水環境・土壌農薬部会(第12回)議事録

開催日時

令和6年1月12日(金)10:34~11:23

開催場所

WEB会議

議題

(1)今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方について
(2)水道水質・衛生管理小委員会の設置について
(3)その他

資料一覧

資料1-1 今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方について(海底下CCS制度専門委員会報告)
資料1-2 今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方について(概要)
資料2   水道水質・衛生管理小委員会の設置について
参考資料1 今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方について(諮問)
参考資料2 「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律」の概要
 

議事録

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第12回水環境・土壌農薬部会を開会いたします。
委員の皆様方には、ご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の部会は、委員総数29名のうち、過半数の23名の委員にご出席をいただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立しておりますことをご報告いたします。
また、WEB会議での開催であり、YouTubeの環境省海洋環境課公式動画チャンネルで同時配信をしております。
WEB会議の開催に当たりまして、何点かご協力をお願いいたします。
通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフ、ご発言の際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。
ご発言を希望される場合には、お名前の横にある手の形のアイコン、挙手ボタンをクリックしてください。また、発言を終えられましたら、ボタンを再度クリックして、挙手を解除いただきますようお願いいたします。
通信トラブル等ございましたら、右下のチャット欄がございますので、ご記入いただき、事務局までお知らせください。
それでは、開会に当たり、水・大気環境局長の土居よりご挨拶を申し上げます。
【土居水・大気環境局長】 本日は、ご多忙の中、本部会にご参画いただきまして、誠にありがとうございます。第12回水環境・土壌農薬部会の開会に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。
本日は、二つの事項のご審議をお願いしたいと考えております。
1点目につきましては、今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方についてでございます。海底下CCSにつきましては、今後活発化されることが予想されるCCS事業が、環境と調和する形で適切かつ迅速に実施されるよう、昨年の8月に、環境大臣から中央環境審議会に対して諮問がなされております。本部会に設置されました海底下CCS制度専門委員会において、ご議論いただきまして、答申案となる報告書が取りまとめられましたので、その内容につきまして、ご審議いただきたいというのが1点目でございます。
2点目は、水道水質・衛生管理小委員会の設置についてでございます。上水道に係る事務のうち、水質または衛生に関する事務が、本年4月より厚生労働省から環境省に移管されることとなりました。このことを受けまして、新たに水道水等に関する水質の保全及び衛生上の措置に関して、調査・審議を行うため、本部会の下に、新たに小委員会の設置をさせていただきたいというものでございます。
いずれも重要な議題でございますので、委員の皆様におかれましては、専門的見地から、忌憚のないご意見を賜ればというふうに考えております。どうかよろしくお願いいたします。
【事務局】 ありがとうございます。
続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。事前に電子ファイルで資料一式を共有させていただいており、今、画面に配付資料一覧のほうを表示させていただいております。不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
それでは、ここからの議事進行は、古米部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【古米部会長】 おはようございます。古米です。
それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。
