中央環境審議会 水環境・土壌農薬部会 総量削減専門委員会(第7回) 議事録

議事次第

1.開会

2.議題

(1)第9次水質総量削減の在り方について

(2)その他

3.閉会

配付資料

  • 資料1 総量削減専門委員会委員名簿
  • 資料2 「第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について
  • 資料3 第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)
  • 参考資料 第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)本文(見え消し版) 

議事録

午前10時00分 開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会第7回総量削減専門委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございま

す。

 本日は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議のチャット機能にてお知らせください。

 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。

 なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意志はこのマークで確認いたします。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、御協力よろしくお願いいたします。

 本日の出席状況でございますが、委員16名中、15名の御出席をいただいております。江口委員より、本日御欠席との御連絡をいただいています。

 委員につきましては、お手元にお配りしております委員名簿をもって御紹介に代えさせていただきます。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。事前に御案内のとおり、議事次第のほか、資料1が委員名簿、資料2が「第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について、資料3が第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)となっております。

 また、参考資料として、第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)本文の見え消し版となっております。

 以上が本日の資料でございます。

 なお、資料につきましては、WEB会議システムの資料共有機能により、事務局より画面に掲載いたします。事前にお送りしております資料は、必要に応じお手元で御参照願います。

 本日、交通の事情により岡田委員長の御到着が遅れておりますが、委員長の御指示を受けまして、早速、議題に移らせていただきたいと思います。

 最初の議題、「第9次水質総量削減の在り方について」、事務局より御説明をいたします。

【浜名室長補佐】 環境省の閉鎖性海域対策室室長補佐の浜名でございます。

 本日は、本年2月1日に開催いたしました第6回総量削減専門委員会におきまして、第9次水質総量削減の在り方についての報告案について御審議いただきましたが、その後、いただきました御意見を踏まえまして修正を行い、2月10日からちょうど2週間、2月23日火曜日までの期間でパブリックコメントを行いました。

 資料2が、いただいた御意見とその対応案について、また、資料3が、これを踏まえた報告案の修正案となってございます。前回からの修正案を中心に御説明したいと考えておりまして、説明に当たりましては参考資料、こちらが報告案の見え消し版ということになってございます。こちらを使って御説明したいと思っております。それでは、まず資料2でございますが、こちらを使いまして、パブリックコメントの関係を御説明したいと思います。

 まず、1ページ目に書いてございますが、意見の提出数については52通でございます。1通の中で複数の御意見を記載されているものというのがございますので、意見数としましては71件と整理してございます。この中に、今回の意見募集の対象である総量削減専門委員会報告案に対する御意見ではないものというものが1件ございました。また、類似した意見を一つと取り扱うような作業を行いまして、合計で69件の御意見と整理させていただきまして、そちらについての対応案については、次のページ以降で記載してございます。

 それでは、2ページ目でございます。意見No.1です。こちらは伊勢湾に係る御意見で、現状、指定地域に入っていないエリアも追加すべきではないかといった御意見です。これまでの経緯もある話ではありますが、御意見については、今後の参考にさせていただきます。

 意見No.2でございます。本文の4ページ目の閉鎖性海域を巡る最近の動きに関する記述についてでございます。この中で、瀬戸内海について、瀬戸内海環境保全小委員会において、制度見直しの検討が行われていたこと、また、本年1月の中央環境審議会からの意見具申において、順応的管理プロセスによる栄養塩類の管理に関する制度の必要性が示されたこと、といったことを記載してございます。

 これに関連し、「栄養塩類の問題は、各漁業組合で解決する問題である。直接施肥することもできるだろうし、結局のところ気候変動の問題であるので、漁場を変えるか、ノリをやめ漁業にするか、ノリは海外に頼ることや品種改良を行うのではないかと。農業も頑張っているので、閉鎖性海域全体で栄養塩類放出には反対すると。まず、スモールスケールで行うべきである。」といった御意見になってございます。

 今回のパブコメでは、第9次水質総量削減の在り方について、というのが対象なので、瀬戸内海環境保全小委員会で議論し取りまとめられた意見具申の意見は、対象ではないわけではありますが、気候変動の問題だけというような記載でございまして、それだけということではないということもございますので、今回、本文の20ページのところで、この参考資料の中では21ページ目になってございますが、ここに栄養塩類と水産資源の関係に係る現時点での科学的知見に基づく記述を追記することといたしました。この記述は、昨年3月の中央環境審議会答申、瀬戸内海における今後の環境保全の在り方についてを基に記載したものとしております。

 令和2年3月の答申において、ノリの色落ちについてですが、栄養塩類の不足と水温上昇によるものとの両方を記載しておりまして、今般、追記した箇所においても、その旨記述しているところでございます。

 意見No.3です。本文の4ページからの1-2、汚濁負荷量の状況について、発生負荷量の内訳の結果しか記載されていないということで、その根拠も記載してほしいというものでございます。

 御指摘を踏まえまして、環境省が行っている発生負荷量調査、これを基に「指定地域における汚濁負荷量の状況を見ると以下のとおりである」といった記述を追記してございます。

 また、参考資料として、根拠となる調査に係る情報の追加を併せて、導入的な文言を追記することとします。

 意見No.4でございます。本文7ページ8行目と言及がございますが、6ページからの発生源別の内訳の記載について、「経年的に見ると」という表現が使われているのですが、そこについての質問でございます。いつからなのかということで、こちらについては、参考資料の表5~9に記載のとおり、昭和54年からの推移を示したものとなってございます。

 意見No.5でございます。資料の3ページですが、本文の7ページ目、伊勢湾の発生源別の内訳についての記述の関係です。畜産系が過小評価されていると。渥美湾、知多湾の対策は発生源が限られているため、ここに手を打てば、という御意見でございます。

 意見No.6についても、渥美湾、知多湾の汚れの現況は畜産業、といった御指摘でございます。

 また、意見No.1とも関係しているかもしれませんが、静岡県の下水汚泥についても言及されております。御意見の対応については同様で、「今度の参考とさせていただきます」としてございます。

 また、畜産業を含む面源汚濁負荷量及び未規制の汚濁負荷発生源からの負荷量については、この専門委員会でも御指摘をいただいていたところではございますが、データがないということもございまして、その把握方法の検討や実態調査について、本文36ページ以降の今後の課題に記載させていただいているところでございます。

 続きまして、意見No.7でございます。4ページです。意見No.7や次のページの意見No.8ですが、こちらは伊勢湾の、特に渥美湾や知多湾に関する御意見です。畜産について具体的な御提案とともに、廃棄物の処理について、制度設計を見直すべきとされてございます。対応につきましては、意見No.5や6と同じということで記載してございます。

 なお、この専門委員会においても、農林水産省から家畜排せつ物法の施行状況の調査結果ですとか、家畜排せつ物の処理状況について情報提供いただいておりまして、関連図表の図の1314といったところで掲載しております。

 続きまして、意見No.9でございます。資料2の6ページです。こちらも伊勢湾についての御意見でございます。「三河湾は全国ワースト1の水質でありながら環境基準を満たし、栄養塩が足りないという記述であれば、環境基本法の目的を達成できない。類型あてはめが低過ぎる。」というものでございます。栄養塩類の不足が指摘されているという記述について科学的な根拠を示し、明確に記載すべき、という御意見です。

 伊勢湾については、愛知県と三重県からのヒアリングにおいて、栄養塩が不足しているといったような御指摘がございましたことから、「指摘されている」と記載するというのは妥当であると考えております。

 また、栄養塩類と水産資源の関係については、瀬戸内海環境保全小委員会の場で、瀬戸内海について議論がなされておりまして、令和2年3月の答申に記述があるということもありますので、これを基に、先ほども御紹介いたしましたが、現時点での科学的な知見に基づく記述というものを追加するということにしてございます。

