採用・キャリア形成支援情報

職員インタビュー企画「もえびと」[2] 係員・係長級(2015/12/8~2016/7/15)

2015/12/8 ~環境保健部 環境安全課~

金子元郎係長(総合職理工系7年目 総合環境政策局環境保健部環境安全課)に、馬込がお話を伺いました。
※以下、(金)=金子係長、(馬)=馬込

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Q.(馬) こんにちは!本日はどうぞよろしくお願いいたします。金子係長は2013年の4月から環境保健部環境安全課でお仕事をされていると伺っておりますが、まずは「化学物質対策とは何ぞや?」という点を教えていただけますか。
A.(金)一言で「化学物質対策」と言っても様々な施策があります。身の回りにあるものはすべて何らかの化学物質からできていると言っても間違いではないです。環境省の環境保健部としては、人や生態系に影響を与える可能性のある化学物質が、環境を汚染することのないように対策に取り組んでいるわけですが、ひとつの重要なポイントは、「無数にある化学物質のリスクを評価し、いかにして対策を講ずる上での優先順位をつけるか」という点だと思います。
その上で、リスクがあるかもしれない化学物質について対処するため、特に重要な2つの法律があります。製品に使うために作ったり輸入されたりする化学物質が、最終的に環境を汚染しないように規制をするのが化学物質審査規制法です。また、工場等から大気や水といった環境中に排出される化学物質を、事業者の自主的な努力を促しつつ汚染を未然に防止しよう、という法律が特定化学物質排出把握管理促進法です。これらの法律は対象や対策のためのアプローチが違っていて比較すると面白いのですが、具体的な中身は、JOBトークの当日にお話したいと思います。

Q.(馬)ありがとうございます。「化学物質対策」という非常に幅広い分野において、具体的にどういった業務に携わって来られたのでしょうか。
A.(金)入省5年目に今の課に来てからの半年間は、組織を挙げて「水銀に関する水俣条約」の採択のための外交会議の準備を行っていました。環境省の原点とも言える水銀の問題は、日本では対策が進んでいますが、国際的には途上国を中心に今でも課題が多くあります。
水俣病の悲劇を二度と繰り返すことのないように、日本がこれまで培ってきた技術やノウハウを活用しながら、水銀対策分野を国際的にどうリードしていけるか、ということを考えながら仕事をしていました。
 外交会議関連では、会議の運営そのものと、会議の議論の中身の両方を準備しなければならなかった点が課としては非常に大変で、私は主に後者を担当していました。特に印象深かったのは、会議で議長をつとめた環境大臣のスピーチの草稿を担当させてもらったことです。水俣病の経験国である日本が、世界に向けてどのような発信をしていくべきかについて、夜遅くまで先輩職員と議論をしたことを良く覚えています。また、会議が近づくにつれスピード感も増していき、私が夜に作成した資料が次の日の朝には大臣の手元に渡っていたこともありました。そのときに作っていた資料が「日本は今後水銀対策の分野で国際的にどう貢献していくのか」ということをまとめたもので、最終的に「MOYAI※イニシアティブ」というパッケージとして、条約の早期発効に向けた途上国支援を行っていくことを外交会議の場で表明することとなりました。
※「もやい」とは、船と船をつなぎ止める舫い網(もやいあみ)や農村での共同作業のこと。対話や共同による水俣の地域再生の取組である「もやい直し」から名付けられました。

Q.(馬)環境保健部で化学物質対策に関わる中で大変なのはどういったことでしょうか。
A.(金)化学物質に関わる情報が、世の中に溢れていることはとても難しいなと思います。
企業の方は日々新しい物質を開発していますし、元々世の中にある化学物質についても新しい知見が次々と出てきます。そういった情報を、どのように効率的に入手・整理し、政策に活かしていくのかという点は非常に難しい課題だと感じています。

Q.(馬)金子係長が仕事をしていく中でご自身の軸となっているものはありますか。
A.(金)水俣病の被害が拡大した背景には、十分に原因を突き止められるまで、適切な対策が取られなかったということがあります。過去に関わった別の業務もそうですが、100%の因果関係がなければ動かない、というのでは不十分です。化学物質対策は、水俣病のような悲劇が起こらないようにするという環境省の原点とも言える政策分野です。もちろん個々のケースの判断はとても難しいのですが、皆さんが安心して暮らせるよう、将来起こりうる問題をきちんと防止できるように、という思いを持って業務に取組んでいます。

(馬)金子係長、本日は本当にありがとうございました!JOBトーク当日も、どうぞよろしくお願いします。
(金)水俣条約関連の話については、JOBトーク当日には外交会議の裏話も含めて、もっといろいろな話ができるのではないかと思います。
(馬)ありがとうございます!
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(写真)金子係長と馬込係員の歓談の様子。(2人は同じ課・係の直属の上司・部下にあたります)

2016/3/9 ~環境保健部 企画課~

江藤文香係長(総合職事務系7年目 総合環境政策局環境保健部企画課)に、佐藤、馬込がお話を伺いました!

