環境省
VOLUME.76
2020年4月・5月号

03 再生可能エネルギー

再エネの体験学習を通して未来の福島を担う人材を育成

あすびと福島

震災発生から2年後の2013年、一般社団法人あすびと福島は、津波被災農地に建設した南相馬ソーラー・アグリパークでユニークな体験学習を開始し、地元の小中学生のほぼ全員に、再生可能エネルギーを学んでもらうプログラムを継続して実施している。

 あすびと福島は、南相馬市とともに建設した南相馬ソーラー・アグリパークにおいて、再生可能エネルギーの仕組みを体験できるプログラムを2013年から実施している。代表理事の半谷栄寿さんは、南相馬市の出身。福島の復興を志す中で、将来にわたって復興を担う人材を育てる必要性を感じ、子どもたちが考え行動する力を伸ばす体験学習を継続している。

 太陽光発電パネルの向きや角度を変えて発電量の変化を知る「太陽光発電研究」や、水力発電装置を自分の力で直接回した発電量と自分の力でくみ上げた水の勢いを使った発電量を比べる「水力発電研究」など、さまざまな体験により再エネについて学ぶことができる。これまでに市内の小中学生延べ3,500人が学校の授業として参加。さらに、福島県内の高校生や大学生を対象にしたプログラムなども無償で行っている。

 南相馬市は2030年までに、市内の消費電力と同じ量の電力を再エネで発電することを目指している。「再エネの普及にはソフト面の充実も大切です。子どもたちは学校の授業などで“なぜ再エネが大切か”を学びますが、その知識を実体験によって“腹落ち”させることが私たちの役目です」と半谷さん。「体験を通じて、気候変動の防止と再エネを結びつけられるようになった子もいます。そうした主体的に考える力を引き出す場にしていきたいですね」。今後は首都圏の中高生を受け入れる予定もあり、体験を通じた再エネの普及、人材育成を広く展開していく。

カレンダーで福島の森づくりに貢献

 「ふくしま復興応援カレンダー」は、1部につき150円が福島県内の人工林の間伐や間伐材の有効活用に充てられ、CO2を吸収する健全な森づくりに貢献する商品である。あすびと福島は企業の社員研修にも力を入れており、毎年研修を実施している大手印刷会社が、2015年の研修中に生まれたアイデアから商品化し、制作・発売したものだ。2020年度までの4年間で、240万円が間伐の支援に活用され、32haの間伐につながるなど、企業の人材育成を通して福島の未来に貢献している。

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