農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会(第10回)及び中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会天敵農薬分科会(第3回)合同会合

開催日時

令和6年10月 8日(火) 13:30~15:00

開催場所

WEB会議形式による開催

出席委員

天野昭子、有江力、工藤由起子、五箇公一(座長)、後藤千枝、小西良子、宮下直(敬称略、五十音順) 

議題

(1)農薬取締法(昭和23年法律第82号)第3条第1項の農薬の 登録申請に係る天敵農薬の評価に関する事項について
  ・ヤマウチアシボソトゲダニを有効成分として含む農薬
(2)その他

資料一覧

資料1    議事次第
資料2    農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会及び中央環境審議会水環境・ 土壌農薬部会農薬小委員会天敵農薬分科会合同会合委員名簿
資料3    ヤマウチアシボソトゲダニ生物農薬評価書(案)
参考資料1  関係法令
参考資料2  天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について(令和6年4月1日付け5 消安第7651号農林水産省消費・安全局長通知)
参考資料3  天敵農薬の審査ガイダンス
参考資料4  農業資材審議会関係法令等
参考資料5  中央環境審議会関係法令等

議事録

○吉尾室長 では、ただいまから農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会及び中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会天敵農薬分科会合同会合を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 事務局を務めます環境省農薬環境管理室の吉尾です。座長に議事進行をお願いするまでの間、進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 天敵農薬に係る評価については、合同会合で審議を行うこととしており、今回が3回目の合同会合となります。事務局は農林水産省と合同で務めており、農林水産省からは、楠川農薬対策室長のほか3名が参加しております。
 初めに、本日の会議と資料の公開の扱いについて御説明します。
 本日の会合は、ウェブ会議形式で開催いたします。また、本日は個別の農薬の評価等に関して審議いただく予定でありまして、公開することにより、企業の知的財産等が開示され、特定の者に不当な利益または不利益をもたらすおそれがあることから、非公開で開催いたします。なお、資料3、生物農薬評価書を除く資料及び議事録については、ホームページに公開いたします。
 委員の皆様におかれましては、差し支えなければ、常時カメラをオンにしていただきますようお願いいたします。
 また、発言希望等ございましたら、画面右側の参加者一覧の挙手のアイコンを押していただき、順にお願いしたいと思いますけれども、急を要する場合など、必要があれば、座長からの合図を待たず、御自身でミュートを外していただきまして、御発言いただければと思います。
 また、チャットボックス機能もございますので、音声トラブル等ございましたら、当該チャットボックスより御連絡いただければと思います。
 万が一の回線トラブル等の場合には、委員の皆様には、事務局の緊急連絡先をお知らせしておりますので、こちらまで御連絡いただければと思います。
 続きまして、本日の委員の出席状況を御報告させていただきます。本日は、7名の委員が御出席されており、津田委員からは欠席との御連絡をいただいております。
 続いて、農林水産省より、農業資材審議会令に基づく御報告があります。
○楠川室長 農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会は、農業資材審議会令第7条第1項で、委員の過半数の御出席で成立すると規定されております。本日は、委員2名、臨時委員1名、全員の御出席をいただいておりますので、当部会は成立しておりますことを御報告申し上げます。
○吉尾室長 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料について御確認いただきたいと思います。
○嶋川係長 環境省の嶋川です。ただいま配付資料一覧のほうを投影させていただきます。少々お待ちください。
 それでは、資料の御確認をお願いします。配付資料は、資料1から3、そして参考資料は1から5になっております。資料に不足等ございましたら、事務局までお申出ください。
 なお、資料は説明の際に画面に表示させていただきますが、必要に応じて、お手元に御準備をお願いいたします。
○吉尾室長 それでは、これからの議事進行は五箇委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○五箇座長 では、これより議事に入らせていただきます。
 本日は、御多用のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 進行中、オンラインですので、システムのトラブルが発生しましたら、事務局のほうに対応いただきますので、電話するなり、あるいはメールするなりしていただきますようにお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 本日は、議事次第にありますように、(1)農薬取締法第3条第1項の農薬の登録申請に係る天敵農薬の評価に関する事項について(ヤマウチアシボソトゲダニを有効成分として含む農薬)、それと、(2)については、その他についてということになります。
 事務局より御説明いただき、それぞれ御議論いただきたいと思いますので、限られた時間内ではございますが、活発な意見交換をお願いいたします。
 審議に当たっては、先ほど事務局より説明がありましたが、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがありますので、全て非公開とさせていただきますので、御承知おきいただきますようお願いいたします。
 審議に入ります前に、利益相反の状況について、各省から御報告のほどお願いいたします。
○吉尾室長 天敵農薬分科会においては、農薬小委員会審議参加規程に基づいて、環境省委員の皆様に、利益相反について事前に確認させていただきました。本日審議する農薬について、利益相反のおそれのある委員はいらっしゃいませんでしたので、御報告いたします。
○楠川室長 生物農薬評価部会のほうでも、平成30年9月14日の農業資材審議会農薬分科会で決定いただきました利益相反の規定に基づいて、農林水産省委員の皆様に、利益相反について事前に確認させていただきました。本日審議する農薬について、利益相反のおそれのある委員はいらっしゃいませんでしたので、御報告いたします。
○五箇座長 御報告ありがとうございました。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めていきたいと思います。
