法令・告示・通達

騒音規制法の一部を改正する法律の施行について

公布日:昭和46年09月20日
環大特6号

[改定]
平成5年7月26日 環大企323号
平成5年7月26日 環大特81号
平成5年7月26日 環大自66号

環境庁大気保全局長から各都道府県知事あて
 標記については、その大綱について昭和46年8月19日環大特第2号貴職あて通達「騒音規制法の一部を改正する法律の施行について」により示されたところであるが、細部については下記の事項に留意のうえ、騒音規制法の実施に遺憾のないようにされたい。

第1 指定地域の拡大について

  法第3条第1項の指定すべき地域は、改正前の騒音規制法(以下「旧法」という。)の指定地域と異なり、特別区及び市の市街地等に限定することなく住居が集合している地域、病院又は学校の周辺の地域その他騒音の防止を図る必要のある地域に拡大されたので、この趣旨に沿つてすみやかに次の点に留意のうえ、必要な地域については指定地域に改めるよう措置すること。

 1 住居が集合している地域、病院又は学校の周辺の地域以外の地域であつて、騒音の防止を図る必要のある地域としては、図書館、老人ホーム、保育所等の静穏を必要とする施設の周辺の地域であつて、土地利用の状況等から判断して騒音の防止を図る必要があると認められる地域であること。改正前は、原則として、特別区及びおおむね人口10万人以上の市の市街地を指定地域とする取扱いとしていたのであるが、上記の観点から市の市街地のみならず、人口規模とは関係なく町村においても生活環境を保全すべき地域を指定地域とすること。

 2 区域の区分について

   法第4条第1項の規定に基づく指定地域内における区域の区分を行なう場合は、「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」(以下「工場騒音告示」という。)第2項各号に定める区域の区分に応じて指定地域を区分してあてはめを行ない公示すること。

  1.   (1) 都市計画法第8条第1項第1号に定める用途地域(工業専用地域を除く。)の定めのある地域については、原則として次によられたいこと。
    1.    ア 第1号の「第1種区域」とは、第1種低層住居専用地域及び第2種低層住居専用地域であること。
    2.    イ 第2号の「第2種区域」とは、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域及び準住居地域であること。なお、第1種中高層住居専用地域及び第2種中高層住居専用地域のうち、中高層の住宅が一団地として建設されている地区等専用住宅が集約している地区については、第1種区域として定めることを妨げないこと。
    3.    ウ 第3号の「第3種区域」とは、近隣商業地域、商業地域及び準工業地域であること。
    4.    エ 第4号の「第4種区域」とは、工業地域であること。

        なお、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成4年6月26日法律第82号)によって改正された用途地域の指定を受けておらず、従前の用途地域が存続している地域にあっては、従前の用途地域に基づいて地域の区分の当てはめをして差しつかえないこと。この場合、第1種区域は第1種住居専用地域、第2種区域は第2種住居専用地域及び住居地域、第3種区域は近隣商業地域、商業地域及び準工業地域、第4種区域は工業地域に対応するものであり、工業専用地域については指定地域にしないものとすること。

  2.   (2) 地域の指定、区域の区分のあてはめは、住民の生活環境を保全する観点から行なうものであり、用途地域の定めのない地域についても指定を妨げるものではなく、騒音防止の見地から適宜行なわれたいこと。現に用途地域の定めのない地域については、今後の用途地域の指定の動向、現に用途地域の定めのある地域の状況等を参考にして地域の区分のあてはめを行なうこと。
  3.   (3) 第2種住居地域と工業地域が隣接している場合の如く、用途地域の区分に従つては騒音防止が著しく困難と認められる一部の地域にあつては、用途地域の区分にとらわれることなく、騒音防止の見地から区域の区分のあてはめを行なつて差しつかえないこと。

 3 公示の方法について

  1.   (1) 地域の指定を行なつた場合のほか、規制基準に係る区域の区分のあてはめを行なつた場合についても公示する必要があること。
        なお、旧法の規定に基づき「特定工場等において発生する騒音について規制する地域」として指定し、その公示をしている場合は、速やかに新法の規定に基づく「特定工場等において発生する騒音及び特定建設作業に伴つて発生する騒音について規制する地域」として新しく公示を行なうこと。
  2.   (2) 指定地域及び区域の区分に係る公示の方法は、行政区画またはそれに準ずるものにより行なうか、指定地域及び指定地域内における区域の区分を明示した図面によつて行なうこと。図面による表示は、個々の工場又は事業場がどの区域の区分に属するかを容易に判断することができるものでなければならず、できるだけ縮尺の大きい図面により作成するよう努めること。図面は、公衆の縦覧に供されることにかんがみ、その便を考慮して作成し、保有すること。

第2 建設騒音について

  建設騒音に対する規制地域の拡大に伴い、「特定建設作業に伴つて発生する騒音の規制に関する基準」(以下この項において「建設騒音告示」という。)が改正され、区域の区分に応じて異なる基準値が定められているので留意されたいこと。

  1.  1 建設騒音告示における区域の区分と工場騒音告示における区域の区分との対応関係は、次のとおりであること。

    1.   (1) 別表第1号イの区域は、工場騒音告示に定めた第1種区域であること。
    2.   (2) 別表第1号ロの区域は、工場騒音告示に定めた第2種区域であること。
    3.   (3) 別表第1号ハの区域は、工場騒音告示に定めた第3種区域のうち、相当数の住居が集合している区域であること。
    4.   (4) 別表第1号ニの区域は、工場騒音告示第1条のただし書に規定する施設と同一の施設であるが、工場騒音告示においては周囲50メートルの地域であり、建設騒音告示においては周囲80メートルの区域であることに注意されたいこと。
    5.   (5) 別表第2号の区域は、指定地域のうち同表第1号の区域を除く区域であること。
  2.  2 建設騒音における区域の区分のうち、別表第1号ハ及びニの区域が工場騒音における区域の区分と若干相違していることにかんがみ、法第4条第1項に基づき工場騒音の区域の区分を公示する場合に、工場騒音及び建設騒音の区域の区分の相違が明確に把握できるように図面等に明示しておくこと。

