土壌制度小委員会(第3回)議事録
開催日時
令和6年12月2日(月) 15:00~18:00
開催方式
WEB会議システム併用(YouTubeによるライブ配信)
議題
土壌汚染対策法関係者からのヒアリング
(東京都、明石市、全国中小企業団体中央会、一般社団法人日本化学工業協会、一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人日本建設業連合会)
(東京都、明石市、全国中小企業団体中央会、一般社団法人日本化学工業協会、一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人日本建設業連合会)
資料一覧
資料1 中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会委員名簿
資料2 東京都提出資料
資料3 明石市提出資料
資料4 全国中小企業団体中央会提出資料
資料5 (一社)日本化学工業協会提出資料
資料6 (一社)日本経済団体連合会提出資料
資料7 (一社)日本建設業連合会提出資料
参考資料1 土壌汚染対策法(概要)
参考資料2 土壌汚染対策法(平成 14 年法律第 53 号)
参考資料3 土壌汚染対策法施行令(平成 14 年政令第 336 号)
参考資料4 土壌汚染対策法施行規則(平成 14 年環境省令第 29 号)
参考資料5 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第 46 号)
参考資料6 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月 18 日)資料6 (土壌汚染対策法の施行状況)
参考資料7-1 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料7-1(土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書)概要)
参考資料7-2 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料7-2(土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書))
資料2 東京都提出資料
資料3 明石市提出資料
資料4 全国中小企業団体中央会提出資料
資料5 (一社)日本化学工業協会提出資料
資料6 (一社)日本経済団体連合会提出資料
資料7 (一社)日本建設業連合会提出資料
参考資料1 土壌汚染対策法(概要)
参考資料2 土壌汚染対策法(平成 14 年法律第 53 号)
参考資料3 土壌汚染対策法施行令(平成 14 年政令第 336 号)
参考資料4 土壌汚染対策法施行規則(平成 14 年環境省令第 29 号)
参考資料5 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第 46 号)
参考資料6 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月 18 日)資料6 (土壌汚染対策法の施行状況)
参考資料7-1 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料7-1(土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書)概要)
参考資料7-2 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料7-2(土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書))
議事録
(長谷川土壌汚染対策係長)
定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催いたします。
委員の皆様、またヒアリング団体の皆様におかれましては、ご多忙のところ、ご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の小委員会は、委員総数20名のうち、途中からご出席の予定の委員も含めて、過半数の18名がご出席で、淡路委員、袖野委員がご欠席の予定です。定足数の要件を満たし、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。
また、WEBを併用した開催であり、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信をしております。
それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。議事次第の配付資料一覧をご覧ください。
資料1に本小委員会の名簿、資料2から資料7として、本日ご発表いただく団体の皆様からご提出いただいた資料をお渡ししております。
また、資料に加えて、参考資料として、土壌汚染対策法の概要、法令の条文、さらに第1回小委員会で使用した現状と主な課題に関する資料をお配りしております。会議の中で必要に応じ、ご参照ください。
こちらの参考資料などは次回以降も使用しますので、会議が終わりましたら、机の上に残してご退出されますようお願いいたします。
何か不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
なお、これらの資料及び本小委員会は運営規則等に基づき公開とさせていただきます。
それでは、これより議事に移りたいと思います。大塚委員長に議事進行をお願いいたします。
(大塚委員長)
それでは、議事に入ります。本日の議題は、土壌汚染対策法関係者からのヒアリングです。ヒアリングは2回に分けて行いますが、今回はその2回目です。今回は東京都、明石市、全国中小企業団体中央会、一般社団法人日本化学工業協会、一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人日本建設業連合会の6団体からヒアリングを行います。
本日の進行でございますが、まず、3団体からご意見をいただき、質問時間を続け、その後で残り3団体からのご意見、質問時間を設けるような流れで進めたいと思います。
会議時間の制約上、ご意見は団体ごとに10分程度を目安といたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
では、まず最初に、東京都からご意見をいただきます。東京都からは、環境局環境改善部化学物質対策課課長代理の須藤様にお越しいただいております。
それでは、須藤様、よろしくお願いいたします。
(東京都)
ただいま紹介にあずかりました東京都環境局の須藤でございます。本日はこのような貴重な場を設けていただき、誠にありがとうございます。時間も限られておりますので、早速でございますが、お手元の資料に基づきまして、現行制度に対する意見及び今後の見直しに向けた提案についてご説明させていただきます。
1枚めくっていただきまして、目次でございます。本日は、法の条項別に分けてご説明させていただきます。
次のページをご覧ください。まず1.制度全般についてでございます。現状、東京都としては主に3点について課題があると認識しております。
一つ目が、制度が複雑化しているということでございます。制度が非常に難解で、自治体職員のみならず、事業者、関係者が追いついておらず、制度として使用されていない条項も多いと考えております。例示としましては、臨海部特例区域の話や、目標土壌溶出量といったものが挙げられます。二つ目として、運用事項が多いということです。法令には記載がない一方で、汚染拡散防止という法の趣旨を鑑みると、運用でカバーせざるを得ない事項というのが多いと感じております。都の運用の一例を示しておりますが、例えば区域指定前であっても、12条、16条に準じて届出をした後、形質変更していただくことであったり、事業期間や事業の都合上、4条1項・2項を分割して届け出ることであったりという運用を現状行っているところでございます。三つ目としまして、アンバランスな規制になっているということです。現行法では、自然由来、人為由来、水面埋立土砂由来と、三つの汚染のおそれの由来に関わらず同じ尺度で規制が行われております。それにより現場では、自然由来等による区域指定を忌避する事案や、無理やり掘削除去をして、指定を解除するような事案が見受けられ、過剰な対策が行われていると考えております。総じますと、現行制度については、自治体、指定調査機関、事業者等の関係者全体の負担が大きいというところがございます。
都からの意見といたしましては、一つ目としては、既存の制度をベースに特例を設ける方向性ではなく、制度の在り方そのものを再度吟味した上で抜本的に見直していく方向性など、理解、運用しやすい制度となるように意識して、検討を行うべきであると考えているところでございます。二つ目としては、運用事項が多いという点を踏まえ、法的な位置づけを改めて整理する必要があるのではないかと考えております。三つ目として、環境リスクに応じた合理的な規制となるように制度を見直すべきと考えており、これらが東京都全体の主張となっております。
次のページをご覧ください。2.有害物質使用特定施設の廃止等についてでございます。現状、3条においては、有害物質使用特定施設の廃止時に調査義務が発生いたします。一方で廃止時の調査義務のため、資金不足で調査や対策ができないことにより、調査猶予を選択することが多いという状況でございます。グラフの通り東京都は猶予率は約50%程度で推移しておりますが、全国では75%程度で推移しておりまして、多くの場合で調査猶予が選択されております。やはり資金不足等を理由に、なかなか対処するのが難しいという状況を反映しているのではないかと考えているところでございます。都内は土地の流動性が高いため、全国と比べると猶予率は低くありますが、それでも50%が選択されているという現状がございます。
続いて、次のページをご覧ください。有害物質使用特定施設の廃止関係の現状・課題の2番目として、調査猶予中の土地が未調査のまま、次の土地が利用されるということについてです。一度調査猶予を取ったはいいが、何年も経年してしまったことによってその情報がうまく承継されず、売却・改変が行われるケースが都のみならず、全国で散見されております。これによって、汚染拡散のリスクや不動産トラブルというのが生じている実情がございます。
現状・課題の3番目として、調査猶予地に係る情報の問合せについてです。調査猶予の情報については、現行法では台帳等の公開規定がないことから、特に公開しておりませんが、不動産業者や、指定調査機関などから問合せが多くあるため、実際としては事務負担となっております。また、土壌汚染の調査前であり汚染の有無確定前にもかかわらず、土壌汚染地のように扱われて、買い叩かれているという実情や、指定調査機関からの調査に関する営業が行われているという実情がございます。
現状・課題の4番目として、中小事業者等の土地における調査・対策についてです。東京都の場合は、大規模改編の場合は不必要な掘削除去を避ける傾向が増えてきているところでございますけれども、中小事業者の土地については、いまだに法令の理解が乏しく、慣例的に掘削除去を求められることが非常に多いという実態がございます。また、狭隘な土地における調査対策に要する費用負担は、やはり大規模な土地に比べると、単価当たりの費用が非常に高く、土壌汚染対策が進まず、円滑な土地利用も進まないという状況の一因になっているところでございます。
次のページをご覧ください。前述の現状・課題に対する東京都の意見としまして、まず、1番目の調査猶予については、情報が承継されるように、従前運用されていた定期的な現状報告を猶予の条件につけることが検討ができないかと提案いたします。
2番目については、調査猶予を受けた土地の公開について、現状はデメリットのほうが多く説明されておりますが、要望があるということを踏まえ、メリット、デメリットを整理したうえで、公開すべきかどうかを議論していただきたいと考えております。
3番目については、土対法とは外れますが、宅建業法の中で、宅地取引における重要事項説明として、調査猶予等の情報を必須とできないかというところでございます。ここに書かれていれば、取り漏れはないだろうと都としては認識しております。
4番目については、健康リスクや実情を考慮の上で、中小事業者の方々への必要な負担低減措置というのを検討していただきたいと考えております。先ほどご説明しました調査猶予率や対策の実情を考慮すると、やはり中小事業者への負担がかなり大きいといえるため、負担軽減措置は、法令の見直しに合わせて考えていくべきと提案いたします。また、これ以上の調査契機の拡大は、現状を踏まえると、地歴調査の実施さえも困難な事業者が非常に多く、実効性は薄いと思っております。そのため、さらに廃業やブラウンフィールドが加速する懸念があると東京都としては考えているところでございます。
次のページをご覧ください。3.土壌汚染状況調査の報告者等についてでございます。こちらも法3条関係ですが、現状、特定施設の設置者と土地の所有者が異なる場合に、トラブルが多く発生しております。
東京都では、都条例で有害物質取扱い事業者に義務をかけているため大きくもめることはございませんが、このような法制度の中で、事業者が実施して土地の所有者の名前で報告されるパターンが、都で受ける報告全体の9割以上になっております。
また、大都市域ですと、区分所有があるマンションの1階でクリーニング業を営まれているところもありますが、そういったところが廃業になったときに、何百社の区分所有者に対して義務をかけることになり、非常に事務負担が大きくなっております。
続いて、自治体から土地の所有者への連絡、また個別の法令説明を行うことが常態化しているということでございます。都では、土壌汚染対策アドバイザーの派遣や総合相談窓口等の運用を行うことで職員の負担軽減を図っていますが、それでもかなり負担が大きくなっております。
それを踏まえての意見・提案でございますが、土地の所有者等に義務づけをしたという当初の法制定時の狙いというのはきちんと尊重すべきだと、我々としても考えております。一方で、例えば法4条第2項で形質変更する者が報告できるように、土地の所有者以外でも報告することができる規定とならないかというのが一つ目でございます。
二つ目については、個別具体的な案件については、自治体で受けるべきであるとは思いますが、土対法の基本的な相談や、各自治体の指定区域情報の掲載先の問合せ等については、国が相談窓口を整備して、対応していただけないかと考えております。
次のページでは、そのエビデンスとして、都の運用状況を示させていただいております。特に相談については、ほとんどが土地の所有者等の直接的に関与する者ではなく、不動産や設計・コンサルといった方々の問合せが多いというところを鑑みましても、この辺を一貫して整備できないかとご提案させていただいているところでございます。
次のページをご覧ください。4.ただし書き確認中の土地の形質変更についてでございます。現状、ただし書き中の土地において900平米以上の形質変更が行われる際、法3条第7項と法3条第8項の命令によって、届出や調査が行われているというところでございますが、行政手続の性質上、命令手続きには一定の作業と時間が必要になるため、形質変更の計画にかなり影響を与えております。実際に、自治体へのアンケート結果によれば、命令を待たずに調査結果を報告できる制度が必要と答えた自治体が9割に上っており、この辺りは議論する必要があると考えております。
そこで都としては、法3条第7項、第8項についても、法4条第1項、第2項と同じような命令を待たずに事業者が自治体に調査結果を報告できる規定にできないか、またそもそもただし書きの確認とその解除要件も含めて、抜本的に当項は見直すべきだと考えています。
またこういった3条に係る土地のトラブル防止のため、全面廃止ではなく部分廃止といった場合であっても、土地の切り離しが行われる際は廃止と捉えて、1項調査義務をかけるべきと考えているところでございます。
次のページをご覧ください。5.土壌汚染状況調査、法3条、法4条関係でございます。現状・課題の1番目は大規模案件の調査・報告時の分割調査についてです。都の場合、例えば道路事業や都市計画事業のような大規模案件の調査が非常に多く、こういったものは土地の収用も踏まえて全体でかなり時間がかかるため、運用として分割調査を認めております。一方で、分割を認めた場合でも、一括で調査した場合と結果の評価は不変である必要があるところでございますが、実際はそうはなっていない事例が散見されております。
2番目は、法定調査への既往調査・自主調査結果の利用ということで、法施行から20年が経過し、同じ土地に2回目の調査契機、届出契機が発生する場合が出てきておりますが、既往調査結果をそのまま添付する等、不適切な調査事例が往々にして生じているところでございます。
そこで、意見・提案でございますが、分割調査は東京都だけではなく他の自治体でも往々に行われていると伺っておりますので、分割調査に対して考え方の方向性を示していただきたいと考えております。二つ目としては、冒頭申し上げましたとおり、運用事項が多いので、その法的位置づけというのを改めて整理いただきたいと考えております。三つ目としては、能力が疑われる指定調査機関について、自治体と指定者で情報共有する仕組みを設け、適切な調査が行われるように是正指導できるような仕組みができないかと考えております。
次の2ページでは、不適切調査事例と、不適切な活用例を載せておりますが、本日は時間の都合上割愛させていただきますので、一読いただければと思います。
続きまして、6.区域指定手続きの簡素化等についてでございます。区域指定については、その公示をもって効力を有し、都道府県または市の公報に掲載して行うものと規定されておりますが、どうしても行政手続の都合上、公示手続のために1か月以上の時間を要しております。また、区域指定されるまでは、その後の規制が制度上適用できないため、空白期間による汚染拡散のリスクが懸念されるという観点もございます。
そのため、都では都条例をとともに、区域指定前であっても運用で法の各条に準じて届け出るように指導しておりますが、他自治体では、区域指定されるまで搬出を認めないという例も伺っております。
また、区域指定は現状、土地に対して指定するため二次元指定となっているため、詳細調査等を併せて報告してきた場合においても、それらを反映できるような制度にはなっておりません。そのため、三次元で区域指定できるような制度ができないかと考えております。
意見・提案についてですが、まず、三次元化とも併せて考える必要がございますが、区域指定の簡素化が必要になってくるのではないかという点と、区域指定前の形質変更や搬出についても、担保できる規定を整備すべきではないかという点を考えているところでございます。加えて、法定調査で求められている以上の結果が提出された場合に、その結果を用いて要措置区域等の判定ができると、合理化できると考えているところでございます。
次のページをご覧ください。7.詳細調査の位置づけについてでございます。現状、詳細調査は法令で規定されているものではなく、ガイドラインにその方法が示されているものでございますが、特に平面絞込み調査についてはガイドラインにはほぼ記載がない中で、措置範囲の絞り込みとして成立しない調査結果をつけてくる事案が多く見受けられております。
よって、詳細調査については、改めて指定調査機関の関与を必須とした上で、法的位置づけを含めて、改めて整理する必要があるのではないかと考えているところでございます。また、平面絞込み調査等についてはガイドライン等の記載を十分に充実させてほしいというところでございます。3ポツ目は、再掲のため、割愛させていただきます。
続いて、8.搬出規制の適正化についてでございます。まず、搬出規制の複雑化については、前回の法改正で、旧法では汚染土壌処理施設への搬出行為だけが認められておりましたが、飛び地間移動や区域間移動の規定が追加されております。
続いて、区域指定前の搬出行為については、先ほども申したとおり、特に搬出規制が適用されないということで、汚染拡散のリスクが懸念されております。
3番目として、飛び地間移動の範囲についてです。現行法では一の調査契機で指定された区域間の移動しか認めておらず、使い勝手が悪いため、この調査範囲について拡張していただきたく思います。
4番目は搬出の変更届出規定についてです。要措置区域等外への汚染土壌搬出の内容に変更がある場合は、現行法では、その搬出予定日の14日前までに法16条第2項の届出が必要となりますが、それ以降の変更については、特に規定が定められておりません。
これらの状況を鑑みて、東京都の提案の一つ目は、規制対象を要措置区域内の土壌ではなく、基準不適合土壌という枠組みに限定できないかということです。二つ目は、先ほど申しましたとおり、飛び地間移動をできる範囲を緩和できないかということです。三つ目は、搬出に係る変更届の規定を設けてほしいというところでございます。
次のページに行きまして、9.認定調査の見直しについてでございます。土対法は完全な土壌汚染を見つける調査ではなく、ある程度割り切りがある制度になっておりますが、認定調査においては、いわゆる完全な基準適合を求めているところがあり、アンバランスであると感じております。また、認定調査自体を理解していても、手間が多いためみなし汚染土壌として搬出する案件というのが多くあり、サスティナブル・レメディエーションの観点からもあまり好ましくない状況であると考えております。
続いて、これも前回の改正のときにできた規定ですが、要措置区域等内に搬入した土壌については、様式24を用いながら、認定調査の物質を絞り込むという制度がありますが、これが制度的に機能していないというところがございます。
よって、東京都としては、現実に即していない様式24は廃止し、搬入土壌による汚染のおそれの有無は、認定時地歴に集約してしまってよいのではないかと考えているところでございます。また、先ほどの区域指定の三次元化と併せて、認定調査という考え方自体を改められないかというのがこの項でのご提案でございます。
次のページに行きまして、10.台帳の情報公開や情報承継についてでございます。土壌汚染対策に係る情報の公開は、東京都では一定数のニーズがありますが、公開規定が台帳程度しかないため、自治体側で開示請求対応を行う必要があり事務負担が大きくなっております。
2番目に、地歴調査の承継は、我々自治体だけではなく、事業者側も大きな課題と認識しているところでございます。我々は自治体側といっても、あくまでも届け出られた情報のみを把握しており、その土地全体の情報を把握できているわけではないため、自治体側で全てを把握するというのは困難であります。
そこで、意見・提案の一つ目は、こういった情報公開に合わせたニーズを踏まえて、汚染が確認されなかった土地等についても情報公開が必要か、小委員会の論点として挙げて、検討いただきたいということです。二つ目は、法61条の規定の中で、土壌汚染に関する情報の提供等という規定がございますが、この規定を根拠に、汚染が確認されなかった土地等の情報を公開することが可能か検討いただきたいということでございます。三つ目は、有害物質取扱い情報の承継については、大本の法令である水濁法や下水道法で規定してはいかがかということでございます。
次のページをご覧ください。11.自然由来等土壌の規制の見直しについてです。冒頭申し上げておりますが、自然由来等による区域指定を事業者は忌避しているという実態がございます。理由としては、区域指定の解除が事実上できないことが一番大きなものとして挙げられるところでございます。
2番目に、人為由来と自然由来の判別についてですが、大本が人為由来等によるおそれがあると判断されてしまうと、途中から自然由来等による汚染に変わったとしても、その境目を見つけ出すことが難しく、この点で事業者の方も苦慮されております。
そこで、意見・提案の一つ目は、自然由来等土壌は区域指定制度が足かせになっていると思いますので、区域指定制度とは別な制度での規制ができないかということです。二つ目は、自然由来等土壌の活用のためには、関連する諸制度との連携等が必要なのではないかということでございます。三つ目については、自然由来等による汚染があるエリアにある飲用井戸については、要措置区域等の判断から外すことも考えてはいかがかということでございます。
次のページをご覧ください。12.届出書類の様式化についてです。日本全体的にデジタル化、DX化が叫ばれておりますが、土壌汚染対策においては、鑑については様式が定まっているものの、他の書類については提出すべき書類が定まっていても、その様式が定まっておりません。ここがデジタル化への大きな足かせになっているということに加え、事業者の色が出てしまう部分でもあり、審査を複雑化している要因にもなっているところでございます。
そこで、意見・提案の一つ目は、鑑以外の様式についても、参考様式を明示できないかということです。二つ目は、デジタル化対応を見据えた様式とできないかということでございます。また、三つめは、土壌汚染情報のデジタル活用に向け、ガイドライン等に起点や単位区画の名づけ方といった図面の作成ルール等の方向性を示せないかということでございます。
次のページをご覧ください。13.全体としての提案、これまでのまとめとなります。まずは、事業者、行政双方の負担を減らすように、複雑化を解消するべきということです。2番目については、割り切りのある制度設計ということで、現在ほぼ使われていない制度は、今般の見直しを機に無くすことも考えていくべきということでございます。3番目については、区域指定制度の見直しということで、特にサスティナブル・レメディエーションの観点からも、抜本的に区域指定制度そのものを見直していく必要があると東京都としては考えているところでございます。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、続きまして、明石市からご説明いただきます。明石市からは、環境産業局環境室環境保全課水質担当課長の田中様にお越しいただいております。
それでは、田中様、よろしくお願いいたします。
(明石市)
ありがとうございます。ただいまご紹介いただきました、明石市環境保全課水質担当課長の田中です。よろしくお願いします。
まず初めに、明石市の概要について触れてから、提案事項の説明をいたします。東京都や名古屋市といった大規模な自治体とは異なる、独特の悩みというのがございますので、その辺りを説明したいと思います。
では、1ページ開いてください。明石市の概要ですが、人口は約30万人、面積は約50平方キロメートル、神戸市の西側にある自治体です。2020年度の製造品出荷額は1兆2,300億円で、全国1,718自治体中43位であり、結構な出荷額をしているような状況です。これらはキャタピラージャパンや川崎重工業などの大企業や、それらに関連する中小企業が多くあるためです。
次のスライドをご覧ください。明石市の土壌汚染対策法に関する概要ですが、届出件数は年間約40件、台帳問合せ件数については年間約140件です。特定施設台帳は、土壌汚染対策法が施行された平成15年(2003年)から作成しておりまして、内容は、水濁法の事業所数は367事業所、そのうち206事業所が全廃の事業所です。下水道法の事業所数は244事業所、そのうち65事業所が全廃の事業所となっています。土壌汚染の指定区域台帳の内容は、要措置区域は0件、形質変更時要届出区域は10件、解除台帳は8件で、そのうち5件が全解除となっています。
次のページをお願いします。組織としてはこの図のような組織になっており、水質係というところが担当しております。環境保全課の水質係全体で5名の職員がおりまして、そのうち2名は化学職の正規職員で、残りの3名は非正規の職員でございます。2名の化学職のうち1名が私で、担当課長兼係長として水質関連業務を統括しております。もう1名が係員として土壌汚染対策法と水濁法の担当をしています。残りの3名は浄化槽法や、その他業務を担当しております。
次のページをご覧ください。全国の地方自治体の土壌汚染対策法担当部局の体制についてはこの図のとおりですが、ほとんどの自治体は専任の職員がいないという状況です。明石市も同様に専任の職員がおらず、担当の従事年数も2年と経験年数が短い状況です。
また、私も今年の4月に10年ぶりに化学職の職場に復帰したところです。そのために、さきに提案された名古屋市や東京都と異なり土壌汚染対策法に熟してない自治体の代表であるという点で、今回様々な提案をしたいと思います。
次のページをご覧ください。明石市として困っていることでございます。まず、届出者ごとに添付する書類の内容に差があるということに困っております。また、自治体ごとに必要書類に差があることにも、事業者から指摘を受けて困っているところです。区域指定に関する届出数が少なく、経験の蓄積がないというところにも困っております。また、事業者のほうが経験豊富、電子的な書類の管理ができていない、従事している職員が少ないというように、業務で困っていることが多々あります。
次のページをご覧ください。明石市特有ではない部分についての提案をしたいと思います。提案事項は3項目で、1点目は深度方向の区域指定による認定調査の廃止、2点目は法第4条第1項の届出の対象範囲の見直し、3点目はガイドラインの在り方と自治体間でのばらつきの解消についてでございます。
次のページをご覧ください。1点目の深度方向の区域指定による認定調査制度の廃止についてです。法第16条第1項の認定調査については、明石市では法施行から現在まで1件の届出しかありません。調査の対象項目を減らす要件が、区域指定をされてから継続して1年ごとに届出の提出が必要となっているため、法改正前に区域指定された土地は、基本的には対象外となってしまいます。また、制度を熟知している事業者しか使用することができず、自治体の職員も認定調査について詳細に把握していないため、活用しにくい制度となっています。
