法令・告示・通達

振動規制法の施行について

公布日:昭和51年12月01日
環大特154号

[改定] 平成5年7月26日

環境事務次官から各都道府県知事あて
 振動規制法(以下「法」という。)は、第77回国会において成立し、昭和51年6月10日法律第64号をもつて公布され、同年12月1日から施行された(振動規制法の施行期日を定める政令(昭和51年政令第279号))。
 これに伴つて、振動規制法施行令(昭和51年政令第280号。以下「令」という。)が昭和51年10月22日に、振動規制法施行規則(昭和51年総理府令第58号。以下「規則」という。)及び特定工場等において発生する振動の規制に関する基準(昭和51年環境庁告示第90号。以下「告示」という。)が昭和51年11月10日に公布され、それぞれ法の施行日と同日から施行された。
 振動の防止については、従来地方公共団体が条例等により各種の対策を講じてきたところであるが、振動問題は、都市における住宅と工場の混在に加え、近年における工場等の機械施設の大型化、建設工事の増加、モータリゼーシヨンの進展等に伴つて、住民の日常生活に身近な公害として全国的な問題となつている。
 法は、こうした事態に対処して、公害対策基本法の精神にのつとり、工場振動、建設作業振動及び道路交通振動について必要な規制等を行うことにより、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的として制定されたものである。
 貴職におかれては、法の適正かつ実効性のある施行について万全を期するため、下記の事項に十分御留意の上格段の御努力を願いたく、命により通達する。

第1 全般的事項

 1 法の施行体制の確立

  1.   (1) 法の施行に関する事務の大部分は、市町村長が執行することとなつているので、都道府県知事は、法及び本通達の趣旨に沿つて、管下市町村長の指導に遺憾なきを期されたいこと。
  2.   (2) 法の施行に関する事務は、多くの地方公共団体にとつて新しい行政分野に属するものであり、専門的な知識や経験を必要とするので、専門職員の確保及び養成、測定機器の整備等により、法の施行体制の速やかな整備を図られたいこと。
  3.   (3) 法の円滑な実施を図るため、関係部局、附属研究機関はもとより、関係行政機関とも密接な連絡の下に、法の運用に当たられたいこと。
  4.   (4) 法の円滑な実施を図る上で、工場及び事業場の経営者、建設工事の施工者等の積極的な協力を得る必要があるので、説明会の開催等広く指導啓蒙を行うことにより法の趣旨の周知徹底に努められたいこと。

 2 条例との関係

  1.   (1) 指定地域内に設置される特定工場等において発生する振動に関し、当該地域の自然的、社会的条件に応じて、法とは別の見地、すなわち法は生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的として、振動の大きさに係る見地からの規制を行うこととしているので、これ以外の見地から、条例で必要な規制を行うことを妨げるものでないこと。
  2.   (2) 指定地域内に設置される工場若しくは事業場であつて特定工場等以外のもの又は指定地域内において建設工事として行われる作業であつて特定建設作業以外のものについて、発生する振動に関し、条例で必要な規制を行うことを妨げるものでないこと。
  3.     この場合は、条例による規制の方法、内容等については、法に定める規制の程度と著しく均衡を失することのないように努められたいこと。
  4.   (3) 地方公共団体が振動を規制する条例を制定又は改廃しようとする場合は、法と条例との関係について疑義を生じないように努められたいこと。

 3 騒音規制との整合等

  1.   (1) 振動の住民に与える影響は主として心理的、感覚的なものであり、影響の及び範囲も一般に発生源の周辺に限られるなど騒音と類似した特性が見られること、また、振動と騒音とは、同一発生源から同時に発生する例が相当あることなどの理由から、法における規制の仕組みが騒音規制法(昭和43年法律第98号)とほぼ同様とされているので、法の運用に当たつては騒音規制法に基づく規制との整合を図ることにより、住民の生活環境の保全、事業者の対応にそごをきたさないよう配慮されたいこと。
  2.   (2) 法第1条の「相当範囲にわたる振動」とは、単に近隣的なものにとどまる程度の振動を除く趣旨であること。
  3.   (3) 法第2条第1項の「工場又は事業場」には、建設工事として行われる作業の現場は含まれないものであること。

