土壌制度小委員会(第2回)議事録
開催日時
令和6年11月25日(月) 9:00~12:00
開催方式
WEB会議システム併用(YouTubeによるライブ配信)
議題
・ 土壌汚染対策法関係者からのヒアリング
(名古屋市、一般社団法人土壌環境センター、一般社団法人日本汚染土壌処理業協会、一般社団法人日本鉄鋼連盟、一般社団法人不動産協会)
(名古屋市、一般社団法人土壌環境センター、一般社団法人日本汚染土壌処理業協会、一般社団法人日本鉄鋼連盟、一般社団法人不動産協会)
資料一覧
資料1 中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会委員名簿
資料2 名古屋市提出資料
資料3 (一社)土壌環境センター提出資料
資料4 (一社)日本汚染土壌処理業協会提出資料
資料5 (一社)日本鉄鋼連盟提出資料
資料6 (一社)不動産協会提出資料
参考資料1 土壌汚染対策法(概要)
参考資料2 土壌汚染対策法(平成14 年法律第53 号)
参考資料3 土壌汚染対策法施行令(平成14 年政令第336 号)
参考資料4 土壌汚染対策法施行規則(平成14 年環境省令第29 号)
参考資料5 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号)
参考資料6 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料6(土壌汚染対策法の施行状況)
参考資料7-1 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料7-1(土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書)概要)
参考資料7-2 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料7-2(土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書))
資料2 名古屋市提出資料
資料3 (一社)土壌環境センター提出資料
資料4 (一社)日本汚染土壌処理業協会提出資料
資料5 (一社)日本鉄鋼連盟提出資料
資料6 (一社)不動産協会提出資料
参考資料1 土壌汚染対策法(概要)
参考資料2 土壌汚染対策法(平成14 年法律第53 号)
参考資料3 土壌汚染対策法施行令(平成14 年政令第336 号)
参考資料4 土壌汚染対策法施行規則(平成14 年環境省令第29 号)
参考資料5 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号)
参考資料6 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料6(土壌汚染対策法の施行状況)
参考資料7-1 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料7-1(土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書)概要)
参考資料7-2 第1回土壌制度小委員会(令和6年9月18日)資料7-2(土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書))
議事録
(長谷川土壌汚染対策係長)
それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催いたします。委員の皆様には、ご多忙のところ、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
本日の小委員会は、委員総数20名のうち過半数の17名がご出席で、淡路委員、佐藤委員、袖野委員がご欠席の予定です。
定足数の要件を満たし、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。また、WEBを併用した開催であり、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信をしております。
それでは議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。議事次第の配付資料一覧をご覧ください。
資料1に、本小委員会の名簿、資料2から6として、本日ご発表される団体の皆様からご提出いただいた資料をお渡ししております。なお、資料3の一部は、委員限りの資料となります。また、資料に加えて、参考資料として、土壌汚染対策法の概要、法令の条文、さらに第1回小委員会で使用した現状と主な課題に関する資料をお配りしております。会議の中で必要に応じ、ご参照ください。
こちらの参考資料などは、次回以降も使用しますので、会議が終わりましたら、机の上に残してご退出されますようお願いいたします。
何か不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
なお、これらの資料及び本小委員会は、運営規則等に基づき、委員限りの資料を除き公開とさせていただきます。
それではこれより議事に移りたいと思います。
大塚委員長に議事進行をお願いいたします。
(大塚委員長)
それでは議事に入りたいと思います。本日の議題は、土壌汚染対策法関係者からのヒアリングです。ヒアリングは2回に分けて行いますが、今回はその第1回目でございます。今回は名古屋市、一般社団法人土壌環境センター、一般社団法人日本汚染土壌処理業協会、一般社団法人日本鉄鋼連盟、一般社団法人不動産協会の5団体からヒアリングを行います。
本日の進行ですが、まず2団体からご意見をいただき、質問時間を設け、その後、残り3団体からのご意見、質問時間を設けるような流れで進めたいと思います。会議時間の制約上、ご意見は団体ごとに10分程度を目安といたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
まず最初に、名古屋市からご意見をいただきます。名古屋市からは、環境局地域環境対策担当課長である川瀨委員からご意見をいただきます。それでは川瀨委員、どうぞよろしくお願いいたします。
(川瀨専門委員)
よろしくお願いします。名古屋市の川瀨でございます。発表の機会をいただきましてありがとうございます。資料2のほうをご用意お願いいたします。
昨年度からの検討会で示されました、土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性の内容を踏まえまして、名古屋市から意見提案させていただきます。
2ページ目をお願いします。目次でございます。1、青の汚染状況の調査。2、オレンジの区域指定制度。3、緑の汚染土壌の運搬処理に区分して発表させていただきます。
次のページをお願いします。1-1、地歴調査に係る内容でございます。資料右上の見直しの方向性(案)は、昨年度からの検討会で示された方向性を示したものでございます。検討会の見直しの方向性で示されたとおり、法3条に基づく特定施設、特定事業所の敷地に係る調査について、土壌汚染状況調査の地歴調査と試料採取等調査を分離し、地歴調査については、土壌汚染のおそれの早期把握、情報散逸防止の観点から調査契機の拡充を図ること、また調査猶予なく実施させ、自治体に報告させることには賛成でございます。
そこで課題、提案二つ目以降でございますけれども、地歴調査につきましては、現行では特定有害物質による汚染のおそれを推定するための有効な情報の把握、土壌汚染のおそれの把握までの内容になってございます。指定調査機関によっては、調査結果の取りまとめ方が様々で、報告書の書類も多い中、自治体職員、土地所有者等の関係者が見ても結論が分かりづらい状況になっています。そこで、現行では試料採取等調査に含まれる内容となりますけれども、見直し後は赤字で追加したように、ある程度どこでどの物質の調査を行うべきか、特定できるようにするため、土壌汚染のおそれの区分の分類を整理するまでを地歴調査にしたらどうかと提案しております。また、DX化を進めることで、調査方法・報告内容を統一化、一元化して管理することで、自治体へ報告したり、新たな土地所有者さんに承継されていく地歴調査の結果について、誰が見ても結論が分かりやすくなるようにすべきと考えます。
次のページをお願いします。1-2、試料採取等調査の適用範囲の合理化についてでございます。検討会の見直しの方向性のとおり、試料採取等調査について周りに飲用井戸がないなど健康リスクがないことが確認できる場合には、一律に義務づけないよう合理化を図ることについては賛成でございます。これは現行では、調査を一律に行って汚染が判明し、区域指定された場合、健康リスクがなく汚染の程度も低い状況でも、土地の利活用を考え、区域指定の解除を目指して掘削除去を選択する傾向がございます。見直し案のように、そもそも調査が行われなければ、このようなケースも減ることになり、脱炭素の観点からもよいと考えます。
その一方、調査猶予の条件には、現行の法3条ただし書の猶予の条件である、引き続き事業場として利用することなどに加えて、赤字に示すように、事業場の敷地から土壌搬出がないということを加えることを提案します。特定事業場の敷地から土壌が搬出される場合は、汚染が拡散されるおそれがあるため、汚染の拡散防止の観点から試料採取等調査を義務づけ、汚染の有無を確認させる必要があると考えます。もしくは調査を義務づけないならば、搬出に係る事前の届出制度を新たに設ける必要があると考えます。
次のページをお願いします。参考に平成15年以降で、本市で実施された措置の種類を示したものでございます。掘削除去が全体の半分以上である6割となっておりまして、持続可能な社会を実現するためにも、このような掘削除去がされるケースが少なくなるよう、制度を見直していく必要があると考えています。
次のページをお願いします。1-3、試料採取等調査の方法の確立とDX化の推進についてです。検討会の見直しの方向性のとおり、深度方向の汚染範囲を確定する調査、詳細調査について、試料採取等調査の制度上に位置づけ、区域の指定を3次元で行っていくことには賛成でございます。
しかし、詳細調査は、現時点ではガイドラインレベルの記載でございまして、自治体間の運用差も見られるため、法令に基づく明確な調査手法の確立が必要と考えます。また、見直し後は現行以上に届出に多くの調査地点や結果など詳細調査の情報が報告されることになるため、自治体が行う区域指定、台帳整備の作業負担が大きくなることが想定されます。そのため、資料右上のように、届出内容の起点や試料採取の地点の位置をGIS化するなど、より統一・DX化して、届出者が電子申請等を行うことが可能となるシステムを構築できないか提案いたします。そうなれば、台帳を作成する自治体の事務負担の軽減だけではなく、区域指定された土地を利活用する届出者、国民の皆さんにとって正しい情報が迅速かつ容易に入手・活用できるようになると考えます。
次のページをお願いします。1-4、工事着手までの手続期間の確保と着手の前倒しの申請制度の創出についてでございます。現行の法3条7項、法4条1項に基づく一定の規模以上の土地の形質変更時に調査を不要とする条件の合理化を図ることには賛同します。一方で汚染のおそれの有無だけではなく、健康被害のおそれがないことも条件とする場合、自治体において飲用井戸の確認などの作業が必要となってまいります。そのため、工事の着手前の届出を義務化し、その期間について、例えば45日、もしくは飲用井戸の確認であれば60日程度としていただきたいと考えています。
加えて、大気汚染防止法の期間短縮願のような、事業者が着手予定日を前倒しして着手することを申請できる制度の創設を提案いたします。自治体の十分な確認期間確保に加え、確認期間が短く済む場合は、事業者の早期着手も可能となるため、自治体と事業者の双方にとってメリットがあると考えます。
次のページをお願いします。2-1、自然由来等土壌の取扱いに関する合理化についてです。検討会の見直しの方向性のとおり、土壌溶出量基準に不適合となる自然由来等土壌について、搬出を行う場合には処理等の管理を義務づける枠組みを維持しつつ、従来の区域指定制度の対象からは除外することには賛成でございます。これは法では、事業場で取り扱っていた物質を対象に調査を義務づけていますけれども、実際には土地所有者の自主的な判断や土地の形質変更に伴う建設残土の処理に併せて全項目の調査を自主的に行った結果、自然由来程度の汚染が判明するケースが多くございます。そういった汚染であっても、現行では特例区域を除き、人為由来と同じ区域指定制度の枠組みに入れて規制しているため、今般の見直しで合理化を図ろうというものだと理解しております。
自然由来等土壌を従来の区域指定制度の対象から除外する条件に関しては、追加調査を求めるのではなく、法3条1項や、法4条に基づいて実施した試料採取等調査結果のみをもって判断できる制度にすることを提案いたします。その理由は、現行制度では、自然由来特例区域の該当性の判断の根拠として自然由来汚染調査という別の調査を求めておりますが、過程が煩雑であるため、あまり活用されておりません。例えば、右のフローの自然由来の判定のように、試料採取等調査の結果、※1で示す条件例のように、シアン化合物を除く第二種特定有害物質による汚染が溶出量基準に適合せず、汚染濃度が基準の10倍程度超過している場合にあたっては、土地の所有者等の申請によりその調査結果のみをもって、従来の区域指定制度から除外することができるようにすれば、手続が簡潔で、事業者、自治体にとっても負担がないと考えております。また基準不適合の区画だけでなく調査範囲全ての土壌を自然由来等土壌の特例の対象とし、搬出が行われる場合の処理等の管理を義務づけることで、汚染拡散も十分に安全側で防止できると考えます。
次のページをお願いします。2-2指定区域内における健康リスクに応じた施行基準の設定でございます。現行制度では、指定区域内で形質変更する際、汚染された物質の種類や濃度のほか、健康リスクがある要措置区域、健康リスクのない形変区域に関係なく、土壌溶出量基準不適合の土壌が帯水層に接する場合には、資料中のイラストのようにしっかりした汚染拡散防止のための施行方法が必要とされています。一方で措置の必要性について事業者さんからご相談を受けることも多く、負担が大きいと感じています。今般の見直し後に調査される自然由来等土壌は、従来の区域指定制度の対象から除外していただきたいと考えておりますが、従来より健康リスクのない一般管理区域に指定されている区域に関しては、第一種特定有害物質やシアンによる汚染ではなく、汚染状態が第二溶出量基準以下であれば、この施行基準の適用除外とできないかと考えております。
次のページをお願いします。2-3、実態に即した要措置区域等の指定に係る基準の設定についてでございます。要措置区域においては、原則、土地の形質の変更は禁止されているため、名古屋市のような市街地では要措置区域に指定されるかされないかは、土地の利活用上重要な問題となります。
一方、名古屋市では大規模ビル、病院、大学、ホテルなどが所有する100件以上の専用水道の飲用井戸が臨海部を含めて点在しており、基本的にはこの飲用井戸と汚染区画の水平距離が要措置区域の指定要件になっています。しかし実際には、資料右のイラストのように、飲用井戸のストレーナーは100m以上の深度であり、不透水層の存在や重金属類の深度方向の移動性を考えますと、健康被害が生じるおそれは想定されにくいと考えます。現行の要措置区域の指定要件が深度方向を考慮していないため、特に有害物質使用特定事業場にも該当する病院や大学にとっては、必要以上の健康リスクを想定する必要があり、土地の利活用の支障になっている状況でございます。
従って、区域の指定を三次元で行っていくことに併せて、この要措置区域の指定要件についても、深度方向を考慮したものに見直していただきたく思います。加えて、専用水道の受水側で浄化処理などがされている場合は、求められる措置の内容を軽減することが検討できないか考えています。また、この要件の考え方につきましては、さきに述べました試料採取等調査の猶予の判断で、考慮すべき健康リスクがないことが確認できる場合という条件の考え方と揃えていただきたいと考えております。
次のページをお願いします。3-1、法対象外土壌に関する運搬・処理基準順守の義務化についてでございます。さきに述べておりますとおり、自然由来等土壌を従来の区域指定制度の対象から除外し、搬出が行われる場合の処理等の管理を義務づけるということになりますと、右のイラストの赤字で示すように、現行制度の法対象土壌、つまり汚染土壌処理施設での処理が義務づけられている要措置区域等から搬出される汚染土壌とは別で、新制度の汚染土壌となります。また、現行でも条例や自主調査で発生した、運搬処理が法では義務づけられていない法対象外土壌がございますが、さらに位置づけの異なる汚染土壌が増えることによって、処理施設が受け入れる汚染土壌の取扱いなどが煩雑になることが想定されます。許可を出している自治体にとっても適正に処理されているかどうかを監視する際に、同じ問題が生じてくることが想定されます。したがって、汚染土壌の適正な運搬処理の確保の観点から、自治体から許可を受けた汚染土壌処理施設においては、法対象土壌・法対象外土壌に関わらず、受け入れられた汚染土壌を全て土対法に基づく運搬処理基準に従って処理することを義務づけることができないか提案いたします。
次のページをお願いします。再処理汚染土壌の運搬・処理状況に関する透明性の確保についてでございます。現行制度において、要措置区域等から搬出された汚染土壌の、汚染土壌処理施設までの流れとしましては、およそ半分が、一次処理を経由した後に二次処理されております。その過程では、二次管理票が交付されることになっているものの、様々な搬出元の汚染土壌が混在して運搬処理されているため、透明性の確保に懸念がございます。こういった観点からも、法16条の区域外搬出届出書の対象の範囲を二次処理まで拡大させまして、電子管理票システムによる情報の管理、公表により、透明性を確保することが必要ではないかと提案いたします。
以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では続きまして、土壌環境センターからご意見をいただきます。土壌環境センターからは、早水副会長にお越しいただきました。なお、質疑対応のため、同センター嘱託研究員の中島様、日笠山様にもお越しいただいております。
それでは早水様、どうぞよろしくお願いいたします。
(土壌環境センター)
土壌環境センターの早水でございます。嘱託研究員の中島、日笠山が同席しております。
本日は意見を述べる機会をいただきありがとうございます。内容が多岐にわたりますので、説明は私がまとめて行いますが、質疑に入りましたら、実務的な事項については中島・日笠山から回答しますので、ご了承下さい。
意見としては資料3のWord版が正式ですが、分量がかなりありますので、抜粋・要約したパワーポイントでご説明します。
まず意見の背景としてセンターの概要をご紹介します。スライド2ページ、資料3の1ページであります。センターは土壌汚染対策をサポートするため法制定の前につくられた団体で、土壌・地下水汚染の調査・対策を行っているコンサル、ゼネコン、汚染土壌処理などの企業100社弱が会員となっております。様々な自主事業の他に、基金への出えん金を上乗せした管理票の販売、ガイドライン案の作成、基準検討等の請負業務により、土対法の施行に貢献しております。
スライド3ページ、資料3の2ページですが、自主事業のうち技術委員会では、部会、分科会でPFOSや土壌・地下水汚染対策の総合的推進のための検討などを行っております。
スライド4ページ、資料3の3ページですが、ほかにセミナー、展示会、研究集会の開催による普及啓発、資格制度による人材育成を行っております。資格には3種類あり、このうち最上位の土壌環境監理士は法に基づく技術管理者がカバーする調査分野だけでなく対策まで広く監理できる資格として、また土壌環境保全士は現場管理のための資格として、調査・対策の質の向上に貢献しております。
スライド5ページ、資料3の4ページに、センターで行っている会員企業を対象とした市場調査の結果を示しております。グラフにありますように、調査・対策の発注件数、金額は近年横ばいか漸減傾向となっております。
それでは意見のほうに移ります。スライド6ページ、資料3の5ページであります。昨年の検討会で述べたものを前回の小委員会で説明された報告書の記述を踏まえて並び替え、再度の会員意見募集により新たなものを追加しております。
スライド7ページ、資料3の5ページでは、まず意見のポイントを申し上げます。センターは、健全な土壌・地下水環境の維持・回復に貢献すべく調査・対策を行っている事業者の団体ですので、その目線での意見を述べます。
まず関係者の自主的な取組の実施状況を行政が把握・評価できることを前提に、制度・運用の合理化に賛成します。他方、地方公共団体の運用や指導の振れ幅を抑制するよう、ある程度の統一化を図る等により関係者の負担軽減を要望します。また、土壌汚染対策と地下水汚染対策が連携・整合した一体的な対応の推進を要望します。さらにリスクに応じた合理的な対応の推進を要望します。また、情報承継義務化には賛成します。併せて、国による一元化・DX化等の検討、脱炭素の促進など新たな視点での対策の検討を要望します。
スライド8ページ、資料3の6ページからは個々の意見を検討会報告書の記載順に述べさせていただきます。
まず制度・運用の合理化には基本的には賛成であります。
法3条関係の特定事業場関連の調査契機の見直しについては、調査契機の一元化と地歴調査の拡充には賛成いたしますが、その際、有害物質の貯蔵施設の土地も対象としていただきたいと思います。また調査結果を受けて操業中でも事業者に自主的な調査・対策を促す仕組みを検討いただきたいと思います。それから情報承継義務化には賛成ですが、併せて承継すべき情報の保存の義務化も必要と考えております。また過去の対策の実施状況も保存・承継の対象とすること、さらにこれらの情報を基に、土地所有者等が法の届出の要否を適切に判断できるような支援をお願いしたいと思います。それから、センターの調査では、自主的に広く土壌汚染調査・対策が行われておりますので、その状況を把握して、政策に活用していただきたいと思います。また基本的に、法3条の調査は事業場由来の汚染のおそれに、法4条などは形質変更時の汚染土壌の移動のおそれに、それぞれ対応するという本来の趣旨に立ち返って、対象の明確化、合理化を図っていただきたいと思います。このため、健康被害のおそれがない公有水面埋立地の埋立材由来の土壌汚染は、法3条の対象外としてはどうかということになります。
スライド9ページ、資料3の7ページは、土壌汚染対策と地下水汚染対策の連携・整合についてです。この意見は、恐らく他からはあまり示されないと思いますので、少し詳しくご説明します。
土対法制定以前は、平成11年に作成された「土壌・地下水汚染に関わる調査・対策指針及び同運用指針」があり、土壌汚染と地下水汚染が一体的に扱われておりました。土対法が制定されますと、水濁法は未然防止・モニタリング中心、土対法は土地所有者が敷地内の調査・対策を行うという性格・思想が異なったため、両法の調査・対策の契機・内容や行政対応が必ずしも連携・整合していない部分があります。
例えば、水濁法の常時監視で地下水汚染が確認されても、土対法5条の調査命令、水濁法14条3の浄化措置命令には条件があり、簡単に発出しにくいということになっております。それから原因が敷地外の汚染地下水による、いわゆるもらい汚染である場合には、対応する規定がございません。また、両法律の調査・対策で求められる要件等が異なっております。それから先ほどのもらい汚染と似ていますが、土壌汚染に起因して敷地外に広く残存する地下水汚染に対応する制度がございません。最後に、土壌汚染と地下水とで担当地方行政が異なると、情報共有が不十分になりがちということがあります。
スライドの次のページの図は常時監視から汚染原因者へ訴求しにくいこと、もらい汚染に対応しにくいことを示しています。なお、関連の参考資料として研究集会での発表論文を資料3の後ろにつけておりますので、後ほどお読みいただければと思います。
そこで対応案として、両法の役割分担を前提として連携させ、土壌・地下水汚染を一体的に捉えて総合的に対策できる何らかの仕組みを検討いただきたいと思います。例えば、常時監視で地下水汚染が発見されたら行政が汚染源を究明し、土対法5条の調査命令や水濁法14条の3の浄化措置命令まで一連で実施する仕組み、もらい汚染や敷地外に広がった地下水汚染に伴う問題に対応する仕組み、汚染の発生契機によらず同等の措置が取られる仕組み、それから担当地方行政間の情報共有の仕組みなどでございます。
次に、別の話題ですが、スライド11ページ、資料3の8ページです。法4条関係の形質変更に対応するケースです。
有害物質の使用等の取扱が想定されない土地で法4条の届出を不要とした場合、自然由来等土壌の移動・搬出に係る影響をどのように防止するのか検討いただきたいと思います。
例えば、現在は自然由来あるいは水面埋立て用材料由来の汚染調査で、過去に調査されていない物質は汚染の有無が確認されないまま汚染なしとして取り扱われます。ただ搬出先の盛土等からの検出事例もあり、法4条の届出を不要にすると汚染土壌の拡散が懸念されます。また、法改正により盛土規制法が新しく制定されましたが、基本方針やガイドラインで、汚染土壌の盛土等への不適切利用の防止については、土対法の部局と連携するよう書かれており、土対法に委ねられているという点にも留意をしていただきたいと思います。
操業中の対応については、先ほど3条関係でも述べましたが、法4条関連でも、調査要件の見直しや、インセンティブの付与等を検討いただきたく思います。
スライド12ページ、資料3の9から10ページです。土壌汚染状況調査プロセスの明確化について、地歴調査と試料採取調査の2段階化に基本的に賛成ですが、地歴調査のみを行う場合、健康リスクがないことの判断や、根拠情報が取得できなかった時の判断プロセスを明確にしていただきたいと思います。それから汚染範囲を立体的に絞り込むための詳細調査を法で規定して指定調査機関が実施する方針に、基本的には賛成をいたします。水濁法の事故時の対応強化の提案にも賛成いたします。ぜひ土壌・地下水汚染への対応も含めていただきたく思います。
次、スライド13ページ、資料3の10から12ページになります。区域指定制度、搬出規制等の合理化ですが、立体的な区域指定については賛成ですが、汚染分布が時間がたつと変化するということ、あるいは土地の高さが変更することがあるという点への対応を検討いただきたいと思います。
