水環境・土壌農薬部会(第16回)議事録

開催日時

令和7年3月24日(月) 14:01~15:21

開催場所

WEB会議

議題

(1)審議事項
・ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直しについて(案)
・農薬の長期暴露による影響評価の導入について(案)
(2)報告事項
・水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて
・「水道における水質基準等の見直しについて(第1次報告案)」及び「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第7次報告案)」等に関する意見の募集(パブリックコメント)について
・水底土砂の海洋投入処分における判定基準等の見直しについて

資料一覧

資料1      ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直し(案)
資料2-1 生活環境動植物に係る長期的な農薬ばく露の影響に関する評価について(概要)
資料2-2 生活環境動植物に係る長期的な農薬ばく露の影響に関する評価について(答案)
資料3   水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて
資料4   「水道における水質基準等の見直しについて(第1次報告案)」及び
      「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の見直しについて(第7次報告案)」等に関する
      意見の募集(パブリックコメント)について
資料4(別紙1-1) 水道における水質基準等の見直しについて(第1次報告案)
資料4(別紙1-2) 水質基準に関する省令等の一部を改正する省令案について(概要)
資料4(別紙2)   水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第7次報告案)
資料5   海洋汚染等防止法に基づく水底土砂の海洋投入処分における判定基準等の見直しについて

参考資料1 (概要)水質汚濁防止法に基づく排水規制について
参考資料2  地域のニーズや実情に応じた生活環境の保全に関する水質環境基準のあり方、柔軟な運用について
参考資料3  水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて(第3次答申)
 

議事録

【吉﨑環境汚染対策室室長補佐】 お待たせいたしました。定刻を少し回りましたけれども、ただいまから中央環境審議会第16回水環境・土壌農薬部会を開会いたします。
委員の皆様方にはご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の部会は、委員、臨時委員、総数28名のうち過半数の22名にご出席をいただいております。定足数の要件を満たし、部会として成立しておりますことを報告いたします。
また、WEBでの開催でございまして、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配布、同時配信をしております。
WEB会議の開催に当たりまして、何点かご協力をお願いいたします。
通信環境の負荷低減のため、ご発言の際以外はカメラの映像は原則オフ、マイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。ご発言の際はなるべくカメラをオンにしていただけますと幸いです。
ご発言を希望される場合には、お名前の横にある手の形のアイコン、挙手ボタンをクリックしてください。発言を終えられましたらボタンを再度クリックして、挙手を解除いただきますようお願いいたします。
なお、議事録の円滑な記録のため、ご発言の際は、最初にお名前をおっしゃっていただき、ゆっくりと大きめの声でお話しいただきますようお願いいたします。
通信トラブル等何かありましたら、右下にチャットの欄がございますので、ご記入いただき、事務局までお知らせください。
まず初めに、今年2月の中央環境審議会委員の改選により新たに就任された委員が5名いらっしゃいますので、ご紹介いたします。
お名前をお呼びいたしましたら、差し支えなければ、カメラとマイクをオンにしていただき、一言ご挨拶をお願いいたします。
浅利美鈴臨時委員、本日は欠席でございます。
小池英子臨時委員。
【小池臨時委員】 小池でございます。よろしくお願いいたします。
【吉﨑環境汚染対策室室長補佐】 松井佳彦臨時委員でございます。
【松井臨時委員】 (雑音があり聞き取れず、発言なし)。
【吉﨑環境汚染対策室室長補佐】 次に進めさせていただきます。
 松本津奈子臨時委員でございます。
【松本臨時委員】 松本です。よろしくお願いいたします。
【吉﨑環境汚染対策室室長補佐】 ありがとうございます。
 次に皆川朋子臨時委員でございます。
【皆川臨時委員】 皆川ですよろしくお願いいたします。ちょっとビデオができないのですいません。
【吉﨑環境汚染対策室室長補佐】 ありがとうございます。
 以上5名の委員が新たに就任された方々でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、開会に当たり、水・大気環境局環境管理課長の𠮷川よりご挨拶を申し上げます。
【𠮷川環境管理課長】 水・大気環境局環境管理課長の𠮷川でございます。本日はご多忙の中、委員の皆様には本部会にご参加いただき、誠にありがとうございます。第16回水環境・土壌農薬部会の開会に当たり、一言御挨拶申し上げます。
本日の審議事項は「ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直しについて」、「農薬の長期暴露による影響評価の導入について」の2点を予定しています。
「ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直し」につきましては、一部の業種に令和7年6月末を期限として定めている暫定排水基準について、排水実態調査の結果などを基に検討しました暫定排水基準の見直し案をご審議いただきたいと考えております。
また、「農薬の長期暴露による影響評価の導入」につきましては、農薬のリスク評価をさらに充実していくために、新たな評価を導入するという内容でございます。農薬小委員会において、答申案が取りまとめられましたので、その内容につきまして、ご審議いただきたいというものでございます。
このほか、報告事項は「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて」や、水道水におけるPFOS・PFOAの暫定目標値見直しの検討状況など、3点を予定しております。
委員の皆様には、忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
【吉﨑環境汚染対策室室長補佐】 続きまして本日の資料の確認をいたします。
 事前に電子ファイルで資料一式を共有しており、今、画面では、配付資料一覧を記載した議事次第を掲載しております。何か不足等がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、ここからの議事進行は古米部会長にお願いいたします。
古米部会長、よろしくお願いいたします。
【古米部会長】 古米でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは早速ですけれども、議題に入らさせていただきます。
