法令・告示・通達

ダイオキシン類対策特別措置法の施行について

公布日:平成12年01月12日
環企企11号・環保安6号・環大企11号・環大規5号・環水企14号・環水管1号・環水規5号・環水土7号

[改定]
平成17年6月20日 環水企発第050620001号
環水管発第050620001号
環水土発第050620003号
平成17年6月29日 環管総発第050629003号
環水企発第050629001号
環水管発第050629001号
環水土発第050629009号
平成17年8月15日 環水管発第050815001号
平成19年3月1日  環水大水発第070301002号
環水大土発第070301002号

(環境庁企画調整局長、大気保全局長、水質保全局長から都道府県知事、政令指定都市市長、中核市市長あて)

ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号。以下「法」という。)については、平成11年7月12日に制定、同年7月16日に公布され、平成12年1月15日から施行される(ダイオキシン類対策特別措置法の施行期日を定める政令(平成11年政令第432号))。
また、ダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成11年政令第433号。以下「令」という。)、ダイオキシン類対策特別措置法の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成11年政令第434号。以下「整備等政令」という。)及びダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成11年総理府令第67号。以下「規則」という。)は、同年12月27日に公布され、整備等政令の一部を除き、法の施行の日から施行される。
さらに、法第7条の規定に基づく環境基準については、平成11年12月27日「ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染に係る環境基準について」(平成11年環境庁告示第68号。以下「告示」という。)として告示したところである。
法は、ダイオキシン類が人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある物質であることにかんがみ、ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等をするため、ダイオキシン類に関する施策の基本とすべき基準等を定めるとともに、必要な規制及び事業に係る措置等を定めることにより、国民の健康の保護を図ることを目的とするものであり、貴職におかれては、下記事項に留意の上、本法の円滑かつ適切な施行に万全を期されるようお願いする。
なお、廃棄物焼却炉に係るばいじん等の処理(法第24条)及び廃棄物の最終処分場の維持管理(法第25条)については、別途通知する。

  1. 第1 法制定の経緯
    ダイオキシン問題については、将来にわたって、国民の健康を守り環境を保全するために、内閣を挙げて取組を一層強化しなければならない課題であるとの基本的考え方に基づき、平成11年3月30日、内閣総理大臣が主宰するダイオキシン対策関係閣僚会議において、今後の国の総合的かつ計画的なダイオキシン対策の具体的な指針として、「ダイオキシン対策推進基本指針」が策定された。
    その後、議員提案により、法が第145回通常国会に提出され、衆参両議院において全会一致で可決され、同年7月16日に公布された。
  2. 第2 全体的事項
    1. ア 法におけるダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)及びコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)と定義されている(法第2条第1項)。
    2. イ ダイオキシン類は各異性体の毒性が異なるため、2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの毒性に換算して合計した毒性等量(TEQ)により表すものとする(単位としては、「-TEQ」として表している。)。2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの毒性への換算は、測定により得られるダイオキシン類の各異性体の濃度に毒性等価係数(TEF)を乗じて合計するものとする。この際用いる毒性等価係数は、別添のとおりである。なお、この毒性等価係数は、規則第3条において定められているもの(規則別表第3)と同じものである。
    3. ウ 法は、大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)及び水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)の特別法として位置付けられると解され、また、法においてこれら二法と同様の規定があることから、法の施行に当たっては、両法の運用を参考にされたい。
    4. エ 本通知において、特段の記述なく「水質」といった場合、底質は含まない。
    5. オ 都道府県知事又は法第41条第1項により政令で定める市の長が行うこととなっている事務については、本通知において事務主体を「都道府県知事」と記述しているので適宜読み替えられたい。
  3. 第3 耐容一日摂取量及び環境基準
    1. 1.耐容一日摂取量
      法第6条においては、国及び地方公共団体が講ずるダイオキシン類に関する施策の指標とすべき耐容一日摂取量(ダイオキシン類を人が生涯にわたって継続的に摂取したとしても健康に影響を及ぼすおそれがない1日当たりの摂取量)を人の体重1キログラム当たり4pg-TEQ以下で政令で定めることとされている。
      この規定に基づき、中央環境審議会、生活環境審議会及び食品衛生調査会の検討結果(平成11年6月)を踏まえ、耐容一日摂取量を人の体重1キログラム当たり4pg-TEQとした(令第2条)。
