農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会(第4回)及び中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会天敵農薬分科会(第1回)合同会合

開催日時

令和5年6月 20 日(火) 15:00~16:45

開催場所

農林水産省消費・安全局第1会議室(WEB会議形式による開催)

出席委員

天野昭子、有江力、五箇公一(座長)、後藤千枝、小西良子、津田みどり、宮下直、山本幸洋、與語靖洋(敬称略、五十音順) 

議題

(1)天敵農薬の評価について
(2)天敵農薬の審査ガイダンスについて(案)
(3)天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について(案)
(4)その他

資料一覧

資料1    天敵農薬の評価について
資料2    天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について(案)
資料3    天敵農薬の審査ガイダンス(案)
資料4    審議会への意見聴取が不要となる天敵農薬について(案)
参考資料1  委員名簿
参考資料2  関連法令
参考資料3  生物農薬(天敵農薬)の評価の考え方(案)
参考資料4  農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会設置規程
参考資料5  中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会天敵農薬分科会合同会合設置 関係資料

議事録

○楠川農薬対策室長 定刻となりましたので、ただいまから農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会及び中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会天敵農薬分科会の合同会合を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 事務局を務めます農林水産省農薬対策室長の楠川でございます。座長に議事をお願いするまでの間、進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 天敵農薬に係る評価については合同会合で審議を行うこととしており、今回が第1回目の合同会合となります。天敵農薬は、いわゆる化学農薬とは異なりまして、土壌や水への移行、作物への残留や生物農薬などを懸念する必要はございませんが、生殖によって数を増やしたり、脚や翅を使って新たな環境に移動したりすることによって土着の生物に悪影響を及ぼすことを考える必要があるなど、登録審査に際しての着眼点は大きく異なるところがございます。
 令和3年5月に農水省で「みどりの食料システム戦略」が策定されまして、2050年までに化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減することを目指すこととなり、新たな天敵農薬の登録や利用の拡大がこれまで以上に期待される状況となっております。
 天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について御了解が得られれば、通知などの形で公にすることとなります。審査過程の透明性や結果の予見性が向上することによって、事業者による天敵農薬の開発を後押しする効果もあると考えておりますので、是非よろしくお願い申し上げます。
 今回、この事務局は環境省と合同で務めますので、環境省からも御挨拶を頂きたいと思います。
 では、環境省農薬環境管理室、吉尾室長からお願いします。
○吉尾農薬環境管理室長 農林水産省と共に事務局を務めます、環境省農薬環境管理室長の吉尾と申します。
 今、室長から話ありましたように、天敵農薬については化学農薬とは異なる着眼点でそれぞれの天敵の多種多様な特性、これを踏まえて審査を行うことが環境の保全からも極めて重要というように考えております。
 本日は、今後、委員の皆様方に個別の天敵農薬について審議を頂く際の基礎となるような資料を御審議いただくということになっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○楠川農薬対策室長 本日の会合はウェブ会議形式で開催いたします。また、本日は公開で開催いたしますので、傍聴の方々にも御参加いただいております。
 委員の皆様におかれましては、差し支えなければ、常時カメラをオンにしていただければと思います。発言希望等ございましたら、画面右側の参加者一覧の「挙手」のアイコンを押していただき、順にお願いしたいと存じますが、急を要する場合などございましたら、座長からの合図を待たずに御自身でミュートを外して御発言いただいても構いません。
 また、チャットボックス機能もございますので、音声トラブル等ございましたら当該チャットボックスより御連絡いただけますと幸いです。万が一の回線トラブル等の場合には、委員の皆様には事務局の緊急連絡先をお伝えしておりますので、そちらまで御連絡いただければと思います。
 まず初めに、本合同会合の座長について御相談したいと存じます。
 委員の互選により農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会の部会長には有江委員に、中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会天敵農薬分科会の分科会長には五箇委員に就任いただいているところですが、有江委員より昨年度の検討会で御議論を主導いただいた五箇委員に座長をお願いしたいとのお話を賜り、五箇委員からお引受けいただく旨を御了承いただいております。五箇委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○五箇座長 よろしくお願いいたします。昨年度からこの問題に関しまして、検討会の準備も含めていろいろと議論させていただいていたということで、私自身も、実は外来生物のリスク評価、対策といったことが研究テーマとして、こちら、国立環境研で業務としておりますという関係もあって、正に天敵農薬ですね。農薬のリスク評価とは別に外来生物のリスク評価という側面も持つということで、先ほど御紹介ありましたように、新・生物多様性国家戦略におきましても、あるいは、みどりの食料戦略システムにおきましても、化学農薬そのものの使用といったものを50%減らそうといった目標が立てられていますが、実は新・生物多様性国家戦略におきましては、外来生物の侵入も50%落とすということが目標として出ているということで、そういった意味で、この問題に関しましては農薬のリスク管理という部分と、それと生物多様性という問題、そこの新たなるインターフェースがここにできたということで、是非とも、環境省、農水省ともにこの課題を通じて生物多様性の保全というものの意味というものを議論できればというふうに思っておりますので、皆様、今後ともよろしくお願いいたします。
○楠川農薬対策室長 ありがとうございます。
 それでは、本日出席いただいている先生方を御紹介いたします。お手元に参考資料1として委員名簿を配付しておりますので、そちらも併せて御参照ください。
 天野委員でございます。
○天野委員 よろしくお願いいたします。
○楠川農薬対策室長 有江委員でございます。
○有江委員 有江でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○楠川農薬対策室長 五箇委員でございます。
○五箇座長 よろしくお願いします。
○楠川農薬対策室長 後藤委員でございます。
○後藤委員 よろしくお願いします。
○楠川農薬対策室長 小西委員でございます。
○小西委員 よろしくお願いいたします。
○楠川農薬対策室長 津田委員でございます。
○津田委員 よろしくお願いいたします。
○楠川農薬対策室長 宮下委員でございます。
○宮下委員 よろしくお願いします。
○楠川農薬対策室長 山本委員でございます。
○山本委員 山本です。よろしくお願いいたします。
○楠川農薬対策室長 與語委員でございます。
○與語委員 與語です。よろしくお願いします。
○楠川農薬対策室長 本日は、天敵農薬の評価について、天敵農薬の審査ガイダンス(案)、天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について(案)及びその他の議事について御議論いただく予定です。
 なお、農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会は、農業資材審議会令第7条第1項で委員の過半数の出席で会議が成立することと規定されています。本日は、委員2名、臨時委員1名全員の御出席を頂いておりますので、当部会は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 では、議事に入ります前に本日の配付資料について御確認いただきたいと思います。
 まず、資料1が天敵農薬の評価について、資料2が天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について(案)、資料3が天敵農薬の審査ガイダンス(案)、資料4が審議会への意見聴取が不要となる天敵農薬について(案)。
 参考資料でございますが、参考資料1が委員名簿、2が関係法令、3が生物農薬(天敵農薬)の評価の考え方(案)、4が農業資材審議会農薬分科会生物農薬評価部会の設置規程、5が中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会天敵農薬分科会合同会合の設置の関係資料でございます。
 これより審議に入りますが、報道関係者による画面の撮影は冒頭のみとしておりますので、これ以降の撮影は御遠慮ください。
 それでは、これからの議事進行は五箇委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○五箇座長 皆様、本日は御多用のところ、本当に御出席いただきましてありがとうございます。進行中に、ウェブシステムですのでトラブルが発生する可能性もありますが、そのような場合には事務局で対応いただきますので、何かありましたら、そちらに連絡いただきますようにお願いいたします。