第2 地域の指定に関する事項

 1 地域の指定の基本的考え方

   地域の指定は、住民の生活環境を保全する観点から行う必要があり、都市計画法(昭和43年法律第100号)による用途地域(工業専用地域を除く。)の定められている地域にあつては、その地域について当該地域の土地利用の実態を勘案して適切に行い、用途地域の定められていない地域にあつては、住居等の集合の状況等当該地域の土地利用の実態を勘案して適切に行われたいこと。

 2 市町村長からの意見聴取

   地域の指定に当たつては、当該地域の生活環境の保全の必要性、当該市町村の事務執行体制等について関係市町村長の意見を聴いた上、適切に行われたいこと。

 3 連絡調整

   地域の指定に当たつては、都市計画担当部局等関係部局と事前に連絡調整を図るとともに、通商産業局長等関係行政機関に事前に連絡されたいこと。

 4 指定地域から除外される地域

   工業専用地域、臨港地区の分区、飛行場、原野等住民の生活環境を保全すべき実態がない地域は、指定地域から除外されるものであり、機械的に一律指定することは避けられたいこと。

 5 地域の指定の公示

   法第3条第3項(法第4条第3項において準用する場合を含む。)の規定による公示は、都道府県の公報に掲載して行わなければならないが、指定地域及び区域の区分は行政区画若しくはそれに準ずるものにより表示するか、又は個々の住居等がどの区域に属するか明らかにされている地図等による図面表示によつて行われたいこと。図面は、できるだけ縮尺の大きいもので、公衆の縦覧の便を考慮して作成し、保管されたいこと。

第3 特定工場等に関する規制に関する事項

 1 特定施設

  1.   (1) 令別表第1の特定施設は、発生する振動の大きさ、苦情件数、地方公共団体の要望、条例による規制状況等を勘案して定められたものであること。
  2.   (2) 令別表第1第2号の圧縮機には、冷凍機に用いるものは含まれないこと。

 2 規制基準の設定

  1.   (1) 規制基準は、地域の住民の生活環境の態様に応じて、環境庁長官が告示で定める基準の範囲内において都道府県知事が設定するものであるが、その設定に当たつては地域の実情を十分調査し、現行の条例の基準との関連及びその遵守状況等も考慮の上適正に行われたいこと。
        なお、告示の範囲を超える基準を条例で定める、いわゆる上のせ条例は認められないので留意されたいこと。
  2.   (2) 区域の区分は次によるものとすること。
    1.    ア 法第3条の地域の指定が都市計画法による用途地域の定められている地域について行われる場合においては、原則として、区域の区分は当該用途地域の区分に従うものとすること。
           この場合、告示第1条の表の備考1に定める第1種区域及び第2種区域を用途地域の区分に当てはめると、原則として第1種区域は第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域及び準住居地域、第2種区域は近隣商業地域、商業地域、準工業地域及び工業地域にそれぞれ対応するものであること。なお、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成4年6月26日法律第82号)により改正された用途地域の指定を受けておらず、従前の用途地域が存続している地域にあっては、従前の用途地域に基づいて区分の当てはめをして差し支えないこと。この場合、第1種区域は第1種住居専用地域、第2種住居専用地域及び住居地域に、第2種区域は近隣商業地域、商業地域、準工業地域及び工業地域に対応するものであり、工業専用地域については指定地域にしないものとすること。
    2.    イ 用途地域の定められていない地域については、用途地域の定められている地域の状況、今後の用途地域の指定の動向等を参考にし、当該地域の土地利用の実態を勘案の上、アに準じて区分の当てはめを行うものとすること。
    3.    ウ 告示第1条の表の備考1のただし書の規定に基づき第1種区域及び第2種区域をそれぞれ更に2区分する必要があると認める場合の区分は、騒音規制法に基づき定められている特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準(昭和43年厚生省、農林省、通商産業省、運輸省告示第1号)の区域の区分に準じて行うものとすること。
    4.    エ 区域の区分に当たつては、関係部局と事前に連絡調整を図るとともに、関係行政機関に事前に連絡されたいこと。
  3.   (3) 告示第1条の表の備考2に定める時間の区分の範囲は、国民の生活時間及び騒音規制における時間の区分の範囲等を勘案して定められたもの(基準値の範囲が狭い関係もあり朝、夕の区分は設けられていない。)であり、時間の区分は地域の実情に即して、適正に定められたいこと。
  4.   (4) 同種の区域の規制基準は、同一の都道府県内においては同一のものとすることが望ましいが、第2種住居地域と工業地域が隣接しているような一部の地域に限つてはこの限りでないこと。
  5.   (5) 特定工場等に適用される規制基準は、当該工場等が所在する区域に係る規制基準が適用されるものであること。
  6.   (6) 学校、保育所、病院、患者の収容施設を有する診療所、図書館及び特別養護老人ホームの周囲おおむね50メートルの区域について、告示第1条ただし書の規定により、厳しい規制基準を定めることについては、実態をよく調査の上、適正に行うものとすること。
  7.   (7) 法第4条第1項の規制基準を、区域の変更等に伴い従前のそれに比べ厳しくする場合又は法第4条第2項の規定により規制基準を厳しくする場合にあつては、既存の特定工場等に対しては法第12条第3項本文の趣旨にかんがみ、妥当な適用猶予期間を設けるものとすること。
  8.   (8) 法第4条第2項の規定による規制基準に関する条例の制定又は改廃に当たつては、当該地域の実態に即して適正に行われるよう指導されたいこと。

