生活環境の保全に関する水環境基準小委員会(第1回)議事録
日時
令和6年3月11日(月) 15:05~16:26
場所
Web会議システムにより開催
議題
- 底層溶存酸素量に係る環境基準の水域類型の指定について(第3次報告案)
- その他
配布資料
- 【資料1】中央環境審議会水環境・土壌農薬部会 生活環境の保全に関する水環境基準小委員会第1回 委員名簿
- 【資料2】「底層溶存酸素量に係る環境基準の水域類型の指定について(第3次報告案)」概要
- 【資料3-1】底層溶存酸素量に係る環境基準の水域類型の指定について(第3次報告案)
- 【資料3-2】底層溶存酸素量に関する霞ケ浦(西浦・北浦・常陸利根川)の類型指定検討結果
- 【資料4】霞ケ浦における底層溶存酸素量類型指定検討会の概要
- 【参考資料1】底層溶存酸素量に係る環境基準の水域類型の指定について(諮問・付議)
- 【参考資料2-1】底層溶存酸素量に関する環境基準の水域類型の指定について(答申)別添(令和3年7月30日)
- 【参考資料2-2】水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて(答申)(平成27年12月7日)
- 【参考資料2-3】底層溶存酸素量及び沿岸透明度の評価方法等について(平成28年11月1日、第42回中央環境審議会水環境部会資料)
議事録
午後3時05分 開会
【関口課長補佐】 これより第1回中央環境審議会水環境・土壌農薬部会生活環境の保全に関する水環境基準小委員会を開会いたします。
委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日は、Web会議での開催となります。会議中、音声が聞き取りにくい等不具合がございましたら、事務局までWeb会議のチャット機能等でお知らせください。
本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、環境省環境管理課の公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。
Web会議の開催に当たりまして、通信環境の負荷低減の観点から、ライブカメラの映像は冒頭のみとし、議事以降につきましては音声のみの配信といたしますので、あらかじめご了承ください。マイク機能は、委員長及び発言者以外はミュートに設定していただきますようお願いいたします。
また、カメラ機能は基本的にオフにしていただきますようお願いいたします。
なお、ご発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。ご発言の意思はこのマークで確認いたします。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、ご発言いただきますようお願いいたします。ご発言後は再び挙手アイコンをクリックし、挙手をオフに操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、ご協力よろしくお願いいたします。やり方が分からない場合には、適宜ご意見のある旨をおっしゃっていただければと思います。
本委員会の委員の先生方につきましては、お手元の資料1、委員名簿のとおりでございますが、改めて本日ご出席の先生方をご紹介させていただきます。
Web会議のため、差し支えなければ、お名前を呼ばれましたらそのときだけカメラ機能をオンにしていただきたくお願い申し上げます。
まず、古米委員です。
【古米委員長】 古米です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 大久保委員です。
【大久保委員】 大久保です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 小川委員です。
【小川委員】 小川です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 小熊委員です。
【小熊委員】 小熊です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 風間委員です。
【風間委員】 風間です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 清野委員です。
【清野委員】 清野です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 田中委員です。
【田中委員】 田中です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 福島委員です。
【福島委員】 福島です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 古川委員です。
【古川委員】 古川です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 皆川委員です。
【皆川委員】 皆川です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 宮原委員です。
【宮原委員】 宮原です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 和田委員です。
【和田委員】 和田です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 委員の皆様、ありがとうございます。
本日の委員のご出席状況でございますが、所属委員13名のうち12名にご出席いただいております。
山本委員は前の会議が終了し間に合い次第、こちらにご出席されます。
次に事務局からの出席者を紹介いたします。事務局につきましては、氏名の読み上げのみとさせていただきます。
環境管理課、筒井課長。
環境管理課環境汚染対策室、鈴木室長。
環境管理課、菊地係長。
環境管理課、関口でございます。
それでは、議事に先立ちまして、環境省環境管理課長の筒井よりご挨拶申し上げます。
【筒井課長】 本来でございましたら局長の土居が参ってご挨拶を申し上げるべきところ、所用により土居の出席が本日難しいという状況でございますので私、環境省の水・大気環境局環境管理課長の筒井よりご挨拶を申し上げたいと思います。
本日は3月ということで年度末も近づいている中、ご多用のところご出席を賜りまして誠にありがとうございます。また日頃より、水環境行政の推進につきまして格別のご指導を賜っておりますことを改めて御礼申し上げます。
さて、環境省では、水・大気環境管理の一層効率的な実施のために、昨年7月に水・大気環境局内の組織再編を行いまして、水、大気、土壌の一体的管理を行う環境管理課が組織されたところです。
また、昨年6月に生活環境の保全に関する水環境基準の設定の見直しに関する検討審議を行うため、生活環境の保全に関する水環境基準小委員会を設置しまして、本日がその第1回目の開催となります。
さて、底層溶存酸素量につきましては、水生生物の保全の観点で有効な指標ということで、平成28年3月に環境基準に設定をされたところです。
これまで、国が指定する水域として東京湾、伊勢湾、大阪湾、琵琶湖において、この底層溶存酸素量の水域類型を指定してきたところです。
本日の小委員会では、霞ケ浦の類型指定についての指定案について、ご審議をいただければと考えております。
何とぞ、本日はご審議のほどよろしくお願いいたします。
【関口課長補佐】 ありがとうございます。それではカメラ映像はここまでとし、これ以降は音声と資料映像のみとさせていただきます。
続きまして、資料の確認に移ります。事前にメールでご案内のとおり、議事次第のほか、資料1の委員名簿、資料2、資料3-1、資料3-2、資料4、こちらが本日のご審議いただく資料になります。
また、参考資料は1、2-1、2-2、2-3の四つとなっております。もし不足等ございましたらお申出ください。よろしいでしょうか。
それでは、委員長のご紹介をさせていただきます。
本小委員会の委員長に関しましては、中央環境審議会議事運営規則に基づき部会長が指名することとなっており、古米委員に本小委員会の委員長を務めていただくこととなっております。
それでは、以降の進行は古米委員長にお願いしたいと思います。古米委員長、よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 はい。古米です。皆様、よろしくお願いします。
それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。
議題の1の底層溶存酸素量に係る環境基準の水域類型の指定について(第3次報告案)を事務局からご説明をいただきたいと思います。
【菊地係長】 環境省環境管理課の菊地と申します。私のほうから資料を説明させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず資料の構成ですが、資料の2、資料の3-1、資料の3-2について説明します。
資料の3-1が、底層溶存酸素量に係る環境基準の水域類型の指定について(第3次報告案)の本編資料、つまり小委員会報告書案の本編となります。
資料の3-2が、当該本編資料の参考資料に相当する資料であり、様々なデータを掲載している小委員会報告書の資料編の案となります。
そして、こちらの資料の2が、これらの資料の概要をパワーポイントでまとめたものになります。
この資料2を基に本日は説明させていただきます。
大変お手数おかけしますが、電子データで資料をご覧になられている方は、報告書の鑑や目次にはページ番号を振っていないので、ページジャンプする際は、資料3-1についてはその参考にしたいページに1を足して入力していただいて、資料の3-2につきましては参照するページに4を足して入力いただき、ジャンプしていただければと思います。誠にお手数おかけします。
それでは、説明を始めさせていただきます。資料の2のスライド2ページ目となります。
まず、底層溶存酸素量、いわゆる底層DOの環境基準について基本的な説明から入るのですが、ある程度割愛して説明させていただければと思いますのでご了承願います。
まず、資料2の3ページです。底層溶存酸素量は、平成28年に生活環境の保全に関する環境基準に加えられた比較的新しい基準となります。
続きまして、資料の2の4ページです。底層溶存酸素量は、魚介類などの生息・再生産に対する直接的な影響を判断できる指標として設定されました。
続きまして、資料2の5ページ目となります。生活環境に関する環境基準の適用においては、各水域を利用の目的に応じて区分して、各区分ごとに類型を当てはめることにします。
底層溶存酸素量は閉鎖的な湖沼、海域で適用する基準でありまして、国が類型を当てはめる水域が政令で定められておりまして、このスライドのとおりとなります。
挨拶でありましたように、琵琶湖、東京湾、伊勢湾、大阪湾、大阪湾は湾奥部のみなのですが、これらについて類型を指定しておりまして、今回は湖として霞ケ浦における底層溶存酸素量の水域類型の指定について、検討を行うということになります。
続きまして、資料2の6枚目となります。底層溶存酸素量の類型は3段階で、高い基準値から4mg/L、3mg/L、2mg/Lとなっており、貧酸素耐性が低い水生生物の生息域または再生産の場を保全・再生する目的に応じて高い基準となります。
続きまして、資料の2の7ページ目となります。海域及び湖沼のうち、水生生物の保全・再生を図ることを目的に、底層の貧酸素化の防止を図る必要がある範囲を指定します。
保全・再生すべき水生生物対象種、以降これを保全対象種と呼びますが、これらの選定を行いまして、その保全対象種の生息状況などを踏まえまして、生息の場を保全・再生する水域の範囲を設定します。
その上、過去の水質がよい時期、例えば、公害が顕著になる時代の前から発生しており、人為的負荷が原因でないと考えられる貧酸素の状況があります。つまり、改善が難しい貧酸素の状況などを踏まえまして、そういった水域の特徴も勘案しまして基準値を設定していきます。
下の図は、これまで実際に水域類型を指定してきた水域を例示します。東京湾、伊勢湾、琵琶湖となります。このように水域を生息分布域や水深などで区域分けしまして、それぞれに類型を当てはめていきます。
続きまして、資料2の8枚目となります。先ほど申し上げました保全対象種の観点と水域の特徴の観点から底層溶存酸素量に係る水域類型を指定していきます。
続きまして、資料2の9枚目です。保全対象種の決定方法はこのフロー図で決定していきます。
保全対象種の決定後は、それぞれの生息段階と再生産段階での底層溶存酸素量の種別目標値、つまりその種を保全するために確保するべき底層溶存酸素量を設定します。例えば、マコガレイという例を挙げておりますが、こちらについては生息段階の種別目標値は3mg/L、再生産段階の種別目標値は4mg/Lと設定しました。
続きまして、資料2の10ページ、11ページは、種別目標値の決め方のフロー図となります。このフロー図に基づきまして、先ほどのマコガレイの種別目標値というのも決めました。今回はこの詳細の説明は割愛させていただきます。
続きまして、資料2の12ページに飛びます。保全対象種を選定しその種別目標値を設定しましたら、生態情報やヒアリング結果を基に、この保全対象種の生息域と再生産の場を設定し、水域の地図に落とし込みます。そして、全ての保全対象種の生息域と再生産の場を重ね合わせて、類型が重複した水域は上位目標を優先させて、保全対象種の観点からの類型指定の検討というものは完了となります。イメージとしてはこのスライドの図のとおりとなってございます。
続きまして、資料2の13ページです。別のイメージですが、全ての保全対象種の生息域と再生産の場を重ね合わせたとき、この図のようにいわゆる飛び地がある場合は、水域管理の効率性から、飛び地は基本的に上位目標に巻き込むことが妥当として、飛び地も上位の類型を目標として、保全対象種の観点からの設定というものは完了となります。
続きまして、資料2の14ページです。水域の特徴の観点からの類型指定の例を示します。検討対象の水域において過去の底層DOの状況、あと無生物域の有無、つまり生物が全くいない水域から貧酸素を解消させて、生息できる水域に戻したいというようなところがあるのかどうかというところと、そして埋立地や港の影響で海水交換が悪い水域について調べます。この例では、対象水域や保全対象種の観点では、全域生物1類型で設定できるとします。
一方、この水域の中央部で水質汚濁が顕在化していないと考えられる昭和初期から貧酸素水域の発生が頻発している。つまり水域の特徴として人為的汚染由来ではない、必然的に貧酸素化している可能性が高いことが分かったと、この例では仮定します。