また、前回改正で導入されました試料採取等の深さを限定できる制度について、立体的な区域指定との整理を行い、合理的なものにしていただきたいと思います。それから自然由来等土壌で健康リスクがない場合に区域指定の対象から除外し搬出時に管理を行う方針には基本的には賛成いたしますが、自然由来と水面埋立用材料由来は状況が異なるため、分けて検討いただきたいと思います。
また、4条のところでも先ほど述べましたが、土壌の敷地内の移動や敷地外への搬出の管理方法を検討いただき、汚染土壌の搬出防止を図っていただきたいと思います。その他、区域指定後の調査結果で区域指定の変更・解除ができるように検討いただきたいと思います。
スライド14ページ、資料3の12ページですが、情報の管理、承継についてです。区域指定台帳等について、国で一元管理し、関係者が活用できるようDX化を推進していただきたいと思います。情報承継については、手続きの時間・労力が増加しないよう配慮いただきたいと思います。それから地歴調査の結果の承継義務化についても賛成いたしますが、情報の種類や精度のばらつきをなくすよう、国での一元管理、DX化をお願いしたいと思います。その際、汚染がなかったという情報も含めるようにしていただきたいと思います。
スライド15ページ、資料3の13ページ、その他の視点からの意見として、収集された情報の利活用をするように検討いただきたいと思います。それから地歴調査等で必要な水濁法等の届出情報を容易に確認できる仕組みを検討いただきたく思います。措置完了報告についても、その作成・確認について、デジタルデータの活用を要望いたします。
スライド16ページ、資料3の13、14ページですが、汚染土壌処理施設、指定調査機関関連です。電子管理票の普及、推進には賛成します。運用業者への監査・指導、基金からの援助の検討をお願いしたく思います。それから、不適正事例に関する情報収集、立入検査の厳格化にも賛成します。関連して、センターが運営する土壌環境監理士、土壌環境保全士の資格も活用いただければと思います。
スライド17ページ、資料3の14から15ページですが、基本方針の創設については賛成します。脱炭素関連では、掘削除去が減らない原因についての分析、脱炭素のための制度的な誘導の検討、あるいはセンターで開発した評価ツールの活用なども検討いただきたく思います。さらに、浄化済土壌の有効活用を促進する制度設計もご検討いただきたく思います。
スライド18ページ、資料3の15ページ、その他の事項ですが、基準値の設定の考え方の再検討やリスコミ推進方策の検討には賛成です。センターも協力したいと思います。
現在、法対象外となっておりますリスクが幾つかありますが、例えば、揮発性物質の吸入曝露などの健康リスクについても科学的な検討を進めていただきたく思います。
それから土対法の基金で費用負担能力の低い者へ調査費用を助成することには賛成しますが、基金の仕組みを再検討し使いやすくすること、また基金の積み増しのため、今後普及が予想される電子管理票についても、出えん金の上乗せを促していただきたく思います。
スライド19ページ、資料3の16ページですが、ガイドラインの改善をしたいという点についてです。センターが案を作成しておりますので協力いたしますが、目指すべきは関係者が使いやすい資料であり、コンパクト化で運用がばらつかないよう留意をして検討いただきたい。実際、自治体や担当者間で制度の運用や対応が異なることが関係者の負担となっておりますので、自治体が適切に法運用できる環境の整備、研修の実施や人材派遣などの検討もお願いしたいと思います。
また、その他の課題として、土壌や地下水の様々な機能を考慮し、健康リスク以外の環境リスクへの対応も検討いただきたいと思います。
スライド20ページ、資料3の17から18ページですが、その他の課題です。法5条の調査命令が使われていない点の改善、法14条の使い方についての課題整理、先ほども述べましたが盛土規制法や資源有効利用促進法との関係の整理、それから土壌に関する有機フッ素化合物への対応の検討をしていただきたく思います。
次スライド21ページですが、ブラウンフィールドの実態把握、最後に、汚染土壌と廃棄物・建設汚泥とが混在するケースの対応の検討もしていただきたく思います。
以上で説明を終わりますが、今日の意見は制度面に関係する項目を中心に、運用面も含めてご説明しましたが、会員企業からは規則、ガイドラインに関する意見も多く提出されておりますので、その検討段階でまた意見を提出したいと思います。
以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。それでは、ここまでの2団体のご意見につきまして、ご質問を賜りたいと思います。ご発言のある方は、ネームプレートを立てていただくようにお願いします。WEB参加の方は、挙手ボタンでお知らせください。
江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
江種です。名古屋市さんと土壌環境センターさんに、両方にお聞きしたいんですけれども、昨年度の検討会でまとめた報告書でも、地歴調査の3次元化、立体調査、詳細調査を、地歴調査に位置づけるとか、そういった形で、立体的に汚染を把握しようというような文言も入っておりました。そのときにも、それによって認定調査をなくすんだと、取り消すんだというような議論がありました。今日の説明の中で、名古屋市さんのところも、土壌環境センターさんのところも、そういった地歴調査を立体的に行うことについては賛成だということなんですけれども、それに伴って、認定調査をなくすということに関しては、どのようにお考えかお聞かせいただきたいんですけれども、よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
まとめてお願いしますので、どうぞほかにもお願いします。
光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。大変実務に沿った、いろいろ貴重なご提案があったかと思うのですが、名古屋市様のところで、試料採取のDX化というお話があったんですが、これは海外では、州とか、省別に、汚染の状況とか、工場の状況をGISで出しているところがありますが、これがもし名古屋市様でやるとすると、期間的にはどれぐらいかかりそうなのかというイメージをお持ちでしたら教えていただきたいなと思いました。
土壌環境センター様のほうには、Wordの資料の14ページの持続可能な土壌汚染対策を総合的に推進するための基本方針の一番下のポツのところに、インセンティブへの費用の優遇を考える場合、措置方法の環境負荷レベルに応じた、有害物質使用特定施設の設置者等に寄付や納付を促し、という部分の詳細について教えていただければと思いました。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
古川委員、お願いします。
(古川専門委員)
経団連の古川でございます。土壌環境センター様にお伺いします。土壌環境センター様にお伺いするのが適切かどうか分かりませんが、今後、PFOS、PFOAも含めて、対象物質が増える場合の対応、及び、PFOS、PFOAであれば、製品の通常使用によって起こる漏えいでの汚染も、9ページに書かれている内容でカバーすることをお考えなのかどうかについてです。ご意見があれば、お伺いしたいと思います。
以上でございます。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。
西井委員、お願いします。
(西井専門委員)
西井でございます。名古屋市さんへのご質問になります。資料1-1のご提案にありましたように、有害物質の使用特定施設が稼働中の工場等において、土地の切り売りによって土地所有者が変更してしまうことで、適切な浄化対策がなされず、汚染の拡散につながる可能性があるということは問題だと考えております。
大阪府のほうでは、特定施設等が稼働中の工場の敷地が切り売りされるなどして、同一工場以外の用途で形質変更するときには、面積要件なしに土壌汚染調査を義務づけているのですが、今回のご提案で、土地所有者が変更される際、つまり売買のタイミングというのを契機としてご提案されているとのことでした。この売買のタイミングというのは、なかなか法制度上前例がないため運用が難しく、切り売りされた土地が形質変更されるときに義務づけるほうがやりやすいのではないかなと考えるのですが、この辺り、どのように考えておられるかというのをご質問させていただきたいと思いました。
あともう一点ですが、資料2-3のほうで、周辺の専用水道、つまり、受水側で水質管理されているときに、要措置区域の規制を緩和する、対象外とするというご提案をされているとのことですが、受水側の水質管理が将来的に保証されるかも含めて、どのような要件で考えられているのか、ご質問させていただきたいと思いました。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
ありがとうございます。早稲田大学の石巻と申します。
全体の方針として、関係者が分かりやすい制度に変えていくという流れは賛同しているんですけれども、地歴調査のみで、土壌汚染のおそれや健康被害のおそれをどれだけ適切に判断できるかというところは、適切性を確保できるような制度にしていかなければならないと思っております。地歴調査を誰が実施するかですとか、その地歴調査をした結果の情報をどのように管理していくかといったところについては、所有者の承継義務を設ける場合も、所有者の負担をあまり過剰にしないという工夫も必要かと思っております。
土壌環境センター様の資料のほうで、地歴調査に関しては引き続き指定調査機関が行うこととすべきだというふうに書かれており、そのほうが恐らく資料にもあるとおり、公正性の面でもよいと思います。この点に関して、名古屋市さんの条例では、3,000m2以上の土地の形質変更をする場合に、地歴調査の結果を着手30日前までに市長に報告しなければならないという制度になっているかと思いますが、この条例に基づく地歴調査の報告の場面で、地歴調査を誰が実施しているか、その地歴調査の報告を受けた後の情報の管理はどのようになされているのかについて、土対法の制度設計にもヒントになるところがあるかと思いますので、教えていただけるとありがたいです。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
小林委員、お願いします。
(小林臨時委員)
ありがとうございます。小林です。
私も、今の地歴調査の後、2段階にするというところが、賛成ではあるんですけれど、1個危惧しているところとして、健康被害のおそれですとか、汚染のおそれの有無の判断のところ、特に小さな事業所さんを考えた時、クリーニング屋さんといった高濃度で特定有害物質を取り扱っている場合、恐らく汚染のおそれがあり、健康被害のおそれがありというような判断がなされると思います。その後、試料等採取に進む際の猶予の考え方ですとか、100%、試料等採取に進むということになると、かなり調査の負担とか、出てくるのかと思うんですが、そういう際の懸念というか、名古屋市さんですとか、土壌環境センターさんとか、小さいところも含めて現場を見られた立場から、実態ですとか、その後の対応について、何かご意見、コメント等があれば伺えたらと思います。
以上です。
(大塚委員長)
では、勝見委員、お願いします。
(勝見専門委員)
勝見です。よろしくお願いいたします。
先ほどの土壌環境センターさんのご説明の中で、盛土規制法の話がございました。自治体が定めておられる残土条例の分析や試料採取の統一化というところをコメントされていて、それに関連して、もう少し前のところ、資料3の15ページ、パワーポイントの17ページでは、汚染土壌の再利用・減容ということも書かれています。ここでは浄化等済土壌の利用ということで、一応限定はされた表現にはなっているんですけれども、前の制度改正では、自然由来、あるいは埋立地特例区域の実施については、条件つきで利用も可能となりまして、そういった制度が、この土対法の中で、少しずつ作られていっております。それと各自治体が持っておられる残土条例やいろいろなやり方とで、どうしても食い違いが起こってしまっているようなところもあるのかなということもございます。その辺り、センターさんや、環境省のほうで、お考えがあれば、お聞かせいただきたいなと思いました。
この小委員会の議論すべき守備範囲から少し外れるのかもしれませんけれども、資料に書いてありましたので、少しコメントさせていただきました。
(大塚委員長)
はい、ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。
では、島田委員、お願いします。
(島田専門委員)
土壌環境センターさんのご説明の中で、深さ限定の制度の適正化ということで、試料採取等深さを限定できる制度については、多くの課題があるため見直しを検討するほうがよいと示されております。
3次元の制度を利用した場合、立体的な区域指定をするために3次元的に調査をして、それをやっていく場合には深さ限定というのも、その中に盛り込めるというような意味合いかなというふうに考えましたけれども、3次元を利用しないような場合も想定されるますが、そういった場合には、どのような考えがおありかというのを伺えればと思います。
(大塚委員長)
ほかによろしいでしょうか。
原委員、どうぞ。
(原専門委員)
産総研の原と申します。土環センターさんへご質問なのですけれども、その他の見直し事項、19ページのところ、我々、土壌汚染の健康リスクを扱うときに、基本、ヒト曝露リスクを扱っていいます。ここに書かれています、環境、その他、健康リスク以外の環境リスクへの対応となりますと、全体的に合理化、あと簡便化の方向で見直しを要請されている状況に反して、ここはどちらかというと、厳しくなる方向の意見に思われます。具体的に、生態系サービスというところ、どういうふうなご意見で書かれているのかというのを聞きたいと思っています。
あと汚染土壌と廃棄物・建設汚泥との混在について、実際、どのようなケースで、土対法において対応が必要なのか、具体的なところを伺いしたいと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
よろしいでしょうか。ではご回答のほうをお願いしたいと思います。
では、2団体、それぞれについて、ご回答をお願いします。
では名古屋市さん、お願いします。
(川瀨専門委員)
ご意見ありがとうございます。まず認定調査の話ですけれども、資料中の1-3をご覧ください。深度方向の詳細調査のほうの結果を持って、汚染土壌の搬出等を管理していけば、現行の認定調査は改めて調査して項目全てセーフなら搬出できるという制度であるため、二重の調査となり、不要であると考えているところでございます。
なので、この詳細調査が確立されれば、認定調査は基本的には不要と思います。先ほど土壌環境センターさんがおっしゃるように、時系列の問題だとか、汚染の移動という課題があり、そういう場合には、現行の認定調査のようなものも必要になってくるかもしれませんが、少なくともここの土地の形質の変更のタイミングで、詳細調査をやられているのならば、この結果を基に、対策とか、調査、搬出とかを管理していけば、認定調査というのは、二重になるという趣旨で、不要というふうに、前の検討会では整備されたのかと理解しています。
次、DX化についてですが、同じページの例で示した電子申請システムをシステム化すれば、同じ土地を改変しようとも、そのデータをそのまま使えますので、すごく便利になるのかなと思います。これを一自治体で作ろうとなると、かなりの予算と時間と労力が必要になってくるのかなと思っていますので、ぜひ国のほうでやっていただけるといいかなということで、提案させていただいたものでございます。
あと、大阪府さんの切り売りの話について、現行では猶予申請した土地所有者さんとは、自治体との関係も少なくなり疎遠な関係になってしまうんですけども、早く地歴調査を実施し、その土地の形質変更や切り売り、売買等、そういう契機で地歴調査をもらうという手続にすれば、自治体との話もでき、また地歴調査であれば比較的簡単に実施できるため、土地所有者さんも実施していただける見込みが高いという点で、いいのかなと思っています。ただ、切り売りするとおそらく住宅とかを建てようとすると思いますが、その場合は敷地外の土壌を搬出する契機になりますので、しっかり調査をやっていただく必要があると考えております。そのため、資料中の1-2の通り、事業場敷地からの搬出が無いことを条件にして、事業場敷地からの搬出がある場合には、試料採取等調査をやっていただくというふうに制度設計すれば、問題はなくなると理解しています。
地歴調査に関して、今、名古屋市の条例で、3,000m2以上の土地の形質変更のときには、法の4条に併せて、条例で地理調査の報告を義務づけていまして、試料採取等調査の必要性が見込まれる場合には、指定調査機関さんに基本的にやっていただいています。情報の管理については届出をいただければ、自治体が管理していますので、同じ土地で改変する場合には、その情報を見ていただければいいんですけど、土地の所有者さんが基本的には、その情報を持っていただいていると思っていますので、土地の所有者さんが情報を管理していただくのが原則かなと思います。
あとは資料の2-3のところの飲用井戸のところですけれども、専用水道の受水側で対応している場合は、軽減する対応方法で検討できないかという部分につきましては、基本的に専用水道の場合は、専用水道を使われている方が浄化する義務があって、水道基準に合った状態で運営されているということが担保されております。そういうような水道ならば、仮に周辺で指定区域にあたるような土地があっても、十分に受水側で対応しているため、過度な対策を取らなくてもいいと感じているため、提案させてもらったものでございます。
答えになっていない部分があったら、言っていただければ、お答えしたいと思います。よろしくお願いします。
(大塚委員長)
では、土壌環境センターさん、お願いします。
(土壌環境センター)
ご質問をたくさんいただきましたので、もし漏れがありましたら、後から御指摘いただきたくお願いいたします。
まず、私のほうから基本的にお答えして、中島、日笠山から補足をさせていただきます。
まず、江種委員からのお話の認定調査でありますけれども、今、川瀨委員からもお話がありました。基本的になくす部分と、それから、なくせない部分というのがあると思います。これは後で、中島から補足をさせていただきます。
それから、古川委員からありました、PFOS、PFOAについて漏えいに伴う汚染というのは、土壌・地下水の汚染として法的な対応できるかという話ですけれども、漏えいのほうであれば、むしろ別に提案されている事故時の措置を強化して、土壌・地下水対策も入れていくというほうに多分含まれてくるんじゃないかと思います。
いずれにしても、今の土対法の条件になっていない、地下水汚染から敷地のほうに入ってくるようなケースをどうするかというところは、今、抜けている部分があるので、そこを補っていただければということを提案しております。
それから、光成委員からいただいた、14ページの金銭的なインセンティブをどう考えるかということについて、ジャスト・アイデアで書いておりますが、いわゆる汚染物質賦課金のような形で民間資金を積んでおき、インセンティブとして環境負荷の少ない方法を使った人を支援するような形のものができないかという提案を一つ入れているということでございます。
それから、石巻委員からありました、詳細調査を指定調査機関が実施した方がよいかどうかという話ですが、基本的にやったほうがいいということで話はしましたけれども、資料のほうにも書いてあります通り全部ということではございません。法的に担保するべき部分は、そのほうがいいですけれども、実施措置の実施のために行う調査のような実務的な部分については、必ずしもそうでない部分もあると考えており、全部詳細調査を指定調査機関が実施しなければいけないというような意見ではないので、補足をさせていただきます。
それから小林委員からありました、中小企業対策をどうするかということについては、実態は後で中島のほうから補足しますけれども、地歴調査と分離するという今回の提案も、一つ中小企業を念頭に置かれていると考えております。その制度設計の中で、中小企業への配慮というのを検討いただければというふうに考えております。
それから、勝見委員から話がありました、残土条例などで調査のばらつきがあるという話と、浄化済土壌の再利用を促進するという話は、別の話でありまして、残土条例は、残土側から要請が来ている話で、土対法の測定項目などと異なる部分があるので、調整できませんかという話でございます。
それから浄化済土壌については、処理された土はきれいな土なんだけれども、どうしてもレッテルが貼られて、再利用が進まないという話を聞きますので、それを改善できないかという話であります。
それから島田委員から話がありました、深さ限定の制度と、今回の立体的な視点の関係ですけれども、これも後で補足をしますけれども、深さ限定は、あるところまで調べる一方、そこから下は調べなくていいということになっているため、そこの部分はデータがないという状況が存在します。今回は逆に立体的にきちんと調べようというような制度になると思いますので、そこについて整合を取る必要があるという意見でございます。深さ限定の制度にも幾つか問題点があることについては、資料3の11ページに、自然由来の場合に深いところの調査が行われないとか、非常に複雑なため事務手続の労力が増すとか、あるいは調査実施者がきちんと書かれていないといった問題点を書いておりまして、それらも含めて、まとめて解決していただければということで提案をいたしました。
それから原委員から、資料3の16ページ、パワーポイントで言いますと、18、19ページ辺りで健康リスク以外のリスクについてご質問がありました。ご承知のように土壌については健康リスクの観点のみで規制が行われており、他のリスクは視野の外になっておりますが、土壌生態系の保全等の考え方も非常に大事な話であります。また、地下水についても、今飲んでいなければいいというようなやり方については、ある意味で割り切りなので仕方のない部分もありますが、将来的にその地下水を保全していく必要があるという考え方もあります。そういった、生態系とか、あるいは水源の涵養、あるいは炭素貯留とか、いろいろな長期的な広い視野での検討というのも、進めていただければということであります。
それから油汚染との関係でいいますと、今、油汚染については健康被害ではないということで、法律の対象にはなっておらず、ガイドラインで対応するということになっております。そこの整理も、これをやると含まれてくるかなと思います。
以上ですが、続いて補足をさせていただきます。
(土壌環境センター)
中島です。認定調査のところですけれども、おそらく、この立体的な汚染の把握が必要になるケースがどこまでになるかというのが絡んでいると思います。汚染のおそれがあって健康リスクがある場合に試料採取となりますと、健康リスクがあるため措置が必要ということになりますから、詳細調査から措置にいく流れが多いんだろうと思います。
もし汚染のおそれがある状態で試料採取するのであれば、そこで詳細調査まで実施し、区域指定だけ行うという流れもあると思うのですが、その辺の整理が絡んでくると思います。あと、もし、試料採取を行わずに区域指定を受けて管理するということが出てきますと、その場合には認定調査が必要ですし、汚染の状況の変化が見込まれるようなときについては、認定調査を改めて行う、あるいは補足的な認定調査が必要になるようなケースもあるのではないかと考えております。
中小企業のところにつきましては、基本的にクリーニング屋等で試料採取までいくとなりますと、汚染のおそれがあって、おそらく濃度が高いものが多いと思います。健康リスクがあるわけですから何らかの対応をするとなると思うのですが、中小企業の調査の契機は事業の廃止等が多く、土地を売買等する際に清浄な土地を求められるとなると、掘削除去せざるを得なくなるというところがあるだろうと思います。ですので、なかなか負担軽減というところに結びつきづらいかたちが多いのではないかと思います。
(大塚委員長)
ありがとうございます。健康リスク以外の環境リスクへの対応については、前回国会で参考人として行ったときに、野党の先生からも類似の質問があり、国会のほうで議論を行ったことがありました。
ほかにはいかがですか。では、2団体につきましては、以上にさせていただきまして、続きまして、日本汚染土壌処理業協会からご意見をいただきます。日本汚染土壌処理業協会からは、理事長である鎌田委員からご意見をいただきます。では鎌田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
(鎌田専門委員)
よろしくお願いいたします。日本汚染土壌処理業協会、鎌田でございます。
本日は、まずこのような発表機会をいただきましてありがとうございます。汚染土壌処理業協会の概要を説明した後、意見を延べさせていただきます。
目次では、今日の内容について簡単にまとめております。まず協会の概要については、次のページでご説明いたします。それから、土壌汚染対策法の改正に係る事項についてですが、私どもは前回第1回小委員会で事務局から示された資料の7-1を中心に、意見を構成しました。そのため、それぞれのページでは対応する資料7-1のページと項目を併せて書かせていただいております。
では、3ページ目でございます。日本汚染土壌処理業協会の概要でございますが、2010年に設立しております。現在の構成は正会員13社となっておりまして、許可業を持った汚染土壌処理施設は併せて28施設でございます。また、賛助会員も13社となっております。基本的な事業の内容としましては、汚染土壌の適正処理の推進に関わる事項や、汚染土壌の運搬と処理に関わる調査の研究、技術研さん等を行っております。主要事業としましては、この後ご説明・ご意見させていただく汚染土壌の管理票の電子化や、簡易な処理工法である乾式磁力選別工法を発展させていくことを行っております。
資料の4ページに、活動の内容を簡単に書いております。各社の事業内容や取組内容等の公開を通じて透明性を担保するということや、正会員企業の汚染土壌処理施設の情報開示等を行っております。
資料の5ページをお願いします。この後の意見に関係するものとして、土壌管理票に係る電子管理票事業についての簡単なご説明をさせていただいております。我々の名称でいうと「DENKAN」と呼んでおりますけれども、2016年にまずは法対象外土壌で導入を開始しました。メリットとしては、事務作業の効率化や、透明性の確保、統計情報等を使ってどういう動きをしているかがよく分かるという点が挙げられると考えております。
