水環境制度小委員会(第2回)議事録

日時

令和8年3月16日(月) 15:00~17:30

場所

Web会議システム併用(YouTubeによるライブ配信)

議題

関係団体及び有識者へのヒアリング

議事録

午後3時00分開会
【嶋田主査】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会水環境制度小委員会を開催いたします。
 委員の皆様には、ご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日の委員会は、委員総数16名のうち、13名の委員が参加されております。石川委員、上西委員、春日委員がご欠席の予定です。定足数の要件は満たしていまして、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。
 また、webを併用した開催であり、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信しております。
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。議事次第の配付資料一覧をご覧ください。
 資料1に本委員会の名簿、資料2から7として、本日ご発表される団体、また有識者の皆様からご提出いただいた資料をお渡ししております。また、参考資料として、第1回水環境制度小委員会の資料6・7、良好な環境の創出・活用を推進するモデル事業の実施状況、また、第1回水環境制度小委員会における主な御意見についても配付しております。不足等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 なお、これらの資料及び本委員会は、運営規則等に基づき公開とさせていただきます。
 それでは、これより議事に移りたいと思います。古米委員長に議事の進行をお願いいたします。古米委員長、よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 はい。それでは早速ですけれども、議事に入りたいと思います。
 本日の議題は、水環境制度関係団体及び有識者からのヒアリングを行います。
 ヒアリングに先立ちまして、事務局よりヒアリング実施の趣旨をご説明お願いしたいと思います。
【泉環境管理推進官】 はい。それではヒアリング実施の趣旨について、参考資料を基にご説明いたします。
 まず参考資料の1をお手元にご準備をお願いいたします。
 こちらは前回の第1回水環境制度小委員会における資料でございまして、こちら、ざっとレビューをまずさせていただきます。
 1ページ目をお願いいたします。おめくりいただきまして、1ページ目をお願いいたします。
 本小委員会は、地域における水環境に係る課題の多様化を踏まえた環境大臣からの諮問を踏まえ設置されておりまして、この右側に示すように、良好な環境の創出、また、水質以外の水生生物や景観なども含めた多面的なモニタリング、また、水質汚濁事故対策の推進を主な論点として考えております。
 2ページ目は飛ばしまして、3ページ目をお願いいたします。
 良好な水環境の創出については、水質汚濁対策が喫緊の課題であった昭和の時代から、これまでの汚濁対策の制度をベースとしつつ、良好な水環境の創出を目指す令和の時代での制度への発展の必要性があるという点について提示させていただきました。
 4ページ目をお願いいたします。
 加えまして、豪雨災害の増加等により、水質汚濁事故が引き続き発生しております。事故時の措置や対応についても課題として提示をいたしました。
 続いて、5ページ目をお願いいたします。
 これらを踏まえ、制度の見直しの方向性として、検討項目1として良好な水環境の創出に向けた対応、検討項目2として水質汚濁事故対策の推進、検討項目3としてその他の水環境行政の方向性、また、総量「管理」制度の転換と、この4点お示しをいたしました。
 続いて、参考資料の2をお願いいたします。
 先ほど申し上げた見直しの方向性を踏まえまして、この資料でお示しした論点について、第1回でご議論をいただいたところでございます。
 本日のヒアリングにつきましては、この論点ペーパーの右側のaの良好な環境の創出に向けた取組及びbの水質事故対策の推進に関連する方々をお招きしております。
 本日の資料の2から5、資料2から資料5までが論点aに関するものでございまして、資料6と資料7が論点bに関するものとなります。
 本日のヒアリングにおいては、aの論点については、豊かな水辺の保全により地域住民のウェルビーイングの向上、また、地域活性化を実現するような取組。また、水質のみならず、生物多様性の保全や地域づくりに資する水環境管理を目指す取組はどうあるべきかという観点。また、bの論点については、水質事故対策をどう推進すべきかといった観点からご質問、ご議論いただきたいと考えております。
 続いて、参考資料3をお願いいたします。
 論点のaに関するものとして、良好な環境の創出・活用推進モデル事業の実施状況をご紹介した資料となります。本日は、このモデル事業実施団体のうち黄緑色の5番の北房観光協会、また、紺色の8番の肥後銀行、肥後の水とみどりの愛護基金からご発表いただきます。
 また、参考資料4として、前回の小委員会での皆様からいただいた主なご意見を取りまとめておりますので、ご質問、ご議論に当たりご参照いただければと存じます。
 事務局からの説明は以上となります。
【古米委員長】 はい。ご説明どうもありがとうございました。
 本日は、一般社団法人北房観光協会、公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金、肥後銀行、法政大学現代福祉学部准教授野田岳仁氏、横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課、神奈川県環境農政局環境部環境課、淀川水質協議会、全部で6団体及び有識者1名からヒアリングを行います。
 本日の進行ですけれども、まず4団体からご意見をいただき、質問を設け、その後、2団体からの意見質問を設ける流れで進めます。
 会議の時間の制約上、ご意見は団体ごとに10分程度を目安といたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、まず最初に、一般社団法人北房観光協会からご意見をいただきたいと思います。それでは坂本様、お願いします。
【一般社団法人北房観光協会】 はい。よろしくお願いします。パワポ資料のほう、よろしくお願いします。
 私は環境省の令和7年度良好な環境を活用した観光モデル事業を実施しております、岡山県真庭市から参りました、北房観光協会の坂本と申します。本日はこのような機会をいただき感謝いたします。どうぞよろしくお願いします。
 私たちは、真庭市・備前市・笠岡市で、農業、林業、漁業などを営みながら環境保全に取り組んでいるメンバーと、学習体験を提供している団体が集まったチームです。
 パワポの二つ目でございます。
 これまで3エリアはそれぞれエリアごとに点で活動しておりました。備前市日生はアマモ場の再生の先進地であり、令和の里海づくりモデル事業に取り組んできました。アマモ場の再生やカキ殻を活用して海底環境の改善、クロダイの大量発生への対応などを実施してきました。
 また、笠岡諸島では早くから海洋牧場事業が始まっており、魚礁で稚魚を育て、信号音でコントロールして、成長するまで沖合に出さなくすることで、多様な魚が生息する海を取り戻すための事業に取り組んで来ました。
 そして、真庭市北房エリアでは、昭和30年代からホタルの保護活動が活発に行われており、子どもたちや若者によるホタルを守るための川ごみ拾い活動や、ホタルの餌となるカワニナを放流する活動などを実施しています。
 しかし、海だけ、山だけの点での活動には効果に限界があると思います。栄養塩や資源を効果的に循環させていくことが課題です。
 パワポ3ページです。
 そのため、流域としてつながっている里山と里海の保全は一体的に考えることが重要であるとの視点に立ち、近年では、水の連環を意識した線または面での保全活動に力を入れています。
 パワポ4ページです。
 例えば備前市日生ではカキ殻を粉砕して肥料をつくり、里山の田んぼや畑に散布して、里海米や里海野菜、里海卵など、海の栄養を山側に展開する活動が進められています。実は私もそのカキ殻肥料を使っている里海米農家です。
 かつては魚の遡上や鳥による栄養の循環が形成された時代もありますが、その時代を取り戻すことはできないまでもですね、里海の栄養を里山に戻すという貴重な栄養連環をつくっている。といっても過言ではないと思っています。
 パワポ5ページです。
 また、真庭市北房でのホタルの保護活動は、ホタルを守れば海も守れる、里山から里海を守るという合い言葉の下、学校の授業として、ホタルの生態や里山・里海のつながりというテーマで体験学習の授業を行っています。また、環境保護とホタルの保護を啓発するオリジナル子どもミュージカルが結成されており、4年生の学習とミュージカルをセットにして、大勢の人の前で発表しています。瀬戸内海の海ごみ問題を上流域から改善するための活動と啓発が、次世代によって活発に行われています。
 パワポ6ページ目です。
 また、子どもたちに里山・里海のつながりを、あるいは連環のことを、すばらしさを学んで体験してもらうために、里山の北房小学校と里海の日生西・東小学校の学校交流体験なども実施しております。
 パワポ7ページ目です。
 一方、これら3エリアは、いずれも環境保全に係る費用を捻出することの難しさや担い手不足、過疎化など、同様の問題に直面しています。この図は計画書からの抜粋ですが、そこで、3エリアが水の連環をテーマに3エリアを線で結び、里山里海の広域3エリアを一つの面で捉え、連環をテーマに観光を行うことにより、3エリア共通の地域課題の解決のため、この度の環境省事業に応募して採択されたということでございます。現在、環境省さんとの伴走の下、一緒に成果を求めて取り組んでいます。
 パワポ8ページです。
 この度の事業の特徴として、新たに森の経営と、栄養塩、海の保全に関するコンテンツを造成しています。瀬戸内海は、かつて内海特有の多様な魚介類が生息しておりましたが、森林放棄や耕作放棄などで森からの栄養が不足するなどの要因で、貧栄養の海になってしまったと言われています。豊かな栄養塩を海に送る手段として、森林放棄による枝の密集で暗い森が増えてしまったところを間伐作業で日照を増やし、栄養塩の元となる雑草、広葉樹の低木の植林など、取り組んでいこうとしています。豊かな栄養塩を生み出すことや保全活動そのものを体験学習として提供することや、ウェルビーイングな森への誘客コンテンツを造成しています。
 さらに、間伐したヒノキは、瀬戸内海のカキの養殖イカダの材料として納品するなど、人による物質の連携・連環をつくっています。
 パワポ9ページです。
 このように岡山県真庭では、豊かな森をつくる若者、笠岡ではアマモの種つけワークショップを提供する若いダイバー、日生では海洋に起こる生物の減少などを情報収集してSNSで発信している若い女性、私たちはこの若いメンバーをリーダーとして位置づけ、彼らをレンジャーという言葉で呼び、若いレンジャーが若い人を呼び込むというイメージで運営の仕組みをつくっています。
 この若い世代の保全活動に役立てるため、今回の事業を活用させさせていただき、海外の意識の高い外国人に私たちの活動やコンテンツ情報を発信して訪れてもらうこと、仲間を増やすことを目的に、ツアープログラムを造成しているということです。
 パワポ10ページ目です。
 さて、改めて現在の課題ですが、森林放棄、耕作放棄による栄養塩の減少、気候変動による海水温の上昇などなど、これらは直ちに生命の危機に直結するものではないということもある。そして私たち民間の力ですぐにどうにかできるものでもないことから放置されてきた感があります。このままでは私たちのふるさとはどんどん疲弊していくのですから、問題の早期解決を望んでいます。
 次に、民間から行政や専門機関に対して計画を説明して協力を要請するということの難しさに直面しています。私たちは、今回の2年にわたる環境省の事業で、これで大きな基盤をつくれるだろうという期待感を持ちながら取り組んでいますが、果たして2年間の取組で確固たる環境保全に資する体制が整い、人材が育ち、地域の活性化につながる成果が現れるかどうかは断言できません。私たちモデル地域として成果を求めてまいりますが、事業を進める中で感じていることは、このような取組は、行政、教育など各機関との総合的な連携実態があってこそ継続できるのではないかと考えています。
 事業を中長期で継続させるために、現状では私たち民間から行政や関係機関に対して計画説明を行い、協力を要請するという方法しかなく、そこには継続して十分な説明ができる人材や胆力、労力、人件費が必要となります。行政や各関係機関と響き合って連携自体をつくるには、何かしら国から地方行政へ、地方行政から私たち民間へとつながるトップダウンの仕組みがあれば、地方行政機関の主体的な協力も期待できるようになり、私たち民間も生業を営みながら、ふるさとの環境を中長期で保全するための計画を担保できます。
 また、私たちには専門知識や誘客ノウハウはなく、活動はやっぱり脆弱です。現状では、各機関の皆様に対し、環境省さんという国をバックにアプローチして情報を共有することにより、誘客に関する広報発信の協力をいただくというところにとどまっています。国のバックアップを根拠としながら、各機関へのアプローチを円滑に進めることで、各機関との総合的な連携体制をつくっていくことが、事業継続の上で重要だと考えています。
 これらの課題を解決するためには、例えばです、面で取り組むことの重要性を、行政や専門機関に理解が進むような制度があればいいな。行政の皆さんと連携自体がスムーズに構築できるように思います。
 行政界をまたぐ場合の制度の在り方として、広域で取り組むことを推奨していただければ説明しやすくなります。コーディネーターなど、地域をつなぐ人材確保も、制度化することで人材育成に力を入れやすくなるように思います。現状では民間主体の任意の取組であるため、自分たちがやりたいという思いだけでやっているように見られてしまいます。任意ではなく、国が示す方向性に基づいた取組とすることで、現場の団体が動きやすくなると考えます。また、取組が制度化して位置づけられることで、地方自治体への理解が進み、関係企業の巻き込みをしやすくなると思っています。
 パワポ最後です。
 すばらしい環境を後世にしっかりと渡していくための取組は各地で始まっています。ぜひこれからは郷土の環境について広域で捉え、そして、里山と里海の人が十分に連携した状態をつくり出せるよう、環境省さんだからこその施策を展開していただきたいと思います。
 お伝えしたいことがたくさんあり、早口で申し訳ございませんでした。ご容赦ください。ご清聴ありがとうございました。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金及び肥後銀行からお話をいただきたいと思います。
 肥後の水とみどりの愛護基金からは大野様に、そして肥後銀行からは岡本様ということで、それぞれご説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金】 委員長、枚数が多いので、手前でエンターを押してもよろしいですか。
【古米委員長】 はい、どうぞ。
