法令・告示・通達

有害大気汚染物質の自主管理促進のための指針の改正について(通知)

公布日:平成13年06月05日
環管大194号

(都道府県知事及び関係市長あて環境省環境管理局長通知)

 大気保全行政の推進については、日ごろから御尽力賜り、誠にありがとうございます。
 さて、標記事項に関しては、既に平成8年10月18日付け環大規第205号環境庁大気保全局長通知において、「事業者による有害大気汚染物質の自主管理の促進の仕組み」を旧環境庁と旧通商産業省において構築し、この仕組みに基づき「事業者による有害大気汚染物質の自主管理促進のための指針」(以下「自主管理指針」という。)を作成したことについて通知しております。
 環境省においては、今般、事業者による有害大気汚染物質の自主管理の当初の目標年度である平成11年度の実績の報告を受けたこと、中央環境審議会より答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方(第六次答申)」がなされたこと等を踏まえ、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について検討を行い、

  •   ・これまで実施されてきた事業者団体毎の有害大気汚染物質の排出量を削減する自主管理を継続し、有害大気汚染物質の排出の更なる削減を図ること
  •   ・環境基準達成率の低いベンゼンについては、工場、事業場(以下「工場等」という。)からの排出が相当程度寄与して高濃度となっている地域を対象に、地域を単位とした事業者による自主管理を開始すること

等の対策を今後実施していくことといたしました。
 これらの諸対策が実施できるよう、当省及び経済産業省においては、自主管理指針を別添1のとおり改正しました。なお、経済産業省において、別添2のとおり関係事業者団体に通知しています。
 ついては、貴職におかれましても、事業者による有害大気汚染物質の自主管理の促進が、改正後の自主管理指針(以下「新自主管理指針」という。)に従って行われるよう、御配慮の程お願い申し上げます。大気汚染防止法においては、地方公共団体は、事業者が排出抑制等のために必要な措置を講ずることを促進するために必要な情報の提供に努める旨規定されており、とりわけ今後、工場等の固定発生源の周辺地域において新自主管理指針の対象物質について大気環境モニタリングを実施する場合には、必要に応じて測定結果を当該固定発生源設置者に提供することについて御配慮願います。
 また、ベンゼンに関しましては、前記のように、高濃度となっている地域を対象に、地域を単位とした事業者による自主管理を開始することに対応して、当面の対象地域を、新自主管理指針の別表4に掲げる地域とし、また、対象となる事業者が単独又は共同で策定した地域自主管理計画及びその毎年の実施状況について、別添2により、当該事業者等から、対象地域に関係する都道府県(以下「関係都道府県」という。)に送付するよう、経済産業省から各事業者団体に要請いたしました。
 つきましては、関係都道府県知事におかれましては、ベンゼンに係る自主管理を促進するため、対象地域に関係する市町村長との密接な連携の上、新自主管理指針を参考としつつ、

  •   ・地域自主管理計画の策定及び推進のために、同一対象地域内の事業者が協議会を設置する場合には、関係する地方公共団体の協力が必要になる場合があること
  •   ・地域自主管理計画の策定及びその毎年の実施状況について、地域環境を保全する立場から関係都道府県がチェック及びレビューを行うことが望ましいこと
  •   ・事業者が、策定した地域自主管理計画及びその毎年の実施状況について地域住民等を対象に説明会等を開催する場合には、関係する地方公共団体の協力が必要になる場合があること

に御配慮いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 なお、事業者団体毎の自主管理計画及び地域自主管理計画並びにこれらの実施状況は、当省及び経済産業省において把握し、関係審議会に報告した上で、その結果を公表する予定であり、事業者団体毎の自主管理計画については貴職にも送付したいと考えております。



別表

   事業者による有害大気汚染物質の自主管理促進のための指針

(平成8年9月制定)
(平成9年9月改正)
(平成13年6月改正)
 本指針は、有害大気汚染物質が継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがあることにかんがみ、有害大気汚染物質の製造、使用等を行う事業者(以下、事業者という。)がその事業活動に伴う有害大気汚染物質の大気中への排出(飛散を含む。以下同じ。)を抑制することを目的とするものである。
 事業者は、本指針に定めるもののほか、「指定化学物質等取扱事業者が構ずべき第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質等の管理に係る措置に関する指針(平成12年3月30日 環境庁、通商産業省告示第一号)」に従い、有害大気汚染物質の大気への排出を抑制するとともに、その排出状況の把握に努めなければならない。
 なお、本指針における有害大気汚染物質とは、別表1に記載した化学物質をいうものとする。

