法令・告示・通達

底質の処理・処分等に関する指針について

公布日:平成14年08月30日
環水管211号

(都道府県知事・政令指定都市市長・中核市市長あて環境省環境管理局水環境部長通知)

 これまで、水銀、PCB等の有害物質により汚染された底質の対策については、「底質の処理・処分等に関する暫定指針」(昭和四九年五月三〇日付け環水管第一一三号環境庁水質保全局長通知。以下「暫定指針通知」という。)により対策に係る留意事項の周知を行ってきたところであるが、今般、「ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染に係る環境基準についての一部を改正する件」(平成一四年七月二二日環境省告示第四六号)により、ダイオキシン類対策特別措置法(平成一一年法律第一〇五号)第七条の規定に基づくダイオキシン類による水底の底質の汚染に係る環境基準が定められたことから、水銀、PCBに加えダイオキシン類に汚染された底質対策を主眼とした見直しを行い、新たに別添のとおり「底質の処理・処分等に関する指針」として取りまとめたので通知する。主な変更点は、監視のために行う調査において簡易分析方法の適用を追加するとともに、工事方法として、しゅんせつ及び掘削並びに封じ込めに加えて無害化を追加したことである。
 また、本指針の運用に当たっては、対策の対象となる底質の性状、当該水域の地形、海象、流況及び漁期、漁況等の地域の特性に適合するよう配慮した弾力的な運用を図り、底質の除去等の工事に際しては、二次汚染を発生させることのないよう十分留意されたい。
 なお、本指針の通知に伴い、暫定指針通知は廃止する。

   底質の処理・処分等に関する指針

第一 総則

 一 基本的な考え方

   ダイオキシン類、水銀又はPCBにより汚染された底質については、除去等の工事が必要となるが、この工事の実施に際して、底質の撹乱、拡散や処分地からの有害物質の流出、浸出等による二次汚染が発生するおそれがあるので、工事計画の作成及び工事の実施についてはこれらの点についての慎重な配慮が必要である。
   このため、本指針では、底質の除去等の対策を講ずるに当たり、現在の技術レベルを考慮して、監視、工事の方法等に関する基本的な条件及び留意事項等を一般的指針として示すこととしたものである。具体の適用に当たっては、除去等の対策を講じようとする底質の性状、当該水域の地形、海象、流況及び漁期、漁況等の地域の特性に適合するよう配慮して、その弾力的な運用を図るものとする。
   また、底質の除去等の対策を講じた場合には、当該対策において実施した調査、工事等に関する事項について台帳を作成する等、適切な情報の管理・保管を行うものとする。
   なお、ダイオキシン類、水銀及びPCB以外の有害物質により汚染された底質について除去等の対策を講ずる際にも本指針を適宜参考にされたい。

 二 用語

   本指針で使用する用語は、次の例によるものとする。

  (一) 工事

    工事とは、しゅんせつ等の除去、無害化等の工事のほか、化学的あるいは物理的な処理を行う処理施設(以下「処理施設」という。)における処理作業も含む。

  (二) 対策対象底質

    対策対象底質とは、次のいずれかに該当する底質で、除去等の対策を講ずる底質をいう。

  1.    ① 「ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌の汚染に係る環境基準について」(平成一一年一二月二七日環境庁告示第六八号。以下「ダイオキシン類環境基準告示」という。)(参考資料―一)に基づく環境基準値を超えるダイオキシン類を含む底質
  2.    ② 「底質の暫定除去基準について」(昭和五〇年一〇月二八日付け環水管第一一九号環境庁水質保全局長通達)(参考資料―二)に基づく暫定除去基準値を超える水銀又はPCBを含む底質
  (三) 対策対象物質

    ダイオキシン類、水銀又はPCBのうち、対策対象底質の汚染の原因となっているものをいう。

  (四) 簡易分析方法

    対策対象物質の公定法による分析に代えて、簡易・迅速に対策対象物質の測定を行う分析方法をいう。

第二 監視

 一 監視計画

   事業主体は、工事が水質に及ぼす影響等を監視するため、工事着手前に、あらかじめ工事水域、基本監視点、調査項目、調査回数、監視基準等を明らかにした監視計画を策定するものとする。

