法令・告示・通達

水質モニタリング方式効率化指針の通知について

公布日:平成11年04月30日
環水企186・環水規163

環境庁水質保全局長から都道府県知事・政令市長あて

 水質汚濁防止法に基づき都道府県知事が行う公共用水域及び地下水の常時監視における水質調査については、従来より、「水質調査方法」(昭和46年9月30日付け環水管第30号)及び「水質汚濁防止法の一部を改正する法律の施行について」(平成元年9月14日付け環水管第189号)の別紙「地下水質調査方法」により調査方法を示してきたところである。
 今般、水質環境基準健康項目が追加されたが、今後、新たな項目が水質環境基準項目として追加され、調査の対象が増えると考えられることから、各自治体が実施する水質モニタリングについては、地域の実情を踏まえつつ、限られた人員と経費で必要十分な成果が得られるよう、より効果的な体制への移行が求められる。
 このため、従来の「水質調査方法」及び「地下水質調査方法」に準拠しながら、これまでに蓄積された調査結果から、長年検出されていない場合等に関する水質モニタリングの効率化を推進するための「水質モニタリング方式効率化指針」(別添)を作成したので、本指針の趣旨を踏まえ、より効率的な水質モニタリング体制の整備に努められたい。

(別添)
  水質モニタリング方式効率化指針
(平成11年4月)
(環境庁水質保全局)

目次

  1. 第1部 公共用水域におけるモニタリングについて
    1.  第1章 指針策定にあたって
      1.   第1節 背景
      2.   第2節 目的
    2.  第2章 モニタリング方式の基本的考え方
      1.   第1節 環境基準項目
      2.   第2節 要監視項目
    3.  第3章 モニタリング方式の効率化の方向
      1.   第1節 調査地点の効率化について
      2.   第2節 調査項目の効率化について
      3.   第3節 調査頻度の効率化について
      4.   第4節 分析方法の効率化について
    4.  第4章 モニタリングの効率化の具体的手法
      1.   第1節 調査地点について
      2.   第2節 調査項目について
      3.   第3節 調査頻度(時期)について
      4.   第4節 分析方法について
      《参考資料》
        ~都道府県のモニタリング方式に関するアンケート集計結果~
  2. 第2部 地下水におけるモニタリングについて
    1.  第1章 指針策定にあたって
      1.   第1節 背景
      2.   第2節 指針の目的及び位置づけ
    2.  第2章 モニタリング方式の基本的考え方
      1.   第1節 調査地点について
      2.   第2節 調査項目について
      3.   第3節 調査頻度について
      4.   第4節 分析方法について
      5.   第5節 その他
    3.  第3章 効率化促進のための具体的な手法
      1.   第1節 調査地点について
      2.   第2節 調査項目について
      3.   第3節 調査頻度について
      4.   第4節 分析方法について
      5.   第5節 その他

第1部 公共用水域におけるモニタリングについて

 第1章 指針策定にあたって

  第1節 背景

    我が国の公共用水域においては、水質汚濁防止法に基づき、国及び各自治体が相当の人員、予算を費やして水質の常時監視(水質の定点監視)を実施している。
    しかし、環境基準項目については、平成5年に新たに健康項目が15項目追加されたことによって、平成4年度には、健康項目で5,501地点・87,130検体、生活環境項目で6,877地点・413,557検体であったが、平成9年度には、それぞれ5,549地点・296,454検体、7,248地点・441,124検体に増え、測定(項目数)は膨大なものとなっている。
    また、平成11年2月22日には環境基準項目に新たに3項目が追加され、今後も、水環境中でリスクの高い物質が環境基準項目に順次追加されると考えられ、測定項目数がさらに増大していく可能性が高い。
    一方、外因性内分泌攪乱化学物質など、環境中の有害物質が人の健康に及ぼすリスクに対する懸念が高まっており、水環境中のリスクについて、今後、知見の集積が必要な物質(物質群)として300物質が要調査項目に指定されるなど、多数の有害物質を的確にモニタリングすることが、ますます重要となってきている。
    このような状況に対処するためには、いずれはモニタリング方式の抜本的な見直しが必要になると考えられるが、当面は現行のモニタリング方式の枠内で、限られた人員・予算内で、的確なモニタリングが実施できるよう、早急にモニタリング方式を効率化することが不可欠である。

  第2節 目的

    本指針は、限られた人員・予算内で多数の有害物質を的確にモニタリングするため、現行のモニタリング方式の問題点等を整理し、調査項目、調査地点数、調査頻度等の調査方法及び分析方法について、的確かつ効率的なモニタリング方式を示すものである。
    本指針は、現行のモニタリング方式の考え方に基本的には沿いながら、効率的なモニタリングの具体的手法を示すことによって、各自治体がモニタリングの効率化を図るための誘導的な役割を果たすことを目的とするものである。

 第2章 モニタリング方式の基本的考え方

  第1節 環境基準項目

    環境基準項目については、公共用水域における水質汚濁の全体像を的確に捉えることに加え、環境基準未達成水域を可能な限りもれなく、かつ、速やかに把握することが目的であり、「水質調査方法」(昭和46年9月30日付け環水管第30号環境庁水質保全局通知)により、以下に示すようなモニタリング方式の基本的考え方が示されている。

   1) 調査地点の選定について

     調査地点は以下に示すように汚濁源の位置、利水状況、水域の代表地点、富栄養化の監視等の要因を考慮して選定する。

    (1) 汚濁源の位置の考慮

       汚濁源(特定事業場、ゴルフ場、農地、自然的原因等)の下流及び周辺地域については以下に示す地点を考慮して選定する。

  •        河川:主要な汚濁水が河川に流入した後十分混合する地点及び流入前の地点
  •        湖沼:汚濁水が湖沼に流入した後十分混合する地点
  •        海域:主要な汚濁源の位置
    (2) 利水状況の考慮

       利水状況を勘案し、水道水源の上流等に重点的に調査地点を選定する。

    (3) 水域の代表地点

       以下に示すような水域の代表地点を考慮して調査地点を選定する。

  •        河川:支川が合流後十分混合する地点及び合流前の本川又は支川の地点、流水の分流地点、湖沼への流入前の地点
  •        湖沼:湖心、湖沼水の流出地点、河川が流入した後十分混合する地点
  •        海域:水域の地形、海潮流、河川水の流入状況等を考慮した調査地点(例:主要河川の沖、重要港湾内等)
    (4) 富栄養化の監視(生活環境項目)

       閉鎖性水域等の富栄養化が懸念される水域においては、閉鎖性水域への流入負荷を監視するため、流入前の河川に調査地点を選定する。

   2) 調査項目について
    (1) 生活環境項目

      生活環境の保全に関する環境基準は、水量が異常な状態(渇水時等)を除いた通常の状態の下にある場合に維持されるべき値とされている。すなわち、低水流量、低水位時にも環境基準が維持されることが求められる。
      しかし、結果的に低水流量、低水位時にあたる日のデータの取得は非常に困難であり、運用上、BOD、CODについては、環境基準点において測定されたデータ(日間平均値)のうち年間の75%以上のデータが基準値を満足することにより、環境基準を達成していると評価している。
      調査は、環境基準点、利水上重要な地点等で継続的かつ重点的に実施することが求められている。