      耐容一日摂取量は、人が生涯にわたって摂取し続けた場合の健康影響を指標とした値として定められたものであり、一時的にこの値を超過する量の曝露を受けたからといって健康を損なうものではないことに留意する必要がある。
    2. 2.環境基準
      法第7条の規定に基づき、大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染に係る環境上の条件について、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準(以下「環境基準」という。)を告示により以下のとおり設定した。環境基準は、環境保全のために講じられる諸施策の共通の行政目標として設定したものであり、環境基準の達成・維持を目標に、各般にわたる対策を総合的に推進するものである。
      1. (1) 基本的考え方
        環境基準は、各環境上の条件につき、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として定めたものであるが、汚染又は汚濁の進行を基準値の上限まで容認することを趣旨とするものではない。
        1. ア 大気環境基準について
          大気の汚染に係る環境基準(以下「大気環境基準」という。)は、現状のダイオキシン類の曝露量に占める大気経由割合、今後の大気環境中の濃度の変化と人の曝露量の関係の試算、我が国における大気環境中のダイオキシン類濃度の現状等を踏まえ、長期的摂取による影響であることを考慮し、人の健康を保護する見地から総合的に判断し、0.6pg-TEQ/m3以下とした。
        2. イ 水質環境基準について
          水質の汚濁に係る環境基準(以下「水質環境基準」という。)は、我が国、諸外国及び国際機関において検討され、集約された科学的知見、我が国における水環境中のダイオキシン類濃度の現状等を踏まえ、飲料水経由の直接摂取による長期的な影響の観点から数値を算定し、また、水質汚濁に由来する水生生物経由の間接的摂取による長期的な影響の観点から検証し、1pg-TEQ/L以下とした。
        3. ウ 土壌環境基準について
          土壌の汚染に係る環境基準(以下「土壌環境基準」という。)は、土壌の摂食や皮膚接触といった直接摂取による長期的な影響を考慮して、1,000pg-TEQ/g以下とした。
          また、土壌に関しては、他媒体への影響等の調査を開始する目安となる調査指標を定めた(告示別表中備考3)。これは、土壌中のダイオキシン類は分解されにくく、いったん汚染されると長期間蓄積され、水域など他の環境媒体への二次的な汚染源となる可能性があるという特性及びその挙動に関し明らかでない点があることを勘案し、汚染の進行防止、他媒体への影響把握及び知見の集積のため土壌に関しては特に必要とされたものである。
          この調査指標は、既に得られている全国の土壌中ダイオキシン類に係るデータ分布から250pg-TEQ/gとした。この指標値以上の場合には、周辺の土壌や発生源、他の媒体の状況等について、追加的な調査や継続的なモニタリングを実施することとしたものである。
      2. (2) 運用上の取扱い
        1. ア 適用範囲について
          1. (ア) 大気環境基準について
            大気環境基準は、都市計画法(昭和43年法律第100号)第9条第12項に規定する工業専用地域、車道部分その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については適用しないこととした。
          2. (イ) 水質環境基準について
            水質環境基準は、水量など水域の条件の如何を問わず、常に維持されるべきものとすることとし、すべての公共用水域に適用することとした。また、地下水については、広く人の健康を保護するという観点から、現に飲用に供されている地下水のみならず、すべての地下水について適用することとした。
          3. (ウ) 土壌環境基準について
            土壌環境基準については、直接摂取の経路に加え土壌中のダイオキシン類が粒子状物質に吸着されて水域に移行する可能性があること及びわずかながらも水に溶解することから水域への移行に対する配慮が必要であるため、土地利用の用途によらず、すべての土壌に適用することとした。
            ただし、廃棄物の埋立地、廃止後の廃棄物の埋立地等であって一般国民の直接的な曝露及び土壌中のダイオキシン類の水域への移行に対する配慮がなされることにより、外部から適切に区別されている施設に係る土壌については、適用しないこととした。
            また、土壌環境基準は、法に基づく措置を実施する場合だけでなく、事業者等が自らの敷地内において自主的に対策を行う場合にも尊重されるべきものであり、事業者等への周知及び指導をすることが望まれる。
        2. イ 測定方法について
          ダイオキシン類について、正確な測定結果を得ることは、その環境中の濃度の現状の把握のみならず、その傾向の把握、その影響の評価及び排出抑制対策の立案とその効果の評価等今後のダイオキシン類対策を推進する上で重要なことであるので、以下の事項に留意の上、適正な測定に努められたい。
          なお、ダイオキシン類に係る測定は、極微量の定量を行うことから、試料採取から分析に至るまでの全測定過程の管理に努め、測定結果について十分な精度が確保されるよう留意する必要がある。このことは、「第4 排出規制について 2.排出基準(8頁~9頁)」に係る排出ガス及び排出水の測定においても同様である。
          1. (ア) 大気環境基準について
            大気に係るダイオキシン類については、「ダイオキシン類対策特別措置法第26条の規定に基づく大気のダイオキシン類による汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準について(平成13年5月21日付け環管総第145号、平成17年6月29日改正)に即して行うこととする。
