中央環境審議会 水環境・土壌農薬部会 総量削減専門委員会(第10次)(第1回)議事録

議事次第

1.開会
2.議題
 (1)第10次水質総量削減の在り方に関する諮問について
   (令和6年10月23日付諮問第622号)
 (2)水質総量削減制度の概要と検討の進め方について
 (3)水環境の現状等について
 (4)その他
3.閉会

資料一覧

  • 資料1   総量削減専門委員会委員名簿
  • 資料2   第10次水質総量削減の在り方について(諮問・付議)
  • 資料3-1 水質総量削減制度の概要
  • 資料3-2 総量削減専門委員会における検討の進め方(案)
  • 資料4-1 汚濁負荷量の状況
  • 資料4-2 水環境の現状
  • 参考資料1 中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の専門委員会の設置について
  • 参考資料2 中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の運営方針について
  • 参考資料3 第9次水質総量削減の在り方について(答申) (令和3年3月)
  • 参考資料4 化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海)(令和4年1月)

議事録

午前10時00分 開会
【水谷海洋環境課長】 定刻になりましたので、ただいまより中央環境審議会水環境・土壌農薬部会第1回総量削減専門委員会を開会いたします。
 委員の皆様におかれましては御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 私、事務局を務めます環境省海洋環境課長の水谷と申します。委員長による議事進行までの間、司会を務めさせていただきます。
 本日ですが、会場とWEB会議併用の開催となっております。WEBで御参加の委員におかれましては、発言時以外はカメラはオフ、マイクはミュートにしていただきますようお願いいたします。
 また、本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づきまして公開としており、YouTubeの環境省海洋環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。
 本日の委員の出席状況でございますが、委員総数17名全員の委員に御出席をいただいており、定足数の要件を満たしております。したがいまして、本日の委員会は専門委員会として成立していることを御報告いたします。
 それでは開会に当たりまして、環境省水・大気環境局総務課長の名倉より御挨拶申し上げます。
【名倉総務課長】 環境省水・大気環境局総務課長の名倉でございます。中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の第1回総量削減専門委員会の開会に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 皆様におかれましては、御多忙の中、委員をお引き受けいただき、また本日の委員会に御参加いただきまして誠にありがとうございます。
 さて、本専門委員会で御審議をいただく水質総量削減制度については、現在、令和6年度を目標とする第9次水質総量削減を実施しております。昭和54年の第1次から今日に至るまで、関係者の皆様方の多大な御尽力によって、汚濁負荷量については着実に削減されており、水質は全体的に改善してきております。
 一方で、依然として水質汚濁が課題となっている海域もあれば、栄養塩類の不足による水産資源への影響が指摘されている海域もあるなど、指定水域内でも海域ごとに状況が異なっています。このため、第9次水質総量削減の在り方答申においては今後の課題として、よりきめ細やかに海域の状況に応じた取組を可能とすべきであるとされています。
 また、瀬戸内海においては、気候変動による水温上昇や栄養塩類の不足等による水産資源への影響が指摘され、その対応として令和3年に瀬戸内海環境保全特別措置法を改正し、法の基本理念に気候変動の観点を追加するとともに、地域のニーズに応じて特定の海域へ栄養塩類の供給を可能とする栄養塩類管理制度を導入したところです。
 このような状況を踏まえ本専門委員会では、第10次水質総量削減の在り方について、専門的な御議論をいただきたいと考えています。本日は第1回ということで、本専門委員会の進め方や水環境の現状等について説明させていただき、御審議をお願いできればと考えております。
 委員の皆様におかれましては、専門的な見地から忌憚のない御意見を賜りますようお願いを申し上げて、冒頭の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【水谷海洋環境課長】 それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきたいと思います。会場では資料につきましては、タブレットに格納をさせていただいております。議事次第にありますとおり、配布資料としては資料1から資料4-2、それから参考資料といたしまして1から4を御用意させていただいております。不足等ございましたら、またタブレットの操作の関係でサポート必要でしたら、事務局までお申しつけいただければと思います。
 それから、会議中の委員の皆様からの御発言に当たっての留意点を簡単に御説明させていただきます。まずWEBで御参加の委員におかれましては、御発言を希望される場合には挙手ボタンをクリックいただきますようお願いいたします。委員長より順次御指名させていただいて、その後発言を終えられましたらボタンを再度クリックしていただいて、挙手ボタンの解除をお願いいたします。会議中に音声が聞き取りにくい、あるいは不具合等ございましたら事務局までお電話又はWEB会議のチャット機能にて、恐縮ですがお知らせください。
 それから会場の委員の皆様におかれましては、御発言を希望されるときは名札を立てていただいて、意思を表明いただければと思います。委員長の指名の後、御発言終わりましたら名札をまた元の形にお戻しいただければと思います。
 なお、机上に丸型のスピーカーを配置してございますけれども、こちらWEB配信等の音質向上のために置かせていただいております。お手を触れないようにお願いできればと思います。御発言はワイヤレスのマイクを使っていただければというふうに思っております。
 本委員会の委員長に関しましては、中央環境審議会運営規則に基づきまして、部会長が指名することとなっております。古米委員が本専門委員会の委員長として指名をされているところでございます。
 ここからの議事進行は、古米委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 御紹介いただきました古米です。委員長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 限られた時間内ですので、円滑な議事進行に御協力いただければと思います。
 それでは早速でございますが、議事に入りたいと思います。議事の第10次水質総量削減の在り方に関する諮問についてということで、事務局より御説明をお願いしたいと思います。
【工藤推進官】 環境省海域環境対策室の工藤と申します。
 それでは当方より資料2に基づきまして、第10次総量削減の在り方に係る諮問について御説明をさせていただければと思います。
 資料2を御覧ください。
 本年10月23日に環境大臣から中央環境審議会会長に対しまして、第10次水質総量削減の在り方について諮問がなされたところでございます。諮問理由につきましては、先ほど御挨拶にもありましたけれども、現在、総量削減については令和6年度を目標年度とする第9次総量削減基本方針に基づいて、汚濁負荷の削減に取り組んでいただいているところでございます。
 これまでの取組によりまして、陸域からの汚濁負荷量は着実に減少しており、水質は全体として一定程度改善してきておりますが、水質汚濁が課題となっている海域が依然として存在しているとともに、夏季の高温期を中心に貧酸素水塊の発生等も課題となっております。
 また一方で、栄養塩類濃度の低下によって水産資源等への影響を懸念する声があるといったところから、第9次の在り方答申におきましては、よりきめ細やかな海域の状況に応じた水環境管理への移行が必要とされております。
 また、指定水域のうち瀬戸内海につきましては、令和3年に瀬戸法を改正し、特定の海域ごとのきめ細かな栄養塩類の管理を可能とする栄養塩類管理制度が導入されたところです。
 このような状況を踏まえまして、今般、第10次水質総量削減の在り方について中央環境審議会に諮問がなされました。これを受けまして、資料2の2ページにありますとおり、本年10月24日付で本諮問について中央審議会長より水環境・土壌農薬部会に付議がなされ、参考資料1にありますが、11月7日に同部会の下に本専門委員会が設置されたところでございます。本日がその第1回目となっております。
 資料の説明は以上でございます。
【古米委員長】 御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、説明に関しまして御質問等があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【古米委員長】 特にないようですので、次に移らせていただきます。
 2枚目、議題の(2)、水質総量削減の概要と検討の進め方について、事務局より資料の3-1と資料の3-2を用いて御説明をお願いしたいと思います。
【事務局(森川)】 環境省海域環境管理室の森川と申します。資料3-1からまず御説明さしあげます。
 水質総量削減制度の概要ということでございます。制度の仕組みとしては水質総量削減制度自体は人口、産業の集中等により汚濁が著しい広域的な閉鎖性海域の汚濁を防止する制度でございまして、昭和53年に水濁法及び瀬戸法の改正により導入されております。当制度においては、環境大臣が指定水域、排水基準のみによっては環境基準の達成が困難であると認められる水域を指定水域として指定しまして、指定項目、COD、窒素、りんについて総量を削減する制度です。指定水域としては、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海が指定されています。
 総量削減基本方針を環境大臣が策定しまして、削減目標、目標年度、削減に関する基本的事項を策定します。それに基づきまして、関係都府県において総量削減計画を策定いたします。それに基づきまして事業の実施、総量規制基準による規制、削減指導等を行うことで総量を削減していくという制度になっております。
 2ページ目、御覧ください。
 指定地域の概況でございます。先ほど申し上げたとおり、指定地域、指定水域としては東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、そこに流れ込む流域として指定地域を指定しております。関係都府県は20都府県にまたがっている制度になります。
 令和元年度における指定地域内の人口は全国の約55%、面積は約19%、製造品の出荷額は約54%ということで、こちらにございますとおり日平均排水量50m3以上の事業場の割合も全国の約31%に当たります。
 これら面積比、事業場数比に対して、人口及び製造品出荷額の値が大きいことから、3海域の流域には人口及び産業が集中しているということが分かります。
 また、3海域における汚水処理率は約92%で、全体を平均すると全国平均と同等でございますが、東京湾と大阪湾における指定地域内の汚水処理率は約96%と、全国平均と比較して高い値となっております。
 続きまして、3ページ目は概況を数値で示しているものですので、割愛させていただきます。
 4ページ目、御覧ください。
 制度の沿革でございます。第1次から4次までにおいては、CODを指定項目として総量削減制度を実施してまいりました。一方で窒素、りんについては関係都府県により削減をする取組が順次進められておりました。
 瀬戸内海においては瀬戸法に基づきまして、昭和55年度から関係府県知事が定める指定物質削減指導方針により、りんの削減指導が行われ、平成8年度には窒素が対象項目として追加されております。
 また東京湾、伊勢湾においても、昭和57年度から富栄養化対策指導指針に基づきまして、窒素及びりんの削減指導が行われております。
 さらに、平成5年10月からは水濁法に基づきまして、全国88か所の閉鎖性海域を対象とした窒素及びりんの排水濃度規制が実施されています。
