法令・告示・通達

大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行に当たっての留意事項について

公布日:平成1年12月27日
環大規399号

環境庁大気保全局大気規制課長から各都道府県・政令市大気保全担当部(局)長あて

 大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成元年法律第33号。以下「改正法」という。)の施行については、平成元年12月27日付け環大企第489号をもって事務次官より、平成元年12月27日付け環大企第490号をもって大気保全局長よりそれぞれ通達したところであるが、その他の事項については下記のとおりであるので、これに留意のうえ、改正法による改正後の大気汚染防止法(昭和43年法律第97号。以下「法」という。)の円滑な施行に遺憾のないようにされたい。

第1 特定粉じん発生施設の届出書の様式について

  今回、大気汚染防止法施行規則(昭和46年厚生省・通商産業省令第1号)様式第3から様式第6の改正を行ったが、改正前の様式による用紙は、当分の間、これを取り繕って使用しても差し支えないこと。

第2 計画変更命令等及び改善命令等の実施について

 1 法第18条の8又は第18条の11に規定する命令の運用に当たっては、別添の「アスベスト対策推進検討会報告書」(平成元年11月)を参考とし、法の適正な運用に十分配慮されたいこと。
特に、法第18条の8に規定する計画変更命令等の必要性の判断に当たっては、法第18条の6第3項の規定に基づく特定粉じん発生施設及び集じん機の取替えに係る届出の場合にあっては、従前の対策により、規制基準を満たしている場合には、これを十分考慮されたいこと。

 2 法第18条の8又は第18条の11に基づき、特定化学物質等障害予防規則(昭和63年労働省令第26号。以下「特化則」という。)第5条に規定する発散源を密閉する設備、局所排気装置(特化則第9条に基づき設けられる除じん装置を含む。)又は全体換気装置(以下「密閉設備等」という。)に関し、命令を発するに当たっては、法第18条の5に規定する規制基準に適合しない原因が当該密閉設備等にあることが明らかであり、当該密閉設備等に係る措置を除いては規制基準に適合させることが困難と判断される場合について行うこととするよう配慮されたいこと。なお、命令を発するときは、事前に対象となる工場又は事業場を所管する都道府県労働基準局に連絡されたいこと。

第3 特定粉じんの濃度の測定について

 1 人の呼吸器への石綿の吸入性については、一般には、長さが5μm以上、長さと幅の比が3:1以上及び幅(直径)が3μm未満のものが主に問題になるとされているが、従来の測定実績によれば大気中には幅が3μm以上の繊維状物質はほとんど存在しないこと及び測定値の有効範囲が±20%程度であることを踏まえれば、実際には、計数に当たって石綿の幅について考慮する必要はないと考えられ、このため、平成元年12月27日付け環境庁告示第93号(以下「第93号告示」という。)においては、顕微鏡による計数の対象とする繊維状物質の幅に関する特段の規定を行わなかったものであること。
ただし、幅が3μm以上の繊維状物質が測定値の評価に影響を与えると認められる場合には、石綿のうち幅が3μm未満のものが主に人の健康に影響があるとされていることにかんがみ、計数に当たっては、幅が3μm以上の繊維状物質を除外することが適当であること。

 2 第93号告示の備考2に定めるところにより、評価の対象とする石綿以外の石綿の濃度を把握する際には、以下の点に留意されたいこと。

  1.   (1) 第93号告示の備考2の(1)に該当する場合にあっては、あらかじめ、測定の対象となる工場又は事業場が休業し、かつ、隣接し又は近接する工場又は事業場が操業している時期において石綿濃度の測定を行うなどにより、評価の対象とする石綿以外の石綿の濃度を把握すること。また、備考2の(2)に該当する場合にあっては、測定の対象となる工場又は事業場の休業時において石綿濃度を測定するなどにより、評価の対象とする石綿以外の石綿の濃度を適切に定めること。
  2.   (2) 第93号告示の備考2の(2)について、評価の対象とする石綿以外の石綿の濃度が高くなり得る地域としては、蛇紋岩の砕石場周辺地域、幹線道路沿線地域等が存在すること。

 3 平成元年12月27日付け環境庁告示第94号の「常時使用する従業員の数」の評価に当たっては、以下の点に留意されたいこと。

  1.   (1) 常時使用する従業員とは、法人又は個人と雇用契約関係にある者であって、その形態が常雇であるものをいうこと。したがって、業務を行う者であつても法人の役員、臨時雇等は、常時使用する従業員に含まれないこと。
  2.   (2) 従業員の数は、事業者が使用する従業員のうち個々の工場又は事業場に配置されている従業員の数ではなく、事業者が使用する従業員の総数であること。

 4 第93号告示に定める測定法は、煩雑で熟練を要するものであることから、一定レベル以上の測定能力を有する者が行うことが望ましいこと。このため、法第18条の12に規定する測定に当たっては、環境庁の指定する研修を受講した者、作業環境測定士又はこれらと同等の測定能力を有する者が行うことが望ましいこと。