議題の1、今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方についてということで、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。
【大井海洋環境課長】 ありがとうございます。事務局を務めております環境省海洋環境課長の大井と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
議題の1の関係では、資料を2点用意しております。まず、資料1-1といたしまして、今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方について、この専門委員会でご審議・ご検討いただきまして、その報告でございます。また、資料1-2といたしまして、報告が少し大部にわたるものですから、その概要ということで、ポイントをまとめた資料を作成しております。ご説明は、主に資料1-2に沿いまして、ご確認をいただければと考えてございます。
では、資料1-2、1ページ目になりますけれども、今回の検討、ご審議の背景でございます。ご案内のとおり、2050年カーボンニュートラルの実現に向けまして、あらゆる政策、あらゆる技術を動員していく必要があるということでございます。脱炭素型技術である二酸化炭素の回収・貯留(CCS)の活用は極めて重要であると考えてございます。これまで海域下でのCCSにつきましては、環境大臣が、廃棄物の海洋投棄などを規制するロンドン議定書の担保措置としまして、海洋汚染等防止法に基づく許可などを実施、担当しているところでございます。今後、この国内での海底下CCSが拡大していくだろうという状況の中で、また、海外でも海底下CCSが進み、それを目的とした二酸化炭素の輸出入といったようなことも見込まれる状況になってきておりますので、海底下のCCSが海洋環境の保全としっかり調和する形で、適切に、また迅速に実施されるよう、今後の海底下CCSに係る海洋環境の保全の在り方につきまして、ご検討いただいたということでございます。
検討の経緯につきましては、左下に挙げているとおりでございます。昨年の9月に、前回の部会、これは書面での持ち回り開催でございましたけれども、そこで専門委員会の設置について決定をいただきまして、専門委員会におきまして、これまで4回のご審議をいただきました。その中では、各関係主体からのヒアリングですとか、パブリックコメントについても実施されたところでございます。
専門委員会の委員構成につきましては、右下のとおりでございまして、大塚委員を委員長といたしまして、ここに記載の先生方にご議論をいただいたところでございます。
報告の概要でございますけれども、次の2ページ、3ページにわたって記載してございます。七つの論点について、ご検討いただきました。
まず一つ目の論点が、許可の考え方や期間でございます。現在の海洋汚染等防止法に基づく許可制度は、最長5年ということで、5年ごとに許可を取り直していただくということで実施をしております。これまでに、北海道苫小牧での実証事業が、この対象になっておりますけれども、5年ごとに許可を取り直していただくということで、続けていただいているものでございます。他方で、このCCSにつきましては、10年、20年、さらにはそれ以上と、非常に長期にわたって事業が実施されることが想定されております。そういったわけで、今後は、最初の許可の段階で、ある程度事業を見通した審査、あるいは許可というのを実施していくことが必要ではないかという論点でございます。
今後講ずべき措置としまして、右側になりますけれども、報告の中では、海洋環境の保全と事業の予見可能性の向上を両立させる観点から、許可対象を事業全体に拡大をして、事業開始の際に、事業の終了時も見据えた評価を行うと。それに伴って、許可期間は、5年よりもさらに長期とすることが必要であろうということ。また、諸外国の例なども踏まえまして、適切な周期で、事業の実施状況についてレビューをするような機会も確保すべきであると。こういったご提言をいただいております。
論点の二つ目が、貯留するCO2の特性でございます。これにつきましても、現行は、アミン化学吸収法という一つの方法、この方法で回収したものということで、限定的な取扱いになっておりますけれども、最新の技術動向を踏まえて、柔軟に検討していくべきであると。こういう議論でございました。
また、三つ目の論点がモニタリングでございます。海洋環境の保全と調和する形でのCCSを確保するために、モニタリングの手法がどのようにあるべきかという論点ですけれども、ここにつきましては、現在三段階、通常時での監視で、何か異常が発見されたときには、監視レベルを上げていくということで、三段階の監視レベルを設定しているところでございます。この三段階での監視レベルにつきましては、今後も維持をしながら、モニタリングの項目や頻度など、さらに詳細につきましては、モニタリングに係る利用可能な最良の技術(BAT)を使っていくと。こういう原則の下で、それぞれの海域や地域の情勢なども踏まえて、設定を検討すべきであると。こういうご提言をいただいております。
