法令・告示・通達
水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の測定方法及び要監視項目の測定方法について
環水規121号
[改定]
平成5年10月5日 環水規271号
平成11年3月12日 環水管69号
(水質規制課長通知)
環水企第 八九号
環水規第 七九号
水質汚濁に係る環境基準についての一部を改正する件(平成五年三月環境庁告示第一六号)の施行については、「水質汚濁に係る環境基準についての一部改正について」(平成五年三月八日付け環水管第二〇号環境事務次官通達)及び「水質汚濁に係る環境基準についての一部を改正する件の施行等について」(平成五年三月八日付け環水管第二一号水質保全局長通達。以下「局長通達」という。)により通達したところであるが、局長通達五及び六において別途通知することとされている事項については、左記によることとされたい。
記
一 水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の測定方法において留意すべき事項について
- (一) フレーム原子吸光法、電気加熱原子吸光法及びICP発光分析法を、カドミウム、鉛及び六価クロムについて適用することとした。
フレーム原子吸光法で、低濃度のカドミウム及び六価クロムを測定する場合は、溶媒抽出等により濃縮して、また、鉛は日本工業規格K〇一〇二(以下「規格」という。)五四・二の備考五又は備考六により準備操作を行い、溶媒の直接噴霧法を用いること等により測定するものとする。
ICP発光分析法で、低濃度のカドミウム又は鉛を測定する場合は、キシレンで抽出し、そのキシレン層を噴霧して定量する等の方法を用いる(抽出後は速やかに測定する。)。低濃度の六価クロムを定量する場合は、クロム(Ⅲ)を硫酸アンモニウム鉄(Ⅲ)溶液により共沈し(規格六五の備考一二(二))、酢酸ブチルで抽出し(規格六五の備考五)、その酢酸ブチル層を噴霧して定量する等の方法を用いる。内標準法を用いる場合は、同時測定だけでなく、逐次測定で行う内標準法を用いても良い。また、超音波ネブライザーを用いてもよい。
測定方法のうち試験操作等が煩雑であり使用頻度が低いこと等の理由から、アルキル水銀の測定方法については薄層クロマトグラフ分離原子吸光法を、また、砒素の測定方法についてはジエチルジチオカルバミド酸銀吸光光度法を廃止した。 - (二) パージ・トラップ・ガスクロマトグラフ質量分析法、ヘッドスペース・ガスクロマトグラフ質量分析法、パージ・トラップ・ガスクロマトグラフ法等を、有機塩素系化合物等の揮発性有機化合物に適用することとしたが、これらは今回新たに測定方法として採用した方法であり、その実施に当たっては講習会への参加等により測定技術の習得に努めるものとする。また、これらの物質は揮発性が極めて高いので、操作中の揮散に十分留意するとともに、室内汚染、器具汚染、水の汚染等に留意すること。
二 要監視項目の測定方法について
局長通達六に定める要監視項目の測定方法に当たっては、別表の項目の欄に掲げる項目ごとに、同表の右欄に定める測定方法又はこれと同程度の精度を有する方法を用いるものとする。
別表
項目
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測定方法
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---|---|
クロロホルム
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日本工業規格K0125の5.1、5.2又は5.3.1に定める方法
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トランス―1,2―ジクロロエチレン
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日本工業規格K0125の5.1、5.2又は5.3.1に定める方法
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1,2―ジクロロプロパン
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日本工業規格K0125の5.1、5.2又は5.3.1に定める方法
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P―ジクロロベンゼン
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日本工業規格K0125の5.1、5.2又は5.3.1に定める方法
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イソキサチオン
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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ダイアジノン
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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フェニトロチオン
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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イソプロチオラン
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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オキシン銅
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付表2に掲げる方法
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クロロタロニル
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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プロピザミド
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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EPN
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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ジクロルボス
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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フェノブカルブ
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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イプロベンホス
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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クロルニトロフェン
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付表1の第1又は第2に掲げる方法
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トルエン
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日本工業規格K0125の5.1、5.2又は5.3.2に定める方法
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キシレン
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日本工業規格K0125の5.1、5.2又は5.3.2に定める方法
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フタル酸ジエチルヘキシル
