中央環境審議会 水環境・土壌農薬部会 総量削減専門委員会(第10次)(第5回)議事録

議事次第

1.開会
2.議題
 (1)指定水域の水質汚濁メカニズムについて
 (2)海域における生物の多様性及び生産性に影響を及ぼす要因について
 (3)水質将来予測について
 (4)汚濁負荷削減対策等の実施状況について
 (5)その他
3.閉会

資料一覧

  • 資料1      総量削減専門委員会委員名簿
  • 資料2      指定水域の水質汚濁メカニズムについて
  • 資料3      海域における生物の多様性及び生産性に影響を及ぼす要因に関する知見
  • 資料4      水質将来予測について
  • 資料4(別紙) 環境基準点ごとの将来予測濃度と環境基準値との比較データ一覧
  • 資料5      汚濁負荷削減対策等の実施状況
  • 資料6      委員会での指摘を踏まえた発生源負荷や水環境の現状等に係る追加分析
  • 参考資料1    総量削減専門委員会における主な指摘事項等について
  • 参考資料2    千葉県及び三重県からの追加提出資料
  • 参考資料3    第5回総量削減専門委員会 資料3に対する意見

議事録

午前9時31分 開会
【西山室長】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから、中央環境審議会水環境・土壌農薬部会第5回総量削減専門委員会を開会させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。
 本日は、会場とWEB会議併用の開催といたしております。会場で御参加の委員の皆様は、発言時、手前にあります名札を立てて表示をしていただきますようお願いいたします。また、机に置いてございます丸いスピーカーのボタンにつきましては、会議中、常時オンにしておりますので、触らないようにお願いいたします。
 WEBで御参加の委員の皆様におかれましては、発言時以外はカメラはオフ、マイクはミュートにしていただきまして、発言を御希望される場合には挙手ボタンをクリックし、発言が終わられましたら、ボタンを再度クリックして挙手を解除いただければと思います。会議中に音声が聞き取りにくいなど不都合がございましたら、WEB会議のチャット機能や事務局までお電話いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 なお、本日の会議につきましては、中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただいており、YouTubeの環境省海洋環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行ってございます。
 本日の委員の出席状況でございます。委員17名中、山口委員から御欠席の連絡をいただいておりますが、ほか16名につきましては御参加を予定しておりまして、定足数の要件を満たし、専門委員会として成立していることを御報告させていただきます。なお、三浦委員につきましては、途中から参加をいただけると伺ってございます。
 続きまして、本日の資料についてでございます。本日は、第1回の専門委員会における現状分析、第2回~4回に行いましたヒアリングの結果を踏まえまして、次回以降、第10次総量削減の在り方について、具体的に御議論いただくための基礎となります、海洋環境に係るメカニズムや科学的知見について御審議をいただきたいと思ってございます。
 資料の構成としまして、資料1は委員名簿、資料2が指定水域の水質汚濁メカニズム、資料3が海域における生物の多様性及び生産性に影響を及ぼす要因に関する知見、資料4が水質将来予測、資料5が汚濁負荷削減対策等の実施状況、資料6がこれまでの委員会での御指摘を踏まえた発生源負荷や水環境の現状等に係る追加分析、また、参考資料1がこれまでの委員会での主な指摘事項、参考資料2がヒアリングでの御指摘を踏まえた千葉県と三重県からの追加提出資料、参考資料3が本日御欠席の山口委員から事前に頂戴いたしました、資料3に対する御意見となってございます。過不足等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 それでは、これより議事に移りたいと思います。
 古米委員長、よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 おはようございます。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 それでは早速、議事に入りたいと思います。限られた時間の中で、円滑な議事進行に御協力をお願いしたいと存じます。