 まず、議事(1)の農薬取締法の農薬登録申請に係る天敵農薬の評価に関する事項についての審議に入ります。
 本日は、ヤマウチアシボソトゲダニを有効成分として含む生物農薬について審議をいたします。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○髙橋審査官 農林水産省の髙橋です。どうぞよろしくお願いいたします。
 そうしましたら、資料3の3ページから御説明させていただきます。
 今回のヤマウチアシボソトゲダニ、申請者はアリスタライフサイエンスでございます。
 有効成分、今、座長からも御紹介がありましたとおり、ヤマウチアシボソトゲダニ、在来の天敵ダニになります。
 1.3にありますとおり、名称はヤマウチアシボソトゲダニというものでございます。
 学名、それから分類学上の位置を1.4のところに示してございます。ホソトゲダニ属の種として、ヤマウチアシボソトゲダニというものになります。
 ここでダニの画像を御紹介させていただきたいと思います。
 こちらにありますとおり、上がヤマウチアシボソトゲダニというもので、成虫から第2若虫、第1若虫、幼虫というもので、成虫の脇にある白い棒が1mmになりますので、1mmを少し切るぐらいの、雌だとそのぐらい大きさになります。
 それから、下の欄にケナガコナダニ、丸のついているものがケナガコナダニになります。ヤマウチアシボソトゲダニの半分ぐらいから3分の1ぐらいの大きさで、こちらを餌として用いて増殖をしております。
 それから一番右側の製剤の外観というのは、実際の農薬の見た目でございます。バーミキュライトとピートモスを混ぜた培地の中に、ダニが生きた状態でいます。ちょっと短いんですけれども、実際のダニの動いている様子を紹介いたします。このような状態で、培地の中に動いたダニがいるというような製剤となっております。
 そうしましたら、資料に戻りたいと思います。
 そうしましたら、1.4の(3)の同定方法でございます。まず、ホソトゲダニ属の同定を、こちらの①から、次のページ、⑧に示す形態学的な特徴によって分類しております。こちらによって分類するホソトゲダニ属、次の表1にございますとおり、日本で報告のあるものとして、13種類が確認されております。
 続きまして、4ページでございます。ホソトゲダニ属のうち、主としてヤマウチアシボソトゲダニを、こちらの①から⑥に示す特徴によって分類しております。
 次のページ、5ページのところに実際の特徴が示してございます。図中のAのところにありますとおり、毛が37対、それから穴が20対あるというのが、この種の分類の特徴というふうに記載されております。
 (4)、ヤマウチアシボソトゲダニの由来、それから地理的な分布でございます。まず、トゲダニ科という、この科でございますけれども、こちらは微小昆虫を捕食する多様な種を含んでおりまして、土壌や樹上など様々な環境下に存在することが報告されております。ヤマウチアシボソトゲダニは四国、本州、それから北海道で確認の報告があり、日本全国に分布していると考えられています。実際の農薬の製造に用いるヤマウチアシボソトゲダニの元種でございますが、こちらは2009年に北海道の施設栽培のホウレンソウの圃場の堆積の中から分離された個体群でございます。こちら、分離するときに、野外から採取した未熟堆肥に餌となるコナダニ類を大量に加えて実験室内で培養すると、その中にヤマウチアシボソトゲダニの増殖が認められたというもので、未成熟の堆肥ですとか、土壌サンプルからは発見されなかったということが報告されております。
 続きまして、6ページでございます。天敵生物の特性でございます。
 まず形態でございますが、土壌徘徊性の捕食性のダニで、雌の胴長が0.93mm、それから雄のほうが少し小さく、0.7mm程度の大きさとなっております。
 発育条件でございますけれども、発育ステージとしましては、卵、幼虫、第1若虫、第2若虫、成虫となりまして、大体20℃で卵から成虫まで18日程度と報告されております。
 休眠性、温度耐性でございますが、特に在来ということもありまして、冬期の自然光の下でいつでも産卵をすることができて、休眠性を有さないものとなっております。餌となる害虫が存在しないときには飢餓耐性を示しまして、飢餓状態で、温度15℃~25℃程度あれば、21日間生存が確認されております。さらに、21日間の絶食後に、餌となるホウレンソウケナガコナダニを与えると、捕食及び産卵が確認されたというもので、比較的、飢餓耐性を示すものとなっています。
 (4)番、捕食・寄生の範囲及び特徴でございます。表2に示すような生物種の捕食が確認されております。農薬としての検索で見つかったものが多いので、害虫が中心になっておりますけれども、加えて一番下、餌として使っているようなケナガコナダニといったものがございます。
 実際に生育ステージ別に、ヤマウチアシボソトゲダニ1頭が24時間でどのぐらい捕食する能力があるかというものを表3にまとめてございます。実際に、ヤマウチアシボソトゲダニとホウレンソウケナガコナダニを入れて、25℃で24時間、またはホウレンソウケナガコナダニの卵、幼虫、それから第1若虫、第3若虫、成虫を入れて、20℃で24時間置いた後に調査をしております。それぞれの数はここに示したとおりでございますが、卵の捕食はなかったということでございます。全体としては、小さめのものをよく食べているという感じでございます。
 それから、別の試験でございますけれども、15℃、20℃、25℃、30℃の異なる温度条件下での捕食量を確認しております。20℃で最も多く、16頭程度食べています。25℃で少し減って13.9頭、15℃、それから30℃になると、9頭、7.4頭と、有意に少なくなったという結果でございました。
 移動・分散性でございます。ヤマウチアシボソトゲダニは、翅を有さない土壌徘徊性の捕食性のダニでございます。成虫は主に土壌に存在しておりまして、ただ、飼育時に乾燥、それから餌が不足したときには、かなり活発に動き回る性質があると報告があります。
 それから、8ページから、培養に使う餌のケナガコナダニについての概要でございます。
 名称はケナガコナダニで、学名・分類学上の位置は2.2に示すとおりでございます。
 ケナガコナダニの同定は、参考資料1に示す検索表によって同定しております。
 地理的な分布としましても、日本全国に分布するものでございます。
 ケナガコナダニの特徴でございますが、形態としましては、大きさが0.3~0.5mmで、乳白色のダニでございまして、少し長い毛を有するというのが特徴でございます。
 発育条件、休眠性でございますが、繁殖は25℃~28℃が繁殖適温でございます。湿度は75~85%程度、10℃以下では繁殖が止まりまして、40℃を超えると死滅するという報告でございます。休眠はございません。生育は、卵から成虫になるまで約10日でございます。
 ケナガコナダニの食性でございますが、穀物、澱粉等の穀類ですとか、乾燥魚粉といったもの、それから、畳などのわら製品に発生するという報告がございます。さらに、キュウリ、メロン、カボチャ等のウリ科、ナス科の非常に小さい時期の作物も食害するという報告がございます。
 9ページでございます。こちらが製剤として、農薬として販売される製剤の概要でございます。
