中央環境審議会 水環境・土壌農薬部会 総量削減専門委員会(第10次)(第6回)議事録

議事次第

1.開会
2.議題
 (1)第10次水質総量削減の在り方について(構成案及び骨子案)
 (2)その他
3.閉会

資料一覧

  • 資料1      第10次水質総量削減の在り方について 構成案
  • 資料2      第10次水質総量削減の在り方について 骨子案
  • 資料3      第5回総量削減専門委員会における指摘事項等への対応
  • 参考資料1    第5回総量削減専門委員会における主な指摘事項等について

議事録

午前10時03分 開会
【西川室長】 それでは、定刻を少し過ぎましたが、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会第6回総量削減専門委員会を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 本日は会場とWEB会議併用での開催とさせていただいてございます。会場で御参加の皆様には発言時、名札を立てていただくようにお願いいたします。また、会議中に机に置いてございます丸いスピーカーのボタンは常時オンにしておりますので、触れないようにお願いいたします。
 WEBで御参加の委員の皆様におかれましては、発言時以外はカメラをオフ、マイクはミュートにしていただきまして、発言を希望される場合には挙手ボタンをクリックの上、発言を終えられましたら、ボタンを再度クリックして挙手を解除いただければと思います。会議中に音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら、事務局までチャット、またはお電話にて御連絡いただければ幸いです。
 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいてございます。YouTubeの環境省海洋環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行ってございます。
 本日の委員の出席状況ですが、対面出席が14名、オンライン出席が3名、合わせて17名、全委員に御出席をいただいてございます。定足数の要件を満たし、専門委員会として成立しておりますことを御報告いたします。
 また、これまで国総研から上下水道研究部長の三宮委員に御参画いただいておりましたが、7月1日付での人事異動がございまして、御後任の小川文章委員に御就任をいただいてございます。小川委員、今回の専門委員会からどうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の資料についてです。本日は、これまでの専門委員会における分析や御議論を踏まえ、事務局において作成をいたしました「第10次水質総量削減の在り方」の構成案と骨子案について御審議をいただければと考えております。
 資料の構成としまして、資料1が構成案、資料2が骨子案、資料3が前回の委員会での御指摘を踏まえた追加分析、参考資料1が前回の委員会での主な指摘事項となってございます。不足等がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
 それでは、議事に移ります前に、7月に着任をいたしました大森水・大気環境局長より一言御挨拶を申し上げます。
【大森局長】 おはようございます。7月に着任いたしました環境省水・大気環境局長の大森でございます。
 総量削減専門委員会の古米委員長をはじめ、委員の皆様におかれましては、これまで5回にわたり熱心に御審議を賜り、誠にありがとうございます。
 水質総量削減制度は、閉鎖性海域の水質改善の中核を担ってきた重要な制度でございますが、気候変動の影響や水産資源の低迷など、閉鎖性海域をめぐる状況が変化する中、大きな転換期を迎えていると感じております。
 第9次の答申において、総合的な水環境管理への移行の必要性について指摘されたことを踏まえ、時代の要請に応じた制度の見直しを図りつつ、今後5年間の進むべき方向性を答申の中でお示しいただければと考えております。
 本日の専門委員会では、次期制度の骨子案をお諮りいたします。委員の皆様におかれては、専門的な御見地から忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
 本日は御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【西川室長】 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
 古米委員長、よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 はい。承知いたしました。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席いただき、ありがとうございます。
 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。限られた時間の中で円滑な議事進行に御協力をお願いしたいと思います。
 それでは、議題1、第10次水質総量削減の在り方について(構成案及び骨子案)について、事務局より資料1と2を用いて御説明をお願いしたいと思います。
【森川室長補佐】 環境省の海域環境管理室の森川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、資料1について御説明いたします。
 第10次水質総量削減の在り方についての構成案でございます。大きく4章構成になっておりまして、一つ目が、水質総量削減の実施状況、2として、指定水域における水環境等の状況、3、指定水域における水環境に係る分析、4、第10次水質総量削減の在り方について、という構成になっております。
 1~3においては、右側に示しておりますとおり、第1回~第5回に係る専門委員会でお示ししてきた資料を基に作成をする予定にしております。そのため、本日、この後御紹介させていただく骨子案においては、1~3の部分については割愛させていただき、4の部分について御審議をいただければと思っております。
 資料1の説明は以上になります。
 続いて資料2、今申し上げた第4章の部分、第10次水質総量削減の在り方について、になります。
 本日お示しするのは骨子案になります。次回の専門委員会で本日御審議いただいた内容を踏まえたテキスト、文章をお示ししたいと思っておりまして、本日はその構成について御審議いただければと思っております。
 まず、1、指定水域における水環境の現状と課題について、まとめております。
 1のところに白丸で五つ文章がございますが、そちらは少し飛ばして、次の(1)~(4)を先に御紹介いたします。
 水環境の現状ですが、(1)~(4)において、(1)東京湾、(2)伊勢湾、(3)大阪湾、(4)大阪湾を除く瀬戸内海という4項目で構成しております。こちらに記載しているものは、それぞれの指定水域ごとの水環境の現状を、これまで、前回までの専門委員会でお示ししてきたものを簡易にまとめているものになります。簡単におさらいも兼ねて御紹介させていただきます。
 まず(1)東京湾についてです。環境基準達成率について、窒素、りんは向上しておりますが、CODでは低い状況が続いております。水質について、COD、窒素、りん全ての項目で指定水域全体、今も御紹介した四つの中で最も高濃度となっております。CODの濃度はほぼ横ばい、窒素、りんの濃度は低下傾向という状況がございます。赤潮の発生件数は長期的には減少傾向でして、夏季を中心に広範囲で長期にわたる貧酸素水塊が発生しているという状況になります。底層DOの濃度についてはほぼ横ばいで、東京湾が全体の指定水域の中では最も低い状況でして、湾奥の北西部を中心に特に濃度の低いエリアが依然として存在しているという状況になります。底質や底生生物の状況については、まだ明確な改善傾向は見られておりません。夏季に、夏においては無生物となるパターンが見られているという状況でございます。次、2ページ目でございます。赤潮や貧酸素水塊が依然として発生している状況から、水環境の悪化に、全体としては引き続き注意していく必要があると考えております。
 (2)伊勢湾についてです。環境基準達成率について、窒素、りんで向上、CODでは低い状況になっております。水質については、CODは東京湾に次いで、また、窒素、りんについては東京湾、大阪湾に次いで高い濃度となっております。湾全体のCODの濃度は、近年やや上昇傾向にあるという状況も見られております。窒素、りんの濃度は低下傾向となっております。赤潮の発生件数は長期的には減少傾向にありますが、近年では横ばいで推移しております。また、貧酸素水塊については、夏季を中心に広範囲で長期にわたっており、また面積は長期的には増大傾向にあるという状況が見られております。底層DOの濃度については、ほぼ横ばいであるものの、三河湾の北東部については低濃度エリアがそれぞれ拡大しているという状況でございます。底層環境については明確な改善計画が見られておらず、東京湾同様に夏に無生物となるパターンが見られております。水質シミュレーションの予測結果から、伊勢湾は他の指定水域と比較して汚濁物質の外海への流出量が少なく、陸域負荷に比較して底泥への沈降量と底泥からの溶出量が多いという特徴を有することが示されております。赤潮や貧酸素水塊が依然として発生している一方で、ノリやアサリ等の水産資源の生産量の低下が課題となっており、栄養塩類供給のニーズが高いという状況がございます。
 (3)大阪湾についてです。窒素、りんの環境基準については達成された状況が続いております。CODについては一部のエリアで環境基準を達成していないものの、湾奥部における高濃度域の縮小傾向が見られております。底層DOの濃度は、湾奥部での上昇が見られております。湾奥部については貧酸素水塊が依然として発生しているものの、底層環境には改善傾向が見られている状況もございます。一方、南部での栄養塩類供給のニーズは高いという状況がございます。
 (4)大阪湾を除く瀬戸内海でございます。窒素、りんの環境基準はほぼ達成された状況が続いております。CODの達成率については、類型ごとに状況は違いますが、全体として達成率が高く、濃度についても指定水域の中で最も低い水準を維持しております。赤潮の発生件数については、湾・灘ごとに差があるものの、全体的に減少傾向です。底層DOの濃度は、全体的に4mg/L以上で横ばいに推移している状況です。底生生物については多くの湾・灘で増加傾向が見られております。湾・灘ごと、また湾・灘内の特定の水域ごとに利水目的が異なり、水産資源も多様であるため一概には言えませんが、栄養塩類供給のニーズは概して高く、一部のエリアにおいては、既に瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく栄養塩類供給が行われているという状況がございます。
