法令・告示・通達

亜鉛含有量の排水基準の見直しについて

公布日:平成18年11月10日
環水大水第061110001号

(環境省水・大気環境局長から都道府県知事、水質汚濁防止法政令市長あて)

 亜鉛含有量の排水基準は、従来から、水道水や農業用水の基準をもとに5mg/lと定められていたが、水生生物保全の観点から平成15年に環境基準が設定されたことを受けて、その達成・維持に必要な排水規制の在り方について、平成16年に環境大臣から中央環境審議会に諮問がなされた。この諮問は同審議会水環境部会に付議され、平成18年4月に答申(「水生生物の保全に係る排水規制等の在り方について(答申)」(中環審第330号))がなされたところである。これを受けて、亜鉛含有量の排水基準を強化することとし、排水基準を定める省令等の一部を改正する省令(平成18年環境省令第33号。以下「改正省令」という。)を平成18年11月10日に公布し、平成18年12月11日に施行することとしたものである。
 その実施に当たっては、下記の事項に留意の上、今回の改正省令の円滑かつ適切な運用を図られるようお願いする。

1.措置の内容
(1)排水基準値の変更
  亜鉛含有量について、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第3条第1項に基づく排水基準(以下「一律排水基準」という。)の値を、従前の5mg/lから2mg/lに変更する。(改正省令本則第1条)
(2)暫定排水基準
  一律排水基準に対応することが著しく困難と認められる10業種に属する特定事業場に対し、施行後5年間に限った暫定的な排水基準(以下「暫定排水基準」という。)を設定する。暫定排水基準は5mg/lとする。(改正省令附則第2条第1項)
  1.   ①金属鉱業
  2.   ②無機顔料製造業
  3.   ③無機化学工業製品製造業(ソーダ工業、無機顔料製造業、圧縮ガス・液化ガス製造業及び塩製造業を除く。)
  4.   ④表面処理鋼材製造業
  5.   ⑤非鉄金属第一次製錬・精製業
  6.   ⑥非鉄金属第二次製錬・精製業
  7.   ⑦建設用・建築用金属製品製造業(表面処理を行うものに限る。)
  8.   ⑧溶融めっき業
  9.   ⑨電気めっき業
  10.   ⑩下水道業(一定の条件に該当するものに限る。)
(3)適用猶予
  亜鉛含有量についての改正省令に基づく排水基準は、改正省令施行日以後に新たに特定事業場となる事業場には直ちに適用されるが、改正省令施行の際現に特定施設を設置(設置の工事をしているものを含む。)している特定事業場については、改正省令施行の日から6月間は適用せず、従前の排水基準が適用されることとする。(改正省令附則第3条)
(4)罰則についての措置
  以下の行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によることとする。
  •   ・改正省令の施行前にした行為
  •   ・(3)の猶予期間を設けられている場合におけるこの省令の施行後にした行為(改正省令附則第7条)
2.暫定排水基準が適用される特定事業場について
  改正省令の施行に当たっては、暫定排水基準が適用される特定事業場の取扱いについて以下の事項に十分留意されたい。
  1. (1)水質汚濁防止法施行令(昭和46年政令第188号)別表第1第74号に定めるいわゆる共同処理場に該当する施設を有する事業場等については、その処理する水を排出する特定事業場の属する業種に属するものとみなして、暫定排水基準を適用することとしていること(改正省令附則第2条第2項)
  2. (2)暫定排水基準が適用される業種に属する特定事業場が同時に暫定排水基準が適用される業種以外の業種にも属する場合には、暫定排水基準を適用することとしていること(改正省令附則別表備考1)
  3. (3)下水道業に係る亜鉛含有量の暫定排水基準の適用については、暫定排水基準が適用される業種に属する特定事業場(下水道法(昭和33年法律第79号)第12条の2第1項に規定する特定事業場(以下「下水道法上の特定事業場」という。))から排出される水を受け入れている下水道終末処理施設を有するものであって、以下の条件に該当するものについて、暫定排水基準を適用することとしていること(改正省令附則別表備考2)
  •  ※ [条件]:次の算式により計算された値が2を超えること
      ΣCi・Qi/Q
      この式において、Ci、Qi及びQは、それぞれ次の値を表すものとする。
    •  Ci 当該下水道終末処理施設を設置している特定事業場(以下「当該下水道」という。)に水を排出する下水道法上の特定事業場ごとの排出する水の亜鉛含有量の通常の値(単位 1リットルにつきミリグラム)
    •  Qi 当該下水道に水を排出する下水道法上の特定事業場ごとの排出する水の通常の量(単位 1日につき立方メートル)
    •  Q 当該下水道から排出される排出水の通常の量(単位 1日につき立方メートル)
3.関係者に対する指導について
  改正省令による改正後の省令附則別表の暫定排水基準が適用される特定事業場については、改正省令の施行の日から5年後に一律排水基準に対応することができるように、必要な指導等をお願いしたい。