 有効成分はヤマウチアシボソトゲダニで、ダニを食べるダニとして、殺虫剤という区分で販売するものになります。
 このヤマウチアシボソトゲダニが製品10mL当たり100頭程度入っているもので、そのほかに、餌のケナガコナダニと鉱物質等が入っております。
 実際、今回申請されている内容でございますが、作物としては、ニラの施設栽培でございます。適用病害虫はネダニ類で、ニラの栽培中に、株元に先ほどのバーミキュライトみたいな茶色っぽいものを株元に放飼するという使い方をしますと、自ら害虫を見つけて食べに行くというものでございます。
 3.5で、諸外国における利用状況でございます。こちら、全く同じものは、海外での販売等はないんですけれども、同属異種のトゲダニ類が2種類、1種類は現在も販売されておりまして、そちらはキノコバエの幼虫を食べるというものでございます。過去には、また別種のものが販売されていたということを聞いております。
 それから、3.6のところで、製剤の物理的化学的性状でございます。外観、先ほど御覧いただきましたとおり、バーミキュライトとピートモスそのものみたいな状態で、暗褐色及び淡褐色の粉粒状でございます。
 それから、製剤としての経時安定性、使用期限に関する試験でございます。5℃~30℃で14日間保存して、製剤の外観ですとか容器の状態を確認しております。14日間、特に製剤の外観ですとか容器の状態については、変化はございませんでした。さらに、ヤマウチアシボソトゲダニの生存数について、10℃~20℃で7日間確認しております。この範囲の間であれば、製品の10mL当たり100頭を維持していたという結果でございました。この結果から、本剤の使用期限5日と設定しております。保存温度10℃~20℃で、その範囲であれば特に問題ないという判断をいたしました。
 それから原体規格、よく化学農薬のほうで設定するものになりますが、こちらは天敵生物で原体という概念は存在しませんので、原体規格の設定は必要ないとしております。
 説明はここまで、以上でございます。
○五箇座長 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、マイクを使って発言のほどお願いいたします。
○宮下委員 それでは、宮下です。よろしいですか。
○五箇座長 はい、お願いいたします。
○宮下委員 これ、実際にどういう環境で使うことになるんですか。例えば温室の中なのか、あるいは野外なのかと。
○髙橋審査官 ニラの温室での栽培中に使用するものでございます。
○宮下委員 分かりました。捕食性のダニなんですけど、さらに捕食者、在来の何か捕食者がいたりすると効率が落ちたりすることがあるかなとは、思ったのですが、では、ほかの捕食性の何かもっと大きなダニとかクモとか、そういうものは、基本的に存在しない条件で使うという、そういう理解でよろしいでしょうか。
○髙橋審査官 ハウスの中なので、全く虫の出入りがないという環境ではございませんので、多少のものはいるのかもしれないんですけれども、基本的に、そういった天敵がうじゃうじゃそれほどの数いるという環境ではないと承知しております。
○宮下委員 はい、了解しました。
○五箇座長 ただいまの御質問で、ちょっと補足にはなりますが、ネダニとか、あと、ホウレンソウケナガコナダニ等、土壌中に住んでいて、菌類とか、あるいは何かほかの線虫とかを食べているような捕食性の小さなダニが、植物の芽とか、そういったものも加害する、あるいは根っこを食べるというケースがあって、そういったものの天敵というのは、基本的には、やっぱりこういった捕食性天敵類ぐらいのサイズのものしかいないので、今回、ホソトゲダニといったものが製剤開発されているということになりますから、ほかのプレデターになるような節足動物等の餌の取り合いが起こるようなことは、まずないんじゃないかと。むしろ在来というか、そこにいるトゲダニ集団と何か起こるのではないかとか。そういったことは、若干議論の余地はあるにしても、まだ、正直なところ、このトゲダニそのものの分布や生態に関する情報というのはそれほどない上に、今回は施設栽培限定の使用方法ということになっておりますので、そういったところは、ある程度、制限されているものであろうという前提で、今回、製剤化されているものというふうに理解しております。
 以上です。
 はい。ほか、御質問がありましたらお願いいたします。
○天野委員 すみません、天野です。よろしいでしょうか。
○五箇座長 はい、どうぞ。お願いいたします。
○天野委員 2点お伺いしたくて、一つは今の施設栽培でというところなんですけれども、ニラで施設栽培といいますと、もう完全に密閉されているようなハウスだけではなくて、雨よけであったり、簡易な、目がそんなに細かくない防虫ネットのようなところで使用すると思います。それで、一応、日本全国に、もう分布しているということですので、特に定着とか、そういうことは問題視しなくていいという理解でよろしいんでしょうか。まず、それが1点です。
○髙橋審査官 在来種ということもあって、ヤマウチアシボソトゲダニ自体の天敵というのも自然界には存在していると思いますので、多少野外に出ていったとしても、大量に定着するものではないと考えております。
○天野委員 ありがとうございます。
 もう一点、ちょっと素人的な質問で申し訳ないんですけれども、今回の申請は、ニラのネダニということですが、餌になる対象を見ますと、結構いろいろなものを食べるなと思います。例えばニラですと、ネダニのほかにキノコバエですとか、そういったものも発生しますが、こういう害虫が混発したときって、嗜好性というか、ネダニではなくて、ほかのものばかり食べるということにはならないのでしょうか。教えていただければと思います。
 以上です。
○髙橋審査官 現在入手しているものでは、混発したときの試験をしていないもので、それぞれ単発のときの試験結果としては、それぞれ食べると。嗜好性があるので、混発すると、少し好きなものに偏る可能性はありますが、現在のところ知見はございません。
○天野委員 ありがとうございました。以上です。
○五箇座長 そのほか、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 今、天野先生のほうからも御指摘がありましたけど、日本全国に分布しているという点からすると、実は環境省サイドの物言いからすると、地域によって、ある意味、集団の遺伝子組成が変わるんじゃないかとか、そういった地理的変異というものも本来は考えて、そういったものの影響評価というのは本来すべきなんですね。本当はね。ここが、ちょっと歯に物が挟まったような物言いしか、私もちょっと今できないのも、法律上、いわゆる頭にある外来生物法自体が、国内外来生物のことに対する規制がまだ全くできていないということもあって、同時に、あと、そういったベースデータですよね。例えばこういったトゲダニ類といったものに関しての地理的変異とか、そういったデータが一切ないという中では、正直、ブラックボックス状態で、なおかつ今回ここでされているのは、レギュレーションとして、制度として、この生物農薬をどう評価するかという議論をしているところで、これ、外来生物対策というか、外来生物管理という観点からすると、そういった、一部商品として、何ていうか、セレクションされた系統をばらばら、ばら撒いていいかといったら、いいわけないんですよ、本当はね。レギュレーションとして、何もそれを管理するシステムができていない以上、そういった議論を重ねていくうちに、そのうち国内外来生物規制といったようなガイドラインを作っていって、それの傘下の中で、こういった生物農薬の管理というものを多分議論していかなきゃいけないということになるかなと思っています。
