【オンライン開催】「公共建築物のZEB化実現に関する意見交換会(2024年1月25日開催)」報告
公共建築物のZEB化を含む大幅な省エネルギー化を図ることを目的として、環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室主催による意見交換会が開催された。
- 日 時
- 2024年1月25日(木)13:00~15:15
- 場 所
- オンライン開催
- 参加者
- 自治体(27自治体)
- 開催主体
- 環境省 地球環境局 地球温暖化対策事業室
- 実施機関
- 三菱総合研究所 サステナビリティ本部
プログラム
(1) 挨拶、環境省のZEB支援策の説明(環境省) 13:05~13:20
- 環境省より本意見交換会の趣旨について説明があり、国の温暖化対策に関する基本的な背景やZEBに関係する施策・補助制度に関する説明が行われた。
(2) 公共建築物のZEB化検討ステップに応じた課題と解決策について(三菱総合研究所) 13:20~13:50
- 三菱総合研究所より、公共建築物のZEB化を検討する際の基本構想から運用までの各段階における課題と解決策について説明が行われた。
(3) 山形県上山市立南小学校ZEB化事業について(山形県上山市) 13:50~14:25
- 山形県上山市より山形県上山市立南小学校ZEB化事業についての説明が行われた。
- 上山市立南小学校は、昭和54年建設で設備更新が必要となっていたことに加え、市でCNに向けて取り組んでいたこと、上位計画でも環境負荷の低い施設改修を行う方針であったこと等からZEB化を検討した。併せて、当小学校は災害時の第2順位の防災拠点であったため、レジリエンス性を強化しつつ温室効果ガス排出を抑制する施設改修が必要だった。
- ZEB化にあたっては、窓ガラスの複層ガラス化、空調能力と換気量の適性化、照度の適正化や明るさセンサー・人感センサーの導入による照明の制御、太陽光発電設備、蓄電システム、BEMSを導入した。
- 基本構想段階から運用段階まで企画部門、施設担当課、建設部門、財政部門の4つの部門に環境施策の部門も加えて庁内の調整を行い、横の連携を密にして事業を進めた。
- 市単独事業でZEB化の可能性調査を行った上で、ZEBランク検討も含めた設計・施工一括のプロポーザル方式で発注した。補助事業の申請時期と発注までの期間が短いことが課題となったが、事業採択にならない場合でも市単独で進める覚悟を持って進めていたため、スケジュール的にスムーズに進められた。
- 基本計画段階では、企画部門で市民や議会への説明を行った。年度当初に市長が市民に対して市事業説明をする中で、ZEB事業の必要性について説明し、理解を得られた。
- ZEBの専門性が高いため、設計・施工事業者と一体となり進める必要があったが、プロポーザル方式にしたことで、民間事業者の提案により市だけではできない発想により対応できた。
- 運用段階では、ゼロカーボンシティに向けた取組を進める上で、公共施設が環境負荷の低い施設であることを市民に示す必要があるため、ZEB事業による効果を見える化することにより、子供や市民に周知していく予定である。
(4) 南風原町役場庁舎ZEB化事業について(沖縄県南風原町) 14:35~15:00
- 沖縄県南風原より南風原町役場庁舎ZEB化事業について説明が行われた。
- 南風原町役場は竣工から26年経過しており、設備機器の更新がされておらず、メンテナンス費用が膨らみ設備更新が課題となっていた。
- 省エネ相談地域プラットフォーム事業者のZEB化可能性調査の診断の結果、設備の更新で55%省エネとなり、補助事業を利用することで自己負担額が有利となることが分かった。南風原町の個別施設計画や地球温暖化防止実行計画に記載されている省エネ設備導入や温室効果ガス削減目標にも合致することからZEB化実施を決定した。
- ZEB化にあたっては、高効率型空調機器の導入、照明設備のLED照明化、トップランナー変圧器の更新、BEMS設備導入、太陽光発電設備・蓄電池の整備を行い、ZEB Readyの認証を取得した。
- 基本構想段階では、庁内では、企画財政課、住民関係課で各種計画を達成するため、職員共通の課題として取り組んだ。
- 基本計画段階では、ZEB化のコスト比較と財源確保の課題があり、プラットフォーム事業者へZEB化可能性調査を依頼することで解決した。
- 実施設計段階では、議会に対しては、ZEB化に係る事業費増額に対する理解を求め、予算計上や整備内容を説明した。施工事業者については、公募型プロポーザル方式により、設計・施工一括発注による業者選定を行った。
- 施工段階では、コロナ禍であったことからコロナワクチンチームと停電作業に関する調整が必要となり、事業担当者により各課との調整や進捗確認し現場定例会議での情報共有を行った。
- 運用段階では、維持管理委託業者との連携によるモニタリングを実施している。町民・議会への説明時には電気料金高騰によるコスト削減額の減少が課題となっているが、職員全体で省エネに対する意識向上に努めている。
(5) 質疑応答・ディスカッション 15:00~15:15
- 自治体からのプレゼン内容について、質疑応答・ディスカッションが行われた。
参加いただいた地方公共団体
山形県/京都府/千葉県/兵庫県
江東区/荒川区/魚沼市/戸田市/高槻市/堺市/神戸市/太田市/徳島市/富岡市/明石市/木更津市/三条市/伊奈町/横須賀市
※事後アンケートで掲載可と回答いただいた自治体名のみ掲載