次のページをご覧ください。そこで現在検討されている、立体での区域指定をすることによる認定調査制度の廃止を提案いたします。深度方向の調査は、現行の認定調査制度と同等のことをしているためです。課題としては、管理方法や様式の変更が必要であること、システム化するための情報量が膨大であること、事業者の事務や経費など、かかるコストが増大することが考えられます。
次のページをご覧ください。2点目の法第4条第1項の届出対象範囲の見直しについてです。自治体アンケート調査の結果では、山林、農地、河川敷地については、調査命令の発出の事例はほぼない状況です。
次のページをご覧ください。令和元年度から令和5年度までは、明石市の届出実績も自治体のアンケートと同様になっております。提案内容は、山林、農地、河川敷地等であれば、条件付で届出を不要にするということです。なお調査命令をかける範囲を限定するため、地歴調査で他の用途に用いられたことがないこと、不法投棄などがないことが確認されること、宅地及び工場敷地などが含まれる場合は、面積要件に追加することなどの条件をつけることが望ましいと考えております。
次のページをご覧ください。3点目のガイドラインの在り方と自治体間でのばらつきの解消についてでございます。ガイドラインの在り方についてですが、内容が非常に充実しており、重要なものだとは思っておりますが、明石市のような担当職員が少なかったり、規模の小さい自治体であったりすると、専属の担当者を置くことができないことに加え、人事異動の際も引継ぎ期間が短く入替りになってしまうため十分な引継ぎができる状況にはありません。そのため、内容を把握することが非常に困難となっています。また、情報量が膨大なため、全体像をつかむことが難しく、新たに配属された職員は、どこから見たらいいか見当がつかず困っている状況です。そのため、自治体向け、事業者向けに既存のガイドラインの入り口や案内役となるようなガイドラインの概要版を作成していただくことを提案したいと思います。
次のページをご覧ください。自治体間のばらつきの解消についてでございますが、自治体間でばらついている事例を二つ挙げています。一つ目は、形質変更時要届出区域の解除要件が明確化されていないということです。現在、明石市では要措置区域の要件に準じて対応していますが、明確な解除要件がないため自治体によって差が出ており、例えば地下水汚染がある場合に区域解除要件が異なると事業者から指摘がありました。二つ目は、形質変更時要届出区域の形質変更終了時の完了届が義務化されていないということです。届出の様式が任意様式であり、区域指定を解除しない場合は届出の必要がありません。そのため、明石市では形質変更が完了しているかどうかというのを把握することができないという状況でございます。
次のページをお願いします。そこで、このばらつきを解消するための方法として、自治体間で情報共有する仕組みの構築や、今流行りのAIを活用できる仕組みの構築がよいのではないかと考えています。自治体間での情報共有の例は、事例などを蓄積できるデータベースの作成や、担当職員の連絡会などを環境省のほうで開催いただくということを例として挙げております。また、AIを活用できる仕組みについては、ガイドラインや土対法に関する通知などを機械識別できるように電子化して、機械で検索できるようにすると、関係者が見やすくなるのではないかなというふうに思っております。
以上で明石市からの提案を終わります。ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、続きまして、全国中小企業団体中央会からご意見をいただきます。全国中小企業団体中央会からは専務理事である佐藤委員からご意見をいただきます。
では、佐藤委員、よろしくお願いいたします。
(佐藤専門委員)
全国中小企業団体中央会、専務理事の佐藤でございます。今日はこのような、意見発表の場をいただきましてありがとうございます。
資料4をご覧ください。2ページ目、組織概要です。中央会は都道府県に一つずつあり、全国中央会がその一つ上に全国団体としてあるという構成になっております。
各都道府県の中央会は、その下に事業協同組合や、信用協同組合、協業組合、企業組合というそれぞれの組合を傘下に抱えております。その他の県ごとではない、全国組織である全国組合や、全国商工団体といったものは全国中央会のほうで対応するという仕組みになっております。
具体的な組合の下に各中小企業者の方々がいらっしゃり、現在、私どものほうの中央会は、組合数が全体で今2万7,000組合、そして、単純に累計しますと、企業と個人事業主両方合わせて、傘下の中小企業者は約222万者を持っているという状況でございます。大体今、全国の中小企業は330万者強と言われておりますので、約6割強の方をカバーできるという状況でございます。
私どもの事業内容は、右にありますように、今日ご議論いただくような新しい法令などの情報があった場合には、それを速やかに周知することがございます。そして様々な相談ごとにおいても、組合の事務局を経由して、中央会、そして全国中央会のようなところに上がり、本日のような要望事項につなげていくという仕組みとなっております。今日は、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会と、全国鍍金工業組合連合会の二つのヒアリング調査先の事例をご紹介いたします。
4ページをお開きください。まず、クリーニング業界のほうの状況としまして、クリーニング生活衛生同業組合の連合会からのヒアリング内容でございます。
業界動向としては、全国で約3万9,000の事業者がいらっしゃいますが、常用雇用者20人未満の事業者が全体の96%弱でして、特に常用雇用者数4人以下の零細企業が全体の83.1%と大半を占めております。また、大部分は平成15年の土対法の施行以前から操業しているという長い歴史を持っていると同時に、それらの情報が承継されにくいという実態がございます。
また、既存の事業者を承継したり、買収したりして新規参入を目指す事業者が少なく、後継者不足から転廃業が多いという状況であり、先ほども申し上げた情報が継承されにくいという実態にも繋がっております。クリーン業界の施設は、一貫して減少が続いておりまして、最盛期の5分の1以下になっているという状況でございます。また、それに伴って、汚染物質を使っているところも少なくなってきているというのが現状でございます。
問題点・懸念事項としましては、小さな零細企業が多いため、職住一体型の自宅兼事務所となっている町のクリーニング屋さんが多く、廃業した後もそのまま2階で住んでいるというようなケースが多いため、調査猶予が継続されているケースが多くなっております。
また、仮に地歴調査や、試料採取調査などを行う場合、この費用の工面が難しく、既に廃業をした方々は生活資金しかないため、新たな調査費用が工面できないことが多くございます。また、廃業届を提出しないまま塩漬けになっている土地が増えているという状況でございます。
そして、小規模、零細事業者が多く、マンパワーが不足しているという点でも対応が困難という状況でございます。
5ページに参りますが、仮に試料の採取調査などをする場合に、敷地が狭隘であるため、例えば、今生活している建物の下のコンクリートを剥がして調査しなければいけないというような状態となり、敷地内での調査が物理的に難しいという面もございます。
仮に基準不適合土壌が確認された場合には、狭隘な土地のため、操業を継続しながらの汚染の除去が困難である上、土地改良の資金を捻出するのは困難であり、土壌汚染浄化費用も負担しなければいけないため、自己破産や相続放棄等により、後継者がいる場合においても廃業が加速することが懸念されております。さらに風評被害などに加えて、不動産担保価値が下落するということも懸念されるため、表に出しづらいという実態もございます。
特に一つ問題なのは、テナントとして入居している場合には、土地の所有者と事業の実施者が異なりますが、法律上の浄化責任は土地所有者にあるため、契約上、仮に廃業した場合における原状復帰といった不利な条件が課されており、この点の解決が難しいと感じている状況でございます。
続きまして、6ページ目、メッキ業界、鍍金業界の実態でございます。現在、鍍金業界でも、クリーニング業界と同様に、地歴調査の一時免除の規定の適用を受けている事業者が全国に相当数いるという状況でございます。仮にこの規定が廃止された場合、地歴調査だけでも数十万円の費用が発生すること、また、試料採取となった場合には、多額の費用が発生することから、費用負担、資金繰り面で対応困難ということが想定されます。
また、地歴調査の保存については、自治体行政のデジタル化が進められていることに加え、特定施設の届出は自治体に提出しているため、行政側で管理していただきたいという要望がございます。
また、事業所敷地内の汚染状況は、ボーリング調査を実施しなければ把握できませんが、先ほどのクリーニング業界と同様に、特に東京都内の町工場等の敷地が狭隘な事業所で操業中の事業者が行うことは、物理的に困難でございます。
また、ボーリング調査が可能な場合でも、それを行うことで、銀行等の融資先から一方的に低い評価を受けるというリスクも想定されます。追加担保を出す必要が生じたり、事業者の信用に関わる銀行からの評価が下がって、不動産取引にも影響が出てきたりすることが懸念されております。
7ページ目をご覧ください。土地を借りて操業している場合、土地所有者と調査費用をどのように折半するのか、もしくは原状復旧を求められ、事業者が全額負担しなければいけないのかを整理することが必要になってまいります。特に事業承継等が繰り返され、土地が転々とされたような場合には、最終的に持った土地所有者と、汚染原因者との間が離れてしまい、整理が難しくなるケースが出てくると考えております。
地歴調査の一時免除の規定を廃止し、地歴調査の契機を拡充する場合、事業者の負担が増えるということと、国民の健康保護のための防止措置であることのバランスが非常に大事だろうと考えております。小規模事業者にとって大きな負担とならないよう国の支援策、自治体の支援策を含めた検討をお願いしたいと考えております。
また、そういう意味で、東京都さんの土壌汚染アドバイザー制度は、メッキ事業者も活用しており、有効な制度と考えておりますので、同じような制度を全国の事業者が活用できるように、国の制度拡充をお願いしたく思います。
繰り返しになりますけれども、東京都のようなGR・SRの経済的な観点の考え方を取り入れ、人への健康被害、環境保全、経済性のバランスの均衡を目指し、柔軟な運用に向けて、中小企業・小規模事業者が対応できるような法律運用をお願いしたいと考えております。
以上をまとめたものが、8ページでございます。繰り返しになりますが、やはり地歴調査の契機拡大が、新たに事業者の廃業や相続放棄などに繋がり、放置土地が増えてしまうおそれもありますので、小規模事業者の負担に対して十分配慮いただいた上での措置のご検討をお願いしたいということでございます。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
それでは、ここまでの3団体のご意見につきまして、ご質問を承りたいと思います。ご発言のある方は、ネームプレートを立てていただくようにお願いいたします。WEB参加の方は挙手ボタンでお知らせください。
では、江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
江種です。東京都さんに2点お伺いしたいことがあります。
1点目は、6のところで、詳細調査を土壌汚染状況調査と一緒に出し、区域指定前に報告した場合には、三次元での区域指定ができないかとあります。その2ページ後の8のところで、搬出規制の規制対象を要措置区域内の土壌ではなく、基準不適合土壌に限定できないか、三次元での規制とできないかとありますが、これは措置を行うための範囲指定をするために詳細調査をしてきた場合に限定されるんですか。それとも、三次元的な新たな土壌汚染状況調査といったものをつくるべきという意見なのか、お伺いしたく思います。
2点目は、11の自然由来のところで、都条例では区域指定をせずに、搬出時の管理をされているということですが、自然由来特例調査を行って、自然由来汚染がありましたというときに、区域指定をしない状況で、搬出される土地がどのように管理できるのかと疑問に思っております。区域指定を行わずにどのように自然由来等土壌の搬出を管理できるのかがよく分からないので、どういった管理をされて、搬出のみでどのように自然由来の汚染を管理しているのかという点について教えていただきたく思います。よろしくお願いします。
(大塚委員長)
何人かまとめてお話しいただきたいと思います。
では、石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
ありがとうございます。3点ほど質問させていただきたいことがあります。まず1点目は、東京都様の資料の7ページに、特定施設の設置者と土地所有者等が異なる場合のトラブルということで、現実としては、施設の設置者が調査を実施し、土地所有者等の名前で報告されるパターンが大半で、9割ほどというふうに書いてありますが、その左下に、どちらが調査をするかをめぐって闘争になっているとも書かれております。
このように、どちらが調査するか闘争になっている現場で、設置者が調査を実施して、土地所有者等の名前で報告するという形に落ち着いているのは、両者の間の話合いで落ち着いているのか、それとも東京都が何かアドバイスのようなものをするプロセスがある結果、こういう形になっているのでしょうか。実際に、原因者といいますか施設の設置者と土地所有者等が異なる場合に、現場で何か行政の負担が増えていたり、何か困っていたりすることがあれば教えていただけるとありがたく思います。
2点目なんですけれども、これも東京都様の資料の17ページ、上の番号だと10番目の台帳・情報公開・情報承継というタイトルのスライドで、真ん中辺りの吹き出しの二つ目のチェックに、都では条例第118条各項の規定により、土壌汚染対策に係る記録の保管、承継及び情報の提供を義務としているというふうに書かれております。このような都条例での運用のご経験から、法律でも承継を義務化するべきではないかという議論になるのだと思いますが、この条例での義務づけには罰則がないと思います。さらに、都のほうでも特に届出は求めていないということで、把握もしていないという状況かと思われますが、この条例での義務づけによって、情報の承継にどの程度実質的な効果があるか、しっかり承継されているのかという部分について、教えていただけたらと思います。その関係で、法律で承継義務を新設する場合に、罰則規定を設けるべきであるとか、国によるデータ管理が必要であるとか、そういったお考えがあれば、教えていただければと思います。
それから、3点目ですが、これは全国中小企業団体中央会様の資料の6ページ目になります。一番下の箇条書のところに、ボーリング調査をするだけでも銀行等からの評価や不動産取引への影響が懸念されるとあります。また、ページが変わりまして、8ページ目の④のところには、土壌汚染の公表により、いろいろなリスクがあるので、公表については十分な配慮が必要であると書かれております。情報公開に関しては、まず、調査猶予地であることの情報を公開すべきかどうかという論点があり、恐らくその点については、公開については十分に配慮すべきというご意見になるのではないかと思います。もう一点、汚染がないという情報について公開すべきではないかという論点もあるかと思いますが、汚染がないという情報については公開しても、特に問題ないというお考えになるかという点を教えていただければと思います。以上です。
(大塚委員長)
光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。東京都さんに3点ほど教えていただきたいんですが、1点目は、6.区域指定手続の簡素化の意見・提案のところに、三次元での区域指定というご提案がありますが、三次元で区域指定した場合のメリットをどのようにお考えなのか教えていただきたいということでございます。
2点目は、10.台帳・情報公開の意見・提案のところで、汚染が確認されなかった土地などについて、東京都条例で、最低限の情報を公開していくよう条例規則の改正を実施されたと記載されています。汚染の調査の時期によって、対象物質等の情報は違ってくる場合もあると思うのですが、どのような情報が公開されているのか可能な範囲で教えていただけませんでしょうか。
3点目は、11.自然由来等土壌のところで、土地の資産価値に土壌汚染が影響することは様々な鑑定評価や、いわゆるマーケットでも当然出てきておりますが、仮に区域指定されていた場合、固定資産税等の土地の評価を行う際に、東京都さんの中ではその情報が共有され、例えば固定資産税評価に反映されるといったことはあるのか教えていただきたく思います。
以上です。
(大塚委員長)
原委員、お願いします。
(原専門委員)
東京都さんに2点質問です。資料中の2.有害物質使用施設のところです。
1点目は、調査猶予率の話がありますが、継続案件を含んで年々計上しているものなのか、1年当たりでこの数が猶予率として出てきているのかお伺いしたく思います。また実情として、何年程度調査猶予されている方が多いのかについてもお伺いしたく思います。
2点目は11.自然由来のところです。こちらは区域指定の解除が事実上できないため、区域指定するよりも、指定土壌という形で運用する方が良いということだったと思います。東京都の場合、地質的に海水由来の沖積層が多く、ふっ素、砒素が多いという状況だと思いますが、自然由来で区域指定された場合、区域間の土壌の輸送が可能で、処理をしなくても移動だけで良いというメリットもあるかと思いますが、実態に合っていなかったり、意味がなかったり、実情としてはあまりメリットがないという状況なのかをお伺いしたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
寺浦委員、お願いします。
(寺浦専門委員)
幾つか質問させていただきたいと思います。
まず、東京都様の3.土壌汚染状況調査の報告者についてというところで、特定施設の設置者も報告することができる規定とならないかとご提案いただいております。これについて何か具体的に、こういう規定にしたらいいと考えているものがありましたら教えていただきたく思います。
それから、5.土壌汚染状況調査の意見・提案の一番下に、能力が疑われる指定調査機関について自治体と指定者で情報共有する仕組みを設け、指定者が是正の指導をできないかと記載いただいております。どういった点で能力が疑われているのか、またどのような情報共有する仕組みを想定し、何を目指すということか教えていただきたいと思います。
次に、明石市様にご質問です。11ページの法第4条第1項の届出の対象範囲の見直しについてというところで、山林や農地、河川敷地等であれば届出不要だが、不法投棄の確認は必要と記載いただいております。山林等の人為由来が本来ないと思われるところであっても、不法投棄によって土壌汚染が発生するケースがあり得るということだと思いますが、この不法投棄の確認をどのように行うことを想定されているのか、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
それから、全国中小企業団体中央会様に御質問です。2ページでヒアリング調査先はこの2団体と書いてありますが、ほかの団体には今回は特段ヒアリングはされていないということでしょうか。
以上です。よろしくお願いします。
(大塚委員長)
勝見委員、お願いします。
(勝見専門委員)
ありがとうございます。明石市さんと全国中小企業団体中央会様、非常に限られたリソースで大変苦慮されているということをご説明いただき、よく分かりました。ありがとうございました。大事なことだと思いました。
東京都さんに質問です。11.自然由来について、前の改正で自然由来の土壌を活用するというものが出てきましたが、それはどういう形で実施されているのかということをお聞きしたく思います。また今回、土地ではなく搬出時の土壌に規制をかけることを提案されていますが、シンプルに自然由来が存在する場合であれば、問題無く規制できると思います。一方で、自然由来と人為汚染の区別、判別が難しい現場や、両方存在することが分かっている現場のような場合に、どのように具体的な規制まで進めていくのか、具体的なイメージをお持ちであればお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
西井委員、お願いします。
(西井専門委員)
西井でございます。ご説明いただき、ありがとうございます。私からは1点意見、そして1件ご質問させていただきます。
まず意見です。東京都さんの資料の3、法3条の土壌汚染状況調査について、土地の所有者だけでなく、特定施設の設置者も報告することができる規定とならないかというご提案がございました。その意図は理解いたしますが、今までの経験上、その場合であったとしましても、どちらが調査するか、両者間でトラブルとならないよう、例えば義務の優先順位を明確にしておくといったことが必要ではないかと思います。
もう一点は、東京都さんの資料の10.土壌汚染対策に関する情報公開に関するご提案についてですが、情報公開法に基づいて行政文書の開示請求を受けた場合には、自治体は担当者が1件ごとに対応するほか、第三者に照会をかけたりなどの相当程度の労力がかかると思います。一方で、ホームページで一斉公開するといったことは、風評被害により土地の価値を下げてしまうことも懸念されるため、自治体によっても判断が分かれると考えております。ですので、こういった自治体の情報公開の範囲のようなものを、法制度のほうでも論点として検討するべきといった東京都さんのご提案には、私も賛同いたします。ちなみに、大阪府では法3条の猶予中の土地情報だけでなく、有害物質使用特定施設の届出情報もホームページで一斉公開しておりますが、今のところ苦情等はないと聞いております。
今後、法改正等において情報公開の対象について検討していくに当たり、東京都さんと明石市さんにお尋ねさせていただきます。猶予中の土地の情報や、有害施設の届出状況、またその他の情報について、独自でホームページなどで公開されている事例がありましたら教えていただきたいと思います。また今後、こういった情報は公開すべき、こういった情報は公開すべきではないというお考えがありましたらお聞かせいただきたく思います。以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
(小林臨時委員)
ありがとうございます。小林です。2点ほどご質問させていただきます。
1点目は、ガイドラインについてです。ガイドラインに関しては、厚みも増して使いにくいという意見も聞かれますが、東京都さんや明石市さんのお話ですと、厚さというより様式の充実や、電子化、作成例の充実のように、厚みは厚くなっていくとしても、使いやすさを充実するべきというご提案でよかったかというのを確認したく思います。
もう一点、全国中小企業団体中央会さんに質問です。操業中の汚染対策を進めるという意味で、調査の契機拡充が話題に挙がっておりますが、例えば今回のクリーニング業界や、メッキ業界ですと、かなり汚染がある確率が高いと認識しております。そのような場合、操業中の対策を進めていく必要がありますが、最後のまとめのページには操業中の汚染対策を各業界ともに講じているという記載がございます。実際に操業中の汚染対策を進めている事業者さんや業界団体で、有効な事例や推進策等があれば教えていただきたく思います。また例えば浜松市さんは条例で調査を進めたわけですが、そのように少なくとも高濃度の汚染だけは把握をし、操業中汚染対策を進めていくような、そういった取組についてお考えを聞かせていただきたく思います。
また東京都さんにお伺いしますが、土壌汚染対策アドバイザー制度を実施しておられますが東京都以外の自治体だと制度の実施が難しいと思います。そういう制度を、基金等を活用して全国に拡大する必要性や、アドバイザー制度を運用している中で感じる中小企業対策の課題がありましたらお伺いしたく思います。
以上です。
(大塚委員長)
足立委員、お願いします。
(足立専門委員)
不動産協会から、1点、東京都さんに意見です。
2.の法3条関係の3枚目、意見・提案のところで、宅建業法に関わる重要事項説明の中に、調査猶予の内容を必須にしてはどうかというご意見がございました。我々は不動産の取引において宅建業法に関係しております。重要事項説明は、必ず売買契約のときに伴うものですが、これにより承継という意味で明確化されますので、業界としても賛同いたします。
ただ、そもそもデジタル化が検討されておりますので、こちらの内容もデータとしてデジタル化される内容に含まれて、公開をどこまでというのもございますけれども、公開性がある程度こういう内容も含まれれば包括されるのかなと思いますので、短期的にはデジタル化が時間を伴うものであれば、こういった要綱の改正というところについては、賛同するところでございます。今回のこの法改正とは別の場面になると思いますけれども、そういったところがあれば考えたいと思います。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
私からも数点質問させていただきます。まず中小企業団体中央会様でございますが、最後の8ページで、資金負担の面も含め対策を講じる必要があると記載されていますが、土壌汚染対策基金に対して何かお考えを持っていましたらお伺いしたく思います。
それから東京都さんですけれども、主に2点あります。ご指摘のように自然由来の汚染に関して区域指定をどうするかというのが今回の見直しにおける大きなポイントの一つになっておりますが、11.の意見・提案にて、土地ではなく搬出時の土壌に対して規制ができないかというご意見をいただいております。9.のページで、認定調査という考え方を改められないかという意見を出していらっしゃいますが、搬出の規制をどうやって行うかを考えなくてはいけないので、その規制についてお考えがあったら教えていただきたいと思います。11.に書いてあるように搬出の規制をしなくてはいけないとすると、アンバランスになる可能性もあり得ますが、割り切りにしてしまうと、多分搬出の規制は難しいと思いますため、そこはどうお考えか教えてください。
もう一点ですが、今の点との関係で、前回土壌環境センターから提示された、汚染が下に落ちて汚染分布が変化することがあるので、三次元調査ではそこをどうするかという技術的な問題があったと思いますが、それについてはどうお考えですか。
それから、4.の意見・提案の二つ目のところで、ただし書き確認の解除要件を含めて抜本的に当項を見直すべきということの具体的な内容がよく分からなかったため、改めて教えていただけるとありがたいです。
私からは、以上です。では東京都さんから回答をお願いします。
(東京都)
非常に多くのご質問、ありがとうございます。
まず最初ですが、江種委員からの、詳細調査について必須とするのかそうではないのかというご質問ですが、東京都の考えとしては、これは必須ではなく、あくまでも任意のできる規定でいいと思っています。調査負担の軽減の考えからも、基本的には東京都としては土壌の3Rということで、なるべく搬出抑制をして、基準不適合土壌とうまく付き合うことを考えているので、最初から三次元的に把握する必要はないと思っています。ただ、必要に応じて搬出する場合も往々に想定されますので、その際に不必要な範囲まで基準不適合土壌として搬出する必要がないように、できる規定という形でバランスを考えて取っていけばいいと思っております。
次、自然由来の質問について、ご質問された順番にお答えしていきます。11.の区域指定を行わずにどのように自然由来土壌を把握するかというところです。今後、現行の法制度と合わせながら検討する必要があるかと思いますが、まず、特に東京都の場合は沖積平野の有楽町層といわれる海成堆積物層に砒素や、ふっ素が含まれているところですが、調査の際に必ずしも出るわけではございません。例えば、都の場合は条例117条の地歴調査もありますが、法第4条にて汚染のおそれがないと言われてしまった場合には、調査命令をかける蓋然性がないという判断になってしまいます。
一方で、自然由来が出る可能性というものも往々にあり得るということで、東京都では条例122条の規定で適用除外というのがあり、基本的に自然由来の場合は各条文について適用しないとなっています。一方で、搬出に関してはその限りではないという書き方をしていますので、汚染のおそれなしとして法第4条1項、条例の地歴調査で手続きが終了したとしても、事業者に対して、工事計画で搬出するかしないか分かるので、搬出する場合において搬出土調査を行い自然由来が見つかった場合には、条例117条3項に準じた形で届出を提出するように、手引等に記載しております。それに基づいて届け出られたものについては、この4月に条例規則を改正しまして、自然由来等台帳として調整し公開することとしております。このような形でトレーサビリティを担保するという状況になっているところでございます。
そのため、法律にこの条例の仕組みをどこまでうまくかぶせられるかという課題はあるかもしれませんが、東京都では土壌の塊と考え、上手く制度として回っている実情がございますので、ご参考にしていただきたいと思っているところでございます。
続いて、3.のところで、事業者と土地の所有者がもめたときに、東京都が間に入るのかどうかという質問ですが、基本的には東京都の場合は、有害物取扱事業者に義務がかかります。それでも事業者と土地の所有者それぞれに義務があるんだということを説明すると、土地の所有者の人が反発をする実情もあり、どうしても解決せず、説明が個別に必要という場合であれば、東京都の職員が行ったりしている場合もあります。ただほとんどは、まずアドバイザー制度を活用してみてくださいという案内をし、それでも解決できないのであれば、もう民事的に対応していただきたいというお話をしてきているところでございます。