 ただ、一方で、こういった生物農薬自体は、今後、化学農薬のリスク低減という部分でも非常に重要なツールと期待されながら、多分、天野先生も御存じのとおり、今現在、国内における、そういった防除資材市場における99%が化学農薬で、1%以下なんですね、こういった生物農薬が。今、この段階で、ぎりぎり首絞めちゃって、産業そのものを潰しちゃうというのも、非常に難しいところであり、個人的には、もっと市場が大きくなって、それこそ生態影響が問題視されるぐらいまでに成長していったら、そういった基準も必要なのかなという。ちょっと、そんなことは、本当は生態学者が言っちゃいけないことかもしれませんが、現状としては、今おっしゃられたような、疑問というのは、当然、生物・生態学者から出て当たり前だけど、であるならば、そのレギュレーションというものを作れるだけの、いわゆる科学的基盤というか、基礎データというものをまた集積していかなくてはならないということで、課題としては、アカデミアというところで、そういった、こういう生物農薬を使用するに当たっての地域個体群に対する影響といった、要は在来種というくくりでやって、日本国内種だからオーケーですかといったら、そうはいかないわけですね。本来、日本という、これだけモザイク状にいろんな環境が点在している中で、種として同じものであっても、地域特性というか、固有性が高いものがたくさんあるという、そういった独特の生態系を持つ日本列島において、そういったものを使用するという、商品生物というものを使用するという部分に関しては、相当慎重にならなきゃいけないというのは、環境省が一番よく分かっていることではあるんですが。一方で、農薬取締法というレギュレーションの中で、まだその議論、もっと言えば、その上にある外来生物法でも、その議論ができていないというところの中でスタートしてしまっているという。これは、だから課題として、今言ったような発言もぜひ残しておいていただいて、今後の糧としていければというふうに思っております。
 一応、私、座長としてのコメントになります。
 ほか、御意見がございませんようでしたら、次の4、安全性に係る試験の概要について、事務局から説明をお願いいたします。
○髙橋審査官 では、11ページの4番、安全性、まず人に対する影響でございます。こちらは文献検索によって情報を収集いたしました。こちらに示したScience Direct、それからAgriknowledge等のデータベースによって、種名である「Hypoaspis yamauchii」ですとか、この属名によって検索した結果、表5に示す3報が確認されております。いずれも、捕食性のダニの大量増殖法ですとか、トゲダニを含む捕食者に関する薬効を検索したような文献でございました。したがいまして、人に対する安全性で登録を拒否または注意事項を有するような必要のあるものとして、ここに五つ掲げておりますけれども、いずれも該当する文献はなかったと報告がありました。
 それから、②でございますけれども、既にテスト的に製造していたり、薬効薬害試験を実施していますけれども、そういった中で、事故例はないという報告でございます。
 近縁種でございます。ヤマウチアシボソトゲダニと同種であるHypoaspis acleifer、こちらがOECDのテストガイドライン、環境生物を見る試験の供試生物として用いられています。こちら、2008年からガイドラインが採択されていますけれども、特に使用者に対する悪影響の報告はございません。
 以上、①から③を踏まえまして、ヤマウチアシボソトゲダニは人の健康に影響を及ぼす可能性は低いと判断しております。
 次に、餌生物であるケナガコナダニの人への影響でございます。
 まず、ケナガコナダニ、既に登録されていますククメリスカブリダニという農薬の餌生物としても用いられていますけれども、特に農薬としての使用場面において、特に使用者に対する悪影響の報告はございません。
 ここで、②番でございますけれども、WHOとIUISのアレルゲン命名委員会というところのデータベースでございますけれども、こちらでケナガコナダニ、アレルゲン産生源として登録がされております。
 さらに、③にありますとおり、文献検索の結果、経口摂取によるアナフィラキシー発症の報告ですとか、吸入、呼吸器疾患を引き起こすメカニズムについての文献が確認されております。
 こちらの②番及び③番を踏まえまして、ケナガコナダニについては、アレルギー性反応を起こすおそれが否定できないということで、注意事項としまして、アレルギー性反応を起こすおそれがあるということを記載するとともに、使用場面においては農薬用マスクを着用するということを記載したいというふうに考えております。
 また、さらにクッション材というか、増量材でありますバーミキュライトとピートモスでございますけれども、こちらは農業や園芸場面でも広く利用されているもので、特に事故があるということはございませんので、人に対して悪影響はないと判断しております。
 以上を踏まえまして、こちら、下の(1)、(2)に示すとおりの注意事項を提案させていただきました。
 まず、毒性情報としまして、アレルギー性反応を起こすおそれがあるというものでございます。それから、農薬の使用者が実際に使用する場面において、つけるべき防護装備としまして、農薬用マスクということでございます。
 それから、13ページの頭でございます。以上の結果、こういった注意事項を守る限りにおいて、使用者に対して影響を及ぼすおそれはないと判断しています。
 それから、4.2の牛、豚等の家畜に対する影響でございます。こちらも、4.1の文献検索の結果において、牛、豚等の家畜に対して病原性の媒介ですとか、攻撃性、それから有害な物質を分泌に関する文献等、確認されなかったことから、さらに、このケナガコナダニ、日本全国に分布しておりますけれども、特に家畜に対する影響は報告されていません。
 以上のことから、ヤマウチアシボソトゲダニ及びケナガコナダニは、家畜に対して影響を及ぼすおそれはないと判断しております。
 以上でございます。
○五箇座長 ただいまの安全性に関する説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、発言のほどお願いいたします。よろしいでしょうか。
○工藤委員 すみません、星薬科大学の工藤と申します。
○五箇座長 はい、お願いいたします。
○工藤委員 ちょっとお聞きしたいんですけども、アレルギー反応があるということなんですけれども、これはどのぐらいの量でとかという、量的な反応について、何か情報があるんでしょうか。よろしくお願いします。
○髙橋審査官 現時点で、量的なものの確認はできていない状況でございます。