第3 自動車騒音について

  「騒音規制法第17条第1項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める命令」(以下この項において「命令」という。)の運用に当つては、次の点に留意されたいこと。

 1 指定地域の区域等の区分について

   命令に掲げる区域及び時間の区分は、命令の備考1に基づいて都道府県知事が定めることとなるが、この場合、原則として、法第4条第1項の規定に基づき都道府県知事が設定する区域の区分及び時間の区分と一致させて定めること。

 2 命令ただし書について

  1.   (1) 命令のただし書に規定する区域については、都道府県知事及び都道府県公安委員会が協議して命令の表に掲げる騒音の大きさと異なる騒音の大きさを定めることができることとされているが、この規定は、地域性の強い騒音について、より地域の実情に沿つた運用が必要であることにかんがみ、学校、病院等特に静穏を必要とする施設が集合して設置されている区域については、命令の表の区域の区分及び時間の区分に応じて定めた騒音の大きさの値以下の値を、幹線道路の区間のうち全部又は一部に面する区域については、命令の表の区域の区分及び時間の区分に応じて定めた騒音の大きさの値以上の値を定めることができる趣旨であること。
        この場合の自動車騒音の大きさは、原則として、命令の表の値におおむね5ホン程度を加減した値とすることが望ましいが、地域の実情に応じて5ホンをこえる値を加減した値としても差しつかえないこと。
  2.   (2) 命令ただし書に規定する学校、病院等特に静穏を必要とする施設は、工場騒音告示第1条のただし書に規定する施設と同一であること。
  3.   (3) 命令ただし書に規定する幹線道路とは、次のとおりであること。
    1.    ア 道路法第3条に定める高速自動車国道、一般国道及び都道府県道(2車線以上のものに限る。)
    2.    イ 前項に掲げる道路を除くほか、都市計画法施行規則第7条第1項第1号に定める自動車専用道路及び幹線街路
         この場合において、自動車専用道路とは、都市高速道路、都市間高速道路、一般自動車等もつぱら自動車の交通の用に供する道路とし、幹線街路とは、都市の主要な骨格をなす道路で都市に出入する交通及び都市の住宅地、工業地、業務地等の相互間の交通を主として受けもち、近隣住区等の地区の外郭を形成する道路又は近隣住区等の地区における主要な道路で、当該地区の発生又は集中する交通を当該地区の外郭を形成する道路に連結するものとすること。

 3 自動車騒音の測定について

  1.   (1) 命令に規定する騒音の測定は、住居等が面している道路に係る自動車騒音のみを対象とするものであるから、自動車騒音以外の騒音や住居等が面する当該道路以外の道路に係る自動車騒音による影響がある場合は、これらの要因による影響を測定値から補正しておくものとすること。
  2.   (2) 騒音の測定場所については、命令の騒音の大きさの値が通常の運行パターンを前提に定められている趣旨にかんがみ、交差点に面する地点は除くこととしていること(交差点近辺においては、停止、発進・加速、減速等の特異な運行パターンになること及び警音器を使用すること等のため、当該道路の区間の一般的な騒音と異なる騒音の性状を示すことにより、測定場所としては、不適当として除外したものである。)。ただし、交差点近辺の生活環境保全が特に問題となつている場合には、実情に応じて適宜対処されたいこと。
  3.   (3) 自動車騒音の測定器としては、簡易騒音計の使用は適当ではないこと。
  4.   (4) 普通騒音計又は精密騒音計と同程度以上の性能を有する自動記録計、周波数分析器、テープレコーダー、レベルレコーダー等を指示騒音計又は精密騒音計と併用しても差しつかえないこと。
        この場合、これらの測定器の使用にあたつては、機器相互間の動特性に十分注意すること。
  5.   (5) 騒音の測定方法は、命令の備考8において、日本工業規格Z8731に定める騒音レベル測定方法によるものとしたが、この場合、次の諸点に留意して測定すること。
    1.    ア 騒音の測定において周波数補正回路はA特性、動特性は速い動特性(FAST)を用いること。
    2.    イ 測定値は、騒音計の指示値が不規則にかつ大幅に変動する場合について定められている方法を用いて得られた中央値であること。自動記録計を用いて平均値を測定した場合には、当該地点においてあらかじめ求めておいた平均値と中央値の差を用いて平均値を補正し、中央値を計算しても差しつかえないこと。
    3.    ウ マイクロホンの高さは、原則として道路(交差点を除く。)に面しかつ住居、病院、学校等の用に供される建築物から道路に向つて1メートルの地点(当該地点が車道内にあることとなる場合にあつては、車道と車道以外の部分が接している地点)における鉛直線上において騒音が最も問題となる位置とする。一般的な平地における道路の場合はマイクロホンの高さは原則として地上1.2メートルとすること。

 4 法第17条第1項の意見について

   トンネルの出入口等交通規制のみでは自動車騒音の防止が困難と考えられる特殊な個所の近傍における生活環境を保全する必要があると認めるときは、法第17条第2項の規定に基づき、道路構造の改善その他自動車騒音の大きさの減少に関する事項について、必要に応じて客観的な資料を添付し意見を述べることが望ましいこと。

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