 以上の対策が講じられた結果として、CODの改善が認められた海域はあったんですが、まだ環境基準の達成率は満足できる状況になくという状況がございまして、窒素、りんが総量削減制度の指定項目に追加されたということで、第5次から総量削減制度として運用しております。
 続きまして5ページ目、御覧ください。
 第9次総量削減制度の削減目標量の達成状況です。総量削減目標量は人口及び産業の動向、排水処理技術の水準、下水道の整備の見通し等を勘案して、実施可能な限度において定めるものとされております。
 第6次までにおいては、削減実績値は計画どおり目標を達成している状況で、第7次、第8次においては、一部の指定水域においてりんの削減実績値が人口増加等の影響により僅かに届かなかった状況はございましたが、概ね計画どおりに達成したものと考えられます。
 現在運用している第9次においては、令和6年度の削減目標量に対して、令和4年度の発生負荷量の実績値を比較したところ、目標に向けて着実に取組が実施されており、指定水域及び指定項目についても、令和4年度の時点で目標を達成している状況にございます。
 そちらの状況が次の6ページ、7ページに記載してございます。
 第9次の総量削減の在り方について、課題が示されております。こちらにおいてはまず第1段落目のところでございますが、「豊かな海」を目指す上での課題は指定水域内でも場所により異なることから、よりきめ細かに海域の状況に応じた取組を可能とすべきであるというふうにされております。また底層DOの類型指定を通じた底層の改善対策を推進するとともに、底層DOと既存の環境基準を併せて水域を評価していくことが重要であるとされております。
 また、調査・研究についても、よりきめ細かな海域の状況に応じた水環境管理の視点を含めて推進する必要があるということ及び水質の保全や生物多様性保全の確保といった複合的な観点から、データの蓄積、分析を進めることが不可欠であるというふうにされております。また、気候変動の影響、栄養塩類の偏在、赤潮、貧酸素水塊、藻場・干潟の状況について各種モニタリング技術の継続的な実施が必要であるとされております。
 さらに指定水域の総合的な水環境を推進する観点から、地域住民を含めた方々への、多くの方々への周知・普及啓発を充実させる必要があるということもされております。
 これらの課題に対して環境省においては、次の9ページで詳細を御説明さしあげますが、瀬戸内海環境保全特別措置法を改正し、栄養塩類管理制度を導入しております。また底層DOについても順次、類型指定を進めているところでございます。また、生活環境の保全に関する水環境基準の在り方及び柔軟な運用についても検討が行われているところでございます。
 続きまして、9ページ目でございます。
 瀬戸法に係る動きを御紹介します。瀬戸内海については、平成27年度から中央環境審議会瀬戸小委において「きれいで豊かな海」の確保に向けての検討が行われてまいりました。令和2年に答申を受けまして、令和3年6月に瀬戸内海環境保全特別措置法を改正しております。改正した内容としては、「栄養塩類管理制度」の創設、藻場・干潟の再生・創出に向けた自然海浜保全地区の指定対象の拡充、海洋プラスチックごみ対策等に関することが基本加えられ、さらに基本理念に気候変動による水温上昇等への対応の観点が盛り込まれております。
 栄養塩類管理制度については、基本的には瀬戸法及び水濁法に基づく規制的措置は基本的にしつつ、生物多様性及び生産性の観点の確保に支障が生じているおそれがある特定の海域において、栄養塩類の増加措置を可能とするものでございます。
 令和4年3月には環境省においてガイドラインを策定し、令和4年10月にまず兵庫県、そして令和6年、本年3月には香川県において同制度に基づき計画を策定されたという状況でございます。
 続きまして、資料3-2を御覧ください。
 総量削減専門委員会、本委員会の進め方について御説明します。
 1ページ目、御覧ください。
 汚濁負荷や水環境等の推移・現状等に係るデータの分析、関係機関へのヒアリングによる取組の実施状況の把握を通じて、現状及び課題を整理し、水質将来予測等を実施いたします。それらの内容等を踏まえまして、第10次水質総量削減の在り方を検討するというのが本委員会の目的となっております。
 スケジュールとしては、第1回として令和6年12月よりスタートしまして、まず関係者ヒアリングを実施いたします。その後現状・課題の整理、水質将来予測等を行いまして、在り方に関する答申骨子案の審議、それを踏まえて答申案を審議しまして、パブリックコメント、最終的な答申を令和7年秋冬頃を目途に実施してまいれればと考えております。
 続きまして2ページ、ヒアリング項目及び対象でございます。
 ヒアリングについては以下の13項目について、関係機関等からヒアリングを実施できればというふうに考えております。基本的には前回第9次を検討する際の項目と大きくは変えておりませんが、6番目に藻場・干潟の保全・再生、里海づくりの話、また9番目に栄養塩類の管理等について追加した上でヒアリングを実施できればというふうに考えております。
 続きまして3ページ目、御覧ください。
 13項目に関する関係省庁、産業界、関係都府県、環境団体へのヒアリングの星取表となってございます。これに基づきまして関係機関等の皆様からお話を伺えればと考えております。
 4ページ目については、第9次の検討の際のスケジュールを載せております。回数としては概ね同様レベルで考えておりますが、一、二回の前後はあるかもしれないという状況でございます。
 資料3-1、3-2の説明は以上になります。
【古米委員長】 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、二つの資料に関しまして御質問、御意見があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、田中委員、どうぞ。
【田中臨時委員】 どうも、田中です。どうもありがとうございます。
 先ほど御説明いただいた資料のことなんですけど、総量規制の資料3-1について、実績と計画の進捗状況がいろいろ出ていて、9次についてまだ3年終わったところで、令和4年の実績だからもう1年残っているところでの集計ということでいいんですよね。
【工藤推進官】 目標年度が令和6年度になります。
【田中臨時委員】 6年度。ということはあと2年か。
【工藤推進官】 そうです。このため、令和6年度の目標実績値については、令和7年度に取りまとめられることになるかと思います。
【田中臨時委員】 それで、先ほど御説明いただいているように、ほぼ達成できていますということだったんですよね、概ね。
【工藤推進官】 そうですね、概ねは。
【田中臨時委員】 細かく見れば一部達成していないところがある。
 以前の1次から7次ぐらいまでは、見てみると100%達成していないところが結構あって、8次ぐらいから、特に今回9次はまだ2年残っているんだけど、計画値がもうほぼ達成していると。この辺の変化の要因というのは、どういうふうに環境省は考えられていますか。
【工藤推進官】 変化傾向の要因につきまして、詳しく分析をしているものではありませんが、一つは、第9次におきましては、東京湾と伊勢湾の生活系のCOD以外につきましては、現状非悪化の観点から目標値を深掘りしていかないということにしておりまして、そういった意味で、現行の対策を継続していただいているかと思うんですけれども、目標量が下がっていないというところと現行の継続は対策しているというところで、現在の実績が目標達成をしている状況になっているかと思います。
 一方で詳しく見てみますと、各都府県別ではまだ目標値を上回っている都府県はございますので、その点も含めて令和6年度の実績については評価をしていきたいというふうに考えております。
【田中臨時委員】 削減をするという視点から見ると、安全側でもともと計画をもうほぼ達成しているんだからいいんだということなんだけど、実際上はもうそれ以上に削減が達成できているところがあるということは、そもそもの計画した時点での見込み方がやや安全過ぎた、減らす量が実際にこうなるだろうというもの以上に削減しているというケースが多いと考えたほうがいいんですか。
 特に今回、まだ先ほどの話、2年度残っているんだけど、ほぼ100%達成しているケースがいっぱいありますよね。もともとあまり削減しなくてもいいよという方針が基本にはあったとは思うんですけど、もう達成できているというケースが結構ありますよね。いろんな政策をしている以上に削減できている。これは実績で積み上げてあるので、架空の数字ではなくて実際に本当に削減している数字ですよね。だからこの辺がどうしてそういうことが起こっているかというのを、少し以前の計画からここ2回ぐらい年次が変わってきているところの要因というのを少し、どういうところにそういう過剰に達成しているかというケースが出ているかというのをちょっとまた後ほど解析いただけると、今後の在り方みたいな、目標設定の立て方というところの議論に少し役立つかなと思って聞きました。
 以上です。
【工藤推進官】 御意見、ありがとうございます。
【古米委員長】 ほかにいかがでしょうか。
 珠坪委員、どうぞ。
【珠坪専門委員】 国環研、珠坪です。
 今の田中先生の御発言に多少関連するところなんですが、やはりこういった実績値が出てきている中で、もう少し詳細な、先ほどおっしゃられた県別ですとかブレークダウンしたデータが欲しいなと思います。
 というのは、例えば瀬戸内海も大阪湾を除く部分のように人口減少がある程度起きているだろうというような部分ですとか、一方、大阪湾自体はそれほど人口が減少していないにもかかわらず、かなり過剰に目標値を達成していると。今後、季別運転、栄養塩管理などをしていく上で、やはり技術的な要因で達成できているのか、もしくはマスとしての人口減少なのか、その辺りは今後の管理上非常に重要な情報を与えると思いますので、せっかくこういうデータを取られているので、もう少し詳細なデータを示していただけると助かりますというところです。
 以上です。
【工藤推進官】 ありがとうございます。一部は資料4-1のほうでも汚濁負荷量の状況について分析をしておりますので、そちらのほうでもう少し細かいデータですとか、あとは指定事業場の濃度の推移だったりといったところで、活動量が効いてるのか濃度が効いているのかというところについても御審議いただければというふうに考えております。ありがとうございます。
【珠坪専門委員】 どうもありがとうございます。
【古米委員長】 ほかにいかがでしょうか。
 黒木委員、どうぞ。
【黒木専門委員】 ありがとうございます。水産研究・教育機構の黒木でございます。
 ヒアリングの項目と対象について、質問をさせていただきます。先ほど最初に御説明いただいた10次の諮問の中に、水産資源への影響を懸念する声があるというようなことも書いてありましたけれども、このヒアリング項目の中では、例えば⑤番は養殖漁場に関することということでヒアリング項目があるんですが、水産資源というのは養殖だけじゃなくて、養殖以外の漁業生産というものもあって、その減少が懸念されている、特に対象海域では懸念されている状況があると思いますので、養殖だけでない漁業生産サイドの関係者から水産資源の状況をお聞きするというような内容も必要かと考えるところです。この想定されているヒアリング項目の中では、そのような漁業生産の関係者から聞き取るというところが、文字だけではちょっと読み取れないんですが、対象者でそのような聞き取りは予定されているかということをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
【工藤推進官】 ありがとうございます。ここでヒアリング項目としてお示ししているのは、第9次答申の中で対策として実施をしていく事項として挙げられるものについて、関係機関がどういった取組を実施されているかといったものを把握をするためにこのヒアリング項目を掲げております。
 一方で、御指摘のとおり水産資源への影響といった観点もございまして、特に総量削減と関係のあるところにつきましては栄養塩類の管理といったところがございますので、こちらは第9次答申の対策項目には入ってはいないんですけれども、今回新しく栄養塩類の管理、又は栄養塩類が水産資源に影響を及ぼしているような実態だったりといったところを、ヒアリングの中で把握をしていきたいというふうに考えております。
【黒木専門委員】 分かりました。ありがとうございます。
【古米委員長】 ほかに。
【小川専門委員】 よろしいですか。
【古米委員長】 どうぞ、小川委員。