○五箇座長 ケナガコナダニ等についてというか、ダニアレルギーについては、本当、体質的なところもありますし、あるいは連続ばく露というか、ずっとそういったものに触れ続ける、あるいは吸い続けるということで発生するという部分では、屋内塵性ダニなんかと、そういった部分では共通するところはあると思うんですね。私自身は、ハダニ、長いこと研究していますけど、ハダニ研究者の中には、ハダニアレルギーの人ってやっぱりいるんですね。やっぱりずっとハダニの糸とか、あるいはそういった死体等、ばく露し続けることで、そういったことも起こるということで、コナダニに関しても、恐らくそういったばく露量、累積ばく露量といったものが、多分、そういったところに関係してくると思いますので、そういった部分では、人によってはアレルギー反応を示すおそれが高いと。先ほど、この記述として、起こすおそれが否定できないためと書いてありますけど、起こすおそれがあるためというのが僕は正しいと思いますね。記述としては。実際に、これ、アレルゲンとして、アレルギーが発生する人はいますので。それは本当に人によりますし、それがいつ起こるかというのは分からないところもありますから、こういったものをハウス内等で使用するときはマスクをするというのが、防護策として、そういったものをつけるということが、まず前提になってくるというふうに考えられます。
○工藤委員 ありがとうございました。
○五箇座長 ほか、御意見はございますでしょうか。
(なし)
○五箇座長 では、次の説明としまして、5.生活環境動植物及び家畜に対する影響、こちらの説明をお願いできますでしょうか。
○嶋川係長 環境省の嶋川です。それでは、環境省のほうから、5.1生活環境動植物への影響について御説明させていただきます。
 こちら、天敵農薬の審査ガイダンスの別紙に記載の評価方法に沿った形で、以下(1)から(3)で、評価に関する情報を記載して、最後に、最終的な評価をまとめております。
 まず、(1)から(3)の事項に入る前に、まず分布に関する情報をまとめてこちらに記載しております。先ほどの御説明とも一部重複するのですが、ヤマウチアシボソトゲダニは、野外から採取した未熟堆肥にコナダニ類を大量に加えて見いだされたものですというところを記載しております。また、在来種のダニであって、日本全国に分布しているというふうに考えられていますが、生息地域によって形質、それからバイオタイプが異なるといった報告は、現時点ではありません。なお、餌生物のケナガコナダニは、日本国内に広く分布するダニであるというところから、今回の評価には入れないこととして、以下、5.1については、これ以降、ヤマウチアシボソトゲダニに関する評価を実施しております。
 それでは、早速、(1)移動・分散性についてです。まず、特性ですが、ヤマウチアシボソトゲダニは翅を有さない土壌徘徊性の捕食性のダニでありまして、その成虫は土壌に主に存在して、植物上では植食性のコナダニ類とかネダニ類を捕食して生活しています。また、飼育時に乾燥したり餌が不足したりすると、盛んに動き回る性質を持っておりまして、飼育容器の蓋を開けて空気を入れると、差し入れた薬さじ等に上ってくるということが確認されております。このことは、ヤマウチアシボソトゲダニが不適な生息環境になった際に、歩行や昆虫等への付着によって分散していく可能性というものを示唆していると考えられます。
 次に、(2)定着性についてです。
 まず、ヤマウチアシボソトゲダニは、先ほども説明したのですが、休眠性を有さず、温度20℃~25℃で活発になる一方で、乾燥や高温環境において発育が阻害されます。そして、飢餓耐性もありまして、絶食状態でも、一定条件下で21日間の生存が確認されております。
 続いて捕食範囲についてですが、まず、ヤマウチアシボソトゲダニの成虫は、コナダニ類、それからネダニ類のほかに、ネギアザミウマやキノコバエ類の幼虫を捕食するということが分かっています。また、ヤマウチアシボソトゲダニの幼虫や若虫もコナダニ類を捕食するということが確認されています。なお、現在のところ、ヤマウチアシボソトゲダニが植物を餌にするといった報告はありません。
 他方で、ヤマウチアシボソトゲダニの属するヤドリダニ団のダニにつきましては、一般的にクモやコウチュウなどに捕食されるということで、今回、ヤマウチアシボソトゲダニについても、放飼した際に、クモによる捕食が一部確認されているとのことです。
 続いて、増殖についてですけれども、ヤマウチアシボソトゲダニは、堆肥の上層部や土壌の表面に産卵するんですけれども、野外から採取したばかりの堆肥や土壌からは見つからなかったというところから、普段はごく低密度で広く分布しているものと考えられます。また、野外から採取した未熟堆肥に大量にコナダニを加えることで、ヤマウチアシボソトゲダニが見いだされたというところからも、餌となる特定の微小昆虫等が大量に発生したときに限って、急激に増殖していくというふうに考えられます。ただ、実際の自然条件下で、このような特定の微小昆虫が大量に発生するといったことは、ほとんどないものというふうに考えております。
 次のページ、15ページに進みまして、(3)標的外生物への影響についてです。
 まず競合性なんですけれども、一般に、農耕地の土壌は地上部の植生が単一で頻繁に耕起されるというところから、発生するトゲダニの種類が限定されるのですが、種によって分布深度が異なること、捕食する餌のサイズも異なってくるところから、捕食性ダニ類間での競合が起こる可能性自体は低いというふうに考えられます。
 続いて、絶滅危惧種等への影響なんですけれども、現時点では、ヤマウチアシボソトゲダニが絶滅危惧種、それから絶滅危惧近縁種を捕食するといった情報はありません。
 また、海外での有害事例について、こちらは申請者に確認したんですけれども、諸外国で導入されているヤマウチアシボソトゲダニと同じホソトゲダニ属のトゲダニ資材が標的外生物に有害となった事例自体は報告されていないとの回答がありました。
 (1)から(3)までの情報をまとめて、こちら、総合評価を記載しております。
 ヤマウチアシボソトゲダニは翅を持たない土壌徘徊性の捕食性のダニであって、今回は施設栽培のニラへの適用というところで、施設内で使用されるというところから、放飼後の自律的な移動・分散性自体は低いと考えられ、また、在来種であり、日本全国に分布すると考えられているので、放飼後にヤマウチアシボソトゲダニが増殖したとしても、標的外生物へ与える影響は小さいというふうに考えられます。
 最後、交雑に関する情報について、こちら、まとめておりまして、さきにも説明したように、現段階では、生息地域によってヤマウチアシボソトゲダニの形質、それからバイオタイプが異なるといった報告はなく、放飼個体群による地域個体群への生態的かく乱も発生しないと考えられます。また、ヤマウチアシボソトゲダニと同じ科に属する在来種のケントゲダニ、タンカンホソトゲダニ及びトゲダニモドキは別種であって、これらの在来種とヤマウチアシボソトゲダニが交雑するといった情報もありません。
 現在得られている情報に基づく評価としては、以上になります。
 なお書きにも書いてあるように、今後、ヤマウチアシボソトゲダニに関する新たな生態学的な情報が得られた際には、必要に応じて、こちら、生活環境動植物に関する評価を見直すことにしたいと考えています。
 5.1に関する御説明は以上となりまして、5.2につきまして、農水省より説明させていただきます。