このように、水域の特徴の観点から、水域中央の貧酸素の解消が難しい、または時間を要すると判断される場合は、まず中央は生物3類型から指定するということをします。
以上のように、保全対象種の観点と水域の特徴の観点を総合的に考慮しまして、類型を指定していきます。
続きまして、資料2の15ページとなります。ここで水域の特徴を考慮した類型指定の例として、東京湾の例を示します。
保全対象種の観点ではほぼ全域、生物1類型ということになるのですが、水域の特徴の観点を踏まえまして、例えば、その港の構造とかで海水の交換が悪くて閉鎖性が高い東京港とか千葉港、木更津港というものは生物3類型としました。
あと湾奥部などその環境悪化前、東京湾では昭和30年代前半から貧酸素化しやすい特徴がある範囲というのがあり、その範囲は生物2類型または3類型と指定しました。
続きまして、資料2の16ページとなります。琵琶湖に関しては、水域の特徴の観点において継続して貧酸素化が顕著になっている水域は見られないとして、保全対象種の観点のみでこのような類型指定としました。
琵琶湖で深いところでこの真ん中の第一湖盆というところがありますが、こちらについては生物3類型で設定しているのですが、貧酸素耐性が比較的高いイサザという魚が生息していることから、このような設定にしています。
以上、底層溶存酸素量の類型指定の基本的なところですが、資料2の17ページであります。
それでは、本題の霞ケ浦の類型指定の検討案について、つまり資料3の概要の説明に移ります。
資料2の18ページをご覧ください。霞ケ浦には西に位置する西浦、東に位置する北浦、南に位置する常陸利根川の三つの水域がございまして、それぞれの水域において類型を指定します。この説明では三つ合わせた水域を霞ケ浦と呼ばせていただきますので、ご承知おきください。
これら各水域の全域においては、CODなどについてはA類型、全窒素・全リンについてはⅢ類型で、水生生物保全の環境基準につきましては生物B類型で既に指定されています。
COD、全窒素・全リン濃度の経年変化が資料3-2の9ページから12ページ。月別変化は資料3-2の13ページから15ページに載せています。
CODの基準値、あと全窒素・全リンの基準値より、現状としてはこれらの現状の濃度は上回っていて、現在はその環境基準としては非達成という状況です。
続きまして、資料2の19ページに移ります。底層溶存酸素量の類型指定までの過程の説明に入ります。
まずは保全対象種の選定を行います。霞ケ浦に生息している全ての魚類、甲殻類、軟体動物から抽出した検討種を重要な種と位置づけて、保全対象種を選定する過程において、その重要な種と位置づける際の参考とする項目が、この表のとおりとなります。
抽出検討した種に対して、例えば保全計画で保全を図るべき種となっているのか、貧酸素化が著しい時期に再生産を行うのか、貧酸素の影響を受けている知見があるのか、主要な漁獲種なのか、食文化や親水、物質循環の保全の観点で重要な種なのか、地域関係者が必要としている種であるのかなどを確認していきます。
資料3-1ではこの旨を3ページ目、資料3-2は75ページから86ページに、具体的にこれらの項目に該当する種というものを掲載しています。
ここで、資料2の20ページに移りますが、一旦資料3-1の4ページの説明をします。資料3-2の場合ですと87ページです。
こちら、先ほどのスライドの①から⑦のうち、四つ以上該当する種については保全対象種に選定しました。例えば、この表1ですとニホンウナギ等が四つ以上ついていますので、保全対象種にしました。
また三つ以下でも、その地域によって必要な種であるとヒアリングできた場合はそれも選定しました。この表でいうと、シラウオ等が該当いたします。
スライドに戻りますと、選定の結果、保全対象種は17種類となり、内訳としては魚類が12種類、甲殻類が3種類、軟体類を2種類で選定しました。
では続きまして、資料2の21ページとなります。選定した保全対象種の生息域、または再生産の場を設定していきます。設定においてはどのような底質で生息しているのか、または再生産しているのかを見ますので、まずは霞ケ浦の底質の情報をここに載せてございます。
資料の3-2では、54ページでまとめております。ここで常陸利根川では東側に砂、西側に泥が分布しておりまして、北浦、西浦では沿岸が砂、その他の部分や湖心というところでは泥が分布しているという、このような状況です。
続きまして、資料2の22ページです。水深は図のような状況となっています。西浦の湖心の最大水深は約7mとなっています。
資料の3-2では55ページに、この水深をまとめています。
続きまして、資料2の23ページです。
以上の情報を踏まえまして、霞ケ浦の保全対象種の生息域及び再生産の場は、各保全対象種の生態特性に係る知見を踏まえて設定していきました。
資料の3-2の場合ですと、111ページにまとめています。
そして、それぞれの種類に対しまして、底層溶存酸素量に係る種別目標値というものを設定していまして、それもこの表にまとめています。
続きまして、資料2の24ページです。ここでは、ワカサギとシラウオの生息域と再生産の場の設定について示します。ワカサギとシラウオの生息域の目標値が3mg/L以上、再生産の場の目標値は4mg/L以上と設定しています。
ここで生態特性から、こちらの左の図のようにワカサギとシラウオは霞ケ浦全域で生息していると考えられ、このような設定としました。
そして再生産の場について、沿岸域の浅い箇所で再生産が行われており底質では砂、砂礫で再生産が行われているのではないかと考えられ、右の図のように再生産の場はこのように設定しました。
続きまして、資料2の25ページに移ります。イサザアミとテナガエビの生息域と再生産の場の設定について、示しております。
この両者の生息域の目標値は3mg/L以上、再生産の場の目標値は4mg/L以上と設定しています。
ここで生態特性から、こちら左の図のようにイサザアミもテナガエビも先ほどのワカサギとシラウオと同じで、霞ケ浦全域で生息しているものと考えられ、このように設定しています。
そして再生産の場におきましても、こちらのイサザアミとテナガエビにつきましては、霞ケ浦全域で再生産が行われているというところが考えられ、右の図のように設定しています。
以上、ここでは4種類の保全対象種について説明しましたが、全ての保全対象種の生息域と再生産の場については資料3-2の111ページから128ページまでまとめています。
続きまして、資料2の26ページに移ります。霞ケ浦で選定した保全対象種17種類の生息域、再生産の場を全て重ね合わせると、この図のようなことになります。
重ね合わせの結果、生物1類型の水域に基準値の異なる範囲など、こういった飛び地が存在しています。こちらの水域につきましては、一体の水域として保全を図ることが適当であるということから、霞ケ浦の全域が生物1類型と考えられ、全域生物1類型として保全対象種の観点からの類型指定としました。このような検討をしました。
続きまして、資料2の27ページに移ります。こちらにつきましては、霞ケ浦の水域の特徴の観点について説明します。
まず、説明の前提といたしまして、参考資料2-3の1ページに一旦移りますが、底層DOの基準の適否につきましては、月1回以上の採水による測定データを用いる場合には安全側の評価というところで、日間平均値の年間最低値がその類型の基準値を上回っていれば基準値を達成、下回っていれば基準非達成という環境基準点ごとにそういった判断しまして、そういった評価をすることになっています。
以上を念頭に置いていただき、先ほどのスライドに戻ります。
まず(1)底層溶存酸素量の状況です。まず1ポツ目を読み上げますと、昭和52年度から現在にかけて年間最低値が4mg/L未満になる年度があるものの、常に4mg/L未満になる調査地点はないと書いています。
ここで、資料3-2に移ります。33ページから39ページ、46から47ページ、51ページにかけまして、国交省、国立環境研究所、茨城県霞ケ浦環境科学センターが測定しました、各年度の底層DOの年間最低値の経年変化を載せております。
なお、調査地点につきましては、国交省が29ページで、国環研が44ページ、茨城県は52ページに、それぞれの期間の調査地点というところを載せています。
また30ページから32ページで、45、50ページに、その近年の底層DOの月別の変化を載せていまして、例えば、30ページを見てみますと、どの時点でも夏に底層溶存酸素量が低くなるというこのような傾向が見られます。
これは表層の水温が上がりまして、一方底層はそこまで上がらず成層が生じる。いわゆる水温躍層が生じて、底層に表層からの酸素が供給されにくくなっているからと考えられます。
それでは一旦スライドのほうに戻りまして、ここでは調査地点一つ一つの年間最低値というのは割愛しますが、昭和52年度から昭和54年度の各年度の底層溶存酸素量の年間最低値の水平分布が資料の3-2になりますが、40ページ、41ページで、平成30年度から令和2年までの水平分布が42ページ、43ページにあります。こちらは国交省のデータとなります。
例を見ていきますと、北浦の位置に北の測定地点にある武井沖というところを見ていきます。
52年度、53年度においては、4mg/L以上ですが、54年度については2mg/L未満になっています。そして近年のデータに移りますと、平成30年度は2mg/L未満、令和元年度は2から3mg/Lの間になっていて、令和2年度は4mg/L以上と、このように年度によって状況は異なっています。
ひとつの例を示しましたが、各機関の各調査地点の各年度のデータを整理しますと、底層DOの基準において、底層と定義してございます底上1m以内で各地点においては、どこかの年度では年間最低値が4mg/Lを上回っておりまして、つまりは年間最低値が今までずっと4mg/L以上になったことがない調査地点はないということが分かりました。
ここで、資料3-2のこの図に戻りますと、西浦の北の水域のエリアにかすみがうら市があり、玉造沖というところがありますが、こちらは水深が5mより深いところになりますが、比較的こちらは年間最低値が4mg/L以上となっている年度は、少なかったです。ただ3mg/L以上であったり、4mg/Lに近い値というのも出ており、年間最低値が低い状態がずっと半永続的に続いているわけではない状態です。
続きまして、こちら(1)の2ポツ目でございます。
読み上げますと、過去の底層溶存酸素量の状況について、水質が良い状況、例えば、CODが低いという時期の測定結果がないと記載しています。
どういうことかと申し上げますと、東京湾のように、例えば、昭和30年代前半のように水質が比較的きれいな時代から、そういった人為的負荷以外の要因の可能性で貧酸素が生じるようなことがあったのかどうか、霞ケ浦ではそういった情報が分からなかったということを示しています。
続きまして、3ポツ目の説明にいきます。
西浦、北浦の水深の5m以深では、6月から9月において底層溶存酸素量が減少する時期は、風が弱いときに日成層、つまり1日単位の成層というのが形成されやすい特性がありますが、風速が強くなると底層溶存酸素量に回復がみられたと、このように記載しています。
つまり、これは浅い湖の特徴ということになります。先ほど申し上げましたとおり、夏は水温躍層が生じることがありますが、風が吹けばその水深が浅いがゆえに、表層と底層の水が混合して、その成層が解消されるという傾向があるということです。
こちらの傾向につきましては、資料3-2の130ページに記載してございます。
例えば、上が底層DOで、中央が風のデータで、下が水温の図になりますが、例えば、風が弱いような日については底層DOは低くて、あと表層と底層の水温の差が見られますが、風が強くなってくると底層DOも徐々に上昇してきて、あとその表層と底層の水温の差も縮まっています。
資料2に戻りまして、まとめますと、霞ケ浦において、溶存酸素量は水温の鉛直分布と風速の変化にもよりますが、年間最低値が毎年常に低くなるわけではないということになります。
また、過去の水質が良い時期における底層溶存酸素量が4mg/L未満になる水域の有無が不明なため、つまり、その昔から対処が難しいと考えられる要因で貧酸素化する傾向というのが不明であり、改善が困難な水域が設定できないため、東京湾などのように水域の特徴の観点は考慮しないということにさせていただきました。
そして(2)底生生物の状況、(3)水の交換が悪い範囲などについてはこのスライドのとおりでございまして、無生物域を解消する範囲はなく、局所的な類型指定の設定はしない。そして設定除外範囲というところは、この霞ケ浦では設定しないということを記載していただいておりまして、詳細の説明は省略いたします。
続きまして、資料2の28ページでございます。検討結果となります。
まとめますと、保全対象種の観点から霞ケ浦の全域が生物1類型、4mg/L以上という類型指定の案としました。先に申し上げた理由により、琵琶湖のように水域の特徴の観点からの考慮は、今回行いませんでした。
資料の3-1においては8ページから9ページで、この旨をまとめています。
資料2の29ページです。以上の類型指定の案については、有識者や関係者を委員としました地域検討会の開催により検討しました。概要は資料4のとおりで、本日ご参加いただいている福島委員に座長をお務めいただきました。
その後、類型指定案についてはパブリックコメントを募集したところ、意見の提出はございませんでした。
では続きまして、資料2の30ページです。資料3-1でいうと8ページ目です。
検討結果の経緯を説明させていただきますと、検討会においては地域の関係者及び有識者の意見を聞く中で、水深の深い水域は浅い水域と比べまして、底層溶存酸素量が低下する傾向があるものの、こうした水域の特徴が考慮されていない、また、その基準に達成できるのかといったような現実性の観点から、霞ケ浦を生物1類型で指定することに異論もありました。つまりは、そういった深いところは、まず生物2類型もしくは生物3類型から指定したほうがよろしいのではないかといったようなご意見もありました。
ほかの多くの委員は、先ほどの類型指定案には賛同だったのですが、このようなご意見もあったということです。
しかし、先に説明したとおり霞ケ浦において、溶存酸素量の年間最低値は昔から今まで毎年低くなるわけではないこと、つまり、今後その水質の改善策を継続、実施しても4mg/Lの基準達成というのが、本当に難しいというところではないのではないかということが考えられます。
そして、過去の水質が良い時代における測定結果がないため、そのような比較的深い水域で底層溶存酸素量が、そういった昔から低くなる傾向にあるのかどうかという把握が困難です。