議題の1、ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直しということで、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。
【上津環境汚染対策室係長】 環境省水・大気環境局環境管理課の上津と申します。
 私から資料1を用いて、ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等の暫定排水基準の見直し案に関してご説明いたします。
まず、水質汚濁防止に法づく排水基準においては、いわゆる暫定排水基準がございます。こちらは、水質汚濁防止法に基づき、全業種全国一律に適用されている排水基準、いわゆる一般排水基準を設定、また強化した際に、直ちにその新しい排水基準に対応できない業種に対して、期限付きで緩やかな基準値を設定しているものでございます。こちらの暫定排水基準の制度の概要については参考資料1にお示しをしておりますので、またご確認いただけたら幸いでございます。
では資料の(1)をご覧ください。
今回の議題のほう素、ふっ素、硝酸性窒素等の3項目については、平成13年に一般排水基準が設定されております。この際、合計40の業種に暫定排水基準が設定されました。その後、3年ごとに業種ごとの取り組み状況や排水実態等を踏まえて見直しを行っており、現在は合計10の業種に令和7年6月末を期限として、暫定排水基準が適用されているところです。
なお、米印で記載しておりますが、旅館業と下水道に関しては前回の見直しにおいて、3年との期間を定めずに適用期間を当分の間としているところでございます。
(2)で、これまでの検討・取組状況をご説明させていただきます。
今回の3項目、温泉分野や畜産分野、工業分野、また下水道分野と、広い分野に基準が適用されておりまして、各分野において解決すべき課題が異なりますので、分野ごとに必要に応じて基準値の見直しに向けた具体的な検討を行う必要がございます。
そこで今回、現行の暫定排出基準が令和7年6月末で期限を迎える畜産分野と工業分野について業種ごとに取り組み状況や排水実態の把握、また、それらを踏まえて各分野の学識有識者の先生方からご助言等をいただき、基準値の見直し案を検討してまいりました。
なお、解決すべき課題として、畜産分野においては、排水処理技術自体は存在しているもの、小規模な事業場が多く、コスト負担の観点などから課題が存在しているという状況です。また、工業分野においては現実的に現状導入しうる処理技術において、更なる濃度低減を図っていくということに対して技術的な課題が存在しているということなどが課題として存在しています。
前回の見直し以降、主に取組、検討した事項を(2)の下に記載をしております。詳細は別添1、2で後ほど説明させていただきます。
業種全体の個別事業場における排水実態、また改善対策の状況、また、排水処理に係る課題の実態を把握するとともに、有識者の先生方から各事業場、また業界に対して助言等を行っていただき、濃度低減の対策の促進を求めること。また併せて、排水処理技術の開発の推進も進めてきたところでございます。
それらの取組を踏まえて3ページに、これまでの検討で取りまとめました見直し案を表の形式でまとめております。
暫定配置基準が適用されている業種、また区分について、許容限度の現行及び見直し案を記載しております。見直し案について、ほう素及びふっ素においては、一部で許容限度の引き下げを行いますが、導入可能な処理技術の見通しが立たないなどといった理由から、暫定排水基準を延長することが適当であると考えております。
次に硝酸性窒素等においては、一部で一般排出基準への移行を行いますが、いまだ資金面から一般排水基準達成が困難な業種、また、ほう素、ふっ素と同様に導入可能処理技術の見通しが立たないといった理由などがありますので、暫定排水基準を適宜見直して延長することが適当ではないかと考えております。
また、適用期間についてですが、これまで3年ごとに見直しておりましたが、今回は3年3か月の延長を提案させていただいております。
本件、工業分野の一部業種、また畜産分野に関しては、今回見直しを行います硝酸性窒素のほかに、窒素含有量に係る暫定排水基準が適用されております。これらの硝酸性窒素等と窒素含有量に関しては、発生源、また処理技術ともに共通点が多い状況でございます。しかしながら、これまでそれぞれの項目ごとに排水の実態や、それを踏まえた見直しの検討を進めてきたところでした。
そこで今回、適用期間を現行の窒素含有量の暫定排水基準の適用期間であります、令和14年9月30日までとしまして、これらの項目に関して、統合的に排水実態の把握、また、排水濃度の低減対策を推進していくのが適切ではないか考えており、今回3年3か月で窒素含有量の期限に揃えることでいかがかと考えております。
以上が見直しの案の概要となります。
引き続いて別添資料を用いて、各分野の状況見直しの検討結果をご説明させていただきます。まず、畜産分野の暫定排水基準の結果についてご説明いたします。
別添1、通しで9枚目となります。こちらをご覧ください。
畜産分野には、硝酸性窒素の暫定排水基準が設定されておりまして、設定当初、畜産農業1500 mg/Lという暫定排水基準が適用されていました。段階的に見直しを行ってきておりまして、前回、令和4年の見直しでは、飼育する種類ごとに発生する排出水の量や排出水の発生に非常に大きな差があるということから、より実態に即して飼育種ごとに基準値を設定しております。その中で、馬房施設のみを有する事業場は一般排水基準に移行しておりまして、牛房施設のみを有する事業場は300 mg/L、豚房施設を有する事業場は400 mg/Lという基準値に見直しを行っております。
2.1では、豚房施設の排水実態等を掲載しております。表2-1には、各自治体が把握している事業場の排水実態、表2-2、2-3には、日本養豚協会からご提供いただいた各事業場の排出実態を基に、排水濃度の分布を経年的に整理した結果を掲載しております。
これらの表から、一般排水基準である100mg/L以下である事業所の割合は、徐々に高くなっているという傾向が見られます。全体的には濃度低減、改善の傾向が見られております。一方で現在、直近でも300mg/Lを超過する事業場も多く残っています。
次に(4)をお願いいたします。先ほど(1)で説明した排水実態の全体の状況から、特に排水濃度が高濃度である事業場などに対して個別にフォローアップの調査を行いまして、その結果をお示ししております。現地調査を延べ16事業場、アンケート調査を延べ92の事業場で実施をしておりまして、個別の事業場における排水処理の課題、また排水濃度低減の見込みについて把握を行うとともに、現地調査では、有識者の方から事業場に対して技術的な助言を行い、濃度低減を促してきたところでございます。
個別の事業場の調査の結果から、施設を改修せずとも、運転管理の改善により排水濃度低減の見込みがある事業所も確認されているものの、一部の事業所では、処理施設自体に課題があるものの、資金面からすぐには対応困難な事業場も多く存在していることが判明したところです。
次に5ページ目、全体では13ページ目でございますが、2.2で、牛房施設の排出実態を掲載しております。各自治体が把握している各事業場の排水実態を表2-4にまとめております。前回の見直しまでに一般排水基準を超過したことがある事業場が複数確認されておりましたが、直近の測定データを基にすると、全て一般排水基準に適合しているというような状況でございました。あわせて、平成29年4月以降に一般排水基準を超過した事業場に対して、今後の濃度の見込みを把握するため、個別にフォローアップを行いまして対策状況等を確認しておりますが、各事業場ともに、継続して一般排水基準は達成可能という見込みがあるというふうに確認しております。