 二 監視の実施

   監視は、一の監視計画に基づき、原則として事業主体の責任において行うものとする。また、監視のために採取した試料の分析については、精度管理を徹底する等により信頼性の確保に努めるものとする。

 三 事前の水質調査

   事業主体は、主として工事の実施に伴う水質の変化を追跡するための基礎資料を得るために、事前に水質調査を行うものとし、その実施に当たっては、次に示すところによるとともに、その目的を十分達成できるよう配慮するものとする。

  (一) 一般調査
   ア 調査地点

     五の基本監視点、補助監視点等を含む地点の中から適切な地点を選定するものとする。

   イ 調査項目

     次に掲げる項目とする。

  1.     ① 対策対象物質(ただし、ダイオキシン類による汚染であって、PCBの存在が想定される場合には、必要に応じPCBについても監視を行うものとする。また、監視のために簡易分析方法を用いようとする場合には、一般調査において当該簡易分析方法及び公定法により併行して測定すること等により、当該簡易分析方法の使用の可否を確認するものとする。)
  2.     ② 生活環境項目(水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準が定められている項目のうち浮遊物質量(以下「SS」という。)及び大腸菌群数を除く項目をいう。以下同じ。)
  3.     ③ 濁度、透視度又はSS
   ウ 調査回数

     原則として延べ二〇回以上行うこととするが、海象、気象、流況、汚水の排出状況、工事を実施しうる程度の異常時等について配慮し、減じても差し支えない。

  (二) 連続調査

    (一)の一般調査のほか、潮汐の影響による水質の時間的変化の著しい場合は、その傾向を把握するため、五の基本監視点及び補助監視点のうち主な監視点において、一日のうちで工事の実施を予定している時間及びそれに続く数時間を含むようにして、一二時間以上の連続調査を濁度、透視度又はSSについて行うものとする。なお、この連続調査は、おおむね一時間を単位として行うものとする。

  (三) 調査の方法等
   ア 採水方法(試料の作成)
  1.     ① 海域及び湖沼の場合
          分析試料は、原則として基本監視点の表層及び中層から採水し、それらの同量を混合して作成するものとする。表層とは、水面下〇・五m、中層とは水面下二mの水位置とする。ただし、水深が五m以浅の地点では表層のみから採水し、水深が一〇mを超える地点では、必要に応じて下層(水面下一〇m)からも採水することとして、各々前記の方法に準じて分析試料を作成するものとする。
  2.     ② 河川の場合
          原則として、水面から水深の二割程度の深さの位置より採水したものを分析試料とする。
   イ 測定方法

     測定方法は、「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和四六年一二月二八日環境庁告示第五九号)(参考資料―三)及びダイオキシン類環境基準告示に定める方法によるものとし、その定めのない濁度及び透視度については次によるものとする。

  1.     ① 濁度 日本工業規格K〇八〇一に定める濁度自動計測器を用いる方法
  2.     ② 透視度 日本工業規格K〇一〇二の九に定める方法

 四 工事水域の設定

   潮流、潮汐等の海象、底質の性状、しゅんせつ等の工法、漁場の利用状況等を考慮して、当該工事による影響を防止すべき水域(以下「一般水域」という。)と工事に関連する水域(以下「工事水域」という。)を設定するものとする。この場合、工事水域を縮小するために仮締切等を行うことは差し支えない。

 五 基本監視点等の設定

   工事に伴う環境の監視は、工事水域と一般水域との境界(以下単に「境界」という。)に設ける基本監視点、境界と工事地点との間に設ける補助監視点、処分地及び工事地点周辺について行うものとする。基本監視点は、境界線上に、水域の状況に応じて五〇〇m以下の間隔で二地点以上設定する。補助監視点は基本監視点における水質を予察することができるよう適宜定める(ただし、処分地の余水吐から流出する余水のみに関連する工事水域については、補助監視点を設けなくとも差し支えない。)。
   以上に定めるところに従って事前に設定された基本監視点及び補助監視点については、必要に応じ監視の効果を減ずることのないよう慎重に配慮して、位置の変更、地点数の削減等を行っても差し支えない。
   また、処分地については、余水吐において余水の監視を行い、必要に応じて地下水及び大気についても当該汚染状況が判断できる地点を選定し、監視を行うものとする。