次、資料の6ページ目をお願いします。電子管理票事業は、掘削した現場から多くの経由施設が存在する中で、最終的にどこに運搬されたかという健全性が図られるよう、一次管理票と二次管理票の紐づけに対応をしております。その部分によって、電子管理票を使うことが、処理業、場外搬出の透明化という点に非常に寄与するのではないかと思っております。
次は7ページ、現状について簡単にご説明します。これまでの経緯としましては、2023年度に電子管理票の検討委員会が行われ、その後、2024年に環境省e-文書規則改正等に伴う、土壌管理票の電子化文書規則化の交付がありましたため、電子化の推進を図っているところでございます。現在は、土壌汚染対策法、また電子管理票検討委員会で示された内容に準拠した形のものに作り変える作業の、最終段階でございます。基本的な形は完成しており、今年の年末から年始にかけて適用開始するという形で進めております。以上が処理業協会の簡単なご説明でございます。次ページ以降は、意見に移らせていただきます。
資料の8ページをお願いします。土壌汚染対策法の改正に係る意見の1点目としまして、1)管理票電子化による汚染土壌の搬出開始から処理終了までの間のトレーサビリティーの確保についてです。こちらについては、参考資料7-1の12~13ページに記載されている「汚染土壌処理施設」の技術的能力等の持続的な確保等に関連するものでございます。特に、P13に課題として記載されている、従来の管理票(印刷物)の運用において、二次処理以降の段階での処理の透明性の確保に懸念という点に関連しております。この部分に関しては、先ほども申し上げたとおり、汚染土壌処理業の透明性確保にあたって二次処理先までを明確にするため、電子の管理票を、我々協会で自主的に作成させていただいております。電子化の普及によって、透明性の課題が払拭できると考えておりますが、要請事項に書いてあります通り、電子管理票の利用促進、啓発を推進していただければ、より効果的と考えております。また、例えばその汚染土壌がどのように発生したか、どれぐらい発生したといった、電子データの活用についてもご検討いただきたく思います。
次に、資料の9ページ目でございます。意見の2番目としまして、運搬方式によるCO2の削減と運搬期間の緩和についてです。資料7-1でいいますと、14ページ目になります。
「基本方針(仮称)として、国が定める規定を創設することも検討」の中に、土壌汚染に対する措置における温室効果ガスの排出抑制の重要性等についても、当該方針を盛り込むことを検討すべきという記載がございます。これについて、運搬運送期間の最適化を検討していただきたいと考えております。トラック以外の船や鉄道といったCO2削減に寄与する運搬モードを積極的に採用できるようにするため、運搬期間の緩和の検討をお願いしたいと考えています。
10ページ目と11ページ目に、これは国土交通省からの資料と、その資料を基に、処理業協会で試算した図面の数値表を付けております。船や鉄道といった運搬モードはCO2の発生量を抑制できるのですが、運搬単位が大きくなってしまいます。そのため、途中での日数にある程度余裕があったほうが、全体の設計がしやすく、このような状況をご考慮いただきたいと考えております。
次に資料の12ページでございます。意見の3番目は、浄化等済土壌の再利用による資源循環でございます。参考資料7-1の15ページ、その他というところに、「自然資本を基盤とした国土のストックとしての価値向上を図る観点」と記載されています。資源循環の促進ということで、例えば、汚染土壌処理施設における、浄化等済土壌を資源としてリサイクルすることがその一つに該当すると思いますし、新たな自然破壊を防止する観点からも積極的に利活用をすることが望ましいと思います。この土壌に関しては浄化済であるという分析値を持った明確なリスク管理済み資材と言うことができると思いますので、その部分を積極的に進めていただきたいと思います。
参考までに、我々の協会員の汚染土壌処理施設による、アンケート結果を13ページにご報告させていただきます。令和2年度のため少し前のデータにはなりますが、汚染土壌の受入れ工事種別と、浄化等済土壌の種類を示したものです。民間の土木や建築工事等、開発に関わる工事において汚染土壌の受け入れ量が多いという形になります。
次の14ページをご覧ください。実際の浄化等済土壌の利用用途ということで、協会員からアンケートを取ったものでございますが、浄化等済土壌の利用率は、約半分でございます。処分してしまっている部分を活用できるようにすることで、資源循環につながるため、浄化等済土壌の再利用促進についてご検討いただければなと思います。
資料の15ページをご覧ください。意見の4番目として、その他で意見があったところについて意見をさせていただきます。参考資料7-1の15ページ以降のその他というところで、基準値等に関する科学的知見等の整理と検討、リスクコミュニケーション等と記載がございます。1番目のところの意見に該当しますけれども、国民のリスク管理に関する知識認識の認知なしに、掘削除去場外搬出偏重であるという認識を変えるのは、難しいのではないかと思っております。資産価値の創出という面で、どうしても掘削除去を選ばざるを得ないケースもあり得ると思われ、いわゆるリスク管理という中の、土壌汚染に関する基準についての国民の認知を並行して醸成していく必要があると思います。
最後にその他の意見でございますけども、汚染土壌と一言で言われることがよくありますが、廃棄物が混ざっているような汚染土壌の区分が明確に行われていないと思います。また、掘削除去を選びやすい背景としては、現地で汚染を浄化する場合においては、完了後に2年間のモニタリングが求められるため、現地浄化は非常にハードルが高くなっていると考えております。この辺も含めてご検討いただければいいなと考えております。
以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございました。では続きまして、日本鉄鋼連盟からご意見をいただきます。日本鉄鋼連盟土壌汚染対策ワーキンググループ主査の小崎様にお越しいただいております。なお、質疑応答のために、同ワーキンググループ委員の御福様、中村様にもお越しいただいております。
それでは小崎様、どうぞよろしくお願いいたします。
(日本鉄鋼連盟)
ご紹介ありがとうございます。日本鉄鋼連盟の小崎でございます。それでは、お手元資料の資料5、鉄鋼業として思慮している課題及び「土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性」に対する意見と題してまして、発表させていただきます。
資料の2ページ目では、まずは本日の意見の趣旨を記載しております。
我々鉄鋼業は製鉄所が中心となりますけれども、臨海部に立地するのがほとんどでございます。形質変更時要届出区域である場合でも、工業専用地域で一般住民の立入りはなく、地下水を飲用していないことから、人健康リスク被害のおそれは極めて低いと認識してございます。
ただその一方で、製鉄業は設備投資を頻繁に行う関係で、土地の形質変更を行う機会も多くございますが、その形質変更を行うときには、要措置区域と同程度の「土地の形質の変更の施工方法」が求められております。これを我々としては課題と認識しておりまして、本日はここを中心に、その課題とそれに対する我々の意見を少し次ページ以降で述べさせていただきます。
では3ページをご覧ください。鉄鋼業がどういう場所に立地しているかということで、下4点ほど地図をお示ししております。兵庫、東京湾、愛知、室蘭と主要な鉄鋼業が立地している4エリアを示しておりますが、赤丸の高炉会社事業所、黄色のその他鉄連会員会社事業所のいずれも、そのほとんどが海に面しており、いわゆる臨海部に立地しているというのがご理解いただけると思います。
これは、鉄鋼業は、ご存じのように原料の輸入ですとか、あと国内外への製品、製造した製品の輸出を行いますため、海に面した低い埋立地に、そのほとんどが立地されているということでございます。またこのエリアについては、繰り返しになりますけれども、工業専用地域で、一般の住民の立入りはないエリアとなっております。このようなエリアに関して、土対法がどの程度の実績があるかというのをお示ししたのが、次の4ページになります。
4ページ下の段のほうに、兵庫県、千葉県、愛知県、北海道ということで、四つの道県の実績をお示しさせていただいています。こちら我々鉄連のほうで、自治体のホームページの公表資料を参考に作成いたしました。
兵庫県を例に、ご説明させていただきますが、形質変更時要届出区域数が342件、うち臨海部に入っていますのが127件、37%を示しております。そのうち鉄鋼関係が20件ということで、件数自体は多く見えないかもしれません。ただこれを面積という指標で見ますと、形質変更時要届出区域の面積に関しては、臨海部が占める割合は75%、鉄鋼関係も比率に応じて増加していることが分かります。兵庫県、愛知県、千葉県、北海道、いずれもかなりの割合を臨海部及び鉄鋼関係が占めているというのがご理解いただけると思います。これらの区域に立地する事業所についての形質変更時の対応を、我々は課題と認識しております。今ご説明したエリアはほとんどが埋立地になっておりまして、臨海部の埋立地の特徴について、次の5ページ、6ページでご説明いたします。
5ページをご覧ください。まず一つ目の臨海部における汚染物質の取扱いについてですが、臨海部には自然由来汚染が多くございます。これはもともと製鉄所を造成するときに土を持ってきたり、周辺の海域から海底の砂を浚渫して、それを埋立てに使ったりしているんですけれども、それらの土には、もともとフッ素、ホウ素、鉛といった自然由来の汚染物質が含まれております。一方で、製鉄業としては、フッ素も生産の過程で使うことがありますので、これ故に、人為由来汚染ということで扱われることが多くなっております。このため、濃度等の定量的な比較ではなくても、工場等で使用した物質と自然由来の汚染物質が重なった場合は、現状人為由来扱いと指定されてしまうため、臨海部の特例区域の申請は今できないような状況でございます。
そのため、例えば、自然由来汚染と見なす一定の汚染濃度基準等を設置していただけると、合理的な判断ができるようになると考えております。
次の6ページをご覧ください。臨海部の特徴として、もう一点、地層についてご説明させていただきます。現状の土対法ガイドラインでは、数キロにわたって一様な厚みのものが、ある程度標準的になっている地層を前提としております。一方で、実際の臨海部における製鉄所の地層事例を資料中の右側に示しております。埋立てで造成されている土地であるということや、海岸線にあるため海水面の海進・海退の繰り返し影響があることから、地層が一様でなく、不規則で変化が多い地層となっております。事例1、事例2と二つお示ししておりますが、ほとんどの製鉄所の場合は、このような不規則な地層が多くなっております。このような状況ではありますが、その土地の形質変更を行う場合にもガイドラインに基づいて対応を行っておりますので、この点が課題と思っております。
続いて、この課題について少し具体的にご説明させていただきます。7ページをご覧ください。製鉄所の設備投資を行う際には、設備が非常に重たいため、杭を打って構築物を支持いたします。その事例として、製鉄所内での一般的な杭工法と、土対法のガイドラインに記載されている、汚染物質の拡散防止のための杭工法を二つ横並びにして示しました。
左側が一般的にこれまで鋼管杭打撃工法ということでやってきている工法なんですけれども、重たい構築物の下に、鋼管杭という、鉄製で径が大体400mm~1m、厚みが数mm~10数mmのパイプをハンマーのようなもので上から打ち込んでいくということを実施しています。この場合は、発生土は発生せず、無排土な工法となっております。
一方、右側のガイドラインに記載されている杭工法については、汚染物質がある場合、自然由来であってもこの工法で行っております。この場合、鋼管杭の周りに2回りほど大きなケーシングという、鉄製で、径が600mm~1,300mmとか、厚みが6mmとか、十数mmになるものをあらかじめ打ち込んで、その後、ケーシングの中の土を除いて、その後、遮水材を入れて、杭を最後打ち込んで、最終的にはこの坑内の杭の中側が空洞になりますので、ここに非汚染土を充填するということを実施しております。この場合、発生土がどうしても発生しますので、これも汚染土として処分する必要が生じてしまいます。一般的な杭工法に比べると、非常に時間がかかる工法になっていますので、人健康リスクと土地の特性を考慮した合理的な形質変更工法を選択できるようにしていただきたいと考えております。
もう一点、もう一つの課題についてご説明します。8ページをご覧ください。発生土の運用の点でご説明させていただきます。大規模な製鉄所であるとし、2km四方の敷地を想定して水色の枠でくくっております。製鉄所では設備投資を頻繁に行う関係で、調査契機が複数回発生することがございます。オレンジの矢印が、現状の土の流れを示していますが、盛土エリアに区域①、②、③と書いております通り、別の調査契機で発生した基準不適合土壌については、それぞれを区別して管理する必要がございます。これを右側のオレンジ矢印で示しておりますように、仮置き場に持っていき、搬出し、処理施設に持っていくことになりますが、区別するべき契機が多くなることもあり、敷地の効率的運用の支障になっております。例えば見直し案と書いていますように、一つの区域にまとめることができれば、土地の効率的運用もできますし、処理施設へ持っていく発生土も大幅に抑えられることができると考えています。また、そのほか、再利用もできるようにする等、全般的に合理的な見直しをしていただければと考えております。
以上2点、課題を述べさせていただきましたが、これらの課題に対して、今どのような形で費用が発生しているかということを9ページにお示ししておりますので、ご覧ください。当連盟会員企業の9案件より算定しました、製鉄所における形質変更時の土対法費用の内訳でございます。左側の円グラフに示していますように、先ほどご説明した杭などの汚染拡散防止費用、それから発生土が増えますので、発生土砂処分、そして、その管理が多くを占めていることがご覧いただけると思います。そのほか、地下水監視や、土壌成分調査といったもので土対法の費用は構成されております。
最後、まとめに移らせていただきます。
10ページです。第1回土壌制度小委員会において示されている、土対法の見直しに向けた検討の方向性に、全体の方向としては、適切で合理的な土壌汚染に係る健康リスクの管理を図ると記載されております。我々鉄鋼業としましても、GXの推進など社会変化が起きており、それらのニーズに合わせた設備投資を実施してまいります。ぜひとも、土対法の人健康リスクに応じた適切で合理的な見直しをお願いしたいと考えております。
以上で発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございました。では続きまして、不動産協会からご意見をいただきます。
不動産協会からは、環境委員会専門委員である足立委員からご意見をいただきます。では足立委員、どうぞよろしくお願いいたします。
(足立専門委員)
不動産協会の足立でございます。本日はご説明の機会をいただきありがとうございます。資料の目次の順に従って説明させていただきます。
まず3枚目ですが、当協会のご説明をさせていただきます。事業概要といたしましては、オフィスビル・商業施設等の開発・運営・管理、マンション・一戸建て住宅の開発や分譲、あるいは不動産の仲介業、代理業などを業とする大手企業により構成しておりまして、会員数は現在約160社となっております。会員各社におきましては、多岐にわたる不動産業種を取り行っておりますけれども、今回は都市、住宅の開発を行う開発事業に関わる土壌汚染対策法との関わりについてご説明したいと考えております。
次ページに移りまして、2番の不動産開発事業等と土壌汚染対策問題の関わりについて説明いたします。不動産開発事業の多くは、土地や土地を含む不動産を取得しまして、必要に応じ、周辺の土地、不動産を新たに取得し、造成、インフラ整備した後に、ビル、事業用施設、住宅などを建築し、不動産の価値創造・向上を行う事業でございます。
私どもが開発候補地を調査・把握した上で、建築計画・事業収支を立案・検討し、開発用地として取得するかどうかを検討いたしますが、土壌汚染の懸念がある場合は、その調査や対策に非常に時間と費用がかかるため、事業スケジュールや、事業収支に大きな影響があるという認識でございます。
次のページをご覧ください。このことから、事業における調査の費用が多大であるということと、スケジュールの予見性がしにくいということが主な課題でございます。次のページから、不動産開発の実務における強い要望として論点を絞って、自然由来の汚染と地下水汚染と地歴情報の管理について要望をご説明いたします。
次のページをご覧ください。具体的に要望4-1.不動産開発事業における改正要望の1番目は、自然由来の汚染対応合理化でございます。要望としましては、自然由来の基準超過については区域指定をしないということができないかというものでございます。本来その場に元来あったものであることから、除去等の対応をしなくてはいけない理屈に理解が及んでいないという意見でございます。あるいは自然由来については汚染の程度・段階ごとに対応するような基準の新設を検討いただきたいと考えております。
理由につきましては、今申し上げましたように自然由来の汚染について非常に苦慮しているということであったり、所有者が汚染の原因者でないにもかかわらず、全て所有者が負担する制度が、社会的には受け入れられにくく、不合理であるといったことでございます。具体事例としましては、周辺広範に自然由来汚染の懸念があるエリアの工場跡地で、この調査命令により、調査を実施したところ、想定部以外で、多数の鉛、ヒ素が超過検出されたため、結果として、当初より対策費用が大幅に増加して事業性に影響があったというものがございます。
次のページをご覧ください。続きまして4-2.改正要望の2番目ですが、地下水のもらい汚染及び自然由来汚染対応の合理化でございます。地歴調査により敷地内に汚染源がないことが明らかな場合や自然由来の地下水汚染については、措置を不要とすることを要望いたします。
理由としましては、もらい汚染について、汚染源の原因除去ができないまま計画地のみ措置をすることの合理性に疑問があると考えております。近接地からの地下水汚染について、当該地の地下水調査及び対策のみが義務化されていることは、法的にも不合理ではないかというものでございます。具体的な事例につきましては、次項の要望と併せてご説明させていただきます。
次のページをご覧ください。4-3.改正要望の3番目は、地下水の汚染対応の合理化でございます。4-2の要望と一部矛盾するところがございますけれども、こちらは地下水汚染のモニタリング期間の短縮でございます。モニタリングにつきましては、2年間というのが非常に負担になっております。原位置浄化でなく汚染土の搬出と遮水をした場合、埋戻し土が清浄土であることと、有効に遮水されているということを条件にすれば、モニタリングする意味が無いため、モニタリング期間を緩和することをご検討いただきたいと考えております。具体的な事例としては、モニタリング中に工事ができなくなるため、モニタリング終了後に工事着手する必要がありスケジュール的に非常に大きな影響があったというものと、モニタリング箇所を避けて建物を計画したため、建物計画の効率が下がったり、設計変更コストによる事業性の悪化につながったりしというものがございます。
次のページをご覧ください。4-4.改正要望の4番目は、地歴情報について国によるデジタルプラットフォームなどの整備・関与を要望するというものです。既にデータベース化等の情報承継等を検討されているということでございますが、国交省で検討されている不動産ID等デジタル化と併せて、土壌の情報についても一緒に整備・関与を検討していただきたいと考えております。具体的な要望としては、井戸のデータについて、併せてこの情報に乗せていただけることを要望しております。地下水汚染の際の摂取リスクを評価できるということで、合理化につながると考えております。
具体的な理由について、地歴調査で不明瞭な部分は現在ヒアリング等を行っておりますが、80年程度昔に遡る必要があり調査が難航するという実態に加え、情報の散逸防止を図るため、登録の義務化をすることが望ましいと考えております。また、井戸情報につきましては、各自治体のほうで持っている情報とは別に、国交省でも公表されている情報がございますが、こちら全国にわたった情報ではあるものの、非常に大まかな場所の情報しかございません。深度情報等はある一方で、我々が地下水汚染の確認をする場合の井戸の情報としては不十分であり、調査が非常に負担になっているという現状を踏まえまして、各自治体が持っている情報を国のプラットフォームに乗せる等、一元的に管理することを検討していただきたく思います。
加えて、深度方向のような情報も管理することで、地下水汚染のリスクの評価をできるということにもつながると考えております。また、記載がございませんけれども、要望1番目で挙げました自然由来の汚染についても、区域指定しないといった場合についても、地歴情報をデータベース化することで事業承継リスクを補完できるのではないかと考えております。
要望としては以上でございます。自然由来汚染、地下水汚染、土壌汚染のデータベース化、適正な管理につきましては、既に検討の方向性の項目として含まれることは承知をしておりますけれども、当協会のアンケートでも見直しの要望が多数ございまして、各論としては要望の方向性とは異なっている内容かと思いますので、具体的な要望として挙げさせていただきました。
最後に1点、資料には記載しておりませんけれども、1点共有いたします。協会各社にヒアリングした中では不動産開発の我々の事業において、法の調査対象とならない、3,000平米以下の土地であるとか、特定施設があっても900平米に満たない小さい土地の場合でも、地歴調査は、戸建てとかの一部例を除いてほとんどの場合で土壌調査、地歴調査を行っております。そして、地歴調査の結果、土壌汚染の可能性がある場合につきましては、法と同等の調査を行い、結果として法に準拠した措置等の対応を行っております。これは、我々が自主的にやっていることでありますが、そもそもの法律のほうが適正に運用がされ、内容が我々が考えるものに近づいていくということになれば、こういった法対応以下の規模の事業についても影響が軽減されると認識しております。そのため、要望としては全体の見直しを図っていただきたいということを申し添えさせていただきます。
以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では、ここまでの3団体のご意見につきまして、ご質問を賜りたいと思います。ご発言のある方はネームプレートを立てていただくようにお願いします。WEB参加の方は挙手ボタンでお願いします。いかがでしょうか。
小林委員、お願いします。
(小林臨時委員)
ご説明ありがとうございました。
日本汚染土壌処理業協会のご意見の中で、運搬期間の緩和を検討していただきたいという話があったところ、今まではどの程度の期間があって、どの程度緩和されればいいのかというのを伺いたい。
また、日本鉄鋼連盟のご意見の中で、特に形質変更時要届出区域であっても要措置区域と同等の、過剰と思われるような対策がなされており、実際の汚染レベルとして基準値の数倍程度の自然由来と同じようなレベルの汚染で、不連続なこういう地層のためケーシングをしてしっかり対策をしなくてもいいような場合でも、現在はガイドライン等でこのような措置が求められるとの話があった。このような実質的に拡散防止に寄与できていないような過剰な対応が、ほかにもたくさんあるということでしょうか。
さらに、このような事例が、年間で多数生じているのか等の実態も少し教えていただければと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
では、石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
不動産協会様の資料4-2の地下水のもらい汚染及び自然由来汚染対応の合理化というタイトルのページで、地歴調査により敷地内に汚染源がないことが明らかな場合や自然由来の地下水汚染については措置を不要とする旨のご要望のところの、一番下の事例にも書いてあるように、やはり地歴調査によって把握できなかった、もらい汚染というものが実際にあり得るということだと思いますので、地歴調査だけでは実際の土壌汚染の可能性や健康被害の可能性が確実に把握できるわけではないのだろうということが、まず一つ感じたことです。
また、もらい汚染や不法投棄のケースも同様だとは思いますが、地歴調査では分からないような自然由来等の汚染があった場合、あるいは汚染源がそこにはないことが明らかな汚染があった場合に措置を不要とするというご要望は、健康リスクは考慮せずに措置を不要とするということでしょうか。健康リスクがあるのであれば、措置不要ということは難しいかもしれないので、措置を不要とするというよりは、負担の在り方を変える方向性で制度を見直す方がよいのではないかと考えました。
土壌環境センター様の資料の中でも、調査の費用について、基金からの助成を可能とすることを検討すべきと指摘があったように、基金の規模を拡大したり、基金の活用の場面を拡大したりするといったような見直しをすることによって、もらい汚染の場合の負担の在り方を、土地所有者だけに集中させるのではなく、基金からの拠出も含め見直すといった方向性があるべきではないかと考えました。
意見のようになってしまいましたが、以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、勝見委員、お願いします。
(勝見専門委員)
ありがとうございます。
まず、日本鉄鋼連盟にお伺いをします。小林委員のご意見とも重なるところがありますが、形質変更時の施工方法、ケーシングの挿入、遮水、鋼管杭を打つというところ、埋立地といいますか、対象とする臨海部の製鉄所でこれらの施工をしないと、どのくらいの環境リスクがあるものでしょうか。
資料6ページ目には地層が均質に水平には連続しておらず、不規則で変化が多いと記載されており、実際7ページに記載のように施工をするときに様々注意しないとケーシングの効果が得られにくいのではということで、小林先生がおっしゃったとおり、あまりやってもというところもあるのかもしれない。そうなると、どの程度のコストをかけて、どの程度のリスクが下げられているのかというところがもし分かればと思いつつ、見させていただきました。
