地球環境・国際環境協力

うちエコ診断の推進 | 平成23年度第2回家庭エコ診断推進基盤整備事業検討会 議事要旨

1.開催概要

日時

平成24年1月10日(火)10:00~12:00

場所

航空会館603号室(東京都港区新橋1丁目18番1号)

出席者(敬称略)

委員:
下田委員長(大阪大学大学院工学研究科)、金谷委員(慶応大学大学院政策メディア研究科)、辰巳委員(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会)、中上委員((株)住環境計画研究所)、本藤委員(横浜国立大学大学院環境情報研究院)、松尾委員((財)地球環境戦略研究機関)、森口委員(東京大学大学院工学系研究科)
環境省:
室石、杉本、福井、小澤(地球環境局地球温暖化対策課)
事務局:
菊井、川原、中垣、(一般社団法人地球温暖化防止全国ネット)、上田、伊原(凸版印刷株式会社)
欠席:
大久保委員(大阪大学大学院法学研究科)、三浦委員(東北芸術工科大学建築・環境デザイン学科)

議題

  1. 各分科会の役割とアウトプットの整理について
  2. 各分科会の進捗状況について
    • 第一分科会からの中間報告
    • 第三分科会からの中間報告
    • 第二分科会からの中間報告
  3. 検討会における検討事項及び本年度のまとめの方針について
  4. その他

配布資料

資料1
各分科会における役割とアウトプットの整理
資料2-1
診断の方法論検討及び効果検証に係る分科会(第一分科会)からの中間報告
資料2-2
データベースの構築と診断効果の定量化に係る分科会(第三分科会)からの中間報告
資料2-3
民間企業等による試行と制度検討に係る分科会(第二分科会)からの中間報告
資料3
検討会における検討事項及び本年度のまとめの方針
参考資料1
平成23年度第1回家庭エコ診断推進基盤整備事業検討会 議事要旨
参考資料2
平成23年度第1回家庭エコ診断推進基盤整備事業検討会 議事録