次は、10.の情報公開、条例118条規定でございます。条例118条では、有害物取扱事業者等に対して、各調査、対策完了があった際の情報は土地の所有者等に承継をすることという規定を設けておりますが、ご認識のとおり、特に罰則規定は設けておりません。また、その施行状況については、各自民事的にやっていただくというところで、東京都としてデータを持っておりません。こういった条例の有害物取扱事業者関係は区市に下ろしておりますが、少なくともこの項を設けて、特段この規定が足かせになる、もしくはこの規定が中途半端なためもめたということは伺っておらず、比較的この情報承継のところは、うまく回っていると思っています。
一方で、おそらく情報の承継で問題になるのは、法3条ではなく法4条だと思っております。当事者がいる部分はある程度把握できるのだと思いますが、むしろ法4条の場合というのは、大規模改変契機を捉えて上がってくるため、その情報承継というのは一つ課題であると認識しているところでございます。
続いて、6.のところでご質問がありました、区域指定を三次元化するメリットというところでございます。三次元的に調査を実施し、基準不適合土壌範囲として法律上、確定させるということになるため、一番は基準不適合土壌以外の土壌を、いわゆるみなし汚染土壌として搬出する必要が無くなるという点が最大のメリットであると思っています。先ほどお話ししましたとおり、東京都としては搬出自体を抑制をしていきたいという考え方のため、三次元調査を行わなくてもそのままうまく形質変更していただければと考えていますが、もし三次元的に掘削、搬出をするのであれば、ここにメリットがあると考えています。なお、法定調査時に調査を行わなくても、その後に追加調査を実施し、追加指定するという考え方もあり得るのではないかなと考えております。
次が、10.の汚染が確認されなかった土地について、どういう情報が公開されているかというところでございますけれども、これは今年の4月1日に改正施行した部分で、基本的には条例116条です。法3条に相当する調査、もしくは条例117条、法律でいうと4条に相当する調査の結果、その調査対象物質が基準適合を確認された場合には、汚染が確認されなかった土地として、基準適合台帳という形で台帳が調整されます。そのため、26物質全てに対して基準適合とは言っておらず、ある調査契機を捉えて、そこで調べる調査物質について条例調査にのっとった結果、適合だったということでございますので、26物質全てに対して汚染が確認されなかったというミスリードにならないように、台帳には免責規定等も書き、意識しているというところでございます。どこまで公開するのかについては東京都内でも様々な議論を行いましたが、公益性と個人の権益のバランスを考えた際の最低ラインを、条例を施行する上で必要な範囲として、限定的に公開しているところでございます。
続いて11.の、固定資産税の評価についての話について、明確な情報はなく様々な不動産の考え方があると思うのですが、不動産取引のときに最有効使用を考えた上で、本来であれば必要最低限それに使う費用だけを減価するところ、ヒアリングによって実際はかなり減価されているという話や、固定資産に関しては、少なくとも一定程度、減価が一律になされているというようなことは伺っているところでございます。
続きまして、2.の調査猶予部分について、まずこのグラフは延べではなく、年ごとでございます。そのため、毎年これだけの件数の、3条1項の義務が生じて調査報告もしくは調査猶予が選択されているところでございます。長い方はどれだけ猶予されているかということについてですが、正直申し上げますと、法制度ができた当初程度から調査猶予を取られている方もいらっしゃられるかと思います。正確な情報は今すぐにはお答えできませんが、基本的には調査猶予を取った場合、解除をするほうが少なく、調査猶予地が増える割合のほうが圧倒的に高いという状況になっています。それだけ土地を動かしにくい状況になっていると考えているところでございます。
続いて、11.のところ、自然由来について区域間移動ができるメリットはないのかというところですが、そもそも東京都の場合は、自然由来による汚染のおそれありと届出される事業者、届出者がおらず、自然由来特例区域がほとんどございません。水面埋立土砂由来等で、区域間移動を使えないかというところについては、11スライド目の中の意見・提案の二つ目がまさにその話になります。我々としては、区域間移動を積極的に活用したいですし、土壌の3Rの観点からも自然由来等土壌の活用を提案しているのですが、各工事部局等の規定で、基準不適合の土壌は、例えば裏込材とかに使えないとか、そういった内部ルール、ガイドラインがあるという状況です。最初は、そのような土壌を有効活用するという流れがあったのですが、土壌汚染対策法で規制をかけたことによって、後追いであちらも規制がかかってしまったもので、今般合理化を図る際も関係する制度等との連携等が必要であると提案させていただいたところでございます。ある資源について、区域間移動等を用い、有効活用すべきと東京都としては考えているところでございます。
続きまして、3.に戻りまして、法4条2項のような同時報告の規定のイメージがあればということなんですが、昔の規則でありました4条1項、2項のような、同意書のように、同意を取って、報告することを想定しております。報告書を出すことについては、土地の所有者等が同意をした上で特定施設の設置者名で法3条1項の報告を出すというような流れを想定しています。
次が5.の指定調査機関の能力が疑われるというのはどういったことかという点ですが、例示としましては、資料中に書いてあることの他、本来であれば指定調査機関が判断すべき内容を、自治体に判断を委ねるようなことです。例えば、東京都が言ったからこうやったんだというようなことがあります。運用という面も強いですが、法定調査の根幹について、こういったことをおっしゃる指定調査機関がいるのも事実でございます。当然、このような指定調査機関がいる一方で、優良な指定調査機関さんもいらっしゃり、おそらく他の自治体さんでも思われていることが多くあると思うので、このような情報を吸い上げると、その実態が見えてくるかと思い、意見させていただいております。
次が、また自然由来について、活用できないかどうかというところは今申し上げた通り、区域指定制度をうまく東京都として活用できていないということと、ほかの制度との兼ね合いの関係うまく使われていないという状況です。実際、我々が間に入って事業者との調整を試みたことがございましたが、やはりこのような理由で難しいと言われてしまった実態があります。
続いて土壌の搬出時の調査の具体的な方法はということについて、これもおそらく切り離して考えることは難しく、まずはバックグラウンド濃度をしっかり把握していくことが肝要だと思っています。その上で基本的に、人為由来の汚染のおそれがないところは、東京都の場合は自然由来の汚染の届け出は上がってこないので、人為由来と自然由来が重なることはないかと思います。問題になるのは人為由来から入って自然由来に変わるような場合です。例えば自然由来がありそうな土地で2深度連続の基準適合とならず、あるところから人為由来から自然由来に変わっているようなところがあったときに、搬出規制として搬出時の考え方を整理していくのか、バックグラウンド濃度と同値なので、バックグラウンド濃度の範疇の間は対応が不要とするのかという考えもあり、そういう意味で人為と自然由来は本当に分ける必要があるのかという議論も必要だと思います。高濃度な汚染については人の健康被害の防止という観点で行うべきですけれども、自然由来レベルのものについては、人為由来、自然由来という議論とは別に、リスクコミュニケーションも併せて議論をしていく必要があると考えているところでございます。
続いて10.の情報公開のところで、風評被害についての話と、大阪の場合は調査猶予の情報も出しているが東京都では規定以外にも公開しているかという話ですが、規定以外は公開していません。情報公開にはニーズがあるので、出せるのであれば出したいのですが、公益性と風評被害といった権益性のバランスという観点と、法や条例の趣旨という観点です。条例の趣旨を鑑みた上でのバランスを考える必要があり、調査猶予についてはネガティブな意見も多いため、今回は汚染が確認されなかった土地や、自然由来等土壌について公開し、調査猶予については引き続き検討という状況になっています。
その他に土壌汚染に関して公開するべき情報があるかということでは、今のデジタル化の流れも踏まえ、行政が保有している情報については限りなくオープンデータにしていったほうが、民間事業者等による利活用の促進や届出情報が社会全体で共有されるという観点ではよろしいかと思います。ただ、まだ土壌汚染対策に対する社会全体の理解醸成が進んでいない中で、どこまで公開するかということは十分に決めていく必要があると考えております。
続いて、ガイドライン等について、使いやすさが重要かというご質問ですが、おっしゃるとおりかと思います。もう一歩踏み込んで申し上げるとすれば、使いやすさというよりも、誰に向かってこの冊子を作っているかを明確にしてほしいというところです。例えば現行のガイドラインは、非常に細かく書いてあるところですが、必ずしも全員が同じ土俵に座る必要はないと考えています。ニーズや需要に合わせたレベル感のガイドライン等を作っていくべきで、それが結果的に土壌制度に対する理解が進むものと考えております。
また、東京都のアドバイザー制度についてもご質問いただきましたが、派遣実績にある通りアドバイザーの派遣については年々増加傾向にありまして、一定程度の需要はあると考えております。一方で、全国の自治体で同じような制度を作っていくことは、難しいかと思っております。アドバイザー制度といった業態に限らず、土壌汚染対策の情報を丁寧にうまく伝えるような仕組みをきちんと考えていく必要があるのではないかと思っております。
続いて、また自然由来について、何回も同じ対応になってしまいますが、自然由来等土壌を土地ではなく、土壌の塊として考えられないかと提案している意図は、過剰な掘削除去を抑制したいということに加え、区域指定が忌避されている実態を捉えられていないという点を打破したいということです。アンバランスの是正は確かに難しいですが、区域指定制度とは別で、土壌の固まりとして捉える等、少なくとも合理的な範囲の中で対策することを考えていく必要があると考えております。そのためには、例えば東京の場合、沖積平野で海生堆積物が浅いところがほとんどでございますので、そういったところのバックグラウンド濃度の把握や、それに合わせたリスクコミュニケーションを合わせて実施していく必要があると考えております。
続いて、4.のただし書き確認の解除要件の見直しに関する提案の詳細については、今は例えばあるAという工場があって、特定施設を廃止するがAの工場は稼働しているので調査猶予を取っている状態で、900m2以上の改変をした時、Aの工場としての機能が変わらなかった場合は、解除要件には該当しません。ただ、有害物質使用特定施設の廃止を経ているので、他の有害物質使用特定施設がなければそれ以上有害物質使用特定施設の影響がないはずであり、事実上は3条1項調査に進んでもいいはずであると考えています。東京都の運用としては事実上の解除として受けておりますが、法制度的なところで、もう少し実態を踏まえて見直すべきではないかという提案でございました。
最後に、3次元の調査の中で、上から汚染が落ちてくるのではないかという点は、確かに技術的な課題でございますので、自治体側で技術的な回答は明確には持ってはおりませんが、地質等の情報が必要と思っております。本日バックグラウンドという話をしましたが、土壌汚染は、土壌、地質、地下水と密接に関係がある一方で、調査や対策にうまく捉えられていない実態があると考えております。調査への落とし込みについても、当該土地の土壌の層序や、地下水の高さに配慮しつつ、ボーリング調査で土壌の落とし込みをしないように配慮をするというような考え方の提示というのも必要ではないかと思っております。
以上でございます。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では、次は明石市様、お願いします。
(明石市)
まず、山林等の届出は必要ないとの提案について、どのように想定されているのかということですが、現行は3,000m2以上の土地を形質変更しようとするときに届出が必要となっていますが、届けるというよりは調べた上で相談、報告しにきていただいて、聞き取り調査を行い、届出が不要であることをお答えしたらいいと思っています。
次、公開の有無についてですが、現在、ホームページ等では、明石市では土壌汚染関係に関する資料は公開しておりません。ある一定の情報は公開すべきとは思っていますが、特定施設台帳を公開するべき、有害施設の有無については公開できない等、どこまで公開できるかは議論の最中でございます。
最後にガイドラインについてですが、先ほど東京都さんもおっしゃったとおり、使いやすさを目指してほしいと思っています。ガイドラインは詳細に書いたのも必要だと思いますが、自治体はここを見るべき、事業者はここを見るべき等、見るべき箇所がわかりやすくなればいいと思っています。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、中小企業団体中央会様、お願いします。
(佐藤専門委員)
汚染が確認されなかった土地を情報公開すべきではないか、それについてどう考えるかというご意見でございましたが、もちろん汚染が確認されなかったところは情報公開していただくのはよい思います。ただ、例えば、町の中でクリーニング屋さんが2軒並んでいて、1軒調査して確認されなかった場合に、1軒の土地は公開されて、もう1軒の隣のクリーニング屋さんは公開されないとなると、反対に解釈をされ、あそこは汚染されていると言われてしまうおそれがあります。
そのため、例えば先ほど、調査猶予のところを公開するのかという東京都さんのご意見がありましたが、調査猶予の段階で調査を実施したところと実施していないところが同業種で同じ地区にあるといった場合に、先ほどのような反対解釈による風評被害といったものをどう整理するかというところが一つの論点と思います。
土地台帳に登録された場合は公開されるというような行政上の義務があるかもしれませんが、例えば、土地の売買が行われることを契機に土地を調査して、汚染されていないことが明確になった場合には、公開をしていただくというほうが、ポジティブな意見になるだろうと思います。そのような具体的にビジネス、取引の中で損害が出てこないようにという観点で情報公開の対象にしていただけるとありがたいと考えます。
2番目は、クリーニングとメッキ以外の他団体のヒアリングをしなかったかというご意見ですが、これはしておりません。化学工業協会さんとか建設業界さんとか鉄鋼業界さんから様々なご意見を既にいただいており、その業界の中小企業についてはそちらで把握されていると考えております。それらの意見から漏れることが想定され、特に特定有害物質を使っているこの2業種をヒアリングいたしました。
それから、高濃度で汚染されている場合の対策はどんなものがあるのかというご質問でございますが、基本的には、ほぼ掘削を求められるという状況でございます。掘削や搬出、それの調査、モニタリングをする費用がかかるため、必要な費用が増加していくというのが現状でございます。そのため、そういう場合には例えば、その土地は畳んでしまい別のところに移転するとか、追加の汚染がないように汚染対策を強化して汚染を防止するといった手法をまず取るのが実態だと思います。したがいまして、仮に高濃度の汚染を除去する場合に、掘削以外の方法で何か技術的に解決できる方法をお示しいただけないかという希望が多くございます。また、費用があまりかからないものであれば、ぜひ推奨していただきたく思います。例えば、人に健康被害を与えず、除去ないしは封じ込めができ、掘削をしたのと同様の状況になるということであるならば、それも汚染除去の対応として認めていただくことを、ぜひ考えていただきたく思います。
それから東京都さんのアドバイザー制度についてですが、使わせてもらっており、大変ありがたいという声をいただいております。同じような知見を持っていらっしゃるアドバイザーを全国でも設置いただいて、そのアドバイザーないしは国にすぐ相談に行ける仕組みがあると、技術力が無く対応に苦慮している中小企業にとって、大変ありがたい状況でございます。
基金についても、ぜひ拡充をしていただきたく思いますが、問題は、除去対策に使われる費用の4分の1の自己負担という仕組みだと思います。例えば、掘削などをする場合には2か月、3か月といった長期間操業を停止し、またはその設備を移転する必要がございます。長期間にわたるため、操業停止をしている間の費用負担をどうするのかという点も悩みでございます。例えばこの費用負担を金融機関に求めにいくと、汚染のある土地ということを理由に土地の評価を下げられる、新しい金利を高くされるというような、金融機関からの貸出態度がきつくなったり、新規の借入れができなくなったりすることもございます。
まとめると、掘削以外の方法、特に操業を止めずに行える方法があれば、一番ありがたく思います。もし止めるのであれば、操業停止のための費用も合わせてお考えいただけるとありがたく思います。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、次の議事に移ろうと思います。(一社)日本化学工業協会からご意見をいただきます。
(一社)日本化学工業協会からは環境安全委員会環境部会主査の森様にお越しいただきました。森様、どうぞよろしくお願いいたします。
(日本化学工業協会)
はい、日本化学工業協会環境部会の森と申します。よろしくお願いいたします。
本日は土対法の見直しに対しまして日化協の意見、要望の機会を賜りまして大変ありがとうございます。
ページをめくっていただいて2ページ目でございます。日化協において土対法についての関連情報は主に環境部会で共有して意見の交換をしております。
環境部会は日化協の中にあります8つの委員会の一つの環境安全委員会というものを親会にして、その下の3部会の一つでありまして、構成は大体現在40社、12団体から成り、ほぼ毎月部会を開催しているという状況でございます。
これまで我々は、様々な機会において土対法に関する意見、要望を発してきております。これについて3ページ目から6ページ目でご紹介したいと思います。
まず、3ページ目でございます。
例の1としまして、平成27年の規制改革実施計画に対する要望の中の4、投資促進等分野の個別措置事項、その中の廃棄物等の処理促進に資する環境関連規制の見直しというところに関して、下の表にありますような3つの要望を出しております。No.5としまして、国際制度比較の調査の実施、No.6としまして、形質変更時の届出要件の見直し、No.7として、自然由来の物質に係る規制の見直しというところで3点要望しております。
次、4ページ目の例2となります。第6次環境基本計画の方向性に関する意見という機会がありまして、その方向性の中で、地域共生循環圏の構築に向けた国土利用、土地利用の在り方(基本的な考え方案)というものが示され、その下のほうのレ点でございますが、公正な移行関連として、今後の産業構造変化に伴う臨海工場地域等の土地利用の在り方の検討というところが示されました。
これに対し、我々からは、臨海工業地域の特徴や利活用のメリットとしまして、健康リスクのおそれがないということ、事業所、いわゆる製造業としてのインフラが既に整備されているということ、事業者による確実な土地の管理がされていること、さらに、当該地域における雇用の確保、もしくは促進ができることがあり、この点の規制緩和をお願いしたというような経緯がございます。
5ページ目に行きまして、今回の土対法の見直しに向けた検討の方向性(案)に関しましても会員企業より意見、要望を募っております。会員企業からは様々な意見、要望が集まり、その一部についてご紹介したいと思います。
まず、5ページ目でございます。地歴調査の拡充に関しては1から6の意見が出ております。
また、6ページに参りまして、項目2として試料採取調査等の合理化、項目3として詳細調査の法制化、項目4として事故時の措置の新設、項目5としまして自然由来等土壌の取扱い、それから項目6、臨海部特区の緩和の措置というような形で様々な意見が出されております。これらに関しましては、7ページ目以降、4つのポイントについて我々のほうで集約してまとめましたので、これについてご説明したいと思います。
7ページ目でございます。1、地歴調査の拡充についてでございます。
地歴情報の収集につきましては、現状の地歴調査は、収集すべき情報が微妙な判断を伴う、もしくは情報量が多いということで、拡充に当たっては対象事業者(土地所有者)の負担を考慮した合理的な対応が必要だというふうに考えております。
例えばでございますが、遡及期間につきましては、現土地所有者の無過失責任と負担、そのバランスを勘案するとともに、情報の確からしさも担保も必要であるというところから、適当な遡及期間の上限を設定する必要があるのではないかという検討をお願いしたいと思います。例示としましては、水濁法の施行年度まで遡るというような形のアイデアでございます。
また、対象範囲としましては、事業者の規模要件及び対象物質の取扱量の裾切、それから対象物質の物性を踏まえた選定、物質としてはフロン、テフロン、窒化ホウ素等々について検討するようお願いしたいというふうに考えております。
続きまして8ページ目でございます。試料採取調査の合理化についてです。
健康被害のおそれがない場合の対応につきまして、今回の「土対法の見直しに向けた検討の方向性」に記載のとおり「届出対象外とする」ということに関しましては強く支持したいと思います。ただし、健康被害のおそれの定義の明確化、もしくは一律化が最も重要なところと考えるところでありまして、その資料にありました事業場敷地外、土壌、及び搬出については、様々な条件がございますが、そのような条件に関しても定義を一律化し、しっかりした解釈が必要だと考えております。
また、特に地下水の飲用につきましては、自治体も把握しきれていない一部の個人の飲用井戸についても健康被害のおそれの判断基準に含めるには、不合理であり無理があるのではないかと考えております。
水道の普及率100%で担保する、あるいは飲用水供給施設等の届出が必要とされる井戸等までで限定でできればと考えております。
また、一部の日常的に飲用に供している個人の飲用井戸につきましては条例等により対応できないかということを検討していただきたいと考えております。
続きまして9ページ目でございます。自然由来等土壌の扱いについてです。
自然由来等と人為由来との区別につきまして、これもリスクに応じた対応が基本と考えております。
人為由来につきましては「健康リスク」とし、一方、自然由来等の汚染原因者の特定が不可というケースにつきましては「汚染拡大リスク」を考えるとして、自然由来等に対しては区域指定の対象から外すということが合理的で分かりやすいのではと考えております。
また、自然の岩石や堆積物の中には鉛、ヒ素、フッ素、ホウ素、水銀、カドミウム等が存在しておりますが、これらが土壌汚染調査により環境基準値を超える濃度で検出されることが多々あります。特に自治体と届出事業者の間で議論になるのは、鉛、ヒ素、ホウ素、フッ素でありまして、事業活動に起因する人為由来であると明確に判断する基準というものも必要なのではないかと考えております。
さらに、自然由来等土壌の管理(移動に関しても同様)や、再生利用の検討も並行して進めていくことが必要と考えております。
最後、10ページになりますが、土地利用の在り方についてです。GX推進等に伴う今後の産業構造の変化に伴う円滑な土地利用につきまして、特に臨海工場地域等においては、環境面では、健康被害のおそれがない、部外者の立入はなく、汚染土壌の敷地外への移動もなし、飲用井戸もなし、地下水も第二溶出基準以下というようなケースもあり、さらに、事業者により、確実な土地管理がされているということ、経済面では、事業所、いわゆる製造業のインフラの整備がされているために、新たな投資が少なくて済むということ、また、社会面におきましては、当該地域における雇用の確保、促進が期待できる等々があり、リスクは小さくメリットは大きいと判断しております。よって臨海工場地域においては、「届出対象外」とした運用をお願いしたいと考えております。
また、自然由来等土壌の管理等と同じように、再生利用等の検討も並行して進めていく必要があるのではないかと考えております。
以上になります。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では続きまして、(一社)日本経済団体連合会からご意見をいただきます。(一社)日本経済団体連合会からは環境管理ワーキンググループ座長である古川委員からご意見をいただきます。
なお、質疑対応のために、環境エネルギー本部統括主幹の笠井様にもオンラインで参加いただいております。
では、古川委員、どうぞよろしくお願いいたします。
(古川専門委員)
経団連の古川でございます。本日はこのような機会をいただき、本当にありがとうございます。
資料6に基づきまして土壌汚染対策法の見直しに関する経団連の考え方をご説明させていただきたいと思います。
まず申し上げたいのは、経団連は事業そのものを実施しているわけではございませんので、詳細に関わるご説明は非常に困難な場合があります。今回は、経団連所属の会員企業、業界団体からこれまでに聴取した意見と、経済界全体として共通する見解についてご説明さしあげたいと考えております。
実務の詳細に答えられない部分があるかもしれませんが、その場合は必要に応じて、確認の上、追ってご説明、補足させていただく形を取らせていただければと考えております。
それでは、まず1ページ目をご覧ください。総論として現状認識、基本的考え方を記載しております。
上部をご覧ください。グリーントランスフォーメーションを推進する中で新たに必要となる生産拠点の整備に向け、国内投資を進めていくことが重要ですが、このためにはコストを抑制しつつ、産業用地をタイムリーに整備することが重要になることは言うまでもございません。
他方、土対法がこれまでの改正の過程において複雑化したこともございまして、手続等に時間を要して円滑な土地利用の支障となる場合も発生しているとの聴取結果を得ております。
手続に時間を要して土壌汚染対策までに時間がかかることに加え、多くの場合に行われる掘削除去等により、多くのCO2が排出されることを考えれば、過剰な土壌汚染対策は逆に環境負荷が過大になるという、トレードオフになる可能性もあると考えております。
ご参考までに、東京都環境局のガイドラインに記載されている資料を掲載せさせていただきました。
現状認識に基づいた基本的考え方を、下のピンク枠で囲っております。人の健康被害防止という土対法の基本的目的に照らし合わせ、リスクに応じた合理的な制度の見直しとともに、土対法に関わる手続・運用の簡素化が必要と考えております。
また、GX・ネットゼロのような環境、経済といった広い視点で環境負荷低減を統合的に実現するという視点が重要と考えております。
このような考え方の下、続けて各論についてご意見を申し上げさせていただきます。
2ページをご覧ください。各論①として、制度運用についてです。
制度運用に関わる課題といたしましては、運用される自治体間における対応の差が挙げられるという聴取結果を得ております。
例えば、地歴調査に関しましては、地歴情報が組織内に存在しない場合でも精度の高い情報が求められて、自治体との調整に時間がかかったという実例を、聴取の結果得ております。
また、工場の実験室で試薬程度のレベルの使用に関しても、試料採取等調査の要否や自然由来等土壌か人為由来土壌かの判断が自治体によって異なるという声も聞いております。
制度運用の差を埋めるためには、政省令に基づく規定を明確化していただくとともに、簡素化にも留意しつつ、ガイドライン上での考え方の統一が図ることが、最もよいのではないかと考えております。
もちろん周知の徹底も必要です。併せて各種届出システムの整備やオンライン対応の推進を通じて、手続の迅速化・簡素化を図り、行政・民間双方の負担を軽減することが何よりも重要かと考えております。
続きまして、3ページをご覧ください。各論②として、地歴調査、地歴情報の承継についてです。
地歴調査に係る課題といたしましては、先ほど2ページ目で申し上げたこととも重なりますが、調査期間、調査範囲が統一されておらず、自治体の要求によっては過大な負担になる点が挙げられます。
また、地歴情報の承継に係る課題といたしましては、土地所有者の義務の内容次第では過大な負担となる可能性がございます。
また、情報の公開により資産価値、土地取引などへの影響も懸念されます。
このような課題を踏まえた施策の方向性として、地歴調査に関しましては、事業者をはじめとする土地所有者が情報の正確性を担保できる合理的な調査期間の目安を示すべきと考えております。
また、地歴情報の承継につきましては、承継義務を課す場合、その内容を明確化していただきたいと考えております。
同時に、民間の当事者に任せるのみでは情報の保管と承継が過大な負担となりかねず、適切な履行の支障となるおそれも多々あると考えております。国によるデータベース等の情報保管システムの整備が必要であり、非公開情報の適切な取扱いにも留意していただく必要があるとも考えております。
続きまして、4ページをご覧ください。各論③として、自然由来等土壌及び臨海部特例区域についてです。
まず、自然由来等土壌は、広範囲に存在することから、健康リスクに対して区域指定に伴う管理負担が過大となっております。
また、前回改正で新設された臨海部特例区域につきましては、今まで指定された区域は1例しかなく、活用は進んでいないと理解しております。
したがいまして、方向性として、自然由来等土壌につきましては、報告書「土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性」の提案のとおり、搬出時の管理を前提に従来の区域指定を行う制度の対象からは除外することを検討すべきと考えております。