○髙橋審査官 それでは、5.2、農水省の所掌になりますミツバチ、それからカイコへの影響でございます。
 5.1にありましたとおり、ヤマウチアシボソトゲダニの捕食範囲は、微細な生物でございます。それよりもはるかに大きいミツバチですとかカイコに、現在の知見では特に影響はない、及ぼすおそれは低いというふうに考えております。
 5.1でもありましたとおり、また今後、いろいろな情報を得られた際に、また必要に応じて評価を見直すということとしたいと考えております。
 以上でございます。
○五箇座長 ただいまの生活環境動植物及び家畜に対する影響の説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、発言のほどお願いいたします。
○小西委員 小西ですけれども。
○五箇座長 どうぞ。お願いします。
○小西委員 よろしくお願いいたします。
 基本的な質問で恐縮ですけれども、このダニは、1回放飼すると、何か月ぐらい有効性があるというふうに考えられるのでしょうか。今のお話を聞いていると、増殖性はそんなに高くないということですので、1回放飼してから、どんどん増えていくというイメージは湧きにくいんですけれども、一定期間は効果があるということで農薬に指定すると思うのですが、どのくらいの期間生きているものなのでしょうか。
○髙橋審査官 農水省の髙橋です。
 生存期間について、恐らく餌がある間は、そこで交尾をして卵を産んで増殖していく、20日程度で、そのサイクルが回っていくというふうに考えています。ですので、餌があれば、それなりに増えて、害虫がいなくならないと農薬として効果がないので、いなくなったところで、このヤマウチアシボソトゲダニについても、同様に減っていくと考えております。
○小西委員 それは、今までヤマウチアシボソトゲダニではない同じようなダニも農薬として認可されていますけれども、そこでの結果として、そういうことが言えると理解してよろしいですか。
○髙橋審査官 はい。餌がなくなると、むしろ天敵がいなくなってしまうというのは課題でもあるようです。薬効がどうしても長く続かないというのがあるようなので、同じように理解して、餌がなくなると天敵もいなくなるというふうに考えています。
○小西委員 分かりました。ありがとうございます。
○五箇座長 ほか、いかがでしょうか。
○宮下委員 宮下です。
○五箇座長 お願いいたします。
○宮下委員 よろしいですか。
○五箇座長 はい、お願いします。
○宮下委員 まさに今のところ、ちょっと気になったんですが、これ、完全に1捕食者・1被食者、1種類の餌と1種類の捕食者のシステムなので、餌の食い尽くしというか、食い尽くしに近い状況が起きると、捕食者、つまり天敵は激減して、絶滅する可能性はかなり高いと思うんですね。だけども、餌のほうは、どこか小さなところに隠れていて、完全に絶滅しない状況で、また一気に増え始めるという、いわゆる数理モデルで言うとロトカ・ヴォルテラの食う・食われるの振動は非常に起きやすい系だなというふうに思うんですね。そうすると、また増え出した場合は、また追加してという、そういうサイクルを繰り返すのでしょうか。それとも、そもそも害虫が加害する期間が限られているので、そういった長期的なことは考える必要がないのか、ちょっとその辺を教えてください。
○髙橋審査官 農水省の髙橋でございます。
 先生がおっしゃられたように、害虫がいなくなって天敵まで死滅してしまうと、またさらに害虫が出たときには、また再度農薬としての散布をするということになります。
○宮下委員 それは、海外でもそういう使われ方を普通にやっていて、マニュアルみたいなものもあるんでしょうか。
○五箇座長 よろしいでしょうか。
 先生の御指摘のとおりです。持続性はむしろないほうが、商品として繰り返し販売ができるので、そっちじゃないと商品はできないということですね、むしろ。
○宮下委員 了解しました。
○五箇座長 だから、できるだけ狭食性で、もう食い尽くしちゃったらいなくなっちゃうという商品でないと、むしろ個体群が持続されちゃうと、次、商品を買ってもらえなくなりますから。その辺は、むしろコパートさん、ヨーロッパの企業としては、そういった戦略であるし、日本におきましても。
 ただ、このヤマウチアシボソトゲダニに関しては、一応そのほか、ネダニオンリーじゃなくて、ほかのコナダニ等、あるいは線虫等も食べますから、場合によっては食う・食われるの関係が持続してくれることも期待されるかなというところもあります。
 一方で、そういう系がそもそもあるなら、もともとそういう農薬販売しなくても、ハウス栽培の中でそういう系が出来上がってもいいんじゃないという話もありますから、やっぱり農業環境という中では、ほかに殺菌剤や除草剤を使われるという環境においては、土壌性のそういった捕食性ダニというものが発生しにくい環境ゆえに、こういった商品も必要とされるんだろうというふうにも考えられます。
○宮下委員 よく理解できました。ありがとうございます。
○五箇座長 すみません、ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
○有江委員 有江ですけども、よろしいでしょうか。
○五箇座長 よろしくお願いします。
○有江委員 ちょうど私も今のところで少し気になっていまして、実際にダニはいろいろなものを食べる可能性があるということと、あとは、絶食段階のときに、どこかに生き残ると書いてありましたよね。絶食状態のときに何日間か生き残ることは可能であるというふうに書いてあったので、実際効果があるような、これは天敵農薬なので、回数の制限とかはないでしょうが、実際の場面でどのくらいの頻度で撒かれて効果があったのかとかというようなデータというのは、ここでは提示されないのでしょうか。
○五箇座長 事務局、いかがでしょう。
 よくある化学農薬なんかだと、もちろん、この。
○有江委員 そうですね、半減期みたいな。
○五箇座長 安全性しか見ていないけど、いわゆる植物防疫のほうでは薬効試験もちゃんと行われていますよね。そういったデータを我々は見ることはできないかということですね。
○髙橋審査官 薬効試験は提出されております。単独で1回なり数回撒いて、効果があったかどうかを見ているので、持続性ですとか、実際の場面で何回重ねて撒くかといったようなものにはなっていないです。大体、3回程度撒いて、効果を見ているという試験でございます。
○有江委員 分かりました。
 それはどのくらいの期間で3回撒いているんですか。
○髙橋審査官 大体2週間置きぐらいに、3回撒いています。
○有江委員 分かりました。そのくらいでかなりほとんど減ってしまっていなくなってしまうという理解でよろしいということですね。
○髙橋審査官 はい。
○有江委員 ありがとうございます。
○五箇座長 すみません、座長からも質問ですけど、今の御質問をいただいて、私自身は化学農薬をやっていたときは、そういった薬効試験の検討会というのは別にあって、被害防除指数とかそういったものも計算した上で、この薬はちゃんと効果があるかどうかという判定を受けるんですけど、こういった生物農薬については、そういった判定の検討会みたいなものは、開催されているんですか。
○髙橋審査官 はい。まず、薬効薬害試験を実施して、提出されております。