    (2) 健康項目

      人の健康の保護に関する環境基準は、全国の公共用水域に共通のものとして一律に定められている。
      全シアン以外の項目の基準値は長時間摂取に伴う健康影響を考慮して設定されており、年間平均値で評価する。全シアンの基準値は急性毒性を考慮して設定されており、最高値で評価する。
      調査は水質汚濁の状況や排出水の汚濁状況等から見て、必要と思われる項目については重点的に実施することとしている。

   3) 調査頻度(時期)について

     調査時期については、採水日前に比較的晴天が続き、水質が安定している日を選ぶこととする。なお、河川流量の変動及び湖沼における循環・停滞等により、水質に季節的な変動が見られる場合は、これらを考慮して調査時期を選定することが必要である。

   4) 分析方法について

     異なる機関で分析する場合においても一定の精度を確保することが求められることから、以下に示すような統一的な方法で分析を行うことが規定されている。
     環境基準項目については、「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46年12月28日付け環境庁告示第59号)に基づいた方法で分析し、測定方法が1項目で2種類以上定められたものについては、測定機関が機器の整備状況等から最も妥当と判断される測定方法を選定し、測定を行うこととされている。

  第2節 要監視項目

    要監視項目は、人への健康影響が認められている物質であるが、環境中の分布状況がまだ十分に把握されていない物質であり、生産・使用状況、水道水質基準の設定状況、公共用水域等における検出状況を勘案して選定された項目であり、環境基準健康項目への移行の是非を判定するために、環境中の詳細な分布を把握することを目的としてモニタリングが行われる。
    よって、要監視項目については、地域の実情に応じ、必要と考えられる項目について、汚濁源の状況、利水状況、水域の代表地点等を勘案し、環境基準健康項目の主要な調査地点等で一定期間モニタリングを実施することが望ましい。
    分析については、「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の測定方法及び要監視項目の測定方法について」(平成5年4月28日付け環水規第121号水質保全局水質規制課長通知、平成11年3月12日付け環水企第89号、環水管第69号、環水規第79号により改正。)に基づいた方法又はこれと同程度の精度を有する方法を用いることとされている。

 第3章 モニタリング方式の効率化の方向

   モニタリング方式の効率化の概念を下図に示す。
   今後、多数の有害物質を的確にモニタリングすることが必要となってくることを踏まえ、調査頻度や調査地点を見直し、測定検体数を削減するとともに、調査項目の見直しによって測定項目数を削減し、さらに分析手法の効率化を図ることによりモニタリング方式の効率化を図ることが不可欠になっている。

図:モニタリング方式の見直しの概念

  図 モニタリング方式の見直しの概念

  

  第1節 調査地点の効率化について

   1) 調査地点の見直し

     公共用水域の効率的なモニタリングを行う観点から、汚濁源の状況や他地点との位置関係等も考慮しながら調査地点・調査項目を絞り込む等、効率的な調査地点の選定を行っていくことが望まれる。なお、汚濁源に関する情報を常時収集し、汚濁源の新規立地等があった場合には、再度調査地点について見直しを実施する。

   2) 地点のローリング調査の導入

     健康項目において長年検出されておらず、さらに、水域周辺の汚濁源の状況から見て、今後とも検出される可能性が極めて少ないと思われる場合には、調査地点について数年で一巡するようなローリング調査の導入により効率化を図る。
     この場合、これまでの調査結果と合わせて経年的な変化を把握する観点にも配慮して調査計画を策定する必要がある。

  第2節 調査項目の効率化について

   1) 使用実態による調査時期・調査項目の絞り込み

     農薬等の使用時期が限定されている項目については、使用実態により調査時期・調査項目を絞り込むことで効率化が図られる。

   2) 項目のローリング調査の導入

     長年検出されておらず、さらに、水域周辺の汚濁源の状況から見て、今後とも検出される可能性が極めて少ないと思われる項目については、数年で全調査項目を一巡するようなローリング調査の導入により、1年あたりの調査項目数を削減することが可能である。この場合においても、分析工程が共通する項目を同一年に調査することにより、更に効率化が可能となる。

  第3節 調査頻度の効率化について

   1) 調査時期の見直し

     分析工程が共通する項目については、調査に支障のない限り同じ月にサンプリング・測定を実施し、検体数がある程度まとまるように選定する等の効率化を図る。

   2) 長年検出されない場合の調査頻度の見直し

     長年検出されない場合は、調査頻度を減らすことでモニタリングの効率化を図っていくことが可能である。なお、この場合もこれまでの調査結果と合わせて経年的な変化を把握する観点にも配慮して調査計画を策定する必要がある。

  第4節 分析方法の効率化について

    多数の有害物質を効率よく的確にモニタリングするためには、多成分同時分析や自動車分析法等を採用した新たな測定システムの導入が必要である。

 第4章 モニタリングの効率化の具体的手法

   第3章に示した効率化の方向に沿いながら、モニタリングの効率化を図るための具体的手法を以下に示す。

  第1節 調査地点について

   1) 汚濁源を考慮した選定
    (1) 事業場等による汚濁源がある場合

      従来から、特定事業場等の汚濁源の位置を考慮して調査地点を選定することとされているが、今後とも、汚濁源の状況について事前に情報を収集することでモニタリングの効率化を図ることが望ましい。
      調査地点の選定の際には、汚濁源の立地、処理の状況及び排出される項目を実態調査等で事前に把握するよう努め、調査地点の位置及び調査項目の絞り込みを図ることとする。また、新たに、発生源となる可能性のある特定事業場等の進出が予定されている場合は、調査地点の変更等を検討する。

  具体例(健康項目)
  • ・上流の汚濁源である特定事業場等の新規立地、廃止の状況を考慮して回数、地点の増減を行っている。
  • ・健康項目の有機塩素化合物:いずれかの物質を使用する特定事業場等の下流で有機塩素化合物全てを測定する。
  • ・流域に農地の多い河川、ゴルフ場の下流の健康項目の農薬4項目を測定している。
    (2) 自然的原因による汚濁がある場合

      重金属等、自然的原因による汚濁がある項目については、これら自然的要因も勘案して調査地点を配置する。これら自然に存在する物質については、不検出が継続していても、調査地点の状況により上流の土砂崩落等の要因で検出されるおそれがある場合には、数年かけて下流の水域をローリング調査する等の手法を検討する。

  具体例(重金属等)
  • ・健康項目の重金属については休廃止鉱山等の自然的原因による汚濁等も考慮して選定している。
   2) 汚濁源の少ない水域におけるローリング調査

      沖合海域等の汚濁源による影響が比較的少ない水域については、モニタリングの合理化が可能である。
      これら水域における調査では、水域ごとにグループ分けし、ローリング調査を実施するなどの手法を検討する。

  具体例(健康項目)
  • ・河川については、県内3大水系にグループ分けし、1ケ月毎のローテーションで水系ごとにサンプリングを行っている。
  • ・海域の健康項目について3年で一巡(又は2年で1巡)するようにローリング調査を実施している。
   3) 調査地点間の位置関係の考慮

      調査地点間の位置関係を考慮し、近傍の地点のモニタリングで汚染状況の把握が十分にできる地点については削除し、あるいは複数の地点の統合を図ることにより効率化を図ることができる。