【小川専門委員】 小川です。どうもありがとうございました。
 削減実績の件で、どうも数字を見ると、やはり下水道や浄化槽などの生活系排水処理施設の整備が進んだために、生活系は大分削減が非常に良好な達成を示していますが、一方で、どうも産業系が低いような気がします。その点いかがでしょうか。
【古米委員長】 いかがでしょうか、
【工藤推進官】 詳しくは後ほどの資料4-1で説明をさせていただけばと思いますけれども、委員御指摘のように生活排水系につきましては普及率も拡大をして、また排出濃度についても下水道は低下傾向があるというふうに分析をしております。
 産業系につきましても、排出量、排出濃度共に減少傾向ではございまして、そういったところも含めて4-1の資料で御説明させていただければと思います。
【小川専門委員】 ただ、産業系の中で、規制対象から漏れている未規制の影響というのはどうなんでしょう。何か私自身は個人的には、場所によっては1施設当たりの排水量は確かに少ないですが、件数が多いがために、やはりその影響というのも無視できないのかなというふうに考えています。どうでしょうか。
【工藤推進官】 影響につきましては湾によって割合が少し異なっております。基本的にはやはり総量削減規制がかかっている指定地域内の事業場が割合としては多いんですけれども、小規模事業場でしたり未規制の事業場が一定程度の割合を占めているところもございまして、こちらについては都道府県のほうで上乗せの条例を制定していたりですとか、又は指導といった形での取組が進められているというふうに考えております。
【小川専門委員】 どうもありがとうございました。分かりました。
【古米委員長】 ほかにいかがでしょうか。
 私から一つ発言させていただきたいと思います。資料3-1の8ページに、第9次水質総量削減の在り方ということで、キーワードとしてはよりきめ細やかな海域にするということと、瀬戸内海のほうでは季節的な部分も指摘されていると。そうすると、今の制度の枠組みというのは総量削減制度なので、データも年間これだけ出ましたよということですよね。先ほど御指摘があったように、もう少し県別で見たいとか、場合によっては季節的に見たいというようなことが、今後考えていかないといけないと思うんですけれども、まだデータの整理の仕方として、要は今までの年間の生活系、産業系、その他系というところをどの程度まで海域ごとであるとか、県別でもいいのかも分かりませんけども、それをどう整理していくかというのを今後、今回の専門委員会の中で、当然目標がそちらなので、データ自体もそれを整理していくということが重要かなとは思うんですけれども、これについては、事務局的にはどの程度きめ細やかにやろうとされているんでしょうか。
【工藤推進官】 今回の資料4-1、4-2で現状の整理をしておりまして、資料4-1のほうでは、今回試行的にといいますか、もう少し各湾の全体だけではなく湾灘ごと、又は各県の県ごとといったような単位で、発生源負荷のデータを分析しているものを参考につけさせていただいております。
 また、水環境の現状に関しましても、平均的な濃度の推移だけではなく水平分布図を活用し、特定の海域ごとの状況が分かるようになるべくお示しさせていただくといったようなところを、工夫しています。
【古米委員長】 ありがとうございました。
それでは、三浦委員。
【三浦臨時委員】 三浦でございます。
 資料3-2の3ページ目のところのヒアリング項目のところで、ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、⑤番目の所では、養殖漁場の環境負荷低減というのは、魚類養殖において、どのように持続的な養殖業にしていくのかということだと思いますが、その一報で、括弧に書いてあることは、自然にある栄養塩類の活用等ということになるので、魚類養殖のことではなく、藻類養殖を中心とした活用方法ということを意味していると思いますが、それで良いのか教えていただければと思います。
【工藤推進官】 確認してお答えさせていただきます。
【古米委員長】 それでは、ちょっとお時間をいただくということで。
 ほかにいかがでしょうか。
 資料3-2は今回の専門委員会の進め方ですので、最初にある程度どういうことを調整するのかということで、基本的に従来のヒアリングを行って、どういう将来予測になるのかということをまとめていきます。当然対策の可能性であるとか、あるいは同時に栄養塩の管理をどう関連づけていくのかということになろうと思います。
【工藤推進官】 確認に時間を要してしまい、申し訳ございませんでした。
 委員御指摘のとおり、前段のほうは魚類養殖のお話で、自然にある栄養塩の活用については藻類養殖のお話になりますので、少し紛らわしい記述がございましたが、御指摘のとおりとなっております。
【三浦臨時委員】 ありがとうございました。
【古米委員長】 よろしいでしょうか。
(なし)
【古米委員長】 それでは、特にないようですので、次の議題に移らせていただきます。今後、第2回目から専門委員会で順次ヒアリングを行うということと、先ほど私も少し発言しましたが、しっかりとしたデータ分析をしながら、現状どういう課題があるのかということを整理して、将来の水質予測をし、そして第10次の水質総量削減の在り方というものをまとめていくということになろうかと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、先ほど御説明もありましたが、水質・水環境の現状についてということで、汚濁負荷量の状況について、事務局より資料4-1を使って御説明をお願いしたいと思います。
【事務局(森川)】 環境省の森川です。資料4-1について御説明申し上げます。
 ちょっと分量が多いので駆け足になったり、飛ばすスライドもございますが、御了承いただければと思います。
 1ページ目に目次がございますが、まず指定地域内の汚濁負荷量の推移から御説明さしあげて、次に発生源別の内訳、三つ目で指定地域内事業場におけるCOD発生負荷量等の推移、最後に参考という流れで御説明さしあげます。
 まず最初に、指定地域の汚濁負荷量の推移です。3ページ目を御覧ください。
 指定地域内の汚濁負荷量の推移、3ページ目に御紹介しているのはCODについてです。総量削減制度開始後、各湾で負荷量の削減は進んでおります。昭和54年から令和元年度までの負荷量の削減率は、東京湾で68%、伊勢湾で57%、瀬戸内海で63%という形で、かなりの削減が進んできております。
 4ページ目については、海域別の海域の面積当たりのCOD発生負荷量を表示しております。表の4ページ目の下の図については、海域の体積当たりのCODの発生負荷量の図になります。それぞれ面積別、体積別に直すと、それぞれの負荷量の状況というのが見えてくる部分はあるかなと思います。
 5ページ目については窒素になります。窒素について、平成13年に指定項目として追加して以降、汚濁負荷の削減対策の推進を実施しまして、削減率は東京湾で36%、伊勢湾26%、瀬戸内海36%と、それぞれ対策が進んでおります。なお、関係都府県においては、窒素が指定項目に追加される以前より汚濁負荷量の推計がされておりますので、そちらに関しても図の中で表示してございます。
 6ページ目については、先ほどのCODと同じように、単位面積当たり、単位体積当たりの負荷量を図化しております。
 7ページ目はりんについてでございます。こちらも窒素同様に、平成13年に指定項目として追加しまして、削減対策を推進した結果として東京湾43%、伊勢湾47%、瀬戸内海40%と削減対策は進んでございます。こちらも同じように、指定項目に追加される以前より推計されておりまして、そちらに関する情報も図の中に表示してございます。
 同様に8ページ、COD、窒素、りんと同様に、単位面積当たり、単価体積当たりの負荷量を図化している状況でございます。
 続きまして、9ページ目以降で発生源別の内訳を記載しております。こちらは先ほども少し御質問等いただきましたが、こちらのほうで詳細を整理しております。
 まず10ページ目、発生源別の内訳として、まず東京湾でございます。図のほうでは、左からCOD、窒素、りんという形で、発生源別の内訳を記載しております。
 CODについては生活系が約67%を占めておりまして、次いで産業系19%、その他系14%という状況でございます。生活系の中では下水道が最も多く、45%という状況です。
 窒素についても同様に、生活系が最も多く65%を占めておりまして、続いてその他系、産業系という順でございます。
 りんにおいても、やはり生活系が約72%を占めており、次いでその他系、産業系という順で構成されてございます。
 11ページ目、12ページ目は、その図の元データとなる情報を数値で記載しております。13ページ目までが東京湾ということでございます。
 続きまして、14ページ目を御覧ください。伊勢湾の状況でございます。
 伊勢湾も同様に、左からCOD、窒素、りんという形で内訳を記載してございます。
 CODについては、生活系が全体の約半分の48%、続いて産業系38%、その他系14%という状況です。
 窒素については、その他系が全体の45%と、構成比がその他系が多い状況です。続いて生活系37、産業系18%。
 りんについては、生活系約45%、次いでその他系28%、産業系27%という構成比になっておりまして、生活系ではいずれも下水道が最も多いという状況でございます。こちらも同様に15ページ、16ページ、17ページは今、図になっている元データを示しております。
 続いて18ページ目に、瀬戸内海について整理をしております。左からCOD、窒素、りんということで、CODについては産業系が44%を占めておりまして、続いて生活系を43%。
 窒素については、その他系が約47%、続いて生活系、産業系という順でございます。
 りんについては、生活系が最も多く41%、続いてその他系、産業系という順で構成されてございます。
 19ページ、20ページ、21ページ目は元データでございます。
 22ページについては、瀬戸内海の中でも大阪湾について整理してございます。大阪湾となると、やはり生活系がいずれの項目も大多数を占めているという状況で、続いて産業系、その他系という形で続いてございます。
 23ページ、24ページ、25ページも元データになるので割愛します。
 26ページ目は大阪湾を除く瀬戸内海ということで、瀬戸内海の中、大阪湾以外のエリアになります。こちらになると、生活系ではなく産業系もしくはその他系が多くの割合を占めるというような結果になってございます。
 27ページ、28ページ、29ページは飛ばします。
 続いて、三つ目として、指定地域内事業場におけるCOD発生負荷量等の推移について御説明さしあげます。
 31ページを御覧ください。
 東京湾については、指定地域内の事業場におけるCODの発生負荷量等の推移として、生活系について下水道の負荷量は、基本的にはいずれも減少しております。下水道についても指定地域内の下水道普及率が高いため、平成16年度以降は減少傾向にございます。
 産業系については、産業系の負荷量について、概ねどの業種についても減少傾向を示しております。
 32ページは、その内訳でございます。
 33ページ目に伊勢湾でございます。伊勢湾も同様に、下水処理場の負荷量については、基本的には増減の傾向は伊勢湾については見られないという状況でございます。平均水質濃度は高度処理等の向上等により低下しているという状況でございます。合併処理浄化槽及び単独処理浄化槽においては、それぞれの増減傾向は見られず、し尿処理場においては負荷量は減少し、平均水質濃度も低下しているという状況です。
 産業系については、いずれの業種においても負荷量は減少しており、平均水質濃度も概ね低下しているという傾向でございます。
 続きまして35ページ、瀬戸内海の状況でございます。
 生活系の指定地域内の事業場のうち、下水処理場の負荷量は減少傾向にございます。また、平均水質濃度も経年的には低下しているという状況でございます。単独処理浄化槽においては、負荷量の増減傾向は見られないものの、平均処理水質濃度は上昇しております。し尿処理場においては、負荷量は減少しておりまして、平均水質濃度なども低下しております。
 産業系については東京湾、伊勢湾同様に、こちらもいずれの業種も負荷量は減少傾向にございます。
 37ページ、大阪湾の状況です。
 CODの大阪湾については、指定地域内の事業場の負荷量は概ね減少しておりまして、下水処理場の負荷量は生活排水対策の実施等により減少し、水質濃度も低下しているという状況でございます。
 産業系についての負荷量は、いずれの業種も負荷量は減少しているという状況です。