            毒性等量の算出の際の定量下限未満の数値の取扱いについては、定量下限未満検出下限以上の数値はそのままその値を用い、検出下限未満の数値は検出下限の1/2の値を用いて各異性体の毒性等量を算出することとする。
          2. (イ) 水質環境基準について
            水質に係るダイオキシン類の測定は、日本工業規格K 0312(2005)(以下「規格」という。)に定める方法により測定することとする。
            毒性等量の算出の際の定量下限未満の数値の取扱いについては、規格8.3のb)の2)の2.2)により、定量下限未満検出下限以上の数値はそのままその値を用い、検出下限未満の数値は検出下限の1/2の値を用いて各異性体の毒性等量を算出することとする。
          3. (ウ) 土壌環境基準について
            土壌に係るダイオキシン類の測定は、土壌中に含まれるダイオキシン類をソックスレー抽出し、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法によることとする。
            毒性等量の算出の際の定量下限未満の数値の取扱いについては、定量下限未満の数値を0とすることとする。
            なお、測定方法に関する詳細については、別途通知する。
        3. ウ 環境基準達成状況の評価について
          大気環境基準及び水質環境基準の達成状況の評価は、環境基準が年間平均値についての条件として定められていることから、同一測定点における1年間のすべての検体の測定値の算術平均値により評価することとする。
          なお、地下水の汚染の状況に関する調査測定の結果は、1年間のすべての検体の測定値の算術平均値で評価するものではあるが、地下水は直接飲用に供されることがあることから、水質環境基準の基準値を超過する汚染が判明した時点で、人の健康を保護する観点からまず飲用指導等利用面からの措置を講じることが必要である。
          土壌環境基準の達成状況の評価については、土壌中のダイオキシン類の濃度は経時的な変化が比較的小さいことから、環境基準の達成状況は、1回の調査結果をもって評価することとする。
        4. エ 達成期間について
          環境基準の達成期間については、環境基準が達成されていない地域又は水域にあっては、可及的速やかに達成されるように努めることとする。また、環境基準が現に達成されている地域若しくは水域又は環境基準が達成された地域若しくは水域にあっては、その維持に努めることとする。この環境基準は人の健康の保護に関するものであることから、設定後速やかに達成・維持されるよう特に留意して努められたい。
          ただし、土壌環境基準については、土地の利用状況等により早期に環境基準を達成するための措置を講ずることが困難な場合がある。この場合は、汚染の程度、広がり等に応じて、覆土や植栽、舗装工等により人の健康への被害を防止するための措置を講ずるほか、汚染の進行及び拡散の防止に努めることとする。
        5. オ 環境基準の見直しについて
          今般の環境基準は、現在得られている知見に基づき設定したものであり、今後の科学的知見の集積に伴って適宜見直しを行うことがあるものである。
  4. 第4 排出規制について
    1. 1.法の規制対象範囲
      1. (1) 大気基準適用施設
        1. ア 大気基準適用施設は、ダイオキシン類を発生し及び大気中に排出する施設で政令で指定したものである(令別表第1)。
        2. イ 令別表第1第2号に掲げる製鋼用電気炉については、大気汚染防止法施行令(昭和43年政令第329号)別表第6第12号に規定されているものと同一の施設である。
          令別表第1第3号に掲げる亜鉛の回収の用に供する焙焼炉、焼結炉、溶鉱炉、溶解炉及び乾燥炉並びに令別表第1第4号に掲げるアルミニウム合金の製造の用に供する焙焼炉、溶解炉及び乾燥炉については、それぞれ原料として使用するものにより除外規定が設けられていることに留意されたい。
          令別表第1第5号に掲げる廃棄物焼却炉については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項の規定による廃棄物を焼却処理する施設が該当する。
          また、特定施設として規制対象となるか否かは、火床面積又は焼却能力に係る施設規模要件により判断する。なお、廃棄物の焼却施設に二以上の廃棄物焼却炉が設置されている場合には、それらの火床面積又は焼却能力の合計をもって規制の対象となるかの判断を行うものである。
      2. (2) 水質基準対象施設
        1. ア 水質基準対象施設は、ダイオキシン類を含む汚水又は廃液(以下「汚水等」という。)を排出する施設で政令で指定したものである(令別表第2)。
        2. イ 令別表第2第16号に掲げる施設として、廃PCB等又はPCB処理物の分解施設及びPCBの汚染物又はPCB処理物の洗浄施設又は分離施設を指定した。これらは、PCBを化学的に分解処理するものであり、ダイオキシン類を分解、除去する機能を併せ有しているが、特定施設に指定することにより、その適切な運転、管理を確認し、もってPCBの処理の促進が図られることとなるものである。
          令別表第2第18号に掲げる下水道終末処理施設及び令別表第2第19号に掲げる水の処理施設については、それ自体はダイオキシン類を発生させるものではないが、令別表第1第1号から第17号に掲げる施設に係る汚水等を受け入れ、結果的にダイオキシン類を含む汚水等を排出する場合があることから水質基準対象施設に指定した。これらの施設は、令別表第2第1号から第17号に掲げる施設が下水道に接続していること又は当該施設に係る汚水等を受け入れ及び処理すること、すなわちダイオキシン類を含む汚水等を受け入れることによって水質基準対象施設となることに留意されたい。