 それでは、早速ですが議事に移りたいと思います。
 本日の議事次第にありますように、(1)天敵農薬の評価について、(2)天敵農薬の審査ガイダンスについて、(3)天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について、(4)その他といった四つの課題について、限られた時間内ではございますが、活発な御議論、御意見を頂けましたら幸いです。
 それでは、最初の議題であります、天敵農薬の評価についてになります。これまでの背景・課題、それを踏まえた対応について、事務局から説明をお願いいたします。
○笹原補佐 それでは、資料1に基づきまして、天敵農薬評価について、背景・課題、対応ということで概略を御説明させていただきます。
 1ポツ、背景・課題でございます。
 農作物等を害する病害虫の防除のために利用される天敵は、昭和23年の農取法制定当初から農薬の範疇に含められております。そのうち、微生物農薬を除く狭義の天敵農薬につきましては、独立行政法人農林水産消費安全技術センターにおいて、「天敵農薬に係る環境影響評価ガイドライン」(平成11年環境庁)を参照し、審査をしているところでございます。
 このような中、平成30年に農取法改正が行われ、農薬の登録申請に際し提出すべき試験成績その他の資料の概要が規定されております。また、天敵農薬の周辺の生物に対する影響についても、法第4条第1項第11号に基づく農林水産省・環境省令で登録拒否基準が規定されております。
 規則において提出すべきとされている試験成績その他の資料及びそれらの詳細を定めた、こちらの農林水産省消費・安全局長通知6278号は、ともに化学農薬を念頭に置いたものとなっておりますので、天敵農薬の登録申請者が提出すべき試験成績等について明確化するとともに、省令で定められる登録拒否基準への該当の有無を審査するための評価方法について、今後定める必要があるということでございます。
 2ポツで、対応でございます。
 天敵農薬の登録申請に際し提出すべき試験成績その他の資料について定めるとともに、当該試験成績等に基づき第4条第1項各号への該当の有無に係る審査方法を明らかにすることとしたいと考えております。
 具体的には、これまで天敵農薬の評価の際に参照されてきた「環境庁ガイドライン」のほか、ОECD等国際機関で検討されてきた評価法、また、令和4年6月22日と令和4年6月24日の農林水産省の審議会、環境省の審議会に報告されました「生物農薬(天敵農薬)の評価の考え方」等を総合的に勘案するものとし、最終的には、「天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について」、また、「天敵農薬の審査ガイダンス」として公表することとしたいと考えております。
 また、天敵農薬は、定着や標的外生物への悪影響に関する登録後のモニタリングが非常に重要となってまいります。これらの扱いにつきましては、環境庁ガイドラインを基本にしつつ諸外国等の事例も参考に、調査手法、調査事項を今後検討することとしたいと考えております。
 資料1につきましては、以上です。
○五箇座長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見ありましたらお願いいたします。
 ちょっと挙手ボタンだと見えにくいので、発言があったら、そのままお名前と音声で言っていただいて結構です。
○有江委員 有江ですけれども、よろしいでしょうか。
○五箇座長 どうぞよろしくお願いいたします。
○有江委員 一つ質問させていただきたいんですが、今のちょうど資料1の一番上の背景のところに「病害虫の防除のために利用される天敵」というふうに書いてあるんですが、例えば、病害ということだと何が天敵であって、何がでないというのはどのように判断したらよろしいんでしょうか。
○五箇座長 事務局、よろしくお願いします。
○有江委員 微生物は入らないということですよね。そうすると、病害防除であるとどんなものが天敵としてあり得るんでしょうか。例えば、うどんこ病を食べるテントウムシが登録されたら、それが天敵というふうな理解でよろしいんでしょうか。
○髙橋課長補佐 事務局、農薬対策室の髙橋です。
 農薬取締法の天敵というものが、いわゆる昆虫の天敵と微生物両方を含んでおりますので、ここで言うときには、微生物農薬で対象とする病害も含めて広く天敵という範疇に入っております。
○有江委員 それ以降の天敵農薬のところからは微生物は入っていないという、そういう理解でよろしいんですね。
○髙橋課長補佐 はい、御理解のとおりでございます。
○有江委員 分かりました。整理しておかないで大丈夫でしょうか。
○髙橋課長補佐 そうですね。通知の方には明確に定義をしておりますので。
○有江委員 そうですか。分かりました。
○五箇座長 よろしいでしょうか。
 ほか、ございましたらお願いいたします。
 よろしいですか。
 私の方からは、この環境庁時代のガイドラインですよね、平成11年に作成されたというもので、私もその当時見聞きはしていたんで、改めて中身を見ましたけれども、正直なところ、ここでは提言的なものだけがまとめられていて、しっかりとしたガイドラインというものはまだできていなくて、他方でむしろそのモニタリングの必要性はこのガイドラインの中でも強調されていたというところですので、環境庁ガイドラインを基本としつつと書いてあるのはどうなのかなと思います。
 前例としてこういった議論があったというのは認めますけれども、それらしい方法論はまだ何もできていなかったという点では、環境庁ガイドラインでも提言されているように今後のモニタリングの強化は必要であり、諸外国の事例や研究成果等も踏まえながらといったような内容が本来正しいのではないかというふうに思います。
 この辺、事務局いかがですか。
○吉尾農薬環境管理室長 ありがとうございます。
 そうですね、座長がおっしゃるとおりのところかと思いますので、ここの書きぶりはこちらの方で一度修正をしたいなというふうに思っております。
○五箇座長 何分にも、平成11年は、実は外来生物法もできていないときじゃないかと思うんですね。そういった意味では、その時点から天敵農薬といったものの生態影響は一応懸念されるという議論があったということは非常に先進的ではあったと思います。一方で、具体なデータがないという中でそういった議論の必要性というのはこの時点でうたわれていたものの、長々と放置されていて今に至っているというのが実は正しい実情じゃないかと思いますので、ここにガイドラインがあるというような書きぶりは避けていただいた方がいいかなというふうに思っています。よろしくお願いいたします。
 その他いかがでしょうか。
○後藤委員 関連して、それに質問させてください。後藤です。
○五箇座長 よろしくお願いします。
○後藤委員 モニタリングについては、その環境庁ガイドラインの方でも触れているんですけれども、それ以降、これまでの間に天敵農薬についてモニタリングが実施された例というのはあるのでしょうか。
○五箇座長 事務局、把握しているようなものがあれば、よろしくお願いいたします。
○髙橋課長補佐 農薬対策室の髙橋です。申請に当たって明確にモニタリングのデータが出されたという事例はこれまでございません。
○五箇座長 後藤先生、よろしいでしょうか。
○後藤委員 登録後もモニタリングの実施例はないということでよろしいでしょうか。
○髙橋課長補佐 はい、現状は特にやっていないという状況でございます。登録後も、これまでは特に提出を求めていないという状況でございました。
○五箇座長 後藤先生、よろしいですか。
○後藤委員 ありがとうございました。
○五箇座長 その他、よろしいでしょうか。
○與語委員 與語ですけれども、1点よろしいでしょうか。
○五箇座長 はい、どうぞ。
○與語委員 先ほど有江委員の方から質問があったことの繰り返しになってしまうかもしれないですけれども、配付された資料1の1ポツの背景・課題のところの3行目のところに「狭義の天敵農薬については」ということがあって、以後も天敵農薬と書いてある天敵農薬はこの狭義の天敵農薬という理解で、全て2ポツの対応も含めて、そのように理解して進んでよろしいでしょうか。
 以上です。
○髙橋課長補佐 先生の御理解のとおりでございます。
○與語委員 ありがとうございます。
○五箇座長 よろしいでしょうか。
 では、次の議題の方に移らせていただきます。
 私の方から、今のところで修正依頼をしていますけれども、この辺に関しては私の方からの意見ということもあるので、事務局からの修正に関しては私の方でチェックさせていただいて、座長一任ということで修正させていただきたいと思います。
 では、次の議題2、天敵農薬の審査ガイダンスについてということで、こちらの方も事務局から説明をお願いいたします。
○笹原補佐 それでは、資料3に基づいて天敵農薬の審査ガイダンス(案)について御説明いたします。
 1、目的でございます。
 本ガイダンスは、農取法に基づき天敵農薬の登録審査を行う際、第4条第1項各号への該当についてどのように判断すべきかを明らかにするものでございます。天敵農薬については、農林水産省の審議会・環境省の審議会合同会合での審議を経ることとされているところ、本ガイダンスは当該審査の指針ともなるものでございます。
 2、審査に用いる資料でございます。
 資料2でお示しをしております、天敵農薬登録申請において提出すべき資料について、まだ確定しておりませんので何日付けは丸でございますが、これに基づき提出された試験成績、公表文献、その他の資料を用いることといたします。本ガイダンスにおいて使用する用語は、特に定めのない限り、同通知に準ずるものといたします。
 続きまして、3、法第4条第1項各号への該当に関する審査でございます。
 以下にお示しするとおり、法第4条第1項各号への該当の有無を審査いたします。なお、天敵生物が特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律第2条第1項に規定する特定外来生物又は我が国の生態系に被害を及ぼすおそれのある外来種リストに掲げる生物である場合には第4号、5号又は11号に、植物防疫法第5条の2第1項に規定する検疫有害動植物又は雑草防除に用いる天敵で食性が限定されない種である場合には法第4条第1項第4号に該当するものとみなします。