【公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金】 ありがとうございます。
肥後の水とみどり愛護基金の大野です。それではご説明をさせていただきます。
 私どもが暮らしております熊本地域、約100万人は、地下水の真上で生活をしております。そして、その使っております上水道は、100%地下水になります。
 私どもが地下水の保全活動を始めたきっかけでございますが、我々の財団の母体であります肥後銀行第8代頭取、長野吉彰氏の問題意識から生まれております。
 40年前に長野氏が記述しております文書、これを用いて、私どもの活動の原点・哲学をご説明させていただきます。
 熊本市の名所である水前寺公園、その名のとおり、阿蘇に源を発する清冽な地下水をこんこんと湧き出し、市民にこよなき集いの場を与えてきた。ところが、近年その湧水量が恐るべき減少傾向を示し始めている。
 おいしく豊かな地下水は、長い年月をかけてろ過され、浄化されつつ名水として熊本平野へと伏流し、やがて再び地表に出る。造化の神の妙技というべきであろう。
 水資源の枯渇問題とともに、もう一つの深刻な問題は地下水の汚染である。熊本市周辺の井戸水調査で有機塩素化合物が検出された。
 20世紀前半まで、日本人はこよなく自然を愛し、自然と人間の調和共存の上に独特の奥ゆかしい文化を築き上げてきた。その同じ日本人が、同じ国土の中で暮らしながら、成長とか開発とかいう名に酔いしれて、いつの間にか、何百年、何千年と受け継いできた自然への対し方をあまりにもさっぱりと忘れ果て、捨て去ってしまった。
 熊本県は、熊本市でも、熊本日日新聞社がキャンペーンを展開して既に5年目になる。
 しかしながら、自然保護や環境美化について語る人は多いが、自らの手で自らの身の回りから実践し始めている人の比率は、悲しいかな、まだ低いのも事実である。
 このような実情を踏まえ、肥後銀行は去る4月、熊本日日新聞社と手を携え、肥後の水資源愛護賞を創設した。
 私どもはこうした原点・哲学を基に、自らの手で自らの身の回りから具体的な実践活動を開始してまいりました。
 そして1987年、肥後の水資源愛護賞を創設し、制度化しました。その後、1992年、財団法人肥後の水資源愛護基金を設立し、2008年になりますが、肥後の水とみどりの愛護基金に名称を変えております。この設立によって組織化を図りました。
 具体的な我々の活動ですが、一つ目が助成金事業。1987年から39回実施しておりまして、383先に助成をし、1億円を超える助成金を拠出しております。そして、自らの手による実践活動を阿蘇外輪山、カルデラの北外輪で行っております。
 二つ目の、【森林】地下水涵養林の管理であります。「阿蘇大観の森」と名づけました森を62ヘクタール購入しまして、針葉樹(人工林)を涵養効果の高い広葉樹へ移し替えております。今までに15万本を超える広葉樹を植樹しております。
 三つ目が【草原】でありますが、「阿蘇の草原」の保全ということで、20ヘクタールを買いまして、地下水の涵養・生態系の維持・景観維持に努めております。ここでは毎年野焼きを実施しまして、今年度からは蒸発散量、地下水の涵養力の調査に着手をしております。
 四つ目が、【水田】棚田の湛水事業であります。「阿蘇水掛の棚田」と名づけました棚田を、2011年、阿蘇市と連携協定を結び、25年ぶりに復活をさせました。現在71枚、2.26ヘクタール、こちらに企業18社、850名の方がボランティアで参加いただいております。うまくいけば、今月、自然共生サイトに登録いただく予定になっております。
 ここでは科学的なデータ取得のために地下水涵養力の調査を行っております。全ての棚田にこのような水位計を設けまして、今年度は約25万立米の地下水を涵養することができております。
 五つ目が【湧水池】の水質の調査であります。県内18か所の湧水、11か所の防災井戸の水質調査を毎月実施しております。
 六つ目が、定款を新しく追加をいたしまして、【海岸域・沿岸域】、いわゆる里海の保全にも努めております。産・官・学・民・金、6者間の連携協定を結びまして、アマモ場の再生、自然共生サイトの登録に努めております。
 環境省の戦略的「令和の里海づくり」基盤構築事業にも参加させていただいていまして、成果としますと、ブルーカーボンクレジット31トンを熊本県下で初めて取得し、これを肥後銀行でクレジット化しまして、19社、300万円を超える資金化に成功しております。計石湾というところでは、アマモ、コアマモの移植を現在やっておりまして、21年連続して行っております。カーボンクレジットを購入いただきました企業には「サンクスツアー」と銘打ちまして、うたせ船体験を実施しておりまして、各企業の皆さんに慰安旅行で利用していただくように進めております。
 このように地下水保全活動をきっかけとした、阿蘇の山から森林、草原、棚田、河川、湧水池、海岸域に至る里海まで、そこで流域周辺で暮らす人たちと一緒になって、地域に根差した環境保全活動が大切であるということを痛感しております。
 そして、水循環活動、水循環の保全活動はボーダーレスだということに気づきました。市町村の垣根があってはなかなかうまくいきません。
 長野さんが40年前に書かれた文章の結びの部分ですが、「21世紀に向かって水資源が、それ自体に立派な「経済価値」を持っていることを考えれば、熊本市の経済社会両面にわたる極めて効果のある地域振興策につながるものである」。
 そして、21世紀の現在どうなったか。世界トップクラスの半導体製造工場が1兆2,000億円を超える補助金を日本国から得まして、熊本に進出してきております。その後、100社を超える関連企業も進出してきました。
 40年のときを経て、水資源の経済価値は証明されたことになりますが、問題は継続したままです。大量の地下水の利用、涵養域の減少、半導体製造過程で利用される有機フッ素化合物による汚染の懸念などであります。こうした変わらぬ問題を誰がどのように守り続けていくのか。保全事業継続のための私どもの問題意識としますと、水環境保全ビジョンのまずは明示化、そして水保全のための全体像をお示しいただきたいと考えております。
 個別の問題とすると、税金問題、環境保全目的でも固定資産税は発生し続けます。農地問題、公益財団法人は農地を取得することができません。農地を借りる場合、農業委員会の、結構壁は厚いです。保安林の問題、針葉樹(人工林)、これを涵養効果の高い広葉樹へ移行するにもいろんな弊害があります。自然共生サイトの登録、一生懸命やりますが、それの調査コスト、申請負担は、結構多大なものがあります。
 我々はずっと以前から、地域金融機関の使命としまして、二つ考えております。一つは、県内GDPを押し上げていくという、これは本業でありますが、経済資本をしっかりと発展させるということ。それと、生きていく上で当然大事な自然資本、県内の自然環境をしっかりと守っていくといったことにも投資をし続けます。この両輪、これで国内総充実を図り、地域金融機関がそして関与していく意義としてはっきりしてきているのが、公共性担保と社会性の確保につながっていくということ。ひいては、強い経済基盤で自然豊かな生活。当たり前ですが、これをしっかり守っていけば、地域住民のウェルビーイングにつながるものと信じて、これからも熊本の水循環の保全に一生懸命取り組み活動を継続してまいりたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【古米委員長】 はい。どうもご説明ありがとうございました。
 それでは続きまして、法政大学現代福祉学部准教授の野田様よりお願いしたいと思います。
 はい。それではよろしくお願いします。
【野田准教授】 はい。法政大学の野田と申します。
 良好な水環境の創出に向けてお話させていただきます。私の専門は環境社会学になりまして、水と人との関わりについて、25年ぐらい研究を続けてきました。
 特に、昭和の名水百選が1985年に選定されてから40年たちまして、名水百選の選定地が今どうなっているかということです。
 この写真がちょっと象徴的だと思います。これは秋田県の美郷町六郷地区というところです。名水がまち中にたくさん残っているのですけど、冬の時期になるとこのように雪を捨てるような空間になってしまっている。確かに水場は残っているわけですけれども、実際には利用者というのはもうほとんどいらっしゃらないという形です。六郷町では、アクアツーリズムと呼ばれる、この水環境を生かした観光に取り組んでいますけど、観光客も年々減少しているような形になっているわけです。
 この写真のように、水場は確かに存続して残っているわけです。でも実際に利用者がいなかったりする。もちろんその管理者もいなかったりして、この水場の価値というものが存続しているかというと、なかなかそうなっていない状況がある。名水百選の多くの地域が抱える課題となっています。
 もう一つですね。2008年の平成の名水百選に選定をされた、長野県の松本市の源智の井戸というところです。源智の井戸は松本市の観光スポットにおいても中心的な存在になっています。ここでも水場の管理組織が存在していました。この井戸は毎週お掃除しないと、藻が生えてしまいます。毎週地元の町内会のグループの人たちがお掃除をしていたのですけれども、高齢化に伴って解散しました。
 一方で、水汲み場になっていますし、松本市にはこのような公共井戸が多数あって、それが観光にも活用されているので、観光客数はとても伸びていますし、皆さんこういう名水巡りをするわけですね。だから利用者はすごく来ます。ここは1日150人ぐらいがくみに来るわけですね。だから利用者はすごく拡大しているのだけど、管理の担い手は縮小して、解散してしまったという現状にあります。
 じゃあどうしているかと、月に1回ですね、ボランティアを集めて、ボランティアがお掃除をしているような体制。そして業者にも委託して月に何回かというお掃除の体制を取っているわけですね。ただ、なかなか持続可能な仕組みにはなっていないという状況にあります。だから、写真にもあるように、藻が生えているような現状にあります。
 良好な水環境というと、特にこの名水百選の中では、井戸とか湧水というのが中心的になりますので、そういうものを我々は水場あるいは井戸端と呼んでいますが、そういうものの価値って一体何だろうかということです。価値の継承が大事だと言ったときに、この価値を問い直すことが重要になります。
 昭和の名水百選にも選定されている長崎県島原市の浜の川湧水というところでは、管理の担い手がむしろ増加しているという、興味深い現象になっているわけです。この写真にもあるとおり、昭和45年、平成3年、令和6年という形で、本当に人々の利用の形態というのは変わっていないわけですね。水汲みもするし、洗濯もするし、そして炊事場にもなるし、そして地域の憩いの場、子どもたちの遊び場になっているということです。こういう水場の価値がきちっと引き継がれていれば、おのずと管理の担い手は現れてくるようになっているわけです。
 そう考えると、先ほど見たような六郷とかですね、松本市の源智の井戸みたいなところというのは、実はこの水場の価値というのが失われていて、その価値をちゃんと再認識できれば、やっぱり大事だから継承したいなという人々が現れてくるのではないかということですね。
 それを地元の郷土資料の中から見ていくと、水場の価値とは何かといったときに、旧有明町が合併して島原市になりましたが、そこには、“井戸端”という記述があります。「野菜を洗いながら、洗濯をしながら四方山話をしたり、情報交換をしたり、たまには嫁やしゅうとめの悪口のはけ場所でもありましたが、若い嫁さんは先輩のお母さん方から、子育てや、近所づきあいのしかた、家事にいたるまで、大事な生活の知恵を学びました。これが井戸端会議です」と書いてあるのです。実際に浜の川湧水も本当にそういう存在なのですよね。だから、こういう水場の価値、井戸端の価値がきちっと残っているところは、ちゃんと担い手もうまく現れるようになっているということです。
 整理すると、一つ目は水汲みとか台所とか洗濯場ですけど、これは資源的な価値とか、あるいは資源的な機能と言い換えてもいいと思うのですね。こういうものがある。二つ目は子どもたちの遊び場にもなっているし、社交場にもなっているし、憩いの場にもなっている。そして生活の知恵を学ぶような場にもなっている。これは資源的な価値に対して社会的な価値ということで、我々は分析をしてきたわけですね。
 これは大事なことですが、この資源的な価値というのは、実はもう代替可能になっているわけです。我々は、近代的な暮らしをするようになって、昔は台所や炊事場として使っていたものも、家に帰れば当然近代的なキッチンがある。そして洗濯場についても、洗濯機は皆さん自宅にあるわけですよ。でも今なぜおばあちゃんたちがわざわざ水場にやってくるのかといったら、人に会いに来ていると言っているわけですね。だから洗濯の機能を求めているよりも、そこでおばあちゃんたちの付き合いがあって、人に会いに来るのだということですよね。この社会的な価値というのは実は代替できないのですよ。人間関係とひもづいているから。そういう価値をどう残していくかというのが一つポイントなのだろうなと思います。
 この浜の川湧水では非常に観光地化が進んでおりまして、1日に300人ぐらい来るのですね。水汲みとか遊び場として利用されるわけです。でも地元の人たちは町内会でお掃除していますけど、それを全く否定的に捉えていない。むしろ歓迎している。なぜならば、その観光客の中から、この水場はすごく価値がある、残したいなと思った人が、自然に管理の担い手に加わってもらえるだろうということで、実際に担い手に加わっているような現象が起こっているわけです。
 そういうことを踏まえたときに、松本市の鯛萬の井戸では、むしろ担い手がうまく加わり、拡張するような現象が起こっています。この週末も松本市で住民の皆さんと行政の皆さんとディスカッションしてきたのですけれども、この写真にあるように、鯛萬の井戸の掃除ではもともと毎週3人でお掃除をやっていました。ただ、高齢化で1人亡くなってしまったので2人になったのですけど、地元の中学生がこの井戸に関心を持って、2023年に鯛萬の井戸を舞台に地域の夏祭りを企画して、それがすごく好評だったので、地域の祭りとして毎年やるようになっているわけです。そのお祭りを通じて、「鯛萬の井戸ってこんないいところがあったのだね」ということが分かるようになって、では皆さんでお掃除のボランティアをしませんかということになった。毎週のお掃除は大変なので、月に1回お掃除会やりましょうということで、そこに20数名が参加するようになっています。10人以上じゃなくて、実際には20数名の参加がありました。
 源智の井戸と何が違うかというと、毎週の掃除をしている人たちが常にいることです。それに加えて、月一のボランティアが加わっているので、ある種2層構造になっているわけですね。
 そして、今回行って僕は気づいたことですけど、毎週のお掃除は3人から2人になっていたのが、実は再び3人になっていて、新しく1人加入している方がいました。それは皆さん、この鯛萬の井戸の価値というのをよく分かっていて、やっぱり子どもたちを遊ばせたいとか、皆さんの憩いの場になっているからこれは絶対残さないといけない。だから、私もボランティアに参加するのだということです。それだけではなくて、今お仕事を抱えている方も将来的には毎週の掃除に参加してもいいと話していました。やっぱりこの水場の価値の再認識というのが、すごく大事なのだなということですね。
