中央環境審議会 水環境・土壌農薬部会 総量削減専門委員会(第10次)(第2回)議事録

議事次第

1.開会
2.議題
 (1)水質総量削減制度に係る取組の実施状況について
   (関係省庁からのヒアリング)
 (2)その他
3.閉会

資料一覧

  • 資料1   総量削減専門委員会委員名簿
  • 資料2   総量削減専門委員会におけるヒアリングの予定
  • 資料3   下水道における汚濁負荷対策等の取組状況について(国土交通省)
  • 資料4   浄化槽による生活排水処理の取組について(環境省)
  • 資料5   農業集落排水事業の取組状況について(農林水産省)
  • 資料6   環境保全型農業の推進(農林水産省)
  • 資料7   家畜排せつ物の適正管理及び水環境対策(農林水産省)
  • 資料8   養殖漁場の環境負荷低減、干潟・藻場の保全・再生の推進等について(水産庁)
  • 資料9   港湾における海域環境改善の取組について(国土交通省)
  • 資料10   藻場・干潟の保全・再生等の里海づくりの推進(環境省)

議事録

午後1時30分 開会
【水谷室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会水環境・土壌農薬部会第2回総量削減専門委員会を開会いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日ですが、WEB会議システムによる開催としております。
 委員の皆様におかれましては、発言時以外カメラはオフ、マイクはミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言を希望される場合には、挙手ボタンをクリックいただきまして、発言を終えられましたらボタンを再度クリックして、挙手を解除いただければと思います。
 会議中、音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら、事務局までお電話、もしくはWEB会議のチャット機能にてお知らせいただければと思います。
 なお、本日の会議ですが、中央環境審議会の運営方針に基づきまして、公開としており、YouTubeの環境省海洋環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。
 本日の委員の出席状況でございますが、委員17名中、14名に御出席をいただいております。定足数の要件を満たしており、専門委員会として成立していることを御報告いたします。
 なお、大久保委員、岡田委員、山口委員から御欠席との連絡をいただいております。
 続きまして、今回の議題でありますヒアリングに対応いただく関係省庁の方々を順に御紹介いたします。
 国土交通省上下水道審議官グループの紺野課長補佐、
環境省浄化槽推進室の佐藤係長、
それから、農林水産省地域整備課の立川課長補佐、
同じく、農林水産省農業環境対策課の長山係長、
農林水産省畜産振興課の夏目課長補佐、
水産庁栽培養殖課の鈴木養殖国際専門官、
同じく、水産庁事業課の安田課長補佐、
同じく、水産庁漁場資源課の贄田課長補佐、
国土交通省港湾局海洋・環境課の山田専門官、
環境省海域環境管理室の森川室長補佐です。
 続きまして、配付資料の確認でございます。議事次第にございますとおり、資料1が委員名簿、資料2からが本委員会における、本日を含む今後のヒアリングの予定、それから資料3~10までが各省庁からの御説明資料となります。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
 それでは、これより議事に移りたいと思います。
 ここからの進行を古米委員長、よろしくお願いいたします。
【古米座長】 承知いたしました。委員の皆様また関係省庁の皆様、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 それでは、早速ですが議事に入りたいと思います。限られた時間の中で円滑な議事進行に御協力をお願いしたいと存じます。
 それでは、議題1、水質総量削減制度に係る取組の実施状況についてということで、事務局より本専門委員会でのヒアリング予定について御説明をお願いしたいと思います。
【工藤推進官】 それでは、事務局より資料2に基づきまして、本専門委員会のヒアリングの予定について御説明をいたします。
 ヒアリングにつきましては、全3回を予定しております。
 本日は、関係省庁からヒアリングを行わせていただく予定となっております。
 また、2ページ目のとおり、ヒアリングの2回目につきましては、3月14日に開催予定の専門委員会におきまして、業界団体として、三重県漁連様、兵庫県漁連様、関係都府県として、瀬戸内海地域から大阪府様、兵庫県様、香川県様、環境団体として、海辺つくり研究会様、矢作川沿岸水質保全対策協議会様からのヒアリングを予定しております。
 ヒアリングの3回目につきましては、3ページ目にお示ししておりますが、産業界から日本化学工業協会様、日本鉄鋼連盟様、日本製紙連合会様、また、関係都府県として東京湾関係から千葉県様、東京都様、伊勢湾関係から愛知県様、三重県様からヒアリング予定となっております。
 ヒアリング項目につきましては、第1回専門委員会で御提示したとおりでございますが、第9次水質総量削減制度に係る取組の実施状況を把握するという観点で、各関係機関に応じたヒアリング項目を設定しております。
 説明は以上となります。
【古米座長】 それでは、ヒアリングに移りたいと思います。
 関係省庁から発表していただく時間は10分程度として、関連するヒアリング対象ごとにまとめて質疑応答を行います。時間が限られておりますので、説明の時間を守っていただき、議事進行に御協力いただきますようお願い申し上げます。
 それでは最初に、水質総量削減制度に係る取組の実施状況。まず下水道、浄化槽、農業集落排水関係について説明をお願いしたいと思います。3件続けて御説明をいただいた後、まとめて質疑応答を行います。
 それでは、国土交通省からお願いします。
【紺野課長補佐】 国土交通省の大臣官房参事官付で課長補佐をしています紺野といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、1ページ目、私からは下水道における汚濁負荷対策等の取組状況について御報告をさせていただきます。
 1ページ目、汚水処理施設の効果的な整備ということで記載させていただいております。御存じのとおりですが、生活排水などの汚水に対する処理施設には3種類ございます。左下の図にあるとおり、中心部では下水道で整備しておりまして、農村部の集落は農村集落排水施設で整備、人家のまばらな周辺部では浄化槽で整備しているというところでございます。
 これらの三つの施設に対して、それぞれの特性や、経済性、地域の実情等を勘案して、地方公共団体が最適な整備手法の割合を都道府県構想で、これは計画の一種ですが、取りまとめておりまして、それぞれの施設を整備、推進しているということになっております。このうち、国土交通省としては下水道を所管しておりまして、下水道について御説明させていただきます。
 令和元年度末までに47都道府県でこの構想の見直しが完了しまして、傾向としては全国的に下水道計画区域が縮小し、浄化槽区域へ転換しているということになっております。
 2枚目では、下水道整備の方法として、そのマスタープランとも呼ばれる流域別下水道整備総合計画の御説明をさせていただきます。
 下水道整備については、この流総計画に基づいて実施されておりますが、公共用水域の水質汚濁は、複数の自治体から放流する汚水に起因する場合が多いので、流域という一つの単位で各下水道事業を相互に関連づけて、流域全体で汚濁負荷量の削減に取り組む必要があります。
 流域計画は、流域を一つの単位として、それぞれ下水道以外も含めてどれぐらいの汚濁負荷量が出てきているのかを計算して、それぞれの下水処理場でどれぐらい削減していけばいいのかを決めているもので、都道府県が主体となって流域における下水道の処理区域や、終末処理場の配置、それぞれの施設整備の実施の優先順位等をこの計画には定めています。そして、この計画に基づいて下水道整備を推進することとしております。
 3ページ目、流総計画の策定状況ですが、まず策定する条件がありまして、これは公共用水域の水質の汚濁が二つ以上の市町村の汚水によるもの、かつ、下水道の整備により水質環境基準を達成する可能性が高い場合に流総計画を策定するとしておりまして、策定の対象流域は全国で151流域、右の図を見ていただくと、白い部分は策定しない箇所ですが、ほぼほぼ全国で策定することになっていますが、このうち147流域、97%の策定が完了しています。
 また、全国の151流域のうち、窒素・りんの水質環境基準が定められた、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海をはじめとする閉鎖性水域に係る流総計画は81流域、54%を占めております。
 右の図でいくと赤線で囲った部分、この流域についてはNP流総ということで、窒素・りんの削減目標を定めないといけないということになっております。
 4ページ目に、これまで下水道による水質改善対策の主な取組を挙げておりますが、一つ目は、一番左の緑の枠です。下水道整備の推進ということで、下水道で処理するエリアを拡大とするという取組でございます。汚水を適切に処理することで河川、海域ごとの水質を保全していくというものです。
 真ん中のオレンジのものが高度処理でして、これは赤潮、青潮の原因となる窒素・りんの除去を目的として、閉鎖性水域を中心に実施しているものです。東京湾等の閉鎖性水域においては依然として赤潮や、青潮が発生していることから、公共用水域の水質保全に向けて、既存施設を活用した段階的な高度処理の導入等を推進してきたということになっています。
 最後に、右の青い枠は合流改善です。合流改善は、そもそも汚水と雨水を一つの管で流す下水道であり、雨の日に流量が多くなってくると、未処理のまま放流するというような問題がありますが、これも合流式下水道の改善ということで推進してきました。
 次のスライドからこれらの三つについて概要を御説明させていただきます。
 5ページです。最初の一番左にあった下水道整備の推進ですが、下水道整備の進捗状況としては、総人口に対して汚水処理人口普及率、これは下水道、農業集落排水と浄化槽を全部含んだもので93.3%。下水だけに限れば、下水処理人口普及率は81.4%で、昭和36年からデータを集めていますが、ほぼ同じ傾きで整備が進んでいるということになっています。これ、数年でほぼ完成と、我々の言葉で概成と呼んでいますが、ほぼ数年で概成する予定となっています。
 さらに、総人口に対する高度処理人口の割合である高度処理人口普及率は38.8%でありまして、高度処理を実施すべき処理場の区域内人口に対する高度処理人口の割合である高度処理実施率に関しては65.7%ということで進捗をしているところでございます。
 6ページ目は高度処理の説明です。下水道の高度処理とは、栄養塩類の窒素・りん等を主な除去対象物質として、より高い水質を得る目的で行う処理のことで、この推進をこれまでも図ってきました。
 窒素除去法、りん除去法、それぞれありますが、窒素除去法にはアンモニア性窒素を硝化菌による硝酸態窒素に硝化させた後、無酸素状態で脱窒菌により脱窒するという生物反応もありますし、りん除去法に関しては、好気状態で放出した以上にリン酸を過剰摂取する脱リン菌の生物反応を利用した除去方法があります。
 ただ、一般的にりん除去法に関しては凝集剤を添加して、それによってりんを回収する場合が多いです。こういう方法で窒素・りんを除去していきますが、後段に説明する栄養塩類の能動的運転管理は、このような処理方法において、窒素を増加する場合は硝化抑制など、りんにおいては凝集剤を添加しないというようなことを行っていきます。
 7ページは、合流式下水道、合流改善に関する説明で、合流式下水道の改善に向けたこれまでの取組というところです。左の上の図に合流式下水道の特徴を書いています。まず汚水と雨水を同じ下水道管で流す方式のことを合流式下水道と言い、早くから下水道整備を進めてきた大都市を中心に全国191都市で採用しています。右の図にある色を塗っているところが、合流式下水道を採用している都市になっています。
 都市の生活環境の改善や公共用水域の水質改善等に大きく貢献してきましたが、一方で、雨天時に汚水の一部が河川等に放出され、水質汚濁や悪臭が発生するという問題になっています。
 平成12年にお台場へのオイルボールの漂着等が社会問題化したことを受け、合流式下水道緊急改善事業を国交省で設立し、緊急的、かつ集中的に合流式下水道の改善対策を推進してきました。このことにより、令和5年度末には全ての都市で下水道法施行令で定められた改善対策が完了したということになっています。
 8ページ目は、令和5年度に合流式下水道緊急改善事業がほぼ完了したというところの後の話です。背景の部分の2ポツに書いてあるとおり、一方、大都市を中心に水が滞留しやすい閉鎖性水域や、水辺環境を生かしたまちづくりが進められている水域では、更なる対策の強化が必要ということで、右の上の図にもあるとおり、水質の悪化が生じやすい水域、白濁化状況やスカムの発生状況、そういう場所があるので、そこに関しては、特定水域合流式下水道改善事業計画を策定し、それに位置づけられた大規模な改善対策については補助していくというようなものも、今、取り組んでいるところでございます。
 8ページまでは水質改善に向けた取組が主でしたが、9ページ目からは新しいニーズに関する話です。豊かな海の実現に対するニーズを書いていますが、閉鎖性水域では依然として水質の保全が必要な水域が存在する一方で、瀬戸内海などにおいては、海中の栄養塩類のバランスが損なわれ、ノリの色落ち等の障害が発生している海域が存在しているため、きれいなだけでなく豊かな水環境を求めるニーズが高まってきております。これに対応するため、下水道でも対策が求められているといった状況です。
 10ページです。下水道が何をしているのかというと、栄養塩類の能動的運転管理ということで、下の図にあるとおり、下水道処理場における栄養塩類の能動的運転管理とは、豊かな海の再生や生物多様性の保全に向けて、水質環境基準の達成、維持などは前提ですが、関係機関等の要望に基づいて、冬季に下水放流水に含まれる栄養塩類を、一時期的に濃度を上げるというようなことで、不足する窒素・りんを供給するものです。
 国交省では、これらの栄養塩類の能動的運転管理を実施するために、平成27年に下水道法施行規則を改正し、流域別下水道整備総合計画に季節別の処理水質の設定を可能としました。つまり、この栄養塩類の能動的運転管理を法定計画にもきちんと位置づけられるようにしたという改定を行っています。
 また、令和5年3月ですが、能動的運転管理を実施する際に留意すべき事項等を取りまとめた「栄養塩類の能動的運転管理の効果的な実施に向けたガイドライン(案)」を作成して、この栄養塩類の能動的運転管理を推進してきたというようなところでございます。