また、臨海部特例区域につきましても、報告書に提案されているとおり、自然由来等の土壌の取扱等に関する見直しの方向性に基づき検討することで合理化等を図るべきと考えております。臨海部にあっては人の健康被害のおそれが低いことに鑑みまして、「要措置区域」「形質変更時要届出区域」の指定からは外し、こちらも報告書の記載のとおり、汚染土壌の搬出時の管理を前提に別の枠組みで管理する方法を検討すべきと考えております。
続きまして、5ページをご覧ください。各論④として、いわゆる飛び地間移動についてです。
現行の制度では要措置区域間、形質変更時要届出区域間での土壌の移動について、同一契機の土壌汚染状況調査に基づき指定された区域間の移動に限定されていますが、汚染土壌の仮置き場等が工事ごとに必要となるなど、敷地の効率的な運用の制約になっているという声が挙がっております。
そこで、今回の方向性といたしましては、土壌汚染の拡散防止を図った上で、同一の土壌汚染状況調査の結果に基づき指定された区域でなくとも、要措置区域または形質変更時要届出区域の同一区間内であれば、汚染土壌の移動を認めることが望ましいと考えております。
加えて、汚染土壌の取扱いについて、自治体ごとの運用の差が生じることがないよう、システム運用が周知・統一されていくことが重要と考えております。
続きまして、6ページをご覧ください。各論⑤として、水濁法との関係、事故時の対応について意見を述べさせていただきたいと思います。
環境省のガイドラインにも記載があるとおり、土壌汚染対策につきましては、土対法は適時適正に土壌汚染の状況を把握すること及び土壌汚染による人の健康被害を防止することの2点を目的とし、他方、新たな土壌汚染の発生を未然に防止することにつきましては水濁法が担う形で役割分担がしっかりなされているものと認識しております。
事故発生時におきましては、土対法では調査命令(法5条)、水濁法では措置命令(法14条の2)を出すことが可能でありまして、水濁法におきまして応急措置の実施及び届出の提出が義務づけられております。
このような中、土対法と水濁法との連携を強化すべきという意見も出ていることは認識しておりますが、経済界といたしましては、新たな制度をつくることは新たな負担を課すということにならないか懸念しております。二つの法の目的、役割を改めて精査した上で、重複を避け、自治体、事業者双方にとって過度な規制となることがないようにする観点から、慎重に検討していただければと考えております。
以上が経団連からの意見となります。今回の見直しの機会にGXや幅広い環境負荷低減を目指して土対法を進化させ、行政、事業者がともに健康リスクに応じた合理的な対応を取ることに効果的なリソースが投入できるようになることを願っております。また、経済界といたしましても、そのような制度が構築できるよう、今後の検討におきましては、建設的に議論し貢献してまいりたいと考えております。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、続きまして日本建設業連合会からご意見をいただきます。日本建設業連合会からは環境委員会建設副産物部会土壌汚染対策ワーキンググループ委員の西川様にお越しいただきました。
西川様、どうぞよろしくお願いいたします。
(日本建設業連合会)
日建連の西川と申します。本日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。本日は建設業の現場からの観点で意見を述べさせていただきたいと思います。
それでは、資料のほうをご説明いたします。
ページ2になります。最初に、日建連についての簡単な紹介です。日建連は、全国的に建設工事を営む企業及び建設業者団体の連合会で、法人会員140社、団体会員、特別会員から成る組織です。
建設業界全体における日建連の会員の受注シェアは24%、約4分の1になります。
資料の3ページ目、ここから意見になります。最初に、今回の見直しの方向性に対する日建連の基本的な考え方について述べさせていただきます。
まず、1点目としては、今回の合理化を目的とした見直しの全体的な方向性については基本的に賛同するものです。
2点目としては、制度の合理化が実際の現場での調査・措置等の工事に落とし込んだときに、工事の量や工期の増加につながらないように配慮していただきたいということです。
3点目は、新しい制度の詳細設計においては、今後ガイドライン等でまた検討されることと思いますが、実際の運用が煩雑にならないよう配慮していただきたいということです。
本日は、これらの基本的な考え方に沿って見直しの方向性に書かれております各項目7つについて意見を述べさせていただきます。
また、見直しの方向性に記載されていない点についても、現状の法の運用に対して何点か意見を述べさせていただきます。
資料の4ページになります。見直しの方向性に対する最初の意見ですが、調査を省略した土地の汚染状態等の見直しについてです。
見直しの方向性では、健康被害のおそれがない場合に試料採取等調査を省略することを提案されていますが、現行法では、このような省略をした場合は、その土地は第二溶出量基準及び土壌含有量基準に適合しない汚染状態だとみなされることになっているため、今回の見直しと併せてこの規則の見直しのほうも検討していただきたいと思います。
また、実際、そのように試料採取等調査を省略した土地において、また形質変更を行うときに汚染拡散防止措置をどのようにしていくかは、今後検討されると思いますが、健康リスクを踏まえて過剰とならないような措置を検討していただきたいと思います。これは臨海部等における汚染拡散防止措置についても同様と考えます。
次に5ページになります。2番目の意見、形質変更時の調査命令発出までの期間の見直しについてです。
見直しの方向性では、調査命令を出すまでの期間を30日から長い期間、例えば45日に見直すことも提案されております。これについては、実際の建設工事への影響も大きいため、自治体内の地歴情報の活用の仕組みや手順の効率化等によって、できるだけ現行の期間の30日を維持していただければ、大変ありがたいと考えています。
また、実際は命令を発出しないことがすぐに確定するようなケースもあると思います。そのようなときには早期にその旨を届出者に通知するような制度も検討していただきたいと思います。
6ページになります。3番目の意見、深さ方向の調査の制度化についてです。
今回、深さ方向の詳細調査に制度上の位置づけを与えて、立体的な区域指定の制度の導入が提案されていますが、このような制度の導入については、我々も賛同するところです。
一方、見直しの方向性の中では、この制度の導入に伴って従来の認定調査が不要になるというような記述もありますが、実際、従来の認定調査も制度としては残す必要があるのではないかと考えております。
これは立体的な区域指定制度の導入後も平面的な調査のみで区域指定を行う従来の制度は残すとされておりますので、そのような土地においては、平面的な調査のみで指定を受けて一定期間経過後に深さ方向の調査をするというようなケースもあり、逆に、掘削を急ぐような場合は、詳細調査を実施せずに、土壌を掘削した後に認定調査を実施するケースもあるからです。
そのため、現在の認定調査の方法を維持するかどうかは別としまして、平面的な調査のみで区域指定を受けた土地について、何らかの土壌の調査の仕組みは残す必要があると考えております。
7ページ目になります。4番目の意見は、試料採取等調査の深さ限定が不要となる見直しについてです。
こちらについても、見直しの方向性で立体的な区域指定制度導入で深さ限定の制度が不要になるよう見直しを検討という記述がありましたが、先ほどの認定調査の件と同様に、平面的な調査による区域指定制度を残すのであれば、こちらの深さ限定の制度も必要なものとして残すべきではないかと考えております。実際に深さ限定については、毎年一定数の利用があって、ニーズのある制度ではないかと考えております。
次のページになります。5番目の意見は、薬品等の使用に関する量や濃度の基準の設定についてとなります。
見直しの方向性では、地歴調査時に特定有害物質の取扱量や個別の化合物の性質が十分考慮されず、結果として試料採取等調査等の負担が過大になっている事例があり、運用上の基準の合理化や明確化が必要とされています。この見直しについては、我々もぜひ検討していただきたいと思っております。
我々の事例としては、教育施設の例を挙げておりますが、少量の分析用の試薬を試験室のみで使って敷地全体で調査が求められるような事例は、民間の事業場でもございますので、この点については見直しを検討していただければと思います。
次のページになります。6番目の意見は、自然由来や水面埋立て土砂由来の基準不適合土壌の取扱いについてです。
見直しの方向性では、これらの土壌について従来と同等の施行管理の義務は維持しつつ、従来の区域指定制度の対象から除外することを検討すべきとされており、この従来の区域指定制度からの除外については賛同するものです。
1点、検討をお願いしたいのは、これらの土地の搬出時調査についてです。実際、これらの土地から搬出土調査を行って基準適合となった場合は、一般残土として搬出されるようになりますが、残土の受入側の自治体の条例等による搬出土調査と、この調査が重複することが想定されます。見直しの方向性では、現行の認定調査を参考に基準不適合土壌を特定する方法を検討することとされていますところ、法律の範囲と異なり難しいかもしれませんが、自治体条例等との関係も踏まえて、できるだけ合理的な調査制度となるように検討していただければと思います。
次のページ、7番目の意見となります。区域指定手続中の土地の形質変更及び搬出に関する意見です。
見直しの方向性では、既に土壌汚染状況調査が完了し、自治体において指定する区域の種類が実質的に判断されているのであれば、区域指定の公示前に汚染土壌の搬出等を可能とすることを検討するとしておりますところ、こちらの見直しについても賛同するものです。
特に区域の種類の判断に時間を要する事例が多く、中には半年から1年程度かかるような事例もありますので、建設工事の工期に大きく影響している状況です。
先ほど東京都の説明にもありましたように、実際には公示前でも運用上対応していただいている自治体もございますので、制度を明確にして水平展開していただけると大変助かるところです。
以上、ここまでが見直しの方向性に対する意見となります。
この後の資料は、見直しの方向性では記載のない論点ですが、今回、現状の土対法の運用について、会員企業からいただいた意見を幾つかまとめたものです。
最初の意見は、区域内の形質変更時における汚染拡散防止措置についてです。
地下水位より下の帯水層で掘削や杭の工事を行う場合に、ガイドラインで汚染拡散防止措置が詳細に規定されていますが、実際の汚染拡散防止の効果や施工性の点から合理的ではないのではないかと考えられるところもございます。
例として掘削時の地下水位管理や既存杭の引き抜き工事を挙げております。これらの例のほかにも帯水層に接する場合の土地の形質変更に関する施行方法全般については、有害物質の取扱履歴の話と同様に、土壌汚染の物質や濃度、規模に応じて施行方法に差をつけるなど、健康リスクに対して過剰とならないような措置を、今後の詳細設計時に検討していただければと考えております。
次のページになります。現状の運用に対する意見の二つ目で、区域指定の解除及び解除手続中の土地の形質変更及び土壌搬出についての意見です。
原位置浄化の完了条件における地下水モニタリングの回数に関する意見や、そもそも地下水モニタリングを指定区域の解除要件とすることについての意見、また、区域指定の公示前の工事着手とは対になる話ですが、汚染の除去措置後に区域指定の解除の公示を待たずに健全土として搬出を進めることができるような制度を今後検討していただきたいと思っているところであります。
最後のページになります。行政手続の合理化についての意見となります。
こちらでは土壌汚染状況調査の結果を分割しての提出や、区域指定と区域指定の解除に係る期間についての会員企業からの意見となります。
実際、行政手続の期間については、現状でどうしても対応が難しいケースもあるかと思いますが、事例集や一部自治体での運用の工夫を水平展開することで対応できる部分もあるのではないかと思いますので、今回の見直しに合わせてご検討いただければと思います。
日建連からの意見は以上となります。
最初に申しましたとおり、見直しの方向性については全体的に賛同するものですが、今後の制度の詳細設計の部分で、実際の届出だけでなく現場での作業の合理化も進むように進めていただければと思います。
以上です。ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、ここまでの3団体のご意見につきまして、ご質問を承りたいと思います。ご発言のある方はネームプレートを立てていただくようお願いします。WEB参加の方は挙手ボタンでお知らせください。
では、寺浦委員、お願いします。
(寺浦専門委員)
ありがとうございます。様々なご説明、ありがとうございました。
日本化学工業協会と経団連にお伺いします。情報の公開について、現状でも届出をした情報については情報公開請求をして情報が開示される場合がありますが、その範囲で公開される情報についても公開されることには懸念があるということなのでしょうか。つまり、どのような情報であれば公開されても仕方がないが、どのような情報の公開は懸念があるのかを教えていただきたいと思います。
例えば、使用している有害物質を企業が知られたくないということがあるとして、物質が特定されることが問題となる場合、全物質を使用している可能性があるという形で公開されるのであれば、範囲ははっきり特定されないので、そのような範囲での公開は考えられる、ということなのか教えていただきたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
ほかにはいかがでしょうか。
では、川瀨委員、お願いします。
(川瀨専門委員)
日本建設業連合会の内容について質問したいと思います。資料の5ページですが、調査命令発出までの期間の見直しについて、先週名古屋市のほうからは、逆の立場で延ばしていただきたいという提案をさせていただいたところ、現状の30日を維持していただきたいというご意見があったところです。先週の名古屋市の提案ですと、調査命令発出までの期間を延ばす代わりに期間短縮として、着手を前倒しできる申請制度をセットで考えてはどうかと提示させていただいたのですが、そのようなセットで見直しをされる場合であればどうなのかというご見解を教えていただきたいと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。
では、江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
日本化学工業協会と日本建設業連合会に一つずつお聞きしたいことがあります。
まず、日本化学工業協会ですが、資料8ページのところで、健康被害のおそれがない場合の対応についてということが書いてありますところ、気になりましたのが、特に地下水飲用についてはというところで、一部の個人飲用井戸については把握し切れていないので、判断基準に含めるのは無理があるから、水道普及率100%で担保すると書かれています。これで行いますと、健康被害のおそれがないと判断するケースが少なくなってしまうのではないかなと感じているのですが、私の認識違いでしょうか。その辺について、ここで書いている意図をご説明いただければと思います。
また、日本建設業連合会は資料4ページなのですが、調査を省略した土地の汚染状態等の見直しについてのところで、試料採取等調査を省略した場合に、第二溶出量基準及び土壌含有量基準に適合しない汚染状態にある土地とみなすとすることが特に要措置区域となり得る土地で措置が過剰になるため、見直しが必要だと言われています。第二溶出量基準及び土壌含有量基準を満たさないということは、一番厳しい基準になってくると思うのですが、試料採取等調査を省略した場合にこれ以外の選択肢を取ることができるのか。取ることができるのであれば、それをどうやって判断するのか。例えば溶出量基準不適合のみにするとか、第二種特定有害物質であれば土壌含有量基準に適合しないのみにするとか、もしそういう判断にされるという意図でしたら、どのような理屈で試料採取等調査を省略した場合にそのように行えるのかという点について教えていただければと思います。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。1点、日本建設業連合会に教えていただきたいのですが、資料9ページの自然由来等基準不適合土壌のところの、処理施設候補となる自然由来等土壌利用施設についても、現状把握と拡充に向けた施策検討を、ということについて、現状ですと処理施設が足りないという意味なのでしょうか、詳細について教えていただければと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
ほかには、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
私からも二つほどお伺いします。日本建設業連合会について、様々現実的に考えていただいていて、大変ありがたいと思いました。一つお伺いしたかったのは、資料6ページの懸念事項のところ、先ほど私が東京都に伺ったこととも関係する点ですが、これに関して何かいい案があったらお話しいただけるとありがたいと思います。若干期間がたってしまうと深さ方向の調査に関して何かプラスアルファを考えなければいけなくなるという問題が出てくるかもしれませんが、何かもしお考えになっていることがあったら、教えてください。
また、日本経済団体連合会に対してお伺いします。今までのヒアリングとも関係していたと思うのですが、資料5ページの飛び地間移動に関しては、現在の制度に極めて自由度がないのは私も承知しておりまして、何とかしなければいけないかもしれないと思っています。2017年改正のときにこのような制度をつくったのは、要するに移動させている途中でどこかに汚染土壌を落としてしまう方がいらっしゃることを気にしていたことが多分あったとは思いますが、そのようなことはないということをおっしゃっていただければと思います。あるいは、そのような立法事実的なものがあるということを打ち出していただくと大変説得力が出てくるかなという気はするところ、そういうものがもしあれば教えてください。
では、小林委員が挙手されておりますので、オンラインの小林委員、お願いします。
(小林臨時委員)
ありがとうございます。まず日本化学工業協会に質問です。資料7ページ目のところで、対象物質として、私もそれでフッ素を対象物質とするのはどうなのかと思いますが、フロンやテフロンなどと書いていただいています。違和感があるような物質が他にもあれば、今日ではなくてもいいかと思いますので、ぜひ情報提供いただけるとありがたいです。
また、資料10ページ目のところで、臨海部について届出対象外とした運用をというご意見をいただいているところ、現時点で例えば形質変更時要届出区域になった場合、前回も日本鉄鋼連盟から、区域指定されると管理や施行方法等も非常に大変になるというご意見もあったかと思いますが、形変区域や臨海部特例区域で、管理が非常に大変だから緩めてほしいとか、こういう方向では考えられないかという点について、お伺いしたいです。
さらに、日本経済団体連合会も同様のところですが、資料1ページ目のGXの観点からは、掘削除去等に伴い多くのCO2排出等という話もありまして、日本の場合、形変区域の場合でも掘削除去が非常に多く行われているというところについて、もともと形変区域の場合は、健康リスクが小さいとして指定されているはずですので、それなのに非常に管理が大変だというようなところがもしあれば教えていただきたいと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
よろしいでしょうか。
では、日本化学工業協会からご回答をお願いします。
(日本化学工業協会)
様々なご質問、ありがとうございました。
まず寺浦委員からいただきました、情報公開のニーズという考え方についてです。我々は区域指定をされるときに、この地区についてはこのようなもので汚染されており、このような地域指定になりましたという形で、物質名が全部明らかになりますので、基準不適合になった物質は既に明らかになっているというレベルです。
また、江種委員からございました、資料8ページ目の地下水との関係について、非常にこの辺も難しい状況ではあるのですが、把握できていないものを基準にするというところが非常に難しいというか、合理性がないと考えておりまして、水道の普及率が100%であるとか、飲用井戸を公共に使っているとかいう場合もありますので、そこら辺を割り切ることができたらと考えておる次第でございます。
次に、資料7ページ目のところにおいて、小林委員からいただきました、ほかにどういう物質があるのかというところについて、いわゆる土対法の特定有害物質は水溶性があるとかですが、ここに挙げているようにフロンやテフロンというのは、水に溶けるものでもなければ、そのような形では検出できないものとなります。例えばアセトニトリルをシアンが入っているのでシアンとしてしまう業者や自治体もいるということもございますので、このようなミステイクがあった事例について、この会議の後という形になるかもしれませんが、提示したいと考えております。
次に、これも小林委員からいただきました、資料10ページ目に関して、現時点における管理方法で何が問題かというところなのですが、やはり我々としては、今持っている資源を有効活用したいというのが1点と、もう一つ、臨海部に関して言うならば、やはり形質変更時届出区域となりますと、それなりに施行方法に関しまして、かなりのプラスアルファのコストがかかるという形がございます。その辺のところについては、今後新しい事業を行うときの一つの大きな収益の予見性等にマイナスのインパクトがかかるところもございますので、そのような施行方法等に関して、これは前回日本鉄鋼連盟からも同様の意見があったと思いますが、その辺のところを改善できたらと考えている次第です。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、日本建設業連合会から、お願いします。
(日本建設業連合会)
最初に川瀨委員からいただきました、命令の発出期間についてのご質問です。我々も実は日建連の中で話し合ったときは、やはりどうしても期間が延びる必要があるところはあるだろうということで、逆に期間が30日以上かかるときに行政から通知いただけないかというような話をしておりました。着手までの期間の短縮の申請を出すというのも一つの考え方かと思いますところ、ほかの法律の短縮願の詳細を把握していないですが、やはり工期が延びて喜ぶ発注者はいらっしゃらず、短縮をする手続があるのであれば、その手続を取ることになることが予想されますので、短縮の手続の条件等で、うまくスクリーニングができるのであればよいですが、そうでないと逆に次々と短縮願が出てしまう状態に至るのではないかと思います。また、調査命令が早く出るときは早く通知するといったものと様々組み合わせて、ベストな制度にしていただければよいのではないかと思います。
次に、江種委員からいただきました、試料採取等調査の省略時の土地の扱いについて、第二種溶出量基準及び含有量基準に該当させないというときに、どのような理屈でどのような指定ができるかという点についてです。我々もその点について具体的なイメージまではあるわけではないのですが、一つは試料採取等調査の省略は健康リスクがないという前提でされるということですので、ほかの部分で議論されています臨海部と同じように、区域指定をしないで対応するという手もあるのではないかと考えておりました。また、人為的な汚染が明確で区域指定が必要というところについては、逆に有害物質の使用履歴、使用の規模や濃度といったものを勘案して、何か合理的な制度ができればよいのではないかと思っております。
次に、光成委員からご質問いただきました、自然由来等土壌利用施設の現状についてです。事例についてはもともと少なかったところ、最近若干増えてきているとは聞いておりますが、詳細な現状については我々のほうでも把握し切れておりません。自然由来の土壌汚染の発生そのものが少ないというところもあるかもしれませんが、実態によってはそういった土壌が発生しているところもございますので、今後そのような施設を利用できるように、現状調査等を進めていただければということで、こちらの意見を書かせていただきました。
次に、大塚委員長からいただきました、立体的調査の懸念事項についての話です。土壌汚染が深部方向等に移動するのではないかということについてですが、日建連としては技術的な判断まではできないのですが、実際は土壌汚染の物質やその濃度等によって深部方向に落ちにくいといったところもあり、実際落ちたときの影響も違ってくると思いますので、その辺も踏まえて実際そういった懸念事項を考慮した制度にするのか、考慮しないでできるようなところと組み合わせていくのか、そういったところを今後検討していただければと思っております。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
日本経済団体連合会から、よろしくお願いします。
(古川専門委員)
まず一点目、寺浦委員からご質問がありました、情報公開に関してです。どのような情報であれば公開可能かという点ですが、行政の要求に基づいて我々が出す情報ですので、基本的には隠すことなく、できるだけ行政の要求にも協力したいという姿勢に何ら変わることはございません。一方で、法を執行する上での最低限の範囲をあまりにも逸脱した情報の公開が求められる場合、理由づけが必要になるということは感じております。
また、言い過ぎかもしれないですが、事細かに公開すると説明が難しいことがあります。例えば、戦時中アメリカが落とした爆弾の破片により、スポット的に鉛が検出されている一方で、本当にそこだけの汚染なのかなど、非常に説明が困難なシチュエーションも起こり得ます。そうした点までうまく説明できるかというと、情報を公開する事業者もなかなか難しい状況があることは事実です。しかし、情報を隠そうとしたり、全て公開が駄目だと考えているわけではございません。
続きまして二点目、大塚委員長からご質問がありました、飛び地間移動に関してです。基本的に、施工管理会社が非常に重要だと思っています。相見積りを取った上でコンピテンスの合った施工管理会社を選んでいますので、移動中に土壌を落としていく状況は想定しておりません。お答えになっていないかもしれませんが、同一敷地内の場合に自由度を考えているとご理解いただきたいと思います。
最後に三点目、小林委員からご質問がありました、形質変更時要届出区域における掘削除去が多い理由と管理が大変かという点に関してです。製造業では、新たに工場を作る際、形質変更時要届出区域であれば区域指定を解除する必要はあまりございませんので、掘削除去が多いという事実がどれだけ負担になるかというご質問は、少々難しいのですが、仮に、工場内の食堂建設などで形質変更時要届出区域を解除する場合、掘削除去以外に現場施行できる方法、技術があるかという点は大きな疑問です。文献での方法論としては、金属を混入させて、その発熱反応を利用して有害物質を除去する等様々あるようですが、やはり時間もお金もかかるので、掘削除去以外の方法で満足できる現場工法がなかなかないのが現状ではないかと考えております。
以上でございます。
(日本経済団体連合会)
寺浦委員からのご質問で、どのような情報であれば公開しても構わないかということについて、基本的には古川委員からの回答のとおりでございますが、まだ経団連として統一的な意見として議論して決めている中身はございません。しっかり事業者の声も踏まえた形で、今後の制度設計に反映していただきたいと考えております。
その上で、考え方といたしましては、制度としてどのような法律上の目的に照らして公開をするのかが重要です。公益性があるから公開をするということだと思いますが、風評被害のリスクや土地取引での悪影響といったことと兼ね合わせて、慎重に議論をしていただきたいと思います。
公開される情報につきましては、調査した物質については分かりますが、全ての対象物質についての汚染のおそれについて分かるわけではなく、必ずしも網羅的ではないということにも留意が必要かと思います。
また、公開という意味では、全ての人が本当に知る必要がある情報なのか、それとも土地を取得する者、承継する者、あるいはそれを検討している者が得られればよい情報なのか、その点も区別があろうかと思います。このような点も今後の検討でよく考慮をしていただければと考えております。
さらに、委員長からご指摘がございました、飛び地間移動の途中で管理が不適切なことはないかという点については、もちろん事業者といたしましては適切な管理をして土壌を運ぶことは前提だと考えております。
最後に、小林委員からのご指摘でございます。先ほど古川委員からもお話があった点に加え、土地取引に際して汚染を除去したいという考えで掘削除去をするという場合も多くあると聞いております。さらに、届出や自治体とのやり取りといった手続的な面の負荷が大きいという声を聞いております。いずれにしましても、経団連としては、リスクに見合った合理的な制度がどのようなものか、今後も会員企業の意見を踏まえて建設的に意見を申し上げてまいりたいと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では、金見委員、お願いします。
(金見専門委員)
全体的な話の中で、事務局の環境省の方にお聞きしたいのですが、私どももほかのヒアリング対象者の方からも水濁法との連携といった話が出ているところ、この小委員会の場で他法令との連携について、どこまで議論をしていいのか。あるいは、今後の検討の中で他法令とのリンクをどのように織り込んでいくお考えにあるのかというところについて、お聞かせいただければと思います。
(鈴木環境汚染対策室長)
ありがとうございます。ほかの法令との関係も含めて、ぜひご意見は忌憚なくいただければと思っております。まずはあくまで課題として出していただき、この小委員会で必ずしも結論が出るとは限りませんが、もし合意ができれば、土壌汚染対策制度の中でほかの法令との関係に対する課題認識まで含めて議論を進めていただくことはありえるかと思っております。