  調査地点についての効率化

  •    ○汚濁源の状況に応じた調査地点の位置及び分析項目の絞り込みを図る。
  •    ○重金属等、自然的原因による汚染も勘案しながら、ローリング調査等の手法で効率的な調査を実施する。
  •    ○汚濁源の少ない水域においてはローリング調査等の手法で効率的に調査を実施する。
  •    ○調査地点間の位置関係を考慮し、地点配置の効率化を図る。

  第2節 調査項目について

    長年検出されておらず、さらに、水域周辺の汚濁源の状況から見て、今後とも検出される可能性が極めて少ないと思われる項目(群)については、数年で項目(群)を一巡するような項目のローリング調査等によりモニタリングの効率化を図る。
    また、農薬等の使用時期が限定されている項目については、使用実態により調査時期・分析項目を絞り込むことで効率的な調査を実施する。

    

  具体例
  • ・農薬については使用実態調査で使用量等が多い項目について、地域を限定して測定している。
  • ・n―ヘキサン抽出物については、CODの測定値との関係を考慮して調査計画をたてる。

  調査項目についての効率化

  •    ○項目のローリング調査等によりモニタリングの効率化を図る。
  •    ○農薬項目は、使用実態を勘案し、調査項目の絞り込みを図る。

  第3節 調査頻度(時期)について

   1) 農薬類の調査時期の設定

      農薬類については、毎月あるいは隔月に一度といった調査を実施するのではなく、使用時期を考慮して、調査時期を設定する必要がある。
      言い変えれば、使用実態に基づいて調査時期を絞り込むことができる。

  具体例
  • ・ゴルフ場農薬については、農薬の使用時期(6~10月)に調査を実施している。
  • ・農薬類は使用が集中する夏季に調査を実施している。
   2) 分析作業の効率化の視点から見た調査時期の選定

      効率的なモニタリングを推進する観点から、なるべく作業を一斉に行うためろに、分析工程が共通する項目については同じ月に測定を実施するよう努めるとともに、検体数もある程度の数がまとまるように、サンプリング等の作業の効率化を図ることが望ましい。

   3) 長年検出されない場合の調査頻度の見直し

      長年検出されていない健康項目については、今後は、以下にあげる諸要因を勘案しながら、調査頻度を見直し、モニタリングの効率化を図っていくことが考えられる。
      なお、「都道府県のモニタリング方式に関するアンケート」の結果より各都道府県の考える健康項目に関する調査頻度の判断基準を参考として以下に示す。

  •       ○既存汚濁源の有無(自然発生源を含む)
  •       ○新規発生源の有無
  •       ○利水状況
  •       ○他地点との位置関係
  •       ○水域の代表地点
   <参考>
    ~各都道府県における調査頻度の現状と今後~
    (1) 調査頻度の現状(参照:図2~4、図6~8、図10~12)

      都道府県のモニタリング方式に関するアンケート結果によれば、各都道府県が環境の現状等の各々の事情に応じて、調査頻度を設定していることがわかった。
      最も調査地点の多い河川の調査頻度の現状を以下に示す。

  •      ・生活環境項目
          7割以上の調査地点が月1回~隔月1回の調査頻度である。
  •      ・健康項目
          平成5年に追加された項目について、半数の調査地点が調査頻度は年2回、約3割の調査地点が調査頻度は年4回である。これに比べ重金属等の旧項目は調査頻度が若干多いが、PCBやアルキル水銀については、半数以上の調査地点が調査頻度は年1回と逆に少なくなっている。
  •      ・要監視項目
          半数以上の調査地点が、調査頻度は年1回である。なお、EPN、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の調査頻度は他の要監視項目に比べ多く、特に硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素に関しては、調査頻度が隔月に1回の調査地点数が最も多くなっている。
       (注:「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」は「ふっ素」・「ほう素」と共に、平成11年2月22日付け環境庁告示第14号により環境基準項目となった。)
    (2) 調査頻度の今後

      都道府県のモニタリング方式に関するアンケートの中の「モニタリングの負担を軽減するために調査頻度を少なくする場合、どのような判断基準に基づくのが適当であると考えますか。」という設問に関する集計結果を以下に示す。特に"新たな汚濁源が確認されない限りは測定する必要がないとする判断基準"については、10年間NDと回答した県が回答のあった12県中5県を占め、最も多かった。

     ① 季節ごとに1回測定することが適当であるとする判断基準

 

 
値以下
75%以下
50%以下
25%以下
ND
5年間
5
2
3
   
10年間
4
 
1
 
2
15年間
         
20年間
         


     ② 半年ごとに1回測定することが適当であるとする判断基準

 
値以下
75%以下
50%以下
25%以下
ND
5年間
5
3
2
10年間
2
 
1
   
15年間
1
     
1
20年間
   
1
 
1


     ③ 1年に1回測定することが適当であるとする判断基準

 
値以下
75%以下
50%以下
25%以下
ND
5年間
2
1
 
2
3
10年間
3
   
3
1
15年間
   
1
   
20年間
1
     
3


     ④ 2年に1回測定することが適当であるとする判断基準

 
値以下
75%以下
50%以下
25%以下
ND
5年間
1
 
1
 
1
10年間
2
 
2
   
15年間
     
1
1
20年間
1
 
1
   


     ⑤ 新たな汚濁源が確認されない限りは測定する必要がないとする判断基準

 
値以下
75%以下
50%以下
25%以下
ND
5年間
1
   
1
 
10年間
     
2
5
15年間
         
20年間
     
2
1

  調査頻度(時期)についての効率化

  •    ○農薬類は使用時期を考慮して調査時期を限定する。
  •    ○分析作業の効率化の視点から調査時期を選定する。
  •    ○健康項目は、長年検出されない場合、調査頻度の絞り込みを検討する。

  第4節 分析方法について

   1) 分析の自動化

     ガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフー質量分析計、液体クロマトグラフ、原子吸光光度計等の分析機器に対し、できる限りオートサンプラーを接続することで、再現性の向上を図り、分析作業の省力化を推進することが必要である。

   2) 分析方法の効率化

     総水銀とアルキル水銀の定量下限値は、同じ値である。(0.0005mg/l)。したがって、総水銀の分析を行って検出された場合にアルキル水銀を分析すれば十分であり、アルキル水銀の分析については、総水銀の測定でスクリーニングを行うことで、分析方法の効率化を図る。

図:順水銀の分析方法の効率化

     さらに、多成分同時分析の採用等により分析方法の効率化を推進することが必要である。

  分析方法についての効率化

  •    ○できる限りオートサンプラーを接続することで、再現性の向上を図り、分析作業の効率化を推進する。
  •    ○アルキル水銀の分析については、総水銀の測定でスクリーニングを行うことで、分析方法の効率化を図る。
  •    ○多成分同時分析の採用等により分析方法の効率化を推進する。

《参考資料》
  ~都道府県のモニタリング方式に関するアンケートについて~

 本指針の策定にあたり、47都道府県の水質調査担当部署あてに調査票の郵送・回収によるアンケート調査を実施した。43県から回答があり、回収率は91%であった。
 本アンケート調査は、都道府県における水質モニタリングの実態、今後のモニタリングに対する考え方等を把握することを目的として実施したものであり、主に以下のような構成となっている。