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付表3の第1又は第2に掲げる方法
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ニッケル
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規格59.3に定める方法又は付表4若しくは付表5に掲げる方法
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モリブデン
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規格68.2に定める方法又は付表4若しくは付表5に掲げる方法
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アンチモン
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規格62.2に定める方法又は付表6に掲げる方法
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付表1
ジクロルボス、フェノブカルブ、プロピザミド、ダイアジノン、クロロタロニル、イプロベンホス、フェニトロチオン、イソプロチオラン、イソキサチオン、クロルニトロフェン及びEPNの測定方法
第1 溶媒抽出又は固相抽出によるガスクロマトグラフ質量分析法
1 試薬
- (1) 水
規格2の(11)の(a)に定めるもの - (2) ヘキサン
日本工業規格K8848に定めるもの - (3) アセトン
日本工業規格K8034に定めるもの - (4) ジクロロメタン
日本工業規格K8161に定めるもの - (5) エチルエーテル
日本工業規格K8103に定めるもの - (6) 硫酸ナトリウム(無水)
日本工業規格K8987に定めるもの - (7) 塩化ナトリウム
日本工業規格K8150に定める塩化ナトリウムを250~450℃で2~6時間加熱し、デシケーター中で放冷したもの - (8) ジクロルボス〔DDVP〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、これにジクロルボス標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (9) ジクロルボス標準液(0.05mg/ml)
ジクロルボス標準原液5mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (10) フェノブカルブ〔BPMC〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、これにフェノブカルブ標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (11) フェノブカルブ標準液(0.05mg/ml)
フェノブカルブ標準原液5mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (12) プロピザミド標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、プロピザミド標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (13) ダイアジノン標準原液(1mg/ml)
ダイアジノン標準品0.1gを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (14) クロロタロニル〔TPN〕標準原液(0.5mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、これにクロロタロニル標準品0.05gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (15) クロロタロニル標準液(0.05mg/ml)
クロロタロニル標準原液10mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (16) イプロベンホス〔IBP〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにイプロベンホス標準品0.1gを採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (17) イプロベンホス標準液(0.05mg/ml)
イプロベンホス標準原液5mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (18) フェニトロチオン〔MEP〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにフェニトロチオン標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (19) イソプロチオラン標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにイソプロチオラン標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (20) イソキサチオン標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、これにイソキサチオン標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (21) クロルニトロフェン〔CNP〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約5mlを採り、これにクロルニトロフェン標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (22) EPN標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにEPN標準品0.1gを採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (23) 混合標準原液(ジクロルボス0.5μg/ml、フェノブカルブ1.5μg/ml、プロピザミド5μg/ml、ダイアジノン5μg/ml、クロロタロニル2.5μg/ml、イプロベンホス2.5μg/ml、フェニトロチオン10μg/ml、イソプロチオラン10μg/ml、イソキサチオン15μg/ml、クロルニトロフェン25μg/ml、EPN20μg/ml)
全量フラスコ100mlにジクロルボス標準液1ml、フェノブカルブ標準液3ml、プロピザミド標準原液0.5ml、ダイアジノン標準原液0.5ml、クロロタロニル標準液5ml、イプロベンホス標準液5ml、フェニトロチオン標準原液1ml、イソプロチオラン標準原液1ml、イソキサチオン標準原液1.5ml、クロルニトロフェン標準原液2.5ml、EPN標準原液2mlを採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(同様にアセトンを標線まで加えたものも作る。) - (24) 35vol%ジエチルエーテル含有ヘキサン溶離液
(5)のジエチルエーテルと(2)のヘキサンを体積比35:65で混合する。
2 器具及び装置
(1) 分液漏斗
容量2lのものであって、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
(2) 試験管
容量10~20mlのものであって、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
(3) 三角フラスコ(共栓)
容量500mlのものであって、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
(4) マイクロシリンジ
容量1~10μlのもの
(5) 固相カラム
スチレンジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン系ゲル)又はこれと同等の性能を有するもの200~1,000mgを充てんしたものに、アセトン5ml及び水5mlを順次緩やかに通し、調製したもの
(6) クロマトグラフ管
- (a) カラム用管
内径10mm、長さ300mmのコック付ガラス管 - (b) カラム充てん剤
(ア) フロリジル
粒径80~150μmのものを130℃で16時間加熱した後、デシケーター中で約1時間放冷したものであって、分析対象農薬の保持時間にピークを生じないもの
