水環境制度小委員会(第3回)議事録
日時
令和8年5月26日(火) 9:30~12:00
場所
Web会議システム併用(YouTubeによるライブ配信)
議題
1.良好な水環境創出の保全と活用について
2.多面的な水環境モニタリングについて
3.その他
2.多面的な水環境モニタリングについて
3.その他
配布資料
資料1 良好な水環境の創出に向けた水環境制度の展開について
資料2-1 良好な水環境の保全と活用に関する環境省の取組
資料2-2 良好な水環境の保全と活用の方向性と対応策
資料3 多面的な水環境モニタリングについて
参考資料1 良好な環境の創出・活用推進事業の一覧
参考資料2 第10次水質総量削減の在り方について(概要)
資料2-1 良好な水環境の保全と活用に関する環境省の取組
資料2-2 良好な水環境の保全と活用の方向性と対応策
資料3 多面的な水環境モニタリングについて
参考資料1 良好な環境の創出・活用推進事業の一覧
参考資料2 第10次水質総量削減の在り方について(概要)
議事録
午前9時30分開会
【嶋田主査】 では、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会水環境制度小委員会を開催いたします。
委員の皆様には、ご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の委員会は、委員総数16名のうち13名ご出席で、浅見委員、皆川委員、和田委員がご欠席の予定で、星野委員が少し遅れての参加となります。定足数の要件を満たしており、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。
また、WEBを併用した開催であり、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信しております。
それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。議事次第の配付資料一覧をご覧ください。
資料1、資料2-1、資料2-2、資料3、参考資料1、参考資料2、また委員名簿を配付しておりますので、不足等がありましたら事務局までお申出ください。なお、これらの資料及び本委員会は、運営規則等に基づき、公開とさせていただきます。
それでは、これより議事に移りたいと思います。古米委員長に議事進行をお願いいたします。古米委員長、よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 それでは、早速ですけれども議事に入りたいと思います。
本日の議題は、まず良好な水環境の創出に向けた対応についてということで、資料1、資料2-1、資料2-2について、事務局よりご説明いただきます。その後、質疑の時間を取りまして、ひと通りご意見をいただきたいと思っております。次の議題は、多面的な水環境モニタリングについてです。資料3について、事務局より説明いただいた後、同様に質疑の時間を設けます。最後にその他の議題として、参考資料2について説明をいただくという予定になっております。
それでは、資料1、資料2-1、2-2について、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。
【森川環境創造室長】 環境省の水・大気環境局環境創造室長を務めております森川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうから、資料1、2-1、2-2、三つの資料をまとめてご説明を差し上げます。
まず、資料1をご覧いただければと思います。良好な水環境の創出に向けた水環境制度の展開についてとしておりまして、一部おさらい等も入っておりますが、改めてご確認いただければと存じます。
右下にスライド番号がございます。
2ページ目、今後の水環境制度の展開についての基本的な考え方。
これもこれまで何度かご説明しておりますが、多くの各主体の取組によって、水質は概ね改善し、環境基準の達成率は高いという状況ではございますが、残された水環境の課題というものがございます。下の図で左側、残された水環境の課題として言われておりますのが、生物多様性への対応、CODの下げ止まり、底層DO、水産資源、栄養塩類の不足、また住民の満足度との乖離といったようなものが水環境の課題として現状言われてございます。ここまでに至ることになったのは、先ほど申し上げたとおり環境基準と、かつて水環境の課題であった水質汚濁というものに、多くの皆様に取り組んできていただいたおかげとして、その上で、今ある課題として挙げられているものでございます。
今後の展開でございますが、第6次環境基本計画の視点でも取り上げられている、人々のウェルビーイングの向上、あと地域活性化、良好な環境の創出をしていくというような三つの観点を踏まえて、水環境制度としても今後の取組をベースとしつつ、多面的な観点から水環境を把握していくと。また、水環境の保全というものに加えて、活用という観点も重要ではないかということで、今後の望ましい水環境を目指していければというふうに思っております。ちょっと順番が逆でございますが、こちらが本日の議題の1と2という形になります。
次のスライドをご覧ください。3ページ目です。
日本の水環境における課題等の状況として、①~④で項目を整理しております。
一つ目の前段部分については、今スライド2で申し上げた豊かな水環境の実現ができていないと。また、それを実現していく上でも、また、保全を継続していく上でも、現場においての担い手不足、また、活動資金が不足しているという点でございます。
一方で、水環境というものは地域の文化や生活を形づくってきたものであると。生活の基盤という観点で見ると、地方活性化、地域活性化へのソリューションとして、観光や地場産業の創出など、水環境の利活用に取り組む地域というものも増えてきているという状況がございます。一方で、その取組は限定的であるということでございます。
我が国全体の状況を見ると、内閣官房が推進する取組においても、地場産業の成長を強力に後押しするという取組が重要戦略となっており、各地の水環境の利活用を推進するということは、住民の豊かさ・満足度の向上への寄与、また、観光や地場産業の強化を含めた地域経済発展の好循環をもたらすことが可能であるというふうに考えております。そのような状況があるので、そういったことに取り組む地域が増えてきてはいるという状況かなと思います。
一方で、この分野に限らず指摘されていることとして、過度な水環境の利用というものは水質、景観などの悪化を招くおそれがあると、水環境の活用を継続していく観点から、保全の取組も併せて行うことが重要であると考えております。
4ページ目をご覧ください。
今申し上げた①~④の観点について、背景となる情報を整理しております。
まず、これまでの水質は一定程度改善したところがある一方で、豊かな水環境は実現できていないという点についてでございます。
4ページ目の下の図の左側、水環境に関する世論調査において、これはちょっと前の情報になりますが、行政に力を入れてほしいこととして、「水環境の保全と整備」というものが、やはり上位に挙げられております。一定程度のニーズはあると。近年、2年前に内閣府の世論調査においてアンケートを取ったところ、身近な環境に関するものとしてどのような改善策を期待するかということで、「水質汚濁の改善」「散乱ごみの対策」「緑や生き物の豊かさ」というものを国民の皆様は望んでいるということも一定程度分かっております。また、現状の水環境について、「特に改善が必要と思わない」というところについては、非常に少ない数値となっていて、一定程度改善してきた状況はあるとはいえ、普段の生活において自分の豊かさをより向上させるような何かを求めているということが、この数値からも分かるかなと思います。
次のスライドをお願いします。5ページ目です。
利活用の取組が増えてきてはいるものの、その取組は限定的という状況について、保全や管理の不足により満足度が低下してきているという状況もございます。その価値というものがその場所では、かつてから認識されているものの、それを活用して、また、それを地域のウェルビーイングの向上につなげていくという視点での活用というものが限定的な状況があるかなというふうに思っています。高齢化等により管理不足になった水環境については、安心・安全の確保についても影響を及ぼす可能性もあります。
右下の日本地図でございますが、国土の大多数は、要は保護地域となっていないエリアが多くて、そういった場所が普段の生活の場になっていると。そこにも良好な水環境というものはあって、その地域の歴史文化をつくってきたものがありますが、その取組というものは一部の目立つ取組に限定されておりまして、また、多くの地域で取り組んでいく可能性を秘めているものであるということをご紹介しております。
次のスライドをお願いします。
我が国全体としても、地域の活性化をしていくというのが重要な戦略となっているところ、各地の水環境を推進すること自体は住民の豊かさ・満足度の向上の寄与、観光、地場産業の強化を含めた好循環をもたらすことが可能であると。
こちらにご紹介しているのは、第2回の小委員会でご紹介した事例でございます。富山県の氷見市の事例でございますが、このように地域の中で、水環境というものは身近であり、これまでは遊び場だったり、そこで生活をしていくというふうに多くの形で触れ合っていくものであったところ、現在、そこのふれあい、普段の生活との接点というものがなくなってきておりますが、それをもう一度見いだして、その地域のアイデンティティをもう一度向上させようという取組が、各地で少ないながらも行われるようになってきております。それを地域経済活性化にも発展させていきたいというものでございます。
7ページ目をご覧ください。
一方で、過度な利用は問題が生じる場合もあるということで、人が多く利用し過ぎると、それによるごみ問題であったり、また、当然もともと地域の方々が、地域の歴史文化を形づくるものとなってきたところに、これまでは想定していなかった地域外の方々が入られることによって、そこのハレーションを起こす可能性があると。そういう意味では、保全の取組と併せて、それも意識しながら、過度な利用に偏らないような取組を進めていくことが重要であると思っております。
最後、8ページ目です。
第1回小委員会の場でもご紹介したものでございますが、昭和から令和にかけて、課題の変遷が起きているものを踏まえ、良好な水環境の保全と活用を促進する制度、また、水環境の多面的なモニタリングを進めていくための制度について、本小委員会で検討を進めていければと思っております。
資料1については以上となります。こちらは冒頭で申し上げたとおり、少しおさらい的な要素がございます。
続いて、資料2に入ります。まず資料2-1をご覧ください。
こちらは、本日の議題の一つ目、保全と活用を促進する制度に向けた検討の部分に関する資料2-1と2-2になります。
まず、資料2-1でございます。これまで、どのような形で水環境の保全と活用に関する取組を進めてきたということについて、ご紹介しております。
スライド2では、昭和の名水・平成の名水の選定、また、ねらいについて整理しております。
環境省では、昭和60年に「名水百選」、平成20年に「平成の名水百選」として、合計200の名水を選定してきております。それぞれの目的、認定基準については下表に示すとおりになっておりまして、水質保全・行政の進展、また、水環境保全の一層の推進というものをそれぞれ図ることを目的としております。その選定の間、それぞれ20年強の期間を経ておりまして、水環境に関する地域の課題だったり、行政政策上の課題も移り変わっている中で、少々目的は変わっているというところがポイントになるかなと思っております。
3ページ目、選定した名水百選については、「名水百選ポータルサイト」を設置することで、国民の皆様に分かりやすく名水百選の立地、またそれぞれの名水百選の概要というものをご紹介しております。また、名水百選の選定から一定程度期間がたったタイミングで、「名水百選選抜総選挙」というものを行っております。こちらはスライドにもございますが、「観光地」「秘境」「景観」「おいしさ」という4部門について、それぞれ選挙の対象になる名水としてエントリーをいただいたところを対象に選挙を実施しているものになります。
また、環境省ではない取組として、全国水環境保全市町村連絡協議会というものが名水百選を有する自治体等で構成されておりまして、そちらの協議会が主催となって、名水サミットというものが現在でも開催されております。
4ページ目をご覧ください。昭和の名水・平成の名水の現状の課題でございます。
名水百選等に選定された場所については、これは委員の皆様もよくご存じと思いますが、多くの地域で観光スポットとして利用され、不特定多数の方に利用される場所となっております。引き続き地元の方もしっかり活用しながら、その場所に愛着を持っていただきながら名水百選として愛されている場所もあれば、地元から疎遠となってしまった場所というものもございます。活用されている場所であっても、日常的に利用されている人との対立が問題となっている場合があるという状況です。
こちらの下の図でございますが、観光地となったことで資源が大衆化し、地元住民の日常的な管理がなくなってしまっていること、また、過度な活用によって、資源として活用して、その分利益は得ているかもしれませんが、地域住民の生活だったり、普段の活用においても支障が出てしまっている場合があるという事例が出ております。
次のページをご覧ください。5ページ目です。
そういった状況を踏まえて、また、良好な水環境を保全・活用していこうという取組の機運の高まりも受けて、現在、環境省では良好な環境の創出・活用推進事業というものを実施しております。詳細は次のページから述べますが、モデル事業として実施しておりまして、モデル事業として実施される団体さんに対し資金的な援助、また伴走支援、その地域の保全と活用にとりわけ関連する有識者の方によるコーチング等を行うことで、先ほど来、申し上げている課題と、また、保全と活用の取組がどのような形であれば、一層現場において進められて地域活性化等にもつなげることができるのかという点を整理、把握し、全国展開に進めていくために行っているものとなります。
6ページ目をご覧ください。
これは令和4年度から実施している実績を、ちょっと実施場所まで含めて日本地図上に落としてはいないのでその点は分かりづらいんですが、これだけの取組を団体さんと一緒に地域の良好な環境の保全と活用の取組を進めております。大きく分けると三つございまして、淡水域における水環境の保全と活用の取組を推進する事業。沿岸域、要は海水、海洋ですね。海域環境における保全と活用の取組を進める事業。また、もう既にいい環境がある場所を活用して、観光というツールに特化して活用を進めていく事業と、大きくこの三つの色で分けております。これらの取組を全国各地の団体さんに応募いただいて、その中から環境省としてモデル性等を考慮して選定させていただき、それぞれ年度ごとに実施をしております。
7ページ目以降で、個別の取組を少々お時間の許す範囲内でご紹介していければと思っております。
まず、長野県大町市における取組でございます。「水が生まれる信濃おおまち」サステナブル・タウン推進事業という名称で、この大町市においては取組を進めていただきました。令和5年度の取組になります。
北アルプスを源とする場所に大町市は立地しておりまして、豊富な水資源を有しております。SDGs未来都市の設定を契機に、地域としても水による地域ブランド振興に取り組んでいくというような状況でございました。
地域課題として、市民の多くが水を当たり前に思っているということがあって、地域資源を活用するという価値の観点が不十分であったと。今後、その価値を改めて自分たちも認識して、外に発信していくことを通して、県外の多くの方々に認知をしていただきたいというのが、この事業の目的でございました。
取り組まれた内容は、水資源情報のデジタルアーカイブ化、SDGs探究学習プログラムの磨き上げ、そういったものを運用していくファシリテーション人材の養成、また、水の価値というものを地域の中で再発見していくための見える化というものを、有識者のアドバイス、助言もいただきながら整理したというものになります。この事業は1年間でございましたが、それぞれ1年を通して、地域の方も、我々環境省も一緒になって取組が進められて、一定程度の取組自体は行われたかなと思っています。
ただ、このタイミングとしての課題として挙げられているのが、ホームページやSNSの情報発信や水スポット整備等の活用だったり、修学旅行だけでなく林間学校などの学校行事にも拡大していくという観点。また、地下水観測に対する専門家による評価の実施をしたものの、安定的な利用に向けた地下水保全取組の推進につなげていくというところが課題として、この令和5年度の時点では挙げられております。
次に8ページ目は、同じく長野県でございますが、長野県小海町の取組です。こちらの実施団体は、民間企業、さとゆめさんというところが主体になって、地域の自治体だったり関連企業等と連携をしながら、取組を進めていただきました。
八ヶ岳連峰の裾野においても、やはり水資源が豊富であるということで、ここで持続可能な地域づくりの観点から、観光という点に特に意識した形で地域の魅力を創造していく、事業を進めていくと。軽井沢や八ヶ岳観光全体の中では、通過地になりがちな小海町だったり、また、多面的な魅力を発信はできていないと、高齢化による湧水地等の担い手不足というものが課題として挙げられている中で、モニターツアーの実証、また、モニターツアーを踏まえた体験型ツアーの造成、またその魅力を伝えていくPRツールの制作、地域の方々と一緒になった体験型のワークショップ・セミナーを開催、また、担い手づくりが課題に対する点について、その担い手づくりに向けた意見交換等について取組も進めました。
このタイミングの課題としては、なかなかツアーをつくるとかセミナーを開催するという点は、まず第一歩としてあるものの、それを展開していくという点だったり、保全活動を活性化していく、また、ある特定の地域に特化したものではあったんですが、小海町全体に拡張していくという点が課題として挙げられておりました。
9ページ目をご覧ください。今の2事例について、モデル事業を実施後の展開でございます。
この2地域の取組について、実施後においても、その後、地域の中でこのモデル事業の実施を契機に発展・自走していくなどの地域づくりに対する貢献などの成果が出ております。大町市については、県外からの修学旅行の誘致拡大、デジタル資源アーカイブ化を基に、周遊型WEBサービスの新規開発、特産品の開発。また、小海町、さとゆめさんの取組においては、民間企業支援の新規獲得であったり、自然資源を活用した商品化についての検討も始まっているという形で、モデル事業が契機になって地域の取組がより進んでいるというものです。我々として、全国展開を進めるためのモデルケースをつくっていくというのも環境省の目的でございましたが、地域においてもこの取組がきっかけとなって、次につながっているというような効果が出ているかなと思っております。
次の10ページ目以降の事例は、里海の事例になります。和歌山県田辺市における新庄漁業協同組合さんの取組でございます。
国立公園の一部になってはいるものの、やはり地域の中での担い手不足であったり、魅力の向上を上げていく。また、ヒロメという海藻について、その生育不良というものが見られるという状況がございました。藻場の造成、自然資源としての生物調査、また、エコツアーの開発、好循環形成ビジョンの検討といったものの取組を進めていただいております。今後の課題としても、連携体制や資金の確保につなげる新たな取組の展開を進めていくというものが課題として挙げられております。
11ページ目については、北海道函館市において、株式会社WMIさんというところに進めていただいた事業になります。
こちらはコンブをベースにした取組でございまして、天然藻場再生に向けた活動、環境適応型藻場づくり、地域コミュニティとの連携といった取組を進めていただいておりまして、単年度の事業としては一定程度の成果を得たものの、次の展開、プログラム化を目指す地域産業への創出につなげるといったところが課題として挙げられておりました。
12ページ目をご覧ください。
今ご紹介した新庄漁協、株式会社WMIさんの取組についても、この当モデル事業がきっかけとなって、民間企業の資金獲得だったり、生物多様性保全の価値の視覚化、また、大手企業と連携したヘアケア用品やコンビニ商品への活用、大規模イベントでの普及啓発等の取組への展開が進められております。
13ページ目をご覧ください。こちら、里海づくりの取組についてですが、こちらについては、とりわけこの点に特化した形で、今後どのような形で里海づくりの取組を進めていけばよいかといったような提言をまとめております。
真ん中にございますが、理念と指針として保全の観点、また、保全のみではなく利活用も併せて進めていくと。そして、好循環を形成する。また、それらの取組を進めていく上では、地域の関係者だけではなく、多様な主体の参加と連携が必要ではないかというものを整理したものでございます。
14ページ目をご覧ください。
里海づくりの手引書というものも、それに併せて今改訂をしておりまして、近日中に改訂版の手引書を整理していく予定にしております。KPI等もちゃんと目標・目的を設定することで、順応的な管理を進めていくというところを整理したものになります。
15ページ目は、こちらも里海づくりになりますが、関係団体等との連携を強化することで、環境省以外の者による地域の里海づくりの支援の充実に向けた動きも出てきております。
16ページ目をご覧ください。
こちらは水環境に特化したものではございませんが、タイトルは「水辺の環境活動プラットフォーム」として、主に水環境をターゲットにした地域関係者の情報共有・収集・交流、つながりの促進等を目的とした取組も進めております。現在、600を超える方に参加をいただいておりまして、この場を通じて、多くの地域の皆様がつながり合ったり、知見を共有したり、課題を共有したりみたいなことで、それぞれの地域の個別課題の取組にいかしていただければと思っております。
17ページ目では、関連したものとして、シンポジウム等も開催しているというものをご紹介しております。
18ページ目では、また、こちらも関連するものですが、地域の良好な環境の取組を推進している事例の紹介であったり、モデル事業の取組の紹介等を、SNS等を活用して広く発信するという取組も昨年から開始しております。
19ページ目、20ページ目には、良好な環境モデル事業等を実施してきたものを踏まえた課題を整理しております。
こちら、19ページ目に記載しておりますのは、前回第2回小委員会のヒアリングでいただいたご指摘でございます。長期的な視点での取組の計画を検討する必要がある。また、調整が円滑に進められるような制度的な裏づけが必要。個別団体の努力だけでは継続は難しい。水環境の課題は省庁間・部局間にまたがっており、横串を通す形での整理が必要。計画を策定していくことで、関係者の行動を促進しやすくなるということであったり、また、支援の枠組みに結びつけられれば、民間側も参画が容易になる。地域団体が持つ現場の活動力と行政とで相互に補完しながら、取組の認知と参加を進めていくことが必要である。また、取組が分散しないよう計画等が傘として機能することが重要で、多様な課題を丁寧に把握し、制度や計画に反映できる仕組みを設けることが必要といったような指摘、コメントが前回の第2回小委員会のヒアリングの場ではあったかなと考えております。
20ページ目では、こちらは当室が実施しておりますモデル事業の実施団体の皆様から、個別のヒアリングによっていただいている指摘・課題についてです。制度が重層的で、やはり分かりづらい点。また、管轄省庁・自治体が多岐にわたっている。キーパーソン依存になりがちと、地域の取組はそうなりがちである。活動のサイクルと事業の時間軸が不一致。単年度事業では、なかなか開発後の実行フェーズへの支援が手薄になってしまう。また、広域化で急激に複雑化をしている。管理主体による手続負担に大きな差があったり、行政にもオブザーバー的に関与してもらうことで、基礎自治体のコミットメントが事業の成否を左右するのではないか。国の事業としてのお墨つきが対外的信用力として重要なのではないか。継続的な補助・技術支援が必要だったり、ネットワークづくり、中間支援組織との接続、国の立場での発信による多様な企業の関心を集めることが重要なのではないかと。情報発信、企業マッチングの場、成果の全国発信・横展開等が求められるというような指摘をいただいております。
資料2-1において、これまでの取組を整理しまして、資料2-2をご覧ください。
こちらで本日ご議論いただきたい事項として、2ページにまとめております。
まずスライド2ですが、今ご紹介したこれまでの取組であったり、前回のヒアリング、これまでのモデル事業実施団体さんからのヒアリング等も踏まえて、今後の水環境の保全と活用を進めていく上での方向性について、2ページ目で整理しております。
今後、目指していく良好な水環境の保全と活用の将来像の実現に向けては、持続性の確保、質の向上、横展開というような三つの軸というものが必要なのではないかということで、三つの視点の関係として、まず個別の取組について、その持続性を確保し、取組そのものの質の向上を図る、その2本軸で進めていって、そのような個々の取組を全国各地で実施されるような取組、いわゆる横展開といったものをしていくといったような関係で、この三つが今後目指していく良好な水環境の保全と活用の将来像として重要なのではないかというふうにご提案させていただいております。
3ページ目では、その将来像の実現に向けた課題と対応策として、1スライドに整理しております。将来像の実現のための個別の取組の持続性の確保、質の向上に向けては、様々な課題というものが指摘されておりました。そのための対応が当然必要となります。対応策として、地域の取組支援、情報共有等の促進、取組の評価等、この3本が大きな枠組みとして挙げられるのではないかというふうに考えております。指摘されている課題の概要については、先ほど資料2-1の最後の2スライドでご紹介したものを概略としてまとめておりますので、ここでのご説明は割愛します。
課題対応策の例として、今申し上げた地域の取組支援、一番右側に情報共有等、また取組の評価と、この三つが大きな分類になるのではないかということで、一番左側の取組支援については、好事例の創出するという観点で技術的な支援、また財政的な支援。情報共有等については、横連携を促進していくという観点、マッチングの創出、それを進めるための普及啓発と。また、取組の評価としては、先ほどの課題の中で国のお墨つきみたいな話があったことも踏まえて、地域の取組を評価すると、取組の認定という観点の項目を挙げさせていただいております。
本日の小委員会では、まず2ページ目のスライドであった良好な水環境の保全と活用に向けた方向性について、また、この方向性の是非だったり、足りない点、抜けている点について、ぜひ委員の皆様からご意見をいただければというふうに思っております。また、横展開に向けての個別の取組の推進のための課題対応策として挙げている点、例示策として挙げているものの是非、また、こちらについても足りない点についてご意見をいただき、全体を通してご審議いただければと思っております。
以上で資料2-2までの説明を終わりたいと思います。
【古米委員長】 ご説明どうもありがとうございました。
今後の良好な水環境の創出と、それをどう活用して保全をしていくのかというような方向性について、過去、あるいは具体的な取組についてお話しいただきました。ここは水環境制度小委員会ですので、制度を意識した形で、今回の推進の方向性であるとか、横展開のための課題の抽出であるとか、それに対する解決策ということについて、皆様からご意見をいただきたいと思います。もちろん、今回の説明に関するご質問も一緒にお受けしたいと思います。WEB参加の方は、挙手ボタンでお知らせいただければと思います。それでは、いかがでしょうか。
内山委員、どうぞ。
【内山専門委員】 ご説明ありがとうございました。内山でございます。
