法令・告示・通達

窒素酸化物に係る総量規制制度の導入について

公布日:昭和56年11月12日
環大規298号

環境庁大気保全局大気規制課長から各都道府県・政令市大気規制主管部(局)長あて
 大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令(昭和56年政令第215号)及び大気汚染防止法施行規則の一部を改正する総理府令(昭和56年総理府令第46号)の施行については、昭和56年11月6日付け環大規第289号をもつて、大気保全局長より通達したところであるが、同通達において別途通知することとされている事項及びその他の事項については下記のとおりであるので、これに留意の上、法令の円滑な施行を図られるようお願いする。

第1 窒素酸化物に係る特定工場等の規模に関する事項

  窒素酸化物に係る特定工場等(以下「特定工場等」という。)の規模に関する基準に係る原料及び燃料の量の重油の量への換算方法については、昭和56年9月環境庁告示第82号(以下「原燃料換算告示」という。)により告示したところであること。
  原燃料換算告示の概要は、昭和56年11月6日付け環大規第289号大気保全局長通達(以下「局長通達」という。)の第3の1の(3)において示されたとおりであるが、その詳細は次のとおりであること。

  1.  1 原燃料の量の重油の量への換算については、窒素酸化物に係るばい煙発生施設(以下「ばい煙発生施設」という。)の種類ごとに、当該施設において使用される原料又は燃料のいずれか一方に着目して、その量を重油の量に換算することとされたこと。これは、ばい煙発生施設における窒素酸化物の生成過程が複雑であることから、原料又は燃料のいずれか一方に着目してその量を重油の量に換算することとしたものであり、原燃料換算告示別表第1に掲げる原料に係るばい煙発生施設については、当該施設において用いられる原料の量を重油の量に換算することとし、これ以外のばい煙発生施設については、当該施設において用いられる燃料の量を重油の量に換算することとしたものであること。
  2.  2 原料の量の重油の量への換算について
    1.   (1) 原燃料換算告示別表第1に掲げる原料に係るばい煙発生施設は、窒素酸化物の発生が主に原料に起因し、燃料の量と窒素酸化物の排出量との関係を適切にとらえることが困難であると認められるばい煙発生施設であること。ただし、同表第1号及び第7号に掲げる焙焼炉については、燃料を継続かつ安定して使用するものとそれ以外のものとに大別することができるため、前者については当該施設で用いられる燃料の量を重油の量に換算することとし、後者については当該施設で用いられる原料の量を重油の量に換算することとしたこと。
    2.   (2) 原料の量の重油の量への換算に当たつては、当該原料の量一単位を、その処理に伴い発生する窒素酸化物の量に相当する量の窒素酸化物の量を重油を専焼させるボイラー(以下「重油専焼ボイラー」という。)における燃焼に伴い発生する重油の量に換算すること。なお、原料の量の重油の量への換算については、当該地域における原燃料換算告示別表第1に掲げる原料に係るばい煙発生施設の排出特性等を十分踏まえたものとすること。また、この場合、重油の量一単位を重油専焼ボイラーにおいて燃焼させたときに発生する窒素酸化物の量については、当該地域内における重油専焼ボイラーに係る排出特性をあらかじめ十分に検討の上、その量を把握しておくよう努めること。
          これらのばい煙発生施設の排出特性を勘案する場合には、当該施設が設置されている製造工程等の種類、当該施設の規模及び型式、当該施設において使用される原燃料の種類、性状及び使用量、当該施設の稼働条件(燃焼温度、負荷率等)並びに当該施設の各種稼働条件における窒素酸化物に係るばい煙濃度及び排出量等について、測定値に基づく等適切に把握すること。
    3.   (3) 同一のばい煙発生施設において複数の種類の原料が使用される場合、重油の量に換算すべき原料については、その処理量と当該ばい煙発生施設において発生する窒素酸化物の量との関係から最も適切であると認められる原料とすること等ばい煙発生施設の排出特性等を適切に勘案の上、これを明らかにすること。
    4.   (4) 原燃料換算告示別表第1の各号に掲げる原料に係るばい煙発生施設のうち、使用する原料の種類が異なること等から、その排出特性に差異が認められるばい煙発生施設がある場合には、必要に応じ当該ばい煙発生施設において用いられる原料を細分化し、細分化された原料ごとに重油の量への換算を行うことができること。
          例えば、同表の第6号に掲げる廃棄物を、「一般廃棄物の廃棄物焼却炉において用いられる一般廃棄物」、「下水汚泥の廃棄物焼却炉において用いられる下水汚泥」、「大気汚染防止法施行規則別表第3の2の26の項に掲げる廃棄物焼却炉において用いられる廃棄物」等に区分して、それぞれ区分された廃棄物ごとに重油の量への換算を行うことができるものであること。