 議題1、指定水域の水質汚濁メカニズムについて、事務局より資料2を用いて御説明をお願いしたいと思います。
【森川室長補佐】 環境省の海域環境管理室の森川と申します。よろしくお願いいたします。
 本日、資料2に図が幾つかありますが、図と文章を行ったり来たりしながら説明いたします。会場にお越しの皆様におかれては、机上に図だけ抜粋した資料を御用意しておりますので、もし、そちらのほうが見やすいようでしたら、文章と照らし合わせながら、御覧いただければと思います。
 それでは、資料2、指定水域の水質汚濁メカニズムについて御説明申し上げます。
 表紙のところに目次構成がございますが、まず、1-1として各要因ごとの分析です。水質汚濁に影響を与える要因ごとの分析として、(1)~(7)のそれぞれの要因について、現在の知見、または水質シミュレーションによる結果を用いて状況を記載しております。
 そして、1-2において、各要因ごとには、それぞれ各要因のみで完結しているわけではなく、それぞれの要因ごとに、相互に関連し合っているという観点から、フラックス図、物質収支を見える化して、それを用いた水質汚濁メカニズムについて、現状の知見をベースに解析をしております。そちらについて、1-2で説明いたします。
 全体としては、今申し上げたように、1-1、1-2の2段構成です。前回、第9次の検討の際には、1-1の御説明のみ整理してございましたが、今回、1-2については全体、各要因ごとに、どのように関連し合っているのかということも御質問、御意見等をいただいておりましたので、1-2を新しく整理したものになります。
 めくっていただきまして、2ページです。まず、水質汚濁に影響を与える要因として、全体のメカニズムを図1で示しております。御承知のとおり、閉鎖性海域においては、外海と海水が交換しにくいという特性があるため、汚濁物質が海域内部に蓄積しやすい状況です。また、夏には、海面の水温上昇と河川からの淡水の流入により成層構造が発達し、海水が鉛直方向に混合しにくくなるため、底層の溶存酸素が低下しやすくなるような特徴も有しております。このため、閉鎖性海域においては、COD、窒素、りんの濃度が外海と比較して高く、赤潮や貧酸素水塊といった海域環境保全上の問題が発生しているという状況になります。
 閉鎖性海域における水質汚濁に影響する主な要因としては、陸域からの有機汚濁物質及び栄養塩類の流入、内部生産、有機物の沈降、堆積及び分解と底質からの栄養塩類の溶出、外海との海水交換、藻場・干潟による水質浄化、潮流による海水の移動・攪拌等がございます。
 3ページ目以降に、各要因ごとの分析についてそれぞれ詳述しております。現在得られている既往の文献や数値シミュレーションの結果から、知見を整理したものになります。
 (1)陸域負荷についてです。陸域で発生する汚濁物質が水質濃度に一定の影響を及ぼしております。指定水域における水域面積当たりの汚濁負荷量と水質濃度の関係を見ると、COD、窒素、りんのいずれも、水域面積当たりの汚濁負荷量が大きい指定水域ほど水質濃度が高くなっており、窒素及びりんについては、汚濁負荷量の削減に伴い、水質濃度の低下が見られている状況です。また、数値シミュレーションによる感度解析の結果では、いずれの海域においても、窒素及びりんの負荷削減によりT-N濃度(全窒素濃度)、全りん濃度が低下するということが、また、CODの負荷削減によりCOD濃度が低下するということが示唆されております。一方、実際の海域の一部においては、汚濁負荷量の削減にもかかわらず、CODの水質濃度は横ばい、または上昇する傾向が見られております。今申し上げたものについては、図2~図4の部分の結果になります。
 また、底層DOについては、数値シミュレーションによる感度解析の結果で、いずれの指定水域でも、窒素及びりんの負荷削減により底層DOが上昇するということが示唆されております。また、近年、気候変動に伴う海水温の上昇により、東京湾において貧酸素水塊の体積が増加することも予測されておりますが、その対策として、生活系等の陸域負荷の削減によって貧酸素水塊を抑制できることが報告されております。
 (2)内部生産についてです。植物プランクトンの内部生産により、海域の窒素及びりんが消費され有機物が生成されるため、水質濃度に一定の影響を及ぼしております。また、内部生産により増殖した植物プランクトンが海底に沈降・堆積することで、底質中の有機物量に一定の影響を及ぼします。窒素・りんは、第5次の総量削減から指定項目に追加され、総量規制の対象となるとともに、下水道の高度処理化が進められ、内部生産を抑制する効果が現れております。数値シミュレーションによる感度解析結果において、CODの負荷削減のみならず、窒素・りんの負荷削減が海域のCOD濃度を低下させることが、いずれの指定水域でも示唆されております。内部生産の指標であるクロロフィルa濃度の推移を見ると、いずれの指定水域も横ばいとなっており、瀬戸内海においては、陸域負荷の削減に伴う植物プランクトンの生物量の低下は見られないものの、植物プランクトンの種組成の変化が確認されたという報告もされております。また、長期的な水温上昇によって、植物プランクトンの大規模増殖の早期化を引き起こしている可能性も示唆されており、水質への影響も危惧されております。
