ビルは“ゼロ・エネルギー”の時代へ

改修ZEB事例の技術情報

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建物概要

改修
事例2
IKEUCHI GATEIKEUCHI GROUP

IKEUCHI GATEの写真

3層ガラスや断熱サッシによる断熱性の向上に加え、コージェネレーションシステムとその排熱を利用した吸収式冷凍機等の高効率機器を導入することで、寒冷地域における「ZEB ready」化とレジリエンスの強化を両立。

ZEBの分類
ZEB Ready
  • 都道府県(地域区分):北海道(2地域)
  • 新築/既築:増改築
  • 竣工年:2022年
  • 延床面積:9,286㎡
  • 階数(地上/地下):地上8階/地下1階
  • 主な構造:SRC造
  • 建物用途:物販店舗等
  • 一次エネ削減率(創エネ除く/含む):64%/64%
IKEUCHI GATEの写真

導入したZEB技術

建築省エネルギー技術

導入したZEB技術の表

※(本施設のエネルギー使用量)/(同仕様の建物のエネルギー使用量)を示した値であり、数値が小さいほど省エネ性能が高い。

 

エアハンドリングユニットの写真
エアハンドリングユニット
3層ガラスの写真
3層ガラス
人感センサーの写真
人感センサー
LED・昼光利用制御の写真
LED・昼光利用制御
断熱サッシの写真
断熱サッシ
排熱利用吸収冷凍機の写真
排熱利用吸収冷凍機

 

ZEB化の実施検討にあたって苦労したこと/工夫したこと

【建築主様のご意見】


限られた期間内での工事

課題

複合商業施設というビルの複雑な性質や、実施設計段階からのZEB化調整、イニシャルコストの増加、起工から竣工までほぼ1年工期という超短工期の中での調整など調整事項が多岐に渡った。またコロナ過による半導体不足や設備価格の高騰などの難所もあった。

解決方法

ZEBプランナーの助言や、設備業者の知見を採用しながら、設計事務所とも適宜連携を行いながら実現に向けて進めた。

【事業者様のご意見】


ZEB化に向けた理解

課題

もともとの設計ではBEIが大きく、空調機のダウンサイジングを提案したが、能力が足りないのではないかといった声があった。

解決方法

ステークホルダー、関係者との密な打ち合わせを行い、具体的な計算結果による数値等の根拠に基づき丁寧な説明を通して理解を図った。

全体のスケジュールバランス

課題

降雪が多い冬季(12月~3月)の工事や補助事業との兼ね合いによるスケジュール調整や、複数年度のため、それぞれの年度の工事のバランスが難しかった。

解決方法

建設業者・設備業者、関係者と調整しながら、現実的に実施可能な内容とスケジュールを作成した。

ZEB検討の手順

ステップ1

コージェネレーションシステムの検討

非常時でも使用可能なコージェネレーションシステムの導入を前提として、ZEB化の検討を始めた。

 

ステップ2

断熱性の向上

BPIを0.8以下になるように、3層ガラスや断熱材など、断熱性向上を検討した。

 

ステップ3

適正負荷の検討

熱負荷計算を行い、適切な空調負荷を計算した。

 

ステップ4

コージェネレーションの廃熱等の有効活用の検討

コージェネレーションによる発電電力の使用、吸収式冷温水機への廃熱活用による省エネ化を検討した。

 

ステップ5

高効率設備の選定

高効率空調、全熱交換ユニット、照明、給湯、変圧器設備について検討した。また、さらなる省エネを図るため以下の未評価技術の導入を行った。
CO2濃度による外気量制御
空調ポンプ制御の高度化
冷却塔ファン・インバータ制御
照明のゾーニング制御

 

ステップ6

省エネ性・経済性の検討

STEP1~~STEP5までの検討結果をもとに、ZEB Readyに相当するよう省エネ計算を行い検討した。

 

ステップ7

スケジュールの検討

ZEB化実現のための施工スケジュールを検討した。

 

ZEB化実現までのスケジュール

ZEB化実現までのスケジュールの画像

事業実施後の運用改善状況

運用改善の実施業況

エネルギー計量270点と環境計測235点の計測を5分単位で行えるシステムを導入し、今後の運用改善を図る。

導入しているマイクロコジェネの運転は外気温にも影響を受けるため、適切な制御については今後もデータを蓄積していく必要がある。
ランニングコストについては、契約デマンドを意識し、運用面にて随時確認していく。

ZEBの効果

CO 2削減量

826t-CO2/年(計算値)
※(建物のエネルギー使用量基準値)-(建物のエネルギー使用量設計値)

ランニングコスト
削減額

約3,500万円/年(想定値)
※エネルギー使用量の基準値と設計値の差をもとに算出

総工費

ZEB化費用:92,278万円
実質負担額50,435万円

※国庫補助金:41,843万円

投資回収年数

約14.5年
※実質負担額 ÷ ランニングコスト

その他の効果

  • テナントに対して、電気代の節約や快適な空間の提供等のメリットを提示できる。
  • 全熱交換器によって常に新鮮な空気を取り入れているため、清潔感を感じるという意見もあった。
  • 照明のタイムスケジュール制御によって、管理においてやや負担が減った。
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