※以下、(江)=江藤係長、(佐)=佐藤、(馬)=馬込
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Q.(佐)(馬)こんにちは!本日はどうぞよろしくお願いします!まず、江藤係長は昨年(2015年)の12月末まで外務省に出向されていたとのことですが、具体的にどのようなお仕事をされていたのか教えていただけますか。
A. (江)外務省には2013年の7月から2015年の12月まで約2年半出向し、気候変動課という部署に所属していました。気候変動課では、2015年12月のCOP21で採択することになっていた地球温暖化対策に関する新しい条約(最終的には「パリ協定」という名称になりました。)を作る仕事をしていました。COP21にも参加し、無事「パリ協定」の採択を見届けることもできました。私は大きく2つの仕事を担当しており、具体的には、①国際交渉と②国内調整になります。
1つ目の国際交渉については、COP21までには種々の会合(準備会合や特別作業部会など)があり、それに日本政府代表団として参加するわけですが、ただ出席すればいいというわけではありません。各省から構成される日本政府代表団がワンボイスで主張できるように、それらの会合の場で日本としてどんな主張や提案をするかということをまとめた「対処方針」を事前に作るのです。各省(主に環境省と経済産業省)間の意見を調整しつつ、他国の様子も踏まえながら作成していました。また、交渉が進むにつれ、一つの会合の中で並行して複数のセッションが行われるようになり、上司が発言する際のサポートだけでなく、私自身も国際会議の場で日本の代表として発言する機会もありました。2つ目の国内調整については、COP21の前に、各国がそれぞれの国毎の温室効果ガスの削減目標を提出することとなっていたのですが、日本は、昨年(2015年)7月に国内の調整を終え削減目標を提出しました。削減目標を作成したのは主に環境省と経産省ですが、他国の目標の水準や提出のタイミングなどの国際的な情勢を見て、日本としての削減目標の打ち出し方や提出のタイミング等を外務省・経産省・環境省で調整していました。

Q. (馬)国内の調整をするうえで心がけていたことは何でしょうか。
A. (江)外務省の立場としては、環境省や経産省の主張のバランスを取ることもそうですが、他国(特に同じ交渉グループに所属する米国や豪州など)の主張内容を踏まえ、日本が気候変動交渉で存在感を発揮できるように日本としてどう対応すべきか、という視点で調整に臨んでいました。

Q. (佐)出向されていて感じた環境省と外務省の違いにはどのようなものがありましたか。
A. (江)違うことはたくさんありますが、外務省は国際交渉の最前線に立つ、環境省は国際交渉から国内における履行まで一連で担当している、というのが大きな違いかなと思います。外務省の役割は、国際的な情勢も考慮して全体のバランスをとることであり、交渉の政府代表団長は外務省が務めることになっています。一方、国際的な場で結んだ約束も、国内において環境省や関係各省が責任を持って実行していかなければ日本として責任を果たすことができません。国際交渉において、環境省が具体的な温室効果ガスの算定のルールなど国内実施に強く結びついている分野を担当しているのもそのためです。これと関連して、外務省と環境省では、仕事のツールが大きく異なると思います。外務省では各国におかれた日本の大使館から入ってくる情報や、日本におかれた他国の大使館の書記官とのコミュニケーションなど、幅広いネットワークを活用して情報を収集し、それを交渉に役立てています。環境省は、先ほどお話しした国内実施の面があるので、予算、法律、税制といった政策ツールを多く所持していると思います。

Q.(佐)外務省に出向されている中で、特に印象深かったことを教えてください、
A.(江)やはり一番強く印象に残っているのは、パリ協定の採択の瞬間です。私は2013年ワルシャワでのCOP19の議論から関わっていましたが、当時は、COP21で何らかの法的文書を採択する、ということは決まっていても、まだそれがどういうものになるかが全く分からない状態でした。その後、パリ協定に各国が盛り込みたいものを一回全部盛り込んでみようということになり、交渉のベースとなるテキストができたのですが、すべての国の主張を入れ込んでいるので非常に膨れ上がったものになっていて、交渉を経てようやく条約らしくなったと思ったらまた揺り戻しがあったりと「今後どうなるんだろう」と不安に思うこともありながら、COP21で最終的に採択に至ることができました。こうした一連の過程に関わることができたのは、なかなか得がたい経験だったと思います。

Q.(佐)COP21が無事終わった後は、今年(2016年)の1月より環境省に戻られたとのことですが、現在のお仕事はどういったことをされているのでしょうか。
A.(江)今は、「水銀に関する水俣条約」の国内における施行の準備をしています。水俣条約は2013年に採択された水銀による環境・人の健康などへの影響のリスク削減のための条約で、50カ国が締結した90日後に発効することになっています。日本は昨年(2015年)、同条約を実施するための国内における法令※を整備し、先日2月2日に締結の手続きが完了したところです。これらの法令は条約の発効と同時に施行されることとなっているので、次のミッションはこれらの法令が適切に施行される体制を整え、準備をすすめることです。具体的には、水銀汚染防止法に基づく国内計画の策定や事業者向けのガイドラインの作成等を行うことになります。

