法令・告示・通達
公害防除特別土地改良事業実施要綱
公布日:昭和47年01月11日
46農地D808号
46農地D808号
[改定]
昭和54年3月20日 54構改D130号
(地方農政局長・都道府県知事あて農林事務次官通知)
第一 目的および趣旨
- 一 公害防除特別土地改良事業は、事業者の事業活動によつて生ずるカドミウム、いおう、銅、浮遊物質等による農用地の土壌またはかんがい用用排水の汚染に起因して人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、農作物等の生育が阻害され、または農作業の能率が低下することを防止することにより、人の健康を保護するとともに、農業生産性の維持および農業経営の安定を図ることを目的とする。
- 二 この事業の実施に関しては、土地改良法(昭和二四年法律第一九五号)、土地改良法施行令(昭和二四年政令第二九五号)、土地改良法施行規則(昭和二四年農林省令第七五号)その他の法令に定めるもののほか、この要綱の定めるところによる。
第二 定義
この要綱において公害防除特別土地改良事業とは、次に掲げる事業であつて、農林水産大臣が別に定めるところにより交付する国の補助金をその経費の一部にあてて都道府県が行なうもの(以下「県営事業」という。)および国の補助金を財源の一部として都道府県が交付する補助金をその経費の一部にあてて市町村が行なうもの(以下「市町村営事業」という。)をいう。ただし、水質障害対策事業(農地防災事業実施要綱(昭和四〇年一二月二四日付け40農地D第一八二九号農林事務次官依命通達)別表第一(第二関係)に規定する水質障害対策事業をいう。)によつて行なわれる事業を除くものとする。
- (一) 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和四五年法律第一三九号)第三条第一項の規定に基づき指定された農用地土壌汚染対策地域(農用地土壌汚染対策地域に隣接する地域であつて当該農用地土壌汚染対策地域に準じて一体として事業を施行することが必要と認められる地域を含む。)において実施される同法第五条第二項第二号に掲げる事業
- (二) 水質の汚濁等により、人の健康をそこなうおそれのある農畜産物が生産され、もしくは阻害され、またはそれらのおそれが著しいと認められる場合および農作業の能率が低下し、労働生産性が著しく害される場合において、汚濁等を防止し、除去し、または回復するための事業
- (三) (一)および(二)に掲げるもののほか、カドミウム環境汚染要観察地域(カドミウムによる環境汚染暫定対策要領(昭和四四年九月一一日付け環公公第九〇九八号厚生省環境衛生局長通達)に基づき指定された地域をいう。)等であつて、農用地の土壌汚染に起因して農業経営が著しく阻害される等、(一)または(二)に類する場合につき、その回復を図るために必要な事業
- (四) (一)から(三)までの事業とあわせて行なうことが技術的または経済的に必要かつ妥当なかんがい用用排水、農道整備、圃場整備(区画整理およびこれに附帯する事業をいう。)、客土等の事業
第三 事業の内容
この事業の内容は、次のとおりとする。
- (一) 水源を転換するためのダム、頭首工、揚水機、水路または集水暗渠等の新設または改修
- (二) かんがい用用排水を分離するための施設等の新設または改修
- (三) 沈澱物または汚水の流入によりき損等が生じたかんがい排水施設の機能低下を回復する事業
- (四) 沈澱池、防じん施設、中和施設、汚水処理施設等の新設または改修
- (五) かんがい用用排水路の水質の汚濁による悪臭等を除去するための施設の新設または改修
- (六) 区画整理、排土、混層耕、反転耕等の事業およびこれに伴い必要な事業
- (七) 代替農用地の増成または地目変換の事業
第四 受益面積に係る採択基準
この事業の受益面積に係る採択基準は、次のとおりとする。
- (一) 県営事業にあつては、当該事業として実施するそれぞれの事業について受益面積がおおむね二〇ヘクタール以上であること。
- (二) 市町村営事業にあつては、当該事業として実施するそれぞれの事業について受益面積がおおむね一〇ヘクタール以上であること。
第五 事業実施の申請
- 一 都道府県知事は、県営事業を実施しようとするとき、または市町村長から市町村営事業を実施したい旨の申請があつたときは、別記様式による事業採択申請書および構造改善局長が別に定める様式による事業計画概要書を構造改善局長が別に定める期日までに、地方農政局長(北海道にあつては、構造改善局長、沖縄県にあつては、沖縄総合事務局長。第七の二を除き以下同じ。)を経由して農林水産大臣に提出するものとする。
- 二 地方農政局長は、一の規定により都道府県知事から事業採択申請書等の提出があつたときは、これに意見を附して農林水産大臣に進達するものとする。
第六 事業の採択
農林水産大臣は、第五の規定により提出された事業計画概要書を審査のうえ、当該事業を実施させることが適当と認めるときは、当該都道府県知事に事業の採択通知書を交付してその旨を通知するものとする。
第七 全体実施設計書の作成
全体実施設計は、構造改善局長が別に定めるところにより、当該事業主体が作成するものとする。
第八 事業計画書の変更
- 一 都道府県知事は、第六の通知を受けた県営事業に係る事業計画書について、次の各号のいずれかに該当する変更を行おうとするときは、地方農政局長の承認を受けなければならない。