 各号の審査に関しましては、以下にお示しをするとおりでございます。
 このうち、8号に関しましては、生活環境動植物への影響ということでございますが、11号の方にも生活環境動植物への影響が記載されているところでございます。こちらの区別につきましては、8号では、その場の天敵生物の分泌物等の毒性に係る影響を審査するということでありまして、11号に関しましては、移動、分散、増殖、定着といった影響を見ていくという区別としております。
 続きまして、別紙でございます。
 人畜及び生活環境動植物に対する影響の評価方法でございます。
 1ポツ、人畜への影響でございます。
 提出された試験成績、公表文献、その他の資料に基づきまして、天敵生物及び天敵農薬に含まれる餌生物について、以下「天敵生物等」と申しますが、以下の観点から人畜の被害が生ずる可能性を評価いたします。1から4にお示しする可能性でございます。
 (1)により人畜に被害が生ずる可能性があると判断される場合には、申請者により記載された使用方法に従いまして被害防止方法を講じても被害が生ずるおそれがあるかを評価いたします。
 なお、天敵生物が人畜の病原体を媒介する場合、被害の防止は困難であることから、被害防止方法のいかんにかかわらず被害が生ずるおそれがあるものと判断いたします。
 2ポツ、生活環境動植物等への影響でございます。
 提出された試験成績等に基づきまして、以下の観点から、当該天敵製剤を申請書の記載に従い一般的に使用した場合、天敵生物等が放飼区域外に定着することにより生活環境動植物等に対する直接的・間接的な被害が発生し、かつ、その被害が著しいものになるおそれがないかを総合的に評価をいたします。
 (1)移動・分散性でございます。
 飛翔等による自力移動能力が大きい天敵生物等の場合、放飼区域から移動し、移動先から更に広がる可能性を内的自然増加率も考慮し評価をいたします。また、風や人為的移動により分散する可能性も考慮して評価をいたします。
 (2)でございます。定着性です。
 天敵生物等の食性や寄生の範囲の広さ、捕食性の天敵生物等にあっては植物資源のみでも生育・繁殖する可能性、発育ゼロ点の低さ、休眠性等の定着に有利に働く因子を考慮して評価をいたします。
 (3)でございます。標的外生物への影響でございます。
 天敵生物等又はその近縁種の食性や寄生の範囲、当該天敵生物等が既に導入されている国で報告されている有害事象を考慮し、絶滅危惧種等への影響に着目して評価をいたします。
 資料3につきましては、以上です。
○五箇座長 ありがとうございました。
 こちらの説明につきましても、御意見、御質問ございましたら発言のほどよろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
○與語委員 與語ですけれども、一つだけよろしいですか。
○五箇座長 はい、どうぞ、お願いいたします。
○與語委員 この資料3の3の法第4条第1項各号への該当に関する審査のところの最初の行です。これは多分、法的用語なのでこれでよいのかとは思うんですけれども、その「なお」のところが天敵生物がこういう法律に該当するということなんですけれども、これまでずっと表現の中で天敵農薬という用語を使ったんですが、ここでは法律的に言うと天敵生物という用語を使うのが妥当だという理解をすればよろしいんですか。
 以上です。
○五箇座長 事務局、お願いいたします。
○髙橋課長補佐 事務局、髙橋です。後ほど通知、資料2の方で御説明するんですけれども、いわゆる化学農薬での原体に当たるものを天敵生物という、生物そのものの方を天敵生物と定義しておりまして、天敵生物そのものがここに掲げるような法律に該当するかどうかということを述べさせていただいておりますので、天敵生物という記述にしております。
○五箇座長 與語先生、よろしいでしょうか。
○與語委員 與語ですけれども、よく分かりました。そういえば、ほかの資料とセットで見るとすんなり理解できるということになりますでしょうか。
 以上です。
○五箇座長 ありがとうございました。
 他、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 私の方からは、別紙になりますけれども、生活環境動植物等への影響というのが2ポツで入っていて、これを農薬取締法において化学農薬の方の評価対象として、以前は水産動植物登録保留基準という中での水産動植物という名前だったのがこの生活環境動植物に変わったんですけれども、これは本来的には天敵農薬に関しては生物多様性、若しくは生態系というものに対する影響を評価するというのが狙いという意味で、文言として統一されていますけれども、意味としては、これは、ここ標的外生物という部分も書かれていますが、要はその固有の生物相といったものに対して影響を及ぼさないということを示すといった意味であるというふうに行政としては理解しているという理解でよろしいでしょうか。
○吉尾農薬環境管理室長 はい、そのように考えております。
○五箇座長 分かりました。結構です。
 農薬の審議会に回されていくことになるので、その辺の整理をあらかじめしておかないと、化学農薬で生活環境動植物というのは試験生物としては水生生物に今ほぼ限定されていて、あと鳥類は入っていますけれども、ミジンコとかメダカといったような概念で捉えられているところが大きいので、その辺の概念のシフトというものはあらかじめしっかりしておかなきゃいけないかなと思っているので、そういった場面があったらしっかりと説明のほどよろしくお願いいたします。
○吉尾農薬環境管理室長 かしこまりました。
○五箇座長 他、いかがでしょうか。
 よろしいですかね。
○有江委員 有江です。
○五箇座長 どうぞ、よろしくお願いします。
○有江委員 この別紙のところというのは、私、かなり大事な定義になっているかなと思っているんですが、要するに、前も申し上げましたけれども、化学農薬というのは、散布したらもう減っていくことしか考えられないわけですけれども、(1)のところにある内的増加率、それから、その下の生育・繁殖する可能性ということで、生物なので増えるということをも認識してこれから評価をしていこうということの表れかなというふうに思っています。
 ですから、そういう意味では、今後やはり生物農薬あるいは天敵農薬の特徴としては、ただ単に散布したら減っていくということではなくて増える可能性もあるということを認識するということが大事なんじゃないかなというふうに思っております。意見ですけれども、よろしくお願いいたします。
○五箇座長 ありがとうございます。
 事務局、今の御意見に対して何か返答ありますでしょうか。
○吉尾農薬環境管理室長 御指摘のとおりと我々も思っておりますので、そのところを意識しながら審査の方を進めていきたいというふうに考えております。
○五箇座長 ありがとうございます。
 他、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 では、ここで議事を進めさせていただきたいと思います。
 では、続きまして、議事3ですね。天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について議論させていただきたいと思います。事務局から、今度は資料2の方の説明をよろしくお願いいたします。
○髙橋課長補佐 農薬対策室の髙橋です。資料2について御説明申し上げます。
 天敵農薬の登録申請において提出すべき資料についての案でございます。こちらは、天敵農薬の登録申請する者が提出すべき資料の具体的内容を示したものでございます。
 まず、1、基本的な考え方でございます。
 (1)でございますが、天敵農薬とは主に節足動物のうち昆虫綱及びクモ綱に属する生物を、その寄生性又は捕食性を利用して害虫や雑草の防除の目的で生きたまま放飼するもので、いわゆる農薬の製剤を指します。この製剤の中には、餌生物、植物片、おがくず等のその他成分を含む場合がございます。
 次に、(2)でございます。
 天敵農薬で利用される昆虫綱、クモ綱の生物、生物そのものでございますが、こちらは化学農薬の有効成分に相当するものでございまして、本通知においては「天敵生物」という言葉で統一したいと考えております。この中には、いわゆる微生物ガイドライン、ここにある5090号という通知になりますが、こちらの対象になっている微生物は含めないということにいたしております。また、遺伝子改変された生物の場合は別途の対応が生じ得るため、個別に検討もしてまいります。
 その他、(3)でございますが、用語の定義は、後ほど御説明します別紙3に示してございます。
 それから、(4)でございますが、安全性等については科学的な情報に基づいて明らかにしなければならないとしております。
 (5)、資料について、別紙1の条件に従って提出しなければならないと定めております。ただし、この条件にかかわらず、必要と認める場合には、追加の資料を求めることができるものとしてございます。
 続きまして、2、提出すべき資料の具体的内容でございます。
 こちらは別紙1で具体的な内容とともに説明しますので、ここでは割愛させていただきます。
 飛びまして、2ページ目、3の資料の作成方法でございます。
 (1)提出すべき資料について、基本的に後ほど説明する別紙2の試験方法又は調査方法を標準として作成するものといたします。試験の目的をより明確にするため、天敵生物の特性等に応じて試験方法を変えることを妨げないものといたします。
 それから、(2)公表文献でございます。
 こちらは文献による調査がかなりの部分を占めるんですけれども、そちらについて情報収集する場合は、使用するデータベースについては「公表文献の収集、選択等のためのガイドライン」の1に準じて行うものといたします。
 (3)試験に供する天敵生物でございます。
 まず、①でございますが、試験の目的を達成できる生育態、製剤に用いる発育態であること、それから、②試験期間中の環境は試験に適した環境を維持することとしてございます。
 それから、③試験に用いた天敵生物は、採取地、それから製造場所、ロット番号を明確にすることとしてございます。