 また、三河湾については、法令に基づき愛知県が類型指定を行う水域ということになっておりますが、環境省としては、新たに環境項目に定められた底層DOの類型指定というものを進めまして、既存の環境基準と併せて活用し、的確かつ効果的に水域を評価していくことが重要と考えておりまして、各自治体においても、そのような取組を通じて、水環境の改善を図っていくことが重要、としております。

 意見No.10でございます。こちらは伊勢湾の畜産業について、養豚業者で垂れ流しをすると、一つの事業者だけでも大きな下水処理施設の負荷に匹敵する、ということで、畜産についても下水道と同じレベルで考える必要がある、といった御意見でございます。御意見については、今後の参考とさせていただきます。意見No.5の回答と同じとしております。

 続いて、意見No.11でございます。資料2の7ページです。11番については、畜産業について、野積みや不法投棄がないか、国でも調査すべきといったものです。愛知県の地域別の堆肥バランス、需給の関係から、東三河地域と知多地域について、有機肥料が過剰となっている可能性。さらに、化学肥料の使用により、実際には畜産廃棄物が行き場を失っている可能性について、御指摘いただいております。本専門委員会の中でも、畜産業を含む面源汚濁負荷量については、実態の把握ができていない旨、御説明させていただいているところでございます。今後の課題と考えておりまして、対応としては、No.5の回答と同じとしてございます。

 意見No.12ですが、こちらは1-4、汚濁負荷削減以外の対策の実施状況のところの(2)底質環境の改善において、栄養塩類等の溶出抑制のための覆砂や浚渫について記載している一方で、4-1の指定水域における水環境の現状と改善の必要性及び対策の在り方というところで、「栄養塩類の不足が指摘されている水域もある」と記述していることについて、具体的にどのような物質がどの程度足りないのか数値を示されたいと、そういった御質問でございます。具体的には、指定地域内において、窒素、りんが偏在している状況があるということですが、栄養塩類の不足につきましては、先ほど御紹介いたしましたとおり、20ページに新たに追記するということにしております。この参考資料の中では、設定の関係上、21ページに記載されているものでございます。

 続きまして、意見No.13でございます。同じく、1-4、汚濁負荷削減以外の対策の実施状況の(2)底質環境の改善のところで、深掘り跡の埋戻しについて記載しているところです。三河湾でも増やしてほしいとの御意見です。深掘り跡は、貧酸素水塊の要因の一つですので、環境省としても、埋戻し対策が進むということが望ましいと考えております。

 続いて、意見No.14でございます。ノリの色落ち関係でございます。原因は、栄養塩類の不足ではなく、気候変動により寒い時期が少なくなったためである、ということで、ノリには栄養は多少効くが、これ以外の悪影響があってよいという話にはならないと、そういう御意見でございます。意見No.2で述べましたとおり、水温上昇と、その他の要因が関連しているということを20ページに追記するということにしております。また、環境省としても、栄養塩類を増やそうとする場合、周辺環境の保全との調和を確保することが重要と認識しております。

 ページめくりまして、意見No.15でございます。伊勢湾の豊川流域浄化センターにおける管理運転についてです。一色干潟への効果について疑問視しておりまして、無制限に行われるべきではないといった御意見です。

 また、意見No.16は、豊川とは記載されていませんが、こちらも下水処理施設における、りんの管理運転についてです。栄養塩類を増やすことに係る環境悪化を懸念する御意見です。御指摘の下水処理施設における栄養塩類の管理運転は、規制を遵守するということを前提として、総量規制基準を超えない範囲で実施されているものと承知しております。先ほども御紹介いたしましたが、本文15ページの記述のとおり、この取組は順応的管理の考え方に基づき、その効果や影響について適切かつ継続的なモニタリングを行い、科学的な知見の蓄積及び分析を進めていくことが重要と考えてございます。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.17でございます。伊勢湾の下水処理施設において、栄養塩類管理運転が試行されているといったことを記載している部分につきまして、渥美湾において、冬季には赤潮が発生することも踏まえて、試行というからには試行期間も明らかにすべきといった御意見です。

 また、意見No.18ですが、順応的な管理や科学的知見の蓄積・分析が重要といった記述を踏まえまして、管理運転の試行期間、その判断基準、結果の公表などを求める御意見でございます。本文に記載のとおりですが、環境省としては、継続的なモニタリングを行い、科学的な知見の蓄積及び分析を進めていくことが重要であると考えてございます。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.19、それから20です。愛知県が類型指定を行っております三河湾、とりわけ渥美湾ということですが、当てはめが低いといった御意見でございます。併せて、その類型指定を基にした達成率で、国で概ね達成と評価していることへの問題意識についても記載されているところでございます。

 また、意見No.21ですが、こちら三河湾とは明記されておりませんが、こちらも類型指定の当てはめが低いといった御意見で、併せて伊勢湾に注ぐ河川の環境基準も厳しくすべきという御意見でございます。環境省としては、底層DOの類型指定を進める既存の環境基準と併せて活用し、的確かつ効果的に水域を評価していくことが重要と考えております。各自治体においても、そのような取組を通じて水環境の改善を図っていくことが重要と考えております。

 また、意見No.19において、透明度についても言及がありましたので、本文の18ページの透明度の推移に係る記載を紹介しているところでございます。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.22でございます。2-2の水質濃度の状況の記述の中で、横ばいですとか上昇と、そういった記述があるわけですが、その表現の違いについて正すものです。ここでは客観的に整理するという観点から、全ての海域で広域総合水質調査のデータを用いたグラフを基に、水質濃度の一次近似式から得られた変化量の割合によって、5段階に表現を使い分けております。対応としましては、その旨を本文の16ページの下のところ、注釈に追記するということにいたしました。

 意見No.23でございます。窒素、りんの水平分布の図が掲載されているのですが、ここに汚濁が進んでいました昭和58年と比較して、改善しているというのは当然ということかと思いますが、相対評価ではなく絶対評価とすべきといった御意見でございます。御指摘の窒素、りんの水平分布図ですが、これは水質総量削減の実施期間における水環境の変化というものを見ようという趣旨で、総量削減制度の導入当時と直近との比較ということにしてございます。

 意見No.24でございます。2-3、障害の状況の(1)赤潮について、赤潮の発生には様々な環境要因が複雑に絡み合って発生しているため、原案に記載のある栄養塩類、日照、水の停滞以外にも記載してはどうかといった御意見でございます。御指摘を踏まえまして、本文に「このほか、水温、塩分、競合するプランクトンの有無等の要因が複雑に関係していることが考えられる」というふうに記載することといたします。

 意見No.25でございます。こちらは意見No.23と問題意識が似ておりますが、答申の内容が改善しているように受け取られるが、どの程度かが分からないといったことで、歴史的経過を記してはどうかという御意見でございます。対応といたしましては、ここも水質総量削減の実施期間における水環境の状況ということで、総量削減導入同時からの状況を記載しているというところでございます。

 ページをおめくりいただきまして、意見26です。2-3、障害の状況の(2)貧酸素水塊のところで、窪地等の底層海水の流動が妨げられることも貧酸素水塊の発生を助長する要因と記載しているところですが、ここについて、窪地だけではなくて、防波堤内、それから埋立地間の水路というものも追記してはどうかという御意見でございます。もちろん、等の中に含まれているということではありますが、重要な点だと思っておりますので、御指摘のとおり明示することといたします。

 意見No.27でございます。2-4、水産資源の状況の(2)伊勢湾の記述で、アサリ類の漁獲量は平成3年をピークに、その後減少傾向にあるとしているところですが、この表現は、現状の漁業者の危機感と合っていないという御意見でございます。

 また、イカナゴ、養殖ノリの色落ちなどについても、播磨灘同様、栄養不足が主な原因ではないかとのことです。栄養塩類と水産資源の関係については、いまだよく分からないことも多いわけですので、ほかの意見への対応と併せまして、現在の科学的知見に基づき、20ページに(4)としまして栄養塩類の不足等という項目を追記するという対応にしております。漁獲量の推移に関する記述は、図52のデータを基に記述しているもので、御指摘の趣旨が分からないわけではないのですが、表現については御理解いただきたいと考えております。