 一方で、下の小さい※書きのところに書いていますが、下水道の本質は水質環境基準の達成を目指すところでもありますので、栄養塩類の能動的運転管理については、その周辺環境への影響がいまだ科学的に明らかになっていないことも多いと聞いております。ついては、関係部局と適切な役割分担、モニタリング等を行いつつ、地域の実情を十分に勘案しながら進める必要があると思っているところです。
 11ページは全国の実施状況です。導入状況ですが、伊勢湾、瀬戸内海、有明を中心に、平成29年から集計をしていますが、都市数・箇所数ともに2倍の全国41都市、67処理場で試運転・試行等が行われているというところです。
試運転・試行と本運用との違いを書いていますが、流総計画に位置づけるというものを本運用と呼んでいますが、それについてはまだ1流総程度になっています。
 次に、その先の取組として、戦略的な水環境管理のあり方検討会というものですが、豊かな海のニーズや、水環境に対する新たなニーズの高まりに加えて、人口減少社会や脱炭素社会への貢献等の下水道における水環境施策が大きな転換期に直面していることもあって、このような地域のニーズ、社会情勢の変化等の多様な評価事項を踏まえて、持続的発展が可能な水環境の創出に貢献するため、下水道管理者が流域関係者と連携して下水道施策を実行する、戦略的な水環境管理を推進するために、このような課題にどうやって取り組んでいくべきかというものを、戦略的な水環境管理のあり方検討会というものを立ち上げて検討しているところです。
 その主な論点としては右下にあるとおり、栄養塩類の能動的運転管理を踏まえた計画放流水質、これは下水道の放流水質基準ともイコールになっていますが、それをどう柔軟な運用に変えていけるかというような検討もしていますし、様々な社会ニーズや情勢の変化を踏まえて、流域別下水道整備総合計画が今後どうしていくべきか、というような在り方についても検討させていただいているところです。
 説明は以上になります。
【古米座長】 御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、続いて資料4について、環境省より御説明をお願いいたしたいと思います。
【佐藤係長】 環境省浄化槽推進室の佐藤と申します。よろしくお願いします。
 私からは、浄化槽による生活排水処理の取組について御説明をさせていただきます。
 まず、そもそも浄化槽でございますが、住宅等の建物ごとに個別に設置される汚水処理施設でございまして、浄化槽は微生物の浄化機能を活用して下水道と近い処理性能を有している。それから、長い管渠等が不要ですので、設置費用が5人槽当たりで約84万円ということで設置費用が安く、人口規模が小さい地方部において効率的に整備ができる。それから、設置の期間が短い等々の理由がございまして、浄化槽の設置が進んでいるところでございます。
 この浄化槽ですが、単独処理浄化槽、それから合併処理浄化槽と2種類ございまして、単独処理浄化槽につきましてはトイレからのし尿のみを処理するもの、それから合併処理浄化槽はし尿及び生活雑排水、こちらを併せて処理するというものになってございますが、昭和30年代以降に、特に単独処理浄化槽、多く整備が進んできたところですが、やはり生活雑排水、いわゆるお風呂や台所、そういったものの生活雑排水を川にそのまま直接放流してしまうというものでございまして、合併処理浄化槽への転換が必要というところでございます。
 2ページは、浄化槽の主要な処理プロセスを表したものでございます。一番上の通常型の浄化槽でございまして、BOD濃度は1L当たり20mg以下、それからBOD除去率は90%以上となっております。こちら、それ以降のものも全て共通ですが、こういった基準に従って各浄化槽の水が放流されているということでございます。
 この他にも窒素除去型やりん除去型、それからどちらも処理する窒素及びりん除去型、また、BODをより高い基準で処理をするというBOD高度除去型といった浄化槽がございます。
 3ページです。先ほど申し上げましたが、単独処理浄化槽、合併処理浄化槽、それぞれございまして、し尿のみを処理する単独処理浄化槽、こちらは平成12年に浄化槽法を改正いたしまして、新設自体は禁止されております。ただ現状、既に設置されているものの転換については、今、努力義務となっておりまして、まだ数多く残っているという状況でございます。
 下の図ですが、合併処理浄化槽は、生活排水、し尿及び雑排水を併せて一日40g程度出るとなっておりますが、そのうち9割を処理し、4g程度が環境に放流されるとされてございます。
 一方で、単独処理浄化槽につきましては、生活雑排水は未処理のまま放流される、それからし尿についても合併処理浄化槽よりも多くの形で汚水が排出されるということで、汚れが合併処理浄化槽の8倍に至るとされてございます。
4ページです。先ほど国交省からも少し御説明がありましたが、我が国の汚水処理施設、下水道、それから集落排水施設、そして浄化槽等、こちらは都道府県構想に基づいて、令和8年度を目標に汚水処理の概成、こちら、汚水処理人口普及率95%以上というところを目指しております。
 この目標達成のために、平成26年に都道府県構想策定マニュアルというものを3省が連携して策定しておりますが、人口減少等が近年起こっておりますので、そういった情勢の変化も考慮しまして、効率的、かつ適正な処理区域の設定、整備の促進を求めてございます。
 こちらの下の図ですが、こちらも少し先ほど国交省からも説明がありましたが、人口密度が低い区域、こちらについては個別の浄化槽が効率的である一方で、人口が密集するような地域においては集合処理が適切であるということで、うまくすみ分けをしつつ、整備を進めているというところでございます。
 5ページは都市規模別の汚水処理施設の普及状況を示してございます。先ほども93.3%とお話がありましたが、このうちの浄化槽の人口普及率につきましては9.5%と、約1割弱となっております。
 こちらの図の右を御覧いただきますと、人口規模別が5万人未満の部分がございますが、こちらでは浄化槽、こちらでいう浄化槽は合併処理浄化槽を指しますが、21.6%となっております。こちらの図から御覧いただくと分かるように、人口規模が少なくなればなるほど、浄化槽の普及率が高くなっています。またあわせて、そもそも浄化槽ですら処理されていない単独槽やくみ取り便所などで処理をされているところが、人口規模が少ないほど増えているということでございまして、未普及の解消に向けて浄化槽が求められている役割は大きいというところでございます。
 6ページです。単独処理浄化槽、合併処理浄化槽ともにございますが、現時点におきましては、およそ半数がいまだに単独処理浄化槽であるというような状況でございます。
 徐々に単独処理浄化槽の新設禁止以降は減っておりますが、現在においても約349万基の単独処理浄化槽が日本に現存しております。こういった単独処理浄化槽は、最新のものでも少なくとも20年経過しているというところでございまして、老朽化も懸念されますし、より災害にも強い合併処理浄化槽への転換促進、これが水質改善及び防災の観点からも重要になってきているというところでございます。
 7ページです。こちら、合併処理浄化槽の設置基数の推移でございます。先ほど少し御説明しました処理のBOD除去型や、窒素、それからりんの除去型、そういったもの別に分けたものでございます。
 右のグラフを御覧いただきますと、合併処理浄化槽の新設基数がありまして、こちら確認しますと、非常に多くのものは、窒素またはりん除去型ということで新設が近年されているところでございます。
 8ページからは浄化槽行政を巡る課題ということで、大きく分けて二つございまして、一つは先ほど申し上げた単独処理浄化槽の合併処理浄化槽への転換、もう一つは浄化槽に関する維持管理というところでございます。
 まず、一つ目の単独処理浄化槽の転換促進でございますが、先ほど申し上げたとおり、数多くの単独処理浄化槽が残っております。こういった公衆衛生上に支障がある可能性があります単独処理浄化槽を合併処理浄化槽に転換していくことが必要でございまして、令和元年に浄化槽法を改正しておりますが、ここで特定既存単独処理浄化槽の仕組みを設けております。この仕組みは、より老朽化等により環境に悪影響を与える可能性が高いおそれがあるものにつきましては、最終的に除却命令もできるような形で浄化槽を指定するというような仕組みになってございます。
 また、浄化槽転換というところで申し上げますと、やはり高齢化等が進む中で、浄化槽の転換だけのために工事をしていただくという、そういったハードルは非常に高くなってございまして、リフォームなど、そういった転換の、建て替えのタイミング、機を逃さずに、しっかりと転換を促進させていくというところでございます。
 9ページは先ほど申し上げた2点目の維持管理について、でございます。令和元年の法改正によりまして、浄化槽台帳の整備を義務づけております。こちらの台帳によって浄化槽の維持管理情報等をしっかり把握し、適切な指導に役立てていただくという目的でつけておりますが、いまだにそういった保守点検や清掃といった維持管理に関する情報の収集が不十分な自治体が多く存在しております。
 こういった形、なかなか紙で情報をもらったものの、それがそのまま事務所に山積みになっているなどによって、収集した情報が生かされていない部分が多くございますので、デジタル化といった観点でも台帳の整備が近年求められているところでございます。
 こういったことを踏まえまして、10ページでは新たな対策でございます。昨年2月に総務省から行政評価勧告がされております。こちらで改正法、令和元年に改正されました浄化槽法に基づく各種制度、先ほどの特定既存単独処理浄化槽、それから浄化槽台帳等、こういったものがなかなかうまく活用されていないという点を指摘されておりまして、これらの活用制度の促進を図るために、環境省におきまして、同2月、浄化槽法施行状況点検検討会を立ち上げてございます。
 この中では特定既存単独処理浄化槽に対する措置、それから維持管理向上のための台帳の整備、維持管理情報の電子化といったものについてテーマといたしまして、昨年の11月に取りまとめ、報告書を公表しているところでございます。
 11ページは報告書のポイントでございまして、簡単に御説明いたします。特定既存単独処理浄化槽に対する措置の促進のために、こういった判定基準の大臣指針を我々は設けておりますが、こちらを改正するといったことでしたり、浄化槽の法定検査、法律に基づく検査や保守点検、清掃情報、こういったものを活用した特定既存単独処理浄化槽の把握、それから判定のサイクルを確立していくといったこと、また維持管理に関しては電子情報による報告の義務化について検討するといったことや、報告の様式を標準化するといったことの検討について挙げられております。
 最終ページになります。こういった報告書を受けて環境省として今後の対応を示してございます。項目が幾つかございますが、令和6年度中をめどに、先ほど申し上げた指針改正、それから法定検査結果報告書に、特定既存に該当するおそれの有無を明記するということを、施行規則の中で改正というところも検討しております。
 それから、少人数の高齢世帯に対する補助の引上げだったり、マニュアルや事例集を作成するといったところも、今年度中に行う予定としてございます。
 浄化槽につきましては、以上でございます。
【古米座長】 御説明、ありがとうございました。
 続いて資料5について、農林水産省より御説明をお願いいたします。
【立川課長補佐】 農林水産省農村振興局地域整備課で農業集落排水事業を担当しております立川と申します。よろしくお願いいたします。
 私から、農業集落排水事業の取組状況について説明をさせていただきます。
 1ページ目は農業集落排水事業の目的となります。農業集落排水事業の目的としましては、汚水処理施設や資源循環施設の整備を行うことで、四つの写真にありますように、農業用水の水質保全、農業用排水施設の適正な機能維持、農村生活環境の改善、公共用水域の水質保全を達成し、中央にあります高生産性農業の実現及び活力ある農村社会の形成を推進するものとなっております。
 続きまして2ページ目は、農業集落排水の概要となります。まず、左下の図を御覧ください。図の右側は下水道になっておりまして、下水道は大規模集合処理方式となりまして、街区を一体的に管路でつないで、下流末端の大規模な汚水処理施設でまとめて汚水を処理して河川に放流します。
 一方で、農業集落排水は、図の左側になりまして、農業集落排水は小規模な集合処理方式となりまして、農村集落ごとに小規模な処理場を設けて処理を行って、用水路や河川に放流していくものです。
 上に戻って、二つ目の丸になりますが、農業集落排水はこういった形のものが全国約900の市町村に4,700地区で整備されて供用されているところです。
 右上のグラフを御覧ください。こちらは農業集落排水の処理人口を表したものです。一地区当たりの供用人口が1,000人未満の地区が大半でして、一地区当たりの平均供用人口は約600人程度となっております。
 右下のグラフは、農業集落排水の施設の整備の推移となります。青色が新規整備地区で、赤色が更新整備地区となっております。青色の新規整備地区は平成の前半にかけて多くなっており、平成7年度に474の新規地区において整備に着手しましたが、以後どんどん減少し続けまして、近年では年間に1~2地区程度の新規地区となっております。今は造った整備を適切に更新整備していくことがメインとなっております。
 続きまして3ページ目が、資源循環の概要となっております。左側の円グラフは処理水の再利用率を示したものとなります。先ほど御説明させていただきましたが、農業集落排水は集落ごとに汚水を処理して、用水路や河川に放流していることもありまして、処理水の再利用率は高くなっております。農業集落排水施設によって処理された水のうち、82.6%が農業用水として再利用されております。
 一方、右側の円グラフが汚泥の再利用率となります。農業集落排水施設から発生する汚泥のうち52%が肥料として農地還元され、15%が建築資材として再利用され、併せて67%が再利用されていることになります。
 続きまして4ページ目です。先ほどの国土交通省、環境省とも少し重複しますが、汚水処理施設の整備となります。汚水処理の手法としては、主に集合処理である下水道及び集落排水、あと個別処理である浄化槽があります。大まかには、都市部は下水道、農漁村部の集落においては集落排水、人家がまばらな周辺部は浄化槽で整備することが一般的には適していると考えられております。
 汚水処理事業の事業実施主体である地方公共団体が、各汚水処理施設の特性や経済性を勘案して、地域の実情に応じた最適な整備手法を選択し、それを都道府県構想として取りまとめ、これに基づいた整備を推進してきたところです。こうして整備を進めてきた結果、令和5年度末の全国の汚水処理人口普及率は93.3%となっておりまして、その内訳は下水道で81.4%、集落排水で2.4%、浄化槽で9.5%となっております。
