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【東京会場】「公共建築物のZEB化実現に関する意見交換会」報告

公共建築物のZEB化を含む大幅な省エネルギー化を図ることを目的として、環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室主催による意見交換会・施設見学会が開催された。

日 時
令和2年1月30日(木)13:30~16:30
会 場
ビジョンセンター東京駅前7階703
(東京都中央区八重洲1-8-17 新槇町ビル7階)
参加者
自治体(70名)、自治体以外(2名)
開催主体
環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室
実施機関
一般社団法人サステナブル経営推進機構・株式会社ファースト

プログラム

(1) 挨拶・趣旨説明 多田氏(環境省) 13:30~13:50

  • 本意見交換会の趣旨について説明を行い、国の温暖化対策に関する基本的な認識と、ZEBに関係する施策・補助制度に関する説明が行われた。

(2) 公共建築物のZEB化・省エネ改修等の課題、調査発表 乾氏(サステナブル経営推進機構) 13:50~14:20

  • 地方公共団体を取り巻く現状を整理し、公共施設のZEB化がそれぞれの課題に対してどのように課題解決に貢献するか説明を行う。また岡山県津山市の既存改修の事例を通じて、新築以外にもZEB化の効果が高いことが説明される。

(3) 公共建築物のZEB関連技術動向 砂賀氏(大成建設) 14:20~14:50

  • ZEBに関する個別技術の紹介を行う。導入傾向の高い省エネ技術として、2重ガラス・日射遮蔽・パッケージ型空調機・照度検出制御型の照明について説明。各技術は導入事例も多く比較的安価な費用で構築できることが説明される。
  • 導入事例として、JS博多渡辺ビルの実例を紹介。人感センサー連動型照明などの最新技術を導入しつつ、基盤となる省エネ技術として、二重ガラス、パッケージ型空調機などの省エネ技術を組み合わせることで、JS博多渡辺ビルでは設計値52%の省エネ化に対して、運用実績として63.4%の省エネ化を達成されていることが紹介される。

(4) 須賀川土木事務所におけるZEB化の課題と解決策 福島県 15:00~15:30

  • 県有施設においても、再エネ・省エネ推進建築物設計ガイドラインを策定し、公共建築物の環境配慮に取り組んでおり、その一環としてZEB化に取り組んでいる。
  • 須賀川土木事務所は、須賀川市・鏡石町、天栄村内において県が管理する土木施設の維持管理・災害復旧拠点である。現在の事務所は築50年を超過し、老朽化に伴い新たに建築を行った。2階部分の構造を木造として、屋根にCLTを活用することで開放的な空間を確保している。現在建築工事を実施しており、2020年3月末完成予定である。県としては須賀川土木事務所をZEB化のモデル事例として、2020年以降は効果や技術データを公開することで、ZEB建築物の普及啓発に取り組むことが紹介された。

(5) 開成町役場庁舎におけるZEB化の課題と解決策 開成町 15:30~16:00

  • 新庁舎は町のシンボルとなる建物であることから、積極的な省エネ・創エネ設備を採用することで低炭素社会実現に寄与する取り組みとして、今年度完成予定である。
  • 実際に導入する空調方式や照明については職員がショールームや設備事業者からの説明を受けて、模擬的な環境を用意し、検証を行うことで省エネと執務環境の快適性が保つことができることを町独自に検証してきた。また施工事業者の選定にあたっては、外部有識者による施工事業者選定委員会を開き、町としては初めての総合評価方式による事業者選定を行った。
  • ZEB導入にあたっては、北側採光の配置計画による日射の低減、町の豊富な地下水を活かし水蓄熱槽を採用することで、夜間に冷却水を蓄熱し、ピーク電力を削減することで、一次エネルギーの79%削減を実現するなど、ZEB化によるエネルギーコスト削減のメリットが紹介された。

(6) 質疑応答 16:00~16:50

  • 導入事例を発表した福島県・開成町に対して事業者の選定方法、他部局や議会に対してZEBの認知を高める対応方法について、環境省には来年度以降の補助内容の詳細について、ZEBプランナーの大成建設に木造でのZEB化事例について参加者から質問が出され、意見交換が行われた。
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