まず、方向性についてどう考えるか、議論のポイントが示されましたので、その点をお話しさせていただきたいと思います。私は主に里海づくりの関係で関連していますけれども、全体的な方向性には非常に強く賛同いたします。前回の2回の委員会、また、今日のご説明の中でもありましたように、これまで水質汚濁防止法などを通じて総量規制がなされてきて、水質基準はかなり達成できているというところがベースにあります。例えば閉鎖性の内湾域ですと、全窒素とか全リンが経年的に低下していて、環境基準は大きくクリアしています。CODなども非常に良好な数値になっています。ただ一方で、漁獲量が減っているとか、あるいは海水よりも少し遅れて、底質、海底に吸着した化学物質や栄養塩類が長期間にわたって海域に滞留して、その結果、栄養塩が継続的に海水へ戻っていっているという状況にあります。それに合わせて、底層DOや溶存酸素の環境が悪くなって、それらが原因の一つとなって漁業の停滞につながっています。それに加えて、気候変動の問題もあって、海水温がずっと上昇することによって、海域の生物種が変わっているという報告もあります。つまり、水質だけではなかなか議論できないという局面に来ているのは間違いないと思います。
その中で、それらの問題をどのように解決していくかということが次の課題になっております。生物多様性、生物の豊かさとか水辺の魅力とか水産資源、そういったものを地域の実感として豊かな水環境といえるまでには十分に回復していないという現実があります。それに対して、どう環境省がコミットしていくかという大枠を示されたということですので、方向性としては大変賛同するところです。
里海の現場では保全だけではなくて、保全はもちろん大事ですけれども、先ほどご説明がありましたように、教育とか環境とか、漁業とか企業とのマッチングを通じて、その海域を保全していく人材をどう育てていくか、資金をどう集めていくか、関心をいかに継続して持っていただくかという、保全活動にフィードバックしていく好循環が大変重要になっていると実感しています。その意味では、資料2-2の中で述べられていました持続性の確保とか、質の向上とか横展開という課題整理は、非常に妥当な方向性であると思います。ただし、水環境の専門家から言わせていただくと、オーバーツーリズムの問題等からも想定できるように、名水事業のほうでも問題になっているというご報告もありましたが、活用面があまりにも先行してしまうと、そもそもの良好な水環境の基盤が損なわれるケースもありますので、あくまでも、良好な水環境の保全を考えるときには保全や再生を土台とし、それらをまずベースにして活用方針を考えていくということを明確にしていくということが大事だと考えます。良好な水環境から得られる果実を搾取するのではなくて、持続的に利用するとか、育てて守っていくという視点が非常に重要になります。途中でお話がありましたけれども、例えば地場の特産品を商品化したとか、修学旅行の誘致に成功したから、それでオーケーということではなくて、そこから得られた知見であるとか資金、あるいは人材を保全活動に再投資して、さらによくしていくというような好循環のサイクルを回していくということが大変大事だと考えます。
まず方向性について、ご意見を申し上げました。以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございます。
それでは、WEB参加の大久保委員、どうぞ。
【大久保臨時委員】 ご説明ありがとうございます。
方向性に関しましては、異論ありません。特に資料1で指摘されていましたように、既存の環境保全エリア以外の地域のアイデンティティにとって重要な場をどのように保全・活用していくかということは、ネイチャーポジティブの観点からも、持続性の観点からも大変重要なことであると考えております。
その上で資料2‐1では、多様な主体の参画でありますとか、ビジョン、計画の重要性でありますとか、各種の課題が適切に整理されていると思います。
問題は資料2-2であるわけですけれども、資料2-1で整理された課題、また資料2-2の2ページ目で整理された課題と、3ページ目が十分に対応した内容になっているかどうかというところが私の関心でございます。課題対応策というのは例ですから、これから足していくということだと思いますので、ここに上がっているものの中でこれが要らないという部分はないのですけれども、考えるべき視点としては、まず全体の傘となるような計画であるとか、ビジョンの策定といったことです。これについては、対応策の例に挙がっておりませんが、共通の認識を持つ、あるいは各取組みの意義を全体像にきちんと位置づけていくためにはビジョン、あるいは総合的な計画を多様な主体の参画を得ながら誰がどのような手続で定めていくのか、あるいはそうしたビジョンの在り方といったことは重要だと思いますので、具体的に検討すべき項目であると思います。
ただ、恐らくはこれが対策の例に挙がっていないのは、これが水部局だけ、あるいは環境省だけによるものではなく、既存の水循環基本法とか、あるいは河川であれば淀川をはじめとした流域委員会、環境保全委員会、河川協力団体といったような様々な組織や活動があり、環境省以外の省庁との連携をどのようにしていくかということがあるからではないかと推測いたします。
また、環境省の中で見ましても、例えば、多様な主体の参画による生物多様性の増進ということであれば、地域における生物多様性増進活動促進法のような法律もございますので、そういったものの拡張で十分であるのか、あるいは、そこでは不十分な何らかの問題があるのかといったような観点で、全体の見通し・ビジョンをイメージして議論するということが重要であると思います。ただ、特に省庁間連携に関しては課題があるということも認識した上で、実効的な施策として何ができるかを考える必要があります。また、制度を具体化するに当たっては、既存の現在の水濁法の目的そのものを広げる形で水濁法の名称を変えるということもありうるのか、という課題もあります。全体的な法体系の役割分担の中で水濁法は水濁法で、どのようにほかの法律と連携し合っていくのかといったような、水の中でも環境省所管部門の連携、あるいは役割分担の在り方も問題となるかと思います。それが第1点です。
それから2点目は、1点目と関係いたしますが、手続が複雑であったり、あるいは、その手続の負担がかかるということがございました。計画等の認定制度だけであれば、既存の法律にもいろいろなものがございますので、そうした中で認定制度を新たに設けるのだとすれば、既存の制度で何が足りず、どのような認定制度が求められているのかというところも重要であると思います。既存制度は結構手続が重いと思いますけれども、活動の内容によってはシンプルで、ある意味、認定ではなく登録制度でも足り、単に活動をしやすくなるようにすればよいというものもあれば、大小様々な政策に関わってくるものもある。そういう認定のレベル化といいますか類型化、シンプルなのか、それからやや重い手続は必要だけれども、やれることも許認可に係ることも含めて多いといったように、少し手続をレベル化、類型化するということが必要で、今回目指すものを既存の認定制度に準じたものにするのもありだと思いますが、よりシンプルなものを目指すこともありかと思います。
それから最後はオープン性ということで、地域の課題に対してはきちんと組織された団体が行っている活動もあれば、個人プラスアルファで自由に清掃活動や草刈りのような、いろいろな下支えとなる、あるいは、日常生活に関わる活動があって、この認定というものがほかのものを排除・委縮させるということのないように、オープン性というものが必要であると思います。そうした観点ではやはり全体のビジョンがあって、それに即した役割を端的に果たしているものについては、認定の有無にかかわらず促進していくということが確保されるのがよい。一言で言うと、全体のビジョン、それから関係行政機関との連携をどうするかという観点をもう少し正面に出して、正面から考える必要があるのではないかというのが私の意見でございます。
以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、加藤委員、どうぞ。
【加藤臨時委員】 ありがとうございます。和歌山大学、加藤でございます。ご説明いただきまして、ありがとうございます。
まず、水の質が多分ある程度担保されて、産業、観光、教育、景観の維持、地域内連携、産業とのマッチング、連携というような新しいポテンシャルが生まれてきているということは非常に喜ばしいのではないかなと、この方向性については私も強く賛同をいたします。それが制度的なことを考えていくとなると、やはり分野横断的な大きな傘となってくるのかと思いますので、非常にチャレンジングでもあり、なかなか責任の重いことでもあるなというふうに期待はしているところであります。
そのように、いろいろな裾野を広げていくことが、実はそれが横展開と考えることもできるのかなと思います。横展開というと、ある事業がモデルとなって、他も倣ってやっていくという意味合いがあると思いますが、裾野が広がり、多様な人が育っていくことも重要な横展開の要素ではないのかと思っております。
これまでの事業では、事業として手を挙げられた方が対象になってきているとは思います。その方々というのは保全と活用ということは、ある程度認識をされている方だと思いますが、そうではない方であっても、一般市民の方となるとは思いますが、良好な環境の保全では非常に重要であると思います。それがある意味、総合的な意味での生活の質の向上につながっているというところ、それが資源の節約や効率化、また、防災や安全というような意味合いも含めて、総合的な生活の質、豊かさ、それをウェルビーイングというのだと思いますが、それにつながっているのだというところも強調されるといいと思います。
また、事業は地域の自治体さんがまとめているということが多いかと思いますが、観光だけには限りませんけれども、いろいろな意味で、事業者さんが地域に貢献していくというところは今求められているところだと思います。責任ある事業、エシカルな事業、サステナブルな事業というところで企業価値を高めていくという、そういう意味合いもあるというところも強調できると思います。また、これらいろいろな事業に携わる方々のリーダーシップというものも、やはり地域での教育や、キャパシティーを上げていくというような人材育成的な意味もあると思いますので、それも先ほども申し上げたような横展開という考え方でよろしいと思います。
また、制度的なことで、認証制度なども含めてというご計画であると思いますが、先ほど内山委員もおっしゃったように、やはり最終的には、環境の向上につながるものであるというところが示される、または検証する仕組みがあることは、環境省事業として一番重要なところであると思います。ただ、そこで定性的な要素も含めた総合的な価値判断の仕組みが培われていくことが重要であると思います。認証制度ということを考えますと、当然ですが、それは質保証の枠組みであって、継続した成長というものを支えていくものである。単なるラベルとかブランドではないというようなところが非常に重要であると思います。1回認定されると、それで終わりということではないという、中長期的なビジョンに基づいた制度というのが必要になってくると思います。また、認証制度は、誰が認証するのであるか、第三者的な客観的な認証団体が必要になってくるのか、国際認証との連携はどうなっていくのかというような、そういういろいろな細かい議論というのは今後なされるのかなと思いますが、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、保全への還元、活用が環境の保全にどれくらいのポジティブ、ネガティブ、インパクトを与えているのかというところがきちんと担保される、測れるということ、そのような制度が今後必要になってくると思っております。
私からは、ひとまず以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
それでは、WEB参加の前田委員、お願いいたします。
【前田専門委員】 おはようございます。ご説明ありがとうございます。また、本日は貴重な機会をいただきありがとうございます。
それでは、自治体の現場に携わる立場から、良好な水環境の保全と活用の方向性について、意見のほうを申し上げさせていただきます。
まず、今回示された方向性については、自治体の実務を担ってきた立場からも、大変理にかなったものであると感じております。資料でも持続性の確保、質の向上、横展開が今後目指していく将来像の実現に必要であると整理されています。これは、まさに現場で実際に活動してきた中で痛感してきた内容でございます。
本市でも、藻場再生や里海づくり、海洋環境保全など、良好な水環境の創出に関する取組を進めてまいりましたが、実際に活動を継続していく中で見えてきたのは、環境活動を始めることよりも続けることのほうが圧倒的に難しいという現実です。例えば藻場再生についても、単年度のイベントで終わるのであれば比較的実施しやすいと思いますが、継続的に成果を出そうとすると、漁業者との調整、学校や地域住民との連携、また、企業との協働に加え、科学的な知見の蓄積、維持管理体制の確保、情報発信など、多様な主体を巻き込みながら長期的に運営していくような必要があるのかなと考えています。また、水環境というのは、自然条件や地域特性によって成果の出力も異なりますので、単純に、ひとつの手法を全国で横展開すればいいというものでもないのかなと考えます。その意味でも、今回示されています個別の取組の持続性を高めて質を向上させる、それを横展開していくという整理は、現場感覚としても非常に合致していると感じてございます。特に、資料にありました自走化、民間からの支援獲得、地域活性化などの視点も示されていますが、まさにそこが重要かなと感じています。
環境保全につきまして、これまで自治体主導で進められてきた事例が多い一方で、持続可能な仕組みにしていくためには、行政施策から、例えば地域や民間が主体的に関わる仕組みへ移行していく必要があるかなと考えています。ただ、その移行にはどうしてもイニシャルコストが発生しますので、地域で新たな取組を始めようとしましても、コーディネートする人材がいないとか、企業との接点がない、合意形成までに時間がかかる、効果が見えるまでかなり期間が必要であるなど、最初の一歩のハードルというのが非常に高いのかなというのが実情です。その中で、資料にありました好事例の創出や財政的支援、マッチング創出といった考え方は非常に重要であり、特にモデル事業は有効であると考えています。もちろん、地域によって環境条件もステークホルダーも異なりますので、これをやれば必ず成功するという万能モデルをつくることは難しいと思いますが、地域から見れば、まず、最初の立ち上げ部分を支援してもらえるだけでも大きく前進できます。
次に、取組認定の意義についても今回示されていますが、非常に重要であると考えています。阪南市では、SDGs未来都市や自然共生サイトなど、国の制度による認定を積極的に取得してきました。なぜ取得したかといえば、単に称号を得るためではございません。認定を受けることによって地域内での機運の醸成、関係者との共通の目標化、新たな企業・大学・団体との連携、さらには対外的な信用力の向上や、庁内横断的な連携促進など、非常に大きな効果があるかなと思っています。特に地域や関係者を巻き込んでいく際には、国の認定は非常に強い力を持っています。今回、水・大気環境局が、こうした方向性を打ち出されていること自体に大きな意味があると感じています。自治体の環境部局というのは、これまではどちらかというと規制行政を中心に担ってきた経緯がございます。もちろん規制施策というのは、引き続き重要ですが、今回のように保全と活用を一体で進めるというメッセージが国から示されることで、自治体側の意識変化にもつながるものと考えます。現場としても、守るための環境行政から地域価値を創出する行政へと転換する後押しになります。
そのほか、本取組が単なる環境保全にとどまらず、例えば阪南市でしたら、地域づくり、地域経済、観光、教育、防災など、幅広い分野と連携をしながら進んでいくことが大切であると考えます。そのため、国においても省庁横断的な連携をぜひ意識していただきたいと考えています。地方創生、ブルーカーボン、水産振興、港湾、観光など、い現場では多くの政策分野が重なっています。国側で関係省庁の連携方針が示されることで、自治体の現場でも庁内連携が進みやすくなります。
最後にもう一点、インセンティブについて申し上げます。
取組認定という方向性は、現場感覚としても国の認定が大きなインセンティブにはなると感じており、非常に良い取組だと考えております。特に近年、企業側でも環境分野に関する国認定の関心は非常に高まっています。一方で、認定を取得するためには、当然ながら事務負担や、調整コストも発生しますので、手間をかけても取得したいと思える制度設計が必要です。メリットの過剰な付与が目的化すると、本来の趣旨が薄れてしまう懸念もあります。そうではなく、人材不足の部分であったりとか資金確保の部分であったりとか、その合意形成につながるような、そのような実効的なメリットを付与していただくことが重要と考えています。
最後になりますけども、これからの水環境政策というのは規制や保全だけではなく、地域づくりの政策と一体化していく段階に入っていると考えています。水辺自体には、人を呼び込む魅力があり、地域をつなぎ、次世代へ地域文化を継承する基盤でもあります。今回の制度設計の中で全国各地の主体的な取組が後押しされ、「守る水環境」から「地域の未来をつくる水環境」へと発展していく契機となることを期待しております。
私からは以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
それでは、内山委員、どうぞ。
【内山専門委員】 足りない部分があれば議論をいただきたい、という項目が論点にあったので、申し上げます。
私が申し上げたいのは、専門家の知見をしっかり生かしていただきたいということで、スライドの3ページ目に課題、対応策の例ということで、いろいろな項目を挙げられていますが、中のほうであまり触れられていないのが技術的な支援で、この点は結構大事だと思っています。冒頭で申し上げましたように、トップダウン型の水質規制からボトムアップ型の保全や地域創生へと大きな政策転換があるわけですけれども、そのときに対応策の中で特に重要になるのが、技術的な支援であると考えます。
水環境というのは全体的には公共性が高くて、取組を実施する団体だけのものではないので、不適切な介入があると、様々な問題が生じて周囲に波及する可能性をはらんでいます。例えば隣接海域の水質が悪くなることもあるかもしれないですし、生物の生息域や景観に悪影響を及ぼすこともあるかもしれない。こういった問題は里海によく見られる話で、藻場をつくったらそこはよくなるのだけれども、ほかのところには悪影響が出るということもありますので、漁業とか観光利用なども含めて、計画や実施にあたっては幅広く専門家の知識のインプットが必要になってきます。実施団体の中には専門的な知識を有する科学者などが含まれないこともあって、試行錯誤的に事業をやられている方も多く、試行的に藻場の拡大などに取り組んでみたものの、うまくいかなかったという事例も非常にたくさんございます。そこをカバーするのが、やはり専門家による技術的な支援だと思います。ただし、里海で伴走支援などを通じてやっていて強く感じるのは、決して専門家だからといって、上から目線で取組に対していろいろと指図をするようなスタンスではなくて、実施団体に寄り添っていくという姿勢が非常に大事です。実施団体の人たちは、予算も人員も限られた中で非常に努力をされておりますので、必要な点はきちんと指摘して、よい取組はよいというふうに評価して、改善できるポイントを指摘していくということが専門家には求められると思います。ですので、専門家は審査役、あるいは監視役というよりかは、まさに伴走支援者、パートナーとして寄り添った形で関わっていくということが、技術的な支援の中で重要なことであると思います。
もうちょっと踏み込んで申し上げますと、最近、EUの委員会などでよく出てくる「グリーンウオッシュ」という言葉がありますけれども、ともすると、専門家のコミットメントがないと事業者の人たちは取組を通じて改善した部分や、成功した部分にフォーカスして対外発信してしまうという事例を過去に多く見てきています。ここでご指摘している専門家による伴走支援、技術支援というのは、環境改善効果の根拠が不十分なままによい取組として見えてしまう、いわゆるグリーンウオッシュを避けるという意味でも、非常に重要な観点になってくるかと思います。
技術的支援の重要性は、多分横展開をするときにも大事になってきて、先ほど阪南の前田委員のコメントにもありましたように、似たような事業をやっているからといって、あるいは地理的に近いからといって、うまくいった事例をそのままコピーして広げていっても、環境保全の事業はなかなかうまくいかない場合があるわけで、そういった中で科学的な知見を生かしていくことが肝要です。例えば里海でいいますと、ある海岸の藻場を保全したとしても、そこは一つの湾、あるいは灘の一部でもあり、半分閉じた生態系を構成しているわけですので、保全活動の影響は周りに波及していきます。事業者の方は自分の眼の前の海しか見ていらっしゃらないこともあるので、環境がつながっているということを科学的な視点からアドバイスしてあげることが非常に大事です。私は科学者ですので、やや踏み込んだ意見になるかもしれませんが、専門家というのは科学的な専門家だけではなくて、恐らく行政であるとか、金融とか企業連携とか、地域のコーディネートをするような専門的な知見を組み合わせていくこと、横展開をしていくときには非常に大事になってくると思います。したがって、地域ニーズと技術、資金、制度を含めて、全ての要素をつなぐ仲介者的な支援機能として、専門家による技術支援は大事になってくると考えます。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
加藤委員、どうぞ。
【加藤臨時委員】 ありがとうございます。
今の内山委員のご発言に少し関連する話ですが、観光庁のほうで持続可能な観光ガイドラインを2020年に策定いたしております。地域のサステナビリティを高める一つのチェックリストのような項目がつくられました。そのときに、非常に地域にとって難しかったのが、データを集めていく、何をどういうことをもってエビデンスとしていくのかというようなところで、今、内山委員がご発言なさったように、今グリーンウオッシュへの懸念というのも高まってきており、専門家の知見を持っての、きちんとしたスタンダードを設定するというところは非常に重要であると思います。ただ、専門家がそこの地域にいつも入れるというわけではないので、地域でそのような専門的な知見というものを持つような、持続可能な観光のほうではサステナビリティコーディネーターというような方を育てるというような試みがなされておりましたが、そのような一定のスタンダードを担保できるという仕組みは必要だと思います。
ただ一方で、先ほども申し上げましたが、市民、事業に特に関わっていない方、事業者の方もそうですが、どのように参加してもらっていくかというようなところで、一定のスタンダードを担保しつつ、例えばデータ収集のところなどは学生や市民も参加できるなど、地域全体の機運を高めていくという機能もその制度の中には求められるのかと思っております。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
それでは、私から発言させていただきたいと思います。
皆様のご指摘のように、保全と活用の事業を推進するとか、取組を推進するという方向性についてはうまくまとめられていると思います。地域を活性化する事業やモデル事業を展開するということも大事ですが、改めて良好な水環境の保全の在り方だとか、活用の在り方みたいなところをしっかりと整理をしないといけないのではと思います。何かをやることに対しての戦略が出てきていますが、じゃあ、良好な水環境というのはどう定義できて、みんなが納得感を持って水環境を評価して、状況を把握して改善していくことが大事なように思います。水環境に関わるステークホルダー、住民もそうでしょうし、地方自治体の部局の人もいるでしょうし、いろいろな人たちがやはり納得感を持って情報共有しながら事業や取組を行っていくということが求められます。そこで、水質環境基準の達成だけでは不十分なので多面的なモニタリングをするということはあるんだけど、じゃあ、水環境をどうしないといけないのかということとうまくリンクさせながら、取組の展開をしていく必要があるのかなと。
資料2-2の3枚目のところには、取組の認定について記載がありますが、じゃあ、認定の際に多面的な評価をしたときに、こういうところが非常に良いので認定されていますよというところ、すなわち良好な水環境がどう定義されるかにつながってくると思います。この点をもう少し再整理したほうがいいのかなと思いました。
そうなってくると、国として、制度だとか仕組みだとか支援の在り方を検討するんだけども、そのなかで地方自治体の県のレベルでどういうことが求められているとか、あるいは、市町村の現場でどうなっているのかだとか、そこに関わる企業、あるいは事業所みたいなものと、そこに住んでいる住民であるとか、あるいはNPOだとかNGOだとか、場合によっては教育機関や専門家ですか、様々なステークホルダーの役割と関連させて、取組の在り方を整理する必要がありそうです。すでに、3ページ目の課題対応で、今後具体化するためのキーワードはもう出ているので、それぞれの課題対応策の中で、国がどこをやり、地方自治体がどうやり、住民がどうやるのかということを次に整理していくと、この課題対応策の事例というのが非常に分かりやすくなるのかなと思いました。
大久保委員が発言されたように、既存の法律だとか制度の中で、良好な水環境みたいなものがどう扱われているのかということを改めて整理しなくてはいけないのかなと思いました。今回は、名水百選であるとか、良好な水環境のためのモデル事業が実施されているという形で整理していますけれども、新たな認定をするなり、認証するなり、制度化するということになると、既存のどういう法律だとか制度だとかと関連しているのか、現状ではどの部分が不足しているのかということを1回整理していただくとよいと思います。それをもとにした新たな観点での認定制度なり、その仕組みを考えやすくなるのかなというのが2番目に感じたことです。
私からは以上です。
西嶋委員、どうぞ。
【西嶋臨時委員】 ありがとうございました。西嶋です。
先ほどの内山先生のほうからの、今までトップダウン中心に行政が行われてきた、つまり規制が多かったんですかね。ということで、こちらの制度はボトムアップという形になっているんじゃないかというご指摘がありました。その視点から考えると、ボトムアップで頑張っている人たちを支援していって、それを横に広げていくというのはすごくいいことだと思いながらも、一方で、トップダウンというのは全体を見て、全体をよくしていくためにどうするかという視点で動くと思います。ボトムアップというのはそれぞれがやっている方々の活動、ある意味、狭い意味のところの活動を頑張っているということになるので、全体を見たときに、やはり部分的には頑張っているところはすごくよくなっているんだけど、そうでないところはどうするのということが、やはり取り残されて、落としてしまう可能性が結構あるのかなという気がちょっとしています。その意味で、自走化とか、やっぱり民間からの支援獲得というのは、それぞれの活動の持続性を持たせるということで非常にいいことなんだけど、やっぱりもう少し地方の行政がどう関わっていくかという視点が入っていかないと、ちょっと個別活動を盛り上げるだけで終わってしまう、終わってしまうという言い方はちょっとよくないんですけど、面的な広がりというのをどう担保していくかというところが、どうしても全体を見る視点というのが、個別の活動をされている方には少し不足するかなと思うので、地方の行政がどう関わっていくかということをもう少しこの制度の中に組み込んでいくべきではないのかなということを感じました。
以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
では、内山委員、どうぞ。