 大阪湾以外の瀬戸内海の状況を39ページに記載しております。下水処理場の負荷量については生活排水対策等の実施により減少しており、また平均水質濃度は低下しております。
 産業系については、概ねの業種において負荷量は減少しているという状況は、他地域と同様の状況でございます。
 41ページ目以降に参考資料を載せております。前回の検討、第9次の検討のときまでは今御説明した情報のみでしたが、きめ細やかなということで、現状まだこの程度の状況ですが、指定地域内それぞれにおいて、地域ごとに汚濁負荷量の発生源別の内訳が異なりますので、そちらを図化しております。
 42ページ、43ページで東京湾、44ページ目は伊勢湾の中を細分化しまして、上段に伊勢湾、下段に三河湾、45ページ目以降は瀬戸内海の湾灘ごと、45ページに吹き出しで出している湾灘ごとに46ページ目以降に整理をしているという状況です。湾灘ごとに、また発生源別の内訳も少し異なるという状況が見てとれるかと存じます。
 資料4-1の御説明は以上になります。
【古米委員長】 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、今の説明に関しまして御質問、御意見をお願いしたいと思います。
 それでは、田中委員、どうぞ。
【田中臨時委員】 どうもありがとうございます。田中です。
 ちょっと細かい点になると思うんですけれども、最初のほうで説明いただいた発生源別の話の中で、下水道に取り込まれている負荷の話があって、生活系と産業系は分かるんですけど、その他系というのは、私の想像しているのでは市街地排水系のような気がするんですが、一体何を示していて、その場合、例えば分流式の場合だと、雨水排水としてそのままで、合流の場合だと下水処理場にある程度は行く、あるいは途中で出されるのもあるとは思いますけど。具体的には、どういうふうにこれ、総量規制の中では算定されているのかというのを教えてほしいのが1点です。
 もう一点は、浄化槽での指定区域での個別の排出量のかなり細かいデータがばっと積み上がっている。その中で、各地域についての浄化槽とか、浄化槽の中も合併とそれから単独があったと思うんですけども、水質の話がデータが出ていて、私が想像するには当然、特に単独浄化槽って多分特定施設にならない、なっていないはずなので、ここでの水質と言っているのは抜取り調査で毎年やっている水質なのか。どういうふうにこの辺は出されているのか。それで、水質の変化が毎年あるというのは、評価の上ではそのまま使っていいものかどうか。この辺のちょっとコメントがいただきたいというのがもう1点です。
【古米委員長】 いかがでしょうか。
【工藤推進官】 御質問ありがとうございます。
 まず1点目のその他系の下水道につきましては、水濁法の特定施設の下水処理施設から排出される排水のうち、主に土地系に起因する流出水を算定をしておりまして、具体的には雨水などが該当をしております。
 このため、委員に御指摘いただいた合流式下水道で雨水由来のものであったりが、その他系の下水道に入ります。
 2点目につきまして、単独処理浄化槽につきましては、一部、指定地域内事業場としてデータを整理しておりまして、そちらは資料の30スライド以降に入っておりますけれども、御指摘いただいた濃度をどのように測定しているのかについては存じ上げておらず、恐縮ですけれども、また御説明の機会をいただければというふうに考えております。
【田中臨時委員】 ありがとうございます。最初のほうの確認なんですけど、下水道では入っているというのは、雨天時に入ってくる主に市街地系が多いと思うんですけど、合流式であれば当然下水処理場に入ってきて、そこでモニタリングしているので、それに相当するような、あるケースでやっていると思うんですけど、分流式の市街地排水については、これは入っているんですか、入っていないんですか。
 分からなければ後で教えていただいてもいいです。
【工藤推進官】 今、詳細が不明ですので、後で回答したいと思いますけども、基本的には合流式下水道の雨水を算定をしているというふうに考えております。分流式のものについてはまた後で確認します。
【古米委員長】 確認ですが、土地系の中に山林、水田、畑、果樹園で、その他の土地とありますよね。その他の土地というのが市街地になるんでしょうか。そうすれば、分流式ではその他の土地のほうでカウントされていて、下水道と書いてあるのは、雨天時流出水が合流式ではCSOとして出るので、それをカウントしてるというような整理でしょうか。その他の土地というところが市街地であるかと併せて確認いただければと思います。
【工藤推進官】 はい、確認いたします。
【田中臨時委員】 その点、先ほどのどういうルートで、どこを押さえたら、まだどこが残っているかという議論のときに結構重要なので、そこのところを少し整理してください。
【工藤推進官】 承知いたしました。
【古米委員長】 それでは東委員、続いて西嶋委員、珠坪委員、三宮委員、和木委員も含めて、続けて御質問していただいて、まとめて回答するようにしたいと思います。
【東専門委員】 東です。資料4-1の31枚目以降、各湾での発生負荷量等の状況について、生活系、産業系は概ね減少傾向と書いてありますが、これはあくまで令和元年度まで、第8次までの結果という理解でよろしいでしょうか。あと、生活系の下水道に入ってくる水量が増えた原因として、産業系の取り込みが挙げられていますが、具体的にどういう状況なのかということを教えていただきたいと思います。
 以上です。
【古米委員長】 続けて。
【西嶋臨時委員】 西嶋でございます。
 生活系について質問です。雑排水の負荷量というのが書かれていますが、これはそもそもどうやって計算をされているのかと。結構、雑排水の割合が増えている。かなり高いですが、下水道とかだったら処理水の水質からということでしょうが、雑排水はどうされているのでしょうか。
【古米委員長】 それでは珠坪委員、お願いします。
【珠坪専門委員】 ただいまの御質問に関連しますが、雑排水は汚水処理普及率でカバーされていない部分と、単独浄化槽の部分の雑排水も含まれるのかということについてお教えください。
【古米委員長】 続いて三宮委員、どうぞ。
【三宮専門委員】 私も今のお話と同じで、雑排水のところの測り方、そこを知りたかったということになります。
以上です。
【古米委員長】 それでは和木委員、いかがでしょうか。
【和木専門委員】 農研機構の和木です。
 先ほどの田中先生の御質問にも関係するのですが、その他系のところに畜産系というものがあり、これが50m3以上の排水を排出する浄化処理、畜産排水の浄化処理槽のことであるということを確認したいのと、あと32ページ以降の資料を大変興味深く拝見しまして、これについてCOD以外も、りんや窒素もあればより参考になると思いました。
 もう一つですが、先ほどのお話でも事業場数という話がありまして、これは水質とそれから排出量と掛けて原単位になっていると思いますが、事業場数があるとより対象となる削減するべき事業の数が分かり、イメージがしやすいのではないかと思いました。
 沢山で申し訳ないです。少し細かい話になりますが、データで気になるところがあります。例えば32ページとか、畜産農業に関しましては平均水質があるものの、負荷量がゼロになっているようなところもあり、ここはどのような計算でこうなっているのかと思った次第です。よろしくお願いします。
【古米委員長】 では一通り御質問いただきましたので、順次御回答をお願いしたいと思います。
【工藤推進官】 まず、東委員からいただいた今回のデータの件についてですけれども、今回の分析は令和元年度までのデータを用いて実施をしていおります。最新のデータを追加した後のトレンドというところにつきましては、またデータが出てからの分析ということになろうかというふうに思っております。
 雑排水につきまして幾つか御質問をいただいております。雑排水につきましては、し尿以外で家庭から排出される汚水を指しておりまして、洗濯や洗い物、風呂場等の排水が該当しております。
 雑排水の負荷量の算定方法につきましては、指定地域内での人口の推移や排水対策の状況、排水未処理分の人口に対して負荷の原単位を乗じて算出をしているといったところでございます。
 その他に入っている畜産系につきましては、指定事業場、50㎥以上の指定事業場に加えまして、未規制等小規模事業場のものも含まれているデータになっておりまして、総量の中では全体に規制、小規模を含めて算定をしているといったところでございます。指定事業場の濃度につきまして、CODの算定をしておりますけれども、窒素とりんについても分析をすることは可能かというふうに考えております。
 事業場数につきましても、元データを確認をしてみる必要がございますが、積み上げて算定をしておりますので、その辺りも、どこまで分析ができるのかを確認していきたいと考えております。
【古米委員長】 私も最後、聞き逃してしまったので、最後の1点。
【和木専門委員】 すみません。表で濃度が出ている、濃度が畜産濃度に関しまして…。
【古米委員長】 具体的にページ数。
【和木専門委員】 例えば、32ページです。
【古米委員長】 32ページの東京湾のときに、左側は負荷量ゼロなのに平均水質が出ているというところでしょうか。
【和木専門委員】 はい。
【工藤推進官】 負荷量につきましては、1日当たりのトンという単位で記載をしていて、有効小数点一桁で記載をしていますので、負荷量が小さいと、そこがゼロになってしまっているという数字上の課題がありますが、負荷量がある場合には平均水質濃度が把握をできますので、そのときの濃度が右側に記載しているといった状況でございます。
【和木専門委員】 分かりました。ありがとうございます。
【古米委員長】一通り御質問にお答えいただきましたけれども、じゃあ、東委員。
【東専門委員】 二つ目の質問を。下水処理場の水量が増えた理由で、産業系の事業場の取り込みというのが具体的にどういうことかというのをお伺いしたいんですが。
【工藤推進官】 国土交通省の下水道部へのヒアリングはあるかと思いますけれども、下水道の普及に伴って、産業系の事業場についても下水道への接続が増えたといったところがございますので、そういったところを産業系の取り込みというふうに表現をさせていただいております。
【古米委員長】 産業系だったところが、下水道に入って処理した形で出ていっている数値が表示されていると。
【工藤推進官】 もともとは公共用水域に処理した後、放流していたものを、下水場が取り込んで、それを処理して放流していくという形になっているというようなものでございます。
【東専門委員】 分かりました。ありがとうございました。
【古米委員長】 それでは、西嶋委員、追加で。
【西嶋臨時委員】 先ほど、雑排水の計算の仕方は理解できました。というところで、次に聞きたいのは、じゃあ、いつの原単位を使っているのかということで。これ、ここだけじゃなくて、原単位で計算されているところは結構多いんですが、それがかなり古いデータに基づいているのではないかというのが、今までも多分課題として上がってきたと思うんです。
 産業系とか下水道とか、きちんと水質を測っているところは、毎回、要するにアップデートされたものがきちんと反映されているんですが、原単位を使っているものが、どうしても、あまりに原単位をつくったときのデータが古いと、そこが正確性が保証できないと。それが、昔は多分、そういう原単位ではないところの負荷が高かったので、そこの誤差というのはまあまあというところはあったかもしれませんが、だんだんきちんとやる部分がどんどん減ってきたということになってくると、今度は原単位で計算しているところの負荷がトータルとしては割合が高くなってくるということになってきていると思うんですね。
 そういう意味で、原単位というのを今後どういうふうに、変更するなら変更する、調整するなら調整するというところを、そろそろ取り組まないといけないのではないかということを、雑排水も含めて、ちょっと思ったところです。質問は、もし分かれば、雑排水はいつの原単位ですかと。分からなければ結構です。
【古米委員長】 続いて、横田委員、どうぞ。
【横田専門委員】 横田です。
 今、原単位の話が出ましたけど、その他系のところで下水道以外の山林とか水田とか畑地・果樹、その他の土地系というところは、やはり季節変動という問題があると思うんですけど、そういう意味では、今現在がどのようなもので出されていて、この先、きめ細やかな季節を見るときに、どうやったら実施できるのかということをお聞きしたいです。
 以上です。
【古米委員長】 それでは、大野委員、どうぞ。