(イ) シリカゲル
残留農薬試験用で粒径150~250μmのものを130℃で16時間加熱した後、約1時間デシケーター中で放冷したものであって、分析対象農薬の保持時間にピークを生じないもの - (c) クロマトグラフ管
カラム充てん剤8gをヘキサンでかゆ状にしてカラム用管に流し込み、更にカラム用管に縦横の振動を与え、カラム充てん剤を均一に充てんし、上層に硫酸ナトリウム(無水)5gを積層したもの
(7) ガスクロマトグラフ質量分析計
- (a) キャピラリーカラム
内径0.2~約0.7mm、長さ10~30mの溶融シリカ若しくは硬質ガラス製のものであって、内面にジメチルポリシロキサンを0.1~1.0μmの厚さで被覆したもの又はこれと同等の分離性能を有するもの - (b) 検出器
電子衝撃イオン化法(EI法)が可能で、選択イオン検出法又はこれと同等の性能を有する方法でクロマトグラム測定が可能なもの - (c) キャリヤーガス
ヘリウム(99.9999vol%以上)であって、線速度を毎秒20~40cmとしたもの - (d) インターフェース部
温度を200~270℃に保つことができるもの - (e) イオン源
温度を150℃に保つことができるもの - (f) カラム槽昇温プログラム
溶媒がヘキサンの場合は、50~60℃で2分保ち、50(60)~約260℃の範囲で毎分2~20℃の昇温を行うことができるもの、溶媒がアセトンの場合は、40~50℃で2分保ち、40(50)~約208℃の範囲で毎分2~20℃の昇温を行うことができるもの - (g) 試料導入部
温度をスプリットレス方式の場合は200~270℃、コールドオンカラム方式の場合は50~100℃に保つことができるもの
(8) 振とう機
(9) 濃縮器
クデルナダニッシュ濃縮器又はロータリーエバポレーターであって、濃縮時における試料溶媒に接触する部分のガラス器具類をあらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
3 試験操作
(1) 前処理
(a) 溶媒抽出
- (ア) 試料1lを分液漏斗に採り、塩化ナトリウム50g及びジクロロメタン100mlを加え、振とう機を用いて約10分間振とうする。
- (イ) 放置後、ジクロロメタン層を三角フラスコ500mlに移す。分液漏斗の水層にジクロロメタン100mlを加え、再び振とう機を用いて約10分間振とうし、放置後、ジクロロメタン層を先の三角フラスコに合わせる。
- (ウ) ジクロロメタン層に硫酸ナトリウム(無水)約30gを用いて脱水した後、濃縮器を用いて約7mlに濃縮する。
- (エ) 濃縮液にヘキサン約50mlを加え、濃縮器を用いて、5mlに定容する。
- (オ) 空試験として水1lを分液漏斗に採り、(ア)から(エ)までの操作を行う。
(b) 固相抽出(注)
- (ア) 試料200mlを固相カラムに毎分10~20mlで流下させる。
- (イ) 水10mlを流し、カラムを洗浄した後、約10分間吸引又は遠心分離等で水分を分離除去する。
- (ウ) 固相カラムの上端からアセトン3mlを緩やかに通し、分析対象農薬を溶出させ、試験管に受ける。
- (エ) 溶出液に窒素ガスを緩やかに吹き付けて2mlに定容する。
- (オ) 次のカラムクロマトグラフ法によるクリーンアップ操作が必要な時には、(エ)の濃縮液2mlにヘキサン約50mlを加え、濃縮器を用いて、溶液を約7mlになるまで濃縮する。
- (カ) 濃縮液に窒素ガスを緩やかに吹き付けて2mlに定容する。
- (キ) 空試験として、水200mlを用いて、(ア)から(カ)まで(クリーンアップ操作省略の時には(ア)から(エ)まで)の操作を行う。
(2) クリーンアップ
妨害物質がない時は、次のクリーンアップ操作を省略して(3)の操作に移る。カラムクロマトの選択は妨害物質の内容から決める。但し、ジクロルボスはフロリジルから溶出しないので、フロリジルカラムクロマトグラフ法を使用できない。なお、充てん剤の粒径、活性化時間、活性化温度、ロット等により分析対象農薬の流出範囲が変わるので、流出範囲を確認するものとする。
(a) フロリジルカラムクロマトグラフ法
- (ア) 溶媒抽出では(1)の(a)の(エ)のヘキサン濃縮液1mlを、固相抽出では(1)の(b)の(カ)のヘキサン転溶液1mlをフロリジルクロマトグラフ管に注ぎ流下させる。
- (イ) ヘキサン溶離液100mlを流下させ、ヘキサン溶出液を捨てる。引き続き、35vol%ジエチルエーテル含有ヘキサン溶離液100mlを毎分約1mlで流下させ、フェノブカルブ、プロピザミド、ダイアジノン、クロロタロニル、フェニトロチオン、イソキサチオン、クロルニトロフェン及びEPNを溶出させる。更にアセトン溶離液100mlを毎分約1mlで流下させ、イプロベンホス及びイソプロチオランを溶出させる。
(b) シリカゲルカラムクロマトグラフ法
- (ア) 溶媒抽出では(1)の(a)の(エ)のヘキサン濃縮液1mlを、固相抽出では(1)の(b)の(カ)のヘキサン転溶液1mlをシリカゲルクロマトグラフ管に注ぎ流下させる。
- (イ) ヘキサン溶離液80mlを流下させ、ヘキサン溶出液を捨てる。引き続き、35vol%ジエチルエーテル含有ヘキサン溶離液100mlを毎分約1mlで流下させ、フェノブカルブ、プロピザミド、ダイアジノン、クロロタロニル、フェニトロチオン、イソキサチオン、クロルニトロフェン及びEPNを溶出させる。更にアセトン溶離液100mlを毎分約1mlで流下させ、ジクロルボス、イプロベンホス及びイソプロチオランを溶出させる。
(c) 濃縮器を用いて、約40℃の水浴上で(a)及び(b)の35vol%ジエチルエーテル含有ヘキサン溶出液並びに(b)のアセトン溶出液をそれぞれ約10mlになるまで濃縮し、更にそれぞれにヘキサン約100mlを加えた後、濃縮器及び窒素ガスを用いて1mlに定容する。
(d) 空試験として、(1)の(a)の(オ)及び(1)の(b)の(キ)で得たヘキサン濃縮液についても、(a)から(c)までの操作を行う。
(3) 分析
- (a) 混合標準原液1μlをマイクロシリンジを用いて採り、スプリットレス又はコールドオンカラム方式でガスクロマトグラフに注入し、選択イオン検出法又はこれと同等の性能を有する方法を用いて、表に示す特有の質量数をモニターする。クロマトグラムを記録し、分析対象農薬の保持時間に相当するピークの位置を確認しておく。
- (b) (2)の(c)で得たヘキサン濃縮液(クリーンアップ操作省略の時には、溶媒抽出では(1)の(a)の(エ)で得たヘキサン濃縮液、固相抽出では(1)の(b)の(エ)で得たアセトン濃縮液)1μlを(a)と同じ操作を行って、クロマトグラムを記録し、保持時間が標準物質と一致していることを確認し、保持時間に相当する位置のピークについて、ピーク面積又はピーク高さを測定する。
- (c)あらかじめ4により作成した検量線を用いて分析対象農薬の量を求め、試料中の濃度を算出する。
- (d) 空試験として、(2)の(d)で得たヘキサン濃縮液(クリーンアップ操作省略の時には、溶媒抽出では(1)の(a)の(オ)で得たヘキサン濃縮液、固相抽出では(1)の(b)の(キ)で得たアセトン濃縮液)についても(b)の操作を行って、分析対象農薬の保持時間に相当するピークが検出され、そのピーク面積又はピーク高さが定量限界値の0.20以上である場合には、前処理から再度操作を行う。
- (注) 浮遊物が多いときはあらかじめろ過する。浮遊物はアセトンで洗い、この洗液を固相カラムの溶出液に合わせる。
4 検量線の作成
- (1) 混合標準原液0.5~20mlを全量フラスコ100mlに段階的に採り、それぞれ分析に用する溶媒を標線まで加える。この混合標準液1μlをガスクロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録し、分析対象農薬の量とピーク面積又はピーク高さとの関係線を作成する。
- (2) 検量線の作成は試料測定時に行う。
化合物名
|
測定質量数
|
---|---|
ジクロルボス
|
109、185*、79、145*、220
|
フェノブカルブ
|
121、150、91、77、103
|
プロピザミド
|
173*、145*、109、255*
|
ダイアジノン
|
137、179、152、304、199
|
クロロタロニル
|
264*
|
イプロベンホス
|
91、204、246、288、123
|
フェニトロチオン
|
125、277、109、260、79
|
イソプロチオラン
|
118、162、189、204、290
|
イソキサチオン
|
105、177、77、313、130
|
クロルニトロフェン
|
317*、287*、236*、173