2.議事内容について

  1. 各分科会の役割とアウトプットの整理について
    事務局:資料1の説明。
    • 分科会の通称を、役割分担を明確にする点から、分かり易い分科会名に変更いただきたい。(森口委員)
  2. 各分科会の進捗状況について
    事務局:資料2-1~2-3を説明。
    • 分科会の通称を、役割分担を明確にする点から、分かり易い分科会名に変更いただきたい。(森口委員)
    • 第一分科会の目的は、診断の方法論と効果検証にある。特に分科会において議論があったのは、うちエコ診断員のあり方であった。診断の方法論について、本事業では診断ソフトだけではなく、診断員の役割が重要だとの意見があった。本年度は2日間の養成期間で基本的な部分を中心に研修を行っているが、今後どう養成し、フォローアップするかが重要なポイントとなっている。(本藤委員:第一分科会座長)
    • 第三分科会では、何によってどういう結果になったかを定量化するために、当初予定していなかったコントロール群を追加して解析をすすめている。また、「見える化」機器を設置しただけでも効果がみられる場合があるため、「見える化」機器による効果を分離する必要性を議論した。また、本事業の効果の対象が世帯なのか、個人なのかを明確にする必要があることなどを議論した。(森口委員:第三分科会座長)
    • HEMSのような機器を用いた計測は過渡期にあると考えられ、スマートメーターが普及することも想定されるため、分析や将来像をHEMSのみに依存しない方がよいと思われる。(中上委員)
      • →ご指摘の通りであるが、過渡期の長さによる。これまで使用量の総量から経験と勘に頼って対策を立てていたものが、使用量のパターン情報から使用機器の稼働状況を抽出し、より効果的に対策を立てる試みも期待できる。(森口委員)
    • 第二分科会では、環境コンシェルジュ制度を考えていくにあたって、民間企業等がいかに事業を自立的に進められるかを導き出すことに主眼において議論を進めてきた。加えて、中立性を担保し、事業リスクをいかに小さくできるかを目的として、特に民間企業等による試行実証を進めているところである。(金谷委員:第二分科会座長)
    • 事業リスクに関しては、特に慎重に検討していく必要があると考えられるが、4千件あまりの診断を実施している現状において、特に問題が出てきていることはないか。(下田委員長)
  3. 検討会における検討事項及び本年度のまとめの方針について
    事務局:資料3の説明。
    [1] 環境コンシェルジュ制度のあり方について(資料3;1-4を中心に)
    • 診断ソフトや診断に対して、常に新しい良いエコ製品や制度を積極的に取り入れていくような設計ができないか。例えば、新規のエコ製品の申請登録制度のような仕組みを取り入れて、常に新しい技術を取り入れた効果的な診断ができるような制度とできないか。その上で、診断員に関しては、フォローアップ研修のようなもので新しい技術等のフォローをする制度は考えられないか。(金谷委員)
      • →新しい技術の対策効果が明確になることが前提で、新しい技術とその効果について情報提供されれば、診断ソフトに反映するようにしたい。また、診断員はフォローアップ研修で対応していきたい。その場合、診断手法を極端に変えることは考えておらず、個別の技術・手法をアドオンさせることになるだろう。診断ソフトに対する現在の更新の枠組みの中である程度対応できると考える。(環境省)
      • →うちエコ診断の存在を知っている企業のみが提案することにならないように、登録基準等を明確にした上で、公に募集する方が公平。(金谷委員)
      • →新技術を診断ソフトにすべて取り込むのか、診断員に対応をしてもらうかについて議論が必要。診断ソフトで対応する場合には、個別製品のデータベース的なものが必要となり、どこまで対応するのか議論が必要。(本藤委員)
    • 診断そのものは、無償で受診できるものとするのか。(中上委員)
      • →現段階では、有償の診断は難しいと考えている。民間企業等の場合は、顧客サービスの一環として、顧客満足度の向上、他社との差別化などを付加価値と認識して、診断が実施されることを想定。また、地域のコミュニティでの診断は、自治体が地域の対策とし予算化することを想定している。(環境省)
    • 将来のイメージであるが、資金力がある民間企業が独占的に技術提供するリスクが考えられる。したがって、中立的な立場の機関が必要であり、環境省等がフォローしていく必要があるのではないか。(中上委員)
      • →本検討会の重要な議題である。診断ソフトで幅広く対策を提示し、対策の優先順位を決めてもらうようにする等、受診者に偏った情報を提供しないことが基本方針。(環境省)
    • 提案された対策に関する購入方法、価格、使い勝手等の情報提供は、環境コンシェルジュの役割だと思われる。例えば、これらの情報をWEB上で提供すれば、統一的な補足情報としてワンストップで提供でき、診断の精度も高まり、広い選択肢の提供に繋がるのでは。(松尾委員)
    • 無償で自立的に運用してくためには、環境コンシェルジュ事業に係る資金の確保が必須で、資格や認定等の登録料や、民間企業等が技術登録の際に支払う登録料などが考えられる。また、利益相反の問題に関しては、民間企業の業種で限定するのではなく、環境コンシェルジュに対する倫理規程を定め、違反した場合の罰則を設けるなど、資格付与の条件で制限することが有効。これに加えて、診断と販売を明確に分けるということ、および個人情報の共有に関するルールを決めることにより、この問題はある程度乗り越えられるのではないか。(金谷委員)
    • 機器見積りや専門家紹介は環境コンシェルジュのサービスに入るのか。(下田委員長)
      • →現段階では、環境コンシェルジュの最後のあるべき姿として、機器見積りや専門家紹介も本サービスに入り得ると考えている。(環境省)
      • →リフォームや太陽光発電設備の設置に関しては悪徳業者の存在が懸念されるため、これへの対策を環境コンシェルジュとして保証していけるかが重要。(下田委員長)
    • 環境コンシェルジュの信頼性について、アドバイスする内容が正しいものであると認識できれば、例え特定の製品を推したとしても、問題は発生しないと思われる。個人の資質で提案内容が変わるようなものであっては信用が得られない。つまり、環境コンシェルジュの資格そのものの信頼性が必要。一定期間は、第三者による信頼性の担保が必要であると思われる。(辰巳委員)