 それから、(4)試験施設の条件でございます。3ページ目から書いてございますけれども、まず、薬効・薬害を実施する試験施設については、ここのアからウに掲げる公的機関ですとか、公的な試験研究施設、民間の施設でも試験を実施することを可能としております。その際には、このエのところにございますとおり、申請前に有識者によって試験が適正に実施されたことを検討するということで、そちらを条件としてアからウの施設での試験を可能としております。
 それから、②でございます。こちらは、人に対する影響試験を行う場合、特に分泌物ですとか、その他成分について科学的な物質についての試験を行う場合に関しては、6278号の安全性試験に準じて試験を実施するものとして、GLP施設で実施していただくこととしております。その他の試験については試験施設について、特に定めはございません。
 続きまして、4ページ、別紙1でございます。提出すべき資料の項目及び提出すべき条件でございます。
 詳細はこの後別紙2で御説明しますので、かいつまんで御説明いたします。丸については必須の提出項目でございます。
 1ページ目は、天敵の生物学的情報ですとか天敵農薬の組成・性状に関するもの、この辺りは必須の項目としております。最後、4ページ目の下の餌生物に関する情報、こちらは生きた餌を入れている場合には基本情報・特性等を求めるということで、ケース・バイ・ケースで求めるものとして三角にしてございます。
 それから、少し飛びまして、適用病害虫・雑草、いわゆる薬効・薬害の試験でございます。この中で三角でございますものが適用農作物以外の農作物に対する影響試験で、天敵生物が植物食である場合ですとか、薬効・薬害試験の結果から植物に影響を及ぼす可能性がある場合には試験を実施するものとして三角で求めております。
 それから、Ⅳの人畜に対する影響のところの3番でございますが、分泌物、補助成分等に対して、先ほど申し上げたように化学物質としての試験が必要な場合には試験を行うということで、ここも条件付き三角の要求としてございます。
 続きまして、6ページでございます。人畜の畜の部分ですけれども、牛豚、家禽等も入りますが、こちらに天敵が直接影響を及ぼすというような情報がある場合にはそういったものを集めるということで、影響があるという情報がない場合にはこのデータの情報の提出は不要としております。
 それから、最後でございますけれども、Ⅵの一番下でございますが、農薬の見本検査に関する資料ということで、こちらは新規の天敵の場合に実際の天敵農薬そのものを提出していただきますので、その場合それに関する分析結果を資料として提出してもらうということで三角としてございます。
 続きまして、7ページ、別添で薬効・薬害の条件について示してございます。
 まず、1の基本的な考え方でございますが、申請に係る適用農作物、それから適用害虫、雑草と使用方法の組合せごとに6か所以上の施設で実施するものとしております。天敵農薬は閉鎖施設で実施することが多いと思いますので、できるだけ異なる栽培時期等で実施することを求めたいと思っております。
 (1)でございますけれども、植物を加害するという性質のない天敵でございましたら薬害試験は特に省略してもよいとしております。 容器・包装を変えたりする場合であって、特に放飼量は変わらない場合はいずれの試験も省略できるものといたしました。 もう少し細かい条件で、製剤の形態を変える場合ですとか、使用量の変更等に伴って、必ず6例ではなく、もう少し減じた試験数でいいという場合を定めたものが7ページの表と、次の(4)のところの表に示してございます。3例ないしは2例の試験で申請ができるということを示した表でございます。
 それから、2番目でございます。作物群を申請する場合の例数でございます。天敵農薬は比較的幅広い作物に使うことが多いということで、作物群の登録が想定されますので、穀類、果樹類、野菜類といったようなものに登録を取る場合は、何種以上の作物で実施すればこの群全体の登録を取れるというのを示したものでございます。
 続きまして、10ページから提出すべき資料の具体的な内容でございます。
 まず、Ⅰとしまして、天敵生物の生物学的情報でございます。
 1、天敵生物の基本情報としまして、名称・分類学上の位置、同定方法、すみません、ここは誤記がございまして、「形態学的な同定及びDNA等分子生物」と書いてありますが「分子遺伝学的情報による同定による」です。同定を行った者、機関、同定の方法等の写真を含むということにしてございます。それから、当該生物、天敵生物の地理的な分布ですとか、関連する情報を求めることとしております。
 2番目として、天敵生物の特性に関する情報でございます。こちらは、試験報告ですとか公表文献、書籍等によって情報収集することとしまして、文献から十分な情報が得られない場合には試験を行うものとしております。(1)として、発育条件でございます。発育ステージごとに発育温度、発育ゼロ点、発育速度、日長条件等を求めることといたします。(2)として、環境耐性に関する情報でございます。耐寒性、耐暑性といったもの、それから、休眠性の有無ですとか、休眠がある場合には覚醒に関する情報等を求めることといたします。それから、(3)としまして、繁殖パラメーターでございます。内的自然増加率に関連するものとしまして、産卵数、産卵日数、それから世代時間等を求めることといたしております。(4)としまして、生活史・生活パターン、(5)は捕食又は寄生の範囲、その特徴というものを生育ステージごとに求めることとしたいと考えております。捕食性天敵の場合と寄生性天敵の場合に分けて、こちらに掲げるような性質を求めることとしております。(5)③では、単食性又は狭食性の天敵生物が通常の食性範囲を超えて何か植物等の、いわゆるその由来物を餌として利用することによって生存、発育ができるかどうかといった条件についても資料、情報を求めることとしております。それから、(6)としまして、形態的な特徴、(7)として、移動・分散に関する情報等を求めることとしております。
 それから、3番としまして、天敵生物の標的生物に関する基礎情報も求めることとしております。
 それから、4番ですけれども、天敵生物を捕食するものですとか寄生するものに関する情報を求めることといたしました。
 続きまして、12ページでございます。
 Ⅱ天敵農薬の組成及び性状に関するもの、いわゆる製剤の組成といったものです。
 1番としましては、天敵生物、いわゆる原体の増殖方法及び品質管理に関するものでございます。
 報告事項という形でまとめてございますけれども、(2)①から⑤の情報を求めることとしております。
 元となる個体群の採取地ですとか来歴、それが確実にその生物であるという同定方法、元種の維持管理方法ですとか品質管理方法等を求めます。更に天敵農薬を製造するために大量増殖をする場合に、元種の維持管理方法を違う方法であればそういった情報も求めることとしております。⑤でございますけれども、天敵農薬の製造に用いる天敵はいろいろな生育ステージで製剤化されている場合がございますので、例えば、幼虫、成虫、さなぎ等、それらに係る品質管理方法含めて情報を出してもらうこととしております。
 それから、2番目が、天敵農薬の組成と製造に関するもの、天敵生物のほかその他成分としてどんなものが入っているか、それから餌生物の生きたものが含まれているかどうかといった情報を求めまして、13ページの3番でございますが、生きた餌生物が含まれる場合には、その生物に関しても基本情報、基本特性等を求めることとしております。
 それから、4番は天敵農薬の性状に関するもので、製剤そのものの外観ですとか、あと経時安定性、いわゆる使用期限を定めるため、どのぐらいこの天敵が生きているかということを確認する試験を求めることとしております。経時安定性試験は、実際の天敵農薬5点以上について一定時間を経過した後の生存数、羽化する天敵については羽化数等を確認するものとしております。
 続きまして、15ページでございます。
 薬効・薬害に関する試験成績の部分でございますが、基本的には化学農薬と同じような方法で試験をしてもらうんですけれども、最初にまこうとしている天敵農薬中の天敵生物数といったものを通常の薬効・薬害試験の方法に加えてカウントしてもらうということを記載してございます。
 それから、16ページでございます。
 適用農作物以外の農作物に対する影響に関する情報ということで、まずは、(1)で、文献情報を調査してもらうこととしております。農作物への被害に関する程度ですとか、植物病原体の媒介の有無に関しての情報をしっかりと文献で集めることとします。それらの情報を基に、何か植物に対しての影響があるという情報があった場合には、この(2)として、実際の影響試験を実施してもらうこととしております。試験の詳細については、ここに示したとおり、何種類か植物を選んで、具体的に天敵を放してその影響を確認するという試験でございます。こちら、天敵に応じていろいろな方法を取ることになると思いますので、ここに示した参考資料等も参考に試験を実施していただくということを考えております。
 続きまして、18ページでございます。
 人畜に対する影響ということで、まず、前半が人に対する影響の基本情報でございます。
 調査方法、項目としましては、人に対する病原性を媒介する可能性、人に対する攻撃性、人に対して有害な物質を分泌する可能性、死体、排せつ物等が人に対して感作性ですとか抗原性を有する可能性、これまで人で発生した過敏性反応ですとか有害事象に関する情報、天敵生物以外の成分、いわゆる餌やその他成分の毒性に関する情報等を求めることとしております。それから、家畜動物に関して、人で求めるのと同じような情報を求めることとしております。
 続きまして、19ページでございます。
 こちらは、製造時、使用時に人に対しての事故例がないかどうかの調査でございまして、いわゆるアンケート調査や検診の形で調査をしていただいて、その結果を出してもらうというものでございます。調査内容等、②のところに示したものとしております。
 それから、19ページ下の方でございますが、分泌物、補助成分等の人に対する安全性試験ということで、こちら、必要があれば、その物質を用いた安全性試験を実施するということを記載してございます。
 それから、20ページでございますけれども、4番でございます。天敵農薬の使用者への暴露に関する情報ということで、まず、使用者が使用時において天敵に暴露する可能性があるかどうか、暴露する可能性がある場合には暴露の低減方法について何か提案があるかということについて情報を求めることとしております。
