【オンライン開催】「公共建築物のZEB化実現に関する意見交換会(2021年2月19日開催)」報告
公共建築物のZEB化を含む大幅な省エネルギー化を図ることを目的として、環境省 地球環境局 地球温暖化対策事業室主催による意見交換会が開催された。
- 日 時
- 2021年2月19日(金)13:00~17:00
- 場 所
- オンライン開催
- 参加者
- 自治体(27名)
- 開催主体
- 環境省 地球環境局 地球温暖化対策事業室
- 実施機関
- 三菱総合研究所 サステナビリティ本部
プログラム
(1) 挨拶・趣旨説明 谷川氏(環境省) 13:00~13:15
- 環境省より本意見交換会の趣旨について説明があり、国の温暖化対策に関する基本的な背景やZEBに関係する施策・補助制度・導入状況に関する説明が行われた。
(2) 公共建築物のZEB化・省エネ改修等の課題(三菱総合研究所) 13:15~13:30
- 三菱総合研究所より、公共建築物のZEB化・省エネ改修実施上の課題について、各地方公共団体から意見聴取した結果をもとに説明が行われた。
(3) 開成町におけるZEB導入の経緯と課題への対応について(開成町・松田平田設計) 13:30~14:30
- 神奈川県開成町、(株)松田平田設計より、開成町のZEB化事例について説明が行われた。
- 開成町新庁舎は、運用時の運用操作がなくとも、基準一次エネルギー消費の50%以上のエネルギー削減が期待できる全国初のZEB認証庁舎として計画された。
- 開成町新庁舎では、建築外皮性能向上による熱源機器容量の縮減や、空調抑制による低減効果が大きく空調設備における一次エネルギー消費量の削減が全体のエネルギー消費量の削減に貢献した。
- 運用者による細かな管理によって、運用方法や設定方法のチューニングすることにより設計値は省エネ54%、創エネ24%を合わせて78%の削減率を見込んでいたが、実績値では、省エネ57%、創エネ24%と合わせて81%削減率を達成した。
- ZEB化による一次エネルギー消費量の削減によって、15年での設備更新費相当のランニングコストを賄うことが可能である。
(4) ZEB導入事例:愛知県環境調査センターの概要について(大成建設) 14:45~15:30
- 大成建設株式会社より、ZEBの技術動向、及び愛知県環境調査センターついて説明が行われた。
- 建物のZEB化は、基本的に負荷削減、自然エネルギーの活用、設備等の高効率化の3つの観点で行うといった建築時における考え方が紹介された。
- 愛知県環境調査センターは、県民の公衆衛生を図る調査・研究の拠点施設であり、BELS認証における最高ランク、Nearly ZEB 認証を取得している。
- 一次エネルギー消費量を57%削減し、太陽光発電による28%創エネで、Nearly ZEB(合計一次エネルギー消費85%削減)を達成している。
- 高効率な単結晶型太陽光発電パネル(266kW)と眺望や採光を確保するシースルー型太陽光発電パネル(38kW)の2種類の太陽光パネルを屋上や地上のみならず、壁面にも設置することで、創エネ効果を最大限高めている。
(5) 向日市におけるZEB導入の経緯と課題への対応について(向日市、都市居住文化研究所、三井住友建設) 15:30~16:30
- 京都府向日市、株式会社都市居住文化研究所、三井住友建設株式会社より向日市におけるZEB導入の経緯と課題について説明が行われた。
- 向日市の基本計画の策定にあたっては、地球環境にやさしい施設(ZEB Readyを目指すこと)であることや、建物が市のシンボルとなることを目的にデザイン・設計を実施した。
- 向日市新庁舎は、基準一次エネルギー消費の50%以上のエネルギー削減が期待できるZEB Readyを目指すこととしている。
- 南北に長い建物であることから、東西面の遮熱性・遮断性を重視してダブルスキンを採用しており、庇による日射遮蔽行うことで三重の断熱を実現した。
- 向日市では、市役所と市民会館が災害時に防災センターと一次避難所になるため、自家発による保安照明の確保、停電時対応型太陽光発電システムを導入している。
(6) 質疑応答・意見交換 16:30~17:00
- ZEB化を検討した経緯や実際の運用時における留意点等まで、ZEB化の導入段階から運用段階の幅広い内容について質疑応答が行われた。
参加いただいた地方公共団体(順不同)
江別市、恵庭市、古平町、盛岡市、館林市、上尾市、浦安市、品川区、神奈川県、富山県、愛知県、大府市、京都府、堺市、荒尾市、その他
※事後アンケートで掲載可と回答いただいた自治体名のみ掲載