(金見専門委員)
ありがとうございます。東京都の意見の10番の資料に化学物質の取扱いの情報の承継については、水濁法や下水道法での規定の方がいいのではないかと提案しているとおり、このあたりは重要なところで、東京都の意見等において他法令について言っていますので、それは意見としてこの小委員会の場で述べさせていただくということで、理解しました。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。ヒアリングにご協力いただいた団体の皆様からのご発言も承りたいと思いますが、委員の方も含めてご発言がある方は、どうぞ、お願いいたします。
よろしいですか。オンラインの方もよろしいですか。よろしいですね。
では、時間も参りましたので、本件についてはこれで終わりたいと思います。本日のご発言を踏まえて、今後の検討を進めていきたいと思います。
本日の審議はこれで終了といたしまして、議事進行を事務局にお返しいたします。
(長谷川土壌汚染対策係長)
本日は、委員の皆様、またヒアリングにご協力いただいた団体の皆様、ご多忙のところご出席いただきまして、また、大変活発なご審議もいただき、誠にありがとうございました。
次回以降の予定ですが、第1回小委員会でもご説明したとおり、関係者からのヒアリング以降、複数回に分けて、論点、方向性に関する審議を予定しております。次回の日程、議題などは、追ってご案内いたします。
また、今回の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様のご確認を経て、環境省ホームページに掲載いたします。
以上をもちまして、本日の土壌制度小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。
定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催いたします。
委員の皆様、またヒアリング団体の皆様におかれましては、ご多忙のところ、ご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の小委員会は、委員総数20名のうち、途中からご出席の予定の委員も含めて、過半数の18名がご出席で、淡路委員、袖野委員がご欠席の予定です。定足数の要件を満たし、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。
また、WEBを併用した開催であり、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信をしております。
それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。議事次第の配付資料一覧をご覧ください。
資料1に本小委員会の名簿、資料2から資料7として、本日ご発表いただく団体の皆様からご提出いただいた資料をお渡ししております。
また、資料に加えて、参考資料として、土壌汚染対策法の概要、法令の条文、さらに第1回小委員会で使用した現状と主な課題に関する資料をお配りしております。会議の中で必要に応じ、ご参照ください。
こちらの参考資料などは次回以降も使用しますので、会議が終わりましたら、机の上に残してご退出されますようお願いいたします。
何か不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
なお、これらの資料及び本小委員会は運営規則等に基づき公開とさせていただきます。
それでは、これより議事に移りたいと思います。大塚委員長に議事進行をお願いいたします。
(大塚委員長)
それでは、議事に入ります。本日の議題は、土壌汚染対策法関係者からのヒアリングです。ヒアリングは2回に分けて行いますが、今回はその2回目です。今回は東京都、明石市、全国中小企業団体中央会、一般社団法人日本化学工業協会、一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人日本建設業連合会の6団体からヒアリングを行います。
本日の進行でございますが、まず、3団体からご意見をいただき、質問時間を続け、その後で残り3団体からのご意見、質問時間を設けるような流れで進めたいと思います。
会議時間の制約上、ご意見は団体ごとに10分程度を目安といたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
では、まず最初に、東京都からご意見をいただきます。東京都からは、環境局環境改善部化学物質対策課課長代理の須藤様にお越しいただいております。
それでは、須藤様、よろしくお願いいたします。
(東京都)
ただいま紹介にあずかりました東京都環境局の須藤でございます。本日はこのような貴重な場を設けていただき、誠にありがとうございます。時間も限られておりますので、早速でございますが、お手元の資料に基づきまして、現行制度に対する意見及び今後の見直しに向けた提案についてご説明させていただきます。
1枚めくっていただきまして、目次でございます。本日は、法の条項別に分けてご説明させていただきます。
次のページをご覧ください。まず1.制度全般についてでございます。現状、東京都としては主に3点について課題があると認識しております。
一つ目が、制度が複雑化しているということでございます。制度が非常に難解で、自治体職員のみならず、事業者、関係者が追いついておらず、制度として使用されていない条項も多いと考えております。例示としましては、臨海部特例区域の話や、目標土壌溶出量といったものが挙げられます。二つ目として、運用事項が多いということです。法令には記載がない一方で、汚染拡散防止という法の趣旨を鑑みると、運用でカバーせざるを得ない事項というのが多いと感じております。都の運用の一例を示しておりますが、例えば区域指定前であっても、12条、16条に準じて届出をした後、形質変更していただくことであったり、事業期間や事業の都合上、4条1項・2項を分割して届け出ることであったりという運用を現状行っているところでございます。三つ目としまして、アンバランスな規制になっているということです。現行法では、自然由来、人為由来、水面埋立土砂由来と、三つの汚染のおそれの由来に関わらず同じ尺度で規制が行われております。それにより現場では、自然由来等による区域指定を忌避する事案や、無理やり掘削除去をして、指定を解除するような事案が見受けられ、過剰な対策が行われていると考えております。総じますと、現行制度については、自治体、指定調査機関、事業者等の関係者全体の負担が大きいというところがございます。
都からの意見といたしましては、一つ目としては、既存の制度をベースに特例を設ける方向性ではなく、制度の在り方そのものを再度吟味した上で抜本的に見直していく方向性など、理解、運用しやすい制度となるように意識して、検討を行うべきであると考えているところでございます。二つ目としては、運用事項が多いという点を踏まえ、法的な位置づけを改めて整理する必要があるのではないかと考えております。三つ目として、環境リスクに応じた合理的な規制となるように制度を見直すべきと考えており、これらが東京都全体の主張となっております。
次のページをご覧ください。2.有害物質使用特定施設の廃止等についてでございます。現状、3条においては、有害物質使用特定施設の廃止時に調査義務が発生いたします。一方で廃止時の調査義務のため、資金不足で調査や対策ができないことにより、調査猶予を選択することが多いという状況でございます。グラフの通り東京都は猶予率は約50%程度で推移しておりますが、全国では75%程度で推移しておりまして、多くの場合で調査猶予が選択されております。やはり資金不足等を理由に、なかなか対処するのが難しいという状況を反映しているのではないかと考えているところでございます。都内は土地の流動性が高いため、全国と比べると猶予率は低くありますが、それでも50%が選択されているという現状がございます。
続いて、次のページをご覧ください。有害物質使用特定施設の廃止関係の現状・課題の2番目として、調査猶予中の土地が未調査のまま、次の土地が利用されるということについてです。一度調査猶予を取ったはいいが、何年も経年してしまったことによってその情報がうまく承継されず、売却・改変が行われるケースが都のみならず、全国で散見されております。これによって、汚染拡散のリスクや不動産トラブルというのが生じている実情がございます。
現状・課題の3番目として、調査猶予地に係る情報の問合せについてです。調査猶予の情報については、現行法では台帳等の公開規定がないことから、特に公開しておりませんが、不動産業者や、指定調査機関などから問合せが多くあるため、実際としては事務負担となっております。また、土壌汚染の調査前であり汚染の有無確定前にもかかわらず、土壌汚染地のように扱われて、買い叩かれているという実情や、指定調査機関からの調査に関する営業が行われているという実情がございます。
現状・課題の4番目として、中小事業者等の土地における調査・対策についてです。東京都の場合は、大規模改編の場合は不必要な掘削除去を避ける傾向が増えてきているところでございますけれども、中小事業者の土地については、いまだに法令の理解が乏しく、慣例的に掘削除去を求められることが非常に多いという実態がございます。また、狭隘な土地における調査対策に要する費用負担は、やはり大規模な土地に比べると、単価当たりの費用が非常に高く、土壌汚染対策が進まず、円滑な土地利用も進まないという状況の一因になっているところでございます。
次のページをご覧ください。前述の現状・課題に対する東京都の意見としまして、まず、1番目の調査猶予については、情報が承継されるように、従前運用されていた定期的な現状報告を猶予の条件につけることが検討ができないかと提案いたします。
2番目については、調査猶予を受けた土地の公開について、現状はデメリットのほうが多く説明されておりますが、要望があるということを踏まえ、メリット、デメリットを整理したうえで、公開すべきかどうかを議論していただきたいと考えております。
3番目については、土対法とは外れますが、宅建業法の中で、宅地取引における重要事項説明として、調査猶予等の情報を必須とできないかというところでございます。ここに書かれていれば、取り漏れはないだろうと都としては認識しております。
4番目については、健康リスクや実情を考慮の上で、中小事業者の方々への必要な負担低減措置というのを検討していただきたいと考えております。先ほどご説明しました調査猶予率や対策の実情を考慮すると、やはり中小事業者への負担がかなり大きいといえるため、負担軽減措置は、法令の見直しに合わせて考えていくべきと提案いたします。また、これ以上の調査契機の拡大は、現状を踏まえると、地歴調査の実施さえも困難な事業者が非常に多く、実効性は薄いと思っております。そのため、さらに廃業やブラウンフィールドが加速する懸念があると東京都としては考えているところでございます。
次のページをご覧ください。3.土壌汚染状況調査の報告者等についてでございます。こちらも法3条関係ですが、現状、特定施設の設置者と土地の所有者が異なる場合に、トラブルが多く発生しております。
東京都では、都条例で有害物質取扱い事業者に義務をかけているため大きくもめることはございませんが、このような法制度の中で、事業者が実施して土地の所有者の名前で報告されるパターンが、都で受ける報告全体の9割以上になっております。
また、大都市域ですと、区分所有があるマンションの1階でクリーニング業を営まれているところもありますが、そういったところが廃業になったときに、何百社の区分所有者に対して義務をかけることになり、非常に事務負担が大きくなっております。
続いて、自治体から土地の所有者への連絡、また個別の法令説明を行うことが常態化しているということでございます。都では、土壌汚染対策アドバイザーの派遣や総合相談窓口等の運用を行うことで職員の負担軽減を図っていますが、それでもかなり負担が大きくなっております。
それを踏まえての意見・提案でございますが、土地の所有者等に義務づけをしたという当初の法制定時の狙いというのはきちんと尊重すべきだと、我々としても考えております。一方で、例えば法4条第2項で形質変更する者が報告できるように、土地の所有者以外でも報告することができる規定とならないかというのが一つ目でございます。
二つ目については、個別具体的な案件については、自治体で受けるべきであるとは思いますが、土対法の基本的な相談や、各自治体の指定区域情報の掲載先の問合せ等については、国が相談窓口を整備して、対応していただけないかと考えております。
次のページでは、そのエビデンスとして、都の運用状況を示させていただいております。特に相談については、ほとんどが土地の所有者等の直接的に関与する者ではなく、不動産や設計・コンサルといった方々の問合せが多いというところを鑑みましても、この辺を一貫して整備できないかとご提案させていただいているところでございます。
次のページをご覧ください。4.ただし書き確認中の土地の形質変更についてでございます。現状、ただし書き中の土地において900平米以上の形質変更が行われる際、法3条第7項と法3条第8項の命令によって、届出や調査が行われているというところでございますが、行政手続の性質上、命令手続きには一定の作業と時間が必要になるため、形質変更の計画にかなり影響を与えております。実際に、自治体へのアンケート結果によれば、命令を待たずに調査結果を報告できる制度が必要と答えた自治体が9割に上っており、この辺りは議論する必要があると考えております。
そこで都としては、法3条第7項、第8項についても、法4条第1項、第2項と同じような命令を待たずに事業者が自治体に調査結果を報告できる規定にできないか、またそもそもただし書きの確認とその解除要件も含めて、抜本的に当項は見直すべきだと考えています。
またこういった3条に係る土地のトラブル防止のため、全面廃止ではなく部分廃止といった場合であっても、土地の切り離しが行われる際は廃止と捉えて、1項調査義務をかけるべきと考えているところでございます。
次のページをご覧ください。5.土壌汚染状況調査、法3条、法4条関係でございます。現状・課題の1番目は大規模案件の調査・報告時の分割調査についてです。都の場合、例えば道路事業や都市計画事業のような大規模案件の調査が非常に多く、こういったものは土地の収用も踏まえて全体でかなり時間がかかるため、運用として分割調査を認めております。一方で、分割を認めた場合でも、一括で調査した場合と結果の評価は不変である必要があるところでございますが、実際はそうはなっていない事例が散見されております。
2番目は、法定調査への既往調査・自主調査結果の利用ということで、法施行から20年が経過し、同じ土地に2回目の調査契機、届出契機が発生する場合が出てきておりますが、既往調査結果をそのまま添付する等、不適切な調査事例が往々にして生じているところでございます。
そこで、意見・提案でございますが、分割調査は東京都だけではなく他の自治体でも往々に行われていると伺っておりますので、分割調査に対して考え方の方向性を示していただきたいと考えております。二つ目としては、冒頭申し上げましたとおり、運用事項が多いので、その法的位置づけというのを改めて整理いただきたいと考えております。三つ目としては、能力が疑われる指定調査機関について、自治体と指定者で情報共有する仕組みを設け、適切な調査が行われるように是正指導できるような仕組みができないかと考えております。
次の2ページでは、不適切調査事例と、不適切な活用例を載せておりますが、本日は時間の都合上割愛させていただきますので、一読いただければと思います。
続きまして、6.区域指定手続きの簡素化等についてでございます。区域指定については、その公示をもって効力を有し、都道府県または市の公報に掲載して行うものと規定されておりますが、どうしても行政手続の都合上、公示手続のために1か月以上の時間を要しております。また、区域指定されるまでは、その後の規制が制度上適用できないため、空白期間による汚染拡散のリスクが懸念されるという観点もございます。
そのため、都では都条例をとともに、区域指定前であっても運用で法の各条に準じて届け出るように指導しておりますが、他自治体では、区域指定されるまで搬出を認めないという例も伺っております。
また、区域指定は現状、土地に対して指定するため二次元指定となっているため、詳細調査等を併せて報告してきた場合においても、それらを反映できるような制度にはなっておりません。そのため、三次元で区域指定できるような制度ができないかと考えております。
意見・提案についてですが、まず、三次元化とも併せて考える必要がございますが、区域指定の簡素化が必要になってくるのではないかという点と、区域指定前の形質変更や搬出についても、担保できる規定を整備すべきではないかという点を考えているところでございます。加えて、法定調査で求められている以上の結果が提出された場合に、その結果を用いて要措置区域等の判定ができると、合理化できると考えているところでございます。
次のページをご覧ください。7.詳細調査の位置づけについてでございます。現状、詳細調査は法令で規定されているものではなく、ガイドラインにその方法が示されているものでございますが、特に平面絞込み調査についてはガイドラインにはほぼ記載がない中で、措置範囲の絞り込みとして成立しない調査結果をつけてくる事案が多く見受けられております。
よって、詳細調査については、改めて指定調査機関の関与を必須とした上で、法的位置づけを含めて、改めて整理する必要があるのではないかと考えているところでございます。また、平面絞込み調査等についてはガイドライン等の記載を十分に充実させてほしいというところでございます。3ポツ目は、再掲のため、割愛させていただきます。
続いて、8.搬出規制の適正化についてでございます。まず、搬出規制の複雑化については、前回の法改正で、旧法では汚染土壌処理施設への搬出行為だけが認められておりましたが、飛び地間移動や区域間移動の規定が追加されております。
続いて、区域指定前の搬出行為については、先ほども申したとおり、特に搬出規制が適用されないということで、汚染拡散のリスクが懸念されております。
3番目として、飛び地間移動の範囲についてです。現行法では一の調査契機で指定された区域間の移動しか認めておらず、使い勝手が悪いため、この調査範囲について拡張していただきたく思います。
4番目は搬出の変更届出規定についてです。要措置区域等外への汚染土壌搬出の内容に変更がある場合は、現行法では、その搬出予定日の14日前までに法16条第2項の届出が必要となりますが、それ以降の変更については、特に規定が定められておりません。
これらの状況を鑑みて、東京都の提案の一つ目は、規制対象を要措置区域内の土壌ではなく、基準不適合土壌という枠組みに限定できないかということです。二つ目は、先ほど申しましたとおり、飛び地間移動をできる範囲を緩和できないかということです。三つ目は、搬出に係る変更届の規定を設けてほしいというところでございます。
次のページに行きまして、9.認定調査の見直しについてでございます。土対法は完全な土壌汚染を見つける調査ではなく、ある程度割り切りがある制度になっておりますが、認定調査においては、いわゆる完全な基準適合を求めているところがあり、アンバランスであると感じております。また、認定調査自体を理解していても、手間が多いためみなし汚染土壌として搬出する案件というのが多くあり、サスティナブル・レメディエーションの観点からもあまり好ましくない状況であると考えております。
続いて、これも前回の改正のときにできた規定ですが、要措置区域等内に搬入した土壌については、様式24を用いながら、認定調査の物質を絞り込むという制度がありますが、これが制度的に機能していないというところがございます。
よって、東京都としては、現実に即していない様式24は廃止し、搬入土壌による汚染のおそれの有無は、認定時地歴に集約してしまってよいのではないかと考えているところでございます。また、先ほどの区域指定の三次元化と併せて、認定調査という考え方自体を改められないかというのがこの項でのご提案でございます。
次のページに行きまして、10.台帳の情報公開や情報承継についてでございます。土壌汚染対策に係る情報の公開は、東京都では一定数のニーズがありますが、公開規定が台帳程度しかないため、自治体側で開示請求対応を行う必要があり事務負担が大きくなっております。
2番目に、地歴調査の承継は、我々自治体だけではなく、事業者側も大きな課題と認識しているところでございます。我々は自治体側といっても、あくまでも届け出られた情報のみを把握しており、その土地全体の情報を把握できているわけではないため、自治体側で全てを把握するというのは困難であります。
そこで、意見・提案の一つ目は、こういった情報公開に合わせたニーズを踏まえて、汚染が確認されなかった土地等についても情報公開が必要か、小委員会の論点として挙げて、検討いただきたいということです。二つ目は、法61条の規定の中で、土壌汚染に関する情報の提供等という規定がございますが、この規定を根拠に、汚染が確認されなかった土地等の情報を公開することが可能か検討いただきたいということでございます。三つ目は、有害物質取扱い情報の承継については、大本の法令である水濁法や下水道法で規定してはいかがかということでございます。
次のページをご覧ください。11.自然由来等土壌の規制の見直しについてです。冒頭申し上げておりますが、自然由来等による区域指定を事業者は忌避しているという実態がございます。理由としては、区域指定の解除が事実上できないことが一番大きなものとして挙げられるところでございます。
2番目に、人為由来と自然由来の判別についてですが、大本が人為由来等によるおそれがあると判断されてしまうと、途中から自然由来等による汚染に変わったとしても、その境目を見つけ出すことが難しく、この点で事業者の方も苦慮されております。
そこで、意見・提案の一つ目は、自然由来等土壌は区域指定制度が足かせになっていると思いますので、区域指定制度とは別な制度での規制ができないかということです。二つ目は、自然由来等土壌の活用のためには、関連する諸制度との連携等が必要なのではないかということでございます。三つ目については、自然由来等による汚染があるエリアにある飲用井戸については、要措置区域等の判断から外すことも考えてはいかがかということでございます。
次のページをご覧ください。12.届出書類の様式化についてです。日本全体的にデジタル化、DX化が叫ばれておりますが、土壌汚染対策においては、鑑については様式が定まっているものの、他の書類については提出すべき書類が定まっていても、その様式が定まっておりません。ここがデジタル化への大きな足かせになっているということに加え、事業者の色が出てしまう部分でもあり、審査を複雑化している要因にもなっているところでございます。
そこで、意見・提案の一つ目は、鑑以外の様式についても、参考様式を明示できないかということです。二つ目は、デジタル化対応を見据えた様式とできないかということでございます。また、三つめは、土壌汚染情報のデジタル活用に向け、ガイドライン等に起点や単位区画の名づけ方といった図面の作成ルール等の方向性を示せないかということでございます。
次のページをご覧ください。13.全体としての提案、これまでのまとめとなります。まずは、事業者、行政双方の負担を減らすように、複雑化を解消するべきということです。2番目については、割り切りのある制度設計ということで、現在ほぼ使われていない制度は、今般の見直しを機に無くすことも考えていくべきということでございます。3番目については、区域指定制度の見直しということで、特にサスティナブル・レメディエーションの観点からも、抜本的に区域指定制度そのものを見直していく必要があると東京都としては考えているところでございます。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、続きまして、明石市からご説明いただきます。明石市からは、環境産業局環境室環境保全課水質担当課長の田中様にお越しいただいております。
それでは、田中様、よろしくお願いいたします。
(明石市)
ありがとうございます。ただいまご紹介いただきました、明石市環境保全課水質担当課長の田中です。よろしくお願いします。
まず初めに、明石市の概要について触れてから、提案事項の説明をいたします。東京都や名古屋市といった大規模な自治体とは異なる、独特の悩みというのがございますので、その辺りを説明したいと思います。
では、1ページ開いてください。明石市の概要ですが、人口は約30万人、面積は約50平方キロメートル、神戸市の西側にある自治体です。2020年度の製造品出荷額は1兆2,300億円で、全国1,718自治体中43位であり、結構な出荷額をしているような状況です。これらはキャタピラージャパンや川崎重工業などの大企業や、それらに関連する中小企業が多くあるためです。
次のスライドをご覧ください。明石市の土壌汚染対策法に関する概要ですが、届出件数は年間約40件、台帳問合せ件数については年間約140件です。特定施設台帳は、土壌汚染対策法が施行された平成15年(2003年)から作成しておりまして、内容は、水濁法の事業所数は367事業所、そのうち206事業所が全廃の事業所です。下水道法の事業所数は244事業所、そのうち65事業所が全廃の事業所となっています。土壌汚染の指定区域台帳の内容は、要措置区域は0件、形質変更時要届出区域は10件、解除台帳は8件で、そのうち5件が全解除となっています。
次のページをお願いします。組織としてはこの図のような組織になっており、水質係というところが担当しております。環境保全課の水質係全体で5名の職員がおりまして、そのうち2名は化学職の正規職員で、残りの3名は非正規の職員でございます。2名の化学職のうち1名が私で、担当課長兼係長として水質関連業務を統括しております。もう1名が係員として土壌汚染対策法と水濁法の担当をしています。残りの3名は浄化槽法や、その他業務を担当しております。
次のページをご覧ください。全国の地方自治体の土壌汚染対策法担当部局の体制についてはこの図のとおりですが、ほとんどの自治体は専任の職員がいないという状況です。明石市も同様に専任の職員がおらず、担当の従事年数も2年と経験年数が短い状況です。
また、私も今年の4月に10年ぶりに化学職の職場に復帰したところです。そのために、さきに提案された名古屋市や東京都と異なり土壌汚染対策法に熟してない自治体の代表であるという点で、今回様々な提案をしたいと思います。
次のページをご覧ください。明石市として困っていることでございます。まず、届出者ごとに添付する書類の内容に差があるということに困っております。また、自治体ごとに必要書類に差があることにも、事業者から指摘を受けて困っているところです。区域指定に関する届出数が少なく、経験の蓄積がないというところにも困っております。また、事業者のほうが経験豊富、電子的な書類の管理ができていない、従事している職員が少ないというように、業務で困っていることが多々あります。
次のページをご覧ください。明石市特有ではない部分についての提案をしたいと思います。提案事項は3項目で、1点目は深度方向の区域指定による認定調査の廃止、2点目は法第4条第1項の届出の対象範囲の見直し、3点目はガイドラインの在り方と自治体間でのばらつきの解消についてでございます。
次のページをご覧ください。1点目の深度方向の区域指定による認定調査制度の廃止についてです。法第16条第1項の認定調査については、明石市では法施行から現在まで1件の届出しかありません。調査の対象項目を減らす要件が、区域指定をされてから継続して1年ごとに届出の提出が必要となっているため、法改正前に区域指定された土地は、基本的には対象外となってしまいます。また、制度を熟知している事業者しか使用することができず、自治体の職員も認定調査について詳細に把握していないため、活用しにくい制度となっています。
次のページをご覧ください。そこで現在検討されている、立体での区域指定をすることによる認定調査制度の廃止を提案いたします。深度方向の調査は、現行の認定調査制度と同等のことをしているためです。課題としては、管理方法や様式の変更が必要であること、システム化するための情報量が膨大であること、事業者の事務や経費など、かかるコストが増大することが考えられます。
次のページをご覧ください。2点目の法第4条第1項の届出対象範囲の見直しについてです。自治体アンケート調査の結果では、山林、農地、河川敷地については、調査命令の発出の事例はほぼない状況です。
次のページをご覧ください。令和元年度から令和5年度までは、明石市の届出実績も自治体のアンケートと同様になっております。提案内容は、山林、農地、河川敷地等であれば、条件付で届出を不要にするということです。なお調査命令をかける範囲を限定するため、地歴調査で他の用途に用いられたことがないこと、不法投棄などがないことが確認されること、宅地及び工場敷地などが含まれる場合は、面積要件に追加することなどの条件をつけることが望ましいと考えております。
次のページをご覧ください。3点目のガイドラインの在り方と自治体間でのばらつきの解消についてでございます。ガイドラインの在り方についてですが、内容が非常に充実しており、重要なものだとは思っておりますが、明石市のような担当職員が少なかったり、規模の小さい自治体であったりすると、専属の担当者を置くことができないことに加え、人事異動の際も引継ぎ期間が短く入替りになってしまうため十分な引継ぎができる状況にはありません。そのため、内容を把握することが非常に困難となっています。また、情報量が膨大なため、全体像をつかむことが難しく、新たに配属された職員は、どこから見たらいいか見当がつかず困っている状況です。そのため、自治体向け、事業者向けに既存のガイドラインの入り口や案内役となるようなガイドラインの概要版を作成していただくことを提案したいと思います。