Q.(佐)現在関わられている業務のやりがいとは、どういったものがありますでしょうか。
A.(江)条約は、国際交渉を経て国際的に採択されてから、国内での実施体制を構築し、適切に実施していくまでの一連のプロセスが必要となります。1つ前のポストではパリ協定の「採択」まで関わることができ、今のポストでは、条約の内容は異なりますが、採択後の「実施」フェーズに携わっているため、条約を巡るプロセスの各段階にそれぞれ関わることができているという点に環境省の業務の裾野の広さ、やりがいを感じています。

(佐)(馬)江藤係長、本日はどうもありがとうございました!
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※水銀による環境の汚染の防止に関する法律(水銀汚染防止法)、大気汚染防止法の一部を改正する法律等

(写真)インタビューの様子

2016/3/24 ~地球環境局 地球温暖化対策課~

水野紗也 再エネ・水素技術実証班長(総合職事務系3年目 地球環境局地球温暖化対策課)のに佐藤がインタビューを行いました。
※以下、(水)水野班長、(佐)佐藤
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(佐)本日はどうぞよろしくお願いします!早速ですが、水野さんはどのような政策に現在取り組んでいるのでしょうか。
(水)私が地球温暖化対策課で取り組んでいる施策は大きく分けて2点あります。
まず、1点目は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーや水素エネルギーの開発実証のための予算事業の企画・運営です。地域で生産したエネルギーを地域で消費する「地産地消」型の再エネ実証事業や、水素を作って、運んで、利用するまでのサプライチェーンの実証事業など、現在私が担当している事業は全国で10ほどあります。例えば宮城県の東松島市で行っている実証事業は、2015年8月入居の災害公営住宅85戸がある地区に太陽光パネルを設置し、そこで生産したエネルギーを、住宅や付近の病院、災害時に避難所となる免許センターなどに送電し、エネルギー需要をまかなうものです。東日本大震災の際、病院などでは電力の供給が滞り困難が生じた経験もあるため、平常時はもちろん、災害時も有効なシステムとして現在実証に取り組んでいるところです。今後、一つの地区の中でのエネルギーの地産地消のほか、地区と地区を送電線でつないで電力を融通し合うなど、再エネの普及範囲の拡大に向け取組を行って行ければと考えています。
いずれの事業も、環境省が旗振り役として、事業に関わる企業や自治体の方々をマネジメントし、全体の進捗管理や、施策展開のスケジュール構築などを行っています。
2点目は、水素エネルギーのCO2削減効果評価のための制度構築です。水素はクリーンなエネルギーと言われますが、一口に水素エネルギーといっても、都市ガスから取り出す手法や、水から電気分解して取り出す手法など、その製造手法や運ぶ方法によってCO2排出量が異なります。このため、製造から利用までトータルでどれだけCO2が排出されるかをまずは評価をする必要があるのですが、今は統一的な考え方がない状態です。そのため、その評価手法の確立に向けて、コンサルのチームや有識者の方々と日々議論を重ねています。

Q(佐)水野さんは、入省2年目から現在のお仕事をされていますが、多くの事業を企画・運営している中で、ご自分にどの程度の裁量があるのでしょうか。
A(水)水素エネルギーの実証事業においては、実証事業のコンセプトの策定や、事業要件等を記載した公募資料の作成、実際の事業運営まで、上司の下、自分で考えて仕事をさせてもらっていました。若手にも意見を求め、任せてくれる職場なので、自分で考えて仕事ができる一方で、その分責任も感じています。例えば、事業のマネジメント役として事業者の方と打ち合わせをする際には、こちらは3年目の私でも、先方は部長級の方がいらっしゃることもあります。自分よりも知識も経験もありポジションも上の方々と議論をし、その中で、「環境省としてどう考えるか」と容赦なく意見を求められることになります。そのような方々と対等に議論し、事業をまとめあげていくためには、やはり、必死に勉強して、議論をできるだけの知識を得ることがまず必要です。また、知識や経験が足りない部分については助けて頂きながら、その一方、政策につながる事業にしていくという視点からの意見はきちんと伝え、一緒に事業を創っていくという姿勢で仕事をしています。そうした積み重ねによって、信頼関係を築き一緒に仕事をしていくことができていると感じています。

Q(佐)仕事のやりがいは何でしょうか。
A(水)私が今取り組んでいる仕事は、今はまだ普及をしていない水素エネルギーなどを、社会に普及させていくための仕事です。誰も挑戦したことがなく、前例や正解もない新しいことに取り組み、自分の頭で考えながら、たくさんの人を巻き込みながら少しずつ前に進めていく。社会の新しい仕組みを自分で考え、実際に形作っていけるのは、今の仕事のやりがいだと思っています。

(佐)若手でも、自分で考え、物事を前に動かそうとされている様子がよく分かりました。ありがとうございました!
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(写真1枚目)インタビュー中に出てきた宮城県・東松島市の太陽光発電実証事業の様子。
(写真2枚目)実証事業が新聞各社に掲載された際に、職場で撮影した一枚。

2016/6/24 ~廃棄物・リサイクル対策部 産業廃棄物課~

西川絵理係長(総合職事務系6年目 大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)に佐藤・馬込がインタビューを行いました!