    • 国によって信頼性が担保されるとは限らないが、一方で、信用の無い情報が流布すると、消費者にとってもっと悲惨な状況になるかもしれない。消費者も含めた形で一番信頼できる仕組みを考えていくことが必要であろう。(森口委員)
      • →苦情を受けて公的に対応できる仕組みが必要であり、例えば第三者に関わってもらいながら、解決を図っていくADR(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決手続)のようなものの活用も考えられる。(辰巳委員)
    • 将来的に自治体や民間企業に任せていこうとしているが、最終的に国がどの部分に関わっていくのかを明確にしておく必要がある。例えば、診断ソフトの更新や、資格認定制度の部分なのか、あるいは枠組みの構築までに留めるのか、どのタイミングで第三者に引き渡すのかなどの検討が必要である。(下田委員長)
    [2] 環境コンシェルジュ制度の普及について(資料3;2-1、2-2、2-4を中心に)
    ○うちエコ診断のターゲット層について(資料3の2-1)について
    • 普及という観点では、どんな世帯の、どの主体に、どのように展開していくのかを戦略的に設定していく必要がある。対象世帯として有望なのは、打てば響く層であり、もしくは排出量が少ないが、さらに頑張って低炭素世帯のモデルになるような世帯であろう。どの主体か、どのように展開していくのかという点に関しては今後の課題であるが、これらを打開する一つの方策として、信頼性、ブランドの確立があるのではないか。加えて、組織的に受診してもらう仕組みや後押しが必要となる。(松尾委員)
    • 家庭での取組みに熱心な方は、既にいろいろ実施されていて、削減ポテンシャルは低いように思われる。かなり浪費していて削減効果の見込める世帯をターゲットとすべき。(森口委員)
      • →ご指摘のとおり、削減効果の見込める世帯に対して、どの様な戦略的アプローチを取るかが一番の課題である。(環境省)
    • 使う側が省エネしないといけないという風潮も大事であり、これらを生み出す方策も必要であろう。例えば、家庭でのCO2削減量に対して証明書のようなものを発行するなどして社会への貢献を評価し、また、それを社会が認めるような仕組みを構築していく方策である。(中上委員)
    • そのような場合に、逆累進にならないように留意が必要である。つまり、頑張って削減している家庭は削減量も少なく、浪費している家庭の方が大きな削減量が得られる場合がある。公平な評価を行う制度設計ができるかが非常に重要なポイントである。(森口委員)
    ○事業展開を行う各コミュニティの運用イメージ(資料3の2-2)について
    • 自治体が地域施策として実施をしていくことは効果も期待でき、実施事例もあることから有望。自治体は常に家庭に近い位置にあり、自治体をいかに巻き込むかがキーポイントではないか。そうした場合、取組に熱心な自治体や団体等を表彰するような支援策もあってよいのではないか。また、自治体は市民からの最初の窓口であり、市民からの問合せがあった場合に、うちエコ診断ないしは環境コンシェルジュの制度があれば、スムーズに紹介等ができる。(中上委員)
      • →口コミ情報の活用は、地域別のコミュニティであればより効果的であろう。(辰巳委員)
      • →自治体で実施していくことは効果的と思われるが、課題を明確にする必要がある。例えば、全国統一の診断精度の担保、気候別の対策への対応などの課題を明確にし、解決する必要がある。また、どこまで自治体に任せるのか、どこまで国が関与するのかを明確にしていく必要がある。民間試行に関しても同様のことが言える。(下田委員長)
    • 資料3の2-2の図で自治体と民間を分けたスキームをして示されているが、地域別のコミュニティの方では、実際に診断を管理するのは各種団体であろうから、ここが民間であってもよいのではないか。(金谷委員)
      • →この図は、制度運用の出資元を想定しながら示したものである。民間企業等の場合には、うちエコ診断を実施する追加的コストが、自社のサービスの付加価値を上げることでペイするようであれば、民間企業自体が出資元となるという意味。自治体では、市民サービスと地域の温暖化対策として予算化して行けるかがポイント。(環境省)
    • 二つの体制で運営していくよりも、一つの体制として、その中で自治体や企業などがどのように役割分担するかを議論する方が妥当ではないか。また、環境コンシェルジュの役割も広範囲にわたっており、これらをすべて一人でできるかも疑問があり検討が必要。例えば、診断する環境コンシェルジュAと製品や専門家・業者等を紹介する環境コンシェルジュBに分けるという考え方もあるのではないか。(本藤委員)
      • →ワンストップではなくなる可能性もあるが、資料3の1-4(環境コンシェルジュの役割案)の図の中に、国、自治体、民間・団体等が入り、役割分担をするような図を作成して検討を進めることで良いか。(下田委員長)
    ○今後のうちエコ診断員をどう養成すべきかについて(資料3の2-4)について
    • 家庭の省エネエキスパート検定のテキストが一般発売される。うちエコ診断の診断員の研修会における座学などでも参考されたい。また、ESCO事業で言うワンストップサービスは、診断・設計・施工・アスターフォローまでを指すが、環境コンシェルジュで言うワンストップサービスはもっと短いもののようである。したがって、サービス範囲を明確にしておく必要がある。過剰な期待をされ、誤解を招かないようにしておくことも重要であろう。(中上委員)
      • →ここで示しているワンストップサービスはすべて一か所でやるという意味ではなく、関連する施策もしくは手続きについて、一旦受けた所で関連する所を紹介するまでの流れを言う。(環境省)
    [3] 平成23年度事業のまとめの方針について(資料3 3-1を中心に)
    • 事業のまとめについては各分科会でさらに調整いただくこととするが、全体的な方針は、資料3の3-1で了承頂くことで良いか。(下田委員長)
      • →(各委員から異議はなかった。)

以上