なお、豚房施設などに比べて排水が生じる事業場の割合が低いというところも、こういった濃度の差になっていると認識しているところです。
これらの豚房施設、牛房施設の状況を踏まえまして、見直しの案を3ポツ以降に記載をしております。
先ほど表でお示ししたとおりではございますが、豚房施設を有する事業場については400㎎/Lのまま据え置いて延長するということが適当と考えております。
また、牛房施設のみを有する事業場については、全ての事業場、一般排水基準を達成可能な見込みがあるという状況でしたので、一般排水基準に移行するというところでお示しを考えております。
なお、今回、豚房施設を延長する案をお示しておりますが、延長する場合には、見直し後の取組が非常に重要であると考えております。今後の取組については8ページに掲載しております。事業場の規模、畜舎の面積等に応じた排水実態の把握であったり、今後の濃度低減の方向性の整理というのをしっかり進めてまいりたいと考えております。
続きまして、工業分野の検討結果になります。別添2、通しで17枚目でございます。
工業分野には、ほう素、ふっ素、硝酸性窒素のいずれかの暫定排水基準が適用されている業種が平成13年当初、34の業種がございましたが、現在は7の業種まで改善が進んでいるところでございます。これまでの取組において、適用可能な多様な技術の導入というのが進められておりまして、更なる排水濃度の低減には技術的な課題が残っているという業種が多くなっております。個別の業種ごとの概要についても簡単にご説明をさせていただきます。
まず、ほうろう鉄器製造業でございます。これらの事業場、釉薬の変更や排水処理工程の変更などによる対策を進められてきておりまして、ピーク濃度が低減されてきております。しかしながら、一般排水基準の達成というのはもう一息難しいという状況がございますので、基準値を強化して、延長するという案としております。
続きまして、金属鉱業。こちらはほう素の暫定排水基準が適用されておりまして、残り1事業場が一般排水基準を超過しているという状況でございます。この事業場、現実的に導入可能な処理技術の見通しが立っていないという状況で、現在は地下への還元の可能性を引き続き調査検討されています。現在、排水実態としましては20~30mg/L程度ではございますが、今後さらに深部の開発をされることに伴いまして、濃度が高い地下水を引っ張ってしまう恐れがあると考えられております。そういった恐れがありますので、今回基準値は強化せずに、暫定排水基準を延長するということで案をお示ししております。地下水位が安定する令和9年まで深部のモニタリングをされた上で、次の見直しを進めてまいりたいと考えております。
次に、電気めっき業でございます。こちら、電気めっき業にはほう素、ふっ素の暫定排水基準が適用されております。この業種では薬品の切替え、また工程中のメッキ液のくみ出し量の管理など対策を進めておられますが、導入可能な処理技術の見通しは立っておらず、更なるピーク濃度の低減に課題がございます。ですので、現行の基準値などを延長する案としております。
次に、貴金属製造・再生業でございます。こちらには、硝酸性窒素等の暫定排水基準が適用されております。生物処理等によって、排水濃度の改善というのが見られる事業場もございますが、現状、一般排水基準の達成が可能な範囲で導入可能な処理方法の見通しが立っておらず、希釈による対策以外に濃度低減の抜本的な方策がないという状況でございます。また今後、更なる貴金属リサイクルの推進等による金属、貴金属の取扱量増加によって、アンモニア及び硝酸性窒素の使用の増加も見込まれており、排水処理への負荷が増加することが考えられます。現行、そのような状況を踏まえて基準値を強化せずに延長するということで案としております。
次にジルコニウム化合物製造業ですが、こちら、硝酸性窒素等の基準が適用されており、一般排水基準を超過していた事業所は1事業場のみとなっておりました。こちらは事業場対策が既に完了しておりまして、一般排水基準を達成できる見込みが立ったということがございますので、ジルコニウム製造業については一般排出基準へ移行するということで考えております。
次にモリブデン製造業でございますが、こちら硝酸性窒素等の暫定排水基準が適用されておりまして、一般排水基準を超過する事業場は1事業場となっております。こちらはアンモニアストリッピング装置の導入等を進めておられますが、この処理技術は配管等が閉塞するといった技術的な課題などがいまだ解決できていないという状況でございますので、現行の基準値のまま延長するということで案を示しております。
最後に、バナジウム化合物製造業でございます。こちらも同様に、硝酸性窒素化合物の暫定排水基準が適用されており、モリブデン化合物と同様にアンモニアストリッピングによる処理による課題がございます。しかしながら、こちらの業種は、原材料の変更等による濃度低減の見込みがあるということでお聞きしておりまして、基準値を強化した上で延長する案としております。
工業分野においても、見直し後の取組が非常に重要であると考えております。26ページにお示ししておりますが、今後も関係省庁や自治体、業界団体と連携の下、適切な運転管理の指導というのを進めていくほか、個別事業場へのフォローアップ、改善余地の確認というところも含めて、いろいろと取組を進めてまいりたいと考えております。
非常に長くなり恐縮でございます、資料の1の説明は以上となります。
【古米部会長】 ご説明どうもありがとうございました。
 それでは議題1に関しまして、ご質問、ご意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 特に挙手はないようですが、よろしいでしょうか。
それでは、特にご意見、ご質問ないようですので、資料の表の2にある、ほう素、ふっ素、硝酸性窒素の暫定排水基準の見直し案として、ただし、適用期間が3年3か月、窒素含有量の基準にあわせて、令和10年の9月30日までということでよろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明のとおり進めさせていただきます。よろしくお願いします。
それでは議題の2に移らさせていただきます。議題の2、農薬の長期ばく露による影響評価の導入ということで、事務局よりご説明をお願いいたします。
【今木農薬環境管理室長補佐】 事務局の農薬環境管理室の今木と申します。私のほうから審議事項の二つ目、農薬の長期ばく露による影響評価の導入についてご説明いたします。
資料2-1と2-2がございますが、2-1でご説明差し上げる予定でございます。
農薬に関しましては、許認可制度を取っておりまして、農水大臣の登録がなされていない農薬に関しましては、製造や販売が禁止されているという状況でございます。農薬の環境に対する影響の評価に関しましては環境省のほうで実施しておりまして、令和2年度からの法改正に伴いまして評価対象となる動植物を陸域の鳥であったり、野生ハナバチ類にも拡充するなど、リスク評価の充実を図ってきたところでございます。
現行の評価におきましては、メーカーさんから提出されます急性毒性試験の結果に基づきまして、個体に与える急性の影響というところに着目して評価を実施しているところでございますが、長期のばく露による個体群の存続に与える影響についても適切に評価するということが求められているところでございまして、第6次環境基本計画あるいは生物多様性国家戦略といったところで、新たに長期ばく露による影響を対象としたリスク評価を導入するというところがうたわれているところでございます。
次のページをお願いします。
環境省では、平成25年度以降、請負事業等を利用しまして情報収集や課題の整理等を実施してきたところでございまして、これらの検討結果を踏まえまして、令和4年度から各種の検討会におきまして、評価の在り方及び具体的な評価方法等を議論したところでございます。