 続きまして5ページ目です。こちらの左側のグラフですが、人口規模別の汚水処理普及人口率となっております。人口100万人以上の大都市におきましては、ほぼ100%汚水処理施設が整備されていますが、人口5万人未満の市町村においてはまだ84%しか整備されておらず、地域格差が生じている状況となっております。
 また、右側のグラフは、農業集落排水施設の整備率となります。農業集落排水施設の整備率は、令和5年度時点では93.3%と一見高い整備率にはなっていますが、こちらにつきまして、整備がどんどん進んでいったというよりは、分母となります整備対象人口が急激に減少していっていることによるものと考えております。
 続きまして6ページ目です。こちらは、農業集落排水施設の課題となります。左側のグラフは今後の更新整備の需要予測となります。黄色の線グラフは、先ほど御説明させていただきました、新規供用地区数となります。これに特に機械物の耐用年数である20年を足したものが黄緑色の棒グラフとなりまして、これが単純ではありますが、新規の更新需要予測となっております。
 一方で、その下にある赤線の線グラフが更新事業の実施地区数となっております。予算の制約等もあり、実際は更新需要予測になかなか追いつけてない状態にありまして、施設管理者である市町村は多少の不具合には目をつぶりながら日々の運転や管理を行っている状況となっております。
 二つ目の課題は、維持管理費の高騰となっております。右の円グラフは維持管理費の内訳です。維持管理費のうち60%が汚泥の処理費となっておりまして、23%がばっ気等に使う電気代となっております。この二つだけで維持管理費の約8割を占めておりまして、最近では電気代、燃料代の高騰とともに、また、人口減少に伴う料金収入の減少により、さらに状況は悪化しているところです。
 続きまして7ページ目です。このように厳しい維持管理をめぐる状況の中で施設管理者である市町村は、一つ目に都道府県条例等でより厳しい排水基準を定めている場合、二つ目に閉鎖性水域における富栄養化防止対策等のために、有機物質のみならず、窒素・りんの栄養塩類についても排出基準が設定されている場合、三つ目に放流先水域の水利用の状況等から、通常の水処理のみでは処理水の再利用に支障を来す場合等におきまして、通常の放流水質目標であるBOD、20mg/L、SS、50mg/Lよりも厳しい努力目標であるBOD、15mg/L、SS、30mg/Lを、全体の20%強の地区において課して実施しているところです。
 最後の8ページ目につきましては、農業集落排水事業の今後の取組方針となります。先ほど御説明させていただきました二つの課題に対する取組方針としまして、まず一つ目の農地や農業処理施設等の整備を行う土地改良事業を、計画的に整備を実施するための土地改良長期計画の中においても、農業集落排水事業を位置づけて指標を設定し、取組を進めているところです。
 令和3年~7年までの活動指標は、先ほどの二つの課題に対応しております。一つ目は老朽対策として農業集落排水施設の機能保全計画である最適整備構想において、早期に対策が必要と判明している農業集落排水施設の対策着手の割合を、令和7年度までに10割にすることとしております。こちらにつきましては約400弱の対象施設に対して、令和5年度末時点でほぼ達成しておりまして、今後も引き続き、最初に設定した対象施設以外でも早期に対策が必要な施設にも対策を進めていくこととしております。
 二つ目は維持管理費対策としまして、汚水処理施設の広域化、共同化に関するものとなっております。この汚水処理施設の広域化、共同化は農林水産省だけではなく、国土交通省、環境省、総務省の4省庁が連携して取り組んでいるものです。農業集落排水でいいますと、農業集落排水施設同士の統合や下水道への接続、または浄化槽への転換、また地理上の制約等によってほかの汚水処理施設への統合ができない場合におきましては、汚泥の共同処理を行う、維持管理を複数の市町村が一括して一つの民間業者への委託や、ICT化を通じて一つの処理施設の中で複数の処理を集中管理していくなどがあります。
 この広域化、共同化のうち、集約による広域化に取り組んだ地区を令和7年度までに300地区以上とすることを目標としておりまして、令和5年時点の実績としましては244地区が集約による広域化に取り組んでおります。このペースでいきますと、令和7年度までの目標は達成される見込みとなっております。
 以上、農業集落排水事業としまして、施設の老朽化や維持管理の効率化といった課題がありますが、冒頭、話をさせていただきました農業用水や公共用水域の水質保全に向けて様々な課題に対応しながら、持続的な汚水処理を進めていきたいと考えております。
 以上となります。
【古米座長】 どうも御説明、ありがとうございました。
 それでは、資料3~資料5につきまして、御意見や御質問をお受けしたいと思います。挙手マークを御利用ください。いかがでしょうか。
 それでは、三宮委員、お願いいたします。
【三宮専門委員】 国総研の三宮です。御説明ありがとうございました。
 では私から、浄化槽行政と、あと農業集落排水の行政に関して少しお伺いします。
 まず、浄化槽でございます。一つ目として、御説明にはありませんでしたが、個人設置型浄化槽の維持管理費も助成されているということで、かなり踏み込んだ措置をされているなということを資料を拝見して思いました。
 まず、浄化槽に関しまして、特に御説明になかった市町村設置型というのを以前からやられていたと思いますが、それを今でも推奨している部分があるのかというところをお伺いしたいです。
あともう一つが浄化槽法の11条の水質検査です。以前、これもなかなか受検率が低いということが課題だったと思いますが、その状況が今どうなっているのかというところをお伺いしたいと思います。これが浄化槽行政に関してです。
 それから、農業集落排水です。先ほど6ページで更新の今後の需要が増えるという御説明がありました。この更新に関しまして、新たに国として採択した上で国が助成していくのかというところがまず一つです。
 それから先ほど更新で、この山の緑色のところ、設備系の更新需要だけだというような御説明だったと思いますが、管路に関しては、特にそういった需要はここに載せていないという理解なのか。それは恐らく塩ビ管が多いので、あまりそこは今のところはまだ心配が少ないという意味で入れてないのかというところ。
それから、あともう一つが予算措置です。要望に対して予算が今のところ十分なのか、やはり少し厳しい状況なのか、そこをお聞かせいただけたらと思います。
 以上でございます。
【古米座長】 それでは、続いて珠坪委員、お願いいたします。
【珠坪専門委員】 資料3の11ページについて、栄養塩類の能動的運転管理の御説明で1流総と言われたのか、1処理場なのか分かりませんが、本運用をされているということですが、もし差し支えなければ、どちらでされているのか。本運用の場合は、流総計画の計画書に位置づけて長期的な運用を図るということですが、モニタリング等を含めて、ある程度しっかり計画されているかということについて伺いたいと思います。
【古米座長】 ありがとうございました。続いて、田中委員、お願いします。
【田中専門委員】 まず、国交省の下水道の件です。汚水整備構想で下水道のエリアが縮んで、個別の浄化槽、合併浄化槽系だと思いますが、こちらが拡大するという傾向にあるということですが、流総計画で水質保全上、これはもう少し大きいところの水域で見ていると思いますが、下水道区域が縮んで、個別浄化槽側が広がったときの水質面での担保というのは、流総計画の見直しか何かでやっているのかどうかという質問が1点です。
 それから2点目は、農林省の農集排への質問です。老朽化対策に、先ほどお話もあったように、非常に重要になっているということですが、今、下水道でも、分流式の汚水管の中にやはり雨水が結構入ってくる。これは老朽化の問題だったり、誤接の問題だったりがあるのですが、農集排の場合、分流式だと思いますが、雨天時の浸入水の実態や、あるいは対策などは何か考えられているかどうか、これが2点目です。
 それから、最後に浄化槽です。浄化槽でもこれから様々なニーズに対して応えようということで、震災や災害時の話が少し出ましたが、今度の能登の震災に当たって、浄化槽でも何か被害が出て、結構大変なところがあると間接的に聞いているのですが、今、震災対策として浄化槽をこれから進める際に、災害対策についてはどういう点が重要と考えられているかという、この視点の三つを教えてください。
 以上です。
【古米座長】 それでは続いて、和木委員、お願いします。
【和木専門委員】 農研機構の和木です。
 資料5について質問があります。3ページですが、農集排の処理水が再利用が82.6%ということで、すごくたくさん再利用されていることに驚きました。
 恐らくこの写真のように、車で持っていって利用されていると思いますが、そういった場合ですと、あまり処理水の窒素や、りんの濃度にこだわらなくてもいいのではないかと思いまして、その辺の兼ね合いはどうなっているのか、お伺いできればと思いました。
 そして、あともう一つですが、この図で未利用が17.4%ということで、放流されている量はごく僅かなのかもしれませんが、農村集落排水処理施設がある地域というのは結構地方だと思いますが、先ほど国交省さんのお話で、豊かな海が求められているということで、能動的管理というのを下水道のほうでされているということでしたが、地理的には農村集落排水処理施設もそういった地域にあるものが多いのではないかと思いまして、こういった能動的管理を今後検討する予定があるかどうかについてお伺いできればと思いました。
【古米座長】 それでは小川委員、お願いします。
【小川専門委員】 下水道に関して、一つ質問がございます。現在、栄養塩類の能動的運転管理をしているということですが、一方で、合流式の下水道の改善を進めるということになりますので、その関連性はどうなのでしょうか。場合によっては、そちらの負荷量が多く、能動的な運転管理に対して、さほど神経を使う必要はないのかなというように若干思ったのですが、その点をお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
【古米座長】 それでは風間委員、お願いします。
【風間専門委員】 資料3、下水道関係の話です。今、シート6に示された高度処理や準高度処理の取組というのは、東京湾では全排水量のどの程度の割合が実施されているのでしょうか。ここでは方向性が示されてはいますが、実際問題、1割程度なのか、それとも5割程度なのか、その辺を教えていただければと思いました。
 そして、東京湾の環境汚染を見ますと、海域では2000年以降、アンモニア性窒素が大きく低下したが、全窒素濃度はそれと比べて緩やかな低下傾向です。そして、東京湾はほかの海域に比べてCODは同等ですが、窒素はほかの海域の1.5ないし3倍の濃度で推移したままです。この高度処理、準高度処理というのが、いつ頃から導入が開始されて、目標としてどれまでの削減を目指しているのでしょうか。分かる範囲で教えていただければと思います。ありがとうございました。
【古米座長】 それでは、資料3、4、5の順番で御回答をいただきたいと思います。
 まずは国土交通省からお願いします。
【紺野課長補佐】 
 まず、珠坪委員からいただきました、季節別の処理水質を位置づけている流総計画ということですが、これは兵庫県の播磨灘流域別下水道整備総合計画になります。
 あわせて海域のモニタリングもしているのかという御質問だったと思いますが、基本的に下水道でモニタリングするのは放流水質までとなっていまして、その先の環境でどうなっているかというのは、モニタリングしているかもしれませんが、こちらでは情報が分からないというところです。
 田中先生からありました、資料でいくと1ページ目の浄化槽が増えて、下水処理区域が減っている分、計算上、どう見込まれているのかという話です。恐らくそこは自治体が流総計画を変更するときには、その区域が変わった分も計算されているものと思います。ただ、逐一、変わったからといって全ての流総計画が変わっているかというと、そうではない現状はあると。
 風間委員のご質問、東京湾ではどの程度かというところに関しては、高度処理実施率について、個別に東京湾に関するものという統計はないのですが、基本的に東京などだと70、80%近くありますし、神奈川県だと50%や、千葉県も60%か、それぐらいの程度で推移しているという形です。
 あと、下水道の高度処理をやって、どれぐらい削減する目標かみたいな話がありましたが、流総計画上の目標としては、東京湾なら東京湾流総として、東京湾の環境基準を達成できるように目標を立てているものですので、最終目標としては環境基準を達成するとなっています。
 以上です。
【古米座長】 小川委員の御質問。
【森川総括】 環境省の森川です。国土交通省の紺野さん、小川委員からの指摘は、合流式下水道の対策をしようとしているが、一方で能動的管理運転をしている、そういったものを求めている海域もある。その点の整合性というか、兼ね合いというか、関係をどのようにお考えかという御質問だったかなと思います。
【紺野課長補佐】 合流式下水道については、一応、令和5年度までに完了しています。何をもって完了しているのかというと、分流式下水道並みに改善する、分流式は汚水と下水を分けたものですが、それ並みに改善するということにしていまして、それは基本的に達成しています。その上で、合流式下水道は全国の話なので、それとは別の話として、栄養塩類の能動的運転管理は進めていっているという形です。そういう意味で、合流式下水道は一定の成果が得られていて、ある程度、分流式までは改善しています。その上で、栄養塩類の能動的運転管理が必要な場所に栄養塩を出していくというような施策のすみ分けとなっております。
【古米座長】 どうもありがとうございました。御質問された方は、これでよろしいでしょうか。
 よろしければ、次の資料4に移りたいと思います。
 それでは、環境省からお願いします。
【佐藤係長】 まず、三宮委員からいただきました2点でございます。まず1点目、市町村設置の関係でございます。こちら、令和元年に法改正をしておりまして、公共浄化槽という形に市町村が設置される浄化槽、名称を変えておりますが、この公共浄化槽につきましては、公共浄化槽等整備推進事業という形で環境省から補助を出してございまして、引き続き、そういった公共浄化槽の整備推進に向けて後押しをしっかりしていきたいと考えているところでございます。
 もう一点、11条検査のお話をいただきました。こちら、直近のデータが令和4年度末になりますが、このデータで検査の受検率が48%となっております。年々受検率は1%~2%程度上昇はしているものの、いまだに過半数にいってないという状況でございまして、この点、検討会でも指摘を受けてございましたので、引き続き、上昇に向けて、取り得る対策、先ほど申し上げました維持管理マニュアル等も含めて、しっかりと対策に取り組んでまいりたいと思ってございます。
 それから、田中委員からいただきました震災関連のお話でございます。やはり浄化槽は、御指摘いただいたとおり、被害は受けておりまして、特に浄化槽の浮き上がり、いわゆる液状化のような形で浄化槽への被害が多くございました。