    5.   (5) 原燃料換算告示別表第1の各号に掲げる原料のうち、水分の含有の状態により、当該原料の量一単位の処理に伴い発生する窒素酸化物の量が異なると認められるものについては、当該原料の量を一定の水分の含有の状態における量に換算すること等により、当該原料の量の重油の量への換算が、工場又は事業場間で均衡を失することがないよう留意されたいこと。
  3.  3 燃料の量の重油の量への換算について
    1.   (1) 燃料の量の重油の量への換算に当たつては、当該燃料の量一単位を、その発熱量に相当する発熱量を有する重油の量に換算することとして、主要な燃料については原燃料換算告示別表第2の1の項から6の項までに具体的な換算値を示し、その他の燃料については同表の7の項に換算方法を示したこと。この場合、その他の燃料の中には、水分の含有の状態により、当該燃料の量一単位当たりの発熱量が異なるものがあることに留意されたいこと。
          また、原燃料換算告示別表第3の中欄に掲げるばい煙発生施設において使用される燃料については、更に同表の下欄に掲げる範囲内において都道府県知事が定めた係数を乗じるものとしたこと。これらのばい煙発生施設において使用される燃料について発熱量に着目した換算の後更に一定の係数を乗じることとしたのは、ばい煙発生施設の種類ごとに窒素酸化物の排出特性等に差異が認められることを踏まえ、特定工場等の規模に関する基準が工場又は事業場から排出される窒素酸化物の排出量の多寡の実態を適切に反映することが必要であると考えられたことによること。
    2.   (2) 原燃料換算告示別表第3の中欄に掲げるばい煙発生施設は、一般に、当該ばい煙発生施設において使用される燃料の単位発熱量当たりの窒素酸化物の排出量(以下「排出係数」という。)が、標準となるばい煙発生施設の排出係数に比べて差異があると認められる施設であること。なお、標準となるばい煙発生施設としては、重油専焼ボイラーを想定していること。
    3.   (3) 原燃料換算告示別表第3の中欄に掲げるばい煙発生施設ごとにそれぞれ同表の下欄に掲げる範囲内において定められる係数は、当該地域内における当該ばい煙発生施設の排出係数を十分に検討し、重油専焼ボイラーの排出係数と比較すること等により定めること。なお、これらのばい煙発生施設の排出係数を勘案する場合の留意事項については、2の(2)の後段に準ずること。
    4.   (4) 原燃料換算告示別表第3の各項の中欄に掲げるばい煙発生施設のうち、製造工程が異なること等からその排出係数に差異が認められるばい煙発生施設がある場合には、必要に応じ同表の各項の中欄に掲げるばい煙発生施設を細分化し、細分化された施設ごとに係数を定めることができること。
    5.   (5) 燃料の量の重油の量への換算は、(1)~(4)の事項に留意して行うものであるが、排煙脱硫装置を設置するばい煙発生施設において使用される液体燃料については、これまでのばい煙処理対策の経緯を踏まえ、その排出特性を勘案することが必要であると考えられることから、このような場合にあつては、別途当該施設に係る窒素酸化物の排出特性等を勘案して当該燃料の量を重油の量に換算することができるものとしたこと。なお、当該地域において、原燃料換算告示別表第3の中欄に掲げるばい煙発生施設以外のばい煙発生施設で、その排出係数が重油専焼ボイラーの排出係数に比べて差異があると認められるものについては、当該工場又は事業場から排出される窒素酸化物の排出量の多寡の実態を適切に反映することに支障が生じると認められる場合には、同様に別途換算することができるものであること。なお、これらのばい煙発生施設の排出特性を勘案する場合の留意事項については、2の(2)の後段に準ずること。
    6.   (6) 原燃料換算告示別表第3の下欄に掲げる数値については、各ばい煙発生施設の使用燃料の実態、排出係数の実態等を総合的に検討した上で各種の条件等を想定して、重油の量への換算が適切なものとなるよう幅をもつて示したものであること。
          したがつて、燃料の量の重油の量への換算については、次の①~⑩を参考にして、当該地域における各ばい煙発生施設の排出特性等十分踏まえたものとなるよう留意されたいこと。
      1.    ① 1の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設は、木くず、コークス、石炭等各種の燃料が用いられ、燃料の種類により排出係数が異なることを勘案して定めたものであること。また、本施設のうち固体燃料と他の燃料とを混燃させるものについては、当該燃料の混焼割合等に十分配慮する必要があること。なお、上限値は、石炭を専焼させるボイラーにおける実測例を参考にしたものであること。