1 自主管理計画の策定等

 1)自主管理計画の策定

  事業者は、有害大気汚染物質について、これまでに措置した対策の内容、大気への排出量の削減実績及び地域の大気環境濃度の他、事業者が属している業界団体の「自主管理計画」等を踏まえ、平成11年度の年間大気排出量を基準とし、平成15年度の年間大気排出量を指標とする管理目標値を設定するとともに、これを達成するための具体的方策を定めた事業者毎の「自主管理計画」を策定すること。
  また、別表2に定める有害大気汚染物質について、別表3に定める業界団体に属する事業者のうち、別表4に定める地域に事業所を有し、かつ当該化学物質を排出する事業者は、単独に又は当該地域の他の事業所と共同して、当該地域に係る自主管理計画(以下、「地域自主管理計画」という。)を策定すること。「地域自主管理計画」を策定する場合には、当該地域に係る大気環境濃度に配慮しつつ、各々の事業所からの年間大気排出量の総和を指標とする管理目標値を策定する等により、関係する事業所が密接な連携を図り対策を実施するよう努めること。

 2)自主管理計画の実施のための体制整備

  事業者は、必要な資源の適正な分配、計画実施の内容を具体的に定めた作業要領の策定、有害大気汚染物質を排出する工程に従事する者等に対する教育、訓練の実施その他「自主管理計画」に盛り込まれた措置が確実に実施される体制を整備すること。

 3)実施状況の評価

  事業者は、その属している業界団体において策定されている「自主管理計画」及び「地域自主管理計画」における進捗状況等を踏まえ、毎年度、管理目標値に対する達成状況を評価すること。

2 排出抑制対策の実施

  事業者は、管理目標値の達成を図るため、製造工程の見直し、施設・設備等の改善、回収・処理設備の設置、代替物質の使用、工程・作業管理の適正化その他の適切な排出抑制対策を実施すること。その際、事業者は、別表5に示された排出抑制技術のほか、その属する業界団体、国等から提供される排出抑制技術に関する情報等に留意しつつ、有害大気汚染物質の取扱い実態に即して、技術的かつ経済的に最も適切な排出抑制技術の導入に努めること。
  なお、特に代替物質を使用する場合においては、事業者は、当該代替物質の物理化学的性状、有害性及び排出の状況、並びに経済性等を総合的に評価することにより、その適切な使用に努めること。
  また、事業者は、大気への排出抑制対策の実施にあたり、有害大気汚染物質の水及び土壌への流出を防止する等の措置を講ずることにより、大気以外への有害大気汚染物質の排出の抑制に努めること。

3 排出量等の情報の把握等

 1)有害大気汚染物質の大気への排出量等の把握

  事業者は、有害大気汚染物質の取扱量等(製造量、使用量、貯蔵・保管量等)を把握するとともに、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行規則」に規定する排出量の算出方法を用いることにより、有害大気汚染物質の大気への排出量を把握すること。

 2)事業所周辺濃度の把握

  事業者は、自主管理計画に基づき実施した措置の効果を的確に把握するため、地方公共団体が事業所周辺で大気環境濃度測定を実施している場合には、その結果を活用するとともに、大気汚染防止法の常時監視に係る法定受託事務の処理基準(平成13年5月21日制定)に定めた測定方法を参考としつつ、措置の実施前後の敷地境界濃度等の測定その他の方法により、事業所内外での大気環境濃度の把握に努めること。

 3)情報の提供

  事業者は、地域の住民等の理解の増進を図る等のため、自主管理計画による取組の状況等について、報告書の作成及び配布、説明会の実施等による情報提供等に努めること。


  • アクリロニトリル
  • アセトアルデヒド
  • 塩化ビニルモノマー
  • クロロホルム(トリクロロメタン)
  • 1,2-ジクロロエタン
  • ジクロロメタン(塩化メチレン)
  • テトラクロロエチレン
  • トリクロロエチレン
  • 1,3-ブタジエン
  • ベンゼン
  • ホルムアルデヒド
  • 二硫化三ニッケル及び硫酸ニッケル

  • ベンゼン
  •  社団法人日本化学工業協会
  •  社団法人日本鉄鋼連盟
  •  石油連盟

室蘭地区(室蘭市民会館測定局)

  •      ・北海道室蘭市陣屋町一丁目、幌萠町、本輪西町一丁目、港北町一丁目、仲町、御崎町一丁目、茶津町及び入江町の区域

鹿島臨海地区(神栖測定局)