  1.  1 水環境モニタリングの現状について
       水環境モニタリングの現状について、平成10年度の水質測定計画に基づいて回答する。
  2.  2 調査地点数・頻度を変更・設定した場合の考え方について
       平成5年に追加された環境基準項目、要監視項目については調査地点数・頻度の設定の際の考え方を回答する。
       旧環境基準項目については、5年前と比べ、調査地点数・頻度をどのように変更したのか、さらに、変更した理由について回答する。
  3.  3 今後のモニタリングのあり方
       今後のモニタリングのあり方を回答する。

 以降に、 上記アンケートの集計結果の概要を示す。

Ⅰ モニタリングの現状

 1―1 調査方法(地点・頻度)について
  (1) 生活環境項目(表1~2、図1~4)

    水域別には、河川の調査頻度が最も高くなっている。
    湖沼・海域における全窒素・全燐については、湖沼より海域の方が多い頻度で調査されている。また、海域におけるn―ヘキサン抽出物は最も調査頻度の少ない項目である。

  (2) 健康項目(表3~4、図5~8)

    項目別には①平成5年に環境基準項目に追加された15項目、②従前から環境基準とされているPCB及びアルキル水銀、③PCB及びアルキル水銀以外の従前から環境基準とされている6項目、の3つのグループに分かれている傾向が見られる。
    ①のグループは、新しい設定項目であるためか、調査頻度はどの水域においても一律な傾向が見られ、項目間の差はわずかである。ただし、若干の調査地点数の差が湖沼・海域においてみられ、農薬関係の4項目、有機塩素系化合物(1,3―ジクロロプロペンを除く)、ベンゼン・セレンの3つの小グループにさらに分かれている傾向が見られる。農薬関係の調査地点数は湖沼においては他の小グルーブに比べて若干多く、海域では逆に若干少なくなっている。
    ②のグルーブは、調査地点数が最も少ないグループであり、PCBは調査頻度も最も少なくなっている。一方、アルキル水銀は調査地点数は最も少ない項目だが、特に湖沼において調査頻度が多い傾向が見られる。
    ③のグループは、調査地点数が最も多いグループだが、調査頻度については地点ごとのばらつきが大きい。また、中では総水銀の調査頻度が多い傾向が見られる。
    水域別には、アルキル水銀以外の調査項目については河川が最も調査頻度が多く、海域が最も少なくなっている。アルキル水銀については湖沼が最も調査頻度が多くなっている。

  (3) 要監視項目(表5~6、図9~12)

    項目別には硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、フッ素、EPNの調査地点数が他項目に比べて多くなっている。
    このうち硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は調査頻度も非常に多くなっている。(注:硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は現在は環境基準項目。)
    水域別には、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素以外の全項目は、河川の調査頻度が最も多く、海域が最も少なくなっている。硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は、湖沼の調査頻度が最も多く、河川の調査頻度は最も少なくなっている。

  (4) その他の項目(表7)

    環境基準項目、要監視項目以外の項目を調査している県は32県あり、全体の68%を占めている。特殊項目以外には、栄養塩類(アンモニア性窒素、リン酸態リン)、クロロフィル―a、農薬項目の項目等が多く測定されている。

  表1 全国の調査地点数 (生活環境項目)
表1 全国の調査地点数 (生活環境項目)

  表2 全国の調査地点数(%) (生活環境項目)
表2 全国の調査地点数(%) (生活環境項目)

  図1 生活環境項目調査地点数
図1 生活環境項目調査地点数

  図2 生活環境項目調査地点数(%) 河川
図2 生活環境項目調査地点数(%) 河川

  図3 生活環境項目調査地点数(%) 湖沼
図3 生活環境項目調査地点数(%) 湖沼

  図4 生活環境項目調査地点数(%) 海域
図4 生活環境項目調査地点数(%) 海域

  表3 全国の調査地点数 (健康項目)
表3 全国の調査地点数 (健康項目)

  表4 全国の調査地点数(%) (健康項目)
表4 全国の調査地点数(%) (健康項目)

  図5 健康項目調査地点数
図5 健康項目調査地点数

  図6 健康項目調査地点数(%) 河川
図6 健康項目調査地点数(%) 河川

  図7 健康項目調査地点数(%) 湖沼
図7 健康項目調査地点数(%) 湖沼

  図8 健康項目調査地点数(%) 海域
図8 健康項目調査地点数(%) 海域

  表5 全国の調査地点数 (要監視項目)
表5 全国の調査地点数 (要監視項目)

  表6 全国の調査地点数(%) (要監視項目)
表6 全国の調査地点数(%) (要監視項目)

  図9 要監視項目調査地点数
図9 要監視項目調査地点数

  図10 要監視項目調査地点数(%) 河川
図10 要監視項目調査地点数(%) 河川

  図11 要監視項目調査地点数(%) 湖沼
図11 要監視項目調査地点数(%) 湖沼

  図12 要監視項目調査地点数(%) 海域
図12:要監視項目調査地点数(%) 海域

  表7 その他の調査項目

分類
調査項目
回答数
窒素
アンモニア態窒素
18県
炭素
TOC
4県
DCOD
3県
DOC
1県
リン
リン酸態リン
11県
界面活性剤
陰イオン界面活性剤
7県
MBAS
7県
大腸菌
糞便性大腸菌
7県
O―157
2県
栄養塩
塩化物イオン
16県
硫酸イオン
2県
その他
電気伝導率
6県
濁度
4県
その他農薬等
各1~2県
  (5) 今後調査すべきであると考える項目

    "調査項目とする予定がある項目"や"調査項目とするかどうか検討している項目"としては、ダイオキシン、環境ホルモン、病原性大腸菌等、社会問題化した項目が多くあげられている。

図13:今後調査すべき項目

  図13 今後調査すべき項目

 1―2 分析手法について

   モニタリングが負担となっている項目としてはBOD、n―ヘキサン抽出物、大腸菌群数、アルキル水銀、PCB、農薬項目、海水中の重金属類があげられる。主な理由として"時間がかかる"、"分析が煩雑である"の2つがあげられる。
   それぞれの理由の具体的な回答例を以下に示す。

  <具体例>

  時間がかかる項目
    BOD及び大腸菌群数:時間がかかるためサンプリング日が限られる。
  分析が煩雑である項目
    n―ヘキサン抽出物:検体量が多い。
    アルキル水銀:分析が煩雑である。
    PCB:分析が煩雑である。
    農薬項目:分析が煩雑である。
    海水中の貴金属類:塩類が妨害するので分析が煩雑になる。

Ⅱ 自治体におけるモニタリングの省力化に対する具体的対策例

  モニタリングの省力化の上で工夫している点としては、サンプリングの工夫、調査時期選定の工夫、調査地点選定の工夫、ローリング調査、調査項目の絞り込み、調査頻度の削減、分析方法の工夫等があげられる。それぞれの工夫に関しての具体的な対策例を以下に示す。