【内山専門委員】 今の古米先生と西嶋先生の議論は非常に大事な視点だと思います。地方環境行政という意味では、即効性のあるアイデアではないのですけれども、国として、環境省としては、今回の資料にはあまり出てこなかったですけれども、施策のベースにあるのはネイチャーポジティブを達成していく、そこへ向けての取組として、いわゆる30by30、2030年までに保護地を30%にするという国際的な方向性があって、その中で出てきたのがOECMとか自然共生サイトという制度があってと思います。ですので、行政がかぶせる傘としては、恐らく大局的な観点からは、自然共生サイトのような考え方や制度が、今回の良好な水環境の創出に対しても参考になるのではないかと強く思います。
ご存じのように自然共生サイトというのは、民間の取組等によって生物の多様性の保全が図られる地域を国が指定するわけですが、この中では保護区域や保全活動を認めるだけではなくて、モニタリング指標とか、あるいは実施状況の報告書などもメニューとして用意しているので、このような取組を参照したり、スタート地点として位置づけるのが良いのではないか思います。
一方で、陸域の名水事業のほうは、名水百選のような割と分かりやすい認証制度があるのに対して、私が関わっている里海のほうは、それに類するような制度がありません。自然共生サイトやOECMへの登録は非常にハードルが高くて、それこそ地方の環境行政と二人三脚で取り組んでいかないと、なかなか認定にこぎ着けないというところがありますが、ボトムアップ型で進めていくことを考えると、やはり名水百選のような認証制度が沿岸の環境保全に対する取組、つまり里海づくりに対してもあると非常にいいのではないかと考えているところであります。そういった自然共生サイトの考え方みたいなものを援用して、うまく制度設計する方向に進んでいただけるといいと思います。
その中で、国による取組を認証、認定の議論をするのは時期尚早かもしれませんけれども、国が事業をどう評価していくかということについて、認証制度を1つの軸とすることに関しては、個人的には非常に大事な方向性の1つであると思います。モデル事業の実施地域を見ても、先ほども事例が幾つか紹介されていましたが、国に認められた取組であると周囲に説明ができるので、実施団体や地方自治体にとっては大きな信用力、インセンティブになっているというようなご報告がございました。ですので、取組の信頼性が高まるということで、国の評価の仕組みはぜひあったほうがいいと思うのですが、繰り返しになりますけれども、加藤先生がおっしゃられたポイントは非常に大事で、水環境の保全には永続性がないので、一旦環境がよくなったからといって、そこで保全の活動を放置してしまうと、また環境が悪くなってしまうということもありえますから、評価は一度認めて終わりというわけではなくて、実施状況を継続的に確認する。そのためにモニタリングをしっかりやる。その意味のあるモニタリングとか改善を行うために、先ほど私が申し上げたように、技術的な支援によって必要な改善を組み合わせていくことが取組の質の向上と持続性につながると思いますので、そういった視点をぜひ盛り込んでいただけたらと思います。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
それでは、WEB参加の上西委員、どうぞ。
【上西専門委員】 ありがとうございます。
もう皆さんがおっしゃっているとおりなんですけれども、方向性としては全く賛同です。
先ほど来、地方自治体に何ができるかというお話もあったんですけれども、どの地域でも熱心な活動団体があり、助成金なども出しているところですが、確かに科学的根拠とか技術的支援で支えていくことが大事だろうかなというふうに思っております。地域のコーディネートも行政として取り組んでおりまして、各団体の交流であるとかマッチングであるとか、学識者・有識者へつなぐなどもしたりしておるところでございます。ただ、資金的な面、人材的な面から継続が難しくなっている団体も多くて、それには活動に参加されている人たち以外の住民や企業も含めた巻き込みが必要だろうなというふうに感じております。
良好な水環境とは何かということは、地域によって求められるものが違うと思いますし、それには、その活動をされていない方も含めた住民が水環境に興味を持つ、水環境にアクセスする機会を促進するというところから始まるのかもしれないなというふうに考えているところです。
先ほど来おっしゃっているように、省庁間であるとか部局間の連携も必要ですし、環境省さん以外でも、河川部局さんも環境保全の取組はありますので、それらも十分に活用した連携というのが求められているのではないかなというふうに思います。
以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
星野委員、どうぞ。
【星野専門委員】 ご説明ありがとうございました。星野でございます。
私も方向性の部分については全く異論なく、こういった方向で進めていただければと思います。
2点目の個別取組の推進についての課題対応策というところで、今もずっと議論があった、どういったステークホルダーが、委員長もおっしゃられたようなたくさんのステークホルダーが要るという部分について、私も全くそのとおりですし、そういった方々が今も議論があったように専門家が入るとか、取り残されないようにするというのは非常に大事な視点だなと思いました。
その取り残さないというところで言うと、やはり小さな草の根の団体は、どうしても本当にその現場だけを見ていて、そこで一生懸命やっているんですけれども、なかなかお国のとか、補助金がとか、そういうものがなくても頑張っているところはあると思うんですね。なので、そういった声が届かないような、声を吸い上げにくいようなところの声をどうやって引き上げるか、その声もプラットフォームの土台に載せていくかというところの視点は大事かと思うので、そこはやはり吸い上げられる人というか、コーディネーターというか、そういった人材が必ず入るような制度として、仕組みとして、中間支援の人たちがあらゆる声を吸い上げられるような、そのあらゆる声という中には、前回1回目でお話ししたような次世代の若い人たちの声だったりとか、もちろん生き物の声だったりも含まれると思うんですけれども、そういった多くの声を漏れなく吸い上げられるようにできたらと思います。ただ、そこまで国のほうで全部やるというのは難しいと思いますので、今議論にありましたような地方行政との連携というのが大事かなと思います。
水環境と言うと、どうしても環境保全の部署とかになると思うんですけれども、私は今地元で町内会とかにも関わっている中では、やはり町内会の人たち、NPOではなくて、いわゆる地縁組織の人たちは、どうしても防災の視点で水路とか川とかを見ているんですね。そういった人たちのところにも水環境という視点を入れて差し上げることで、だったら地元の、地域のNPOと町内会が一緒に何かできるねみたいな、またそこでも新しい連携が生まれると思いますし、やはり地縁組織の人々というのはそこに暮らしていて、一番地域のまなざしを持って、子どもたちの見守りもしている人たちなので、そういったところまで目・手が届くような、そういった制度になったらいいなと思いました。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
それでは、春日委員、どうぞ。
【春日専門委員】 少し観点が異なるかもしれませんが、水環境と地域住民との関係について考えると、かつては人々の生活と水環境が非常に密接に結びついていたと思います。しかし、水環境が改善される中で、気づけば人々が水環境とどのように関わり、保全し、活用していけばよいのか分からなくなっていることが、大きな背景にあるのではないでしょうか。
かつては、水辺が遊びの場であり、祭りの場であり、さらには生業の場でもありました。そのため、水環境は日常生活の中に自然に組み込まれていたと思います。しかし、人口減少や過疎化、就業構造の変化が進む中で、昔のような関わり方にそのまま戻ればよいということでもないのも事実です。現在取り組みが進められているモデル事業は、これから地域が水環境とどのように関わっていくのか、その新しい形を創造していくための取組であると考えています。ただし、そのモデル事業が本当に地域に根づくかどうかは極めて重要です。なぜなら、それが将来における地域と水環境との関係性そのものにつながるからです。本日のお話を伺いながら感じたのは、先ほど古米先生もおっしゃっていましたが、まず「良好な水環境の将来像とは何か」を地域でしっかり議論することが重要ではないかということです。この議論が十分でないまま進めると、「良好な水環境」という言葉だけが独り歩きし、結果としてどの地域でも似たような取組になってしまい、地域の歴史や文化、アイデンティティとの結び付きが弱くなる可能性があるように思います。そのため、こうした制度の中では、自治体、地域団体、企業、住民など多様な主体の対話を丁寧に進めて、その地域にとってどのような水環境の将来像が望ましいのかを議論することが重要ではないでしょうか。そこでは、過去の地域の姿を振り返ることも必要だと思います。その上で、「自分たちの地域ではこうした水環境を実現したい」というビジョンを地域自らが描き、そのビジョンと各種事業や支援制度を結び付けていく仕組みがあるとよいのではないかと感じました。こうしたプロセスがないと、外部からモデル事業が導入されても、地域の共感や主体的な参加が十分に得られず、定着しないこともあり得ると思います。モデル事業そのものを支援するだけでなく、地域ごとの水環境の将来像を描くことを支援する制度になればよいのではないかと思いました。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
もし、ないようであれば、次に移りたいと思いますが、何か。
【森川環境創造室長】 環境省の森川です。委員の皆様、多様なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
大きな方向性として賛同いただいた上で、具体的に施策として進めていく上でのいろいろなアドバイスをいただいたと思っております。保全をしっかりベースにしながら進めていくところだったり、国際との関係、また、後半では地方自治体をはじめ、プレイヤーが国だけではなくて、国、地方、企業、住民という視点でどのような役割があるのかということをご審議いただきました。
また、ビジョンについては、私からの説明で申し上げていたと思うんですが、地域ごとにそれぞれ目指すべき水環境というのが違うので、モデル事業でも多様な取組がそれぞれ千差万別であるかな思っています。そこの地域のビジョンづくりをどのように進めていくかというのを環境省としてサポートしてもいいんじゃないかというのが、一番最後、春日委員のご意見でもあったかなと思います。
地域の中で、それをつくることの意義、価値を見出されている段階まで進んでいれば、こちらとしてもサポートがしやすい状況なんですけど、そこにまだ至っていないというか、そういう目線で見られていないという、地域をどのように、サポートできるのか。これからは、環境だけを保全すればいいというのはなかなか難しい中で、水環境にかかわらず、地域の様々な課題を解決するツールとして、普段の私たちの生活に欠かせない水環境というものがあるんだというところの価値というか意義をどれだけ理解していただけるかというのも重要だろうなと思っております。まずはそこへのアプローチをした上で、次の段階としてビジョンをつくろう、それで具体的な取組を進めていこうというところに、どのような手を環境省として打っていけるのか。また、自治体や企業の皆様と一緒になってやっていけるのかというところを考えていく必要があるのだろうと受け止めてございます。既存の制度も多数ありますので、そことの関連も意識しながら、次の委員会に向けて整理を進めていければと思っております。ありがとうございました。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に進めさせていただきたいと思います。
それでは、事務局より資料3、多面的な水環境モニタリングについてご説明をお願いいたします。
【鈴木環境汚染対策室長】 資料3をご覧ください。
おめくりいただきまして、スライド2は最初の資料1にも入っていた資料の再掲でございます。モニタリングの観点から、少しこのスライドも見ていただきたいなと思いました。
一番左側の環境基準とかが始まった頃からずっとやっていて、BOD/CODを中心としたモニタリングということをやって、排水規制をしっかりやってきましたということで、真ん中の写真ですけれども、水はかなりきれいになってきましたということかなと思っています。モニタリング等の制度全体としては、特に今もベースとしては大きく変わっていないということかなと思っていまして、令和の時代に目指すべき、ここは写真はただつけていますが、先ほどの議論でも、いろいろな地域ごとでもちろん違うというところはあるかなと思いますけれども、水質だけじゃなくて生き物とか景観など、幅広い観点からのこういう水辺を目指していくという中でのモニタリングをどう考えていけばいいのかというところが、この資料3でございます。
スライドの3番を見ていただけたらと思います。
環境基準の達成率、河川の汚濁指標の代表であるBODの環境基準ですけれども、もう90%以上の達成率がずっと15年以上続いています。
一方で、スライド4も、先ほどの資料1のほうに入っていたものをもう一回再掲でございますが、水環境への改善策ということで、水質汚濁は一番上にありますけれども、その他、散乱ごみの対策とか、緑や生き物というところですね。先ほどの言葉では「景観」という言葉にもなってくるかもしれませんけれども、そういうところのニーズはまだまだあるし、「特に改善が必要だと思わない」というのが5.5%しかないと、95%近くの方々はまだ改善が必要だというふうなことで、無回答もありますけれども、そういうふうに捉えています。
スライド5ですけれども、これまでもいろいろな水環境保全の在り方ということで議論をしてきたことがございます。ちょっと古くはなっていますけれども、書いてあることは今の問題意識ともあまり変わっていません。スライド5ですけれども、2011年3月にまとめていただいた今後の水環境保全に関する検討会の在り方についてということで、須藤先生に座長をしていただきまして、法律の浅野先生ですとか、水環境部会長を歴任いただいた岡田先生、細見先生、水道とか水の科学的な観点で眞柄先生とか、中杉先生、森田先生といった方に入っていただいて検討をしたものがございまして、この報告書でも今申し上げたようなこと、環境基準達成率は非常に高いんだけれども、水環境に関する国民の実感と比べて乖離していないかといった点、それから2番目のパラグラフですけれども、水質汚濁だけではなくて水の美しさ・清らかさ、利用のしやすさ、生き物の観点などの水質、水量、水生生物、水辺地と、この4点を含めた指標の導入などの検討もしていく必要があるのではないかと、そのような指摘をされてきまして、いろいろ動きは後でご紹介します。少しずつやってきたことはあるんですけれども、まだ本格的な導入には至っていないということかなと思います。
スライド6に環境基本計画の過去のものを、政府全体の環境行政としての非常に基本的な計画でございますけれども、これは1990年代から今の四つの視点、水質、水量、水生生物、水辺地を総合的にというところの問題意識としては、もうずっとこういうところにも書かれてきたわけでございます。1次と2次には同じようなことが書いてありまして、3次の2000年に入ってくると、3行目辺りにそういった総合的な「モニタリング」というような言葉も入ってきます。それから第4次、2012年ですけれども、今の四つの視点を書いていまして、その指標の検討を進めるというのが3と4に書いてあります。第5次以降は、今日の資料1のご説明にもありましたが、第6次が一番新しいんですが、もう少しこういう具体的なところというよりもウェルビーイングとか、総合的な水環境施策というような表現に変わってきていまして、この四つの視点自体は今のには入っていませんけれども、過去からこういう問題意識でずっとあったということでございます。
スライド7につきましてですが、そもそもモニタリングというのをもう一回考えてみましょうということでございます。環境モニタリングというのも、環境行政の中で最も基本的な施策でございます。まずモニタリングをして、その状況の把握ということになりまして、その中で、これが政策立案のための基礎情報になっていくということです。そこの概念図というか、今までは、のみではないんですけれども、水質中心でやってきたところでございますが、今後は良好な水環境の創出ということを目指していくのであれば、モニタリングにつきましても水辺、生物、水量などを含めて多面的に行っていくことが必要じゃないかということが問題意識でございます。
これまでも検討自体は、いろいろ少ししてきたところがあります。スライド8ですけれども、水環境健全性指標とか水辺のすこやかさ指標とか、通称「みずしるべ」と呼んだりしていますけども、水環境学会に業務をしていただきまして、こういった五つの指標というのを平成21年に公表しています。自然なすがた、ゆたかな生きもの、水のきれいさ、快適な水辺、地域とのつながりといったような、こういった視点でやっていったらどうかということでご提案をいただいているということでございます。これは何か制度というよりは、こういった視点でいろいろやっていってはどうかということでご提案をいただいたということでございます。
スライド9にこういったものを活用した、環境学習で活用したりとか、いろいろな動きというのは自治体のほうでも出てきていまして、愛知県のほうでは四つの視点、「生態系」とか「水辺のようす」というものも入っていたり、島根県なんかは宍道湖等がありますので、「味わう」とか「触れる」といったようなところも指標として入ってきていたり、宮崎県では「自然の音」なんていうのも入っていたりします。
おめくりいただいて、スライド10ですけれども、前回ご発表いただいた横浜市さんですが、みずしるべを活用した「よこはま水辺レポート」というようなことで、いろいろなところで市民参加でモニタリングをしていただいたようなこともありますし、茨城県におきましても、霞ヶ浦のふれあい指標(案)ということでございますが、こちらはレクリエーションですとか農業、サイクリスト人数とか、水辺での活用みたいな視点がかなり重視されたようなものかなということであります。それから、国土交通省のほうでもいろいろなご検討、いろいろなものをやられていまして、今後の河川(湖沼)の水質管理の指標ということで、これはかなり平成10年代に出ているものが令和6年に改定されていますけれども、人と河川の豊かなふれあいの確保とか、生態系の確保といったような観点での指標についてもありますし、河川水辺の国勢調査、これは国土交通省が直轄河川で非常に詳細な調査をしていまして、生物調査なんかもこれは物すごいデータ、貴重なものがいっぱい入っています。魚類、底生動物、植物、鳥類とか、かなり幅広くやっているようなものがございます。
こういったところを踏まえて、環境省のほうで本格的にもうちょっと導入というか、普及を図っていきたいということで、スライド11ですが、令和6年、7年とこの水環境健全性指標を活用したモデル調査というのをやってきました。令和6年はここにあるような12地点、先ほどの水環境学会にご提案いただいていた水環境健全性指標を活用してのものとか、あとは生き物も実際に生物採捕をしたりとか、環境DNAの調査も実施したというものでございます。右側の令和7年は、9か所で同じような調査をし、さらに一番下に書いてございますけれども、全部やっていると結構大変なので、簡易版調査の試行なんかも実施をしていますということであります。
スライド12に、どんなところでやったかというのが出ています。これを参考にしていただければと思います。
スライド13からが、今回の制度のご提案でございますけれども、水環境の多面的モニタリングの概要(案)ということであります。誰が、何を、どういったところでやるといったようなことを少し簡単にまとめてみました。
実施主体としては、やっぱり今でも常時監視ということでずっと経年的に取り組んでいただいている都道府県と水質汚濁防止の政令市、政令市は大体100ぐらいです。なので、150ぐらいの自治体さんでやっていただいているんですけれども、中心になってやっていただくのがよいのではないかと思います。調査内容としては、水環境健全性指標をベースに検討してはどうかということです。
調査地点は、公共用水域(河川、湖沼、海岸)ということでございます。場所としては、良好な環境、生き物の観点、水質の観点、景観の観点などから、創出する上で重要な地点、それから人々に地域の方々に多く利用されているような水浴はもちろんですが、散歩とかランニングなんかでも非常に水辺というのは多くの人たちが使っているということがありますので、そういった場所もモニタリングできたらいいんじゃないかと。あとは漁業とか観光なんか、さっきもありましたが、地域のなりわいみたいなところもちゃんと意識していったらどうか。
こういったところだと、非常にちょっと限られたポイント、ポイントになってくるので、もう少し流域の視点で、上流・中流・下流とか、主な支川なんかもやってはどうかということです。それから湖沼、海岸、今は常時監視は湖沼であれば湖心なんかで中心にやっていて、湖の真ん中のほうを中心にやったりしていますけれども、むしろ湖岸とか海岸なら干潟・磯場みたいなところが想定されるのではないかと思っています。
調査につきましては、今の常時監視は原則月1回ということでやっていただいているんですけれども、景観なんかが大きく毎月調査をするほど大変というのもありますけれども、生き物とか景観を毎月やらなくてもいいのかなというので、年に2回ぐらいでどうかなということが提案の概要でございます。
おめくりいただきまして、じゃあ、具体的にはどんな指標で調査するのということですが、先ほどの水環境健全性指標というのをベースにして考えてみましたということであります。そこから、少しいろいろ検討を加えています。
まず、水環境健全性指標は五つの観点でしたけども、これを6軸にしてみました。何が違うかといいますと、一番下のほう、「地域」というのが一つあったんですが、なりわいとか地域の方々がどうそこを活用しているのかと、さっきの資料2の関係の問題意識とも連携して、「利水・産業とのつながり」というのが独立して、軸を一つ増やしています。「経済・社会」の観点は二つになっています。
それから、個別に見ていくと、例えば快適な水辺なんかには「川の香り」というのが入ったんですが、ちょっと行政のモニタリングとしてなかなか判断がしづらいようなところもあるかなというのを少し削除したり、ちょっと難しそうなところを少し簡単にしたりということをやっています。
あとは生き物のところですね。生き物自体と、あとすみ場、すみ場というのもなかなかどういうふうにモニタリングをするのかというのは大変ですけれども、例えば底生生物であれば、底生が砂地なのか石があったり水草があるのか、そういったようなこととか、魚類のすみ場ということよりは、淵とか瀬があるのかと、そういったようなところを確認していくことになるのかなと思っています。
スライド15を見ていただきまして、導入するといっても、やはり課題は多くあると思っております。
まず①番として、都道府県・政令市が、これまでにやっている常時監視に加えて、さらに多面的モニタリングを行うということになれば、相当な大きな負担になるということですので、そこに十分配慮したものにする必要があります。その際、既存の常時監視を含む整理・合理化の検討をしてはどうかと思っています。
この多面的モニタリング自体、a、b、cと3点書いていますが、必ずしも調査対象の全ての地点で詳細にやる必要があるわけではないと考えられますので、負担も考慮しまして、重点調査と簡易調査の2種類を設けてはどうかということです。
それからbですが、生き物とか水辺の景観も、これも毎年変わるようなことでもないかなと思っていまして、3年に1回ぐらいでローリングで調査をして、3年間ぐらいで県内全体を把握するといったようなことではどうかなと。一方で、こういうふうにやっていく中で、既存の常時監視、毎年(原則月1回)とやっていますけれども、地点や頻度・測定方法の効率化なども、併せて検討していくことが必要かなと思っています。
それからcですが、関係機関や民間団体が継続調査をしているようなところがあれば連携する、全て自分でやることではなくても、いろいろな機関が調査を既にやっていますし、地域の博物館みたいなところが、いろいろな地域の環境を把握したりしているでしょうし、地元の大学もいろいろなことやられているでしょうし、民間団体も継続して生き物を調査したりされているので、そういったところのデータも活用しながら、そういった各機関、団体との連携も図っていけたらいいのではないかなというのがcです。
それから②ですが、これまで都道府県・政令市の一部では、先ほどのようにやっているところもありますけれども、多くの自治体では経験がないと思いますので、導入に当たってマニュアル整備のほか、十分な準備期間を設ける必要があるかなと思っています。
それから、まだまだここに書いていない課題があると思いますので、今日はいろいろなご意見をいただいて、また次回の検討につなげていきたいなと思っておりますので、またご意見をいただきたいと思っています。
今の問題意識を踏まえて、もう少し具体化してみたのがスライド16でございます。表にまとめましたけども、調査として重点調査と簡易調査と2種類ですということです。
調査地点は、重点調査のほうはさっき挙げたような重要な地点とか、多くの人が使っているようなところ、簡易調査はそれ以外の流域の全体を把握していくような点は簡易調査でもいいのかなと。それから3年ごとのローリング調査。1回やる年は景観とか生物相も変わるかもしれないので、春~夏と秋~冬の年2回ぐらいでどうかなということで書いています。
スライド17で、具体的なさらに指標ですけれども、六つの軸ごとに調査方法をまとめています。簡易調査のほうから見ていただければと思いますが、基本的には目視で把握をしていけばいいのではないか。例えば、快適な水辺であれば、ごみの散乱状況はどれぐらいか、多いか少ないかということとか、景観的な面でどんな緑が多いのかとか、景勝地なんかは当然そういう景勝的な景観もあるかもしれません。生き物も、簡易調査は生き物そのものの把握というのは大変なので、すみ場がどの程度あるか、すみ場があれば生き物は大体いると思うので、すみ場とか植生の状況の把握ということ。一方で、重点調査のほうは環境DNA、または生物採捕をやれたらいいんですけれども大変ですし、むしろ環境DNAというのは技術的にかなり分かってきているので、むしろ網羅的には環境DNAのほうが把握できるかもしれませんので、そういったものの活用をしていってはどうかというようなことを書いています。
水質も簡易調査のほうは目視で、透明かどうか濁っているかという、そういう目視的な観点と、あとは簡単なパックテスト等でもいいのではないかと。水浴場なんかは、大腸菌ぐらいは測らないといけないかもしれません。むしろ水浴場なんかは、重点調査になるかもしれませんけれども、重点調査のほうはもう少しそれぞれの指標を測ってみるということです。これも現場で測れるものも多いかなと思っています。
水量は、その環境の維持とか生き物の生息場としての適度な量があるかどうかというぐらいのものを目視で、簡易調査は目視でいいかなと思っています。詳細のほうは流量の測定とありますが、自分で測ってもいいですが、大体河川では既に測られたりしているので、そういった公表されているものを使うということでもいいのではないかなと思っています。
下の経済・社会的な観点の二つの軸、地域とか利水・産業の観点ですが、簡易調査は把握できればいいんですけれども、大変であれば省略いただいて、重点調査のほうで関係の資料を見ていただいたりとか、水辺への近づきやすさのところは安全に配慮した水辺への近づきやすさとか、そういったこと、歴史・文化のところは治水・防災も含めて関連の資料を調査するというようなこと。利水・産業のところも、どういった利用状況があるかということの把握ということをしてはどうかということでございます。