※以下、(西)西川係長、(佐)佐藤、(馬)馬込
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(佐)(馬)本日はどうぞよろしくお願いいたします。まず、産業廃棄物課が現在取り組んでいる施策の概要と、その中で西川さんが担われている役割について教えていただけますでしょうか。
(西)産業廃棄物課では、家庭からでる廃棄物ではなく、産業に由来する廃棄物の適正処理のための施策を扱っています。産業廃棄物の排出に伴う諸問題については、社会の変化に対応する形でこれまでも様相が変わってきています。例えば、高度経済成長期以降は、大量生産・大量消費に伴い、香川県の豊島における大規模不法投棄事案などへの対応が求められ、震災が発生してからは災害廃棄物の処理への対応なども求められてきています。また、近年、水銀に関する水俣条約が2013年に採択された後は、水銀廃棄物の適正な処理への取組を進めているほか、有害化学物質であるPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の期限内の早期処理に向けて、先の通常国会では関連法の改正を行うなど、予算・税・法律等の様々な政策ツールをフル活用して、産業廃棄物処理の適正化に向けた施策を推進しています。
 その中で、私は、2013年の7月から、廃棄物処理法など、産業廃棄物の適正処理に関する法律の解釈・運用を担当する法令係長を務めており、日々、産業廃棄物処理を行う事業者や、それを規制・指導・監督する自治体などをカウンターパートとして、法令解釈等の関係法令の運用や関係法令の改正作業などを通じて、関係者のサポートをしています。

(佐)お仕事の中で難しいと感じることはありますでしょうか。
(西)法令係長としての仕事は、自分の解釈一つで事業者の生活や自治体の仕事にも大きな影響が出るものであり、ひとたび解釈の仕方を誤れば訴訟のリスクなどもある、非常に責任が大きい仕事です。また、法律・政令・省令だけでなく通知も含め関係法規範は多岐にわたる上にこれまでの長年の経緯・積み上げがある分野であるため、理解にも時間を要す一方で、着任したその日には、自分よりも経験がずっと長い自治体や事業者の方から法解釈に関する問い合わせを受け、対応をすることが実際に求められました。廃棄物処理法令の知識を得ることはもちろんのこと、今の制度ができた背景や当時の考え方を知り、また、課内の自治体出向者の方などに話を聞いて現場の意見や考え方を踏まえ、さらに現場視察や施設の立入検査に行くなどにより現場で制度がどのようにワークしているかを肌で感じるように努めてきました。このため、1年、2年、3年と年を重ねる毎に産業廃棄物処理分野への理解を深め、「霞ヶ関の窓」から見た狭い考え方ではなく、自分なりの判断軸をもって、適切に課題に対処できるようになったと考えています。

(馬)もとより、廃棄物処理の分野には関心があったのでしょうか。また、仕事をする中でのやりがいは何でしょうか。
(西)着任するまでは、全くなじみのない分野でした(笑)。ですが、仕事をする中で、産業廃棄物の処理のための施策立案という自分がやっている仕事が社会とどうつながるのかが分かってくるにつれ、廃棄物の適正処理がたくさんの人の生活に密接に関わっており、自分の仕事が社会に大きな影響を与えられているということにやりがいを感じるようになりました。また、その過程で、自治体や事業者、時には前任者など、たくさんの方々とつながって一つの政策を企画・立案・運営していくその過程にも楽しさを感じるようになりました。

(佐)今のポストで印象に残っているお仕事は何でしょうか。
(西)忘れもしない、今年(2016年)1月13日に明るみになった食品廃棄物の不適正事案への対応です。事案が発覚し、その後徐々に問題が大きく社会に波及していく中で、「この事件により、これまで積み上げてきた産業廃棄物処理業界への信頼が大きくゆらいでしまったのではないか」と非常に悲しい思いをしたことを覚えています。産業廃棄物処理の法制度は昭和45年から始まりこれまでの前人の長い積み重ねにより信頼を得てきたものであり、かつ、これまで自分が想いをこめて仕事をしてきた施策・分野であったので、それに対し国民からの信頼がゆらいでしまうことがどうしても悔しかったのです。当時は、別の法改正対応に追われていた中での本事案への対応でしたので、正直深夜にまで仕事が及ぶ日もありましたが、信頼を回復し、さらには、今回のような事案が二度と起こらないようにしなければならない、という想いで仕事に臨んでいたので全く辛くはありませんでした。事案発生後まもなく、同様の事例がないかどうかの洗い出しを行った上で、短期的・中長期的な再発防止策を3月にとりまとめたところであり、再発防止策の実現に向けて、日々取り組んでいます。
また、法改正作業に携わっていたPCB廃棄物の期限内の早期処理に向けた改正法(※)が、今年(2016年)の5月2日に公布されたことを受け、現在は、その施行を行うため、政省令・告示などの改正準備をしています。ただきれいに条文を書くことだけが必要なのではなく、それが自治体の監督権限にどういう影響を与えるのか、事業者が対応しやすい制度なのかと、現場目線で考えることが不可欠ですので、規定の一つ一つを慎重に検討しています。産業廃棄物の適正処理に向け、この3年間で培った考え・想いの集大成をぶつけるつもりで、この仕事に取り組んで行きたいと思います。
(※) ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律