        3. ウ 「水質基準対象施設」とは、「水質排出基準に係る特定施設」を指す(法第12条第1項第6号)が、これは特定施設を大気に係るものと水質に係るものに二分したものである。
          このため、特定施設のうち、ダイオキシン類を含む汚水等を工場・事業場の内部で循環して利用し公共用水域に排出しないものや、下水道に接続しているものも、水質基準対象施設に該当することに留意されたい。
      3. (3) その他
        いわゆる小型廃棄物焼却炉(処理能力50kg/h以上200kg/h未満のもの等)が大気基準適用施設に指定されたため、これら小型廃棄物焼却炉に係る廃ガス洗浄施設等も水質基準対象施設となる。また、法の他に別途廃棄物の処理及び清掃に関する法律による規制を受ける施設がある。これらの施設に係る届出審査や立入検査といった法施行事務のためには、関係する部局間の連携を密にして対応することが望まれる。
    2. 2.排出基準
      排出基準は、法第8条に基づきダイオキシン類の排出の削減に係る技術水準を勘案して特定施設の種類及び構造ごとに設定した(規則第1条)。
      1. (1) 大気排出基準
        1. ア 大気排出基準は、新設の大規模施設については実施可能な最善の技術を考慮して設定し、既存施設や中小規模の施設についてはそれらの現実的な対応能力も考慮して設定した(規則附則別表第2及び規則別表第1)。また特に、既存施設については、対策技術を導入するまでは一定の期間が必要なことを踏まえ、小規模な改造及び管理状況の改善による達成可能性を考慮した平成14年11月30日までの大気排出基準を設定した(規則附則別表第1)。
        2. イ 大気汚染防止法附則第9項の規定に基づき、平成9年12月2日以後に新たに設置された施設に係る指定物質抑制基準(平成9年環境庁告示第26号)が既に適用されている施設については、規則別表第1に掲げる大気排出基準が適用されることに留意されたい。
          これに関連して、整備等政令において、大気汚染防止法施行令の改正を行い、大気汚染防止法附則第9項の指定物質抑制基準の対象となる指定物質からダイオキシン類を削除するとともに、同基準の対象となる指定物質排出施設からダイオキシン類関連の施設を削除した。なお、本改正は、法第20条第2項の規定により、一の施設が特定施設となった際現にその施設を設置している者の当該施設から排出される排出ガスについては、法第20条第1項の規定が当該施設が特定施設となった日から1年間適用が猶予されていることにかんがみ、大気汚染防止法施行令の一部改正の施行期日は平成13年1月15日としている。
      2. (2) 水質排出基準
        1. ア 水質排出基準は、規則別表第2を基本とするが、令別表第2第2号から第4号までに掲げる水質基準対象施設のうち、既存施設に対しては、平成15年1月14日まで適用される暫定的な水質排出基準を設定した(規則附則別表第3)。
        2. イ 暫定的な水質排出基準は法の施行から3年間に限って適用されるものであり、3年後には規則別表第2の水質排出基準への移行を検討することとしているので、その期間内であっても可及的速やかに規則別表第2の水質排出基準が達成されるよう必要な指導を行うことが望ましい。
        3. ウ 暫定的な水質排出基準を含め、異なる水質排出基準が適用される二以上の水質基準対象施設を有する工場・事業場でそれらの排水系統が一である場合において、当該排水系統からの排出水については、それらの基準のうち最大の許容限度のものを適用する(規則附則別表第3備考)。
      3. (3) 都道府県が定める排出基準
        1. ア 法第8条第3項により都道府県が定める排出基準(以下「上乗せ排出基準」という。)は、排出ガスに係るものにあっては大気環境基準が維持されるため必要かつ十分な程度の許容限度を定めるものとし、排出水に係るものにあっては水質環境基準が維持されるため必要かつ十分な程度の許容限度を定めるものとしなければならない(令第3条)。この場合においては、環境基準を超過している原因について調査・把握し、上乗せ排出基準の設定の必要性及び有効性を的確に判断する必要がある。
        2. イ 都道府県が上乗せ排出基準を定める場合には、あらかじめ環境大臣に通知しなければならない。また、排出水に係る上乗せ排出基準を定める場合にあっては、都道府県知事はあらかじめ関係都道府県知事に通知しなければならない(法第8条第5項)。これは、国が上乗せ排出基準の設定状況を早期に把握するとともに、二以上の都道府県にまたがる水域(県際水域)において上乗せ排出基準の設定が行われる場合に、関係都道府県がそれぞれにおいて設定する上乗せ排出基準の設定時期又は基準の内容の整合性の確保に配慮することができるようにするものである。
    3. 3.特定施設の設置の届出等
      1. ア 特定施設を設置しようとする者は、法第12条第1項及び第2項に定める事項を届け出なければならない。なお、届出事項のうち第2項に掲げる「ダイオキシン類の排出量」については、法第8条第2項の規定から、排出ガス又は排出水中のダイオキシン類の濃度を届け出させるものである。
      2. イ 特定施設については、排出基準を継続的かつ安定的に達成させる観点から、発生ガス又は汚水等の処理方法だけでなく、焼却施設への適正負荷、燃焼管理の徹底等発生源対策が特に重要であるので、届出の審査、改善命令の発動等に当たって留意されたい。
      3. ウ 水質基準対象施設であって、ダイオキシン類を含む汚水等を下水道に排除するもの、又は水質基準対象施設を設置する工場・事業場の内部で循環して利用するものについても、特定施設であることから、設置者は法第12条に基づく届出を必要とする。
        ただし、ダイオキシン類を含む汚水等を下水道に排除する場合にあっては、法第12条の届出、法第15条の計画変更命令等、法第22条の改善命令、法第34条の報告徴収及び立入検査等につき下水道法(昭和33年法律第79号)において同様の仕組みが設けられていることに留意されたい(下水道法第12条の2から第12条の8、第13条、第37条の3及び第39条の2参照)。
