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公共建築物のZEB化実現に関する意見交換会(大阪)報告

公共建築物のZEB化を含む大幅な省エネルギー化を図ることを目的として、環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室主催による意見交換会が開催された。

日 時
平成30年12月21日(金)13:30~16:50
場 所
ホテルメルパルク大阪 5階「カナーレ」
(大阪市淀川区宮原4-2-1)
参加者
自治体(18名)、自治体以外(8名)
開催主体
環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室
実施機関
三菱総合研究所環境・エネルギー事業本部

プログラム

(1) 挨拶、趣旨説明 和田氏(環境省)13:30~13:50

  • 環境省近畿地方環境事務所より、本意見交換会の趣旨及び環境省のZEB実証事業と政策について説明が行われた。

(2) 公共建築物のZEB化・省エネ改修等の課題 西山氏(三菱総研)13:50~14:10

  • 三菱総合研究所より、各地方公共団体の担当者から意見聴取し抽出された公共建築物のZEB化・省エネ改修実施上の課題について説明が行われた。

(3) 公共建築物のZEB関連技術動向 小林氏(安井建築設計)14:10~14:40

  • 高島市庁舎の設計者である安井建築設計事務所から、高島市庁舎に導入されたZEB技術について説明があった。
  • 安雲川水系からの潤沢な地下水、卓越風、地中熱、自然採光など地域特性を極力活用した環境技術を導入し、環境負荷や将来の維持管理コストを抑えた計画となっている。
  • 50%以上の省エネルギーを達成するZEB Readyとして補助金が採択されている。

(4) 高島市庁舎におけるZEB化の課題と解決策 高島市 14:50~15:20

  • 平成17年1月に5町1村が合併して高島市が誕生。分散していた本庁舎機能を集約することによる来庁者の利便性向上や災害対策本部機能の一元化を図ることが重要であることから現庁舎の改修及び庁舎増築が計画された。
  • パブリックコメントにイニシャルコストやランニングコストを評価して設備を採用するべきであるとのご意見があったことから、既存建築部分は建設コストを削減するために継続可能な空調設備を有効活用した空調方式とし、全体としては省エネルギーに配慮した計画であるとの市の考え方を公表した。
  • 実施設計の段階での見積もりが計画工事費を超過してしまったため、建築工事、電気・機械設備工事全般にわたり仕様の見直しを行った。
  • ZEB化を考慮した設計であることから業者の施工能力等を考慮する必要があるのか検討した。そして、ZEB化については設備機器を組み合わせているだけであり、個々の機器についても特別なものではないと判断し、地元業者に配慮した制限付き一般競争入札により県内と市内業者によるJV方式として公募した。
  • 「補助事業の完了の条件」における事業完了日は、単年度事業の場合が1月31日、並びに複数年事業の場合が初年度2月28日及び翌年度が1月31日となっており、地方公共団体が工事を執行する上で足かせとなっている。会計年度末を補助事業の完了とし、翌年度4月に実績報告を行うようなスケジュールに変更していただきたい。このように変更することで検査回数の減少等事務の効率化が図れ、補助対象工事が増加し補助金を有効活用できる。

(5) 瀬戸市「にじの丘学園」におけるZEB化の課題と解決策 瀬戸市 15:20~15:50

  • 瀬戸市では、いくつかの学校の児童・生徒数の減少に伴う問題を解決するため小学校5校と中学校2校を一つにした小中一貫校である「にじの丘学園」を計画・建設している。生徒数は9学年で1,000人規模になる。にじの丘学園整備工事を市の上位計画に組み入れることで事業を進め易くした。
  • 地元住民との合意形成のため、利害関係者が参画する小中一貫校施設整備委員会の中で様々な議論を行ったり、小学校単位で協議会を開催したり、いろいろな媒体を使って情報共有を図ることで、地元住民に建設を理解していただいた。建設中である現在も、地元住民と対話している。
  • 合意形成上、これまでは支持層に目を向けることが多くみられるが、是々非々層(反対者)に目を向けた。そのため、環境問題に限らず、学校施設にまつわる地域住民の様々な意見をドメインマップに落とし込み、優先順位を付けて包括的な対話を続けた。また、PTAだけではなく地元住民全体と対話を続けた。このほか、保護者と教員にアンケートを取りながら合意形成を図った。
  • ZEBは未来を託す子供への投資であるとの説明は庁内の合意形成に有効であった。
  • 議会との合意形成のため、議会が開催される度に地域住民との話し合いの状況及び国や県との調整状況を詳細に報告した。また、基本設計の段階で議員から要望を聞き、採用できるかどうか議論した。
  • ZEBに関する補助金だけでは財政面で厳しいことから、環境省以外からの補助金や起債の可能性を考える必要がある。
  • 高島市からご紹介があったとおり複数年事業における「補助事業の完了の条件」の緩和をお願いしたい。

(6) 質疑応答・意見交換 15:50~16:50

  • ZEB化・省CO2促進事業、補助金制度活用上の留意点等さまざまな内容について活発な質疑応答が行われた。

参加いただいた地方公共団体(順不同)

・滋賀県 ・岡山県 ・徳島県 ・大阪市 ・名古屋市 ・向日市
・吹田市 ・高槻市 ・富田林市 ・藤井寺市 ・その他(5地方公共団体)

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