 六 境界の監視(基本監視点における監視)

  (一) 監視の目的

    境界の監視は、工事による影響が工事水域の外に及ぶことを防止するために行うものである。

  (二) 調査項目及び調査回数
   ア 調査項目
  1.     ① 対策対象物質
  2.     ② 生活環境項目
  3.     ③ 濁度、透視度又はSS
   イ 調査回数

     調査は、原則として水域の潮汐等の海象、流況、工事の実施状況等からみて、一日のうち水質の最も悪化すると考えられる時刻を含んで毎日一回以上行うものとする。ただし、当該地域に係る気象、海象、流況等及び当該工事に係る工法、工事地点の位置等に著しい変化がないと認められる場合で、調査回数を減じても監視の目的が十分に達成されると判断される場合には、濁度、透視度又はSS以外の項目について、調査回数を減じても差し支えない。
     なお、「水域の潮汐等の海象、流況、工事の実施状況等からみて、一日のうち水質の最も悪化すると考えられる時刻」の選定は、工事の実施当初に三(二)の連続調査に準じた調査を実施する等の方法により行うものとする。

  (三) 採水方法及び測定方法

    採水方法及び測定方法は三(三)に規定するところによるものとする。
    なお、対策対象物質について三(三)に規定する測定方法に代えて簡易分析方法を用いることは差し支えないが、工事期間中少なくとも一回は三(三)に規定する方法で測定するものとする。

  (四) 監視基準
   ア 監視基準値
  1.     ① 対策対象物質
          対策対象物質については、原則として環境基準値を監視基準値とするが、工事着手前において既に当該環境基準値を超えている水域については現状水質を悪化させないことを旨として別に定めるものとする。
  2.     ② 生活環境項目
          水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の類型指定が行われ、かつ、それが維持達成されている水域においては、その環境基準値を監視基準値とし、その他の水域においては、利用目的、現状の水質等を勘案して暫定的に監視基準値を定めるものとする。
  3.     ③ 濁度、透視度又はSS
          参考資料として調査するものであるので、監視基準値は特に定めない。
   イ 判定方法

     水質の判定は、基本監視点ごとに一週間を単位として常時監視の測定結果に基づく水質汚濁の状況の判断方法(「環境基本法に基づく環境基準の水域類型の指定及び水質汚濁防止法に基づく常時監視等の処理基準について」(平成一三年五月三一日付け環水企第九二号環境省環境管理局水環境部長通知(参考資料―四)の記の第二の一の(三)に定める判断方法をいう。)によって行うものとする。

  (五) 分析値のクロスチェック

    対策対象物質の分析においては、少なくともその検体数の一〇%についてクロスチェックを行うものとする。

 七 補助監視点の監視

  (一) 監視の目的

    補助監視点における監視は、境界における水質の変化を予察し、必要に応じて中止措置を講ずる等、工事の継続の適否に関して早急に判断を下すために行うものである。

  (二) 調査項目及び調査回数
   ア 調査項目

     濁度、透視度又はSS
     なお、必要に応じ、簡易分析方法により、対策対象物質の監視を行うものとする。

   イ 調査回数

     調査回数は、工事実施中、水域の潮汐等の海象、流況、工事の実施状況等からみて、一日のうち水質の最も悪化すると考えられる時刻を含んで、原則として一日四回行うものとし、作業状況に応じて適宜増減することができるものとする。
     なお、「水域の潮汐等の海象、流況、工事の実施状況等からみて、一日のうち水質の最も悪化すると考えられる時刻」の選定については、六(二)イのなお書きを参照のこと。