最後のスライド18ですけれども、コスト、労力もかなり関わってくるかなと思っていまして、これまでの常時監視というのを合理化、効率化して、そこでその分の予算とか労力を使って、この多面的なモニタリングをできたらと思っています。次回、もう少し具体的な、どれぐらい本当に労力として関わってくるのみたいなところをもう少しお示しできたらと思っております。
説明は以上です。
【古米委員長】 どうもご説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容に関しまして、ご意見、ご質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
加藤委員、どうぞ。
【加藤臨時委員】 加藤でございます。
先ほどの制度設計、認証制度というところと、ちょっと関連してお伺いしたいのですが、8ページから10ページにあります水辺のすこやかさ指標と各自治体で開発された指標の関連性ということをお伺いしたいです。例えば、こちらに物差しのほうの五つの項目が盛り込んであれば、準拠するものとして認めるというような、何かそのような形で、各地の多様性ということも考慮して各地が開発されたのか、というところが質問の1番目です。もう一つは、この多面的な新しい項目が設けられておりますが、今後、例えば今お持ちの自治体が自分で持っているものを一部読み替えるということなどは想定されるのかという、その2点を教えていただければと思います。
【古米委員長】 上西委員、どうぞ。
【上西専門委員】 よろしいでしょうか。すみません。
行政としては、安全・安心の確保の上で、水質の常時監視というのはすごく重要であると考えていまして、さらに、この多面的なモニタリングを行うというのは、単純にプラスアルファでやるのは限界に来ているのではないかなというふうに考えております。ただ、ご説明にもありましたように、調査法の案として重点調査であるとか簡易調査であるとか、方法に工夫がされていたり、あと従来のモニタリングの効率化というのも考えてくださっているんですけれども、水質の監視の項目であるとか地点を減らすというのは単純ではないので、十分な検討が必要であるというふうに考えております。
ご提案にもありましたように、民間や団体の環境調査も活用するように考えられるのではないかというご提案もありましたけれども、それは全くそのとおりだと思っていまして、そういうふうな民間団体の環境調査のデータの精度の担保というのも必要になってくるかとは思うんですが、例えばですけれども、そういうモニタリングを民間で担うような方々に対して、例えば水質汚濁防止法などで、水環境保全推進委員みたいな形で委嘱をすることができるとするような制度はどうかなというふうに考えます。例えば廃棄物処理法では、廃棄物減量等推進員であるとか、あと地球温暖化の対策法では地球温暖化防止活動推進員など、そういう委嘱するようなこともしておりますので、こういう多面的モニタリングに参加していただけるような方を委嘱するという制度もありなんじゃないかなというふうに考えます。
以上でございます。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、WEB参加の大久保委員、どうぞ。
【大久保臨時委員】 ご説明ありがとうございます。
まず、多面的モニタリングを進めていくということに関しては大変重要なことであって、これを打ち出されているということを評価したいと思います。その上でですけれども、今の上西委員の発言とも関連いたしまして、3点コメントをさせていただきます。
1点目が、従来の監視というものが重要で、今回は効率化でコストを増やさないようにすると書かれていることについて、単純に減らすということではなくて効率化ということだと思いますが、どう効率化するかという内容が重要ではないかと思います。とりわけ、現在、環境基準で健康項目として設定されているものの達成率は高いものの、要調査、要監視項目、あるいは、昨今のPFAS問題を見ても、新たな課題について、安全・安心の観点から、きちんと予防的アプローチで対応していくということも重要ですので、モニタリングの質を弱めるというつもりは全くないと思いますけれども、そうしたものの対応はきちんとやっていくのだということを明示した上で、どう効率化するのかということのご説明をいただくのがよろしいのではないかと思います。
2点目は、地域の環境データの統合という観点では、きちんとした現場での実測ということの重要性はもちろん変わらずあって、そこをベースにした上で、衛星データ、空間データ、シミュレーションといったものをどのように組み合わせていくのかということも、効率化の一部としては考えられ得るのかどうかということでございます。
3点目は、先ほどご説明がありましたように、河川水辺の国勢調査のような一定の空間データを含めた調査もございますので、全体としての予算、あるいは人員等々が限られている中で、そういった河川水辺の国勢調査のようなもの、あるいは自治体が行っている調査、これは先ほども別の委員から指摘がありましたように、そういうものと連携させながら、データのワンストップサービス、あるいはオープンデータとしてのアクセスができるようなものをどのように構築していくのかという視点が大切で、その結果といたしまして、それを活用していくことが先ほどの資料2の活動へのフィードバックということにつながるのではないかと思います。
最後に、もう少し大きな視点ですけれども、多面的なモニタリングの結果、どういうふうにこれを政策に活用するというイメージなのか、いろいろなイメージがあると思うのですけれども、例えば、従来の生活環境項目の中で取り扱われてきた水生生物の環境基準のようなものを超えた生物多様性の観点からの基準の設定でありますとか、そうしたものにもつなげていくという視点もあり得ると思います。それをどのように考えるかというのは、中長期的課題として重要だと思います。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
鈴木委員、どうぞ。
【鈴木専門委員】 ありがとうございます。鈴木です。
まず、多面的にモニタリングを行うということは、良好な水環境という目標に対して非常に重要だと思いますので、その方針は全くいいというか、大事なことだと思いました。
やり方について、特に、もし常時監視をある程度置き換えるとか、効率化して補完するのか分かりませんが、ある種常時監視に並ぶものとして行うというのであれば、私の頭が固いかもしれませんが、これは指標の持つ比較可能性というのは非常に重要な要素だと私は思います。CODやBODというのは、確かに水質汚濁の指標としては極めて重要で意義があるものと、私は今でも思っていますし、今後もあり続けると思いますけれども、それが重要だということは、やはり数値化できて、個別に改善があったとか、こちらよりこちらがいいとか悪いとか、比較ができたというところに意義があるので、政策の進捗を図る、あるいは目標にする重要な意義があったと。
この多面的モニタリングというのも、よい水質を実現する。そういう比較可能性が担保されたほうがいいんじゃないかなと思うので、そうすると、ここは私の思うところです。一番最後の17ページに「6つの観点」と「個別指標」と書いてありますけれども、指標というのは別の場所で議論することがあるんですが、何となく感じとしては、個別指標というのは個別な観点みたいなものでして、個別の観点をそれぞれ測る別の指標が、例えばごみの散乱であれば、ある何らかの測定によるものとか、川の音はある観察の方法によるものとか、もちろん特定のもので測ったごみの散乱の仕方とか、川の音の特性というものが、必ずしもごみの散乱や川の音の全部を意味すると思ってはいけないということも、一方で常に意識する必要があるかと思いますけども、そのある部分を測定する指標によって、ごみの散乱の程度を表現し、水辺の景観を表現しということがあると考える必要があるんじゃないかなと。
環境DNAも、それは測定できると思いますけども、その結果、どう解釈するんですかというのが疑問なところもありまして、それも一つの指標だと思いますので、それによって多くの生物種が存在しているならば、それがよい底生生物のすみ場を表しているという指標で使うと。
この構造として、個別指標と書いてあるものよりは、これは個別観点に近いものに私には見えて、この個別指標と書いてあるものを測定する技術的な指標みたいなものをそれぞれ構成して、それを使って皆さんが最終的には自治体さんなのか、あるいはこれを多分選んで使われるかもしれないそれぞれの地域の取組というものが、自分たちの取組によって何かがよくなったとか、あるいはうちの自治体の取組はこういう特性があるとかいうことが言えるようなものにしていくのが重要じゃないかなと、僕は思いますので、そういう検討をしっかりする必要があるんじゃないかと思いました。
以上です。
【古米委員長】 それでは、WEB参加の前田委員、どうぞ。
【前田専門委員】 先ほどの説明の中で、水質、水量、水生生物、水辺地を目標の視点に含めた検討が必要であることや、多面的な調査モニタリングについてお話を伺いましたが、やはり保全と活用を対立的に捉えるのではなくて、これらを両立させながら進めていくことが大事であると考えております。モニタリング調査一つを取っても、地域との継続的な活動、どのようなつながりの中で調査を進めていけるかという点が非常に重要であると考えます。
先ほどの資料14ページにあった、「6つの軸」という部分で、地域とのつながりや、利水・産業とのつながりというお話もあったと思いますが、特に地方部では、取り組みたい思いはあっても実行体制を維持できないケースが多くあります。その中で、どのように関係性をつなげていくかという点が重要です。例えば「地域とのつながり」一つを取っても、地域住民の参加状況、子どもへの環境学習への活用、多世代交流の創出など、水辺という環境の中でどのような方がつながっていくかという点こそが、真に持続可能な取組につながる一番の重要ポイントだと考えます。ぜひ、その辺りを含めた制度設計とモニタリングのほうを進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
それでは、春日委員、お願いします。
【春日専門委員】 多面的モニタリングの必要性については、先ほど申し上げた良好な水環境の将来像とも関わるため、私もぜひ推進していただきたいと思っています。ただ、17ページの個別指標案を拝見しながら考えると、それぞれの指標の性格は少し異なるように感じます。まず、「良好な水質」については、既に常時監視によって把握されている項目ですので、あえて多面的モニタリングの項目として改めて測定する必要はないと思います。一方で、「豊かな生物」については、これまで十分に把握されてこなかった側面であり、今後の水環境管理を考える上でも重要な指標だと思います。国土交通省などによる既存の調査手法もありますので、共通のプロトコルに基づいて、直轄河川以外にも展開しながらデータを蓄積していくことが重要ではないかと思います。
他方で、「地域とのつながり」や「利水・産業とのつながり」については、多面的モニタリングとして継続的に測定するというよりも、流域の情報として整理し、水環境に関する補足情報として提供すれば十分だと思います。その意味では、モニタリングとはやや性格が異なるように感じます。最も重要であり、恐らく環境省としても重視されているのは「快適な水辺」ではないかと思います。私自身もその重要性はよく理解できます。ただ、この項目は先ほど鈴木先生がおっしゃったような定量的な評価とは少し異なり、住民の主観や体験といった要素が大きく関わるものだと思います。言い換えれば、いかに主観的な情報を拾い上げるかという課題に近いのではないでしょうか。水環境と社会/住民との関係性という、これまで十分に見えてこなかったものを可視化しようとしたときに、こうした「快適な水辺」を行政的なモニタリングとして実装してしまうことには、少し懸念があります。例えば、ごみの量や景観などをチェックリスト化し、年に数回、調査員が現地で確認するような仕組みにしてしまうと、本来捉えたいものとは違ってしまうのではないかと思います。むしろ、水環境と社会との接点を主観的な体験として捉えるのであれば、SNSのような仕組みを活用し、住民が音や景観など、水環境に対して日常的に感じたことを投稿できるような仕組みの方が有効ではないでしょうか。そして、その投稿情報をデータマイニングして共有・可視化することで、地域における水環境との関わり方や主観的な体験を把握することができると思います。行政が一方的に測定するのではなく、社会が水環境にどのように反応しているのかを可視化できる仕組みやプラットフォームを構築することが、多面的モニタリングの一つの方向性として重要ではないかと感じました。
以上です。
【古米委員長】 小川委員、どうぞ。
【小川専門委員】 産業界からもひと言、発言させていただきたいと思います。
確かに良好な水環境ということで、今までの水質汚濁だけではなくて、景観なども非常に重要だなと考えてはいるのですけれども、第2回の自治体からの情報でもあったように、恐らく地域の住民の方からのネガティブな情報というのは、ほとんどが目視によるもので、泡立ちだとか、少し濁っているだとか、白濁しているだとか、そういう情報がたくさんあって、そういうものに対して、良好な水環境になっていないというような意見を持たれているのではないかなと思います。
また、例えばGoogleマップなどで河川の状況を見たり、河口付近を見ると、結構濁ったような写真が、今の技術だと簡単に確認できます。そうすると、我々産業界は当然法遵守ということで、きっちりそこは守ってやっているのですけれども、その濁りに対して、例えばSSが高いのではないか、SSをもっと下げたら良いのではないか等、そのように、逆に規制の強化につながるような話にまたなってしまうと、良好な水環境という今進めている話とは少し違う視点になるのではないかなというのを、少し危惧しているところです。
以上です。
【古米委員長】 それでは、石川委員、どうぞ。
【石川専門委員】 私、滋賀県の地方研究所の研究員をしているんですけれども、そういった立場から、これまでの水質資源の取組から、今後生態系とか景観であったりとか、経済活動など、これまでの取組が住民の納得いくような方向にモニタリングもなっていく、多面的な評価へと発展していくということに対して、非常に賛同しております。
さらに、地方自治体の問題として、今やはり予算の問題と、あと人材不足というのが非常に深刻な状態です。予算の面につきましては、こういった工夫をして、何とか捻出していただけるよう検討していただいているので、具体化に向けても心強く感じております。それプラスアルファとして、今後の人材育成、今いる人材は、なかなかこうした知識が十分あるわけではないので、そういった人材育成も考えていただけるとありがたいですし、あと生物の情報については地元のデータベース、先ほども幾つかご意見がありましたけれども、そういった連携についても考えていただきたいと思います。
私自身も琵琶湖のほうなんですけど、湖岸生態系のほうで健全性指標なんかの研究を参考にしながら進めているところなんですけれども、こういった中でも壁となっていくのが、やはりいざやろうとすると生物を実際どこまで対象にしたらいいのかというようなこととか、地域経済活動の捉え方とか、具体化に向けて整理すべき論点というのが非常に多いなというところで、なかなか難しいと痛感しているところでございます。
これらが地域のウェルビーイングにどう結びついていけるのか。特に指標というふうになっていくと、やはり目指すべき目標があって、そして保全活動とモニタリングというのはセットだというふうに思っているので、目指すべき目標というものをやはり作らなければいけない。でもそうなっていくと、例えばヨシ群落なんかでも、有効活用とか、そして産業的な立場から言うと、純群落みたいなものを求められていくんですけれども、やはり生物多様性の観点など、植生遷移が進んだ柳も混ざったような生物多様性の立場というので、ちょっと競合してしまうと。そういった判断なんかを地域に委ね過ぎると、どうしても逆に対立であったりとか混乱も生じかねません。なので、環境省としては、やはりそういったときの考え方というものをしっかり示していただけると、地元で検討が進めやすくなりますので、今後導入に当たっては、マニュアルなんかの整備などを進めていただいて、具体的なイメージを共有していただけると助かります。
以上です。
【古米委員長】 WEBの前田委員は追加でしょうか。
【前田専門委員】 すみません。大丈夫です。
【古米委員長】 それでは、内山委員。
【内山専門委員】 ありがとうございます。
スライドの13番で、調査内容「水環境健全性指標をベースに」と書かれている点について確認させて下さい。みずしるべというのは、定量的なデータをスコア化し、レーダーチャートを作成して点数をつけるような話だったと理解していますが、行財政、行政の指標に使うような定量的な指標というよりは、環境教育を始めとする普及活動などに使うような指標であって、行政側というよりは民間事業者の方々が使うような指標だと思います。それをベースに進めていくことの是非についてはやや疑問を感じる部分がございます。
ただ、多面的モニタリングは、前半で議論した良好な水環境創造のための評価システムの中で非常に大事なポイントですので、その点では大事だと思うのですけれども、制度設計の入口としてみずしるべから入るところに若干の違和感があります。それから、みずしるべの評価項目を見ると、明らかに河川とか陸水を意識したものであって、評価地点の中に海岸が入っていましたけれども、例えばさっきのスライドの17番のところをざっと見ると、海域で大事になるような指標がかなり抜けているとお見受けしました。海の場合は、まずは生物の生育環境としての底質の情報が必要ですし、あるいは環境の中から間引きを行う水産漁業の情報も大事ですし、そういったところがすぽっと抜けているので、横並びで川と海を議論するのは、ちょっとこれだと厳しいのかなと思いましたので、海は海のほうで少し再考していただいて、評価軸を少し検討していただけたらなと思います。以上2点、コメントでした。
【古米委員長】 ほかにいかがでしょうか。なければ事務局からお願いします。
【鈴木環境汚染対策室長】 たくさんのご意見をありがとうございました。
まず、加藤委員から最初にご質問がございましたスライド8のものとスライド9とかの関係ということで、これまでは特に制度としてやっていることはなくて、スライド8のものもこういう指標で、いろいろと水質以外も含めて調査してはどうかという一つの提案として出しているもので、こういうふうにやってくれというものではないです。なので、自治体は自治体でスライド9、10にあるようなことをお考えになって、それぞれやられているということですね。
今までは、まさに自治体さんのほうでも行政としてやっているところもあれば、最後、内山先生から教育的な観点、学習的な観点でやっているようなところもたくさん、むしろそちらのほうが多いかなと思っています。
最後の内山先生のみずしるべは、水環境学会のレーダーチャートで、3点満点で、「良い」、「悪い」、「普通」のように評価するというのは、まさに環境学習とかで利用するときは、こんな感じで子どもと一緒に水辺の調査をすることを提案しているのがみずしるべなのですが、実はこの学会の調査自体はもっと詳細版というのもありまして、今回は外しているんですが、詳細版ではアンモニアを測るとか、いろいろな指標でちゃんと測るようなバージョンを作っていまして、それを参考にして今回作っていますので、そういう意味では、みずしるべといって環境学習用にこうやってやろうよというものと詳細版と二つあるので、我々は詳細版の方をベースに考えているので、ちょっとその辺の説明が不足していて申し訳なかったのと、今回スライド17とかでお示しした指標は、先生のおっしゃるように、海はまだあまり検討できていなくて、やっぱり川を想定して作っているものです。海とか湖沼であれば、またちょっと変わったものが出てくるのかなと、それはこれから具体的な検討をしていく中で考えていきたいなと思っております。
それから、上西委員から、推進委員みたいな制度はどうかといったようなこと、大変貴重なご提案かなと思いましたので参考にしていきたいと思っています。
それから、上西委員、大久保委員からも効率化について、単純に減らすことはできないよね。そのとおりかなと思っていますけども、一方で、初回のこの小委員会でも少し議論がありましたけども、5,000か所とか7,000か所ということで、今のやり方でやっていくのが果たしていいのかという別の観点はやっぱりあるかなと思っていまして、もう少しやり方の部分で効率化できるものもあるのかなと思っていますし、例えば今、二十何物質ということで、かなり精度高く、0.01ppmまで測りましょうというのを7,000か所、毎月やっていますけど、もうちょっと効率的に汚濁を把握できるようなやり方もあるのかなと。そういったこととの組合せで全体を少し考えていくのかな。何か安全とか、水質の把握が不足するようなことを考えているんじゃなくて、もう少し効率性というのは何かできることがあるのかなというふうに思っております。
それから、個別指標、個別観点というのを鈴木委員からご意見をいただきました。そこもこれから具体化する中で考えていきたいと思います。指標という言葉の使い方を気をつけたいなと思いますけども、最初にご紹介した5ページの在り方検討会の報告書では、ある程度感覚的なものの指標とかというのもうまく取り入れてやっていってはどうかという提案もいただいているので、言葉をちゃんと使い分けながら、主観的な、感覚的なものも含めて、何かうまく制度が設計できたらいいなと思っています。
春日先生から、そういったところは行政の調査なのというところもありましたけども、やっぱりある程度民間で全部やってくださいといって、それが持続的にうまくいくのかというと、やっぱりある程度行政も関与していったほうがいいのかなと思っています。そこの役割分担とか指標の中身は、これから検討をしていきたいなと思っております。
あとは、地域のデータベースをうまく使うとか、いろいろご意見をいただきました。規制強化との関係は、あんまりそこまでは考えていなかったですけども、ご意見としては意識をしていきたいと思います。
以上です。
【古米委員長】 皆さん、よろしいでしょうか。
多面的なモニタリング自体は非常に重要性はあるんだけども、実際に誰がどのようにやるのかということと、大久保委員も言われていましたけども、これを何に生かすのかという活用のスキームみたいなものもお示しいただくと、どういうスタイルで設定したほうがいいのか、その設定により実施方法も変わりますので、再整理いただくといいかなと思いました。
ほかに特になければ。よろしいでしょうか。
(なし)
【古米委員長】 それでは、その他ということで、参考資料2、第10次水質総量削減の在り方について(概要)を事務局よりご説明をお願いいたします。
【清水海域環境対策推進官】 参考資料2について、事務局より説明をさせていただきます。
こちらの資料は、昨月17日の第19回水環境土壌農薬部会へもお出ししている資料となります。
2ページ目をご覧ください。
水質総量削減制度の対象水域である東京湾、伊勢湾、瀬戸内海におけるCOD、窒素、リンに係る汚濁負荷削減については、5年に一度見直しを行いながら進めてきており、第10次水質総量削減の在り方について、令和6年10月に諮問したところです。
諮問理由にあるとおり、対象水域の水質は全体として一定程度改善してきているものの、水質汚濁が課題となる海域が依然として存在をしている、一方では、一部の海域ですけれども、窒素、リンといった栄養塩類濃度が低いことによる生態系や水産資源への影響に対する懸念が指摘されている状況です。
こうしたことから、指定水域全体の水質を対象とした総量規制から、よりきめ細やかな海域の状況に応じた水環境管理への移行について審議を進めてきたところでございます。
審議の結果については、今月7日付で答申をいただいておりまして、3ページ目をご覧ください。
現状と課題については、今申し上げたとおりですけれども、真ん中のところで今後でございます。①として、栄養塩類管理制度を導入するということで、環境悪化のおそれがなく、地域ニーズがある場合は、栄養塩類管理計画の策定による栄養塩類の増加措置を可能とし、当該措置の実施者には総量規制基準を適用除外とすること。また、②としては総量削減制度の基本的な枠組を維持しまして、水質が悪化しないよう汚濁負荷などの総量を管理する方針が示されたところでございます。
こちらの答申で、例えばどのような点が変更になるのかというところでございますけれども、4ページ目をご覧ください。
上側が現状の水質総量削減制度、下側が今後の水質総量管理制度となってございますけれども、現状の制度ですと、目標量については現状を維持する、もしくは削減をするということでございました。一方で、下側ですけれども、今後については海域の状況等に応じて、目標量を増加させる場合もあるということでございます。
続きまして、5ページ目ですが、答申で示された幾つかの課題についてお示しをしてございます。第10次水質総量削減の実施において対応すべき課題としては、制度の運用として順応的管理のための事前評価に係る支援や、モニタリングの充実、汚濁負荷量把握や水質予測モデルに関する調査研究の実施等が掲げられたところでございます。
最後に、6ページ目でございますけれども、総量の答申を踏まえた上で進め方でございます。
左側と右側の二つのトラックに分かれておりまして、左側のトラックでは、答申を踏まえまして、海域ごとのきめ細やかな水環境管理に向けて、海域の状況等に応じた目標量を設定するなど、答申の内容を総量削減基本方針に反映させまして、都府県による総量削減計画の策定を支援していくこと等を書いてございます。
また、右側のトラックですけれども、こうした総量の答申で取りまとめられた総量管理制度への転換につきましては、この水環境制度小委員会へもインプットの上、今後の検討を進めていきたいということで、ただいま説明をさせていただいたところでございます。
事務局からの説明は以上となります。
【古米委員長】 どうもご説明ありがとうございました。
もしご質問等があればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
もし、全体を通じて何かご発言があれば、さらにお伺いしたいと思いますがよろしいでしょうか。
内山委員。
【内山専門委員】 全体でよろしいですか。
今日の議論を通じて強く感じたのですけれども、トップダウンからボトムアップへの行政転換、政策転換が行われている流れで議論を進めているわけですが、西嶋先生がご指摘されていたように、ボトムアップ型だけでやると、地域地域の環境がどうあるべきかというビジョンがうまく見えないという問題点が想定されます。過去3回の議論を通じてかなり明らかになってきたのは、やはり国として良好な水環境というのはどういうものなのかというビジョンを持っておいたほうがいいんじゃないかなと強く思いましたので、国としてどのような水環境を目指すかということの指針とか方針みたいなものを盛り込んでいったほうがいいのではないかと思いました。
というのも、里海づくりをやっている中で、KGIを設定してください、Key Goal Indicatorの略語ですが、要はこの海をどうしたいのかというのを各実施団体の人たちに、将来的なビジョンを立ててもらっています。逆にいうと、では環境省のKGIが何であるのか、と問われたときに、現時点ではそれが十分に明確になっていないので、我々は事業者の方に求めていることを環境省にも求めていかなくてはばいけないんじゃないかと思いました。
最後、コメントです。
【古米委員長】 事務局、何か。
【鈴木環境汚染対策室長】 大変重いご指摘かなと思いますが、確かになと思って聞いていましたので、ちょっと考えていきたいと思います。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。
(なし)
【古米委員長】 それでは、本日の予定の議題は終わりましたので、事務局でいろいろご意見を踏まえて検討いただければと思います。
それでは、今日の審議は終了して、議事進行を事務局にお返しします。
【嶋田主査】 本日は委員の皆さんにおかれましては、大変ご活発なご審議をいただきまして、大変ありがとうございました。