このため、底層溶存酸素量は水生生物のための環境基準であり、その環境基準の意義である、そういう望ましい環境を目指すという基本に立ち返り、保全対象種の観点から妥当であるその類型を当てはめて、その目標に向かって、その水域の特徴に関する特別な考慮というのは行わずに、霞ケ浦全域を生物1類型としたい旨、説明しまして、最終的に検討会案とさせていただきました。
そして先ほど説明したご懸念がありましたので、今後は現時点で考慮していない水域の特徴、つまりは貧酸素化の成因や傾向などに関する調査研究を含めまして、必要な対策を検討、推進することが求められるということも報告書に記載してございます。
資料3-1の8ページになりますけども、その旨の説明を書かせていただいております。
では、最後のスライドですが、資料2の31ページです。
類型指定を完了した後は、底層溶存酸素量の基準達成を評価するための測定地点の設定を行いまして、基準達成の評価方法について検討していきます。
具体的には基準を達成した測定点数の割合である達成率という考え方で、CODなどの評価方法とは異なりまして、目標設定に柔軟性を持たせてその基準達成評価を行います。
つまりその基準を達成させるべき、測定点数の割合を決める目標とする達成率というものを今後検討していきます。
そして、どのようなスピード感でその目標達成を目指していくのかという達成期間についても、併せて検討します。
底層溶存酸素量は新しい基準ということで、類型指定後に測定結果や様々な情報を収集しながら試行錯誤して、このようなことを決めていくことにしました。
以上のこのような旨は、参考資料の2-1に記載があります。
今後、こちらの検討を進めることを報告書3-1の9ページの締めとさせていただいております。
以上、説明が長くなってしまいましたが、資料については説明を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
【古米委員長】 はい。どうもご説明ありがとうございました。
資料の2が、資料3-1が、今回の答申案になっていて11ページあるのですが、その背景になっている検討結果は資料3-2で、水域の特性であるとか保全対象種はどういうものがあるのかという整理だとか、実際DOがどういう状況になっているのかというデータを整理して、最終的に類型指定の考え方を検討されたということです。
したがって、資料3-1というのが最終的に答申案になりますので、そのエッセンスを資料の2のスライドを使って、ご説明いただいたということです。
それでは資料の、今ご説明いただいた内容に関して、委員の方々からご質問、ご意見をお受けしたいと思います。
いかがでしょうか。
それでは、田中委員お願いします。
【田中委員】 どうもありがとうございます。要領の得た説明ありがとうございます。
最初に一点確認なのですが、答申は資料3-1が報告として出ると思うんですが、資料3-2はどのような資料としては扱われるのでしょうか。公開される根拠としてのデータになるのでしょうか。
【古米委員長】 おそらくこれは同時に公表される資料だと思いますけど、確認のため事務局からご説明お願いします。
【菊地係長】 はい、お答えします。資料の3-2についても答申の一部ということになりまして、こちらのほうも公表という形になります。
【田中委員】 そうですか。その際に、まず霞ケ浦の歴史的な経過についてあまり記述がないようで、例えば、常陸川水門がいつ頃閉められて、その後、淡水化が行われてきたという情報など、それから終盤に対策の中で言葉は少し出ているのですが、今の国土交通省の、昔の建設省が霞ケ浦の水質保全対策ということを名目に、1975年から、たしか2012年ぐらいまで全面的なしゅんせつ事業をされています。
この事業がどういう意味を持っているかというのも複数の議論がありますが、底質側での有機物の除去にはかなり変化を及ぼしてきたところがあって、そういう歴史的な変化の上でこういう今の現象になっているという記述があまりないように思われます。可能であればそういう歴史的な経過の話を少しいれて、昔のことだから不明点もあるとは思いますが、そういう経過の中で、現在いろんな水質保全対策が行われた状況で、今、成り立っていると思います。
今後、どうなるかというのはそういうところでの対応の上で、ずっと継続的に期待できる部分とそうでないところがあると思うので、そういうことが少し分かるように、可能であれば、この資料の後ろにつけるか途中に加筆いただくのかということを検討いただければというのが意見の1点目です。
それから、2点目は、これは今回の議論ではないのですが、答申の中の9ページ目に書かれている達成率の話が今後出てくると思われます。その際に、やはり環境基準の目標はこれで定めた後で、空間的な測定ポイントをこれから決められて達成率を評価していくことになると思います。その際に他水域の検討でもお願いしているところがあるのですが、水生生物の底層DOの議論として、やはり連続的なデータがあれば、それをある程度使っていくという考え方が海側のほうでは、かなり整ってきているとは思うのですが、湖側のほうでは、まだやはりなかなかそこまで至っていないと考えられます。
とはいえ、連続データとして深さは必ずしも底層ではないのですが、国として計測をしている国土交通省、特にこの霞ケ浦の場合には西浦の湖心部分と北浦の釜谷沖ですかね、ここでのデータがあって、位置は底層ではないのですが、そういう連続的なデータが取られているので、その情報も合わせて達成率の評価の中で少し議論をしていく、見ていくというようなことも検討いただけるとありがたいと思います。
この2点です。よろしくお願いします。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。それでは、事務局からどのような対応が可能かご回答お願いできればと思います。
【菊地係長】 はい。お答えします。
まず、歴史的な経過の追記に関する意見につきましては、この資料の構成としては、類型指定の際に必要な情報というものを載せているというところがあり、そういった歴史的経過を、例えば、巻末につける等、そういったことも考えられます。報告書のどこにつけられるか検討させていただければと思います。
続きまして、連続測定データですが、おっしゃるとおり、今後の達成率の検討においてはそういったことも踏まえまして、例えば、底層1m以内ではない連続測定点とかも、国交省が管理されていると思いますが、そういった情報も踏まえ、どのようにして目標とする達成率を今後決めていくことができるのか、積極的に活用していきたいと考えています。
以上です。
【田中委員】 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。
【古米委員長】 はい。挙手が出ていますが、大久保委員ですか。
【大久保委員】 ありがとうございます。恐らくもう一名、手が挙がっていると思いますが先に発言させていただいてよろしいでしょうか。
【古米委員長】 お願いいたします。
【大久保委員】 ありがとうございます。
今の田中委員のご指摘との関係で、この報告書の内容自体には異存がありませんし、類型指定の内容についても異存がありません。
その上で、今回の報告案の8ページのところの本文の最後の2行、今後というところの内容を見ると、特徴に関する調査、研究を含め必要な対策を検討、推進と書いています。
それから9ページの最後の3)は、目標とする達成率、達成期間は今後5年間測定結果の状況を見るということです。
この3)のほうは、底層溶存酸素量を測定するということかと思いますので、その前の部分の今後で書いてある調査、研究というのは測定とは別に各種の調査、研究を進めるということかと思います。
質問の1点目は、今回の類型指定を契機として、精力的に調査、研究が進むことが期待されるわけですが、この点についてどのようなものを現在あり得ると考えているかということを、もう少し具体的な内容がありましたら教えていただきたいです。また、研究を含めた必要な対策となっていますので、恐らくこれから5年間、調査、研究だけをするのではなくて、対策も並行して行うという趣旨と理解しており、それは是とすべきものと考えていますが、具体的な内容がありましたらご説明いただければと思います。
以上2点です。
【古米委員長】 それでは事務局からお願いできますでしょうか。
【菊地係長】 お答えいたします。
まずは、その水域の特徴に関する調査、研究については、例えば、先ほども申し上げましたが、貧酸素化の原因に関する調査、研究、やはりそういったことが対策にもつながるのではないかと考えております。例えば、国立環境研究所など、そういった貧酸素化の研究をされているところもありますので、そのようなところから知見を収集したり、また環境研究総合推進費など、そのほうでも別途貧酸素化に関する研究を進めているところもありますので、貧酸素に関する調査・研究が第一に考えられるというところです。
あと、一般的な対策として、こちらの資料の3-2のところの最後の参考資料に載せてございます。
一般的な湖沼における底層溶存酸素量の改善対策技術について、外部負荷の削減とか内部負荷の削減、あとは酸素の直接供給とか、いろいろありますが、このことについて、霞ケ浦については、先ほども湖内の窒素・リン濃度g高いという現状がありますので、負荷量削減とか、あと湖内部に対して何かできるのかについて、今後関係機関とも協議進めるということは検討したいと考えています。
以上でございます。
【古米委員長】 大久保委員、よろしいですか。調査、研究以外の対策についても検討を進められるようなことを考えていて、参考資料のほうにリストがあるということです。
ただ、研究として、どう進むとかというのはまだ具体化されてないですけれども、環境研究総合推進費みたいなところで積極的に推進するというお考えをお持ちだという回答でしたけど、よろしいでしょうか。
【大久保委員】 はい。霞ケ浦については、地元をフィールドとして熱心に活動している団体等もございますので、よく協働して対策の調査研究を進めていただければと思います。ありがとうございます。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
それでは、古川委員でしょうか。
【古川委員】 ご意見の場をいただきまして、どうもありがとうございます。経団連環境管理ワーキング・グループの座長を務めております古川でございます。
私も、類型指定後の目標設定に関し、資料3-1の8,9ページについて、コメントさせていただきたいと思います。
現在、目標や対策等の在り方は環境省のみならず、関係省庁と自治体の方々が連携して示されていることと思います。調査に重複があれば排除するなど効率的なデータ収集を行い、最新の科学に基づいた知見の把握に努めていただきたいと思います。
また、産業界、特に企業から見ますと、水環境改善に向けた対策は、温室効果ガス削減や生物多様性保全等と同じく、非財務情報に該当し、機関投資家や融資機関の注目も浴びるため、非常に重要な分野でございます。
したがいまして、総合的に豊かな水環境の形成や温室効果ガス削減、資源循環にマイナスにならないよう、様々な観点から対策を検討、実施していくことが重要だと思っております。関係省庁、自治体の取組も当然進んでいくかと思いますので、一貫性ある取組を実効的に進めていただきたいと思います。
その中では、特に、一律に負荷削減だけを求めるのではなく、効率的、合理的な対応が必要だと思っています。
また、当然のことながら、メカニズムの解明や、汚濁主要要因の科学的整理が必要です。費用対効果にも非常に強く影響してくると思いますので、これらに配慮して進めていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
特に事務局から今コメント、要望ということでお聞き止めいただければと思います。
それでは続いて、和田委員お願いします。
【和田委員】 はい。ご説明ありがとうございます。和田です。
まず1点目お聞きしたいのですが、資料3-1の8ページと9ページは、今回の検討結果と、目標とする達成率及び達成期間が書かれた報告書になっています。そして先ほど説明をいただいた資料2の30番目、31番目のスライドと対応していて、30番目は地域の検討会における検討で、最後のところに、恐らく窪地とかしゅんせつで深いところがあって、底層DOに関わるため、今後、水域の特徴に関する調査、研究を含め必要な対策を検討、推進することが求められることを、報告書8ページに書かれているのは理解しました。
一方、資料2の31番目のスライドで、目標とする達成率及びその達成期間の設定の3ポツ目に、新たな知見が得られた場合には適宜見直しを行うという文言がありますが、資料3-1報告書9ページの3)目標とする達成率および達成期間のところでは、これについて触れられていません。この新たな知見が得られた場合の適宜見直しは、どういったタイミングで行われるのかがお聞きしたい内容です。まず1点がそちらです。
【古米委員長】 まず今回は指定されるので、指定された後に、また新たな知見が出れば見直しをするということなので、きっと資料の3-1はあくまでも今回どう決定したのかという書類なので、その中で見直しについて詳しくは記載しておらず、今日は決まった後の検討事項、類型指定が終わった後の情報として、参考資料2-1で説明があるので、資料3-1に入る内容ではないと思いますが、事務局、そのような理解でよろしいですか。
【菊地係長】 はい。この報告案としましては類型指定までの過程とか、類型指定が完了するまでの報告というところです。
【古米委員長】 和田委員、今の点はよろしいですか。
【和田委員】 分かりました。
【古米委員長】 続けてください。
【和田委員】 はい。あとはコメントになるかもしれないのですが、水域の特徴に関して、なかなかデータが得られなかったということで、現時点では困難だと説明がありました。
こういった窪地の問題ですね。しゅんせつとか、それから砂利採取によって、湖底に窪地がある部分の貧酸素化は、例えば、琵琶湖でも10メートルほどの窪地が10個ほどあり問題になっています。
今回の資料で、霞ケ浦の西浦とか浅い水深ですと風速が強くなると、底層溶存酸素に回復傾向が見られるのは、恐らく混合して、うまく成層が潰れ回復すると思います。一方で、成層ができている窪地でも水深6メートル以深の無酸素状態の水塊は、風による影響として、底の穴の中の貧酸素状態の水塊にいろいろ溶出しているものが、強い風が吹くことで、その周囲の水に拡散されるといった研究知見もあります。琵琶湖の場合は大きいので、それが拡散して全体に影響することはないのですが、常陸利根川は小さいエリアですので、窪地の周縁域には影響が若干見られるかもしれません。今後その辺りのところも調査、研究で進められて、貧酸素状態の回復を目指していっていただければと思います。