 意見No.28でございます。瀬戸内海の岡山県、香川県の海域で、流入負荷は増大していないのにCODの増加傾向が見られる。A類型、B類型で環境基準を超えているといった状況を踏まえ、その要因についても調べていくべきという御意見でございます。御指摘の内容についても課題と認識しておりまして、4-2の今後の課題のところ、36ページの13行目からの記述で、「水環境とこれに影響を及ぼすと考えられる要因との関係について知見を収集・活用すること」と記載しております。

 意見No.29でございます。4-1、指定水域における水環境の現状と改善の必要性及び対策の在り方の項目のところでございます。本文の31ページ28行目で「湾奥部における栄養塩類の偏在」と記載しているところですが、湾奥部について、環境基準の類型指定を厳しくすべきといった御意見でございます。渥美湾の湾奥部の類型指定が緩いため、全国ワースト1位であっても環境基準を達成しているという評価になっているというのが、その理由でございます。

 本文の36ページに、今後の課題としても記載しておりますが、評価方法や既存の類型指定の状況について改めて検討しつつ、底層DOと既存の環境基準を併せて活用し、的確かつ効果的に水域を評価していくことが重要と考えております。

 意見No.30でございます。窒素、りんの排出について、より厳しい規制を求めず現状維持としているわけですが、このことについて、その理由、科学的知見などを記載するよう求める御意見です。御指摘も踏まえまして、20ページに今回新たに栄養塩類の不足等の項目を追記して対応したいと考えております。

 ページめくりまして、意見No.31でございます。今回の答申案の内容について、概ね妥当という御意見ではありますが、東京湾について、「窒素・りんの現状以上の規制強化を求めない」という表現が関係者に誤った認識を与えかねないということでございまして、東京湾の北部の赤潮、貧酸素水塊は、近年、若干の規模縮小は認められるものの、ほかの閉鎖性海域と比較しても依然として過酷であり、改善すべき余地は大いにある、としております。また、現状では、東京湾の湾奥部における貧酸素水塊を縮減させる手段としては、流入負荷の削減以外にないという御意見でございます。

 東京湾の湾奥部を含む指定水域の一部において、御指摘の問題があるということは認識しておりまして、指定水域全体を対象としました総量削減から局所的に汚濁負荷削減対策を講ずる方向にシフトすることも含め、検討することが重要と認識しております。具体的な記述としましては、第4章の34ページや36ページに既に記載があります。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.32でございます。東京都等の下水道では、今以上の対策を直ちに取るのは難しいが、荒川、墨田川、鶴見川といったところでは、まだ下水道普及率や処理成績の向上の余地があるということで、アンモニア態窒素の検出を更に下げる方向について提案されています。御意見については、今後の参考にさせていただきます。

 意見No.33でございます。4-1、(1)の各指定水域に関する事項というところの伊勢湾の記述について、栄養塩類の不足を指摘しているのは誰か、具体的にどの地域でどの程度不足しているのかというのを記述すべきというものでございます。

 34番については、同じ箇所の記述に関連しまして、渥美湾、知多湾の環境基準の当てはめが緩過ぎる、地域住民はこの程度の環境基準を求めていないというものでございます。栄養塩類の不足については、今般のパブコメで寄せられました、たくさんの御意見もございましたが、こちらを踏まえまして、20ページに新たに1項目追記するという対応を先ほど紹介させていただいております。

 また、三河湾については、先ほども申し上げましたとおり、愛知県が類型指定を行う海域ですが、環境省としては、新たに環境基準項目に定めました底層DOの類型指定を進めて、既存の環境基準と併せて活用しまして、的確かつ効果的に水域を評価していくことが重要と考えてございます。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.35でございます。栄養塩類の不足により、養殖ノリ、ワカメ等の色落ち、カキ養殖の採苗不調、播磨灘東部のイカナゴ資源、周防灘のアサリハマグリ漁場、燧灘のカタクチイワシなどに影響を与えるとの指摘があることを踏まえ、2-3、障害の状況に項目を立てて文章を追加すべき、という御意見でございます。これまで既に御紹介しておりますとおり、この障害の状況のところに(4)としまして、「栄養塩類の不足等」という項目を立てるという対応といたしました。

 意見No.36でございます。三河湾の奥は冬でも赤潮が発生しているということで、そのような状況下で、なぜ豊川流域浄化センターで、りんの管理運転をしているのか、という御指摘でございます。下水処理施設における栄養塩類の管理運転は、規制の遵守を前提として、その範囲内で実施されていると承知しております。先ほども紹介いたしましたが、本文15ページの記述のとおり、このような取組は、順応的管理の考え方に基づき、その効果や影響について正確かつ継続的なモニタリングを行い、科学的な知見の蓄積及び分析を進めていくことが重要と考えております。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.37でございます。4-1、()の伊勢湾の記述についてでございまして、栄養塩類が不足しているわけではないという御意見でございます。

 意見No.38も同様の箇所についての御意見で、ここではアサリはいなくなったが、広大な牡蠣島が出現したという記述がございます。

 意見No.39については、これも同様の箇所についてで、豊川流域浄化センターでは、冬季にりんの管理運転を行っていますが、隣の海域で冬でも赤潮が発生しているということを記載した上で、こうしたことが公平に記述されていない、という御意見でございます。

 対応といたしましては、いずれも先ほどのページの意見No.36と同じとなっております。

 意見No.40でございますが、こちらも同様の箇所の御意見でございます。CODの指標としての問題点と併せてCODを参考値の扱いとし、その達成状況で総量削減を行うのではなく、今後は全窒素、全りん、底層DOの環境基準を主体とする海域管理としてほしいという御意見でございます。また、その際、漁業対象の生物の生息に必要な全窒素、全りんが確保できるよう、総量削減計画や、現在の類型指定を見直してほしい、とされております。

 その上で、伊勢湾のCODについて、窒素、りん同様、削減の取組強化は行わず、現状維持としてほしい、海面利用の実情を踏まえて、順応的、機動的な栄養塩類管理に移行すべき、という御意見でございます。

 伊勢湾の状況についてですが、広範囲で長期にわたる貧酸素水塊が依然として発生しているという状況で、経年的にその規模は拡大傾向になっております。また、底質や底生生物の生息状況等の底層環境に明確な改善傾向が見られないということから、汚濁負荷量の削減の取組は引き続き必要と考えております。

 今般、窒素及びりんについて総量規制としての更なる汚濁負荷量の削減を行わず、これまでの取組を維持するということにする以上、CODの汚濁負荷量については、引き続き削減が必要と考えます。

 ただ、CODの達成状況については、先ほども御紹介いたしましたが、本文の36ページに記載したとおり、評価方法や既存の類型指定の状況について改めて検討しつつ、底層DOと既存の環境基準を併せて活用し、的確かつ効果的に水域を評価していくことが重要と考えております。

 また、伊勢湾における栄養塩類と水産資源の関係については、今般のパブコメでも多様な御意見が寄せられていますとおり、瀬戸内海と異なり、科学的知見が不足している状況と考えております。

 このため、特定の海域ごとの状況に応じたきめ細やかな水質管理が必要か否かについて議論するというのは、時期尚早と考えておりますが、御意見については、今後の参考とさせていただきたいと思っております。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.41でございます。意見No.41も同様に、伊勢湾の記述についての御意見でございます。畜産排水について、高濃度に垂れ流す事業者がいるということで、下水道同様、処理基準を設けるべき、という御意見でございます。先ほどから同様の御指摘があるところですが、三河湾の環境基準の設定が甘過ぎるといった御指摘でございます。畜産排水対策については、関係省庁とも連携して対応するという回答になります。また、ここでも36ページに記載されている今後の方向性についても記述しております。