昨年6月27日、それから9月12日に開催いたしました本部会の下に設置されております農薬小委員会におきまして、繁殖能を含む個体群の存続に与える影響を評価するということを基本的な考え方とします評価の在り方、それから、具体的な評価方法等に係る答申案を取りまとめいただいたところでございまして、本日部会でご審議をお願いしたいと考えているところでございます。
水域と陸域で少し異なりますので、分けてご説明をさせていただければと思いますが、基本的な評価フローにつきましては、現行の評価と基本的なところは同じでございまして、毒性試験の結果から設定いたしました登録基準値を環境中の予測濃度を比較しまして、登録基準値を下回るようであれば農薬として登録可能で、その基準値を上回るようであれば、農薬として登録できないというフローとしております。
次のページ、お願いします。
評価対象の動植物でございますが、現行の急性の評価におきましては魚類と甲殻類等のほかに藻類等を対象としておりますが、資料の一番下の※にありますが、藻類等につきましては現行の評価において生長の阻害作用というところを見ておりまして、既に個体群の存続に与える影響を評価しているとみなせることから、今回の評価の追加の対象とはしておりませんで、評価の対象動物は魚類と甲殻類等のみとしております。
評価に用いる試験成績でございますが、OECDのほうで国際的に統一されたテストガイドラインが定められておりますので、そちらの魚類初期生活段階試験、それからオオミジンコ繁殖影響試験というのを新たに要求することとしております。
これら、それぞれにつきまして、最も低い無作用濃度、又は10%影響濃度を不確実係数10で除すことによって登録基準値を設定するというふうに考えておりまして、その下、魚類についてただし書きが付いておりますが、不確実係数が種差を考慮したものとなっておりますので、ある程度、生物学的な分類上で幅広い魚種での試験成績が提出された場合につきましては不確実係数を下げることとしております。こちらにつきましては現行の評価と同じ考え方となっています。
次のページをお願いします。
登録基準値と比較します環境中予測濃度の算定でございますが、こちらにつきましては段階制(Tier制)で行うこととしております。
第1段階では、農薬の種類によらず一律に設定された農薬の流出係数等を用いて算定することとしておりまして、それが登録基準値を超過した場合には水質汚濁性試験等の試験結果を用いて、さらに数値を精緻化するということとしておりまして、これまで急性の評価では農薬のピーク濃度と比較をしておりましたが、一定期間の平均濃度と比較するということにしております。
環境中予測濃度を計算で求めますので、前提となる環境モデルというものを設定しておりまして、こちらは次のページにお示しをしておりますが、現行の評価と同じ環境モデルを用いる予定としておりまして、こちらは国土面積に占める水稲の作付面積であったり農耕地の面積、あるいは河川の面積の割合等を考慮して、モデルを設定しているものとなっております。
続きまして陸域の評価でございます。
こちらもフローとしましては、先ほどご説明いたしました水域と同じでございまして、登録基準値と予測ばく露量を比較して、登録基準調査を下回るようであれば農薬として登録可能で、登録基準値を上回るようであれば、農薬として登録不可ということにしております。
次のページをお願いします。
評価の対象動物でございますが、急性の評価では、鳥類のほかに野生ハナバチ類についての評価をしているところでございますが、こちらにつきましては現行の評価におきまして、個体群の維持を目標とした評価が既に実施されていることから、新たな追加の対象とはしておりませんので、評価の対象動物としては鳥類のみとしております。
評価に用いる試験成績でございますが、現行、既に要求させていただいております鳥類に急性経口毒性試験に加えまして、鳥類の繁殖毒性試験を要求するということを考えております。こちらにつきましては、先ほど水域のほうでご説明しましたが、OECDのテストガイドラインのほかに米国のEPAが独自に定めておりますガイドラインがございますので、このガイドラインに従って実施された試験についても利用可能としております。
登録基準値につきましては、無毒性量、こちらは繁殖毒性試験のほうから得られる結果でございますが、こちらと急性経口毒性試験で得られるLD50を小型鳥類の体重相当に補正した値をさらに10で割ったもののいずれか低い値をさらに不確実係数5で除して算出するということにしております。
次のページ、お願いします。
基準値と比較する鳥類の予測ばく露量でございますが、こちらも水域と同じく段階制(Tier制)で行うこととしておりまして、1段階目の初期評価につきましては農薬の種類によらず、一律に設定された係数等を用いて算定するということにしておりまして、小型鳥類が水稲(もみ)、果実、種子、または昆虫等をそれぞれ単一で摂餌するようなばく露シナリオ、それから田面水、これは田んぼの水でございますが、これを飲水するばく露シナリオを想定しております。
これらに加えまして生物蓄積性が懸念されるような場合、あまり数としては多くないというふうに考えておりますが、そういった場合には、これらのシナリオに加えて、魚類、あるいは土壌無脊椎動物、それらを捕食するような鳥類を更に捕食するといった高次のばく露シナリオを想定しております。
初期評価が基準値を超える場合には、二次評価をおきまして作物残留試験等の結果を用いて、さらに予測暴露量を精緻化するということを想定しているところでございます。
ご説明は以上となりますが、最後のページに海外の状況を記載しております。欧米では既にこういった評価が実施されておりまして、評価に必要な資料が要求されているところでございまして、今回、導入予定の案と比較しておりますが、基本的に要求する資料につきましては同様としております。
ご説明は以上となります。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
【古米部会長】 ご説明どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの議題に関しまして、ご質問、ご意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。長期的な農薬ばく露の影響の評価を追加しているという内容です。
 特に挙手がないようですけれども、よろしいでしょうか。
 特にないようですので、これを部会の決議としてパブリックコメントを行います。その後、中央環境審議会の会長に報告させていただきます。その上で大塚会長の同意が得られましたら、中央環境審議会議事運営規則第6条第1項の規定に基づいて審議会の決議とさせていただき、大臣への答申の手続を取らせていただくようにしたいと思います。
 なお、パブリックコメントにおいて寄せられた意見を踏まえて修正する場合についても、私、部会長にご一任いただけるということでよろしいでしょうか。
 よろしいですかね。特にご発言ないようですので、部会長のほうで修正があれば対応させていただくということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは次の議題に移ります。議題3、報告事項です。報告事項は全体で4件、担当者の都合により、まず先に資料3の説明、質疑応答をまとめて行います。その後、続いて資料4から5について説明を行った後、その質疑応答を行う形で進めさせていただきます。
それでは、まず資料3、水質汚濁に係る生活環境保全に関する環境基準の見直しについて、事務局よりご説明をお願いいたします。