 こういう水場の価値をきちんとうまく継承できているところは、地域活性化につながっています。これは平成の名水百選の選定地である滋賀県の針江集落というところですが、住民の皆さんの台所が観光資源になっています。地元では、NHKのドキュメンタリーで特集をされたことをきっかけに観光客がやってきたので、観光地化するかどうかをめぐって、地域が分断しました。もう二分するぐらいの激しい対立で、私も長らく調査をしてきましたが、おまえはどっち派なのだと言われるほどでした。そのぐらい厳しい状況があったのですけど、今はもうそうした対立はなくなりました。批判もなくなっています。
 それはなぜかというと、一人1,000円とってガイドツアーということをやっているからです。ピーク時は年間1万人の人が訪れ、1,000万円の売上げが集落に入る形になりました。それを皆さんのポケットに入れるわけじゃなく、集落の環境保全活動とかまちづくり活動にどんどん循環・還元するようになったのです。そうすると、地域のいろんな管理の手が行き届かなかった空間がすごく充実するようになって、人々の暮らしの充実や住民の満足度も高まるようになりました。
 そしてうれしいことは、165軒ぐらいだった集落の戸数が、今、170軒ぐらいに増えています。それは集落外に出た息子世代が、かつては何もないような田舎だったのに、今ではすごく元気になっていて、海外からも注目されるような集落になっているので、地元に戻ってくるようになっているからです。そして水源地域とも連携するようになっています。この水場の継承が地域住民のウェルビーイングにまさにつながっている事例です。
 このような形は名水百選の選定地以外でも、名水づくりという形で活発化するようになっています。新潟県の津南町の見玉集落では、いわゆる小規模水道ということで、水道法の規制を受けない、100人以下の集落水道を自分たちで運営をしています。公営水道も入っているのですけど、集落水道を維持してきていて、すごく水が豊富なところなので、ほとんどの水を使わず流しているのですね。その水を捨ててしまうのはちょっともったいないだろうということで、ファミリーマートにこれを提供するようにして、「津南の天然水」として販売しているわけですね。これは東京でも買えますけど、その売上げの一部を集落に還元する仕組みになっています。この集落は豪雪地帯なので、年間の自治会費が6万円かかる。それが大きな負担で、なかなか若い人が外に出てしまって、帰って来ないということがあったのですけど、その経費を負担しよう、軽減しようということで、協力金を使って1.2万円にまで引き下げる取り組みをやっています。そして、集落内の全ての道路に消雪パイプを整備することができました。過疎化は確かに進んでいるのですけれども、集落の持続性を支えるようになっているということですね。
 そしてもう一つは、富山県の氷見市の上久津呂集落です。今まではどっちかというときれいな水のだったのですけれども、ここはそうではなくて、水質的にはそんなによいわけではないのですね。これは農業用の用排水路になっています。そこに絶滅危惧種のイタセンパラという魚が生息しているわけです。なぜイタセンパラのようなこんな貴重な魚がいるかというと、この農業用の用排水路では、水位が増減したり、有機物も流れ出る。そのことがまさにこの良好な環境を守ってきたのだということです。
 この環境を生かしたアクアツーリズムを我々もサポートしてこういうことをつくってきたのですけれども、これは単に「貴重な生物がいるから守ろう」ということではなくて、農業の暮らしがそこにあるということです。農家の皆さんはその環境を実際に暮らしに使っているわけですね。その水も使っている。そのように使い続けること、そして暮らしに取り入れることが、持続可能な保全にもつながっているし、ある種の活用にもつながっているということです。
 すごく大事なのは、希少生物がいるからそこに人間を立ち入らせないようにしようということではなくて、むしろ暮らしの中で使っていくことのほうが、持続性を高めることになるのではないかということです。徹底的に使うということが、良好な水環境を守ることにもつながるのではないかなということを学びました。
 最後に、良好な水環境の創出に向けた評価の視点です。これはすごく難しいのですよ。今までご紹介してきたように、すごく個別性が高いし、その地域の特性を生かすということが、守ること、そして活用することにつながるのですよね。ただ、評価はしないといけない。そこで、大きく二つの軸で捉える必要があるかなと思います。
 まず一つ目は空間軸です。このような良好な水環境の創出というのは、住民とかNPOとか企業とか行政といった、多様な担い手の関係性の中で成立しているわけですね。地域社会はそれぞれ本当に多様なので、重視する価値や機能もそれぞれ異なっています。優劣ではなくて、どの価値を重みづけするのかという、その地域特性を理解する意味で、こういうレーダーチャートを考えています。これは8項目をつけています。だから、生物多様性に特化するところがあってもいいし、やっぱり住民のウェルビーイングに特化するようなものがあってもいい。全部の項目を高い水準を満たすというよりも、どこかにとがっていたほうが実はいいのではないか。そういう多様な水環境の価値を支援していくことが、環境省にこれから求められることではないかな思います。
 もう一つは時間軸です。やはりこれまで見てきたように、昭和の頃から取り組んでいることが結構あって、いい形で観光人口が増えたり、Uターン者が増加したりするまでには、10年とか20年、もしかしたら30年、あるいは40年ぐらいかかるわけですね。だから、単年度で評価することももちろん必要なのだけれど、それだけではなくて、中長期からの検証が不可欠だろうと。だから、5年後、10年後の地域の姿を視野に入れた評価スパンの構想が求められるのではないかなということです。
 今日見てきたことは、名水百選自体にも様々なサポートが必要なので、それはまた別立てで支援が必要かなと思いますが、このような良好な水環境の創出に向けてという点では、第6次環境基本計画に住民のウェルビーイングの向上という文言を入れていただいたのは、すごく我々はうれしく思っております。まさに、どうやったら良好な水環境を守れるのかと考えたときに、住民の人たちの幸せにひもづいていなければ、やっぱり守れない、続かないということが分かってきたからです。住民の人たちの幸せにつながる形でぜひご支援をいただけたらと思っております。
 以上になります。ありがとうございました。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課の百瀬様より発表いただきたいと思います。
【横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課】 はい。今ご紹介いただきました、横浜市みどり環境局水・土壌環境課の百瀬と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は参考になればということで、本市での取組に関して紹介をさせていただきたいと思っております。
 まず、横浜市の水質改善の状況に関して報告させていただきます。この左側にありますグラフを見ていただくと、河川のBODは、1972年には24mg/Lでしたが、直近2023年のデータでは2.3mg/Lとなっており、10分の1になっているということがわかります。また、右側の図、これはちょっと小さく見にくいのですが、調査地点74地点中BODが3mg/L以下になった地点が64地点であり、大幅に水質が改善されているとわかります。これは事業所の方々が排水規制に対して対応をしていただいたこと、また、生活排水に関して下水道が普及されてきたこと、また、市民の方々の取組も加わったことで、現在、このような良好な水質を維持しているかと思います。
 これは先ほど環境省様から冒頭の資料・説明の中で、参考資料1の3ページだったかと思いますが、昭和、平成、令和というところ、そのデータと同様のことがこちらのほうでも言えているかと思います。私も環境行政に携わって40年というところで、このデータに関しては実感するところがあります。
 データとしては、先ほどの水質のデータのとおりですが、では、市民の方の満足度はどうか、市民の方はどう感じているのかというところを見ますと、こちらは横浜市で行っています環境に関する市民意識調査の結果ですが、この中で、「あなたにとって次にあげる身の回りの環境はどのくらい重要ですか」という問いがあり、その中で、「川や池など親しみを感じる水辺空間がある」ということに「重要」、「少し重要」と考えていただける方が80%を超えておられます。では実際それに関してどう感じているのかということで、実際にそういう空間があるのかということで回答を求めると、下のグラフになりますが、60%ということでギャップがあります。つまり重要と考えられる方が8割おられるのに対して、実際それに対して満足している方が6割にとどまっているというのが実情ということで、先ほどの一つ前のシートで申し上げました、水質としてはデータからもきれいになっていますが、それに対して市民の感じ方というもう一つデータから言うと実感されていないということが見えてくることになります。
 こういったデータにおいて、一番最初にこの状況を問題と感じたのは、問題にしたのは、実際に市民の方々や事業者と接する本市の担当者が、何でこんなギャップがあるのだろうという気づきがあり、それを受けて色々なことを検討したというところになります。
 本市職員が原因と考えたのは2点あります。一つ目に、現行の環境基準より厳しい値を目標に設定しても、先ほど申し上げました市民の方々満足度向上につながっていないということ。また、二つ目に、市民の皆さんは川を見て水がきれいになっていることを知らないということが原因ではないかと考えました。先ほど冒頭のところでお話しした、昭和の頃から今の河川の状況を知っている私などは昭和・平成・令和の水、川を見ているので、大分きれいになったというのは実感できるのですが、今の方からすると、河川の水質に関して、目の前にあるものが当たり前になってしまっており、そういった意味では、実際の水質データと水辺への満足度というところがリンクしていないのかなというように思います。
 そういったところで、じゃあどうすればいいのかということで、三つ考えてみました。
 一つは、さらなる水質向上を求めるのではなくて、水質以外の側面、先ほどの前の方々の発表に、水辺の空間というようなお話がありましたが、水環境を水質以外の面で評価をしてはどうかということで、環境省様でつくられている「みずしるべ」をツールとして活用することを考えてみました。
 二つ目に、評価する主体を市民とすることで、市民の皆様に現状を知ってもらい、興味を持ってもらってはどうかという考えから、従来は我々行政が川の水質調査を行い、データを取っていたというところですが、市民の方々に実際に調査をやっていただいて実感していただくという市民参加型の取組としました。
 三つ目は、市民が評価した水環境の現状を情報発信する、それを我々行政がやっていくということです。せっかく市民の方々が調査をしていただいたものに関して、調査結果を市が集めて、それをみんなに結果をシェアすることで、「ほかの河川でこの取組をやっているところはこういうような結果が出ている」、「ほかのところではこういうふうな形で結果が出ている」というような情報をシェアしていく。また、これにより、これまで興味がなかった方々にも知っていただく機会をつくるといったことを考えました。
そこで、身近な水環境の現状を把握し、地域住民に水環境保全に興味をもらってもらうことを目的とした、「よこはま水辺レポート」というものを、今年度、昨年6月から開始をしたところになります。
 取組の概要ですが、3ステップになります。みずしるべを使った調査、結果の報告、本市からの結果の公表・発信という形で、各ステップをここに書かせていただいております。
 よこはま水辺レポートの参加方法ということで、3つ用意させていただきました。1つ目はみずしるべによる調査アプリ「水辺へGO!」を使うこと。もう一つは、紙の調査票を使う方法。また、もう一つは電子申請システムという本市のウェブシステムを活用した方法となっております。
 三つの方法については、実施いただく個人・団体または場面によって使い分けできるという選択肢を提示していきます。個人の方々はその手軽さからアプリを使ったり、あるいは電子申請がいいかと思いますが、やはり地元団体、あるいは、特に小学校などでの出前講座でやらせていただく場合には、調査票が、みんなで書きながらいろんなコミュニケーションがとれるツールになっているかと思います。
 こちらが、よこはま水辺レポートのこれまでの取組になります。赤字になっているものに関しては、今年度、環境省様の水環境健全性モデル調査ということで実施した調査になります。そのモデル調査のところに関して、簡単に紹介させていただきたいと思います。
 まずこちら、地元の方々が主体となっています、笹下川再生プロジェクトが実施する「川の学校」というイベントになります。こちらでは、よこはま水辺レポートと生物調査を実施しました。こちらに関しては、イベントで未就学の小さいお子様も入れまして、63名の方に参加していただきました。簡易の水質検査、また生物調査、子どもから大人まで楽しみながら調査をしました。楽しみながら現状を知っていただいて、関心を持っていただいたと考えています。右側のほうにありますのがそのときのレーダーチャートになります。
 こちらは出前講座という形で小学校の授業に行ったときのものになります。大岡小学校5年生の授業となります。こちらでは、生徒さんを対象に、先ほどとちょっと違うところがあるのですが、簡易の水質試験と川の観察を行っております。この時は授業ということになるので、しっかりと安全を確保しながら、しっかりと生き物を見られるような工夫をしながら行ったものになります。モデル調査では、環境省から派遣していただいた専門家の方が捕獲した生物を観察するという形で生き物調査を実施していました。
 また、後日、その教室へ出前授業という形でお伺いしたところでは、多くの質問、意見が出たということで、現場でやった調査だけで終わらず、学びとしての広がりがあったと考えています。
 参加者の方からの意見になります。これは一つ一つ読み上げると時間がかかりますが、全体として、思ったよりきれいな川だったということの気づきが驚きと喜びの声として多くありました。
 少し詳しく見ますと、調査への関心ということで、調査に対して難しいということではなくて、そのまま言うと「めちゃくちゃ楽しかった」という声や、「ほかの川も調べてみたい」というような声がありました。
 あと環境保全への意識というところでは、「川で活動している団体に参加したい」とか、「川を守りたい」「ほかの人に教えたい」というような声もありました。こういった意見が見られたことで、水環境に対する意識の変容を感じることができました。こういった取組が持続可能な環境保全というところにつながるのかなと思います。
 我々としては、やはり出前講座などで、単なる知識の提供ではなくて、体験することでの、あるいは身近に触れてもらうことでの気づき、また、そこから自分で考え、行動していただくということが大事かと思っております。