 それに関しましては、現在、我々でも検討を行ってございますが、対策を取り得るところとしては、今お話しした浄化槽自体の被害を防ぐというところと、あと復旧を速やかにすると、2点があるかと思っております。被害を防ぐという観点でいきますと、浄化槽の施工方法、どのように浄化槽をうまく留めるか、動かないようにするなど、そういった検討も今現在行っているところです。
 それから、浄化槽の復旧に関しては、先ほど説明の中で少し申し上げました浄化槽台帳において、どこに浄化槽が設置されているのかしっかり分かるような状況でございましたら、そういった状況を踏まえて、速やかに浄化槽の復旧に取りかかれると考えています。浄化槽の被害自体を抑えるというところと、被害が起きてしまった後、速やかに復旧する、そういった2点でしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
【古米座長】 御質問された方、よろしければ、次の資料に移らせていただきます。
 それでは、農林水産省からお願いいたします。
【立川課長補佐】 まず、更新について新たに採択して国が助成していくのか、あと予算措置をどうするのか、まとめて回答させていただきます。
 更新事業についても既存の農村整備事業という補助事業があり、あと農山漁村地域整備交付金という交付金もありまして、そちらの中で国が採択して助成していくことを考えております。
 一方で、これらの補助事業交付金も要望量に対して予算が足りない状況が続いておりますが、今回、石破総理に代わられて地方創生整備交付金が新たな第二世代交付金として新しい地方経済・生活環境創生交付金となり予算額も倍増したということもあり、その中で集落排水の整備もできることになっておりますので、こういったものを活用しながら進めていきたいと考えております。
もう一つ、管路の老朽化等についての御指摘です。委員が言われたとおり、農業集落排水におきましては、大部分が管路については塩ビ管で耐用年数が50年ということもありまして、また、地中に埋まっていることで太陽光なども当たらずなかなか劣化しにくいということもありますので、管路については別で考えているところです。
 続きまして、雨水の混入についてです。農業集落排水については不明水と呼んでおりますが、言われるとおり雨水時や、あと、集落排水に関しては水田の水張り期において、そういった不明水が増えておりまして、市町村に聞き取ったところ、通常の計画水量よりも2倍や3倍になるときもあるということを聞いております。
 対策としては、まだきちんとした対策というのはなかなかないところですが、不明水のせいでどんどん人口減少はしているのに、処理場に入ってくる水量が増えてきて、なかなかダウンサイジングができないなど、そういった課題もどんどん出てきておりますので、ほかの下水道や、そういったところとも何かいろいろ連携して対策を考えていきたいと考えているところです。
 続いて、処理水の再利用につきまして、窒素とりんの関係です。実際、処理水中に含まれる窒素・りんは少なくなっておりまして、なかなか再利用する際にも、処理水を肥料として使うというよりは、ただの水をかけ流しているという感じとなっておりまして、あまり肥料としてというよりは、本当に水として再利用をしているという実態になっております。
 あと、最後に国交省の能動的管理を検討する予定があるかにつきましては、現在のところ検討はしておりませんが、国土交通省さんのほうでよい事例など、そういったものがありましたら、農業集落排水でも検討して、それを参考に検討していきたいと考えております。
 以上です。
【古米座長】 私から。農業用水への再利用というのは、利用者が車で運ぶ以外に、要は用水路から取水しているというのも入っているのですか。車で運ぶものだけですか。
【立川課長補佐】 ほとんどもう水路に放流して、それを取水して。
【古米座長】 処理水放流の下流側で取水して農業用水に使っている例がほとんどですね。
【立川課長補佐】 はい。そうです。
【古米座長】 確認できました。一通り御回答をいただきましたが、ほかにございますか。
 もしなければ、次に移りたいと思います。
 黒木委員、どうぞ。
【黒木専門委員】 後からの追加の質問になり申し訳ございません。資料3について、お伺いしたい点が一つ出てきたのですが、10枚目の栄養塩類の能動的運転管理のスライドに関する質問になります。
 この資料中に、ノリを対象に色落ちの問題などが出てきているので、冬季に管理を行った増加運転を行えるようにするというようなお話でした。例えばアサリといった別の漁獲対象で、アサリの痩せや、実入りが悪くなるという、痩せてしまうなど漁獲量が減っているというような話もございますが、その場合、冬季に限らない別の時期の増加運転のほうが効果が見込まれると、そういうような場合に、冬季に限らず、別の季節に増加運転するというようなことも制度上、可能なのかどうかというようなところを少し質問したいと思います。よろしくお願いします。
【古米座長】 それでは、ただいまの御質問、御回答をお願いします。国土交通省から。
【紺野課長補佐】 夏でも可能です。制約としては、下水道処理場の放流水質基準を守っていただければ、夏でも冬でも、物質も基準さえ満たせば、アサリのためなど目的も問わず、栄養塩類能動的運転管理を実施できます。
 以上です。
【黒木専門委員】 分かりました。ありがとうございます。
【古米座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。
 続いて、環境保全型農業、畜産関係について、説明をお願いしたいと思います。2件続けて御説明いただいた後、まとめて質疑応答をいたします。資料6について、農林水産省より御説明をお願いします。
【長山係長】 資料6番の環境保全型農業の推進について御説明いたします。農水省農産局農業環境対策課の長山と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 1ページ目です。環境保全型農業の推進というテーマではございますが、はじめに、これに関連しまして、農林水産省において取り組んでいる環境に関する施策の全体像について御説明させていただきます。
 上の箱にございますように、農林水産省においては、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するため、令和3年5月にみどりの食料システム戦略というものを策定しておりまして、この戦略に基づいて取組を実施しております。
 具体的には、資料の中段右側の目指す姿と取組方法というところにございますように、各項目について、KPI、目標を設定して取組を進めているところでございます。
 2ページです。こちら、みどりの食料システム戦略の実現に向けた一つの取組ではありますが、令和4年に農林漁業に由来する環境への負荷低減を図るために行う事業活動等に関する計画の認定制度を設けた、みどりの食料システム法というものが成立しております。
 農業者や事業者は、この法律の計画認定を受けることで税制・融資の特例措置や、各種補助金の採択ポイント加算などのメリット措置が受けられることとなっております。令和6年12月末時点では、46都道府県で計1万9,000以上の経営体が認定を受けているところでございます。このような計画制度を活用しながら、みどりの食料システム戦略の取組を進めているところでございます。
3ページです。先ほど、みどりの食料システム戦略の全体像の中にもありましたが、戦略に基づく取組の一つでございます化学肥料使用量の低減について御説明いたします。
 まず前提ですが、植物が生育するためには、窒素・リン酸・カリウムなどの栄養素が必要となります。このため、農業においては、肥料を施用することが必要となりますが、農地に対して肥料が過剰に施用されてしまいますと、地下に浸透して地下水の水質汚濁の原因となったり、農地から排水中に余剰の肥料成分が流れ出てしまうことで、湖や海域の富栄養化の一因となったりします。
 みどりの食料システム戦略の中では、2050年までに輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減するとの目標を掲げておりまして、農林水産省では、下の青色の枠にございますように、国内資源の肥料活用の観点から、堆肥や下水汚泥資源由来の肥料といった有機物の循環利用や、下のオレンジ色の枠にございますように、土壌や作物の生育に応じた施肥など、施肥の効率化、スマート化というものを推進しているところでございます。
 また、2050年までの目標に向けた中間目標として、2030年までに化学肥料の使用量を20%低減するとの目標を設定して取組を進めているところでございます。
 4ページです。これら二つのグラフは、化学肥料の国内需要量と、農地10a当たりの施肥量を示したグラフとなっております。どちらのグラフからも、減少傾向であるということが分かるかと思います。国内需要量については、農作物の作付面積の減少などの影響もございますが、平成28年と比較して、令和4年は約11%減少しております。また10a当たりの施肥量についても、平成28年と比較して、令和4年は約7%減少しているところでございます。
 5ページです。これまで御説明させていただいた化学肥料使用量の低減に関して、どのような取組を推進しているかについて具体的に御説明させていただきます。
 上の箱一つ目にございますように、土壌診断に基づく適正施肥の現場導入や、スマート農業技術等を活用した局所施肥や可変施肥といった、施肥低減技術の導入・実践を推進しているところです。局所施肥とは、下の施肥低減技術の例に記載ございますように、作物の根が利用しやすい位置に肥料を集中的に施用する技術でございまして、効率的に肥料の施用がされることで、施肥量の低減や労働時間の短縮が期待できるものとなっております。また、可変施肥につきましては、一つの圃場内でも土壌の状態にばらつきがあったりするため、作物の生育データ等から推定した圃場内の地力のばらつきに応じて施肥量を変える、そういった技術でございます。これによって、生育ムラの改善や施肥量の低減が期待できるものとなっております。
 続いて、上の箱二つ目と右側の中段の黄色い箱にもございますが、これら化学肥料使用量の低減に資する技術については、みどりの食料システム戦略推進交付金の1メニューである、グリーンな栽培体系の転換サポートという事業において、その実証を支援しているところでございます。また、その実証を踏まえた栽培マニュアル等の公表によって、取組の横展開を推進しているところでございまして、普及を進めているところでございます。
 これらの取組を推進するために、上の箱の三つ目にもございますが、普及指導員のほか、関係団体においても、土壌診断、施肥に関する技術者を養成しているところでございます。
 6ページです。最後にということで、これから3ページほど続きますが、今回の説明させていただくメインテーマでございます、環境保全型農業というものを推進するための支援制度である環境保全型農業直接支払交付金制度について御説明させていただきます。
 環境保全型農業直接支払交付金、こちら環直などとも言ったりするのですが、これは化学肥料、化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせて行う、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動について支援するものでございます。
 具体的に支援を実施している活動については、左下の交付単価と書かれた表に記載のある取組でございます。地球温暖化防止に効果の高い取組としては、資料の中段、左側の黄色いマーカーなどで書いてございますが、有機農業、堆肥の施用、緑肥の施用などの取組がございまして、こちらについては、土壌中に炭素を貯留することで地球温暖化防止に貢献するような取組でございます。
 なお、堆肥の施用については、過剰な施肥が行われないように、土壌診断を実施した上で取り組んでいただくことを支援の要件としております。また、生物多様性保全に効果の高い取組としては、右側にございますように、有機農業や総合防除といった取組がございます。
 環直は、左下の表に具体的に列記されているように、全国共通的に実施する全国共通取組のほか、地域の実情を踏まえて、都道府県の申請に基づいて実施をする地域特認取組という2種類ございます。後ほど、こちら御説明させていただきますが、水質保全に資する取組として、滋賀県の地域特認取組として、緩効性肥料の利用等について支援を実施しているところでございます。
 7ページが環直の実施状況でございます。環直の実施面積については、直近、増加傾向にございまして、環境保全型農業の取組が進んでいるというところが見てとれるかと思います。
 左下の円グラフは、令和5年度の実施状況でございます。令和7年度の制度見直しに伴って、支援対象の取組の見直しもございまして、前のページの表とは全てが一致するわけでもないのですが、令和5年度は全体として約8.7万haで、環直に取り組んでもらっていて、特に堆肥の施用について、26%取り組んでいただいておりまして、面積が大きい状況、取組が進んでいる状況となっております。
 最後8ページです。先ほど触れましたように、環直で水質保全効果のある取組として支援を実施しております、滋賀県の地域特認取組の「緩効性肥料の利用」について、御説明させていただきます。
 緩効性肥料とは、一般的に普通の化成肥料と比べて肥料利用率が高く、作物に利用されずに土の中に残る肥料成分が少なくなるので、農地からの全窒素流出負荷が低減されるため水質保全効果につながる取組でございます。
 一方で、緩効性肥料についてはプラスチックの被膜が用いられているものがあり、使用後のこの被膜の殻が圃場から流出した場合には、海洋汚染等の原因になるということが懸念されているところでございます。このため、現在も緩効性肥料の利用に取り組んでいる滋賀県においては、取組内容、こちらは中段のところにございますが、記載の①~③までのとおり、被膜殻の流出防止対策に併せて取り組んでいただくことを支援の要件としておりまして、実際にしっかり取り組んでいただいているところではありますが、プラスチックの流出防止のためにも、令和7年度からはプラスチックの被膜を用いていない緩効性肥料の利用に対して支援を実施する方針としておりまして、水質保全効果をさらに高めていくこととしております。
 環境保全型農業の推進について、説明は以上となります。ありがとうございました。
【古米委員長】 それでは資料の7を御説明お願いいたします。
【夏目課長補佐】 農林水産省畜産局の夏目と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、家畜排せつ物の適正管理というところと、環境規制の対応ということで簡単に御説明させていただきます。
 2ページ目です。まず家畜排せつ物の発生量です。各畜種の飼養頭数に1頭当たりの排せつ物の発生量の理論値を掛けた推計になりますが、大体日本全体で約8,000万t発生しているという状況になっております。
 飼養頭数の増減によって、多少動きはあるものの、右側の棒グラフを御覧いただくと分かりますとおり、近年、横ばいでずっと推移をしているという状況でございます。