 それから、これらを含めまして、5番として、人に対する影響に関する総合考察をしてもらうこと、6番としまして、畜産動物に対する影響に対しても総合考察を求めたいと考えております。
 続きまして、21ページでございます。
 Ⅴ、生活環境動植物及び蜜蜂・蚕に対する影響ということでございます。
 こちらに関しては、まず、1移動・分散、定着に関連する考察ということで、天敵生物の基本特性、基本情報、特性から考察をしてもらうということをここに書いてございます。先ほどの評価の項目にもあったような飛翔性ですとか、移動・分散に関するもの、それから、定着に影響するような発育零点、休眠性の情報をもってまず考察をしっかり出してもらうということを考えております。
 それから、2番としまして、生活環境動植物等への直接又は間接影響に関する情報でございます。こちらについても、公表文献の検索によって以下に関する情報を収集したいというふうに考えております。1番としまして、捕食又は寄生の範囲内に絶滅危惧種、絶滅危惧近縁種、それから蜜蜂・蚕等が含まれるかどうかの情報を求めることとしております。2番としまして、単食、主に狭食の天敵の場合でございますが、食性の範囲とは異なる生物への捕食又は寄生に関するもの、ここには植物も想定して、植物を利用する場合も含めて情報を収集してもらうということにしてございます。3番として、天敵生物の近縁種に絶滅危惧種等が含まれていないかどうかの情報、4番としまして、天敵生物の近縁種が天敵を使用する圃場又はその周辺に生息するかどうかの情報、それから、既に導入している国や地域での有害事例に関するものを求めることとしております。
 これらを踏まえまして、3として、生活環境動植物等に対する影響に関する総合考察を求めることとしております。
 それから、最後、23ページでございますが、農薬の見本検査に関する資料ということで、先ほど申し上げたように、5点以上の農薬の測定をしてもらうと、それの報告をするというものでございます。
 それから、24ページ以降、試験方法、もし試験方法について文献検索によって十分な情報が得られる場合には、それらの情報により代替することができます。裏返すと、十分な情報がない場合には試験をしてくださいというものになるんですけれども、その参考として示したものでございます。
 1番が低温耐性に関する試験、2番が休眠性に関するもの、26ページにいきまして、捕食及び寄生の天敵生物の標的外生物への影響に関する試験ということで、まず、標的外生物に攻撃するかどうか、さらには、実際に捕食、寄生するかということで段階的にやる試験を提示してございます。
 それから、28ページにまいりまして、交雑試験に関するものでございます。こちらも、まず、交尾可能かどうかという試験をやって、次に、実際に交雑するかどうかの段階的な試験を提案してございます。
 いずれも参考資料等を示してございますので、こういったものを参考にそれぞれの天敵に合った試験を実施してもらうということで、必要に応じて相談をしながらということになるかと思うんですけれども、そういったものを参考として示しております。
 それから、30ページでございますが、用語の定義でございます。本文中に出てきた単語で少し定義の必要なものに関してここに示してございます。
 外来種等、こちらは外来種被害防止行動計画等の用語を参考に記載してございます。
 それから、狭食性ですとか広食性、雑食性と食性に関するものですとか、あと31ページの上の方にあります定着というのをどう定義するかというのもございますが、こちらは環境省の資料を基に定義をさせていただきました。
 資料2につきまして、説明以上でございます。
○五箇座長 どうもありがとうございました。
 天敵農薬の登録申請において提出すべき資料について、今、説明いただきました。こちらの資料につきまして、先生方から何が御意見、御質問ございましたら御発言のほどお願いいたします。
○宮下委員 よろしいでしょうか。
○五箇座長 どうぞ、お願いいたします。
○宮下委員 宮下です。ちょっと二つほど関連することで疑問が、今気付いたんですけれども、まず、先ほどの資料の12ページかな、天敵生物の増殖方法及び品質管理方法というところで、一つは言葉の問題なんですが、この「元種」と書いて、これを「げんしゅ」というふうに読むと思うんですけれども、普通の「原種」ではなぜまずいのかということと、あるいは起源種とか、これは「もとだね」という言葉で、例えばパンを作るときの酵母の一番最初のやつを「もとだね」と言うらしいんですよ。例えば、ああいう微生物では。「げんしゅ」という言葉はほとんど使われていないみたいで、一瞬何のことか分からない。
 なので、例えば、犬の原種はどこかの内陸のオオカミだとか、そういう文脈だと思うんですが、この「元」という言葉をわざわざ使った理由は何かあるんでしょうか。
○五箇座長 事務局、説明お願いいたします。
○髙橋課長補佐 事務局でございます。
 先生、今、御説明いただいた後段の「もとだね」を想定してございます。31ページの用語の定義にも記載してございますけれども、「天敵農薬を製造するための増殖する元となる個体群」ということで定義はしています。
○宮下委員 分かりました。いわゆるあれですね。例えば、犬や猫のように何か人間が品種改良したりとか、その元という意味ではなくて、本当にそのルーツという、そういう意味でこの別の言葉、別というか特殊な言葉を使ったという、そういうことですね。
○髙橋課長補佐 はい、御理解のとおりでございます。
○宮下委員 あと、もう一点、これは結構本質的なことなんですが、やっぱり今気付いたんですけれども、先ほど来、モニタリングの重要性って非常に分かるんですけれども、私もすごく大事だと思うんです、生態学者としては特に。
 ただ、これは、例えば休眠している種子とか微生物であれば管理している間に何か起きるということは余りないと思うんですが、昆虫とかクモというか、クモのグループだと、多分ずっと飼育していくと思うんですね、長い間。しかも、非常に狭い環境で、特定のオリジンから長期継続して飼育して管理していくと思うんですが、それは非常に突然変異だったり、小集団ならではの遺伝的な変化というのは起きそうな気がして、つまり、そのストックをどうその性質が変わらないように維持するのか、あるいは、変わったかどうかを定期的に検査する、検査というか、いわゆる増殖率だったり生存率、そういうことが多分必要になってくる、その辺はその農薬とは多分、根本的に違って、大抵は出てからどういうふうになるかということに関心が一般の人はあると思うんですが、実は、生物学的に考えると、その維持される過程というのが多分大事じゃないかなと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
○五箇座長 事務局、回答お願いいたします。
○髙橋課長補佐 ありがとうございます。
 品質管理方法ということであまり細かく記載していないんですけれども、先生の御指摘を含めて見るべきことを追加して、これを必須にするというようなことがあれば少し追記をすることも検討させていただきたいと思います。
○宮下委員 そうですね。だから、場合によっては、モニタリングの方にそれを入れ込むという手もあるかもしれないですね。野外だけではなくて、ちょっと不自然なんですけれども。こっちに入れ込んでもいいですけれども、いずれにせよ、それはかなりクリティカルな問題になり得るので、知らないうちにとんでもない性質を持ったものになっているという可能性はかなりあるんじゃないかと思います。ちょっとその懸念です。
○五箇座長 御意見ありがとうございました。
 私自身も外来生物を対象に研究する過程で、またマルハナバチなんか研究してきた過程で、実はこういった生産資材としての生物農薬のリスクとは何だろうかということを考えて参りました。化学物質に関しては同一性が担保されるんです。つまり、その化合物の構造式によって性質が全部統一されるのに対して、生き物の場合というのは遺伝的な変異、バリエーションを持っていて、なおかつ、それが場合によっては進化もしてしまうという時空間的な変異性、不安定性というのが非常に化合物とは全く違っていて、実は、多様性というのはそれによって維持されているというところもある中で、先生御指摘のとおり、実は製造過程というのはアンノウンなところが非常に大きいんですね。
 欧米にある会社なんかは結構その部分のノウハウというのは、厳重に管理されているところもあるという中では、実際、生物資材としてはマルハナバチなんか、元種というものが1本じゃなくて、常に新しい系統というのを入れていかないと遺伝的な多様性が維持できなくて潰れてしまうということもあるというのも伝え聞いておりますので、多分、天敵農薬に関してもそういった部分の製造工程というのは化合物とは全く違ったプロセスで維持されているところもあって、その過程においては、おっしゃるとおり、最初に規定した基準、基準として設定した生物的な特性というのは外れてくるという可能性は当然出てくるという部分では、大切なのはモニタリングですよね。本当におっしゃるとおり、そういった部分も含めてバリエーションというものをどう監視するかというのは、多分、生物農薬、天敵農薬としての特異性という部分はあるのかなというふうに、今、御指摘いただいて私も思ったところです。
 ちょっと事務局、この辺はまたちょっと相談しながら考えていかないといけないと思います。さらっとその品質管理と書いてあるけれども、この辺は化合物のニュアンスで書かれているところが大きくて、実は生物はそうはいかないよというところが、むしろ天敵農薬の肝にもなるところであるので、その辺は先生方とも議論を重ねていただいて、ちょっとこの辺の書きぶりとか加筆等、あるいは方法としてモニタリングといった部分において、そういった部分もカバーするというようなやり方を考えていった方がいいと思います。
 どうもありがとうございます。
○宮下委員 ありがとうございます。
○五箇座長 ほか、御意見ございますでしょうか。
 結構、ここが一番肝腎なところで随分長く説明も頂いたんですが、気付きがありましたらよろしくお願いいたします。
○小西委員 よろしいでしょうか。
○五箇座長 はい、どうぞ、お願いいたします。
○小西委員 小西と申します。説明をありがとうございました。