 以上を取りまとめましたのが、1ページ目に戻っていただきまして、全体の1ポツの五つの丸になります。今申し上げましたとおり、これまで9次にわたる水質総量削減の取組等によって、水質については全体的には改善しているという傾向が見られております。また、窒素、りんの環境基準達成率も高くなってきております。底質においては、瀬戸内海の一部の海域においては、従来高い濃度であったTOCが低下しており、底生生物の種類数、個体数の増加が見られています。これらは数次にわたり水質総量削減の取組を進めてきた成果と考えております。
 一方、難分解性有機物の寄与等により、CODの環境基準の達成率は横ばいで推移している状況です。また、いずれの指定水域においても湾奥部ではCOD、窒素、りんの濃度が相対的に高く、一部では貧酸素水塊の拡大など水環境保全上の課題が依然として存在している状況です。瀬戸内海の一部海域を除いては、多くの指定水域においては、底質の明確な改善はまだ見られておりません。さらに近年では、一部の指定水域において栄養塩類の不足による水産資源への影響が指摘されているとともに、気候変動に伴う海水温上昇等による水環境の変化も懸念されております。このような課題については、従来の水質総量削減制度による対応のみでは限界があると考えております。
 そのような状況の中で、瀬戸内海においては、令和3年6月に瀬戸法を改正しまして、地域ごとのニーズに応じて一部の海域への栄養塩類管理供給を可能とするとともに、温室効果ガスの吸収源ともなる藻場・干潟の保全等を推進しているところでございます。
 以上が、1、指定水域における水環境の現状と課題のまとめになります。
 続きまして3ページ目、御覧ください。次の項目、2、総合的な水環境管理の在り方でございます。
 以上のように、指定水域における現状と課題を踏まえ、海域ごとのきめ細やかな管理を可能とするため、今後「総量管理制度」を設けるとともに、汚濁負荷削減以外の施策も併せて実施することで、総合的な水環境管理の実現を図れればと考えております。
 以降、2の項目で(1)~(4)について、(5)まで詳細を述べさせていただきます。御説明させていただきます。
 まず(1)です。総量削減から総量管理への転換。
 9次にわたる総量削減の進展により、水質については全体的に改善してきているものの、東京湾、伊勢湾、大阪湾では、底層環境の明確な改善は見られておらず、依然として貧酸素水塊の拡大など水環境保全上の課題が残る海域が存在しています。一方で、近年では一部の海域において栄養塩類の不足による水産資源の影響が指摘されています。
 これらの入り組んだ課題を解決していくためには、地域のニーズや課題等に応じて、湾・灘といった海域ごとに目指すべき水環境の姿を、地域が主体となって定め、きめ細やかな水環境管理への転換を図ることが重要であると考えております。
 このため、海域の状況が現状よりも悪化することがないよう、汚濁負荷削減に係る基本的な枠組みは維持しつつ、湾・灘ごとに柔軟かつ順応的に栄養塩類の管理を可能とするなど、削減一辺倒であった総量削減制度からきめ細やかな水環境管理を行える「総量管理制度」への転換を図ることとできればと思っております。具体的には(2)及び(3)の二つの柱の下で取組を実施すべきという形で整理させていただいております。
 続いて(2)汚濁負荷の総量管理です。
 9次にわたる総量削減の進展により改善してきた水質状況から悪化させることがないよう、総量削減制度の基本的な枠組みは「総量管理制度」においても維持していく。
 二つ目です。国は「総量管理基本方針」、こちらは従来の総量削減基本方針を指します、を策定し、同方針に基づき都道府県は「総量管理計画」、こちらは従来の総量削減計画です、を策定するものとする。同計画における管理目標量、こちらは従来の削減目標量になります、の設定や管理目標量を踏まえた汚濁負荷削減対策は引き続き実施することが妥当である。
 なお、いずれの指定水域においても水域全体でのCOD、窒素、りんの一律のさらなる負荷削減は想定しないものの、依然として水環境保全上の課題が残る海域や栄養塩類の不足が指摘されている海域が混在する状況を踏まえ「管理目標量」については柔軟に設定すべきである。なお、増加させる場合には、実現可能性を考慮の上、水環境保全上の支障がない範囲で行う必要があるとさせていただいております。
 (3)地域のニーズに応じた順応的な栄養塩類管理。
 「総量削減制度」の下で、環境負荷の恐れがなく地域のニーズがある場合には、地域の生業が共存できる形できめ細やかな水質管理を行うことができるよう、栄養塩類管理計画の策定による栄養塩類管理を可能とすることが妥当である。
 栄養塩類管理計画に基づく栄養塩類増加措置の実施者に対しては、当該計画で定められた対象物質について、総量規制基準の適用を除外する。
 ただし、栄養塩類は、生物の多様性及び生産性の豊かさを決める一要因ではあるものの、それのみで決定するものではないこと、栄養塩類の過剰な供給は、かつての水質悪化の再来による生活環境の悪化や、依然として課題となっている貧酸素水塊の拡大等を助長する恐れがあることは常に念頭に置くべきである。
 以上を踏まえ、栄養塩類管理を行う場合においても、瀬戸法における栄養塩類管理制度と同様に、水質予測モデルを活用した事前評価や目標設定を行い、事後モニタリングの結果に応じて計画を見直すなど、順応的管理の仕組みは徹底すべきである。
 栄養塩類管理の効果を検証する上では、特定の水産資源にのみ着目するのではなく、生態系への影響を把握するため、事前事後において生物の多様性及び生産性を適切にモニタリングすることが重要である。
 (4)その他の水環境管理に係る対策の推進です。
 環境基準が未達成の湾奥部等の水質改善や貧酸素水塊への対応について、汚濁負荷削減対策の実施のみならず、流況改善や藻場・干潟の保全・再生・創出、海底耕耘による底質改善といった汚濁負荷削減対策以外の手法も総合的に検討すべきである。
 また、生物の多様性、生産性の確保、その結果もたらされる水産資源については、栄養塩類のみならず、気候変動に伴う海水温上昇や生息環境の変化等、様々な要因が複合的に関与している。
 このため、多様な生物の生息・生育の場である藻場・干潟の保全・再生・創出や底質の改善といった手法を総合的に講ずることで、美しい景観の保全や良好な水環境の創出と利活用などの多様化する地域のニーズに応じた水環境管理の実現を目指すべきである。
 上記を踏まえ、水質規制から総合的な水環境管理への転換を図り、幅広い施策の展開を可能とすべく、今後の水環境に関する制度の在り方に関しては引き続き検討が必要である。
 (5)目標年度です。
 第10次水質総量削減の目標年度は、令和11年度を基本としつつ、「総量管理制度」への転換等に係る制度的措置の対応状況を踏まえ設定することが適当である。
 このような形で、2の総合的な水環境管理の在り方をまとめさせていただいております。
 最後の項目、3、今後の課題になります。
 第10次水質総量削減の実施及び次期制度の検討に向けて、関係機関及び関係者が連携して取り組むべきとしている主な課題を以下に整理しております。大きな項目としては、丸で整理しておりますが、制度の運用、次のページへ行っていただき、6ページに行っていただいて、モニタリングの充実、調査・研究の推進、7ページ目、情報発信及び普及・啓発の充実、良好な水環境の創出に向けた対応、以上5項目で今後の課題について整理をしております。
 5ページ目に戻っていただきまして、制度の運用から御説明いたします。
 一つ目、水質汚濁防止法と瀬戸法の適用関係の整理です。こちら、瀬戸内海においては、先ほども御説明のとおり、瀬戸法に基づいて栄養塩類管理制度が運用されております。今後、水濁法において総量管理制度に基づく栄養塩類管理を可能とする場合に、同計画の位置づけについて整理し、運用上の支障とならないような配慮が必要と考えております。
 二つ目、栄養塩類管理実施上の支障に係る対応です。栄養塩類管理を現場で実施する際に支障となり得る事項を把握し、対応を検討する必要があると考えております。
 三つ目、順応的管理のための事前評価に係る支援です。栄養塩類管理の導入を検討する際、その効果及び周辺環境への影響を事前に評価する必要がございますが、水質予測モデルの構築やモデルを用いた評価の実施には専門的知見を要することから、国が汎用的なモデルを構築し、自治体に利用しやすい形で提供するなど、支援方策を検討する必要があると考えております。
 続いて四つ目、底層DOに関する検討です。底層DOについては、国が類型指定を行った水域において、測定地点の設定を行い、測定地点における5年程度の測定結果及び達成率の状況を踏まえて、目標とする達成率、達成期間を決定することとされております。底層DO改善に向けて、指定水域における環境基準の達成評価及び評価結果を踏まえた地域の関係者等による対策の検討を着実に進める必要があると考えております。
 続いて、五つ目です。きれいで豊かな海の実現に向けた対応です。「総量管理制度」においては、生物の多様性等が確保されたきれいで豊かな海の実現を目的としていることから、「管理目標量」の達成評価に加えて、生物多様性、生産性の状況の把握に努め、モニタリング結果を「総量管理計画」の評価・見直しに反映していくことが望ましいと考えております。
 最後、きめ細やかな水環境管理における自治体の役割です。栄養塩類管理計画の策定に当たっては、都府県が中心となって地域のニーズや増加措置の実施可能性を把握し、地域の多様な主体の参加を促しながら、目指すべき水環境の姿について合意形成を図るなど、都府県の果たすべき役割が大きいと考えております。また、計画の実施に際しても、モニタリング結果に応じた効果検証と柔軟な計画の見直しを主体的に行い、地域の課題解決に向けて積極的に行動していくことが求められていると考えております。
 二つ目の項目、モニタリングの充実です。
 栄養塩類管理に伴う水環境の影響については、特定の水産資源のみでなく、生態系全体への影響を確認する必要がございます。また、短期的変化のみならず、長期的変化にも留意すべきであり、生物の多様性、生産性については、現在、十分に把握されているとは言い難く、適切な評価指標やモニタリング手法について検討を進める必要がございます。
 また、海域によっては市民が参加主体となった調査が実施されており、市民調査によるデータの蓄積もなされております。水環境の状況を多様な主体の参画の下で効果的に把握するため、指定水域における市民調査を積極的に推進し、結果の活用を図るべきと考えております。
 続いて三つ目、調査・研究の推進です。
 生態系のメカニズム解明や豊かな海の実現に向けた調査・研究の推進。海域における生物多様性等に影響を与える要因として、気候変動に伴う海水温の上昇、埋立てによる生物の生息場の喪失、赤潮や貧酸素水塊の発生、栄養塩類の不足等が複合的に影響しております。海域における複雑な生態系のメカニズム解明とともに、豊かな海の実現に向けた調査・研究の推進が必要であります。
 汚濁負荷量把握における精度向上。水質総量削減の実施においては、汚濁負荷量の正確な把握が重要です。汚濁負荷量の算定精緻化に向けて、大雨や洪水時を含む陸域からの汚濁負荷量や面源汚濁負荷量の把握方法の検討並びに原単位の見直しや合流式下水道の改善に伴う雨天時放流水による負荷削減効果の把握などが求められます。