【亀井環境管理課長補佐】 ありがとうございます。環境省環境管理課の亀井です。
 資料3、水質汚濁に係る生活環境保全に関する環境基準の見直しについてご報告します。
2ページ目を御覧ください。
背景として、閉鎖性水域ではこれまで水質保全対策を進めてきたことによりまして、汚濁物質の流入負荷量は減少傾向にあり、激甚な水質汚濁については改善をしてきたところです。一方で、一部の閉鎖性水域では環境基準であるCODの高止まりですとか、逆に貧栄養によって水産資源への影響が生じている、そういった問題が発生しているところもあります。
これを受けて2年前、令和5年の6月に「今後の水・大気環境行政の在り方について」という意見具申を中央環境審議会からいただきました。また、これを受けて、第6次環境基本計画が昨年5月に閣議決定されたところですけれども、この中で、地域のニーズに応じた生活環境の保全に関する環境基準の在り方の検討を進めることとされました。
これを受けて、地域の水環境保全に関する課題が多様化する中で、この水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準、具体的にはCODや窒素、リンといったものについて、既存の制度では課題がある水域において、地域のニーズや実情に応じた柔軟な運用を可能とするため、関係する告示等を改正し、施行しました。
審議の経緯としましては、昨年9月に中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の下の生活環境の保全に関する水環境小委員会で審議いただきました。これを受けて、10月から11月にかけてパブリックコメントを実施し、96件のご意見をいただきました。本年1月にこの見直しについて第3次答申をいただき、2月14日に告示と事務処理基準を改正いたしました。
次のページをご覧ください。3ページ目をお願いします。
改正の内容です。大きく4点ございます。
まず1点目は適時適切な類型の見直しです。環境基準の水域類型は、一度設定されるとやや硬直化してしまう傾向もありましたけれども、このたび事務処理基準に、水質汚濁の状況や利用目的の実態、科学的知見等に応じて、地域関係者と協議をした上で、柔軟に水域類型の指定及び適時適切な見直しを行うことを明記いたしました。
また、この告示の中で、現状非悪化の原則があり、基準値の高い水域類型、例えば全窒素であればⅡ類型からⅢ類型へ見直すのは悪化ではないかということで、なかなか見直しがしづらかったところですけれども、貧栄養の問題が生じていることを踏まえ、地域の利用の態様に合わせて適切に水質を管理するために見直す場合は、水質の悪化を許容することには当たらない、ということを事務処理基準に明示しました。これによって基準値の高い水域類型へ見直すことも可能としました。
2点目が、利用目的の適応性に係る水浴の見直しです。水浴が水域類型の利用目的にありますけれども、広い水域の中で1か所でも水浴場があると、その類型に設定しているところもありましたけれども、沖合まで含めて水域全体の水質と、水浴場に求める水質は、必ずしも一致しないことがあります。これを受けて、各類型の利用目的の適応性から水浴を削り、水浴を利用目的とする測定点については、大腸菌数を規定しました。
3点目に、季別の類型指定です。これまで環境基準の水域類型は通年で設定しておりましたけれども、例えば夏と冬で利用目的が異なる、夏は綺麗な水質を求めるけれども、冬はのりの養殖をするからもう少し栄養塩が欲しいといったような場合、月単位で区分をして、季別に類型を指定することができることとしました。
最後に4点目、CODの達成評価の変更です。CODが高止まりしているということもあり、CODの排出を削減してきているにもかかわらず、水域のCODは下がっていかないときに、環境基準を達成するためにさらに窒素やリンを減らしていかなければいけないとすると、その地域で貧栄養化が問題になっていたり、豊かな海を求めている場合に、必ずしも利用目的と一致した対策が取れないといったこともございました。これを受けて、湖沼、海域の一部において、有機汚濁を主因とした利水上の支障が継続的に生じていない場合、CODの環境基準の達成状況の評価は必ずしも行わなくてよいこととしました。これによって、CODが環境基準を達成してないから、さらに窒素、リンを削減しなければいけないといったことは行わなくてもよいということです。ただし、CODの評価を行わない場合であっても、有機汚濁に関するモニタリングは、CODや底層溶存酸素量などによって継続して実施をすることとしています。
4ページ目以降は具体的な告示や事務処理基準の改正内容や補足事項をまとめております。
資料3の説明は以上です。
【古米部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま資料3に関しましてご質問、ご意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 既に告示が出て、これは報告事項ということでございますけれども、いかがでしょうか。特に挙手がないようですが、よろしいでしょうか。
【大塚委員】 ありがとうございます。
 関連して、参考資料のほうでお伺いさせていただけるとありがたいんですけども、参考資料の2が今のと関係すると思うんですが、よろしいでしょうか。
【古米部会長】 お願いします。
【大塚委員】 CODに関してのところに関連するんですけれども、参考資料2の10ページのところで、今まででも水域のCODの改善が見られない事例というのがスライド10の事例の1にありますが、先ほど来ご指摘いただいたような、窒素、リンとか貧栄養化の問題があることは分かるんですけれども、事例1の近畿地方のところにあるように、湖内由来の難分解性の有機物の影響でCODの値が下がっていないという場合に、湖の中での対応を考えなくちゃいけないんじゃないかという気もするのですが、この件に関しても、多分CODに関して測定をしないことになっていくんじゃないかと思うんですけども、それは大丈夫なのかと若干心配がなくはないものですから教えていただけるとありがたいと思いました。
【亀井環境管理課長補佐】 環境省の亀井です。ご指摘ありがとうございます。
まず、先ほどご説明が不十分だったかもしれませんが、あくまでCODの達成状況の評価は必ずしもしなくてもよいということでして、有機汚濁に係るモニタリングについては引き続き実施いただく必要がございます。
この問題の背景としては、CODが、陸域からの流入負荷は削減してきているにも関わらず、それ以上、海域において減らなくなってしまっている、その要因が、例えば、事例にありましたような難分解性有機物、あるいは外洋からの流入、内部生産、底質からの溶出とか、そういった様々な、陸域の負荷によらない問題によってCODが下がらない。陸域の負荷をこれ以上下げても水域のCODが下がっていかないような場合に、CODが環境基準を達成していないから、さらに栄養塩を、陸域からの窒素やリンを削減しなければいけないと、こういった議論にならないように、CODの達成状況の評価はしないことを可能にしたものでして、引き続きモニタリングについては実施し、こういった原因についても解明して対策を考えていく必要はあると考えております。
【大塚委員】 ありがとうございます。それで、原因を解明して削減していくというのは、どういう方法でやるかというのは、まだここには出てこないわけですね。
【亀井環境管理課長補佐】 そうですね。それは海域でケースバイケースのところもありますし、まだ科学的に十分分かっていない発生経路もあると思いますので、その辺りは引き続き、調査研究を、地域に応じて進めていく必要があると思っております。
【大塚委員】 ありがとうございました。