 それから3ページです。これは家畜排せつ物の利用状況ということで、発生する家畜排せつ物、先ほど8,000万tと申し上げましたが、そのうち堆肥などとして使われているものとして、約8割が農業利用されているということで、残りの2割のうち、1割が浄化処理されて、放流をされているという状況になってございます。
 畜種別に見ますと、豚の排せつ物発生量のうち、約3割が農業利用されることなく、浄化放流をされているということで、ほかの畜種に比べると、豚の浄化放流割合がかなり高くなっているということになってございます。
 4ページが家畜排せつ物法という法律の仕組みになります。この法律、平成16年に本格施行されたものですが、法律の建付として、青枠であります家畜排せつ物の管理の適正化という部分と、それから赤枠の利用促進という2本の柱でできている法律になります。
 管理の適正化につきましては、国が省令で管理基準というものを定めまして、これに基づいてその管理、指導・助言については都道府県のほうで行うということになってございます。
 5ページは家畜排せつ物の管理基準です。具体的な管理基準といたしましては中段の四角囲みにありますとおり、例えば、床を不浸透性の素材、コンクリートのようなもので築造する、あるいは雨で流出しないように覆い、あるいは屋根であったり、側壁を設けるということを定められておりまして、この法律の対象につきましては、かなり小さい規模を除いた、牛で言うと10頭未満だったら対象外など、小規模農家を除いた全農家が対象ということになってございます。
 5ページの右下の表が法の施行状況ということで、全国の対象農家のうち何%ぐらいが今、法律を守れているかということで、管理基準については99.6%が法律を遵守した管理方法で家畜排せつ物を管理しているという状況になってございます。
 6ページが利用の促進についてです。こちら、国で基本方針というものを定めまして、各都道府県でそれぞれの県の計画を定めることで、地域の実情に応じた取組を進めるということにしております。家畜排せつ物の利用促進を図るための基本方針という現行のものになっておりますが、令和12年度を目標として定めて、令和2年3月に策定されたものになりますが、まさに今、見直し作業を行っているところでして、今年度末に新しい基本方針を公表するという予定でございます。
 ここにお示ししているのが現行基本方針の三つの柱になりますが、新しい基本方針でも、この柱はあまり大きくは変わらずに適正管理、あるいは環境規制の対応というところをしっかりと軸に据えたものになってございます。
 7ページです。続いて畜産に起因する苦情の発生状況ということで、左のグラフを見ていただきますと分かりますとおり、棒グラフの部分が苦情の発生戸数になっておりますが、農家の戸数の減少ということもありまして、微減ないしほぼ横ばいで推移しているという状況でございます。
 右側には、令和5年の苦情の原因というものを示しておりますが、半分以上が悪臭で、水質汚濁につきましては2番目で約16%ということになっており、大体それは過去ずっとこの傾向が続いております。
 それから前年からの継続案件による苦情というのが全体の6割程度を占めるということも特徴かなと思っております。
 8ページです。続きまして、左の表の畜種別の発生戸数というものを御覧いただきますと、豚と採卵鶏で特に割合が高くなっているという状況でございます。それから、苦情の発生率を経営規模別に見た場合、右のグラフのとおり、青色の線のブロイラーを除きまして、経営規模が大きくなればなるほど、苦情の発生率も増加するという傾向が見てとれると思います。
 続いて、9ページです。こちらは環境規制のうちの汚水処理に関する技術の部分ということで、例えば、右上のバイオセンサーというものを活用しました窒素除去システムというものがございますが、ばっ気装置内のBODをモニタリングして、ばっ気をリアルタイムで自動制御するということで、効率的に浄化処理ができるという技術です。けれども、農家さん側からすると、労力の軽減というところももちろんですが、これによってばっ気が最適化されるということで電気代がかなり節約できるということもあって、農家さん向けにこういう技術を普及する上では、やはり水がきれいになるというのはもちろん重要ですが、経済的にメリットがあるような、こういった技術を推進していく必要があるだろうと考えてございます。
 10ページが畜産環境に関する支援事業ということで、我々のほうで所管している事業になります。一つは肥料の国産化に向けて、先ほどの化学肥料の使用量低減というお話もありましたが、堆肥舎や、堆肥の高品質化をするために必要な施設というものを支援する事業となってございます。
 ここには直接書いていないのですが、この中で、高度な汚水処理ということで、特に養豚などですと硝酸性窒素等の暫定排水基準というもので、まだ一般排水基準に移行していない部分ございますので、一般排水基準を満たすような高度な汚水処理をする場合については、この事業の中で汚水処理施設も対象にしております。
 最後に11ページです。ご参考ということで、特に排水について、排水量が多い養豚農家の経営構造ということで御説明させていただきます。左の表が養豚農家の飼養戸数、それから飼養頭数の推移になってございますが、年度によってばらつきあるものの、毎年戸数がかなりの勢いで減少しているということで、令和5年と令和6年度の比較で約7%減少しているという状況になっています。
 一方で、1戸当たりの飼養頭数は増えていますので、全体の頭数としてはそこまで大きく減っていないということではありますが、養豚農家の大規模化によって、それが補われている状況ということになっています。
 右が肥育豚1頭当たりの生産費ということでお示ししておりますが、特に餌の価格の高騰が大きく影響してございまして、令和5年は対前年比約5%増ということで、なかなか経営環境が厳しくなっているという中で、正直収益に直結しない排せつ物の処理施設に対する投資意欲というものが、なかなか上がりづらい環境にはあるのではと分析をしています。
 以上でございます。
【古米委員長】 どうも御説明ありがとうございます。
 それでは質疑に入りたいと思います。御質問のある方は挙手ボタンをお願いします。
 それでは横田委員お願いします。続いて和木委員の順番で、横田委員お願いします。
【横田専門委員】 横田です。資料6について教えていただきたいと思います。
 まず2ページ目です。46都道府県、計1万9,000以上で認定されたということが記載されていますが、これは対象となる経営体の何割程度になるのかということと、あとはこれを認定することによって、どの程度削減の効果が期待されるのかということを教えてください。
 2点目は次の3ページです。汚泥等の肥料のセーブについてお話がありましたが、このデメリットについて何か考えていることがあるのでしょうか。例えば、最近問題になっているマイクロプラスチックなどがこの汚泥等に含まれるということがありますので、その辺りをお聞かせいただければと思います。
 続いて4ページ目です。説明を聞き逃してしまったのかもしれないのですが、令和元年から値が低下していますが、具体的にどのような効果があって、この値が下がっていたのかということを教えてください。
 あと最後ですが5ページ目です。施肥量低減技術として、根本に集中的に肥料を局所的に施肥するということがありましたが、これは例えば何かで被覆したものをまくのか。そうすると、先ほども言いましたような被覆殻の水田等では対策があるというお話でしたが、そのようなことが関係するのかどうかということを教えていただければと思います。
 以上です。
【古米委員長】 続いて、和木委員どうぞ。
【和木専門委員】 まず資料6の8ページについて質問があります。
 緩効性肥料からプラスチックの殻のような被膜殻が排出されるということで、これは回収を努力したとしても、被膜殻は環境中に出ると思うのですが、そういったものは、その後、環境汚染として、大丈夫なのかということを疑問に思いました。
 そしてもう一つ、資料7の8ページです。苦情の表ですが、おっしゃるように、汚水処理施設があるのは豚がメインですが、水質汚濁の苦情というのは、乳牛や肉牛、あと採卵鶏でもかなりの件数が出ておりまして、これは中身としては一体どのようなものか、分かれば教えていただきたいと思いました。
 以上になります。
【古米委員長】 続いて三宮委員どうぞ。
【三宮専門委員】 国総研の三宮でございます。御説明ありがとうございました。
 私からは1点です。資料7の9ページ目、BODバイオセンサーを活用した豚舎排水の窒素除去システムの開発ということで御説明いただいた件で、BODバイオセンサーを利用してということでした。BODだとリアルタイムで測定は恐らくできないのではないかなと思いまして、代わりに何か、例えば、よくあるのが窒素除去ではないかもしれませんが、よくあるのがDOやアンモニア性窒素を測定して、できるだけリアルタイムで制御するというのは聞いたことあるのですが、この辺は何を指標として整理をするのか、そこを教えていただけたらと思います。
 以上でございます。
【古米委員長】 続いて珠坪委員、お願いします。
【珠坪専門委員】 まず、資料6の4ページ目です。化学肥料の国内需要に関しては減ってきているということが示されていますが、この主な要因は、3ページ目で示しましたような有機肥料による置き換えが起きて、すなわち全体の国内需要総量としては変わっていないのか、それとも単純に農家さんが減少したことによる減少なんかも加味したようなものなのかということを教えていただきたいと思います。
 それから資料7の家畜の排せつ物の適正管理に関して、いろいろ記述がありますが、基本的には排せつ物の処理は、畜産農家自らの責任で行うというところは分かりますが、例えば、堆肥化したものを利用促進する上で、何かしら具体的な方策、一部予算でしょうか、9ページ目辺りに少し書いてありますが、県もしくは自治体さんなどで取組をやってうまくいっているものがあったら、少し御紹介いただきたいと思います。
 以上です。
【古米委員長】 三浦委員、お願いします。
【三浦臨時委員】 私も資料6の1ページ目のところです。みどりの食料システム戦略の中で、ネオニコチノイド系を含む、従来の殺虫剤に代わる新規農薬等の開発によって、化学農薬の使用量を50%低減すると書いてありますが、ネオニコチノイドなどの水溶性の農薬が、甲殻類や小型の虫等の生物に与える影響、こういったものが懸念される声というのは以前から多く挙がっている中で、早期に対処すべきだとは考えているのですが、代替農薬の開発状況や、開発に当たって、国として何らかの支援を行っているのか、その辺のところを少し伺いたいです。このことについては水質汚濁にも非常に関係するところになると思っています。
 それから2点目としては、4ページ目のところです。皆さん質問をされていましたが、化学肥料の使用量を30%低減するということが、みどりの食料システム戦略で謳われている中、順調に減ってきているように見えるのですが、これは、耕作面積などが減ってきているのか、それとも10a当たりの施肥量というものが減少していることから、有機の肥料に置き換わってきているのか、様々な理由があると思いますが、分かる範囲でよいので、その理由について教えていただければと思います。
 以上です。
【古米委員長】 田中委員お願いします。
【田中臨時委員】 どうもありがとうございます。今の質問とすごく近いところです。まず資料6の4ページ目のところです。化学肥料についての減少は分かりましたが、有機肥料がそれに対してどう伸びていて、10a当たりの施肥量の削減というのが、今、有機肥料系は10a当たりどれぐらい今使われていて、化学肥料だったらどれぐらいなのかという現状をもう少し知りたいというのが1番です。
 それから二つ目は、資料7で、家畜の排せつ物の循環利用が主に肥料系のほうに持っていかれるという、3ページ目ぐらいでしょうか。8割ぐらいが持っていかれるという話と、それから、先ほどから出ていた資料6のページ3の現状でのトン数、90万t。この間の関係が、何かもう少し整理してもらえないのかなと。実際に使っているものの中で、ここで使っているものが、畜産系のものがどれぐらいの割合を占めていて、それが過去からどういう変化をして、将来的にはどうなりそうなのかという量的な問題も含めて。しかも途中で、確かりんベースでは8割ぐらいなどと書いてありますが、ここでのユニットがりんではなくて、恐らく全体の総量になってきているので、ユニットがみんなそれぞれ違っていて、どういう関係にあるかが十分に理解できないので、その辺の両者の整理を、今日ではなくてもいいですが、少し整理いただけると有り難いと思いました。
 以上です。
【古米委員長】 西嶋委員どうぞ。
【西嶋臨時委員】 西嶋です。御説明ありがとうございました。
 環境保全型農業について伺いたいと思います。化学肥料の施肥量を低減するなど、局所施肥をして、全体の肥料を恐らく低減するというようなお話だったと思いますが、それによって環境中に溶脱、流出する栄養塩でどれぐらい減っているか、というようなことに関する御検討はあるのでしょうか。
よろしくお願いします。
【古米委員長】 古川委員どうぞ。
【古川専門委員】 御説明、ありがとうございます。
 緩効性肥料についてお伺いします。被膜殻については、長い目で見れば、モノマーまで分解されていくと理解しています。種まきと同じ時期に施肥が行われることで、肥料の使用量の削減に非常に役に立っている面があると思いますが、肥料におけるプラスチックと世の中一般に使われているポリエチレンで、使い方以外での視点で違うものとして認識しておくべき事項、見逃してはいけない事項があれば、教えていただきたいと思い、質問させていただきました。以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。それでは、まとめて資料6、資料7の順番で御回答をお願いしたいと思います。まず資料6から。
【長山係長】 ではまず、横田委員から御質問いただいた、みどりの食料システム戦略の計画認定を受けた経営体の、その全体に占める割合と、どれくらいの削減効果があったかというところについてですが、すみません、定量的なデータを持ち合わせておらず、経営体の割合というところは、今手元にない状況でございます。
 どれくらいの削減効果があったかというところについても、この計画認定制度は、幾つかの事業活動について分類があって、計画認定をしているものでございまして、有機農業などの取組もあれば、温室効果ガス削減の取組など、様々あるところでございまして、様々な取組がある関係で一概にどれくらいの効果があったかというのをお示しできないようなものなのかと思っております。
 二つ目に御質問いただいていた、3ページ目の汚泥由来の資源の肥料に関して問題があるのではないかというところです。確かに出てくるもので、一部有害な物質などが含まれる場合もございますので、そういったものをどのように除去をして、きちんとした肥料にしていくのかというところには課題があるので、そういったところは引き続き、うまく除去できる方法などの開発などを進めているというところかと思います。