 これまで、今やっていることを紹介させていただきましたが、今後の展望としてこのようなものを考えているという話をさせていただきます。これまで、私は40年勤めていますが、勤め始めたころは、事業者に対して規制指導を行うことが環境を守ることに直結していたような形でした。違反をしたところに関して指導する、あるいは未然防止の啓発を実施してまいりましたが、そういったところから、事業者の方々、市民の皆様が、水環境に関心を持っていただくための取組につなげていければという段階になってまいります。
 現状でやっているのはこれまでの取組にプラスアルファということで、よこはま水辺レポートによって、「やってみようかな」という意識の種をまいてきたところかと思います。それを今後目指していくというところでは、参加者を広げ、やってみようというふうに感じていただく。また、やっていただいて楽しかった、もっとやっていきたいと思っていただけるような段階にしていきたいと思っております。
 そういったところで、本市では水辺のブランディング・プロモーションを進めています。ここの真ん中のところに紫色の囲みで書いているところになります。現在の川の水のきれいさや、自然や、生物の豊かさ、居心地のよさ、地域での活動など、魅力や特徴を発信していくことで水辺を好きになってもらい、皆様の意識や行動が少しでも変わっていくことで、水環境への取組を「やりたい!」ということにつながっていけばと思っているところです。
 先ほどの発表の中で、担い手不足の話とか、語る人は多いけど実際に実践する人、実践し始める人は少ないというようなお話も、大野様のほうからあったかと思います。また、野田様のほうからは担い手がなかなか高齢化などの理由により不足しているという話もあり、やはりそういった現状を聞かせていただくと、取組を継続していく、持続していくことが大事だと思いますので、水環境に関して継続・持続していける取組をやっていこうと思っております。
 水環境のプロモーションということで、今始めているというお話をさせていただいたのですが、どうしても役所というと固いイメージがある中で、どうやったら市民の方が水環境への取組を楽しく自発的にやっていけるのかという新たな課題に対して、職員たちが中心となって、こういうキャラクターを作成したりすることで、広く興味を持ってもらうための取組を展開しています。河川に限らず好きな水辺、お気に入りの水辺を見つける、調べる、シェアする、こういったことを「推し活」というキーワードを使って、「よこはま水辺推し活」というプロモーションを始めているところです。
 このキャラクター「どんぶらこ」を使って、キャラクターによるブログ「おわんびより」というウェブサイトで、水辺を好きになってもらうための情報を紹介しております。イベントで実施した結果など、楽しく、明るく、安全に水環境に関して取り組んでいただければという形で、今、本市として取組を進めております。ご参考になればと思います。
 以上でございます。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
 今まで4団体の方々に良好な水環境の創出に向けた対応ということで、具体的な取組、現場での活動の様子、すこやかさ指標を使った多面的評価の実施などをお話いただきました。皆様からご質問、ご意見をいただきたいと思います。webの方は挙手ボタンを押していただければと思います。いかがでしょうか。
 はい。それでは内山委員、大久保委員の順番で、web参加の委員からお願いしたいと思います。
【内山専門委員】 どうもありがとうございます。内山でございます。webから失礼します。
 まずですね、岡山の北房さんについてご質問させていただきます。基本的には里山づくりと里海づくりを併せて点で整備したところを面に拡張するということで、非常に重要な観点かなというふうに思います。
 幾つか質問があるのですけれども、一つ目は、私、里海のほうをよくやらせていただいているのですが、日生の里海が成功しているのはよく伺っていて、この日生の里海を含めて、長く続けられたこと自体は、非常に大きな成果であるというふうに評価しております。
 お聞きしたいのは、この継続を可能にした要因は何だったのかということですね。特にこの小委員会の文脈で言うと、体制、例えば事務局とか担い手、あるいは資金ですね、自走の仕組み、そういったような観点から、何が持続性に効いていたのかという工夫を教えていただけますでしょうか。
【一般社団法人北房観光協会】 はい。まず日生は、日生漁協さんがやっぱり中心になって、自分たちの漁獲高というところにも影響がやっぱりあるので、環境保全活動を本人さんたちが郷土を思って進めてこられたということですね。生業と直結したこと、それからふるさとに対する思いと直結しているというのが大きいのと、当時活動が始まったのは岡山県の職員の皆さんのリーダーシップの下で、漁協さんとアマモの再生に取り組むというところからのスタートで、双方が響き合って意気に感じて始まった、多分先進的だったのですね、当時。どうやったらアマモが増えるかという工夫もですね、一緒になって苗が育つ方法を考えたりとかというところのスタートがあって、私もお付き合いをしているとプライドを感じますし、自分たちがこれからも守っていくのだというところなのでしょうけど、自治体内では、なかなか仕組みを作るのが難しいというところに直面しているということでございます。
【内山専門委員】 分かりました。ありがとうございます。担い手の方の熱意が非常に大きなドライビングフォースになっていたということで、資金面の問題とかはどうだったのかなというのは心配ではあるのですが、ちょっとほかにもお聞きしたいことがあるので、次の質問に移らせていただきますが、非常に重要な観点で、点ではなく面が必要で、行政間をまたぐような広域連携が必要だというのはまさに環境省が目指している方向と一致していると思って、大事な視点だと思います。
 そもそも、この点ではなくて面で整備することが必要だというふうにお考えになった背景をもう少し細かく詳しく教えていただきたいのですが、ご発表の中では、海だけ山だけの活動には限界があるというのはお話を伺っていましたけれども、例えば現象論で言うと、栄養塩の循環とか、あるいは資源の循環、カキ殻を山に戻すという話もありましたが、あるいは気候変動など様々な現象があると思うのですが、広域連携で必須になっていったものというか、起爆剤になったものはどういったものだったのか。あるいは、その面で取り組む上で、何が改善して何が改善しにくいのかみたいなところについて、少し詳しくお伺いできますか。
【一般社団法人北房観光協会】 はい。岡山県民は、すでに認識しています。瀬戸内海の海が貧栄養になっていることというのは割と皆さんご存じですし、ごみの問題もあったりします。そうなると、上流域と下流域、里山と里海の関係というのが重要だという視点になっていくのですが、下水処理場からの緩和運転の話なんかも最近出てきていますけれども、過去の状況を鑑みてみればそれだけではないことは明白です。森林が健全であることが豊かな海につながるということは先人からの教えでもありますので長期的なスパンで物事を考える必要がありますが、そのためだけに森を管理するにはコストが足りないでしょうということになります。そのため違う視点で、今回、環境省さんの良好な関係を生かした観光という手法での事業にチャレンジしているというところです。これを元手にして持続可能性を模索していこうということでございまして、結局のところ、観光で訪れる方は点ではなく面で見てくださっている、線で見てくださるというところがありますので、このことを計画の中に据えて、岡山県で生活するものとして、森、海のつながりを表現することは欠かせないということ、これまでの点での取り組みをつなげて、線や面で捉えることで自然の恵みを持続可能に、生活につなげるというふうな観点で取り組んでいこうというところです。
【内山専門委員】 なるほど。よく分かりました。魚つき林の話かなとは思うのですけれども、まさにその環境省が今後制度に入れたほうがいいと思われる流域単位とか広域連携というのを現場の実感としてお持ちになっているということがよく分かりました。
 ちょっと最後に、最後の質問になりますけれども、最後、この課題のところで見せていただいているのは多分非常に重要なところですが、環境省による方針の明示とか、制度的な裏づけが重要というふうに書かれています。いろいろとご説明いただいたわけですけれども、今回の観光モデル事業は環境省の事業であって、ある意味それだけでお墨つきが出ているというふうに捉えることもできるわけですが、それでもなお足りないというふうにいろいろお感じになっているというのは、特にどの局面なのでしょうか。おっしゃっていたのは行政間をまたぐ連携を制度化するとか、調整する人材を確保するとか、そういうようなことを言われていましたけれども、一番ポイントになっていると思っているところはどういうところなのでしょうか。具体的にお話しいただけるとありがたいです。
【一般社団法人北房観光協会】 はい。やはり法制度に基づいた事業となるとですね、多分、現場では、それぞれの立場で重さが異なるかなと思います。県や各自治体ごとの理解や動きが違います。それから我々は事業をやっていく中で、資金確保のために金融機関とのやり取りが必須になってきますけど、金融機関の受け止め方、やり取りなどがそれぞれ違うということが一番大きいですね。だから共通項を出していきたいというか、もっとスムーズになってきてほしいというようなところで、足りていないとすれば、その辺のところが足りていないのかなというふうに思います。
【内山専門委員】 その基礎自治体とか金融機関とかを動かすための制度的な手当が、ルールとか評価とか支援といったところが非常に重要になっているというか、現場の声として求められているということですかね。はい。どうもありがとうございます。よく分かりました。
 私からは以上です。
【古米委員長】 はい、ありがとうございました。
 それでは大久保委員、どうぞ。
【大久保臨時委員】 大変興味深いご報告ありがとうございます。時間が限られていますので、最初の2団体に限ってお伺いいたします。
 まず一つ目は、今の内山委員の質問の続きなんですけれども、パワーポイントの10ページ目の課題の部分で、トップダウンの措置も必要というふうにご発言されたと思いますけれども、具体的な制度として、今ある制度を普通に考えますと、例えば認定制度でありますとか、協議会を法定するとか、そういうことが極めて典型的な手段なんですけれども、そういうものでよいのか、それとも具体的な制度のイメージがあればお伺いしたいというのが質問の1点目です。
 続けて2点目は、二つ目の肥後の取組についてなんですけれども、こちらはパワーポイントの22、23ページで、涵養力や水質調査をしているというお話で、取組の効果を見える化するところまでしているというところが大きな特徴とだと思ってお伺いしておりました。
 さっきの横浜市の取組にもありますように、参加型の、市民参加型の調査というのは極めて効果を実感してもらうためにも重要だと思いますけれども、こちらの肥後の取組では、涵養量調査や水質調査は、誰がどのように行っていらっしゃるのかということについて教えていただければ幸いです。
 以上です。
【一般社団法人北房観光協会】 はい。私たち岡山県の場合は、民間、私たちが環境省さんの事業採択を受けて進めていく中で、当初から行政と一緒にやらないと多分続かないだろうなというところで、各3エリアの首長さんのところに説明に上がって、幹部の皆さんにも説明をしてきました。ですが、皆さんご存じのとおり、各行政には予算枠というのがあるし、もう年間のやることというのは決まっているというところに持っていってですね、私たちと何らかの協力をしてくれというようなところで、ずばりお金はおりてきません。一緒にじゃあ何をやるんですかというと、今日の説明でも申し上げましたとおり、広報発信とか啓発とかというところでは協力できるかもねという、言葉としては全面的に協力するよという言葉をいただくのですけれども、現実問題として何かしらの、何といいますか、支援をしてもらっているという実感はないですね。これは多分、何が必要なのかというと、私じゃ分かりませんけれども、やっぱりこういうことが始まったという共通の理解を持てる制度、県あるいは各市町村の行政の担当課で、やっぱり共通のテーマが、下りてくれば、それだけでも随分違うかなとは思っています。もちろん様々な制度が進んで、やりやすい状況になればというのもありますけども、これは私たちのジレンマですけど、本当に民間、私たちはふるさとのことをすごく大好きで、大事にしようと思って頑張っていますけれども、現状では、「ああ、あいつらは好きでやっている」というようなイメージにどうしても取られがちですので、そうではなくて、一体でやっているという状態をつくりたいという思いがあります。
【古米委員長】 それでは、大野様、いかがでしょうか。
【公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金】 肥後の水とみどりの愛護基金、大野でございます。今、映りました。涵養量調査の水位計のほうですね。こちらの調査に関しましては、私ども職員で水田71枚に全て水位計を設置しまして(または「棚田71枚に」)、計測を行っております。このデータを取った後、精査もしくは数値化していただくのは、東海大学の先生、名誉教授のご協力をいただいております。
 そして湧水地水質調査のほう、これも我々職員で全て回っております。ある程度、簡易的な検査は、こうした簡易機器データで十分なのですけれども、最近問題になっておりますPFAS、これにつきましては、県立大学の教授のお手伝いをいただいております。
 以上です。
【古米委員長】 大久保委員、よろしいでしょうか。
【大久保臨時委員】 大変よく分かるご回答で、ありがとうございました。
【古米委員長】 それでは、ほかにいかがでしょうか。
 それでは、加藤委員、どうぞ。
【加藤臨時委員】 ありがとうございます。加藤でございます。
 2番目の肥後銀行さんにお伺いをしたいことが幾つかありまして、大きく分けて、一つは面という、前の質問にもあったと思いますが、二つ目は、時間軸なのですが、やはり淡水域の保全に取り組まれてきて、そこから海の方に目を向けられたというところ、もうちょっとお伺いしたいと思いました。
 それから、26ページのところに市町村と書かれているのですが、それは都道府県というよりは市町村でという理解でよろしいでしょうか。
 それから、もう一つ、流域で暮らす人々と一緒にというところも強調されていたと思いますが、そこの重要性というところをもうちょっと教えていただきたいと思いました。
【公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金】 ありがとうございます。
 まず、淡水域から海までということですけれども、私ども地下水を守るためということで、一番初めは阿蘇を中心とした取組をしておりましたが、時代とともに、水は当然雨が基になっていますので、水循環というものを考えました。その水循環の中で、特に熊本の場合は、東シナ海から蒸発した水蒸気が雲となり雨となって降ってきているという水循環では、海は欠かせないものですから、海にも興味を持ち始めたところ、グリーンカーボン中心だった取組が、ブルーカーボンといった言葉まで出てきたので、海にも興味を持ちまして、取り組み始めたというのがきっかけでございます。
 それと、市町村の考え方ですけれども、熊本市は地下水財団というのが、熊本市が持っております。これは11市町村が一つとなって地下水財団を持っておるのですけれども、この水の源となっております阿蘇市であるとか南阿蘇村、高森町といった3町村は、その区域からちょっと分かれているのですね。そういった意味で、やはりつながった連携を必要というふうなことを私ども考えていまして、そうしたボーダーを取り払って、もっと進めていく必要があるというふうに考えております。