【大野専門委員】 産業環境管理協会の大野と申します。
 先ほど、汚濁負荷量内訳の産業系の下水について従来産業系が公共用水に流していた排水を下水のほうに流すように切り替えた分をカウントされているということでしたが、そうなりますと下水に流した排水は最終的に公共用水に流れるわけなので下水道(生活系)ダブルカウントになっていないでしょうか。
【古米委員長】 三浦委員、どうぞ。
【三浦臨時委員】 三浦でございます。
 1点目として、指定地域内での汚染負荷量の推移を見てみると、CODにしても、窒素、りんにしても、昭和54年から見てずっと減り続けていますよね。そうした中で、最終的にどこを目指しているのか。どの辺の数字を目指しているのかということが、私としては知りたいと思います。また、こうやってどんどん栄養塩等が減ってきた中で、沿岸地域における生物多様性や生物生産性などがどのように変化してきたのか。今の海などを見ていると、本当にフナムシとかも見なくなりましたし、磯の臭いすらしなくなっている。そういったことも、栄養塩類の不足が原因なのではないかという状況が全国各地の海で見受けられている。そのような生物と栄養塩類との因果関係などもしっかり調査し、調べていただきたいということが1点目。
 2点目は、負荷量のところで養殖系というのが書いてありますが、これについてはどうやって負荷量を計算しているのか、その点について教えていただきたいと思います。
 以上です。
【古米委員長】 ほかに。
 和木委員、どうぞ。
【和木専門委員】 先ほどの質問の追加になってしまいますが、畜産業だけ50㎥以下の未規制のところも調査対象になっているということで、そして負荷にも考慮されているということで、そうしますと今回の法律が適用された時、規制になっていないと、そこは対象外になってしまうと思いますが、これを入れた理由としては、例えば、都府県の裾下げといいますか、県独自の事業に対して指導が入るという方針で測定をされたと考えてよろしいでしょうか。
【古米委員長】 ほかに、よろしいでしょうか。
 それでは、5名の委員の方からの御質問、最初、原単位絡みの話と、その他の季節の話と、事業場の排水の取扱いと、最終的な目指す負荷量だとか生物多様性みたいな観点の整理ということと、養殖及び先ほどの規制の対象の件だったと思いますが、いかがでしょうか。
【工藤推進官】
 まず、横田委員の今後、季節別の運転管理などが必要になった中で、その他系の話をといったところがございました。季節別の運転管理で栄養塩類の供給をしていくことについては、現在、下水処理場などのほうで行われていますけれども、こちらにつきましては、まずは人為的にコントロールが可能なところで季節別の運転管理などをしていくといったところが基本になるかというふうに考えております。
 大野委員の産業系下水道について、ダブルカウントが生じていないかという御質問につきましては、下水道につきましては、下水処理場から排出をされるもののうち、生活系由来のもの、産業系由来のもの、その他系由来のものというふうにアロケーションしているものでございますので、ダブルカウントは生じておりません。
 三浦委員の御指摘につきまして、どこまで削減をしていくのかといったところでございますが、こちらは総量削減制度の目標が環境基準を達成していくといったところにありますので、そういった中で制度設計をしていくということにはなろうかと思いますけれども、第9次におきましては窒素、りんについては高い環境基準を達成されておりますので、目標量としては、さらなる負荷削減対策は求めずに現状非悪化の観点から設定をしておりますし、CODにつきましても、東京湾と伊勢湾の生活系以外におきましても、現状非悪化の観点から、さらなる負荷削減対策は求めていかないという方針を出しております。そういったところを踏まえて、第10次のことも検討していく必要があろうかというふうに思います。
 御指摘のように、栄養塩類が生物生産性に与える影響といったところも各地で指摘をされておりますので、そういったことを踏まえまして第10次の在り方について御審議をいただきたいというふうに考えております。
【古米委員長】 あと、西嶋委員の雑排水の原単位は、昔からずっと続けて使っていると思いますが、現在の数値はいつから使われているのか。第1次のときから、途中で変わっているのか、変わっていないのかということです。その時点での雑排水のいわゆるし尿を除いた生活汚水の原単位を使い続けていると私は想像しますが、そこら辺は確認できますか。
【工藤推進官】 すみません、手元にデータがないので、この場でお答えすることは難しいんですけれども、確認をいたします。
 養殖業につきましては、こちらは実際の濃度をはかっているというわけではなく、活動量、面積など、業態の活動量に応じて原単位を掛けるといった方法で推計をさせていただいております。
 和木委員の畜産系のお話でございますけれども、小規模の未規制事業場につきましては、畜産系だけではなく、産業系の事業場につきましても全て算定をしているものでございまして、その理由としましては、総量削減制度の中、50m3以上の特定事業場については、規制がかかるんですけれども、未規制だったり小規模の事業場につきましても、指定水域に流入する総量を削減していくという法制度の目的に勘案して、上乗せ規制であったり行政指導であったりと、できる対策は実施していくという観点から算定をしているといったところでございます。
【古米委員長】 一通りお答えいただきましたけれども、回答について、何か追加で御質問、あるいは確認があれば。よろしいでしょうか。
 きっと、COD、TN、TPのところは、あくまでも、どこから来ているのかという内容と、要は、規制対象というか、対策を実施できるところを網羅的に示しているということと、生活系の多くは下水道に行っていますけれども、雑排水については原単位で計算していると。あるいは養殖も同じような管理運営上の原単位になっているし、その他系のところも原単位だと思います。
 下水道その他はCSOなので、きっとそのときの平均的な水質で、どれだけボリュームが出ているというところで合流式の負荷量を計算しているというふうに思いますが、改めて、どういう計算方法なのか、どういう原単位を使っているのかという確認をさせていただくということになろうかと思います。
 ほかに、御質問は特にないようですので、次の説明に移らせていただきます。それでは、水環境の現状についてということで、資料の4-2で事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【工藤推進官】 それでは、資料4-2に基づきまして、水環境の現状について御説明をさせていただきます。こちらもページ数が多いため、ところどころ、かいつまんで御説明をいたします。
 まず、環境基準の達成状況について、スライド3に示しておりますけれども、令和4年度のCOD環境基準達成率につきましては、東京湾68.4%、伊勢湾50.0%、大阪湾66.7%、大阪湾を除く瀬戸内海で75.7%というふうになっております。また、類型別で見てみますと、一部の指定水域ではA・B類型の基準達成率が低い一方で、C類型、主に湾奥部ではございますけれども、では、全ての指定水域において100%の達成となっております。
 類型指定の図については、スライドの5ページにお示しをしております。
 また、スライドの4ページですけれども、全窒素、全りんの環境基準達成率につきましては、東京湾100%、伊勢湾85.7%、大阪湾100、大阪を除く瀬戸内海96.5%となっておりまして、全ての指定水域において高い水準となっております。
 続いて、2の水質濃度の状況に移ります。
 スライド7につきまして、まず、東京湾のCODの濃度についてでございます。東京湾については、COD濃度は横ばいになっておりますけれども、湾奥部の高濃度域については縮小傾向が見られております。また、指定水域のうち濃度レベルは3.8mg/Lとなっておりまして、最も高いレベルというふうになっております。
 スライド9に伊勢湾のCOD濃度が示されております。伊勢湾につきましては、近年やや上昇傾向にございまして、水平分布図を見てみてもお分かりいただけるかと思いますが、湾奥部や湾央部の一部のエリアで濃度上昇の傾向が見られているといったところでございます。
 御説明が最初にできておりませんでしたけれども、各湾の状況の後に類型指定別の推移の図もつけているところでございます。
 続いて、スライド11になります。大阪湾を除く瀬戸内海のCODにつきましても推移はおおむね横ばいでございますが、濃度レベルは1.8mg/L程度となっておりまして、指定水域のうちで最も低い濃度となっております。
 大阪湾全体のCOD濃度も横ばいでございますが、こちらは湾奥部において高濃度域の縮小傾向が見られております。
 スライド15に移ります。ここからが窒素の部分になってきます。東京湾の窒素濃度につきましては低下傾向にございまして、水平分布図を見ていただけると、湾奥部の高濃度域の縮小が見られるとともに、湾央部から湾口部にかけても窒素濃度の低下が見られております。窒素濃度のレベルは、指定水域のうち東京湾が最も高くなっているといったところでございます。
 スライド17が伊勢湾の状況でございまして、伊勢湾についても窒素濃度の平均値は低下傾向にございまして、湾奥部の一部を除き全体的に低下傾向が見られているといったところでございます。
 スライド19が窒素の大阪湾を除く瀬戸内海になっておりまして、窒素濃度が低下傾向にあり、窒素濃度レベルは0.16mg/Lと、瀬戸内海が最も低くなっている状況でございます。
 スライド21につきましては大阪湾でございまして、こちらも窒素濃度は低下傾向にあり、水平分布図で見てみますと、湾奥部での高濃度域の縮小が見られているといったところと、0.2mg/L以下の低濃度エリアが拡大しているといったところが分かるかと思います。
 続いて、りんの濃度になります。スライド23ページになります。東京湾のりんの濃度については、やや低下傾向でございまして、湾奥部での高濃度域の縮小が見られておりますとともに、湾央部から湾口部にかけてりんの濃度の低下が見られています。りんの濃度レベルについては、指定水域の中では東京湾が最も高くなっている状況です。
 スライド25は伊勢湾のりんの濃度になりますが、こちらも低下傾向にありまして、湾奥部の一部を除き全体的にりんの濃度の低下が見られております。
 スライド27ページが大阪湾を除く瀬戸内海のりん濃度の推移でございまして、こちらのりん濃度の推移は横ばいとなっておりまして、りん濃度の濃度レベルが0.02mg/L程度となっております。
 スライド29が大阪湾の状況になりますが、大阪湾につきましてもりん濃度の推移が低下傾向にございまして、湾奥部の高濃度域の縮小と全体的な濃度低下が見られているところでございます。
 次に、底層DOの状況に移ります。
 スライド31になります。東京湾の底層DOにつきましては、年度間でばらつきが大きいので明確な増減傾向は見られておりませんが、水平分布図を見ると、湾奥の北西部を中心に2mg/L以下の特に濃度が低いエリアが依然として存在をしているといったところでございます。また、底層DO濃度のレベルも、東京湾が指定水域のうちで最も低くなっております。
 スライド32が伊勢湾の底層DO濃度になります。伊勢湾のほうも濃度の推移は横ばいとなっておりまして、水平分布図を見ると、伊勢湾北西部から湾央部については3mg/L以下のエリアが、また、三河湾の北東部については4mg/L以下のエリアが、それぞれ拡大をしているといったような状況でございます。
 大阪湾を除く瀬戸内海の底層DO濃度レベルがスライド33に示されておりますけれども、こちらも横ばいで推移はしておりますけれども、全体的に4mg/L以上となっておりまして、濃度の平均も6.7mg/Lと指定水域のうちで最も高くなっております。
 大阪湾の底層DOの濃度につきましても横ばいで推移をしておりますが、湾奥部については濃度上昇が見られているといったような状況でございます。
 次に、透明度としてスライド35に示しておりまして、こちらは、いずれの指定水域も横ばいでございますが、透明度のレベルにつきましては東京湾が最も低く、次いで伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海(大阪湾を除く)というふうになっております。
 スライド36がクロロフィルa濃度の推移になりますけれども、こちらは年によるばらつきが大きいものの、いずれの指定水域でも横ばいの傾向となっております。
 次に、障害の状況になります。