四つ目の論点が、事業が終了したときの措置でございます。現在の海洋汚染等防止法は、最初のほうでも申し上げましたけれども、事業終了を見通したような制度になっていないということでございます。諸外国の例も参考にしながら、事業が終了した段階における制度というのも創設すべきじゃないかという論点でございます。もちろん、CCSはこれから進んでいく話ですので、事業の終了はまだ先ですけれども、その先を見通して事業終了のための制度を創設すべきという結論になってございます。
具体的には、事業者に対して、圧入井の閉塞などの終了措置を講じさせる。また、終了措置を講じる前には、終了措置計画というものを策定させまして、規制当局がそれを審査する。その終了措置計画に従って終了措置を講じさせた後、一定期間経過をし、CO2が安定したことを規制当局が確認した段階で、その規制を終了させると。規制が終了した以降も、公的機関において一定の管理を行うと。こういったことがご提言となってございます。
3ページ目でございますけれども、五つ目の論点が事業譲渡です。今後、このCCSが事業者によって実施されていく中で、例えば経営上の判断によって、ほかの者に事業譲渡がなされるということも実態として想定されます。現行の海洋汚染等防止法では、こういった観点からの対応がまだできていなかったものですから、事業の譲渡に関する仕組み、承継させる仕組み、これを創設することが適当であるということでございます。
六つ目の論点、似たような話でございますけれども、対応者が不在となり得るような事案、例えば破産等によりまして事業が継続できなかった場合に、適切に事業を終了させるような仕組みが必要であるということにつきましても、ご検討をいただいたところでございます。
最後、七つ目の論点、輸出の対応でございます。輸出に関しましては、ロンドン議定書の中で、二国間の取決めがあれば輸出をすることができるということに現状なってございます。こういうことを踏まえまして、輸出に当たっては、ロンドン議定書のガイダンスなどを踏まえながら、我が国において、特に輸出先の国でしっかり対応ができるということ、そのための二国間での取決めがあるかどうかという点。あるいは、輸出するCO2が適切なものであるかどうか、ほかの不純物等が混ざっていないかとか、そういう観点からの確認を行って、輸出を国際的なルールに従って実施すべきであると。こういうことで提言をいただいてございます。
最後、全体を通してでございますけれども、今般の制度化に当たりましては、経済産業省の審議会のほうにおきましても、CCSの事業法制などの検討が進められている状況でございます。こういったことに留意をいたしまして、本審議会における議論と整合的な仕組みを検討すべきであるということ。
また、CCSそのものが、今後、諸外国も含めて、さらに進んでいくという中で、諸外国における制度的な対応、あるいは国内外における技術の進展など、こういう情報につきましては、不断に収集・蓄積をし、それを踏まえて、より適切な制度となるように、不断に見直しを実施していくことが重要であると、ご提言をいただいているところでございます。
以上、資料1-1の報告の概要でございました。さらに詳細につきましては、資料1-1、報告本体をご参照いただければ幸いでございます。
事務局からは以上でございます。
【古米部会長】 どうもありがとうございました。
本日は、海底下CCS制度専門委員会の委員長の大塚委員にもご出席いただいておりますので、大塚委員からもコメントをいただきたいと思います。お願いいたします。
【大塚委員】 ありがとうございます。コメントさせていただきたいと思います。海底下のCCS制度の専門委員会の委員長を務めております大塚でございます。どうぞよろしくお願いします。
ただいま環境省のほうからご説明をいただきました内容に加えて、委員長の私のほうからも、簡単にご報告させていただきたいと思います。
昨年8月の諮問を受けまして設置されました海底下CCS制度専門委員会におきましては、昨年の10月から、4回にわたって議論を行ってまいりました。第2回では、現在、実際にCCSが行われている苫小牧の事業の関係者として、日本CCS株式会社及び地元のステークホルダーである苫小牧漁業協同組合にご出席いただきまして、現在の事業における課題、要望などについてヒアリングを行いました。ヒアリングの内容も踏まえつつ、今後の海底下CCSに係る海洋環境保全の在り方につきまして、大きく七つの論点に関して、専門委員会においてご議論いただきました。
特に、先ほどご説明いただきました七つでございますけれども、特に①の許可の考え方・期間、それから③のモニタリング、④の事業終了時の措置などにつきまして、制度的な観点、技術的な観点など、様々な観点からのご議論をいただいたところでございます。
例えば①の許可の考え方・期間につきましては、許可の期間自体は、事業のライフサイクル全体がカバーできるようにしつつ、内容の見直しについては、諸外国の事例も踏まえながら、定期的に行うべきであるというようなご意見がございました。