また、今度は日本汚染土壌処理業協会にお聞きしたいのですが、8年にわたってDENKANを使ってこられて、それは法対象外の土壌に対してということですが、今、法対象の土壌についても準備を進めておられるということでございます。
これから進められようとしている土壌汚染対策法の改正、施行から20年あまりが経っているところ、20年様々積み重ねてきた結果で様々なことが分かって、これはしっかりやらないといけない、これはやらなくていいのではないのかということが分かってきたのが、今のタイミングなんだろうと思っています。そういう意味でデータを取り、しっかり使えるようにするというのはとても意味があると思います。
さらに、土壌環境センター及び名古屋市のご説明において、データを取得するのは効率性とか透明性ということもございましたが、今やっていることの合理性を確認する、あるいは科学的な根拠をしっかりと見ていくという意味で、電子管理票というのは、それらをサポートする非常に大きなツールとなるだろうと思い、注目しているところでございます。
土壌環境センターでは、料金上乗せではありますが、紙の管理票で土対法の基金をサポートされているという説明がありましたが、電子管理票の方では言及はございませんでした。紙の管理票も残る可能性はあると思いますが、両方うまくすみ分けて電子管理票が普及し、基金を支える可能性も出てくるのではないかと思いました。そうなると、先ほどの基金をうまく活用すべきという委員のご意見もWin-Winになる可能性も高まってくるということで、そういう観点について、環境省も含めて関係する方々で、科学的なことを新しい技術を活用して次につなげていく、その一つとして基金をうまく支えて困っている現場に使っていただけるようにする、あるいは次の新しいことにつなげていくというようなことができるよう、ご配慮もいただけるのかと思いコメントをさせていただきました。
以上です。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では、寺浦委員、お願いします。
(寺浦専門委員)
ご説明どうもありがとうございました。
まず、日本汚染土壌処理業協会に質問です。資料13ページの、汚染土壌を受け入れた工事は民間工事からの受入れが多く、公共工事は少ないという理由をご存じでしたら教えていただきたいと思います。
また、次の14ページに公共工事でのリサイクル利用が少ないという記載がありますが、こちらについても理由をご存じでしたら教えていただきたいというのがございます。
さらに、不動産協会及び日本鉄鋼連盟に質問です。地歴情報の承継の義務化や保管についてですが、義務化等を賛成する前提として、やはり国としてのプラットフォームを整備するというところを前提として賛成だとお考えなのかを教えていただきたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。
まず、日本鉄鋼連盟にお伺いします。GXという言葉もありましたところ、ちょうど国際会議のCOP29も終わり、日本国内でも削減目標について報道されたりしておりますが、既に2040年に向けて、GX2040ビジョンというのも議論されてきていると思います。
そうした中で、上場企業においてはサステナビリティ開示としてCO2排出量のスコープ1、2、3も求められる方向で議論されているかと思います。土壌汚染と脱炭素やカーボンニュートラルの関係では、先ほど土壌環境センターからもご意見がありましたが、浄化対策におけるCO2の削減、発生抑制という点と、より広い意味で日本鉄鋼連盟のように広大な敷地を持っておられると、工場跡地にインフラを整備して、例えば再生可能エネルギーの施設とか、より土地を再利用するという二つの観点があるかと思います。鉄鋼業界では土壌汚染対策とGXの調和の点で、どのような取組を考えていらっしゃるかということと、土壌汚染対策法において、GXとの調和の点で課題になると感じていらっしゃることがありましたら、教えていただきたいと思いました。
また、不動産協会のご説明において、土壌汚染対策やコスト等、時間的な不確実性があるということですが、やはり現在も土壌汚染があるために開発を断念したといったケースというのはあるのでしょうか。ご感触として教えていただければと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、奈良委員、お願いします。
(奈良臨時委員)
奈良です。今日はご説明ありがとうございました。
不動産協会にご質問をさせていただきたいと思います。貴協会の主要なステークホルダーとしては、当該土地及びそこに建設された不動産の購入者、クライアントがいらっしゃると思いますところ、クライアントとの間では土壌汚染がある場合は着工が延びること等の土壌汚染のリスクの許容可能性について説明されるというのは大変ご苦労があるのだろうと思います。
そこで質問が二つあります。一つ目は、クライアントが特にどのようなところにこだわられて、懸念を示されるのでしょうか。土壌汚染があることについて、特にどのようなところに論点を持って説明をお聞きになるのかということです。それに対して貴協会はどのような対応をクライアントにされているのでしょうか。
二つ目は、土壌汚染がある場合に、クライアントへの説明を行うに当たって、どのようなものがあれば説明が科学的、客観的かつ相手の論点、懸念に応答する形で、言わばリスクコミュニケーションが取れるとお考えでしょうか。
少し質問を変えれば、改正要望として四つのご提案をいただいていますが、これらがクライアントの立場に立った上でリスクコミュニケーションに資するものになるとお考えなのかどうかということをお聞かせください。
以上です。よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
江種です。
日本鉄鋼連盟にお聞きしたいことがあります。資料7ページに「形質変更時要届出区域(埋立地管理区域や特例区域ではない)の指定を受けると、ガイドラインに示されている要措置区域と同等の汚染拡散防止対策を求められる場合がある」とございます。製鉄所等は必ず埋立地管理区域や特例区域になるというイメージを持っていたのですが、そのような区域にならないような場所はどういうところなのか教えていただきたいと思います。
また、5ページにおいて、臨海部の埋立地の性質上自然由来の汚染が多いが、製鉄所で使用しているとして人為由来扱いをされることによって、臨海部特例区域にならないとおっしゃったと思いますが、様々情報を出していただいている内容は特殊な部分も多く、土対法の全部に適用できるようなものではない気がするので、例えば臨海部特例区域をもう少し充実させて、製鉄所等にうまく合う形に持っていければ十分なのかどうか。それとも違うやり方があるのかというのを教えていただければと思って質問いたしました。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。ございませんか。
私からも二、三お伺いします。日本鉄鋼連盟の資料7ページに記載の人健康リスクと土地の特性を考慮した合理的な形質変更工法を選択できるようにしていただきたいという部分について、具体的にどういうことをご提案なのか、ガイドラインだけの話と考えてよろしいのかということを確認させてください。
また、先ほど石巻委員が話してくださったことも関係しますが、不動産協会の資料4-2においてもらい汚染の要望があり、これは土壌環境センターから出していただいている資料における、もらい汚染と疑われる場合に、敷地外の汚染源に対する規定がないということの反映になるので、環境省としても考えなければいけないということを突きつけられてきたかなという気はします。
不動産協会としては、原因者も対応しなにもかかわらず何で自分たちだけが措置を行わなければならないのかということをおっしゃっているところ、原因者が措置をしないとはいえ、もらい汚染されたところからまた汚染が広がる可能性もありますので、そこは考えなければいけないように思います。その辺をどのようにお考えかということについて、何かコメントいただければありがたいと思います。
さらに、資料4-1について、自然由来については区域指定をしない方向で議論が進んできていると思いますが、苦慮されているとはいえ基準値超過の土壌の搬出は良くないので、搬出時には汚染状況を確認しないといけないという話もあります。記載いただいている要望では基準値超過していても搬出してもいいというように聞こえてしまいますが、どうお考えかというのを教えていただければと思います。
以上、幾つかございましたけれども、ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、ご回答をお願いしたいと思います。まず、日本汚染土壌処理業協会からお願いします。
(鎌田専門委員)
ご意見、ご質問ありがとうございます。全部で三つだったかと思います。
まず1番目は小林委員からいただいた、法対象土壌の運搬期間について、現行は法対象汚染土壌に関して運搬期間は30日以内、その後の処理については60日という決まりがございます。これに関して、例えば船等で集積して運搬することに関しては、30日のルールを一生懸命守ろうという形でやっていますが、運搬期間を満たすために船のサイズを小さくして、一部だけ車で運ぶことや、満船にする前に運搬期間が過ぎてしまうので、一部空の状態でも運ぶことがあります。
また、30日以内に何とかしようとするのは業界として実施しておりますところ、様々な状況があるので、どの程度期間を延ばせばいいのかという数字は本日お答えすることは難しいですが、工事規模に応じCO2削減を考慮して運搬期間を緩和していただくというのが、協会会員の事業者の意見と考えております。
2番目として、勝見委員からいただいた、DENKANに関することで、法対象外の土壌の電子管理票という形で取り組んできました。特に管理票への記載ミスや複数枚書くことで煩雑になることは、非常に防止できているのではないかと思います。また、リアルタイム性があり、汚染土壌が今どこにいるかというのが、それぞれの担当者から分かるといったことや最終的に電子管理票を取りまとめるということも非常によいことかと思っています。
電子管理票システムは今後改良を進めていく予定になっておりますが、課題としては二次処理との連携であり、これは電子管理票が非常に得意とするところかと考えています。整理番号に基づいて一次処理、二次処理と汚染土壌を追いかける部分がこれからできていくという形で、この部分についてしっかりできるかということは、汚染土壌処理業の透明性を確認する上でも重要なことかと思っております。
また、合理性という面では、紙では運搬するのに2日、3日かかり、回付や完了確認に時間がかかることもございますので、その点は非常にいいシステムになるかと思っております。
さらに、基金に関してでございますが、現時点では民間事業会社が我々の思想と理念に基づいて作っているというものでございます。基金の将来性については、今後ぜひ検討させていただくということにしたいと思っております。
それから、これはどちらかといえばデータの利用ということで、土壌環境センターが挙げられていると思いますが、基金からの支援による透明性の確保等、世の中の役に立つということについても、非常にいいことだと考えております。
3番目として、寺浦委員からご質問いただいた、汚染土壌を受け入れた工事における公共工事の少なさの理由につきましては、全ての処理のデータを取って明確に解析したというものではなく、汚染土壌処理業の許可施設で我々の協会に入っている会員だけのアンケートのデータでございますので、なかなか一言で申し上げることはできません。個人の意見でございますが、我々が汚染土壌処理業を行う中で感じることは、製造業の中で汚染物質を取り扱う、生産に基づく土壌汚染が非常に多いということであり、公共に関してはそのような生産物はなく、我々が扱うのはどちらかというと買収等をされた土壌汚染等がある民間用地なので、このような結果になったのではなかろうかと思います。
再利用についても、実は再利用に取り組んでいただいているところは出てきているとは思いますが、件数の少なさと、建築途中で浄化等済土壌を必要とするサイトとのタイミングがうまく合っていないところがあるかと思います。また、浄化等済土壌を積極的に使うと明記することによって、特段プライオリティーとかがあるわけではないですが、そういったものをもし促進していただけるのであれば、我々としてはありがたいなと、せっかくの資源でございますので、有効活用していただければと考えております。
以上です。抜けていましたらご指摘ください。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、日本鉄鋼連盟からお願いします。
(日本鉄鋼連盟)
ご質問、ご意見ありがとうございました。全部で6点あったと認識しておりますので、順次お答えさせていただきます。
まず小林委員からのご質問ですけれども、汚染レベルについてのご質問があったかと思います。製鉄所の場合、自然由来がほとんどでございますので、特段基準値の10倍、100倍というものはなく、先ほどご発言がありましたように、概ね数倍程度という汚染レベルになってございます。また、過剰な対応がほかにもたくさんあるのかということですが、杭による拡散防止以外にも、形質変更の際、掘削工事を行うときに、矢板による拡散防止を求められるケースもございます。
さらに、年に回数がどの程度かということですが、こちらは事業所によって跛行性がございまして、5年連続や7年連続といった事業所もございますし、一方で数年に1回といた事業者もございますが、特に設備投資が多い事業所ではかなり頻繫に発生している現状でございます。
続きまして、勝見委員からのご質問でございますが、工法の拡散リスクに関してのご質問だったかと認識しております。資料7ページでご説明した鋼管杭打撃工法とケーシング工法でございますが、汚染リスクについては人健康という目線でいくと、私どもとしてはほぼ変わりがないかと考えております。幾つか理由はございますが、住宅等からの距離が非常に離れており、汚染物質も基本的には自然埋立土由来で重金属系ということで、遠くても100メートル、200メートルの拡散であるということが1点。もう一点は、鋼管杭を打撃するということで、厚みが数ミリから10ミリ程度の板を埋めるだけでございますので、それによって表層に近い部分にある汚染土がずれ込む、下の被圧帯水層を通じて地下水が拡散する、といったリスクもあまりないのではないかと考えております。ケーシング工法の拡散の定量的な評価を今後しっかり行う必要があるかと考えております。
また、コストのご質問がありましたが、コストは非常にばらつきがございまして、ケース・バイ・ケースでございます。建設費、土木工事費の数%の場合もあれば、それを大きく上回る50%等、様々なケースがございますので、この場では回答を差し控えさせていただきます。
続いて寺浦委員からございました地歴調査の件のご質問です。私どもとしては基本的に地歴調査をしっかり実施するということで、事業所としては、国のプラットフォームの整備がされようがされまいが、しっかり実施できると考えております。
続いて光成委員からご質問がありました、サステナビリティの話ですが、2点あったと思います。一つは浄化対策ですけれども、実は製鉄所で発生する汚染土壌に関しては、汚染が重金属系というのもあり、基本的にはほとんど処理施設に搬出したり、最終処分場で埋め立てたりということをしてございますので、浄化対策への貢献については、現状はそのようになっております。
もう一点の再利用に関しては、中込委員から述べさせていただきます。
(中込専門委員)
GXに向けた土地の再利用の課題と取組ということでございますが、鉄鋼業界といたしましては、生産で出ているCO2の削減というところがかなり大部分を占めているところでございまして、この生産におけるCO2排出量を下げるための取組ということで、具体的には新プロセスといたしまして、水素の直接還元炉の建設や、高炉を電気炉に置き換えるというような大型投資が具体化しつつございます。
こういったところでの影響について、土対法の対策の中で、土壌の運搬が増加することに伴うCO2排出もございますが、このCO2排出量を下げるための大型投資の稼働に伴い、工事期間や計画段階の検討期間を要するため、稼働が遅れるというところの影響が大きいと考えております。
また、先ほどコストについては申し上げられないと申しましたが、やはり大型投資に付随するコストの影響も非常に大きいというところで、その両面が大きな課題と認識してございます。
以上です。
(日本鉄鋼連盟)
続きまして、江種委員からご質問をいただいた件でございます。まず、特例区域等にならないのかということですが、製鉄所では人為由来でプロセス的に使っている物質がどうしてもございまして、そこが一つのハードルになり、なかなか特例になっていないということがございます。
もう一点、土対法全体で特例区域をしっかり充実させればよいのではないかというご質問だったと思います。我々としましては、しっかりと製鉄所の特徴や埋立てといった歴史、経緯を含めた上で適切に管理する前提ですが、特例区域を充実させるということは、一つの方向性としては賛同いたしたいと思っております。
最後、大塚委員長からご質問いただきました、具体的な形質変更工法の提案があればということですが、やはりガイドラインでは一様な地層を前提として様々な工法が策定されておりまして、製鉄所の土地では一様ではない地層の中で対策を実施せざるを得ない状況にございますので、その辺りを加味したような、例えば参考事例といったものを自治体側で共有いただくことや、ガイドラインを少し充実すること等といった方向で行っていただけるとありがたいと思っております。ガイドラインは現在相当厚みを持ったものになっていますので、ガイドラインをどのように充実していくかは、また委員の皆さんで議論いただければと思います。
以上かと認識しておりますが、もし不足等があればご指摘いただければと思います。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。
では、不動産協会からお願いします。
(足立専門委員)
最初に石巻委員から、もらい汚染について、措置不要とするのは健康リスクを考慮していないのではないかとのご意見がございました。おっしゃるとおり、業界の負担軽減だけを考えた内容にはなっておりますので、お話のありました所有者の負担を軽減するよう基金の見直しをするほうがよいのではというご意見に対しては賛同いたします。
大塚委員長からも同様に、もらい汚染等の原因者でない場合のお話もございました。措置不要とすることでもらい汚染された土地からの再拡散は防げませんが、一つ方法としては、調査結果を開示することで有害物質の摂取リスクは低減できるのではないかということも話としては出ておりました。一方で、風評被害等による原因者への影響を考えると、それもなかなか難しいかということでございます。汚染源について対応できない中で、土地の所有者等が汚染土壌を浄化するということについては不合理であり、なかなか受け入れがたいということはご理解いただきたいところでございます。
また、寺浦委員から地歴情報の承継義務化について、データベース化が賛成する前提条件かというご質問がございました。実際承継を義務化した場合に、長期的に考えればデータベース化等をしないと進めることができないという認識をしておりますが、データベース化やプラットフォームを作ることに時間がかかるために承継が遅れるということになりますと本末転倒ですので、データベース化にもし時間がかかるのであれば、先に承継の義務化を進めて、データベース化は順次進めていただくということでもいいのではないかと考えております。
次に光成委員から、土壌汚染があるために開発を断念することはあるかというご質問をいただきました。事例が多いものではございませんが、土地の費用に対してどのくらい土壌汚染の対策費用がかかったかを数例調べましたところ、横浜市の比較的市街地の住宅の開発において、3,000平米を少々超えるくらいの土地で、土地代の10%程度の搬出等に係る費用がかかったということです。市街地では土地代が周辺地と比べても高いところ、そのような場所で10%程度であったと理解しており、浄化の費用自体は変わらないため、仮に地方や郊外等、土地代が安い場合には、より対策費用の比率が高くなります。そうしますと、過去検討した土地では、土地代がマイナスになるといった理由から売買を断念されたという事業者もいらっしゃいますので、場所によっては非常に負担になっております。不動産取引がマイナスの場合、お金をもらって土地も引き受けるといったことはなかなか現実的にはないと思いますので、そういった実態についてはご理解をいただきたい。だから全部やめましょうということにはなかなかならないと思いますので、そういうことではございませんが、ご理解はいただきたいというふうに思います。
続いて奈良委員から、不動産の購入者に対して、土壌汚染のリスクをどの程度開示しているのかといったご質問だったかと思います。リスクの共有につきましては、基本的には行った調査の結果と、措置が必要になった場合は、措置の内容あるいは自主的に行った対策、搬出等を行っていれば、自主的に何をどの程度行ったかというものを書面や図面等の資料をつけて開示してございます。
何があれば相手の論点、懸念への応答に足りるかということでございますが、基本的に不動産取引においては土壌汚染対策法に基づいて行ったという記載をすれば足りるものと考えております。法改正において措置を軽減するような内容を要望しておりますが、法律が改正された際は改正された法に準じて対応することになりますので、そちらで説明に足りるものと考えております。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。ここまでの質疑を踏まえて、全体を通じてご質問のある方はお願いしたいと思います。いかがでしょうか。ヒアリング団体の方からもご発言をしていただいても構いません。
原委員、どうぞ。
(原専門委員)
日本鉄鋼連盟や不動産協会の方から、自然由来について、段階的に基準をつくってほしいという要望が出ているかと思いますが、実際にその基準のレベルというのはどの程度のものを想定されているのでしょうか。日本鉄鋼連盟は基準値を超える際は数倍が通常で、10倍を超えることはほぼないのかなということですが、不動産協会としては自然由来の位置づけがどこを基準にされているのかをお伺いできればと思います。
(足立専門委員)
私どもの協会の中で聞いている範囲で言いますと、自然由来については5倍程度までが多く、高い場合で10倍程度のこともあることにはありますが、自然由来で10倍を超える場合、箇所というのは局所的かなとは思いますので、個人的なところではございますが、結果を見た中で言うと15倍と10倍の間くらいというのは一つあるのかなとは感じたところでございます。
一方で、健康リスクという観点がございますので、その辺りは環境省やより専門的なところでご検討いただくということが正しいかと認識しております。
(日本鉄鋼連盟)
日本鉄鋼連盟からは、ご提案という形では申しておらず、ご質疑の中で自然由来の汚染物質の濃度についてお答えさせていただいています。そのときは数倍から多くて10倍というお話をさせていただきましたが、これは広い面積、土地の中でやはり局所的に出ているところでございまして、例えば30メートルメッシュの隣の区画では出てこないといった中での数倍から10倍未満というところが今の実態でございます。そのようなお答えでよろしいですか。
(原専門委員)
はい。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
事務局のほうから何か聞いていただくこととか、補足していただくことはございますか。もらい汚染の話とか、基金の期待の話とか、勝見委員のほうから管理票の話とかいろいろ出ていましたけど、何かこの際もしお話しいただけることがあれば、お願いします。
(鈴木環境汚染対策室長)
ありがとうございます。基金の話は先ほど意見交換でもありましたとおり、土壌汚染対策制度の中で、法律の施行にあたって必要不可欠なものだと思っています。どのようにまたこれを維持していくのかというところは、また関係の皆様とよく相談していきたいと思っています。
もらい汚染の件は、まだ、すみません。非常に難しいなというのが正直なところなんですが、また今日のご意見を踏まえてまた考えていきたいと思います。
あともう一点、盛土規制とかそちらのお話を。
(金井環境汚染対策室長補佐)
ありがとうございます。勝見委員から盛土規制法に関してご質問がございましたので、若干補足をさせていただきます。
盛土規制法に基づいて基本方針が定められておりまして、その中で盛土等の土壌汚染等に係る対策について記載されております。具体的には、汚染された土壌の盛土等の不適切な利用について、盛土規制法担当部局と土壌汚染対策担当部局が連携すること、盛土等の一部に土壌汚染があることが判明した場合や土壌汚染の懸念が生じた場合には土壌汚染対策法に基づき状況把握や区域指定等の対応を行うこと、土壌汚染対策法に基づく区域指定がなされていない地域における汚染土壌の搬出や処理についても法に準じて適切に取り扱うように発注者に促すことなどが盛り込まれております。
いずれにせよ、盛土等に伴う災害の防止を図るという観点から各関係制度を所管する関係部局で連携することがとても大事でして、盛土等の安全対策及び土壌汚染対策については、盛土規制法担当部局と土壌汚染対策担当部局が緊密に連携することが重要です。関係省庁の連名による通知を発出し、その旨周知しているという状況でございます。
その上で、勝見委員のご質問は、この趣旨に基づく実際の運用が過剰である場合や、統一されていない場合も中にはあることを示唆しているのかもしれませんが、環境省として網羅的にその点把握できているわけではありませんので、まずはさらなる実態把握に努めていくところから進めていく必要があると、このように考えております。
以上でございます。
(大塚委員長)
DENKANに関しての勝見委員のご指摘については、何かございますか。管理票に関して、今法制度になっていないことも含めて、いろいろご質問があったかと思います。
(鈴木環境汚染対策室長)
管理票の電子化自体は、今日の日本汚染土壌処理業協会さんのご説明の中でもありましたが、省令を改正し、法対象土壌も電子管理票で管理できる対象にしたところでございます。我々としてもここはしっかり進めていきたいと思っております。
省令が改正されて法対象土壌も可能になったばかりの段階ですので、実際の運用がどのようになっていくのかについては、現場で円滑な運用が行われるには我々として何ができるのか、廃棄物の先行事例も参考にして検討をしていきたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