以上です。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。きっと今後のところの水域の特徴に関する調査、研究だとか対策というところで、先ほど、今ご指摘いただいたような観点も含めて、調査、機構、内容を深めていっていただきたいというコメントだと理解いたしました。
それでは、清野委員お願いします。
【清野委員】 はい、ありがとうございます。
【古米委員長】 はい、お願いします。
【清野委員】 この答申の中で、生物調査についてなのですが、今回のこういう生物も含めた水質の在り方というのは意欲的ですごく良いと思いますが、具体的にどのように情報収集をしたり、どこまで何を調べられるかというイメージはありますでしょうか。生物史だとか生物の分布、それから生物量というのは、やはり調査が大変なものですから、その辺り、誰がどのようにどのぐらいまでというようなお考えがありましたら教えてください。
以上です。
【古米委員長】 保全種に関してはこういうものがあるという調査はされたけども、実際、資源量としてどうなのかというようなことが今後情報として更新されるかどうかというようなご質問でよろしいですか。
【清野委員】 そうですね。はい。そうなります。
【古米委員長】 それでは、事務局、何か情報がありましたらご提供いただければと思います。
【菊地係長】 はい。まずこの類型指定する際に当たって、各関係者にはヒアリングした上で、このような類型、保全対象種というのも決めておりますので、生態情報等といったデータは収集しております。
今後、例えば、この5年間の中でも、改めて最近の漁業の状況についての調査をしつつ、類型指定検討時に聴いた漁業者とは異なる漁業者からいろいろなヒアリングを行うことが考えられます。あとは水産試験場等、そういった関係者の方々が詳しいかと思いますので、またヒアリングさせていただき、図鑑情報より何か確度が高いような情報が得られたら、例えば、「ある沖にどれだけ生息しています」といった情報等が得られれば、それも達成率の評価に生かせるかと思います。そういったことについてまずはヒアリングというところから始めて、類型指定を決めるまでの情報の妥当性についてフィードバックするといいますか、そういった情報の確度を上げるようなところについて現時点で考えております。
場合によっては、生物の調査といったところも考えられるかもしれませんが、まずは改めてのヒアリングになるというところは考えております。
【古米委員長】 清野委員、何か追加でご発言があれば、どうぞ。
【清野委員】 ありがとうございます。方法論については承知いたしました。
一方で、漁業者の数というのは本当に減少しておりますので、ほかのいろいろな生物調査を行うほど余裕がないと思います。
また、水産関係も十分な予算がございません。そういう点では、環境省様のほうでヒアリングということであると、どうしても先方の努力量だとか持っている情報量とかに依存してしまうことになりますので、ぜひ環境分野と水産分野と、あといろいろ利用者なども含めて情報収集を、生データを取っていくとか何かそういう部分の下支えをしていただけるような対策を取っていただけるといいかと思います。
また、利用者や、あと生物研究者にとっても、今までの生物の基礎的研究とか知見というものが社会に役立つだとか、ハビタットの改善に役立つということにもなりますので、ぜひそういったデータの取得と、それから活用も含めた良きシナジーを生むような政策も今後検討していただけると助かります。
以上です。ありがとうございました。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございます。
きっと今回の魚介類だとか水生生物については、資料3-2の71ページだったのかな。データのリストがあって、多くは論文であったり、霞ケ浦のデータベースであったり、あるいは農林水産省のほうの水産統計であったり、さらにはヒアリングということですが、ご指摘の点というのは、もう少し幅広に新たなデータを集約しながら保全種がどうなっているのかということを把握していくというようなことを戦略的に考えていき、環境省、あるいは農林水産省、あるいは文科省でやっている研究自体も集めていくというように私は理解しましたので、ぜひそういったことを反映して、基準は決めたけど、それは本当にどうなっているのかということを把握できるようなデータ調査をしっかり進めていく必要があると思っています。
どうもありがとうございました。
【清野委員】 ありがとうございます。
【古米委員長】 ほかに委員の方々からご質問、ご意見があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
熊本大学の皆川委員でよろしいですか。はい、お願いいたします。
【皆川委員】 すみません。ご説明ありがとうございました。
今の魚介類の把握について補足があったのですが、ぜひ特に霞ケ浦の場合、外来種がとても多い水域になってきていますし、ナガエツルノゲイトウであるとかそういった、今世界で一番問題のある植物も拡大しているというデータが出てきていますので、その辺との関連、水質とは直接的関係を紐解いていくのはかなり難しいとは思うのですが、併せて外来種の問題についても少しデータを収集していただければと思いました。
一点質問なのですけれども、達成率について、先ほどから目標、達成期間であるとかというお話が出ていたのですが、令和3年から利用が基準として設けられて、ほかの海域でも、もう既に指定されているところあるのですが、データを取り始めている海域が幾つかあると思いますが、現在の達成状況はどのぐらいになっているか、そういった基礎情報を少し補足いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 霞ケ浦において、どうなっているかというご質問ですか。
【皆川委員】 いえ、霞ケ浦ではなくて、琵琶湖であるとか東京湾であるとか、そういった指定されている海域が三つぐらいあるというふうにおっしゃっていたので。すみません。よろしくお願いします。
【古米委員長】
事務局、いかがでしょうか。既に検討のデータも出ていると思いますが。
【菊地係長】 はい。それでは、現時点での達成率の大まかなところをご説明いたします。
まず、東京湾ですが湾の入り口などはやはり海水の交換が行われますので、達成状況としては良好な状態となっております。
ただ、やはり場所によっては港など、湾奥の部分に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、生物3類型、つまり基準値は2mg/L以上なのですが、貧酸素化が著しい場合があるのが現状です。
しかし先ほども申し上げたとおり、年度によっては達成状況が良好というところもありますが、全体的にはやはりそういった湾奥の部分に関しては、まだ貧酸素化が生じやすいと考えられます。
伊勢湾もその湾の入り口などは達成状況が良好ですが、伊勢湾とかは中心部にかなり水深が深いところがありまして、その辺りの周辺は達成状況的には未達成であるところではあります。
もちろん、伊勢湾も港がございますので、そこも貧酸素化は起きているのではないかと考えています。
大阪湾については、湾奥部だけ類型指定しているのですが、場所によっては、やはりその防波堤などで遮られて海水の交換が悪いとかそういったところも見受けられます。しかし別の場所では状態が良好というところがあります。まとめますと、やはりそういう必然的に貧酸素が発生している場所とか、あとそういった海水の交換が悪い場所みたいなところは、なかなか基準達成はできていないという現状で、今、各自治体の皆様に引き続きモニタリングしていただいていたり、あとはたくさん生物がいるような場所については、新規の測定地点とかについても検討していただいたり、今後もそういった情報を収集しつつ、どのような達成率にするべきなのかについては今後も検討していくところです。
【古米委員長】 霞ケ浦なので、同じ湖の琵琶湖の状況もお願いします。
【菊地係長】 そうですね。琵琶湖につきましては、一部の水域、先ほど申し上げました第一湖盆がやはり達成率としては低い状態です。ほかの南湖や北湖の沿岸の付近、大体湖の中央部などは良好な状態ですが、やはり一番深いところ、先ほどのイサザがいるというようなところについては達成率が低い状態である場合もあるということです。年によっては状況回復するときもありますが、現状としてはそういったところです。
【古米委員長】 私から追加すると、100%達成すればいいという考え方ではなくて、保全種がいわゆる生息しなおかつ再生産できるような範囲内がしっかり確保できているかどうかが重要と考えております。部分的に達成できていないところがあっても、その種の保全が持続的にできればいいということなので、データを見ながら本当にどれぐらいのことを目標にするのかということと、もう一つはそういった対策が可能なのかどうかということで、今、他の水域も達成状況を把握しながら、どう達成率を設定すればいいかということがあると思います。
したがって、霞ケ浦がまだデータがそろっていない。期間が短いので、今後5年間、集めてくることによって、どういう形で達成率を設定し、達成期間を設定すればいいかという段階に入るものだと思います。
皆川委員、何か追加でご質問、ご意見あればお願いします。
【皆川委員】 ありがとうございました。達成率とのことで、トータルで達成率を出しているのかということかと思いましたが、やはり様々なケースで地点ごとに、かつ生物の生息域とを重ね合わせながら見ていくということがよく理解できました。ありがとうございました。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
ほかにご質問、ご意見ありますでしょうか。よろしいですか。特に挙手がないようですけれども、よろしいですか。清野委員、どうぞ。
【清野委員】 すみません。一点、生物の生息場所のハビタットの修復というか、そういう観点というのがもう少しあってもいいのかなと思いました。それは今の湖底の窪地の話があったのですが、明らかに影響があると思われるような人為的な痕跡に関しては、それを直していくということもあるかと思いますので、ぜひそういう点も今後ご検討いただけたらと思います。
以上です。
【古米委員長】 追加のコメントありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
今年度から小委員会ということで、専門委員会ではなくて小委員会ですから、この小委員会で検討審議した結果というのは、部会長を通じて最終的に答申になるというようなプロセスですので、何かお気づきの点だとか懸念点があれば、ぜひご発言いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、和田委員どうぞ。
【和田委員】 はい、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
先ほどの清野委員の窪地のハビタットの修復に付け加えさせていただきます。底層溶存酸素の改善対策事例がこちらの報告書にまとめられていますが、最近の新たな技術、例えば、ダム湖を濁らさずに堆積した土砂を回収できる浚渫技術というようなものもどんどん開発されてきていますので、そういった情報も取り込んで、ハビタット、窪地の修復、生息域の改善を進めてもらえればと思いますので、よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
特に挙手がないようですので、田中委員から全体で7名程度の方にご発言いただきました。
現状の中でいうと歴史的な背景であることについては、きっと資料の3-2の参考資料等は簡単に追加できますので、霞ケ浦の水質保全計画があるので、歴史的な情報は既存のものがあるので、それを入れながら霞ケ浦の特徴みたいなものも追加して、それを踏まえた上で、今回検討され、なおかつ設定されたというような対応ができると思います。
それ以外については、基本的に答申案についてはご了解、ご了承いただいているように理解しました。
あとは、調査、研究、今後必要だということについてご意見をいただいたということと、水環境、水質環境基準ですけれども、豊かな水環境、要は生物多様性であるとかそこの資源量みたいなものを把握するような研究であるとか、あるいは実際、貧酸素水塊を防止する、底層DOを確保するための対策を幅広に見ていただいて、その在り方みたいな研究も推進していっていただきたいというようなご意見が多くあったかと思います。
私のほうで、今まで言われた内容について取りまとめましたので、資料3-1は特にないかと思いますが、主に3-2のほうに追加を入れさせていただいて、それに伴って資料3-1を修正する必要があれば調整をしたいと思いますが、まずは資料3-1の内容を本委員会の報告案の本文として、資料の3-2は歴史的なところ、あるいは経緯といったところを追加した形で、参考資料として仕上げていくということで取りまとめをしたいと思いますが、もし修正等が必要な部分、先ほど言った歴史的経緯のところは私、委員長のほうでご一任いただければありがたく存じますけれども、以上のような取りまとめでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
それでは、今、申し上げたような対応で最終的な報告案を作成させていただきたいと思います。
それでは、次に今後の進め方について、事務局よりご説明をお願いいたします。
【菊地係長】 ご審議ありがとうございました。議題1につきましては、今後、先ほどの資料3-2のほうを追記、修正いたしまして、古米委員長にご確認いただくとともに、環境省において、もう一度チェックしまして報告案を取りまとめます。
小委員会報告がまとまりましたら、中央環境審議会水環境・土壌農薬部会長に報告させていただきます。部会長の同意を得られた場合には、部会の決議とさせていただきます。
以上です。
【古米委員長】 ただいまの説明のとおり進めていきたいと思いますけれども、ご確認いただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
【古米委員長】 ないようですので、今のそのように進めさせていただきたいと思います。
それでは、議題の2、その他について、何かありますでしょうか。
【菊地係長】 事務局からありません。
【古米委員長】 特にございませんか。
それでは全体を通じて、委員の方々から何かご発言があればお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。
特にご発言がないようですので、本日の議事は全て終了いたしましたので、次項以降は事務局から連絡事項をお願いしたいと思います。