古米委員長からもありましたけど、今回いただいた意見等を整理して、次回以降、各論点の議論を深めていきたいと考えています。次回の日程については、追ってご案内いたします。
また、今回の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様の確認を経て、環境省のウェブページで掲載いたしますので、ご対応のほうをよろしくお願いいたします。
では、以上をもちまして、本日の水環境制度小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。
午前11時58分閉会
【嶋田主査】 では、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会水環境制度小委員会を開催いたします。
委員の皆様には、ご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の委員会は、委員総数16名のうち13名ご出席で、浅見委員、皆川委員、和田委員がご欠席の予定で、星野委員が少し遅れての参加となります。定足数の要件を満たしており、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。
また、WEBを併用した開催であり、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信しております。
それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。議事次第の配付資料一覧をご覧ください。
資料1、資料2-1、資料2-2、資料3、参考資料1、参考資料2、また委員名簿を配付しておりますので、不足等がありましたら事務局までお申出ください。なお、これらの資料及び本委員会は、運営規則等に基づき、公開とさせていただきます。
それでは、これより議事に移りたいと思います。古米委員長に議事進行をお願いいたします。古米委員長、よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 それでは、早速ですけれども議事に入りたいと思います。
本日の議題は、まず良好な水環境の創出に向けた対応についてということで、資料1、資料2-1、資料2-2について、事務局よりご説明いただきます。その後、質疑の時間を取りまして、ひと通りご意見をいただきたいと思っております。次の議題は、多面的な水環境モニタリングについてです。資料3について、事務局より説明いただいた後、同様に質疑の時間を設けます。最後にその他の議題として、参考資料2について説明をいただくという予定になっております。
それでは、資料1、資料2-1、2-2について、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。
【森川環境創造室長】 環境省の水・大気環境局環境創造室長を務めております森川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうから、資料1、2-1、2-2、三つの資料をまとめてご説明を差し上げます。
まず、資料1をご覧いただければと思います。良好な水環境の創出に向けた水環境制度の展開についてとしておりまして、一部おさらい等も入っておりますが、改めてご確認いただければと存じます。
右下にスライド番号がございます。
2ページ目、今後の水環境制度の展開についての基本的な考え方。
これもこれまで何度かご説明しておりますが、多くの各主体の取組によって、水質は概ね改善し、環境基準の達成率は高いという状況ではございますが、残された水環境の課題というものがございます。下の図で左側、残された水環境の課題として言われておりますのが、生物多様性への対応、CODの下げ止まり、底層DO、水産資源、栄養塩類の不足、また住民の満足度との乖離といったようなものが水環境の課題として現状言われてございます。ここまでに至ることになったのは、先ほど申し上げたとおり環境基準と、かつて水環境の課題であった水質汚濁というものに、多くの皆様に取り組んできていただいたおかげとして、その上で、今ある課題として挙げられているものでございます。
今後の展開でございますが、第6次環境基本計画の視点でも取り上げられている、人々のウェルビーイングの向上、あと地域活性化、良好な環境の創出をしていくというような三つの観点を踏まえて、水環境制度としても今後の取組をベースとしつつ、多面的な観点から水環境を把握していくと。また、水環境の保全というものに加えて、活用という観点も重要ではないかということで、今後の望ましい水環境を目指していければというふうに思っております。ちょっと順番が逆でございますが、こちらが本日の議題の1と2という形になります。
次のスライドをご覧ください。3ページ目です。
日本の水環境における課題等の状況として、①~④で項目を整理しております。
一つ目の前段部分については、今スライド2で申し上げた豊かな水環境の実現ができていないと。また、それを実現していく上でも、また、保全を継続していく上でも、現場においての担い手不足、また、活動資金が不足しているという点でございます。
一方で、水環境というものは地域の文化や生活を形づくってきたものであると。生活の基盤という観点で見ると、地方活性化、地域活性化へのソリューションとして、観光や地場産業の創出など、水環境の利活用に取り組む地域というものも増えてきているという状況がございます。一方で、その取組は限定的であるということでございます。
我が国全体の状況を見ると、内閣官房が推進する取組においても、地場産業の成長を強力に後押しするという取組が重要戦略となっており、各地の水環境の利活用を推進するということは、住民の豊かさ・満足度の向上への寄与、また、観光や地場産業の強化を含めた地域経済発展の好循環をもたらすことが可能であるというふうに考えております。そのような状況があるので、そういったことに取り組む地域が増えてきてはいるという状況かなと思います。
一方で、この分野に限らず指摘されていることとして、過度な水環境の利用というものは水質、景観などの悪化を招くおそれがあると、水環境の活用を継続していく観点から、保全の取組も併せて行うことが重要であると考えております。
4ページ目をご覧ください。
今申し上げた①~④の観点について、背景となる情報を整理しております。
まず、これまでの水質は一定程度改善したところがある一方で、豊かな水環境は実現できていないという点についてでございます。
4ページ目の下の図の左側、水環境に関する世論調査において、これはちょっと前の情報になりますが、行政に力を入れてほしいこととして、「水環境の保全と整備」というものが、やはり上位に挙げられております。一定程度のニーズはあると。近年、2年前に内閣府の世論調査においてアンケートを取ったところ、身近な環境に関するものとしてどのような改善策を期待するかということで、「水質汚濁の改善」「散乱ごみの対策」「緑や生き物の豊かさ」というものを国民の皆様は望んでいるということも一定程度分かっております。また、現状の水環境について、「特に改善が必要と思わない」というところについては、非常に少ない数値となっていて、一定程度改善してきた状況はあるとはいえ、普段の生活において自分の豊かさをより向上させるような何かを求めているということが、この数値からも分かるかなと思います。
次のスライドをお願いします。5ページ目です。
利活用の取組が増えてきてはいるものの、その取組は限定的という状況について、保全や管理の不足により満足度が低下してきているという状況もございます。その価値というものがその場所では、かつてから認識されているものの、それを活用して、また、それを地域のウェルビーイングの向上につなげていくという視点での活用というものが限定的な状況があるかなというふうに思っています。高齢化等により管理不足になった水環境については、安心・安全の確保についても影響を及ぼす可能性もあります。
右下の日本地図でございますが、国土の大多数は、要は保護地域となっていないエリアが多くて、そういった場所が普段の生活の場になっていると。そこにも良好な水環境というものはあって、その地域の歴史文化をつくってきたものがありますが、その取組というものは一部の目立つ取組に限定されておりまして、また、多くの地域で取り組んでいく可能性を秘めているものであるということをご紹介しております。
次のスライドをお願いします。
我が国全体としても、地域の活性化をしていくというのが重要な戦略となっているところ、各地の水環境を推進すること自体は住民の豊かさ・満足度の向上の寄与、観光、地場産業の強化を含めた好循環をもたらすことが可能であると。
こちらにご紹介しているのは、第2回の小委員会でご紹介した事例でございます。富山県の氷見市の事例でございますが、このように地域の中で、水環境というものは身近であり、これまでは遊び場だったり、そこで生活をしていくというふうに多くの形で触れ合っていくものであったところ、現在、そこのふれあい、普段の生活との接点というものがなくなってきておりますが、それをもう一度見いだして、その地域のアイデンティティをもう一度向上させようという取組が、各地で少ないながらも行われるようになってきております。それを地域経済活性化にも発展させていきたいというものでございます。
7ページ目をご覧ください。
一方で、過度な利用は問題が生じる場合もあるということで、人が多く利用し過ぎると、それによるごみ問題であったり、また、当然もともと地域の方々が、地域の歴史文化を形づくるものとなってきたところに、これまでは想定していなかった地域外の方々が入られることによって、そこのハレーションを起こす可能性があると。そういう意味では、保全の取組と併せて、それも意識しながら、過度な利用に偏らないような取組を進めていくことが重要であると思っております。
最後、8ページ目です。
第1回小委員会の場でもご紹介したものでございますが、昭和から令和にかけて、課題の変遷が起きているものを踏まえ、良好な水環境の保全と活用を促進する制度、また、水環境の多面的なモニタリングを進めていくための制度について、本小委員会で検討を進めていければと思っております。
資料1については以上となります。こちらは冒頭で申し上げたとおり、少しおさらい的な要素がございます。
続いて、資料2に入ります。まず資料2-1をご覧ください。
こちらは、本日の議題の一つ目、保全と活用を促進する制度に向けた検討の部分に関する資料2-1と2-2になります。
まず、資料2-1でございます。これまで、どのような形で水環境の保全と活用に関する取組を進めてきたということについて、ご紹介しております。
スライド2では、昭和の名水・平成の名水の選定、また、ねらいについて整理しております。
環境省では、昭和60年に「名水百選」、平成20年に「平成の名水百選」として、合計200の名水を選定してきております。それぞれの目的、認定基準については下表に示すとおりになっておりまして、水質保全・行政の進展、また、水環境保全の一層の推進というものをそれぞれ図ることを目的としております。その選定の間、それぞれ20年強の期間を経ておりまして、水環境に関する地域の課題だったり、行政政策上の課題も移り変わっている中で、少々目的は変わっているというところがポイントになるかなと思っております。
3ページ目、選定した名水百選については、「名水百選ポータルサイト」を設置することで、国民の皆様に分かりやすく名水百選の立地、またそれぞれの名水百選の概要というものをご紹介しております。また、名水百選の選定から一定程度期間がたったタイミングで、「名水百選選抜総選挙」というものを行っております。こちらはスライドにもございますが、「観光地」「秘境」「景観」「おいしさ」という4部門について、それぞれ選挙の対象になる名水としてエントリーをいただいたところを対象に選挙を実施しているものになります。
また、環境省ではない取組として、全国水環境保全市町村連絡協議会というものが名水百選を有する自治体等で構成されておりまして、そちらの協議会が主催となって、名水サミットというものが現在でも開催されております。
4ページ目をご覧ください。昭和の名水・平成の名水の現状の課題でございます。
名水百選等に選定された場所については、これは委員の皆様もよくご存じと思いますが、多くの地域で観光スポットとして利用され、不特定多数の方に利用される場所となっております。引き続き地元の方もしっかり活用しながら、その場所に愛着を持っていただきながら名水百選として愛されている場所もあれば、地元から疎遠となってしまった場所というものもございます。活用されている場所であっても、日常的に利用されている人との対立が問題となっている場合があるという状況です。
こちらの下の図でございますが、観光地となったことで資源が大衆化し、地元住民の日常的な管理がなくなってしまっていること、また、過度な活用によって、資源として活用して、その分利益は得ているかもしれませんが、地域住民の生活だったり、普段の活用においても支障が出てしまっている場合があるという事例が出ております。
次のページをご覧ください。5ページ目です。
そういった状況を踏まえて、また、良好な水環境を保全・活用していこうという取組の機運の高まりも受けて、現在、環境省では良好な環境の創出・活用推進事業というものを実施しております。詳細は次のページから述べますが、モデル事業として実施しておりまして、モデル事業として実施される団体さんに対し資金的な援助、また伴走支援、その地域の保全と活用にとりわけ関連する有識者の方によるコーチング等を行うことで、先ほど来、申し上げている課題と、また、保全と活用の取組がどのような形であれば、一層現場において進められて地域活性化等にもつなげることができるのかという点を整理、把握し、全国展開に進めていくために行っているものとなります。
6ページ目をご覧ください。
これは令和4年度から実施している実績を、ちょっと実施場所まで含めて日本地図上に落としてはいないのでその点は分かりづらいんですが、これだけの取組を団体さんと一緒に地域の良好な環境の保全と活用の取組を進めております。大きく分けると三つございまして、淡水域における水環境の保全と活用の取組を推進する事業。沿岸域、要は海水、海洋ですね。海域環境における保全と活用の取組を進める事業。また、もう既にいい環境がある場所を活用して、観光というツールに特化して活用を進めていく事業と、大きくこの三つの色で分けております。これらの取組を全国各地の団体さんに応募いただいて、その中から環境省としてモデル性等を考慮して選定させていただき、それぞれ年度ごとに実施をしております。
7ページ目以降で、個別の取組を少々お時間の許す範囲内でご紹介していければと思っております。
まず、長野県大町市における取組でございます。「水が生まれる信濃おおまち」サステナブル・タウン推進事業という名称で、この大町市においては取組を進めていただきました。令和5年度の取組になります。
北アルプスを源とする場所に大町市は立地しておりまして、豊富な水資源を有しております。SDGs未来都市の設定を契機に、地域としても水による地域ブランド振興に取り組んでいくというような状況でございました。
地域課題として、市民の多くが水を当たり前に思っているということがあって、地域資源を活用するという価値の観点が不十分であったと。今後、その価値を改めて自分たちも認識して、外に発信していくことを通して、県外の多くの方々に認知をしていただきたいというのが、この事業の目的でございました。
取り組まれた内容は、水資源情報のデジタルアーカイブ化、SDGs探究学習プログラムの磨き上げ、そういったものを運用していくファシリテーション人材の養成、また、水の価値というものを地域の中で再発見していくための見える化というものを、有識者のアドバイス、助言もいただきながら整理したというものになります。この事業は1年間でございましたが、それぞれ1年を通して、地域の方も、我々環境省も一緒になって取組が進められて、一定程度の取組自体は行われたかなと思っています。
ただ、このタイミングとしての課題として挙げられているのが、ホームページやSNSの情報発信や水スポット整備等の活用だったり、修学旅行だけでなく林間学校などの学校行事にも拡大していくという観点。また、地下水観測に対する専門家による評価の実施をしたものの、安定的な利用に向けた地下水保全取組の推進につなげていくというところが課題として、この令和5年度の時点では挙げられております。
次に8ページ目は、同じく長野県でございますが、長野県小海町の取組です。こちらの実施団体は、民間企業、さとゆめさんというところが主体になって、地域の自治体だったり関連企業等と連携をしながら、取組を進めていただきました。
八ヶ岳連峰の裾野においても、やはり水資源が豊富であるということで、ここで持続可能な地域づくりの観点から、観光という点に特に意識した形で地域の魅力を創造していく、事業を進めていくと。軽井沢や八ヶ岳観光全体の中では、通過地になりがちな小海町だったり、また、多面的な魅力を発信はできていないと、高齢化による湧水地等の担い手不足というものが課題として挙げられている中で、モニターツアーの実証、また、モニターツアーを踏まえた体験型ツアーの造成、またその魅力を伝えていくPRツールの制作、地域の方々と一緒になった体験型のワークショップ・セミナーを開催、また、担い手づくりが課題に対する点について、その担い手づくりに向けた意見交換等について取組も進めました。
このタイミングの課題としては、なかなかツアーをつくるとかセミナーを開催するという点は、まず第一歩としてあるものの、それを展開していくという点だったり、保全活動を活性化していく、また、ある特定の地域に特化したものではあったんですが、小海町全体に拡張していくという点が課題として挙げられておりました。
9ページ目をご覧ください。今の2事例について、モデル事業を実施後の展開でございます。
この2地域の取組について、実施後においても、その後、地域の中でこのモデル事業の実施を契機に発展・自走していくなどの地域づくりに対する貢献などの成果が出ております。大町市については、県外からの修学旅行の誘致拡大、デジタル資源アーカイブ化を基に、周遊型WEBサービスの新規開発、特産品の開発。また、小海町、さとゆめさんの取組においては、民間企業支援の新規獲得であったり、自然資源を活用した商品化についての検討も始まっているという形で、モデル事業が契機になって地域の取組がより進んでいるというものです。我々として、全国展開を進めるためのモデルケースをつくっていくというのも環境省の目的でございましたが、地域においてもこの取組がきっかけとなって、次につながっているというような効果が出ているかなと思っております。
次の10ページ目以降の事例は、里海の事例になります。和歌山県田辺市における新庄漁業協同組合さんの取組でございます。
国立公園の一部になってはいるものの、やはり地域の中での担い手不足であったり、魅力の向上を上げていく。また、ヒロメという海藻について、その生育不良というものが見られるという状況がございました。藻場の造成、自然資源としての生物調査、また、エコツアーの開発、好循環形成ビジョンの検討といったものの取組を進めていただいております。今後の課題としても、連携体制や資金の確保につなげる新たな取組の展開を進めていくというものが課題として挙げられております。
11ページ目については、北海道函館市において、株式会社WMIさんというところに進めていただいた事業になります。
こちらはコンブをベースにした取組でございまして、天然藻場再生に向けた活動、環境適応型藻場づくり、地域コミュニティとの連携といった取組を進めていただいておりまして、単年度の事業としては一定程度の成果を得たものの、次の展開、プログラム化を目指す地域産業への創出につなげるといったところが課題として挙げられておりました。
12ページ目をご覧ください。
今ご紹介した新庄漁協、株式会社WMIさんの取組についても、この当モデル事業がきっかけとなって、民間企業の資金獲得だったり、生物多様性保全の価値の視覚化、また、大手企業と連携したヘアケア用品やコンビニ商品への活用、大規模イベントでの普及啓発等の取組への展開が進められております。
13ページ目をご覧ください。こちら、里海づくりの取組についてですが、こちらについては、とりわけこの点に特化した形で、今後どのような形で里海づくりの取組を進めていけばよいかといったような提言をまとめております。
真ん中にございますが、理念と指針として保全の観点、また、保全のみではなく利活用も併せて進めていくと。そして、好循環を形成する。また、それらの取組を進めていく上では、地域の関係者だけではなく、多様な主体の参加と連携が必要ではないかというものを整理したものでございます。
14ページ目をご覧ください。
里海づくりの手引書というものも、それに併せて今改訂をしておりまして、近日中に改訂版の手引書を整理していく予定にしております。KPI等もちゃんと目標・目的を設定することで、順応的な管理を進めていくというところを整理したものになります。
15ページ目は、こちらも里海づくりになりますが、関係団体等との連携を強化することで、環境省以外の者による地域の里海づくりの支援の充実に向けた動きも出てきております。
16ページ目をご覧ください。
こちらは水環境に特化したものではございませんが、タイトルは「水辺の環境活動プラットフォーム」として、主に水環境をターゲットにした地域関係者の情報共有・収集・交流、つながりの促進等を目的とした取組も進めております。現在、600を超える方に参加をいただいておりまして、この場を通じて、多くの地域の皆様がつながり合ったり、知見を共有したり、課題を共有したりみたいなことで、それぞれの地域の個別課題の取組にいかしていただければと思っております。
17ページ目では、関連したものとして、シンポジウム等も開催しているというものをご紹介しております。
18ページ目では、また、こちらも関連するものですが、地域の良好な環境の取組を推進している事例の紹介であったり、モデル事業の取組の紹介等を、SNS等を活用して広く発信するという取組も昨年から開始しております。
19ページ目、20ページ目には、良好な環境モデル事業等を実施してきたものを踏まえた課題を整理しております。
こちら、19ページ目に記載しておりますのは、前回第2回小委員会のヒアリングでいただいたご指摘でございます。長期的な視点での取組の計画を検討する必要がある。また、調整が円滑に進められるような制度的な裏づけが必要。個別団体の努力だけでは継続は難しい。水環境の課題は省庁間・部局間にまたがっており、横串を通す形での整理が必要。計画を策定していくことで、関係者の行動を促進しやすくなるということであったり、また、支援の枠組みに結びつけられれば、民間側も参画が容易になる。地域団体が持つ現場の活動力と行政とで相互に補完しながら、取組の認知と参加を進めていくことが必要である。また、取組が分散しないよう計画等が傘として機能することが重要で、多様な課題を丁寧に把握し、制度や計画に反映できる仕組みを設けることが必要といったような指摘、コメントが前回の第2回小委員会のヒアリングの場ではあったかなと考えております。
20ページ目では、こちらは当室が実施しておりますモデル事業の実施団体の皆様から、個別のヒアリングによっていただいている指摘・課題についてです。制度が重層的で、やはり分かりづらい点。また、管轄省庁・自治体が多岐にわたっている。キーパーソン依存になりがちと、地域の取組はそうなりがちである。活動のサイクルと事業の時間軸が不一致。単年度事業では、なかなか開発後の実行フェーズへの支援が手薄になってしまう。また、広域化で急激に複雑化をしている。管理主体による手続負担に大きな差があったり、行政にもオブザーバー的に関与してもらうことで、基礎自治体のコミットメントが事業の成否を左右するのではないか。国の事業としてのお墨つきが対外的信用力として重要なのではないか。継続的な補助・技術支援が必要だったり、ネットワークづくり、中間支援組織との接続、国の立場での発信による多様な企業の関心を集めることが重要なのではないかと。情報発信、企業マッチングの場、成果の全国発信・横展開等が求められるというような指摘をいただいております。
資料2-1において、これまでの取組を整理しまして、資料2-2をご覧ください。
こちらで本日ご議論いただきたい事項として、2ページにまとめております。
まずスライド2ですが、今ご紹介したこれまでの取組であったり、前回のヒアリング、これまでのモデル事業実施団体さんからのヒアリング等も踏まえて、今後の水環境の保全と活用を進めていく上での方向性について、2ページ目で整理しております。
今後、目指していく良好な水環境の保全と活用の将来像の実現に向けては、持続性の確保、質の向上、横展開というような三つの軸というものが必要なのではないかということで、三つの視点の関係として、まず個別の取組について、その持続性を確保し、取組そのものの質の向上を図る、その2本軸で進めていって、そのような個々の取組を全国各地で実施されるような取組、いわゆる横展開といったものをしていくといったような関係で、この三つが今後目指していく良好な水環境の保全と活用の将来像として重要なのではないかというふうにご提案させていただいております。
3ページ目では、その将来像の実現に向けた課題と対応策として、1スライドに整理しております。将来像の実現のための個別の取組の持続性の確保、質の向上に向けては、様々な課題というものが指摘されておりました。そのための対応が当然必要となります。対応策として、地域の取組支援、情報共有等の促進、取組の評価等、この3本が大きな枠組みとして挙げられるのではないかというふうに考えております。指摘されている課題の概要については、先ほど資料2-1の最後の2スライドでご紹介したものを概略としてまとめておりますので、ここでのご説明は割愛します。
課題対応策の例として、今申し上げた地域の取組支援、一番右側に情報共有等、また取組の評価と、この三つが大きな分類になるのではないかということで、一番左側の取組支援については、好事例の創出するという観点で技術的な支援、また財政的な支援。情報共有等については、横連携を促進していくという観点、マッチングの創出、それを進めるための普及啓発と。また、取組の評価としては、先ほどの課題の中で国のお墨つきみたいな話があったことも踏まえて、地域の取組を評価すると、取組の認定という観点の項目を挙げさせていただいております。
本日の小委員会では、まず2ページ目のスライドであった良好な水環境の保全と活用に向けた方向性について、また、この方向性の是非だったり、足りない点、抜けている点について、ぜひ委員の皆様からご意見をいただければというふうに思っております。また、横展開に向けての個別の取組の推進のための課題対応策として挙げている点、例示策として挙げているものの是非、また、こちらについても足りない点についてご意見をいただき、全体を通してご審議いただければと思っております。
以上で資料2-2までの説明を終わりたいと思います。
【古米委員長】 ご説明どうもありがとうございました。
今後の良好な水環境の創出と、それをどう活用して保全をしていくのかというような方向性について、過去、あるいは具体的な取組についてお話しいただきました。ここは水環境制度小委員会ですので、制度を意識した形で、今回の推進の方向性であるとか、横展開のための課題の抽出であるとか、それに対する解決策ということについて、皆様からご意見をいただきたいと思います。もちろん、今回の説明に関するご質問も一緒にお受けしたいと思います。WEB参加の方は、挙手ボタンでお知らせいただければと思います。それでは、いかがでしょうか。
内山委員、どうぞ。
【内山専門委員】 ご説明ありがとうございました。内山でございます。