 意見No.42ですが、こちらも伊勢湾の記述のところでございまして、伊勢湾の記述についても、瀬戸内海の記述のように、生物生産性の確保の重要性に鑑み、同様に栄養塩類の管理に係る記述を追加してほしいという御意見でございます。御意見の趣旨については、理解しておりまして、今後の参考とさせていただきますが、先ほどの意見No.40のところの回答と同様でございまして、伊勢湾については、栄養塩類と水産資源の関係に係る科学的知見が不足している状況と考えております。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.43でございます。伊勢湾の赤潮と青潮の発生件数について、長期的に減少傾向、近年では横ばいで推移と記述している点につきまして、昭和40年頃までは、ほとんど赤潮などなかった、という御指摘でございます。

 こちらについては、意見No.2325と近い御意見かと思っております。御指摘の発生状況については、水質総量削減の実施期間における水環境の状況に関する情報としまして、この制度の導入当時からの状況を記載しているということでございます。

 意見No.44でございます。伊勢湾に係る「窒素及びりんは、総量規制としての更なる汚濁負荷の削減のための規制の強化を行わずという記載に関連し、渥美湾の状況に触れた上で、当然窒素及びりんは、総量規制としての更なる汚濁負荷量削減のための規制の強化を行わなければならない」という御意見でございます。

 御指摘については、伊勢湾の湾奥部においてこのような問題があるということは認識しておりまして、この対応については、局所的に汚濁負荷削減対策を講ずるということも含め検討することが重要と考えます。

 また、本文36ページ記載のとおり、「通常時のみならず大雨や洪水時を含む陸域からの汚濁負荷量、面源汚濁負荷量及び未規制の汚濁負荷発生源からの負荷量の把握方法の検討及び実態調査並びにそれらを踏まえた汚濁負荷量原単位に係る検討等」は、今後の課題と考えております。

 意見No.45でございます。本文32ページ、26行目の東京湾とそれから33ページ、2行目の伊勢湾の文言が、基本的には、ほぼ同様の記述であり、特に使い分けていないならば、表現を統一してはどうかといった御指摘です。御指摘のとおり、表現を統一いたします。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.46でございます。CODの負荷削減に係る伊勢湾の記述に関連し、渥美湾について畜産排水、畜産廃棄物、他県の下水道廃棄物由来が圧倒的に多いとの御指摘でございます。

 御指摘については、本文34ページの記載のとおり、農業及び畜産農業を含む各発生源に係る対策についてその内容と難易度、効率性、費用対効果、除去率の季節変動等も勘案のうえ検討し、適切な対策を推進する必要があると考えております。

 意見No.47でございます。大阪湾の湾奥部の環境改善にあたって、局所対策としての汚濁負荷削減について触れているところですが、ここについて、負荷削減を行うと、大阪湾全体で見れば栄養塩類濃度が低下するおそれがあるということで、流況改善対策やしゅん渫、覆砂等の底質改善対策を中心に進めてほしいといった御意見でございます。

 我々としても、流況改善や底質改善の対策をはじめとした汚濁負荷削減対策以外の対策も重要と考えております。御意見については、今後の参考とさせていただきます。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.48でございます。今般CODの汚濁負荷削減について、東京湾と伊勢湾は、引き続き取組を強化、大阪湾は現状の取組を維持としようとしているところですが、伊勢湾についても大阪湾と同様に取り扱ってほしい、という意見でございます。

 大阪湾を含む瀬戸内海と伊勢湾では、底質・底生生物の調査地点の少なさゆえ、伊勢湾について改善傾向が確認できないのではないか、とも記載されております。

 意見No.40の対応でも触れましたが、伊勢湾については、残念ながら広範囲で長期にわたる貧酸素水塊が依然として発生しておりまして、経年的にその規模を拡大傾向にあるという状況でございます。また、底質や底生生物の生息状況等の底層環境に明確な改善傾向が見られないことから、汚濁負荷量の削減の取組は引き続き必要と考えております。今般、窒素及びりんについて総量規制としての更なる汚濁負荷量の削減は行わず、これまでの取組を維持するということで、それ以上、CODの汚濁負荷量については、引き続き削減が必要と考えております。

 また、伊勢湾における底質生物・底生生物の状況について、調査地点の少なさにも課題があることは認識しておりますが、いずれにしても、学術論文等も含め、明確な改善傾向を確認できない以上、憶測をベースに大阪湾と同様に扱うことは適切ではないと考えます。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.49でございます。伊勢湾の三重県側の漁業の状況に触れつつ、栄養塩不足について指摘されているところでございます。また、CODの更なる削減に伴い、CODだけでなく、窒素、りんも減ることが危惧される、ということでございます。

 伊勢湾については、愛知県側、三重県側問わず、広範囲で長期にわたる貧酸素水塊が依然として発生し、経年的にその規模は拡大傾向という状況でございます。また、底質や底生生物の生息状況等の底層環境についても明確な環境改善が見られないという状況ですので、今回の対応は致し方ないのではないかと考えております。

 意見No.50、次のページでございます。大阪湾を除く瀬戸内海について、第6次総量削減よりいずれの指定項目についても更なる負荷削減を求められていないにもかかわらず、全窒素・全りんの陸域負荷量は減少しているという状況でして、栄養塩の不足が深刻化しているとのことで、引き続きこれまでの取組を維持することが妥当であるという文言を削除してほしい、という御意見でございます。

 また、意見No.51ですが、大阪湾を除く瀬戸内海の窒素りんの濃度が全体としてはⅠ類型並みに低下しており、生物の多様性と生産性を維持できない海となっているということで、御意見としては意見No.50と同様で、引き続きこれまでの取組を維持することが妥当であるとの文言を削除してほしい、というものでございます。

 栄養塩類の不足が指摘されている海域があるということは、もちろん認識しておりますが、一方で、依然として水環境の保全が課題となっている海域というものもございまして、一方、大阪湾を除く瀬戸内海においても、現在の水質が悪化しないように留意しつつ必要な対策を継続することが妥当と考えております。

 また、以下は、瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る制度の見直しについての最近の動きについて紹介しております。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.52でございます。伊勢湾の対策に当たってCODの汚濁負荷削減を進めるとあるが、排水処理の面から窒素りんを減らすことなくCODだけを削減することは困難とのことで、結果、窒素りんが減少し、生物の多様性や生産性に悪影響が出るのではないか、伊勢湾の対策についても瀬戸内海と同様に栄養塩類の供給対策を進め、きめ細やかな水質管理を行うとすべき、という御意見でございます。

 意見No.40と同様ですが、伊勢湾のこの貧酸素水塊の状況とそれから底質・底生生物の状況というものを鑑みまして、汚濁負荷量削減は引き続き必要と考えております。今回窒素、りんについては、総量規制としての更なる汚濁負荷量削減は行わないとする以上、CODの汚濁負荷量については引き続き削減が必要と考えております。

 また、伊勢湾における栄養塩類と水産資源の関係については、今般のパブコメでも先ほど来多様な御意見を紹介させていただいているところですが、瀬戸内海と異なりまして科学的知見が不足している状況と考えております。

 御議論が進むという状況については、時期尚早とは思っていますが、いただいた御意見については、今後の参考にさせていただきたいと思っております。

 意見No.53でございます。ノリの色落ちの原因は、気候変動によるものということで、栄養塩類が不足しているのではなく、水温上昇の障害を補うために栄養塩類を過剰に投与しているのだ、という御意見でございます。

 栄養塩類と水産資源の関係に係る最新の科学的知見に基づく記述を今般追記しておりますので、その旨、記載しております。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.54でございます。赤潮や貧酸素水塊といった富栄養化に伴い問題が発生している場所では、厳しい規制をすべき、という御意見でございます。

 指定水域において御指摘の問題が発生していることは認識しておりまして、このような海域について、指定水域全体を対象とした総量削減から、局所的に汚濁負荷削減を講ずる方向にシフトするということも含めまして検討することが重要と考えております。第4章の34ページや36ページに具体的に記述しているところでございます。