また、③のモニタリングに関しましては、地元の地域の理解の醸成にもつながるということを念頭に置きつつ、地域に応じて設定すべきであるというご意見、それから④の事業終了時の措置につきましては、事業者に一定の終了措置を講じさせることに加えて、事業者が終了した後の管理につきましても整理すべきだというようなご意見がございまして、このように取りまとめをいただいたところでございます。
これらの議論を踏まえて、先日、9日に開催されました第4回の専門委員会におきまして、報告書を取りまとめて、ここに提出させていただいているということでございます。どうぞご審議のほど、よろしくお願いいたします。
【古米部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、委員の方々からご意見、ご質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
大久保委員、お願いいたします。
【大久保委員】 ありがとうございます。
現行制度とも関係するのですけれども、今回は、基本的に廃棄物で言えば最終処分に近い長期的な処分を前提とするということですので、その観点から質問を三つさせていただきたいと思います。
一つは、環境影響評価に関しまして、廃棄物の最終的な処分と類似しているということからすれば、アセス法の対象とするということもあり得ると思うのですけれども、その点に関して、この問題の特殊性等に鑑みて、どのような議論が行われたのかということが1点目です。
それから、2点目としましては、実際に、現在までのところは実証実験において特に大きな支障はないということでございますけれども、今後の事故時の措置ですけれども、現在は改善命令しかない。もっとも、措置命令がかけられるかというと、漏出してしまった場合にはどうしようもないわけです。CO2の貯留自体に価値があるということに鑑みますと、何らかの代替措置を取らせる、新しい意味での措置命令にパラレルな措置ということが必要ではないかとも考えられるわけですが、この点について、何らかの検討がなされたかということが2点目。
それから、3点目として、現行法上は、比較的、手続のアセス法で言えば法定されているようなことが政省令レベルに落とされているか、国民の意見を聞く手続も含め簡略です。そのこととも関係しますけれども、情報をどのように公表していくかという観点で言いますと、現在は、海域の指定は公示ですけれども、その後、台帳は、請求されたら、正当な理由がない限り見せなければならないという、そういう仕組みになっています。特に請求権者については限定はないわけですけれども、廃棄物の場合と違いまして、基本的には私有地ではなくて公の海であるということも考えますと、台帳も含めまして、情報を公表していくという考え方もあると思いますけれども、こういう情報の公表・公開ということについてのどのような議論がなされたのかと。
以上、3点について伺いたいと思います。
【古米部会長】 続けてご質問を受けた後、ご回答いただくほうがよろしいと思いますので、それでは、続いて三浦委員、お願いいたします。三浦委員、どうぞ。
【三浦臨時委員】 全漁連の三浦です。私のほうからは、3点発言をさせていただきたいと思います。
まず1点目、さきほどの資料の1-2の2ページ目のところで、許可の考え方・期間のところで、今回の許可の期限が5年から事業終了までの長期とする内容となっているわけでございますけれども、事業規模とか、そういうことによっても違うかもしませんが、圧入の終了から閉鎖まで、そしてモニタリングまでの期間は、どれぐらいの期間を考えているのか、分かっている範囲で教えていただければと思います。
それから、2点目ですが、今度は3ページの⑥の対応者が不在となり得る事案のところでありますけれども、このところでは、事業者がいなくなった場合、機器等が残置されるということになるわけでございますが、この場合におきましても、先行利用者である者の負担とならないように、最終的には、やはり許可者である国が最後まで責任を持って指導・監督をしていただかないと、例えば基金をためていたにしても、それがいつの間にかなくなってしまっているとか、そういうことがないように、最後まで国が指導・監督、そうした責任を負っていただきたいということです。
そして、3点目でございますけれども、これは資料1-1の8ページのところです。8ページのところで、ここでは先行海域利用者である漁業関係者をはじめとするステークホルダーの理解を得つつ、苫小牧の事業というものが進められたと記載されています。こうした中においては、制度をつくる際には、しっかりと漁業等の先行利用者への十分な説明ですとか、理解と協力を得ながら制度をつくっていくといったことを、最初の前文とか、そういうところにしっかりと盛り込んでいただきたいと。こういった意見でございますので、よろしくお願いします。
【古米部会長】 どうもありがとうございました。
ほかに挙手がなければ、今の意見についてご回答いただければと思います。よろしいでしょうか。はい、お願いします。
【大井海洋環境課長】 ありがとうございます。お答えをしたいと思います。