恐らく今回は様々な規制緩和をすることになると思いますが、それに対してのハード面もまとめてセットで考えなければいけないので、委員の皆様におかれましても、その辺も含めてひとつよろしくお願いいたします。
では、本件につきましてはこれで終えたいと思います。本日のご発言を踏まえて今後の検討を進めていきたいと思います。
本日の審議はこれで終了といたしまして、議事進行を事務局にお戻しいたします。
(長谷川土壌汚染対策係長)
本日は、委員の皆様、またヒアリングにご協力いただいた団体の皆様、ご多忙のところご出席いただき、また、大変活発なご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回の予定につきましては、委員の皆様には既にご連絡させていただいておりますとおり、12月2日月曜日に開催いたします。次回は東京都、明石市、全国中小企業団体中央会、一般社団法人日本化学工業協会、一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人日本建設業連合会からヒアリングをさせていただく予定です。
また、今回の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様のご確認の上で環境省ホームページに掲載いたします。
以上をもちまして、本日の土壌制度小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。
それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催いたします。委員の皆様には、ご多忙のところ、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
本日の小委員会は、委員総数20名のうち過半数の17名がご出席で、淡路委員、佐藤委員、袖野委員がご欠席の予定です。
定足数の要件を満たし、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。また、WEBを併用した開催であり、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信をしております。
それでは議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。議事次第の配付資料一覧をご覧ください。
資料1に、本小委員会の名簿、資料2から6として、本日ご発表される団体の皆様からご提出いただいた資料をお渡ししております。なお、資料3の一部は、委員限りの資料となります。また、資料に加えて、参考資料として、土壌汚染対策法の概要、法令の条文、さらに第1回小委員会で使用した現状と主な課題に関する資料をお配りしております。会議の中で必要に応じ、ご参照ください。
こちらの参考資料などは、次回以降も使用しますので、会議が終わりましたら、机の上に残してご退出されますようお願いいたします。
何か不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
なお、これらの資料及び本小委員会は、運営規則等に基づき、委員限りの資料を除き公開とさせていただきます。
それではこれより議事に移りたいと思います。
大塚委員長に議事進行をお願いいたします。
(大塚委員長)
それでは議事に入りたいと思います。本日の議題は、土壌汚染対策法関係者からのヒアリングです。ヒアリングは2回に分けて行いますが、今回はその第1回目でございます。今回は名古屋市、一般社団法人土壌環境センター、一般社団法人日本汚染土壌処理業協会、一般社団法人日本鉄鋼連盟、一般社団法人不動産協会の5団体からヒアリングを行います。
本日の進行ですが、まず2団体からご意見をいただき、質問時間を設け、その後、残り3団体からのご意見、質問時間を設けるような流れで進めたいと思います。会議時間の制約上、ご意見は団体ごとに10分程度を目安といたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
まず最初に、名古屋市からご意見をいただきます。名古屋市からは、環境局地域環境対策担当課長である川瀨委員からご意見をいただきます。それでは川瀨委員、どうぞよろしくお願いいたします。
(川瀨専門委員)
よろしくお願いします。名古屋市の川瀨でございます。発表の機会をいただきましてありがとうございます。資料2のほうをご用意お願いいたします。
昨年度からの検討会で示されました、土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性の内容を踏まえまして、名古屋市から意見提案させていただきます。
2ページ目をお願いします。目次でございます。1、青の汚染状況の調査。2、オレンジの区域指定制度。3、緑の汚染土壌の運搬処理に区分して発表させていただきます。
次のページをお願いします。1-1、地歴調査に係る内容でございます。資料右上の見直しの方向性(案)は、昨年度からの検討会で示された方向性を示したものでございます。検討会の見直しの方向性で示されたとおり、法3条に基づく特定施設、特定事業所の敷地に係る調査について、土壌汚染状況調査の地歴調査と試料採取等調査を分離し、地歴調査については、土壌汚染のおそれの早期把握、情報散逸防止の観点から調査契機の拡充を図ること、また調査猶予なく実施させ、自治体に報告させることには賛成でございます。
そこで課題、提案二つ目以降でございますけれども、地歴調査につきましては、現行では特定有害物質による汚染のおそれを推定するための有効な情報の把握、土壌汚染のおそれの把握までの内容になってございます。指定調査機関によっては、調査結果の取りまとめ方が様々で、報告書の書類も多い中、自治体職員、土地所有者等の関係者が見ても結論が分かりづらい状況になっています。そこで、現行では試料採取等調査に含まれる内容となりますけれども、見直し後は赤字で追加したように、ある程度どこでどの物質の調査を行うべきか、特定できるようにするため、土壌汚染のおそれの区分の分類を整理するまでを地歴調査にしたらどうかと提案しております。また、DX化を進めることで、調査方法・報告内容を統一化、一元化して管理することで、自治体へ報告したり、新たな土地所有者さんに承継されていく地歴調査の結果について、誰が見ても結論が分かりやすくなるようにすべきと考えます。
次のページをお願いします。1-2、試料採取等調査の適用範囲の合理化についてでございます。検討会の見直しの方向性のとおり、試料採取等調査について周りに飲用井戸がないなど健康リスクがないことが確認できる場合には、一律に義務づけないよう合理化を図ることについては賛成でございます。これは現行では、調査を一律に行って汚染が判明し、区域指定された場合、健康リスクがなく汚染の程度も低い状況でも、土地の利活用を考え、区域指定の解除を目指して掘削除去を選択する傾向がございます。見直し案のように、そもそも調査が行われなければ、このようなケースも減ることになり、脱炭素の観点からもよいと考えます。
その一方、調査猶予の条件には、現行の法3条ただし書の猶予の条件である、引き続き事業場として利用することなどに加えて、赤字に示すように、事業場の敷地から土壌搬出がないということを加えることを提案します。特定事業場の敷地から土壌が搬出される場合は、汚染が拡散されるおそれがあるため、汚染の拡散防止の観点から試料採取等調査を義務づけ、汚染の有無を確認させる必要があると考えます。もしくは調査を義務づけないならば、搬出に係る事前の届出制度を新たに設ける必要があると考えます。
次のページをお願いします。参考に平成15年以降で、本市で実施された措置の種類を示したものでございます。掘削除去が全体の半分以上である6割となっておりまして、持続可能な社会を実現するためにも、このような掘削除去がされるケースが少なくなるよう、制度を見直していく必要があると考えています。
次のページをお願いします。1-3、試料採取等調査の方法の確立とDX化の推進についてです。検討会の見直しの方向性のとおり、深度方向の汚染範囲を確定する調査、詳細調査について、試料採取等調査の制度上に位置づけ、区域の指定を3次元で行っていくことには賛成でございます。
しかし、詳細調査は、現時点ではガイドラインレベルの記載でございまして、自治体間の運用差も見られるため、法令に基づく明確な調査手法の確立が必要と考えます。また、見直し後は現行以上に届出に多くの調査地点や結果など詳細調査の情報が報告されることになるため、自治体が行う区域指定、台帳整備の作業負担が大きくなることが想定されます。そのため、資料右上のように、届出内容の起点や試料採取の地点の位置をGIS化するなど、より統一・DX化して、届出者が電子申請等を行うことが可能となるシステムを構築できないか提案いたします。そうなれば、台帳を作成する自治体の事務負担の軽減だけではなく、区域指定された土地を利活用する届出者、国民の皆さんにとって正しい情報が迅速かつ容易に入手・活用できるようになると考えます。
次のページをお願いします。1-4、工事着手までの手続期間の確保と着手の前倒しの申請制度の創出についてでございます。現行の法3条7項、法4条1項に基づく一定の規模以上の土地の形質変更時に調査を不要とする条件の合理化を図ることには賛同します。一方で汚染のおそれの有無だけではなく、健康被害のおそれがないことも条件とする場合、自治体において飲用井戸の確認などの作業が必要となってまいります。そのため、工事の着手前の届出を義務化し、その期間について、例えば45日、もしくは飲用井戸の確認であれば60日程度としていただきたいと考えています。
加えて、大気汚染防止法の期間短縮願のような、事業者が着手予定日を前倒しして着手することを申請できる制度の創設を提案いたします。自治体の十分な確認期間確保に加え、確認期間が短く済む場合は、事業者の早期着手も可能となるため、自治体と事業者の双方にとってメリットがあると考えます。
次のページをお願いします。2-1、自然由来等土壌の取扱いに関する合理化についてです。検討会の見直しの方向性のとおり、土壌溶出量基準に不適合となる自然由来等土壌について、搬出を行う場合には処理等の管理を義務づける枠組みを維持しつつ、従来の区域指定制度の対象からは除外することには賛成でございます。これは法では、事業場で取り扱っていた物質を対象に調査を義務づけていますけれども、実際には土地所有者の自主的な判断や土地の形質変更に伴う建設残土の処理に併せて全項目の調査を自主的に行った結果、自然由来程度の汚染が判明するケースが多くございます。そういった汚染であっても、現行では特例区域を除き、人為由来と同じ区域指定制度の枠組みに入れて規制しているため、今般の見直しで合理化を図ろうというものだと理解しております。
自然由来等土壌を従来の区域指定制度の対象から除外する条件に関しては、追加調査を求めるのではなく、法3条1項や、法4条に基づいて実施した試料採取等調査結果のみをもって判断できる制度にすることを提案いたします。その理由は、現行制度では、自然由来特例区域の該当性の判断の根拠として自然由来汚染調査という別の調査を求めておりますが、過程が煩雑であるため、あまり活用されておりません。例えば、右のフローの自然由来の判定のように、試料採取等調査の結果、※1で示す条件例のように、シアン化合物を除く第二種特定有害物質による汚染が溶出量基準に適合せず、汚染濃度が基準の10倍程度超過している場合にあたっては、土地の所有者等の申請によりその調査結果のみをもって、従来の区域指定制度から除外することができるようにすれば、手続が簡潔で、事業者、自治体にとっても負担がないと考えております。また基準不適合の区画だけでなく調査範囲全ての土壌を自然由来等土壌の特例の対象とし、搬出が行われる場合の処理等の管理を義務づけることで、汚染拡散も十分に安全側で防止できると考えます。
次のページをお願いします。2-2指定区域内における健康リスクに応じた施行基準の設定でございます。現行制度では、指定区域内で形質変更する際、汚染された物質の種類や濃度のほか、健康リスクがある要措置区域、健康リスクのない形変区域に関係なく、土壌溶出量基準不適合の土壌が帯水層に接する場合には、資料中のイラストのようにしっかりした汚染拡散防止のための施行方法が必要とされています。一方で措置の必要性について事業者さんからご相談を受けることも多く、負担が大きいと感じています。今般の見直し後に調査される自然由来等土壌は、従来の区域指定制度の対象から除外していただきたいと考えておりますが、従来より健康リスクのない一般管理区域に指定されている区域に関しては、第一種特定有害物質やシアンによる汚染ではなく、汚染状態が第二溶出量基準以下であれば、この施行基準の適用除外とできないかと考えております。
次のページをお願いします。2-3、実態に即した要措置区域等の指定に係る基準の設定についてでございます。要措置区域においては、原則、土地の形質の変更は禁止されているため、名古屋市のような市街地では要措置区域に指定されるかされないかは、土地の利活用上重要な問題となります。
一方、名古屋市では大規模ビル、病院、大学、ホテルなどが所有する100件以上の専用水道の飲用井戸が臨海部を含めて点在しており、基本的にはこの飲用井戸と汚染区画の水平距離が要措置区域の指定要件になっています。しかし実際には、資料右のイラストのように、飲用井戸のストレーナーは100m以上の深度であり、不透水層の存在や重金属類の深度方向の移動性を考えますと、健康被害が生じるおそれは想定されにくいと考えます。現行の要措置区域の指定要件が深度方向を考慮していないため、特に有害物質使用特定事業場にも該当する病院や大学にとっては、必要以上の健康リスクを想定する必要があり、土地の利活用の支障になっている状況でございます。
従って、区域の指定を三次元で行っていくことに併せて、この要措置区域の指定要件についても、深度方向を考慮したものに見直していただきたく思います。加えて、専用水道の受水側で浄化処理などがされている場合は、求められる措置の内容を軽減することが検討できないか考えています。また、この要件の考え方につきましては、さきに述べました試料採取等調査の猶予の判断で、考慮すべき健康リスクがないことが確認できる場合という条件の考え方と揃えていただきたいと考えております。
次のページをお願いします。3-1、法対象外土壌に関する運搬・処理基準順守の義務化についてでございます。さきに述べておりますとおり、自然由来等土壌を従来の区域指定制度の対象から除外し、搬出が行われる場合の処理等の管理を義務づけるということになりますと、右のイラストの赤字で示すように、現行制度の法対象土壌、つまり汚染土壌処理施設での処理が義務づけられている要措置区域等から搬出される汚染土壌とは別で、新制度の汚染土壌となります。また、現行でも条例や自主調査で発生した、運搬処理が法では義務づけられていない法対象外土壌がございますが、さらに位置づけの異なる汚染土壌が増えることによって、処理施設が受け入れる汚染土壌の取扱いなどが煩雑になることが想定されます。許可を出している自治体にとっても適正に処理されているかどうかを監視する際に、同じ問題が生じてくることが想定されます。したがって、汚染土壌の適正な運搬処理の確保の観点から、自治体から許可を受けた汚染土壌処理施設においては、法対象土壌・法対象外土壌に関わらず、受け入れられた汚染土壌を全て土対法に基づく運搬処理基準に従って処理することを義務づけることができないか提案いたします。
次のページをお願いします。再処理汚染土壌の運搬・処理状況に関する透明性の確保についてでございます。現行制度において、要措置区域等から搬出された汚染土壌の、汚染土壌処理施設までの流れとしましては、およそ半分が、一次処理を経由した後に二次処理されております。その過程では、二次管理票が交付されることになっているものの、様々な搬出元の汚染土壌が混在して運搬処理されているため、透明性の確保に懸念がございます。こういった観点からも、法16条の区域外搬出届出書の対象の範囲を二次処理まで拡大させまして、電子管理票システムによる情報の管理、公表により、透明性を確保することが必要ではないかと提案いたします。
以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では続きまして、土壌環境センターからご意見をいただきます。土壌環境センターからは、早水副会長にお越しいただきました。なお、質疑対応のため、同センター嘱託研究員の中島様、日笠山様にもお越しいただいております。
それでは早水様、どうぞよろしくお願いいたします。
(土壌環境センター)
土壌環境センターの早水でございます。嘱託研究員の中島、日笠山が同席しております。
本日は意見を述べる機会をいただきありがとうございます。内容が多岐にわたりますので、説明は私がまとめて行いますが、質疑に入りましたら、実務的な事項については中島・日笠山から回答しますので、ご了承下さい。
意見としては資料3のWord版が正式ですが、分量がかなりありますので、抜粋・要約したパワーポイントでご説明します。
まず意見の背景としてセンターの概要をご紹介します。スライド2ページ、資料3の1ページであります。センターは土壌汚染対策をサポートするため法制定の前につくられた団体で、土壌・地下水汚染の調査・対策を行っているコンサル、ゼネコン、汚染土壌処理などの企業100社弱が会員となっております。様々な自主事業の他に、基金への出えん金を上乗せした管理票の販売、ガイドライン案の作成、基準検討等の請負業務により、土対法の施行に貢献しております。
スライド3ページ、資料3の2ページですが、自主事業のうち技術委員会では、部会、分科会でPFOSや土壌・地下水汚染対策の総合的推進のための検討などを行っております。
スライド4ページ、資料3の3ページですが、ほかにセミナー、展示会、研究集会の開催による普及啓発、資格制度による人材育成を行っております。資格には3種類あり、このうち最上位の土壌環境監理士は法に基づく技術管理者がカバーする調査分野だけでなく対策まで広く監理できる資格として、また土壌環境保全士は現場管理のための資格として、調査・対策の質の向上に貢献しております。
スライド5ページ、資料3の4ページに、センターで行っている会員企業を対象とした市場調査の結果を示しております。グラフにありますように、調査・対策の発注件数、金額は近年横ばいか漸減傾向となっております。
それでは意見のほうに移ります。スライド6ページ、資料3の5ページであります。昨年の検討会で述べたものを前回の小委員会で説明された報告書の記述を踏まえて並び替え、再度の会員意見募集により新たなものを追加しております。
スライド7ページ、資料3の5ページでは、まず意見のポイントを申し上げます。センターは、健全な土壌・地下水環境の維持・回復に貢献すべく調査・対策を行っている事業者の団体ですので、その目線での意見を述べます。
まず関係者の自主的な取組の実施状況を行政が把握・評価できることを前提に、制度・運用の合理化に賛成します。他方、地方公共団体の運用や指導の振れ幅を抑制するよう、ある程度の統一化を図る等により関係者の負担軽減を要望します。また、土壌汚染対策と地下水汚染対策が連携・整合した一体的な対応の推進を要望します。さらにリスクに応じた合理的な対応の推進を要望します。また、情報承継義務化には賛成します。併せて、国による一元化・DX化等の検討、脱炭素の促進など新たな視点での対策の検討を要望します。
スライド8ページ、資料3の6ページからは個々の意見を検討会報告書の記載順に述べさせていただきます。
まず制度・運用の合理化には基本的には賛成であります。
法3条関係の特定事業場関連の調査契機の見直しについては、調査契機の一元化と地歴調査の拡充には賛成いたしますが、その際、有害物質の貯蔵施設の土地も対象としていただきたいと思います。また調査結果を受けて操業中でも事業者に自主的な調査・対策を促す仕組みを検討いただきたいと思います。それから情報承継義務化には賛成ですが、併せて承継すべき情報の保存の義務化も必要と考えております。また過去の対策の実施状況も保存・承継の対象とすること、さらにこれらの情報を基に、土地所有者等が法の届出の要否を適切に判断できるような支援をお願いしたいと思います。それから、センターの調査では、自主的に広く土壌汚染調査・対策が行われておりますので、その状況を把握して、政策に活用していただきたいと思います。また基本的に、法3条の調査は事業場由来の汚染のおそれに、法4条などは形質変更時の汚染土壌の移動のおそれに、それぞれ対応するという本来の趣旨に立ち返って、対象の明確化、合理化を図っていただきたいと思います。このため、健康被害のおそれがない公有水面埋立地の埋立材由来の土壌汚染は、法3条の対象外としてはどうかということになります。
スライド9ページ、資料3の7ページは、土壌汚染対策と地下水汚染対策の連携・整合についてです。この意見は、恐らく他からはあまり示されないと思いますので、少し詳しくご説明します。
土対法制定以前は、平成11年に作成された「土壌・地下水汚染に関わる調査・対策指針及び同運用指針」があり、土壌汚染と地下水汚染が一体的に扱われておりました。土対法が制定されますと、水濁法は未然防止・モニタリング中心、土対法は土地所有者が敷地内の調査・対策を行うという性格・思想が異なったため、両法の調査・対策の契機・内容や行政対応が必ずしも連携・整合していない部分があります。
例えば、水濁法の常時監視で地下水汚染が確認されても、土対法5条の調査命令、水濁法14条3の浄化措置命令には条件があり、簡単に発出しにくいということになっております。それから原因が敷地外の汚染地下水による、いわゆるもらい汚染である場合には、対応する規定がございません。また、両法律の調査・対策で求められる要件等が異なっております。それから先ほどのもらい汚染と似ていますが、土壌汚染に起因して敷地外に広く残存する地下水汚染に対応する制度がございません。最後に、土壌汚染と地下水とで担当地方行政が異なると、情報共有が不十分になりがちということがあります。
スライドの次のページの図は常時監視から汚染原因者へ訴求しにくいこと、もらい汚染に対応しにくいことを示しています。なお、関連の参考資料として研究集会での発表論文を資料3の後ろにつけておりますので、後ほどお読みいただければと思います。
そこで対応案として、両法の役割分担を前提として連携させ、土壌・地下水汚染を一体的に捉えて総合的に対策できる何らかの仕組みを検討いただきたいと思います。例えば、常時監視で地下水汚染が発見されたら行政が汚染源を究明し、土対法5条の調査命令や水濁法14条の3の浄化措置命令まで一連で実施する仕組み、もらい汚染や敷地外に広がった地下水汚染に伴う問題に対応する仕組み、汚染の発生契機によらず同等の措置が取られる仕組み、それから担当地方行政間の情報共有の仕組みなどでございます。
次に、別の話題ですが、スライド11ページ、資料3の8ページです。法4条関係の形質変更に対応するケースです。
有害物質の使用等の取扱が想定されない土地で法4条の届出を不要とした場合、自然由来等土壌の移動・搬出に係る影響をどのように防止するのか検討いただきたいと思います。
例えば、現在は自然由来あるいは水面埋立て用材料由来の汚染調査で、過去に調査されていない物質は汚染の有無が確認されないまま汚染なしとして取り扱われます。ただ搬出先の盛土等からの検出事例もあり、法4条の届出を不要にすると汚染土壌の拡散が懸念されます。また、法改正により盛土規制法が新しく制定されましたが、基本方針やガイドラインで、汚染土壌の盛土等への不適切利用の防止については、土対法の部局と連携するよう書かれており、土対法に委ねられているという点にも留意をしていただきたいと思います。
操業中の対応については、先ほど3条関係でも述べましたが、法4条関連でも、調査要件の見直しや、インセンティブの付与等を検討いただきたく思います。
スライド12ページ、資料3の9から10ページです。土壌汚染状況調査プロセスの明確化について、地歴調査と試料採取調査の2段階化に基本的に賛成ですが、地歴調査のみを行う場合、健康リスクがないことの判断や、根拠情報が取得できなかった時の判断プロセスを明確にしていただきたいと思います。それから汚染範囲を立体的に絞り込むための詳細調査を法で規定して指定調査機関が実施する方針に、基本的には賛成をいたします。水濁法の事故時の対応強化の提案にも賛成いたします。ぜひ土壌・地下水汚染への対応も含めていただきたく思います。
次、スライド13ページ、資料3の10から12ページになります。区域指定制度、搬出規制等の合理化ですが、立体的な区域指定については賛成ですが、汚染分布が時間がたつと変化するということ、あるいは土地の高さが変更することがあるという点への対応を検討いただきたいと思います。
また、前回改正で導入されました試料採取等の深さを限定できる制度について、立体的な区域指定との整理を行い、合理的なものにしていただきたいと思います。それから自然由来等土壌で健康リスクがない場合に区域指定の対象から除外し搬出時に管理を行う方針には基本的には賛成いたしますが、自然由来と水面埋立用材料由来は状況が異なるため、分けて検討いただきたいと思います。
また、4条のところでも先ほど述べましたが、土壌の敷地内の移動や敷地外への搬出の管理方法を検討いただき、汚染土壌の搬出防止を図っていただきたいと思います。その他、区域指定後の調査結果で区域指定の変更・解除ができるように検討いただきたいと思います。
スライド14ページ、資料3の12ページですが、情報の管理、承継についてです。区域指定台帳等について、国で一元管理し、関係者が活用できるようDX化を推進していただきたいと思います。情報承継については、手続きの時間・労力が増加しないよう配慮いただきたいと思います。それから地歴調査の結果の承継義務化についても賛成いたしますが、情報の種類や精度のばらつきをなくすよう、国での一元管理、DX化をお願いしたいと思います。その際、汚染がなかったという情報も含めるようにしていただきたいと思います。
スライド15ページ、資料3の13ページ、その他の視点からの意見として、収集された情報の利活用をするように検討いただきたいと思います。それから地歴調査等で必要な水濁法等の届出情報を容易に確認できる仕組みを検討いただきたく思います。措置完了報告についても、その作成・確認について、デジタルデータの活用を要望いたします。
スライド16ページ、資料3の13、14ページですが、汚染土壌処理施設、指定調査機関関連です。電子管理票の普及、推進には賛成します。運用業者への監査・指導、基金からの援助の検討をお願いしたく思います。それから、不適正事例に関する情報収集、立入検査の厳格化にも賛成します。関連して、センターが運営する土壌環境監理士、土壌環境保全士の資格も活用いただければと思います。