 <具体例>
 ■サンプリングの工夫
  •   ・採水は、出先保健所を中心とし、冷蔵宅配便等で、一部サンプルを分析機関に送付する。
  •   ・一ケ月のローテーションでサンプリングを行っていることから、県内三大水系にグループ分けしてサンプリングを行っている。
  •   ・サンプリングをグループ分けし、検体数がある程度まとまるように選定する。
 ■調査時期選定の工夫
  •   ・農薬類は調査時期を限定し、年2回としている。
  •   ・健康項目については、基本的に春夏秋冬に各1回実施するが、チウラム、シマジン、チオベンカルブについては冬期は使用されないため、冬期は実施しない。
  •   ・分析系統の同じ項目については、支障にならない限り同じ月に測定を実施する。
 ■調査地点選定の工夫
  •   ・汚濁源(特定事業場、ゴルフ場、農地、自然的原因等)を考慮して選定し、効率化を図る。
  •   ・付近の調査地点のデータで対応できる場合は調査地点を削減している。
  •   ・過去の調査結果から、検出事例が少ないこと、基準値を経過した例は河川の下流部であること、発生源に大きな変動が見られないことなどから、大河川の本川環境基準点、その他の河川の最下流の環境基準点、水道取水点のある河川の環境基準点、県境の補助点及び汚濁源を考慮した地点でのみ測定を行うこととした。
  •   ・調査地点を整理・統合し、調査地点を削減した。
  •   ・上流域において開発等の進行又は計画により、水質への影響が見られるか、又は影響が懸念される地域で未調査の河川延長が概ね10kmを超える水域又は調査地点までの距離が遠く、その影響が的確に把握できないと考えられる水域に調査地点を選定するようにしている。
  •   ・発生源の状況、水利用の状況、河川流況等が著しく変化した水域について事前に調査し、調査地点を追加・変更・廃止した。
 ■ローリング調査
  •   ・サンプリングについては、水域ごとにグループ分けし、1ケ月のローテーションで計画的に実施している。
  •   ・海域の健康項目について3年で一巡(又は2年で一巡)するようにローリング調査を実施している。
 ■調査項目の絞り込み
  •   ・汚濁源(特定事業場、ゴルフ場、農地、自然的原因等)の確認により、各地点における調査項目を絞り込む。
 ■調査頻度の削減(中止)
  •   ・比較的大規模な河川・流域に汚濁源が多数立地する水域については頻度を増やし、流域の汚濁源が少なく水質が良好な地点については頻度を減らした。
  •   ・排出事業所も無く、過去検出されていない地点にあっては、重金属類は年一回の調査としている。
  •   ・過去の検出状況(長期間検出されていない、数値の変動があまりない等)から判断して、調査回数を削減している。
  •   ・過去、検出されていないか、経年・経月で傾向が把握されている項目について、調査頻度を減らしている。
  •   ・健康項目(従来の項目)について過去20年間検出していない地点での測定を中止した。
  •   ・大腸菌群数の大きな発生源であるし尿については、下水道等の整備が進められるなど衛生的な処理が普及しており、肥料として田畑へ還元することによる汚染の恐れも少なくなっていることから、調査頻度を減少させた。
 ■分析方法の工夫
  •   ・少しでも理解しやすい機器の導入と、オートサンプラーを導入による夜間運転を実施している。
  •   ・総水銀が検出された場合にのみアルキル水銀を分析する。
 ■民間業者への委託
  •   ・調査地点や調査項目によっては、外部に委託している。

Ⅲ 調査地点・頻度の選定の考え方

  調査地点・頻度の選定の考え方は主に以下の5とおりがあげられる。それぞれの考え方の具体的な回答例を以下に示す。

  1.  (1) 新たな発生源の発生を考慮して選定する。
  2.  (2) 既存の汚濁源の重点的監視を考慮して選定する。
  3.  (3) 利水状況を考慮して選定する。
  4.  (4) 水域の代表地点に調査地点を選定する。
  5.  (5) 富栄養化の監視の観点から選定する。
  <具体例>
   (1) 新たな発生源の発生を考慮して選定する。
  •     ・上流の汚濁源の新規立地、廃止の状況を考慮して回数、地点の増減を行っている。
   (2) 既存の汚濁源の重点的監視を考慮して選定する。
  •     ・発生源となるような工場が付近にある水域で測定している。
  •     ・健康項目の有機塩素化合物(1,3―ジクロロプロペンを除く):いずれかの物質を使用する工場等の下流で有機塩素化合物全て(9項目)を測定している。
  •     ・健康項目の重金属、要監視項目のほう素については自然汚濁源等も考慮して選定している。
  •     ・流域に農地の多い河川、ゴルフ場の下流で健康項目の農薬4項目を測定する。
  •     ・周辺に事業場が多い閉鎖性水域については、過去に排出されたものの影響を把握する必要もあるため調査頻度を多くしている。
  •     ・過去に検出されたものや、急性毒性のある重金属等の一部項目について、毎月測定としている。
   (3) 利水状況を考慮して選定する。
  •     ・水道資源として重要な水域について調査地点を新設した。
   (4) 水域の代表地点に調査地点を選定する。
  •     ・湖沼では、水域を代表する地点及び湖沼へ流入する河川の末端。
  •     ・湖沼:1水域1地点とし、湖沼中央部とした。
  •     ・海域は主要河川の沖及び重要港湾内とした。
  •     ・比較的大規模な河川を主要河川として、河川ごとに代表的地点を選び全項目測定する。
   (5) 富栄養化の監視の観点から選定する。
  •     ・海域:富栄養化を監視する観点から調査頻度の充実を図っている。
  •     ・河川:閉鎖性海域への流入負荷の監視のため、調査地点数の充実を図っている。
  •     ・硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については今後の富栄養化対策の推進のためにも測定を実施している。
  •     ・ダム湖の富栄養化状況の把握のため、調査頻度を増やしている。
  <アンケートの回答事例 ~抜粋~ >
 ~A県~

 ○健康項目についての調査地点・頻度選定の考え方

  1.   1 過去の測定結果から、検出事例が少ないこと、基準値を超過した例は河川の下流部であること、発生源に大きな変動が見られないことなどから、大河川の本川環境基準点、その他の河川の最下流の環境基準点、水道取水点のある河川の環境基準点、県境の補助点及び汚濁源を考慮した地点でのみ測定を行うこととした(H6年から)。
  2.   2 基準値の強化された鉛・砒素の測定は知見の集積をはかるたる、H4年までの年2回から年4回に変更した(H6年から)。
  3.   3 カドミウム、総水銀、アルキル水銀、PCBについて、長く検出例がないこと、発生源に変化がないことから、調査の頻度を減らした地点がある。
        ただし、総水銀は汚濁源となる特定事業場や自然的原因による汚染があり、過去に検出された地点もある。したがって、特定事業場・自然的原因による汚濁源の下流については調査頻度を増やして監視を強化している。
        カドミウムについても過去に環境基準を超過した地点があり、これらの地点では監視を強化している。
  4.   4 新規項目である有機塩素系化合物及びベンゼン:使用実態及びトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1―トリクロロエタンの調査結果から選定した。
  5.   5 新規項目である農薬、セレンは、水田等で面的に広く使用されることから、旧健康項目の測定地点と同じ地点で測定することにした。