 三つ目に御質問いただいた、4ページ目の化学肥料の国内需要量の関係です。こちらについて3名から御質問いただいたと思いますが、まとめて御説明させていただきます。例えば令和元年~令和4年の減少に関しては、説明の中でも少し触れさせていただきましたが、委員から御質問、御指摘いただいていたように、農家の減少や、農作物の作付面積の減少に伴う肥料の需要量の減少はあるかと存じます。
 また、ロシア・ウクライナ情勢などもあり、肥料の価格が高騰していたこともございまして、その肥料の使用をなるべく低減しようというような動きがあったということも承知しております。具体的には、肥料の高騰対策で高騰分を見るという事業もありましたが、その要件として、化学肥料の使用量を低減するといったことを要件としていたところもあり、その肥料の需要量の動きが見られた結果が、この令和4年の数値に表れていると思っております。
 続いて、横田委員から御質問いただいた、5ページ目の局所施肥低減技術の例のうちの局所施肥のところの、いわゆる施肥方法についてということだと思います。こちらについては被膜殻を用いた肥料にこだわらず、様々な肥料の施用の仕方があるかと思いますので、被膜殻に限定したものではないかと思っているところでございます。
 続きまして、和木委員から御質問いただいた最後の8ページ目の水質保全効果の高い取組への支援というところです。この被膜殻がどうしても流出してしまうのではないかというような御指摘だったと思います。御指摘いただいたとおり、今の滋賀県の取組としても要件として、③にあるように、本田をきちんとしっかり目視などで確認して、被膜殻の回収には努めていただいていますが、やはりどうしても流れ出てしまうもの、捕らえきれない部分はあるかと思っております。そういったところがやはり海洋汚染等につながってしまうという懸念がございますので、令和7年度からは、被膜殻を用いていない緩効性肥料に切り替えをしていただいて、それに対して支援をさせていただくという方針で今進めているところでございます。
 続きまして、三浦委員から御質問いただいていた1枚目、資料1ページ目のところです。ネオニコの農薬の関係ですが、すみません、私、農薬を担当しておらず、全体概要は説明させていただいたのですが、この開発の状況などについて、御説明できないところでございます。
 続きまして、田中委員から御質問いただいていた、4ページ目の化学肥料の国内需要量に関連して、有機質肥料の現状というところです。どれぐらい有機質肥料が使われているか、普及しているかという定量的なデータは持ち合わせていないところですが、農水省の取組として、有機質肥料、国内資源の有効活用、循環のために、マッチングなどのサイトなども作っているところもございますし、事業で支援をしているところもございまして、国内資源、有機質のものが普及して推進されていくように取組を進めているところでございます。
 あと西嶋委員と古川委員からの質問が一部聞き取れないところがございましたので、後ほど御質問いただいた上で回答させていただくということでよろしいですか。音声的に聞き取れなかったのですが。
【森川総括】 環境省の森川です。西嶋委員からは、環境保全型農業やることによって、栄養塩類物質、窒素やリンがどの程度減っているのかというような調査はあるでしょうかという御質問だったかと。
【工藤推進官】 環境中に溶脱する栄養塩類が減っているかという調査かと思います。
【長山係長】 いただいた栄養塩類の関係について、調査などは特段承知していないところでございます。
【森川総括】 古川委員については、私も現場の音声が少し聞き取りづらくて、私も理解はできていないので、もしお時間あれば。
【古米委員長】 肥料の被膜プラスチックとして、分解しやすいポリマーか、ポリエチレンのような普通のプラスチックなのかという御質問をされたのかなと、私は聞き取りましたが。何かそういった被膜のプラスチック自体について何かご存じであれば、どういうものが使われているかなど、生物分解性のプラスチックを使うようになろうとしているのか、そういう情報をお持ちであれば、御発言いただくといいかなと思います。
【長山係長】 ありがとうございます。古川委員から御質問いただいた件については、具体的にどういった資材、材料を使っているかというところまでは承知していないところですが、その肥料メーカーなども、プラスチックの流出防止については問題意識を抱えているというところで、肥料メーカーが協調して、プラスチックを使わない肥料に変えていこうという動きがございます。取組が進んでいるところでございます。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、資料7について御回答お願いします。
【夏目課長補佐】 和木委員からいただきました苦情の表、8ページ目です。水質汚濁の原因、豚以外の部分ということで、例えば、排水が汚れているというだけではなく、農場で管理している堆肥舎あるいは畜舎などから、例えば雨が多く降るなどして流出してしまい、それが川に流れ込んでしまって汚染されている、あるいは近所の農場外に流出して、汚染しているというような苦情がここに含まれていると考えております。
 それから続いてP9のBODセンサーのお話ですが、こちら私も細かい技術の部分、詳しいわけではないのですが、実は、この技術は農研機構で開発された技術でして、BODが大体6時間ぐらいで大まかに測定ができるということで、50mg/L以下、50~100の間、100以上ということで、3段階で、6時間で判定をするということで、その判定結果をもとにpHと組み合わせることによって、ばっ気の強さを自動制御するというシステムだと伺っております。
 それから、珠坪委員から家畜排せつ物の堆肥利用促進の取組についてということで御質問いただきましたが、様々実施しています。もちろん堆肥化をして使うというのが基本になるわけですが、それを使う上で、自分たちだけでは使いきれない部分については、周りの耕種農家さんとの連携の中で、畜産農家の堆肥を渡して、耕種農家が作る飼料や稲わらと交換する、いわゆる構築連携だったり、あとは当然、家畜排せつ物が原料なので、家畜が多いところに集中していて、日本全体で見ると、かなり偏在しているということもあります。なので、例えば宮崎や鹿児島、非常に畜産が盛んな地域では堆肥がかなり多くあり、それを足りない地域に分配してあげるというのが効率的に使う上で重要だろうということで、運びやすいようにペレット化、粒状化して輸送効率を上げるという取組も行っております。あるいはマッチングということで、実際に使いたい人、あげたい人がいても、なかなかそのマッチングがうまくいかないということが起こりがちですので、そこは行政であったり、あるいは地域の農協さんと協力しながら、リストを作ったり、マッチングサイトを作ったり、そういった取組をしながら利用の促進を図っているというところでございます。
 最後、田中委員から御意見いただきました、ユニットが違っているというお話で、確かにおっしゃるとおりだなと思う部分もございます。
 NとKにつきましては、窒素は当然揮発してしまい、Kは水に溶けやすいということで、特に家畜排せつ物を堆肥化したときにどれぐらい残るのかというのは、正直なかなかその計算が難しく、同じ畜種の堆肥であっても、処理方法によって大分変わってくる、農家ごとに変わってくるというところもございまして、今のみどり戦略、あるいはもう少し近い目標を立てている食料安全保障強化政策大綱の中では、りんベースでそれを見ていくということにしております。なかなか家畜排せつ物の処理というところで自家利用している部分が大量にあるものですから、どれぐらいが実際に発生していて、堆肥化していて、流通しているのかというのが見えづらい部分ではあるのですが、我々も今そこをまさに調査をしているところですので、そうしたところを踏まえて、なるべく分かりやすく発信できるように検討してまいりたいと思います。
 以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 特に追加の御質問がなければ、次に移りたいと思います。
 それでは、続いて水産関係、港湾関係、里海づくり関係で、3件続けて御説明いただいた後、まとめて質疑応答いたします。
 それでは資料8について、水産庁より御説明をお願いいたします。
【鈴木養殖国際専門官】 水産庁栽培養殖課の鈴木と申します。
 資料8、養殖漁場の環境負荷低減、干潟・藻場の保全・再生の推進等について、水産庁の各担当から順次、御説明させていただきます。
 2ページ目を御御覧ください。まず、養殖漁場の環境負荷低減に関する資料になります。
 我が国の養殖業は経済の発展とともに進展してきましたが、一方で過密養殖や餌の投与などによる漁場環境の悪化が問題となったことなどを背景に、持続的養殖生産確保法が制定され、また水産基本法においても環境との調和に配慮しつつ、養殖を推進する旨が規定されました。
 持続的養殖生産確保法では、漁協等は、養殖漁場の改善に関する計画である漁業改善計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができる規定などが定められ、養殖業者はその漁場改善計画において設定された適正養殖可能数量、これは原則、過去の養殖実績から削減した数量を上限としておりますが、これを遵守することで、漁業収入安定対策による減収補てんなどのメリット措置がある、そういった仕組みにより、漁場環境の改善を推進してきたところです。
 直近の状況としまして、令和4年に閣議決定された水産基本計画において、増産や輸出を見据えた養殖業の成長産業化を図っていく方針が示され、そのために実績ベースで設定していた適正養殖可能数量を見直し、より柔軟な生産が可能となるよう取組を進めていくとともに、マーケットイン型養殖への転換を推進することとしています。
 3ページ目を御覧ください。漁場改善計画の取組が着実に定着してきており、令和5年1月末時点のカバー率は、生産量ベースで95.4%となっております。また、先ほど水産基本計画説明の際に触れましたが、現在この漁場改善計画における適正養殖可能数量の設定方法の見直しに向けて検討を進めており、現行は過去の養殖実績をベースに一定数量を削減した水準で設定する考えを基本としていましたが、今後は過去の実績だけでなく、漁場環境のモニタリング等に基づき、漁場環境に見合った水準となるような設定方法への見直しを行っていくこととしています。
 4ページ目を御覧ください。養殖業成長産業化に向けた水産庁の支援事業や技術開発事業について掲載しております。
 左側の赤枠が技術開発に関する部分であり、養殖業成長産業化総合戦略やみどりの食料システム戦略に基づく取組を推進するため、輸入や天然資源に依存する魚粉の使用量を削減するための飼料開発や、養殖種ごとの課題を踏まえた優良系統の作出等に取り組んでいます。
 また、この事業の中では藻類、特にノリ養殖も扱っており、昨今の海水温の上昇等の環境変化により、養殖期間の短縮化や、栄養塩類不足による品質の低下といった影響が生じていることから、このような環境変化に適応した高水温適応品種の開発と環境に応じた持続的な養殖業の推進に向けた技術開発を推進しているところです。
 以上、養殖については4ページまで説明させていただきました。
【安田課長補佐】 続きまして、5ページ目以降、藻場・干潟の関係で水産庁の取組を御説明させていただきます。
 5ページ目を御覧ください。藻場・干潟につきましては、御案内のとおり、豊かな生態系を育み、沿岸漁業にとっても大変重要な場でございますので、水産庁としてこの保全・創造に努めているというところでございます。
 基本的には、地域の漁業者を中心とした活動組織、あるいは地方自治体がこの藻場・干潟の保全・創造の主体として取り組んでいますが、水産庁としてはこの支援をしています。
 5ページ目の藻場・干潟ビジョンにつきましては、各地域の関係者が藻場・干潟の保全・創造に取り組むに当たっての基本的な考え方、これをお示ししたものでございます。具体的には、藻場・干潟の機能の低下についての具体的な要因をしっかり把握をして、その要因ごとの対策を実施していくこと、あるいはハード・ソフト一体的な対策を実施していくこと、こういったことを記載したものでございます。この国の考え方に基づきまして、全国の海域では、約80海域で、海域ごとの藻場・干潟ビジョンを策定して、地域の取組が進められているところでございます。
 続いて6ページ目、水産庁の支援事業についての御紹介です。水産基盤整備事業という公共事業でございます。この事業は、漁港や漁場といったハード整備をするに当たっての支援制度になってございまして、この中で藻場の再生、藻場の造成、こういったものを支援しているというものでございます。
 7ページ目を御覧ください。水産多面的機能発揮対策事業というものでございます。こちらは、漁業者を中心とした、藻場・干潟の保全活動を行う活動組織の取組に対する支援制度でございます。例えば、藻場の保全に関しては、右の写真にありますとおり、食害の影響を低減させるためのウニの駆除や、あるいは干潟の耕うん、こういった取組について支援をしているものでございます。
 続いて8ページ目です。今申し上げた水産多面的機能発揮対策の一つの事例を御紹介させていただきます。お示ししているのは、三重県鳥羽市の例で、伊勢湾口部に位置している大野浦湾というところの例でございます。ここは、砂浜域におきまして、アマモ場が形成されているところですが、その減少が課題になっているという地域です。ここにおきましては、漁業者、それから漁業、さらに地元の海の博物館というところが一体連携をしまして、アマモ場の保全活動を進めているという例でございます。真ん中に活動の内容がございますが、アマモの種子の採取からの播種といったアマモ場を保全・再生に向けた取組が進められています。
 9ページ目を御覧ください。支援事業のほかに、水産庁といたしまして、藻場の磯焼け対策に関する具体的な対策を取りまとめたガイドラインをお示ししたり、あるいは年に1回、磯焼け対策全国協議会としまして、自治体や研究機関、民間企業、こういったところが一体となって、新たな知見の共有や優良事例の共有を行う場を開催して、地域の取組の強化につなげています。
 藻場の関係は以上でございます。
【贄田課長補佐】 続きまして、資料10ページ以降について御説明させていただきます。水産庁漁場資源課の贄田と申します。よろしくお願いします。
 ヒアリング項目の栄養塩類の管理などに関連しまして、水産庁では、栄養塩類を含めた水質環境と水産資源との関係や、水産資源に及ぼす影響について調査・研究を実施しております。
 11ページを御覧ください。具体的には水産庁の委託事業としまして、国立研究開発法人水産研究教育機構や関係する地方公共団体の研究機関、大学等に参加いただき、栄養塩類が水産資源に及ぼす影響について調査・研究を実施しております。
 11ページの下の黄色部分にも記載しておりますが、ノリや植物プランクトンなどを除いた水生生物の多くは、栄養塩類を直接利用するのではなく、生物によって栄養塩類との関係は異なります。そのため、栄養塩類と水産資源との関係を解明していくためには、餌となるプランクトンなどとの関係や、プランクトン自体のサイズや種類の組成変化といった質的な変化についても調べていくことが重要と考えられます。