まず、大久保委員のほうから3点ご質問をいただきました。全ての質問について審議・検討がなされたのかというご質問でございましたけれども、まずは、今回の検討に当たりましては、現行の海洋汚染等防止法に基づく対応をベースとしながら、それに、今後事業が進んでいくに当たってどういう対応が必要かという観点からのご意見をいただいたところでございます。
まず、1点目のアセス法の対象とするようなことも考えられなかったのか、議論されなかったのかにつきましては、特にそういった議論は出ておりませんでした。現行は、海洋汚染等防止法に基づきまして、CO2が仮に漏出した場合にどういう影響があるかという観点からの審査を行った上で、許可を発出しているところでございまして、それについては、今後も引き続き、しっかり見ていくことが必要であるというご議論だったかと思います。そういう意味で、アセス法で対応というような議論については、特に出ていなかったというのが実情でございます。
それから、2点目の改善命令等にさらに加えて、漏出した場合の措置ということにつきましても、特段議論にはなっておりませんで、現行の許可事業者に対する、何かあった場合の改善命令等の対応については、引き続きしっかりやっていくべきということだったかなというふうに理解をしてございます。
3点目の、これも1点目のアセスに近い話かもしれませんけども、公告とか縦覧とか、そういう手続の話につきましても、現行の海洋汚染等防止法におきまして、計画については、公告、それから縦覧の手続があるところでございます。それについて、特に、さらに何か修正なり変更なりについては、専門委員会の中では、議論は出ていなかったところでございます。
それから、三浦委員のほうからご指摘がございました。
まず、1点目の事業の終了などについての見通しといいますか、どれぐらいの期間かという点でございます。これは三浦委員からもご発言があったとおり、まさにケース・バイ・ケースというか、事業によってということだと思いますけれども、例えば海外ですと、10年、15年、さらに20年と、こういう非常に長期の期間が想定をされているところでございます。恐らく、これからCCSが事業として実施されるということになると、やはり国内においても、それぐらいの数十年という長期間にわたって事業が進められることが想定されるところでございます。
また、圧入を終了した後、安定化するまでどれぐらいの期間がかかるのかにつきまして、これもケース・バイ・ケースかなと思いますけれども、一定期間、モニタリングをしながら、海底下に埋められたCO2が安定したというふうに判断できる段階で、事業の終了というような形に移行していくことを想定しているところでございます。
それから、対応者が不在となる場合、今回も、専門委員会において、そういう様々なケースを想定しながら、責任の所在が不明確にならないようにということでご審議をいただいたところでございますけれども、最終的には、国においてもしっかり責任を持って対応できるようにというご指摘があったかと思います。そこはご指摘も踏まえまして、対応していきたいと、考えていきたいというふうに考えてございます。
それから最後、三浦委員の3点目につきましては、報告書の中で記載を、先行利用者への説明をしっかりやる必要があるというような旨を前文、もう少し書き方を変えるべきというようなご意見だったかなというふうに思います。今、現在では、「はじめに」ではなくて、「おわりに」になるんですけれども、資料1-1の21ページをご覧いただきますと、少し「おわりに」の中で、先行海域利用者との間の協定などを結んでいくことも考えられるというのが、行数でいきますと12行目から14行目辺りに書いてございます。こういったような、先行海域利用者への配慮みたいな話につきましては、専門委員会の中でもご議論があり、こういったようなことは記載をさせていただいているところでございますけれども、もし、さらに具体的に、こういうふうに修文をしたほうがいいというようなご指摘がございましたら、お知らせをいただければ幸いでございます。
以上、事務局からご回答でございます。
【古米部会長】 どうもありがとうございました。
それでは大久保委員、続いて三浦委員から、今の回答について、ご発言があればお願いしたいと思います。
【大久保委員】 ありがとうございます。
今回の審議の対象そのものが、ある意味限定されていたということかもしれませんが、廃棄物処理法とパラレルで考えますと、中間的な処分ではなくて、まさに最終処分に近いものです。海洋汚染等防止法は許可制度を定めるものでありますので、アセス法で言うと処分の根拠法規ということになります。処分の根拠法規が別にあるものについてアセス法で対象とするというのが、今のアクセス法の仕組みですので、海洋汚染等防止法で対応するからアセス法の対象にならないという議論にはならないだろうというふうに思います。それから、2点目の事故時の措置についても、やはり重要な論点ではないかと思います。今回の議論の枠組みの中では仕方がないのかもしれませんけれども、重要な論点ではないか。それから、今ご意見がありましたが、先行利用者だけではなくて、海が公のものであるという観点からすると、各種の手続というものは、意見反映も含めきちんと意見聴取の仕組みというものを法定すべきものではないかというふうに思います。また、指定台帳の公表も含めて検討されるべきものではないかと思いますので、ここは意見として申し上げておきたいと思います。