 栄養塩類増加措置が底層DOに与える影響の把握。一般に栄養塩類濃度の低下に伴い、底層DOは向上するため、栄養塩類増加措置により、底層DOの悪化がトレードオフとして生じる可能性があることから、底層DOの状況を注視し、順応的に行う必要がございます。また、栄養塩類の供給が底層DOに与える影響の把握や底層DOの改善対策の検討を進めることが求められます。
 陸域以外の負荷が水質に与える影響の解析。陸域負荷の削減が進んだ現在では、底泥や外海からの流入が水質に影響を及ぼす比率が相対的に増大しております。このため、挙動や影響を与えるプロセスの解明やデータの蓄積を進めることが求められます。
 四つ目、情報発信及び普及・啓発の充実に関してです。
 豊かな海の実現に向けては、地域住民を含めた関係者がそれぞれの立場で実施可能な取組を進めることが重要であります。このため、幅広い関係者が海に親しみを持ち、指定水域の水環境に関する状況を把握することができるよう、水環境に関する情報発信とその改善に向けた取組の普及・啓発の充実が求められます。
 最後の項目、良好な水環境の創出に向けた対応です。
 藻場・干潟の保全・再生・創出を積極的に推進することで、生物の多様性等の向上並びに良好な環境の創出に貢献することが期待されます。そのため、「令和の里海づくり」の取組を一層推進し、地域資源の利活用を通じた地域活性化に繋げるとともに、「水辺の環境活動プラットフォーム」を積極的に活用し、関係者間の連携強化や取組の底上げを図ることが求められます。
 以上、資料1、2の説明を終わります。
【古米委員長】 御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問等をお願いしたいと思います。
 それでは、大野委員。
【大野専門委員】 骨子の御説明、ありがとうございました。大変よく分かりました。
 総量管理基本方針については、底層DOの改善が見られない傾向もありますし、窒素、りんの環境基準が達成されている一方で、栄養塩類供給の低下による水産資源の生産低下が見られる指定水域があるということで、その原因も人為的な汚濁負荷だけでなく、地球温暖化による水温の上昇や、豪雨による汚濁の流出、こういったことも混在しているという状況だと認識しております。
 そのため、地域が主体となり、きめ細やかな水質管理を行うという、この基本方針については、これまでの議論を適切に反映されたものになっているのではないかと思っております。
 この骨子の中で1点コメントがございます。2.(3)地域のニーズに応じた順応的な栄養塩類管理についてですが、一般的に民間企業の工場では、業種により排水処理のシステムも異なります。また、工場では、排出基準よりも、通常、より厳しい事業者の独自基準というものを設けておりまして、それを達成するよう排水基準のシステムというのが既に設計されております。日々、汚濁負荷の変動もございますし、それに対応した運転管理というものを行っております。このような中で、栄養塩類の増加のための順応的な管理に適用するというのは極めて難しいということを産業界の御意見として伺っております。
 特に、生物処理で脱りんや脱窒素、こういったものを行っている場合は、生物処理ですので、一部増加したり、窒素、りんをある一定の時期に増加したり、それを戻したりといった管理が非常に難しいと思われます。そのため、自治体が増加措置を計画する際には、企業工場に対して更なる負担を強いることにならないよう、対応の可能性や運転変更による費用負担などを、よく自治体がコミュニケーションを取っていただいて、こういったことを考慮するような対応が必要と考えております。そのため、今、私が申し上げたようなことに触れた記述を、どこかに追加いただくということがよいと思っております。
 同様に、3.今後の課題の“制度運用”のところです。この課題の中に、もちろん水質汚濁法と瀬戸法との適用関係の整理や、この“栄養塩類管理実施上の支障に係る対応”というのを入れていただいていますが、割と抽象的に書かれているというところもあります。
 その6項目の「きめ細やかな環境管理における自治体の役割」のところで、ここに「栄養塩類の増加措置の実施可能性を把握し、地域の多様な主体の参加を促し」というような文言がございます。こういう記述はありますが、やはり、企業工場の排水処理状況、これを勘案し、実施可能性を立てることを盛り込んだ文章を自治体の役割として少し入れていただくといいかなと感じました。そのような文章が入ることで自治体が工場とコミュニケーションを取り、企業への過剰な負担を軽減することにもなっていくのではないかなと思っておりました。
 以上でございます。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、数人ずつ御質問を受けてから回答をいただきたいと思います。
 それでは、続いて、風間委員、どうぞ。
【風間専門委員】 はい。今のこの骨子に入る前に、全体の構成案のところ、実施状況の次に水環境等の状況というところがあり、水質濃度の状況というのが入っています。状況があり、それを分析するという形だと思いますが、その状況の中に水温が、下の分析のところにおそらく気候変動が入ってくると思いますが、水質濃度という中に、以前はそういう項目がありませんでしたが、最近の水温の上昇というのは様々な影響が強いので、水質濃度の状況の中に水温も含めたらどうかなという感じもしていますので、御検討いただければと思います。それが資料1です。
 肝心の骨子です。これ、ぱっと見たときに、課題があり過ぎで、すごく様々なものが次に残していくように見てとれてしまいました。考え方としては、現在の現状がこうです、それに対して、このように考えるというか、分析して、結果が分かりました、それで対策をこうします、それでもできないものが課題という形の中で、方策の中に総合管理というこのやり方、それがすっぽり入るかと思います。課題というのではなく、その管理のことを、要するに対策の方策の中に入れれば、後ろにある情報発信や良好な云々など、そういったものも全てそちらの課題に入ってくると思うので、それでもできないものについて、課題に残していくのが筋ではないかなと考えました。
 その課題の中に特に大きく感じるのは、7ページのところに、「栄養塩類の供給が底層DOに与える影響の把握や底層DOの改善対策の検討」が求められるというのが示されております。これは、求められると書かれていますが、とても大事な内容です。ただ求められると抽象的に書かれると、なかなか実現に、行動に結びつかないのではないかという気がするので、この総量管理制度の総量管理計画の中にそういうのをやらなくてはいけないといいますか、やるべきであるようなことを記載させていただければ、この底層DOの対策の検討の話などが入ってくると思います。
 同じように、この生物関係です。動物は目標を書くのは難しいですが、実際、後の対策の中に入っております東京湾でしたら、九都県市による評価が、割とそういうのが入りますが、単なるそういう大きな話だけではなく、湾ごとに実際に分かっているこれまでの生物状況をその中に入れる形で、その後の評価や見直しに反映していくためには、現在はこうなっているということを、もう少し細かく、管理計画となると、割と数字が多いですが、数字だけではなくて、そういったデータもその中に含めるということで、管理計画というのが割と現実味を帯びるのではないかと思います。ですから、求められる、必要であるという抽象的なことを考えて、そろそろやるべき体制づくりというのを、ぜひ今回の計画の中に入れていただければと思います。
 細かいところは多くありますが、骨子ということですので、取りあえず、大きな話をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【古米委員長】 はい。名札がどの順番で上がったか分からないので、次、岡田委員、続いて、東委員ということでお願いしたいと思います。ここで一旦切りたいと思います。
【岡田専門委員】 岡田です。
 3ページ目の2ポツの最初の1行目、2行目のところに、「海域ごとのきめ細やかな管理を可能とするため、『総量管理制度』を設ける」と書かれていますが、何かどうも、ここの「きめ細やかな管理」という言葉と、総量管理という関係がいま一つ分かりにくいと感じています。
 総量管理の管理が示すものは何かということ、それから「きめ細やかな」というのは何を意味するのかというのを明確にした上で、この両者の関係を明確にしていただければなと感じました。
 以上です。
【古米委員長】 はい。それでは、東委員、どうぞ。
【東専門委員】 まず、3ページ目の(4)の四つ目の丸で、「底生生物については種類数及び個体数ともに、多くの湾・灘で増加傾向が見られており、その理由の一つとして、底質のTOCの低下が挙げられる」との記述があります。これが「大阪湾を除く瀬戸内海」にて記されておりますが、記述内容と場所が整合しているのかという点には少し疑問があります。
 というのも、大阪湾など貧酸素水塊が発生するところでは、底質のTOCが改善されて底生生物が増えるというのは分かりますが、そうではないところでTOCの低下が底生生物の増加につながるという点には少し違和感があり、生物生産性の観点からいうと逆ではないかなという気がしています。また、底生生物が増えたから底質のTOCが下がるということもあるので、ここは少し再度検討と御確認をお願いいたします。
 あと、同じページの2.(1)の丸の二つ目と三つ目で、「湾・灘といった海域ごとに」と記されております。これは恐らく、きめ細やかな管理を想定して書かれたものと思われますが、印象として湾全体、灘全体、湾単位、灘単位というのは、少しスケールが大き過ぎて、きめ細やかとは言えないのではないかと。瀬戸内海であれば一応細かくはなっていますが、東京湾、伊勢湾では湾単位というのは全く細かくなっておらず、もっと小さい海域単位で見ていく必要があるのではないかと思いました。
 以上でございます。
【古米委員長】 それでは、一度ここで切って、事務局から御回答をお願いしたいと思います。
【森川室長補佐】 ありがとうございます。事務局、環境省の森川です。
 まず、大野委員から、実際に栄養塩類管理措置を実施していくに当たり、工場等の民間の事業場との関係について、なかなか栄養塩類管理を実行しようと思っても、費用や設備投資の面で苦しいところがあるという実態に関して御指摘をいただきました。そのような声は、既に瀬戸内海で栄養塩類管理計画を運用している自治体等々における工場とのやり取りの話からは、実際、聞いているところです。
 現状、一方で、どこまで工場側が協力できるのかとか、あと、自治体もどこまで協力してもらうために何ができるかというところについて、自治体ごとの事情や、あとは、そこまでしてもやるべき段階なのかというところの状況にもよるかなと思っています。