【関口課長補佐】 古米委員長、進行のほうありがとうございました。委員の皆様方におかれましても、本日ご意見、様々いただきましてありがとうございました。
本日の議事録につきましては、事務局のほうで案を作成いたしまして、後日委員の皆様にお送りさせていただきます。こちら、ご確認をいただいた後、環境省のホームページに掲載をさせていただきますので、ご承知おきください。
それでは、以上をもちまして、生活環境の保全に関する水環境基準小委員会を終了させていただきます。委員の皆様には熱心にご討議いただき、ご協力いただきましたことを御礼申し上げます。
本日はありがとうございました。
午後4時26分 閉会
【関口課長補佐】 これより第1回中央環境審議会水環境・土壌農薬部会生活環境の保全に関する水環境基準小委員会を開会いたします。
委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日は、Web会議での開催となります。会議中、音声が聞き取りにくい等不具合がございましたら、事務局までWeb会議のチャット機能等でお知らせください。
本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、環境省環境管理課の公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。
Web会議の開催に当たりまして、通信環境の負荷低減の観点から、ライブカメラの映像は冒頭のみとし、議事以降につきましては音声のみの配信といたしますので、あらかじめご了承ください。マイク機能は、委員長及び発言者以外はミュートに設定していただきますようお願いいたします。
また、カメラ機能は基本的にオフにしていただきますようお願いいたします。
なお、ご発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。ご発言の意思はこのマークで確認いたします。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、ご発言いただきますようお願いいたします。ご発言後は再び挙手アイコンをクリックし、挙手をオフに操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、ご協力よろしくお願いいたします。やり方が分からない場合には、適宜ご意見のある旨をおっしゃっていただければと思います。
本委員会の委員の先生方につきましては、お手元の資料1、委員名簿のとおりでございますが、改めて本日ご出席の先生方をご紹介させていただきます。
Web会議のため、差し支えなければ、お名前を呼ばれましたらそのときだけカメラ機能をオンにしていただきたくお願い申し上げます。
まず、古米委員です。
【古米委員長】 古米です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 大久保委員です。
【大久保委員】 大久保です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 小川委員です。
【小川委員】 小川です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 小熊委員です。
【小熊委員】 小熊です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 風間委員です。
【風間委員】 風間です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 清野委員です。
【清野委員】 清野です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 田中委員です。
【田中委員】 田中です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 福島委員です。
【福島委員】 福島です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 古川委員です。
【古川委員】 古川です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 皆川委員です。
【皆川委員】 皆川です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 宮原委員です。
【宮原委員】 宮原です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 和田委員です。
【和田委員】 和田です。よろしくお願いします。
【関口課長補佐】 委員の皆様、ありがとうございます。
本日の委員のご出席状況でございますが、所属委員13名のうち12名にご出席いただいております。
山本委員は前の会議が終了し間に合い次第、こちらにご出席されます。
次に事務局からの出席者を紹介いたします。事務局につきましては、氏名の読み上げのみとさせていただきます。
環境管理課、筒井課長。
環境管理課環境汚染対策室、鈴木室長。
環境管理課、菊地係長。
環境管理課、関口でございます。
それでは、議事に先立ちまして、環境省環境管理課長の筒井よりご挨拶申し上げます。
【筒井課長】 本来でございましたら局長の土居が参ってご挨拶を申し上げるべきところ、所用により土居の出席が本日難しいという状況でございますので私、環境省の水・大気環境局環境管理課長の筒井よりご挨拶を申し上げたいと思います。
本日は3月ということで年度末も近づいている中、ご多用のところご出席を賜りまして誠にありがとうございます。また日頃より、水環境行政の推進につきまして格別のご指導を賜っておりますことを改めて御礼申し上げます。
さて、環境省では、水・大気環境管理の一層効率的な実施のために、昨年7月に水・大気環境局内の組織再編を行いまして、水、大気、土壌の一体的管理を行う環境管理課が組織されたところです。
また、昨年6月に生活環境の保全に関する水環境基準の設定の見直しに関する検討審議を行うため、生活環境の保全に関する水環境基準小委員会を設置しまして、本日がその第1回目の開催となります。
さて、底層溶存酸素量につきましては、水生生物の保全の観点で有効な指標ということで、平成28年3月に環境基準に設定をされたところです。
これまで、国が指定する水域として東京湾、伊勢湾、大阪湾、琵琶湖において、この底層溶存酸素量の水域類型を指定してきたところです。
本日の小委員会では、霞ケ浦の類型指定についての指定案について、ご審議をいただければと考えております。
何とぞ、本日はご審議のほどよろしくお願いいたします。
【関口課長補佐】 ありがとうございます。それではカメラ映像はここまでとし、これ以降は音声と資料映像のみとさせていただきます。
続きまして、資料の確認に移ります。事前にメールでご案内のとおり、議事次第のほか、資料1の委員名簿、資料2、資料3-1、資料3-2、資料4、こちらが本日のご審議いただく資料になります。
また、参考資料は1、2-1、2-2、2-3の四つとなっております。もし不足等ございましたらお申出ください。よろしいでしょうか。
それでは、委員長のご紹介をさせていただきます。
本小委員会の委員長に関しましては、中央環境審議会議事運営規則に基づき部会長が指名することとなっており、古米委員に本小委員会の委員長を務めていただくこととなっております。
それでは、以降の進行は古米委員長にお願いしたいと思います。古米委員長、よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 はい。古米です。皆様、よろしくお願いします。
それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。
議題の1の底層溶存酸素量に係る環境基準の水域類型の指定について(第3次報告案)を事務局からご説明をいただきたいと思います。
【菊地係長】 環境省環境管理課の菊地と申します。私のほうから資料を説明させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず資料の構成ですが、資料の2、資料の3-1、資料の3-2について説明します。
資料の3-1が、底層溶存酸素量に係る環境基準の水域類型の指定について(第3次報告案)の本編資料、つまり小委員会報告書案の本編となります。
資料の3-2が、当該本編資料の参考資料に相当する資料であり、様々なデータを掲載している小委員会報告書の資料編の案となります。
そして、こちらの資料の2が、これらの資料の概要をパワーポイントでまとめたものになります。
この資料2を基に本日は説明させていただきます。
大変お手数おかけしますが、電子データで資料をご覧になられている方は、報告書の鑑や目次にはページ番号を振っていないので、ページジャンプする際は、資料3-1についてはその参考にしたいページに1を足して入力していただいて、資料の3-2につきましては参照するページに4を足して入力いただき、ジャンプしていただければと思います。誠にお手数おかけします。
それでは、説明を始めさせていただきます。資料の2のスライド2ページ目となります。
まず、底層溶存酸素量、いわゆる底層DOの環境基準について基本的な説明から入るのですが、ある程度割愛して説明させていただければと思いますのでご了承願います。
まず、資料2の3ページです。底層溶存酸素量は、平成28年に生活環境の保全に関する環境基準に加えられた比較的新しい基準となります。
続きまして、資料の2の4ページです。底層溶存酸素量は、魚介類などの生息・再生産に対する直接的な影響を判断できる指標として設定されました。
続きまして、資料2の5ページ目となります。生活環境に関する環境基準の適用においては、各水域を利用の目的に応じて区分して、各区分ごとに類型を当てはめることにします。
底層溶存酸素量は閉鎖的な湖沼、海域で適用する基準でありまして、国が類型を当てはめる水域が政令で定められておりまして、このスライドのとおりとなります。
挨拶でありましたように、琵琶湖、東京湾、伊勢湾、大阪湾、大阪湾は湾奥部のみなのですが、これらについて類型を指定しておりまして、今回は湖として霞ケ浦における底層溶存酸素量の水域類型の指定について、検討を行うということになります。
続きまして、資料2の6枚目となります。底層溶存酸素量の類型は3段階で、高い基準値から4mg/L、3mg/L、2mg/Lとなっており、貧酸素耐性が低い水生生物の生息域または再生産の場を保全・再生する目的に応じて高い基準となります。
続きまして、資料の2の7ページ目となります。海域及び湖沼のうち、水生生物の保全・再生を図ることを目的に、底層の貧酸素化の防止を図る必要がある範囲を指定します。
保全・再生すべき水生生物対象種、以降これを保全対象種と呼びますが、これらの選定を行いまして、その保全対象種の生息状況などを踏まえまして、生息の場を保全・再生する水域の範囲を設定します。
その上、過去の水質がよい時期、例えば、公害が顕著になる時代の前から発生しており、人為的負荷が原因でないと考えられる貧酸素の状況があります。つまり、改善が難しい貧酸素の状況などを踏まえまして、そういった水域の特徴も勘案しまして基準値を設定していきます。
下の図は、これまで実際に水域類型を指定してきた水域を例示します。東京湾、伊勢湾、琵琶湖となります。このように水域を生息分布域や水深などで区域分けしまして、それぞれに類型を当てはめていきます。
続きまして、資料2の8枚目となります。先ほど申し上げました保全対象種の観点と水域の特徴の観点から底層溶存酸素量に係る水域類型を指定していきます。
続きまして、資料2の9枚目です。保全対象種の決定方法はこのフロー図で決定していきます。
保全対象種の決定後は、それぞれの生息段階と再生産段階での底層溶存酸素量の種別目標値、つまりその種を保全するために確保するべき底層溶存酸素量を設定します。例えば、マコガレイという例を挙げておりますが、こちらについては生息段階の種別目標値は3mg/L、再生産段階の種別目標値は4mg/Lと設定しました。
続きまして、資料2の10ページ、11ページは、種別目標値の決め方のフロー図となります。このフロー図に基づきまして、先ほどのマコガレイの種別目標値というのも決めました。今回はこの詳細の説明は割愛させていただきます。
続きまして、資料2の12ページに飛びます。保全対象種を選定しその種別目標値を設定しましたら、生態情報やヒアリング結果を基に、この保全対象種の生息域と再生産の場を設定し、水域の地図に落とし込みます。そして、全ての保全対象種の生息域と再生産の場を重ね合わせて、類型が重複した水域は上位目標を優先させて、保全対象種の観点からの類型指定の検討というものは完了となります。イメージとしてはこのスライドの図のとおりとなってございます。
続きまして、資料2の13ページです。別のイメージですが、全ての保全対象種の生息域と再生産の場を重ね合わせたとき、この図のようにいわゆる飛び地がある場合は、水域管理の効率性から、飛び地は基本的に上位目標に巻き込むことが妥当として、飛び地も上位の類型を目標として、保全対象種の観点からの設定というものは完了となります。
続きまして、資料2の14ページです。水域の特徴の観点からの類型指定の例を示します。検討対象の水域において過去の底層DOの状況、あと無生物域の有無、つまり生物が全くいない水域から貧酸素を解消させて、生息できる水域に戻したいというようなところがあるのかどうかというところと、そして埋立地や港の影響で海水交換が悪い水域について調べます。この例では、対象水域や保全対象種の観点では、全域生物1類型で設定できるとします。
一方、この水域の中央部で水質汚濁が顕在化していないと考えられる昭和初期から貧酸素水域の発生が頻発している。つまり水域の特徴として人為的汚染由来ではない、必然的に貧酸素化している可能性が高いことが分かったと、この例では仮定します。
このように、水域の特徴の観点から、水域中央の貧酸素の解消が難しい、または時間を要すると判断される場合は、まず中央は生物3類型から指定するということをします。
以上のように、保全対象種の観点と水域の特徴の観点を総合的に考慮しまして、類型を指定していきます。
続きまして、資料2の15ページとなります。ここで水域の特徴を考慮した類型指定の例として、東京湾の例を示します。
保全対象種の観点ではほぼ全域、生物1類型ということになるのですが、水域の特徴の観点を踏まえまして、例えば、その港の構造とかで海水の交換が悪くて閉鎖性が高い東京港とか千葉港、木更津港というものは生物3類型としました。