 (3)底泥からの溶出です。海域の底泥は、水質と相互に影響していることが分かっておりまして、海域で発生した植物プランクトンや有機汚濁物質が海底に沈降・堆積し、底生生物や微生物により分解され、窒素、りんが溶出し、水質濃度に一定の影響を及ぼします。底泥からの溶出量は、陸域負荷や底質環境によって海域ごとに異なるということも報告されております。瀬戸内海においては、窒素及びりんの約3割が海底から供給されているとの知見があるものの、まだ一定程度議論があるという状況になります。
 (4)外海水の影響です。指定水域の近海から外海水が指定水域に流入することで、水質濃度に一定の影響を及ぼしており、特に外海に近い湾口部においては、その影響が大きい状況です。外海水は高塩分水塊であり、密度躍層を発達させるため、貧酸素水塊の形成や分布に影響を及ぼす可能性があると報告されております。瀬戸内海の近海における外海水のCODはやや増加傾向となっており、外海水のCODは難分解性の溶存態有機物であると考えられております。瀬戸内海でCODが若干増の傾向にある要因としては、外海水の影響が指摘されているという状況です。
 続いて、(5)難分解性有機物になります。指定水域において、陸域からの汚濁負荷の削減にもかかわらず、COD濃度が変化しない、または上昇している要因の一つとして、近年、CODの難分解化が指摘されております。分解しにくいCODが増加するということで、CODの滞留時間が長くなり、COD濃度が上昇するというプロセスで水質濃度に一定の影響を及ぼします。有機物の難分解化については、下水道整備等の排水処理の高度化や、栄養塩類の低下による微生物の活性の低下などが原因として指摘されております。指定水域における個別の知見として、東京湾では過去と比較して下水道が整備されており、相対的に多くの難分解性有機物が供給されているということが示唆されております。瀬戸内海では陸域からの窒素の負荷削減によって有機物の組成変化と難分解化が生じている、また、大阪湾では湾奥ほど難分解性有機物の割合が低く、湾口に向かうにつれて難分解性有機物の割合が高くなるという報告もございます。さらに、潮間帯と潮下帯とでの堆積有機物の分解特性が異なり、潮下帯の難分解性有機物の起源は植物プランクトン由来と示唆されております。
 (6)藻場・干潟です。藻場・干潟については、沿岸域は沖合と比較して環境の多様度が高く、藻場・干潟等は水産資源を含む多様な生物の生息・生育の場であるとともに、水質の浄化などの機能も有し、良好な水環境を維持する上で重要な役割を果たしております。バクテリアや底生生物による分解、貝類によるろ過、藻類による固定、鳥類や魚類による搬出等を通じて有機物、窒素やりんが除去されております。これらの機能は生物の代謝により発現されることから、藻場・干潟という基盤に生物が豊かに存在することにより、その機能が支えられているという状況になります。また、藻場は基礎生産者としての役割があり、藻場が生育する浅海域においては、大型海藻・海草の生産速度は植物プランクトンを上回るという場合が多くございます。干潟は地形や潮汐等の環境の多様性に応じて様々な生物が生息しており、また、干潟は生物生産性が極めて高いため、「海のゆりかご」とも呼ばれております。
 一方で、指定水域における藻場・干潟の面積の推移を見ると、いずれの指定水域でも減少傾向となっております。三河湾では、1970年以降の干潟・浅場の消失に伴う水質浄化機能の低下により、窒素・りんの循環過程で、藻場・干潟の動物群集が担っていた懸濁有機態から溶存無機態への分解経路が劣化したことで、高次の生物群集の生産に転換されにくくなりました。そのため、懸濁有機態である植物プランクトンが沈降して底層で分解される割合が増加し、底層の貧酸素化の主要因になったとも考えられております。現存する干潟では水質浄化機能が確認されるとともに、アマモ場を通過する底層水に溶存酸素が付加される様子が確認されています。また、アマモの繁茂によって水の流れが弱まり、地盤の安定性が保たれることで、アマモ場では底生微小藻類の現存量が大きく増加していることが示唆されております。
 (7)気候変動についてです。前文として、気候変動が海域の水質へ影響を与えるメカニズムは多岐にわたっており、水質・水生生態系への影響が既に生じている、あるいは将来生じると予測されております。気候変動による影響としては、主に降水量・降水パターンの変化や水温上昇という、この二つが挙げられます。