 意見No.55でございます。本文34ページからの4-1、()全ての指定水域に関する事項のイのところ、ここの内容について非常に重要であり、強力に実施する必要があるとのことですが、ここでの文言が「確実に推進していくことが必要」となっており、表現が弱いといった御指摘、また排出事業者が取り組むように仕向けることを検討すべきと、併せて国交省や水産庁、また環境省でも地球環境局を中心に検討が進められていますが、ブルーカーボンの考え方も含め検討すべき、といった御意見でございます。

 本文にも記載しておりますとおり、全ての指定水域において実行可能な取組が関係者の連携のもと複層的に実施されるべきと認識しております。御指摘のトレードオフの考え方も含めた事業者のインセンティブの検討は重要と考えております。

 最近では、ESG投資といったものも我が国でも広がりを見せているところでありまして、御意見については、今後の参考とさせていただきたいと思います。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.56でございます。今後、策定される総量削減基本方針や総量削減計画に係る御意見となっています。また、これらについては、実効的な対策が示されることが必要であり、対策項目の羅列にとどまらず、対策の優先順位付けやそれぞれの削減効果を記述することも検討すべき、とのことでございます。

 御指摘の内容は重要な視点ですが、これらは、まず第9次総量削減の在り方についての中央環境審議会答申がなされた後に、別途検討されるものですので、その旨記載しております。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.57でございます。本文の34ページ、37行目からの4-1、()で、ここの部分に関連しまして、干潟・藻場の保全・再生には栄養塩類が必要との御指摘で、生物の生息に必要な全窒素・全りんを確保できるよう、総量削減計画や現在の類型指定を見直してほしい、ということでございます。

 こちらも意見No.56と似ていますが、総量削減計画については、まずこの第9次総量削減の在り方についての答申がなされた後に検討されるものでございます。

 なお、干潟や藻場の保全・再生には、適度に栄養塩が必要なのはそのとおりだと考えますが、どのぐらいが適切かといった点は、非常に難しい問題であり、更なる調査や研究が必要と考えております。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.58でございます。今後の課題として記載している今後の方向性について、第9次総量削減の目標年度である令和6年度以降の早期施策に反映させていくための今後の検討スケジュールを示すべきという御意見でございます。

 本文の36ページ、11行目に記載したとおり、考え方の整理・検討を早急に進める必要があると考えております。御意見を今後の参考とさせていただきますが、いずれにいたしましても、まずは、この専門委員会報告案が中央環境審議会の答申となってからのお話ということでございます。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.59でございます。今後の課題における総合的な水環境対策について、令和6年度以降も、CODをはじめとする環境基準に関する達成状況を評価して、何らかの対策を講じていく仕組みをとるのであれば、様々な要因について分析を進める必要があり、この点を今後の課題の中に明記すべき、それから、水質予測技術の向上にはCOD、窒素、りんという既存の指定項目に関することも含むことを明確になるよう記述すべきという御意見に加え、本文の36ページ、24行目の「既存の環境基準」との文言について、「指定項目とされているCOD、窒素、りんを環境基準」とすべきと、明確にすべきとのことでございます。

 御意見についてはですが、本文の36ページに記載のとおり、CODを含め、環境基準、水環境と、これに影響を及ぼすと考えられる要因との関係について知見を収集活用することにより、新たな環境基準である底層DOを含め、水質予測技術の向上を図ることは今後の課題と考えております。

 31ページにおいてCODとそれらに関わっていると考えられる要因の因果関係が明らかになっていないと記載しておりまして、水環境の中にCODが含まれることは自明であると考えておりまして、わざわざの追記は不要と考えます。

 また、水質予測技術の向上についても今回のシミュレーションにおいてもCOD、窒素、りんを含むことは自明と考えております。

 最後の点について、環境基準項目の幅が広いので、誤解がないように御指摘を踏まえた修正を行うとしようと思います。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.60でございます。大阪湾の流況、それから貧酸素水塊、栄養塩濃度などの状況に鑑み、底層DOが高い海域になったとしても、豊富な影響環境がなければ生物が増えないことに留意すべき、また、底層DOによる評価よりも定点における生物の一定以上の種類数、個体数を何らかの基準として採用すべき、という御意見でございます。

 底層の環境改善対策を推進していくのが重要で、底層DOの類型指定はその取組の一環と認識しております。御意見については、今後の参考とさせていただきたいと考えております。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.61でございます。全窒素・全りんの水質環境基準のIV類型について、IV類型で指定されている全窒素・全りんの濃度以下であっても貧酸素水塊が発生するなど、この基準には構造的な問題がある、といった御意見でございます。

 御意見と御指摘のとおり、水環境改善を検討するに当たっては、貧酸素水塊等障害の状況や、底生生物の生息状況等の生物多様性・生産性の視点についても考慮することが必要と考えております。今後、底層DOの類型指定を進めるとともに、既存の環境基準と併せて活用して、的確かつ効果的に水域の評価をしていくことが重要と考えております。

 意見No.62でございます。ヒアリングの際に大阪府から示されました、埋立地間の海域のような特定の海域においては、窒素及びりんの環境基準が非達成となっている、さらにこのような特定の海域の状況については、環境省が実施している広域総合水質調査からでも読み取れない、といった課題について、もう少し具体的に記述してはどうか、といった御意見でございます。

 御指摘の趣旨については、本文の31ページに、水質環境基準を検討するに当たり、水域における水環境の目標である環境基準の達成状況が重要な指標となることが、同じ湾や灘の中でも水域毎に状況が異なることについても考慮する必要があると記載しているところでございます。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.63でございます。埋立地間の海域のような特殊な場所の水質改善対策について、沿岸域の施設管理者等が対策を講ずることが重要、それから、こういった場所の水質対策をどのように行っていくか等について、速やかな検討が必要、というものでございます。

 本文36ページに記載のとおり、よりきめ細やかに水質の状況に応じた取組を可能とするための考え方の整理・検討を早急に進める必要があると考えております。

 意見No.64でございます。指標についてのCODの問題点について調査研究を実施してほしいというものでございます。御指摘については、本文36ページに記載のとおり、CODを含めまして水環境とこれに影響を及ぼすと考えられる要因との関係について知見を収集・活用することは、今後の課題と考えてございます。

 ページをおめくりいただきまして、意見No.65のところです。文章中に水域と海域が入り乱れておりまして、使い分けについて要整理という御意見でございます。御意見を踏まえて、修正を行っております。

 意見No.66と意見67は、三河湾の水質改善のため、天竜川の水を導水してはどうかという御意見です。今後の参考と書いておりますが、生態系への影響や利水との関わり等も踏まえ検討されるべきことと考えております。

 ページをおめくりいただきまして、意見68でございます。伊勢湾について、これまでの水質総量削減の取組では、貧酸素水塊の減少が見られないということについて、原因を干潟・浅場・藻場が失われたことに求めているという御意見でございます。

 また、アサリ漁場の類型指定がⅡ類型になっていることなど海面利用の実態と合っていないということが記されております。御意見については、今後の参考とさせていただきます。

 御意見のNo.69です。最後でございます。愛知県の養豚業者が汚物・汚水を不適切に取り扱っているという内容でございます。書かれている内容の真偽は不明ですが、事実であれば、ということで記述しているところでございます。

 資料2は、以上でございます。

 続きまして、参考資料を用いまして、この専門委員会の報告案につきまして、修正箇所を中心に御説明させていただきます。

 まず、全体の話といたしまして、これまで参考資料として扱っておりました図表につきまして、記述の根拠、出典に当たるものについては、本文とリンケージを図り、報告案の中に組み込むようにいたしました。また、先ほど意見No.65のところで御紹介いたしましたが、水域と海域の使い分け、表記の揺れというものを整理いたしました。

 それ以外のところについて、変更点を中心に御説明させていただきます。

 まず参考資料4ページでございます。22行目、発生負荷量の内訳について、その集計プロセスを掲載しております。こちらは意見No.3を受けた修正でございます。

 続きまして16ページ、ここの下の注釈のところについて、水質濃度に係る横ばい、上昇といった言葉の使い分けについて、意見No.22を踏まえまして、脚注に記載するという対応としております。