 38ページにつきまして、まず、赤潮の状況について御説明をいたします。東京湾については赤潮について長期的な減少傾向がありますが、平成20年度以降は年間30件程度で横ばいとなっております。発生地点は、右側の図に示しておりますけれども、湾奥部及び一部の湾奥部で多く発生をしている状況でございます。
 スライド39が伊勢湾の状況になりますけれども、こちらも長期的には減少傾向にありまして、平成20年度以降は年間30件程度で横ばいで推移をしております。発生地点としては、三河湾で比較的多く発生をしているといった状況となっております。
 スライド40が瀬戸内海の状況になります。赤潮の発生件数につきましては減少傾向になっておりまして、直近3か年の平均発生件数は71件となっています。湾・灘ごとに赤潮の発生状況に差がありまして、豊後水道では20件超発生をしているといったような状況でございます。
 スライド41が貧酸素水塊になります。こちらは東京湾のものになりますけれども、図にお示しをしているとおり、夏季の底層を中心に広範囲で長期にわたる貧酸素水塊の存在が確認をされております。
 次のスライドが伊勢湾になりますけれども、こちらも夏季の底層を中心に広範囲で長期にわたる貧酸素水塊が存在しているといったところと、さらに伊勢湾では貧酸素水塊の面積が長期的に増大傾向があるという報告もなされているところでございます。
 スライド43につきましては大阪湾の状況になっておりますが、主に湾奥部におきまして夏の底層を中心に長期にわたる貧酸素水塊が発生をしている状況でございます。
 続いて、底質・底生生物の状況になります。スライド45につきましては、底質・底生生物に関する調査の概要をお示ししております。これらの調査に基づいて収集したデータを今回、分析をしているところでございます。
 まず、底質の状況について、東京湾ですけれども、シルト・粘土分につきましては、平成3年度以降、多くの地点で増加傾向にございまして、シルト・粘土分が80%を超えているところが多くなっております。
 また、硫化物につきましても、スライド47に示しておりますけれども、多くの地点で0.2mg/g以上の値を示しております。なお、ここで硫化物の0.2mg/gの指標につきましては、これ以下が水産用水基準について水生生物保護のための望ましい値として定められておるところでございます。
 スライド48が東京湾のTOCになりますけれども、一部の地点において増加傾向が見られているというところでございます。
 スライド49が伊勢湾のシルト・粘土分につきまして、こちらも平成3年度以降、増加傾向を示している地点があるといったことや、伊勢湾の西側や三河湾の湾奥部でシルト・粘土分が80%以上となっております。
 硫化物につきましても、湾奥部では0.2mg/g以上の値を示す地点が多く見られている状況となっております。
 伊勢湾のTOC推移は、横ばいというふうになっております。
 スライド51が瀬戸内海についてでございますが、シルト・粘土分の割合については、ほとんどの海域で大きな変化は見られておりませんが、紀伊水道の北部において、やや上昇をしていたといったところでございます。
 硫化物は、播磨灘、周防灘で0.2mg/g以上の値を示すエリアがあるものの、全体としては0.2mg/g以下の値を示すエリアが多くなっております。
 スライド53が瀬戸内海のTOCについてですけれども、一部の海域では大きな変化傾向は見られておりませんが、値が高い海域においては低下傾向が見られていて、それ以外の海域でも、やや低下傾向が見られているといったような状況でございます。
 スライド54につきまして、ここから底生生物の状況になります。こちらは密度と種類数を表したものになっておりまして、グラフの黒色が夏、赤色が冬の値となっております。密度数と種数は冬季に高く、夏季には減少している地点が多く、一部の地点では無生物のパターンを示している地点が存在をしておりまして、こうした傾向は夏季の貧酸素水塊、貧酸素が要因の一つとして示唆をされているところでございます。
 スライド55が伊勢湾の状況になりますけれども、こちらも同様に夏季の貧酸素によって夏に底生生物が減少し、一部の地点では無生物のパターンとなっている場所が存在しているといった分析結果が得られております。
 瀬戸内海がスライド56ページにお示ししておりますけれども、こちらについては、多くの湾・灘で底生生物の種類数及び個体数の増加傾向が見られておりまして、種類数、個体数が増加した理由としては、底質の有機物含量が低下をしたといったところが上げられております。
 スライド57ページ目以降が藻場・干潟の状況になっております。藻場・干潟につきましては、生物の生息場として重要なものになっておりますので、こういった観点で調査を実施しております。
 スライド58が東京湾になりますけれども、東京湾につきまして、解析手法に違いがあるといったところはございますが、昭和50年代と比較して減少をしているような状況です。干潟面積については、昭和20年度から大幅に減少しているものの、昭和50年代からは大きな変化はなく推移をしております。
 スライド59は伊勢湾の状況になっておりまして、藻場・干潟面積ともに昭和50年度から減少をしております。
 スライド60が瀬戸内海の状況になりますが、藻場面積については、アマモ場につきましては昭和35年度から大幅に減少して、平成元年から2年度のデータでは約6,400ヘクタールというふうになっております。干潟面積につきましても、昭和50年代と比較して減少しているといったような状況になっております。
 ここまでのデータにつきまして、各湾ごとに水環境の状況に係るまとめをしております。
 スライド62が東京湾になっております。東京湾につきましては、窒素及びりんの環境基準の達成率は向上している一方で、CODの環境基準達成率は低いといった傾向になっております。また、水質濃度については、全ての指定項目につきまして指定水域内の中で最も高い濃度となっております。CODの濃度レベルにつきましては、湾奥部における高濃度域の縮小傾向が見られておりまして、りん・窒素濃度についても全体として低下傾向となっております。
 赤潮の発生件数は長期的に減少、近年横ばいになっており、また、依然として夏季を中心に広範囲で長期間にわたる貧酸素水塊が発生をしているといった状況でございます。底層DOの濃度レベルも東京湾が最も低くなっておりまして、湾奥の北西部を中心に2mg/L以下の特に濃度が低いエリアが依然として存在している状況でございます。底質や底生生物の生息状況には、今のところ明確な改善傾向は見られておらず、底生生物については夏場の貧酸素が要因で底生生物が減少、無生物パターンとなっている状況が確認をされております。
 スライド63が伊勢湾についてでございます。伊勢湾につきましては、窒素及びりんの環境基準達成率は向上している一方でCODの環境基準達成率は低くなっており、水質濃度につきましても、CODについては東京湾に次いで、また、窒素及びりんについては東京湾、大阪湾に次いで濃度レベルが高くなっております。湾全体のCOD濃度につきましては、近年やや上昇傾向が見られておりまして、りん・窒素の濃度については低下傾向となっております。
 赤潮の発生件数につきましては、長期的に減少傾向、近年で横ばい、エリアとしては三河湾を中心に発生をしているといった状況になっております。また、夏季を中心に広範囲で長期にわたる貧酸素水塊が発生をしているとともに、貧酸素水塊の面積は長期的に増大傾向になっているといった報告もなされているところでございます。底層DOについては、伊勢湾北西部から湾央部について、3mg/L以下の低濃度エリア、三河湾の北東部について4mg/L以下のエリアが、それぞれ拡大をしている傾向が見られているところになっております。
 また、底質や底生生物の生息状況については、底層環境に明確な改善傾向が見られておらず、底生生物については一部の地点について、夏場の貧酸素に起因する無生物パターンが見られております。藻場・干潟面積は、昭和50年代に比べて減少している傾向がございます。
 スライド64で大阪湾を除く瀬戸内海と大阪湾でございますけれども、まず、大阪湾を除く瀬戸内海につきましては、窒素及びりんの環境基準がほぼ達成された状況が続いておりまして、CODの環境基準達成率についてもB類型とC類型で高い状況になっております。COD濃度レベルも瀬戸内海が最も低く、これまでの水準が維持をされている状況です。
 赤潮の発生件数も推移は全体的に減少傾向でありますし、底層DOの濃度につきましても全体的に4mg/L以上といった高い濃度になっております。底生生物につきましては、種類数、個体数ともに多くの湾・灘で増加傾向が見られておりまして、この理由として底質有機物含量の低下ということが示唆をされております。
 大阪湾につきましては、窒素及びりんについて環境基準が達成された状況が続いておりまして、CODについては一部で環境基準を達成していない水域がありますけれども、湾奥部における高濃度域の縮小傾向が見られているところでございます。底層DOについても、湾奥部で濃度の上昇が見られております。湾奥部においては貧酸素水塊が依然と発生しておりますけれども、底質や底生生物の生息状況が改善するなど底層環境の改善傾向も見られているといった状況です。
 最後に、スライド65より気候変動について御説明をいたします。第9次答申におきましては、気候変動による影響も考慮しつつ在り方を検討していくべきとされていたことから、今回整理をしたものでございます。
 まず、水温の状況についてです。水温の上昇については、東京湾は夏季及び冬季ともに上昇傾向にございまして、伊勢湾、瀬戸内海につきましては、夏季は横ばい、冬季は上昇傾向となっております。
 スライド67と68につきましては気候変動による影響を記載しておりますが、こちらは気候変動影響評価報告書により総量の議論に関係すると考えられるものを整理をしたといったものでございます。なお、現在、中央環境審議会気候変動影響評価・適応小委員会におきまして、第3次の気候変動影響評価に向けた検討が進められているところでございまして、令和7年度に取りまとめが予定をされております。
 まず、水環境・水資源分野におきましては、極端な気象現象などによる水質悪化や貧酸素水塊の発生期間の長期化などが将来リスクとして示唆をされておりまして、自然生態系分野でも、水温上昇に伴う成層化によって、栄養塩類の減少が起きることで一次生産力の低下が起きるといったところが将来リスクとして予測をされております。
 スライド68については沿岸域・内水面漁場環境についてでございますけれども、現在見られている影響、状況としまして、海水温上昇による水産資源への影響が見られておりますとともに、藻場については、水温上昇に伴って藻類の生産力や藻食性魚類等の摂食活動の活発化によって、藻場の減少、構成種の変化というのが生じているというところが報告されております。
 将来予測とされる影響としては、少し長期的な予測にはなりますけれども、水温上昇に伴ってカジメによる藻食性魚類による食害の影響が顕在化をしたりですとか、ノリ養殖の育苗開始時期が遅れたり、又は赤潮発生による二枚貝等のへい死リスクが上昇するといったことがリスクとして上げられています。
 以上で説明を終わります。
【古米委員長】 はい。御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関して、御質問、御意見をお受けしたいと思います。
 それでは、風間委員、田中委員、古川委員、珠坪委員の順番でお願いしたいと思います。
 それでは、まず、風間委員。
【風間専門委員】 丁寧な御説明、ありがとうございました。3点、事務局に聞きたいことというかお願いごとがございます。
 まず、総量削減というのは、COD環境基準を目指すのではなくて、豊かな海を目指すということですよね。それは先ほどの説明で分かりました。
 というのは、昨今の水環境学会誌の論文で、トータル窒素削減によって有機物の組成変化と難分解化が起きていて、CODが下がらない方向に作用していたとの報告がありました。実際、私が東京都内湾、千葉県海域の一部で、そのとおりの現象を確認いたしました。ということで、まず、事務局として、それを認識していただきたいというのが1点です。
 2点目。豊かな海ということですが、これ、数値目標がないので、東京都内湾の赤潮が規模や、今ここでは件数しか書いていなかったんですけれども、規模とか濃度によって低迷しているわけですけれども、どこを目指して下水道担当なんかは窒素やりんを削減していけばいいのか、貧酸素解消のためにDO対策をどのようにやっていけばよいのか、具体的な指導はされていないように見られるのですが、いかがなっているのでしょうか。本文の中には底層DOと既存の環境基準を合わせて活用して評価するとなっておりますけれども、どうなのでしょうか。