 3 届出

  1.   (1) 法に基づく各種届出書(特定建設作業に関するものを含む。)の様式は、届出者の利便を考慮し、騒音規制法に基づく届出書の様式と十分整合が図られているので、同一番号の様式について騒音、振動とも同時に届け出る場合に当たつては、例えば複写紙の使用により一回の記載で済むようにするなど、なるべく届出者に負担がかからないよう配慮するものとすること。
        この場合、それぞれの届出書に添付すべき書類について内容が同一であるときは、振動に関する届出書にはその旨付記した上、添付すべき書類を省略しても差し支えないものとすること。
  2.   (2) 法第8条第1項ただし書に定める特定施設の変更の届出を要しない軽微な変更は、規則第6条第2項において定められているが、この場合、特定施設の種類及び能力ごとの数の変更にあつては、騒音規制(特定施設の種類に係る直近の届出数の2倍以内の数に増加する場合)と異なり、既に届出されている特定施設の種類及び能力ごとの数を増加しない場合に限られているので留意されたいこと。
        また、特定施設の使用の方法の変更についても、騒音規制と異なり新たに届出の対象とされたが、この場合特定施設の使用開始時刻の繰上げ又は使用終了時刻の繰下げを伴わない場合は届出を要しない軽微な変更とされていること。

 4 勧告及び命令

  1.   (1) 法第9条の計画変更勧告及び法第12条第1項の改善勧告の要件としては、特定工場等において発生する振動が規制基準に適合しないことのみではなく、それによつて周辺の生活環境が損なわれると市町村長が認めることが必要であり、周辺の生活環境が損なわれるかどうかは特定工場等の周辺の生活環境の実態、空地、道路等の存在、暗振動などの状況に即して判断されたいこと。この場合、計画変更勧告については、これから設置又は変更しようとするものについて行われることにかんがみ、規制基準適合の有無についての判断は適正に行われたいこと。
  2.   (2) 勧告又は命令の内容は、その目的達成のため技術的経済的に最も合理的なものとし、場合によつては事業者に選択の余地を認めるようにするほか、その内容が円滑に実施されるように資金のあつせん等について配慮するよう努められたいこと。
  3.   (3) 勧告及び命令の内容には、工場移転及び操業停止は予定していないこと。
  4.   (4) 勧告又は命令を行うに当たつては、その事態を除去するために必要な限度においてするものとし、過剰な規制とならないようにされたいこと。
  5.   (5) 勧告又は命令を行う際には、その実効性を確保するため、当分の間、事前に市町村長から都道府県知事に対して連絡させるよう指導されたいこと。
  6.   (6) 法第12条第3項ただし書中「地方公共団体の条例の規定で第1項の規定に相当するものがあるとき」とは、特定施設について改善勧告を行い得る旨が条例で定められている場合であるが、法と条例とは体系的に相当の相違があると考えられるので、法第12条第1項又は第2項の運用については、同条第3項本文の趣旨を尊重して適正に行われたいこと。