 19ページ目の18行目からですが、赤潮の発生要因について、様々な要因が考えられるということで、意見No.24の表現を取り込んだ修正を行っております。

 20ページの11行目ですが、窪地等という記載にしてあったところについて、防波堤内、埋立地間の水路ということも明示するという修正でございます。御意見26、これを受けた修正ということでございます。

 20ページの最後、2-3、障害の状況に、この後に()の青潮の後に、()としまして栄養塩類の不足等の項目を追加しております。参考資料では、21ページの1行目からになっておりますが、こちらは先ほどパブコメの結果を紹介していく中で、意見2をはじめ、多くの御意見を踏まえた対応ということにしております。

 資料の説明の中で申し上げましたが、瀬戸内海環境保全小委員会での御議論を踏まえまして、昨年3月に取りまとめられました中央環境審議会答申を基に記載しているのが、2行目から11行目のほか、今回新たに、水産用水基準といいまして、こちらが最近改訂されたものがございますので、ここの記述も根拠としまして記載することにしているところでございます。

 続きまして、32ページでございます。32ページの26行目、東京湾と伊勢湾の表現の違いについて統一してはどうかという意見No.45の御指摘を受けた修正ということでございます。

 続きまして、36ページ、25行目でございます。既存のというところについて、ほかの環境項目というのはいろいろあるので指定項目であるCOD、窒素及びりんの環境基準と明記するという修正を行っております。意見No.59を受けた修正ということでございます。

 以上、約1時間ほど御説明いたしましたが、パブリックコメントの結果報告とそれを踏まえた修正の案でございます。

 以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。委員長の岡田でございます。若干遅れてまいりましたことを深くお詫び申し上げます。

 改めまして、委員の皆様方におかれましては、大変御多用の折御出席いただいたことを御礼申し上げます。

 さて、ただいま事務局より御説明のとおり、第9次水質総量削減の在り方については、多くの丁寧な御意見、コメント等をいただいたことを、パブリックコメントをいただいた皆様方に深く感謝申し上げたいと思います。

 今、御説明いただいたとおり、この御意見に対する対応案、それから報告書、それに基づいた報告書の修正案について御説明をいただきました。これにつきまして、御質問、御意見等がございましたら承りたいと思います。

 それでは、最初に吉住委員、どうぞ。

【吉住委員】 よろしくお願いします。経団連の吉住でございます。産業界を代表して意見を数点述べさせていただきたいと思います。

 まずは、委員長並びに事務局の方々の取りまとめの尽力に感謝申し上げたいと思います。

 今日説明がありましたパブコメの結果を踏まえて、これまでの委員会における分析と、議論の内容に沿った結論になっているのではないかとの評価をさせていただきたいと思います。我々産業界にとっても、SDGsをはじめとする目標は、経済活動を行っていく上での基盤であるということと、豊かな海を維持、回復していく重要性を強く認識しております。それを踏まえまして、今日の説明について三点ほど、産業界が重要視している部分について意見を述べるとともに、一つ質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、パブコメの説明でありました意見No.56でございます。確認と、一つ質問もございます。内容は記載されているとおりでございますが、産業界にとりまして、非常に大きな影響を与える削減目標量の設定に当たって、これまで取られた対策の内容と難易度、効率性、費用対効果も勘案して、各発生源に係る対策を検討すべきという指摘がなされていることは、我々としても非常に重要であると認識をしております。ここにも記載されているとおり、これからの実行が非常に重要になりますので、総量削減基本方針と総量削減計画の策定において、対策の羅列ではなくてぜひ優先順位をつけていただく施策をお願いしたいと改めて申し上げておきます。

 この中での質問ですが、意見No.56の中段に、C値の範囲の設定に関する考え方を含めて、明らかにされたいという質問があります。報告書の内容の解釈として、C値の範囲の変更はないという理解でよいのか、確認させていただきたいと思います。

 二点目は、意見No.58に挙げている項目でございます。これにつきましても前回の委員会で、私から意見を申し上げた部分でございます。環境変化や取組の成果など、科学的な知見を踏まえて、一律の指定項目の削減という現行制度の枠組みの見直しに踏み込んでいることは、産業界としても非常に評価をしております。それに関して、これから、令和6年からの新しい枠組みについての取組を始めるということですので、ぜひ計画的に進めていただきたいと思います。経済界あるいは事業者として、将来に向けた見通しが、どうしても必要になってきますので、そこをぜひ御理解いただきたいと思っております。

 最後の三点目でございます。パブコメ等の内容ではありませんが、今日の説明の中でも瀬戸内法に関する言及がありました。その中の栄養塩類管理につきましては、今回の総量削減専門委員会の中でも非常に重要な関連を持っていると思っております。瀬戸内法改正案が先般閣議決定されたという話がございましたが、この改正の中で、海域の環境保全の今後の在り方について一つの方向性を示した表現があり、関係府県知事が栄養塩類の管理計画を策定できるという項目が入っております。計画設定に当たっては、周辺の事業所あるいは地元のステークホルダーとの協議が必要とされていると書いてありますので、関係者の合意を得ることが必要だという理解を、我々産業界はしております。この理解でよいか、質問をさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございます。どうぞ。

【行木室長】 事務局閉鎖性海域対策室、行木からお答えしたいと思います。

 まず、御質問のありましたC値の範囲のところでございます。C値の範囲でございますが、これは、この第9次の方向性がこの専門委員会報告がこの案のとおり御審議の結果まとまりまして、また、別の場での議論を経て答申となったらという条件が当然つくわけではございますが、もしこの事務局案とおりになるのであれば、環境省の定めるC値の範囲につきましては、産業界関連の部分につきましては、第8次の時点から変わらないということとなるのが今回打ち出している方向性でございます。優先順位をしっかりつけながら、実行に向けて取組んでいくということも、しっかり踏まえて進めていきたいと思っております。

 意見No.58の点、見直しに今後踏み込んでいく辺りにつきましても、御意見も踏まえて進めていきたいと思います。

 それから、三点目、瀬戸法の栄養塩類管理の点でございます。これは、この委員会の中での議論の対象ではないところではございますが、事務局として申し上げますと、関係者に協議をして行うということは、調整をして関係者間の合意を得るために協議をするものと考えておりますので、当然合意を得て進められるべきものと理解しております。

 以上でございます。

【吉住委員】 ありがとうございました。

【岡田委員長】 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 それでは、次に、平沢先生、どうぞ。

【平沢委員】 まず、パブコメとそれの答えに関しては、おおむねよろしいのではないかなと大変な数のパブコメに対して御苦労さまでしたというのと、ちょっとこれを聞いて、私なりのというか意見を述べさせていただきます。パブコメ5番等にありますような、伊勢湾の畜産業の問題が結構出てきております。これに関しては、私は別の委員会だったと思いますが、排水処理技術のフォローアップということで、畜産業の調査等々、排水処理技術に関する調査を結構、以前、省庁でやっていたと思います。それで、そのことから畜産業における課題だとか、処理施設があっても運転管理がうまくいかない実情が結構たくさん調べられていると思うので、今後その辺を参考にしていただきたいというのが一点目でございます。

 それから、2番目ですが、前回委員会に出なかったのがいけないのですが、31番の辺りに出てくる湾奥部というところのいろんな湾での課題ですが、湾奥部というのはどうしても人口が集中していたり、実際に湾奥部の水質というのはほとんど下水処理水あるいは河川水の影響を強く受けているので、実際は、海域というよりは、淡水に近い状態になっているのではないかと思っていて、その辺も考慮して湾奥部の水質等の問題を考えていただきたいというのが2番目の意見でございます。

 以上でございます。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室、行木でございます。御指摘ありがとうございました。

 今いただきました二点、まず一つ目畜産業に関しまして、排水処理技術など別の場で議論されていることを今後の参考にするということ、それからNo.31、下水処理場なり、河川からの排水に対する淡水の影響も大きく受けるということも含めて検討してほしいということ。二点、御指摘として承りました。今後参考にさせていただきます。