 12ページ目を御覧ください。続きまして、これまでの調査・研究で得られた知見について、幾つかの概要を紹介させていただきます。
 まず、栄養塩類が藻場の生態系に及ぼす影響を調査する一環として、栄養塩類の異なる環境で育った海藻類が、それを餌としている小型生物にどのような影響を及ぼすかを調べた事例でございます。
 資料右上にありますように、栄養塩類が少ない環境下で育てた海藻を、藻場に生息するメバルなどの稚魚の餌となるヨコエビという小型生物に与えたところ、左下の青色の折れ線グラフにありますように、栄養塩類が豊富な環境下で育てた海藻を与えた場合の赤いグラフと比べて、成長が遅くなるといった結果などが示されました。
 13ページを御覧ください。続いての事例ですが、瀬戸内海の燧灘では、カタクチイワシの産卵量が多いものの、その子供のシラスの不漁などが継続しておりまして、その要因として、カタクチイワシの子供や親魚の餌環境の変化などが要因の一つであることが指摘をされております。
 具体的には、この図の下のところに記載されておりますように、栄養塩類の減少や高水温化によって、カタクチイワシの餌となる動物プランクトンが減少していることが示されております。これがカタクチイワシの親魚の肥満度の低下や卵の小型化を招くとともに、カタクチイワシの子供が生き残りの状態が悪化しているということが示されております。また、これらの複合的な要因によって、燧灘におけるカタクチイワシの加入量といったものが低迷していることが示唆されております。
 引き続き、水産庁としましても研究機関などとも連携し、水産資源の生産性の確保に向けて、栄養塩類と水産資源との関係に関する調査・研究を推進してまいりたいと考えております。
 資料8の説明については以上となります。
【古米委員長】 ありがとうございました。それでは資料9について、国土交通省より御説明をお願いいたします。
【山田専門官】 国土交通省港湾局海洋・環境課の山田と申します。よろしくお願いします。港湾における地域環境改善の取組について御説明させていただきます。
 1ページお願いします。まず初めにですが、浚渫土砂を有効活用した地域環境の改善というところで、港湾区域内や港湾事業で行っております航路上の土砂などを取り除く作業、浚渫作業ですが、そのときに発生する浚渫土砂を活用して覆砂や深掘跡の埋め戻し等に用いております。これらによって、埋め戻しなどを行って干潟の造成などに有効的に活用してございます。具体的にどういった事例があるかについて、次のスライドから御説明させていただきます。
 2枚目のスライドをお願いします。まず事例の一つ目としまして、こちらにございますように、千葉県の千葉港の例を示させていただいております。浚渫位置というところで、左の図に示している赤い丸ですが、こちらで行われた浚渫工事の土砂を、覆砂位置というところの赤いところに持っていって埋め戻し、山を作っている事例になっております。こちらは令和4年4月~8月にかけて泥質の海底地盤の覆砂を実施し、マコガレイの産卵に適した小規模の山形の地形を複数造成しております。
 実際にこのモニタリング等が行われておりまして、東京湾再生官民連携フォーラム生き物PTというところで、実際にモニタリングを行っているところでございます。実際に、産卵の確認が取れていて、継続的にモニタリングを実施しております。
 続きまして2件目の事例です。大阪府の阪南港におきまして、同じように浚渫土砂を用いた深掘跡の埋め戻しを行っているところでございます。位置関係としましては左下、左の図を見ていただければ分かるかと思いますが、ここで示されていますのは1~21、この地点で行っていますが、変化が顕著でございました点につきまして、右に示しております。これはDOの分布を示していますが、この地域は深掘跡で貧酸素水塊が発生するというところが問題になっておりまして、ここに埋め戻しをすることによって、右に示していますように、赤いほうがDO濃度、貧酸素状態が高いというところを示しておりまして、下、埋め戻しをすることによって、貧酸素が少なくなっているということが示すことができます。こういった事例のように、水域環境を改善するということがいえると思います。
 そしてまた次4ページ目、別の事例です。港湾局では、国土交通省としましては、ブルーカーボンの生態系の活用したCO2の吸収源の拡大によるカーボンニュートラル実現への貢献や、生物多様性による豊かな海の実現を目指して「命を育むみなとのブルーインフラ拡大プロジェクト」というのを実施してございます。
 ブルーインフラというのは、真ん中に示させていただいていますように藻場や、干潟など、こちらにイメージ図、記載させていただいておりますが、生物共生型港湾構造物、こういうものを「ブルーインフラ」と位置づけまして、全国の海へ拡大することを目指し、保全・再生・創出の拡大に向けた環境整備に取り組んでいるところでございます。
 主としましては、下に①、②、③、三つ記載させていただいています。一つ目、ブルーカーボンの先導的な取組の推進(全国展開)。二つ目、温室効果ガスの吸収源の簡便な算定手法の検討。三つ目、港湾設備の設計工事における環境保全の配慮に係る取組の強化。この三つの3本柱で取組をさせていただいているところでございます。
 5枚目のスライドお願いします。一つ目の活動取組について紹介させていただきます。昨年度から、第1回の全国海の再生・ブルーインフラ賞授賞式というところで、実際に全国でブルーインフラに関する取組、例えば教育活動はもちろん、生態系の保全や、人為的に改善が見込まれ、さらにその保全活動された団体、企業さんに対して表彰するという制度を昨年度から行っております。
 そして次の7ページです。二つ目につきましては、ブルーカーボン高精度データ把握・管理システムの開発というところで、港湾空港技術研究所におきまして、これからこういったブルーインフラを増やしていこうということに対して、現在では簡便に藻場の状況や、そのブルーインフラがどれぐらいのCO2の吸収源があるのかというところを簡便に計測することができませんので、これを一般的に皆さんに簡便に計測し、かつ費用を抑えて、CO2の吸収量の報告ができるようなシステムを検討しているところでございます。
 そして7ページ、最後の三つ目です。港湾施設の設計・工事における環境保全への配慮に係る取組の強化というところで、少し最初の浚渫土砂の活用とも似たような話になりますが、港湾設備において、生物共生型の構造物をつくる際、こういったブロックであれば、産業副産物などを活用し、このブロックを沈めることによって藻場の造成を助けるなど、防波堤をつくるときに島防波堤といいまして、ケーソンの裏に土砂を積むことによって、藻場の造成を図るといった取組を行っているところでございます。
 そして、実際にどういったところで、この生物共生型の構造物の整備が行われているかといいますと、地域はほかになってしまいますが、釧路港で実際に行っている事例が8ページにございます。左下に示していますように、ブロックが並んでいるのが分かると思います。このブロックは、右に記載されていますような島防波堤を造りまして、その上に浅場になっておりますので藻場を造成することによって、生物共生型といった港湾構造物になっており、藻場の環境が形成されることによって、海洋環境の改善が見込まれると考えています。
 そして、その他の活動ですが、9ページに記載させていただきましたJブルークレジット制度の活用がございます。カーボン由来のカーボンクレジット制度ということで、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、ブルーカーボン生態系を活用したCO2の吸収源の拡大を図るために、国土交通省が設立を認可したジャパンブルーエコノミー技術研究組合において、藻場の保全活動等の実施によって創出されたCO2の吸収量を認定し、クレジットの取引を可能とするJブルークレジット制度を実施しているところです。
 そして、こちらは2024年の10月にGX-ETSの認証も受けてございまして、実際に右のグラフに示されておりますのが、取引実績になってございます。こちらを活用することによって、藻場を造成して、CO2の取引もできるようになるという制度でございます。
 そしてスライド10です。全国海の再生プロジェクトということで、これまで都市再生プロジェクト第三次決定及び国土交通省環境行動計画、こちらを受けて、東京湾、大阪湾の閉鎖性海域の水質改善に向けて活動を行ってまいりました。
 令和5年には東京湾にて、令和6年には大阪湾、平成29年には広島湾、同じく伊勢湾で新たにプロジェクトを進めているところでございます。
 そして続きましてスライド11、東京湾のUMIプロジェクトですが、東京湾の豊かさを取り戻すためには、森に木を植えると同じように、海においても「生き物のゆりかご」といわれるアマモ場を東京湾で再生させて、生物多様性を確保するとともに、その活動を一人一人が理解することによって、どんどん広げていこうということで、UMIプロジェクトを開催してございます。
 こちらは参加企業さんや、作る側のNPO、こういったところのマッチングを行って教育したり、機会を与えて、皆さんに考えていただくという活動を行っております。
 そして最後のスライド12ですが、東京湾大感謝祭2024の開催ということで、こちらも東京湾の活動を一般の方に理解していただきましょうと、たくさんの先生方や一般の方の支援をいただきまして、ブースを開いて、皆さんに知っていただこうという機会を設けてございます。これに伴って、東京湾で様々な海の環境改善に力を入れていますよということをアピールしている場を設けているというところです。
 以上になります。
【古米委員長】 続いて資料10について、環境省より御説明お願いします。
【森川総括】 環境省の海域環境管理室の森川と申します。資料10について御説明差し上げます。
 当室で行っております、藻場・干潟の保全・再生等の里海づくりの推進についてです。
 2ページ目、里海づくりに関するアンケート調査を環境省で数年おきに行っております。左下のグラフですが、里海づくり、これは活動にいろいろ大小ありますが、地域で取り組む里海づくりの活動が年々増えてきているということが分かるかと思います。海に関する再生について、地域側のニーズが高いと。一方で右側のグラフにありますとおり、里海づくり活動における課題として人的資源、マンパワーが足りない、活動内容の指標化、効果が出たのか分からないと。また資金的な問題、資金が足りないといったような課題が現場では見てとれるかと思います。
 3ページ目、御覧ください。また、国内では、これは海域に限った話ではございませんが、生物多様性に関する危機というのが大きな課題となっておりまして、近年、より課題として認知されているという状況です。世界の生物多様性の現状についても、絶滅種の絶滅速度は過去100年間で急上昇するなど、第6の大量絶滅期とも言われている状況でございまして、生物多様性について議論する生物多様性条約においては、30by30ということで、2030年までに陸と海の30%以上を、保全等をしていかなければ、生物多様性の危機が収まらないというような状況になっております。
 4ページ目でございますが、こうした状況を受けて、国内では自然共生サイトとして、保護地域だけではなく、民間等の活動によって、生物多様性の保全が図られている区域を自然共生サイトとして認定する仕組みを開始しております。現在までに、全国253か所認定しておりまして、さらにはこういった活動を一層促進するために、昨年の4月では地域における生物多様性の増進のための法律も成立しているところです。
 4ページ目の下に、一部自然共生サイトとして認定されている事例を記載しておりますが、海域については陸域より登録数が少なく、253か所中、10事例程度にとどまっているという状況です。
 5ページ目に、当室で取り組んでいる「令和の里海づくり」モデル事業として、海域における藻場・干潟の保全・再生等、それだけではなく、地域資源を利活用することで保全にもまた還元するというような取組をして、地域の取組を支援、また好事例の創出につなげるという取組をしております。
 6ページ目には、当モデル事業によって選定している団体一覧を載せております。
 7ページ目では、当事業により目指すものとして、今申し上げました保全のみではなく、それでは持続性が担保できないということで、地域資源を利活用することにより、ヒト、モノ、カネと載っておりますが、課題となっているマンパワーや資金の確保等をおつなげすることで、好循環を回していくという取組を目指したいと考えております。
 最後のページ、8ページ目です。より一層こういった沿岸域における地域の取組を推進するために、先ほど水産庁さん、国交省さんの御説明でもありましたが、関係省庁の皆様とも連携して、資金、技術的な支援や、情報共有の場の提供、また認定・PR等をしていくことで、地域の里海づくりの取組を環境省として支援してまいりたいと考えております。
 環境省からの説明以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。それでは御意見、御質問をお聞きしたいと思います。お願いいたします。
 風間委員、西嶋委員で、まず風間委員お願いします。
【風間専門委員】 ありがとうございます。
 資料8の11ページです。諏訪湖など、そういう閉鎖されたところでは、バイオマニピュレーションといいますか、こういうことはあるかと思いますが、海洋ということですので、私は東京湾で赤潮をずっと見ていて、こういう方向で何とかなればいいなとは思うにしても、なかなかどこからどうなるのかなと分からないのですが、今、このページにあるような研究が多々されているような御発言でしたが、今の最も有力といいますか、現実に海洋に適用されそうな事例、成果、そういうのがもしあったら教えていただきたいというのが一つです。
 それから、資料9の港湾です。スライド1に浚渫土砂の有効利用について述べられていました。でも、需要と供給のバランスといいますか、泥自体がその中身のチェックをやることによって使えるものが少ないということもあろうかと思いますが、覆砂しても土砂がないという事態というのがあるのでしょうか。
 それから、同じくスライド9のところに、Jブルークレジット制度というのがありますが、この資料を見ていますと、このグラフのほうの青い線、ここで何かガクッと、平成4年は高いのですが、その後、何か減っているのが気になっているのですが、これは何なのでしょうか。原因は何と認識されているのでしょうか、教えていただければ幸いです。ありがとうございます。
【古米委員長】 西嶋委員お願いします。
【西嶋臨時委員】 西嶋です。資料9について質問させてください。
 浚渫土砂を使って、深掘跡地を埋め戻すというのは、すごく貧酸素水塊の発生抑制には効果があると思います。お示しいただいたように大阪湾でも深掘跡地はたくさんあるのですが、これは計画的に順次これを埋めていくのかどうか。それから、その浚渫を行われる度に、浚渫土砂をどう利用するかを検討されるのかということについて教えてください。