 それと、流域で暮らす方々と一緒にというところなのですけれども、これは自然となのですが、若干弊害があると申し訳ないのですけれども、中山間地域、かなり排他的なところがございます。やはり攻められるとまずいというDNAが働くのでしょう。私どもも、ここでいろいろ活動をするに当たっては、かなりの苦労がありました。皆さん「なんばぬしどんがでくっとや」という熊本弁がありますけれども、白い目で見られたこともありますし、何のお手伝いもなかったときもあります。しかし、ひたすら汗を流して我々がやっている姿を見て、今ではもう家族同然ですね。もう非常にご協力いただいて、これを築くまでが、流域と暮らす人たちとの一番大切なベースになるのではないかなと、全ての地域で感じているところです。
 以上です。
【加藤臨時委員】 ありがとうございます。やはり連携と信頼を築いていくということ、次が時間軸のお話なのですけど、やはり昨今、いろんな結果を出さないといけない時代であるとは思うのですけれども、40年、40年以上の長い長い年月を経てこられたと思うのですけれども、そういう長期的な視野を持つということは、すごく難しいなと私も感じているのですけれども、それはどういうふうに達成してきていらっしゃるのでしょうか。
【公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金】 先ほど名前を出しましたが、長野という人がおりますけれども、よく私も怒られていました。「よく先見の目があられますね、長い目で見られて」と言った瞬間に、大説教を食らっていました。「違う」と。「今が大事なんだから、今をとにかく見詰めて、今できることはしっかりと、おまえ、考えろ」ということを常々言われておりまして、何といいますか、時代が要請する社会的課題とその対応策といったものは、1人の人間の問題意識から生まれて、それを本源的かつ本質的問題意識を持って、情熱を傾けて活動を推進していくこと、これが非常に大切ではないかなと今は感じております。
【加藤臨時委員】 ありがとうございます。よく分かりました。
 もう一つお伺いしてよろしいでしょうか。野田先生のお話を伺いたいのですけれども、やはりすごく共感するところがございまして、社会的意義を再生していくということの大切さというのを私も大変実感しておりまして、それがウェルビーイングにつながっていくという話なのですけれども、観光客の方からの何か経済的還元というような仕組みもつくられているということでしょうか。
【野田准教授】 ありがとうございます。ご紹介した針江集落では、ガイドを行うので、1人1,000円取っているのですね。当時からすれば高いですよね。10人いたら1万円ぐらいかかるので。一般よりはあえて高めに設定して、成熟した観光客、ちゃんと責任を持つ人に来てほしいという意図があります。それが100円とか200円だったら、いいかげんでも、ちょっとマナーの悪い方も来てしまうのでということで、1,000円を取っていました。そのような形で、ガイドツアー、アクアツーリズムという形でお金を取っていたり、ガイド料という形で経済的還元の仕組みを作られています。
 また、ほかの水場に行くと、おさい銭箱ということで、寄附をお願いしているところもあったりします。利用者の気持ちからすると、ただで水が手に入るわけですよね。最初はラッキーというか、いいところだなと思ってやって来るわけですけども、何回も通っていくと、お掃除をしている人たちの存在に出会うわけです。湧き水は豊かな大自然の恵みだと思っていたのが、いや、そうじゃないのだなと。これは管理をしている人たちの労働によって支えられているのだということに気づいていくので、何かをお礼をしないといけないということで、自分は掃除は手伝えないので寄附をするという方たちもいらっしゃいますし、ボランティアとしてという形で掃除に参加する方たちもいます。やはりその価値を暮らしに取り入れて、実際に水を飲んだりすることによって、その価値が、理念ではなく、自分の利益として入ってくると、そのようなお礼という形での参画につながっていくんじゃないかなと思いますね。
【加藤臨時委員】 ありがとうございます。観光が社会や環境のウェルビーイングに寄与していくというような形、本当に目指していきたいなというふうに私も感じております。
 もう一つだけ、横浜市さんにお聞きしたいのですけれども、この参加された学校さんというのは、どういうふうに参考をされたのかと。教育委員会さんと連携をして、学校に呼びかけたりをされたのかなというところ、教えていただけますでしょうか。
【横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課】 今回の学校に関しては、先生のほうから声をかけていただきました。我々は、出前講座に限らず、教育委員会、また市民の方々のほうに広くアナウンスする機会もあるのですが、今回は逆に先生のほうが関心を持って、お声をかけていただいて、それがこういう広がりを持っていったというところです。
【加藤臨時委員】 ありがとうございます。以上です。
【古米委員長】 はい、岡本さん。
【肥後銀行】 すみません、追加で。
 先ほど肥後の件で、ありがとうございます、ちょっと補足をさせていただきたいのですけど、時間軸のところでございますが、要望でございます。先ほど愛護基金の大野専務から、課題のところで、税金の問題であるとか、農地の問題というのは出ましたけれども、まさに今回、上流から下流までとか、面で捉えるということが、ほかの団体さんからも重要だと。環境省としても重要と考えていらっしゃるということですけれども、やはりそうすると森林とか水田とか、どうしてもなりわいと関わってまいります。ですので、ここはなかなかハードルは高いと思うのですけれども、可能であれば省庁連携で、先ほどの例えば農地を、財団としては、今、農家の方から借りて、ずっとこの20年近く営農を続けて、参加者も募ってやってきていますが、もしこれが、地主の方がもう売ってしまうと。ほかのことにですね。ということになると継続はできなくなってしまいますので、何とか購入できないかということを模索したけれども難しかったと。これは今の農業の高齢化であるとか、そういった中では非常に重要なことなのかなというふうに思っております。
 それから、固定資産税の件も、全国の団体が非常にやっぱり、私どもですけれども、こういった公益事業をやっていながらも、やっぱり税金がかかってしまうというところが、今後の継続、長く続いていくということに関して、ぜひご検討いただけるとありがたいというふうに思っております。
 以上でございます。
【古米委員長】 追加のご説明、ありがとうございました。
 それでは、Web参加の皆川委員、どうぞ。
【皆川臨時委員】 4団体の事例報告をいただきまして、大変ありがとうございました。勉強になりました。
 私のほうからは、横浜市さんの方に質問させていただきたいと思うのですが、1980年代から、いたち川や和泉川などの川づくりで、かなり前から先進的な環境保全活動をされていた自治体であると、評価させていただいているのですけれども、今回、環境省さんの事業で、水環境健全性モデル調査ということで、「みずしるべ」を使った評価を小学生等々と行われているという報告がありました。今後、水辺推し活というネーミングをつけられました。行政が主体的にやっていただくことが、うまく環境保全を実現する一つのスタイルだと思っています。そういった健全性のモデル調査の結果から、水辺の推し活ということで、最後に今後の動きとしてお示しされていますが、連携など、今後どういうふうに進められていくのか。推し活というと、多分、パートナーズのような、パートナーをたくさんつくって、今後、情報共有していくということが考えられているかと思うのですけれども、その辺について、少しお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課】 横浜市役所、百瀬です。
 冒頭での川の取組の評価をいただきまして、ありがとうございます。こちらに関しては、まず、どうしても色々な言葉が出てきてしまっているので、混乱しやすいのですが、まず「みずしるべ」というツールを使って、横浜市の取組として「よこはま水辺レポート」という形でさせていただいているというところになります。これに関しても、「みずしるべ」という、共通の指標があれば、やはりお互いに共通の言語という形で、色々な場所での評価を比較できることになります。横浜市としては、よこはま水辺レポートという形で、皆さんから河川に興味を持ってもらって、みずしるべを通した色々な調査をやっていただいて、それを市に報告いただいて、それを我々から情報共有することで、活動されている方々同士での情報の共有にもなれば、川に関して興味を持たれている方に対して、さらに興味を持っていただいて、やってみようというようなところへつながっていくかなと考えたところです。
 推し活という形で、どこか特定の団体とパートナーとなるというよりは、推し活というのは、よく音楽の業界などでもあったりしますが、自分はこの人を推しているのだよ、自分はここを推しているのだよ、といった活動を水辺に対して行われてほしいと思っています。まさしく今日、前に報告していただいた方々のところは、推し活をされているのだと思うのですけど、そういった取組を市民の方々にやっていただこうというような形になればよいと考えています。ただ、その中では、色々な団体さんとのつながりなどが出てくるかと思いますが、あくまでも水辺の推し活ということで、特定のところとのパートナーシップということではなくて、広くやっていただくことを考えております。
 私の理解での回答は以上なんですが、これでよろしいでしょうか。
【古米委員長】 皆川委員。
【皆川臨時委員】 いずれにしろ、推し活は今後、進め方も模索しながら進めていくというよう理解でよろしいのでしょうか。
【横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課】 そうですね。今、ちょうど映っていますが、見つける・調べる・シェアするという、そういった取組を広げていくという中で、その広げ方に関しても、やっていく中で色々な方々との連携というのも生まれてくるかと思いますので、そういったところは一つ一つ検討しながら見ていきたいと思っております。
【皆川臨時委員】 はい。ありがとうございました。期待しています。
【横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課】 どうもありがとうございました。
【皆川臨時委員】 もう一点、肥後の水とみどりの愛護基金の大野さんに教えていただきたいのですけれども、水環境保全ビジョンをつくったほうがいいということをお話しされていたと思いますが、これは大野さんたちの団体からすると、どこがつくるべきだ、どういった方向性にこういったビジョンを策定すればいいとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
【古米委員長】 はい、お願いいたします。
【公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金】 ありがとうございます。制度にあまり詳しくないものですから、どこでというのは、申し上げにくく、どこがというのはお示しできないのですけれども、まずは省庁間でも、先ほどの市町村と同じように、何となくボーダーがあるような気がして仕方なくて、何か一つ、個別問題でもそうなのですけれども、横串を刺していただいて、「水」、これには全てこれが入ってくるよねといったような、ごめんなさい、イメージなのですね。それをやはり省庁間、横断したところでお決めいただけないと、これはこれ、これはこれというようなことで、現場ではすみ分けられてしまって、例えば一つの問題を「これ、どぎゃんかならんですかね」とお願いしても、「いや、これはこっち担当だんね」というふうなことでのたらい回しという、日々あるのですね。これは愚痴じゃなくて、恐らくその立場立場の人がやられている仕事の限界だと思うのですけれども、やはりそこを何かのイノベーションで、これはいろいろ、こんな話をすると、いろんな批判も食らうのですが、イノベーションって、そこを突破しないと、なかなか成立しませんので、そういったイメージで、この画面を作らせていただいております。
 以上です。
【皆川臨時委員】 まさにそこがすごく重要だなというふうに最近感じているところですので、またいろいろ議論をさせていただければと思いました。どうもありがとうございました。【公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金】 ありがとうございます。
【古米委員長】 ビジョンについてですが、水循環基本法の中の水循環基本計画と関連しているのではと思います。市町村を越えて計画を県でつくっている場合もあります。あるいは市でつくっている場合もあります。流域をイメージしたところもありますので、そういった中で、市町村を越え、行政を越えた形で、一緒のビジョンを持つことが大事です。水環境保全ビジョンの策定の主体をどうするかというのは大変ですけれども、それぞれの市町村単位ではない、新しい広域のバウンダリを決めて公表するという方向性が必要なのかなと私も思いました。
 和田委員、挙手ありましたけども、お願いします。
【和田専門委員】 私からは、横浜市さんにお尋ねします。
 市民の満足度の課題で、アンケートを取られて、そこから横浜の水辺レポートを返すことは、地域住民の方々の水環境に興味を持ってもらい、保全をすることの最初の一歩だと考えておりますので、そういった取組は非常に重要だと思います。一方で、市民の満足度の課題で、満足とは言えない、重要ではあるけれども、自分の身近は満足ではないと感じるのは、横浜市さんが抱える大都市と、ほかの郊外とで、河川の近づき度は異なるものと思います。というのは、昭和から平成と、汚い水の都市河川では、今まで川を市民から遠ざけた施策がずっと取られてきたと思うのですね。今、実際に川を見てみると、水辺に近づけないことはないか。この写真にある調査のところでも、3面張りの切り立った、急なところに下りて調査をしている、ふだん市民が近づきやすい川にはなっていないと感じますし。また、近づけるような川でも、河川敷の手前からみると、川に行くまでに背の丈以上の草がぼうぼうで、危険じゃないかということで、川と市民とが遠ざかっている現状があります。特に大都市の河川での住民との関係ではないかなと思っています。
 そこで、環境省さんがやろうとしている水環境行政の在り方で、良好な環境の創出、特に環境の場の創出が挙げられています。市の取組、こういったアンケートをフィードバックして、情報発信をしている以外に、市としても、今後、制度を変えていく中で、何か必要なことがないか、考えられることがありましたら、教えていただけないでしょうか。
