法令・告示・通達

「ばい煙簡易測定法」の取扱いについて

公布日:昭和62年08月14日
環大規179号

環境庁大気保全局大気規制課長から各都道府県・政令市大気規制主管部長あて

 当庁においては、発生源監視の充実を図るため、1次スクリーニングの手法としてのばい煙簡易測定法について検討を加えてきたところであるが、今般、その取扱いについて下記のとおり定めたので規制事務に遺憾なきを期されたい。
 また、発生源への立入り検査におけるばい煙簡易測定の併用等により、今後、発生源監視の一層の充実を図られたい。

第1 ばい煙簡易測定法の趣旨

  「ばい煙簡易測定法」(以下「簡易測定法」という。)は、大気汚染防止法(以下「法」という。)に規定されるばい煙の測定法(以下「公定法」という。)に代えて用いるべきものではなく、大気規制業務担当者が排出基準の遵守状況をより広範に把握するための一次スクリーニングの方法として、発生源監視のより一層の充実を期すために用いるべきものであること。

第2 ばい煙簡易測定法の種類及び実施方法

  1.  (1) ばい煙簡易測定法は、表1の第1欄に掲げるものとし、その測定対象項目は、同表第2欄に掲げるものとする。

表1 ばい煙簡易測定法


ばい煙簡易測定法
測定対象項目
検知管法
硫黄酸化物、窒素酸化物、酸素
イオンクロマトグラフ法
硫黄酸化物、窒素酸化物、塩化水素
スモーク・テスター法
ばいじん

 (2) ばい煙簡易測定の実施に当たつては、別添の「ばい煙簡易測定法指針」(以下「指針」という。)に示す操作方法によること。

第3 簡易測定法に使用する機器

  簡易測定法に使用する機器は、指針において示す機器の他、その精度が指針のものと同程度以上であるものとして、環境庁が別途示すものを使用すること。
  なお、検知管にあつては、日本工業規格(JIS K0804)に規定されたものであること。

第4 簡易測定法の適用対象施設

  簡易測定法による1次スクリーニングの適用対象施設は、以下のとおりである。

表2 ばい煙簡易測定法の適用対象施設


ばい煙簡易測定法
簡易測定の対象として適当である施設
検知管法
全ばい煙発生施設
イオンクロマトグラフ法
全ばい煙発生施設
スモーク・テスター法
石油系燃料を使用するボイラーであつて、湿式の排煙処理装置を設置していないもの。

第5 簡易測定法による測定値の評価方法

  簡易測定法の精度は、下表に示すとおりであり、簡易測定法による測定値の評価に当たつては、この精度の範囲を考慮して、ばい煙簡易測定法により測定した施設を排出基準値等を超える排出実態があると考えられる施設と、排出基準値等以下の排出実態があると考えられる施設に振り分けることにより発生源監視の1次スクリーニングを行うこと。

表3 検知管・イオンクロマトグラフの精度


 
精度
相対誤差
回帰式の傾き
検知管
硫黄酸化物
15%
ほぼ1
窒素酸化物
32%
ほぼ1
酸素
12%
ほぼ1
イオンクロマトグラフ
硫黄酸化物
16%
ほぼ1
窒素酸化物
5%
ほぼ1
塩化水素
27%
ほぼ1
クモークテスター
ばいじん
75%確率による評価(指針参照。)


 (注) 相対誤差とは、公定法に対する簡易測定法の測定値の誤差を公定法測定値に対する割合で示したものである。
  なお、簡易測定値の評価に当たつては、必要に応じ書面審査を併せ行うことにより1次スクリーニングに万全を期されたい。

第6 簡易測定法による1次スクリーニング後の措置

  簡易測定法による測定で排出基準値等を超えているおそれがあると考えられる範囲の測定値が得られた施設については、更に公定法による測定を行い、その結果に基づき必要に応じ行政指導、大気汚染防止法の命令等の措置を講ずること。