スライド17ページ、資料3の14から15ページですが、基本方針の創設については賛成します。脱炭素関連では、掘削除去が減らない原因についての分析、脱炭素のための制度的な誘導の検討、あるいはセンターで開発した評価ツールの活用なども検討いただきたく思います。さらに、浄化済土壌の有効活用を促進する制度設計もご検討いただきたく思います。
スライド18ページ、資料3の15ページ、その他の事項ですが、基準値の設定の考え方の再検討やリスコミ推進方策の検討には賛成です。センターも協力したいと思います。
現在、法対象外となっておりますリスクが幾つかありますが、例えば、揮発性物質の吸入曝露などの健康リスクについても科学的な検討を進めていただきたく思います。
それから土対法の基金で費用負担能力の低い者へ調査費用を助成することには賛成しますが、基金の仕組みを再検討し使いやすくすること、また基金の積み増しのため、今後普及が予想される電子管理票についても、出えん金の上乗せを促していただきたく思います。
スライド19ページ、資料3の16ページですが、ガイドラインの改善をしたいという点についてです。センターが案を作成しておりますので協力いたしますが、目指すべきは関係者が使いやすい資料であり、コンパクト化で運用がばらつかないよう留意をして検討いただきたい。実際、自治体や担当者間で制度の運用や対応が異なることが関係者の負担となっておりますので、自治体が適切に法運用できる環境の整備、研修の実施や人材派遣などの検討もお願いしたいと思います。
また、その他の課題として、土壌や地下水の様々な機能を考慮し、健康リスク以外の環境リスクへの対応も検討いただきたいと思います。
スライド20ページ、資料3の17から18ページですが、その他の課題です。法5条の調査命令が使われていない点の改善、法14条の使い方についての課題整理、先ほども述べましたが盛土規制法や資源有効利用促進法との関係の整理、それから土壌に関する有機フッ素化合物への対応の検討をしていただきたく思います。
次スライド21ページですが、ブラウンフィールドの実態把握、最後に、汚染土壌と廃棄物・建設汚泥とが混在するケースの対応の検討もしていただきたく思います。
以上で説明を終わりますが、今日の意見は制度面に関係する項目を中心に、運用面も含めてご説明しましたが、会員企業からは規則、ガイドラインに関する意見も多く提出されておりますので、その検討段階でまた意見を提出したいと思います。
以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。それでは、ここまでの2団体のご意見につきまして、ご質問を賜りたいと思います。ご発言のある方は、ネームプレートを立てていただくようにお願いします。WEB参加の方は、挙手ボタンでお知らせください。
江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
江種です。名古屋市さんと土壌環境センターさんに、両方にお聞きしたいんですけれども、昨年度の検討会でまとめた報告書でも、地歴調査の3次元化、立体調査、詳細調査を、地歴調査に位置づけるとか、そういった形で、立体的に汚染を把握しようというような文言も入っておりました。そのときにも、それによって認定調査をなくすんだと、取り消すんだというような議論がありました。今日の説明の中で、名古屋市さんのところも、土壌環境センターさんのところも、そういった地歴調査を立体的に行うことについては賛成だということなんですけれども、それに伴って、認定調査をなくすということに関しては、どのようにお考えかお聞かせいただきたいんですけれども、よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
まとめてお願いしますので、どうぞほかにもお願いします。
光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。大変実務に沿った、いろいろ貴重なご提案があったかと思うのですが、名古屋市様のところで、試料採取のDX化というお話があったんですが、これは海外では、州とか、省別に、汚染の状況とか、工場の状況をGISで出しているところがありますが、これがもし名古屋市様でやるとすると、期間的にはどれぐらいかかりそうなのかというイメージをお持ちでしたら教えていただきたいなと思いました。
土壌環境センター様のほうには、Wordの資料の14ページの持続可能な土壌汚染対策を総合的に推進するための基本方針の一番下のポツのところに、インセンティブへの費用の優遇を考える場合、措置方法の環境負荷レベルに応じた、有害物質使用特定施設の設置者等に寄付や納付を促し、という部分の詳細について教えていただければと思いました。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
古川委員、お願いします。
(古川専門委員)
経団連の古川でございます。土壌環境センター様にお伺いします。土壌環境センター様にお伺いするのが適切かどうか分かりませんが、今後、PFOS、PFOAも含めて、対象物質が増える場合の対応、及び、PFOS、PFOAであれば、製品の通常使用によって起こる漏えいでの汚染も、9ページに書かれている内容でカバーすることをお考えなのかどうかについてです。ご意見があれば、お伺いしたいと思います。
以上でございます。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。
西井委員、お願いします。
(西井専門委員)
西井でございます。名古屋市さんへのご質問になります。資料1-1のご提案にありましたように、有害物質の使用特定施設が稼働中の工場等において、土地の切り売りによって土地所有者が変更してしまうことで、適切な浄化対策がなされず、汚染の拡散につながる可能性があるということは問題だと考えております。
大阪府のほうでは、特定施設等が稼働中の工場の敷地が切り売りされるなどして、同一工場以外の用途で形質変更するときには、面積要件なしに土壌汚染調査を義務づけているのですが、今回のご提案で、土地所有者が変更される際、つまり売買のタイミングというのを契機としてご提案されているとのことでした。この売買のタイミングというのは、なかなか法制度上前例がないため運用が難しく、切り売りされた土地が形質変更されるときに義務づけるほうがやりやすいのではないかなと考えるのですが、この辺り、どのように考えておられるかというのをご質問させていただきたいと思いました。
あともう一点ですが、資料2-3のほうで、周辺の専用水道、つまり、受水側で水質管理されているときに、要措置区域の規制を緩和する、対象外とするというご提案をされているとのことですが、受水側の水質管理が将来的に保証されるかも含めて、どのような要件で考えられているのか、ご質問させていただきたいと思いました。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
ありがとうございます。早稲田大学の石巻と申します。
全体の方針として、関係者が分かりやすい制度に変えていくという流れは賛同しているんですけれども、地歴調査のみで、土壌汚染のおそれや健康被害のおそれをどれだけ適切に判断できるかというところは、適切性を確保できるような制度にしていかなければならないと思っております。地歴調査を誰が実施するかですとか、その地歴調査をした結果の情報をどのように管理していくかといったところについては、所有者の承継義務を設ける場合も、所有者の負担をあまり過剰にしないという工夫も必要かと思っております。
土壌環境センター様の資料のほうで、地歴調査に関しては引き続き指定調査機関が行うこととすべきだというふうに書かれており、そのほうが恐らく資料にもあるとおり、公正性の面でもよいと思います。この点に関して、名古屋市さんの条例では、3,000m2以上の土地の形質変更をする場合に、地歴調査の結果を着手30日前までに市長に報告しなければならないという制度になっているかと思いますが、この条例に基づく地歴調査の報告の場面で、地歴調査を誰が実施しているか、その地歴調査の報告を受けた後の情報の管理はどのようになされているのかについて、土対法の制度設計にもヒントになるところがあるかと思いますので、教えていただけるとありがたいです。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
小林委員、お願いします。
(小林臨時委員)
ありがとうございます。小林です。
私も、今の地歴調査の後、2段階にするというところが、賛成ではあるんですけれど、1個危惧しているところとして、健康被害のおそれですとか、汚染のおそれの有無の判断のところ、特に小さな事業所さんを考えた時、クリーニング屋さんといった高濃度で特定有害物質を取り扱っている場合、恐らく汚染のおそれがあり、健康被害のおそれがありというような判断がなされると思います。その後、試料等採取に進む際の猶予の考え方ですとか、100%、試料等採取に進むということになると、かなり調査の負担とか、出てくるのかと思うんですが、そういう際の懸念というか、名古屋市さんですとか、土壌環境センターさんとか、小さいところも含めて現場を見られた立場から、実態ですとか、その後の対応について、何かご意見、コメント等があれば伺えたらと思います。
以上です。
(大塚委員長)
では、勝見委員、お願いします。
(勝見専門委員)
勝見です。よろしくお願いいたします。
先ほどの土壌環境センターさんのご説明の中で、盛土規制法の話がございました。自治体が定めておられる残土条例の分析や試料採取の統一化というところをコメントされていて、それに関連して、もう少し前のところ、資料3の15ページ、パワーポイントの17ページでは、汚染土壌の再利用・減容ということも書かれています。ここでは浄化等済土壌の利用ということで、一応限定はされた表現にはなっているんですけれども、前の制度改正では、自然由来、あるいは埋立地特例区域の実施については、条件つきで利用も可能となりまして、そういった制度が、この土対法の中で、少しずつ作られていっております。それと各自治体が持っておられる残土条例やいろいろなやり方とで、どうしても食い違いが起こってしまっているようなところもあるのかなということもございます。その辺り、センターさんや、環境省のほうで、お考えがあれば、お聞かせいただきたいなと思いました。
この小委員会の議論すべき守備範囲から少し外れるのかもしれませんけれども、資料に書いてありましたので、少しコメントさせていただきました。
(大塚委員長)
はい、ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。
では、島田委員、お願いします。
(島田専門委員)
土壌環境センターさんのご説明の中で、深さ限定の制度の適正化ということで、試料採取等深さを限定できる制度については、多くの課題があるため見直しを検討するほうがよいと示されております。
3次元の制度を利用した場合、立体的な区域指定をするために3次元的に調査をして、それをやっていく場合には深さ限定というのも、その中に盛り込めるというような意味合いかなというふうに考えましたけれども、3次元を利用しないような場合も想定されるますが、そういった場合には、どのような考えがおありかというのを伺えればと思います。
(大塚委員長)
ほかによろしいでしょうか。
原委員、どうぞ。
(原専門委員)
産総研の原と申します。土環センターさんへご質問なのですけれども、その他の見直し事項、19ページのところ、我々、土壌汚染の健康リスクを扱うときに、基本、ヒト曝露リスクを扱っていいます。ここに書かれています、環境、その他、健康リスク以外の環境リスクへの対応となりますと、全体的に合理化、あと簡便化の方向で見直しを要請されている状況に反して、ここはどちらかというと、厳しくなる方向の意見に思われます。具体的に、生態系サービスというところ、どういうふうなご意見で書かれているのかというのを聞きたいと思っています。
あと汚染土壌と廃棄物・建設汚泥との混在について、実際、どのようなケースで、土対法において対応が必要なのか、具体的なところを伺いしたいと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
よろしいでしょうか。ではご回答のほうをお願いしたいと思います。
では、2団体、それぞれについて、ご回答をお願いします。
では名古屋市さん、お願いします。
(川瀨専門委員)
ご意見ありがとうございます。まず認定調査の話ですけれども、資料中の1-3をご覧ください。深度方向の詳細調査のほうの結果を持って、汚染土壌の搬出等を管理していけば、現行の認定調査は改めて調査して項目全てセーフなら搬出できるという制度であるため、二重の調査となり、不要であると考えているところでございます。
なので、この詳細調査が確立されれば、認定調査は基本的には不要と思います。先ほど土壌環境センターさんがおっしゃるように、時系列の問題だとか、汚染の移動という課題があり、そういう場合には、現行の認定調査のようなものも必要になってくるかもしれませんが、少なくともここの土地の形質の変更のタイミングで、詳細調査をやられているのならば、この結果を基に、対策とか、調査、搬出とかを管理していけば、認定調査というのは、二重になるという趣旨で、不要というふうに、前の検討会では整備されたのかと理解しています。
次、DX化についてですが、同じページの例で示した電子申請システムをシステム化すれば、同じ土地を改変しようとも、そのデータをそのまま使えますので、すごく便利になるのかなと思います。これを一自治体で作ろうとなると、かなりの予算と時間と労力が必要になってくるのかなと思っていますので、ぜひ国のほうでやっていただけるといいかなということで、提案させていただいたものでございます。
あと、大阪府さんの切り売りの話について、現行では猶予申請した土地所有者さんとは、自治体との関係も少なくなり疎遠な関係になってしまうんですけども、早く地歴調査を実施し、その土地の形質変更や切り売り、売買等、そういう契機で地歴調査をもらうという手続にすれば、自治体との話もでき、また地歴調査であれば比較的簡単に実施できるため、土地所有者さんも実施していただける見込みが高いという点で、いいのかなと思っています。ただ、切り売りするとおそらく住宅とかを建てようとすると思いますが、その場合は敷地外の土壌を搬出する契機になりますので、しっかり調査をやっていただく必要があると考えております。そのため、資料中の1-2の通り、事業場敷地からの搬出が無いことを条件にして、事業場敷地からの搬出がある場合には、試料採取等調査をやっていただくというふうに制度設計すれば、問題はなくなると理解しています。
地歴調査に関して、今、名古屋市の条例で、3,000m2以上の土地の形質変更のときには、法の4条に併せて、条例で地理調査の報告を義務づけていまして、試料採取等調査の必要性が見込まれる場合には、指定調査機関さんに基本的にやっていただいています。情報の管理については届出をいただければ、自治体が管理していますので、同じ土地で改変する場合には、その情報を見ていただければいいんですけど、土地の所有者さんが基本的には、その情報を持っていただいていると思っていますので、土地の所有者さんが情報を管理していただくのが原則かなと思います。
あとは資料の2-3のところの飲用井戸のところですけれども、専用水道の受水側で対応している場合は、軽減する対応方法で検討できないかという部分につきましては、基本的に専用水道の場合は、専用水道を使われている方が浄化する義務があって、水道基準に合った状態で運営されているということが担保されております。そういうような水道ならば、仮に周辺で指定区域にあたるような土地があっても、十分に受水側で対応しているため、過度な対策を取らなくてもいいと感じているため、提案させてもらったものでございます。
答えになっていない部分があったら、言っていただければ、お答えしたいと思います。よろしくお願いします。
(大塚委員長)
では、土壌環境センターさん、お願いします。
(土壌環境センター)
ご質問をたくさんいただきましたので、もし漏れがありましたら、後から御指摘いただきたくお願いいたします。
まず、私のほうから基本的にお答えして、中島、日笠山から補足をさせていただきます。
まず、江種委員からのお話の認定調査でありますけれども、今、川瀨委員からもお話がありました。基本的になくす部分と、それから、なくせない部分というのがあると思います。これは後で、中島から補足をさせていただきます。
それから、古川委員からありました、PFOS、PFOAについて漏えいに伴う汚染というのは、土壌・地下水の汚染として法的な対応できるかという話ですけれども、漏えいのほうであれば、むしろ別に提案されている事故時の措置を強化して、土壌・地下水対策も入れていくというほうに多分含まれてくるんじゃないかと思います。
いずれにしても、今の土対法の条件になっていない、地下水汚染から敷地のほうに入ってくるようなケースをどうするかというところは、今、抜けている部分があるので、そこを補っていただければということを提案しております。
それから、光成委員からいただいた、14ページの金銭的なインセンティブをどう考えるかということについて、ジャスト・アイデアで書いておりますが、いわゆる汚染物質賦課金のような形で民間資金を積んでおき、インセンティブとして環境負荷の少ない方法を使った人を支援するような形のものができないかという提案を一つ入れているということでございます。
それから、石巻委員からありました、詳細調査を指定調査機関が実施した方がよいかどうかという話ですが、基本的にやったほうがいいということで話はしましたけれども、資料のほうにも書いてあります通り全部ということではございません。法的に担保するべき部分は、そのほうがいいですけれども、実施措置の実施のために行う調査のような実務的な部分については、必ずしもそうでない部分もあると考えており、全部詳細調査を指定調査機関が実施しなければいけないというような意見ではないので、補足をさせていただきます。
それから小林委員からありました、中小企業対策をどうするかということについては、実態は後で中島のほうから補足しますけれども、地歴調査と分離するという今回の提案も、一つ中小企業を念頭に置かれていると考えております。その制度設計の中で、中小企業への配慮というのを検討いただければというふうに考えております。
それから、勝見委員から話がありました、残土条例などで調査のばらつきがあるという話と、浄化済土壌の再利用を促進するという話は、別の話でありまして、残土条例は、残土側から要請が来ている話で、土対法の測定項目などと異なる部分があるので、調整できませんかという話でございます。
それから浄化済土壌については、処理された土はきれいな土なんだけれども、どうしてもレッテルが貼られて、再利用が進まないという話を聞きますので、それを改善できないかという話であります。
それから島田委員から話がありました、深さ限定の制度と、今回の立体的な視点の関係ですけれども、これも後で補足をしますけれども、深さ限定は、あるところまで調べる一方、そこから下は調べなくていいということになっているため、そこの部分はデータがないという状況が存在します。今回は逆に立体的にきちんと調べようというような制度になると思いますので、そこについて整合を取る必要があるという意見でございます。深さ限定の制度にも幾つか問題点があることについては、資料3の11ページに、自然由来の場合に深いところの調査が行われないとか、非常に複雑なため事務手続の労力が増すとか、あるいは調査実施者がきちんと書かれていないといった問題点を書いておりまして、それらも含めて、まとめて解決していただければということで提案をいたしました。
それから原委員から、資料3の16ページ、パワーポイントで言いますと、18、19ページ辺りで健康リスク以外のリスクについてご質問がありました。ご承知のように土壌については健康リスクの観点のみで規制が行われており、他のリスクは視野の外になっておりますが、土壌生態系の保全等の考え方も非常に大事な話であります。また、地下水についても、今飲んでいなければいいというようなやり方については、ある意味で割り切りなので仕方のない部分もありますが、将来的にその地下水を保全していく必要があるという考え方もあります。そういった、生態系とか、あるいは水源の涵養、あるいは炭素貯留とか、いろいろな長期的な広い視野での検討というのも、進めていただければということであります。
それから油汚染との関係でいいますと、今、油汚染については健康被害ではないということで、法律の対象にはなっておらず、ガイドラインで対応するということになっております。そこの整理も、これをやると含まれてくるかなと思います。
以上ですが、続いて補足をさせていただきます。
(土壌環境センター)
中島です。認定調査のところですけれども、おそらく、この立体的な汚染の把握が必要になるケースがどこまでになるかというのが絡んでいると思います。汚染のおそれがあって健康リスクがある場合に試料採取となりますと、健康リスクがあるため措置が必要ということになりますから、詳細調査から措置にいく流れが多いんだろうと思います。
もし汚染のおそれがある状態で試料採取するのであれば、そこで詳細調査まで実施し、区域指定だけ行うという流れもあると思うのですが、その辺の整理が絡んでくると思います。あと、もし、試料採取を行わずに区域指定を受けて管理するということが出てきますと、その場合には認定調査が必要ですし、汚染の状況の変化が見込まれるようなときについては、認定調査を改めて行う、あるいは補足的な認定調査が必要になるようなケースもあるのではないかと考えております。
中小企業のところにつきましては、基本的にクリーニング屋等で試料採取までいくとなりますと、汚染のおそれがあって、おそらく濃度が高いものが多いと思います。健康リスクがあるわけですから何らかの対応をするとなると思うのですが、中小企業の調査の契機は事業の廃止等が多く、土地を売買等する際に清浄な土地を求められるとなると、掘削除去せざるを得なくなるというところがあるだろうと思います。ですので、なかなか負担軽減というところに結びつきづらいかたちが多いのではないかと思います。
(大塚委員長)
ありがとうございます。健康リスク以外の環境リスクへの対応については、前回国会で参考人として行ったときに、野党の先生からも類似の質問があり、国会のほうで議論を行ったことがありました。
ほかにはいかがですか。では、2団体につきましては、以上にさせていただきまして、続きまして、日本汚染土壌処理業協会からご意見をいただきます。日本汚染土壌処理業協会からは、理事長である鎌田委員からご意見をいただきます。では鎌田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
(鎌田専門委員)
よろしくお願いいたします。日本汚染土壌処理業協会、鎌田でございます。
本日は、まずこのような発表機会をいただきましてありがとうございます。汚染土壌処理業協会の概要を説明した後、意見を延べさせていただきます。
目次では、今日の内容について簡単にまとめております。まず協会の概要については、次のページでご説明いたします。それから、土壌汚染対策法の改正に係る事項についてですが、私どもは前回第1回小委員会で事務局から示された資料の7-1を中心に、意見を構成しました。そのため、それぞれのページでは対応する資料7-1のページと項目を併せて書かせていただいております。
では、3ページ目でございます。日本汚染土壌処理業協会の概要でございますが、2010年に設立しております。現在の構成は正会員13社となっておりまして、許可業を持った汚染土壌処理施設は併せて28施設でございます。また、賛助会員も13社となっております。基本的な事業の内容としましては、汚染土壌の適正処理の推進に関わる事項や、汚染土壌の運搬と処理に関わる調査の研究、技術研さん等を行っております。主要事業としましては、この後ご説明・ご意見させていただく汚染土壌の管理票の電子化や、簡易な処理工法である乾式磁力選別工法を発展させていくことを行っております。
資料の4ページに、活動の内容を簡単に書いております。各社の事業内容や取組内容等の公開を通じて透明性を担保するということや、正会員企業の汚染土壌処理施設の情報開示等を行っております。
資料の5ページをお願いします。この後の意見に関係するものとして、土壌管理票に係る電子管理票事業についての簡単なご説明をさせていただいております。我々の名称でいうと「DENKAN」と呼んでおりますけれども、2016年にまずは法対象外土壌で導入を開始しました。メリットとしては、事務作業の効率化や、透明性の確保、統計情報等を使ってどういう動きをしているかがよく分かるという点が挙げられると考えております。
次、資料の6ページ目をお願いします。電子管理票事業は、掘削した現場から多くの経由施設が存在する中で、最終的にどこに運搬されたかという健全性が図られるよう、一次管理票と二次管理票の紐づけに対応をしております。その部分によって、電子管理票を使うことが、処理業、場外搬出の透明化という点に非常に寄与するのではないかと思っております。
次は7ページ、現状について簡単にご説明します。これまでの経緯としましては、2023年度に電子管理票の検討委員会が行われ、その後、2024年に環境省e-文書規則改正等に伴う、土壌管理票の電子化文書規則化の交付がありましたため、電子化の推進を図っているところでございます。現在は、土壌汚染対策法、また電子管理票検討委員会で示された内容に準拠した形のものに作り変える作業の、最終段階でございます。基本的な形は完成しており、今年の年末から年始にかけて適用開始するという形で進めております。以上が処理業協会の簡単なご説明でございます。次ページ以降は、意見に移らせていただきます。
資料の8ページをお願いします。土壌汚染対策法の改正に係る意見の1点目としまして、1)管理票電子化による汚染土壌の搬出開始から処理終了までの間のトレーサビリティーの確保についてです。こちらについては、参考資料7-1の12~13ページに記載されている「汚染土壌処理施設」の技術的能力等の持続的な確保等に関連するものでございます。特に、P13に課題として記載されている、従来の管理票(印刷物)の運用において、二次処理以降の段階での処理の透明性の確保に懸念という点に関連しております。この部分に関しては、先ほども申し上げたとおり、汚染土壌処理業の透明性確保にあたって二次処理先までを明確にするため、電子の管理票を、我々協会で自主的に作成させていただいております。電子化の普及によって、透明性の課題が払拭できると考えておりますが、要請事項に書いてあります通り、電子管理票の利用促進、啓発を推進していただければ、より効果的と考えております。また、例えばその汚染土壌がどのように発生したか、どれぐらい発生したといった、電子データの活用についてもご検討いただきたく思います。