    4. 4.排出の制限及び改善命令等
      1. (1) 排出の制限
        1. ア 排出ガスを排出し又は排出水を排出する者は、当該排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の量が、大気基準適用施設にあっては排出ガスの排出口、水質基準適用事業場にあっては排出水の排水口において、排出基準に適合しない排出ガス又は排出水を排出してはならない(法第20条第1項)。その違反行為については、当該違反行為が行われた日から3月以内に都道府県知事がその職員に当該特定施設に立入検査をさせ、その立入検査において規則第2条で定める測定方法により測定した結果が排出基準に適合しない場合に限り罰則が適用される(法第45条第3項及び規則第2条)。
          なお、法第45条第3項における当該違反行為が行われた日とは、当該違反行為に係る試料を採取した日である。
          また、規則第2条第3号に規定する測定における同一試料とは、試料の採取を行った後、抽出処理を行った試料である。この場合、同一試料について3回分析を行うこととなる場合があるので、これに対応できるよう十分な量の試料採取が必要である。
        2. イ 法第20条第1項は、ある施設が特定施設として指定された際、現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)の当該施設から排出される排出ガス又は当該施設に係る排出水には、1年間は適用されない(法第20条第2項)。
        3. ウ 上記の猶予期間は、一定の場合には適用されない。すなわち、①ある施設が水質基準対象施設として政令指定された際、既にその施設を設置している工場・事業場が水質基準適用事業場であるとき、②ある施設が大気基準適用施設又は水質基準対象施設として政令指定された際、その施設に適用されている地方公共団体の条例の規定で第20条第1項の規定に相当するもの(その違反に罰則があるものに限る。)があるときの2つの場合である(法第20条第2項ただし書)。
          ①の場合は、当該工場・事業場は既に本法上の水質基準適用事業場であり、水質排出基準の適用を現に受けているものであるから、当該工場・事業場に現に設置している他の施設がその後水質基準対象施設となったとしても、従来適用されていた水質排出基準が適用されるものである。
          ②の場合は、当該工場・事業場については従来地方公共団体の固有条例により法第20条第1項と同様の排出規制が行われていたものであり、排出規制の根拠規定が固有条例から法に移行するにすぎないため、同項の適用猶予はなされないものである。なお、「前項の規定に相当する」地方公共団体の条例の規定の解釈上留意すべきことは、固有条例による排出規制の基準値のレベルが法による排出基準のレベルと同等以上のものに限ることである。したがって、固有条例による排出規制の基準が、法の排出基準よりもゆるい場合は、「相当する」規定には該当しない。
      2. (2) 改善命令等
        1. ア 都道府県知事は、排出ガスを排出する者がその設置している大気基準適用施設の排出口において大気排出基準に適合しない排出ガスを継続して排出するおそれがあると認めるとき、又は排出水を排出する者がその設置している水質基準適用事業場の排水口において水質排出基準に適合しない排出水を継続して排出するおそれがあると認めるときは、期限を定めて、特定施設の構造若しくは使用の方法、発生ガス又は汚水等の処理の方法の改善を命じ、又は特定施設の使用の一時停止を命ずることができる(法第22条第1項)。なお、この場合であっても、第20条第2項及び第3項の規定は準用される(法第22条第2項)
        2. イ 法第22条第1項に定める改善命令等は、現実に排出基準違反がなくても、特定施設又は関連する施設に構造的・技術的欠陥があり、違反の「おそれ」があれば適用できる。
        3. ウ 「特定施設の使用の一時停止を命ずること」とは、事実上操業停止命令として機能するものであるが、原料等の搬入、製品の売り込みや搬出等の事業活動をも停止するものではない。
    5. 5.事故時の措置
      1. (1) 事故の考え方
        特定施設を設置している者は、特定施設の故障、破損その他の事故が発生し、ダイオキシン類が大気中又は公共用水域に多量に排出されたときは、直ちに、その事故について応急の措置を講じ、かつ、その事故を速やかに復旧するように努めなければならない(法第23条第1項)。
        「特定施設の故障、破損その他の事故」については、人為的な事故に限らず、天災等の不可抗力による事故を含む。
      2. (2) 通報義務
        法第23条第1項の場合には、同項に規定する者は、直ちにその事故の状況を都道府県知事に通報しなければならない(法第23条第2項)。
        この場合、通報義務を有する者は、特定施設を設置している者であり、水質基準対象施設にあっては、水質基準適用事業場からの水を公共用水域に排出しているか下水道へ排除しているかを問わない。
      3. (3) 応急の措置
        「応急の措置」とは、事故が発生し、これによる引き続くダイオキシン類又はダイオキシン類を含む水の排出の防止のための措置をいい、必ずしも原状復旧措置とは一致しない。具体的な応急措置の事例としては、破損した特定施設の運転停止、破損した特定施設への水の供給停止、土のうの積み上げ等による公共用水域への流出の防止等の措置があげられる。
    6. 6.設置者による測定
      1. (1) 汚染状態の測定