 ○要監視項目の調査地点・頻度選定の考え方

  1.   1 農薬:農薬使用量が多く、広く使われていることから、H6年より測定を行っている。
        水道の利水状況等を考慮し、大きな流域面積をもつ河川の環境基準点及びその支川最下流の環境基準点等で測定を行うこととした(H6年)。H8年に使用実態、検出状況などから見直しを行い、H8~10年はフェニトロチオン、オキシン銅、ENP、ジクロルボス、CNPのみ測定を行っている。オキシン銅については使用地域を考慮し、H10年に調査地点を減らしている。
  2.   2 硝酸性及び亜硝酸性窒素:河川では農薬と同じ地点で測定。
  3.   3 ふっ素:事業場の位置等を考慮した地点でH6年より測定している。H9年に事業場の位置や利水状況から調査地点を増やしている。
  4.   4 アンチモン及びニッケル:事業場の位置等を考慮し、H7年より測定している。H9年、H10年に利水状況等を考慮し調査地点を増やしている。
  5.   5 フタル酸ジエキチルヘキシル
  6.   6 ほう素
  7.   7 モリブデン
  8.   8 有機塩素化合物、トルエン及びキシレン
      :5、6、7、8は事業場での使用実態を考慮した地点でH9年から測定を行っている(H9年の変更で全ての要監視項目についてひととおり測定を行ったことになる)。
  9.    今後の予定としては、全ての要監視項目について3年以上の測定を行い、ひととおり知見が集積してから、改めて要監視項目の測定について検討する。
 ~B県~

 ○生活環境項目の調査地点・頻度選定の考え方
  大腸菌群数は、検出状況より調査頻度を減らした。

 ○健康項目の調査地点・調査頻度選定の考え方
  健康項目は、原則として環境基準地点で年4回の測定を実施している。

  1.   1 海域の調査地点については、以下の理由により調査頻度を減らしている。
    1.    (1) 当該海域のA類型は、比較的陸域から遠い湾央部にあること。
                (C類型は比較的沿岸部を指す。)
    2.    (2) 当該海域の健康項目については過去5年間検出していないこと。
    3.    (3) 当該海域に関わる陸域からの影響について、河川下流部の地点で把握が可能なこと。

    類型
    ローリング調査の方法
    A類型
    3地点について年1地点ずつ、3年でローリング
    C類型
    2地点について年1地点ずつ、2年でローリング
  2.   2 陸域の調査地点については、以下の理由により一部の調査地点で調査頻度を減らしている。
    1.    (1) アルキル水銀、PCBについては過去約10年間検出していないため調査頻度を減らしている。
    2.    (2) 山間地域の水源水域については汚濁源が周囲にないため、調査頻度を減らしている。
  3.   3 窯業地域については、以下の理由により重点的にモニタリングを実施している。
        県内に窯業地域があり、特定事業場以外の小工場で鉛などを含む釉薬を使用している。したがって、この地域について重金属を重点的にモニタリングしている。

 ○要監視項目の調査地点・頻度選定の考え方
  原則として全国的に検出頻度や検出濃度が高い項目について、使用・取り扱い状況、過去の検出状況等を考慮して河川・湖沼の主要地点で実施している。

  1.   1 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については富栄養化対策の推進のため調査頻度を増やしている。また、汚濁源となる事業所が上流にある地点でも調査頻度を増やしている。
  2.   2 ふっ素については過去指針値を超過した地点において調査頻度を増やしている。また、汚濁源となる事業所が上流にある地点でも調査頻度を増やしている。
 ~C県~

 ○健康項目の調査地点・調査頻度選定の考え方
  C県には、A川水系、B川水系、C川水系の3大水系があり、1ケ月ごとのローテーションでこの水系ごとにサンプリングを行っている。
  以下の表に示すように調査時期を設定して実施することとしている。

項目
水系名
A川水系
B川水系
C川水系
健康項目A
10年7、11月
11年3月
10年6、10月
11年2月
10年5、9月
11年1月
アルキル水銀、PCB
10年12月
10年8月
10年4月
健康項目B
10年10月、11年3月
10年9月、11年2月
10年8月、11年1月
チウラム他3項目
10年7、11月
10年6、10月
10年5、9月

 ※健康項目A:カドミウム、全シアン、鉛、六価クロム、ひ素、総水銀
  健康項目B:ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2―クロロエタン、1,1―ジクロロエチレン、シス―1,2―ジクロロエチレン、1,1,1―トリクロロエタン、1,1,2―トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3―ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン

第2部 地下水におけるモニタリングについて

 第1章 指針策定にあたって

  第1節 背景

    地下水質の常時監視については、平成元年の水質汚濁防止法の改正により、都道府県知事が測定計画を策定し、関係機関が測定を実施することとなり、平成元年9月14日付け環水管第189号水質保全局長通知で地下水の水質調査方法(以下「地下水質調査方法」という。)が示された。
    地下水質の測定項目については、同通知は11の有害物質を挙げたが、その後、平成5年3月には13の有害物質が追加されるとともに、要監視項目として25物質が設定された。平成9年3月には、23の有害物質が地下水の環境基準項目として設定された。さらに、今後、要監視項目から環境基準項目への移行に伴い、測定項目が増加していくと見込まれる。
    一方、都道府県に対してモニタリング体制についてアンケート調査を実施した結果、調査地点の選定等調査方法が様々であること、及びこれまでの約10年間に多くの知見や課題が蓄積されていることが判明した。また、測定項目の増加は地方自治体にとって人員及び予算面の制約から調査方法の効率化を図らなければならないことを意味する。
    このような状況を踏まえ、現行の「地下水質調査方法」に準拠し、より的確かつ効率的にモニタリングを行う方法について検討を行ったものである。

  第2節 指針の目的及び位置づけ

    本指針は、地下水中における有害物質の存在実態をより的確にモニタリングする一方、限られた人員及び予算の中で地方自治体がより効率的にモニタリングするために、現行の「地下水質調査方法」を踏まえつつ、調査地点の選定、調査項目の選定等について具体的な方法を示すことによって、各自治体がモニタリングの的確化及び効率化を図るための誘導的な役割を果たすことを目的とするものである。

 第2章 モニタリングの基本的な考え方

   地下水質の調査は、「地下水質調査方法」に準拠することとされている。「地下水質調査方法」では、調査地域の全体的な地下水質の概況を把握するための①「概況調査」、並びに汚染が発見された場合に対処するための②「汚染井戸周辺地区調査」及び③「定期モニタリング調査」の3種類の調査を定めている。それぞれの調査の目的は、次のとおりである。

  (1) 概況調査

    地域の全体的な地下水質の概況を把握するために実施する地下水の水質調査であり、地域の実情に応じ、年次計画を立てて、計画的に実施することとされているが、地下水汚染を発見することも調査の目的の1つとなっている。
    なお、本調査の一環として、地下水の流向、流速等を把握したうえで地域における特定の代表的な地点において長期的な観点から水質の経年的変化を把握することにも配慮することが望ましい。

  (2) 汚染井戸周辺地区調査

    概況調査等により新たに発見された汚染について、その汚染範囲を確認するために実施する地下水の水質調査である。

  (3) 定期モニタリング調査

    汚染井戸周辺地区調査により確認された汚染の継続的な監視等、経年的なモニタリングとして定期的に実施する地下水の水質調査である。
   以上の3種類の調査の目的を的確かつ効率的に達成するために、「地下水質調査方法」に示されている調査地点、調査項目、調査頻度等に係る留意事項を補足するとともに、その基本的な考え方を示す。