 一つ御質問したいんですけれども、18ページのところで、人への影響のところがございまして、ここの目的というところに、天敵生物及びその近縁種と書いてあるんですが、この天敵生物の中にはこの天敵が変態をするものとか、変態しないものもあるかもしれないんですが、昆虫の場合は変態するものも含まれるとしたら、その全てのステージにかかっていると考えてよろしいのでしょうかというのをお聞きしたかったんです。
○髙橋課長補佐 事務局でございます。
○五箇座長 よろしくお願いします。
○髙橋課長補佐 基本的に、まず、農薬として散布するステージもあるんですけれども、その後もまたその圃場の中にいろんな態でいますので、全てのステージについて情報を求めるということを考えております。
○小西委員 ありがとうございます。
 それと、もう一つよろしいですか。この人への影響のところというのは、農薬を扱う方への安全基準にもここはかかっているというふうに考えてよろしいんですよね。
○五箇座長 事務局、どうでしょうか。
○髙橋課長補佐 御理解のとおりでございます。
○小西委員 ありがとうございます。
○五箇座長 どうもありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
○與語委員 與語ですけれども、よろしいでしょうか。
○五箇座長 お願いします。
○與語委員 先ほどの宮下委員との関係になるんですが、23ページのところ、これは農薬の見本検査に関する資料というのは三角なので余り気にしなくていいのかもしれませんけれども、ここの3の報告事項と4のところにロット番号という言葉が書いてあって、これなんかも、先ほどのことを検討する際に少し一緒に検討していただければと思います。
 以上です。
○五箇座長 事務局、御意見承ったということでよろしいですか。
○髙橋課長補佐 はい、承りました。ありがとうございます。
○五箇座長 ほか、意見ございますでしょうか。
○與語委員 座長、もう一つだけよろしいですか。
○五箇座長 はい、どうぞ、お願いします。
○與語委員 すみません。次に、4ページの表のところと後のページが関係するんですけれども、4ページの表の3の天敵生物の標的生物に関する情報というのがあって、それに(1)、(2)、(3)とあるんですけれども、(2)の寄主植物というのがあって、分布、寄主植物とあるんですね。21ページの2の(2)のところは、どっちかというと寄生するものに関して植物に限定しないような書き方がしてあるんですけれども、これは、そこで矛盾とかは生じていないですかね。
 以上です。
○吉尾農薬環境管理室長 事務局です。御指摘ありがとうございます。
 3の天敵生物の標的生物に関する情報については、11ページの方が細かいところで言いますと該当すると思っております。
 これは、正に天敵生物がどういうものを標的としているのかというところを書くことになるわけなんですけれども、21ページの方は、標的としてそもそも考えていない生物であるものの影響を受けてしまうようなものがほかにないかというようなところで記載をしている部分になりますので、そういう意味では、ちょっと書きぶりとか、求めることは違ってくるということでございます。
○與語委員 ありがとうございます。
 私がちょっと素朴に疑問を持ったのが、今御説明があってよく分かったんですけれども、その11ページ目にしても、例えば、その天敵の種類なんですけれども、ある天敵がある虫に寄生する場合の寄主は虫ですかという質問なんです。これが寄主植物という言葉だけではない気もして、この寄主の理解が、先ほどの用語の定義を見ればいいのかもしれませんけれども、そこがはっきりするといいかと思いました。
 以上です。
○五箇座長 これは、例えば、天敵生物の標的生物ということは、ここでは害虫種になるんじゃないかと思うんですね。そういった意味で、害虫ということは食べるものが農作物等の植物ということで寄主植物という書き方になっていると思うんですけれども、私の方ではそう思っているんですけれども、與語さんが聞きたかったことは何だったのかなと。
○與語委員 そうか、天敵生物の標的生物。
○五箇座長 標的生物ということは害虫種ということですね。対象となる害虫種ということです。
○與語委員 その害虫種は農作物に付くから寄主植物になるという。
○五箇座長 はい、そういうことです。
○與語委員 そうですね、そう理解すればいいですね。関係性が私の中で整理できていなかったんですけれども、今の五箇座長の話でそう理解するようにします。分かりました。ありがとうございます。
○五箇座長 何か標的生物という言い方がいいのかな。普通に、農薬取締法の中だと、これは対象害虫とかになるんじゃないですか。違うんですか。対象病害虫になる。これ、どうなんでしょう、事務局、用語としては。
○髙橋課長補佐 そうですね、適用害虫。
○五箇座長 そうそう、適用害虫になるんだ。
○髙橋課長補佐 の方が、はい。
○五箇座長 農取法の中でくくるんなら、さっきの生活環境動植物もそこで統一するならここも統一しておいた方がいいんじゃないのか。
○髙橋課長補佐 分かりました。ありがとうございます。
○五箇座長 與語先生、よろしいですか。
○與語委員 統一感を持っていっていただければ、より理解がしやすくなると思います。
 以上です。
○五箇座長 了解です。ここはちょっと文言調整していただくということでお願いします。
 ほか、いかがでしょうか。
○與語委員 座長、もう一つだけよろしいですか。
○五箇座長 どうぞ。
○與語委員 8ページ目の裸の2の作物群のことですけれども、この作物群は、これは化学農薬で検討してきた作物群とその群の分け方の違いみたいなものが、何か特徴があれば教えていただきたいですけれども。
 以上です。
○髙橋課長補佐 事務局です。
 基本的には化学農薬の作物群と同じなんですけれども、いわゆる大作物群と言われている、一番大きいグループを主に示しております。
○與語委員 與語です。分かりましたけれども、化学農薬の場合は、当然ですけれども、その農薬の持っている、例えば殺虫剤、殺菌剤、除草剤とあって、それぞれの対象になる病害虫とか雑草があったりとか、それから、使用可能な農作物に対する薬害という言葉が出たりするんですね。そういうので変わったりとかするんですけれども、先ほどの標的、適用作物かどうか分かりませんけれども、いわゆる害虫が付く作物が違ったりとか、いろんなことが起こり得るのかなと。例えば、植性の天敵が食べる植物の範囲が変わったりすると、何かそういう分け方もいろいろと変わってくるのかなと思ったものですから、そういう視点も含めながら、まず、取りあえずこの大きな群で分けていくというような形なのか、その辺のところの、この大作物群に至った経緯みたいなところがあれば教えていただきたいんですけれども。
○髙橋課長補佐 事務局です。基本的には個別の作物で登録を取るということが基本なんですけれども、例えば、アブラムシですとか、スリップスみたいな割と広くいろんな作物に付く場合にはこういった大きな群で取るということもできるということで、両方の道を開いているという規定でございます。
○與語委員 ありがとうございます。よく分かりました。
 以上です。
○五箇座長 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
○後藤委員 すみません、今のところのすぐ上なんですけれども、8ページの(4)の①のところから、ここの表の中ですね。主要害虫とか、それから難防除害虫とか、一部の地域に限られるとか、生産量の少ないとか、どういう基準になっていたのかちょっとよく分からなかったので御説明いただけると有り難いです。
○五箇座長 事務局、お願いします。
○髙橋課長補佐 主要害虫ですとか難防除害虫、今、手元に資料がないんですけれども、もう少し細かい通知の中で少し解説をした部分があると思いますので、必要に応じてここに脚注などを入れることを考えたいと思います。
 それから、確かに生産量の少ない作物、いきなりここに出てきてしまっているので、この辺、表の中に出てくるものは、必要に応じて用語というか、定義の追加等させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○後藤委員 はい、よろしくお願いします。
○五箇座長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。
○與語委員 與語ですけれども、もう二つぐらいよろしいでしょうか。
○五箇座長 はい、どうぞ。
○與語委員 一つは、18ページの(2)の⑦のオなんですけれども、これは本当に記載整備なんですが、これは、「牛、豚等で発生した過敏性反応」と「牛、豚等の家畜に対する」と、後に「家畜に対する」を出したことは何かそれなりに意味があることなんですか。
○髙橋課長補佐 すみません、これは表記揺れだと思うので、後ほど訂正させていただきます。
○與語委員 はい、ありがとうございます。
○五箇座長 御指摘ありがとうございます。
○與語委員 あともう一点ですけれども、19ページの3の分泌物補助成分等の人に対する安全性確認試験です。天敵生物が分泌する物質だとかいろんなのが書いてありますけれども、例えば、天敵生物自身が何か媒介する病害みたいなものなんかもこの中に入るんですかね。
○五箇座長 病害というのは人に対する病害という。
○與語委員 これは人に対する影響に準じて安全性を確認すると書いてあるので、もしかして人に対する病害も何かあるのかなと考えて。
○五箇座長 人に病害を及ぼすものに関しては感染症関連の方の法的な枠組みに入っちゃうので、もう論外になっちゃうんですね。
○與語委員 なるほど、はい。感染症の方は別にありますもんね。
○五箇座長 はい。一方で、かぶれるとか、ちょっとかゆみを発生させるといったような類いは感染症とはまた別途違った形での、不快であったりとか、確かに健康上問題ではあるんですが、感染症と引っかからないところに関して、分泌物なんかでアレルギーを生じるというようなですが、ここで言っていることも想定して、こういったところにカバーしてあるというふうな理解で私はいますが、いかがでしょうか。
 事務局、どうでしょうか。
○髙橋課長補佐 五箇先生の御理解のとおりです。先ほどの審査ガイダンスでも、天敵生物が人畜の病原体を媒介する場合というのは、被害防止が、困難であるという判断になるということで御説明したのに関連するかと思われます。
 こちらの19ページの3の方は、今、先生御説明ありましたとおり、正に、かぶれですとか、刺激といったもうちょっと軽微なものと言っていいのかわからないですけれども、そういった症状を見るための試験ということで想定しております。