|
EPN
|
157、169、185、141、323
|
- (注1) *の元素は塩素による同体の質量数がある。
- (注2) 実試料で妨害する質量数は避ける。
- (注3) 質量数100以下の使用はなるべく避ける。
第2 溶媒抽出又は固相抽出によるガスクロマトグラフ法
1 試薬
- (1) 水
規格2の(11)の(a)に定めるもの - (2) ヘキサン
日本工業規格K8848に定めるもの - (3) アセトン
日本工業規格K8034に定めるもの - (4) ジクロロメタン
日本工業規格K8161に定めるもの - (5) ジエチルエーテル
日本工業規格K8103に定めるもの - (6) 硫酸ナトリウム(無水)
日本工業規格K8987に定めるもの - (7) 塩化ナトリウム
日本工業規格K8150に定める塩化ナトリウムを250~450℃で2~6時間加熱し、デシケーター中で放冷したもの - (8) ジクロルボス〔DDVP〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、これにジクロルボス標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (9) ジクロルボス標準液(0.05mg/ml)
ジクロルボス標準原液5mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (10) フェノブカルブ〔BPMC〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、これにフェノブカルブ標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (11) プロピザミド標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、プロピザミド標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (12) プロピザミド標準液(0.05mg/ml)
プロピザミド標準原液5mlを全量フラスコに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (13) ダイアジノン標準原液(1mg/ml)
ダイアジノン標準品0.1gを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (14) ダイアジノン標準液(0.05mg/ml)
ダイアジノン標準原液5mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (15) クロロタロニル〔TPN〕標準原液(0.5mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、これにクロロタロニル標準品0.05gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (16) クロロタロニル標準液(0.05mg/ml)
クロロタロニル標準原液10mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (17) イプロベンホス〔IBP〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにイプロベンホス標準品0.1gを採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (18) フェニトロチオン〔MEP〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにフェニトロチオン標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (19) フェニトロチオン標準液(0.05mg/ml)
フェニトロチオン標準原液5mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (20) イソプロチオラン標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにイソプロチオラン標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (21) イソプロチオラン標準液(0.05mg/ml)
イソプロチオラン標準原液5mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (22) イソキサチオン標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約10mlを採り、これにイソキサチオン標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (23) クロルニトロフェン〔CNP〕標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにアセトン約5mlを採り、これにクロルニトロフェン標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (24) クロルニトロフェン標準液(0.05mg/ml)
クロルニトロフェン標準原液5mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (25) EPN標準原液(1mg/ml)
全量フラスコ100mlにEPN標準品0.1gを加え、ヘキサンを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は180日を限度とする。) - (26) EPN標準液(0.05mg/ml)
EPN標準原液5mlを全量フラスコに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。) - (27) 検出器別の混合標準原液
- (a) アルカリ熱イオン化検出器用混合標準原液(ジクロルボス5μg/ml、フェノブカルブ125μg/ml、プロピザミド10μg/ml、ダイアジノン2.5μg/ml、クロロタロニル10μg/ml、イプロベンホス10μg/ml、フェニトロチオン5μg/ml、イソキサチオン25μg/ml、EPN10μg/ml)
全量フラスコ100mlにジクロルボス標準原液0.5ml、フェノブカルブ標準原液12.5ml、プロピザミド標準原液1ml、ダイアジノン標準液5ml、クロロタロニル標準原液2ml、イプロベンホス標準原液1ml、フェニトロチオン標準原液0.5ml、イソキサチオン標準原液2.5ml、EPN標準原液1mlを採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(同様にアセトンを標線まで加えたものも作る。) - (b) 炎光光度検出器用混合標準原液(ジクロルボス8μg/ml、ダイアジノン4μg/ml、イプロベンホス10μg/ml、フェニトロチオン6μg/ml、イソキサチオン10μg/ml、EPN10μg/ml)
全量フラスコ100mlにジクロルボス標準液16ml、ダイアジノン標準液8ml、イプロベンホス標準原液1ml、フェニトロチオン標準液12ml、イソキサチオン標準原液1ml、EPN標準原液1mlを採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(同様にアセトンを標線まで加えたものも作る。) - (c) 電子捕獲型検出器用混合標準原液(ジクロルボス2μg/ml、プロピザミド2μg/ml、ダイアジノン4μg/ml、クロロタロニル0.4μg/ml、フェニトロチオン2μg/ml、イソプロチオラン4μg/ml、イソキサチオン10μg/ml、クロルニトロフェン2μg/ml、EPN4μg/ml)
全量フラスコ100mlにジクロルボス標準液4ml、プロピザミド標準液4ml、ダイアジノン標準液8ml、クロロタロニル標準液0.8ml、フェニトロチオン標準液4ml、イソプロチオラン標準液8ml、イソキサチオン標準原液1ml、クロルニトロフェン標準液4ml、EPN標準液8mlを採り、ヘキサンを標線まで加えたもの(同様にアセトンを標線まで加えたものも作る。)
- (a) アルカリ熱イオン化検出器用混合標準原液(ジクロルボス5μg/ml、フェノブカルブ125μg/ml、プロピザミド10μg/ml、ダイアジノン2.5μg/ml、クロロタロニル10μg/ml、イプロベンホス10μg/ml、フェニトロチオン5μg/ml、イソキサチオン25μg/ml、EPN10μg/ml)