まず、方向性についてどう考えるか、議論のポイントが示されましたので、その点をお話しさせていただきたいと思います。私は主に里海づくりの関係で関連していますけれども、全体的な方向性には非常に強く賛同いたします。前回の2回の委員会、また、今日のご説明の中でもありましたように、これまで水質汚濁防止法などを通じて総量規制がなされてきて、水質基準はかなり達成できているというところがベースにあります。例えば閉鎖性の内湾域ですと、全窒素とか全リンが経年的に低下していて、環境基準は大きくクリアしています。CODなども非常に良好な数値になっています。ただ一方で、漁獲量が減っているとか、あるいは海水よりも少し遅れて、底質、海底に吸着した化学物質や栄養塩類が長期間にわたって海域に滞留して、その結果、栄養塩が継続的に海水へ戻っていっているという状況にあります。それに合わせて、底層DOや溶存酸素の環境が悪くなって、それらが原因の一つとなって漁業の停滞につながっています。それに加えて、気候変動の問題もあって、海水温がずっと上昇することによって、海域の生物種が変わっているという報告もあります。つまり、水質だけではなかなか議論できないという局面に来ているのは間違いないと思います。
その中で、それらの問題をどのように解決していくかということが次の課題になっております。生物多様性、生物の豊かさとか水辺の魅力とか水産資源、そういったものを地域の実感として豊かな水環境といえるまでには十分に回復していないという現実があります。それに対して、どう環境省がコミットしていくかという大枠を示されたということですので、方向性としては大変賛同するところです。
里海の現場では保全だけではなくて、保全はもちろん大事ですけれども、先ほどご説明がありましたように、教育とか環境とか、漁業とか企業とのマッチングを通じて、その海域を保全していく人材をどう育てていくか、資金をどう集めていくか、関心をいかに継続して持っていただくかという、保全活動にフィードバックしていく好循環が大変重要になっていると実感しています。その意味では、資料2-2の中で述べられていました持続性の確保とか、質の向上とか横展開という課題整理は、非常に妥当な方向性であると思います。ただし、水環境の専門家から言わせていただくと、オーバーツーリズムの問題等からも想定できるように、名水事業のほうでも問題になっているというご報告もありましたが、活用面があまりにも先行してしまうと、そもそもの良好な水環境の基盤が損なわれるケースもありますので、あくまでも、良好な水環境の保全を考えるときには保全や再生を土台とし、それらをまずベースにして活用方針を考えていくということを明確にしていくということが大事だと考えます。良好な水環境から得られる果実を搾取するのではなくて、持続的に利用するとか、育てて守っていくという視点が非常に重要になります。途中でお話がありましたけれども、例えば地場の特産品を商品化したとか、修学旅行の誘致に成功したから、それでオーケーということではなくて、そこから得られた知見であるとか資金、あるいは人材を保全活動に再投資して、さらによくしていくというような好循環のサイクルを回していくということが大変大事だと考えます。
まず方向性について、ご意見を申し上げました。以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございます。
それでは、WEB参加の大久保委員、どうぞ。
【大久保臨時委員】 ご説明ありがとうございます。
方向性に関しましては、異論ありません。特に資料1で指摘されていましたように、既存の環境保全エリア以外の地域のアイデンティティにとって重要な場をどのように保全・活用していくかということは、ネイチャーポジティブの観点からも、持続性の観点からも大変重要なことであると考えております。
その上で資料2‐1では、多様な主体の参画でありますとか、ビジョン、計画の重要性でありますとか、各種の課題が適切に整理されていると思います。
問題は資料2-2であるわけですけれども、資料2-1で整理された課題、また資料2-2の2ページ目で整理された課題と、3ページ目が十分に対応した内容になっているかどうかというところが私の関心でございます。課題対応策というのは例ですから、これから足していくということだと思いますので、ここに上がっているものの中でこれが要らないという部分はないのですけれども、考えるべき視点としては、まず全体の傘となるような計画であるとか、ビジョンの策定といったことです。これについては、対応策の例に挙がっておりませんが、共通の認識を持つ、あるいは各取組みの意義を全体像にきちんと位置づけていくためにはビジョン、あるいは総合的な計画を多様な主体の参画を得ながら誰がどのような手続で定めていくのか、あるいはそうしたビジョンの在り方といったことは重要だと思いますので、具体的に検討すべき項目であると思います。
ただ、恐らくはこれが対策の例に挙がっていないのは、これが水部局だけ、あるいは環境省だけによるものではなく、既存の水循環基本法とか、あるいは河川であれば淀川をはじめとした流域委員会、環境保全委員会、河川協力団体といったような様々な組織や活動があり、環境省以外の省庁との連携をどのようにしていくかということがあるからではないかと推測いたします。
また、環境省の中で見ましても、例えば、多様な主体の参画による生物多様性の増進ということであれば、地域における生物多様性増進活動促進法のような法律もございますので、そういったものの拡張で十分であるのか、あるいは、そこでは不十分な何らかの問題があるのかといったような観点で、全体の見通し・ビジョンをイメージして議論するということが重要であると思います。ただ、特に省庁間連携に関しては課題があるということも認識した上で、実効的な施策として何ができるかを考える必要があります。また、制度を具体化するに当たっては、既存の現在の水濁法の目的そのものを広げる形で水濁法の名称を変えるということもありうるのか、という課題もあります。全体的な法体系の役割分担の中で水濁法は水濁法で、どのようにほかの法律と連携し合っていくのかといったような、水の中でも環境省所管部門の連携、あるいは役割分担の在り方も問題となるかと思います。それが第1点です。
それから2点目は、1点目と関係いたしますが、手続が複雑であったり、あるいは、その手続の負担がかかるということがございました。計画等の認定制度だけであれば、既存の法律にもいろいろなものがございますので、そうした中で認定制度を新たに設けるのだとすれば、既存の制度で何が足りず、どのような認定制度が求められているのかというところも重要であると思います。既存制度は結構手続が重いと思いますけれども、活動の内容によってはシンプルで、ある意味、認定ではなく登録制度でも足り、単に活動をしやすくなるようにすればよいというものもあれば、大小様々な政策に関わってくるものもある。そういう認定のレベル化といいますか類型化、シンプルなのか、それからやや重い手続は必要だけれども、やれることも許認可に係ることも含めて多いといったように、少し手続をレベル化、類型化するということが必要で、今回目指すものを既存の認定制度に準じたものにするのもありだと思いますが、よりシンプルなものを目指すこともありかと思います。
それから最後はオープン性ということで、地域の課題に対してはきちんと組織された団体が行っている活動もあれば、個人プラスアルファで自由に清掃活動や草刈りのような、いろいろな下支えとなる、あるいは、日常生活に関わる活動があって、この認定というものがほかのものを排除・委縮させるということのないように、オープン性というものが必要であると思います。そうした観点ではやはり全体のビジョンがあって、それに即した役割を端的に果たしているものについては、認定の有無にかかわらず促進していくということが確保されるのがよい。一言で言うと、全体のビジョン、それから関係行政機関との連携をどうするかという観点をもう少し正面に出して、正面から考える必要があるのではないかというのが私の意見でございます。
以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、加藤委員、どうぞ。
【加藤臨時委員】 ありがとうございます。和歌山大学、加藤でございます。ご説明いただきまして、ありがとうございます。
まず、水の質が多分ある程度担保されて、産業、観光、教育、景観の維持、地域内連携、産業とのマッチング、連携というような新しいポテンシャルが生まれてきているということは非常に喜ばしいのではないかなと、この方向性については私も強く賛同をいたします。それが制度的なことを考えていくとなると、やはり分野横断的な大きな傘となってくるのかと思いますので、非常にチャレンジングでもあり、なかなか責任の重いことでもあるなというふうに期待はしているところであります。
そのように、いろいろな裾野を広げていくことが、実はそれが横展開と考えることもできるのかなと思います。横展開というと、ある事業がモデルとなって、他も倣ってやっていくという意味合いがあると思いますが、裾野が広がり、多様な人が育っていくことも重要な横展開の要素ではないのかと思っております。
これまでの事業では、事業として手を挙げられた方が対象になってきているとは思います。その方々というのは保全と活用ということは、ある程度認識をされている方だと思いますが、そうではない方であっても、一般市民の方となるとは思いますが、良好な環境の保全では非常に重要であると思います。それがある意味、総合的な意味での生活の質の向上につながっているというところ、それが資源の節約や効率化、また、防災や安全というような意味合いも含めて、総合的な生活の質、豊かさ、それをウェルビーイングというのだと思いますが、それにつながっているのだというところも強調されるといいと思います。
また、事業は地域の自治体さんがまとめているということが多いかと思いますが、観光だけには限りませんけれども、いろいろな意味で、事業者さんが地域に貢献していくというところは今求められているところだと思います。責任ある事業、エシカルな事業、サステナブルな事業というところで企業価値を高めていくという、そういう意味合いもあるというところも強調できると思います。また、これらいろいろな事業に携わる方々のリーダーシップというものも、やはり地域での教育や、キャパシティーを上げていくというような人材育成的な意味もあると思いますので、それも先ほども申し上げたような横展開という考え方でよろしいと思います。
また、制度的なことで、認証制度なども含めてというご計画であると思いますが、先ほど内山委員もおっしゃったように、やはり最終的には、環境の向上につながるものであるというところが示される、または検証する仕組みがあることは、環境省事業として一番重要なところであると思います。ただ、そこで定性的な要素も含めた総合的な価値判断の仕組みが培われていくことが重要であると思います。認証制度ということを考えますと、当然ですが、それは質保証の枠組みであって、継続した成長というものを支えていくものである。単なるラベルとかブランドではないというようなところが非常に重要であると思います。1回認定されると、それで終わりということではないという、中長期的なビジョンに基づいた制度というのが必要になってくると思います。また、認証制度は、誰が認証するのであるか、第三者的な客観的な認証団体が必要になってくるのか、国際認証との連携はどうなっていくのかというような、そういういろいろな細かい議論というのは今後なされるのかなと思いますが、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、保全への還元、活用が環境の保全にどれくらいのポジティブ、ネガティブ、インパクトを与えているのかというところがきちんと担保される、測れるということ、そのような制度が今後必要になってくると思っております。
私からは、ひとまず以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
それでは、WEB参加の前田委員、お願いいたします。
【前田専門委員】 おはようございます。ご説明ありがとうございます。また、本日は貴重な機会をいただきありがとうございます。
それでは、自治体の現場に携わる立場から、良好な水環境の保全と活用の方向性について、意見のほうを申し上げさせていただきます。
まず、今回示された方向性については、自治体の実務を担ってきた立場からも、大変理にかなったものであると感じております。資料でも持続性の確保、質の向上、横展開が今後目指していく将来像の実現に必要であると整理されています。これは、まさに現場で実際に活動してきた中で痛感してきた内容でございます。
本市でも、藻場再生や里海づくり、海洋環境保全など、良好な水環境の創出に関する取組を進めてまいりましたが、実際に活動を継続していく中で見えてきたのは、環境活動を始めることよりも続けることのほうが圧倒的に難しいという現実です。例えば藻場再生についても、単年度のイベントで終わるのであれば比較的実施しやすいと思いますが、継続的に成果を出そうとすると、漁業者との調整、学校や地域住民との連携、また、企業との協働に加え、科学的な知見の蓄積、維持管理体制の確保、情報発信など、多様な主体を巻き込みながら長期的に運営していくような必要があるのかなと考えています。また、水環境というのは、自然条件や地域特性によって成果の出力も異なりますので、単純に、ひとつの手法を全国で横展開すればいいというものでもないのかなと考えます。その意味でも、今回示されています個別の取組の持続性を高めて質を向上させる、それを横展開していくという整理は、現場感覚としても非常に合致していると感じてございます。特に、資料にありました自走化、民間からの支援獲得、地域活性化などの視点も示されていますが、まさにそこが重要かなと感じています。
環境保全につきまして、これまで自治体主導で進められてきた事例が多い一方で、持続可能な仕組みにしていくためには、行政施策から、例えば地域や民間が主体的に関わる仕組みへ移行していく必要があるかなと考えています。ただ、その移行にはどうしてもイニシャルコストが発生しますので、地域で新たな取組を始めようとしましても、コーディネートする人材がいないとか、企業との接点がない、合意形成までに時間がかかる、効果が見えるまでかなり期間が必要であるなど、最初の一歩のハードルというのが非常に高いのかなというのが実情です。その中で、資料にありました好事例の創出や財政的支援、マッチング創出といった考え方は非常に重要であり、特にモデル事業は有効であると考えています。もちろん、地域によって環境条件もステークホルダーも異なりますので、これをやれば必ず成功するという万能モデルをつくることは難しいと思いますが、地域から見れば、まず、最初の立ち上げ部分を支援してもらえるだけでも大きく前進できます。
次に、取組認定の意義についても今回示されていますが、非常に重要であると考えています。阪南市では、SDGs未来都市や自然共生サイトなど、国の制度による認定を積極的に取得してきました。なぜ取得したかといえば、単に称号を得るためではございません。認定を受けることによって地域内での機運の醸成、関係者との共通の目標化、新たな企業・大学・団体との連携、さらには対外的な信用力の向上や、庁内横断的な連携促進など、非常に大きな効果があるかなと思っています。特に地域や関係者を巻き込んでいく際には、国の認定は非常に強い力を持っています。今回、水・大気環境局が、こうした方向性を打ち出されていること自体に大きな意味があると感じています。自治体の環境部局というのは、これまではどちらかというと規制行政を中心に担ってきた経緯がございます。もちろん規制施策というのは、引き続き重要ですが、今回のように保全と活用を一体で進めるというメッセージが国から示されることで、自治体側の意識変化にもつながるものと考えます。現場としても、守るための環境行政から地域価値を創出する行政へと転換する後押しになります。
そのほか、本取組が単なる環境保全にとどまらず、例えば阪南市でしたら、地域づくり、地域経済、観光、教育、防災など、幅広い分野と連携をしながら進んでいくことが大切であると考えます。そのため、国においても省庁横断的な連携をぜひ意識していただきたいと考えています。地方創生、ブルーカーボン、水産振興、港湾、観光など、
最後にもう一点、インセンティブについて申し上げます。
取組認定という方向性は、現場感覚としても国の認定が大きなインセンティブにはなると感じており、非常に良い取組だと考えております。特に近年、企業側でも環境分野に関する国認定の関心は非常に高まっています。一方で、認定を取得するためには、当然ながら事務負担や、調整コストも発生しますので、手間をかけても取得したいと思える制度設計が必要です。メリットの過剰な付与が目的化すると、本来の趣旨が薄れてしまう懸念もあります。そうではなく、人材不足の部分であったりとか資金確保の部分であったりとか、その合意形成につながるような、そのような実効的なメリットを付与していただくことが重要と考えています。
最後になりますけども、これからの水環境政策というのは規制や保全だけではなく、地域づくりの政策と一体化していく段階に入っていると考えています。水辺自体には、人を呼び込む魅力があり、地域をつなぎ、次世代へ地域文化を継承する基盤でもあります。今回の制度設計の中で全国各地の主体的な取組が後押しされ、「守る水環境」から「地域の未来をつくる水環境」へと発展していく契機となることを期待しております。
私からは以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
それでは、内山委員、どうぞ。
【内山専門委員】 足りない部分があれば議論をいただきたい、という項目が論点にあったので、申し上げます。
私が申し上げたいのは、専門家の知見をしっかり生かしていただきたいということで、スライドの3ページ目に課題、対応策の例ということで、いろいろな項目を挙げられていますが、中のほうであまり触れられていないのが技術的な支援で、この点は結構大事だと思っています。冒頭で申し上げましたように、トップダウン型の水質規制からボトムアップ型の保全や地域創生へと大きな政策転換があるわけですけれども、そのときに対応策の中で特に重要になるのが、技術的な支援であると考えます。
水環境というのは全体的には公共性が高くて、取組を実施する団体だけのものではないので、不適切な介入があると、様々な問題が生じて周囲に波及する可能性をはらんでいます。例えば隣接海域の水質が悪くなることもあるかもしれないですし、生物の生息域や景観に悪影響を及ぼすこともあるかもしれない。こういった問題は里海によく見られる話で、藻場をつくったらそこはよくなるのだけれども、ほかのところには悪影響が出るということもありますので、漁業とか観光利用なども含めて、計画や実施にあたっては幅広く専門家の知識のインプットが必要になってきます。実施団体の中には専門的な知識を有する科学者などが含まれないこともあって、試行錯誤的に事業をやられている方も多く、試行的に藻場の拡大などに取り組んでみたものの、うまくいかなかったという事例も非常にたくさんございます。そこをカバーするのが、やはり専門家による技術的な支援だと思います。ただし、里海で伴走支援などを通じてやっていて強く感じるのは、決して専門家だからといって、上から目線で取組に対していろいろと指図をするようなスタンスではなくて、実施団体に寄り添っていくという姿勢が非常に大事です。実施団体の人たちは、予算も人員も限られた中で非常に努力をされておりますので、必要な点はきちんと指摘して、よい取組はよいというふうに評価して、改善できるポイントを指摘していくということが専門家には求められると思います。ですので、専門家は審査役、あるいは監視役というよりかは、まさに伴走支援者、パートナーとして寄り添った形で関わっていくということが、技術的な支援の中で重要なことであると思います。
もうちょっと踏み込んで申し上げますと、最近、EUの委員会などでよく出てくる「グリーンウオッシュ」という言葉がありますけれども、ともすると、専門家のコミットメントがないと事業者の人たちは取組を通じて改善した部分や、成功した部分にフォーカスして対外発信してしまうという事例を過去に多く見てきています。ここでご指摘している専門家による伴走支援、技術支援というのは、環境改善効果の根拠が不十分なままによい取組として見えてしまう、いわゆるグリーンウオッシュを避けるという意味でも、非常に重要な観点になってくるかと思います。
技術的支援の重要性は、多分横展開をするときにも大事になってきて、先ほど阪南の前田委員のコメントにもありましたように、似たような事業をやっているからといって、あるいは地理的に近いからといって、うまくいった事例をそのままコピーして広げていっても、環境保全の事業はなかなかうまくいかない場合があるわけで、そういった中で科学的な知見を生かしていくことが肝要です。例えば里海でいいますと、ある海岸の藻場を保全したとしても、そこは一つの湾、あるいは灘の一部でもあり、半分閉じた生態系を構成しているわけですので、保全活動の影響は周りに波及していきます。事業者の方は自分の眼の前の海しか見ていらっしゃらないこともあるので、環境がつながっているということを科学的な視点からアドバイスしてあげることが非常に大事です。私は科学者ですので、やや踏み込んだ意見になるかもしれませんが、専門家というのは科学的な専門家だけではなくて、恐らく行政であるとか、金融とか企業連携とか、地域のコーディネートをするような専門的な知見を組み合わせていくこと、横展開をしていくときには非常に大事になってくると思います。したがって、地域ニーズと技術、資金、制度を含めて、全ての要素をつなぐ仲介者的な支援機能として、専門家による技術支援は大事になってくると考えます。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
加藤委員、どうぞ。
【加藤臨時委員】 ありがとうございます。
今の内山委員のご発言に少し関連する話ですが、観光庁のほうで持続可能な観光ガイドラインを2020年に策定いたしております。地域のサステナビリティを高める一つのチェックリストのような項目がつくられました。そのときに、非常に地域にとって難しかったのが、データを集めていく、何をどういうことをもってエビデンスとしていくのかというようなところで、今、内山委員がご発言なさったように、今グリーンウオッシュへの懸念というのも高まってきており、専門家の知見を持っての、きちんとしたスタンダードを設定するというところは非常に重要であると思います。ただ、専門家がそこの地域にいつも入れるというわけではないので、地域でそのような専門的な知見というものを持つような、持続可能な観光のほうではサステナビリティコーディネーターというような方を育てるというような試みがなされておりましたが、そのような一定のスタンダードを担保できるという仕組みは必要だと思います。
ただ一方で、先ほども申し上げましたが、市民、事業に特に関わっていない方、事業者の方もそうですが、どのように参加してもらっていくかというようなところで、一定のスタンダードを担保しつつ、例えばデータ収集のところなどは学生や市民も参加できるなど、地域全体の機運を高めていくという機能もその制度の中には求められるのかと思っております。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
それでは、私から発言させていただきたいと思います。
皆様のご指摘のように、保全と活用の事業を推進するとか、取組を推進するという方向性についてはうまくまとめられていると思います。地域を活性化する事業やモデル事業を展開するということも大事ですが、改めて良好な水環境の保全の在り方だとか、活用の在り方みたいなところをしっかりと整理をしないといけないのではと思います。何かをやることに対しての戦略が出てきていますが、じゃあ、良好な水環境というのはどう定義できて、みんなが納得感を持って水環境を評価して、状況を把握して改善していくことが大事なように思います。水環境に関わるステークホルダー、住民もそうでしょうし、地方自治体の部局の人もいるでしょうし、いろいろな人たちがやはり納得感を持って情報共有しながら事業や取組を行っていくということが求められます。そこで、水質環境基準の達成だけでは不十分なので多面的なモニタリングをするということはあるんだけど、じゃあ、水環境をどうしないといけないのかということとうまくリンクさせながら、取組の展開をしていく必要があるのかなと。
資料2-2の3枚目のところには、取組の認定について記載がありますが、じゃあ、認定の際に多面的な評価をしたときに、こういうところが非常に良いので認定されていますよというところ、すなわち良好な水環境がどう定義されるかにつながってくると思います。この点をもう少し再整理したほうがいいのかなと思いました。
そうなってくると、国として、制度だとか仕組みだとか支援の在り方を検討するんだけども、そのなかで地方自治体の県のレベルでどういうことが求められているとか、あるいは、市町村の現場でどうなっているのかだとか、そこに関わる企業、あるいは事業所みたいなものと、そこに住んでいる住民であるとか、あるいはNPOだとかNGOだとか、場合によっては教育機関や専門家ですか、様々なステークホルダーの役割と関連させて、取組の在り方を整理する必要がありそうです。すでに、3ページ目の課題対応で、今後具体化するためのキーワードはもう出ているので、それぞれの課題対応策の中で、国がどこをやり、地方自治体がどうやり、住民がどうやるのかということを次に整理していくと、この課題対応策の事例というのが非常に分かりやすくなるのかなと思いました。
大久保委員が発言されたように、既存の法律だとか制度の中で、良好な水環境みたいなものがどう扱われているのかということを改めて整理しなくてはいけないのかなと思いました。今回は、名水百選であるとか、良好な水環境のためのモデル事業が実施されているという形で整理していますけれども、新たな認定をするなり、認証するなり、制度化するということになると、既存のどういう法律だとか制度だとかと関連しているのか、現状ではどの部分が不足しているのかということを1回整理していただくとよいと思います。それをもとにした新たな観点での認定制度なり、その仕組みを考えやすくなるのかなというのが2番目に感じたことです。
私からは以上です。
西嶋委員、どうぞ。
【西嶋臨時委員】 ありがとうございました。西嶋です。
先ほどの内山先生のほうからの、今までトップダウン中心に行政が行われてきた、つまり規制が多かったんですかね。ということで、こちらの制度はボトムアップという形になっているんじゃないかというご指摘がありました。その視点から考えると、ボトムアップで頑張っている人たちを支援していって、それを横に広げていくというのはすごくいいことだと思いながらも、一方で、トップダウンというのは全体を見て、全体をよくしていくためにどうするかという視点で動くと思います。ボトムアップというのはそれぞれがやっている方々の活動、ある意味、狭い意味のところの活動を頑張っているということになるので、全体を見たときに、やはり部分的には頑張っているところはすごくよくなっているんだけど、そうでないところはどうするのということが、やはり取り残されて、落としてしまう可能性が結構あるのかなという気がちょっとしています。その意味で、自走化とか、やっぱり民間からの支援獲得というのは、それぞれの活動の持続性を持たせるということで非常にいいことなんだけど、やっぱりもう少し地方の行政がどう関わっていくかという視点が入っていかないと、ちょっと個別活動を盛り上げるだけで終わってしまう、終わってしまうという言い方はちょっとよくないんですけど、面的な広がりというのをどう担保していくかというところが、どうしても全体を見る視点というのが、個別の活動をされている方には少し不足するかなと思うので、地方の行政がどう関わっていくかということをもう少しこの制度の中に組み込んでいくべきではないのかなということを感じました。
以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
では、内山委員、どうぞ。
【内山専門委員】 今の古米先生と西嶋先生の議論は非常に大事な視点だと思います。地方環境行政という意味では、即効性のあるアイデアではないのですけれども、国として、環境省としては、今回の資料にはあまり出てこなかったですけれども、施策のベースにあるのはネイチャーポジティブを達成していく、そこへ向けての取組として、いわゆる30by30、2030年までに保護地を30%にするという国際的な方向性があって、その中で出てきたのがOECMとか自然共生サイトという制度があってと思います。ですので、行政がかぶせる傘としては、恐らく大局的な観点からは、自然共生サイトのような考え方や制度が、今回の良好な水環境の創出に対しても参考になるのではないかと強く思います。