      2.    ② 2の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設には、排出係数が比較的高いものも認められることを勘案して定めたものであること。
      3.    ③ 3の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の排出係数に、炉内温度等により差異が認められることを勘案して定めたものであること。なお、上限値は、本施設を特に高温の状態で使用したときの例を参考にしたものであること。
      4.    ④ 4の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設には、排出係数が、本施設の型式、規模等の差により比較的高いものが認められることを勘案して定めたものであること。
      5.    ⑤ 5の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設には、排出係数が比較的高いものも認められることを勘案して定めたものであること。
      6.    ⑥ 6の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の排出係数が、焼成炉の型式、焼成の様式等により大きく異なることを勘案して定めたものであること。
      7.    ⑦ 7の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の排出係数が、焼成物の種類、焼成炉の型式、焼成の方式等により大きく異なることを勘案して定めたものであること。なお、上限値は、本施設を1,700℃を超えるような高温の状態で使用したときの排出実態の実測例を参考にしたものであること。
      8.    ⑧ 8の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の排出係数が、板ガラス、電気ガラス、光学ガラス等ガラスの種類、溶融炉の型式、酸化剤、清澄剤等添加剤の使用の有無等により大きく異なることを勘案して定めたものであること。なお、下限値は、硝酸塩を含む添加剤を用しないルツボ炉の排出実態の実測例を、また、上限値は、硝酸塩を含む添加剤を用いる光学ガラス等の製造の用に供する溶融炉等の排出実態な実測例をそれぞれ参考にしたものであること。
      9.    ⑨ 9の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設には、石灰焼成炉、人工骨材製造用キルン等各種のものがあり、施設の種類により排出係数が異なることを勘案して定めたものであること。なお、上限値は、石灰焼成炉の排出実態の実測例を参考にしたものであること。
      10.    ⑩ 10の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の排出係数が、コークス炉の型式、乾留温度等により異なることを勘案して定めたものであること。なお、上限値は、コークス炉の型式によつては、特に高温の状態で使用したときは排出係数に高い例が認められることを参考にしたものであること。

第2 窒素酸化物に係る総量規制基準の設定に関する事項

  1.  1 大気汚染防止法施行規則(以下「規則」という。)第7条の4第2項及び第3項に掲げる算式は、都道府県知事が窒素酸化物に係る総量規制基準(以下「総量規制基準」という。)を定める場合に基本とすべき式(以下「基本式」という。)であり、基本式を基本として当該地域の実情に応じて修正を行つても差し支えないが、修正を行おうとするときは、事前に環境庁と協議されたいこと。なお、都道府県知事が定める総量規制基準が基本式を基本としたものであるか否かは、規則第7条の4第1項の規定の趣旨及び基本式に照らして判断することとなること。
  2.  2 総量規制基準は、原則として、ばい煙発生施設を定格で運転する場合における窒素酸化物の許容排出量として定めるものであるが、定格で運転する場合に1工程の中で1時間当たりの窒素酸化物の排出量が著しく変動するばい煙発生施設については、当該1工程の中での平均的な窒素酸化物の排出の状況に着目した上で許容排出量を設定することが合理的であると考えられること。なお、これに該当するばい煙発生施設の種類としては、昭和50年12月13日付け環大規第263号環境庁大気保全局長通知の第3の2の(6)及び昭和54年8月2日付け環大規第177号環境庁大気保全局長通知の第2の3の(2)に掲げる施設並びに大気汚染防止法施行令(以下「令」という。)別表第1の12の項に掲げる施設が考えられるが、これらの施設について、当該地域内の当該ばい煙発生施設に係る窒素酸化物の排出特性を十分に検討の上、個々に判断されたいこと。
  3.  3 総量規制基準の設定に当たつては、大気汚染防止法第3条第1項の規定に基づく窒素酸化物に係る排出基準(以下「排出基準」という。)が設定されていないばい煙発生施設については、特にその技術的対応可能性を十分に検討し、適切な配慮が払われるよう対処されたいこと。