- (28) 35vol%ジエチルエーテル含有ヘキサン溶離液
(5)のジエチルエーテルと(2)のヘキサンを体積比35:65で混合する。
2 器具及び装置
- (1) 分液漏斗
容量2lのものであって、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの - (2) 試験管
容量10~20mlのものであって、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの - (3) 三角フラスコ(共栓)
容量500mlのものであって、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの - (4) マイクロシリンジ
容量1~10μlのもの - (5) 固相カラム
スチレンジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン系ゲル)又はこれと同等の性能を有するもの200~1,000mgを充てんしたものに、アセトン5ml及び水5mlを順次緩やかに通し、調製したもの - (6) クロマトグラフ管
- (a) カラム用管
内径10mm、長さ300mmのコック付ガラス管 - (b) カラム充てん剤
(ア) フロリジル
粒径80~150μmのものを130℃で16時間加熱した後、デシケーター中で約1時間放冷したものであって、分析対象農薬の保持時間にピークを生じないもの
(イ) シリカゲル
残留農薬試験用で粒径150~250μmのものを130℃で16時間加熱した後、約1時間デシケーター中で放冷したものであって、分析対象農薬の保持時間にピークを生じないもの - (c) クロマトグラフ管
カラム充てん剤8gをヘキサンでかゆ状にしてカラム用管に流し込み、更にカラム用管に縦横の振動を与え、カラム充てん剤を均一に充てんし、上層に硫酸ナトリウム(無水)5gを積層したもの
- (a) カラム用管
- (7) ガスクロマトグラフ
- (a) キャピラリーカラム
内径0.2~約0.7mm、長さ10~30mの溶融シリカ若しくは硬質ガラス製のものであって、内面にジメチルポリシロキサンを0.1~1.0μmの厚さで被覆したもの又はこれと同等の分離性能を有するもの - (b) 検出器
(ア) アルカリ熱イオン化検出器
流量が空気で毎分100~180ml及び水素で毎分2~10mlのものであって、検出器槽温度250~280℃のもの
(イ) 炎光光度検出器
流量が空気で毎分80~150ml及び水素で毎分50~100mlのもの、干渉フィルターが525nmであって、検出器槽温度250~280℃のもの
(ウ) 電子捕獲型検出器
検出器槽温度250~340℃のもの - (c) キャリヤーガス
ヘリウム(99.9999vol%以上)又は窒素(日本工業規格K1107の1級)であって、内径約0.2~約0.7mmカラムに対して線速度を毎秒20~40cmとしたもの - (d) メイクアップガス
電子捕獲型検出器では窒素(日本工業規格K1107の1級)、アルカリ熱イオン化検出器及び炎光光度検出器では窒素(日本工業規格K1107の1級)又はヘリウム(99.9999vol%以上)であって、流量を毎分30~60mlとしたもの - (e) 試料導入部
温度をスプリットレス方式の場合は200~270℃、コールドオンカラム方式の場合は50~100℃に保つことができるもの - (f) カラム槽昇温プログラム
溶媒がヘキサンの場合は、50~60℃で2分保ち、50(60)~約260℃の範囲で毎分2~20℃の昇温を行うことができるもの、溶媒がアセトンの場合は、40~50℃で2分保ち、40(50)~約260℃の範囲で毎分2~20℃の昇温を行うことができるもの
- (a) キャピラリーカラム
- (8) 振とう機
- (9) 濃縮器
クデルナダニッシュ濃縮器又はロータリーエバポレーターであって、濃縮時における試料溶媒に接触する部分のガラス器具類をあらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
3 試験操作
(1) 前処理
(a) 溶媒抽出
- (ア) 試料1lを分液漏斗に採り、塩化ナトリウム50g及びジクロロメタン100mlを加え、振とう機を用いて約10分間振とうする。
- (イ) 放置後、ジクロロメタン層を三角フラスコ500mlに移す。分液漏斗の水層にジクロロメタン100mlを加え、再び振とう機を用いて約10分間振とうし、放置後、ジクロロメタン層を先の三角フラスコに合わせる。
- (ウ) ジクロロメタン層に硫酸ナトリウム(無水)約30gを用いて脱水した後、濃縮器を用いて約7mlに濃縮する。
- (エ) 濃縮液にヘキサン約50mlを加え、濃縮器を用いて、5mlに定容する。
- (オ) 空試験として水1lを分液漏斗に採り、(ア)から(エ)までの操作を行う。
(b) 固相抽出(注)
- (ア) 試料200mlを固相カラムに毎分10~20mlで流下させる。
- (イ) 水10mlを流し、カラムを洗浄した後、約10分間吸引又は遠心分離等で水分を分離除去する。
- (ウ) 固相カラムの上端からアセトン3mlを緩やかに通し、分析対象農薬を溶出させ、試験管に受ける。
- (エ) 溶出液に窒素ガスを緩やかに吹き付けて2mlに定容する。
- (オ) 次のカラムクロマトグラフ法によるクリーンアップ操作が必要な時には、(エ)の濃縮液2mlにヘキサン約50mlを加え、濃縮器を用いて、溶液を約7mlになるまで濃縮する。
- (カ) 濃縮液に窒素ガスを緩やかに吹き付けて2mlに定容する。
- (キ) 空試験として、水200mlを用いて、(ア)から(カ)まで(クリーンアップ操作省略の時には(ア)から(エ)まで)の操作を行う。
(2) クリーンアップ
妨害物質がない時は、次のクリーンアップ操作を省略して(3)の操作に移る。カラムクロマトの選択は妨害物質の内容より決める。
なお、充てん剤の粒径、活性時間、活性化温度、ロット等により分析対象農薬の流出範囲が変わるので、流出範囲を確認するものとする。
(a) フロリジルカラムクロマトグラフ法
- (ア) 溶媒抽出では(1)の(a)の(エ)のヘキサン濃縮液1ml、固相抽出では(1)の(b)の(カ)のヘキサン転溶液1mlをフロリジルクロマトグラフ管に注ぎ流下させる。
- (イ) ヘキサン溶離液100mlを流下させ、ヘキサン溶出液を捨てる。引き続き、35vol%ジエチルエーテル含有ヘキサン溶離液100mlを毎分約1mlで流下させ、フェノブカルブ、プロピザミド、ダイアジノン、クロロタロニル、フェニトロチオン、イソキサチオン、クロルニトロフェン及びEPNを溶出させる。更にアセトン溶離液100mlを毎分約1mlで流下させ、イプロベンホス及びイソプロチオランを溶出させる。
(b) シリカゲルカラムクロマトグラフ法
- (ア) 溶媒抽出では(1)の(a)の(エ)のヘキサン濃縮液1ml、固相抽出では(1)の(b)の(カ)のヘキサン転溶液1mlをシリカゲルクロマトグラフ管に注ぎ流下させる。
- (イ) ヘキサン溶離液80mlを流下させ、ヘキサン溶出液を捨てる。引き続き、35vol%ジエチルエーテル含有ヘキサン溶離液100mlを毎分約1mlで流下させ、フェノブカルブ、プロピザミド、ダイアジノン、クロロタロニル、フェニトロチオン、イソキサチオン、クロルニトロフェン及びEPNを溶出させる。更にアセトン溶離液100mlを毎分約1mlで流下し、ジクロルボス、イプロベンホス及びイソプロチオランを溶出させる。
(c) 濃縮器を用いて、約40℃の水浴上で(a)及び(b)の35vol%ジエチルエーテル含有ヘキサン溶出液並びに(b)のアセトン溶出液をそれぞれ約10mlになるまで濃縮し、更にそれぞれにヘキサン約100mlを加えた後、濃縮器及び窒素ガスを用いて1mlに定容する。
(d) 空試験として、(1)の(a)の(オ)及び(1)の(b)の(キ)で得たヘキサン濃縮液についても、(a)から(c)までの操作を行う。
(3) 分析
- (a) 混合標準原液1μlをマイクロシリンジを用いて採り、スプリットレス又はコールドオンカラム方式でガスクロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録し、分析対象農薬の保持時間に相当するピークの位置を確認しておく。
- (b) (2)の(c)で得たヘキサン濃縮液(クリーンアップ操作省略の時には、溶媒抽出では(1)の(a)の(エ)で得たヘキサン濃縮液、固相抽出では(1)の(b)(エ)で得たアセトン濃縮液)1μlを(a)と同じ操作を行って、クロマトグラムを記録し、保持時間が標準物質と一致していることを確認し、保持時間に相当する位置のピークについて、ピーク面積又はピーク高さを測定する。
