建物概要
新築
事例8品川区立環境学習交流施設 エコルとごし東京都品川区
区が積極的にZEB化を進めることで民間事業者等の行動促進につなげることを期待するとともに、環境保全に関する区民意識の変化を期待して新設する環境学習交流施設をZEB化
東京都内の公共建築物として初の「Nearly ZEB」認証の取得
- ZEBの分類
- Nearly ZEB
- 都道府県(地域区分):東京都(6)
- 新築/既築:新築
- 延床面積:1,866㎡
- 建物用途:集会所等
- 一次エネ削減率(創エネ除く/含む):58% / 91%
都内における公共建築物として初めてのNearly ZEB認証
東京都品川区の「環境学習交流施設 エコルとごし」は、基本計画段階よりZEB認証の取得を目指し、実施設計により一次エネルギー削減率85%を達成し、都内における公共建築物としては、初めての「Nearly ZEB」に認証されました。また、竣工時の再計算で一次エネルギー削減率91%を達成しました。
品川区では、区が積極的にZEB化を進めることで民間事業者等の行動促進につなげることを期待するとともに、環境保全に関する区民意識の向上にも期待しています。
ZEB建物運営までの経緯
基本構想(2017年度)
○設置目的、立地場所、施設機能、規模等を検討新たな施設を設置することとし、事業化が決定
基本計画策定(2018年度)
○施設計画を具体化する中でZEB建物として整備することを決定
○ZEBの理解推進として、庁内の各種会議体の場を用い意見交換
プロポーザルの実施(2019年度)
○運営事業者、建物設計、展示設計製作について一体的な提案を求めるプロポーザルを実施
○建物設計はZEBプランナーに元請として登録が完了している事業者に限定して実施
基本設計・実施設計(2019~2020年度)
○ZEBランクについては設計の段階で検討し、Nealy ZEBを目指すことに決定
○2020年12月に一次エネルギー削減率85%としてBELS認証によるNealy ZEB認証を取得
施工(2020年12月~2022年2月)
○地域経済の活性化に加え、ZEB建物の建設の早期経験のため地元事業者に限定した公募にて工事請負者を決定
○建築、電気設備、機械設備を分離した契約により工事実施
○2022年3月、竣工時に再計算し一次エネルギー削減率91%として BELS再認証を取得
施設運営(2022年5月~)
○エネルギー管理を効率的に実施するため、BEMS各種データをクラウド化し、関係者が状況を共有
○区・設計事業者・運営事業者による定期的なエネルギー運用会議を開催し、より効率的な管理方法を検討
主要なZEB化技術
エコルとごしの概要
エコルとごしは「品川区環境基本計画」に示す、環境教育・コミュニケーションの充実や、環境保全について日常的に実践する人を育て、次代につなぐ環境都市の実現を目指すため、環境を体感して学べる施設として整備しました。主なターゲットを「未来をつくる子どもたち」とし、ダイナミックな大型映像等による体感を重視した展示物や各種講座を通じて環境を楽しみながら学ぶ施設です。また、公園敷地内に位置しており、公園利用者のくつろぎの場を提供する施設でもあります。鉄骨造の地上3階の建物で、設計期間16ヶ月、工事期間は準備期間を含め15ヶ月で、令和4年2月に竣工し、令和4年5月から運営開始しています。
ZEBの実現に向けては従来からある技術・設備を採用し、これらを工夫して組み合わせることでZEB実現につなげています。
建築(大きな庇、Low-Eガラスの採用等による高遮熱・断熱化)
大きな開口部のある南面に約3m幅の深い庇を設置するとともに、Low-Eガラスの採用、外壁の高断熱化などにより、高い遮熱・断熱性能の確保を図りました。また、換気について卓越風向を配慮した位置に換気窓を設置しました。これらにより中間期には設備機器に極力頼らずに室内環境を快適に保たれるようにしています。
機械設備(高効率空冷ヒートポンプチラーと地中熱ヒートポンプチラーによる省エネ)
熱源設備として高効率空冷ヒートポンプチラー及び周辺の豊富な地下水を活用し地中熱ヒートポンプチラーを採用しました。また、空調二次側設備では、大空間エリアで省エネルギーを図るため床面からの放射熱を使う放射空調と、床からの吹出空調を組み合わせて、人が活動する床面近くを集中的に空調する方式を採用しました。
電気設備(太陽光パネル+蓄電池による創エネ、LED照明、各種センサーによる省エネ)
太陽光パネル及び蓄電池を屋上全面に設置しました。太陽光発電による電力は蓄電池に蓄電し、平常時は夜間電力に利用し、災害時は施設内の照明、機器の一部へ電気を供給する計画です。また、LED照明とともに人感センサー及び昼光センサーを併用し、人感センサーでは消し忘れによる電力消費を抑え、昼光センサーでは外光が射す時間帯の照明の発光を制御することで省電力化を図っています。
電気設備(太陽光パネル+蓄電池による創エネ、LED照明、各種センサーによる省エネ)
太陽光パネル及び蓄電池を屋上全面に設置しました。太陽光発電による電力は蓄電池に蓄電し、平常時は夜間電力に利用し、災害時は施設内の照明、機器の一部へ電気を供給する計画です。また、LED照明とともに人感センサー及び昼光センサーを併用し、人感センサーでは消し忘れによる電力消費を抑え、昼光センサーでは外光が射す時間帯の照明の発光を制御することで省電力化を図っています。
今後のZEB化推進にあたっての取り組み
ZEBの認知度向上に向けて
ZEBリーディングオーナーの責務として、ZEBの認知度向上に取り組んでいます。1つ目として、ZEBの定義・各設備の説明を施設内の展示解説パネルでわかりやすく紹介するとともに、QRコードによる情報発信、区内小学校の社会科見学の受け入れ、一般来館者向けガイドツアー、事業者向けセミナーなどを幅広い年代に対し多岐にわたり実施しています。2つ目として、省エネ・創エネの効果を示すモニターを施設内に掲示し、省エネ・創エネ効果の見える化を図っています。
品川区では、エコルとごしでのZEB認証以降、新たに3施設でのZEBやZEHの認証を取得しました。このほか現在設計中の新改築施設や、既存施設の大規模改修時におけるZEB導入も検討しています。