- (一) 受益面積の一〇パーセント以上の増又は減
- (二) 主要な工事計画の著しい変動
- (三) 事業費の一〇パーセント以上の変動(労賃及び物価の変動によるものを除く。)
- 二 市町村長は、都道府県知事が第六の規定により通知を受けた市町村営事業に係る事業計画について、一の(一)、(二)及び(三)に該当する変更を行おうとするときは、都道府県知事の承認を受けるものとする。
- 三 都道府県知事は、二において一の(三)に該当する変更の承認をしようとするときは、あらかじめ地方農政局長と協議するものとする。
第九 補助
国は、次に掲げる費用につき、別に定めるところにより都道府県に補助するものとする。
- (一) 県営事業に要する費用のうち、別表に掲げる工事費および事務費
- (二) 市町村営事業に要する費用のうち、別表に掲げる工事費および事務費につき、都道府県が補助するのに必要な費用の一部および当該市町村営事業の実施につき都道府県が指導するのに要する事務費
第一〇 委任
事業の実施につき必要な事項は、この要綱に定めるもののほか、構造改善局長が別に定める。
別表
区分
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費目
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事業費目の内容
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工事費
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本工事費
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事業の主体をなす施設の工事(工事に必要な仮設工事を含む。以下「本工事費」という。)の施行に必要な労務費、材料費、役務費、仮設損料、土地の借料等。ただし、請負施行の場合にあつては、これらの費用のほか、船舶及機械器具損料、営繕損料および諸経費を含む。
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附帯工事費
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本工事によつて必要を生じた他の施設の工事の施行に直接必要な費用であつて本工事費の内容に相当する部分の経費
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測量及試験費
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工事の施行に必要な調査、測量および試験に要する費用
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用地費及補償費
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工事の施行に必要な土地等の買収費または借料および工事の施行によつて損失を受ける者に対する補償に要する費用(補償金に代えて直接施行する補償工事に要する費用を含む。)
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船舶及機械器具費
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工事の施行に直接必要な船舶機械器具、車両(乗用車を除く。)等の購入費、借料、運搬費またはすえ付、撤去、修理もしくは製作に要する費用
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営繕費
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工事の施行に必要な現場事務所、見張所、倉庫、仮設宿舎等の新設(購入を含む。)、改築、移転もしくは修繕に要する費用または借料およびこれらの建物に係る敷地の買収費または借料
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換地費
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換地計画の樹立および換地処分に必要な経費
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実施設計費
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全体実施設計に要する経費
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工事雑費
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工事の現場事務に必要な経費
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事務費
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工事の施行に伴い必要な事務に要する経費(工事雑費に類するものを除く。)
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