- (c) あらかじめ4により作成した検量線を用いて分析対象農薬の量を求め、試料中の濃度を算出する。
- (d) 空試験として、(2)の(d)で得たヘキサン濃縮液(クリーンアップ操作省略の時には、溶媒抽出では(1)の(a)の(オ)で得たヘキサン濃縮液、固相抽出では(1)の(b)の(キ)で得たアセトン濃縮液)についても(b)の操作を行って、分析対象農薬の保持時間に相当するピークが検出され、そのピーク面積又はピーク高さが定量限界値の0.20以上である場合には、前処理から再度操作を行う。
- (注) 浮遊物が多いときはあらかじめろ過する。浮遊物はアセトンで洗い、この洗液を固相カラムの溶出液に合わせる。
4 検量線の作成
- (1) 混合標準原液0.5~20mlを全量フラスコ100mlに段階的に採り、それぞれ分析に使用する溶媒を標線まで加える。この混合標準液1μlをガスクロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録し、分析対象農薬の量とピーク面積又はピーク高さとの関係線を作成する。
- (2) 検量線の作成は試料測定時に行う。
備考
この測定方法における用語の定義その他でこの測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。
付表2
オキシン銅の測定方法
1 試薬
- (1) 水
規格2の(11)の(a)に定めるもの - (2) アセトン
日本工業規格K8034に定めるもの - (3) ジクロロメタン
日本工業規格K8161に定めるもの - (4) アセトニトリル
日本工業規格K8032に定めるもの - (5) 硫酸ナトリウム(無水)
日本工業規格K8987に定めるもの - (6) 塩化ナトリウム
日本工業規格K8150に定める塩化ナトリウムを250~450℃で2~6時間加熱し、デシケーター中で放冷したもの - (7) 塩酸(2mol/l)
日本工業規格K8180に定められたものを用いて調製したもの - (8) 水酸化ナトリウム(2mol/l)
日本工業規格K8576に定められたものを用いて調製したもの - (9) 四ほう酸ナトリウム溶液(50mmol/l)
日本工業規格K8866に定める四ほう酸ナトリウム+水和物19.1gを水に溶かして1000mlとしたもの - (10) EDTA―燐酸緩衝液(pH3.5)
日本工業規格K9007に規定する燐酸二水素カリウム6.8gを水約900mlに溶かし、これに日本工業規格K8107に規定するエチレン四酢酸二ナトリウム2gを水に溶かし、日本工業規格K9005に規定する燐酸を加えてpHを3.5に調節し、水を加えて1000mlとしたもの - (11) オキシン銅標準原液(0.5mg/ml)
オキシン銅標準品0.05g採り、少量のアセトニトリルに溶かし、全量フラスコ100mlに移し、アセトニトリルを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は90日を限度とする。) - (12) オキシン銅標準液(10μg/ml)
オキシン銅標準原液2mlを全量フラスコ100mlに採り、アセトニトリルを標線まで加えたもの(この溶液は使用時に調製する。)
2 器具及び装置
- (1) 分液漏斗
容量2lのものであって、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの - (2) 試験管
容量10~20mlのものであって、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの - (3) 三角フラスコ(共栓)
容量500mlのものであって、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの - (4) マイクロシリンジ
容量10~50μlのもの - (5) 固相カラム
スチレンジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン系ゲル)又はこれと同等の性能を有するもの200~1,000mgを充てんしたものに、アセトニトリル5ml及び水5mlを順次緩やかに通し、調製したもの - (6) 高速液体クロマトグラフ
- (a) 分離管
内径3~6mm、長さ150~250mmのステンレス鋼製のもの - (b) 充てん剤
シリカゲルにオクタデシル基(ODS)が化学的に結合したもの又はこれと同等の分離性能を有するもの - (c) 移動相
アセトニトリルとEDTA燐酸緩衝液(pH3.5)を体積比2対3の割合で混合したもの - (d) 流量
毎分約1mlとしたもの - (e) 検出器
紫外吸光検出器で波長240nmを使用することができるもの - (f) カラム槽
温度を40~45℃に保つことができるもの
- (a) 分離管
- (7) 振とう機
- (8) 濃縮器
クデルナダニッシュ濃縮器又はロータリーエバポレーターであって、濃縮時における試料溶媒に接触する部分のガラス器具類をあらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
3 試験操作
(1) 前処理
(a) 溶媒抽出
- (ア) 試料1lを分液漏斗に採り、塩酸(2mol/l)を用いてpH2以下とし、ジクロロメタン100mlを加え、振とう機を用いて約10分間振とうする。
- (イ) 放置後、ジクロロメタン層を捨てる。分液漏斗の水層にジクロロメタン100mlを加え、再び振とう機を用いて約10分間振とうし、放置後、ジクロロメタン層を捨てる。
- (ウ) 水層に水酸化ナトリウム(2mol/l)を加えて中和した後、四ほう酸ナトリウム溶液20mlを加え、塩化ナトリウム50gとジクロロメタン100mlを加え、振とう機を用いて約10分間振とうする。
- (エ) 放置後、ジクロロメタン層を三角フラスコ500mlに移す。分液漏斗の水層にジクロロメタン100mlを加え、再び振とう機を用いて約10分間振とうし、放置後、ジクロロメタン層を先の三角フラスコに合わせる。
- (オ) ジクロロメタン層に硫酸ナトリウム(無水)約30gを用いて脱水した後、濃縮器を用いて約7mlに濃縮する。
- (カ) 濃縮器にアセトニトリル約50mlを加え、濃縮器を用いて、1mlに定容する。
- (キ) 空試験として水1lを分液漏斗に採り、(ア)から(カ)までの操作を行う。
(b) 固相抽出(注)
- (ア) 塩酸(2mol/l)でpHを3.5に調製した試料500mlを固相カラムに毎分10~20mlで流下させる。
- (イ) 水10mlを流し、カラムを洗浄した後、約10分間吸引又は遠心分離等で水分を分離除去する。
- (ウ) 固相カラムの上端からアセトニトリル3mlを緩やかに通し、オキシン銅を溶出させ、試験管に受ける。
- (エ) 溶出液に窒素ガスを緩やかに吹き付けて1mlに定容する。
- (オ) 空試験として、水500mlを用いて、(ア)から(エ)までの操作を行う。
(2) 分析
- (a) あらかじめ使用する分離管に、オキシン銅標準液20μlをマイクロシリンジを用いて採り、高速液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録し、オキシン銅の保持時間に相当するピークの位置を確認しておく。
- (b) 溶媒抽出では(1)の(a)の(カ)、固相抽出では(1)の(b)の(エ)で得たアセトニトリル濃縮液20μlを(a)と同じ操作を行って、クロマトグラムを記録し保持時間が標準物質と一致していることを確認し、保持時間に相当する位置のピークについて、ピーク面積又はピーク高さを測定する。
- (c) あらかじめ4により作成した検量線を用いてオキシン銅の量を求め、試料中の濃度を求める。
- (d) 空試験として、溶媒抽出では(1)の(a)の(キ)、固相抽出では(1)の(b)の(オ)で得たアセトニトリル濃縮液についても(b)の操作を行って、オキシン銅の保持時間に相当するピークが検出され、そのピーク面積又はピーク高さが定量限界値の0.20以上である場合には、前処理から再度操作を行う。
- (注) 浮遊物が多いときはあらかじめろ過する。浮遊物はアセトニトリルで洗い、この洗液を固相カラムの溶出液に合わせる。
4 検量線の作成
- (1) オキシン銅標準液(10μg/ml)1~10mlを全量フラスコ10mlに段階的に採り、アセトニトリルを標線まで加える。これら溶液の20μlを高速液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録し、オキシン銅の量とピーク面積又はピーク高さとの関係線を作成する。
- (2) 検量線の作成は試料測定時に行う。
備考