次のページをご覧ください。自治体間のばらつきの解消についてでございますが、自治体間でばらついている事例を二つ挙げています。一つ目は、形質変更時要届出区域の解除要件が明確化されていないということです。現在、明石市では要措置区域の要件に準じて対応していますが、明確な解除要件がないため自治体によって差が出ており、例えば地下水汚染がある場合に区域解除要件が異なると事業者から指摘がありました。二つ目は、形質変更時要届出区域の形質変更終了時の完了届が義務化されていないということです。届出の様式が任意様式であり、区域指定を解除しない場合は届出の必要がありません。そのため、明石市では形質変更が完了しているかどうかというのを把握することができないという状況でございます。
次のページをお願いします。そこで、このばらつきを解消するための方法として、自治体間で情報共有する仕組みの構築や、今流行りのAIを活用できる仕組みの構築がよいのではないかと考えています。自治体間での情報共有の例は、事例などを蓄積できるデータベースの作成や、担当職員の連絡会などを環境省のほうで開催いただくということを例として挙げております。また、AIを活用できる仕組みについては、ガイドラインや土対法に関する通知などを機械識別できるように電子化して、機械で検索できるようにすると、関係者が見やすくなるのではないかなというふうに思っております。
以上で明石市からの提案を終わります。ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、続きまして、全国中小企業団体中央会からご意見をいただきます。全国中小企業団体中央会からは専務理事である佐藤委員からご意見をいただきます。
では、佐藤委員、よろしくお願いいたします。
(佐藤専門委員)
全国中小企業団体中央会、専務理事の佐藤でございます。今日はこのような、意見発表の場をいただきましてありがとうございます。
資料4をご覧ください。2ページ目、組織概要です。中央会は都道府県に一つずつあり、全国中央会がその一つ上に全国団体としてあるという構成になっております。
各都道府県の中央会は、その下に事業協同組合や、信用協同組合、協業組合、企業組合というそれぞれの組合を傘下に抱えております。その他の県ごとではない、全国組織である全国組合や、全国商工団体といったものは全国中央会のほうで対応するという仕組みになっております。
具体的な組合の下に各中小企業者の方々がいらっしゃり、現在、私どものほうの中央会は、組合数が全体で今2万7,000組合、そして、単純に累計しますと、企業と個人事業主両方合わせて、傘下の中小企業者は約222万者を持っているという状況でございます。大体今、全国の中小企業は330万者強と言われておりますので、約6割強の方をカバーできるという状況でございます。
私どもの事業内容は、右にありますように、今日ご議論いただくような新しい法令などの情報があった場合には、それを速やかに周知することがございます。そして様々な相談ごとにおいても、組合の事務局を経由して、中央会、そして全国中央会のようなところに上がり、本日のような要望事項につなげていくという仕組みとなっております。今日は、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会と、全国鍍金工業組合連合会の二つのヒアリング調査先の事例をご紹介いたします。
4ページをお開きください。まず、クリーニング業界のほうの状況としまして、クリーニング生活衛生同業組合の連合会からのヒアリング内容でございます。
業界動向としては、全国で約3万9,000の事業者がいらっしゃいますが、常用雇用者20人未満の事業者が全体の96%弱でして、特に常用雇用者数4人以下の零細企業が全体の83.1%と大半を占めております。また、大部分は平成15年の土対法の施行以前から操業しているという長い歴史を持っていると同時に、それらの情報が承継されにくいという実態がございます。
また、既存の事業者を承継したり、買収したりして新規参入を目指す事業者が少なく、後継者不足から転廃業が多いという状況であり、先ほども申し上げた情報が継承されにくいという実態にも繋がっております。クリーン業界の施設は、一貫して減少が続いておりまして、最盛期の5分の1以下になっているという状況でございます。また、それに伴って、汚染物質を使っているところも少なくなってきているというのが現状でございます。
問題点・懸念事項としましては、小さな零細企業が多いため、職住一体型の自宅兼事務所となっている町のクリーニング屋さんが多く、廃業した後もそのまま2階で住んでいるというようなケースが多いため、調査猶予が継続されているケースが多くなっております。
また、仮に地歴調査や、試料採取調査などを行う場合、この費用の工面が難しく、既に廃業をした方々は生活資金しかないため、新たな調査費用が工面できないことが多くございます。また、廃業届を提出しないまま塩漬けになっている土地が増えているという状況でございます。
そして、小規模、零細事業者が多く、マンパワーが不足しているという点でも対応が困難という状況でございます。
5ページに参りますが、仮に試料の採取調査などをする場合に、敷地が狭隘であるため、例えば、今生活している建物の下のコンクリートを剥がして調査しなければいけないというような状態となり、敷地内での調査が物理的に難しいという面もございます。
仮に基準不適合土壌が確認された場合には、狭隘な土地のため、操業を継続しながらの汚染の除去が困難である上、土地改良の資金を捻出するのは困難であり、土壌汚染浄化費用も負担しなければいけないため、自己破産や相続放棄等により、後継者がいる場合においても廃業が加速することが懸念されております。さらに風評被害などに加えて、不動産担保価値が下落するということも懸念されるため、表に出しづらいという実態もございます。
特に一つ問題なのは、テナントとして入居している場合には、土地の所有者と事業の実施者が異なりますが、法律上の浄化責任は土地所有者にあるため、契約上、仮に廃業した場合における原状復帰といった不利な条件が課されており、この点の解決が難しいと感じている状況でございます。
続きまして、6ページ目、メッキ業界、鍍金業界の実態でございます。現在、鍍金業界でも、クリーニング業界と同様に、地歴調査の一時免除の規定の適用を受けている事業者が全国に相当数いるという状況でございます。仮にこの規定が廃止された場合、地歴調査だけでも数十万円の費用が発生すること、また、試料採取となった場合には、多額の費用が発生することから、費用負担、資金繰り面で対応困難ということが想定されます。
また、地歴調査の保存については、自治体行政のデジタル化が進められていることに加え、特定施設の届出は自治体に提出しているため、行政側で管理していただきたいという要望がございます。
また、事業所敷地内の汚染状況は、ボーリング調査を実施しなければ把握できませんが、先ほどのクリーニング業界と同様に、特に東京都内の町工場等の敷地が狭隘な事業所で操業中の事業者が行うことは、物理的に困難でございます。
また、ボーリング調査が可能な場合でも、それを行うことで、銀行等の融資先から一方的に低い評価を受けるというリスクも想定されます。追加担保を出す必要が生じたり、事業者の信用に関わる銀行からの評価が下がって、不動産取引にも影響が出てきたりすることが懸念されております。
7ページ目をご覧ください。土地を借りて操業している場合、土地所有者と調査費用をどのように折半するのか、もしくは原状復旧を求められ、事業者が全額負担しなければいけないのかを整理することが必要になってまいります。特に事業承継等が繰り返され、土地が転々とされたような場合には、最終的に持った土地所有者と、汚染原因者との間が離れてしまい、整理が難しくなるケースが出てくると考えております。
地歴調査の一時免除の規定を廃止し、地歴調査の契機を拡充する場合、事業者の負担が増えるということと、国民の健康保護のための防止措置であることのバランスが非常に大事だろうと考えております。小規模事業者にとって大きな負担とならないよう国の支援策、自治体の支援策を含めた検討をお願いしたいと考えております。
また、そういう意味で、東京都さんの土壌汚染アドバイザー制度は、メッキ事業者も活用しており、有効な制度と考えておりますので、同じような制度を全国の事業者が活用できるように、国の制度拡充をお願いしたく思います。
繰り返しになりますけれども、東京都のようなGR・SRの経済的な観点の考え方を取り入れ、人への健康被害、環境保全、経済性のバランスの均衡を目指し、柔軟な運用に向けて、中小企業・小規模事業者が対応できるような法律運用をお願いしたいと考えております。
以上をまとめたものが、8ページでございます。繰り返しになりますが、やはり地歴調査の契機拡大が、新たに事業者の廃業や相続放棄などに繋がり、放置土地が増えてしまうおそれもありますので、小規模事業者の負担に対して十分配慮いただいた上での措置のご検討をお願いしたいということでございます。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
それでは、ここまでの3団体のご意見につきまして、ご質問を承りたいと思います。ご発言のある方は、ネームプレートを立てていただくようにお願いいたします。WEB参加の方は挙手ボタンでお知らせください。
では、江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
江種です。東京都さんに2点お伺いしたいことがあります。
1点目は、6のところで、詳細調査を土壌汚染状況調査と一緒に出し、区域指定前に報告した場合には、三次元での区域指定ができないかとあります。その2ページ後の8のところで、搬出規制の規制対象を要措置区域内の土壌ではなく、基準不適合土壌に限定できないか、三次元での規制とできないかとありますが、これは措置を行うための範囲指定をするために詳細調査をしてきた場合に限定されるんですか。それとも、三次元的な新たな土壌汚染状況調査といったものをつくるべきという意見なのか、お伺いしたく思います。
2点目は、11の自然由来のところで、都条例では区域指定をせずに、搬出時の管理をされているということですが、自然由来特例調査を行って、自然由来汚染がありましたというときに、区域指定をしない状況で、搬出される土地がどのように管理できるのかと疑問に思っております。区域指定を行わずにどのように自然由来等土壌の搬出を管理できるのかがよく分からないので、どういった管理をされて、搬出のみでどのように自然由来の汚染を管理しているのかという点について教えていただきたく思います。よろしくお願いします。
(大塚委員長)
何人かまとめてお話しいただきたいと思います。
では、石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
ありがとうございます。3点ほど質問させていただきたいことがあります。まず1点目は、東京都様の資料の7ページに、特定施設の設置者と土地所有者等が異なる場合のトラブルということで、現実としては、施設の設置者が調査を実施し、土地所有者等の名前で報告されるパターンが大半で、9割ほどというふうに書いてありますが、その左下に、どちらが調査をするかをめぐって闘争になっているとも書かれております。
このように、どちらが調査するか闘争になっている現場で、設置者が調査を実施して、土地所有者等の名前で報告するという形に落ち着いているのは、両者の間の話合いで落ち着いているのか、それとも東京都が何かアドバイスのようなものをするプロセスがある結果、こういう形になっているのでしょうか。実際に、原因者といいますか施設の設置者と土地所有者等が異なる場合に、現場で何か行政の負担が増えていたり、何か困っていたりすることがあれば教えていただけるとありがたく思います。
2点目なんですけれども、これも東京都様の資料の17ページ、上の番号だと10番目の台帳・情報公開・情報承継というタイトルのスライドで、真ん中辺りの吹き出しの二つ目のチェックに、都では条例第118条各項の規定により、土壌汚染対策に係る記録の保管、承継及び情報の提供を義務としているというふうに書かれております。このような都条例での運用のご経験から、法律でも承継を義務化するべきではないかという議論になるのだと思いますが、この条例での義務づけには罰則がないと思います。さらに、都のほうでも特に届出は求めていないということで、把握もしていないという状況かと思われますが、この条例での義務づけによって、情報の承継にどの程度実質的な効果があるか、しっかり承継されているのかという部分について、教えていただけたらと思います。その関係で、法律で承継義務を新設する場合に、罰則規定を設けるべきであるとか、国によるデータ管理が必要であるとか、そういったお考えがあれば、教えていただければと思います。
それから、3点目ですが、これは全国中小企業団体中央会様の資料の6ページ目になります。一番下の箇条書のところに、ボーリング調査をするだけでも銀行等からの評価や不動産取引への影響が懸念されるとあります。また、ページが変わりまして、8ページ目の④のところには、土壌汚染の公表により、いろいろなリスクがあるので、公表については十分な配慮が必要であると書かれております。情報公開に関しては、まず、調査猶予地であることの情報を公開すべきかどうかという論点があり、恐らくその点については、公開については十分に配慮すべきというご意見になるのではないかと思います。もう一点、汚染がないという情報について公開すべきではないかという論点もあるかと思いますが、汚染がないという情報については公開しても、特に問題ないというお考えになるかという点を教えていただければと思います。以上です。
(大塚委員長)
光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。東京都さんに3点ほど教えていただきたいんですが、1点目は、6.区域指定手続の簡素化の意見・提案のところに、三次元での区域指定というご提案がありますが、三次元で区域指定した場合のメリットをどのようにお考えなのか教えていただきたいということでございます。
2点目は、10.台帳・情報公開の意見・提案のところで、汚染が確認されなかった土地などについて、東京都条例で、最低限の情報を公開していくよう条例規則の改正を実施されたと記載されています。汚染の調査の時期によって、対象物質等の情報は違ってくる場合もあると思うのですが、どのような情報が公開されているのか可能な範囲で教えていただけませんでしょうか。
3点目は、11.自然由来等土壌のところで、土地の資産価値に土壌汚染が影響することは様々な鑑定評価や、いわゆるマーケットでも当然出てきておりますが、仮に区域指定されていた場合、固定資産税等の土地の評価を行う際に、東京都さんの中ではその情報が共有され、例えば固定資産税評価に反映されるといったことはあるのか教えていただきたく思います。
以上です。
(大塚委員長)
原委員、お願いします。
(原専門委員)
東京都さんに2点質問です。資料中の2.有害物質使用施設のところです。
1点目は、調査猶予率の話がありますが、継続案件を含んで年々計上しているものなのか、1年当たりでこの数が猶予率として出てきているのかお伺いしたく思います。また実情として、何年程度調査猶予されている方が多いのかについてもお伺いしたく思います。
2点目は11.自然由来のところです。こちらは区域指定の解除が事実上できないため、区域指定するよりも、指定土壌という形で運用する方が良いということだったと思います。東京都の場合、地質的に海水由来の沖積層が多く、ふっ素、砒素が多いという状況だと思いますが、自然由来で区域指定された場合、区域間の土壌の輸送が可能で、処理をしなくても移動だけで良いというメリットもあるかと思いますが、実態に合っていなかったり、意味がなかったり、実情としてはあまりメリットがないという状況なのかをお伺いしたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
寺浦委員、お願いします。
(寺浦専門委員)
幾つか質問させていただきたいと思います。
まず、東京都様の3.土壌汚染状況調査の報告者についてというところで、特定施設の設置者も報告することができる規定とならないかとご提案いただいております。これについて何か具体的に、こういう規定にしたらいいと考えているものがありましたら教えていただきたく思います。
それから、5.土壌汚染状況調査の意見・提案の一番下に、能力が疑われる指定調査機関について自治体と指定者で情報共有する仕組みを設け、指定者が是正の指導をできないかと記載いただいております。どういった点で能力が疑われているのか、またどのような情報共有する仕組みを想定し、何を目指すということか教えていただきたいと思います。
次に、明石市様にご質問です。11ページの法第4条第1項の届出の対象範囲の見直しについてというところで、山林や農地、河川敷地等であれば届出不要だが、不法投棄の確認は必要と記載いただいております。山林等の人為由来が本来ないと思われるところであっても、不法投棄によって土壌汚染が発生するケースがあり得るということだと思いますが、この不法投棄の確認をどのように行うことを想定されているのか、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
それから、全国中小企業団体中央会様に御質問です。2ページでヒアリング調査先はこの2団体と書いてありますが、ほかの団体には今回は特段ヒアリングはされていないということでしょうか。
以上です。よろしくお願いします。
(大塚委員長)
勝見委員、お願いします。
(勝見専門委員)
ありがとうございます。明石市さんと全国中小企業団体中央会様、非常に限られたリソースで大変苦慮されているということをご説明いただき、よく分かりました。ありがとうございました。大事なことだと思いました。
東京都さんに質問です。11.自然由来について、前の改正で自然由来の土壌を活用するというものが出てきましたが、それはどういう形で実施されているのかということをお聞きしたく思います。また今回、土地ではなく搬出時の土壌に規制をかけることを提案されていますが、シンプルに自然由来が存在する場合であれば、問題無く規制できると思います。一方で、自然由来と人為汚染の区別、判別が難しい現場や、両方存在することが分かっている現場のような場合に、どのように具体的な規制まで進めていくのか、具体的なイメージをお持ちであればお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
西井委員、お願いします。
(西井専門委員)
西井でございます。ご説明いただき、ありがとうございます。私からは1点意見、そして1件ご質問させていただきます。
まず意見です。東京都さんの資料の3、法3条の土壌汚染状況調査について、土地の所有者だけでなく、特定施設の設置者も報告することができる規定とならないかというご提案がございました。その意図は理解いたしますが、今までの経験上、その場合であったとしましても、どちらが調査するか、両者間でトラブルとならないよう、例えば義務の優先順位を明確にしておくといったことが必要ではないかと思います。
もう一点は、東京都さんの資料の10.土壌汚染対策に関する情報公開に関するご提案についてですが、情報公開法に基づいて行政文書の開示請求を受けた場合には、自治体は担当者が1件ごとに対応するほか、第三者に照会をかけたりなどの相当程度の労力がかかると思います。一方で、ホームページで一斉公開するといったことは、風評被害により土地の価値を下げてしまうことも懸念されるため、自治体によっても判断が分かれると考えております。ですので、こういった自治体の情報公開の範囲のようなものを、法制度のほうでも論点として検討するべきといった東京都さんのご提案には、私も賛同いたします。ちなみに、大阪府では法3条の猶予中の土地情報だけでなく、有害物質使用特定施設の届出情報もホームページで一斉公開しておりますが、今のところ苦情等はないと聞いております。
今後、法改正等において情報公開の対象について検討していくに当たり、東京都さんと明石市さんにお尋ねさせていただきます。猶予中の土地の情報や、有害施設の届出状況、またその他の情報について、独自でホームページなどで公開されている事例がありましたら教えていただきたいと思います。また今後、こういった情報は公開すべき、こういった情報は公開すべきではないというお考えがありましたらお聞かせいただきたく思います。以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
(小林臨時委員)
ありがとうございます。小林です。2点ほどご質問させていただきます。
1点目は、ガイドラインについてです。ガイドラインに関しては、厚みも増して使いにくいという意見も聞かれますが、東京都さんや明石市さんのお話ですと、厚さというより様式の充実や、電子化、作成例の充実のように、厚みは厚くなっていくとしても、使いやすさを充実するべきというご提案でよかったかというのを確認したく思います。
もう一点、全国中小企業団体中央会さんに質問です。操業中の汚染対策を進めるという意味で、調査の契機拡充が話題に挙がっておりますが、例えば今回のクリーニング業界や、メッキ業界ですと、かなり汚染がある確率が高いと認識しております。そのような場合、操業中の対策を進めていく必要がありますが、最後のまとめのページには操業中の汚染対策を各業界ともに講じているという記載がございます。実際に操業中の汚染対策を進めている事業者さんや業界団体で、有効な事例や推進策等があれば教えていただきたく思います。また例えば浜松市さんは条例で調査を進めたわけですが、そのように少なくとも高濃度の汚染だけは把握をし、操業中汚染対策を進めていくような、そういった取組についてお考えを聞かせていただきたく思います。
また東京都さんにお伺いしますが、土壌汚染対策アドバイザー制度を実施しておられますが東京都以外の自治体だと制度の実施が難しいと思います。そういう制度を、基金等を活用して全国に拡大する必要性や、アドバイザー制度を運用している中で感じる中小企業対策の課題がありましたらお伺いしたく思います。
以上です。
(大塚委員長)
足立委員、お願いします。
(足立専門委員)
不動産協会から、1点、東京都さんに意見です。
2.の法3条関係の3枚目、意見・提案のところで、宅建業法に関わる重要事項説明の中に、調査猶予の内容を必須にしてはどうかというご意見がございました。我々は不動産の取引において宅建業法に関係しております。重要事項説明は、必ず売買契約のときに伴うものですが、これにより承継という意味で明確化されますので、業界としても賛同いたします。
ただ、そもそもデジタル化が検討されておりますので、こちらの内容もデータとしてデジタル化される内容に含まれて、公開をどこまでというのもございますけれども、公開性がある程度こういう内容も含まれれば包括されるのかなと思いますので、短期的にはデジタル化が時間を伴うものであれば、こういった要綱の改正というところについては、賛同するところでございます。今回のこの法改正とは別の場面になると思いますけれども、そういったところがあれば考えたいと思います。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
私からも数点質問させていただきます。まず中小企業団体中央会様でございますが、最後の8ページで、資金負担の面も含め対策を講じる必要があると記載されていますが、土壌汚染対策基金に対して何かお考えを持っていましたらお伺いしたく思います。
それから東京都さんですけれども、主に2点あります。ご指摘のように自然由来の汚染に関して区域指定をどうするかというのが今回の見直しにおける大きなポイントの一つになっておりますが、11.の意見・提案にて、土地ではなく搬出時の土壌に対して規制ができないかというご意見をいただいております。9.のページで、認定調査という考え方を改められないかという意見を出していらっしゃいますが、搬出の規制をどうやって行うかを考えなくてはいけないので、その規制についてお考えがあったら教えていただきたいと思います。11.に書いてあるように搬出の規制をしなくてはいけないとすると、アンバランスになる可能性もあり得ますが、割り切りにしてしまうと、多分搬出の規制は難しいと思いますため、そこはどうお考えか教えてください。
もう一点ですが、今の点との関係で、前回土壌環境センターから提示された、汚染が下に落ちて汚染分布が変化することがあるので、三次元調査ではそこをどうするかという技術的な問題があったと思いますが、それについてはどうお考えですか。
それから、4.の意見・提案の二つ目のところで、ただし書き確認の解除要件を含めて抜本的に当項を見直すべきということの具体的な内容がよく分からなかったため、改めて教えていただけるとありがたいです。
私からは、以上です。では東京都さんから回答をお願いします。
(東京都)
非常に多くのご質問、ありがとうございます。
まず最初ですが、江種委員からの、詳細調査について必須とするのかそうではないのかというご質問ですが、東京都の考えとしては、これは必須ではなく、あくまでも任意のできる規定でいいと思っています。調査負担の軽減の考えからも、基本的には東京都としては土壌の3Rということで、なるべく搬出抑制をして、基準不適合土壌とうまく付き合うことを考えているので、最初から三次元的に把握する必要はないと思っています。ただ、必要に応じて搬出する場合も往々に想定されますので、その際に不必要な範囲まで基準不適合土壌として搬出する必要がないように、できる規定という形でバランスを考えて取っていけばいいと思っております。
次、自然由来の質問について、ご質問された順番にお答えしていきます。11.の区域指定を行わずにどのように自然由来土壌を把握するかというところです。今後、現行の法制度と合わせながら検討する必要があるかと思いますが、まず、特に東京都の場合は沖積平野の有楽町層といわれる海成堆積物層に砒素や、ふっ素が含まれているところですが、調査の際に必ずしも出るわけではございません。例えば、都の場合は条例117条の地歴調査もありますが、法第4条にて汚染のおそれがないと言われてしまった場合には、調査命令をかける蓋然性がないという判断になってしまいます。
一方で、自然由来が出る可能性というものも往々にあり得るということで、東京都では条例122条の規定で適用除外というのがあり、基本的に自然由来の場合は各条文について適用しないとなっています。一方で、搬出に関してはその限りではないという書き方をしていますので、汚染のおそれなしとして法第4条1項、条例の地歴調査で手続きが終了したとしても、事業者に対して、工事計画で搬出するかしないか分かるので、搬出する場合において搬出土調査を行い自然由来が見つかった場合には、条例117条3項に準じた形で届出を提出するように、手引等に記載しております。それに基づいて届け出られたものについては、この4月に条例規則を改正しまして、自然由来等台帳として調整し公開することとしております。このような形でトレーサビリティを担保するという状況になっているところでございます。
そのため、法律にこの条例の仕組みをどこまでうまくかぶせられるかという課題はあるかもしれませんが、東京都では土壌の塊と考え、上手く制度として回っている実情がございますので、ご参考にしていただきたいと思っているところでございます。
続いて、3.のところで、事業者と土地の所有者がもめたときに、東京都が間に入るのかどうかという質問ですが、基本的には東京都の場合は、有害物取扱事業者に義務がかかります。それでも事業者と土地の所有者それぞれに義務があるんだということを説明すると、土地の所有者の人が反発をする実情もあり、どうしても解決せず、説明が個別に必要という場合であれば、東京都の職員が行ったりしている場合もあります。ただほとんどは、まずアドバイザー制度を活用してみてくださいという案内をし、それでも解決できないのであれば、もう民事的に対応していただきたいというお話をしてきているところでございます。
次は、10.の情報公開、条例118条規定でございます。条例118条では、有害物取扱事業者等に対して、各調査、対策完了があった際の情報は土地の所有者等に承継をすることという規定を設けておりますが、ご認識のとおり、特に罰則規定は設けておりません。また、その施行状況については、各自民事的にやっていただくというところで、東京都としてデータを持っておりません。こういった条例の有害物取扱事業者関係は区市に下ろしておりますが、少なくともこの項を設けて、特段この規定が足かせになる、もしくはこの規定が中途半端なためもめたということは伺っておらず、比較的この情報承継のところは、うまく回っていると思っています。
一方で、おそらく情報の承継で問題になるのは、法3条ではなく法4条だと思っております。当事者がいる部分はある程度把握できるのだと思いますが、むしろ法4条の場合というのは、大規模改変契機を捉えて上がってくるため、その情報承継というのは一つ課題であると認識しているところでございます。
続いて、6.のところでご質問がありました、区域指定を三次元化するメリットというところでございます。三次元的に調査を実施し、基準不適合土壌範囲として法律上、確定させるということになるため、一番は基準不適合土壌以外の土壌を、いわゆるみなし汚染土壌として搬出する必要が無くなるという点が最大のメリットであると思っています。先ほどお話ししましたとおり、東京都としては搬出自体を抑制をしていきたいという考え方のため、三次元調査を行わなくてもそのままうまく形質変更していただければと考えていますが、もし三次元的に掘削、搬出をするのであれば、ここにメリットがあると考えています。なお、法定調査時に調査を行わなくても、その後に追加調査を実施し、追加指定するという考え方もあり得るのではないかなと考えております。