 ありがとうございました。

【平沢委員】 ありがとうございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。それでは、次に風間先生どうぞ。

【風間委員】 風間です。ありがとうございます。

 今の平沢先生と似たことですが、この意見No.31及びNo.54に関しまして、本当にNo.31に書かれましたように、東京湾に関してこのままでいいよという言い方は、誤った認識を与えるのではないかなということを前から懸念しておりまして、このままの表現はあまり適切ではないのではないかなと考えております。

 それで、ここの表現、実際にされています答申案の内容32ページの26行から27行のところです。削減のための規制は行わず、これまでの取組を維持することが妥当であると書かれておりますが、これを規制の強化を行わないものの、これまでの取組を維持することが必要であるという、何か一歩進んで表現できないものかなという感じを持っております。

 そして、答申案内容の36ページ、上のほうに今後の課題のところは、関係機関及び関係者が連携して取り組むべき課題となっておりますが、関係機関と言っては、これ今の答申がなされた後、各関係者というか、自治体が基本方針なり計画を策定すると思いますが、そこに国はもちろん入るとは思いますが、国の関与と言いますか、どこまでなのか。一体この見直し云々ということを視野に入れといいますが、自治体がそういうことをやるのか、一体誰がこの見直しを視野に入れて作業するのかなということも疑問に思っております。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。では、これは事務局から。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室、行木でございます。御意見、ありがとうございました。

 まず、一点目のところでございます。ここのところの表現に関しましては、趣旨としては、十分表現できているのではないかとは考えているところでございます。ここに関しましては、文章のつながりなどを考えると、今のままが妥当ではないかと思うのですが、検討させていただきたいと思います。

 それから、二点目の36ページ、今後の課題のところでございます。ここに記載の部分につきましては、環境省やほかの省庁を含む関係省庁、それから関係都府県、産業界、環境団体などの幅広い関係者がそれぞれの課題について、取り組むことが重要であると考えその旨記載しておりますが、当然、その制度の枠組みの見直しも含めた検討の辺り、そこは国が主体となって取り組むべき課題というように認識しております。

 以上でございます。

【岡田委員長】 はい、ありがとうございました。風間先生、いかがでしょうか。

【風間委員】 では、前半のほうよろしく御検討ください。お願いいたします。

【岡田委員長】 これは事務局で検討して、必要に応じて風間先生とも御相談させていただくということにさせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

 それでは、次に三浦委員がお手が挙がっていますが、どうぞ。

【三浦委員】 全漁連の三浦でございます。

 私からは、意見です。様々なパブリックコメントを受けまして、参考資料、それから本文ともに19ページから21ページのところで、障害の状況のところですね。障害の状況のところで赤潮ですとか、貧酸素水塊、そして青潮と並んで、栄養塩類の不足等が新たな項目としてしっかりと書き込まれたこと。これに対しまして、漁業者を代表しまして、評価もしますし、そしてまた委員長始め事務局の皆様にお礼を申し上げたいと思っているということでございます。

 そしてまた、幾つかのパブリックコメントがありましたとおり、ノリの色落ち問題というのは、環境変動だとか高水温が原因ではないかということが、幾つか書かれたのでございますが、ノリの養殖を始める時期というのが秋口なんですね。その時期に水温がなかなか下がらないため、種つけができず生産が始まらない。ノリの生産を始める時期がどんどんどんどん後ろにずれ込むことによって、生産量に大きな影響も与えている。色落ち問題にも影響しているとは、あまり考えていない。それと、高温耐性のある種苗等を水産庁をはじめ研究機関で、開発等もしていただきながら、それらの種苗も使用する取組というものを始めているところになりますので、色落ち問題の主な要因というものは、栄養塩不足であると我々は考えているということでございます。

 そして、また最後ですが、藻場干潟づくりですとか、それから藻類、貝類養殖を推進をするということは、ブルーカーボン生態系を活用したCO2の固定、そういったものも促進をしながら、地球温暖化等々の環境負荷も軽減する。そしてカーボンニュートラルの視点からも、重要な取組となっています。これらのことを推進するためには、きめ細やかな順応的な栄養塩の適切な管理というものが必要不可欠となりますので、そこのところ、よろしくお願いをいたします。

 私からは、以上でございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。これは、御意見ということで承りたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、次に田中先生どうぞ。

【田中委員】 どうも、ありがとうございます。私からは、パブコメに対する感想と、それからそれに踏まえた修正の中で一点、意見を言いたいと思います。

 幾つか指摘された点がやはりそうかなと思う点が幾つかありまして、一つは、まず、窒素、りんの削減なしにCODだけ削減するのは、やはりこれまでの技術ではかなり難しいと。それは、やはり生物処理を主に下水道もそうでしょうし、それから畜産系とかそういう系統も多分そうだと思いますが、これについての論理的には、CODを更に下げればいいのではないか。窒素、りんはこのままでいいよと言われても、結果的にはなかなかそううまくはいかないことになるので、この辺を今後やはり考えて行かないといけないのではないかなという気がします。

 さらに、その対象になっているCODを減らす意味が、やはりこれまでの議論でも環境基準を超えているから減らすわけですが、それとともに、今新たな環境基準の設定で、今回もかなり強調いただいた底層DOの改善を今後とも図る部分等が、なかなか現状の知見では十分にリンクが十分分かってないところがあるので、より細かな栄養塩の削減の方法と含めて今後やはり考えていく必要があるのかなという気がします。その一つのキーになってくるのが、季節ごとでの削減をどうしていくかということかなという気がいたします。

 そういうことを考えたときに、対応のコメントは大体これでいいと思いますが、CODと窒素、りんの削減をどうしていくのかという関係ですよね。ここの部分が新たなやはり技術的な対応部分を少し考えていく必要があるのではないかという気がします。

 この報告書の中の、参考資料の中の一番最後のページの37行目辺りに、その調査研究の推進のことが書いてあって、発生するその原単位の問題とか陸域からの原単位、それから未規制、それから面源、こういうところの状況把握、それから実態調査、これを踏まえた汚濁負荷量原単位に関する検討などというところが書いてあるのですが、この中のなどの中に、これまでの条件とちょっと違ってきたCODは下げ、だけど窒素、りんはあまり減らさない。こういうことについてのあまり視点がこれまでなかったので、こういうことについてもやはり技術開発というものを、考えていかないといけない。方法論としては、あり得るのですが、エネルギーがかなり食う方法が中心になってくるので、そういう技術の検討が必要ではないかというコメントがいるのではないかと。その中には、ひょっとすると、これまでの面源も含めた削減でばらばらに窒素とそれからCODの削減あるいはりんの削減、こういうものが原単位としてのばらばらな視点だけだったのですが、それらのリンクも含めた、どうそれらが変わってきたのか、というような視点もいるのではないかなというような気がします。

 したがって、一番最後のページの2行目のなどのところに、やっぱり削減技術の検討というのが、ある意味では、追加しておく必要があるのではないかなという気がします。

 以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございます。御指摘のとおりだと思いますので、これは事務局でどのように記載するかは御検討いただいて、田中先生、すみません。最終的な文言を御確認の御協力をお願いしたいと思いますが、よろしいですか。

【田中委員】 はい、了解です。

【岡田委員長】 ありがとうございます。では、そのように対応させていただきます。

 次に、長田先生、お手が挙がっているようですが。どうぞ。

【長田委員】 農研機構の長田と申します。畜産業の、特に今回伊勢湾の周辺について、随分御指摘をパブコメでいただいたということで、二点ほどお話をさせていただきたいと思います。

 一つは、私ども農研機構を中心といたしまして、畜産業に関しましての排水に関して、関係機関が農林水産省の担当機関、部局と連携して、その改善を図ってきており、この委員会の報告の中でも、閉鎖系水域がここで強く指摘されるような問題点はかなり少なくなってきているのではないかなと考えつつも、最初の時点でございました面源としての調査、調べていくことというのは、これからは必要なのではないかということで、こちらには、私どもを含めまして協力していきたいと考えているところです。

