環境省
VOLUME.68
2018年12月・2019年1月号

第2特集 ECO SEARCH【今月の検索ワード】星空観察

光害(ひかりがい)や大気汚染への関心を高め、地域の活性化資源にもなる

大気汚染や、過剰な光が周囲に悪影響をもたらす「光害」によって、近年星空が見えにくくなっています。光害は、人や自然界に多くの障害を引き起こす問題。星空観察は、光害や大気汚染について考えるきっかけとなり、観光や教育資源にも活用できます。ぜひ星空観察に取り組んでみて下さい。

PEOPLE

SPECIAL INTERVIEW

星空観察で、
空の環境を考えてみよう!/国立天文台 副台長 渡部 潤一さん

長野県南牧村

美しい星を見るには空気の澄んだ高地がベストですが、都会でも十分星を見ることができますよ、と渡部先生

星空を日々観察して空の変化にも注目しよう

 星が瞬く美しい夜空を、次世代に残したい。多くの人が持つ願いだと思いますが、今、大気汚染と、過度な光による光害によって星が見えづらくなっています。地上の光が増えると、大気の中のゴミに反射して夜空が白け、かすかな星の光がかき消されてしまうのです。昔は東京でも天の川を肉眼で見ることができたのに、今はほとんど見えません。

 以前より改善されてきた大気汚染に対し、光害は対策が進まない問題でもあります。NASAが公開した夜の地球の写真を見たことがありますか?宇宙に放たれた光の写真は一見美しく見えますが、この光はすべて無駄に使われた光だと言うこともできます。私たち皆が、もう少し光害について考える必要があるのです。

 そのためにも、ぜひ星空に注目してみてください。まずは夏のペルセウス座流星群や冬のふたご座流星群など、見応えのある天文現象を狙って、夜空を見上げると楽しいですよ。星空観察は天候に左右されてしまうので、絶好のタイミングの日に雲がかかって見えないこともあります。できれば日々の生活の中で、星の観察を習慣化できると良いですね。「肉眼で星なんてほとんど見えない」と言う人もいると思いますが、10分間目を凝らせば、次第に目が慣れて星が見えるようになってきます。10分間もじっと夜空を見上げるなんて、忙しい現代人には難しいかもしれませんが、立ち止まる心の余裕を持つためにも、星空観察をおすすめしたいと思います。

NASAが公開した夜の地球の写真。右端にある日本が、他国より一際輝いているのがよくわかる

光害が起きると、空が白み、弱い星は見えなくなってしまう。星空観察に限らず、様々な形で私たちの生活に悪い影響を及ぼしている

)NASAが公開した夜の地球の写真。右端にある日本が、他国より一際輝いているのがよくわかる
)光害が起きると、空が白み、弱い星は見えなくなってしまう。星空観察に限らず、様々な形で私たちの生活に悪い影響を及ぼしている

INFORMATION
>> 国立天文台HP 
https://www.nao.ac.jp/

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