  •      ・茨城県鹿嶋市北浜山、字南浜山及び字海岸砂地、大字泉川字北浜山、字南浜山、字浜屋敷及び字沢東、大字新浜、大字光字光の区域
  •      ・茨城県鹿島郡神栖町大字光、大字居切字海岸砂地、大字深芝字海辺、字藤豊及び字原芝、大字北浜、大字奥野谷字浜野及び字東和田、大字東和田、大字東深芝の区域

京葉臨海中央地区(市原市岩崎西、川岸測定局)

  •      ・千葉県千葉市の区域のうち次の区域
          美浜区新港の区域
          中央区川崎町の区域
          中央区新浜町及び村田町の区域のうち京葉臨海鉄道用地及びこれと海岸線との間の区域、同区蘇我町二丁目の区域
  •      ・千葉県市原市の区域のうち次の区域
          一般国道16号線と海岸線との間の区域
          五井南海岸及び千種海岸の区域
  •      ・千葉県袖ヶ浦市の区域のうち次の区域
          北袖の区域のうち一般国道16号線と海岸線との間の区域
          長浦字拓1号及び字拓2号並びに中袖の区域

水島臨海地区(松江測定局)

  •      ・岡山県倉敷市の区域のうち次の区域
          呼松町稲浦、児島宇野津字長島新田、児島塩生字天神新田、字袖山、字西浦、字新浜、児島通生の区域
          潮通1丁目、潮通2丁目、松江4丁目、潮通3丁目、南畝4丁目の区域
          水島海岸通1丁目から水島海岸通5丁目まで、水島中通1丁目から水島中通4丁目まで、水島西通2丁目、水島西通一丁目、水島川崎通1丁目の区域
          玉島乙島字高後沖、字新湊の区域

大牟田地区(明治測定局)

  •      ・福岡県大牟田市の区域のうち、準工業地域、工業地域及び工業専用地域の区域

1 施設・設備の密閉化等による工程改善対策例

  •  ・浮屋根式構造を有する貯蔵設備
  •  ・炉蓋等の空冷設備
  •  ・低溶剤消費型洗浄・脱脂設備(密閉式、冷却ガス吸引式、真空超音波方式、多段式等)
  •  ・遠心分離・ブラスト設備
  •  ・脱塩素化漂白設備

2 排ガス処理・回収装置の設置例

  •  ・還流装置(ベーパーリターンライン)
  •  ・排ガス回収処理設備(活性炭等による吸着式、冷却凝集式等)
  •  ・再生処理設備(ろ過式、蒸留式等)
  •  ・フレアースタック設備
  •  ・排ガス燃焼処理設備(直接燃焼式、触媒燃焼式等)

3 代替物質の使用例

  •  ・純水洗浄
  •  ・水/アルカリ系溶剤による洗浄
  •  ・炭化水素系溶剤による洗浄
  •  ・アルコール系溶剤による洗浄
  •  ・上記の混合溶剤による洗浄

4 設備/工程管理の適正化その他の措置例

  •  ・パイプ接続部等のシール等による密閉化
  •  ・反応/燃焼条件の改善(還流比/圧力等の適正化、脱水強化等)
  •  ・フリーボード比の適正化
  •  ・乾燥/洗浄温度の適正管理
  •  ・溶剤/原材料等の使用量の適正管理(塗膜厚の管理、切削屑の発生抑制等)

経済産業省

(平成13年5月31日産局第2号)
(平成13年5月31日製局第5号)
(平成13年6月5日)
 別記の関係業界団体代表者あて(各通)
産業技術環境局長 日下一正
製造産業局長 岡本巖