(佐)(馬)本日は、想いのこもったお話をいただき、本当にありがとうございました!

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(写真1枚目)インタビューの様子。
(写真2枚目)課内での打ち合わせの様子。

2016/6/29 ~ウトロ自然保護官事務所~

前田尚大自然保護官(総合職自然系3年目 北海道地方環境事務所釧路自然環境事務所 ウトロ自然保護官事務所)から、今回は記事を投稿いただきました!

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<現在している仕事について>
2015年4月から、ウトロ自然保護官事務所という出先機関で働いています。「ウトロ」と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、北海道は知床半島にある小さな港町・観光の町です。知床といえば世界自然遺産として有名ですが、ここウトロに環境省職員として駐在し、世界遺産や知床国立公園の管理を行っています。シャチやオオワシ、ヒグマなど豊かな生き物たちが暮らし、かつ年間180万人が訪れる知床のいわば"現場管理人"として、様々な業務を担当しています。例えば、世界遺産である知床の自然をモニタリングするため野生生物の調査を行ったり、国立公園の法律を運用して開発行為を規制したりして、知床の自然環境を保全しています。同時に、知床世界遺産センターなどの施設を運営してビジターに情報発信したり、登山道や歩道を整備して自然への負荷を減らしつつ利用者に楽しんでもらえる環境を整えたり、新しいエコツアーのためのルールづくりや野生生物の生態を紹介するイベントを行ったりして、利用者に知床を満喫してもらうための取組も行っています。巡視(見回り)や事務作業を組み合わせて、地域の方や関係者と協力しながらこういった業務を実施しています。

<休日の過ごし方>
職場の同僚や地元の方と一緒に北海道ライフを満喫しています。夏は山登りや釣り、サイクリングや乗馬、シーカヤックなどを楽しみ、冬はスキーをして過ごしています。職場の同僚でチームを組んで、町の水泳大会に参加したこともありました。リレーはビリでしたが、参加者の皆さんにはとても喜んで頂き盛り上がりました。また北海道は地場産品を利用したお祭りが多く、よく遠征しています。先日は厚岸(あっけし)町の牡蠣祭りに参加してきました。季節の移り変わりが早いので、毎週末大忙しです(笑)

<今の仕事をする中で感じるやりがいや魅力>
地域の中で、1人のプレイヤーとして働くことでしょうか。私の事務所には正職員が2人しかおらず、自分が環境省の代表として見られることになります。当然ですが、相手によって環境省に求めることは異なります。例えば地域の方と外から来る観光客では意見が異なりますし、観光を促進したい方と知床の自然を誇りに思う方では意見が対立する場合もあります。例えば、知床の一大観光地である知床五湖という場所では、植生保護やヒグマに対する安全確保のため、散策の人数制限やツアーガイドの同伴義務付けを行っています。もともと自由に散策できたのに、規制を強めると観光客が減ってしまうという懸念があり長い議論の末に導入されたシステムですが、継続的な努力の結果、今では知床の価値を高めるツアーのひとつとなっています。世界的な価値を維持しつつ、かつ地域にとっても意味のあるような世界遺産であるために、これらのバランスをとりつつ自分の信念と向き合いながら、国の看板を背負って仕事ができることは大きな魅力だと思います。
あとは、山の中で重い石を運んで登山道を整備して登山者の方に安全に楽しんでもらえた時など、現場でいい汗をかいた時が最もやりがいを感じるかもしれません(笑)

<本省と地方環境事務所(自然保護官事務所)での仕事の仕方の違いや、経験できることの違い>
私は2014年に入省してから1年間本省(自然環境局野生生物課と国立公園課) で勤務しましたが、同じ組織でも中央と現場で全く仕事の質が違って驚きました。本省では、国の施策立案に関わり大きな仕事をしていると感じられる一方で、その施策が現場でどのように運用されているのか、人々や環境にどのような影響を与えているのかなどは実感しづらい環境でした。 ところが現場では、自分の判断が関係者にダイレクトに影響を及ぼしますし、その反応や評価も直接帰ってきます。とても簡単な例だと、荒天やヒグマが出没した場合に安全確保のために遊歩道を閉鎖するのですが、観光事業者の収入や恐らく人生で1度しか知床に訪れないお客さんの期待を考えると、閉鎖が正しいのか、いつまで閉鎖するのか毎回とても悩んで決断しています。 そういった点で、自然保護官事務所は重責を担いつつもやりがいを感じやすい職場だと思います。