【古米委員長】 東委員、どうぞ。
【東専門委員】 資料8の13枚目。下のフローチャートには、カタクチイワシの減少要因として、餌となる動物プランクトンの減少が示されており、さらに動物プランクトンの減少要因として栄養塩類の減少、クロロフィルaの減少、高水温化が挙げられています。
 これに関して二つ質問がございます。一つ目は、栄養塩類とクロロフィルの減少が、そもそも高水温化、少し言い換えますと、冬から春の温暖化が原因となって引き起こされているのではないかとも考えられます。これらを別々に取扱うのは少し違うのではないかなという気がしました。
 というのも、近年、複数の海域によって冬の水温が下がらないために、クロロフィルaが高くなっている傾向が見られます。それによって栄養塩が春まで残っていないために、春先のカイアシ類が必要とする時期に餌がないのではないか、というような知見も出ていたと記憶しております。
 二つ目は、高水温化がカタクチイワシや動物プランクトンのカイアシ類に、栄養塩の現象とは関係がなく、産卵や成長といった生活史の中に直接効いてくるものがあるかと思いますが、それに関する知見がありましたら、教えていただきたいと思います。
 以上です。
【古米委員長】 三浦委員どうぞ。
【三浦臨時委員】 ありがとうございます。
 まず資料9の3ページ目です。浚渫土の埋め戻し等によって、貧酸素水塊がなくなってきたということですが、大阪湾の取組が出ていますが、閉鎖性海域における東京湾や、三河湾、そういうところでも行っているのか。また、全国的にどれぐらいのところで行っているのかが分かれば教えていただきたいです。
 それからもう一つが、Jブルークレジットについてです。資料9の9ページ目で、公募の取引実績というものが書いてあります。取引数量が127.3tで、購入企業・団体数が89、そして平均取引単価が7万9,959円ということですが、全体の母数として、公募に挙がってきた数量がどれぐらいあって、これがどれぐらいの割合でマッチングしていったのか。そこが分かれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
【古米委員長】 それでは、珠坪委員、どうぞ。
【珠坪専門委員】 資料8の3ページ目です。漁場改善計画の推進、かなり改善計画が策定されて、カバー率が高くなっています。この中で漁場の環境改善や、維持を図る、加えて、モニタリングを実際しているというような計画も含まれているかと思いますが、これ改善した結果どうなっているのかというような成果、つながるところのデータがあれば教えてください。
 以上です。
【古米委員長】 田中委員どうぞ。
【田中臨時委員】 どうもありがとうございます。
 まず資料8については、後半で水産庁の研究所の方が、栄養塩のレベルとそれから魚介類の関係を今様々調べられている話が出てきました。まだ研究段階だと思いますが、こういう研究が、例えば、どういう魚介類、あるいはどういう海藻類で、どのぐらいの窒素、しかも形態がどういう形態、あるいはりんもどういう形態が必要かというような研究は、どこがどのようにやっているか、どこかのホームページに公開されているのかどうかというのを教えていただきたいというのが1点です。
 2点目は、資料9、資料10は、それぞれ国土交通省の港湾系と、それから環境省から沿岸域の植生帯をつくっていくのは非常に重要だというのは非常に分かりますが、それは現状であり、海岸線のどれぐらい、港湾だと区域が限られていると思いますが、それが今、復元されているというように認識されていて、将来的には30by30のようなものを含めて考えていくと、どれぐらいの延長が必要というような目標設定は、何かされているのでしょうか。その2点、教えてください。
 以上です。
【古米委員長】 ありがとうございます。古川委員。
【古川専門委員】 資料9の9ページについて教えていただきたいと思います。
 認証・発行済Jブルークレジットのうち、延べ54プロジェクトがGX-ETS「適格カーボンクレジット」として承認・登録されたと書いてありますが、Jブルークレジットを取得すれば、全てGX-ETS「適格カーボンクレジット」として認められるのか、もしくはJブルークレジットでも、更なる必要な要件を満たさないと、GX-ETS「適格カーボンクレジット」として認められないのか、条件についてもう少し詳しく教えてください。
 以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございます。
 それでは、資料の8から順序立てて回答をお願いいたします。
【贄田課長補佐】 水産庁漁場資源課の贄田と申します。
 まず、風間委員から資料8の11ページ目について、現実に適用できそうな対策についての御質問だったかと思います。
 今後のヒアリングなどでも御紹介があろうかと思いますが、例えば瀬戸内海では瀬戸内海環境保全特別措置法に基づいて、現在、兵庫県と香川県では栄養塩類管理計画という、下水処理施設や工場から海域に対する栄養塩類の供給の増加といった取組などがなされているものと承知しております。
 こういった取組によって、例えば兵庫県の一部の漁場では、高品質のノリが安定して生産される効果が見られているとのお話もあります。もちろん海域によって状況は異なりますし、関係者での議論が必要になろうかと思いますが、栄養塩類管理計画というものが既に瀬戸内海では実施されておりますし、このような取組も適用し得る取組の一つではないかと考えております。
 以上です。
 続きまして、東委員から13枚目のお話ということで、冬から春にかけての高水温によって栄養塩類が減少し、それが動物プランクトンに影響を与えているというようなお話がまず1点ございました。動物プランクトンにつきましては、現在も継続して経年的な変化なども調べておりまして、冬から春にかけての栄養塩類の減少と動物プランクトンの組成の変化なども含めて、引き続き調査を進めております。
 今回、御紹介させていただきました趣旨としまして、春から夏にかけて、カタクチイワシの親魚が産卵の盛期に当たり、カタクチイワシの子供が育って、親になるような加入に対して重要な時期と言われておりまして、そのあたりの餌環境がどのようになっているかということや、カタクチイワシの親魚の状況がどのようになっているかといったものに焦点をあてたものでございます。
 もう一つ質問が、東委員からあったかと思いますがすみません。全部聞き取れませんでした。
【古米委員長】 今ので結構だと思いますので、簡潔に回答をお願いいたします。あとは珠坪委員と田中委員です。
【贄田課長補佐】 田中委員の御質問ですが、どういった生物に対してどういう研究がなされているかというものでございます。こちらの13ページの資料の一番下に、漁場環境改善推進事業というものを水産庁の委託事業で実施しておりまして、水産庁のウェブサイトにおいて、ある程度研究成果がまとまった段階で、今回のヒアリングで紹介させていただいた資料も含めて掲載しております。
 あと珠坪委員から、資料8の3ページ目についての御質問が。すみません。
【古米委員長】 改善事業は行われていますが、具体的な成果はどのような状況ですかと。事業がなされていることは分かりますが、それがどれだけの成果が出ているのか、評価をされていますかという質問でした。
【鈴木養殖国際専門官】 お答えします。具体的な数値、データというのは水産庁では持っていないのですが、改善計画に立てた目標数値を超えていないかというのは、県漁業、養殖業者でモニタリングを図って、確認はしているものと承知しています。また、当時、漁場環境が悪化してきた時代と比べまして、モニタリング技術やモニタリング体制、またモニタリングを活用した養殖生産の管理というのは十分進んできているものと承知していますので、具体的なデータはお示しできないのですが、改善に向けて進んできているということは言えるかなと思っております。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは資料の9について御回答お願いします。
【山田専門官】 資料9について御回答させていただきます。
 まず風間委員から質問いただきました件です。浚渫土砂の活用につきましては、資料にも記載させてございますとおり、浚渫場所と覆砂の位置や埋戻しの位置というのが、同じ港湾区域内になってございますので、こちらにつきましては、同じ区域内での需要と供給というところで行っている事例になってございます。
 もう一つ、2点目に関してです。9枚目のスライドで、Jブルークレジットで平成4年度のものが多くなってございますが、CO2の吸収量はその年に認可した吸収量ということで記載してございまして、令和4年度には大型案件があったということになります。
 そして、次に西嶋委員から質問をいただきました大阪湾での浚渫土砂について、3枚目のスライドです。計画的に行っているのかどうかというところですが、詳細については近畿の整備局に問い合わせをしないといけない部分ではございますが、私が今回資料を確認したときの情報でございますと、計画的に毎年、ここに埋めようというところで行っていると伺ってございます。場当たり的にそのときに余った浚渫土砂を入れようというところではなく、計画的に行われていると思われます。
 次に三浦委員からの御質問、御指摘のあった、大阪湾、東京湾、全国的な浚渫土砂の状況です。過去に遡りますと、広島の区域などで行われておりますが、最近ですと川崎沖や、千葉沖で行っているという事例がございます。そんなに多くはないのですが、それはやはりタイミング的に浚渫土砂や、そういう土砂が余ったタイミングや、必要性に応じて行っているというところになります。
 また、もう一つ、9枚目のスライドについての質問で、価格についてです。こちらに書かせていただいております価格というのが、詳細についてはJブルークレジットのホームページを御覧いただくのが一番早いかなと思います。ホームページを御覧いただきますと、一つ一つの事例及び価格の記載がございます。この価格が7万9,000円となってございますが、あくまで平均化した値でして、それぞれについて、1件1件ごとに価格が違っているということでございます。
 また、取引の方法につきましても、基本的にはCO2の吸収量という単位で行っておりまして、延べ面積という単位ではございません。この延べ面積につきましても、どれぐらいの面積に対して、どれぐらいの吸収があるのかというのは、水産庁さんが出されている、植生によるCO2の吸収係数というのが変わっております。その吸収係数や、密度、面積はありますが、その密度が違うとまた吸収量が違ってきますので、CO2の吸収量に対しての価格という単位づけがされてございます。地域によっても育っている植生や面積が変わっていきますので、そちらもホームページで御覧いただければと思います。
 続きまして、田中委員からありました質問でございます。少し環境省さんとも関わる質問かなと思いまして、私からお答えさせていただいていいのか分かりませんが。将来的にはどうですかというところです。
 地球温暖化対策計画において、ブルーカーボンのCO2吸収固定量において、具体的に数値目標として掲げられる予定でございます。吸収量をこれぐらいにしようということで目標が掲げられる予定で、2035年ではどれぐらい、2040年ではどれぐらいというところ、これが将来的な目標についてで、お答えになっているかと思います。
 それから最後ですが、古川委員からの御質問で、同じくスライド9枚目、GX-ETSについての要件でございます。こちらはJブルークレジットの認可をされたからといって、GX-ETSがつくかというのは、また別の問題になってございます。実はJブルークレジットの認証がされて、後にGX-ETSが認証されています。これはフェーズ1でのGX-ETSの認可でございまして、フェーズ2になるとどうなるか分からないという状況でございます。
 港湾局からは以上です。
【森川総括】 環境省の海域環境管理室の森川です。
 田中委員からの温暖化対策については、今ほど国交省さんからお話しされたとおりで、当室で取り組んでいる里海づくりの推進についても、それに貢献していくものという形になっております。
 併せて生物多様性の関連で、資料中でも御説明申し上げた30by30の目標の達成に向けて事業も貢献していくものとして、もし仮に当事業のみで明確な目標を定めているものではございませんが、そういった30by30のほうでも、今現状の海域における保護区域がどの程度で、そこに向けてどの程度足りないかといったことは明確に示されておりますので、そういった目標値をしっかり横目ににらみながら、当事業により藻場・干潟の保全と地域資源の利活用の好循環の事例をしっかり創出して、地域の里海づくりの推進に貢献していきたいと考えております。
 以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございます。
 一通り御回答いただきましたが、もしよろしければ、次に移りたいと思います。
 それでは、その他ということで事務局からありますでしょうか。
【水谷室長】 事務局より1件、御報告でございます。
 事前に委員の皆様には御連絡させていただいておりますが、第1回専門委員会資料につきまして、一部誤植がございました。具体的には第1回の資料の4-1、汚濁負荷量の状況につきまして、まず、伊勢湾のリンの発生源別の内訳が誤っていたということと、それから全ての海域になりますが、指定事業場内におけるCOD発生負荷量及び平均水質データが間違っておりました。正しいデータに訂正いたしまして、2月7日付で、環境省ホームページに掲載されている、第1回の資料も差し替えてございます。
 この場をお借りしてお詫び申し上げるとともに、事務局といたしまして今後同様のことが起きないように努めてまいりたいと思っております。申し訳ございませんでした。
【古米委員長】 どうもありがとうございます。データの信用性、非常に重要ですので、しっかりと資料を作成いただくようにお願いしたいと思います。
 それでは時間がかなり過ぎましたが、本日の審議はこれで終了といたします。
 それでは、進行を事務局にお戻したいと思います。
【水谷室長】 古米委員長、議事進行ありがとうございました。
 最後にコメントいただいたように、改めてデータの信頼性、重要性を認識した上で、今後の資料作成に努めてまいりたいと思います。
 また、委員の皆様におかれましては、長時間にわたり活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
 次回、第3回ですが、3月14日を予定しております。産業界関係、関係自治体、環境団体の方からのヒアリングとなってございます。委員の皆様に改めて御連絡差し上げたいと思います。
 また、本日の議事録でございますが、事務局で作成の上、委員の皆様の御確認を経て、環境省のホームページにて掲載をしたいと思っております。
 それでは以上をもちまして、第2回総量削減専門委員会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
午後4時16分 閉会