  4.  4 ばい煙発生施設に係る窒素酸化物の排出特性は、当該施設において使用される燃料によつて異なることが一般に認められるが、総量規制基準の設定に当たつては、良質の燃料を使用するばい煙発生施設に対して、他の燃料を使用するばい煙発生施設に対してとられる以上の消減対策を強いることがないよう配慮されたいこと。
  5.  5 規則第7条の4第1項第1号に掲げる窒素酸化物の量として総量規制基準を定めるときは、次の事項に留意されたいこと。
    1.   (1) 規則第7条の4第2項第1号に掲げる式の6の値の設定に当たつての留意事項は、局長通達の第3の2の(3)の①に示されたとおりであるが、特にbを0.90未満の値として定めようとするときは、事前に環境庁と協議されたいこと。
    2.   (2) 廃止されたばい煙発生施設又は予備のばい煙発生施設(専ら他のばい煙発生施設の使用停止中に予備的に使用されるものをいう。以下同じ。)がある場合には、規則第7条の4第2項第1号に掲げる式のWの値から、当該ばい煙発生施設に係る値を差し引くこと。なお、今後の操業状態の見通し等を勘案した結果、今後相当の期間にわたつて使用されることがないと見込まれるばい煙発生施設についても同様の扱いができること。
    3.   (3) 規則第7条の4第2項第1号に掲げる式のWの値として、特定工場等において通常使用される原燃料の量を採用す場合には、当該ばい煙発生施設の稼働条件の見通し、当該施設が設置されている特定工場等の操業状態の見通し等についても十分に勘案の上、適切な原燃料使用料を採用することとされたいこと。
    4.   (4) 規則第7条の4第2項第1号に掲げる式のWの値は、規則第7条の2第3項に定むるところによる換算により重油の量に換算した量を用いるものであることにかんがみ、規則第7条の2第2項の規定に基づく原燃料の量の重油の量への換算に際しては、特に許容排出量の算定(bの値の設定等)との関係にも留意の上、ばい煙発生施設に係る窒素酸化物の排出特性を勘案することはもとより、3及び4並びに局長通達の第3の2の(5)の②、③及び④の事項にも留意されたいこと。
  6.  6 規則第7条の4第1項第2号に掲げる窒素酸化物の量として総量規制基準を定めるときは、次の事項に留意されたいこと。
    1.   (1) 規則第7条の4第2項第2号に掲げる式の1の値の設定に当たつての留意事項は、局長通達の第3の2の(4)の②に示されたとおりであるが、特に1を0.90未満の値として定めようとするときは、事前に環境庁と協議されたいこと。
    2.   (2) 廃止されたばい煙発生施設又は予備のばい煙発生施設がある場合には、規則第7条の4第2項第2号に掲げる式のVの値として当該ばい煙発生施設に係る値は算定しないこと。なお、今後の操業状態の見通し等を勘案した結果、今後相当の期間にわたつて使用されることがないと見込まれるばい煙発生施設についても同様の扱いができること。
    3.   (3) 規則第7条の4第2項第2号に掲げる式のVの値として特定工場等に設置されているばい煙発生施設の通常の排出ガス量を採用する場合の運用上の留意事項については、5の(3)に準ずること。
    4.   (4) 規則第7条の4第2項第2号に掲げる式のCの設定方法については、昭和56年9月環境庁告示第83号(以下「施設係数告示」という。)により告示したところであること。
          Cの値の意味等については、局長通達の第3の2の(4)の⑥において示されたとおりであるが、その設定方法に係る詳細は次のとおりであること。
      1.    ① Cの値は、施設係数告示の別表の中欄に掲げるばい煙発生施設の種類ごとに、同表の下欄(1)に掲げる数値の範囲内で都道府県知事が定めること。
      2.    ② Cの値は、当該地域におけるばい煙発生施設の窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態等を十分に把握し、1の値との関係にも留意して、特定工場等間、業種間等で基礎排出量の算定において著しい不均衡が生ずることがないように設定すること。なお、当該ばい煙発生施設の排出特性等を勘案する場合の留意事項については、第1の2の(2)の後段に準ずること。
      3.    ③ 施設係数告示別表の各項の中欄に掲げるばい煙発生施設のうち、製造工程が異なること等から、窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態等に差異が認められるばい煙発生施設がある場合には、必要に応じ同表の各項の中欄に掲げるばい煙発生施設を細分化し、細分化された施設ごとにCの値を定めることができること。