ご存じのように自然共生サイトというのは、民間の取組等によって生物の多様性の保全が図られる地域を国が指定するわけですが、この中では保護区域や保全活動を認めるだけではなくて、モニタリング指標とか、あるいは実施状況の報告書などもメニューとして用意しているので、このような取組を参照したり、スタート地点として位置づけるのが良いのではないか思います。
一方で、陸域の名水事業のほうは、名水百選のような割と分かりやすい認証制度があるのに対して、私が関わっている里海のほうは、それに類するような制度がありません。自然共生サイトやOECMへの登録は非常にハードルが高くて、それこそ地方の環境行政と二人三脚で取り組んでいかないと、なかなか認定にこぎ着けないというところがありますが、ボトムアップ型で進めていくことを考えると、やはり名水百選のような認証制度が沿岸の環境保全に対する取組、つまり里海づくりに対してもあると非常にいいのではないかと考えているところであります。そういった自然共生サイトの考え方みたいなものを援用して、うまく制度設計する方向に進んでいただけるといいと思います。
その中で、国による取組を認証、認定の議論をするのは時期尚早かもしれませんけれども、国が事業をどう評価していくかということについて、認証制度を1つの軸とすることに関しては、個人的には非常に大事な方向性の1つであると思います。モデル事業の実施地域を見ても、先ほども事例が幾つか紹介されていましたが、国に認められた取組であると周囲に説明ができるので、実施団体や地方自治体にとっては大きな信用力、インセンティブになっているというようなご報告がございました。ですので、取組の信頼性が高まるということで、国の評価の仕組みはぜひあったほうがいいと思うのですが、繰り返しになりますけれども、加藤先生がおっしゃられたポイントは非常に大事で、水環境の保全には永続性がないので、一旦環境がよくなったからといって、そこで保全の活動を放置してしまうと、また環境が悪くなってしまうということもありえますから、評価は一度認めて終わりというわけではなくて、実施状況を継続的に確認する。そのためにモニタリングをしっかりやる。その意味のあるモニタリングとか改善を行うために、先ほど私が申し上げたように、技術的な支援によって必要な改善を組み合わせていくことが取組の質の向上と持続性につながると思いますので、そういった視点をぜひ盛り込んでいただけたらと思います。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
それでは、WEB参加の上西委員、どうぞ。
【上西専門委員】 ありがとうございます。
もう皆さんがおっしゃっているとおりなんですけれども、方向性としては全く賛同です。
先ほど来、地方自治体に何ができるかというお話もあったんですけれども、どの地域でも熱心な活動団体があり、助成金なども出しているところですが、確かに科学的根拠とか技術的支援で支えていくことが大事だろうかなというふうに思っております。地域のコーディネートも行政として取り組んでおりまして、各団体の交流であるとかマッチングであるとか、学識者・有識者へつなぐなどもしたりしておるところでございます。ただ、資金的な面、人材的な面から継続が難しくなっている団体も多くて、それには活動に参加されている人たち以外の住民や企業も含めた巻き込みが必要だろうなというふうに感じております。
良好な水環境とは何かということは、地域によって求められるものが違うと思いますし、それには、その活動をされていない方も含めた住民が水環境に興味を持つ、水環境にアクセスする機会を促進するというところから始まるのかもしれないなというふうに考えているところです。
先ほど来おっしゃっているように、省庁間であるとか部局間の連携も必要ですし、環境省さん以外でも、河川部局さんも環境保全の取組はありますので、それらも十分に活用した連携というのが求められているのではないかなというふうに思います。
以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
星野委員、どうぞ。
【星野専門委員】 ご説明ありがとうございました。星野でございます。
私も方向性の部分については全く異論なく、こういった方向で進めていただければと思います。
2点目の個別取組の推進についての課題対応策というところで、今もずっと議論があった、どういったステークホルダーが、委員長もおっしゃられたようなたくさんのステークホルダーが要るという部分について、私も全くそのとおりですし、そういった方々が今も議論があったように専門家が入るとか、取り残されないようにするというのは非常に大事な視点だなと思いました。
その取り残さないというところで言うと、やはり小さな草の根の団体は、どうしても本当にその現場だけを見ていて、そこで一生懸命やっているんですけれども、なかなかお国のとか、補助金がとか、そういうものがなくても頑張っているところはあると思うんですね。なので、そういった声が届かないような、声を吸い上げにくいようなところの声をどうやって引き上げるか、その声もプラットフォームの土台に載せていくかというところの視点は大事かと思うので、そこはやはり吸い上げられる人というか、コーディネーターというか、そういった人材が必ず入るような制度として、仕組みとして、中間支援の人たちがあらゆる声を吸い上げられるような、そのあらゆる声という中には、前回1回目でお話ししたような次世代の若い人たちの声だったりとか、もちろん生き物の声だったりも含まれると思うんですけれども、そういった多くの声を漏れなく吸い上げられるようにできたらと思います。ただ、そこまで国のほうで全部やるというのは難しいと思いますので、今議論にありましたような地方行政との連携というのが大事かなと思います。
水環境と言うと、どうしても環境保全の部署とかになると思うんですけれども、私は今地元で町内会とかにも関わっている中では、やはり町内会の人たち、NPOではなくて、いわゆる地縁組織の人たちは、どうしても防災の視点で水路とか川とかを見ているんですね。そういった人たちのところにも水環境という視点を入れて差し上げることで、だったら地元の、地域のNPOと町内会が一緒に何かできるねみたいな、またそこでも新しい連携が生まれると思いますし、やはり地縁組織の人々というのはそこに暮らしていて、一番地域のまなざしを持って、子どもたちの見守りもしている人たちなので、そういったところまで目・手が届くような、そういった制度になったらいいなと思いました。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
それでは、春日委員、どうぞ。
【春日専門委員】 少し観点が異なるかもしれませんが、水環境と地域住民との関係について考えると、かつては人々の生活と水環境が非常に密接に結びついていたと思います。しかし、水環境が改善される中で、気づけば人々が水環境とどのように関わり、保全し、活用していけばよいのか分からなくなっていることが、大きな背景にあるのではないでしょうか。
かつては、水辺が遊びの場であり、祭りの場であり、さらには生業の場でもありました。そのため、水環境は日常生活の中に自然に組み込まれていたと思います。しかし、人口減少や過疎化、就業構造の変化が進む中で、昔のような関わり方にそのまま戻ればよいということでもないのも事実です。現在取り組みが進められているモデル事業は、これから地域が水環境とどのように関わっていくのか、その新しい形を創造していくための取組であると考えています。ただし、そのモデル事業が本当に地域に根づくかどうかは極めて重要です。なぜなら、それが将来における地域と水環境との関係性そのものにつながるからです。本日のお話を伺いながら感じたのは、先ほど古米先生もおっしゃっていましたが、まず「良好な水環境の将来像とは何か」を地域でしっかり議論することが重要ではないかということです。この議論が十分でないまま進めると、「良好な水環境」という言葉だけが独り歩きし、結果としてどの地域でも似たような取組になってしまい、地域の歴史や文化、アイデンティティとの結び付きが弱くなる可能性があるように思います。そのため、こうした制度の中では、自治体、地域団体、企業、住民など多様な主体の対話を丁寧に進めて、その地域にとってどのような水環境の将来像が望ましいのかを議論することが重要ではないでしょうか。そこでは、過去の地域の姿を振り返ることも必要だと思います。その上で、「自分たちの地域ではこうした水環境を実現したい」というビジョンを地域自らが描き、そのビジョンと各種事業や支援制度を結び付けていく仕組みがあるとよいのではないかと感じました。こうしたプロセスがないと、外部からモデル事業が導入されても、地域の共感や主体的な参加が十分に得られず、定着しないこともあり得ると思います。モデル事業そのものを支援するだけでなく、地域ごとの水環境の将来像を描くことを支援する制度になればよいのではないかと思いました。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
もし、ないようであれば、次に移りたいと思いますが、何か。
【森川環境創造室長】 環境省の森川です。委員の皆様、多様なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
大きな方向性として賛同いただいた上で、具体的に施策として進めていく上でのいろいろなアドバイスをいただいたと思っております。保全をしっかりベースにしながら進めていくところだったり、国際との関係、また、後半では地方自治体をはじめ、プレイヤーが国だけではなくて、国、地方、企業、住民という視点でどのような役割があるのかということをご審議いただきました。
また、ビジョンについては、私からの説明で申し上げていたと思うんですが、地域ごとにそれぞれ目指すべき水環境というのが違うので、モデル事業でも多様な取組がそれぞれ千差万別であるかな思っています。そこの地域のビジョンづくりをどのように進めていくかというのを環境省としてサポートしてもいいんじゃないかというのが、一番最後、春日委員のご意見でもあったかなと思います。
地域の中で、それをつくることの意義、価値を見出されている段階まで進んでいれば、こちらとしてもサポートがしやすい状況なんですけど、そこにまだ至っていないというか、そういう目線で見られていないという、地域をどのように、サポートできるのか。これからは、環境だけを保全すればいいというのはなかなか難しい中で、水環境にかかわらず、地域の様々な課題を解決するツールとして、普段の私たちの生活に欠かせない水環境というものがあるんだというところの価値というか意義をどれだけ理解していただけるかというのも重要だろうなと思っております。まずはそこへのアプローチをした上で、次の段階としてビジョンをつくろう、それで具体的な取組を進めていこうというところに、どのような手を環境省として打っていけるのか。また、自治体や企業の皆様と一緒になってやっていけるのかというところを考えていく必要があるのだろうと受け止めてございます。既存の制度も多数ありますので、そことの関連も意識しながら、次の委員会に向けて整理を進めていければと思っております。ありがとうございました。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に進めさせていただきたいと思います。
それでは、事務局より資料3、多面的な水環境モニタリングについてご説明をお願いいたします。
【鈴木環境汚染対策室長】 資料3をご覧ください。
おめくりいただきまして、スライド2は最初の資料1にも入っていた資料の再掲でございます。モニタリングの観点から、少しこのスライドも見ていただきたいなと思いました。
一番左側の環境基準とかが始まった頃からずっとやっていて、BOD/CODを中心としたモニタリングということをやって、排水規制をしっかりやってきましたということで、真ん中の写真ですけれども、水はかなりきれいになってきましたということかなと思っています。モニタリング等の制度全体としては、特に今もベースとしては大きく変わっていないということかなと思っていまして、令和の時代に目指すべき、ここは写真はただつけていますが、先ほどの議論でも、いろいろな地域ごとでもちろん違うというところはあるかなと思いますけれども、水質だけじゃなくて生き物とか景観など、幅広い観点からのこういう水辺を目指していくという中でのモニタリングをどう考えていけばいいのかというところが、この資料3でございます。
スライドの3番を見ていただけたらと思います。
環境基準の達成率、河川の汚濁指標の代表であるBODの環境基準ですけれども、もう90%以上の達成率がずっと15年以上続いています。
一方で、スライド4も、先ほどの資料1のほうに入っていたものをもう一回再掲でございますが、水環境への改善策ということで、水質汚濁は一番上にありますけれども、その他、散乱ごみの対策とか、緑や生き物というところですね。先ほどの言葉では「景観」という言葉にもなってくるかもしれませんけれども、そういうところのニーズはまだまだあるし、「特に改善が必要だと思わない」というのが5.5%しかないと、95%近くの方々はまだ改善が必要だというふうなことで、無回答もありますけれども、そういうふうに捉えています。
スライド5ですけれども、これまでもいろいろな水環境保全の在り方ということで議論をしてきたことがございます。ちょっと古くはなっていますけれども、書いてあることは今の問題意識ともあまり変わっていません。スライド5ですけれども、2011年3月にまとめていただいた今後の水環境保全に関する検討会の在り方についてということで、須藤先生に座長をしていただきまして、法律の浅野先生ですとか、水環境部会長を歴任いただいた岡田先生、細見先生、水道とか水の科学的な観点で眞柄先生とか、中杉先生、森田先生といった方に入っていただいて検討をしたものがございまして、この報告書でも今申し上げたようなこと、環境基準達成率は非常に高いんだけれども、水環境に関する国民の実感と比べて乖離していないかといった点、それから2番目のパラグラフですけれども、水質汚濁だけではなくて水の美しさ・清らかさ、利用のしやすさ、生き物の観点などの水質、水量、水生生物、水辺地と、この4点を含めた指標の導入などの検討もしていく必要があるのではないかと、そのような指摘をされてきまして、いろいろ動きは後でご紹介します。少しずつやってきたことはあるんですけれども、まだ本格的な導入には至っていないということかなと思います。
スライド6に環境基本計画の過去のものを、政府全体の環境行政としての非常に基本的な計画でございますけれども、これは1990年代から今の四つの視点、水質、水量、水生生物、水辺地を総合的にというところの問題意識としては、もうずっとこういうところにも書かれてきたわけでございます。1次と2次には同じようなことが書いてありまして、3次の2000年に入ってくると、3行目辺りにそういった総合的な「モニタリング」というような言葉も入ってきます。それから第4次、2012年ですけれども、今の四つの視点を書いていまして、その指標の検討を進めるというのが3と4に書いてあります。第5次以降は、今日の資料1のご説明にもありましたが、第6次が一番新しいんですが、もう少しこういう具体的なところというよりもウェルビーイングとか、総合的な水環境施策というような表現に変わってきていまして、この四つの視点自体は今のには入っていませんけれども、過去からこういう問題意識でずっとあったということでございます。
スライド7につきましてですが、そもそもモニタリングというのをもう一回考えてみましょうということでございます。環境モニタリングというのも、環境行政の中で最も基本的な施策でございます。まずモニタリングをして、その状況の把握ということになりまして、その中で、これが政策立案のための基礎情報になっていくということです。そこの概念図というか、今までは、のみではないんですけれども、水質中心でやってきたところでございますが、今後は良好な水環境の創出ということを目指していくのであれば、モニタリングにつきましても水辺、生物、水量などを含めて多面的に行っていくことが必要じゃないかということが問題意識でございます。
これまでも検討自体は、いろいろ少ししてきたところがあります。スライド8ですけれども、水環境健全性指標とか水辺のすこやかさ指標とか、通称「みずしるべ」と呼んだりしていますけども、水環境学会に業務をしていただきまして、こういった五つの指標というのを平成21年に公表しています。自然なすがた、ゆたかな生きもの、水のきれいさ、快適な水辺、地域とのつながりといったような、こういった視点でやっていったらどうかということでご提案をいただいているということでございます。これは何か制度というよりは、こういった視点でいろいろやっていってはどうかということでご提案をいただいたということでございます。
スライド9にこういったものを活用した、環境学習で活用したりとか、いろいろな動きというのは自治体のほうでも出てきていまして、愛知県のほうでは四つの視点、「生態系」とか「水辺のようす」というものも入っていたり、島根県なんかは宍道湖等がありますので、「味わう」とか「触れる」といったようなところも指標として入ってきていたり、宮崎県では「自然の音」なんていうのも入っていたりします。
おめくりいただいて、スライド10ですけれども、前回ご発表いただいた横浜市さんですが、みずしるべを活用した「よこはま水辺レポート」というようなことで、いろいろなところで市民参加でモニタリングをしていただいたようなこともありますし、茨城県におきましても、霞ヶ浦のふれあい指標(案)ということでございますが、こちらはレクリエーションですとか農業、サイクリスト人数とか、水辺での活用みたいな視点がかなり重視されたようなものかなということであります。それから、国土交通省のほうでもいろいろなご検討、いろいろなものをやられていまして、今後の河川(湖沼)の水質管理の指標ということで、これはかなり平成10年代に出ているものが令和6年に改定されていますけれども、人と河川の豊かなふれあいの確保とか、生態系の確保といったような観点での指標についてもありますし、河川水辺の国勢調査、これは国土交通省が直轄河川で非常に詳細な調査をしていまして、生物調査なんかもこれは物すごいデータ、貴重なものがいっぱい入っています。魚類、底生動物、植物、鳥類とか、かなり幅広くやっているようなものがございます。
こういったところを踏まえて、環境省のほうで本格的にもうちょっと導入というか、普及を図っていきたいということで、スライド11ですが、令和6年、7年とこの水環境健全性指標を活用したモデル調査というのをやってきました。令和6年はここにあるような12地点、先ほどの水環境学会にご提案いただいていた水環境健全性指標を活用してのものとか、あとは生き物も実際に生物採捕をしたりとか、環境DNAの調査も実施したというものでございます。右側の令和7年は、9か所で同じような調査をし、さらに一番下に書いてございますけれども、全部やっていると結構大変なので、簡易版調査の試行なんかも実施をしていますということであります。
スライド12に、どんなところでやったかというのが出ています。これを参考にしていただければと思います。
スライド13からが、今回の制度のご提案でございますけれども、水環境の多面的モニタリングの概要(案)ということであります。誰が、何を、どういったところでやるといったようなことを少し簡単にまとめてみました。
実施主体としては、やっぱり今でも常時監視ということでずっと経年的に取り組んでいただいている都道府県と水質汚濁防止の政令市、政令市は大体100ぐらいです。なので、150ぐらいの自治体さんでやっていただいているんですけれども、中心になってやっていただくのがよいのではないかと思います。調査内容としては、水環境健全性指標をベースに検討してはどうかということです。
調査地点は、公共用水域(河川、湖沼、海岸)ということでございます。場所としては、良好な環境、生き物の観点、水質の観点、景観の観点などから、創出する上で重要な地点、それから人々に地域の方々に多く利用されているような水浴はもちろんですが、散歩とかランニングなんかでも非常に水辺というのは多くの人たちが使っているということがありますので、そういった場所もモニタリングできたらいいんじゃないかと。あとは漁業とか観光なんか、さっきもありましたが、地域のなりわいみたいなところもちゃんと意識していったらどうか。
こういったところだと、非常にちょっと限られたポイント、ポイントになってくるので、もう少し流域の視点で、上流・中流・下流とか、主な支川なんかもやってはどうかということです。それから湖沼、海岸、今は常時監視は湖沼であれば湖心なんかで中心にやっていて、湖の真ん中のほうを中心にやったりしていますけれども、むしろ湖岸とか海岸なら干潟・磯場みたいなところが想定されるのではないかと思っています。
調査につきましては、今の常時監視は原則月1回ということでやっていただいているんですけれども、景観なんかが大きく毎月調査をするほど大変というのもありますけれども、生き物とか景観を毎月やらなくてもいいのかなというので、年に2回ぐらいでどうかなということが提案の概要でございます。
おめくりいただきまして、じゃあ、具体的にはどんな指標で調査するのということですが、先ほどの水環境健全性指標というのをベースにして考えてみましたということであります。そこから、少しいろいろ検討を加えています。
まず、水環境健全性指標は五つの観点でしたけども、これを6軸にしてみました。何が違うかといいますと、一番下のほう、「地域」というのが一つあったんですが、なりわいとか地域の方々がどうそこを活用しているのかと、さっきの資料2の関係の問題意識とも連携して、「利水・産業とのつながり」というのが独立して、軸を一つ増やしています。「経済・社会」の観点は二つになっています。
それから、個別に見ていくと、例えば快適な水辺なんかには「川の香り」というのが入ったんですが、ちょっと行政のモニタリングとしてなかなか判断がしづらいようなところもあるかなというのを少し削除したり、ちょっと難しそうなところを少し簡単にしたりということをやっています。
あとは生き物のところですね。生き物自体と、あとすみ場、すみ場というのもなかなかどういうふうにモニタリングをするのかというのは大変ですけれども、例えば底生生物であれば、底生が砂地なのか石があったり水草があるのか、そういったようなこととか、魚類のすみ場ということよりは、淵とか瀬があるのかと、そういったようなところを確認していくことになるのかなと思っています。
スライド15を見ていただきまして、導入するといっても、やはり課題は多くあると思っております。
まず①番として、都道府県・政令市が、これまでにやっている常時監視に加えて、さらに多面的モニタリングを行うということになれば、相当な大きな負担になるということですので、そこに十分配慮したものにする必要があります。その際、既存の常時監視を含む整理・合理化の検討をしてはどうかと思っています。
この多面的モニタリング自体、a、b、cと3点書いていますが、必ずしも調査対象の全ての地点で詳細にやる必要があるわけではないと考えられますので、負担も考慮しまして、重点調査と簡易調査の2種類を設けてはどうかということです。
それからbですが、生き物とか水辺の景観も、これも毎年変わるようなことでもないかなと思っていまして、3年に1回ぐらいでローリングで調査をして、3年間ぐらいで県内全体を把握するといったようなことではどうかなと。一方で、こういうふうにやっていく中で、既存の常時監視、毎年(原則月1回)とやっていますけれども、地点や頻度・測定方法の効率化なども、併せて検討していくことが必要かなと思っています。
それからcですが、関係機関や民間団体が継続調査をしているようなところがあれば連携する、全て自分でやることではなくても、いろいろな機関が調査を既にやっていますし、地域の博物館みたいなところが、いろいろな地域の環境を把握したりしているでしょうし、地元の大学もいろいろなことやられているでしょうし、民間団体も継続して生き物を調査したりされているので、そういったところのデータも活用しながら、そういった各機関、団体との連携も図っていけたらいいのではないかなというのがcです。
それから②ですが、これまで都道府県・政令市の一部では、先ほどのようにやっているところもありますけれども、多くの自治体では経験がないと思いますので、導入に当たってマニュアル整備のほか、十分な準備期間を設ける必要があるかなと思っています。
それから、まだまだここに書いていない課題があると思いますので、今日はいろいろなご意見をいただいて、また次回の検討につなげていきたいなと思っておりますので、またご意見をいただきたいと思っています。
今の問題意識を踏まえて、もう少し具体化してみたのがスライド16でございます。表にまとめましたけども、調査として重点調査と簡易調査と2種類ですということです。
調査地点は、重点調査のほうはさっき挙げたような重要な地点とか、多くの人が使っているようなところ、簡易調査はそれ以外の流域の全体を把握していくような点は簡易調査でもいいのかなと。それから3年ごとのローリング調査。1回やる年は景観とか生物相も変わるかもしれないので、春~夏と秋~冬の年2回ぐらいでどうかなということで書いています。
スライド17で、具体的なさらに指標ですけれども、六つの軸ごとに調査方法をまとめています。簡易調査のほうから見ていただければと思いますが、基本的には目視で把握をしていけばいいのではないか。例えば、快適な水辺であれば、ごみの散乱状況はどれぐらいか、多いか少ないかということとか、景観的な面でどんな緑が多いのかとか、景勝地なんかは当然そういう景勝的な景観もあるかもしれません。生き物も、簡易調査は生き物そのものの把握というのは大変なので、すみ場がどの程度あるか、すみ場があれば生き物は大体いると思うので、すみ場とか植生の状況の把握ということ。一方で、重点調査のほうは環境DNA、または生物採捕をやれたらいいんですけれども大変ですし、むしろ環境DNAというのは技術的にかなり分かってきているので、むしろ網羅的には環境DNAのほうが把握できるかもしれませんので、そういったものの活用をしていってはどうかというようなことを書いています。
水質も簡易調査のほうは目視で、透明かどうか濁っているかという、そういう目視的な観点と、あとは簡単なパックテスト等でもいいのではないかと。水浴場なんかは、大腸菌ぐらいは測らないといけないかもしれません。むしろ水浴場なんかは、重点調査になるかもしれませんけれども、重点調査のほうはもう少しそれぞれの指標を測ってみるということです。これも現場で測れるものも多いかなと思っています。
水量は、その環境の維持とか生き物の生息場としての適度な量があるかどうかというぐらいのものを目視で、簡易調査は目視でいいかなと思っています。詳細のほうは流量の測定とありますが、自分で測ってもいいですが、大体河川では既に測られたりしているので、そういった公表されているものを使うということでもいいのではないかなと思っています。
下の経済・社会的な観点の二つの軸、地域とか利水・産業の観点ですが、簡易調査は把握できればいいんですけれども、大変であれば省略いただいて、重点調査のほうで関係の資料を見ていただいたりとか、水辺への近づきやすさのところは安全に配慮した水辺への近づきやすさとか、そういったこと、歴史・文化のところは治水・防災も含めて関連の資料を調査するというようなこと。利水・産業のところも、どういった利用状況があるかということの把握ということをしてはどうかということでございます。
最後のスライド18ですけれども、コスト、労力もかなり関わってくるかなと思っていまして、これまでの常時監視というのを合理化、効率化して、そこでその分の予算とか労力を使って、この多面的なモニタリングをできたらと思っています。次回、もう少し具体的な、どれぐらい本当に労力として関わってくるのみたいなところをもう少しお示しできたらと思っております。
説明は以上です。
【古米委員長】 どうもご説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容に関しまして、ご意見、ご質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