【横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課】 まず、この市民の満足度調査というのは、実は何年もやっていて、今回の、この我々の取組のためにアンケート調査を実施したのではなく、もともと実施されていた調査の1項目でありました。職員が、市民、事業者に対して水環境の保全に対する取り組みをやっていく中での気づきの中で、この市民意識調査を見ていったというところになります。先生のほうからは、3面護岸への近づきにくさの話もあったかと思います。どうしても横浜市という場所は、川の下流に近いところになっていけば、都市部ということで、治水のための構造となっていきます。昔ながらの自然との触れ合いができるところが望ましいのかとは思いますが、やはり、いざ災害や気候変動による大雨とかになったときに氾濫とかをしてしまうと、今度はそれが水環境を遠ざけてしまうようなことにもなるかと思います。そういった意味では、先ほど他の報告者の方からもありましたが、行政の中ではそれぞれの役割があり、治水を管轄する河川整備をやっている部署があり、我々は、水環境というところで評価をする部署となります。ですので、整備する部局を下支えすることで協働・連携というような姿になっていくのかなと思っております。そういった意味で、今回の水辺レポートで出てきた結果や推し活に関しては、市民の方々に気づきを提供するための情報発信でもありますし、先生が最後におっしゃった今後の展開については、そういう他部署との協働のための共通言語としてのデータに基づいて、連携できるところは連携していきたいと思っております。
 これで、回答でよろしいでしょうか。
【和田専門委員】 ありがとうございます。すごく重要なデータを取って、持っていらっしゃるということ、それが整理されて、今後活用されていくと思いますので、それを活かすように、続けていただければと思います。
【横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課】 ありがとうございます。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、時間も来ておりますので、4団体に関しましては、以上とさせていただきたいと思います。
 続きまして、水質汚染事故対策というテーマで、神奈川県の寺下様よりお願いしたいと思います。
【神奈川県環境農政局環境部環境課】 神奈川県の環境課、寺下と申します。私からは、神奈川県における事故・災害による水質汚濁防止の取組について紹介させていただきます。
 それでは、次のスライドをお願いします。スライドの右下にページ数を振っておりまして、2枚目が1ページとなっておりますので、これからは、このページ数でご案内させていただきます。
 最初に、本県の水質汚濁に関する法・条例の適用状況についてです。本県には、水質汚濁防止法の政令市が10市ありまして、画面の水色と緑色の部分を市が所管しております。それから白抜きの部分、23市町村ございますが、こちらを県で所管しております。また県は、水質汚濁防止法の上乗せ条例のほかに、生活環境の保全等に関する条例を制定しております。この条例は、水質汚濁防止法の横出し条例ではなくて、総合審査制という考え方を基に制定したもので、類似の条例を有する横浜・川崎の2市を除く市町村、図では緑色と白色の部分、そちらに適用されております。
 2ページ目をご覧ください。次に、生活環境保全条例の概要についてです。
 特徴といたしましては、排水や排煙、騒音、振動の基準や事故時の措置義務を原則全ての事業所に適用している点があります。事業所規制といたしましては、総合審査、総合許可制を掲げておりまして、許可対象の施設、例えばボイラーのように、主な公害要因が排ガスだけである許可対象施設のみを設置する場合でも、審査においては、排ガスだけではなく、事業所全体の排水や騒音・振動など、主要な公害要素を確認する制度となっております。また、許可対象外の事業所であります指定外事業所に対しても、規制基準を適用し、事後規制を可能としております。
 さらに、事故時の措置や立入検査も全ての事業所を対象にしているほか、排水基準には外観の基準もありまして、着色等による水質事故に対しても、事業者指導を可能としております。
 そのほか、具体の指針を設けて、事業所に対して環境負荷の低減や化学物質の適正管理の努力を求めております
 3ページ目をご覧ください。次に、水質事故への対応についてです。
 令和6年度の県内事故の種類別内訳といたしまして、最も多いのは、表でいくと、その他に当たる白濁や発泡などでありまして、次いで油浮遊となっており、この二つで全体の95%を占めております。
 有害な化学物質が原因と特定される事故の発生は稀でありますが、発生した場合には、健康影響につながる可能性もあるので、注意は必要と考えております。
 なお、令和6年度は、農家の倉庫の火災がありまして、農薬が川に流出し、直下で魚が相当数死亡する事故の発生もございました。
 4ページ目をご覧ください。
 本県では、水質事故対応は、水質汚濁防止法と県の生活環境保全条例の両方を根拠に行っております。ここでは、県条例による水質事故時の措置義務の概要を紹介しております。
 条例による事故時の措置対象物質は61物質で、水質汚濁防止法の対象物質に準拠しておりますが、例として記載しましたとおり、油脂類、有機溶剤を含むであるとか、酸性物質といったような、包括的な指定を行っている物質もありまして、水濁法より広く捉えている部分もございます。
 また、対象は全ての事業者としておりまして、事故時に、直ちに県や市町村に通報することを、それから応急措置に関する事後報告の義務を設けております。
 続いて、5ページ目をご覧ください。
 水質事故時の対応体制といたしましては、市民や現場に最も近い市町村の環境部局や河川管理者、水道事業者などの関係機関と連携して、速やかに対応する体制を構築しております。
 また、地方環境研究所であります神奈川県の環境科学センターでは、必要に応じて採水分析も行っております。そのほか県は、対応マニュアルの整備や、関係機関を含めた夜間・休日連絡体制の取りまとめを行っているほか、他市町村担当者との会議や研修なども定期的に実施しております。
 なお、事故発生の通報については、事故原因者から通報があることは非常に稀で、河川の異常を発見した市民などから、市町村の環境部局を通じて県に情報が届くことが多い傾向にあります。
 6ページ目をご覧ください。続きまして、災害時を含めた環境汚染への対応についてでございます。
 近年、全国的に地震災害や豪雨災害などに伴う化学物質の流出事故の発生が見られております。平時の事故であれば、県の環境科学センターで環境モニタリングを実施することができますけれども、大規模災害時には対応が難しい場合も想定されております。そこで、災害時における環境汚染の調査体制の強化を図るため、平成29年に、県内の分析業者の団体であります神奈川県環境計量協議会と災害時のモニタリングに関する協定を締結し、混乱が予想されます大規模災害時においても、民間分析事業者と連携して、環境モニタリングが行える仕組みを整えております。
 また、令和2年度には、県条例に災害や事故時の環境モニタリングの根拠規定を追加しております。
 さらに令和3年には、災害時の「初動」「緊急・応急」「復旧」の各フェーズに行うべきことや、県・市町村等の役割分担を規定した対応マニュアルを作成し、昨年12月には、協定を締結した環境計量協議会と共同で、災害時のモニタリングに関する図上訓練も行っております。
 次に、7ページ目をご覧ください。こちら、災害に備えた事業者の自主的取組の促進についてご紹介いたします。
 先ほど県条例に基づきまして具体の指針を定めて事業者に化学物質の適正管理に努めるよう求めている旨をご紹介いたしましたけれども、令和2年に、化学物質適正管理指針というのがございまして、こちらに災害や事故による環境汚染に係る内容を追加しております。スライドには項目のみを列記いたしておりますが、災害への備えとして、事業者それぞれが考えられる災害を想定して、リスクを洗い出していただき、その際の緊急対応や周辺への周知などについて、具体に整理していただくと。そういう事前準備に努めてくださいと。そういった内容になっております。
 8ページ目をご覧ください。
 また昨年度、県条例と先ほどの化学物質適正管理指針、こちらを改正いたしまして、PRTR対象事業者、そちらを対象に、災害時の備えに関する取組状況などを県に報告してもらう、そういった規定を追加いたしました。手続的な手法でありますPRTRの報告内容に県として上乗せする、そういった制度となっておりまして、主な報告内容は資料記載のとおりとなっております。
 こちらの報告制度につきましては、今年度からスタートしておりますので、まだ報告が出ていない事業所であるとか、あと、内容に改善の余地があるもの、そういったものもございますので、周知・助言を継続しているところでございます。
 9ページ目をご覧ください。最後に、参考になりますけれども、事業者への周知リーフレットを掲載させていただきました。
 左側は水質事故を防止するための注意事項や事故発生時の連絡先、そちらを記載したリーフレットになっておりまして、右側は、先ほどのスライドでご説明した、PRTR対象事業者を対象とした報告制度に関するパンフレットになっております。
 最後の10ページ目をお願いいたします。こちらは化学物質適正管理指針のうち、災害対策に関する内容を定めたホームページとリーフレットになります。いずれも県のホームページで公開しておりますので、必要に応じてご覧いただければと思います。
 本県からの説明は以上となります。ありがとうございました。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、淀川水質協議会からは、大阪市水道局の柴岡様よりお願いしたいと思います。
【淀川水質協議会】 ただいまご紹介いただきました、淀川水質協議会の事務局を務めております大阪市水道局の柴岡です。よろしくお願いします。
 私からは、水質汚濁事故対策に関して、淀川水質協議会での取組について紹介させていただきます。
 次のスライドをお願いします。初めに、淀川水質協議会の概要について簡単に説明します。昭和33年に、国・府県・利水団体等で構成する淀川水質汚濁防止連絡協議会が結成されましたが、顕著な効果はすぐに表れず、特に昭和37年から昭和39年における渇水時には深刻な水質悪化を招いたこととなりました。そこで、淀川から取水する水道事業体同士で綿密に連絡を取りながら、水質の監視や国への働きかけを行うため、昭和40年8月に淀川水質協議会を発足し、現在は九つの水道事業体が参加し、活動しております。
 次のスライドをお願いします。当協議会の活動内容は主に3点あり、1点目は水源水質に関する調査、2点目に水源水質保全に関する要望活動、3点目に危機管理に関する事項となり、それぞれに作業部会を設けて活動しております。
 次のスライドをお願いします。次に、淀川における水質事故対応について説明します。
 次のスライドをお願いします。淀川は、阪神間各都市の水道水源であり、上流域が都市化され、流域内人口密度が高く、また、工場等の事業所等も多く、都市排水や工場排水による水質汚染の潜在的なリスクが高いという特徴があります。
 次のスライドをお願いします。このスライドは、淀川流域に存在する下水処理場と、し尿処理場、各水道事業体の取水地点の分布を示したものになります。淀川流域は、上中流域において、京都市以外にも大小多くの都市があり、そこで使用された水が、この図に示すように、数多く点在する下水処理場やし尿処理場を経て、処理水として元の川に戻され、繰り返し利用される河川となっております。本市の浄水場は、淀川の下流から取水しておりますが、その他の水道事業体の取水地点の多くは淀川の下流域に集中しております。淀川水系では、上流での下水処理水が混合している原水を水道原水として利用しているという特徴があります。
 次のスライドをお願いします。このグラフは、水源水質事故の年度ごとの発生原因の推移となっております。琵琶湖-淀川水系では、毎年多くの水源水質事故が発生し、このように油の流出事故というものが最も多くなっております。
 次のスライドをお願いします。また、そのうちの数件につきましては、浄水処理にも影響を及ぼしているという状況になっております。
 次のスライドをお願いします。当協議会では、水質事故時の緊急連絡網を既に整備し、水質事故発生時に素早い情報の共有化が図れるように努めております。また、年1回、構成団体の水道施設で水質異常を発見した場合を想定して、平日昼間及び夜間における情報伝達訓練というものを実施しております。
 次のスライドをお願いします。近年における浄水処理に大きな影響を及ぼした事故事例になります。このうち、平成26年に発生しました芥川での油流出事故について説明します。
 次のスライドをお願いします。平成26年9月に、スライドの右側上部にあります淀川の支線である芥川に、大阪府高槻市の下水処理施設から重油が流出し、さらにそこから淀川に流出するといった事故が発生しました。事故当日は、スライドの黒○にある6水道事業体の11の浄水場原水において異臭が確認されました。
 次のスライドお願いします。この表は、各水道事業体におけるそのときの対応となっておりまして、水道事業体間での迅速な情報共有を図った上で、各水道事業体では、オイルマットの設置や粉末活性炭の注入及びオゾン注入率等の迅速かつ適切な対応を行い、水道水への影響を回避することができました。
 次のスライドをお願いします。水道水質への影響につきましては、先ほどの表のような浄水処理の結果、上水道については影響はなしでしたが、工業用水道においては油臭の影響を受けました。
 次のスライドをお願いします。当協議会の対応としては、事故発生時においては、先ほどの連絡網を活用した情報共有を行い、事故対応完了後においては、相手先への抗議文の発出・提出や損害賠償請求というような行動を行っております。
 次のスライドをお願いします。先ほどの事故の発生も含めまして、水道事業体が水道水の安全性を確保するために必要なこととして、次のスライドをお願いします、水源での水質事故を抑止することと、事故が発生した場合、速やかに情報を得て、浄水処理において有効な処置を取るということが重要となってまいります。
 次のスライドをお願いします。このような状況から、要望事項検討作業部会では、設立以来、水道事業体が直面する問題点を協議会で取りまとめた上で、関係機関に対して要望を行っております。現在は、国交省、環境省、近畿地整に対して要望活動を行っており、これまでの活動の中で、水質改善や環境基準の類型指定の価格上げといった成果を上げており、今後も活動を継続していきます。
 このスライドは、浄水処理対応困難物質への対応についての要望事項になります。平成27年3月に厚生労働省より発出された浄水処理対応困難物質の設定についてでは、浄水処理対応困難物質という新たなカテゴリーが設定され、特に水道事業者等は、それらの物質のリスク把握に努めることが必要とされていますが、浄水処理対応困難物質による水源水質事故は突発的に発生するため、通常の検出実態では、そのリスクを評価できないという性質に加え、それら14物質のうち、一部しか法律で規制されておらず、規制されていない物質に関して、その排出源等を含めたリスク把握を水道事業体のみで行うということは困難な状況となっております。このため、全ての浄水処理対応困難物質を化管法におけます第一種指定化学物質及び水質汚濁防止法の指定物質とすること、また、浄水処理対応困難物質を取り扱う事業者等に対して、指導を含めた注意喚起及び水源事故の重大性の周知について、取組を推進していただくように要望しております。