○五箇座長 そういうガイドラインがあるんですね。じゃあ、その試験法みたいな。いわゆる試験法、試験評価法といった部分の。
○髙橋審査官 はい。天敵農薬についても、ガイドラインのほうで一応基本的な試験方法を定めております。
○五箇座長 要は、試験場関係者とか、そういった農業資材関係者はそれを見ていると思うんですけど、我々は全然見ていないので、何かの機会でそれはちょっと、一部、事例でもいいので見せてもらったほうが、理解が進むんじゃないかと思いますね。
 結局、使用場面がどうなるかというところはやっぱり頭に入れておかないと、安全性評価もちょっとしにくいなというのは、今日いただいた意見から私も思ったので。今日ここでとは言いませんけど、そういうものは共有できるようにしておいたほうがよろしいと思います。
○髙橋審査官 先生、参考資料3で、今、早速共有できるんですけれども。
○五箇座長 これ、ガイダンスですよね、だけど。今回のこの製剤に関して、どういった薬効データがあるかというのを。要は、天敵を撒くことによって、どれぐらい害虫が抑えられて、被害という指数が抑えられるかという、多分、そういった動態グラフみたいなものが出ると思うんですけども。
 部署が違っていて、それが今、共有できていないなら、後でもいいので、そういった情報というものもどこかで共有していただいたほうが、多分、先生の皆様方も御理解しやすいんじゃないかというふうに思います。
 むしろそれ、見せられないものなのかどうかというのもあると思うんですよね。結構、非公開なところもあると聞いていますので。
 参考資料3のガイドラインで、何を出さなきゃいけないかというのは分かるんですけど、例えばこのアシボソトゲダニの製剤の場合だったら、こういった形で害虫が出ているのは、これを撒くことによって害虫の密度が減っていくという、まさに食う・食われる関係のようなグラフが、本来はトレースされて、そういったもので薬効評価されなきゃいけないはずだと思うんですけど、そういったデータというのは、我々はあまり見たことがないというか、見る機会もなかったので、そういうデータというのは開示できるか、あるいは共有できるものなのかどうかということですね、今、聞いているのは。
○髙橋審査官 投影の準備が出来ておらず、失礼しました。
○五箇座長 いいです、いいです。だから、将来的というか、そういったものをいずれ共有していただいたほうが、どういうふうに害虫が抑えられて、そういったものがどれぐらいの期間効いているかとか。そういったものが見えないと、逆に言うと、生物資材ゆえに、そういったデータもあった上での安全性評価というのも必要になってくるのかなというのは、いろいろ今日いただいた意見から、私、思ったところなので、そういったことで。
 これですかね。
○髙橋審査官 そうです。
○五箇座長 そうですね。こういったデータですよね。こういったものはまた共有していただければ。
 これは今回配付されているんですか。配付されていないですよね。
○髙橋審査官 先生方にお送りした大容量のデータパッケージの中には入っているんですけれども、会議資料としてピックアップして送ったものの中には、入っていないです。
○五箇座長 分かりました。
 こういったデータもあるということで、そういったものも見ながら、要はこういった生物農薬がどれぐらいちゃんと効いてくれるものかどうかと、あと、それによって撒く回数がどうなっているかというものも知った上での安全性評価も必要になるかなとも思いますので、これは後でもいいので、皆さんに見えるようにしていただければというふうに思います。
 今、数字のデータをばらばら並べられて見せられても、すぐ分かるものでもないと思いますから、結構です。どうもありがとうございました。
 そのほか、御意見はございますでしょうか。ほか、よろしいでしょうか。
○髙橋審査官 有江先生、挙手されていますか。
○有江委員 すみません、下ろすのを忘れました。
○五箇座長 ありがとうございます。
 では、私のほうからいいですか。
 これ、本来は座長なので、別に黙っておけばいい話でもあるんですけど、これも生態学的に見たら結構突っ込みどころ満載な評価書でもあって、引用文献とされていて、地理的変異に関する報告がないとか、あるいはそういった交雑の情報はないと言って、引用文献もついていますが、全部アリスタライフサイエンスさんの報告書なんですね。それは自社製品に対する報告書を引用にしたところで、科学的なデータにはならないということもありますから、正確に言うと報告がないということは、調査事例がないということであって、地理的変異の報告がないということが、イコール地理的変異がないということではないので、要は正確に言うと地理的変異に関する情報はなく、今後調査が必要であるというのが、本来は正式な、正しい評価になると思います。
 交雑に関しても同じで、別に交雑実験なんか誰もやっていないわけですから、交雑に関する情報はないということは、交雑実験は誰もしていないから、交雑するかしないかも分からないという、全部ブラックボックスであるということは、本来前提としなきゃいけないし、これはまことしやかに括弧をつけて引用文献の数字がついていますが、後ろを見てみると、全部アリスタライフサイエンスさんの、販売元さんのデータにすぎなくて、それはもう自社製品に都合のいいことしか書かないに決まっているわけですから、こういったものを引用文献にしてしまうということに関しては、ちょっと問題があるだろうと思います。
 そういった部分では、今のところ情報がないから、これ、最後につけていただいているとおり、今後情報が得られた際に精査していく必要があると。これは私のほうからもお願いして、こういったものはつけてもらっていますが、上の書きぶりとして、情報がないというのを、リスクがないというふうな書きぶりにはしないようにしたほうが私はいいというふうに思っています。
 よろしいですか。
○嶋川係長 はい。五箇先生、ありがとうございます。環境省の嶋川です。
 そうですね。実際に五箇先生におっしゃっていただいたように、現在の段階では情報がない中で、各評価書の内容としてはこのようなところかなというところではありますが、新しい情報が出てきた際には、評価の見直しを必要に応じてやっていくというところで、今回はこのような形で記載させていただければと思っています。
○五箇座長 書きぶりもあるので、ちょっと説明の仕方を聞いていると、いかにもリスクがないといったような形で取りまとめられていて、おまけで最後に何か一応、でも新しい情報が入ったら考えますみたいな言い方になっていると。それは完全に間違いで、全く情報がなくブラックボックスだから、やっぱり今後監視は続けなくてはならないということを、きちんと環境省としては、ここで盛り込まないといけないと。そういった意味が最後の文章にあるということは十分認識していただきたいなと思います。
○嶋川係長 はい。
○吉尾室長 外来種等が交雑するとの情報はないみたいな書きぶりになっていますけれども、修正したほうがよろしいでしょうか。
○五箇座長 交雑に関する情報はないというのが、正確だと思います。
○吉尾室長 ありがとうございます。では、そのような形で、書きぶりを修正したいと思います。
○五箇座長 要は、分かっていないということが分かる書きぶりにしていただきたいということです。
