ビルは“ゼロ・エネルギー”の時代へ

改修ZEB事例

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建物概要

改修
事例10
白石市文化体育活動センター宮城県白石市

白石市文化体育活動センター 外観の写真
白石市文化体育活動センター 外観

温室効果ガス排出量削減に向け、公共施設の設備更新、再エネ活用による削減目標を設定し、公共施設である文化体育活動センターをZEB化改修。改修により「ZEB Ready」認証を取得

ZEBの分類
ZEB Ready
  • 都道府県(地域区分):宮城県(4)
  • 新築/既築:既築
  • 延床面積:10,925㎡
  • 建物用途:集会所等
  • 一次エネ削減率(創エネ除く/含む):57% / 59%
白石市文化体育活動センター 外観の写真
白石市文化体育活動センター 外観

ZEB化の推進と災害時における防災性能向上に向けた大規模改修

宮城県白石市の「文化体育活動センター」は、既存建築物としてのデザイン性を考慮しつつ、ZEB化の推進と災害時における防災性能向上に向け、空調、給湯、照明設備の大規模改修を行うとともに、太陽光発電設備・蓄電設備を導入し、『ZEB Ready』に認証されました。

ZEB化導入の経緯

温室効果ガス排出量削減目標設定(2019年2月)

「第3次白石市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」を策定し温室効果ガス排出量削減目標を設定
削減目標達成のため公共施設の設備更新及び再エネ活用による目標を設定

 

設備更新対象施設の選定

施設の規模、補助金活用の可否、設備機器の状態等を踏まえ、次の3施設での検討を開始
-市役所本庁舎(1973年竣工、延床面積約5,400m2、鉄筋コンクリート造5階・地下1階)
-総合福祉センター(1998年竣工、約2,700m2、鉄筋コンクリート造・鉄骨造1階)
-文化体育活動センター(1997年竣工、約10,900m2、鉄骨造4階・鉄筋コンクリート造1階)
市役所本庁舎及び総合福祉センター:ZEB化の最大要件である外皮性能向上に向け、外皮改築を伴う改修事業となり事業費が大きいと判断。
文化体育活動センター:外皮性能をクリアしている可能性、照明施設の一部LED化、使用エネルギーにおける空調割合多いこと等よりZEB化の検討対象施設に決定

 

事業開始

2020年9月:事業者の募集開始 同年11月:事業者決定・事業着手   2021年12月:事業完了

 

基本計画

通常の改修コストとZEB事業による省エネ改修コストとで概算を比較、省エネ化実施による改修の方針に
→市民、議会に対する説明では、省エネの重要性の理解を得るのに苦労。

 

基本設計

担当部署ごとに対応
-財政担当部署:財源として補助金活用、起債事業活用を検討
-環境政策部署:事業内容、コスト試算方法を検討
-施設管理部署:施設管理者(指定管理者)との調整

 

実施設計

施設管理部署:全体調整、総括
環境政策部署:補助事業申請
財政担当部署:起債事業活用、入札執行
工事担当部署:工事内容、事業費積算、工事進捗管理

 

主要なZEB化技術

白石市文化体育活動センターの概要

文化体育活動センターは、アリーナ及びコンサートホールのほか、トレーニングルーム、ティールーム、会議室、控室、楽屋等を有する複合施設です。アリーナは、天井高17.4mの高さでバスケットコート4面の広さ(約4,800m2)を有する施設です。また、コンサートホールは、内壁、外壁とも透明ガラスの音楽ホールで610席が設置されています。
開館以来、市民の文化、スポーツの活動の場として広く利用されています。また、災害時には指定避難所や支援物資の集積所にも指定されており、防災時の拠点施設としての役割も担っています。

 

ZEB化に関し、主に空調、給湯、照明、創エネルギーについて施設の改修を行いました。

白石市文化体育活動センター 改修事業概要の画像
白石市文化体育活動センター 改修事業概要

 

②高効率空調

従前は吸収式冷温水発生機で発生した熱をエアハンドリングユニットで各所へ圧送するセントラル方式でしたが、各所で運転できる高効率エアコンによる個別空調方式に変更し、大幅なCO2削減効果が得られました。
空調の改修によるCO2削減率は32.6%(設計値ベース)です。

③ヒートポンプ式給湯機

シャワールーム等の給湯を重油ボイラーから高効率ヒートポンプ式給湯機に変更しました。即湯対応が可能となったことで利用者にも好評を得ています。給湯機の改修によるCO2削減率は0.8%(設計値ベース)です。
また、給湯機を電気式に変更したことにより電気容量が増加するため、受変電設備の変圧器をトップランナー式の変圧器に変更しました。

⑤LED照明

照明をLED化するとともに、採光空間の明るさ検知制御、短時間稼働のエリアでの人感センサー導入等を行いました。

⑥創エネルギー

太陽光発電設備及びリチウム式蓄電池を設置しました。発電した電力は平常時は自家消費を行い、災害時には避難所として使用するアリーナの照明及び非常用コンセントへ供給します。
太陽光発電設備によるCO2削減率は5.0%(設計値ベース)です。

今後の展開

ZEBの認知度向上に向けて

白石市が目指す環境の将来像「水と緑を誇るまちしろいし」の実現のため、豊かな自然環境の保全と生活環境の向上を図るとともに、持続可能な循環型社会の構築に努めます。
また、「カーボンニュートラル」「脱炭素社会」の実現に向けて、市の取り組むべき課題を整理し、かけがいのない豊かな自然環境を維持し、将来にわたり安全で安心して暮らしていくことができるよう、さらなるCO2排出量削減を目指します。
さらに、ZEB化に関し、実施設計の段階で3つの既存施設の検討を行いましたが、今後は新規の建物についてZEB導入の検討を積極的に進めていきます。

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