法令・告示・通達

底質の暫定除去基準について

公布日:昭和50年10月28日
環水管119号

[改定]

昭和63年9月8日 環水管第127号

(環境庁水質保全局長から都道府県知事・権限委任市長あて)

 公共用水域の水質汚濁、魚介類汚染等の原因となる汚染底質の除去等の基準として、下記のとおり底質の暫定除去基準を定めたので、暫定除去基準値に該当する底質については、しゅんせつ、封じ込め等の所要の対策を講じるとともに、関係者についてもその旨御指導願いたい。なお、所要の対策を講じる際は、「底質の処理・処分等に関する暫定指針」(昭和49年5月30日付け環水管第113号)に基づき、二次公害が発生しないように慎重に配慮することとされたい。
 おって、「水銀を含む底質の暫定除去基準について」(昭和48年8月31日付け環水管第177号)及び「PCBを含む底質の暫定除去基準について」(昭和50年2月28日付け環水管第18号)は、廃止する。

1 底質の暫定除去基準値

  底質の暫定除去基準値は、別紙1及び2において定める物質ごとの基準値とする。

2 底質の分析方法等

  底質の暫定除去基準に該当するか否かの判定は、「底質調査方法」(昭和63年9月8日付け環水管第127号。以下「底質調査方法」という。)の精密調査の結果に基づき、メッシュを設定している場合にあってはそれぞれのメッシュの通常4つの交点の測定値の平均値をもって当該メッシュ内の平均濃度とし、その他の場合にあっては隣り合う2点の測定値の平均値をもって当該区問の平均濃度とし、それぞれの平均濃度において判定する。
  なお、この測定値は、「底質調査方法」により定める採泥及び分析方法により測定した値をいう。
(注) 「メッシュを設定している場合にあってはそれぞれのメッシュの通常4つの交点の測定値の平均値をもって当該メッシュ内の平均濃度とする。」と定めているが、4点の測定業者が原則として同一の場合にのみ適用される。2点の場合も同様であるので、この点に留意して施行すること。

別紙1

 水銀を含む底質の暫定除去基準

水銀を含む底質の暫定除去基準値(底質の乾燥重量当たり)は、海域においては次式により算出した値(C)以上とし、河川及び湖沼においては25ppm以上とする。
 ただし、潮汐の影響を強く受ける河口部においては海域に準ずるものとし、沿岸流の強い海域においては河川及び湖沼に準ずるものとする。

  図:水銀を含む底質の暫定除去基準

  1. (1) 平均潮差(m)は、当該水域の平均潮差とする。ただし、潮汐の影響に比して副振動の影響を強く受ける海域においては、平均潮差に代えて次式によって算出した値とする。

      図:平均潮差
  2. (2) 溶出率は、当該水域の比較的高濃度に汚染されていると考えられる4地点以上の底質について、「底質調査方法」の溶出試験により溶出率を求め、その平均値を当該水域の底質の溶出率とする。
  3. (3) 安全率は、当該水域及びその周辺の漁業の実態に応じて、次の区分により定めた数値とする。なお、地域の食習慣等の特殊事情に応じて安全率を更に見込むことは差し支えない。
  1.   1)漁業が行われていない水域においては、10とする。
  2.   2)漁業が行われている水域で、底質及び底質に付着している生物を摂取する魚介類(エビ、カニ、シャコ、ナマコ、ボラ、巻貝類等)の漁獲量の総漁獲量に対する割合がおおむね1/2以下である水域においては、 50とする。
  3.   3)2)の割合がおおむね1/2を越える水域においては、100とする。

別紙2

PCBを含む底質の暫定除去基準

 PCBを含む底質の暫定除去基準値(底質の乾燥重量当たり)は、10ppm以上とする。
 なお、魚介類のPCB汚染の推移をみて更に問題があるような水域においては、地域の実情に応じたより厳しい基準値を設定するよう配慮すること。