  第1節 調査地点について

    「地下水質調査方法」では、「各調査ごとに、次に掲げる事項に留意して調査地点を選定することとする。なお、鉛直方向の汚染の広がりにも留意すること。」と記しており、調査の種類毎に調査地点の選定方法を示しているが、モニタリングの的確化及び効率化の観点から以上の事項についても配慮することが求められる。

   (1) 概況調査

     「地下水質調査方法」では、次の留意事項を示している。

  1.     ① 調査全体として、地域全体の地下水の水質の概況を把握できるようにする。
  2.     ② 工場・事業場等の立地の状況、地下水の利用の状況等を勘案し、汚染の可能性が高い地域及び汚染による利水影響が大きいと考えられる地域を重点的に調査する。
  3.     ③ 汚染された場合、多数の人の健康に影響を与える可能性が高い井戸を優先的に選定する。
  4.     ④ 工場・事業場等の立地の状況等から汚染の可能性が高い井戸を優先的に選定する。

     上記の留意事項を踏まえつつ、具体的に調査地点を選定する際には、次の事項にも配慮されたい。

  1. ア 地域全体の地下水質の概況を効率的に把握するためには、地下水の流動や地質構造等を把握したうえで、地域全体が把握できる地点を配置することが望ましい。しかし、一般的にこのような地点を設定することは難しいので、地下水汚染を発見するという観点からは、平野部では人口密度や工場・事業場等の立地状況を勘案した上でメッシュ等で区切り、調査地点が偏在しないよう調査区域を選定することが望ましい。
  2. イ 選定された調査区域の中で調査地点を選ぶ場合は、過去に有害物質を使用した工場・事業場の立地状況について勘案する必要がある。
  3. ウ 数年間で地域全体を調査する場合には、メッシュ等により分割した調査区域の中から毎年調査区域を選定して順次調査し、数年後に再び同一調査区域を調査するローリング方式が望ましい。
  4. エ 一般的には地下水の流動は比較的遅く、水質の変化は速くない一方で、項目によっては汚染の広がりが狭いことから、同一調査区域内で再び調査する際には汚染の発見の効果を上げるため、できるだけ新たな調査地点を選定することが望ましい。
   (2) 汚染井戸周辺地区調査

     「地下水質調査方法」では、次の留意事項を示している。

  1.     ① 汚染が想定される範囲全体が含まれるように調査範囲を設定する。
  2.     ② 地下水の流向がわかっている場合には、その方向に帯状に調査する。
  3.     ③ 飲用に供されている井戸はできるだけ調査する。
  4.     ④ 調査範囲が広く、対象となる井戸が多い場合は、区域を分け順次調査を行う。
  5.     ⑤ 既存の井戸を調査するのが基本であるが、大きな空白地区が生ずる場合は、観測井を設置することも考慮する。

     上記の留意事項を踏まえつつ、具体的に調査地点を選定する際には、次の事項にも配慮されたい。

  1. ア 汚染井戸周辺地区調査は、概況調査等で地下水質の濃度が環境基準を超えた場合だけでなく、環境基準を下回っていても近傍に汚染源が存在するおそれがある場合にも実施することとする。
  2. イ 調査範囲については、汚染の程度や地下水の流動、帯水層等を勘案する他、他の機関や部局で行った地下水質調査の結果も勘案して、まず汚染井戸を中心に調査範囲を設定し、段階的に拡大していくことが望ましい。
  3. ウ 複数の帯水層が汚染されている場合には、汚染範囲は帯水層毎に異なることから、帯水層毎に汚染範囲を把握することが望ましい。
   (3) 定期モニタリング調査

     「地下水質調査方法」では、次の留意事項を示している。

  1.     ① 工場・事業場等の立地の状況、地下水の利用の状況等を勘案し、地域の地下水の水質の経年的変化を把握するうえで、代表的な地点を選定する。なお、汚染地区の定期モニタリングに当たっては、汚染源近傍地点及び下流側の未汚染地点を含むことが望ましい。
  2.     ② より効果的な監視を行うために、必要に応じて観測井を設置することも考慮する。

     上記の留意事項を踏まえつつ、具体的に調査地点を選定する際には、次の事項にも配慮されたい。

  1. ア 地下水の揚水量が大きく変化した場合には、地下水の流向が変化することがあるので、高濃度地点と下流側の未汚染地点の他に、横方向にも調査地点を選定することが望ましい。
  2. イ 地下水の揚水量の変化や地震等によって、地下水の流向が変化したおそれのある場合には、改めた調査範囲を設定し、再度調査することが望ましい。

  第2節 調査項目について

    「地下水質調査方法」では、「水質調査は、地下水の水質汚濁に係る環境基準についての別表の項目の欄に掲げる項目について実施することとするが、汚染の可能性が極めて低いと考えられる場合には、適宜対象物質を減ずることができるものとする。水質調査の際には、調査井戸の諸元についてもできるだけ把握することとする。また、その他地下水の特性把握に必要な項目については適宜実施することとする。」としている。
     上記のような総括的な留意事項を踏まえつつ、具体的に調査項目を選定する際には、モニタリングの的確化及び効率化の観点から以下の事項にも配慮することが求められる。

   (1) 概況調査
  1. ア 同一調査区域内で、工場・事業場の立地状況や農薬の使用状況等からみて、汚染の可能性の低い項目が数回以上連続して検出されない場合は、その項目については調査対象から除外してもよい。しかし、砒素、鉛等の重金属について除外する場合は、自然的原因により汚染されていることがあるので、地質等を十分検討した上で除外することとする。
   (2) 汚染井戸周辺地区調査
  1. ア 分解性を有する項目については、概況調査で検出された項目の他に、前駆物質及び分解生成物質で環境基準項目になっている項目についても調査することとする。
   (3) 定期モニタリング調査
  1. ア 汚染井戸周辺地区調査で、環境基準を超えた物質の分解生成物質が環境基準項目になっている場合には、その物質についても調査することとする。

  第3節 調査頻度について

    「地下水質調査方法」では、調査の種類毎に調査頻度の設定について示しているが、モニタリングの的確化及び効率化の観点から以下の事項についても配慮することが求められる。

   (1) 概況調査

     「地下水質調査方法」では、次の留意事項を示している。

  1.     ① 年次計画を立てて実施する場合は、当該年度の対象井戸については、年1回以上実施することとする。なお、季節的な変動を考慮することが望ましい。
  2.     ② 地下水の流動や汚染物質の使用状況を考慮して、数年後に再度調査を行うことが望ましい。

     上記の留意事項を踏まえつつ、具体的に調査頻度を設定する際には、次の事項にも配慮されたい。

  1. ア 地下水の流動や地下水位が大きく変化しない地域においては、一般的に地下水質の変動はあまり大きくないことから、年1回程度でよいと考えられる。しかし、水質が季節変動する場合には、年間平均的な状況の把握が必要であり、特に浅層の不圧地下水は、地下水位が大きく変動し、それに伴って水質も変化する可能性があることから、年間に2ないし4回調査し、年間平均的な地下水質の状況を把握することが望ましい。
   (2) 汚染井戸周辺地区調査

     「地下水質調査方法」では、次の留意事項を示している。

  1.     ① 汚染発見後、できるだけ早急に実施することとする。一地区の調査は、降雨等の影響を避け、できるだけ短期間に行うことが望ましい。

     上記の留意事項を踏まえつつ、具体的に調査頻度を設定する際には、次の事項にも配慮されたい。

  1. ア 汚染物質の存在する場所にもよるが、地下水位の変動によって濃度及び汚染範囲が大きく変動することもあるので、地下水位が大きく変動する地域においては、高水位時及び低水位時に調査することが望ましい。
   (3) 定期モニタリング調査