加藤委員、どうぞ。
【加藤臨時委員】 加藤でございます。
先ほどの制度設計、認証制度というところと、ちょっと関連してお伺いしたいのですが、8ページから10ページにあります水辺のすこやかさ指標と各自治体で開発された指標の関連性ということをお伺いしたいです。例えば、こちらに物差しのほうの五つの項目が盛り込んであれば、準拠するものとして認めるというような、何かそのような形で、各地の多様性ということも考慮して各地が開発されたのか、というところが質問の1番目です。もう一つは、この多面的な新しい項目が設けられておりますが、今後、例えば今お持ちの自治体が自分で持っているものを一部読み替えるということなどは想定されるのかという、その2点を教えていただければと思います。
【古米委員長】 上西委員、どうぞ。
【上西専門委員】 よろしいでしょうか。すみません。
行政としては、安全・安心の確保の上で、水質の常時監視というのはすごく重要であると考えていまして、さらに、この多面的なモニタリングを行うというのは、単純にプラスアルファでやるのは限界に来ているのではないかなというふうに考えております。ただ、ご説明にもありましたように、調査法の案として重点調査であるとか簡易調査であるとか、方法に工夫がされていたり、あと従来のモニタリングの効率化というのも考えてくださっているんですけれども、水質の監視の項目であるとか地点を減らすというのは単純ではないので、十分な検討が必要であるというふうに考えております。
ご提案にもありましたように、民間や団体の環境調査も活用するように考えられるのではないかというご提案もありましたけれども、それは全くそのとおりだと思っていまして、そういうふうな民間団体の環境調査のデータの精度の担保というのも必要になってくるかとは思うんですが、例えばですけれども、そういうモニタリングを民間で担うような方々に対して、例えば水質汚濁防止法などで、水環境保全推進委員みたいな形で委嘱をすることができるとするような制度はどうかなというふうに考えます。例えば廃棄物処理法では、廃棄物減量等推進員であるとか、あと地球温暖化の対策法では地球温暖化防止活動推進員など、そういう委嘱するようなこともしておりますので、こういう多面的モニタリングに参加していただけるような方を委嘱するという制度もありなんじゃないかなというふうに考えます。
以上でございます。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、WEB参加の大久保委員、どうぞ。
【大久保臨時委員】 ご説明ありがとうございます。
まず、多面的モニタリングを進めていくということに関しては大変重要なことであって、これを打ち出されているということを評価したいと思います。その上でですけれども、今の上西委員の発言とも関連いたしまして、3点コメントをさせていただきます。
1点目が、従来の監視というものが重要で、今回は効率化でコストを増やさないようにすると書かれていることについて、単純に減らすということではなくて効率化ということだと思いますが、どう効率化するかという内容が重要ではないかと思います。とりわけ、現在、環境基準で健康項目として設定されているものの達成率は高いものの、要調査、要監視項目、あるいは、昨今のPFAS問題を見ても、新たな課題について、安全・安心の観点から、きちんと予防的アプローチで対応していくということも重要ですので、モニタリングの質を弱めるというつもりは全くないと思いますけれども、そうしたものの対応はきちんとやっていくのだということを明示した上で、どう効率化するのかということのご説明をいただくのがよろしいのではないかと思います。
2点目は、地域の環境データの統合という観点では、きちんとした現場での実測ということの重要性はもちろん変わらずあって、そこをベースにした上で、衛星データ、空間データ、シミュレーションといったものをどのように組み合わせていくのかということも、効率化の一部としては考えられ得るのかどうかということでございます。
3点目は、先ほどご説明がありましたように、河川水辺の国勢調査のような一定の空間データを含めた調査もございますので、全体としての予算、あるいは人員等々が限られている中で、そういった河川水辺の国勢調査のようなもの、あるいは自治体が行っている調査、これは先ほども別の委員から指摘がありましたように、そういうものと連携させながら、データのワンストップサービス、あるいはオープンデータとしてのアクセスができるようなものをどのように構築していくのかという視点が大切で、その結果といたしまして、それを活用していくことが先ほどの資料2の活動へのフィードバックということにつながるのではないかと思います。
最後に、もう少し大きな視点ですけれども、多面的なモニタリングの結果、どういうふうにこれを政策に活用するというイメージなのか、いろいろなイメージがあると思うのですけれども、例えば、従来の生活環境項目の中で取り扱われてきた水生生物の環境基準のようなものを超えた生物多様性の観点からの基準の設定でありますとか、そうしたものにもつなげていくという視点もあり得ると思います。それをどのように考えるかというのは、中長期的課題として重要だと思います。
以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
鈴木委員、どうぞ。
【鈴木専門委員】 ありがとうございます。鈴木です。
まず、多面的にモニタリングを行うということは、良好な水環境という目標に対して非常に重要だと思いますので、その方針は全くいいというか、大事なことだと思いました。
やり方について、特に、もし常時監視をある程度置き換えるとか、効率化して補完するのか分かりませんが、ある種常時監視に並ぶものとして行うというのであれば、私の頭が固いかもしれませんが、これは指標の持つ比較可能性というのは非常に重要な要素だと私は思います。CODやBODというのは、確かに水質汚濁の指標としては極めて重要で意義があるものと、私は今でも思っていますし、今後もあり続けると思いますけれども、それが重要だということは、やはり数値化できて、個別に改善があったとか、こちらよりこちらがいいとか悪いとか、比較ができたというところに意義があるので、政策の進捗を図る、あるいは目標にする重要な意義があったと。
この多面的モニタリングというのも、よい水質を実現する。そういう比較可能性が担保されたほうがいいんじゃないかなと思うので、そうすると、ここは私の思うところです。一番最後の17ページに「6つの観点」と「個別指標」と書いてありますけれども、指標というのは別の場所で議論することがあるんですが、何となく感じとしては、個別指標というのは個別な観点みたいなものでして、個別の観点をそれぞれ測る別の指標が、例えばごみの散乱であれば、ある何らかの測定によるものとか、川の音はある観察の方法によるものとか、もちろん特定のもので測ったごみの散乱の仕方とか、川の音の特性というものが、必ずしもごみの散乱や川の音の全部を意味すると思ってはいけないということも、一方で常に意識する必要があるかと思いますけども、そのある部分を測定する指標によって、ごみの散乱の程度を表現し、水辺の景観を表現しということがあると考える必要があるんじゃないかなと。
環境DNAも、それは測定できると思いますけども、その結果、どう解釈するんですかというのが疑問なところもありまして、それも一つの指標だと思いますので、それによって多くの生物種が存在しているならば、それがよい底生生物のすみ場を表しているという指標で使うと。
この構造として、個別指標と書いてあるものよりは、これは個別観点に近いものに私には見えて、この個別指標と書いてあるものを測定する技術的な指標みたいなものをそれぞれ構成して、それを使って皆さんが最終的には自治体さんなのか、あるいはこれを多分選んで使われるかもしれないそれぞれの地域の取組というものが、自分たちの取組によって何かがよくなったとか、あるいはうちの自治体の取組はこういう特性があるとかいうことが言えるようなものにしていくのが重要じゃないかなと、僕は思いますので、そういう検討をしっかりする必要があるんじゃないかと思いました。
以上です。
【古米委員長】 それでは、WEB参加の前田委員、どうぞ。
【前田専門委員】 先ほどの説明の中で、水質、水量、水生生物、水辺地を目標の視点に含めた検討が必要であることや、多面的な調査モニタリングについてお話を伺いましたが、やはり保全と活用を対立的に捉えるのではなくて、これらを両立させながら進めていくことが大事であると考えております。モニタリング調査一つを取っても、地域との継続的な活動、どのようなつながりの中で調査を進めていけるかという点が非常に重要であると考えます。
先ほどの資料14ページにあった、「6つの軸」という部分で、地域とのつながりや、利水・産業とのつながりというお話もあったと思いますが、特に地方部では、取り組みたい思いはあっても実行体制を維持できないケースが多くあります。その中で、どのように関係性をつなげていくかという点が重要です。例えば「地域とのつながり」一つを取っても、地域住民の参加状況、子どもへの環境学習への活用、多世代交流の創出など、水辺という環境の中でどのような方がつながっていくかという点こそが、真に持続可能な取組につながる一番の重要ポイントだと考えます。ぜひ、その辺りを含めた制度設計とモニタリングのほうを進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
それでは、春日委員、お願いします。
【春日専門委員】 多面的モニタリングの必要性については、先ほど申し上げた良好な水環境の将来像とも関わるため、私もぜひ推進していただきたいと思っています。ただ、17ページの個別指標案を拝見しながら考えると、それぞれの指標の性格は少し異なるように感じます。まず、「良好な水質」については、既に常時監視によって把握されている項目ですので、あえて多面的モニタリングの項目として改めて測定する必要はないと思います。一方で、「豊かな生物」については、これまで十分に把握されてこなかった側面であり、今後の水環境管理を考える上でも重要な指標だと思います。国土交通省などによる既存の調査手法もありますので、共通のプロトコルに基づいて、直轄河川以外にも展開しながらデータを蓄積していくことが重要ではないかと思います。
他方で、「地域とのつながり」や「利水・産業とのつながり」については、多面的モニタリングとして継続的に測定するというよりも、流域の情報として整理し、水環境に関する補足情報として提供すれば十分だと思います。その意味では、モニタリングとはやや性格が異なるように感じます。最も重要であり、恐らく環境省としても重視されているのは「快適な水辺」ではないかと思います。私自身もその重要性はよく理解できます。ただ、この項目は先ほど鈴木先生がおっしゃったような定量的な評価とは少し異なり、住民の主観や体験といった要素が大きく関わるものだと思います。言い換えれば、いかに主観的な情報を拾い上げるかという課題に近いのではないでしょうか。水環境と社会/住民との関係性という、これまで十分に見えてこなかったものを可視化しようとしたときに、こうした「快適な水辺」を行政的なモニタリングとして実装してしまうことには、少し懸念があります。例えば、ごみの量や景観などをチェックリスト化し、年に数回、調査員が現地で確認するような仕組みにしてしまうと、本来捉えたいものとは違ってしまうのではないかと思います。むしろ、水環境と社会との接点を主観的な体験として捉えるのであれば、SNSのような仕組みを活用し、住民が音や景観など、水環境に対して日常的に感じたことを投稿できるような仕組みの方が有効ではないでしょうか。そして、その投稿情報をデータマイニングして共有・可視化することで、地域における水環境との関わり方や主観的な体験を把握することができると思います。行政が一方的に測定するのではなく、社会が水環境にどのように反応しているのかを可視化できる仕組みやプラットフォームを構築することが、多面的モニタリングの一つの方向性として重要ではないかと感じました。
以上です。
【古米委員長】 小川委員、どうぞ。
【小川専門委員】 産業界からもひと言、発言させていただきたいと思います。
確かに良好な水環境ということで、今までの水質汚濁だけではなくて、景観なども非常に重要だなと考えてはいるのですけれども、第2回の自治体からの情報でもあったように、恐らく地域の住民の方からのネガティブな情報というのは、ほとんどが目視によるもので、泡立ちだとか、少し濁っているだとか、白濁しているだとか、そういう情報がたくさんあって、そういうものに対して、良好な水環境になっていないというような意見を持たれているのではないかなと思います。
また、例えばGoogleマップなどで河川の状況を見たり、河口付近を見ると、結構濁ったような写真が、今の技術だと簡単に確認できます。そうすると、我々産業界は当然法遵守ということで、きっちりそこは守ってやっているのですけれども、その濁りに対して、例えばSSが高いのではないか、SSをもっと下げたら良いのではないか等、そのように、逆に規制の強化につながるような話にまたなってしまうと、良好な水環境という今進めている話とは少し違う視点になるのではないかなというのを、少し危惧しているところです。
以上です。
【古米委員長】 それでは、石川委員、どうぞ。
【石川専門委員】 私、滋賀県の地方研究所の研究員をしているんですけれども、そういった立場から、これまでの水質資源の取組から、今後生態系とか景観であったりとか、経済活動など、これまでの取組が住民の納得いくような方向にモニタリングもなっていく、多面的な評価へと発展していくということに対して、非常に賛同しております。
さらに、地方自治体の問題として、今やはり予算の問題と、あと人材不足というのが非常に深刻な状態です。予算の面につきましては、こういった工夫をして、何とか捻出していただけるよう検討していただいているので、具体化に向けても心強く感じております。それプラスアルファとして、今後の人材育成、今いる人材は、なかなかこうした知識が十分あるわけではないので、そういった人材育成も考えていただけるとありがたいですし、あと生物の情報については地元のデータベース、先ほども幾つかご意見がありましたけれども、そういった連携についても考えていただきたいと思います。
私自身も琵琶湖のほうなんですけど、湖岸生態系のほうで健全性指標なんかの研究を参考にしながら進めているところなんですけれども、こういった中でも壁となっていくのが、やはりいざやろうとすると生物を実際どこまで対象にしたらいいのかというようなこととか、地域経済活動の捉え方とか、具体化に向けて整理すべき論点というのが非常に多いなというところで、なかなか難しいと痛感しているところでございます。
これらが地域のウェルビーイングにどう結びついていけるのか。特に指標というふうになっていくと、やはり目指すべき目標があって、そして保全活動とモニタリングというのはセットだというふうに思っているので、目指すべき目標というものをやはり作らなければいけない。でもそうなっていくと、例えばヨシ群落なんかでも、有効活用とか、そして産業的な立場から言うと、純群落みたいなものを求められていくんですけれども、やはり生物多様性の観点など、植生遷移が進んだ柳も混ざったような生物多様性の立場というので、ちょっと競合してしまうと。そういった判断なんかを地域に委ね過ぎると、どうしても逆に対立であったりとか混乱も生じかねません。なので、環境省としては、やはりそういったときの考え方というものをしっかり示していただけると、地元で検討が進めやすくなりますので、今後導入に当たっては、マニュアルなんかの整備などを進めていただいて、具体的なイメージを共有していただけると助かります。
以上です。
【古米委員長】 WEBの前田委員は追加でしょうか。
【前田専門委員】 すみません。大丈夫です。
【古米委員長】 それでは、内山委員。
【内山専門委員】 ありがとうございます。
スライドの13番で、調査内容「水環境健全性指標をベースに」と書かれている点について確認させて下さい。みずしるべというのは、定量的なデータをスコア化し、レーダーチャートを作成して点数をつけるような話だったと理解していますが、行財政、行政の指標に使うような定量的な指標というよりは、環境教育を始めとする普及活動などに使うような指標であって、行政側というよりは民間事業者の方々が使うような指標だと思います。それをベースに進めていくことの是非についてはやや疑問を感じる部分がございます。
ただ、多面的モニタリングは、前半で議論した良好な水環境創造のための評価システムの中で非常に大事なポイントですので、その点では大事だと思うのですけれども、制度設計の入口としてみずしるべから入るところに若干の違和感があります。それから、みずしるべの評価項目を見ると、明らかに河川とか陸水を意識したものであって、評価地点の中に海岸が入っていましたけれども、例えばさっきのスライドの17番のところをざっと見ると、海域で大事になるような指標がかなり抜けているとお見受けしました。海の場合は、まずは生物の生育環境としての底質の情報が必要ですし、あるいは環境の中から間引きを行う水産漁業の情報も大事ですし、そういったところがすぽっと抜けているので、横並びで川と海を議論するのは、ちょっとこれだと厳しいのかなと思いましたので、海は海のほうで少し再考していただいて、評価軸を少し検討していただけたらなと思います。以上2点、コメントでした。
【古米委員長】 ほかにいかがでしょうか。なければ事務局からお願いします。
【鈴木環境汚染対策室長】 たくさんのご意見をありがとうございました。
まず、加藤委員から最初にご質問がございましたスライド8のものとスライド9とかの関係ということで、これまでは特に制度としてやっていることはなくて、スライド8のものもこういう指標で、いろいろと水質以外も含めて調査してはどうかという一つの提案として出しているもので、こういうふうにやってくれというものではないです。なので、自治体は自治体でスライド9、10にあるようなことをお考えになって、それぞれやられているということですね。
今までは、まさに自治体さんのほうでも行政としてやっているところもあれば、最後、内山先生から教育的な観点、学習的な観点でやっているようなところもたくさん、むしろそちらのほうが多いかなと思っています。
最後の内山先生のみずしるべは、水環境学会のレーダーチャートで、3点満点で、「良い」、「悪い」、「普通」のように評価するというのは、まさに環境学習とかで利用するときは、こんな感じで子どもと一緒に水辺の調査をすることを提案しているのがみずしるべなのですが、実はこの学会の調査自体はもっと詳細版というのもありまして、今回は外しているんですが、詳細版ではアンモニアを測るとか、いろいろな指標でちゃんと測るようなバージョンを作っていまして、それを参考にして今回作っていますので、そういう意味では、みずしるべといって環境学習用にこうやってやろうよというものと詳細版と二つあるので、我々は詳細版の方をベースに考えているので、ちょっとその辺の説明が不足していて申し訳なかったのと、今回スライド17とかでお示しした指標は、先生のおっしゃるように、海はまだあまり検討できていなくて、やっぱり川を想定して作っているものです。海とか湖沼であれば、またちょっと変わったものが出てくるのかなと、それはこれから具体的な検討をしていく中で考えていきたいなと思っております。
それから、上西委員から、推進委員みたいな制度はどうかといったようなこと、大変貴重なご提案かなと思いましたので参考にしていきたいと思っています。
それから、上西委員、大久保委員からも効率化について、単純に減らすことはできないよね。そのとおりかなと思っていますけども、一方で、初回のこの小委員会でも少し議論がありましたけども、5,000か所とか7,000か所ということで、今のやり方でやっていくのが果たしていいのかという別の観点はやっぱりあるかなと思っていまして、もう少しやり方の部分で効率化できるものもあるのかなと思っていますし、例えば今、二十何物質ということで、かなり精度高く、0.01ppmまで測りましょうというのを7,000か所、毎月やっていますけど、もうちょっと効率的に汚濁を把握できるようなやり方もあるのかなと。そういったこととの組合せで全体を少し考えていくのかな。何か安全とか、水質の把握が不足するようなことを考えているんじゃなくて、もう少し効率性というのは何かできることがあるのかなというふうに思っております。
それから、個別指標、個別観点というのを鈴木委員からご意見をいただきました。そこもこれから具体化する中で考えていきたいと思います。指標という言葉の使い方を気をつけたいなと思いますけども、最初にご紹介した5ページの在り方検討会の報告書では、ある程度感覚的なものの指標とかというのもうまく取り入れてやっていってはどうかという提案もいただいているので、言葉をちゃんと使い分けながら、主観的な、感覚的なものも含めて、何かうまく制度が設計できたらいいなと思っています。
春日先生から、そういったところは行政の調査なのというところもありましたけども、やっぱりある程度民間で全部やってくださいといって、それが持続的にうまくいくのかというと、やっぱりある程度行政も関与していったほうがいいのかなと思っています。そこの役割分担とか指標の中身は、これから検討をしていきたいなと思っております。
あとは、地域のデータベースをうまく使うとか、いろいろご意見をいただきました。規制強化との関係は、あんまりそこまでは考えていなかったですけども、ご意見としては意識をしていきたいと思います。
以上です。
【古米委員長】 皆さん、よろしいでしょうか。
多面的なモニタリング自体は非常に重要性はあるんだけども、実際に誰がどのようにやるのかということと、大久保委員も言われていましたけども、これを何に生かすのかという活用のスキームみたいなものもお示しいただくと、どういうスタイルで設定したほうがいいのか、その設定により実施方法も変わりますので、再整理いただくといいかなと思いました。
ほかに特になければ。よろしいでしょうか。
(なし)
【古米委員長】 それでは、その他ということで、参考資料2、第10次水質総量削減の在り方について(概要)を事務局よりご説明をお願いいたします。
【清水海域環境対策推進官】 参考資料2について、事務局より説明をさせていただきます。
こちらの資料は、昨月17日の第19回水環境土壌農薬部会へもお出ししている資料となります。
2ページ目をご覧ください。
水質総量削減制度の対象水域である東京湾、伊勢湾、瀬戸内海におけるCOD、窒素、リンに係る汚濁負荷削減については、5年に一度見直しを行いながら進めてきており、第10次水質総量削減の在り方について、令和6年10月に諮問したところです。
諮問理由にあるとおり、対象水域の水質は全体として一定程度改善してきているものの、水質汚濁が課題となる海域が依然として存在をしている、一方では、一部の海域ですけれども、窒素、リンといった栄養塩類濃度が低いことによる生態系や水産資源への影響に対する懸念が指摘されている状況です。
こうしたことから、指定水域全体の水質を対象とした総量規制から、よりきめ細やかな海域の状況に応じた水環境管理への移行について審議を進めてきたところでございます。
審議の結果については、今月7日付で答申をいただいておりまして、3ページ目をご覧ください。
現状と課題については、今申し上げたとおりですけれども、真ん中のところで今後でございます。①として、栄養塩類管理制度を導入するということで、環境悪化のおそれがなく、地域ニーズがある場合は、栄養塩類管理計画の策定による栄養塩類の増加措置を可能とし、当該措置の実施者には総量規制基準を適用除外とすること。また、②としては総量削減制度の基本的な枠組を維持しまして、水質が悪化しないよう汚濁負荷などの総量を管理する方針が示されたところでございます。
こちらの答申で、例えばどのような点が変更になるのかというところでございますけれども、4ページ目をご覧ください。
上側が現状の水質総量削減制度、下側が今後の水質総量管理制度となってございますけれども、現状の制度ですと、目標量については現状を維持する、もしくは削減をするということでございました。一方で、下側ですけれども、今後については海域の状況等に応じて、目標量を増加させる場合もあるということでございます。
続きまして、5ページ目ですが、答申で示された幾つかの課題についてお示しをしてございます。第10次水質総量削減の実施において対応すべき課題としては、制度の運用として順応的管理のための事前評価に係る支援や、モニタリングの充実、汚濁負荷量把握や水質予測モデルに関する調査研究の実施等が掲げられたところでございます。
最後に、6ページ目でございますけれども、総量の答申を踏まえた上で進め方でございます。
左側と右側の二つのトラックに分かれておりまして、左側のトラックでは、答申を踏まえまして、海域ごとのきめ細やかな水環境管理に向けて、海域の状況等に応じた目標量を設定するなど、答申の内容を総量削減基本方針に反映させまして、都府県による総量削減計画の策定を支援していくこと等を書いてございます。
また、右側のトラックですけれども、こうした総量の答申で取りまとめられた総量管理制度への転換につきましては、この水環境制度小委員会へもインプットの上、今後の検討を進めていきたいということで、ただいま説明をさせていただいたところでございます。
事務局からの説明は以上となります。
【古米委員長】 どうもご説明ありがとうございました。
もしご質問等があればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
もし、全体を通じて何かご発言があれば、さらにお伺いしたいと思いますがよろしいでしょうか。
内山委員。
【内山専門委員】 全体でよろしいですか。
今日の議論を通じて強く感じたのですけれども、トップダウンからボトムアップへの行政転換、政策転換が行われている流れで議論を進めているわけですが、西嶋先生がご指摘されていたように、ボトムアップ型だけでやると、地域地域の環境がどうあるべきかというビジョンがうまく見えないという問題点が想定されます。過去3回の議論を通じてかなり明らかになってきたのは、やはり国として良好な水環境というのはどういうものなのかというビジョンを持っておいたほうがいいんじゃないかなと強く思いましたので、国としてどのような水環境を目指すかということの指針とか方針みたいなものを盛り込んでいったほうがいいのではないかと思いました。
というのも、里海づくりをやっている中で、KGIを設定してください、Key Goal Indicatorの略語ですが、要はこの海をどうしたいのかというのを各実施団体の人たちに、将来的なビジョンを立ててもらっています。逆にいうと、では環境省のKGIが何であるのか、と問われたときに、現時点ではそれが十分に明確になっていないので、我々は事業者の方に求めていることを環境省にも求めていかなくてはばいけないんじゃないかと思いました。
最後、コメントです。
【古米委員長】 事務局、何か。
【鈴木環境汚染対策室長】 大変重いご指摘かなと思いますが、確かになと思って聞いていましたので、ちょっと考えていきたいと思います。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。
(なし)
【古米委員長】 それでは、本日の予定の議題は終わりましたので、事務局でいろいろご意見を踏まえて検討いただければと思います。
それでは、今日の審議は終了して、議事進行を事務局にお返しします。
【嶋田主査】 本日は委員の皆さんにおかれましては、大変ご活発なご審議をいただきまして、大変ありがとうございました。
古米委員長からもありましたけど、今回いただいた意見等を整理して、次回以降、各論点の議論を深めていきたいと考えています。次回の日程については、追ってご案内いたします。
また、今回の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様の確認を経て、環境省のウェブページで掲載いたしますので、ご対応のほうをよろしくお願いいたします。
では、以上をもちまして、本日の水環境制度小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。
午前11時58分閉会