あと湾奥部などその環境悪化前、東京湾では昭和30年代前半から貧酸素化しやすい特徴がある範囲というのがあり、その範囲は生物2類型または3類型と指定しました。
続きまして、資料2の16ページとなります。琵琶湖に関しては、水域の特徴の観点において継続して貧酸素化が顕著になっている水域は見られないとして、保全対象種の観点のみでこのような類型指定としました。
琵琶湖で深いところでこの真ん中の第一湖盆というところがありますが、こちらについては生物3類型で設定しているのですが、貧酸素耐性が比較的高いイサザという魚が生息していることから、このような設定にしています。
以上、底層溶存酸素量の類型指定の基本的なところですが、資料2の17ページであります。
それでは、本題の霞ケ浦の類型指定の検討案について、つまり資料3の概要の説明に移ります。
資料2の18ページをご覧ください。霞ケ浦には西に位置する西浦、東に位置する北浦、南に位置する常陸利根川の三つの水域がございまして、それぞれの水域において類型を指定します。この説明では三つ合わせた水域を霞ケ浦と呼ばせていただきますので、ご承知おきください。
これら各水域の全域においては、CODなどについてはA類型、全窒素・全リンについてはⅢ類型で、水生生物保全の環境基準につきましては生物B類型で既に指定されています。
COD、全窒素・全リン濃度の経年変化が資料3-2の9ページから12ページ。月別変化は資料3-2の13ページから15ページに載せています。
CODの基準値、あと全窒素・全リンの基準値より、現状としてはこれらの現状の濃度は上回っていて、現在はその環境基準としては非達成という状況です。
続きまして、資料2の19ページに移ります。底層溶存酸素量の類型指定までの過程の説明に入ります。
まずは保全対象種の選定を行います。霞ケ浦に生息している全ての魚類、甲殻類、軟体動物から抽出した検討種を重要な種と位置づけて、保全対象種を選定する過程において、その重要な種と位置づける際の参考とする項目が、この表のとおりとなります。
抽出検討した種に対して、例えば保全計画で保全を図るべき種となっているのか、貧酸素化が著しい時期に再生産を行うのか、貧酸素の影響を受けている知見があるのか、主要な漁獲種なのか、食文化や親水、物質循環の保全の観点で重要な種なのか、地域関係者が必要としている種であるのかなどを確認していきます。
資料3-1ではこの旨を3ページ目、資料3-2は75ページから86ページに、具体的にこれらの項目に該当する種というものを掲載しています。
ここで、資料2の20ページに移りますが、一旦資料3-1の4ページの説明をします。資料3-2の場合ですと87ページです。
こちら、先ほどのスライドの①から⑦のうち、四つ以上該当する種については保全対象種に選定しました。例えば、この表1ですとニホンウナギ等が四つ以上ついていますので、保全対象種にしました。
また三つ以下でも、その地域によって必要な種であるとヒアリングできた場合はそれも選定しました。この表でいうと、シラウオ等が該当いたします。
スライドに戻りますと、選定の結果、保全対象種は17種類となり、内訳としては魚類が12種類、甲殻類が3種類、軟体類を2種類で選定しました。
では続きまして、資料2の21ページとなります。選定した保全対象種の生息域、または再生産の場を設定していきます。設定においてはどのような底質で生息しているのか、または再生産しているのかを見ますので、まずは霞ケ浦の底質の情報をここに載せてございます。
資料の3-2では、54ページでまとめております。ここで常陸利根川では東側に砂、西側に泥が分布しておりまして、北浦、西浦では沿岸が砂、その他の部分や湖心というところでは泥が分布しているという、このような状況です。
続きまして、資料2の22ページです。水深は図のような状況となっています。西浦の湖心の最大水深は約7mとなっています。
資料の3-2では55ページに、この水深をまとめています。
続きまして、資料2の23ページです。
以上の情報を踏まえまして、霞ケ浦の保全対象種の生息域及び再生産の場は、各保全対象種の生態特性に係る知見を踏まえて設定していきました。
資料の3-2の場合ですと、111ページにまとめています。
そして、それぞれの種類に対しまして、底層溶存酸素量に係る種別目標値というものを設定していまして、それもこの表にまとめています。
続きまして、資料2の24ページです。ここでは、ワカサギとシラウオの生息域と再生産の場の設定について示します。ワカサギとシラウオの生息域の目標値が3mg/L以上、再生産の場の目標値は4mg/L以上と設定しています。
ここで生態特性から、こちらの左の図のようにワカサギとシラウオは霞ケ浦全域で生息していると考えられ、このような設定としました。
そして再生産の場について、沿岸域の浅い箇所で再生産が行われており底質では砂、砂礫で再生産が行われているのではないかと考えられ、右の図のように再生産の場はこのように設定しました。
続きまして、資料2の25ページに移ります。イサザアミとテナガエビの生息域と再生産の場の設定について、示しております。
この両者の生息域の目標値は3mg/L以上、再生産の場の目標値は4mg/L以上と設定しています。
ここで生態特性から、こちら左の図のようにイサザアミもテナガエビも先ほどのワカサギとシラウオと同じで、霞ケ浦全域で生息しているものと考えられ、このように設定しています。
そして再生産の場におきましても、こちらのイサザアミとテナガエビにつきましては、霞ケ浦全域で再生産が行われているというところが考えられ、右の図のように設定しています。
以上、ここでは4種類の保全対象種について説明しましたが、全ての保全対象種の生息域と再生産の場については資料3-2の111ページから128ページまでまとめています。
続きまして、資料2の26ページに移ります。霞ケ浦で選定した保全対象種17種類の生息域、再生産の場を全て重ね合わせると、この図のようなことになります。
重ね合わせの結果、生物1類型の水域に基準値の異なる範囲など、こういった飛び地が存在しています。こちらの水域につきましては、一体の水域として保全を図ることが適当であるということから、霞ケ浦の全域が生物1類型と考えられ、全域生物1類型として保全対象種の観点からの類型指定としました。このような検討をしました。
続きまして、資料2の27ページに移ります。こちらにつきましては、霞ケ浦の水域の特徴の観点について説明します。
まず、説明の前提といたしまして、参考資料2-3の1ページに一旦移りますが、底層DOの基準の適否につきましては、月1回以上の採水による測定データを用いる場合には安全側の評価というところで、日間平均値の年間最低値がその類型の基準値を上回っていれば基準値を達成、下回っていれば基準非達成という環境基準点ごとにそういった判断しまして、そういった評価をすることになっています。
以上を念頭に置いていただき、先ほどのスライドに戻ります。
まず(1)底層溶存酸素量の状況です。まず1ポツ目を読み上げますと、昭和52年度から現在にかけて年間最低値が4mg/L未満になる年度があるものの、常に4mg/L未満になる調査地点はないと書いています。
ここで、資料3-2に移ります。33ページから39ページ、46から47ページ、51ページにかけまして、国交省、国立環境研究所、茨城県霞ケ浦環境科学センターが測定しました、各年度の底層DOの年間最低値の経年変化を載せております。
なお、調査地点につきましては、国交省が29ページで、国環研が44ページ、茨城県は52ページに、それぞれの期間の調査地点というところを載せています。
また30ページから32ページで、45、50ページに、その近年の底層DOの月別の変化を載せていまして、例えば、30ページを見てみますと、どの時点でも夏に底層溶存酸素量が低くなるというこのような傾向が見られます。
これは表層の水温が上がりまして、一方底層はそこまで上がらず成層が生じる。いわゆる水温躍層が生じて、底層に表層からの酸素が供給されにくくなっているからと考えられます。
それでは一旦スライドのほうに戻りまして、ここでは調査地点一つ一つの年間最低値というのは割愛しますが、昭和52年度から昭和54年度の各年度の底層溶存酸素量の年間最低値の水平分布が資料の3-2になりますが、40ページ、41ページで、平成30年度から令和2年までの水平分布が42ページ、43ページにあります。こちらは国交省のデータとなります。
例を見ていきますと、北浦の位置に北の測定地点にある武井沖というところを見ていきます。
52年度、53年度においては、4mg/L以上ですが、54年度については2mg/L未満になっています。そして近年のデータに移りますと、平成30年度は2mg/L未満、令和元年度は2から3mg/Lの間になっていて、令和2年度は4mg/L以上と、このように年度によって状況は異なっています。
ひとつの例を示しましたが、各機関の各調査地点の各年度のデータを整理しますと、底層DOの基準において、底層と定義してございます底上1m以内で各地点においては、どこかの年度では年間最低値が4mg/Lを上回っておりまして、つまりは年間最低値が今までずっと4mg/L以上になったことがない調査地点はないということが分かりました。
ここで、資料3-2のこの図に戻りますと、西浦の北の水域のエリアにかすみがうら市があり、玉造沖というところがありますが、こちらは水深が5mより深いところになりますが、比較的こちらは年間最低値が4mg/L以上となっている年度は、少なかったです。ただ3mg/L以上であったり、4mg/Lに近い値というのも出ており、年間最低値が低い状態がずっと半永続的に続いているわけではない状態です。
続きまして、こちら(1)の2ポツ目でございます。
読み上げますと、過去の底層溶存酸素量の状況について、水質が良い状況、例えば、CODが低いという時期の測定結果がないと記載しています。
どういうことかと申し上げますと、東京湾のように、例えば、昭和30年代前半のように水質が比較的きれいな時代から、そういった人為的負荷以外の要因の可能性で貧酸素が生じるようなことがあったのかどうか、霞ケ浦ではそういった情報が分からなかったということを示しています。
続きまして、3ポツ目の説明にいきます。
西浦、北浦の水深の5m以深では、6月から9月において底層溶存酸素量が減少する時期は、風が弱いときに日成層、つまり1日単位の成層というのが形成されやすい特性がありますが、風速が強くなると底層溶存酸素量に回復がみられたと、このように記載しています。
つまり、これは浅い湖の特徴ということになります。先ほど申し上げましたとおり、夏は水温躍層が生じることがありますが、風が吹けばその水深が浅いがゆえに、表層と底層の水が混合して、その成層が解消されるという傾向があるということです。
こちらの傾向につきましては、資料3-2の130ページに記載してございます。
例えば、上が底層DOで、中央が風のデータで、下が水温の図になりますが、例えば、風が弱いような日については底層DOは低くて、あと表層と底層の水温の差が見られますが、風が強くなってくると底層DOも徐々に上昇してきて、あとその表層と底層の水温の差も縮まっています。
資料2に戻りまして、まとめますと、霞ケ浦において、溶存酸素量は水温の鉛直分布と風速の変化にもよりますが、年間最低値が毎年常に低くなるわけではないということになります。
また、過去の水質が良い時期における底層溶存酸素量が4mg/L未満になる水域の有無が不明なため、つまり、その昔から対処が難しいと考えられる要因で貧酸素化する傾向というのが不明であり、改善が困難な水域が設定できないため、東京湾などのように水域の特徴の観点は考慮しないということにさせていただきました。
そして(2)底生生物の状況、(3)水の交換が悪い範囲などについてはこのスライドのとおりでございまして、無生物域を解消する範囲はなく、局所的な類型指定の設定はしない。そして設定除外範囲というところは、この霞ケ浦では設定しないということを記載していただいておりまして、詳細の説明は省略いたします。
続きまして、資料2の28ページでございます。検討結果となります。
まとめますと、保全対象種の観点から霞ケ浦の全域が生物1類型、4mg/L以上という類型指定の案としました。先に申し上げた理由により、琵琶湖のように水域の特徴の観点からの考慮は、今回行いませんでした。
資料の3-1においては8ページから9ページで、この旨をまとめています。
資料2の29ページです。以上の類型指定の案については、有識者や関係者を委員としました地域検討会の開催により検討しました。概要は資料4のとおりで、本日ご参加いただいている福島委員に座長をお務めいただきました。
その後、類型指定案についてはパブリックコメントを募集したところ、意見の提出はございませんでした。
では続きまして、資料2の30ページです。資料3-1でいうと8ページ目です。
検討結果の経緯を説明させていただきますと、検討会においては地域の関係者及び有識者の意見を聞く中で、水深の深い水域は浅い水域と比べまして、底層溶存酸素量が低下する傾向があるものの、こうした水域の特徴が考慮されていない、また、その基準に達成できるのかといったような現実性の観点から、霞ケ浦を生物1類型で指定することに異論もありました。つまりは、そういった深いところは、まず生物2類型もしくは生物3類型から指定したほうがよろしいのではないかといったようなご意見もありました。
ほかの多くの委員は、先ほどの類型指定案には賛同だったのですが、このようなご意見もあったということです。
しかし、先に説明したとおり霞ケ浦において、溶存酸素量の年間最低値は昔から今まで毎年低くなるわけではないこと、つまり、今後その水質の改善策を継続、実施しても4mg/Lの基準達成というのが、本当に難しいというところではないのではないかということが考えられます。
そして、過去の水質が良い時代における測定結果がないため、そのような比較的深い水域で底層溶存酸素量が、そういった昔から低くなる傾向にあるのかどうかという把握が困難です。
このため、底層溶存酸素量は水生生物のための環境基準であり、その環境基準の意義である、そういう望ましい環境を目指すという基本に立ち返り、保全対象種の観点から妥当であるその類型を当てはめて、その目標に向かって、その水域の特徴に関する特別な考慮というのは行わずに、霞ケ浦全域を生物1類型としたい旨、説明しまして、最終的に検討会案とさせていただきました。
そして先ほど説明したご懸念がありましたので、今後は現時点で考慮していない水域の特徴、つまりは貧酸素化の成因や傾向などに関する調査研究を含めまして、必要な対策を検討、推進することが求められるということも報告書に記載してございます。
資料3-1の8ページになりますけども、その旨の説明を書かせていただいております。
では、最後のスライドですが、資料2の31ページです。