 次のスライドをお願いします。次に、危機管理対策の強化のための施策についての要望になります。流域では、先ほど説明したように、依然として水源水質事故というのが発生しており、先ほど説明しました重油流出による油事故や、六価クロムの流出による事故の際には、多くの水道事業体において、浄水処理の強化や粉末活性炭の投入などの対応を余儀なくされました。このため、水源水質事故発生時には、被害拡大防止のため、迅速な情報連絡の重要性を関係行政機関への周知、また排出源の特定等、その解決には環境部局等の影響が必要不可欠であることから、その協力体制の重要性について、関係行政機関への理解促進への取組を推進していただくよう要望しております。
 淀川水質協議会からの説明は以上となります。ありがとうございました。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、神奈川県及び淀川水質協議会、2団体の発表に関しまして、ご質問をお受けしたいと思います。
 まず、それでは、Webの大久保委員から、どうぞ。
【大久保臨時委員】 大変貴重なご報告、ありがとうございます。水道法側あるいは水濁法側、両方から、観点は違いますけれども、同様の重要な論点について、具体的にご説明がありまして、大変参考になりました。
 質問は、神奈川県の方にお伺いしたいのですけれども、基本的に水濁法の規制対象、特定対象以外も、条例対象にしているということだと思うのですけれども、実際に生じた事故について、農薬の流出事故というのが1件あったかと思います。これはまさに水濁法だけではカバーできていない部分ではないかと思うのですが、農家さんからの流出だとしますと、こういうものについても、原因が分かれば、原因不明がほとんどであるということでしたけれども、原因が分かれば、第二次産業だけではなくて、農家さん、あるいは土木事業や建築事業の業者さんも、この水質事故対応義務づけの対象になっているのかどうか、そして具体的に、先ほどの農薬などですと、どのような対策が取られたのかどうかという、その辺り、現在の水濁法でカバーされない辺りについて、もう少しご説明いただければありがたいと思います。
 もう一点、災害時も重要な視点で、これは現在の水濁法でも国と自治体の並行権限規定が、神奈川県の特徴として、自主的な取組をしている事業者さんに周辺住民周知をお願いしているという点、これも重要だと思うのですけれども、周辺関係機関周知の中には、関係機関への通報というのも、もう一個、アのほうで入っていますね。イは本当に重要なことだと思っておりまして、もう一つ、アのほうでは、環境省と国の機関への通報も入っているのでしょうか。といいますのは、大災害時、震災時に、緊急の並行権限発動との関係で、そこの部分の連携が取っているかという関心からの質問でございます。ひょっとすると、関連するPRTR等で淀川のほうからも追加の補足のご説明があれば、お伺いしたいとは思いますが、まずは神奈川にお伺いできればと思います。
 以上です。
【神奈川県環境農政局環境部環境課】 神奈川県の寺下です。ありがとうございます。
 資料では、スライドの3ページを映していただければと思います。実際には、原因が判明したものは、昨年度、令和6年度では全体の40%が一応原因判明となっておりまして、ご指摘のとおり、水質汚濁防止法の特定事業所で起きた事故というのは非常に少ないです。実際には、そのほかの事業所で起こっているものがほとんどでございまして、例えばここで言うと工場・事業所が一番多くて28件、それから、あと工事で14件、あと交通事故でも9件という形になっていまして、うちの県では、全ての事業所に対して、通報であるとか、あるいは応急措置の義務を課しています。自動車事故に関しても、事業活動に伴った自動車であれば、条例の義務はかかっていると。そういう形になっております。
 あと、先ほどの農薬の関係ですけれども、実際には、こちらは農家さんの倉庫が火災で焼けたと。そのときに放水がされますので、放水と一緒に農薬が川に流れたという形になっていますので、ちょっと、要は不可抗力的なものになっております。なので、ちょっとこちらが、なかなか有効な対応ができなかったというのが実態になっております。
 それから、災害時の対応についてですけれども、こちら、国への通報が定義されているのかという話なのですが、そこまで具体の指針上は指定を設けておりません。実際には県のほうに通報が来て、大きな災害であれば、災害の体制が、危機管理体制が敷かれますので、その中で、必要に応じて、また国のほうにも情報は行くのかなと。そういうイメージで考えております。
 以上です。
【大久保臨時委員】 ありがとうございます。最初に一つ目のほうで、条例で義務づけをしていらっしゃいますけれども、これ、工事とか、あるいは自動車事故は、情報の捕捉はどのように担保されているのかというところだけ、すみません、追加でお願いします。
【神奈川県環境農政局環境部環境課】 神奈川県の寺下です。
 実際、事業者自ら、こういった、何ていうのでしょうか、事前に、事業所がここにあるとか、工事をここでやるとか、あるいは事故が起きたとか、そういう情報が来る制度になっておりません。事故については通報制度がございますけれども、実態としましては、なかなか事業所から通報が直に来ることは稀で、市民からの通報が多いと。そういう状況になっております。
 以上になります。
【大久保臨時委員】 ありがとうございます。もし淀川のほうからも補足がありましたら、ぜひお願いします。大変重要な論点だと思っております。
【古米委員長】 淀川水質協議会の方で、今のご質問に関連で、淀川のほうで何かご発言があればお願いしたいと思いますが。よろしい。特にないでしょうか。
【淀川水質協議会】 大阪市の柴岡です。特にないです。
【古米委員長】 はい。分かりました。
 ほかにいかがでしょうか。
 浅見委員、どうぞ。
【浅見委員】 ありがとうございます。本日、いろいろ水道の事故に関連しまして、お話をいただきましてありがとうございました。国立環境研究所のほうでも、環境推進費等を用いまして、水道の事故とか、水源の事故に関しては、対応ができるように、検査方法や、未知の物質が出たときに、どういうふうに分析できるのかも含めて、研究を行っているところです。
 あと、先ほども神奈川県さんの3ページのほうでご指摘ありましたように、未知の部分、原因不明といったところが多いというのは、今までも全国的にも共通をしているところで、特に油ですとか、見て分かるのだけれども、物質が分からないといったもの、どこから出ているのか分からないものもあるので、なるべく早く検出をして、対応をしてというところは、非常に重要と思っております。そのようなデータについてどういったものがあればいいか、どのような点が必要かという希望があれば、教えていただければと思います。6ページで、災害対応の図上訓練を実施されておりました。私どもでも、埼玉県さんですとか大阪市さんと共同で図上訓練を今までも実施させていただいているのですけれども、どのような内容の図上訓練をしていて、国のほうでもどういうことがあれば今後役に立つというような情報があれば、教えていただければと思います。
【神奈川県環境農政局環境部環境課】 神奈川県の寺下です。
 まず1点目で、実際、事故が起きた際にどんな物質を調査すればいいのかという話ですけど、非常にこちらとしても大きな課題かなというふうに考えております。なかなか、特に魚が死んだみたいな、そういった具体に有害性があるような事故であることが疑われる場合には、こちらも調査をすることが多いのですけども、一体何の物質を調査すればいいのかというのが非常に課題になっております。なので、そういったときに、魚の何ていうのでしょうか、死んでる魚の状態なんかを見て、これはこういう物質の疑いがあるみたいなことはやったりはするのですけれども、なかなか限界があるので、そういうときに役立つような何らかの知見がもしあれば、国としてもご提供いただければありがたいかなというふうに考えてはいるところでございます。
 あとは、よくやるのはパックテストですね、簡易試験みたいなものをやっておりますので、そういったもの、物質をなかなか広げるのは、なかなかそれはそれで大変だとは思うのですけれども、そういった簡易試験的なものも、新しい知見がもしあれば、ご提供いただければありがたいかなと思っております。
 それから、もう一点なのですけど、図上訓練の関係、実際には昨年の12月に実施しまして、1回目ということで、かなりさわり的な内容をやっております。中身的には、これ、アスベストの関係と、あと水質事故の関係、2本立てで、ちょっと欲張ってやったので、内容は結構浅めになっております。ただ、これは繰り返していくことが大事だと思っていますので、毎年新しく課題を発見しながら、少しずつ改良しながらやっていきたいと思いますので、もし他県で具体の知見があれば、全国に共有いただければありがたいかなと思っております。
 以上です。
【古米委員長】 よろしいでしょうか。
【浅見委員】 ありがとうございます。一つだけ補足なのですけれども、魚に関しましては、えらの状態ですとか、浮き具合ですとか、目の色とかというのを、国交省が昔マニュアルを作っていたところに写真があって、多分、ご存じだと思うのですけれども、まずそれを見るのがあるのですが、それは酸欠かどうかぐらいしか分からなくて、その後化学物質となると結構難しいのですけれども、シアン系かどうかぐらいでなかなか難しいと思います。以前、何か全国的に一斉に魚が死んだときには、どうなることかと思ったのですけども、コイヘルペスがはやったというのもあったので、必ずしもすぐに分かるとは限らないのですが、そういった知見はなるべく共有ができるようにと思っております。
【神奈川県環境農政局環境部環境課】 ありがとうございます。
【古米委員長】 はい。どうもありがとうございました。
 それでは、鈴木委員、どうぞ。
【鈴木専門委員】 貴重なご説明、ありがとうございます。
 一つは、神奈川県さんの冒頭の、これは私が聞き漏らした可能性があるのですが、神奈川県さんは県所管と市所管が2種類あって、これは条例根拠が違うだけで、全ての自治体で同じような取組をやっているというふうに理解でよろしいのでしょうか。これが簡単な第1点です。
 それから、もう一つは、二つ目は、水質事故の発生や魚死亡、浮遊、その他白濁、着色、発泡等が多いとおっしゃって、それはそうだと思うのですけども、この事故覚知の契機というのは、こういうものが主要なものなのでしょうか。あるいは、何かこれとは違う事故覚知の契機というものは、神奈川県さんであったりするものなのでしょうか。これもちょっと質問です。
 それから、最後にもう一つ、私の理解では、主には、多分、主には61物質を対象にして、事業者さんに関しては、広く捉えておられるという仕組みになっているのかなと思ったのですけど、違っていれば、それをご教示ください。私的には、研究として調べると、やっぱりいろんな物質がありまして、単に毒性と生産量だけ見ると、見たこともない物質がざっとリストの上に出てくるというのが普通なので、それはもちろん全部対応ができない。それは通常はもちろん事業者さんなりという方々がちゃんと管理しているから、我々は目にすることがないというものなのでしょうけども、事故が起きたときには、そういうものが不幸にして見えてしまう可能性があるときだと思っているので、例えばこういう管理をしながら、万が一、起きたときに、万が一、例えば61物質を管理されているとしても、そうでないものが出たときに何かできるかどうか、ある程度、思考実験をしておくという、危機管理としての契機にはなるのかなと、僕個人は思っているのですけど、ある法律においては超えているかもしれませんが、なので、ちょっと対象物質について、61物質なのかどうか、あるいは、もしこれとは違うものを例えば環境管理センター見つけてしまった場合に、何か違う対応になったりするのかどうかということを教えていただければありがたいと思いました。
【神奈川県環境農政局環境部環境課】 神奈川県、寺下です。
 まず、スライドの1ページ目ですけれども、こちらはご指摘のとおり、横浜市、川崎市は独自条例を持っていますので、そこは県条例が適用されないと。ただ、内容的には、類似の規制を設けておるというふうに承知はしております。
 続きまして、スライドでいきますと、3ページ目の水質事故の関係ですけれども、たしか各地の契機のご質問だったかと思います。実際には、各地は、ほぼ市民からの通報、あるいは、場合によっては河川管理者のパトロールとか、そういった経緯で見つかることがほとんどかなと思っておりまして、事業者からの通報というのは非常に少ないということになっております。
 それから、スライド4ページ目の対象物質の考え方でございますけれども、実際には61物質、あと、それ以外にも、物質ではございませんけど、外観みたいな、白濁とか発泡とか、そういった外観係の水質事故もありまして、そちらも厳密に言えば61物質に入らないものも含まれるとは思うのですけれども、それにつきましても、ほぼ市民から通報が来ますので、同じように対応していると。先ほどのとおり、うちの県条例では外観の排水基準を設けておりますので、そういう意味では、事後的な指導が可能という形になっております。
 あと、それ以外の化学物質に関しては、浄水障害物質みたいな例もございましたけれども、なかなか全てこの中で対応できるわけではないというふうには承知をしておりまして、そういったものが発生した場合には、その都度、対応を考えていくのかなというふうには考えております。
 以上です。
【古米委員長】 よろしいでしょうか。
 追加で、どうぞ。
【鈴木専門委員】 どうもありがとうございます。分かりました。
 あと、もう一つ、淀川水質協議会様、協議会をつくってやっておられるというのは、伺ったこともありますし、ありがとうございます。地元の環境部局との連携を密にしとか、必要であると書いてあるのですけども、何か既にやっておられるようにも想像されますが、でも、そうでもない、何か新たにこういう課題で関係部局との連携が必要であるという、何か具体的な問題意識をもしお持ちなのであれば、あるいは教えていただければ幸いです。
【淀川水質協議会】 大阪市の柴岡です。
 ご質問ありがとうございます。今、事務局のほうで抱えています何か問題点というのは特にないですが、より事故の連絡について早期な情報共有が図れるとかというようなところが課題かと思っております。
 以上になります。
【古米委員長】 よろしいですか。
 それでは、和田委員、どうぞ。
【和田専門委員】 ありがとうございます。和田です。
 淀川水質協議会で、大阪市さんが、非常に頑張っておられることは、重々承知をしております。ちょっとこの資料で質問をさせていただきたいのですが、15ページに、事故の発生お事例として、発生と、事故の対応完了後が書かれてあります。この中の下から二つですけども、所管部局への緊急要望をされたとのことですが、これに対して、どういった回答があったか、どのような対応がされたか。また、淀川水系に存在する排水機場の調査は、恐らく、そこでストップさせるようなことでの調査と思うのですけれども、調査した結果、どういったこと、何が得られたかと、そして、事故対応完了後の、これらの対応によって、次の事故発生時に何か前進したことがあったら、教えていただければと思います。
【淀川水質協議会】 ご質問ありがとうございます。大阪市の柴岡です。
 ご質問を幾つかいただきまして、少し把握できているところとできていないところがあるのですが、まず一つ目、いわゆる環境部局の緊急要望というところで、これに関しては、当時の記録を読ませていただきますと、環境部局において、事故の情報源の発生とか、再発防止策も含めた排水機場への連絡とかというようなことが、資料でちょっと読み取れました。当時、私が担当してなくて、お答えできなくて申し訳ないのですが、そのような対応となっております。