次が、10.の汚染が確認されなかった土地について、どういう情報が公開されているかというところでございますけれども、これは今年の4月1日に改正施行した部分で、基本的には条例116条です。法3条に相当する調査、もしくは条例117条、法律でいうと4条に相当する調査の結果、その調査対象物質が基準適合を確認された場合には、汚染が確認されなかった土地として、基準適合台帳という形で台帳が調整されます。そのため、26物質全てに対して基準適合とは言っておらず、ある調査契機を捉えて、そこで調べる調査物質について条例調査にのっとった結果、適合だったということでございますので、26物質全てに対して汚染が確認されなかったというミスリードにならないように、台帳には免責規定等も書き、意識しているというところでございます。どこまで公開するのかについては東京都内でも様々な議論を行いましたが、公益性と個人の権益のバランスを考えた際の最低ラインを、条例を施行する上で必要な範囲として、限定的に公開しているところでございます。
続いて11.の、固定資産税の評価についての話について、明確な情報はなく様々な不動産の考え方があると思うのですが、不動産取引のときに最有効使用を考えた上で、本来であれば必要最低限それに使う費用だけを減価するところ、ヒアリングによって実際はかなり減価されているという話や、固定資産に関しては、少なくとも一定程度、減価が一律になされているというようなことは伺っているところでございます。
続きまして、2.の調査猶予部分について、まずこのグラフは延べではなく、年ごとでございます。そのため、毎年これだけの件数の、3条1項の義務が生じて調査報告もしくは調査猶予が選択されているところでございます。長い方はどれだけ猶予されているかということについてですが、正直申し上げますと、法制度ができた当初程度から調査猶予を取られている方もいらっしゃられるかと思います。正確な情報は今すぐにはお答えできませんが、基本的には調査猶予を取った場合、解除をするほうが少なく、調査猶予地が増える割合のほうが圧倒的に高いという状況になっています。それだけ土地を動かしにくい状況になっていると考えているところでございます。
続いて、11.のところ、自然由来について区域間移動ができるメリットはないのかというところですが、そもそも東京都の場合は、自然由来による汚染のおそれありと届出される事業者、届出者がおらず、自然由来特例区域がほとんどございません。水面埋立土砂由来等で、区域間移動を使えないかというところについては、11スライド目の中の意見・提案の二つ目がまさにその話になります。我々としては、区域間移動を積極的に活用したいですし、土壌の3Rの観点からも自然由来等土壌の活用を提案しているのですが、各工事部局等の規定で、基準不適合の土壌は、例えば裏込材とかに使えないとか、そういった内部ルール、ガイドラインがあるという状況です。最初は、そのような土壌を有効活用するという流れがあったのですが、土壌汚染対策法で規制をかけたことによって、後追いであちらも規制がかかってしまったもので、今般合理化を図る際も関係する制度等との連携等が必要であると提案させていただいたところでございます。ある資源について、区域間移動等を用い、有効活用すべきと東京都としては考えているところでございます。
続きまして、3.に戻りまして、法4条2項のような同時報告の規定のイメージがあればということなんですが、昔の規則でありました4条1項、2項のような、同意書のように、同意を取って、報告することを想定しております。報告書を出すことについては、土地の所有者等が同意をした上で特定施設の設置者名で法3条1項の報告を出すというような流れを想定しています。
次が5.の指定調査機関の能力が疑われるというのはどういったことかという点ですが、例示としましては、資料中に書いてあることの他、本来であれば指定調査機関が判断すべき内容を、自治体に判断を委ねるようなことです。例えば、東京都が言ったからこうやったんだというようなことがあります。運用という面も強いですが、法定調査の根幹について、こういったことをおっしゃる指定調査機関がいるのも事実でございます。当然、このような指定調査機関がいる一方で、優良な指定調査機関さんもいらっしゃり、おそらく他の自治体さんでも思われていることが多くあると思うので、このような情報を吸い上げると、その実態が見えてくるかと思い、意見させていただいております。
次が、また自然由来について、活用できないかどうかというところは今申し上げた通り、区域指定制度をうまく東京都として活用できていないということと、ほかの制度との兼ね合いの関係うまく使われていないという状況です。実際、我々が間に入って事業者との調整を試みたことがございましたが、やはりこのような理由で難しいと言われてしまった実態があります。
続いて土壌の搬出時の調査の具体的な方法はということについて、これもおそらく切り離して考えることは難しく、まずはバックグラウンド濃度をしっかり把握していくことが肝要だと思っています。その上で基本的に、人為由来の汚染のおそれがないところは、東京都の場合は自然由来の汚染の届け出は上がってこないので、人為由来と自然由来が重なることはないかと思います。問題になるのは人為由来から入って自然由来に変わるような場合です。例えば自然由来がありそうな土地で2深度連続の基準適合とならず、あるところから人為由来から自然由来に変わっているようなところがあったときに、搬出規制として搬出時の考え方を整理していくのか、バックグラウンド濃度と同値なので、バックグラウンド濃度の範疇の間は対応が不要とするのかという考えもあり、そういう意味で人為と自然由来は本当に分ける必要があるのかという議論も必要だと思います。高濃度な汚染については人の健康被害の防止という観点で行うべきですけれども、自然由来レベルのものについては、人為由来、自然由来という議論とは別に、リスクコミュニケーションも併せて議論をしていく必要があると考えているところでございます。
続いて10.の情報公開のところで、風評被害についての話と、大阪の場合は調査猶予の情報も出しているが東京都では規定以外にも公開しているかという話ですが、規定以外は公開していません。情報公開にはニーズがあるので、出せるのであれば出したいのですが、公益性と風評被害といった権益性のバランスという観点と、法や条例の趣旨という観点です。条例の趣旨を鑑みた上でのバランスを考える必要があり、調査猶予についてはネガティブな意見も多いため、今回は汚染が確認されなかった土地や、自然由来等土壌について公開し、調査猶予については引き続き検討という状況になっています。
その他に土壌汚染に関して公開するべき情報があるかということでは、今のデジタル化の流れも踏まえ、行政が保有している情報については限りなくオープンデータにしていったほうが、民間事業者等による利活用の促進や届出情報が社会全体で共有されるという観点ではよろしいかと思います。ただ、まだ土壌汚染対策に対する社会全体の理解醸成が進んでいない中で、どこまで公開するかということは十分に決めていく必要があると考えております。
続いて、ガイドライン等について、使いやすさが重要かというご質問ですが、おっしゃるとおりかと思います。もう一歩踏み込んで申し上げるとすれば、使いやすさというよりも、誰に向かってこの冊子を作っているかを明確にしてほしいというところです。例えば現行のガイドラインは、非常に細かく書いてあるところですが、必ずしも全員が同じ土俵に座る必要はないと考えています。ニーズや需要に合わせたレベル感のガイドライン等を作っていくべきで、それが結果的に土壌制度に対する理解が進むものと考えております。
また、東京都のアドバイザー制度についてもご質問いただきましたが、派遣実績にある通りアドバイザーの派遣については年々増加傾向にありまして、一定程度の需要はあると考えております。一方で、全国の自治体で同じような制度を作っていくことは、難しいかと思っております。アドバイザー制度といった業態に限らず、土壌汚染対策の情報を丁寧にうまく伝えるような仕組みをきちんと考えていく必要があるのではないかと思っております。
続いて、また自然由来について、何回も同じ対応になってしまいますが、自然由来等土壌を土地ではなく、土壌の塊として考えられないかと提案している意図は、過剰な掘削除去を抑制したいということに加え、区域指定が忌避されている実態を捉えられていないという点を打破したいということです。アンバランスの是正は確かに難しいですが、区域指定制度とは別で、土壌の固まりとして捉える等、少なくとも合理的な範囲の中で対策することを考えていく必要があると考えております。そのためには、例えば東京の場合、沖積平野で海生堆積物が浅いところがほとんどでございますので、そういったところのバックグラウンド濃度の把握や、それに合わせたリスクコミュニケーションを合わせて実施していく必要があると考えております。
続いて、4.のただし書き確認の解除要件の見直しに関する提案の詳細については、今は例えばあるAという工場があって、特定施設を廃止するがAの工場は稼働しているので調査猶予を取っている状態で、900m2以上の改変をした時、Aの工場としての機能が変わらなかった場合は、解除要件には該当しません。ただ、有害物質使用特定施設の廃止を経ているので、他の有害物質使用特定施設がなければそれ以上有害物質使用特定施設の影響がないはずであり、事実上は3条1項調査に進んでもいいはずであると考えています。東京都の運用としては事実上の解除として受けておりますが、法制度的なところで、もう少し実態を踏まえて見直すべきではないかという提案でございました。
最後に、3次元の調査の中で、上から汚染が落ちてくるのではないかという点は、確かに技術的な課題でございますので、自治体側で技術的な回答は明確には持ってはおりませんが、地質等の情報が必要と思っております。本日バックグラウンドという話をしましたが、土壌汚染は、土壌、地質、地下水と密接に関係がある一方で、調査や対策にうまく捉えられていない実態があると考えております。調査への落とし込みについても、当該土地の土壌の層序や、地下水の高さに配慮しつつ、ボーリング調査で土壌の落とし込みをしないように配慮をするというような考え方の提示というのも必要ではないかと思っております。
以上でございます。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では、次は明石市様、お願いします。
(明石市)
まず、山林等の届出は必要ないとの提案について、どのように想定されているのかということですが、現行は3,000m2以上の土地を形質変更しようとするときに届出が必要となっていますが、届けるというよりは調べた上で相談、報告しにきていただいて、聞き取り調査を行い、届出が不要であることをお答えしたらいいと思っています。
次、公開の有無についてですが、現在、ホームページ等では、明石市では土壌汚染関係に関する資料は公開しておりません。ある一定の情報は公開すべきとは思っていますが、特定施設台帳を公開するべき、有害施設の有無については公開できない等、どこまで公開できるかは議論の最中でございます。
最後にガイドラインについてですが、先ほど東京都さんもおっしゃったとおり、使いやすさを目指してほしいと思っています。ガイドラインは詳細に書いたのも必要だと思いますが、自治体はここを見るべき、事業者はここを見るべき等、見るべき箇所がわかりやすくなればいいと思っています。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、中小企業団体中央会様、お願いします。
(佐藤専門委員)
汚染が確認されなかった土地を情報公開すべきではないか、それについてどう考えるかというご意見でございましたが、もちろん汚染が確認されなかったところは情報公開していただくのはよい思います。ただ、例えば、町の中でクリーニング屋さんが2軒並んでいて、1軒調査して確認されなかった場合に、1軒の土地は公開されて、もう1軒の隣のクリーニング屋さんは公開されないとなると、反対に解釈をされ、あそこは汚染されていると言われてしまうおそれがあります。
そのため、例えば先ほど、調査猶予のところを公開するのかという東京都さんのご意見がありましたが、調査猶予の段階で調査を実施したところと実施していないところが同業種で同じ地区にあるといった場合に、先ほどのような反対解釈による風評被害といったものをどう整理するかというところが一つの論点と思います。
土地台帳に登録された場合は公開されるというような行政上の義務があるかもしれませんが、例えば、土地の売買が行われることを契機に土地を調査して、汚染されていないことが明確になった場合には、公開をしていただくというほうが、ポジティブな意見になるだろうと思います。そのような具体的にビジネス、取引の中で損害が出てこないようにという観点で情報公開の対象にしていただけるとありがたいと考えます。
2番目は、クリーニングとメッキ以外の他団体のヒアリングをしなかったかというご意見ですが、これはしておりません。化学工業協会さんとか建設業界さんとか鉄鋼業界さんから様々なご意見を既にいただいており、その業界の中小企業についてはそちらで把握されていると考えております。それらの意見から漏れることが想定され、特に特定有害物質を使っているこの2業種をヒアリングいたしました。
それから、高濃度で汚染されている場合の対策はどんなものがあるのかというご質問でございますが、基本的には、ほぼ掘削を求められるという状況でございます。掘削や搬出、それの調査、モニタリングをする費用がかかるため、必要な費用が増加していくというのが現状でございます。そのため、そういう場合には例えば、その土地は畳んでしまい別のところに移転するとか、追加の汚染がないように汚染対策を強化して汚染を防止するといった手法をまず取るのが実態だと思います。したがいまして、仮に高濃度の汚染を除去する場合に、掘削以外の方法で何か技術的に解決できる方法をお示しいただけないかという希望が多くございます。また、費用があまりかからないものであれば、ぜひ推奨していただきたく思います。例えば、人に健康被害を与えず、除去ないしは封じ込めができ、掘削をしたのと同様の状況になるということであるならば、それも汚染除去の対応として認めていただくことを、ぜひ考えていただきたく思います。
それから東京都さんのアドバイザー制度についてですが、使わせてもらっており、大変ありがたいという声をいただいております。同じような知見を持っていらっしゃるアドバイザーを全国でも設置いただいて、そのアドバイザーないしは国にすぐ相談に行ける仕組みがあると、技術力が無く対応に苦慮している中小企業にとって、大変ありがたい状況でございます。
基金についても、ぜひ拡充をしていただきたく思いますが、問題は、除去対策に使われる費用の4分の1の自己負担という仕組みだと思います。例えば、掘削などをする場合には2か月、3か月といった長期間操業を停止し、またはその設備を移転する必要がございます。長期間にわたるため、操業停止をしている間の費用負担をどうするのかという点も悩みでございます。例えばこの費用負担を金融機関に求めにいくと、汚染のある土地ということを理由に土地の評価を下げられる、新しい金利を高くされるというような、金融機関からの貸出態度がきつくなったり、新規の借入れができなくなったりすることもございます。
まとめると、掘削以外の方法、特に操業を止めずに行える方法があれば、一番ありがたく思います。もし止めるのであれば、操業停止のための費用も合わせてお考えいただけるとありがたく思います。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、次の議事に移ろうと思います。(一社)日本化学工業協会からご意見をいただきます。
(一社)日本化学工業協会からは環境安全委員会環境部会主査の森様にお越しいただきました。森様、どうぞよろしくお願いいたします。
(日本化学工業協会)
はい、日本化学工業協会環境部会の森と申します。よろしくお願いいたします。
本日は土対法の見直しに対しまして日化協の意見、要望の機会を賜りまして大変ありがとうございます。
ページをめくっていただいて2ページ目でございます。日化協において土対法についての関連情報は主に環境部会で共有して意見の交換をしております。
環境部会は日化協の中にあります8つの委員会の一つの環境安全委員会というものを親会にして、その下の3部会の一つでありまして、構成は大体現在40社、12団体から成り、ほぼ毎月部会を開催しているという状況でございます。
これまで我々は、様々な機会において土対法に関する意見、要望を発してきております。これについて3ページ目から6ページ目でご紹介したいと思います。
まず、3ページ目でございます。
例の1としまして、平成27年の規制改革実施計画に対する要望の中の4、投資促進等分野の個別措置事項、その中の廃棄物等の処理促進に資する環境関連規制の見直しというところに関して、下の表にありますような3つの要望を出しております。No.5としまして、国際制度比較の調査の実施、No.6としまして、形質変更時の届出要件の見直し、No.7として、自然由来の物質に係る規制の見直しというところで3点要望しております。
次、4ページ目の例2となります。第6次環境基本計画の方向性に関する意見という機会がありまして、その方向性の中で、地域共生循環圏の構築に向けた国土利用、土地利用の在り方(基本的な考え方案)というものが示され、その下のほうのレ点でございますが、公正な移行関連として、今後の産業構造変化に伴う臨海工場地域等の土地利用の在り方の検討というところが示されました。
これに対し、我々からは、臨海工業地域の特徴や利活用のメリットとしまして、健康リスクのおそれがないということ、事業所、いわゆる製造業としてのインフラが既に整備されているということ、事業者による確実な土地の管理がされていること、さらに、当該地域における雇用の確保、もしくは促進ができることがあり、この点の規制緩和をお願いしたというような経緯がございます。
5ページ目に行きまして、今回の土対法の見直しに向けた検討の方向性(案)に関しましても会員企業より意見、要望を募っております。会員企業からは様々な意見、要望が集まり、その一部についてご紹介したいと思います。
まず、5ページ目でございます。地歴調査の拡充に関しては1から6の意見が出ております。
また、6ページに参りまして、項目2として試料採取調査等の合理化、項目3として詳細調査の法制化、項目4として事故時の措置の新設、項目5としまして自然由来等土壌の取扱い、それから項目6、臨海部特区の緩和の措置というような形で様々な意見が出されております。これらに関しましては、7ページ目以降、4つのポイントについて我々のほうで集約してまとめましたので、これについてご説明したいと思います。
7ページ目でございます。1、地歴調査の拡充についてでございます。
地歴情報の収集につきましては、現状の地歴調査は、収集すべき情報が微妙な判断を伴う、もしくは情報量が多いということで、拡充に当たっては対象事業者(土地所有者)の負担を考慮した合理的な対応が必要だというふうに考えております。
例えばでございますが、遡及期間につきましては、現土地所有者の無過失責任と負担、そのバランスを勘案するとともに、情報の確からしさも担保も必要であるというところから、適当な遡及期間の上限を設定する必要があるのではないかという検討をお願いしたいと思います。例示としましては、水濁法の施行年度まで遡るというような形のアイデアでございます。
また、対象範囲としましては、事業者の規模要件及び対象物質の取扱量の裾切、それから対象物質の物性を踏まえた選定、物質としてはフロン、テフロン、窒化ホウ素等々について検討するようお願いしたいというふうに考えております。
続きまして8ページ目でございます。試料採取調査の合理化についてです。
健康被害のおそれがない場合の対応につきまして、今回の「土対法の見直しに向けた検討の方向性」に記載のとおり「届出対象外とする」ということに関しましては強く支持したいと思います。ただし、健康被害のおそれの定義の明確化、もしくは一律化が最も重要なところと考えるところでありまして、その資料にありました事業場敷地外、土壌、及び搬出については、様々な条件がございますが、そのような条件に関しても定義を一律化し、しっかりした解釈が必要だと考えております。
また、特に地下水の飲用につきましては、自治体も把握しきれていない一部の個人の飲用井戸についても健康被害のおそれの判断基準に含めるには、不合理であり無理があるのではないかと考えております。
水道の普及率100%で担保する、あるいは飲用水供給施設等の届出が必要とされる井戸等までで限定でできればと考えております。
また、一部の日常的に飲用に供している個人の飲用井戸につきましては条例等により対応できないかということを検討していただきたいと考えております。
続きまして9ページ目でございます。自然由来等土壌の扱いについてです。
自然由来等と人為由来との区別につきまして、これもリスクに応じた対応が基本と考えております。
人為由来につきましては「健康リスク」とし、一方、自然由来等の汚染原因者の特定が不可というケースにつきましては「汚染拡大リスク」を考えるとして、自然由来等に対しては区域指定の対象から外すということが合理的で分かりやすいのではと考えております。
また、自然の岩石や堆積物の中には鉛、ヒ素、フッ素、ホウ素、水銀、カドミウム等が存在しておりますが、これらが土壌汚染調査により環境基準値を超える濃度で検出されることが多々あります。特に自治体と届出事業者の間で議論になるのは、鉛、ヒ素、ホウ素、フッ素でありまして、事業活動に起因する人為由来であると明確に判断する基準というものも必要なのではないかと考えております。
さらに、自然由来等土壌の管理(移動に関しても同様)や、再生利用の検討も並行して進めていくことが必要と考えております。
最後、10ページになりますが、土地利用の在り方についてです。GX推進等に伴う今後の産業構造の変化に伴う円滑な土地利用につきまして、特に臨海工場地域等においては、環境面では、健康被害のおそれがない、部外者の立入はなく、汚染土壌の敷地外への移動もなし、飲用井戸もなし、地下水も第二溶出基準以下というようなケースもあり、さらに、事業者により、確実な土地管理がされているということ、経済面では、事業所、いわゆる製造業のインフラの整備がされているために、新たな投資が少なくて済むということ、また、社会面におきましては、当該地域における雇用の確保、促進が期待できる等々があり、リスクは小さくメリットは大きいと判断しております。よって臨海工場地域においては、「届出対象外」とした運用をお願いしたいと考えております。
また、自然由来等土壌の管理等と同じように、再生利用等の検討も並行して進めていく必要があるのではないかと考えております。
以上になります。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では続きまして、(一社)日本経済団体連合会からご意見をいただきます。(一社)日本経済団体連合会からは環境管理ワーキンググループ座長である古川委員からご意見をいただきます。
なお、質疑対応のために、環境エネルギー本部統括主幹の笠井様にもオンラインで参加いただいております。
では、古川委員、どうぞよろしくお願いいたします。
(古川専門委員)
経団連の古川でございます。本日はこのような機会をいただき、本当にありがとうございます。
資料6に基づきまして土壌汚染対策法の見直しに関する経団連の考え方をご説明させていただきたいと思います。
まず申し上げたいのは、経団連は事業そのものを実施しているわけではございませんので、詳細に関わるご説明は非常に困難な場合があります。今回は、経団連所属の会員企業、業界団体からこれまでに聴取した意見と、経済界全体として共通する見解についてご説明さしあげたいと考えております。
実務の詳細に答えられない部分があるかもしれませんが、その場合は必要に応じて、確認の上、追ってご説明、補足させていただく形を取らせていただければと考えております。
それでは、まず1ページ目をご覧ください。総論として現状認識、基本的考え方を記載しております。
上部をご覧ください。グリーントランスフォーメーションを推進する中で新たに必要となる生産拠点の整備に向け、国内投資を進めていくことが重要ですが、このためにはコストを抑制しつつ、産業用地をタイムリーに整備することが重要になることは言うまでもございません。
他方、土対法がこれまでの改正の過程において複雑化したこともございまして、手続等に時間を要して円滑な土地利用の支障となる場合も発生しているとの聴取結果を得ております。
手続に時間を要して土壌汚染対策までに時間がかかることに加え、多くの場合に行われる掘削除去等により、多くのCO2が排出されることを考えれば、過剰な土壌汚染対策は逆に環境負荷が過大になるという、トレードオフになる可能性もあると考えております。
ご参考までに、東京都環境局のガイドラインに記載されている資料を掲載せさせていただきました。
現状認識に基づいた基本的考え方を、下のピンク枠で囲っております。人の健康被害防止という土対法の基本的目的に照らし合わせ、リスクに応じた合理的な制度の見直しとともに、土対法に関わる手続・運用の簡素化が必要と考えております。
また、GX・ネットゼロのような環境、経済といった広い視点で環境負荷低減を統合的に実現するという視点が重要と考えております。
このような考え方の下、続けて各論についてご意見を申し上げさせていただきます。
2ページをご覧ください。各論①として、制度運用についてです。
制度運用に関わる課題といたしましては、運用される自治体間における対応の差が挙げられるという聴取結果を得ております。
例えば、地歴調査に関しましては、地歴情報が組織内に存在しない場合でも精度の高い情報が求められて、自治体との調整に時間がかかったという実例を、聴取の結果得ております。
また、工場の実験室で試薬程度のレベルの使用に関しても、試料採取等調査の要否や自然由来等土壌か人為由来土壌かの判断が自治体によって異なるという声も聞いております。
制度運用の差を埋めるためには、政省令に基づく規定を明確化していただくとともに、簡素化にも留意しつつ、ガイドライン上での考え方の統一が図ることが、最もよいのではないかと考えております。
もちろん周知の徹底も必要です。併せて各種届出システムの整備やオンライン対応の推進を通じて、手続の迅速化・簡素化を図り、行政・民間双方の負担を軽減することが何よりも重要かと考えております。
続きまして、3ページをご覧ください。各論②として、地歴調査、地歴情報の承継についてです。
地歴調査に係る課題といたしましては、先ほど2ページ目で申し上げたこととも重なりますが、調査期間、調査範囲が統一されておらず、自治体の要求によっては過大な負担になる点が挙げられます。
また、地歴情報の承継に係る課題といたしましては、土地所有者の義務の内容次第では過大な負担となる可能性がございます。
また、情報の公開により資産価値、土地取引などへの影響も懸念されます。
このような課題を踏まえた施策の方向性として、地歴調査に関しましては、事業者をはじめとする土地所有者が情報の正確性を担保できる合理的な調査期間の目安を示すべきと考えております。
また、地歴情報の承継につきましては、承継義務を課す場合、その内容を明確化していただきたいと考えております。
同時に、民間の当事者に任せるのみでは情報の保管と承継が過大な負担となりかねず、適切な履行の支障となるおそれも多々あると考えております。国によるデータベース等の情報保管システムの整備が必要であり、非公開情報の適切な取扱いにも留意していただく必要があるとも考えております。
続きまして、4ページをご覧ください。各論③として、自然由来等土壌及び臨海部特例区域についてです。
まず、自然由来等土壌は、広範囲に存在することから、健康リスクに対して区域指定に伴う管理負担が過大となっております。
また、前回改正で新設された臨海部特例区域につきましては、今まで指定された区域は1例しかなく、活用は進んでいないと理解しております。
したがいまして、方向性として、自然由来等土壌につきましては、報告書「土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性」の提案のとおり、搬出時の管理を前提に従来の区域指定を行う制度の対象からは除外することを検討すべきと考えております。
また、臨海部特例区域につきましても、報告書に提案されているとおり、自然由来等の土壌の取扱等に関する見直しの方向性に基づき検討することで合理化等を図るべきと考えております。臨海部にあっては人の健康被害のおそれが低いことに鑑みまして、「要措置区域」「形質変更時要届出区域」の指定からは外し、こちらも報告書の記載のとおり、汚染土壌の搬出時の管理を前提に別の枠組みで管理する方法を検討すべきと考えております。
続きまして、5ページをご覧ください。各論④として、いわゆる飛び地間移動についてです。
現行の制度では要措置区域間、形質変更時要届出区域間での土壌の移動について、同一契機の土壌汚染状況調査に基づき指定された区域間の移動に限定されていますが、汚染土壌の仮置き場等が工事ごとに必要となるなど、敷地の効率的な運用の制約になっているという声が挙がっております。
そこで、今回の方向性といたしましては、土壌汚染の拡散防止を図った上で、同一の土壌汚染状況調査の結果に基づき指定された区域でなくとも、要措置区域または形質変更時要届出区域の同一区間内であれば、汚染土壌の移動を認めることが望ましいと考えております。
加えて、汚染土壌の取扱いについて、自治体ごとの運用の差が生じることがないよう、システム運用が周知・統一されていくことが重要と考えております。
続きまして、6ページをご覧ください。各論⑤として、水濁法との関係、事故時の対応について意見を述べさせていただきたいと思います。
環境省のガイドラインにも記載があるとおり、土壌汚染対策につきましては、土対法は適時適正に土壌汚染の状況を把握すること及び土壌汚染による人の健康被害を防止することの2点を目的とし、他方、新たな土壌汚染の発生を未然に防止することにつきましては水濁法が担う形で役割分担がしっかりなされているものと認識しております。
事故発生時におきましては、土対法では調査命令(法5条)、水濁法では措置命令(法14条の2)を出すことが可能でありまして、水濁法におきまして応急措置の実施及び届出の提出が義務づけられております。