 もう一つ、御指摘したいのは、一番最後ですから、69番あるいは41番というような御指摘というのは、私が拝読する限りですが、これ重大な問題でありまして、実際にもこれ法的に触れるような問題と考えますので、この委員会の総量規制という考え方とは、ちょっと別の問題として関係部局が当然事実関係を確認した上で、厳しい言い方ですが法律に違反しているという部分に関しては、適切に対応していくべきであろうと考える次第です。

 これを言っておかないと私の責任も果たせませんので、この点を申し述べたいと思います。

 また、田中先生が言われましたCOD、これ畜産でもやはり色としてCODが出てしまうということがありまして、窒素、りん、また違った高度処理が必要になりますのでその点は考えていかなければいけないということを意見として終わりにしたいと思います。

 以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。これは、法律の話は事務局から。

【行木室長】 御指摘ありがとうございました。特に二点目のところ、意見No.4169の辺りのところです。私どもとしてもこれがもしも事実なのであれば、速やかに対処されるべき事案だと思っております。事実関係として事務局として真偽を把握できているわけではございませんし、匿名でコメントをいただいておりまして、私どもで確認をできる状況でもございませんが、恐らくコメントを出された方が議論を聞いておられると思いますので、もし真実なのであれば、速やかに関係自治体に詳細を情報提供いただき、アクションにつなげるようにしていただければと思います。

 以上でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました、ということで、長田先生よろしいですか。

【長田委員】 はい、ありがとうございます。

【岡田委員長】 はい、どうもありがとうございました。

 次に、古米先生お手が挙がっているようです。どうぞ。

【古米委員】 ありがとうございます。私からは一点です。今日の説明で、パブリックコメントの内容から判断して、非常に多くの御意見をいただいたわけですが、その中で、繰り返し出てきたポイントとしては、特定海域ごとの状況に応じたきめ細やかな水質管理あるいは水環境管理を、しっかりと、より一層やらなくてはいけないという問題意識を持たれている方が多かったように理解しました。

 今回、瀬戸内海については、モデルシミュレーションを行うことによって、湾灘単位で議論しましょうというのが既に進んでいると考えております。それを受けて、きめ細やかなという言葉が出た今回のコメント内容になっていると思います。ただ、今回の多くのこれらのコメントに対しては、今後の参考にさせていただきたいという言葉で対応がされているということについて検討の余地があると思います。現状では、まだ科学的な知見がないので、どうすればいいかというのが分からないことは、私もそのように理解しています。現段階での対応としてはよろしいかと思いますが、やはり今回の最後の4-2の課題の中の(2)調査・研究の推進等というところの中に、きめ細やかなそういった対応をするための研究を進めなければいけないというようなことが分かる文言が入ることによって、その御意見に対して今回の取りまとめがしっかりと対応できるのかなと思います。

 というのも、4-2の今後の課題の(1)の中には、確かによりきめ細やかな状況に応じた取組であるとか、湾奥等の特定の海域だとかというように、意識的にそういった言葉が入っていますが、残念ながら(2)のところは、そこまで言及されていません。現在のままでもいい内容ではありますが、そういったところに少しキーワードを入れていただくと、内容的に充実するのではないかなということです。

 以上です。

【岡田委員長】 古米先生、どうもありがとうございました。これは、御指摘のとおりだと思いますので、事務局で検討させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

 次に、西嶋先生、どうぞ。

【西嶋委員】 西嶋です。私のほうから一点です。パブコメの中で、栄養塩の不足に関する幾つかの御意見が出されて、今回、その部分が20ページに記載をされたと認識をしています。この前半の部分は、これ瀬戸小委で議論が非常にたくさんあった瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方の部分に書き込まれたことが転載されたと認識しています。そこは理解できるのですが、その2段落目ですかね。水産用水の話が書かれていて、これ多分意図としては、この水域のかなりの部分でここで記載されているような全窒素、全りんの濃度以下、つまりは生産性がそもそも低い海域で、陸域からの栄養塩が生産性を支えているという趣旨で書かれているんだろうとは思いますが、記載が単純にこの事実を示しているだけとなっています。ここはタイトルにあるようにそもそもは障害の状況を示しているところですが、栄養塩の不足によって起こっている障害について記載しているというような内容にはなっていないように思えるので、少しここの書きぶりを検討いただいたらどうかなというのが私の意見でございます。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思いますので、これも事務局で起承転結の結になるところがよく分からないという御指摘だと理解して、そういうことでよろしいですね。西嶋先生。

【西嶋委員】 はい、お願いします。

【岡田委員長】 ありがとうございました。じゃあ、事務局で対応してください。よろしくお願いいたします。

 ほかにございますでしょうか。特段お手が挙がっていないようですので、以上で御質問、御意見を終わりたいと思います。

 それでは、本日たくさんのコメント、それから御質問、御意見をいただいたことを深く感謝いたします。この頂いた御質問等につきましては、委員長預かりとさせていただき、私と事務局で整理して、総量削減専門委員会報告としたいと思います。ただ、その前に先ほど何人かの委員にお願いいたしましたように、必要に応じて委員の先生方の御了解を得るということを踏まえた上で、3月17日水曜日に水環境・土壌農薬部会がございます。そこに報告するということにしたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【岡田委員長】 特段御異議がないようでございますので、それでは、本件はお認めいただいたということで、事務局は必要な作業を進めていただければと思います。

 今後の総量削減の検討の進め方について、事務局より説明をお願いいたします。

【行木室長】 今後の予定ですが、本日の御審議を踏まえた委員会報告を、今ほど岡田先生から話がありましたが、3月17日に開催される中央環境審議会水環境・土壌農薬部会にて御報告・御審議いただきまして、中央環境審議会としての答申とさせていただく予定でございます。

 また、その後、水環境・土壌農薬部会において、総量規制基準の設定方法に係る検討を行っていただく予定です。

 これらの検討内容を踏まえ、総量削減基本方針を策定し、各都府県における総量削減計画の策定が進められることになります。環境省としましては、全体といたしまして令和3年度中に一連の策定作業を終えて、第9次水質総量削減の施策を進めて行きたいと考えております。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。本日の議題は以上でございますが、全体を通じて何か御意見ございますでしょうか。

(なし)

【岡田委員長】 特段、よろしいでしょうか。

 それでは、事務局から何か連絡事項等ございますでしょうか。

【事務局】 本日の議事録についてですが、速記がまとまり次第皆様にお送りいたしますので、御確認をお願いいたします。全員の御確認をいただいたものを環境省ウェブサイトにて公開いたします。

 最後に大臣官房審議官の森光より、一言御挨拶を申し上げます。

【森光水大気審議官】 審議官の森光でございます。

 改めて、最後御礼を申し上げたいと思います。

 まず、委員会の委員の皆様におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、感謝申し上げます。全7回にわたりまして、総量削減専門委員会の中で様々な観点から御審議をいただき、本日委員会報告を取りまとめていただきました。岡田委員長始め、委員の皆様ヒアリングに御協力いただきました関係都府県、産業界、関係省庁の方々、またパブリックコメントをいただいた方々、非常に感謝を申し上げたいと思います。

 報告を踏まえまして、答申をいただいた後には、第9次水質総量削減について、いただいた方向性を具体化する検討に移りたいと考えております。

 また、委員会報告で指定水域全体の総量削減からきめ細やかな水域の状況に応じた水環境管理への移行が必要とされたとおり、これまでの枠組みの見直しも視野に入れ、総合的な水環境改善対策への移行に向けて検討を進めていきたいと考えております。改めまして、これまでの御協力に感謝、引き続き環境行政の御理解、御協力を賜りたいと考えております。

 以上でございます。誠にありがとうございました。

【事務局】 それでは、委員長に進行をお返しいたします。

【岡田委員長】 それでは、以上をもちまして第7回の総量削減専門委員会を閉会とさせていただきます。

 本日はどうもありがとうございました。

午前11時45分 閉会