【古米部会長】 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。挙手がないようですけれども、よろしいですか。
それでは、特にご発言がないようですので、次の議題に移らさせていただきます。
 続きまして資料の4から5と続けて、事務局よりご説明をお願いいたします。
【彦坂水道水質・衛生管理室長補佐】 それでは資料4につきまして、水道水・衛生管理室の彦坂からご説明させていただきます。
資料4の2ページ目、背景をご覧ください。
背景でございますが、PFOS及びPFOAにつきましては、今般、令和6年6月に内閣府食品安全委員会が有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価を取りまとめたこと等を踏まえて、令和2年2月6日に中央環境審議会水環境・土壌農薬部会水道水質・衛生管理小委員会(第1回)及び人の健康の保護に関する水・土壌環境基準小委員会(第1回)を合同で開催して、「水道における水質基準等の見直しについて(第1次報告案)」及び「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第7次報告案)」がそれぞれ取りまとめられました。
これを踏まえて、水道におけるPFOS、PFOAにつきましては水道法に基づく水質基準に関する省令及び水道法施行規則の一部を改正することを予定しております。
現在、これらの報告案につきまして、3月27日までパブリックコメントを行っているところでございます。今後パブリックコメントの結果を踏まえて、水道につきまして、省令の改正に向けて今後必要な手続を進めさせていただきたいと考えております。
それでは、現在、意見募集を行っております報告案の内容についてご説明させていただきます。
別紙1-1でございます。こちらが先月2月6日に水道水質・衛生管理小委員会で審議して取りまとめた水道における水質基準等の見直しについて(第1次報告案)でございます。
資料の1ページ目の「はじめに」でございますが、真ん中以降でございますけれども、水道につきましては、令和6年4月に厚生労働省から環境省に行政移管されまして、これを踏まえて、水道水質・衛生管理小委員会が設置されました。令和7年1月10日に環境大臣から中央環境審議会会長に水道における水質基準等の見直しについて諮問がなされたところでございます。
今回の第1次報告案では水道水中におけるPFOS及びPFOAにつきまして、現在、水質管理目標設定項目として、暫定目標値として50ng/Lが令和2年から施行されているところですけれども、内閣食品安全委員会の評価書を踏まえて、これらの取扱い等について検討したものでございます。
3ページ目から、検討結果についてご説明いたします。
まず、3ページ目の分類見直しにつきましては、最近3か年の水道統計の結果や、水道の全国調査結果等の結果を踏まえまして、PFOS及びPFOAの検出状況等から現在の水質管理目標設定項目から水質基準項目へと分類変更を検討すべき項目に該当しているとしております。
続いて、4ページ目から6ページ目にかけまして、基準値等の検討を行っております。
真ん中の黒の枠囲みのところでございますけれども、今般、内閣食品安全委員会の評価書におきまして、耐容一日摂取量(TDI)が示されたところでございます。食品健康影響の指標値はTDIとして、PFOS及びPFOAがそれぞれ20ng/kg 体重/日と設定することが妥当と判断されました。
これを踏まえまして、4ページ目の下のほうに計算式がございますけれども、我が国の水道水の水質基準値等の設定で通常用いられている体重50kg、1日当たり摂取量2L、また、水道水の割当率10%を用いて、PFOS及びPFOAがそれぞれ50ng/Lが基本となるといたしました。その上で、現在の暫定目標値の考え方と同様、安全側を見て、基準値としては合算値として、PFOS及びPFOA合算値として50ng/Lとすることが適当であるとしいます。
続いて、5ページ目から7ページ目にかけて、水道法に基づく水質検査の検査回数、検査の省略について記載しています。
水質検査につきましては、現在の水質基準項目の有機化合物をおおむね3箇月に1回以上の頻度で規定されていることから、PFOS及びPFOAも、おおむね3か月に1回以上を基本とすることが適当であるとしています。
また、検査の負担軽減につきましても検討を行いまして、6ページ目からでございますけれども、簡易水道事業、また、水道用水供給事業からの受水を行っている水道事業につきまして、おおむね3箇月に1回以上の検査回数を基本とするものの、検出状況など一定の条件を満たす場合には、おおむね3箇月、または1年に1回以上に軽減することができることなどを整理しています。
それから、最後に7ページ目のところで、(4)施行時期についてです。
今回、水質基準に引き上げられることに伴いまして、水道事業者等がPFOS及びPFOA対策として実施する設備工事等の対応や、登録水質検査機関等がPFOS及びPFOAの検査実施に向けた対応を行うため、令和8年4月1日とすることが適当であるとしています。
第1次報告案の概要は以上でございまして、これを踏まえまして、別紙1-2に、水道法に基づく水質基準に関する省令で、水質基準項目にPFOS及びPFOAを追加すること、また検査の回数等につきましては水道法の施行規則を改正することしております。現在これらの案についてのパブリックコメントを行っているとところでございます。
【吉﨑有機フッ素化合物対策室長】 続きまして、同じ資料4の別紙2、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第7次報告案)につきまして、有機フッ素化合物対策室の吉﨑より説明申し上げます。
先ほど説明があったのは水道における目標値の設定についてでございますが、こちらの別紙2のほうは、公共用水域と地下水における取り扱いについての資料となっております。
1ページ目の「はじめに」のところをよろしくお願いします。
「はじめに」において位置づけを記載しておりますけれども、1段落目、2段落目におきまして、公共用水域や地下水における環境基準、そして要監視項目、こうした体系について説明をしております。3段落目15行目からでございますけれども、PFOSとPFOAにつきましては令和2年に第5次の答申におきまして、要監視項目に位置づけ、この際、その時点では明確な基準値、指針値の設定が困難であるという状況でございましたので、指針値(暫定)という形でPFOS、PFOAの合算値50ng/Lというものを設定してございました。
4段落目でございますが、令和6年6月に食品安全委員会が評価書を取りまとめたということを受けまして、先ほどの水道と同様、この内容について議論をしたというものでございます。
おめくりいただいて、3番、検討結果でございますが、PFOSとPFOAに関して食品安全委員会において、TDI、耐容一日摂取量を設定したということを踏まえて、明確な基準値、指針値の設定が可能と判断されることから、これまでの指針値(暫定)をほかの要監視項目と同様に、指針値という形で暫定を外すという取り扱いにしております。その際、指針値の導出においては水道と同様、寄与率、体重、1日当たりの摂取量等についての基本的な考え方を適用し、食品安全委員会の評価結果を踏まえると、PFOS、PFOA、それぞれ50ng/Lというのが基本となりますが、安全側の観点から、合計値として50ng/Lとすると整理してございます。