○吉尾室長 はい、分かりました。そのように訂正したいと思います。ありがとうございます。
○五箇座長 ほか、御意見はございますでしょうか。
 要は、生活環境動植物及び家畜に対する影響という、法律文言で書いてありますけど、正確に言うと、これは生態リスクがあるかないかといったことを評価するパーツになっているということで、正直なところ、これに関してはアンノウンファクターが多いということを、皆さん、当然御承知おきいただいているものと考えます。
 化学農薬に関しては、これはちゃんとOECDのほうでテストガイドラインがあって、これ自体もちょっとお粗末で、要は水生生物で、藻類とミジンコとメダカで実験して、あとは陸域に関してはミツバチとトリぐらい見ておいてくださいぐらいの非常に簡素なもので、それでも一応、その毒性値をもって生態リスク評価をしているんですが、これに関してはそういったきちんとした指標がない段階でスタートしているということに関しては、だからといって、さっきみたいにぎりぎりやったやつ、こんなものは駄目ですというわけにもいかないところもある。問題なのは、こういった情報収集がこれから必要であるということを、評価書においてもきちんと表記していただきたいというのが、今先ほど言った私の意見ということになります。
 ですので、この辺、何かほかに意見がありましたら、ぜひいただければと思います。
○後藤委員 よろしいでしょうか。
○五箇座長 お願いいたします。
○後藤委員 この引用文献のところですね。アリスタさんから出ているものとか、それから多分一緒に開発された北海道の試験場の方が特許を持っていらっしゃる技術による天敵だからだと思いますが、この方の書いていらっしゃるものが資料になっているというようなことで、それ以外のもので根拠のあるものがあるかというような話になると思います。この1番のアリスタの資料、それから15番の北海道の資料にしても、その資料の奥にまた参考資料がついているということで、それぞれの例えば交雑とか、あるいは分布とか、そういうような情報の元となった文献を本来は示すべきということになります。まとまった総論となったものを、それぞれの項目の資料として使うよりは、そのさらに元になったものを、孫引きではなくて、元の文献を示して資料とするということが必要になるのかなと思いました。
 以上です。
○五箇座長 ありがとうございます。
 ほか、よろしいでしょうか。
(なし)
○五箇座長 では、次の説明のほうに一旦移らせていただきます。
 次に、資料3のうち生物農薬評価書(非公表)、天敵生物の品質管理及び製剤(天敵農薬)の品質管理についての説明をお願いいたします。
○髙橋審査官 では、生物農薬評価書の非公表の部分の御説明をいたします。
 実際に、農薬製剤として売る際の製品管理といったものの御説明になります。
 まず、2ページでございます。●●●
 製剤の製造方法、品質管理等、以上でございます。
○五箇座長 ただいまの品質管理に関する説明につきまして、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
○髙橋審査官 小西先生が挙手されているようです。
○五箇座長 お願いいたします。
○小西委員 ありがとうございます。●●●
○五箇座長 事務局、お願いします。
○髙橋審査官 ●●●
○小西委員 ●●●
○髙橋審査官 ●●●
○小西委員 ●●●
○五箇座長 事務局、いかがでしょう。
 ●●●
○髙橋審査官 ●●●
○五箇座長 ●●●
 よろしいでしょうか。
○小西委員 ありがとうございます。
○後藤委員 すみません、よろしいでしょうか。
○五箇座長 はい。どうぞ、お願いします。
○後藤委員 ●●●
○五箇座長 ありがとうございます。●●●
 そのほか、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか
(なし)
○五箇座長 では、以上でこの御説明は一通り終わったということになりますので、全体を通じて、また御意見、御質問がありましたら、発言のほどお願いいたします。よろしいですか。
(なし)
○五箇座長 では、議論も大体出たようですので、こちら、資料3に関する議論は以上といたします。
 いろいろと御意見をいただいていますので、資料の修正等が必要になってくると思いますけれども、一応修正に関しては、この件に関しては、どっちがいいのかな。ちょっと文言の修正等もありますから、その後、修正ドラフトといったものを、また皆さんにメールで共有していただいて、御意見いただくということで、よろしいですか、事務局。
○吉尾室長 そのように対応させていただきたいと思います。
○五箇座長 では、そのようにしていただきますようお願いします。
 そのほか、では次、この資料3の説明が終わりましたので、そのほか、何かいろいろ御意見がございましたら、御発言いただければと思います。よろしいでしょうか。
 私のほうから、ちょっとまた遡りますけど、このアシボソトゲダニの製品の特徴を説明するといったところで、移動性の項目もあったと思うんですが、自律移動とか、そういったところが評価対象になっているところではあるんですけども、こういったもので、非常に小さなダニといったことですから、概ね害虫のダニと一緒で、基本的にはむしろ移動そのもののプロセスは非意図的な移動がほとんどであるというところもありますので、本当はそういったところのリスク評価というものも、どこかに本当は必要なんじゃないかと。特に農耕地ということであれば、農業用の土壌とか、そういった部分での運搬ということから、むしろ長距離移動というのが考えられる。どの害虫に関してもそういった形で移動しているということも含めれば、移動性そのものはどちらかといったら、自律移動よりもそっちの移動のリスクといった部分を本来は念頭に置いておかなくてはいけない。要は、移動性はあるということは考えておかなくてはいけないのかなと思った次第です。
 この辺は、またいろいろと事務局とも相談しながら考えていきたいと思いますけれども、一応、議事録として残していただければと思います。
 ほか、よろしいでしょうか。
(なし)
○五箇座長 それでは、本日予定しておりました議事は以上となります。
 進行役を事務局のほうにお返ししたいと思いますので、よろしくお願いします。
○吉尾室長 五箇先生、ありがとうございました。また、委員の皆様方にも御審議、いろいろな御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
 いろいろ指摘をいただきましたので、ちょっと事務局のほうでも資料文案、それから文献の確認等を進めまして、修正したものを御照会させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 今回の議事録につきましては、事務局で案を作成しまして、委員の皆様に御確認をいただきました後に、公開ということになります。
 次回の合同会合につきましては、現時点では未定となっておりますので、また改めて日程調整等をさせていただきたいと思います。その際は、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、本日の合同会合を閉会いたします。どうもありがとうございました。