以上です。
【古米部会長】 じゃあ、今のご意見に対して、事務局から、もしあれば。
【大井海洋環境課長】 ありがとうございます。
ご意見ということで受け止めさせていただければと思います。大久保委員のほうからも先ほどお話がありましたとおり、あるいは先ほどご説明しましたとおり、今回の検討につきましては、現行の海洋汚染等防止法の制度をベースとしまして、その中での議論ということだったものですから、ご指摘のような点につきましては、議論はなかったところでございますけれども、そういうご意見があったということで、受け止めていきたいと思います。ありがとうございます。
【古米部会長】 それでは、三浦委員から、先ほどのご回答に関して、ご発言をお願いしたいと思います。
【三浦委員】 ただいまの説明で、最初の1点目、2点目につきましては、私としても理解をしました。そして、最後の3点目のところですけれども、これは、この報告書といいますか、在り方につきましては、しっかりと、「おわりに」のところで、こういった書き方をさせていただいているので、これでよろしいかと私も思っています。
私が言ったのは、制度ですね。もし、これを、制度をつくる際には、しっかりと、そうした先行利用者の理解と協力、そしてまた十分な説明、そうしたものをしっかりと盛り込んでいただきたいということでございますので、制度をつくる際には、その辺のところもしっかりと対応していただきたいと思います。
【古米部会長】 どうもありがとうございました。
大久保委員に確認したい点があります。最初のご質問に対して事務局から回答があり、その後追加のご発言をいただきました。これらの質疑を踏まえて、今回の委員会報告に何か修正なり追記することが求められる意味で、ご発言されたのかどうかを確認させてください。
【大久保委員】 ありがとうございます。
追記という話よりは、もう少し、1点目、2点目は広い枠組みでの意見でございまして、恐らく環境省としては、それは今回の対象外ということになるんだと思いますので、検討いただきたいということと、それから、詳細の制度設計に当たりまして、手続をきちんと法定する、特に意見聴取等の手続を法定するということは、これはあり得ると思いますが、それから3点目の指定台帳の公表とかということもあり得ると思いますが、ここは細かい点、細かい点といいますか、重要なんですけれども、報告書自体は骨を書いている部分ですので、今後検討していただけるということであれば、それで結構です。ちょっと、なかなか報告書の中に入れづらい、先ほどの協定とかのところにも、先行利用者以外も含めると、ちょっと入れにくいかもしれません。「先行利用者等」とかしてもらうことはあるかもしれませんが、そのくらいで対応できることがあれば、お願いしたいと思いますけれども、今回の報告書の枠組みの中には、それ以上のことは難しいと思っております。
以上です。
【古米部会長】 どうもありがとうございました。
ある意味、今後の制度設計とか、実際の運用においてご意見を反映いただくというご回答は、先ほど事務局からいただきました。
今言われた内容は、報告書の中でより広く関係者とのコミュニケーションについてですかね。その関連で表現が工夫できる場所があれば、追記をさせていただくというようなことを考えたいと思います。
ほかにご意見、ご質問いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【古米部会長】 事務局から、追加のご発言ありますか。
【木村海洋環境課課長補佐】 追加で一つ。海洋環境課の木村と申します。大久保先生のご指摘の件で、ちょっと補足を説明させていただければと思います。
1-1の7ページを表示させていただければと思うんですけれども、ここの部分、現行の海洋汚染等防止法の許可の手続を説明しているところですけれども、現行の海洋汚染等防止法の中で、許可の申請があったときには、その概要を公告するということと、事業者の申請そのものを1か月間公衆の縦覧に供しなければならないということになっております。また、公告があったときには、海洋環境の保全の見地から意見がある人は、誰でも環境大臣に意見書を提出することができるということに、現状なってございます。これは平成19年の答申にも、国民からの意見の機会を確保すべきといったことも言われておりましたので、こういったことが、現行法に規定されているということでございます。
あと、台帳というお話もあったかと思います。ここは7ページの下の部分になりますが、現行制度におきまして、指定海域制度というのがございます。これはCO2を埋めた海域が後から掘り返されると、またCO2が出てきてしまいますので、そういう場合に備え、形質変更の制限ということで、事前に環境大臣への届出が出て、施工方法が適合しない場合には命令ができるということになっております。ここはどこが指定されているかという、その区域ですね、指定区域というのは、告示で公表してございまして、そこに埋まっているというところにつきましては、誰でも見れるということになってございます。それをどう周知するかというところが、先生のご指摘かとございますので、また今後も工夫していきたいと思ってございます。