類型指定を完了した後は、底層溶存酸素量の基準達成を評価するための測定地点の設定を行いまして、基準達成の評価方法について検討していきます。
具体的には基準を達成した測定点数の割合である達成率という考え方で、CODなどの評価方法とは異なりまして、目標設定に柔軟性を持たせてその基準達成評価を行います。
つまりその基準を達成させるべき、測定点数の割合を決める目標とする達成率というものを今後検討していきます。
そして、どのようなスピード感でその目標達成を目指していくのかという達成期間についても、併せて検討します。
底層溶存酸素量は新しい基準ということで、類型指定後に測定結果や様々な情報を収集しながら試行錯誤して、このようなことを決めていくことにしました。
以上のこのような旨は、参考資料の2-1に記載があります。
今後、こちらの検討を進めることを報告書3-1の9ページの締めとさせていただいております。
以上、説明が長くなってしまいましたが、資料については説明を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
【古米委員長】 はい。どうもご説明ありがとうございました。
資料の2が、資料3-1が、今回の答申案になっていて11ページあるのですが、その背景になっている検討結果は資料3-2で、水域の特性であるとか保全対象種はどういうものがあるのかという整理だとか、実際DOがどういう状況になっているのかというデータを整理して、最終的に類型指定の考え方を検討されたということです。
したがって、資料3-1というのが最終的に答申案になりますので、そのエッセンスを資料の2のスライドを使って、ご説明いただいたということです。
それでは資料の、今ご説明いただいた内容に関して、委員の方々からご質問、ご意見をお受けしたいと思います。
いかがでしょうか。
それでは、田中委員お願いします。
【田中委員】 どうもありがとうございます。要領の得た説明ありがとうございます。
最初に一点確認なのですが、答申は資料3-1が報告として出ると思うんですが、資料3-2はどのような資料としては扱われるのでしょうか。公開される根拠としてのデータになるのでしょうか。
【古米委員長】 おそらくこれは同時に公表される資料だと思いますけど、確認のため事務局からご説明お願いします。
【菊地係長】 はい、お答えします。資料の3-2についても答申の一部ということになりまして、こちらのほうも公表という形になります。
【田中委員】 そうですか。その際に、まず霞ケ浦の歴史的な経過についてあまり記述がないようで、例えば、常陸川水門がいつ頃閉められて、その後、淡水化が行われてきたという情報など、それから終盤に対策の中で言葉は少し出ているのですが、今の国土交通省の、昔の建設省が霞ケ浦の水質保全対策ということを名目に、1975年から、たしか2012年ぐらいまで全面的なしゅんせつ事業をされています。
この事業がどういう意味を持っているかというのも複数の議論がありますが、底質側での有機物の除去にはかなり変化を及ぼしてきたところがあって、そういう歴史的な変化の上でこういう今の現象になっているという記述があまりないように思われます。可能であればそういう歴史的な経過の話を少しいれて、昔のことだから不明点もあるとは思いますが、そういう経過の中で、現在いろんな水質保全対策が行われた状況で、今、成り立っていると思います。
今後、どうなるかというのはそういうところでの対応の上で、ずっと継続的に期待できる部分とそうでないところがあると思うので、そういうことが少し分かるように、可能であれば、この資料の後ろにつけるか途中に加筆いただくのかということを検討いただければというのが意見の1点目です。
それから、2点目は、これは今回の議論ではないのですが、答申の中の9ページ目に書かれている達成率の話が今後出てくると思われます。その際に、やはり環境基準の目標はこれで定めた後で、空間的な測定ポイントをこれから決められて達成率を評価していくことになると思います。その際に他水域の検討でもお願いしているところがあるのですが、水生生物の底層DOの議論として、やはり連続的なデータがあれば、それをある程度使っていくという考え方が海側のほうでは、かなり整ってきているとは思うのですが、湖側のほうでは、まだやはりなかなかそこまで至っていないと考えられます。
とはいえ、連続データとして深さは必ずしも底層ではないのですが、国として計測をしている国土交通省、特にこの霞ケ浦の場合には西浦の湖心部分と北浦の釜谷沖ですかね、ここでのデータがあって、位置は底層ではないのですが、そういう連続的なデータが取られているので、その情報も合わせて達成率の評価の中で少し議論をしていく、見ていくというようなことも検討いただけるとありがたいと思います。
この2点です。よろしくお願いします。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。それでは、事務局からどのような対応が可能かご回答お願いできればと思います。
【菊地係長】 はい。お答えします。
まず、歴史的な経過の追記に関する意見につきましては、この資料の構成としては、類型指定の際に必要な情報というものを載せているというところがあり、そういった歴史的経過を、例えば、巻末につける等、そういったことも考えられます。報告書のどこにつけられるか検討させていただければと思います。
続きまして、連続測定データですが、おっしゃるとおり、今後の達成率の検討においてはそういったことも踏まえまして、例えば、底層1m以内ではない連続測定点とかも、国交省が管理されていると思いますが、そういった情報も踏まえ、どのようにして目標とする達成率を今後決めていくことができるのか、積極的に活用していきたいと考えています。
以上です。
【田中委員】 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。
【古米委員長】 はい。挙手が出ていますが、大久保委員ですか。
【大久保委員】 ありがとうございます。恐らくもう一名、手が挙がっていると思いますが先に発言させていただいてよろしいでしょうか。
【古米委員長】 お願いいたします。
【大久保委員】 ありがとうございます。
今の田中委員のご指摘との関係で、この報告書の内容自体には異存がありませんし、類型指定の内容についても異存がありません。
その上で、今回の報告案の8ページのところの本文の最後の2行、今後というところの内容を見ると、特徴に関する調査、研究を含め必要な対策を検討、推進と書いています。
それから9ページの最後の3)は、目標とする達成率、達成期間は今後5年間測定結果の状況を見るということです。
この3)のほうは、底層溶存酸素量を測定するということかと思いますので、その前の部分の今後で書いてある調査、研究というのは測定とは別に各種の調査、研究を進めるということかと思います。
質問の1点目は、今回の類型指定を契機として、精力的に調査、研究が進むことが期待されるわけですが、この点についてどのようなものを現在あり得ると考えているかということを、もう少し具体的な内容がありましたら教えていただきたいです。また、研究を含めた必要な対策となっていますので、恐らくこれから5年間、調査、研究だけをするのではなくて、対策も並行して行うという趣旨と理解しており、それは是とすべきものと考えていますが、具体的な内容がありましたらご説明いただければと思います。
以上2点です。
【古米委員長】 それでは事務局からお願いできますでしょうか。
【菊地係長】 お答えいたします。
まずは、その水域の特徴に関する調査、研究については、例えば、先ほども申し上げましたが、貧酸素化の原因に関する調査、研究、やはりそういったことが対策にもつながるのではないかと考えております。例えば、国立環境研究所など、そういった貧酸素化の研究をされているところもありますので、そのようなところから知見を収集したり、また環境研究総合推進費など、そのほうでも別途貧酸素化に関する研究を進めているところもありますので、貧酸素に関する調査・研究が第一に考えられるというところです。
あと、一般的な対策として、こちらの資料の3-2のところの最後の参考資料に載せてございます。
一般的な湖沼における底層溶存酸素量の改善対策技術について、外部負荷の削減とか内部負荷の削減、あとは酸素の直接供給とか、いろいろありますが、このことについて、霞ケ浦については、先ほども湖内の窒素・リン濃度g高いという現状がありますので、負荷量削減とか、あと湖内部に対して何かできるのかについて、今後関係機関とも協議進めるということは検討したいと考えています。
以上でございます。
【古米委員長】 大久保委員、よろしいですか。調査、研究以外の対策についても検討を進められるようなことを考えていて、参考資料のほうにリストがあるということです。
ただ、研究として、どう進むとかというのはまだ具体化されてないですけれども、環境研究総合推進費みたいなところで積極的に推進するというお考えをお持ちだという回答でしたけど、よろしいでしょうか。
【大久保委員】 はい。霞ケ浦については、地元をフィールドとして熱心に活動している団体等もございますので、よく協働して対策の調査研究を進めていただければと思います。ありがとうございます。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
それでは、古川委員でしょうか。
【古川委員】 ご意見の場をいただきまして、どうもありがとうございます。経団連環境管理ワーキング・グループの座長を務めております古川でございます。
私も、類型指定後の目標設定に関し、資料3-1の8,9ページについて、コメントさせていただきたいと思います。
現在、目標や対策等の在り方は環境省のみならず、関係省庁と自治体の方々が連携して示されていることと思います。調査に重複があれば排除するなど効率的なデータ収集を行い、最新の科学に基づいた知見の把握に努めていただきたいと思います。
また、産業界、特に企業から見ますと、水環境改善に向けた対策は、温室効果ガス削減や生物多様性保全等と同じく、非財務情報に該当し、機関投資家や融資機関の注目も浴びるため、非常に重要な分野でございます。
したがいまして、総合的に豊かな水環境の形成や温室効果ガス削減、資源循環にマイナスにならないよう、様々な観点から対策を検討、実施していくことが重要だと思っております。関係省庁、自治体の取組も当然進んでいくかと思いますので、一貫性ある取組を実効的に進めていただきたいと思います。
その中では、特に、一律に負荷削減だけを求めるのではなく、効率的、合理的な対応が必要だと思っています。
また、当然のことながら、メカニズムの解明や、汚濁主要要因の科学的整理が必要です。費用対効果にも非常に強く影響してくると思いますので、これらに配慮して進めていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
特に事務局から今コメント、要望ということでお聞き止めいただければと思います。
それでは続いて、和田委員お願いします。
【和田委員】 はい。ご説明ありがとうございます。和田です。
まず1点目お聞きしたいのですが、資料3-1の8ページと9ページは、今回の検討結果と、目標とする達成率及び達成期間が書かれた報告書になっています。そして先ほど説明をいただいた資料2の30番目、31番目のスライドと対応していて、30番目は地域の検討会における検討で、最後のところに、恐らく窪地とかしゅんせつで深いところがあって、底層DOに関わるため、今後、水域の特徴に関する調査、研究を含め必要な対策を検討、推進することが求められることを、報告書8ページに書かれているのは理解しました。
一方、資料2の31番目のスライドで、目標とする達成率及びその達成期間の設定の3ポツ目に、新たな知見が得られた場合には適宜見直しを行うという文言がありますが、資料3-1報告書9ページの3)目標とする達成率および達成期間のところでは、これについて触れられていません。この新たな知見が得られた場合の適宜見直しは、どういったタイミングで行われるのかがお聞きしたい内容です。まず1点がそちらです。
【古米委員長】 まず今回は指定されるので、指定された後に、また新たな知見が出れば見直しをするということなので、きっと資料の3-1はあくまでも今回どう決定したのかという書類なので、その中で見直しについて詳しくは記載しておらず、今日は決まった後の検討事項、類型指定が終わった後の情報として、参考資料2-1で説明があるので、資料3-1に入る内容ではないと思いますが、事務局、そのような理解でよろしいですか。
【菊地係長】 はい。この報告案としましては類型指定までの過程とか、類型指定が完了するまでの報告というところです。
【古米委員長】 和田委員、今の点はよろしいですか。
【和田委員】 分かりました。
【古米委員長】 続けてください。
【和田委員】 はい。あとはコメントになるかもしれないのですが、水域の特徴に関して、なかなかデータが得られなかったということで、現時点では困難だと説明がありました。
こういった窪地の問題ですね。しゅんせつとか、それから砂利採取によって、湖底に窪地がある部分の貧酸素化は、例えば、琵琶湖でも10メートルほどの窪地が10個ほどあり問題になっています。
今回の資料で、霞ケ浦の西浦とか浅い水深ですと風速が強くなると、底層溶存酸素に回復傾向が見られるのは、恐らく混合して、うまく成層が潰れ回復すると思います。一方で、成層ができている窪地でも水深6メートル以深の無酸素状態の水塊は、風による影響として、底の穴の中の貧酸素状態の水塊にいろいろ溶出しているものが、強い風が吹くことで、その周囲の水に拡散されるといった研究知見もあります。琵琶湖の場合は大きいので、それが拡散して全体に影響することはないのですが、常陸利根川は小さいエリアですので、窪地の周縁域には影響が若干見られるかもしれません。今後その辺りのところも調査、研究で進められて、貧酸素状態の回復を目指していっていただければと思います。
以上です。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。きっと今後のところの水域の特徴に関する調査、研究だとか対策というところで、先ほど、今ご指摘いただいたような観点も含めて、調査、機構、内容を深めていっていただきたいというコメントだと理解いたしました。
それでは、清野委員お願いします。
【清野委員】 はい、ありがとうございます。
【古米委員長】 はい、お願いします。
【清野委員】 この答申の中で、生物調査についてなのですが、今回のこういう生物も含めた水質の在り方というのは意欲的ですごく良いと思いますが、具体的にどのように情報収集をしたり、どこまで何を調べられるかというイメージはありますでしょうか。生物史だとか生物の分布、それから生物量というのは、やはり調査が大変なものですから、その辺り、誰がどのようにどのぐらいまでというようなお考えがありましたら教えてください。