<最後に、志望者の皆さんへのメッセージ>
国家公務員として霞が関で働いていると、自分が担当している施策がどのように国民に影響しているのか、どうしても見えづらくなってしまうことがあります。その点、環境省の自然系職員は、地方都市ですらない本当の現場に赴任し、自然環境や住民の方々と直接相対することになります。これらの両方を経験できる職場は民間を含めてもなかなか無いと思うので、どちらもしてみたいという欲張り(?)な方にはピッタリな職場です。
採用試験期間中でとても大変な時期だと思いますが、最初のモチベーションを忘れずに、頑張ってください!!

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(写真1枚目)観光船にご協力頂いて海鳥の調査を行っている様子
(写真2枚目)同僚と厳冬の藻琴山でスキー

2016/7/13 ~総合環境政策局 環境経済課~

畠山寛希係員(総合職事務系3年目 総合環境政策局環境経済課)に佐藤・馬込がインタビューを行いました!

※以下、(畠)畠山係員、(佐)佐藤、(馬)馬込
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(佐)(馬)本日はどうぞよろしくお願いいたします。では早速、環境経済課が現在取り組んでいる施策の概要について教えていただけますか。
(畠)経済課の仕事は、一言でいえば、経済面から世の中を環境に良い方向に変えていくことでしょうか。環境への意識を高め、行動につなげてもらうために施策を打つことはもちろん重要なのですが、それだけではなく、世の中が環境に配慮する方向に自然と動くような仕組みを作ることが重要と考えています。少し極端かもしれませんが、純粋に経済的な利益だけを求めて行動しても結果的に環境に良いことをしている、という社会が実現できるのであれば、それはそれで理想的かもしれません。
その具体的なツールですが、1つには環境に配慮した取組に対してお金が流れる仕組みをつくることです。企業としては環境保全につながる事業を実践したくても、そこへの投資がなければ行動することができません。一方で、投資家は、環境保全に資する事業に対し投資をしたくても、環境保全に関する企業の情報が不十分では、投資をすることができないため、この情報の流れをうまく作ることが重要です。経済課では、再エネ事業などにファンド(グリーンファンド)から出資を行い、これらの事業に民間からの投資を呼び込む、といった事業を行っています。また、投資家が各企業の環境情報を比較・分析できるシステムの構築や、金融機関に対する環境情報の発信などにより、企業と投資家の対話を促進する仕組み作りにも取り組んでいます。
また、よりダイナミックなツールとして、環境に悪影響を与える物質の排出に金銭的負担を課す(価格をつける)という方法があります。最近では、CO2の排出に価格をつけるカーボンプライシングが少し話題になっているでしょうか。カーボンプライシングの手法としては炭素税と排出量取引がありますが、経済課では前者の炭素税について調査・分析を行っています。我が国では平成24年10月に「地球温暖化対策のための税」が導入され、本年(平成28年)4月1日に導入当初に予定されていた最終税率への引上げが完了したところです。

(馬)その中で畠山さんが担当されている業務や役割について教えてください。
(畠)私は、温対税をはじめとする炭素税の調査・分析を担当するとともに、温対税以外の環境関連税制(エコカー減税など)についての省内とりまとめ等も行っています。
具体的には、先ほどお伝えした通り、温対税については今年(平成28年)4月に現行の制度が完成したところなので、その効果や課題を調査・分析したり、専門家による検討会(税制全体のグリーン化推進検討会)の運営に関わったりしています。また、炭素税をはじめとするカーボンプライシングはヨーロッパを中心に諸外国の方が進んでいるため、諸外国の事例についての情報収集も行っています。制度体系はどうなっているのか、免税措置等はどのような過程で整備されてきたのか、税収の使い道は何か、など、注目するポイントは様々です。日本とは文化や社会構造が異なる場合も多いため、収集した情報を踏まえつつ、日本の現状に合わせた制度構造を考える必要があります。
温対税以外の環境関連税制については、毎年8月に税制改正要望を財務省と総務省に提出するのですが、要望後の議論ではなぜその税制度が必要なのか、導入した際にどういった影響が出るのかといった定量的なデータをもとにした説得力のある説明をする必要があります。そのための準備として、シンクタンク等とも協力しながら、制度を導入した場合の環境影響や経済波及効果、税収の減少/増大額などについて定量的なデータを算出・分析したり、その結果を踏まえ制度を構築し、それを分かりやすく示した資料を作成したりしています。