 一方で、各事業場の皆様も、業種にもよりますし、その場所が置かれているこれまでの歴史的な経緯とかにもよりますが、協力していきたいが、といった声もあるのは実情としてはあるかなと思いますので、栄養塩類管理を実行していくときに、自治体の方が地元の皆さんと合意形成、しっかり対応しながら進めていくことの必要性というのは御指摘のとおりあるかなと思っております。その点、御指摘を踏まえて、どのような記載ができるか考えてまいりたいと思います。具体的にもこういう場所に、というところも御指摘いただきましたので、そこの点も踏まえて記載を考えていければと思っております。
 続いて、風間委員から構成について、まず御指摘をいただきました。海水温の上昇については、少しですが、既に第9次の答申ときに触れておりますが、近年、気候変動の状況によって海水温の変化が、過去から比べて著しくなっているというのは御指摘のとおりだと思いますので、構成案の中で項目出しするかどうかというところも含めて、具体的に先ほど申し上げた、テキスト化をしていく段階で考えてまいりたいと思います。
 また、課題ですね。資料2の骨子案で課題として載せている項目について、もう少し前段の部分で書ける部分もあったりするのではないかという、骨子案に関する、これも課題というか、具体的に対策としてやっていく内容ではないかといった、いわゆる骨子案の整理みたいなところについて御指摘をいただいたかなと思っております。こちらも御指摘の趣旨は理解できますので、こちらもテキストベースに直していく段階で精査をしてまいれればと思っております。
 あと、岡田委員から「きめ細やかな」と、あと、総量管理制度の関係について、もう少し明確にしたほうがいいのではないかという御指摘でしたので、こちらもテキストベースで直していく段階で、関係がより分かるように工夫していきたいと思っております。
 東委員から、瀬戸内海に関してTOCの記述のところで、事実、実態と少し違う形になっているのではないかという御指摘がありました。こちらも、すみません。改めて内容はしっかり精査していきたいと思います。
 同じく3ページ目の総合的な水環境の在り方について、湾・灘単位の表現が、瀬戸内海だと確かにそうかもしれないが、東京湾、伊勢湾だと少し単位が大き過ぎるのではないかという御指摘がありましたので、ここも誤解がないような表現にしていきたいと思います。
 一旦、以上です。
【古米委員長】 はい。ありがとうございます。
 風間委員、どうぞ。
【風間専門委員】 すみません。私、もう一つ言いたかったのは、総合管理計画の中に、この底層DO云々の検討や、それから、実際の生物の内容など、計画の中にそういうのを入れることを検討いただけないかということも言ったつもりです。
【森川室長補佐】 すみません。失礼しました。ありがとうございます。
 そうですね。総量管理計画は、都府県が主体的に作るものになっているので、その中、環境省側で大きな構成を示すことは想定されますが、具体的な中身についてどこまで盛り込めるかというところは、この制度の中身の中で、国がどこまで提示して、都府県さんで具体的にどこまで入れ込むかという関係に関わるかなと思います。こちらから提案することはできるかもしれませんが、実態としてどこまで実現できるかというところは、こちらで制度の中身を作っていく中で御相談させていただければと思います。
 御指摘は承りました。ありがとうございます。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、質疑を続けたいと思います。オンラインの方から質疑の際の発言も大きめにしてほしいということですので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、小川委員、珠坪委員、古川委員、お願いしたいと思います。
【小川(浩)専門委員】 はい。どうもありがとうございます。
 4ページ目の(3)の「総量規制基準の適用を除外する」という表記がありますが、これはN、Pのみを対象としているのかという点を少しお聞きしたいです。
 それから、2点目が5ページのほぼ真ん中辺ですが、主に瀬戸内法に絡めて書かれています。これはまだ、下水処理場の濃度管理運転で一定の効果が得られたという報告がありますので、今後それは下水処理場以外の施設、特定施設というのが主に中心となると思いますが、そういった施設まで今回のこの管理計画の中の対象施設として盛り込まれるのでしょうか。特に産業排水なんかでも排水量の多い施設などは、当然関連してくるのではないのかなと思っていますので、その点をお聞きしたいです。
 最後、3点目として、これは要望です。7ページ目、上から1行目のところに「合流式下水道の改善に伴う雨天時放流水による汚濁負荷削減効果の把握」というところに、もう一項目、単独処理浄化槽の削減という部分も盛り込んでいただけないかと。これは、おそらく、推進室なども関連してくると思いますが、なかなかこの単独が減っていかないという経緯がありますので、こういったところにも盛り込んでいただくと、その点が強調されるということで。少し総量規制とはかけ離れるかもしれませんが、要望として3点目を挙げさせていただきました。
 以上です。
【古米委員長】 それでは、珠坪委員、お願いします。
【珠坪専門委員】 まず、4ページ目の(3)地域ニーズに応じた順応的な栄養塩類管理の五つ目、最後の丸です。この中で、既に書いてあるとおりですが、栄養塩類管理自体が水質悪化等、ほかの環境影響もありますので、特に特定の水産資源のみでなく、生態系の影響をしっかり把握してモニタリングせよという記述があります。
 ただ、これは、ここに具体的なことを書く必要はないのかもしれませんが、割と抽象的に書かれていますし、一方、その課題というところですね。今後の課題、6ページ目の中でもモニタリングを充実しましょう、適切な指標、モニタリングについて検討しましょうというところが書いてありまして、当然、これは順次やっていくことなのかもしれませんが、少なくとも例えば生産性であれば、藻類の1次生産みたいなものを見なくてはいけないのかや、多様性に関しても、例えば環境DNAみたいなものを使って、総合的に、要は商品になる魚以外のものも見なければいけないのかなど、この辺りが、多少具体的に書けるのかどうかというところと、それぞれ自治体や県が作る栄養塩類管理計画の中で、モニタリングも当然入ってくると思いますが、それに対して専門家の先生が例えばアドバイスをするや、あるいは評価をしてよいものとするなど、何かそういったものを入れないと、なかなか実際、自治体さんだけでモニタリングをしっかりするのは難しいのかなと感じました。
 以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、古川委員、お願いいたします。
【古川専門委員】 ありがとうございます。
 総量削減制度から、よりきめ細やかな水環境管理を行える総量管理制度への転換を図ることにつき、経済界として支持いたします。
 また、本骨子案は、指定水域における環境変化や取組の成果、また、この専門委員会におけるこれまでの分析や科学的知見、議論の内容を適切に反映する内容であると考えており、評価しております。
 こうした方針の下、実効ある制度の具体化に向けて検討を深めていただきたいと思います。企業といたしましても、豊かな海の実現に向けて引き続き負荷削減の対策に取り組むのは言うまでもなく、関係者との連携に努めて貢献を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、事務局、お願いいたします。
【西川室長】 ありがとうございます。
 まず、小川委員から二つ御質問いただきました。
 一つ目、総量規制基準の適用除外、4ページ目の(3)、二つ目の丸でございます。この対象物質についての御質問ということで、まずは栄養塩類としての窒素、りんを想定してございますが、自治体あるいは産業界からも一部、声として上がっておりますように、栄養塩類を増加させようとすると、どうしても併せてCODも一部増えてしまわざるを得ないものがあるというような御指摘もいただいてございます。ですので、こちらについてどこまでを対象物質とするかは、実態をもう少し細かく産業界や自治体から聴取させていただきながら、引き続き検討したいということで考えてございます。
 もう一つ、下水道の濃度管理運転以外の施設が盛り込まれるのかどうかという御質問でございます。こちらについては、栄養塩類管理計画を自治体が策定する際に、指定水域に排水している事業場や下水処理場に対してヒアリングをして、実施、協力する意向があるところを入れるということでございますので、国で特定の施設を指定するということではなく、地域の実情に応じて合意形成の中で協力できる事業場が選ばれていくということでございます。
 先ほど大野委員からも御指摘がありましたように、実際には協力ができるところ、できないところが出てくると思いますので、そこも含めて、地域の中で抽出をしていくというプロセスを想定しております。
 もう一つ、単独処理浄化槽の削減についても記載をできないかという御指摘、要望でございます。御指摘いただいたところが、6ページ目の一番下の矢羽根の「汚濁負荷量把握における精度向上」のところでございまして、この精度向上という観点では、原単位の見直しや改善効果の把握といったところで、必ずしも単独処理浄化槽の削減対策を記載するところにはそぐわないのかなと思いつつ、今回議論しておりませんが、答申の前段には、全体の水質の状況や対策の実施状況を記載する予定にしておりますので、そういったところで浄化槽の取組についてもしっかりと記載をして、今後の対策の必要性を記載ができればいいかなと思っております。記載する箇所については、事務局で検討させていただければと思います。
 珠坪委員から、生態系への影響を把握し、モニタリングするというところで、抽象的に記載をしているが、もう少し具体的に書けるのかどうかというところを御指摘いただきました。
 ここは、まさに事務局としても大きな問題意識として考えているところでございまして、この答申を取りまとめる段階で、具体的に何を指標として、どういったやり方でというところまでを書くのは厳しいと考えてございますが、この後、栄養塩類管理計画を実施する段階では、我々でもガイドラインといったものを示しますし、様々な形で自治体とやり取りをさせていただきますので、その中で、どういった指標が考えられるのか、我々の中でももう少し勉強させていただいて、示せるかどうかを検討していきたいと思ってございます。
 おっしゃるように、抽象的でございますので、そこを具体化するのは、この答申をいただいた上で、行政の与えられた課題として対応してまいりたいと思っております。
 最後、古川委員からのコメント、誠にありがとうございます。実際の対策の実施に当たっては、経済界の協力が不可欠だと思ってございますので、引き続きぜひ、よくコミュニケーションさせていただければと思います。ありがとうございます。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、次の3名は田中委員、あと、WEBから御参加の大久保委員、三浦委員の順番でお願いしたいと思います。