  (三) 採水方法及び測定方法

    採水方法及び測定方法は三(三)に規定するところによるものとする。

  (四) 監視基準
   ア 監視基準値

     監視基準値は、境界の監視の目的を達成できるよう、工事の開始時に暫定的に定め、以後、必要に応じ、基本監視点の調査結果等との相関などを考慮して補正するものとする。

   イ 判定方法

     水質の判定は、補助監視点ごとに、その最高値が監視基準値を超えないことをもって行うものとする。

 八 工事地点周辺の監視

   工事地点(処理施設を含む。)の周辺においては、異常な濁り、油膜の有無等を常時観察するものとする。

 九 監視の結果により講ずべき措置

   監視の結果が監視基準に適合しない場合には、次の措置を講ずるものとする。

  1.   (一) 対策対象物質について、境界の水質調査結果が六(四)の監視基準に適合しない場合又はそのおそれがある場合には、直ちに工事を中断し、その原因を究明した上、必要な措置をとるものとする。
  2.   (二) 生活環境項目について、境界の水質調査結果が六(四)の監視基準に適合しない場合、補助監視点の水質調査結果が七(四)の監視基準に適合しない場合又は八の監視により工事地点周辺の水質に異常が認められた場合には監視を強化し、その原因を究明するとともに、必要に応じて工事速度を減ずるか又は工事を中断するなど、早急に監視基準が達成されるよう所要の措置を講ずるものとする。

 一〇 処理施設周辺の監視

   処理施設周辺の監視は、四から九までに定めるところによるほか、次によるものとする。

  (一) 余水吐きからの流出水(余水)の監視

    処理施設の余水吐きから流出する余水によって二次汚染を誘発しないよう、余水吐において、流出する余水に係る監視を次により行うものとする。

   ア 調査項目
  1.     ① 対策対象物質
  2.     ② 濁度、透視度又はSS(対策対象物質に係る調査回数を減じて一日一回以上調査を行わない場合及びその予定のある場合)
   イ 調査回数

     対策対象物質の調査は、一日のうち余水の水質が最も悪化すると考えられる時刻を含んで毎日一回以上行うものとする。
     ただし、次に該当する場合に限り対策対象物質に係る調査回数を適宜減ずることは差し支えない。

  1.     ① 濁度、透視度又はSSの調査結果から対策対象物質の濃度を推定しうる場合で、対策対象物質に代えて濁度、透視度又はSSの調査を継続して行うとき
  2.     ② 工事に係る諸条件に著しい変化がなく、対策対象物質の調査回数を減じてもエの監視基準に適合しない余水の流出を十分防止できると判断される場合
   ウ 測定方法

     測定方法は三(三)イに定めるところによるものとする。
     なお、対策対象物質について三(三)イに規定する測定方法に代えて簡易分析方法を用いることは差し支えないが、工事期間中少なくとも一回は三(三)イに規定する方法で測定するものとする。

   エ 監視基準
    (ア) 監視基準値
  1.      ① 対策対象物質
           「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」(昭和四五年法律第一三六号。以下「海洋汚染防止法」という。)に基づく「余水吐きから流出する海水の水質についての基準を定める省令」(昭和五二年八月二六日総理府令第三八号)第二項に示される基準
  2.      ② 濁度、透視度又はSS
           対策対象物質の調査回数を減ずる場合に定めるものとし、その値は対策対象物質の濃度との相関を考慮して、監視基準に十分適合しうる対策対象物質の値に相当するよう適宜定めるものとする。
    (イ) 判定方法

      余水に係る水質の適否の判定は、その最高値が監視基準値を超えないことをもって行うものとする。

   オ 監視の結果により講ずべき措置

     エの監視基準に適合しない結果を得た場合には、直ちに余水の放流を中断し、監視基準に適合させるべく、所要の措置を講ずるものとする。
     また、調査結果が監視基準に適合している場合であっても、処分地からの影響で境界における監視基準が維持されないと認められる場合には、処分地における余水の水質管理を強化すること等により対処するものとする。