この測定方法における用語の定義その他でこの測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。
付表3
フタル酸ジエチルヘキシルの測定方法
第1 ガスクロマトグラフ質量分析法
1 試薬
- (1) 水
規格2の(11)の(a)に定めるもの - (2) ヘキサン
残留農薬試験用と同等以上の品質を持つもので、フタル酸ジエチルヘキシルの保持時間にピークを生じないもの - (3) 塩化ナトリウム
日本工業規格K9005に定める塩化ナトリウムを250~450℃で2~6時間加熱し、デシケータ中で放冷したもの - (4) フタル酸ジエチルヘキシル標準原液(1mg/ml)
フタル酸ジエチルヘキシル標準品0.1gを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの - (5) フタル酸ジエチルヘキシル標準液(0.001mg/ml)
フタル酸ジエチルヘキシル標準原液0.1mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの
2 器具及び装置
- (1) 共栓付き試験管
容量50mlのもの - (2) マイクロシリンジ
容量1~10μlのもの - (3) ガスクロマトグラフ質量分析計
- (a) キャピラリーカラム
内径0.2~約0.7mm、長さ10~30mの溶融シリカ又は硬質ガラス製のものであって、内面にジフェニルポリシロキサンを0.1~1.0μmの厚さで被覆したもの又はこれと同等の分離性能を有するもの - (b) 検出器
電子衝撃イオン化法(EI法)が可能で、選択イオン検出法又はこれと同等の性能を有する方法でクロマトグラム測定が可能なもの - (c) キャリヤーガス
ヘリウム(99.9999vol%以上)であって、線速度を毎分20~40cmとしたもの - (d) インターフェース部
温度を150~250℃に保つことができるもの - (e) 試料導入部
温度をスプリットレス方式の場合は200~270℃、コールドオンカラム方式の場合は50~100℃に保つことができるもの - (f) イオン源
温度を150℃以上に保つことができるもの - (g) カラム槽昇温プログラム
フタル酸ジエチルヘキシルの最適分離条件に設定できるもの(例えば、50~260℃)
- (a) キャピラリーカラム
3 試験操作
- (1) 試料40mlを共栓付き試験管に採り、ヘキサン2ml及び塩化ナトリウム10gを加えて密栓した後、激しく振り混ぜる。
- (2) 静置後、ヘキサン層の1μlをマイクロシリンジを用いて採り、スプリットレス又はコールドオンカラム方式でガスクロマトグラフに注入し、選択イオン検出法又はこれと同等の性能を有する方法を用いて、特有の質量数(149)をモニターする。クロマトグラムを記録し、フタル酸ジエチルヘキシルに相当するピークについて、ピーク面積又はピーク高さを測定する。
- (3) 空試験として水40mlを採り、(1)及び(2)の操作を行い、試料について得た結果を補正する。
- (4) あらかじめ4により作成した検量線を用いてフタル酸ジエチルヘキシルの量を求め、試料の濃度を求める。
4 検量線の作成
- (1) フタル酸ジエチルヘキシル標準液0.1~5mlを全量フラスコ10mlに段階的に採り、ヘキサンを標線まで加えて検量線用標準溶液とする。
- (2) 3の(1)と同量の水を共栓付き試験管に採り、これに検量線用標準溶液2mlと塩化ナトリウム10gを加え、密栓した後、激しく振り混ぜ、3の(2)の操作を行う。別に空試験として、水について3の(1)及び(2)の操作を行って標準溶液について得た結果を補正し、フタル酸ジエチルヘキシルの量とクロマトグラムのピーク面積又はピーク高さの関係から検量線を作成する。検量線の作成は試料の測定時に行う。
第2 ガスクロマトグラフ法
1 試薬
- (1) 水
規格2の(11)の(a)に定めるもの - (2) ヘキサン
残留農薬試験用と同等以上の品質を持つもので、フタル酸ジエチルヘキシルの保持時間にピークを生じないもの - (3) 塩化ナトリウム
日本工業規格K9005に定める塩化ナトリウムを250~450℃で2~6時間加熱し、デシケータ中で放冷したもの - (4) フタル酸ジエチルヘキシル標準原液(1mg/ml)
フタル酸ジエチルヘキシル標準品0.1gを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの - (5) フタル酸ジエチルヘキシル標準液(0.001mg/ml)
フタル酸ジエチルヘキシル標準原液0.1mlを全量フラスコ100mlに採り、ヘキサンを標線まで加えたもの
2 器具及び装置
- (1) 共栓付き試験管
容量50mlのもの - (2) マイクロシリンジ
容量1~10μlのもの - (3) ガスクロマトグラフ
- (a) キャピラリーカラム
内径0.2~約0.7mm、長さ10~30mの溶融シリカ又は硬質ガラス製のものであって、内面にジフェニルポリシロキサンを0.1~1.0μmの厚さで被覆したもの又はこれと同等の分離性能を有するもの - (b) 検出器
電子捕獲型検出器であって、その検出器槽温度が250~280℃のもの - (c) キャリヤーガス
ヘリウム(99.9999vol%以上)又は窒素(日本工業規格K1107の1級)であって、流量を毎分20~40mlとしたもの - (d) メイクアップガス
ヘリウム(99.9999vol%以上)又は窒素(日本工業規格K1107の1級)であって、流量を毎分30~60mlとしたもの - (e) 試料導入部
温度をスプリットレス方式の場合は200~270℃、コールドオンカラム方式の場合は50~100℃に保つことができるもの - (f) カラム槽昇温プログラム
フタル酸ジエチルヘキシルの最適分離条件に設定できるもの(例えば、50~260℃)
- (a) キャピラリーカラム
3 試験操作
- (1) 試料40mlを共栓付き試験管に採り、ヘキサン2ml及び塩化ナトリウム10gを加えて密栓した後、激しく振り混ぜる。
- (2) 静置後、ヘキサン層の1μlをガスクロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録する。フタル酸ジエチルヘキシルに相当するピークについて、ピーク面積又はピーク高さを測定する。
- (3) 空試験として水40mlを採り、(1)及び(2)の操作を行い、試料について得た結果を補正する。
- (4) あらかじめ4により作成した検量線を用いてフタル酸ジエチルヘキシルの量を求め、試料の濃度を求める。
4 検量線の作成
- (1) フタル酸ジエチルヘキシル標準液1~10mlを全量フラスコ10mlに段階的に採り、ヘキサンを標線まで加えて検量線用標準溶液とする。
- (2) 3の(1)と同量の水を共栓付き試験管に採り、これに検量線用標準溶液2mlと塩化ナトリウム10gを加え、密栓した後、激しく振り混ぜ、3の(2)の操作を行う。別に空試験として、水について3の(1)及び(2)の操作を行って標準溶液について得た結果を補正し、フタル酸ジエチルヘキシルの量とクロマトグラムのピーク面積又はピーク高さの関係から検量線を作成する。検量線の作成は試料の測定時に行う。
備考
この測定方法における用語の定義その他でこの測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。
付表4
ニッケル及びモリブデンの測定方法
1 試薬
- (1) ニッケル標準原液(10μgNi/ml)
日本工業規格K0013に規定するニッケル標準液Ni1000から作成したもの - (2) モリブデン標準原液(70μgMo/ml)
日本工業規格K8905に規定する七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.129gを全量フラスコ100mlに採り、水を標線まで加えたもの - (3) 混合標準液(0.1μgNi、0.7μgMo/ml)
ニッケル及びモリブデンの標準原液1mlをそれぞれ全量フラスコ100mlに採り、硝酸(1+1)2mlを加え、水を標線まで加えたもの
2 器具及び装置
ICP質量分析装置
3 試験操作
- (1) 試料を規格5.5に規定するところにより前処理を行う(注1)。
- (2) 試料をICP質量分析装置に導入し、ニッケル(60)、モリブデン(95)の測定質量数のイオンカウント値を測定する(注2)(注3)。
- (3) 空試験として前処理を行った試料と同量の水を採り、試料と同様に(1)及び(2)までの操作を行って試料について得たイオンカウント値を補正する。
- (4) 検量線から分析対象物質の量を求め、試料中の分析対象物質の濃度を算出する。
- (注1) 前処理後の溶液は0.1~0.5mol/lの硝酸溶液とする。