【田中臨時委員】 はい。どうもありがとうございます。田中です。
 細かい質問が一つと、それから、三つ意見を発言したいと思います。
 まず、細かい質問、4ページ目の(2)の冒頭のところの2行目です。総量規制は都府県しかないはずですが、ここに道が入っているのは、単純な間違いなのか、何か意図があるのか。この辺は単純な質問です。それをお願いします。
 それから、次に、これから意見が三つですが、まず、一つ目が(3)の地域のニーズに応じた順応的な栄養塩類管理、基本的な流れはこれで非常によく分かります。特に順応的な管理をやることも含めてやっていくということだと思いますが、その際に、先ほど少しやはり話が出ていた二つ目の丸ですよね。ここのところで、「当該計画で定められた対象物質について、総量規制基準の適用を除外」、これまでの瀬戸内法でもそうなっていますが、特に下水道の状況を見ていると、概ね大きな問題はないと思いますが、栄養塩を上げるときに、どうしてもCODがある程度上がるというケースがやはりあります。
 かなり余裕があるところもありますが、かなりぎりぎりで今COD管理をしている、受け入れているのが難分解物質をかなり流されているようなところ、ここで頑張って特に窒素を上げる際に、やはり微妙にぎりぎりになる可能性があるかもしれない。
 したがって、これを完全に外すという方法も一つあるかもしれないですが、ただ、そうなってくると、特定事業上、全体にそうなってくると、非常に課題も抱える可能性があるので、例えば、地域規制の適用方針をより柔軟に地域でしてもらうなど、これは国が定めるというよりは、地域がやってもらうことになると思いますが、そういう配慮をやる必要があるかどうかの検討を、場合によっては考えてもらいたい。この辺はここに書くべきか、あるいは後ろの課題になるのか分からないですが。
 それと、それから、この中では書かれていませんが、瀬戸内法では現在実施されているモニタリング、これはモニタリング海域だけではなくて、適用除外になったところについても、しっかりとモニタリングしてもらいたいと。これはどうしてかというと、順応的管理なので。どれぐらい現在、現実的に上がってきて、今後どういった負荷量が出ているのかということを、陸域側の状況の把握にも、これはきちんとなるはずなので、そこは書かれていませんが、できれば、この中に明確に書いておいてもらいたいということです。
 それから、二つ目は、これは自治体に関わるところが多いですが、今後の課題、5ページ目のところの丸の一つ目の三つ目、「順応的管理のための事前評価に係る支援」、これは極めて重要になってくると思います。先ほどお話しした下水道は、既に順応的管理運転をもう一部、もうかなり苦労しながら、長期間かけて、地元の対応を含めてやってきました。
 ところが今、かなりのスピードで、こういうことをやってほしいという声が起こってきて、市町村ベースで、様々な予測をしていくのは非常に難しくなっています。
 したがって、ここの自治体、これは当然入るとは思いますが、都道府県だけではなく、下水道を運営する市町村ですよね。県の中でも下水道を運営するところはあるので、そこは比較的うまくいくと思いますが、そういうところに対しての支援、あるいはそういう配慮、こういうことをやはり少し言葉にも書いておいてもらったほうがいいのではないかなと思います。
 それから、三つ目は、6ページ目の上から二つ目の「きめ細やかな水環境管理における自治体の役割」、ここも自治体ですよね。こう読むと、この中には、主に都道府県の環境サイドが中心になってという意味の都道府県だと思いますが、先ほどもお話ししたように、下水道は栄養塩類管理運転の中で非常に重要な役割をもう既にしていて、これからさらに期待され、さらに順応的管理、これは問題が起こってきたら、いつでも戻れるようにすると。こういうことは、もう既に季節的な変動を行う運転まで、下水道の一部はやり始めていて、結構重要な役割をしているわけです。
 ただ、それは非常に苦労しているので、実施段階や計画段階、それから事後段階の評価を、今は都道府県の下水道課は恐らくそういうことの議論にかなり加わっていると思いますが、実際のプレーヤーである市町村についても、かなり積極的にこういうものについての意見を反映する、あるいは情報交換してもらう。その上で、何か問題が起こっていないか、あるいはさらに進められるかどうかということを都道府県の環境サイドにやってもらいたいです。
 つまり、ここの中の自治体と言っているのは、都道府県の環境部局だけではなくて、できれば、プレーヤーである、パブリックセクターである市町村の下水道サイド、こういうところも深く関与させてほしい、こういうお願いです。
 この3点をお願いします。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、大久保委員、どうぞ。
【大久保臨時委員】 ありがとうございます。2番のところは、今までの議論を踏まえて、かなり様々なことを総合的に考慮し、バランスの取れた内容になっていると思っています。
 これを具体的に実施していくための課題の3番がやはり重要になってくると思っておりまして、そのうち最初にある瀬戸法との関係が大変気になっていたところですが、課題に挙げていただいていますので、今後の検討をお願いしたいということにとどめ、次の点について申し上げます。6ページ目の自治体の役割の重要性の部分でございます。
 この中で、「目指すべき水環境の姿について合意形成を図る」ということがさらっと書いてあるわけですが、やはりここが一体どのような、いつの頃をイメージして、どういう水環境を目指すのかという一番肝となる部分であって、そこを目指す手段が、栄養塩類管理計画や、藻場・干潟の保全・再生・創生といったような様々な施策になってくる。
 最上位のこの目標の部分をどのように合意形成していくのかという部分が重要と思っておりますので、全体の課題の構成として、栄養塩類管理計画と、それから、その他の政策、施策の関係性というものを少し整理していただいたものを最初の数行ぐらいに入れていただけるといいのではないか、それが第1点です。
 また、ここで「多様な主体の参加」と書かれているわけですが、この後、市民の調査や、あるいは、最後のところの二つで啓発、そして「令和の里海」、里海づくりも含めた良好な水環境の創出というところが出てきて、市民の取組というところが市民調査の話と啓発の話と、それから実際の各種の里海づくり等の取組にばらけているような感じです。常に恒常的に、継続的に、海と関わっている主体として、漁業者の方、事業者の方、これは下水道事業者も含めますが、そのように直接的な関わりを栄養塩類管理に持っている方、プラス、こういう幅広い方々の意見が、その前の水目標の多様な主体の中にきちんと位置づけられる必要があるのだろうと思います。
 先ほどあった生物多様性等のモニタリングをどうするのかということを含めまして、そうしたデータの収集から、実際の活動に至るまでの幅広い市民の役割というものを総論的に位置づけていただき、そういう主体も多様な主体の中にしっかり位置づけられて、水目標が合意形成されるという辺りをもう少し強調していただく表現になると、水産、生物多様性、その他のニーズというものが、バランスの取れた形で今後の課題の中に位置づけられるのではないかと思います。
 以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、三浦委員、どうぞ。
【三浦臨時委員】 骨子案を取りまとめていただき、本当にありがとうございます。
 特に私からは、3ページ目のところです。総合的な水環境管理の在り方ということですが、第10次の総量削減におきましては、「湾・灘ごとに柔軟かつ順応的に栄養塩類の管理を可能とするなど、削減一辺倒であった総量削減制度からきめ細やかな水環境管理を行える『総量管理制度』への転換を図る」と記載されているということで、栄養塩類の不足によって、ノリの色落ちや、魚介類減少などの問題を抱えている漁業者の意見をしっかりと取り入れていただいており、改めて私からも感謝を申し上げます。
 また、制度の構築に当たりましては、都道府県や自治体等の現場だけではなく、環境省も主体的に参画していただきながら、きれいで豊かな海の実現に向けた対応を引き続きよろしくお願いいたします。
 以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、事務局より御回答をお願いします。
【森川室長補佐】 事務局、環境省の森川です。どうもありがとうございました。
 まず、田中委員から、最初の御指摘の、道が入っているというのはこちらの記載ミスです。すみません。訂正いたします。失礼いたしました。
 御指摘、御意見としていただいた3点がございます。
 まず、CODが栄養塩類管理に当たり、上がってしまうという点について、御指摘の点は、これまでのヒアリングの中でも日化協さんから御意見をいただいたり、また、栄養塩類管理を実施している都府県からも御指摘もいただいたりというところがございます。CODというのは総量削減制度、水質管理の根本でもあるというところで、緩和等について、どのようにできるかというのは御指摘いただいたとおり、重要な点ではありますが、検討はしていきたいと思っております。ありがとうございます。
 また、御指摘いただいた支援についてです。下水道については、これまで現場で順次進めてきている中で、市町村ベース、市町村が主体となって管理されている下水処理施設について、我々の、今この文章は都府県をベースに記載しているというところについて、市町村の方々への、市町村へのフォローといったものもしっかり考えたほうがいいのではないかという御指摘をいただいていたかなと思います。
 次の三つ目で御指摘いただいた自治体の役割のところでも、都府県をベースに書いたところについて、市町村についても、実施段階では主体的になっているケースがあるというところで、同様の趣旨かなと思っております。
 こちらも、これまで総量削減制度の主体は主に都府県がベースで、我々ともやり取りさせていただいていたという実態がございますが、栄養塩類管理等に当たっては、市町村さんが果たす役割も増えてきているというのが実態としてございますので、テキストベースにしていく中で、どのような記載ができるかというのは、御指摘を踏まえて、検討してまいれればと思っております。
 大久保委員から続いて御指摘いただきまして、自治体の役割について、目指すべき水環境の姿の部分について、目標をどのように設定するのか、合意形成をどのように図っていくのかというところについて、今の骨子案では記載が抽象的なものだが、もう少し具体化して、挙げたりしてはどうかという御指摘だったかなと思っております。
 こちらの部分は、実態としては、都府県ごと、湾・灘ごと、湾・灘のさらに細かい部分において、目指すべき姿というのは異なるかなと思っております。ですから、また合意形成の図り方も、関係するステークホルダーが、それぞれの地域において、多様で、その手法も地域のこれまで取ってきた合意形成の手法に準じていくというところも踏まえながら検討されるものと思いますので、一概にこちらから、このような手法でというのは、具体的な手法を明示するのは難しいかなと思っておりますが、一方で、これまでの実例や実績も踏まえて、もう少し具体化できる部分もあるかなと思います。こちらは、現状は骨子案ということで、抽象的な表現させていただいておりますが、もう少し現場で、これから栄養塩類管理等をしていく自治体さんにとって、分かりやすくなるような記述を心がけたいと思います。
