- 構築物
- 槽又は池のうち、貯水、冷却又は水質処理のために使用するもの。
- 用水管
- 冷却塔(木造のものを除く。)
機械および装置- ポンプ又は用水管用弁開閉装置(これらに付属する電動機、自動調整装置、その他の機械及び装置を含む。)
- 水質処理装置(これらに附属する自動調整装置を含む。)
ただし、冷却設備は用水を冷却する冷却塔、冷凍機等に限られており、用水源の転換のために水以外のものを冷却するための設備を改造した場合には適用されない。また、汎用モーターなど、用水関係以外にも使用されている機械その他の設備は除かれる。
ロ 地下水からの転換用の機械その他の設備
第一表に記された機械、その他の設備のうち、特別償却制度の適用対象となるのは、工業用水法の指定地域内で地下水から工業用水道水または上水道水への転換のために特に必要として設置した機械その他の設備である。したがつて、用水管、貯水槽その他の用水処理のための機械設備であつても、地下水から工業用水道水や上水道水に転換するために特に必要となつたものでなく、地下水を使つていても必要な機械設備あるいは従来から工業用水道水などを使うために必要であつた機械、設備には適用されない。
なお、これまで地下水を使用していたものを工業用水道水や上水道水に転換する場合には、工場の内部で用水を循環使用する場合もあるが、これが地下水から工業用水道水等への転換の一部である時は、循環使用に必要な機械その他の設備も特別償却制度の対象となりうるものである。
例えば、これまで地下水を一日一、〇〇〇トン使用していた工場で、工業用水道水に転換する場合に工業用水道水の購入は一日五〇〇トンにとどめ、一度使用した用水を循環使用することにより、以前の地下水一、〇〇〇トンを使用していた場合と同じだけの生産を行なうことにしたとすると、地下水の代わりに五〇〇トンの工業用水道水を購入して使用するための貯水槽、用水管、冷却設備または水質処理施設が必要なほか(これらは当然特別償却の対象となる。)循環使用するために必要となる他の用水管、貯水槽、冷却設備または水質処理のための施設は、特別償却の対象となる。(ただし、工業用として再使用しない水の処理もしくは貯水のための施設または排水管は対象とならない。
地下水を地表水(河川水等)、工業用水法の基準に適合している井戸もしくは法の対象外の井戸の水に転換するための機械設備またはこれらの水の循環使用のための設備は特別償却の対象とはならない。また地下水の使用に代えて使用する空冷式の機械なども対象とはならない。
すなわち、あくまでも工業用水もしくは上水道水またはこれらの循環使用するための機械設備に限られているわけである。
② 適用期間
当該施設等を設置する地域につき工業用水法施行規則第四条の二の規則により定められた日(大蔵省告示にいう「給水開始日」)から同日以後二年を経過する日までの間に事業の用に供したものであること。したがつて、取得の時期がこの期間以前であつても、事業の用に供した時期がこの期間内であれば本制度の対象となり、この二年間以前に既に事業の用に供したものについては適用されない。
(2) 固定資産税の非課税措置
この措置は、工業用水法第三条第一項に規定する指定地域内で同法第六条第二項および同条第五項ならびに附則第四項の規定により、許可基準に適合しない井戸に代えて、工業用水道事業法第二条第三項の工業用水道等によつて供給される水を事業の用に供するために新設した機械その他の設備で、昭和三十九年四月一日から昭和四十八年三月三十一日までの間に取得されたもののうち、租税特別措置法第十一条第一項(個人の場合の合理化機械等の特別償却)または第四十三条第一項(法人の場合の合理化機械等の特別償却)の規定により特別償却の適用を受けるものについて、固定資産税を非課税とするものである。
対象となる施設の範囲等は、おおむね次のとおりで、その細部は、地方税法施行規則第十条の六によつて定められている。
① 構築物
- (イ) 槽又は池のうち、貯水、冷却又は水質処理のために使用するもの
- (ロ) 用水管
- (ハ) 冷却塔(木造のものを除く。)
② 機械及び装置
- (イ) ポンプ又は用水管用弁開閉装置(これらに付属する電動機、自動調整装置その他の機械および装置を含む。)
- (ロ) 冷却装置(これに付属する自動調整装置その他の機械および装置を含む。)
- (ハ) 水質処理装置(これに付属する自動調整装置その他の機械および装置を含む。)