(佐)税制度の検討にあたり、情報収集も幅広くしているのですね。そのような業務をされている中で、大変なことや苦労されてきたことにはどういったものがあるでしょうか。
(畠)現在の業務も大変ですが、一番思い出に残っているのは、2年目の最後にフランス・パリで行われたOECDの会議に出席したことですね。OECDでは、各国が約10年に1回程度、環境保全成果レビューという環境政策の取組状況に関する審査を受けることになっているところ、日本は平成22年に3回目の審査を受けました。今年(平成28年)の3月にレビューを受けた内容に関する取組状況の中間報告をする場があり、日本の環境関連税制担当として参加してきました。OECD加盟国はヨーロッパが中心であり、カーボンプライシングへの関心が非常に高いことから、日本の取組について多くの質問をいただきました。私は留学経験もなく、英語での対応に冷や汗をかきましたが、とても貴重な経験をさせてもらったと感じています。国際会議の進み方を知ることはとても勉強になりましたし、環境省職員ではなく日本政府として発言するので、自分の言葉の持つ重みを感じながら話すことも貴重な経験でした。
 また、経済課は税に関して環境省全体の取りまとめも担当しているので、カーボンプライシングとは別に、省内各部局からの税制改正要望の取りまとめ・省内の査定をするとともに、財務省や総務省への説明にあたり各部局のサポート等を行っています。省の窓口である以上、各部局の要望事項についてもある程度知っておかなければなりません。税という軸で環境省全体を眺めることは非常に面白いですが、常に勉強の必要性を感じており、大変に思うこともあります。

(佐)今の仕事のやりがいとは、何でしょうか。
(畠)税制は誰にとっても身近な存在で、世の中に広く影響を与えるものです。その税制を環境という切り口から俯瞰する自分の仕事の大きさにやりがいを感じています。カウンターパートの数も多く、関係省庁だけ挙げても、財務省・総務省(地方税の関係)・経済産業省(温対税や再エネの関係)とは切っても切れない関係であり、その他にも税の影響を受ける企業・消費者、温対税で生じた税収を使いたい企業・自治体など、各ステークホルダーの利害をよく考えながら仕事をすることが求められます。
また、私は大学院の経済学研究科出身であり、環境問題に定量的にアプローチする現在の仕事はまさに学生の頃からやりたかったものです。当時は経済理論の枠組みでしか考えることができませんでしたが、今は制度を実際に考え、いろいろな問題を直に把握できる立場で仕事をしており、それが純粋に楽しいです。理論と現実のギャップ-例えば、理論では徴税コストや税収の使途を考慮しづらいなど-を日々感じることがありますが、それを埋めるためにどう対応するかを考えることも面白いと感じています。ただし、今私が関わっている仕事に、前もって経済学の知識が必須ということはないと思います。経済学をかじっているが故に、先ほど述べた理論と現実のギャップに苦しんだりすることもあります。私の職場の全員が経済学専門ではありませんし、関わり始めてから学んでいくという姿勢で全く問題ないと思います。大事なのは好奇心です。経済学を知っている人にも、知らない人にも、ぜひ経済的観点から環境にアプローチする魅力を知って欲しいです。

(佐)(馬)畠山さん、本日はどうもありがとうございました!

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(写真1枚目)インタビューの様子
(写真2枚目)上司の係長送別時の経済課集合写真(畠山さんは1列目左)

2016/7/15 ~廃棄物・リサイクル対策部 リサイクル推進室~

光山拓実 係長(総合職理工系4年目 大臣官房廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室)に、佐藤・馬込がお話を伺いました。

※(光)光山係長、(佐)佐藤、(馬)馬込
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(佐)(馬)今日はどうぞよろしくお願いします!まず、現在所属しているリサイクル推進室が担っている業務について教えていただけますでしょうか。
(光) よろしくお願いいたします。お二人は廃棄物行政はまだ携われていないかと思いますが、物を製造すれば、いつかはゴミになります。ゴミをそのまま捨ててしまう、例えば、燃やして灰にして埋立て処理していくと、最終処分場はすぐに一杯になってしまいますし、そこに有用な資源が含まれていれば、その資源が失われることにもつながります。
そこで、私の所属するリサイクル推進室では、各種リサイクル法を運用することで、製品等が廃棄物等になることを抑制し、最終処分量を減らし、有用な資源を循環させ、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会・・・すなわち循環型社会の推進に取り組んでいます。具体的には、「容器包装リサイクル法」「建設リサイクル法」「食品リサイクル法」「家電リサイクル法」「自動車リサイクル法」「小型家電リサイクル法」と6つのリサイクル法があり、小型家電リサイクル法を除いて、どれも法施行から10年が経過しているため、制度の見直しを行うなどして、適切に運用されるように努めています。なお、リサイクル以外に、「リデュース」「リユース」という概念がありますし、リサイクルの中にも、資源として再生利用する「マテリアルリサイクル」や熱回収をする「サーマルリサイクル」があります。リサイクルの前に、そもそもゴミを出さないようにしたり、再度使えるものはゴミにせずに再利用する取組も、循環型社会の構築のためには重要です。(循環基本計画の中で、優先順位が記載されています。)