 また、二つ目で、多様な主体の参画のところで、漁業者など、これまで海とより関わってこられている方々というのもしっかり読めるような形にしてはどうかというところで御指摘いただいていたかなと思います。そちらは、現場で関わっている様々な主体が、どのような役割を果たしていくのかというところを総論的に記載できるといいのではないかという御指摘もいただきましたので、骨子案からテキストに直していく段階で、御指摘も踏まえて、分かりやすい記載を検討してまいれればと思います。御指摘ありがとうございます。
 三浦委員からのコメントについては、全体的に現場の実態に即した内容ということで、御意見をいただきまして、ありがとうございます。引き続き、こちらの制度と現場の実態が相互にマッチするようなものに列記していければと思っております。
 一旦以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、続いて、横田委員、西嶋委員、そして、東委員の順番でお願いしたいと思います。
【横田専門委員】 横田から三つあります。
 一つ目は、骨子の構成上、これからやっていこうということが書かれていて、最後に今後の課題ということで、様々まとめられているかと思います。
 今後のまとめというのは、今後の水環境をどのようにしていくかという視点もあるとは思いますが、私の研究の立場からすると、今までそのものが、面源負荷というものがきちんと評価されていたのかというところに疑問を持っております。
 こちらの中にも、大雨や洪水等云々というのが書かれていますが、もしかすると、これは今後の気候変動に伴う汚濁負荷量のものが、新たに把握方法を検討するというように読み取れなくもないのですが、そのような状況でやっていくということを、いま一度慎重にしていったほうがいいのではないかということを思ったのが一つになります。
 二つ目は、今、栄養塩の管理というものを自治体主導でやっていく。それが都府県なのか、市なのかという話もありましたが、きれいで豊かで、きめ細やかな水環境、場所なのか、季節なのか、それなのかということをいろいろ考えていかなくてはいけない中で、これを都道府県、あるいは市などで合意形成ができるのかということ。
 あと、二つ目には、栄養塩の濃度を増加させる、低下させるということが議論になっていますが、どれくらいの時間差があって、どのように対策をしていくのかというものがきちんと議論されているのか。それを自治体と行政サイドがコミュニケーションでやっていく、きめ細やかな連携を取っていくという言葉もあったかと思いますが、それで本当にやっていけるのかということで、いま一度慎重な制度設計が必要ではないかと思いました。
 最後は、これまでも御発言がありましたが、さらなる負荷削減は想定しないなどという文言が使われております。一応国としては、単独浄化槽というものは、今後、合併浄化槽等々に移行させていくというものをしっかりどこかで明文化しておかないと、市民の方々には誤ったアナウンスになるのではないかということを危惧しましたので、丁寧な記載を求めます。
 以上です。
【古米委員長】 続いて、西嶋委員、お願いします。
【西嶋臨時委員】 はい。西嶋です。
 今回、第10次から、第9次までの総量削減制度から総量管理制度へ移行するということで、これは非常に大きな制度改革ですし、名前も変わりますので外から見てもそのように見えると思います。
 その中で、総量管理制度で管理計画をつくって、総量規制の基準を適用除外にするというのは、言ったら、水域の中でごく限られた場所を特定水域として指定をして、そこについては、この総量の削減の基準を設けるということになります。
 そこに対して、まずモニタリングやモデルなど、様々、非常に細かいというか、精緻に見ていく必要がありますよということは、これは当然ながら理解できますが、大きくいうと、総量管理制度に移行したので、海域全体を削減だけではなくて、水管理として見ていく必要があって、そのためには、栄養塩の濃度だけではなくて、要するに環境基準の数値が決まっているものではなくて、生物多様性や生産性もきちんと見ていきましょうということがここに書かれているわけですよね。
 そういう視点で見ると、特にモニタリングのところが気になっていますが、後ろに見ていくと、どうも特定海域の、その管理制度をつくった、総量の規制値を外したところについて、もっときちんとしましょうよというように少し読めてしまう感じがします。
 だから、削減制度から総量管理制度に変わったので、指定海域全体の見方を、その水質だけではなく、きちんと多様性や生産性とかも含めて管理をしていきましょうというようにならなければいけないのではないかというところで、少し誤解を生むような、特定の管理計画をつくったところだけを焦点にして、細かくやっていきましょうというように読めなくもないので、そこの辺りをもう少し見ていただきたいなと思っています。
 そうなると、もちろん管理制度をつくって運用されるのは自治体で、自治体に課題が様々ありますよというところは理解できますが、では、国、環境省としての役割というのは当然大きくなってきているはずです。共通的にやっていくべきモニタリングはどうあるべきなのかと。特定海域だけではなくて、全体の中で、今、生物多様性がきちんと分かるようなモニタリングができているのかなど、生産性が分かるようなところまでモニタリングできているのかという全体の管理はやはり環境省だと思うので、やはり国の役割も、制度が変わったからには大きく変わるというところが少し書き切れていないのではないかというような、少し危惧を持っています。
 以上です。
【古米委員長】 それでは、東委員、どうぞ。
【東専門委員】 追加でお願いします。今ざっと2ポツ、3ポツとかを眺めていると、何となく栄養塩類管理など沿岸域に近いところの出口操作だけのような印象を受けています。そもそも総量は指定区域全体、陸域も含めて、陸-海の統合的管理という視点で行ってきた施策です。流域圏全体での取り組みの記述が減っているので、最後の「良好な水環境の創出に向けた対応」というところ辺りに「森里川海の連携」や「里地・里山・里海づくり」などののキーワードが入ったほうがよいのではないかと思いました。
 あともう一つ。全体を見た感じでは、栄養塩を増やす、減らすというだけの栄養塩類管理のイメージがありますが、もう少し長期的な視点で、流域全体を見渡していくと、排出先というか、健全な水循環を意識して、排出先を変える、分散させるなどを行って、栄養塩が足りないところは増やす、過剰なところは減らすというような、流域圏全体の物質循環を変える、操作するというような管理の仕方もあるのではないかと思いました。こちらは関係省庁と調整が必要かと思われますので、一度、御検討いただければと思いました。
 以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、事務局、お願いします。
【西川室長】 ありがとうございます。
 まず、横田委員からの御指摘をいただきました。面源負荷などを適切に評価できているのかと。その評価が不十分な中で、様々な対策を実施することについては慎重に、という御意見と承りました。
 御指摘のとおり、面源の原単位の見直しなども今後の課題に書かせていただいておりまして、必ずしも、正確な把握がし切れているかというところには課題があると考えてございます。
 そういった中で、なので、全てを精緻に把握した上でのみ対策をするのかというところでは、順応的管理ということで書かせていただいておりますように、今知り得る最善のやり方で把握をしつつ、対策も同時に講じていく。その中で知見が蓄積されれば、改めてその実態の評価を見直すということで、プロセスを回しながら、改善をしていきたいということで考えてございます。
 おっしゃるような面源負荷の、その評価についての課題、懸念については御指摘として受け止めまして、我々としても見直しを進めてまいりたいと思ってございます。
 都道府県なのか、市町村なのか、合意形成が果たしてできるのか、どういう時間軸で議論をするのかといったところで、慎重な制度設計が必要というところで、そちらも先ほども大久保委員からありましたように、合意形成自体は非常に難しい課題を都道府県にお願いをすることになると考えてございます。
 実際には瀬戸内海で、幾つかの都道府県で、栄養塩類管理計画を先行して策定する動きがございまして、彼らの中でも様々に試行錯誤いただきながら、策定が進められているという状況でございます。
 我々は国として、それをいかにサポートできるのか、彼らの合意形成をいかに我々としても側面支援できるのかというところで、都道府県や市町村と我々の役割、それぞれの立場での対策について、今後よく議論をしていきたいと思ってございます。
 既に先行事例はございますので、そういったものも踏まえながら実施をしていきたいということで、慎重な制度設計というところでは、順応的管理がその代表ではございますが、我々としても、最初から完全なものを作るというよりは、試行錯誤でPDCAを回していくということで考えてございます。
 負荷削減を想定しないと書くことで、浄化槽の転換の対策の抑制にならないようにという御指摘を三つ目でいただいております。そちらについては、先ほども御指摘がございましたように、単独浄化槽からの移行につきまして、どういった記載ができるのかは、少し関係部署とも相談をしながら、答申の前段のところの対策の実施のところで、どういった記載ができるのかを検討させていただきたいと思います。
 西嶋委員からですが、特定の水域、要は栄養塩類管理をする水域だけ生物多様性や生産性を見ればいいということではないのではないのかという御指摘でございます。答申案の6ページ目の一番上の矢羽根のところで、そういった問題意識も踏まえて、一部記載をしております。こちらにつきましては総量管理制度という新たな制度の下では、管理目標量の達成評価、要すれば今までやっているCOD、TNTPだけではなくて、生物多様性や生産性の状況も把握を進め、その結果を評価に反映させていくということで書いておりまして、我々としても、そこは、今後、総量削減から総量管理へ転換するに当たって、肝になる部分だと思っております。まずは、状況の把握からということで、すぐさま何か目標値を設定して、それに対する達成評価ということにはならないかと思いますが、状況を把握するために、どういった指標でやるのか、どういったモニタリング体制を取るのかというところを引き続き考えていきたいと思います。また、生物多様性の話が特定の水域だけの話と読み取られないようにということで、答申案を記載するときに、その点も配慮していきたいと思います。