 3点目。水温上昇の現状は示されたんですけど、今後かとは思うんですけれども、千葉県のレポートで東京湾が温暖化という以上に上昇が著しいということが示されております。その原因について、要因を探ってほしいと思います。発電所排水の熱量、下水排水の熱量などです。何らか対応いただければ幸いです。よろしくお願いします。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 続いて、田中委員、どうぞ。
【田中臨時委員】 田中です。どうもありがとうございます。まず、膨大な資料、まとめるのが大変だったかと思います。
 その上で多分、言いたいことは、後ろのほうのまとめのところだと思うんですけど、例えば、水質濃度の状況のところが出てくるんです。それで、全体の分布としてどうなっているかとか、それはこの情報で分かるんですけど、後ろのほうで、やはり、まず、これまでの水質環境基準の達成している状況、それから新しく定めた水質環境基準の達成が、どこの地点で達成していて、どこで達成していないのかが、この情報では分からない。まとめの平均的な値としてはどんな傾向になっている、これはこれでいいんですけど、そこをまず分かるように何か資料を追加しておく必要があるんじゃないかと。
 特に、図面で出てくるCODとかNPは、おそらく、想像ですけど、年間平均の水質でプロットされていると思うんですよね。ところが、底層DOも、夏場の平均と書いてあるんだけど、環境基準という視点から見たら、新しく環境省が推進してつくったやつは一番低い1日の値かな、そういう基準になっていると。それから、水域も利用用途がみんな違うわけです。
 だから、そこに住んでいる生物も違う。ということは、分布が分かっても、どこのエリアが達成して、どこが達成していないかというものを比べることが、一応、これまでのやり方なので、それはいろいろな限界があって、これから変えようということもあるんだけど、現況で一体どこがどうなっているのかというのが、この資料では分からないと。だから、それがまず必要でしょうと。
 その際に、ちょっとややこしいのが底層DOの問題で、環境基準値は定め始めたところが多いんですけど、まだ達成率の目標というのが入るんですよね。これは地域地域によって決めることになっていて、それがまだ決まっていないと。じゃあ、何と比べるかということなんですけど、大腸菌、去年出された適合率かな。要するに、絶対的な値がどれぐらい満足しているかというような、取りあえずそういう比率で出してみるとか。何かちょっと工夫が要ると思うんですけど、そこをお願いできないかなと。
 そうしないと、後ろで書いてある文章というのは全体を通して書いてあるような感じなんだけど、どこのエリアがもう達成できて、どこがまだちょっと残っているのか。結局、総量規制の中で、きめ細かな議論をこれからしていくわけだから、現状で一体どこが満足されて、どこがまだ課題が少し残っていたりするのか、それが全体像として分かるようにまとめていただきたいなというお願いです。
 以上です。
【古米委員長】 それでは、古川委員、どうぞ。
【古川専門委員】 丁寧な御説明、本当にありがとうございました。経団連からは、コメントを幾つかさせていただきます。
 資料4-1で示されました各海域における陸域からの汚濁負荷量の削減は順調に進んでいると認識しております。一方、今回御説明いただきました資料の4-2を拝見いたしますと、1979年以来の、特にCODの環境基準達成率は一貫して横ばい、水質濃度についても当初を除き横ばいであって、大きな改善が残念ながら見られていないと感じております。長年にわたる取組の結果と諸情勢の変化を照らし合わせまして、汚濁負荷を一律に削減するという制度そのものを抜本的に見直す時期にあるのではないかと考えている次第です。
 まずは、陸域からの汚濁負荷量の削減がどの程度水質改善に寄与しているのか、海域ごとの科学的な検証を行い、その上で、改めて今後の制度設計を考えていくことが必要ではないかと考えております。具体的な方向性といたしましては、水の清澄性ばかりでなく、豊かな海を創出することが重要であることも間違いございません。瀬戸内海においては順応的な栄養塩管理を目的とした取組が先行して実施されており、この知見を活かしながら検討を進めていただきたいと考えております。
 あわせて、全体に関し、望ましい環境を総合的に実現することが重要であることは間違いなく、対策のトレードオフも適切に勘案することが必要と考えております。排水処理の際に多くの温室効果ガスが排出されることは考慮する必要があると思っております。排出係数に関しましては、今後様々な精緻な数字が出てきたり、技術によって変わってくるものがあると思いますが、環境負荷全体を効果的に低減するという観点から、具体策についても併せて議論をすべきと思っております。
 以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、珠坪委員、お願いします。
【珠坪専門委員】 まず、データの取りまとめ、ありがとうございました。
 その上で、やはり湾部において、例えば、CODですとか底層DO、それから底生の生物量、この辺が回復してきていないということは事実だと思います。これをもう少し詳細に解析するためには、一部東京湾でやられていますが、要は、流入してくる負荷によるものなのか、あるいは内部生産、一次生産、もしくは二次生産、あとは底泥の影響、この辺があるのかというところをもう少し精緻に見なければならないのかなと思います。CODMnは非常に酸化力が弱いものですので、一部、東京湾ではTOCをはかられていて、TOCが上がってきていると。これが果たして事業場等から排出される有機物によるものなのか、単純に底質から再溶出しているものなのかという辺りは、しっかり把握する必要があるように思います。
 例えば、資料4-2の23ページ目で、りんの溶出、りんですからりん濃度があるんですけれども、これとDO、底層DO、東京湾、31ページ辺りを見てみますと、りんの濃度が高い地点と底層DOが低下している地点が非常に一致しています。ですので、単純に貧酸素化で底泥から再溶出しているものが効いているという可能性というのは十分にあるわけですので、底泥の分布ですとか、それに含まれる炭素、窒素、りん等の情報もある程度精査して統合していかないと、なかなか最終的な海域の保全というのにはつながらないのかなというふうに考えます。
 以上です。
【古米委員長】 それでは、続いて大久保委員、オンラインでお願いいたします。
【大久保委員】 丁寧な御説明をありがとうございます。今までの委員の質問とも関連いたしますが、2点ございまして、一つはスライド31、資料4-2のスライド31の、東京湾の底層DOですけれども、この推移を見ますと、真ん中の図と一番右側の図ですね、右下の、これを見ますと、水平分布図において、特に濃度が低いエリアが依然として存在しているというよりも、増えているように見えるわけですけれども、これは年度によってかなりの差があるので横ばいというふうに見ているのかどうかというところを一つ、お伺いしたいと思います。
 そして、また、前の委員の御質問やコメントとも関連いたしますけれども、赤のエリアが増えている要因として、どのようなものがあるのか。そして、今までDO対策としてとってきたものを、どのように評価していらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。
 もう1点はスライド66に関わることですけれども、気候変動の影響で水温に関するデータを上げていただいていて、これが最後、どこまで来ているのか、平成30年度がどこの点なのか、よく分からないのですけれども、少なくとも、この数年の水温の上昇の上がり方というのは、沿岸域で見ても、総量規制がかかっているところだけではなくて、三陸で水温が10度も上がるとか、極端な状況が発生していると認識しております。別途検討されている気候変動の影響に係る知見を反映して、今後もっと、より新しいデータが出てくるのでしょうか。水温だけではなくて、その影響も含めまして、もっと新しいデータを基に、令和に入ったものも含めて、今後検討が可能になると見込まれると理解してよいかということについて、お伺いしたいと思います。
 以上2点です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、まとめて5名の委員からの御質問、コメントに対して、御回答をお願いしたいと思います。
【工藤推進官】 ありがとうございます。
 まず、風間委員の御指摘につきまして、CODの濃度が下がらないといった要因の中で、第9次の答申の際におきましても、CODの濃度に影響を与えている要因の一つとしまして、難分解性CODの増加であったり、あとは外海のCOD濃度の影響といったところが指摘をされているといったことは認識をしております。
 赤潮につきましては、全体的な傾向を見るといったところで件数や地点をお示ししているところでございます。こちらにつきまして、規模などをどのようにデータとして整理できるかといったところは、今お答えは難しいんですけれども、検討させていただきたいというふうに思っております。
 また、千葉県の、冒頭の温暖化以上に水温が上昇しているといった点について、こちらでは存じ上げなかったところではございますけれども、今、東京湾の水温上昇といったところも見られておりまして、これを、もう少し地点を細かく分析をしていくといったところなども考えられるかというふうに思っております。
 田中委員御指摘の、環境基準の達成の状況と、その地点とその濃度との関係と、といったところのデータを整理していくべきではないかといった御指摘につきまして、今そういったデータの整理ができておりませんけれども、現状のデータの中で、そういった見せ方、分析手法として検討をしていきたいというふうに考えております。
 古川委員の総量削減を抜本的に見直すべきではないかといった御指摘につきまして、先ほどの風間委員のお話とも関わりますけれども、これまでの負荷削減によってCODが一定程度、改善をしているといったところがございますが、長年にわたって底質に陸域から蓄積をされた負荷量からの溶出といったこともありますし、外海のCOD濃度や難分解性COD濃度の影響もありまして、CODの環境基準の達成率に成果が十分現れていないといった状況があると思っております。
 こういった観点から、第9次答申では、CODの既存の環境基準に加えて生物、水生生物の生息への影響を、より直接的に表すことができる指標である底層DOの環境基準を合わせて活用して水域を評価していくべきとされておりまして、今回、底層DOの状況についてもお示しをしているところでございます。先ほど御説明をしましたように、依然として底層DO濃度が低い海域がありますし、赤潮や貧酸素水塊の障害が発生している海域、さらに底質・底生生物の底層環境が改善していないといった海域が存在しております。閉鎖性海域といった汚濁負荷が蓄積されやすいといった特性も踏まえて、現状非悪化を目指していくといった観点は、重要だというふうには事務局として考えております。
 ただ、一方で、前のほうに三浦委員からも御指摘をいただきましたけれども、栄養塩類の不足に起因する生物生産性への影響も見られておりますので、この点について、水環境への影響を悪化させない中で、栄養塩類の不足に対してどのように対応していくことができるのかといった観点も含めて、在り方について御審議を進めていただきたいと考えております。
 珠坪委員からの、底層DOのお話、またメカニズムのお話がありまして、こちらについても、2回目以降はヒアリングになりますけれども、ヒアリングを踏まえて、そういった要因分析についてもシミュレーションなどを実施する予定ではございますが、分析をしてお示しをできるよう検討をしていきたいと考えております。
 大久保委員につきまして、底層DOの対策として、どのような対策をしてきたかということにつきましては、まずは類型指定を定めるといったところを注力してきたところでございます。底層DO対策については、陸域からの汚濁負荷を削減するといったことはもちろん、底質改善の対策といったところも考え得るところではございまして、それについて、環境省の中でどういった対策が可能なのかといった情報を収集している状況でございます。
 水温の数値につきましては、お示ししているグラフの横軸が、見づらくて恐縮なんですけれども、今、直近で把握しているデータまで入れたものになっておりまして、また今後、データが蓄積されていけば、さらにアップデートしていくといったような状況でございます。