○五箇座長 與語先生、よろしいですかね。
○與語委員 はい。今、説明があった、人に対する安全性試験はいわゆる化学物質までで、生物というところまではいくんじゃないということで理解をしました。
 以上です。
○五箇座長 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
○山本委員 山本ですけれども、よろしいでしょうか。
○五箇座長 どうぞ、よろしくお願いします。
○山本委員 先ほど宮下委員ですとか、あと五箇座長の方からもいろいろ御指摘あったんですけれども、やはり使用の場面を考えても、品質管理の方法といいますか、品質の安定性というのが非常に大切だなというふうに考えています。
 それで、例えばですけれども、害虫を捕食する能力などを検定する生物検定のようなものというのは方法論としてないのかなと思うんですけれども、その辺で何か知見があったら教えていただきたいんですけれども。
○五箇座長 事務局、いかがでしょう。
○髙橋課長補佐 特にこれまで具体的なものというのはございません。今後の課題なのかなと、モニタリングと併せて課題の一つかなと思いました。
○山本委員 はい、了解しました。ありがとうございます。
○五箇座長 御指摘ありがとうございました。
 本当、今、事務局からありましたように、結構そういった課題がまだちょっと残っているところもありつつというところで、おっしゃるとおり、そういったところも今後、実証データを重ねていきながら方法論というのも作っていく必要があるというふうに思います。
 ほか、いかがでしょうか。
○津田委員 津田ですけれども、よろしいでしょうか。
○五箇座長 よろしくお願いします。
○津田委員 7ページの薬効試験や薬害試験の点数とか書いてあるところですが、実際の想定される条件で試験するということは重要だと思うんですが、なかなかできないという場合もあると思うんですが、文献調査あるいはデータベースなどでこういったデータが得られる場合にはそれも例数としてカウントされるかどうかというのをお聞きしたいです。
 以上です。
○五箇座長 御指摘ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょう。
○髙橋課長補佐 基本的には圃場において、実際の使用量でまいたときの影響、薬効と薬害を確認してもらうということを想定しております。
 ただ、どうしても相手にする害虫が広まっちゃいけないようなものであったりする場合には、閉鎖系ですとか小さな単位での試験というのも必要に応じて御相談していきたいというふうに考えております。
○五箇座長 基本、これは化学試験に準じていると思ってよろしいんですかね、この辺の例数というのは。
○髙橋課長補佐 はい、御理解のとおりでございます。
○五箇座長 ですよね。一応、農取法ということなので、杓子定規という言い方は悪いですけれども、それに当てはめればこういった例数が必要になってきますよということで、でも、津田先生おっしゃるとおり、なかなか相手が、生物農薬、天敵農薬ということになるとそこまで例数稼げるのかというのもちょっとあるのはあるんでしょうけれども、一応農薬という登録を取るという部分では農取法の基準に従ってということで、こういった設定になっているということですね。
 既存文献で本当にそういった信頼度が非常に高いといったデータが出てきた場合にどう扱うかというのは、個別にまた議論されることではないかと思いますが、それだけ使えるデータが増えてくれることをまずは期待したいかなというふうに思います。
 よろしいでしょうか。
○津田委員 分かりました。ありがとうございます。
○五箇座長 では、ほか、よろしいでしょうか。
 よろしいですかね。
 たくさん御意見を頂いて、議論も進んでというか、かなり長文相手にしてきたんでなかなか、また後からいろいろ出てくるかと思いますが、それはまた追ってメール等でも共有していただければと思いますので、そういったことで、まずは一旦この天敵農薬の登録申請において提出すべき資料については、本合同会合において了承するということで、まずよろしいでしょうか。
 特に御異論がなければ、そういった形で本会合については了承を得たということにしておきたいと思います。
 修正等、頂いた御意見については事務局の方でまた反映していただいて、適宜必要に応じて委員の先生方にも共有していただくということにしたいと思います。
 一応これにて今日の議題は終わりましたということで。
○吉尾農薬環境管理室長 先生、すみません、もう一つ、資料4の方がございますので。
○五箇座長 分かりました。ごめんなさい、次の資料がありましたね。
 次は、議題4でした。その他でしたね。資料4、審議会への意見聴取が不要となる天敵農薬についてですね。こちらの方の説明を事務局の方からよろしくお願いします。資料4になります。
○坂口農薬審査官 農薬対策室の坂口でございます。
 資料4の審議会への意見聴取が不要となる天敵農薬について御説明させていただきます。
 農薬取締法、以下「法」と略させていただきますが、こちらの第39条第1項において、法第3条第1項の規定による新規農薬の登録のうち法第3条第3項に規定する場合、すなわち、申請する農薬の農薬原体が現に登録を受けている農薬の農薬原体とその成分及び毒性の強さにおいて同等であるときについては、審議会への意見聴取の対象から除外されております。
 この具体的内容については、平成30年9月14日の農業資材審議会農薬分科会において、①、②。①でございますけれども、登録を受けている農薬と同じ原体を用いた新規製剤、又は、②登録を受けている農薬の原体と同等である別原体を含む後発農薬が該当するというふうな整理としております。これらに該当する場合、新規農薬の登録については審議会への意見聴取の対象から除外することとしたところでございます。
 天敵農薬については、このうち②の登録を受けている農薬の原体と同等である別原体、これはどういう場合に該当するかということで、下の最後のパラグラフで整理し、このような方向で整理しております。
 具体的には、現に登録を受けている天敵農薬の原体と同一の種である天敵を原体とする場合として今回整理しました。ここで同一の種であることの確認ですけれども、従来の形態学的な同定の方法、こちらに加えてDNA等分子遺伝学的情報による同定、こういった二つの情報を基に同一であるかの判断を今後したいというふうな整理としました。
 資料については以上でございます。
○五箇座長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問ございましたら、発言のほどよろしくお願いいたします。
○與語委員 與語ですけれども、よろしいですか。
○五箇座長 はい、どうぞ。
○與語委員 多分、今までの資料の中では初めて「原体」という言葉が出てくるんですけれども、これまでは化学農薬の有効成分に相当するものという言葉とかあったりするんですけれども、ここで初めて「原体」という言葉が出てくるような気がするんですけれども、その辺りはいかがですか。
○五箇座長 事務局、いかがでしょうか。
○坂口農薬審査官 そうですね。
○五箇座長 これは、平成30年の農業資材審議会の農薬分科会で原体と言っちゃっているからこう書いてあるんですよね。
○坂口農薬審査官 そうですね。化学合成農薬での書きぶりということです。
○五箇座長 だから、引用しているから原体と書いてあるけれども、意味としては有効成分という理解ですか。
○坂口農薬審査官 そのような理解です、はい。
○五箇座長 ということですが、いかがでしょうか、與語先生。
○與語委員 そういうふうに理解するようにします。
○五箇座長 言わんとしていることは、農薬として効く本体、ここでは天敵農薬の場合が種であると、その種というものが同一であるかどうかというところで、同一であったらそれは製剤が変わってもよしとしましょうという話ですね。
○與語委員 もう一点よろしいですか。
○五箇座長 はい、どうぞ。
○與語委員 その一番最後の「ただし」のところなんですけれども、この「形態学的な同定及び」というのは、これは、すみません、細かいところで申し訳ないですけれども、この両方とも形態的な同定とDNA等の分子遺伝学的情報の同定と両方しなきゃいけないの「及び」ですか、それとも、いずれかということですか。
○坂口農薬審査官 及び、両方です。
○與語委員 両方やらなきゃいけないということですか。
○坂口農薬審査官 はい。
○與語委員 はい、了解しました。
○五箇座長 ほか、いかがでしょうか。
○有江委員 有江ですけれども、よろしいでしょうか。
○五箇座長 よろしくお願いします。
○有江委員 今のちょうど與語先生がおっしゃったところになりますけれども、天敵農薬の原体と同一の種であればいいのかどうかという議論はしなくてよろしいのかということをちょっと伺いたいと思うんですね。
 これが天敵じゃなくて微生物農薬になると、同じ種であっても全然性質が違ってきます。例えば、非病原性フザリウム・オキシスポラムは、トマトの萎凋病菌であり、バナナ病菌でもあり、全部同じ種なので、それに関しては一個一個やらなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、何をもってこの同一であると。
 化学物質の場合には全く同じ物質であれば同じなんですけれども、生物の場合には種が同じであっても性質は違うだろうと思いますし、そこのところをどういうふうに定義していったらいいのか、ちょっと天敵のことはよく分からないので、昆虫に関しては種でいいのかどうかということも含めて御議論いただければと思います。
○五箇座長 これは、事務局、回答できますか。
 すみません、私の方もこれは同じです。よろしいですか。形態学的な同定が基本的には種の分類としてはこれまでやられてきたことだけれども、先生おっしゃるとおり、実際、形が一緒でも中身が全然違うということは当然生き物である以上はあることであり、特に節足動物の場合はそういった事例は数多くあるということから、DNA等分子遺伝学的なマーカーというものも使って、本当に遺伝的にきちんとそういった均一性というものが維持できているかどうかというのも調べると。