 5 小規模事業者に対する配慮

   工場振動に係る法規制の対象となる企業の多くは小規模の事業者であり、その資力、経営内容がぜい弱であることにかんがみ、勧告又は命令を行うに当たつては、これらの事業活動に著しい影響を与えることのないよう十分配慮して行われたいこと。
   この場合、配慮の内容は、勧告又は命令を実施すべき期限の延長、振動の防止のための措置の段階的な実施等をいうものであること。

第4 特定建設作業に関する規制に関する事項

 1 特定建設作業

  1.   (1) 令別表第2の特定建設作業は、発生する振動の大きさ、苦情発生件数、地方公共団体の要望等を勘案して定められたものであること。
  2.   (2) 令別表第2第3号の舗装版破砕機とは、ハンマーを落下させることによつて生ずる衝撃力を用いて舗装版を破壊する機械をいうものであること。

 2 規制の基準

  1.   (1) 規則第11条に定める特定建設作業の規制に関する基準は、建設工事の特殊性に着目し、振動の大きさと同時に1日における作業時間及び作業期間の制限、夜間作業及び日曜休日における作業の禁止などの面からも併せて規制することとされていること。
  2.   (2) 規則第11条ただし書は、騒音規制の場合と異なり、発生する振動の大きさが基準を超える場合に、住民に対する影響を軽減するため、1日当たりの作業時間を4時間まで短縮できることとされたものであり、ただし書の運用については実態に即して適正に行われたいこと。
        なお、くい打機をアースオーガーと併用する作業については、打撃時間が短縮されることから、この場合ただし書の「4時間」は「6時間」と解されるものであること。
  3.   (3) 規則別表第1の付表に定める区域の区分と告示第1条の表の備考1に定める区域の区分との対応関係は次のとおりであること。
    1.    ア 付表第1号イ及びロの区域は、告示に定める第1種区域であること。
    2.    イ 付表第1号ハの区域は、告示に定める第2種区域のうち「住居の用に併せて商業、工業等の用に供されている区域であつて、その区域内の住民の生活環境を保全するため、振動の発生を防止する必要がある区域」で相当数の住居が集合している区域であること。
    3.    ウ 付表第1号ニの施設は、告示第1条ただし書に規定する施設と同一であるが、当該施設に係る区域は告示においては周囲おおむね50メートルの区域であり、付表においては周囲おおむね80メートルの区域であることに留意すること。

 3 届出

  1.   (1) 届出義務者は、元請負人が下請負人の工事施工方法、施工時期を統轄管理している建設業の実態にかんがみ、当該元請負人としたこと。
  2.   (2) 法第3条第1項の規定による地域の指定が行われた際現に実施されている特定建設作業及び新たに特定建設作業が定められた際現に指定地域内で実施されている当該特定建設作業については、届出を要しないものであること。