      4.    ④ Cの設定は、①~③の事項に留意して行うものであるが、排煙脱硫装置を設置するばい煙発生施設(液体燃料を使用するものに限る。)については、これまでのばい煙処理対策の経緯を踏まえ、その排出特性を勘案することが必要であると考えられることから、このような場合にあつては、別途当該施設に係る窒素酸化物の排出特性等を勘案して、Cの値を定めることができること。
             なお、当該地域において、施設係数告示別表の下欄(1)に掲げる数値の範囲内でCの値を設定することが適当でないと認められるばい煙発生施設がある場合には、当該地域における当該施設に係る窒素酸化物の排出特性等を勘案して、別途Cの値を定めることができること。
      5.    ⑤ 施設係数告示別表の下欄(1)の数値については、各ばい煙発生施設から排出される窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態、排出基準等を総合的に検討した上で各種の条件等を想定して、総量規制基準を、各ばい煙発生施設間の均衡を保ちつつ当該地域の実態を踏まえて設定することができるよう幅をもつて示したものであること。
             なお、同表の下欄(1)の数値の中で特に注意すべきものについては、次のア~シのとおりであるので、Cの値を定める際の参考にされたい。
        1.     ア 2の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設は、木くず、コークス、石灰等各種の燃料が用いられ、燃料の種類により窒素酸化物に係るばい煙農度が異なることを勘案して定めたものであること。また、本施設のうち固体燃料と他の燃料とを混焼させるものについては、当該燃料の混焼割合等に十分配慮する必要があること。なお、上限値は、石炭を専焼されるボイラーにおける実測例を参考にしたものであること。
        2.     イ 4の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の窒素酸化物に係るばい煙濃度の実測例及び本施設のうち既設のものに対する排出基準を総合的に勘案して、令別表第1の2の項に掲げるガス発生炉のうち本施設を特掲して別途数値を定めたものであること。
        3.     ウ 8の項の数値については、令別表第1の3の項に掲げる煆焼炉のうち、特にアルミナの製造の用に供するものの窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態が異なつていることから、本施設を特掲して別途数値を定めたものであること。なお、上限値は、本施設を特に高温の状態で使用した時の例を参考にしたものであること。
        4.     エ 14の項及び15の項の数値については、これらの項に掲げるばい煙発生施設の一部における窒素酸化物に係るばい煙濃度の比較的高い実測例及び排出基準におけるこれらの施設のうち既設のものの一部についての取扱いの経緯等を総合的に勘案して、令別表第1の7の項に掲げる加熱炉のうち、これらの項に掲げるばい煙発生施設を特掲して別途数値を定めたものであること。
        5.     オ 20の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の窒素酸化物に係るばい煙濃度が、焼成炉の型式、焼成の様式等により大きく異なることを勘案して定めたものであること。
        6.     カ 21の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の窒素酸化物に係るばい煙濃度が、焼成物の種類、焼成炉の型式、焼成の方式等により大きく異なることを勘案して定めたものであること。なお、上限値は、本施設を1,700℃を超えるような高温の状態で使用したときの排出実態の実測例を参考にしたものであること。
        7.     キ 23の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の窒素酸化物に係るばい煙濃度が、ガラスの種類、溶融炉の型式、酸化剤、清澄剤等添加剤の使用の有無等により大きく異なることを勘案して定めたものであること。なお、下限値は、硝酸塩を含む添加剤を用いないルツボ炉の排出実態の実測例を、また、上限値は、硝酸塩を含む添加剤を用いる光学ガラス等の製造の用に供する溶融炉等の排出実態の実測例をそれぞれ参考にしたものであること。
        8.     ク 24の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設には人工骨材製造用キルン等各種のものがあり、施設の種類により窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態が異なることを勘案して定めたものであること。