        1. ア 大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、大気基準適用施設にあっては当該施設から排出される排出ガス、水質基準適用事業場にあっては当該事業場から排出される排出水につき、そのダイオキシン類による汚染の状況について、年1回以上、測定を行わなければならない(法第28条第1項及び令第4条第1項)。また、大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者はその測定結果を都道府県知事に報告し、報告を受けた都道府県知事は、その測定結果を公表するものとされている(法第28条第3項及び第4項)。
          なお、ここでいう公表については、設置者からの報告を受けて、円滑に公表を行えるようにできることが求められる。
        2. イ 大気基準適用施設又は水質基準対象施設の設置者にあっては、工場・事業場の日常の運転管理状況を的確に把握するようその旨必要な指導を行うことが望ましい。
        3. ウ 水質基準対象施設には、小型廃棄物焼却炉に係る施設等水質汚濁防止法の特定施設に指定されていないものがあることから、当該施設に係る排出水に対しては、ダイオキシン類だけでなく浮遊物質量(SS)など関連する項目の削減を視野に入れた一体的な排水管理に努めることが重要であるので、その旨必要な指導を行うことが望ましい。
        4. エ 法第28条は、水質基準適用事業場から排出される排出水に係るダイオキシン類による汚染状況について測定を行うことを規定したものであることから、水質基準対象施設に係る汚水等、すなわち、ダイオキシン類を含む汚水等がその構造等から判断して公共用水域に排出されることがないと認められる場合にまで、本条による測定義務を課するものではないと解する。ただし、水質基準対象施設に係る汚水等の一部が当該水質基準適用事業場から公共用水域に排出される場合にあっては、当然、本条の適用を受けることとなるので留意されたい。
    7. 7.報告及び検査
      特定施設に対する報告徴収及び立入検査は、上乗せ排出基準の設定を目的とする場合を含め、この法律の施行に必要な限度において行うことができる(法第34条第1項)。
      1. (1) 報告徴収
        1. ア 大気基準適用施設を設置する者に対して報告を徴収できる事項は、当該大気基準適用施設の使用の方法、排出ガスの処理の方法、排出ガスの量、排出ガス中のダイオキシン類の濃度、法第12条第2項の環境省令で定める事項(ダイオキシン類発生抑制のための構造上の配慮及び運転管理に関する事項、緊急連絡用の電話番号その他緊急時における連絡方法、排出ガスの発生及び排出ガスの処理の系統、排出ガスの測定場所)、当該大気基準適用施設の事故の状況及び事故時の措置である(令第7条第1項及び規則第4条第2項第1号)。
        2. イ 水質基準対象施設を設置する者に対して報告を徴収できる事項は、当該水質基準対象施設の使用の方法、汚水又は廃液の処理の方法、排出水の汚染状態及び量、法第12条第2項の環境省令で定める事項(ダイオキシン類発生抑制のための構造上の配慮及び運転管理に関する事項、緊急連絡用の電話番号その他緊急時における連絡方法、用水及び排水の系統)、当該水質基準対象施設の事故の状況及び事故時の措置である(第7条第2項及び規則第4条第2項第2号)。なお、「汚水又は廃液の処理の方法」とは、汚水等の処理施設の設置場所、汚水等の処理施設の種類、構造、汚水等の処理の方式、汚水等の処理の系統、汚水等の集水及び汚水等の処理施設までの導水の方法等である(規則第4条第1項届出様式第1参照)。
      2. (2) 立入検査
        1. ア 大気基準適用施設にあって立入検査の対象となる施設又は物件は、当該大気基準適用施設及び排出ガスの処理施設並びにこれらの関連施設、当該大気基準適用施設において使用する燃料及び原料並びに関係帳簿書類である(令第7条第3項)。「これらの関連施設」とは、当該大気基準適用施設に接続する機械又は装置、排出口までの排気管等である。
        2. イ 水質基準対象施設にあって立入検査の対象となる施設又は物件は、当該水質基準対象施設及び汚水又は廃液の処理施設並びにこれらの関連施設、当該水質基準対象施設において使用する原料、当該水質基準適用事業場の敷地内の土壌及び地下水並びに関係帳簿書類である(令第7条第4項)。「これらの関連施設」とは、工程において当該水質基準対象施設に接続する機械又は装置、汚水等の導水施設、排水口までの排水路等である。「水質基準対象施設において使用する原料」とは、石灰、触媒等水質基準対象施設において使用する材料を含む。
        3. ウ 法第34条第1項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない(法第34条第3項)。身分証明書の様式は、規則第14条により定めている。
    8. 8.瀬戸内海環境保全特別措置法の一部改正
      1. (1) 水質基準対象施設の設置について
        瀬戸内海関係府県の区域において、工場又は事業場から排出される排出水が1日当たり最大50m3以上の水質基準対象施設を設置・変更しようとする場合には、事業者は瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号。以下「瀬戸内法」という。)に基づき府県知事への許可申請を行うことが必要である。
        この場合、法による水質基準対象施設の設置・変更の府県知事への届出を不要とする。
        なお、瀬戸内法では、水質汚濁防止法の特定施設及び法の水質基準対象施設である施設を特定施設としている。このため、水質汚濁防止法の特定施設であって、既に瀬戸内法第5条に基づく特定施設の設置の許可を受けているものについては、新たに法の水質基準対象施設になった場合にも、許可申請又は届出の義務を負わないこととなる。ただし、当該施設に係る汚水等に含まれるダイオキシン類の量等必要な事項に関しては、法に基づく報告徴収(瀬戸内法第12条第6項において読替適用される法第34条第1項)が可能であるので、その旨留意されたい。
      2. (2) 適用除外について
        瀬戸内海関係府県の区域における水質基準対象施設の設置・変更に関して瀬戸内法に基づく許可申請を行った施設については、法に基づく計画変更命令、実施の制限に関しての法の手続きを適用除外とする。