【古米委員長】 一通り御回答いただきましたが、質問された委員の方々、よろしいでしょうか。
 それでは、私から。先ほどの珠坪委員の御発言の中で、総量削減の枠組みというのは基本的に陸域からの負荷量がベースなんですけれども、CODだけではなく、りん、窒素を取りましょうとなったのは、内部負荷の削減のために入ってきたと。なかなか水質改善されない原因としては、今、底層DOが議論されていることに関連しますが、過去何十年も出してきたものが底泥として溜まっていることとも関連していると考えられます。瀬戸内海については底質はよくなってきているが、それ以外の総量削減対象海域のところは溜まったままであると。
 そうすると、どれぐらいの陸域からの負荷があり、夏季においては、底層からどれぐらいの窒素、りんの負荷があり、あるいはCODの負荷があるという、負荷量の概念で相対的に比較する必要性が出てきていると思います。負荷量自体は簡単に計測、モニタリングのデータから出るものと原単位でやっているものがありますけれども、やはり、底質の情報から想定される溶出速度とは、底層DOとの関係、水温の関係で、シミュレーション上ではできていると思います。そこら辺を少しまとめながら、底泥からの負荷量としてどの程度あるのかと。特に、夏場においてどのぐらいなのかというのを相対的に比較していくということも重要かなと感じました。
 ただ、そのときに、湾・灘別の領域の話と、東京湾だとか伊勢湾、あるいは大阪湾ですが、どこまできめ細やかにできるかという次の段階はあろうかと思いますけど、まずは底泥からの負荷量を新しい項目として位置づけて今後議論を進めたほうがいいかと私も思いました。
 ほかに追加で御質問、御意見があれば。岡田委員、どうぞ。
【岡田専門委員】 今の先生の御発言にも関連するのですが、底質の扱いについてちょっと確認させていただきます。私も水環境や生物にとって底質環境は非常に重要だと思っていますが、この総量規制における底質の変化というのはどういうふうに位置づけたらいいんだろうかと。総量規制のゴールの一つとして底質変化を見ているのか、今先生が言われたように、流入負荷の負荷源として、境界条件として見る情報として見るべきか、この底質の扱いについて教えてください。
【古米委員長】 続けて、横田委員、どうぞ。
【横田専門委員】 横田です。うまく説明できているかどうか分からないんですけど、今の委員長とか今の御意見も踏まえてなんですけど、結局きめ細やかに場所と時間を見るというのがキーワードになっている中で、夏季の夏場の貧酸素が問題でというところがあると思って理解しているんですけど、川の役割って結局上流から下流に水を運ぶだけじゃなくて、流域のものを大雨が降ったときに流すということで、その負荷量という概念を委員長がおっしゃったと思うんですけど、私は農地とかをやっていますので、そういう意味では山林、農地、市街地というものが、先ほどは規制がかけられるものは総量負荷削減の対策として実施するということだったんですけど、規制のかけられないものに対しても、何かトライをしないといけないのではないかと思って、意見を言わせていただきました。
 以上です。
【古米委員長】 大野委員、どうぞ。
【大野専門委員】 先ほど委員長の御説明にもありましたとおり、今まで蓄積した底質の窒素やりんが貧酸素水塊の原因の一つであると思いますが、資料4-2の41ページの貧酸素水塊の状況の図に月、週ごとの貧酸素水塊の変化が示されており、これを見ますと、例えば7月4日に貧酸素水塊の状況が厳しい区域が1週間後の7月12日では小さくなり、2週間後にまた広がっています。そして、天候が悪化した後の8月2日にまた貧酸素水塊がかなり大きい区域に広がり、2週間後はかなり軽減して1か月後の8月23日では真ん中周辺の区域は貧酸素水塊がかなり軽減した状況になっています。これを見ますと、1か月の間でも相当な貧酸素水塊の変化があるように思えます。なので、流入の負荷というのは、おそらく1年でそんなに変わるものではないと思うので、もちろん貧酸素水塊というのは夏場に出てくるものですが、1か月でこれだけ変わるということはまさしく台風など天候の影響が相当あるのではないかと思います。なので、そういった天候の影響というのも少し解析をして、きめ細やかな部分を加味して貧酸素水塊という問題を取り扱ったほうがいいのではないかと感じました。
 以上です。
【古米委員長】 東委員、お願いします。
【東専門委員】 私も大野委員のお話と近いのですが、総量削減だけではカバーできない問題もあり、その中で一つ記載されているものが気候変動で、雨の降り方が変わっているということが知られています。先ほどの底質の話についても、明らかに総量削減から外れている事例も結構あります。例えば、東京湾では海底土の細粒化、泥化が進んでいるのは明らかでございまして、2000年前後で砂だったところが泥に変わっていることが明らかに観測で見えています。これはさすがに汚濁負荷や総量削減の観点からは説明がつかないような事象です。
 そういう意味では、底層DOが下がる原因についても負荷だけではなく、気候変動や水温上昇、底質の汚泥がたまりやすくなったなど別の要因もあると思います。そういうものも含めて総合的に議論しなければいけないのではないかと思っております。
 今日示していただいた中でも気候変動、きめ細かな水質管理、生物多様性・生産性の確保などののストーリーがあり、総量削減は今回の第10次で大きく変えるのかと想像させられますが、事務局の方で、もし今の段階で何かオプションが幾つかあるのであれば、先に出していただいた方が、議論を進めやすいのかなと思ったところでございます。
 以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。大野委員は、よろしいですか。
【大野専門委員】 はい、結構です。
【古米委員長】 それでは、4人からの御意見に対して。
【工藤推進官】 まず、岡田委員からの底質の扱いについてですけれども、御指摘のとおり、水濁法全体が水環境基準を達成するために汚濁負荷を削減をしていくという制度体系になっているところではございますが、水質汚濁のメカニズムは複雑で、底質への影響もあるといった中で、どう底質の改善が図られているかといったところについては、水環境の評価をする上で、一つの指標になるかと思っておりますので、そういった観点で底質、底生生物の状況を見ております。瀬戸内海におきましては、そういった改善が今見られているような状況だと考えております。
 横田委員からございました、ノンポイントソースのお話になりますけれども、なかなか対策が難しいところもありますが、例えば農業については、環境配慮型農業を推進していくといったことにつきましても、総量削減基本方針に位置づけておりまして、それに基づいて各県の方々に対策をいただいているといったところでございますので、第2回目以降におきましては、その点も含めて関係省庁からのヒアリングなども実施をしていきたいと思っております。
 また、大野委員、東委員からきめ細やかな分析、水環境の管理といった観点で、より天候であるとか気候変動であるとかといったような分析をしていってはどうかといった御指摘をいただきました。本日、このきめ細やかな管理に向けてどういった分析をしていくかといった御指摘を様々いただいておりますので、全体を含めてどのような分析ができるかを次回以降、検討してお示しをさせていただきたいと思っております。
 第10次の在り方をどうしていくかといった観点につきましては、第2回目以降二、三回程度ヒアリングを行って、現状とその課題を整理をさせていただいた上でお示しをしていくといった流れにさせていただければと考えております。
 以上です。
【古米委員長】 時間が過ぎておりますけれども、オンライン参加の山口委員、どうぞ。
【山口専門委員】 よろしいでしょうか。
【古米委員長】 お願いします。
【山口専門委員】 コメントになると思いますが。栄養塩が減り過ぎて、水産資源がかえって減っているかもしれないという点で、今後はきめ細やかな栄養塩管理の方向性に向かっていくような流れがあると思いますが、それについては異存はありませんが、生物多様性とか生産性を増やしていくために、目指すべき目標値、目標をどこに設定すればいいのかは、実際のところよく分かっていないですし、汚濁負荷ではなくて、ほかに原因がある可能性もありますので、そういったことを明確にするには、かなり高度な、複雑な調査研究が必要になると思います。
 本来、栄養塩とかというのは、陸域からの自然に流れてくるもの、おそらく栄養塩だけではなく砂などもそうだと思いますが、陸由来のものが海に流れてきて、うまく回っていたところもあったと思いますが、それが今なかなかうまくいっていない状況で、例えば微量元素などのビタミン類のようなものなども、プランクトンの増殖に必須となるものがあることなども分かってきています。そうした微量元素がないとプランクトンも増えませんし、何がどれだけあるかによって、どのような種類の植物プランクトンが増える方向に働くかが変わってくるということも分かってきています。するとそれを食べる動物プランクトン、どれが増えるかというのも変わり、その生態系の食物網の構造によって、結果的には水産資源となる生物が増える方向に働くかどうかさえ分からないので、負荷量を増やして栄養塩が増えても、うまく生物に利用されなければ水質悪化につながってしまうということで、きめ細やかでありながらも生態系の全体を捉えつつ、広い視野での調査研究が必要になると思います。現状では本質的な答えはおそらくすぐには見つからないので、今やられ始めているようなそういった順応的な栄養管理で、どのような系の負荷量がどのように増えたら、どのような変化が見られたかというような細やかな変化の記録をしっかり残しておくということだけでも、のちに有用なのではないかと考えています。
 あともう一つは、栄養塩と魚の資源の相関を見るには、魚の場合はやはり一般に寿命が長いので、増えるとしても時間が経ってからということですから、タイムラグが出てきますので、プランクトンと直接関係があるものもありますが、あるいはその環境変化というのもすぐに、明確に表れてくるものではないので、いずれにしても栄養塩の管理は慎重にやっていくべきで、生物の視点からもかなりきめ細やかな、かつ生態系の広い視点が必要という点に留意して、徐々に新しい科学的知見とか考え方も取り入れながら検討を進めていくべきと思います。
 以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。環境省、特に、あれば。
【工藤推進官】 御指摘いただきありがとうございます。瀬戸のほうでは委員御指摘のとおり、令和3年に法改正をして栄養塩類管理制度を導入しておりまして、そういった中で、この栄養塩類の増加措置が周辺環境や生物生産性にどういうふうに影響、効果があったかといったところもなるべくモニタリングをしていきながら把握をしていきたいと思っておりますし、調査研究が必要だというところも御指摘のとおりかと感じております。
 また、環境への影響について、すぐに影響が表れず、蓄積をして、また溶出をしてといったところもありますし、環境の応答には時間がかかっていくものではありますので、栄養塩類の増加措置につきましても、モニタリングをしながら影響把握をしていくといった順応的管理を瀬戸内海では実施をしており、そういう観点も重要かと事務局としても考えております。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。今日皆様からいろいろと御意見、コメントをいただきました。今回お示しいただいた資料4-1と4-2ですが、汚濁負荷量と水環境の現状等については、御意見を踏まえてまとめていくということにさせていただきたいと思います。
 それでは、4番目のその他ということで、事務局から何かありますでしょうか。
【工藤推進官】 特にございません。
【古米委員長】 それでは、15分ほどオーバーしましたが、本日の審議はこれで終了として、議事の進行を事務局にお返ししたいと思います。
【水谷課長】 古米委員長、委員の皆様、長時間にわたりまして活発な御議論ありがとうございました。
 次回でございますが、来年2月12日水曜日、13時半からを予定してございます。委員の皆様には改めて詳細を御連絡させていただきます。また、本日の議事録につきましては、事務局で案を作成して、委員の皆様に御確認をいただいて、そののち環境省のホームページに掲載させていただこうと考えております。
 以上をもちまして、第1回総量削減専門委員会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
午後0時15分 閉会