 先ほど議論あったように、起源が違うものとか、そういった遺伝的に全然違う系統であると恐らく性質も変わるんじゃないかといった宮下先生からの御指摘もあったように、その部分においてきちんとその分子遺伝学的なマーカーも使って同一性あるいは近似性といったものが測れるかどうかといったことも一応ここで担保しておこうということで、こういった文言が入っているということになっております。
○有江委員 ただ、この上のところの①、②を読ませていただくと、既に登録されているものと同じ原体、これが同じ種であるということを意味しているんだと思うんですね。だから、同じ種であれば全然何もやらないで登録できるのか、あるいは、後発農薬も同様のことが書かれているんですが、本当にそれでいいのかなと、今後、微生物の場合にはそうはならないだろうというふうに思いますので、そこら辺ちょっと御意見を伺えればというふうに思います。
○五箇座長 御指摘のとおりで、単純に分子マーカーも、その見るところがミトコンドリアだけだったら全然その形質、いわゆる生理的あるいは生態的な特性というのは反映していないことになりますから、このDNA等の分子遺伝学的情報とかなり大味に書いてあるのは、そういった意味では、今後その部分の方法論はかなり詰めて考えていかなきゃいけないだろうというふうには思っております。
 事務局、よろしいでしょうか、今のことで。
○坂口農薬審査官 はい、そのような内容で大丈夫でございます。
○五箇座長 度々、先ほどからも議論になるように、化学農薬の場合も化合物の構造式で全てその物理化学性状というのは統一して、同一性がはっきり決まっているのに対して、生き物は、一個体一個体、ある意味、本当に全く一緒というのはないような状況ですから、本当にそういった部分では化学農薬と同じ扱いにはできないという前提でこれから管理していかなきゃいけないということは、ここの場でも皆さんで共有していただければと思います。
 そういったものをどうカバーするかの方法論は、多分これから詰めていかなきゃいけないことだというふうに思います。
 ほか、いかがでしょうか。
○山本委員 すみません、山本ですけれども。
○五箇座長 よろしくお願いします。
○山本委員 今の議論なんですけれども、12ページの品質管理の方法の議論の進展と並行して進むという理解でよろしいですかね。
○五箇座長 はい、正におっしゃるとおりだと思います。ここで言う同一性というものは、正に製品管理というところで保たれるところであり、そこの部分がどういった形で管理されるかといった方法論と、ここでそれが本当に同一かどうかというものの評価をするという方法論というのは、きちんと同じ流れの中で開発及び議論されるべき部分だというふうに私は理解しております。
○山本委員 了解しました。ありがとうございます。
○五箇座長 いいですか、事務局は。
 すみません、座長が勝手にしゃべっていてもしようがない。事務局、よろしいですか、それで。
○吉尾農薬環境管理室長 この資料は、審議会への意見聴取が不要となる天敵農薬という位置づけでして、申請の際にデータ等は一そろい出してはいただくことになりますので、我々の方でまた迷ったり、何かありましたら、審議会の皆様に御意見を頂くというような形になるかとは思っております。
○五箇座長 はい、了解です。
 よろしいでしょうか。
 ほか、いかがでしょうか。
 結局、相手が生き物なので、外来生物法もそうなんですけれども、都度、いろんなケースでエキスパートジャッジが求められるものになってくると思います。なので、化学農薬とは全く扱いが違ってくるということは、こちら審議会としても、もうその前提で今後、本当に審査が始まればそういった形で対応していくことになると思います。いろんなケース・バイ・ケースで、このガイドラインに準じていても問題があるとなれば、そこはやっぱり意見を出してきちんと評価、管理していくことが大事かなというふうに思っております。
 この法律という枠組みの中でシステムをとにかく作らないとといけないので、まずはこういった形で、今、下敷きを作られたという理解でいただければというふうに思っております。
 これから更にまた細かいところもいろいろとケーススタディが始まっていけば、より細かいところも都度、修正していくことになると思いますので、まずは、こういった下敷きができているということで皆さんに今、ここで御議論いただければというふうに思います。
 よろしいでしょうか。
○與語委員 與語です。もう一点だけよろしいでしょうか。
○五箇座長 はい、どうぞ。
○與語委員 議論する必要ないかとも思いますけれども、この原体という言葉がやっぱりちょっと気になります。先ほどの部分は理解できたのですけれども、化学物質ですとこの原体のときには原体の純度というか、そういうものがポイントになってくるんですけれども、この天敵農薬の場合ですと、先ほどから幾つか試験方法とかもありましたけれども、どの辺のところで何%何があったらいいとか、逆に何があったらまずいとかというのは、これは先ほどの品質管理で調べることになってくるんでしょうかね。
○五箇座長 事務局、答えられますでしょうか。
○楠川農薬対策室長 そういう意味では、ここでの言葉遣いとして原体と書いているんですけれども、意味するところは、天敵生物が種として同一であればというふうに理解をしていただければいいのではないかと思います。必要であれば、言葉の修正も含めて考えさせていただきます。
○五箇座長 與語先生、いかがでしょう。
○與語委員 これが駄目だということではなくて、例えば生物ですとどうしても我々、個体群という概念があって、いわゆるクローンだったらいいですけれども、そうじゃないというケースで、例えば製造過程のところで起こった場合とか、そういうところもちょっと意識したものですから、そんな質問をさせていただきました。
 以上です。
○五箇座長 ありがとうございます。
 その辺はどう、どの範囲までで同一とするかというのはかなり議論が必要になってくると思いますね。多分、それは種によっても変わってくると思いますし、こういう言い方いいかどうか分からないですけれども、許容できる変異幅はこの程度というようなところは詰めていかないことには、実情、製品そのものは製造不能になってくると思いますね。全部がクローンということはまずあり得ないと思いますので、だから繰り返しますけれども、化学農薬とは全くこの辺が違うということはこれから多分課題になってくると思います。
 先ほど言った純度云々は、要は、ほかの種が交じっていないことが絶対条件だと思いますね。これは起こり得ることであって、この種で売っているはずなのに違う種が入っているというケースは多分あっちゃいけないことであって、そこは正に、ここで言うところの種というのは、その種だけが入っているということが前提になっているというふうに思います。
 よろしいでしょうか。
 ほか、いかがでしょうか。
○天野委員 すみません、天野です。
○五箇座長 はい、どうぞ。
○天野委員 ちょっと本論と違うかもしれませんが、1点確認と、あと、教えていただきたいことが一つございます。
 一つは、先ほどの資料4の審議会の意見聴取の対象から除外するの部分に関して、事務局の方では、例えば、ジェネリックとして同一の種で申請があっても今回のガイドラインに沿ったものを一式全てデータは出してもらうというふうに私は聞こえたんですが、それで間違いないかということが1点。
 それから、今現在登録されているものは、このガイダンスよりもそのデータが全然足りない状態にあるんですけれども、その足りない部分については化学合成農薬と同じように再評価が掛かったときに改めて要求されるものなのか、あるいは、特に大切と思うような部分は前倒してでも要求するようなおつもりがあるのか、ここはまだ議論するべきところなのかもしれませんけれども、その辺何か方針があったら教えてください。
○五箇座長 事務局、説明、お願いいたします。
○坂口農薬審査官 基本的には、今おっしゃられた先生の内容のとおりでございます。
○五箇座長 よろしいでしょうか。
○天野委員 はい、承知いたしました。
○五箇座長 ほか、いかがでしょうか。
○後藤委員 すみません、今のところもう一回説明していただいていいですか。実際にどういうふうになるのかということでお願いします。
○五箇座長 事務局、すみませんがもう一度お願いします。
○楠川農薬対策室長 データが足りないものがございましたら、それは再評価の中で順次このガイドラインに照らして評価していくというところでございます。必要なデータは、場合によっては取っていただくということになります。
○後藤委員 後発のものに対して要求をするのですか、それとも既登録の方に対して要求をしていくということですか。
○髙橋課長補佐 1点目の御質問の、いわゆるジェネリックと言われる後発品については、今後申請される場合にはこのガイドラインに沿って一式のデータを出してもらうんですけれども、審議会に諮るか諮らないかはここの資料4の考え方に基づいて判断をしていくというものになります。
 それから、二つ目の再評価、既登録のものについては、基本的には再評価で、そのときにこのガイドラインに沿ったデータ提出してもらい、その情報を用いて評価というふうに考えております。
○後藤委員 ありがとうございました。
○五箇座長 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 では、資料4につきまして御議論いただきましてありがとうございます。
 審議会への意見聴取が不要となる天敵農薬については、本合同会合において了承していただいたということでよろしいでしょうか。
 御意見はないと、異議はなしということで、ありがとうございます。
 いろいろと議論がたくさんあったというか、資料もいろいろと出されているということで、全体通して何か御意見がありましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 ないようでしたら、本日はこれにて予定しておりました議事が終了したということになります。
 次の会合の日程については、改めて事務局から案内が来るということですので、連絡のほどよろしくお願いします。
 これでよろしいでしょうか。
 一応、座長の仕事はここまでということになりますので、進行役は事務局の方にお返ししたいと思います。よろしくお願いします。
○楠川農薬対策室長 本日は熱心に御議論賜りまして厚く御礼申し上げます。
 今回の議事要旨及び議事録につきましては、事務局で案を作成し、委員の皆様に御確認いただきました後、公開となります。
 以上をもちまして、本日の合同会合を閉会いたします。どうもありがとうございました。