  5. 第5 常時監視等
    1. 1.常時監視
      都道府県知事は、当該都道府県の区域に係る大気、水質(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌のダイオキシン類による汚染の状況について常時監視しなければならない(法第26条第1項)。
      これにより、ダイオキシン類による汚染又は汚濁の兆候の早期発見を行うとともに、汚染又は汚濁の広がり、経年変化等を把握し、対策の効果を確認することとしたものである。
      ここでいう「常時監視」とは、従前の大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の規定に基づく常時監視と同様、一刻の切れ目もなく連続的に行うことまでを要求するものではない。また、「監視」とは、ダイオキシン類により汚染の実態を把握することであり、必ずしも自ら測定を行う必要はなく、他者の行った測定結果を利用することによっても差し支えない。
      都道府県知事は、常時監視の結果を環境大臣に報告しなければならない(法第26条第2項)。常時監視の結果については、都道府県が取りまとめたものを原則として1年に1回、大気環境に係る結果については環境管理局長、水質(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌に係る測定結果については水環境部長あて報告されたい。なお、報告様式等については別途通知する。
    2. 2.常時監視に係る測定
      常時監視は、全国で統一的に行われる必要があり、また、正確な測定結果を得ることは、その環境中の濃度の現状の把握のみならず、その傾向の把握、その影響の評価及び排出抑制対策の立案とその効果の評価等今後のダイオキシン類対策を推進する上で重要なことから、「第3 耐容一日摂取量及び環境基準 2.環境基準 (2) 運用上の取扱い イ 測定方法について(5頁)」によるほか、大気の汚染及び水質の汚濁に関しては以下のとおりとし、土壌の汚染については別途通知する。
      1. (1) 大気の汚染
        大気については、「ダイオキシン類対策特別措置法第26条の規定に基づく大気のダイオキシン類による汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準について」(平成13年5月21日付け環管総第145号、平成17年6月29日改正)に即して行うこととする。
      2. (2) 水質の汚濁
        水質については、「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質(水質の底質を含む。)の常時監視に係る法定受託事務の処理基準について」(平成13年5月31日付け環水企第93号、平成17年6月29日改正)に即して行うこととする。
    3. 3.常時監視と調査測定の関係
      法において「常時監視」とは、体系的に汚染の実態を把握することである。また、常時監視には、汚染実態の把握のための調査測定を行う場所及び方法を決め、結果をとりまとめ、基準の達成状況等の評価を行うことを含む。
      これに対し、「調査測定」とは、実際の試料採取及び分析を指す。このため、常時監視は何らかの調査測定の結果を使用するものであるが、常時監視に用いられない調査測定も存在するということになる。
      都道府県知事は常時監視をし、国に報告しなければならない(法第26条第1項及び第2項)。常時監視に用いられる調査測定の主体は前述のとおり問われないが、とりまとめ及び報告結果については、都道府県知事が責任を負う。
  6. 第6 ダイオキシン類土壌汚染対策地域の指定
    ダイオキシン類土壌汚染対策地域(以下「対策地域」という。)の指定は、法第29条第1項の規定により、環境基準を満たさない地域であって、その地域内の土壌のダイオキシン類による汚染の除去等をする必要がある地域として政令で定める要件(令第5条)に該当する地域について行うことができるとされている。
    令第5条の「対策地域の指定の要件」に規定する「人が立ち入ることができる地域(工場又は事業場の敷地の区域のうち、当該工場又は事業場に係る事業に従事する者以外の者が立ち入ることができないものを除く。)」とは、ダイオキシン類に汚染された土壌の摂食又は皮膚接触による人の健康への影響を防止するため、人が立ち入ることができない地域を除き、原則として人が立ち入る可能性のある地域を対策地域に指定できることとしたものである。
    また、同条の括弧書きは、工場又は事業場の敷地の区域が一般国民が立ち入ることができないことから、基本的には対策要件から除外するものであるが、一般国民の利用を前提にしている場合、敷地内に一般国民に開放されている運動場等が設置されている場合等については、その区域は対策地域に指定できるので留意されたい。
    なお、ダイオキシン類により汚染された土壌に係る対策については、今後、法の規定に基づき行われることとなったことから、「土壌中のダイオキシン類及びコプラナーPCBに係る暫定的なガイドライン」(平成11年7月14日付け環水土第134号)は廃止する。
  7. 第7 ダイオキシン類土壌汚染対策計画の策定
    1. 1.対策計画の策定
      ダイオキシン類土壌汚染対策計画(以下「対策計画」という。)は、対策地域の区域内にある土壌のダイオキシン類による汚染の除去等を図るための基本的な計画であって、法第31条第1項の規定により、都道府県知事は、対策地域を指定したときは、遅滞なく定めなければならないこととされており、その運用に当たっては、次の事項に留意されたい。
      なお、対策計画の策定に当たっては、事前に関係行政機関(例えば、河川区域を含む場合には河川管理者たる行政機関)と十分な調整を図ることが望まれる。
      1. (1) 対策計画に定める事項(法第31条第2項)
        対策計画においては、次に掲げる事項のうち必要なものを定めることとする。
        1. ア 対策地域の区域内にある土地の利用の状況に応じて、