- (注2) 内標準法を用いる場合には、(1)で処理した試料の適量を全量フラスコ100mlに採り、市販の原子吸光分析用1,000mg/l標準溶液を希釈して得られた1μg/ml標準溶液(イットリウム又はインジウム)を1~10mlの一定量を加えた後、水を標線まで加える。この溶液について、(2)の操作を行って、分析対象物質の質量数におけるイオンカウント値と内標準元素(イットリウム(89)又はインジウム(115))の質量数におけるイオンカウント値との比を求める。
別に混合標準液を全量フラスコ100mlに段階的に採り、内標準溶液(1μg/ml)1~10mlの一定量をそれぞれ加えた後、水を標線まで加える。この溶液について(2)の操作を行って、分析対象物質の質量数におけるイオンカウント値と内標準元素(イットリウム(89)又はインジウム(115))の質量数におけるイオンカウント値との比を求め、分析対象物質の量との関係線を作成する。
検量線の作成は試料測定時に行う。 - (注3) 塩濃度が高い試料は水を用いて希釈し、希釈後の溶液は0.1~0.5mol/lの硝酸溶液とした後、測定する。
4 検量線の作成
- (1) 混合標準液を全量フラスコ100mlに段階的に採り、3の(1)の操作を行った試料と同じ条件になるように硝酸を加えた後、水を標線まで加える。この溶液について、3の(2)の操作を行って標準液について得たイオンカウント値を測定し、分析対象物質の量とイオンカウント値の関係線を作成する。
- (2) 検量線の作成は、試料測定時に行う。
備考
この測定方法における用語の定義その他でこの測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。
付表5
ニッケル及びモリブデンの測定方法
備考 本方法は共存するナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の塩や酸の種類及び濃度の影響を受けやすいので、これらの影響の少ない試料に適用する。
1 試薬
- (1) ニッケル標準原液(0.1mgNi/ml)
日本工業規格K0013に定めるニッケル標準液Ni1000から作成したもの - (2) ニッケル標準液(1μgNi/ml)
ニッケル標準原液5mlを全量フラスコ500mlに採り、硝酸(1+1)10mlを加え、水を標線まで加えたもの - (3) モリブデン標準原液(0.1mgMo/ml)
日本工業規格K8905に定める七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.184gを水に溶かし、全量フラスコ100mlに移し入れ、水を標線まで加えたもの - (4) モリブデン標準液(2μgMo/ml)
モリブデン標準原液2mlを全量フラスコ100mlに採り、水を標線まで加えたもの
2 器具及び装置
- (1) 電気加熱原子吸光装置
電気加熱方式でバックグラウンド補正が可能なもの - (2) 発熱体
黒鉛製又は耐熱金属製のもの - (3) 中空陰極ランプ
測定対象物質用のもの - (4) フローガス
アルゴン(日本工業規格K1105に定めるアルゴン2級) - (5) マイクロピペット
日本工業規格K0970に規定するプッシュボタン式液体用微量体積計10~500μl又は自動注入装置
3 試験操作
- (1) 試料を規格5.5によって前処理を行う。
- (2) 試料の一定量(例えば10μl)をマイクロピペットで発熱体に注入し、日本工業規格K0121の6の操作に従って、測定対象物質の波長(ニッケル232.0nm、モリブデン313.3nm)の指示値を読みとる(注1)(注2)。
- (3) 空試験として前処理を行った試料と同量の水をとり、試料と同様に(1)~(2)の操作を行って試料について得た指示値を補正する。
- (4) 検量線から分析対象物質の量を求め、試料中の分析対象物質濃度を算出する。
4 検量線の作成
ニッケル標準液又はモリブデン標準液を全量フラスコ100mlに段階的に採り、3の(1)の操作を行った試料と同じ条件となるように酸を加えた後、水を標線まで加える。この溶液について3の(2)の操作を行う。別に、空試験として水について検量線の作成に用いた標準液と同じ条件になるように酸を加えた後、3の(2)の操作を行って標準液について得た指示値を補正し、分析対象物質の量と指示値との関係線を作成する。検量線の作成は、試料測定時に行う。
- (注1) 乾燥、灰化、原子化の条件は装置によって異なる。試料の注入量及び共存する塩類の濃度によっても異なることがある。
- (注2) 引き続いて少なくとも(2)の操作を3回繰り返し、指示値がよく合うことを確認する。
備考
- 1 共存物質の影響が存在し、その程度が明らかでない場合には日本工業規格K0121の7に規定されている標準添加法を使用する。
- 2 この測定方法における用語の定義その他でこの測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。
付表6
アンチモンの測定方法
1 試薬
- (1) 塩酸
日本工業規格K8180に定めるもの - (2) アンチモン標準原液(2μgSb/ml)
日本工業規格K0025に規定するSb200 10mlを全量フラスコ1000mlに採り、硫酸(1+10)10mlを標線まで加えたもの - (3) アンチモン標準液(0.1μgSb/ml)
アンチモン標準原液10mlを全量フラスコ200mlに採り、硫酸(1+10)を標線まで加えたもの - (4) 臭化カリウム溶液(1mol/l)
日本工業規格K8506に定める臭化カリウム11.9gを水に溶かして100mlとしたもの - (5) テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液(10g/l)
テトラヒドロほう酸ナトリウム5gを水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/l)500mlに溶かしたもの(使用時に調製する。)
2 器具及び装置
- (1) ICP発光分析装置
- (2) 水素化物発生装置
3 試験操作
- (1) 試料(注)の適量をビーカーに採り、硫酸(1+1)1ml及び硝酸2mlを加える。
- (2) 加熱板上で加熱して、硫酸の白煙を発生させる。
- (3) 室温まで放冷した後、水8ml、塩酸8ml及び臭化カリウム溶液(1mol/l)8mlを加え、約50℃で約50分間加熱する。
- (4) この溶液を全量フラスコ50mlに移し、水を標線まで加える。
- (5) 水素化物発生装置とICP発光分析装置を連結し、(3)の溶液、テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液及び塩酸(1~6mol/l)を定量ポンプを用いて連続的に装置に導入し、水素化アンチモンを発生させる。
- (6) 水素化アンチモンをプラズマ中に導入し、アンチモン(206.833nm)の波長における指示値を読む。
- (7) 空試験として試料と同量の水を採り、(1)から(6)までの操作を行って指示値を読み取り、試料について得た指示値を補正する。
- (8) あらかじめ4により作成した検量線からアンチモンの量を求め、試料中の濃度を算出する。
- (注) 多量の有機物を含む場合には、(1)及び(2)の代わりに次のように操作してもよい。試料の適量に硫酸(1+1)1ml、硝酸2ml及び過塩素酸(60%)3mlを加え、加熱して白煙を発生させて、有機物を分解する。
4 検量線の作成
アンチモン標準液0.5~5mlを全量フラスコ50mlに段階的に採り、試料と同じ条件になるように酸及び臭化カリウム溶液を加えた後、水を標線まで加える。3の(5)から(7)までの操作を行って、アンチモンの量とそれぞれの指示値との関係線を作成する。検量線の作成は試料測定時に行う。
備考
- 1 水素化物を発生させるために生成する水素がプラズマに導入されることにより、プラズマが不安定になる場合があるので、特に導入初期には水素の量が多くなり過ぎないように注意する。
- 2 本方法は、共存する酸及び塩又は元素の種類及び濃度の影響を受けやすいので注意する。影響がある場合は水素化物発生原子吸光法に準じて、各元素ごとの干渉抑制剤を使用する。
- 3 塩濃度が高い試料で、検量線法が適用できない場合には、日本工業規格K0116の9.2.1の(3)に定める標準添加法を用いるとよい。ただし、この場合は試料の種類によらずバックグラウンド補正を行う必要がある。
- 4 この測定方法における用語の定義その他でこの測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。