以上です。
【古米委員長】 保全種に関してはこういうものがあるという調査はされたけども、実際、資源量としてどうなのかというようなことが今後情報として更新されるかどうかというようなご質問でよろしいですか。
【清野委員】 そうですね。はい。そうなります。
【古米委員長】 それでは、事務局、何か情報がありましたらご提供いただければと思います。
【菊地係長】 はい。まずこの類型指定する際に当たって、各関係者にはヒアリングした上で、このような類型、保全対象種というのも決めておりますので、生態情報等といったデータは収集しております。
今後、例えば、この5年間の中でも、改めて最近の漁業の状況についての調査をしつつ、類型指定検討時に聴いた漁業者とは異なる漁業者からいろいろなヒアリングを行うことが考えられます。あとは水産試験場等、そういった関係者の方々が詳しいかと思いますので、またヒアリングさせていただき、図鑑情報より何か確度が高いような情報が得られたら、例えば、「ある沖にどれだけ生息しています」といった情報等が得られれば、それも達成率の評価に生かせるかと思います。そういったことについてまずはヒアリングというところから始めて、類型指定を決めるまでの情報の妥当性についてフィードバックするといいますか、そういった情報の確度を上げるようなところについて現時点で考えております。
場合によっては、生物の調査といったところも考えられるかもしれませんが、まずは改めてのヒアリングになるというところは考えております。
【古米委員長】 清野委員、何か追加でご発言があれば、どうぞ。
【清野委員】 ありがとうございます。方法論については承知いたしました。
一方で、漁業者の数というのは本当に減少しておりますので、ほかのいろいろな生物調査を行うほど余裕がないと思います。
また、水産関係も十分な予算がございません。そういう点では、環境省様のほうでヒアリングということであると、どうしても先方の努力量だとか持っている情報量とかに依存してしまうことになりますので、ぜひ環境分野と水産分野と、あといろいろ利用者なども含めて情報収集を、生データを取っていくとか何かそういう部分の下支えをしていただけるような対策を取っていただけるといいかと思います。
また、利用者や、あと生物研究者にとっても、今までの生物の基礎的研究とか知見というものが社会に役立つだとか、ハビタットの改善に役立つということにもなりますので、ぜひそういったデータの取得と、それから活用も含めた良きシナジーを生むような政策も今後検討していただけると助かります。
以上です。ありがとうございました。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございます。
きっと今回の魚介類だとか水生生物については、資料3-2の71ページだったのかな。データのリストがあって、多くは論文であったり、霞ケ浦のデータベースであったり、あるいは農林水産省のほうの水産統計であったり、さらにはヒアリングということですが、ご指摘の点というのは、もう少し幅広に新たなデータを集約しながら保全種がどうなっているのかということを把握していくというようなことを戦略的に考えていき、環境省、あるいは農林水産省、あるいは文科省でやっている研究自体も集めていくというように私は理解しましたので、ぜひそういったことを反映して、基準は決めたけど、それは本当にどうなっているのかということを把握できるようなデータ調査をしっかり進めていく必要があると思っています。
どうもありがとうございました。
【清野委員】 ありがとうございます。
【古米委員長】 ほかに委員の方々からご質問、ご意見があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
熊本大学の皆川委員でよろしいですか。はい、お願いいたします。
【皆川委員】 すみません。ご説明ありがとうございました。
今の魚介類の把握について補足があったのですが、ぜひ特に霞ケ浦の場合、外来種がとても多い水域になってきていますし、ナガエツルノゲイトウであるとかそういった、今世界で一番問題のある植物も拡大しているというデータが出てきていますので、その辺との関連、水質とは直接的関係を紐解いていくのはかなり難しいとは思うのですが、併せて外来種の問題についても少しデータを収集していただければと思いました。
一点質問なのですけれども、達成率について、先ほどから目標、達成期間であるとかというお話が出ていたのですが、令和3年から利用が基準として設けられて、ほかの海域でも、もう既に指定されているところあるのですが、データを取り始めている海域が幾つかあると思いますが、現在の達成状況はどのぐらいになっているか、そういった基礎情報を少し補足いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 霞ケ浦において、どうなっているかというご質問ですか。
【皆川委員】 いえ、霞ケ浦ではなくて、琵琶湖であるとか東京湾であるとか、そういった指定されている海域が三つぐらいあるというふうにおっしゃっていたので。すみません。よろしくお願いします。
【古米委員長】
事務局、いかがでしょうか。既に検討のデータも出ていると思いますが。
【菊地係長】 はい。それでは、現時点での達成率の大まかなところをご説明いたします。
まず、東京湾ですが湾の入り口などはやはり海水の交換が行われますので、達成状況としては良好な状態となっております。
ただ、やはり場所によっては港など、湾奥の部分に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、生物3類型、つまり基準値は2mg/L以上なのですが、貧酸素化が著しい場合があるのが現状です。
しかし先ほども申し上げたとおり、年度によっては達成状況が良好というところもありますが、全体的にはやはりそういった湾奥の部分に関しては、まだ貧酸素化が生じやすいと考えられます。
伊勢湾もその湾の入り口などは達成状況が良好ですが、伊勢湾とかは中心部にかなり水深が深いところがありまして、その辺りの周辺は達成状況的には未達成であるところではあります。
もちろん、伊勢湾も港がございますので、そこも貧酸素化は起きているのではないかと考えています。
大阪湾については、湾奥部だけ類型指定しているのですが、場所によっては、やはりその防波堤などで遮られて海水の交換が悪いとかそういったところも見受けられます。しかし別の場所では状態が良好というところがあります。まとめますと、やはりそういう必然的に貧酸素が発生している場所とか、あとそういった海水の交換が悪い場所みたいなところは、なかなか基準達成はできていないという現状で、今、各自治体の皆様に引き続きモニタリングしていただいていたり、あとはたくさん生物がいるような場所については、新規の測定地点とかについても検討していただいたり、今後もそういった情報を収集しつつ、どのような達成率にするべきなのかについては今後も検討していくところです。
【古米委員長】 霞ケ浦なので、同じ湖の琵琶湖の状況もお願いします。
【菊地係長】 そうですね。琵琶湖につきましては、一部の水域、先ほど申し上げました第一湖盆がやはり達成率としては低い状態です。ほかの南湖や北湖の沿岸の付近、大体湖の中央部などは良好な状態ですが、やはり一番深いところ、先ほどのイサザがいるというようなところについては達成率が低い状態である場合もあるということです。年によっては状況回復するときもありますが、現状としてはそういったところです。
【古米委員長】 私から追加すると、100%達成すればいいという考え方ではなくて、保全種がいわゆる生息しなおかつ再生産できるような範囲内がしっかり確保できているかどうかが重要と考えております。部分的に達成できていないところがあっても、その種の保全が持続的にできればいいということなので、データを見ながら本当にどれぐらいのことを目標にするのかということと、もう一つはそういった対策が可能なのかどうかということで、今、他の水域も達成状況を把握しながら、どう達成率を設定すればいいかということがあると思います。
したがって、霞ケ浦がまだデータがそろっていない。期間が短いので、今後5年間、集めてくることによって、どういう形で達成率を設定し、達成期間を設定すればいいかという段階に入るものだと思います。
皆川委員、何か追加でご質問、ご意見あればお願いします。
【皆川委員】 ありがとうございました。達成率とのことで、トータルで達成率を出しているのかということかと思いましたが、やはり様々なケースで地点ごとに、かつ生物の生息域とを重ね合わせながら見ていくということがよく理解できました。ありがとうございました。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
ほかにご質問、ご意見ありますでしょうか。よろしいですか。特に挙手がないようですけれども、よろしいですか。清野委員、どうぞ。
【清野委員】 すみません。一点、生物の生息場所のハビタットの修復というか、そういう観点というのがもう少しあってもいいのかなと思いました。それは今の湖底の窪地の話があったのですが、明らかに影響があると思われるような人為的な痕跡に関しては、それを直していくということもあるかと思いますので、ぜひそういう点も今後ご検討いただけたらと思います。
以上です。
【古米委員長】 追加のコメントありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
今年度から小委員会ということで、専門委員会ではなくて小委員会ですから、この小委員会で検討審議した結果というのは、部会長を通じて最終的に答申になるというようなプロセスですので、何かお気づきの点だとか懸念点があれば、ぜひご発言いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、和田委員どうぞ。
【和田委員】 はい、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
先ほどの清野委員の窪地のハビタットの修復に付け加えさせていただきます。底層溶存酸素の改善対策事例がこちらの報告書にまとめられていますが、最近の新たな技術、例えば、ダム湖を濁らさずに堆積した土砂を回収できる浚渫技術というようなものもどんどん開発されてきていますので、そういった情報も取り込んで、ハビタット、窪地の修復、生息域の改善を進めてもらえればと思いますので、よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
特に挙手がないようですので、田中委員から全体で7名程度の方にご発言いただきました。
現状の中でいうと歴史的な背景であることについては、きっと資料の3-2の参考資料等は簡単に追加できますので、霞ケ浦の水質保全計画があるので、歴史的な情報は既存のものがあるので、それを入れながら霞ケ浦の特徴みたいなものも追加して、それを踏まえた上で、今回検討され、なおかつ設定されたというような対応ができると思います。
それ以外については、基本的に答申案についてはご了解、ご了承いただいているように理解しました。
あとは、調査、研究、今後必要だということについてご意見をいただいたということと、水環境、水質環境基準ですけれども、豊かな水環境、要は生物多様性であるとかそこの資源量みたいなものを把握するような研究であるとか、あるいは実際、貧酸素水塊を防止する、底層DOを確保するための対策を幅広に見ていただいて、その在り方みたいな研究も推進していっていただきたいというようなご意見が多くあったかと思います。
私のほうで、今まで言われた内容について取りまとめましたので、資料3-1は特にないかと思いますが、主に3-2のほうに追加を入れさせていただいて、それに伴って資料3-1を修正する必要があれば調整をしたいと思いますが、まずは資料3-1の内容を本委員会の報告案の本文として、資料の3-2は歴史的なところ、あるいは経緯といったところを追加した形で、参考資料として仕上げていくということで取りまとめをしたいと思いますが、もし修正等が必要な部分、先ほど言った歴史的経緯のところは私、委員長のほうでご一任いただければありがたく存じますけれども、以上のような取りまとめでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【古米委員長】 はい、どうもありがとうございました。
それでは、今、申し上げたような対応で最終的な報告案を作成させていただきたいと思います。
それでは、次に今後の進め方について、事務局よりご説明をお願いいたします。
【菊地係長】 ご審議ありがとうございました。議題1につきましては、今後、先ほどの資料3-2のほうを追記、修正いたしまして、古米委員長にご確認いただくとともに、環境省において、もう一度チェックしまして報告案を取りまとめます。
小委員会報告がまとまりましたら、中央環境審議会水環境・土壌農薬部会長に報告させていただきます。部会長の同意を得られた場合には、部会の決議とさせていただきます。
以上です。
【古米委員長】 ただいまの説明のとおり進めていきたいと思いますけれども、ご確認いただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
【古米委員長】 ないようですので、今のそのように進めさせていただきたいと思います。
それでは、議題の2、その他について、何かありますでしょうか。
【菊地係長】 事務局からありません。
【古米委員長】 特にございませんか。
それでは全体を通じて、委員の方々から何かご発言があればお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。
特にご発言がないようですので、本日の議事は全て終了いたしましたので、次項以降は事務局から連絡事項をお願いしたいと思います。
【関口課長補佐】 古米委員長、進行のほうありがとうございました。委員の皆様方におかれましても、本日ご意見、様々いただきましてありがとうございました。
本日の議事録につきましては、事務局のほうで案を作成いたしまして、後日委員の皆様にお送りさせていただきます。こちら、ご確認をいただいた後、環境省のホームページに掲載をさせていただきますので、ご承知おきください。
それでは、以上をもちまして、生活環境の保全に関する水環境基準小委員会を終了させていただきます。委員の皆様には熱心にご討議いただき、ご協力いただきましたことを御礼申し上げます。
本日はありがとうございました。
午後4時26分 閉会