  (二) 大気の監視

    除去底質が有機物等を多く含む場合で、工事の実施に伴って、悪臭等が発生するおそれがある場合には、地域住民に対する被害が生じないよう、悪臭等について監視を行うものとする。
    この際の監視項目とその基準、監視の結果により講ずべき措置等については、地域の実情に応じて適宜定めるものとする。
    ただし、監視項目としてPCBを対象とする場合には、PCBの環境大気中における濃度が〇・五μg/m3を超えないこととする。この場合の測定方法は、「PCB等を焼却処分する場合における排ガス中のPCBの暫定排出許容限界について」(昭和四七年一二月二二日付け環大規第一四一号環境庁大気保全局長通達)(参考資料―五)の別添「気相PCB測定要領」によるものとする。

 一一 工事完了後の調査

   除去工事を完了した後においても、事業主体は対策対象物質の含有量等の状況を調査して、除去の成果を確認するものとする。この工事完了後において行うべき調査の内容は次のとおりとする。

  1.   ① 底質の状況
        対策対象底質の堆積していた区域を中心として、水域の状況に応じて五〇〇m以下の間隔(又はメッシュ)で調査を実施する。
  2.   ② 水質の状況
        工事水域内の事前調査地点について実施する。

 一二 魚介類の監視

   水銀及びPCBについては、魚介類に係る暫定的規制値が「魚介類の水銀の暫定的規制値について」(昭和四八年七月二三日付け環乳第九九号厚生省環境衛生局長通知)(参考資料―六)及び「食品中に残留するPCBの規制について」(昭和四八年八月二四日付け環食第四四二号厚生省環境衛生局長通知)(参考資料―七)に定められているので、工事水域の状況に応じ魚介類の監視を行い、暫定的規制値に適合しない魚介類が発生した場合は、関係部局等と協議し必要な措置をとるものとする。

 一三 その他

   監視の実施に際し、可能な場合には、別に行われている水質及び魚介類の調査結果を利用することは差支えない。

第三 工事の方法等

 一 工事方法の選定

   対策対象底質の処理方法には、例えば、しゅんせつ又は掘削をした上、陸上の最終処分地等に搬出して処理又は処分する方法、セメント等により固形化することや覆砂すること等によって当該水域において封じ込める方法、化学的に変化させる方法や物理的に分離することにより無害化する方法等がある。これらの工事方法には研究過程のものもあるが、その選定にあたっては次の点に留意するものとする。なお、新規の技術の採用に当たっては、実地に試験施工を行う等、慎重に配慮するものとする。

  1.   (一) 第二に定める諸監視基準が維持できるよう配慮すること
  2.   (二) 工事の能率性、経済性について(一)と併せて配慮すること
  3.   (三) 除去底質の粒度、強熱減量等を測定し、当該除去底質の性状を把握するとともに、当該水域の地形、海象、流況及び漁期、漁況等について配慮すること
  4.   (四) 一般水域の魚介類の安全性を確保するため、境界を網で仕切るなど適切な措置を講ずるよう努めること

 二 しゅんせつ及び掘削

   しゅんせつ又は掘削を行う場合には、底質の性状、当該水域の地形、海象、流況及び漁期、漁況等の地域の特性に応じて、第二に定める諸監視基準が維持できる範囲内で、作業時間、作業期間、作業速度等の要素についても十分配慮しつつ工事を行うものとする。

 三 封じ込め

   工事着手前の調査で、地下水の水質調査結果が環境基準値に適合していない場合、原則、封じ込めによる処分を行うことはできないものとする(周辺と遮断する場合を除く。)。また、採用にあたっては当該水域の地形、流況等の地域の特性及び今後の地形改変の可能性に留意の上判断するものとする。

 四 無害化

   実用化に向けた研究開発の過程にある方法であり、採用に当たっては試験施工等により性能等について確認すること。

第四 除去底質の搬出、処理及び処分

  除去底質を搬出する場合、搬出中に除去底質が周辺に飛散等しないようにするとともに、除去底質の搬出先において、周辺環境に対策対象物質による汚染を拡散させることのないよう除去底質からの汚染の除去又は適正な処分を行うこと。
  なお、船舶から海洋投入処分を行う場合には、海洋汚染防止法によることになるので留意すること。