次のページ、4番、「おわりに」のところでございますが、1段落目は、今申し上げた結論を得たということを記載しておりまして、2段落目において、この指針値をどのように運用していくかということでございます。PFOSとPFOAは引き続き、環境中で検出される状況が認められるという中で、健康リスクの低減の観点からは水道と一体的に、水道側では水道水質基準への位置づけということがなされますが、環境側でも、水道水源等での重点的な環境モニタリング、飲用井戸等での検査促進、そして指針値を超過した場合には飲用摂取を防止すると、こうした取組を通じて健康リスクをしっかり低減していくと整理しております。
10行目からでございますが、その上で、製造・輸入等は、このPFOS、PFOA、既に原則禁止されているという中ではございますけれども、環境中で指針値を超過した地域での汚染の態様が様々であるということを踏まえまして、3点について引き続き知見を収集する、そして検討するということで記載しております。
まず、①番12行目でございますけれども、環境中への流出や環境中での拡散についての知見の収集、そして、効果的、効率的な対策技術についての知見の収集、こちらについては今年度、補正予算で対策技術実証事業を実施する予定でございますので、そうしたものを活用しながら、知見の収集を進めていく必要がある旨、記載しております。
 そして、それをどのように実装していくかということで、これらの成果を地方自治体等に提供しながら、汚染の対応に応じた対策の効果や実行可能性、さらに健康リスクの低減にはどのような対策が効果的かということも含めて、検討を進めていく必要がある旨、記載しております。
 そして3点目ですが、水質汚染による食品への影響についても、他省庁において今研究等が実施されているというところでございますので、そうした知見についても把握していく必要があると記載しております。
 こうしたことから、当面、環境中での検出状況のほか、以上申し上げたような様々な知見の集積を図りながら、引き続き、この取扱いについて検討していくと整理しております。
 こちらについても、先ほどの水道と同様ですね、今週27日までパブリックコメントにかけておりますので、その意見を踏まえて、必要な対応を進めていきたいと考えております。
 資料4の別紙1、そして別紙2のご説明は以上でございます。
【古米部会長】 それでは資料5をお願いいたします。
【瀬戸内海洋環境課長補佐】 海洋環境課の瀬戸内と申します。資料5について説明をさせていただきます。
 海洋汚染等防止法に基づく水底土砂の海洋投入処分における判定基準の見直しについてでございます。
 海洋汚染等防止法においては、廃棄物の排出を原則として禁止しつつ、一部の廃棄物については例外的に排出を認めております。その例外のうち、水底土砂について排出することができる基準というのを判定基準省令で定めております。
 この基準についてですが、溶出試験で基準値を設定しておりまして、この基準ですが、水底土砂から溶出した有害物質が海水において希釈されるというような状況になります。希釈されるものについては、一般的に工場から環境中に出るようなものと似たような効果を有すると考えられておりまして、従来より水質汚濁防止法に基づく排水基準を参考値としております。
 この判定基準の見直しにつきまして、過去、排水基準で改正をしておりましたカドミウム、トリクロロエチレン、六価クロムについて今回見直しの検討を行いました。見直しの検討に当たっては有識者で構成される検討会を行うとともに、事業実施中の海洋投入処分を実施している事業者であったり、港湾関係、漁港関係の関係者にヒアリングを行い審議を進めまして、排水基準を参考とする従来の考え方が妥当と結論を得たため、下の表のとおり、排水基準に合わせる形で改正をしております。こちらにつきまして、今年の3月3日に公布しておりまして、施行は10月1日を予定をしております。
 もう一つですが、判定基準を測る検定方法につきまして、見直しを今進めているというものでございます。見直しの内容といたしましては、基準値を変えるに当たって検定できない方法が規定されていること、あとはJIS規格の今改定作業が進められておりまして、こちらは新しいJIS規格に沿うような形になるように今進めております。
 こちら、今作業を進めておりまして、夏ごろ公布をして、施行については先ほどと同様、10月1日に合わせて施行できるような形で準備を進めているところです。
 私からの説明は以上になります。
【古米部会長】 ご説明どうもありがとうございました。
 それでは資料4、資料5につきまして、ご質問があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 大久保委員どうぞ。
【大久保臨時委員】 はい。ご説明ありがとうございます。
 資料4の別紙2の最後のページについて、2点お伺いしたいと思いますけれども、1点は、モニタリングの促進部分ですけれども、具体的に現在、まだ検査が十分なされていない飲用井戸等が多数存在すると言われていますけれども、この促進のために、具体的にどのような方策が予定されているかということが1点。
 それから2点目は、今回の2物質以外に類似物質が代替物質として使われていて、PFOS・PFOA以外のものについて高濃度で検出される例があるというふうに認識しておりますけれども、今回のことに限らず、中期的に見た場合には、どのような物質に代替していくかということの予測可能性も含めまして、見通しを立てておくことが重要と思いますので、その見通しについてお伺いできればと思います。以上2点です。
【古米部会長】 いかがでしょうか。
【吉﨑有機フッ素化合物対策室長】 ありがとうございます。水道室からお答えにいただけますでしょうか。
【柳田水道水質・衛生管理室長】 水道水質・衛生管理室長の柳田です。ご質問ありがとうございます。
 1点目につきまして、まずモニタリングに関してですけれども、水道水について、昨年度PFOS・PFOAに関して、水道事業者等に対する全国的な調査を行ったところでございます。一部、まだ検査を実施していないというところもございますので、結果を取りまとめて以降、本年、引き続き、調査のお願いの依頼をかけているところでございます。
 とはいっても、これは義務ではないので、100%というふうにはなかなかいかないんですけれども、いずれにいたしましても、施行されますと検査自体は義務ということになりますので、そういった検査結果を取りまとめて、また公表していければというふうに考えております。
 2点目でございますけれども、PFOS・PFOA以外のPFASにつきましては、水質基準、水質管理目標設定項目の下に、要検討項目という、これも法律的な義務ではないんですけれども、知見の収集に努めるというものがございまして、PFHSをはじめ8物質、これを要検討項目に位置付けまして、いろいろ知見の集積に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
【吉﨑有機フッ素化合物対策室長】 少し補足をいたしますと、大久保委員のご質問、井戸についてのお話だったかと思いますが、井戸の検査については別紙1-1の(6)その他のところで、PFOS及びPFOAについて水質基準項目とする場合、「飲用井戸等衛生対策要領の実施について」という、これは通知になりますが、その要領の中で、水質検査の項目として、PFOSとPFOAを例示するという形で、これらを測定してくださいと一層働きかけをしていきたいというところでございます。
 併せて環境側でも、水道水源等での重点的な環境モニタリングと記載しておりましたけれども、水道水源に加えて飲用井戸等が存在している地域も含めて、環境側でもモニタリングを進めてほしいということで、自治体にはお願いをしているところでございます。
 以上です。
【古米部会長】 ありがとうございます。大久保委員、いかがでしょうか。
【大久保臨時委員】 ありがとうございます。2点目の質問に関しては、引き続き情報共有等も含めまして、ご検討いただければと思います。