          1. (ア) ダイオキシン類による土壌の汚染の除去に関する事業の実施に関する事項
          2. (イ) ダイオキシン類により汚染されている土壌に係る土地の利用等により人の健康に係る被害が生ずることを防止するため必要な事業の実施その他必要な措置に関する事項
        2. イ ダイオキシン類による土壌の汚染を防止するための事業の実施に関する事項
          このうち、ア(ア)の事業としては、具体的には、汚染土壌の掘削除去や原位置での浄化(分解、抽出)が考えられ、ア(イ)の事業としては、具体的には、覆土や植栽、舗装工の実施や原位置での封じ込め等、その他必要な措置としては、立入りや利用の自粛の勧告等が考えられる。
          また、イの事業としては、具体的には、汚染土壌の流出防止のための沈殿池や水路の設置等が考えられる。
          令第6条の規定により、ア(ア)及び(イ)の事業については、次の事項を明らかにして定めることとする。
          1. a 事業の実施地域
            事業の実施地域の区域、土地の利用状況、当該地域の土壌の汚染の状況
          2. b 事業の内容
            汚染土壌の除去、浄化、封じ込め等の事業の内容、工期や施工区画等の事業の実施計画
          3. c 事業費の額
            事業の実施に必要な費用の総額及び内訳
          4. d 事業の実施者
            都道府県、市町村等の事業の実施者
            また、ア(イ)のその他必要な措置については、次の事項を明らかにして定めることとする。
          5. a 措置の対象地域
            措置の対象地域の区域、土地の利用状況、当該地域の土壌の汚染の状況
          6. b 措置の内容
            立入、利用の自粛の勧告等の内容
          7. c 措置を講ずる期間
            開始及び終了の年月日
      2. (2) 環境大臣への協議
        法第31条第4項の規定により、都道府県知事は、対策計画を定めようとするときは、環境大臣に協議し、その同意を得ることとされているが、協議に際しては、関係市町村長の意見書及び対策地域の住民の意見の概要を添付するようお願いする。
    2. 2.対策計画の変更
      法第32条第1項の規定により、都道府県知事は、対策地域の区域の変更により、又は対策地域の区域内にある土地の土壌のダイオキシン類による汚染の状況の変動等により必要が生じたときは、対策計画を変更することができる。
      なお、事業費の額又は対策地域の面積の10パーセント未満の変更を行う場合等対策計画の変更が軽微である場合には、規則第16条の規定により関係市町村長及び対策地域の住民の意見聴取等の手続きは不要である。また、事業費の積算の基礎となった物価、賃金の水準が何年現在のものであるかを記載することとし、物価、賃金の変動による事業費の増減は、事業費の額の変更として扱わないこととする。
  8. 第8 その他
    法附則第8条により公害防止事業費事業者負担法(昭和45年法律第133号)第2条第2項第3号が改正されたことに伴い、公害防止事業費事業者負担法施行令(昭和46年政令第146号)第1条第3項に掲げる公害防止事業として、ダイオキシン類による土壌汚染の対策事業を加えた。なお、括弧書きの規定「(事業者によるダイオキシン類の排出とダイオキシン類による土壌の汚染との因果関係が科学的知見に基づいて明確な場合において実施されるものに限る。)」は、ダイオキシン類土壌汚染対策計画に位置付けられていない事業について、公害防止事業費事業者負担法に基づき公害防止事業に要する費用の事業者負担に関する検討、手続き等を行う場合においても、法第31条第7項の趣旨を尊重すべき旨規定したものである。

(別添)

表 ダイオキシン類に関する毒性等価係数

1.ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)
及びポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)

PCDF
異性体
毒性等価係数
PCDD
異性体
毒性等価係数
2,3,7,8-TeCDF 0.1 2,3,7,8-TeCDD 1
1,2,3,7,8-PeCDF 0.05 1,2,3,7,8-PeCDD 1
2,3,4,7,8-PeCDF 0.5 1,2,3,4,7,8-HxCDD 0.1
1,2,3,4,7,8-HxCDF 0.1 1,2,3,6,7,8-HxCDD 0.1
1,2,3,6,7,8-HxCDF 0.1 1,2,3,7,8,9-HxCDD 0.1
1,2,3,7,8,9-HxCDF 0.1 1,2,3,4,6,7,8-HpCDD 0.01
1,2,3,4,7,8,9-HpCDF 0.01 1,2,3,4,6,7,8,9-OCDD 0.0001
1,2,3,4,6,7,8,9-OCDF 0.0001 その他 0
その他 0

2.コプラナーポリ塩化ビフェニル

異性体
毒性等価係数
3,4,4',5-TeCB 0.0001
3,3',4,4'-TeCB
0.0001
3,3',4,4',5-PeCB 0.1
3,3',4,4',5,5'-HxCB
0.01
2',3,4,4',5-PeCB 0.0001
2,3',4,4',5-PeCB 0.0001
2,3,3',4,4'-PeCB 0.0001
2,3,4,4',5-PeCB 0.0005
2,3',4,4',5,5'-HxCB 0.00001
2,3,3',4,4',5-HxCB 0.0005
2,3,3',4,4',5'-HxCB 0.0005
2,3,3',4,4',5,5'-HpCB
0.0001

注:本表1及び2に示す毒性等価係数は、世界保健機関(WHO)より1997年に提案され、1998年のEnvironmental Health Perspectiveに掲載されたもの(WHO-TEF(1998))と同じものである。