     「地下水質調査方法」では、次の留意事項を示している。

  1.     ① 対象井戸について、年1回以上実施することとし、調査時期は毎年同じ時期に設定することとする。なお、季節的な変動を考慮することが望ましい。

      上記の留意事項を踏まえつつ、具体的に調査頻度を設定する際には、次の事項にも配慮されたい。

  1. ア 汚染の経過を把握するには、年1回程度で十分であるが、季節変動等がある場合には高濃度時となる時期に調査する。ただし、濃度が低下し、調査の終了を判定する段階には、季節変動等が十分把握できる頻度で調査を行う必要がある。
  2. イ 汚染源における浄化対策の実施等により、定期モニタリング調査を終了する場合は、調査地点で環境基準以下となったとき、汚染範囲内で再度地下水質調査を行い、一定期間環境基準以下であることを確認すること。

  第4節 分析方法について

    「地下水質調査方法」では、環境基準項目については、平成9年3月13日付け環境庁告示第10号「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」の別表の測定方法の欄に掲げる方法によるとし、その他の項目については、日本工業規格、上水試験方法、下水試験方法等科学的に確立された分析方法によるとしている。
    上記の事項を踏まえつつ、モニタリングの的確化及び効率化の観点から次の事項にも配慮されたい。

  1. ア 近年、測定機器の自動化が進んでいることから、積極的に自動化を図ることが望ましい。
  2. イ 分析を外部に委託する場合は、公的計量機関又は計量法に基づく計量証明事業所に委託するとともに、適宜、クロスチェックを行い、精度管理に努めること。

  第5節 その他

   (1) 自然的原因による汚染について

     自然的原因については、「地下水の水質汚濁に係る環境基準の取り扱いについて」(平成9年3月環水管第80号水質保全局長通知)に、鉱床地帯等において岩石、土壌等からの溶出等の自然的要因による場合をいうものとするとしているが、さらに、自然的原因による汚染の取り扱いについては、次の事項に配慮されたい。

  1. ア 鉛や砒素等は、地質による自然的原因による可能性があるが、自然的原因かどうかの判断は、次の事項を確認した上で行うこととする。なお、専門家の助言を得て、総合的に判断することが望ましい。
    •  ・人為的に作り出された化合物ではないこと
    •  ・周辺の金属鉱床等に含まれる元素又は化合物に該当し、かつ調査地点における汚染物質に因果関係が認められること
    •  ・調査地点周辺において汚染物質の使用履歴や不法投棄等が見当たらないこと
  2. イ 汚染井戸周辺地区調査を行う際の調査範囲は、鉱床等の地質状況や地下水流動等を考慮して設定すること。
  3. ウ 自然的原因による汚染の場合には、その汚染範囲を確定し、関係部局と連携のうえ、地域住民への飲用指導等により人の健康保護を確保した上で、汚染の状況を把握できる地点で定期モニタリングを実施すること。なお、地震等により地下水流動等に変化があった場合には、汚染範囲の確認のための調査を実施すること。
   (2) 要監視項目について

     要監視項目は、人への健康影響が認められている物質であるが、環境中の分布状況がまだ十分に把握されていない物質で、生産・使用状況、水道水質基準の設定状況、公共用水域等における検出状況を勘案して選定された項目であり、環境基準健康項目への移行について検討を行うために、環境中の詳細な分布を把握することを目的としてモニタリングが行われる。
     したがって、要監視項目については、地域の実情に応じ、必要と考えられる項目について、汚濁源の状況、利水状況、水域の代表地点等を勘案し、環境基準健康項目の主要な調査地点等で併せて調査を実施することが望ましい。

 第3章 効率化促進のための具体的な方法

   第2章において、「地下水質調査方法」に準拠しながら、地下水質のモニタリングについて配慮すべき事項及びその基本的な考え方を示したが、その基本的な考え方を踏まえつつ、地下水質のモニタリングの効率化を図るための具体的な方法を以下に示す。

  第1節 調査地点について

   (1) 概況調査
  1. ア 調査地域を区分するために、メッシュ方式を採用する場合は、メッシュの間隔は地域の特性などを考慮する必要があるが、市街地で1~2km、その周辺地域で4~5kmを目安とする。
  2. イ 山間部等の地域では、土地利用、地下水利用、地下水流動、水文地質の状況等を把握し、代表となる場所を調査地点とする。
  3. ウ ローリング方式を採用する場合は、3~5年で一巡することを目安とする。
   (2) 汚染井戸周辺地区調査
  1. ア 調査範囲については、地下水の流動が明らかな場合には、その上下流方向に調査範囲を設定する。また、地下水流動が小さい場合や不明確な場合には、まず0.5km程度の範囲を調査し、地下水汚染の方向を確認する。調査範囲全体に汚染が見られる場合は、段階的に範囲を広げて調査する。
  2. イ 汚染帯水層が判明している場合は、汚染帯水層にストレーナーがある井戸を調査対象とする。なお、汚染が下層の帯水層にも移行している場合があるので注意を要する。
   (3) 定期モニタリング調査
  1. ア 汚染濃度があまり変化しない場合に、適宜、調査地点数を減じてもよいが、高濃度地点の調査を継続すること。

  第2節 調査項目について

   (1) 概況調査
  1. ア 同一調査区域内で、汚染の可能性が低い項目について、2ないし3回連続して検出されない場合は、調査項目から除外してもよい。しかし、自然的原因の可能性のある項目を除外する場合は、地質等を十分検討のうえ、除外すること。
  2. イ アルキル水銀は、総水銀が検出された場合のみ測定することにしてもよい。

  第3節 調査頻度について

   (1) 概況調査
  1. ア 同一調査区域において、他の調査等により濃度があまり変動しないことが判明している場合には、年1回程度の測定としてもよい。
   (2) 定期モニタリング調査
  1. ア 濃度の変化が少ない場合には、段階的に調査間隔を延長してもよい。
  2. イ 定期モニタリング調査を終了する場合は、調査地点で2ないし3年間連続して、環境基準以下となり、その上で汚染範囲内すべての地点が年間平均で環境基準以下になっていることを確認した上で、終了してよい。

  第4節 分析方法について

  1. ア ガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフ―質量分析計、液体クロマトグラフ、原子吸光光度計等の分析機器にオートサンプラーを接続し、分析作業の省力化を図ること。
  2. イ 分析方法の効率化については、総水銀とアルキル水銀の定量下限値は、同じ値(0.0005mg/1)であるため、総水銀が検出された場合のみアルキル水銀を分析することでアルキル水銀のスクリーニングを行うこと。
  3. ウ 多成分同時分析の採用等により分析の効率化及び迅速化を図ること。
  4. エ 公定法でない高精度の自動分析計については、スクリーニングに用いて効率化を図ってもよい。

  第5節 その他

  1. ア 汚染井戸周辺地区調査や資料等調査によって自然的原因による汚染であると判明した場合の定期モニタリング調査については、飲用指導等により人の健康保護が図られている時は、調査間隔を適宜延長してもよい。