【古米部会長】 どうも追加のご説明をありがとうございました。
ほかに何かご質問、ご意見があればお願いしたいと思います。
(なし)
【古米部会長】 特に挙手がないようですので、お二人からご質問、ご意見をいただいたことを受けて、先ほど私から申し上げたように、表現として工夫できる点、例えば海洋利用者等というような幅広な用語など、追記や修正できる点があれば、そのようにさせていただきたいと思っております。修正した上で、この部会の決議として、中環審の会長へ報告させていただくというような手順でよろしいでしょうか。よろしいですか。
(異議なし)
【古米部会長】 どうもありがとうございます。
それでは、その手続を決議、修正させていただいた上で、その報告をし、その上、高村会長の同意が得られましたら、中央環境審議会議事運営規則第6条第1項の規定に基づいて、審議会の決議としていただき、大臣への答申の手続をとらせていただくようにしたいと思います。
以上、どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に入らせていただきます。議題の2、水道水質・衛生管理小委員会の設置について、事務局よりご説明をお願いいたします。
【鈴木環境汚染対策室長】 環境汚染対策室長の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
資料2と参考資料2、二つ資料がございます。まず、背景からご説明をさせていただきたいと思います。参考資料2をご覧いただければと思います。
これは前の通常国会で通った法律ですけども、どういった法律であったかと申し上げますと、2ページ目をご覧ください。4年前の令和2年のころの新型コロナウイルスのいろいろな社会的な影響等、状況等を踏まえまして、今後の感染症対策について、こういったことを注力していくというのは、この令和4年の政府の決定、コロナ対策本部の決定でございます。これは厚生労働省に、感染症関係の対応能力を強化するということで、感染症対策部というのをつくりますということなどが決まっていると。
それと併せて、下のほう、ここからが我々に関係してくるところになるんですけども、厚生労働省の行政が幅広いということで、重点化といったようなことをしていくということも併せて決まっていまして、厚生労働省の担当している行政のうち、ほかの省庁が担当することで、さらにそういった強化をされるようなものがあれば、移管をするということが決まっていまして、そこに食品衛生基準行政と水道整備・管理行政という二つ、4の(3)というところにあると思いますが、決まったということでございます。
水道整備・管理行政の国土交通省、環境省への移管というのが、②のところに書いてあります。水道施設の老朽化等、災害対応等を含めて、国土交通省が施設整備等について担当するということなんですが、さらにというところに、「環境省が、安全・安心に関する専門的な能力・知見に基づき、水質基準の策定を担うほか」というようなことが書いてありまして、この水質基準、水質衛生の部分について、環境省に移管をするということが決まっております。
それを具体的に法律として成立しているのが、参考資料2の1ページ目になります。
1、2、3と改正の概要を書いてございますけども、2番目のところに、今申し上げたことが、法律として成立をしているということです。
施行日を見ていただきますと、一番下にありますが、令和6年4月1日ということでございます。
今、国土交通省と環境省でいろいろ準備をしているところでございますけれども、審議会につきましても、その準備をしていきたいと考えております。
今、審議会につきましては、厚生労働省の厚生科学審議会の下に生活環境水道部会というのがございます。ここで水道の関係を議論していますが、今年の4月以降は、国土交通省と環境省が、それぞれ必要な審議会等、そういう検討する場を設けるということで、環境省としましては、資料2をご覧いただきたいんですけども、この水環境・土壌農薬部会に、新たに水道水質・衛生管理小委員会というものを設置したいということで考えております。
上のほうは、今申し上げた法律の制定と、調査・審議を行うための小委員会を設置することを書かせていただいていまして、下のほうは、具体的に、その設置についてということで、別紙「水環境・土壌農薬部会の小委員会の設置について」の1.に、今ある小委員会が書いてあります。この5番目として水道水質・衛生管理小委員会というものを設置するということで書いてございまして、具体的な中身としましては、後ろのほうに6.で、新しく設置する小委員会においては、「水道水その他人の飲用に供する水に関する水質の保全及び衛生上の措置に関する専門的事項について調査・審議を行う」とさせていただいています。
