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【オンライン開催】「「公共建築物のZEB化実現に関する意見交換会(2022年2月15日開催)」報告

公共建築物のZEB化を含む大幅な省エネルギー化を図ることを目的として、環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室主催による意見交換会が開催された。

日 時
2022年2月15日(火)13:00~16:00
場 所
オンライン開催
参加者
自治体(31名)
開催主体
環境省 地球環境局 地球温暖化対策事業室
実施機関
三菱総合研究所 サステナビリティ本部

プログラム

(1) 挨拶、環境省のZEB支援策の説明(環境省) 13:05~13:20

  • 環境省より本意見交換会の趣旨について説明があり、国の温暖化対策に関する基本的な背景やZEBに関係する施策・補助制度・導入状況に関する説明が行われた。

(2) ZEB化促進に向けたガイドラインの素案について(三菱総合研究所) 13:20~13:50

  • 三菱総合研究所より、公共建築物のZEB 化の課題・ZEB化ガイドラインイメージの説明が行われた。

(3) 大樹町におけるZEB導入の経緯と課題への対応について(北海道大樹町)  13:50~14:30

  • 北海道大樹町より、新庁舎におけるZEB化事例と課題への対応について説明が行われた。
  • 現庁舎の耐震強度不足により改築に向けて検討を進めることとなり、住民参加による庁舎改築検討員会にて、耐震補強、改築等の複数パターンの中から検討した結果、改築による対策を行うこととなった。
  • さらに職員による改築検討チームにより、建築場所や面積、庁舎機能、省エネ対応、木質ボイラー導入の検討を実施した。
  • 基本設計段階では、高断熱化、地熱の利用等によるエコロジカル庁舎、ZEB ready基準導入は今後検討すべきとされたが、環境省からの実証事業活用のアドバイスを受け、実施設計で最終的にZEB ready基準の導入を決定した。
  • 新庁舎は2022年1月竣工で、現庁舎より1割ほど小さくなっている。防災拠点としての機能を強化しており、非常用発電機や蓄電池(太陽光発電)等を備えている。
  • ZEB化にあたっては、高性能断熱材・窓、地中熱ヒートポンプ空調、LED照明、全熱交換型換気、太陽光発電、リチウムイオン蓄電池、BEMSを導入し、一次エネルギー消費量54%削減でZEB ready認証を取得している。
  • ZEB化の過程では、財源確保や補助制度の把握、補助申請書類作成の難易度が高く、ZEB ready基準実現のためのノウハウ不足等様々な課題があったが、ZEBプランナーからZEB実現に向けた技術的な支援を受けることで解決できた。
  • コミッショニング制度を導入し、施工業者、施行監理業者、ZEBプランナー、役場で適宜会議を行い、BEMSの考え方等意思統一を図った。
  • 新庁舎は1月に完成したばかりであるが、コミッショニング制度を利用して運用マニュアルを作成中である。

(4) 氷見市におけるZEB導入の経緯と課題への対応について(富山県氷見市) 14:40~15:20

  • 富山県氷見市より、学校改修におけるZEB化と課題への対応についての説明が行われた。
  • 市内の児童数が減少し統合問題が表面化する中で、小学校3校及び中学校1校を統合し、義務教育学校を設置するにあたり教育活動に必要な環境を整備するため、既存中学校校舎を改修することとなった。
  • 2018年作成の氷見市温暖化防止実行計画(事務事業編)に基づき検討を行ったが、建物更新等の際にZEBや省エネ改修を取り入れてエネルギー効率向上を図ることが位置づけられており、対象施設として学校が記載されていたため、庁舎内でもスムーズに検討を行える土台があった。
  • ZEB化にあたっては、高効率ヒートポンプ空調、全熱交換器システム、LED照明、高効率変圧器、BEMSを導入した。
  • Nearly ZEBの構想段階では、屋根(天井)への発泡ウレタン吹付による断熱性向上や高断熱真空複層ガラスも検討していたが、予算やスケジュールの関係で取りやめることとし、基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減を計算上達成し、ZEB readyとなった。
  • ZEB化における課題と解決策としては、ZEBに対する理解が不足していたため、省エネやZEBの必要性について環境部門と協力し財政部門に説明を行ったこと、予算・スケジュール等の関係で導入できない設備・技術が出てきた場合、削減率に余裕がないとZEBが達成できなくなるため、ある程度余裕をもたせるべきであること、学校の場合は省エネと言っても伝わりにくいため、ZEB化により断熱性能が向上し、夏場涼しく冬は暖かいということを保護者に遡及したほうがわかりやすいこと等が紹介された。
  • 事業がスムーズに進むようZEBプランナーを選定し、アドバイザリー契約を結んだうえで、ZEBの水準を決定したり、申請書の作成、工事中の確認等をお願いした。
  • 令和2年9月に運用を開始したたばかりであるが、新型コロナウイルス感染症対策として、窓を開けたまま授業を行うなど当初想定通りの稼働ではないため、今年の結果を見ながら運用方法を変更していく必要がある。

(5) 質疑応答・ディスカッション 15:20~15:50

  • 2自治体からのプレゼン内容について、質疑応答・ディスカッションが行われた。
  • ガイドラインイメージについて、質疑応答が行われた。

参加いただいた地方公共団体

京都府、盛岡市、八千代市、市川市、浜松市、津山市、東海市、下諏訪町、池田町、かほく市、長岡京市、高槻市、大府市

※事後アンケートで掲載可と回答いただいた自治体名のみ掲載

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