 最後の質問がありました淀川水系に存在する排水機場の調査につきましてですが、これ、すみません、同時に参加されています北本代理、何かお分かりの点、ありますでしょうか。
【淀川水質協議会】 すみません、大阪市の北本です。ちょっと音声確認、事前にしていないのですけども、聞こえておりますでしょうか。
【古米委員長】 はい。聞こえております。聞こえております。
【淀川水質協議会】 
 このときに、淀川水質協議会で、こういった事故の経緯を踏まえて、私も当時、対応していないところがあって、分からないところもあるのですけど、一応、排水機場調査をすることになりまして、ただ、割と机上の調査にはなっている、河川図とWeb検索等で淀川における排水機場を調査しておりまして、高槻市と枚方市におきまして、左右岸に約20か所の排水機場が点在していることというのを確認したというところで、今後、もう少し詳細な調査をするというふうな記録が残っております。
 以上になります。
 石本所長、何か補足できること、ありますか。
【淀川水質協議会】 すみません、大阪市水道局の石本と申します。
 当時、この事故対応をしておりまして、緊急要望をさせていただいた際には、大阪府の都市整備部の下水の管理のところに行かせていただいたのですけれども、今回、その事故については、かなり重大な事故だったということで、ちょうど重油が漏れてしまった事故だったのですけども、そういう油の扱いということは、管理をもう徹底するようにということで、管轄の下水処理施設には周知するというような形で、今後、そういう事故が起こらないようにというようなお答えをいただいたと記憶しております。
 排水機場の調査につきましては、排水機場を通じて油が出てくるというところがございますので、そういった、特に降雨があった際に、そういったところを通じて油が流出するというようなこともございましたので、淀川水系に、どういったところに排水機場があるのかということをもう一度見ておこうということで、調査をさせていただいたというところで、そういう存在をまずは水道事業者としても確認しておこうということで、調査を行ったというところでございます。
 以上でございます。
【和田専門委員】 ありがとうございます。非常に重要な内容だと思うのですね。排水機場から出てくるというようなことは、水質の事故、河川で取水されているほかの浄水場の参考にもなると思いますし、こういった事故が起こったときの情報共有は、もちろんですけれども、それらを次の継承、ナレッジマネジメントというのですか、いわゆる経験を後世に伝えていって、どのように対応していくか。前進ですよね、そういったことを今後もしていかなければならないと感じました。どうもありがとうございました。
【古米委員長】 はい。どうもありがとうございました。小川委員、どうぞ。
【小川専門委員】 神奈川県の方にご質問です。確かに今、災害に関する化学物質の漏えい等は非常に重要な視点になっています。神奈川県内でも薬品類の取扱量が多い事業所、土砂災害の警戒区域に該当する事業所、あるいは河川が氾濫した際の浸水深が深い事業所などは、ハザードマップにおける様々なリスク条件が変わってくると思います。神奈川県ではそうしたリスクの高い場所にある事業所に対して、例えば立入りや、計画書の作成指示に対する厳しい確認など、何か特別な取組を行う計画があるか、教えていただきたいです。
加えて、車両事故の件について質問です。我々は様々なトラックを使っていますので、燃料やオイルの漏えいはよくあることですが、そうした場合に、やはり県外ナンバーの運転手では所管の出先機関は分からないため、とりあえず警察と消防に連絡しています。警察や消防からは応急措置を取り、公共流域に被害が出るようなことであれば対応してくださいという指示があるので、当社ではオイルマット等を敷くように現場に話をしています。この点について、まずは消防・警察に通報するということでよろしいのでしょうか。
【神奈川県環境農政局環境部環境課】 ありがとうございます。まず、1点目の、スライドでいきますと、8ページ目の関係だと思います。実際、災害に備えた事業者の取組状況で、実際には、今年度から届出制度、報告制度を設けておりまして、実際には、まだ立地条件で優先順位をつけた事業者の立入は、まだできていない状況です。まずは届出をしていただく。まず、届出の不備とかをなくしていただく、そこから始めておりますので、今後、ご指摘がありましたような、例えばリスクの高い場所、あるいは有害物質の種類だとか、量が多いとか、そういうところを見つけて、ちょっと重点的にやっていく必要もあるのかなというふうに考えてはいるところです。
 あと、もう一点は、車両の関係ですね。確かにご意見のとおり、まず情報が来るのは警察か消防か、どっちかですね。油が路上で漏れたと。そういう通報が来ることがほとんどになっておりますはい。
 以上でよろしいでしょうか。
【小川専門委員】 ありがとうございました。
【古米委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、全体を通じて、何かご質問等があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは私から。良好な水環境を創出するという取組をやっていただいた4団体、あと法政大学の先生にお話しいただきましたけれども、今の段階というのは、何か事業であるとか、イベント的に対応していると思います。現状では地域地域ごとでですが、行政なり、ある協議会の中で、先ほど出たような活動計画、ビジョンみたいなものを計画論として入れて、それに組み込んでいく。例えば水循環基本計画の中の水環境に関するところにしっかりと位置づけていただくと、活動しやすくなると思います。具体的に、そういった複数の行政が一緒にやっている計画の中に、具体的な計画論を取り込んでいくというようなことをもしやろうとされたら、今のお立場では、どんな貢献ができるのでしょうか。簡潔で結構ですので。それは難しいという回答でもいいでしょうし、こういう条件であれば貢献できるとか、北房さんから一言ずついただけますでしょうか。
【北房観光協会】 現状は、活動している私たち自身からムーブメントを起こすしかなくて、割と、評判がよくなったら、後から行政の皆さんがついてきたりするということはよくあることで、何ていうのでしょうかね、共通のアイデアみたいなものが出て、民間が自治体が提唱していることに沿った動きをしていれば、それなら支援をしますよということでスムーズに行くと思いますが、実際には、「民間が勝手にやっている」で連携は無いというのが現実で、何か制度が欲しいと思います。
【古米委員長】 言い換えると、行政側がどうアプローチすると、アイデアだとか、いいものが取り込めて、計画論に入ってくるのか。行政側がどのようなアプローチすれば、そういった情報が入ってくるのかどうかというようなことでお聞きしたいと思うのですけれど。例えば、アプローチとしてお金が出ますよと、一緒に計画を立てましょうとか、こういう条件であれば積極的に参画できるとか、そんなお考えはございませんか。
【北房観光協会】 現状では、お陰様で環境省さんと響き合っての事業を進められていますけど。
【古米委員長】 モデル事業をやってね、はい。
【北房観光協会】 これまでは、こっちがいろいろな補助金をいろんな担当課に言って探して、響き合えば、それでいきましょうという話になるけど、それが響かなかったら何もできない。補助金ありきで活動はしていませんが、過疎地の環境保全には費用が必要なのです。
【古米委員長】 そういう状態ですよね。
【北房観光協会】 はい。
【古米委員長】 それを打破するためには、行政側から何らかの新たなアプローチする。例えば、具体的な予算のついた計画論に持っていくなどが考えられると思うのですけれども。そういったときでも、民間であるとか、公益団体の法人の方々は、なかなかアプローチしようと思っても難しいと私も思います。したがって、こんな条件であればアプローチできて、よりいい計画を流域協議会などでつくり得るんじゃないかなどのアイデアはありませんか。非常に難しい質問をしているのは分かっているのですけども、例えば肥後のグループさんはいかがでしょうか。
【公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金】 ありがとうございます。私どもは、あくまでも自らの意思で。
【古米委員長】 そうですね。ええ。
【公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金】 自らの手で行っているのが中心でございます。ですから、いろいろ一般の補助金があるからといって、正直、手を出していないのですね。なぜならば、それによっていろんな制限があります。「はい、これを報告してくれ」、「はい、これ、ちょっと報告書き直して」とか、要はやらされ感といったものがあると続かないと思っております。
【古米委員長】 はい。どうもありがとうございます。野田先生、何かありますか。
【野田准教授】 ありがとうございます。私は研究者として、現場の皆さんとか、行政の皆さんを支援するようなことをやっているのですけど、この名水百選の現場というのは、公共空間にある場合もあれば、民間の私有地の中にある場合も結構多いのですよね。だから、法的あるいは制度的な位置づけから、ちょっと離れてしまっていて、行政支援が必要だと言われても、なかなかどう位置づけたらよいのか、皆さん迷われている側面が強いような気がします。ですので、水循環基本法などにひもづけられていくことが重要だと思います。結局、部局は縦割りになっているので、例えば松本市は21の公共井戸があるのですけど、それは複数の部局にまたがっているのですよね。そこでは横の連携がなかったりするので、水循環や水環境に関する基本計画のようなところにちゃんとひもづけられ、あるいは環境省の法制度の中に明確に位置づけられていけば、地方自治体において横の連携というのはスムーズになっていくのでは無いかと思います。地域住民の皆さんの水場の管理のような労働負担をどうするかとか、そういう細かい課題に制度的に対応するためには、大事な視点かなと考えています。
【古米委員長】 最後は横浜市さんなので、行政側で積極的に水辺に対して住民に関心を持っていただくという活動をされていますけれども、何か計画的な位置づけでは行動はされていないように思いますが、いかがでしょうか。
【横浜市みどり環境局環境保全部水・土壌環境課】 そうですね、そういう計画というのも大事ということで、並行して動いている部分もあるんですが、やはり、もう既に活動されている方々のところと連携して、水辺レポートをやっていただいて、それを情報発信して共有してというような形で、それを見た人が、また関心を持っていただければと思っています。
 あと、先生から補助金のお話もございましたが、昔、公害とか言われた時代でしたら、補助金とか予算とも行政として取りやすかったかもしれませんが、今、予算というのは非常に難しいところです。補助金に頼ってしまうと、やはり施策が進まない。じゃあ、何ができるのかというと、やっぱりそういう活動団体の方々は、自分たちがやったことをどう評価してもらえるのか、紹介してもらえるのかというと、ここがやはり現状の背策では十分でないというところです。我々としては、市のホームページ「おわんびより」で紹介させていただいています。そういったところで紹介することで、お互いに持っているもの/持っていないものを補い合いながら、関心を持ってもらう人を広めていくことかと思います。
 あと、先ほど都道府県の話もされておられたかと思いますが、横浜市では市の管理の河川以外にも、神奈川県さんの河川もあり、また、国の管理する鶴見川という河川もあります。やはりそういったところは、県・国と連携ということもあるかと思いますが、もう既に活動されている方々がその川にはおられますので、そういった方々と連携をしていくこともあるかと思います。
 また、どうしても行政主導となると、やはりやらされている感になってしまうという懸念がありますので、やっていただいている方のことをどうクローズアップして見せていくか、紹介していくかということになるかと思います。
【古米委員長】 どうもありがとうございます。トップダウンではなかなかうまくいかないので、ボトムアップなのだけども、私がちょっと思っているのは、ボトムアップだけではばらばらになりやすいため、アンブレラをかけるような方法論が必要なのではと感じます。そうしたときに、どう行政側がそういったアンブレラをつくるような計画なりビジョンづくりが貢献できるのかなと思って質問をさせていただきました。すみません、非常に変な、難しい質問したと思います。もしほかにお答えできることがあればお願いします。岡本さん、どうぞ。
【肥後銀行】 肥後銀行の岡本でございます。
 全然お答えになっていないかもしれないのですけども、やはり各民間団体、公益法人や、本当にNPOの方々とか、水に関わっている団体さんが、どういうことに困っているかということを調べていただいて、その困っていること、先ほど私どもが2点申し上げましたけど、それは私たちの団体のことであって、ほかの団体さんはどう考えていらっしゃるか、そういった実態を探っていただいて、そこを何かすくい取っていただけるようなことがアンブレラとしてできると、非常に皆さん、ぜひ、そういった計画にも参加をしたりとか、期待をしてということになるのかなと。
 以前、エコツーリズム推進法という法律ができたときに、いろんな地域で結構面倒くさい計画を立てられて、私たちもちょっと関わったのですけども、なぜ関わったか、団体が多かったかと聞きましたら、当時は白タク問題がありまして、エコツアーで人を連れていくときに、自分の車とかだと白タクになってしまうから、できないと。それではエコツアーができないということが最大の問題だったのですけども、認定を取れると、国の認定が取れると、それがオーケーになるということを当時の運輸省さんが認めてくださったということがあって、各地は、皆さんそれで、事実上は、そのことで、もう手を挙げられたというふうなことを聞いておりますので、何かそういったようなことがあると、すごくありがたいなと思います。
【古米委員長】 どうもありがとうございます。いろいろな活動や取組があるので、そこでの課題というものをうまく集約して、それをうまく把握した上で、協力できる、支援を考えていくということだと理解させていただきました。
 ちょっと私が変な質問をしたので、時間をオーバーしましたけれども、これは、本件については、これで終わりたいと思います。
 それでは、今日の審議を終了として、進行を事務局にお返しします。
【嶋田主査】 ありがとうございました。
 本日は、委員の皆様、またヒアリングにご協力いただいた皆様、大変ありがとうございました。
 次回以降の審議については、今回いただいた意見等を整理しまして、各論点の議論を深めていきたいと考えております。
 次回の日程については、追ってご連絡、ご案内させていただきます。
 また、今回の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様、また発表された皆さんのご確認を経て、環境省ホームページに掲載したいと考えております。
 以上をもちまして、本日の水環境制度小委員会を閉会いたします。
 ありがとうございました。
午後5時35分閉会