(佐) 光山さんが担当されている仕事はどのようなものでしょうか。
(光) 私の仕事は大きく2つあります。1つは、自動車リサイクル法の担当として、法律の運用や時代にあわせた制度の見直しを行っています。自動車リサイクル法は、関係者の努力により、リサイクルに関する指標でみれば、うまく機能している制度と言えます。例えば、自動車のリサイクル率は約95%となっており、非常に高い水準です。一方で、リユースやマテリアルリサイクルにも力を入れていくことが法施行10年後の見直しにおいて指摘されており、これを実現するための法制度の構築・検討を行っています。これに関連して、現在力を入れている施策として、「エコプレミアムカー(仮称)」というものがあります。車の購入時には、購入者はリサイクル料金を販売者に対し予め支払うことが自動車リサイクル法上義務づけられていますが、再生プラスチックなどのリサイクル素材やリサイクルしやすい素材で作られている車を普及させるために、このような環境配慮設計が進んだ車の購入にあたってリサイクル料金を割引する制度が構築できないかというものです。自然と改良が進みやすい燃費という観点でなく、易解体性や再生材の使用に着目している施策ですし、再生プラスチック市場を開拓していくという役割も担っております。
もう1つは、低炭素社会と循環型社会を同時に実現するための種々の技術的な調査等です。具体的には、例えば、①現在増え続けている太陽光パネルのリサイクル等の推進に向けた対応です。FIT制度(固定価格買取制度)を背景に太陽光パネルは近年多く設置されてきているところですが、今後、耐用年数が経過したパネルが不法投棄されるなどの懸念もあります。環境負荷を低減するはずの再エネ設備が他の環境問題を引き起こすことがないように、適正なリサイクルの推進に向け、経済産業省とも協力し検討会を立ち上げ、平成26年度にはロードマップを作成しました。部品の取り外しやすいリサイクルが容易なパネルをメーカーに開発してもらうにはどうすればいいか、パネル設置量と地域におけるリサイクル業者・埋め立て処分場とのバランス取りをどうすればいいか、といった課題もありますので、今後も取り組みを進めていきます。また、②民間企業等の持っている種々の3R技術について、実証事業を行ったりもしています。より少ないエネルギーで質の高いリサイクルができるような事業について、民間企業等から広く公募して、有識者の先生方の審査のもと採択事業を決めて、その事業の進捗について現地確認をしたり、予算の執行が適切にされているかチェックすることがお仕事です。そして、単に事業をやってもらうだけでなく、実証された事業の結果を、自動車・太陽光パネル等のリサイクルの政策に反映させています。学生さんが普段ふれる学術研究と違うのは、常に政策にどのように反映させていくかを見据えつつ技術的な事案を見ていくことです。そのほか、③低炭素社会構築に資する新素材(CFRPと呼ばれる軽くて丈夫な材料やリチウムイオン電池等)が適正に廃棄・リサイクルされるよう調査し、必要に応じ制度的な手当も検討するといった、問題が起こる前に常に先回りして、世の中の製品の出口作りをしています。

(馬) お仕事のやりがいはどういった点でしょうか。
(光) まず、非常に多くのステークホルダーと関わりながら、それらの方々に大きな影響がある制度作りができる点です。現在の私のポストに限らず、国家公務員は概ね2年ごとに様々な部署に行き、それぞれの業界の課題について非常に多くの方と一緒に取り組んでいくことが求められますが、今の仕事でも、自動車メーカー、指定法人(自動車リサイクル促進センター)、自動車解体・破砕業者、再生・資源化施設運営者といった民間企業等のほか、関連事業者に許認可を与えており制度を運用している地方公共団体の方々、経済産業省・資源エネルギー庁・国交省などの他省庁、消費者団体(ユーザー)といった具合に、たくさんのステークホルダーと関わって仕事をしています。制度が上手く機能するように、施策の影響を想像すること、現場の関係者に話を聞くことはもちろん、利害が対立することもあるため多くの方に説明に行くことも必要になります。非常に多くのステークホルダーが関わるのでその分調整が大変ですが、一方で、自動車という日本の重要な産業にも関わっている点でスケールの大きな仕事をさせていただいていると感じていますし、循環型社会・低炭素型社会の実現に同時に関われている点も充足感を感じられる仕事です。
また、廃棄物は、人間が暮らしていれば必ず出てくるものであり、3Rの制度を構築し、資源を循環させる仕組み作りは、そうした社会構造の変革や社会コストの低減に真正面から取り組んでいくものです。そして、そのためには、リサイクル市場が存在し、市場原理に任せて経済的に回る仕組みを作ることが前提です。私の仕事は、環境の視点から市場・経済にも切り込んでいくことであり、その意味でもやりがいがあり楽しく、そしてバランス感覚が求められる分野だと思っております。施策の手法としても、規制だけでなく技術支援・補助などレパートリーは豊富であり、循環型社会の構築に向け、実際にリサイクルに取り組む事業者等にとっては厳しくも頼りになる存在となれるよう、これからも精進していきたいと思っています。

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(写真1枚目)インタビューの様子
(写真2枚目)自動車破砕残さ・シュレッダーの様子