このような中、土対法と水濁法との連携を強化すべきという意見も出ていることは認識しておりますが、経済界といたしましては、新たな制度をつくることは新たな負担を課すということにならないか懸念しております。二つの法の目的、役割を改めて精査した上で、重複を避け、自治体、事業者双方にとって過度な規制となることがないようにする観点から、慎重に検討していただければと考えております。
以上が経団連からの意見となります。今回の見直しの機会にGXや幅広い環境負荷低減を目指して土対法を進化させ、行政、事業者がともに健康リスクに応じた合理的な対応を取ることに効果的なリソースが投入できるようになることを願っております。また、経済界といたしましても、そのような制度が構築できるよう、今後の検討におきましては、建設的に議論し貢献してまいりたいと考えております。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、続きまして日本建設業連合会からご意見をいただきます。日本建設業連合会からは環境委員会建設副産物部会土壌汚染対策ワーキンググループ委員の西川様にお越しいただきました。
西川様、どうぞよろしくお願いいたします。
(日本建設業連合会)
日建連の西川と申します。本日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。本日は建設業の現場からの観点で意見を述べさせていただきたいと思います。
それでは、資料のほうをご説明いたします。
ページ2になります。最初に、日建連についての簡単な紹介です。日建連は、全国的に建設工事を営む企業及び建設業者団体の連合会で、法人会員140社、団体会員、特別会員から成る組織です。
建設業界全体における日建連の会員の受注シェアは24%、約4分の1になります。
資料の3ページ目、ここから意見になります。最初に、今回の見直しの方向性に対する日建連の基本的な考え方について述べさせていただきます。
まず、1点目としては、今回の合理化を目的とした見直しの全体的な方向性については基本的に賛同するものです。
2点目としては、制度の合理化が実際の現場での調査・措置等の工事に落とし込んだときに、工事の量や工期の増加につながらないように配慮していただきたいということです。
3点目は、新しい制度の詳細設計においては、今後ガイドライン等でまた検討されることと思いますが、実際の運用が煩雑にならないよう配慮していただきたいということです。
本日は、これらの基本的な考え方に沿って見直しの方向性に書かれております各項目7つについて意見を述べさせていただきます。
また、見直しの方向性に記載されていない点についても、現状の法の運用に対して何点か意見を述べさせていただきます。
資料の4ページになります。見直しの方向性に対する最初の意見ですが、調査を省略した土地の汚染状態等の見直しについてです。
見直しの方向性では、健康被害のおそれがない場合に試料採取等調査を省略することを提案されていますが、現行法では、このような省略をした場合は、その土地は第二溶出量基準及び土壌含有量基準に適合しない汚染状態だとみなされることになっているため、今回の見直しと併せてこの規則の見直しのほうも検討していただきたいと思います。
また、実際、そのように試料採取等調査を省略した土地において、また形質変更を行うときに汚染拡散防止措置をどのようにしていくかは、今後検討されると思いますが、健康リスクを踏まえて過剰とならないような措置を検討していただきたいと思います。これは臨海部等における汚染拡散防止措置についても同様と考えます。
次に5ページになります。2番目の意見、形質変更時の調査命令発出までの期間の見直しについてです。
見直しの方向性では、調査命令を出すまでの期間を30日から長い期間、例えば45日に見直すことも提案されております。これについては、実際の建設工事への影響も大きいため、自治体内の地歴情報の活用の仕組みや手順の効率化等によって、できるだけ現行の期間の30日を維持していただければ、大変ありがたいと考えています。
また、実際は命令を発出しないことがすぐに確定するようなケースもあると思います。そのようなときには早期にその旨を届出者に通知するような制度も検討していただきたいと思います。
6ページになります。3番目の意見、深さ方向の調査の制度化についてです。
今回、深さ方向の詳細調査に制度上の位置づけを与えて、立体的な区域指定の制度の導入が提案されていますが、このような制度の導入については、我々も賛同するところです。
一方、見直しの方向性の中では、この制度の導入に伴って従来の認定調査が不要になるというような記述もありますが、実際、従来の認定調査も制度としては残す必要があるのではないかと考えております。
これは立体的な区域指定制度の導入後も平面的な調査のみで区域指定を行う従来の制度は残すとされておりますので、そのような土地においては、平面的な調査のみで指定を受けて一定期間経過後に深さ方向の調査をするというようなケースもあり、逆に、掘削を急ぐような場合は、詳細調査を実施せずに、土壌を掘削した後に認定調査を実施するケースもあるからです。
そのため、現在の認定調査の方法を維持するかどうかは別としまして、平面的な調査のみで区域指定を受けた土地について、何らかの土壌の調査の仕組みは残す必要があると考えております。
7ページ目になります。4番目の意見は、試料採取等調査の深さ限定が不要となる見直しについてです。
こちらについても、見直しの方向性で立体的な区域指定制度導入で深さ限定の制度が不要になるよう見直しを検討という記述がありましたが、先ほどの認定調査の件と同様に、平面的な調査による区域指定制度を残すのであれば、こちらの深さ限定の制度も必要なものとして残すべきではないかと考えております。実際に深さ限定については、毎年一定数の利用があって、ニーズのある制度ではないかと考えております。
次のページになります。5番目の意見は、薬品等の使用に関する量や濃度の基準の設定についてとなります。
見直しの方向性では、地歴調査時に特定有害物質の取扱量や個別の化合物の性質が十分考慮されず、結果として試料採取等調査等の負担が過大になっている事例があり、運用上の基準の合理化や明確化が必要とされています。この見直しについては、我々もぜひ検討していただきたいと思っております。
我々の事例としては、教育施設の例を挙げておりますが、少量の分析用の試薬を試験室のみで使って敷地全体で調査が求められるような事例は、民間の事業場でもございますので、この点については見直しを検討していただければと思います。
次のページになります。6番目の意見は、自然由来や水面埋立て土砂由来の基準不適合土壌の取扱いについてです。
見直しの方向性では、これらの土壌について従来と同等の施行管理の義務は維持しつつ、従来の区域指定制度の対象から除外することを検討すべきとされており、この従来の区域指定制度からの除外については賛同するものです。
1点、検討をお願いしたいのは、これらの土地の搬出時調査についてです。実際、これらの土地から搬出土調査を行って基準適合となった場合は、一般残土として搬出されるようになりますが、残土の受入側の自治体の条例等による搬出土調査と、この調査が重複することが想定されます。見直しの方向性では、現行の認定調査を参考に基準不適合土壌を特定する方法を検討することとされていますところ、法律の範囲と異なり難しいかもしれませんが、自治体条例等との関係も踏まえて、できるだけ合理的な調査制度となるように検討していただければと思います。
次のページ、7番目の意見となります。区域指定手続中の土地の形質変更及び搬出に関する意見です。
見直しの方向性では、既に土壌汚染状況調査が完了し、自治体において指定する区域の種類が実質的に判断されているのであれば、区域指定の公示前に汚染土壌の搬出等を可能とすることを検討するとしておりますところ、こちらの見直しについても賛同するものです。
特に区域の種類の判断に時間を要する事例が多く、中には半年から1年程度かかるような事例もありますので、建設工事の工期に大きく影響している状況です。
先ほど東京都の説明にもありましたように、実際には公示前でも運用上対応していただいている自治体もございますので、制度を明確にして水平展開していただけると大変助かるところです。
以上、ここまでが見直しの方向性に対する意見となります。
この後の資料は、見直しの方向性では記載のない論点ですが、今回、現状の土対法の運用について、会員企業からいただいた意見を幾つかまとめたものです。
最初の意見は、区域内の形質変更時における汚染拡散防止措置についてです。
地下水位より下の帯水層で掘削や杭の工事を行う場合に、ガイドラインで汚染拡散防止措置が詳細に規定されていますが、実際の汚染拡散防止の効果や施工性の点から合理的ではないのではないかと考えられるところもございます。
例として掘削時の地下水位管理や既存杭の引き抜き工事を挙げております。これらの例のほかにも帯水層に接する場合の土地の形質変更に関する施行方法全般については、有害物質の取扱履歴の話と同様に、土壌汚染の物質や濃度、規模に応じて施行方法に差をつけるなど、健康リスクに対して過剰とならないような措置を、今後の詳細設計時に検討していただければと考えております。
次のページになります。現状の運用に対する意見の二つ目で、区域指定の解除及び解除手続中の土地の形質変更及び土壌搬出についての意見です。
原位置浄化の完了条件における地下水モニタリングの回数に関する意見や、そもそも地下水モニタリングを指定区域の解除要件とすることについての意見、また、区域指定の公示前の工事着手とは対になる話ですが、汚染の除去措置後に区域指定の解除の公示を待たずに健全土として搬出を進めることができるような制度を今後検討していただきたいと思っているところであります。
最後のページになります。行政手続の合理化についての意見となります。
こちらでは土壌汚染状況調査の結果を分割しての提出や、区域指定と区域指定の解除に係る期間についての会員企業からの意見となります。
実際、行政手続の期間については、現状でどうしても対応が難しいケースもあるかと思いますが、事例集や一部自治体での運用の工夫を水平展開することで対応できる部分もあるのではないかと思いますので、今回の見直しに合わせてご検討いただければと思います。
日建連からの意見は以上となります。
最初に申しましたとおり、見直しの方向性については全体的に賛同するものですが、今後の制度の詳細設計の部分で、実際の届出だけでなく現場での作業の合理化も進むように進めていただければと思います。
以上です。ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、ここまでの3団体のご意見につきまして、ご質問を承りたいと思います。ご発言のある方はネームプレートを立てていただくようお願いします。WEB参加の方は挙手ボタンでお知らせください。
では、寺浦委員、お願いします。
(寺浦専門委員)
ありがとうございます。様々なご説明、ありがとうございました。
日本化学工業協会と経団連にお伺いします。情報の公開について、現状でも届出をした情報については情報公開請求をして情報が開示される場合がありますが、その範囲で公開される情報についても公開されることには懸念があるということなのでしょうか。つまり、どのような情報であれば公開されても仕方がないが、どのような情報の公開は懸念があるのかを教えていただきたいと思います。
例えば、使用している有害物質を企業が知られたくないということがあるとして、物質が特定されることが問題となる場合、全物質を使用している可能性があるという形で公開されるのであれば、範囲ははっきり特定されないので、そのような範囲での公開は考えられる、ということなのか教えていただきたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
ほかにはいかがでしょうか。
では、川瀨委員、お願いします。
(川瀨専門委員)
日本建設業連合会の内容について質問したいと思います。資料の5ページですが、調査命令発出までの期間の見直しについて、先週名古屋市のほうからは、逆の立場で延ばしていただきたいという提案をさせていただいたところ、現状の30日を維持していただきたいというご意見があったところです。先週の名古屋市の提案ですと、調査命令発出までの期間を延ばす代わりに期間短縮として、着手を前倒しできる申請制度をセットで考えてはどうかと提示させていただいたのですが、そのようなセットで見直しをされる場合であればどうなのかというご見解を教えていただきたいと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。
では、江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
日本化学工業協会と日本建設業連合会に一つずつお聞きしたいことがあります。
まず、日本化学工業協会ですが、資料8ページのところで、健康被害のおそれがない場合の対応についてということが書いてありますところ、気になりましたのが、特に地下水飲用についてはというところで、一部の個人飲用井戸については把握し切れていないので、判断基準に含めるのは無理があるから、水道普及率100%で担保すると書かれています。これで行いますと、健康被害のおそれがないと判断するケースが少なくなってしまうのではないかなと感じているのですが、私の認識違いでしょうか。その辺について、ここで書いている意図をご説明いただければと思います。
また、日本建設業連合会は資料4ページなのですが、調査を省略した土地の汚染状態等の見直しについてのところで、試料採取等調査を省略した場合に、第二溶出量基準及び土壌含有量基準に適合しない汚染状態にある土地とみなすとすることが特に要措置区域となり得る土地で措置が過剰になるため、見直しが必要だと言われています。第二溶出量基準及び土壌含有量基準を満たさないということは、一番厳しい基準になってくると思うのですが、試料採取等調査を省略した場合にこれ以外の選択肢を取ることができるのか。取ることができるのであれば、それをどうやって判断するのか。例えば溶出量基準不適合のみにするとか、第二種特定有害物質であれば土壌含有量基準に適合しないのみにするとか、もしそういう判断にされるという意図でしたら、どのような理屈で試料採取等調査を省略した場合にそのように行えるのかという点について教えていただければと思います。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。1点、日本建設業連合会に教えていただきたいのですが、資料9ページの自然由来等基準不適合土壌のところの、処理施設候補となる自然由来等土壌利用施設についても、現状把握と拡充に向けた施策検討を、ということについて、現状ですと処理施設が足りないという意味なのでしょうか、詳細について教えていただければと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
ほかには、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
私からも二つほどお伺いします。日本建設業連合会について、様々現実的に考えていただいていて、大変ありがたいと思いました。一つお伺いしたかったのは、資料6ページの懸念事項のところ、先ほど私が東京都に伺ったこととも関係する点ですが、これに関して何かいい案があったらお話しいただけるとありがたいと思います。若干期間がたってしまうと深さ方向の調査に関して何かプラスアルファを考えなければいけなくなるという問題が出てくるかもしれませんが、何かもしお考えになっていることがあったら、教えてください。
また、日本経済団体連合会に対してお伺いします。今までのヒアリングとも関係していたと思うのですが、資料5ページの飛び地間移動に関しては、現在の制度に極めて自由度がないのは私も承知しておりまして、何とかしなければいけないかもしれないと思っています。2017年改正のときにこのような制度をつくったのは、要するに移動させている途中でどこかに汚染土壌を落としてしまう方がいらっしゃることを気にしていたことが多分あったとは思いますが、そのようなことはないということをおっしゃっていただければと思います。あるいは、そのような立法事実的なものがあるということを打ち出していただくと大変説得力が出てくるかなという気はするところ、そういうものがもしあれば教えてください。
では、小林委員が挙手されておりますので、オンラインの小林委員、お願いします。
(小林臨時委員)
ありがとうございます。まず日本化学工業協会に質問です。資料7ページ目のところで、対象物質として、私もそれでフッ素を対象物質とするのはどうなのかと思いますが、フロンやテフロンなどと書いていただいています。違和感があるような物質が他にもあれば、今日ではなくてもいいかと思いますので、ぜひ情報提供いただけるとありがたいです。
また、資料10ページ目のところで、臨海部について届出対象外とした運用をというご意見をいただいているところ、現時点で例えば形質変更時要届出区域になった場合、前回も日本鉄鋼連盟から、区域指定されると管理や施行方法等も非常に大変になるというご意見もあったかと思いますが、形変区域や臨海部特例区域で、管理が非常に大変だから緩めてほしいとか、こういう方向では考えられないかという点について、お伺いしたいです。
さらに、日本経済団体連合会も同様のところですが、資料1ページ目のGXの観点からは、掘削除去等に伴い多くのCO2排出等という話もありまして、日本の場合、形変区域の場合でも掘削除去が非常に多く行われているというところについて、もともと形変区域の場合は、健康リスクが小さいとして指定されているはずですので、それなのに非常に管理が大変だというようなところがもしあれば教えていただきたいと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
よろしいでしょうか。
では、日本化学工業協会からご回答をお願いします。
(日本化学工業協会)
様々なご質問、ありがとうございました。
まず寺浦委員からいただきました、情報公開のニーズという考え方についてです。我々は区域指定をされるときに、この地区についてはこのようなもので汚染されており、このような地域指定になりましたという形で、物質名が全部明らかになりますので、基準不適合になった物質は既に明らかになっているというレベルです。
また、江種委員からございました、資料8ページ目の地下水との関係について、非常にこの辺も難しい状況ではあるのですが、把握できていないものを基準にするというところが非常に難しいというか、合理性がないと考えておりまして、水道の普及率が100%であるとか、飲用井戸を公共に使っているとかいう場合もありますので、そこら辺を割り切ることができたらと考えておる次第でございます。
次に、資料7ページ目のところにおいて、小林委員からいただきました、ほかにどういう物質があるのかというところについて、いわゆる土対法の特定有害物質は水溶性があるとかですが、ここに挙げているようにフロンやテフロンというのは、水に溶けるものでもなければ、そのような形では検出できないものとなります。例えばアセトニトリルをシアンが入っているのでシアンとしてしまう業者や自治体もいるということもございますので、このようなミステイクがあった事例について、この会議の後という形になるかもしれませんが、提示したいと考えております。
次に、これも小林委員からいただきました、資料10ページ目に関して、現時点における管理方法で何が問題かというところなのですが、やはり我々としては、今持っている資源を有効活用したいというのが1点と、もう一つ、臨海部に関して言うならば、やはり形質変更時届出区域となりますと、それなりに施行方法に関しまして、かなりのプラスアルファのコストがかかるという形がございます。その辺のところについては、今後新しい事業を行うときの一つの大きな収益の予見性等にマイナスのインパクトがかかるところもございますので、そのような施行方法等に関して、これは前回日本鉄鋼連盟からも同様の意見があったと思いますが、その辺のところを改善できたらと考えている次第です。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、日本建設業連合会から、お願いします。
(日本建設業連合会)
最初に川瀨委員からいただきました、命令の発出期間についてのご質問です。我々も実は日建連の中で話し合ったときは、やはりどうしても期間が延びる必要があるところはあるだろうということで、逆に期間が30日以上かかるときに行政から通知いただけないかというような話をしておりました。着手までの期間の短縮の申請を出すというのも一つの考え方かと思いますところ、ほかの法律の短縮願の詳細を把握していないですが、やはり工期が延びて喜ぶ発注者はいらっしゃらず、短縮をする手続があるのであれば、その手続を取ることになることが予想されますので、短縮の手続の条件等で、うまくスクリーニングができるのであればよいですが、そうでないと逆に次々と短縮願が出てしまう状態に至るのではないかと思います。また、調査命令が早く出るときは早く通知するといったものと様々組み合わせて、ベストな制度にしていただければよいのではないかと思います。
次に、江種委員からいただきました、試料採取等調査の省略時の土地の扱いについて、第二種溶出量基準及び含有量基準に該当させないというときに、どのような理屈でどのような指定ができるかという点についてです。我々もその点について具体的なイメージまではあるわけではないのですが、一つは試料採取等調査の省略は健康リスクがないという前提でされるということですので、ほかの部分で議論されています臨海部と同じように、区域指定をしないで対応するという手もあるのではないかと考えておりました。また、人為的な汚染が明確で区域指定が必要というところについては、逆に有害物質の使用履歴、使用の規模や濃度といったものを勘案して、何か合理的な制度ができればよいのではないかと思っております。
次に、光成委員からご質問いただきました、自然由来等土壌利用施設の現状についてです。事例についてはもともと少なかったところ、最近若干増えてきているとは聞いておりますが、詳細な現状については我々のほうでも把握し切れておりません。自然由来の土壌汚染の発生そのものが少ないというところもあるかもしれませんが、実態によってはそういった土壌が発生しているところもございますので、今後そのような施設を利用できるように、現状調査等を進めていただければということで、こちらの意見を書かせていただきました。
次に、大塚委員長からいただきました、立体的調査の懸念事項についての話です。土壌汚染が深部方向等に移動するのではないかということについてですが、日建連としては技術的な判断まではできないのですが、実際は土壌汚染の物質やその濃度等によって深部方向に落ちにくいといったところもあり、実際落ちたときの影響も違ってくると思いますので、その辺も踏まえて実際そういった懸念事項を考慮した制度にするのか、考慮しないでできるようなところと組み合わせていくのか、そういったところを今後検討していただければと思っております。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
日本経済団体連合会から、よろしくお願いします。
(古川専門委員)
まず一点目、寺浦委員からご質問がありました、情報公開に関してです。どのような情報であれば公開可能かという点ですが、行政の要求に基づいて我々が出す情報ですので、基本的には隠すことなく、できるだけ行政の要求にも協力したいという姿勢に何ら変わることはございません。一方で、法を執行する上での最低限の範囲をあまりにも逸脱した情報の公開が求められる場合、理由づけが必要になるということは感じております。
また、言い過ぎかもしれないですが、事細かに公開すると説明が難しいことがあります。例えば、戦時中アメリカが落とした爆弾の破片により、スポット的に鉛が検出されている一方で、本当にそこだけの汚染なのかなど、非常に説明が困難なシチュエーションも起こり得ます。そうした点までうまく説明できるかというと、情報を公開する事業者もなかなか難しい状況があることは事実です。しかし、情報を隠そうとしたり、全て公開が駄目だと考えているわけではございません。
続きまして二点目、大塚委員長からご質問がありました、飛び地間移動に関してです。基本的に、施工管理会社が非常に重要だと思っています。相見積りを取った上でコンピテンスの合った施工管理会社を選んでいますので、移動中に土壌を落としていく状況は想定しておりません。お答えになっていないかもしれませんが、同一敷地内の場合に自由度を考えているとご理解いただきたいと思います。
最後に三点目、小林委員からご質問がありました、形質変更時要届出区域における掘削除去が多い理由と管理が大変かという点に関してです。製造業では、新たに工場を作る際、形質変更時要届出区域であれば区域指定を解除する必要はあまりございませんので、掘削除去が多いという事実がどれだけ負担になるかというご質問は、少々難しいのですが、仮に、工場内の食堂建設などで形質変更時要届出区域を解除する場合、掘削除去以外に現場施行できる方法、技術があるかという点は大きな疑問です。文献での方法論としては、金属を混入させて、その発熱反応を利用して有害物質を除去する等様々あるようですが、やはり時間もお金もかかるので、掘削除去以外の方法で満足できる現場工法がなかなかないのが現状ではないかと考えております。
以上でございます。
(日本経済団体連合会)
寺浦委員からのご質問で、どのような情報であれば公開しても構わないかということについて、基本的には古川委員からの回答のとおりでございますが、まだ経団連として統一的な意見として議論して決めている中身はございません。しっかり事業者の声も踏まえた形で、今後の制度設計に反映していただきたいと考えております。
その上で、考え方といたしましては、制度としてどのような法律上の目的に照らして公開をするのかが重要です。公益性があるから公開をするということだと思いますが、風評被害のリスクや土地取引での悪影響といったことと兼ね合わせて、慎重に議論をしていただきたいと思います。
公開される情報につきましては、調査した物質については分かりますが、全ての対象物質についての汚染のおそれについて分かるわけではなく、必ずしも網羅的ではないということにも留意が必要かと思います。
また、公開という意味では、全ての人が本当に知る必要がある情報なのか、それとも土地を取得する者、承継する者、あるいはそれを検討している者が得られればよい情報なのか、その点も区別があろうかと思います。このような点も今後の検討でよく考慮をしていただければと考えております。
さらに、委員長からご指摘がございました、飛び地間移動の途中で管理が不適切なことはないかという点については、もちろん事業者といたしましては適切な管理をして土壌を運ぶことは前提だと考えております。
最後に、小林委員からのご指摘でございます。先ほど古川委員からもお話があった点に加え、土地取引に際して汚染を除去したいという考えで掘削除去をするという場合も多くあると聞いております。さらに、届出や自治体とのやり取りといった手続的な面の負荷が大きいという声を聞いております。いずれにしましても、経団連としては、リスクに見合った合理的な制度がどのようなものか、今後も会員企業の意見を踏まえて建設的に意見を申し上げてまいりたいと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では、金見委員、お願いします。
(金見専門委員)
全体的な話の中で、事務局の環境省の方にお聞きしたいのですが、私どももほかのヒアリング対象者の方からも水濁法との連携といった話が出ているところ、この小委員会の場で他法令との連携について、どこまで議論をしていいのか。あるいは、今後の検討の中で他法令とのリンクをどのように織り込んでいくお考えにあるのかというところについて、お聞かせいただければと思います。
(鈴木環境汚染対策室長)
ありがとうございます。ほかの法令との関係も含めて、ぜひご意見は忌憚なくいただければと思っております。まずはあくまで課題として出していただき、この小委員会で必ずしも結論が出るとは限りませんが、もし合意ができれば、土壌汚染対策制度の中でほかの法令との関係に対する課題認識まで含めて議論を進めていただくことはありえるかと思っております。
(金見専門委員)
ありがとうございます。東京都の意見の10番の資料に化学物質の取扱いの情報の承継については、水濁法や下水道法での規定の方がいいのではないかと提案しているとおり、このあたりは重要なところで、東京都の意見等において他法令について言っていますので、それは意見としてこの小委員会の場で述べさせていただくということで、理解しました。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。ヒアリングにご協力いただいた団体の皆様からのご発言も承りたいと思いますが、委員の方も含めてご発言がある方は、どうぞ、お願いいたします。
よろしいですか。オンラインの方もよろしいですか。よろしいですね。
では、時間も参りましたので、本件についてはこれで終わりたいと思います。本日のご発言を踏まえて、今後の検討を進めていきたいと思います。
本日の審議はこれで終了といたしまして、議事進行を事務局にお返しいたします。
(長谷川土壌汚染対策係長)
本日は、委員の皆様、またヒアリングにご協力いただいた団体の皆様、ご多忙のところご出席いただきまして、また、大変活発なご審議もいただき、誠にありがとうございました。
次回以降の予定ですが、第1回小委員会でもご説明したとおり、関係者からのヒアリング以降、複数回に分けて、論点、方向性に関する審議を予定しております。次回の日程、議題などは、追ってご案内いたします。
また、今回の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様のご確認を経て、環境省ホームページに掲載いたします。
以上をもちまして、本日の土壌制度小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。