 4 勧告及び命令

  1.   (1) 法第15条第1項の改善勧告の要件としては、特定建設作業に伴つて発生する振動が基準に適合しないことのみではなく、それによつて周辺の生活環境が著しく損なわれると市町村長が認めることが必要であり、周辺の生活環境が著しく損なわれるかどうかは特定建設作業の周辺の生活環境の実態、空地、道路等の存在、暗振動などの状況に即して判断されたいこと。
  2.   (2) 勧告又は命令の内容は、この目的達成のため技術的経済的に最も合理的なものとし、場合によつては事業者に選択の余地を認めるようにされたいこと。
  3.   (3) 勧告及び命令の内容には、工法の変更及び特定建設作業の中止は含まれないものであること。
  4.   (4) 勧告又は命令を行うに当たつては、その事態を除去するために必要な限度においてするものとし、過剰な規制とならないようにされたいこと。
  5.     なお、第4の3の(2)に示す作業に関して勧告又は命令を行うに当たつては、適正な配慮をされたいこと。
  6.   (5) 勧告又は命令を行う際には、その実効性を確保するため、当分の間、事前に市町村長から都道府県知事に対して連絡させるよう指導されたいこと。
  7.   (6) 法第15条第3項の規定は、学校、上下水道の建設のような場合において、これらの工事が遅れることによつて住民の生活に大きな損失を与えることもあるので、勧告又は命令を行うに当たり、住民に及び利害得失を考慮できるように設けられたものであり、生活環境の保全に十分留意しつつ適正に運用されたいこと。
  8.   (7) 勧告又は命令を行うに当たつては、その内容をより円滑に実施するため、あらかじめ、鉄道、軌道、自動車ターミナル、車検場に係る建設工事にあつては地方運輸局長(本州四国連絡橋公団又は日本鉄道建設公団が行う場合には、日本国有鉄道、本州四国連絡橋公団又は日本鉄道建設公団)、港湾工事又は海岸保全工事(運輸省所管に係るものに限る。)にあつては港湾管理者の長(運輸大臣又は外貿埠頭公団が行う場合には、運輸大臣又は外貿埠頭公団)、公共用飛行場又は航空保安無線施設に係る建設工事にあつては運輸大臣(新東京国際空港公団が行う場合には、新東京国際空港公団)、船舶の製造又は修繕の施設に係る建設工事にあつては地方運輸局長並びに神戸海運監理部長に協議されたいこと。

第5 道路交通振動に係る要請に関する事項

 1 法第16条の規定による要請

  1.   (1) 「道路交通振動」とは、自動車が道路を通行することに伴い発生する振動をいうこととされたが、この場合の自動車は、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に定める自動車及び同条第3項に定める原動機付自転車とされたこと。
  2.   (2) 法第16条に定める要請は、騒音規制と異なり、振動の場合は舗装、維持又は修繕の措置について道路管理者に対しても行うこととされたこと。
  3.   (3) 要請を行うに当たつては、測定日時、測定場所、当該場所における自動車交通量、道路交通振動の状況、当該道路交通振動により道路の周辺の生活環境が著しく損なわれていると認める理由、事例及びその区間等必要な資料を添付するようにされたいこと。

 2 区域の区分及び時間の区分

   規則別表第2備考1及び2に定める区域の区分及び時間の区分の範囲に基づき都道府県知事がそれぞれの区分を定めるに当たつては、第3の2の(2)及び(3)に示すところにより行われたいこと。

 3 規則第12条ただし書の規定の適用

  1.   (1) 規則第12条ただし書に規定する道路については、都道府県知事、道路管理者及び都道府県公安委員会の三者が協議して、規則別表第2の表に掲げる振動の大きさと異なる振動の大きさを定めることができることとされたものであり、ただし書の運用については、実態に即して適正に行われたいこと。
  2.   (2) ただし書に規定する学校、病院等特に静穏を必要とする施設は、告示第1条ただし書に規定する施設と同一であること。
  3.   (3) ただし書に規定する特定の既設幹線道路の区間とは、法の施行の際現に存する道路法(昭和27年法律第180号)第3条に定める一般国道又は主要地方道(同法第56条の規定により建設大臣が指定する主要な都道府県道若しくは市道をいう。)の区間であつて、当該区間の一日当たりの自動車の交通量が5,000台以上のものであること。
  4.   (4) (3)の区間の全部又は一部で地盤軟弱のため、舗装、維持又は修繕の措置を十分に講じても夜間の第1種区域の限度を満足することが困難であり、かつ、その機能維持上交通規制の措置を執ることが困難なものについては、三者の協議により夜間の第1種区域の限度を夜間の第2種区域の値とするものとする趣旨であること。