【古米部会長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 それでは私から1点。先ほど大久保委員の2点目のPFOS・PFOA以外のPFASに関しては環境省の総合推進費で研究が進んでいるように私は認識しております。先ほど説明があったように、要検討項目として8物質、追加されたというご説明を聞いたんですけれども、今回の資料についてはそれが特段、記載されていないように思います。それは別の形で周知されるというか、公表される予定があるんでしょうか。
【柳田水道水質・衛生管理室長】 水道水質・衛生管理室の柳田です。ありがとうございます。
 これにつきましては、今後PFOS・PFOAについて、省令を改正するタイミングで通知を発出するということを予定しておりまして、その中で、この8物質について新たに、PFHSは引き続きですけれども、8物質について、要検討項目に位置付けるという通知を発出して周知するという予定にしております。
【古米部会長】 はい、分かりました。
 それでは古矢委員どうぞ。
【古矢臨時委員】 ご説明ありがとうございました。
 水質の暫定項目から水質基準になるということで、水道事業者にしてみると、今現在、基準内で水を供給できるというところでも、今後、取水する地下水だとか川によってはPFOA・PFOSが基準値を上回って出水してくる場合もあると思うんですよね、今後。そうした場合ですね、まず事業体にしてみれば、基準内に抑えなければ水を供給できなくなるわけですから、そうなった場合に様々な対応が必要になってくると思うんですけども、そうなった場合に、環境省として各水道事業体とどのように連携を取っていくのかというものが、具体的に話せるものがあればお聞きしたいなと思うんですけれども、お願いいたします。
【柳田水道水質・衛生管理室長】 ありがとうございます、水道水質・衛生管理室、柳田です。
 昨年行った調査によりますと、暫定目標値である50ng/Lを超えているというところが幾つかございましたけれども、そこにつきましては、それぞれ水源の切替えだとか、あとは活性炭設備導入等によって対応がなされたと聞いているところでございます。その対応につきましては、国土交通省さんのほうで対応事例という形でまとめているというところでございます。ですので、もし今大丈夫であっても今後超えているようなところがありましたら、そういった事例等を参考に、各水道事業者においてご対応いただくというふうに考えております。
 以上です。
【古矢臨時委員】 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【古米部会長】 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。それでは議題の3を終わらせていただきます。
 それでは、以上が議題でございますけれども、委員の皆様、全体を通じてご質問、ご意見があればお受けしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。今日、審議事項2件と報告の内容でございましたが、よろしいでしょうか。
 豊田委員どうぞ。
【豊田臨時委員】 豊田です。教えていただきたくて、手を挙げさせていただきました。
 硝酸性窒素の暫定排出基準の見直しの畜産分野についてなんですけれど、牛のほうは順調に下がってきていて、今回暫定が取れて、一般排水基準に戻せるというのか、できるということで非常に喜ばしいことと思います。
 一方で豚のほうは、やはりこの後の図でお示しがあるように、小規模の養豚農家というのが、恐らく経費的な問題で排水設備が導入できなくて、非常に高くなっているんだと思うんですけれど、これと同じようなことが牛にも言えると思うんですが、牛はほぼ完全にクリアできているのに、豚のほうではまだまだクリアできない農家さんが一定数あるというのは、どのように考えられているんでしょうか。
【上津環境汚染対策室係長】 ご質問ありがとうございます。
 まず全体数として、牛と豚で公共用水域に水を流す事業所の数というのが非常に違うというところが一つあると認識をしております。その中で、数が少ない中で、牛については対策を進めていただいているところなのかなという状況で、豚についても、なかなか養豚事業者様、取組を進めていただいているところではありますけども、どうしても全体数の中から高濃度の事業所数というのは多く残ってきているのかなというところは課題と認識しておりますので、今後そういった小規模な事業所へのフォローアップというのはしっかりと行っていきたいなと考えているところでございます。
【豊田臨時委員】 分かりました。ちょっと私の記憶というのはデータが古いんですけれど、確か10年か20年前までの統計によると、この暫定基準で、排水基準をオーバーして流してしまっている小規模畜産農家が、日本全体の豚の飼育頭数の半分ぐらいを占めているので、依然、養豚業界からはかなりの硝酸性窒素が流されてしまっているというような記憶があるんですけれども、もしかして間違っているかもしれませんが、今回の場合、着実に平均値としては下がっているので、日本全体で見た場合に、日本全体で飼育されている養豚、豚さんの数のうち、この一般基準、100以下になるこの累積数で71%になっているんですけれど、これ豚の数から見ると、どれぐらいの養豚業者が一般基準をクリアできているんでしょうか。
【上津環境汚染対策室係長】 ご質問ありがとうございます。すみません、頭数ベースでの達成率というところ、現状評価していなかったところですので、今回のご指摘を踏まえて、次の見直しに向けて、そういった視点でのカバー、特に次回の見直しに向けては規模別、こちらの資料の(3)でもお示ししたのをご覧いただいたところかと思うんですけども、特に大きいところというのは規模が低いと。
【豊田臨時委員】 そうですね。なので、70%がクリアできているので、数にすると、もっと高くなるとは思うんですけれど。
【上津環境汚染対策室係長】 そうですね、規模が大きいところのほうが基準値をよく守れているという状況がございますので、その辺り、頭数ベースでの評価というのもしっかりとしていきながら、どの規模で裾切りをといいますか、規模を下げたらどういう効果があるかというのはしっかりと把握していきたいなと思います。ご指摘ありがとうございます。
【豊田臨時委員】 はい、ありがとうございます。
【古米部会長】 どうもありがとうございました。
 ちょうど私も同じところを見ておりまして、資料1の6ページのところでは、牛房の場合には4事業者で、飼育頭数が43~1,000幾らと書いてあるんだけれども、豚房のほうは事業者数が多いので、そういった整理はできないと想像しました。次回からは、頭数についてある程度幅を持った規模ベースで、どういう排出状態になっているのかということが整理されてくるということのように理解いたしました。どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。特に挙手ないようですので、以上をもちまして、水環境・土壌農薬部会を終わりたいと思います。
 それでは事務局に進行をお返ししますので、連絡事項等があればお願いしたいと思います。
【吉﨑環境汚染対策室室長補佐】 古米部会長、ありがとうございました。
 本日の議事録につきましては事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきました後にホームページに掲載いたします。
 次回の部会につきましては、別途ご連絡申し上げたいと思います。
 以上で本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございました。