飯舘村長泥地区における除去土壌再生利用実証事業
阿武隈山系の自然に囲まれ、花卉栽培や畜産が盛んだった飯舘村。
村内唯一の帰還困難区域である村南部の長泥地区で今、放射能濃度の低い除去土壌を資材として再生し、盛土を造成して農地として利用する実証事業が進んでいる。
長泥地区での除去土壌再生利用実証事業は、2017年11月に飯舘村、長泥行政区、環境省が実施に合意し、2018年9月にスタートした。
除去土壌は、土のう袋の放射能濃度を一つずつ測定し、1kg当たり5,000ベクレル以下のものを選び、石や枝を取り除き、水分量や粒度を調整して再生資材化している。再生資材の上に汚染されていない土をかぶせて造成した盛土では、バイオマス原料となるジャイアントミスカンサスなどの資源作物を試験栽培。刈取り後、作物への放射性セシウムの移行について分析した結果、露地栽培の資源作物の放射能濃度は、安全評価での想定を下回る十分安全側の結果が得られた。
「この事業は、地元の方と密にコミュニケーションを取りながら進めることを大事にしています」。福島地方環境事務所土壌再生利用推進室の百瀬嘉則室長は、そう力を込める。地域の代表者が参加する飯舘村長泥地区環境再生事業運営協議会などにより定期的に意見交換し、試験栽培には住民が“農業のプロ”として参画、知恵を貸している。
今後、地区内での農地造成に着手するとともに、除去土壌の再生利用の事例として取組を広く発信していく。住民からは「世界で初めてのことをやるんだから、他の地域の模範になるような素晴らしいものにしたい」という声も強く、長泥地区の復興につながる事業として大きな期待が寄せられている。「その思いを受け止め、私たちも地域のみなさんと一緒に頑張っています」(百瀬室長)。
試験栽培までの流れ
1:再生資材化
ストックヤードで放射能濃度を測定し、1kg当たり5,000ベクレル以下に選別した土のう袋から土壌を取り出し、異物の除去、水分量や粒度の調整などを行う
2:盛土の造成
出来上がった再生資材の上に汚染されていない土を50cmの厚さでかぶせて盛土を造成する
3:栽培の実施
盛土の完成後、耕起やうね立てなど、農地として使うために必要な手入れをした上で、資源作物などの試験栽培を行う

今夏から大規模な農地造成
実証事業での結果を踏まえ、今年の夏頃から、地区内に設定した「農の再生ゾーン」の一部で、再生資材を使った大規模な農地造成工事がスタートする。最終的には、候補地の34ha(今後変更となる場合がある)を農業ができる状態に整備していく予定。