 もう一つ、自治体の課題は理解するが、環境省の役割が書き切れているのかというところでございます。今後の課題が多いという御指摘も別途ございましたが、今後の課題で書いているところは、我々としては、ほぼほぼ国の課題だと思ってございまして、我々としても、かなり多くの宿題をこれでいただくことになるとは思ってございます。ただ、実際に合意形成を図るという非常に重要な役割を都道府県が担うという意味では、そこに国がどういったサポートするのかというところをもう少し改めて考えた上で、何が書けるかということは考えていきたいと思ってございます。
 最後、東委員の御指摘でございます。出口の管理だけではなくて、流域全体での視点をということはごもっともだと思っております。森里川海といった記載の追加なども答申案に記載をする上で考えていきたいということと、5ページ目の一番上のポツ、その他の水環境管理に係る対策の推進というところで、「幅広い施策の展開を可能とすべく、今後の水環境に関する制度の在り方に関しては引き続き検討」と書かせていただいております。こちらについては、別途、水環境の制度を検討する小委員会を立ち上げてございまして、その中で、豊かな水辺の保全による地域住民のウェルビーイングの向上や地域活性化といった、流域全体のかなり幅広い視点での議論も行っていく予定にしておりますので、御指摘のような、出口だけではない、全体的な視点での検討も並行して実施できればと思ってございます。
 以上になります。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、WEB参加の山口委員、どうぞ。
【山口専門委員】 ありがとうございます。
 私は、5ページの3の今後の課題のところについてです。生物の多様性及び生産性についてという記述が何回か、何か所か出てきますが、まず、生物多様性が、単純に種数ではないということを読み取れるようにしておいたほうがいいと思いました。生物相や生物の種組成など、定性的、定量的な関係性、種と種のつながりも含めた関係性というようなところが含まれていることが分かるようにしておいたほうがいいと思いました。どちらかというと、単に種数で捉えられがちなので、その点で。
 それから、6ページの下のほうで、海域における複雑な生態系メカニズム解明が必要、とあったと思いますが、このことがほとんど理解できていないという点が重要です。生態系についてはもちろん、生物多様性及び生産性が理解できていないので、当然生態系についても理解できていないわけです。ここは、生物多様性、生産性を把握するようなモニタリングや調査を、一般の市民の方々が推進していくべきところだ、というようにも読み取れる気がしましたが、まだ何をモニタリングすべきかも分かっていない状況ですので、何が分かっていないかという点をここには具体的に書いておくと、より良いと思いました。
 それに基づいて、1の最初の指定水域における水環境の現状とまとめというところに、この生物多様性や生産性の理解も含めて、それらを高めるための生態系の理解も進んでいないということも書いておいたらいいのではないかと思いました。
 あと、総量管理を行っていくのに当たり、栄養塩の供給がどれだけ広い範囲に及ぶかということもまだ十分に分かっていないと思いますので、先ほども御指摘があったかもしれませんが、対象海域以外への影響を把握することも重要だということも盛り込んでおいたほうがいいと思いました。
 そして、同じく汚濁負荷の把握の精度向上なども課題にありますが、それも極めて重要なことで、それをしっかりと把握した上で、どのような変化が現れたかということを広く捉えられるようなモニタリング手法を検討することが、まず、最初にできるべき課題の一つではないかと思います。
 あと一つです。自治体など、様々な主体が関わるということはもちろん重要ですが、水環境管理がうまく運用されていくためには、やはり重要な部分で環境省がより深く関わっていくことで、うまくいくのではないかということが期待されますので、その点が盛り込まれていると良いと思いました。
 以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、事務局、お願いします。
【森川室長補佐】 はい。事務局、環境省の森川です。ありがとうございます。
 生物多様性に関する記述、解明できていない点や、生物多様性は種で見るべきではなく、種だけではなく種組成等で評価していくという点について、御指摘はごもっともと思いますので、こちらでの記載については、少し検討してまいりたいと思います。
 その上で、モこのようなモニタリング手法で進めていけばいいということも確立したものはないという御指摘もあったとおり、モニタリングの実現可能性等も踏まえて、検討していかなければいけないと思っております。引き続き御示唆等をいただければと思っております。
 また、その点で、総量管理制度、総量管理を進めるためには、1ポツの最初のところの現状と課題のところにもまだ解明されていないという、現状何が分かっていないのかということも含めて、1など、御指摘の課題のところにも記載を追記すべきという点は検討してまいりたいと思います。
 また、総量管理を進めていくに当たって、対象海域以外の海域への影響についても把握していくべきではないかという点も、その点も順応的な管理という点では重要と思いますので、記述について検討できればと思います。
 また、汚濁負荷量の把握や、自治体の役割だけではなく、重要な部分については環境省の関わりが重要であるという点についても、個別の現場で進んでいくところに、国がどのような形で関わるのかということはございますが、大きな方針を、今回のように整理していきまして、また、瀬戸内海で既に栄養塩類管理をしている自治体とは個別にやり取りさせていただいたり、どのようなモニタリングを今後、合意形成の方法等についてどのようにしていくかという点については、個別に相談しているという実態もございますので、当然自治体のみに全てをお任せするという形ではなくて、環境省としても、しっかりこの制度の運用が図られるように関わっていくということを考えております。その点がしっかり見えるようにという御指摘かなと思いますので、そこについても、記述は検討してまいれればと思っております。
 以上です。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。
 その他、事務局において、前回指摘事項等への対応として、資料3を御用意いただいておりますので、御説明をお願いしたいと思います。
【大野専門委員】 すみません、委員長。1点だけ、簡単なコメントを今の骨子についてよろしいですか。
【古米委員長】 はい、どうぞ。
【大野専門委員】 すみません。骨子の1.課題のまとめの二つ目の丸です。ここにCODの環境基準の達成率が横ばいで推移している理由として、難分解性有機物の寄与等と書いてありますが、難分解性有機物については、たしか第3回委員会で、都道府県の方が発表したぐらいで、あまりこの委員会の中で大きく取り上げて議論していないと思います。
 なので、海水中のCOD、総量規制で、陸域の負荷が減っているにもかかわらず、CODの濃度の減少が、環境基準達成率が思わしくないという理由は、ほかに、例えば水質汚濁メカニズムの解析では、内部生産や汚泥からの溶出というものを取り上げて、今解析されているところでもありますし、明確な理由というのがはっきり分かっていないところもあると思います。この難分解性有機物の寄与だけ、もちろん等と入っているので、いろいろあることは分かりますが、この文言をこのように書きますと、一般の企業が見たときに、難分解性というのは今、マイクロプラスチック等々、いろいろありますので、そういった誤解がないように、ここの書きぶりを少し御検討いただければと思います。
 以上でございます。
【古米委員長】 はい。いかがでしょうか。
【森川室長補佐】 御指摘をありがとうございます。御指摘のとおり、CODの環境基準の達成率の横ばいについては、難分解性有機物の寄与だけではなく、ほかの要因も複数あるというのは、前回の専門委員会の水質汚濁メカニズムのところでも御説明したとおりですので、誤解がないように記述をできるよう、工夫していきたいと思います。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、資料3の説明をお願いいたします。
【柴﨑主査】 それでは、資料3の説明をさせていただきます。
 私、海域環境管理室の柴﨑と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、資料3におきましては、前回の委員会における主な御指摘を踏まえまして、追加分析や情報収集等を行いましたので、その結果を御説明させていただければと思います。
 その前にですが、参考資料でございます。参考資料1ですが、こちらで前回の委員会でいただきました御指摘等を一覧にまとめております。
 1ページ目です。一番上のブロックにつきましては、今回のこれから御説明させていただく資料3の中で対応させていただいたものになります。
 また、真ん中のところに記載しておりますCSO負荷量の推定に関する課題につきましては、今先ほど御説明いたしました資料2の在り方骨子案の今後の課題の中に記載をさせていただきました。
 一番下のブロックの中に書かれております御指摘につきましては、これから取りまとめを予定しております答申の第1章から3章の中で対応させていただく予定をしております。
 それでは、資料3のほうに戻らせていただきます。資料3、目次を見ていただくと、大きく分けて三つに分かれております。
 初めに、指定水域の水質汚濁メカニズムについて御説明をさせていただきます。
 2ページを御覧ください。まず、1-1です。こちらは前回の専門委員会では、水質汚濁メカニズムの解析のために、「陸域負荷」、「内部生産」、「外海水の影響」それから、「底泥からの溶出」といった主な要因につきまして、相互作用の状況を明らかにし、各指定水域の水質汚濁メカニズムの特徴を確認するために、まず、2019年度を対象年度といたしまして、水質シミュレーションを行いました。その結果から、COD、T-N、T-Pの年間収支(フラックス)の見積りをいたしました。
 そこで、前回の専門委員会におきまして、複数年度での解析が必要ではないかとの御指摘をいただきましたので、今回、改めて対象年度を2017年度から19年度の3年間といたしまして、再計算を行いました。再計算の結果、前回の委員会で提示いたしました結果から大きな差異はございませんでした。
 続きまして、8ページに移らせていただきます。8ページの単位面積当たりのフラックスにつきましては、こちらも前回の委員会でお示ししているところでございますが、今回は、委員会での御指摘を踏まえまして、窒素とりんにつきまして、有機態と無機態を区別して、図3に結果をお示ししております。いずれの水域におきましても、窒素とりんの底泥への沈降につきましては、ほとんど有機態であることが分かりまして、溶出フラックスの多くは無機態となっていることが明らかとなりました。