次に、資料の9ページ目でございます。意見の2番目としまして、運搬方式によるCO2の削減と運搬期間の緩和についてです。資料7-1でいいますと、14ページ目になります。
「基本方針(仮称)として、国が定める規定を創設することも検討」の中に、土壌汚染に対する措置における温室効果ガスの排出抑制の重要性等についても、当該方針を盛り込むことを検討すべきという記載がございます。これについて、運搬運送期間の最適化を検討していただきたいと考えております。トラック以外の船や鉄道といったCO2削減に寄与する運搬モードを積極的に採用できるようにするため、運搬期間の緩和の検討をお願いしたいと考えています。
10ページ目と11ページ目に、これは国土交通省からの資料と、その資料を基に、処理業協会で試算した図面の数値表を付けております。船や鉄道といった運搬モードはCO2の発生量を抑制できるのですが、運搬単位が大きくなってしまいます。そのため、途中での日数にある程度余裕があったほうが、全体の設計がしやすく、このような状況をご考慮いただきたいと考えております。
次に資料の12ページでございます。意見の3番目は、浄化等済土壌の再利用による資源循環でございます。参考資料7-1の15ページ、その他というところに、「自然資本を基盤とした国土のストックとしての価値向上を図る観点」と記載されています。資源循環の促進ということで、例えば、汚染土壌処理施設における、浄化等済土壌を資源としてリサイクルすることがその一つに該当すると思いますし、新たな自然破壊を防止する観点からも積極的に利活用をすることが望ましいと思います。この土壌に関しては浄化済であるという分析値を持った明確なリスク管理済み資材と言うことができると思いますので、その部分を積極的に進めていただきたいと思います。
参考までに、我々の協会員の汚染土壌処理施設による、アンケート結果を13ページにご報告させていただきます。令和2年度のため少し前のデータにはなりますが、汚染土壌の受入れ工事種別と、浄化等済土壌の種類を示したものです。民間の土木や建築工事等、開発に関わる工事において汚染土壌の受け入れ量が多いという形になります。
次の14ページをご覧ください。実際の浄化等済土壌の利用用途ということで、協会員からアンケートを取ったものでございますが、浄化等済土壌の利用率は、約半分でございます。処分してしまっている部分を活用できるようにすることで、資源循環につながるため、浄化等済土壌の再利用促進についてご検討いただければなと思います。
資料の15ページをご覧ください。意見の4番目として、その他で意見があったところについて意見をさせていただきます。参考資料7-1の15ページ以降のその他というところで、基準値等に関する科学的知見等の整理と検討、リスクコミュニケーション等と記載がございます。1番目のところの意見に該当しますけれども、国民のリスク管理に関する知識認識の認知なしに、掘削除去場外搬出偏重であるという認識を変えるのは、難しいのではないかと思っております。資産価値の創出という面で、どうしても掘削除去を選ばざるを得ないケースもあり得ると思われ、いわゆるリスク管理という中の、土壌汚染に関する基準についての国民の認知を並行して醸成していく必要があると思います。
最後にその他の意見でございますけども、汚染土壌と一言で言われることがよくありますが、廃棄物が混ざっているような汚染土壌の区分が明確に行われていないと思います。また、掘削除去を選びやすい背景としては、現地で汚染を浄化する場合においては、完了後に2年間のモニタリングが求められるため、現地浄化は非常にハードルが高くなっていると考えております。この辺も含めてご検討いただければいいなと考えております。
以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございました。では続きまして、日本鉄鋼連盟からご意見をいただきます。日本鉄鋼連盟土壌汚染対策ワーキンググループ主査の小崎様にお越しいただいております。なお、質疑応答のために、同ワーキンググループ委員の御福様、中村様にもお越しいただいております。
それでは小崎様、どうぞよろしくお願いいたします。
(日本鉄鋼連盟)
ご紹介ありがとうございます。日本鉄鋼連盟の小崎でございます。それでは、お手元資料の資料5、鉄鋼業として思慮している課題及び「土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性」に対する意見と題してまして、発表させていただきます。
資料の2ページ目では、まずは本日の意見の趣旨を記載しております。
我々鉄鋼業は製鉄所が中心となりますけれども、臨海部に立地するのがほとんどでございます。形質変更時要届出区域である場合でも、工業専用地域で一般住民の立入りはなく、地下水を飲用していないことから、人健康リスク被害のおそれは極めて低いと認識してございます。
ただその一方で、製鉄業は設備投資を頻繁に行う関係で、土地の形質変更を行う機会も多くございますが、その形質変更を行うときには、要措置区域と同程度の「土地の形質の変更の施工方法」が求められております。これを我々としては課題と認識しておりまして、本日はここを中心に、その課題とそれに対する我々の意見を少し次ページ以降で述べさせていただきます。
では3ページをご覧ください。鉄鋼業がどういう場所に立地しているかということで、下4点ほど地図をお示ししております。兵庫、東京湾、愛知、室蘭と主要な鉄鋼業が立地している4エリアを示しておりますが、赤丸の高炉会社事業所、黄色のその他鉄連会員会社事業所のいずれも、そのほとんどが海に面しており、いわゆる臨海部に立地しているというのがご理解いただけると思います。
これは、鉄鋼業は、ご存じのように原料の輸入ですとか、あと国内外への製品、製造した製品の輸出を行いますため、海に面した低い埋立地に、そのほとんどが立地されているということでございます。またこのエリアについては、繰り返しになりますけれども、工業専用地域で、一般の住民の立入りはないエリアとなっております。このようなエリアに関して、土対法がどの程度の実績があるかというのをお示ししたのが、次の4ページになります。
4ページ下の段のほうに、兵庫県、千葉県、愛知県、北海道ということで、四つの道県の実績をお示しさせていただいています。こちら我々鉄連のほうで、自治体のホームページの公表資料を参考に作成いたしました。
兵庫県を例に、ご説明させていただきますが、形質変更時要届出区域数が342件、うち臨海部に入っていますのが127件、37%を示しております。そのうち鉄鋼関係が20件ということで、件数自体は多く見えないかもしれません。ただこれを面積という指標で見ますと、形質変更時要届出区域の面積に関しては、臨海部が占める割合は75%、鉄鋼関係も比率に応じて増加していることが分かります。兵庫県、愛知県、千葉県、北海道、いずれもかなりの割合を臨海部及び鉄鋼関係が占めているというのがご理解いただけると思います。これらの区域に立地する事業所についての形質変更時の対応を、我々は課題と認識しております。今ご説明したエリアはほとんどが埋立地になっておりまして、臨海部の埋立地の特徴について、次の5ページ、6ページでご説明いたします。
5ページをご覧ください。まず一つ目の臨海部における汚染物質の取扱いについてですが、臨海部には自然由来汚染が多くございます。これはもともと製鉄所を造成するときに土を持ってきたり、周辺の海域から海底の砂を浚渫して、それを埋立てに使ったりしているんですけれども、それらの土には、もともとフッ素、ホウ素、鉛といった自然由来の汚染物質が含まれております。一方で、製鉄業としては、フッ素も生産の過程で使うことがありますので、これ故に、人為由来汚染ということで扱われることが多くなっております。このため、濃度等の定量的な比較ではなくても、工場等で使用した物質と自然由来の汚染物質が重なった場合は、現状人為由来扱いと指定されてしまうため、臨海部の特例区域の申請は今できないような状況でございます。
そのため、例えば、自然由来汚染と見なす一定の汚染濃度基準等を設置していただけると、合理的な判断ができるようになると考えております。
次の6ページをご覧ください。臨海部の特徴として、もう一点、地層についてご説明させていただきます。現状の土対法ガイドラインでは、数キロにわたって一様な厚みのものが、ある程度標準的になっている地層を前提としております。一方で、実際の臨海部における製鉄所の地層事例を資料中の右側に示しております。埋立てで造成されている土地であるということや、海岸線にあるため海水面の海進・海退の繰り返し影響があることから、地層が一様でなく、不規則で変化が多い地層となっております。事例1、事例2と二つお示ししておりますが、ほとんどの製鉄所の場合は、このような不規則な地層が多くなっております。このような状況ではありますが、その土地の形質変更を行う場合にもガイドラインに基づいて対応を行っておりますので、この点が課題と思っております。
続いて、この課題について少し具体的にご説明させていただきます。7ページをご覧ください。製鉄所の設備投資を行う際には、設備が非常に重たいため、杭を打って構築物を支持いたします。その事例として、製鉄所内での一般的な杭工法と、土対法のガイドラインに記載されている、汚染物質の拡散防止のための杭工法を二つ横並びにして示しました。
左側が一般的にこれまで鋼管杭打撃工法ということでやってきている工法なんですけれども、重たい構築物の下に、鋼管杭という、鉄製で径が大体400mm~1m、厚みが数mm~10数mmのパイプをハンマーのようなもので上から打ち込んでいくということを実施しています。この場合は、発生土は発生せず、無排土な工法となっております。
一方、右側のガイドラインに記載されている杭工法については、汚染物質がある場合、自然由来であってもこの工法で行っております。この場合、鋼管杭の周りに2回りほど大きなケーシングという、鉄製で、径が600mm~1,300mmとか、厚みが6mmとか、十数mmになるものをあらかじめ打ち込んで、その後、ケーシングの中の土を除いて、その後、遮水材を入れて、杭を最後打ち込んで、最終的にはこの坑内の杭の中側が空洞になりますので、ここに非汚染土を充填するということを実施しております。この場合、発生土がどうしても発生しますので、これも汚染土として処分する必要が生じてしまいます。一般的な杭工法に比べると、非常に時間がかかる工法になっていますので、人健康リスクと土地の特性を考慮した合理的な形質変更工法を選択できるようにしていただきたいと考えております。
もう一点、もう一つの課題についてご説明します。8ページをご覧ください。発生土の運用の点でご説明させていただきます。大規模な製鉄所であるとし、2km四方の敷地を想定して水色の枠でくくっております。製鉄所では設備投資を頻繁に行う関係で、調査契機が複数回発生することがございます。オレンジの矢印が、現状の土の流れを示していますが、盛土エリアに区域①、②、③と書いております通り、別の調査契機で発生した基準不適合土壌については、それぞれを区別して管理する必要がございます。これを右側のオレンジ矢印で示しておりますように、仮置き場に持っていき、搬出し、処理施設に持っていくことになりますが、区別するべき契機が多くなることもあり、敷地の効率的運用の支障になっております。例えば見直し案と書いていますように、一つの区域にまとめることができれば、土地の効率的運用もできますし、処理施設へ持っていく発生土も大幅に抑えられることができると考えています。また、そのほか、再利用もできるようにする等、全般的に合理的な見直しをしていただければと考えております。
以上2点、課題を述べさせていただきましたが、これらの課題に対して、今どのような形で費用が発生しているかということを9ページにお示ししておりますので、ご覧ください。当連盟会員企業の9案件より算定しました、製鉄所における形質変更時の土対法費用の内訳でございます。左側の円グラフに示していますように、先ほどご説明した杭などの汚染拡散防止費用、それから発生土が増えますので、発生土砂処分、そして、その管理が多くを占めていることがご覧いただけると思います。そのほか、地下水監視や、土壌成分調査といったもので土対法の費用は構成されております。
最後、まとめに移らせていただきます。
10ページです。第1回土壌制度小委員会において示されている、土対法の見直しに向けた検討の方向性に、全体の方向としては、適切で合理的な土壌汚染に係る健康リスクの管理を図ると記載されております。我々鉄鋼業としましても、GXの推進など社会変化が起きており、それらのニーズに合わせた設備投資を実施してまいります。ぜひとも、土対法の人健康リスクに応じた適切で合理的な見直しをお願いしたいと考えております。
以上で発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
(大塚委員長)
ありがとうございました。では続きまして、不動産協会からご意見をいただきます。
不動産協会からは、環境委員会専門委員である足立委員からご意見をいただきます。では足立委員、どうぞよろしくお願いいたします。
(足立専門委員)
不動産協会の足立でございます。本日はご説明の機会をいただきありがとうございます。資料の目次の順に従って説明させていただきます。
まず3枚目ですが、当協会のご説明をさせていただきます。事業概要といたしましては、オフィスビル・商業施設等の開発・運営・管理、マンション・一戸建て住宅の開発や分譲、あるいは不動産の仲介業、代理業などを業とする大手企業により構成しておりまして、会員数は現在約160社となっております。会員各社におきましては、多岐にわたる不動産業種を取り行っておりますけれども、今回は都市、住宅の開発を行う開発事業に関わる土壌汚染対策法との関わりについてご説明したいと考えております。
次ページに移りまして、2番の不動産開発事業等と土壌汚染対策問題の関わりについて説明いたします。不動産開発事業の多くは、土地や土地を含む不動産を取得しまして、必要に応じ、周辺の土地、不動産を新たに取得し、造成、インフラ整備した後に、ビル、事業用施設、住宅などを建築し、不動産の価値創造・向上を行う事業でございます。
私どもが開発候補地を調査・把握した上で、建築計画・事業収支を立案・検討し、開発用地として取得するかどうかを検討いたしますが、土壌汚染の懸念がある場合は、その調査や対策に非常に時間と費用がかかるため、事業スケジュールや、事業収支に大きな影響があるという認識でございます。
次のページをご覧ください。このことから、事業における調査の費用が多大であるということと、スケジュールの予見性がしにくいということが主な課題でございます。次のページから、不動産開発の実務における強い要望として論点を絞って、自然由来の汚染と地下水汚染と地歴情報の管理について要望をご説明いたします。
次のページをご覧ください。具体的に要望4-1.不動産開発事業における改正要望の1番目は、自然由来の汚染対応合理化でございます。要望としましては、自然由来の基準超過については区域指定をしないということができないかというものでございます。本来その場に元来あったものであることから、除去等の対応をしなくてはいけない理屈に理解が及んでいないという意見でございます。あるいは自然由来については汚染の程度・段階ごとに対応するような基準の新設を検討いただきたいと考えております。
理由につきましては、今申し上げましたように自然由来の汚染について非常に苦慮しているということであったり、所有者が汚染の原因者でないにもかかわらず、全て所有者が負担する制度が、社会的には受け入れられにくく、不合理であるといったことでございます。具体事例としましては、周辺広範に自然由来汚染の懸念があるエリアの工場跡地で、この調査命令により、調査を実施したところ、想定部以外で、多数の鉛、ヒ素が超過検出されたため、結果として、当初より対策費用が大幅に増加して事業性に影響があったというものがございます。
次のページをご覧ください。続きまして4-2.改正要望の2番目ですが、地下水のもらい汚染及び自然由来汚染対応の合理化でございます。地歴調査により敷地内に汚染源がないことが明らかな場合や自然由来の地下水汚染については、措置を不要とすることを要望いたします。
理由としましては、もらい汚染について、汚染源の原因除去ができないまま計画地のみ措置をすることの合理性に疑問があると考えております。近接地からの地下水汚染について、当該地の地下水調査及び対策のみが義務化されていることは、法的にも不合理ではないかというものでございます。具体的な事例につきましては、次項の要望と併せてご説明させていただきます。
次のページをご覧ください。4-3.改正要望の3番目は、地下水の汚染対応の合理化でございます。4-2の要望と一部矛盾するところがございますけれども、こちらは地下水汚染のモニタリング期間の短縮でございます。モニタリングにつきましては、2年間というのが非常に負担になっております。原位置浄化でなく汚染土の搬出と遮水をした場合、埋戻し土が清浄土であることと、有効に遮水されているということを条件にすれば、モニタリングする意味が無いため、モニタリング期間を緩和することをご検討いただきたいと考えております。具体的な事例としては、モニタリング中に工事ができなくなるため、モニタリング終了後に工事着手する必要がありスケジュール的に非常に大きな影響があったというものと、モニタリング箇所を避けて建物を計画したため、建物計画の効率が下がったり、設計変更コストによる事業性の悪化につながったりしというものがございます。
次のページをご覧ください。4-4.改正要望の4番目は、地歴情報について国によるデジタルプラットフォームなどの整備・関与を要望するというものです。既にデータベース化等の情報承継等を検討されているということでございますが、国交省で検討されている不動産ID等デジタル化と併せて、土壌の情報についても一緒に整備・関与を検討していただきたいと考えております。具体的な要望としては、井戸のデータについて、併せてこの情報に乗せていただけることを要望しております。地下水汚染の際の摂取リスクを評価できるということで、合理化につながると考えております。
具体的な理由について、地歴調査で不明瞭な部分は現在ヒアリング等を行っておりますが、80年程度昔に遡る必要があり調査が難航するという実態に加え、情報の散逸防止を図るため、登録の義務化をすることが望ましいと考えております。また、井戸情報につきましては、各自治体のほうで持っている情報とは別に、国交省でも公表されている情報がございますが、こちら全国にわたった情報ではあるものの、非常に大まかな場所の情報しかございません。深度情報等はある一方で、我々が地下水汚染の確認をする場合の井戸の情報としては不十分であり、調査が非常に負担になっているという現状を踏まえまして、各自治体が持っている情報を国のプラットフォームに乗せる等、一元的に管理することを検討していただきたく思います。
加えて、深度方向のような情報も管理することで、地下水汚染のリスクの評価をできるということにもつながると考えております。また、記載がございませんけれども、要望1番目で挙げました自然由来の汚染についても、区域指定しないといった場合についても、地歴情報をデータベース化することで事業承継リスクを補完できるのではないかと考えております。
要望としては以上でございます。自然由来汚染、地下水汚染、土壌汚染のデータベース化、適正な管理につきましては、既に検討の方向性の項目として含まれることは承知をしておりますけれども、当協会のアンケートでも見直しの要望が多数ございまして、各論としては要望の方向性とは異なっている内容かと思いますので、具体的な要望として挙げさせていただきました。
最後に1点、資料には記載しておりませんけれども、1点共有いたします。協会各社にヒアリングした中では不動産開発の我々の事業において、法の調査対象とならない、3,000平米以下の土地であるとか、特定施設があっても900平米に満たない小さい土地の場合でも、地歴調査は、戸建てとかの一部例を除いてほとんどの場合で土壌調査、地歴調査を行っております。そして、地歴調査の結果、土壌汚染の可能性がある場合につきましては、法と同等の調査を行い、結果として法に準拠した措置等の対応を行っております。これは、我々が自主的にやっていることでありますが、そもそもの法律のほうが適正に運用がされ、内容が我々が考えるものに近づいていくということになれば、こういった法対応以下の規模の事業についても影響が軽減されると認識しております。そのため、要望としては全体の見直しを図っていただきたいということを申し添えさせていただきます。
以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では、ここまでの3団体のご意見につきまして、ご質問を賜りたいと思います。ご発言のある方はネームプレートを立てていただくようにお願いします。WEB参加の方は挙手ボタンでお願いします。いかがでしょうか。
小林委員、お願いします。
(小林臨時委員)
ご説明ありがとうございました。
日本汚染土壌処理業協会のご意見の中で、運搬期間の緩和を検討していただきたいという話があったところ、今まではどの程度の期間があって、どの程度緩和されればいいのかというのを伺いたい。
また、日本鉄鋼連盟のご意見の中で、特に形質変更時要届出区域であっても要措置区域と同等の、過剰と思われるような対策がなされており、実際の汚染レベルとして基準値の数倍程度の自然由来と同じようなレベルの汚染で、不連続なこういう地層のためケーシングをしてしっかり対策をしなくてもいいような場合でも、現在はガイドライン等でこのような措置が求められるとの話があった。このような実質的に拡散防止に寄与できていないような過剰な対応が、ほかにもたくさんあるということでしょうか。
さらに、このような事例が、年間で多数生じているのか等の実態も少し教えていただければと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
では、石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
不動産協会様の資料4-2の地下水のもらい汚染及び自然由来汚染対応の合理化というタイトルのページで、地歴調査により敷地内に汚染源がないことが明らかな場合や自然由来の地下水汚染については措置を不要とする旨のご要望のところの、一番下の事例にも書いてあるように、やはり地歴調査によって把握できなかった、もらい汚染というものが実際にあり得るということだと思いますので、地歴調査だけでは実際の土壌汚染の可能性や健康被害の可能性が確実に把握できるわけではないのだろうということが、まず一つ感じたことです。
また、もらい汚染や不法投棄のケースも同様だとは思いますが、地歴調査では分からないような自然由来等の汚染があった場合、あるいは汚染源がそこにはないことが明らかな汚染があった場合に措置を不要とするというご要望は、健康リスクは考慮せずに措置を不要とするということでしょうか。健康リスクがあるのであれば、措置不要ということは難しいかもしれないので、措置を不要とするというよりは、負担の在り方を変える方向性で制度を見直す方がよいのではないかと考えました。
土壌環境センター様の資料の中でも、調査の費用について、基金からの助成を可能とすることを検討すべきと指摘があったように、基金の規模を拡大したり、基金の活用の場面を拡大したりするといったような見直しをすることによって、もらい汚染の場合の負担の在り方を、土地所有者だけに集中させるのではなく、基金からの拠出も含め見直すといった方向性があるべきではないかと考えました。
意見のようになってしまいましたが、以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、勝見委員、お願いします。
(勝見専門委員)
ありがとうございます。
まず、日本鉄鋼連盟にお伺いをします。小林委員のご意見とも重なるところがありますが、形質変更時の施工方法、ケーシングの挿入、遮水、鋼管杭を打つというところ、埋立地といいますか、対象とする臨海部の製鉄所でこれらの施工をしないと、どのくらいの環境リスクがあるものでしょうか。
資料6ページ目には地層が均質に水平には連続しておらず、不規則で変化が多いと記載されており、実際7ページに記載のように施工をするときに様々注意しないとケーシングの効果が得られにくいのではということで、小林先生がおっしゃったとおり、あまりやってもというところもあるのかもしれない。そうなると、どの程度のコストをかけて、どの程度のリスクが下げられているのかというところがもし分かればと思いつつ、見させていただきました。
また、今度は日本汚染土壌処理業協会にお聞きしたいのですが、8年にわたってDENKANを使ってこられて、それは法対象外の土壌に対してということですが、今、法対象の土壌についても準備を進めておられるということでございます。
これから進められようとしている土壌汚染対策法の改正、施行から20年あまりが経っているところ、20年様々積み重ねてきた結果で様々なことが分かって、これはしっかりやらないといけない、これはやらなくていいのではないのかということが分かってきたのが、今のタイミングなんだろうと思っています。そういう意味でデータを取り、しっかり使えるようにするというのはとても意味があると思います。
さらに、土壌環境センター及び名古屋市のご説明において、データを取得するのは効率性とか透明性ということもございましたが、今やっていることの合理性を確認する、あるいは科学的な根拠をしっかりと見ていくという意味で、電子管理票というのは、それらをサポートする非常に大きなツールとなるだろうと思い、注目しているところでございます。
土壌環境センターでは、料金上乗せではありますが、紙の管理票で土対法の基金をサポートされているという説明がありましたが、電子管理票の方では言及はございませんでした。紙の管理票も残る可能性はあると思いますが、両方うまくすみ分けて電子管理票が普及し、基金を支える可能性も出てくるのではないかと思いました。そうなると、先ほどの基金をうまく活用すべきという委員のご意見もWin-Winになる可能性も高まってくるということで、そういう観点について、環境省も含めて関係する方々で、科学的なことを新しい技術を活用して次につなげていく、その一つとして基金をうまく支えて困っている現場に使っていただけるようにする、あるいは次の新しいことにつなげていくというようなことができるよう、ご配慮もいただけるのかと思いコメントをさせていただきました。