        9.     ケ 27の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態及び本施設については現時点においては排出基準が設定されていないという経緯を勘案して定めたものであること。
        10.     コ 30の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設には、一般廃棄物の廃棄物焼却炉、下水汚泥の廃棄物焼却炉等各種のものがあり、施設の種類により窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態が異なることを勘案して定めたものであること。
        11.     サ 41の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の排出実態等を参考にして定めたものであること。なお、下限値は、亜硝酸ナトリウムを用いてジアゾ化反応を行う工程に供する施設の窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態を、また、上限値は、光ニトロン化法によるカプロラクタムの製造の用に供する施設の窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態をそれぞれ参考にしたものであること。
        12.     シ 53の項の数値については、本項に掲げるばい煙発生施設の一部において窒素酸化物に係るばい煙濃度の比較的高い例があることを勘案して定めたものであること。なお、上限値は、特に高温の状態で使用したときの例を参考にしたものであること。

第3 窒素酸化物に係る特別の総量規制基準の設定について

  1.  1 規則第7条の4第3項第1号に掲げる式を基本とした窒素酸化物に係る特別の総量規制基準(以下「特別の総量規制基準」という。)については、次に述べる事項に留意されたいこと。
    1.   (1) 一の特定工場等において、新たにばい煙発生施設が設置され、それに伴い既存のばい煙発生施設が廃止された場合(いわゆるスクラツプ・アンド・ビルドの場合)は、当該新たに設置されたばい煙発生施設に係るWのうち当該廃止された既存のばい煙発生施設に係るWに相当する部分を同号の式においてWに含め既存のものと同じに取り扱うことができること。
    2.   (2) ばい煙発生施設の構造等の変更により新たに特定工場等となつたもの及びばい煙発生施設の構造等の変更が行われた特定工場等については、構造等の変更に係るWの増加分をWiとして取り扱うものとすること。
  2.  2 規則第7条の4第3項第2号に掲げる式を基本とした特別の総量規制基準については、次に述べる事項に留意されたいこと。
    1.   (1) 規則第7条の4第3項第2号に掲げる式のCiの設定方法については、施設係数告示により告示したところであり、局長通達の第3の(2)の②のイにおいて示されたところであるが、その設定の方法に係る詳細は、次のとおりであること。
      1.    ① Ciの値は、施設係数告示別表の中欄に掲げるばい煙発生施設の種類ごとに同表の下欄(2)に掲げる値以上、かつ、先に定めたCの値以下の範囲内で都道府県知事が定めること。
      2.    ② Ciの値を定める際の留意事項は、第2の6の(4)の②、③及び④に準ずること。
      3.    ③ 施設係数告示別表の下欄(2)の数値については、各ばい煙発生施設の窒素酸化物に係るばい煙濃度の実態及び新設のばい煙発生施設に係る排出基準を総合的に検討し定めたものであること。
  3.   (2) 一の特定工場等において新たにばい煙発生施設が設置され、それに伴い既存のばい煙発生施設が廃止された場合は、1の(1)に準じた取扱いを行うことができること。
        その際の取扱いとしては、ばい煙発生施設Aが新たに設置され、それに伴い既存のばい煙発生施設Bが廃止された場合、それぞれの規則第7条の4第3項第2号に掲げる式のV、C及びCiを、それぞれVa、Ca及びCia並びにVb、Cb及びCibとすると、
           CaVa≦CbVb
       のときには、ばい煙発生施設Aの施設係数はCaとすること。
        また、CaVa>CbVb
       のときには、Vaのうち、(Cb/Ca)Vbに相当する排出ガス量に対応する施設係数をCaとし、残りの排出ガス量に対応する施設係数をCiaとすること。
  4.   (3) ばい煙発生施設の構造等の変更により新たに特定工場等となつたもの及びばい煙発生施設の構造等の変更が行われた特定工場等については、1の(2)に準じた扱いとすること。
        その際の取扱いは、(2)の後段に準ずることとし、この場合、ばい煙発生施設Bが構造等の変更によりばい煙発生施設Aとなつたものとすること。