 また、CODのフラックスのうち、内部生産と沈降フラックスがほぼ同程度でありましたことから、沈降フラックスは内部生産を主に起源としており、植物プランクトン等に由来する懸濁態有機物や懸濁態の有機態窒素・りんが底泥へ沈降し、底泥で微生物等によって分解された後、溶存態の無機窒素やりんとなって放出されていると考えられました。
 また、3パラグラフ目に書いてございますが、今回、新たに底層DOの現存量(ストック)についても評価を行いました。こちらは底泥直上~1mまでのDOの保存量を湾全体で集計したものになりまして、こちらは、DOの濃度と等しくなっております。
 こちらは沿岸の生物生息環境にとって、底層付近のDOは重要になりますが、底泥中の微生物によって有機物が分解され、CODの無機化に伴いまして、底泥中の酸素が消費されることで、しばしば貧酸素水塊が生じ、各水域の底層DOの濃度も、このプロセスの影響を大きく受けていると考えられました。
 また、7月平均値を用いまして、底層DOのストックを数値シミュレーションで算出いたしましたところ、図4にお示しをしていますが、東京湾では、ほかの指定水域と比較いたしまして、底層DOのストックが少ない傾向にあるということが明らかになりました。これは、各指定水域における有機物の沈降フラックスの大きさと対応した結果になっていると考えておりまして、底泥中の有機物の分解に伴うDOの消費が底層DOのストックにも寄与していると考えております。
 また、8ページ目の最後のパラグラフでございますが、外海とのやり取りにつきましては、いずれの海域におきましても、窒素とりんともに、流入に比べまして、流出のほうが有機態比率は高いという結果になっております。こちらの結果につきましては、各水域は陸域負荷及び地形条件によりまして、外海と比較して内部生産が起こりやすい状況にあり、湾内で生産されたCODや有機態窒素・りんが濃度勾配によって外海へ流出しているということが示唆されました。
 続きまして、10ページに移らせていただきます。10ページにおきましては、過去と現在の水質汚濁メカニズムの比較について書いてございます。こちらにつきましては、前回の委員会での御指摘を踏まえまして、1979年、総量削減制度が始まった当初と、2019年度、現在として採用した年度でございますが、こちらに加えまして、窒素、りんの規制が始まった頃の1999年度の結果を追記することで、窒素、りんの削減効果について少し分析を行いました。各年度につきましては、先ほどの箇所と同様に、3年平均を用いて記載をしております。
 結果につきましては、図5のシリーズにまとめております。
 まず、陸域負荷につきましては、東京湾と伊勢湾ではCOD、窒素、りんについて、1979年、99年、2019年とほぼ線形に削減されてきた一方、大阪湾と大阪湾を除く瀬戸内海におきましては、例えば窒素を見ていただくと、1999年以降の減少幅がより大きくなっているということが明らかとなりました。また、CODの供給フラックスとしては、内部生産が最も大きくなっておりまして、内部生産の要因となる物質は窒素とりんであることから、大阪湾と瀬戸内海におけるCODストックや内部生産の減少幅も1999年以降のほうが大きくなっていたということが明らかとなりました。また、陸域負荷の減少量に対応する形で、各水域のストックの減少や、内部生産及び底泥への沈降量の減少が見られております。
 続きまして、今回新たに底層DOのストックについても、変化量について確認をいたしました。結果につきましては、図5の(4)、(5)にお示しをしております。
 シミュレーション結果におきまして、各指定水域で底層DOの濃度の上昇が見られておりますが、こちらは内部生産の減少によりまして、CODの沈降フラックスが減少し、底層DOの改善につながっている可能性を示していると考えられます。
 また、水中から底泥へ移行するDOのフラックスにつきましては、過去から現在にかけて、少し減少傾向を見せておりまして、水域の平均としては、酸素を消費する底泥中の有機物が減少する等で、底泥環境が改善している可能性が考えられるということでございます。
 ですが一方で、実際のモニタリング調査等におきましては、東京湾や伊勢湾におきまして、底泥環境の改善が少し見られていないことからも、局所的に状況が異なるというようにも考えております。
 最後に、陸域や底泥、外海から供給された栄養塩類のうち、無機態のものが内部生産を介して、COD生成に利用されるということから、無機態の陸域負荷と内部生産フラックスの関係を水域と年代別に図6で整理をしております。
 各水域を御覧いただきますと、窒素、りんの陸域負荷の減少に伴いまして、陸域負荷の内部生産への寄与率が少しずつ減少しているという結果になりました。
 11ページの米印のところに書かせていただいていますが、こちらのシミュレーション上は、2019年度の比較的汚濁負荷の少ない汚泥を初期条件として用いておりまして、過去ケースの底泥からの溶出フラックスにつきましては、少し過小評価になっている可能性がございまして、このシミュレーションの中にも、少し制度上、課題が残っているということを改めてお伝えさせていただきます。
 では、続きまして25ページでは、前回の専門委員会におきまして、東京湾では、水質の指標として、BQIが検討されているというような御指摘をいただきましたので、こちらは湾における水質等の指標の統合化指標としてBQIのほうを少し記載させていただいております。
 中に書いてございますが、東京湾におきまして、こちらの水質関係、生物関係、社会関係等の項目を指標として選定いたしまして、試行的にBQIを算出しているというような試みを記載させていただいております。
 最後に、26ページです。前回、専門委員会で御指摘を受けまして、水域面積当たりの負荷量と水質濃度の推移のグラフを少し作成していただきたいという御指摘をいただきましたので、こちらは第9次と同じように、COD、窒素、りんごとに作成をしております。
 少し説明が長くなってしまいましたが、以上になります。
【古米委員長】 御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関して、御質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、東委員、どうぞ。
【東専門委員】 細かいところの話になりますが、10ページ、「過去と現在の水質汚濁メカニズムの比較」というタイトルでございます。
 ここの冒頭の5行目からの記述で、この後のシミュレーションは、「陸域負荷以外の外海環境・気象条件・水質及び底質の初期条件などは、2019年度ケースと同一とした」ということなので、厳密には過去の水質を再現したわけではなく、過去の負荷量相当で、現在と同じ気象条件等でシミュレーションしたということになります。
 それが11ページの中ほどの米印のところにある「過去の水環境と異なる可能性がある」という記述ですが、そもそも厳密な意味での過去の再現シミュレーションをやっていないということですので、この記載は少しおかしいと感じます。それから、そもそもこの10ページの最初のタイトルで、「過去と現在の」や、あるいはその後、12ページ以降の図のキャプションの「過去~現在の」、その後の続く参考図(3)や、「各年代における」という記述が、どちらの意味でも取れるというか、誤解を生みかねない表現なので、負荷だけが変わったシミュレーション結果であるということが分かるような記述、例えば1979年相当の負荷量のシミュレーションなどのような、過去の再現をやったのではないことが分かるような書きぶりを御検討いただければと思います。
 以上です。
【森川室長補佐】 事務局です。
 御指摘のとおりと思いますので、誤解を生まない表現に改めたいと思います。ありがとうございます。
【古米委員長】 11ページにただし書を入れたのですが、確かにタイトルから見たときに、誤解が生まれないような工夫が必要かなと思います。
【森川室長補佐】 はい。ありがとうございます。
【古米委員長】 ほかに。
 横田委員、お願いいたします。
【横田専門委員】 前回指摘して、資料の作成をしていただき、ありがとうございます。
 先ほどもシミュレーションに関しては、条件が同じもので、過去の流入負荷など、そういうものを見ているということですが、そのときに外海の状態、例えば黒潮の大蛇行など、その辺りのものも考慮されているのか、いないのかということと、結局こういうものを出していただいて、これと豊かな海と言われているものがどう関係しているのかというのを表すことができれば、今問題になっている豊かな海というものがどのように関係しているのか、今後、このような施策が本当に重要なのかというのが見られると思いました。ありがとうございました。
 以上です。
【古米委員長】 はい。いかがでしょうか。
【柴﨑主査】 横田先生、ありがとうございます。シミュレーションの条件につきまして、黒潮の大蛇行等は、このシミュレーションの中には入れられておりませんでして、そちらは今後の課題と考えております。ありがとうございます。
【森川室長補佐】 2点目に御指摘いただきました、今後の豊かな海との関連性についてでございますが、ここでの整理というのは、一旦総量削減制度として、これまでどのような経緯を歩んできて、どのような効果があったのかというのを水質だけで見るのではなくて、大きなフラックス全体として見ていこうというのが、この解析の目的ではございました。
 ただ、今後、今回、総量管理制度という形で変更していくに当たっても、今後同じような同様の解析をしていくことで、知見の積み重ね等を図りながら、豊かな海というものについて、検討を深めてまいれればと思っております。今後の課題として受け止めさせていただきます。ありがとうございます。
【古米委員長】 ほかにいかがでしょうか。WEB参加の委員もよろしいでしょうか。
 特にないようですので、御質疑、どうもありがとうございました。
 それでは、これにて本日の議題は以上でございますが、全体を通じて御発言があれば、お願いしたいと思います。
 今回、最終的な骨子案ということで、今日、非常に活発な質疑ができたかと思います。
 よろしいでしょうか。
 はい。それでは、特になければ、以上にしたいと思います。
 事務局におかれましては、本日いただきました御意見を踏まえて、答申案をまとめていただくようにお願いしたいと思います。
 それでは、議事を事務局にお返しいたします。
【西川室長】 古米委員長、ありがとうございました。
 本日、活発な御議論をいただきまして、事務局からもお礼を申し上げます。
 また、オンライン参加の委員の皆様におかれましては、音声が聞き取りにくいなどの不具合がございまして、大変失礼をいたしました。お詫びいたします。
 次回ですが、11月7日を予定してございます。本日いただきました御意見を踏まえた答申案について御審議をいただければと思っております。
 また、議事録につきましては事務局で作成の上、改めて皆様の御確認をお願いし、環境省のホームページに掲載をいたします。
 以上をもちまして、第6回の総量削減専門委員会を閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。
午前11時56分 閉会