  事業者による有害大気汚染物質の自主管理の促進について

  1. 1 平成8年の大気汚染防止法の改正を受け、旧通商産業省は旧環境庁と協力して、事業者が自己責任に基づき、有害大気汚染物質の大気への排出の抑制を図ることによって大気汚染の未然防止に資することを目的とした「事業者による有害大気汚染物質の自主管理促進のための指針(以下、指針という。)」を策定し、平成8年10月、貴団体に対しても「自主管理計画」の策定と加盟企業への周知等を要請するとともに、策定された「自主管理計画」及びその実施状況について、毎年、関係審議会でのチェックアンドレビューを行ってきました。
  2. 2 平成12年度は、自主管理計画の当初の目標年度である平成11年度実績の報告を受けたことを踏まえ、関係審議会において、自主管理による有害大気汚染物質対策の評価と今後のあり方について審議が行われ、平成12年12月にその報告及び答申がとりまとめられました。その結果、事業者の自主的取組のための枠組みを引き続き継続し、有害大気汚染物質のさらなる削減を図るとともに、一部の地域において継続して環境基準値を超過していることが判明したベンゼンについては、従来の全国をベースとした業界団体毎の取組に加えて、地域毎に関係業界等が連携して当該地域毎の目標を定めて取組を行うことが必要との結論が得られました。
  3. 3 このため、経済産業省は事業者の自主管理による新たな取組がより円滑かつ透明性を確保した形で推進されるよう、環境省と協力して、別添のとおり「指針」の改正を行いました。
  4. 4 ついては、貴団体におかれては、別添の「指針」に準じて、「自主管理計画」を策定するとともに、「指針」と合わせて貴団体加盟企業に周知し、有害大気汚染物質の自主管理を促進されるようお願いいたします。
      また、貴団体加盟企業の中で、ベンゼンに係る地域単位での自主管理計画の策定が必要な事業者への周知方よろしくお願いします。なお、この場合には、必要に応じて同一地域内の別表3に掲げる団体加盟企業と共同して、本計画の策定推進のための地域協議会等を設置することも考えられるので、協力方よろしくお願いいたします。
  5. 5 貴団体及びベンゼンに係る地域単位での「自主管理計画」を策定した場合には、平成13年7月末までに経済産業省の貴団体担当課に報告するとともに、平成13年度から平成15年度までの毎年度の同計画の実施状況について、当該年度の翌年度の5月末までに、同担当課に報告するようお願いいたします。また、ベンゼンに係る地域自主管理計画については、当該地域が所在する都道府県担当部局にも報告するようお願いいたします。
      なお、これまでに実施してきた自主管理計画に関して、平成11年度における目標を達成していない業界団体においては、平成12年度における排出量を含む排出抑制のための取組結果も同様に報告願います。
  6. 6 報告のあった業界団体毎の自主管理計画及びその実施状況並びにベンゼンに係る地域自主管理計画及びその実施状況については、経済産業省及び環境省の関係審議会で評価を行った上で、その結果を公表する予定としております。また、ベンゼンに係る地域自主管理計画及びその実施状況については、当該地域が所在する都道府県でも評価した上で、その結果を公表する予定としております。

  (順不同、敬称略)

  • 社団法人日本鉄鋼連盟 会長 千速晃
  • 普通鋼電炉工業会 会長 佐々木喜朗
  • 線材製品協会 理事長 光武紀芳
  • 社団法人日本アルミニウム協会 会長 平田英之
  • 社団法人新金属協会 会長 岡田昌徳
  • 日本伸銅協会 会長 矢野信夫
  • 軽金属製品協会 会長 竹安和雄
  • 全国鍍金工業組合連合会 会長 渡邉正勝
  • 社団法人日本電線工業会 会長 岡山紀男
  • 社団法人日本表面処理機材工業会 会長 橋本康彦
  • 銅箔工業会 会長 安川均
  • 全国鉛錫加工団体協議会 会長 牛込公一郎
  • 日本鉱業協会 会長 西川章
  • 社団法人日本化学工業協会 会長 香西昭夫
  • 日本金属熱処理工業会 会長 渡邊日吉
  • 社団法人 日本産業機械工業会 会長 相川賢太郎
  • 通信機械工業会 会長 関澤義
  • 社団法人 日本事務機械工業会 会長 御手洗冨士雄
  • 社団法人 日本電機工業会 会長 西室泰三
  • 社団法人 日本電子情報技術産業協会 会長 森下洋一
  • 社団法人 日本自動車工業会 会長 奥田碩
  • 社団法人 日本自動車部品工業会 会長 大野陽男
  • 社団法人 日本航空宇宙工業会 会長 武井俊文
  • 日本紡績協会 会長 望月朗宏
  • 社団法人日本染色協会 会長 中山賢一
  • 日本毛整理協会 会長 墨明
  • 日本繊維染色連合会 会長 阿部十三
  • 日本製紙連合会 会長 小林正夫
  • 社団法人日本印刷産業連合会 会長 藤田道弘
  • 日本金属ハウスウェア工業会 理事長 吉川嘉之
  • 日本金属洋食器工業組合 理事長 山崎悦次
  • 日本靴工業会 会長 廣瀬武意
  • 日本ゴム履物協会 会長 西井広
  • 全国楽器協会 会長 伊藤修二
  • 社団法人日本スポーツ用品工業協会 会長 水野正人
  • 社団法人日本釣用品工業会 会長 大村一
  • 日本繊維板工業会 会長 六車襄二
  • 日本光学硝子工業会 会長 油谷純正
  • 硝子繊維協会 会長 小室太郎
  • 石油連盟 会長 岡部敬一郎
  • 社団法人日本コークス協会 会長 荒木穰
  • 社団法人日本ガス協会 会長 領木新一郎