第6 電気工作物及びガス工作物に関する事項

  1.  1 電気工作物及びガス工作物である特定施設について、法第18条第1項の規定により法の規定の一部が適用除外されている趣旨は、これらの設置、変更の工事の認可、施設の改善命令等に関し、通商産業大臣が電気事業法(昭和39年法律第170号)及びガス事業法(昭和29年法律第51号)並びに関係政省令により規制を行つているので、振動の規制に関する業務もこれらの法令において統一的に処理することが適当であるとされたことによるものであること。
  2.  2 電気工作物又はガス工作物である特定施設について、市町村長は通商産業大臣に対して、振動の防止のために必要な電気事業法又はガス事業法による措置を執るべきことを要請することができるとともに、必要に応じ報告の徴収又は立入検査をすることができることとされていること。
  3.  3 電気工作物及びガス工作物である特定施設についても、法第5条に規定する規制基準の遵守義務の適用があるほか、これら工作物の設置、変更等に伴い行われる特定建設作業については、法の適用が除外されていないこと。

第7 測定に関する事項

 1 測定器

  1.   (1) 日本工業規格C1510に定める振動レベル計と同程度以上の性能を有するレベルレコーダー、テープレコーダー、周波数分析器等を当該振動レベル計又はこれと同程度以上の性能を有する測定器と併用しても差し支えないこと。
        この場合、これらの測定器の使用に当たつては、機器相互間の動特性、周波数特性に十分注意すること。
  2.   (2) 振動の測定に当たつて振動感覚補正回路は鉛直振動特性を用い、指示計器の動特性は日本工業規格C1510に定めるもの(従来の緩(Slow))を用いること。

 2 測定場所

   測定場所は、測定しやすく、かつ、測定地点を正しく代表すると認められる場所とすること。この場合、法が生活環境の保全を目的としていることから、原則として住居に面する部分において行うものとすること。

 3 振動レベルの決定

  1.   (1) 工場振動及び建設作業振動の振動レベルは次のとおりとすること。
    1.    ア 測定器の指示値が変動せず、又は変動が少ない場合は、その指示値とすること。
    2.    イ 測定器の指示値が周期的又は間欠的に変動する場合は、原則としてその変動ごとの指示値の最大値10個の平均値とすること。
    3.    ウ 測定器の指示値が不規則かつ大幅に変動する場合は、次の測定方法によつて得られた測定値の80パーセントレンジの上端の数値とすること。

           この場合、80パーセントレンジの上端の数値によつて評価することとされたのは、当該数値が変動ごとの最大値のほぼ平均値と考えられること及び騒音に関してこの方法が欧米で採用される動きにあること等の理由によるものであること。
      1.     (ア) 原則として5秒間隔で100個の測定値を得るよう測定すること。
      2.     (イ) 5秒間隔で100個の測定値が得られない場合は、少なくとも50個の測定値が得られるような時間間隔(少なくとも1秒間隔)で測定すること。
  2.   (2) 
    1.    ア 道路交通振動の振動レベルは、イの測定方法によつて得られた測定値の80パーセントレンジの上端の数値を、昼間及び夜間の区分ごとにすべてについて平均した数値とすること。
    2.    イ 5秒間隔で連続して測定して得た値(当該測定点を通過する自動車の交通量が1時間当たり200台程度未満である場合において、自動車が当該測定点を20秒以上通過しないときにあつては、自動車が当該測定点を通過した時点の前後5秒以内において測定して得た値以外の値を除く。)を100個得ること。
    3.      なお、振動の大きさが測定器の可能最小指示値(当該測定器の指示計器が指示することができる最小の値をいう。以下同じ。)以下の場合にあつては、当該可能最小指示値をもつて測定値とすること。

第8 助成措置に関する事項

   法の附則において中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)が一部改正され、振動を防止するための施設についても償還期間の特例が適用されることとなり、また、規則の附則において環境事業団法施行規則(昭和40年厚生省、通商産業省令第1号)が一部改正され、法に基づく指定地域が貸付対象地域とされたが、今後も助成措置の拡充強化に努めることとしていること。

第9 事務の委任に関する事項

   法の施行に関する事務は、地域の実情に詳しい市町村長に対し、都道府県知事の権限に属する事務をひろく委任することが法の目的にかなうものであることから、広域的な判断等を必要とする地域の指定及び規制基準の設定に関する事務を除いては、すべて市町村長が行うこととされていること。