4月1日から、環境省でこういったことを担当していきますので、資料2の1ページ目に戻りますけども、この設置期日を令和6年4月1日とするということで考えております。
資料の説明は以上です。
【古米部会長】 ご説明どうもありがとうございました。
ただいまの説明について、委員の方々からご質問があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
それでは、浅見委員、お願いいたします。
【浅見委員】 すみません。ありがとうございます。
ご説明いただきました小委員会の設置につきましては、了承といいますか、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
2点コメントと、1点質問です。委員会の名前なのですが、環境基準というのが以前からある委員会にありますけれども、水質基準のみならず、水質管理の改善ですとか、衛生管理を行うというようなご趣旨で、基準というのを外していただいたのが、水質管理を主にするという主旨でも、いいのではないかと思っております。期待したいと思います。
また、飲用に供する水ということで、データ収集ですとか、水質基準の成果に関するデータ収集の迅速化ですとか、機動力に期待をしたいと思っております。
災害対応に関しましては、国交省と一緒のほうが、逆に迅速化が図られる部分があるのではないかなと思うのですけれども、水質事故等への対応に関しましても、このような体制が十分に発揮されるということが重要と思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
1点質問なのですけれども、既存の水質基準関連の逐次改正検討会ですとか、精度管理、検査法検討会、微生物検討会がございますが、それとの関連、あと、国交省のほうの部会との関連というのを、連携をよくしたほうがいいかと思いますので、その辺の見通しが分かれば教えていただければと思います。
以上です。
【古米部会長】 ほかにご質問がなければ、事務局から回答いただきますが、よろしいですか。
それでは、お願いいたします。
【鈴木環境汚染対策室長】 ご質問ですが、既存の逐次改正検討会、精度管理、微生物等、ほかの委員会との関係ということであります。詳細は、今検討しているというところになってしまいますが、基本としては、そういった既存の委員会というのは、引き続き実施していって、そちらでいろいろな検討をして、ある程度、方向性等、ポイント、論点というのを整備した上で、具体の省令改正等ということになってくるのであれば、小委員会のほうで報告をしてということが、基本的なスタイルになってくると思います。今の厚生労働省の審議会と既存の検討会との関係に近いものになってくるかなと想定をしています。
それから、国土交通省との連携ということでございます。ここも、今の時点で、私からどういった形でやるということまでは申し上げられないですが、各省連携しているほかの制度では、例えば合同でやる必要があるときは、合同で会議をやるということもありますので、議題等に応じて一緒にということはあると想定いたします。いずれにしても連携を強くしてやっていくということが必要になってくるかなと思っております。
以上です。
【古米部会長】 浅見委員、いかがでしょうか。
【浅見委員】 ありがとうございます。
ぜひご検討をお願いしたいと思いますのと、小委員会の決議をもって部会の決定とできるような体制になるのかなと思うんですけれども、そうしますと、小委員会の日程のほうが、柔軟性があるかなと思いますので、そういった意味でも、機動性がよくなるのではないかということを期待したいと思います。よろしくお願いいたします。
【古米部会長】 どうもありがとうございました。
ほかの委員からご質問、ご意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【古米部会長】 それでは、特段挙手がございませんので、ただいまの説明のとおり進めさせていただきたいと思います。
先ほどの浅見委員のコメントについては、今後、いろいろ検討いただけるということでした。
それでは、議題の2を終了して、議題の3、その他について、事務局から何かありますでしょうか。
【事務局】 ございません。
【古米部会長】 はい。どうもありがとうございました。
以上で予定していた議題は終了となりますけれども、委員の皆様から、今回の全体の部会を通じて、ご質問等がございましたらお願いしたいと思います。何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【古米部会長】 ないようですので、以上をもちまして、水環境・土壌農薬部会を閉会といたします。
事務局にお返ししますので、連絡事項等があれば、お願いしたいと存じます。
【事務局】 古米部会長、ご進行のほどありがとうございました。
本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきました後に、ホームページに掲載をさせていただきます。
次回の部会につきましては、別途、ご連絡をいたします。
以上で終了いたします。本日は、どうもありがとうございました。