以上です。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。
では、寺浦委員、お願いします。
(寺浦専門委員)
ご説明どうもありがとうございました。
まず、日本汚染土壌処理業協会に質問です。資料13ページの、汚染土壌を受け入れた工事は民間工事からの受入れが多く、公共工事は少ないという理由をご存じでしたら教えていただきたいと思います。
また、次の14ページに公共工事でのリサイクル利用が少ないという記載がありますが、こちらについても理由をご存じでしたら教えていただきたいというのがございます。
さらに、不動産協会及び日本鉄鋼連盟に質問です。地歴情報の承継の義務化や保管についてですが、義務化等を賛成する前提として、やはり国としてのプラットフォームを整備するというところを前提として賛成だとお考えなのかを教えていただきたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。
まず、日本鉄鋼連盟にお伺いします。GXという言葉もありましたところ、ちょうど国際会議のCOP29も終わり、日本国内でも削減目標について報道されたりしておりますが、既に2040年に向けて、GX2040ビジョンというのも議論されてきていると思います。
そうした中で、上場企業においてはサステナビリティ開示としてCO2排出量のスコープ1、2、3も求められる方向で議論されているかと思います。土壌汚染と脱炭素やカーボンニュートラルの関係では、先ほど土壌環境センターからもご意見がありましたが、浄化対策におけるCO2の削減、発生抑制という点と、より広い意味で日本鉄鋼連盟のように広大な敷地を持っておられると、工場跡地にインフラを整備して、例えば再生可能エネルギーの施設とか、より土地を再利用するという二つの観点があるかと思います。鉄鋼業界では土壌汚染対策とGXの調和の点で、どのような取組を考えていらっしゃるかということと、土壌汚染対策法において、GXとの調和の点で課題になると感じていらっしゃることがありましたら、教えていただきたいと思いました。
また、不動産協会のご説明において、土壌汚染対策やコスト等、時間的な不確実性があるということですが、やはり現在も土壌汚染があるために開発を断念したといったケースというのはあるのでしょうか。ご感触として教えていただければと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、奈良委員、お願いします。
(奈良臨時委員)
奈良です。今日はご説明ありがとうございました。
不動産協会にご質問をさせていただきたいと思います。貴協会の主要なステークホルダーとしては、当該土地及びそこに建設された不動産の購入者、クライアントがいらっしゃると思いますところ、クライアントとの間では土壌汚染がある場合は着工が延びること等の土壌汚染のリスクの許容可能性について説明されるというのは大変ご苦労があるのだろうと思います。
そこで質問が二つあります。一つ目は、クライアントが特にどのようなところにこだわられて、懸念を示されるのでしょうか。土壌汚染があることについて、特にどのようなところに論点を持って説明をお聞きになるのかということです。それに対して貴協会はどのような対応をクライアントにされているのでしょうか。
二つ目は、土壌汚染がある場合に、クライアントへの説明を行うに当たって、どのようなものがあれば説明が科学的、客観的かつ相手の論点、懸念に応答する形で、言わばリスクコミュニケーションが取れるとお考えでしょうか。
少し質問を変えれば、改正要望として四つのご提案をいただいていますが、これらがクライアントの立場に立った上でリスクコミュニケーションに資するものになるとお考えなのかどうかということをお聞かせください。
以上です。よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
江種です。
日本鉄鋼連盟にお聞きしたいことがあります。資料7ページに「形質変更時要届出区域(埋立地管理区域や特例区域ではない)の指定を受けると、ガイドラインに示されている要措置区域と同等の汚染拡散防止対策を求められる場合がある」とございます。製鉄所等は必ず埋立地管理区域や特例区域になるというイメージを持っていたのですが、そのような区域にならないような場所はどういうところなのか教えていただきたいと思います。
また、5ページにおいて、臨海部の埋立地の性質上自然由来の汚染が多いが、製鉄所で使用しているとして人為由来扱いをされることによって、臨海部特例区域にならないとおっしゃったと思いますが、様々情報を出していただいている内容は特殊な部分も多く、土対法の全部に適用できるようなものではない気がするので、例えば臨海部特例区域をもう少し充実させて、製鉄所等にうまく合う形に持っていければ十分なのかどうか。それとも違うやり方があるのかというのを教えていただければと思って質問いたしました。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。ございませんか。
私からも二、三お伺いします。日本鉄鋼連盟の資料7ページに記載の人健康リスクと土地の特性を考慮した合理的な形質変更工法を選択できるようにしていただきたいという部分について、具体的にどういうことをご提案なのか、ガイドラインだけの話と考えてよろしいのかということを確認させてください。
また、先ほど石巻委員が話してくださったことも関係しますが、不動産協会の資料4-2においてもらい汚染の要望があり、これは土壌環境センターから出していただいている資料における、もらい汚染と疑われる場合に、敷地外の汚染源に対する規定がないということの反映になるので、環境省としても考えなければいけないということを突きつけられてきたかなという気はします。
不動産協会としては、原因者も対応しなにもかかわらず何で自分たちだけが措置を行わなければならないのかということをおっしゃっているところ、原因者が措置をしないとはいえ、もらい汚染されたところからまた汚染が広がる可能性もありますので、そこは考えなければいけないように思います。その辺をどのようにお考えかということについて、何かコメントいただければありがたいと思います。
さらに、資料4-1について、自然由来については区域指定をしない方向で議論が進んできていると思いますが、苦慮されているとはいえ基準値超過の土壌の搬出は良くないので、搬出時には汚染状況を確認しないといけないという話もあります。記載いただいている要望では基準値超過していても搬出してもいいというように聞こえてしまいますが、どうお考えかというのを教えていただければと思います。
以上、幾つかございましたけれども、ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、ご回答をお願いしたいと思います。まず、日本汚染土壌処理業協会からお願いします。
(鎌田専門委員)
ご意見、ご質問ありがとうございます。全部で三つだったかと思います。
まず1番目は小林委員からいただいた、法対象土壌の運搬期間について、現行は法対象汚染土壌に関して運搬期間は30日以内、その後の処理については60日という決まりがございます。これに関して、例えば船等で集積して運搬することに関しては、30日のルールを一生懸命守ろうという形でやっていますが、運搬期間を満たすために船のサイズを小さくして、一部だけ車で運ぶことや、満船にする前に運搬期間が過ぎてしまうので、一部空の状態でも運ぶことがあります。
また、30日以内に何とかしようとするのは業界として実施しておりますところ、様々な状況があるので、どの程度期間を延ばせばいいのかという数字は本日お答えすることは難しいですが、工事規模に応じCO2削減を考慮して運搬期間を緩和していただくというのが、協会会員の事業者の意見と考えております。
2番目として、勝見委員からいただいた、DENKANに関することで、法対象外の土壌の電子管理票という形で取り組んできました。特に管理票への記載ミスや複数枚書くことで煩雑になることは、非常に防止できているのではないかと思います。また、リアルタイム性があり、汚染土壌が今どこにいるかというのが、それぞれの担当者から分かるといったことや最終的に電子管理票を取りまとめるということも非常によいことかと思っています。
電子管理票システムは今後改良を進めていく予定になっておりますが、課題としては二次処理との連携であり、これは電子管理票が非常に得意とするところかと考えています。整理番号に基づいて一次処理、二次処理と汚染土壌を追いかける部分がこれからできていくという形で、この部分についてしっかりできるかということは、汚染土壌処理業の透明性を確認する上でも重要なことかと思っております。
また、合理性という面では、紙では運搬するのに2日、3日かかり、回付や完了確認に時間がかかることもございますので、その点は非常にいいシステムになるかと思っております。
さらに、基金に関してでございますが、現時点では民間事業会社が我々の思想と理念に基づいて作っているというものでございます。基金の将来性については、今後ぜひ検討させていただくということにしたいと思っております。
それから、これはどちらかといえばデータの利用ということで、土壌環境センターが挙げられていると思いますが、基金からの支援による透明性の確保等、世の中の役に立つということについても、非常にいいことだと考えております。
3番目として、寺浦委員からご質問いただいた、汚染土壌を受け入れた工事における公共工事の少なさの理由につきましては、全ての処理のデータを取って明確に解析したというものではなく、汚染土壌処理業の許可施設で我々の協会に入っている会員だけのアンケートのデータでございますので、なかなか一言で申し上げることはできません。個人の意見でございますが、我々が汚染土壌処理業を行う中で感じることは、製造業の中で汚染物質を取り扱う、生産に基づく土壌汚染が非常に多いということであり、公共に関してはそのような生産物はなく、我々が扱うのはどちらかというと買収等をされた土壌汚染等がある民間用地なので、このような結果になったのではなかろうかと思います。
再利用についても、実は再利用に取り組んでいただいているところは出てきているとは思いますが、件数の少なさと、建築途中で浄化等済土壌を必要とするサイトとのタイミングがうまく合っていないところがあるかと思います。また、浄化等済土壌を積極的に使うと明記することによって、特段プライオリティーとかがあるわけではないですが、そういったものをもし促進していただけるのであれば、我々としてはありがたいなと、せっかくの資源でございますので、有効活用していただければと考えております。
以上です。抜けていましたらご指摘ください。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
では、日本鉄鋼連盟からお願いします。
(日本鉄鋼連盟)
ご質問、ご意見ありがとうございました。全部で6点あったと認識しておりますので、順次お答えさせていただきます。
まず小林委員からのご質問ですけれども、汚染レベルについてのご質問があったかと思います。製鉄所の場合、自然由来がほとんどでございますので、特段基準値の10倍、100倍というものはなく、先ほどご発言がありましたように、概ね数倍程度という汚染レベルになってございます。また、過剰な対応がほかにもたくさんあるのかということですが、杭による拡散防止以外にも、形質変更の際、掘削工事を行うときに、矢板による拡散防止を求められるケースもございます。
さらに、年に回数がどの程度かということですが、こちらは事業所によって跛行性がございまして、5年連続や7年連続といった事業所もございますし、一方で数年に1回といた事業者もございますが、特に設備投資が多い事業所ではかなり頻繫に発生している現状でございます。
続きまして、勝見委員からのご質問でございますが、工法の拡散リスクに関してのご質問だったかと認識しております。資料7ページでご説明した鋼管杭打撃工法とケーシング工法でございますが、汚染リスクについては人健康という目線でいくと、私どもとしてはほぼ変わりがないかと考えております。幾つか理由はございますが、住宅等からの距離が非常に離れており、汚染物質も基本的には自然埋立土由来で重金属系ということで、遠くても100メートル、200メートルの拡散であるということが1点。もう一点は、鋼管杭を打撃するということで、厚みが数ミリから10ミリ程度の板を埋めるだけでございますので、それによって表層に近い部分にある汚染土がずれ込む、下の被圧帯水層を通じて地下水が拡散する、といったリスクもあまりないのではないかと考えております。ケーシング工法の拡散の定量的な評価を今後しっかり行う必要があるかと考えております。
また、コストのご質問がありましたが、コストは非常にばらつきがございまして、ケース・バイ・ケースでございます。建設費、土木工事費の数%の場合もあれば、それを大きく上回る50%等、様々なケースがございますので、この場では回答を差し控えさせていただきます。
続いて寺浦委員からございました地歴調査の件のご質問です。私どもとしては基本的に地歴調査をしっかり実施するということで、事業所としては、国のプラットフォームの整備がされようがされまいが、しっかり実施できると考えております。
続いて光成委員からご質問がありました、サステナビリティの話ですが、2点あったと思います。一つは浄化対策ですけれども、実は製鉄所で発生する汚染土壌に関しては、汚染が重金属系というのもあり、基本的にはほとんど処理施設に搬出したり、最終処分場で埋め立てたりということをしてございますので、浄化対策への貢献については、現状はそのようになっております。
もう一点の再利用に関しては、中込委員から述べさせていただきます。
(中込専門委員)
GXに向けた土地の再利用の課題と取組ということでございますが、鉄鋼業界といたしましては、生産で出ているCO2の削減というところがかなり大部分を占めているところでございまして、この生産におけるCO2排出量を下げるための取組ということで、具体的には新プロセスといたしまして、水素の直接還元炉の建設や、高炉を電気炉に置き換えるというような大型投資が具体化しつつございます。
こういったところでの影響について、土対法の対策の中で、土壌の運搬が増加することに伴うCO2排出もございますが、このCO2排出量を下げるための大型投資の稼働に伴い、工事期間や計画段階の検討期間を要するため、稼働が遅れるというところの影響が大きいと考えております。
また、先ほどコストについては申し上げられないと申しましたが、やはり大型投資に付随するコストの影響も非常に大きいというところで、その両面が大きな課題と認識してございます。
以上です。
(日本鉄鋼連盟)
続きまして、江種委員からご質問をいただいた件でございます。まず、特例区域等にならないのかということですが、製鉄所では人為由来でプロセス的に使っている物質がどうしてもございまして、そこが一つのハードルになり、なかなか特例になっていないということがございます。
もう一点、土対法全体で特例区域をしっかり充実させればよいのではないかというご質問だったと思います。我々としましては、しっかりと製鉄所の特徴や埋立てといった歴史、経緯を含めた上で適切に管理する前提ですが、特例区域を充実させるということは、一つの方向性としては賛同いたしたいと思っております。
最後、大塚委員長からご質問いただきました、具体的な形質変更工法の提案があればということですが、やはりガイドラインでは一様な地層を前提として様々な工法が策定されておりまして、製鉄所の土地では一様ではない地層の中で対策を実施せざるを得ない状況にございますので、その辺りを加味したような、例えば参考事例といったものを自治体側で共有いただくことや、ガイドラインを少し充実すること等といった方向で行っていただけるとありがたいと思っております。ガイドラインは現在相当厚みを持ったものになっていますので、ガイドラインをどのように充実していくかは、また委員の皆さんで議論いただければと思います。
以上かと認識しておりますが、もし不足等があればご指摘いただければと思います。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。
では、不動産協会からお願いします。
(足立専門委員)
最初に石巻委員から、もらい汚染について、措置不要とするのは健康リスクを考慮していないのではないかとのご意見がございました。おっしゃるとおり、業界の負担軽減だけを考えた内容にはなっておりますので、お話のありました所有者の負担を軽減するよう基金の見直しをするほうがよいのではというご意見に対しては賛同いたします。
大塚委員長からも同様に、もらい汚染等の原因者でない場合のお話もございました。措置不要とすることでもらい汚染された土地からの再拡散は防げませんが、一つ方法としては、調査結果を開示することで有害物質の摂取リスクは低減できるのではないかということも話としては出ておりました。一方で、風評被害等による原因者への影響を考えると、それもなかなか難しいかということでございます。汚染源について対応できない中で、土地の所有者等が汚染土壌を浄化するということについては不合理であり、なかなか受け入れがたいということはご理解いただきたいところでございます。
また、寺浦委員から地歴情報の承継義務化について、データベース化が賛成する前提条件かというご質問がございました。実際承継を義務化した場合に、長期的に考えればデータベース化等をしないと進めることができないという認識をしておりますが、データベース化やプラットフォームを作ることに時間がかかるために承継が遅れるということになりますと本末転倒ですので、データベース化にもし時間がかかるのであれば、先に承継の義務化を進めて、データベース化は順次進めていただくということでもいいのではないかと考えております。
次に光成委員から、土壌汚染があるために開発を断念することはあるかというご質問をいただきました。事例が多いものではございませんが、土地の費用に対してどのくらい土壌汚染の対策費用がかかったかを数例調べましたところ、横浜市の比較的市街地の住宅の開発において、3,000平米を少々超えるくらいの土地で、土地代の10%程度の搬出等に係る費用がかかったということです。市街地では土地代が周辺地と比べても高いところ、そのような場所で10%程度であったと理解しており、浄化の費用自体は変わらないため、仮に地方や郊外等、土地代が安い場合には、より対策費用の比率が高くなります。そうしますと、過去検討した土地では、土地代がマイナスになるといった理由から売買を断念されたという事業者もいらっしゃいますので、場所によっては非常に負担になっております。不動産取引がマイナスの場合、お金をもらって土地も引き受けるといったことはなかなか現実的にはないと思いますので、そういった実態についてはご理解をいただきたい。だから全部やめましょうということにはなかなかならないと思いますので、そういうことではございませんが、ご理解はいただきたいというふうに思います。
続いて奈良委員から、不動産の購入者に対して、土壌汚染のリスクをどの程度開示しているのかといったご質問だったかと思います。リスクの共有につきましては、基本的には行った調査の結果と、措置が必要になった場合は、措置の内容あるいは自主的に行った対策、搬出等を行っていれば、自主的に何をどの程度行ったかというものを書面や図面等の資料をつけて開示してございます。
何があれば相手の論点、懸念への応答に足りるかということでございますが、基本的に不動産取引においては土壌汚染対策法に基づいて行ったという記載をすれば足りるものと考えております。法改正において措置を軽減するような内容を要望しておりますが、法律が改正された際は改正された法に準じて対応することになりますので、そちらで説明に足りるものと考えております。
以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。ここまでの質疑を踏まえて、全体を通じてご質問のある方はお願いしたいと思います。いかがでしょうか。ヒアリング団体の方からもご発言をしていただいても構いません。
原委員、どうぞ。
(原専門委員)
日本鉄鋼連盟や不動産協会の方から、自然由来について、段階的に基準をつくってほしいという要望が出ているかと思いますが、実際にその基準のレベルというのはどの程度のものを想定されているのでしょうか。日本鉄鋼連盟は基準値を超える際は数倍が通常で、10倍を超えることはほぼないのかなということですが、不動産協会としては自然由来の位置づけがどこを基準にされているのかをお伺いできればと思います。
(足立専門委員)
私どもの協会の中で聞いている範囲で言いますと、自然由来については5倍程度までが多く、高い場合で10倍程度のこともあることにはありますが、自然由来で10倍を超える場合、箇所というのは局所的かなとは思いますので、個人的なところではございますが、結果を見た中で言うと15倍と10倍の間くらいというのは一つあるのかなとは感じたところでございます。
一方で、健康リスクという観点がございますので、その辺りは環境省やより専門的なところでご検討いただくということが正しいかと認識しております。
(日本鉄鋼連盟)
日本鉄鋼連盟からは、ご提案という形では申しておらず、ご質疑の中で自然由来の汚染物質の濃度についてお答えさせていただいています。そのときは数倍から多くて10倍というお話をさせていただきましたが、これは広い面積、土地の中でやはり局所的に出ているところでございまして、例えば30メートルメッシュの隣の区画では出てこないといった中での数倍から10倍未満というところが今の実態でございます。そのようなお答えでよろしいですか。
(原専門委員)
はい。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
事務局のほうから何か聞いていただくこととか、補足していただくことはございますか。もらい汚染の話とか、基金の期待の話とか、勝見委員のほうから管理票の話とかいろいろ出ていましたけど、何かこの際もしお話しいただけることがあれば、お願いします。
(鈴木環境汚染対策室長)
ありがとうございます。基金の話は先ほど意見交換でもありましたとおり、土壌汚染対策制度の中で、法律の施行にあたって必要不可欠なものだと思っています。どのようにまたこれを維持していくのかというところは、また関係の皆様とよく相談していきたいと思っています。
もらい汚染の件は、まだ、すみません。非常に難しいなというのが正直なところなんですが、また今日のご意見を踏まえてまた考えていきたいと思います。
あともう一点、盛土規制とかそちらのお話を。
(金井環境汚染対策室長補佐)
ありがとうございます。勝見委員から盛土規制法に関してご質問がございましたので、若干補足をさせていただきます。
盛土規制法に基づいて基本方針が定められておりまして、その中で盛土等の土壌汚染等に係る対策について記載されております。具体的には、汚染された土壌の盛土等の不適切な利用について、盛土規制法担当部局と土壌汚染対策担当部局が連携すること、盛土等の一部に土壌汚染があることが判明した場合や土壌汚染の懸念が生じた場合には土壌汚染対策法に基づき状況把握や区域指定等の対応を行うこと、土壌汚染対策法に基づく区域指定がなされていない地域における汚染土壌の搬出や処理についても法に準じて適切に取り扱うように発注者に促すことなどが盛り込まれております。
いずれにせよ、盛土等に伴う災害の防止を図るという観点から各関係制度を所管する関係部局で連携することがとても大事でして、盛土等の安全対策及び土壌汚染対策については、盛土規制法担当部局と土壌汚染対策担当部局が緊密に連携することが重要です。関係省庁の連名による通知を発出し、その旨周知しているという状況でございます。
その上で、勝見委員のご質問は、この趣旨に基づく実際の運用が過剰である場合や、統一されていない場合も中にはあることを示唆しているのかもしれませんが、環境省として網羅的にその点把握できているわけではありませんので、まずはさらなる実態把握に努めていくところから進めていく必要があると、このように考えております。
以上でございます。
(大塚委員長)
DENKANに関しての勝見委員のご指摘については、何かございますか。管理票に関して、今法制度になっていないことも含めて、いろいろご質問があったかと思います。
(鈴木環境汚染対策室長)
管理票の電子化自体は、今日の日本汚染土壌処理業協会さんのご説明の中でもありましたが、省令を改正し、法対象土壌も電子管理票で管理できる対象にしたところでございます。我々としてもここはしっかり進めていきたいと思っております。
省令が改正されて法対象土壌も可能になったばかりの段階ですので、実際の運用がどのようになっていくのかについては、現場で円滑な運用が行われるには我々として何ができるのか、廃棄物の先行事例も参考にして検討をしていきたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
どうもありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
恐らく今回は様々な規制緩和をすることになると思いますが、それに対してのハード面もまとめてセットで考えなければいけないので、委員の皆様におかれましても、その辺も含めてひとつよろしくお願いいたします。
では、本件につきましてはこれで終えたいと思います。本日のご発言を踏まえて今後の検討を進めていきたいと思います。
本日の審議はこれで終了といたしまして、議事進行を事務局にお戻しいたします。
(長谷川土壌汚染対策係長)
本日は、委員の皆様、またヒアリングにご協力いただいた団体の皆様、ご多忙のところご出席いただき、また、大変活発なご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回の予定につきましては、委員の皆様には既にご連絡させていただいておりますとおり、12月2日月曜日に開催いたします。次回は東京都、明石市、全国中小企業団体中央会、一般社団法人日本化学工業協会、一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人日本建設業連合会からヒアリングをさせていただく予定です。
また、今回の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様のご確認の上で環境省ホームページに掲載いたします。
以上をもちまして、本日の土壌制度小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。