 まず、降水量・降水パターンの変化に伴う水質への影響としては、短時間の降水の頻度・強度が増大する流域では土砂流出量や浮遊砂量が増加し、河川を通じた沿岸域への濁質の流入増加等による水質への影響が想定されます。また、水温上昇に伴う水質への影響としては、河川の水温上昇によって水中に溶ける酸素量の低下や、微生物による有機物分解反応、硝化反応の促進によるDOの消費、植物プランクトンの増加等による水質への影響も想定されます。瀬戸内海では、水温の上昇によって一次生産の増減が季節ごとに確認されたり、大阪湾においては、貧酸素水塊の発生期間が長期化する可能性が見られております。東京湾内湾部、伊勢湾、三河湾においては、貧酸素水塊の体積変化が予測されており、東京湾内湾部、伊勢湾では増加し、三河湾では減少する可能性があると報告されています。また、水温上昇については黒潮の蛇行による影響が見られる海域もありますが、黒潮の流路の変動と地球温暖化との関連については、まだ十分に解明されていないと言われております。そのほか、東京湾では、気候変動に伴い海域上の強風の継続時間が減少することで、貧酸素水塊の解消が遅くなることや、気候変動によって磯焼けが発生・拡大するとともに、アイゴ等の植食性動物の食害によりアマモ場の減少等につながっているとの知見がございます。
 7ページ目以降は、先ほど申し上げた陸域負荷に関する図の説明になります。
 続いて、大きく二つに分けると申し上げた1-2についてです。今申し上げた各要因ごとについては、それぞれ相互に関連し合っているということから、その状況を解析するために、1-2で解析した図とともに現状の状況を説明しております。
 まず、15ページ目を御覧ください。1-2-1.指定水域における水質汚濁メカニズムについてです。ここでは、「陸域負荷」、「内部生産」、「外海水の影響」、「底泥からの溶出」といった主な要因について、相互に作用しながら水質に影響を与えていることから、相互作用の状況を明らかにし、各指定水域における水質汚濁の特徴を確認するため、2019年度を対象年度として、水質シミュレーション結果を用いて、COD、T-N、T-Pの年間収支を見積もりました。フラックス図については、図6から示しております。図5については、フラックス図の説明を記載しておりまして、まず、そちらの説明を簡単にいたします。
 17ページ、図5を御覧ください。図中の各フラックスは、区分した水域全体を対象にした値[ton/day]を示しておりまして、対象水域に対して増加するフラックスを正値、減少するフラックスを負値で示しています。図の中にある黄色の枠については、対象水域の水中で積算された現存量と面積で除した単位面積当たりの保存量及び容積で割った平均水質濃度を示しています。下にある赤枠については、対象水域のフラックスを合計した、マイナスやプラスなどがありますが、それを合計した収支と容積で割った値を示しています。底泥に堆積したCOD中の有機物は分解・無機化され溶存無機炭素となり、溶出フラックスとして集計されないため、CODとしての溶出フラックスは小さく表れるといった課題がございます。
 シミュレーションの結果によるフラックスの具体的な算定方法ですが、生産、沈降、溶出、脱窒について、対象水域の範囲に含まれる全ての計算格子で累積し、1年間の平均値として算出しました。また、外海等との輸送フラックスは、水域境界に該当する計算格子での輸送フラックスを面的に累積し、同じく1年間の平均値として算出したものになります。
 図6の(1)について東京湾、左と右の差は、先ほど申し上げたとおりですが、図6の(1)の左上の図を見ていただくと、湾奥が左側、湾口が右側を示しています。図6の(2)の伊勢湾についても同じような考え方で、図の中に示している左側、狭義の伊勢湾と三河湾の関係を図の中で示してございます。図6の(3)については、瀬戸内海の状況です。こちらは大阪湾とそれ以外、大阪湾以外と瀬戸内海の関係を図6の(3)で示しております。
 資料の15ページに戻り、2段落目のところからの文章を御説明します。各指定水域におけるCOD、T-N、T-Pのフラックス図を見ると、いずれの水域においても、CODは陸域負荷や底泥からの溶出に比べて内部生産による供給が大きく、生産されたCODの多くが底泥に堆積しています。また、T-N、T-Pは、陸域負荷と底泥からの溶出が同程度となっており、供給されたT-N、T-Pの多くが内部生産を通じて底泥に堆積しております。
 続いて、各指定水域におけるフラックスの大きさは指定水域の広さによっても影響されることから、各指定水域間でフラックスの大きさを比較するため、フラックスを指定水域の面積で除した値を算出しております。
 そちらが資料21ページにある、図7になります。こちらは、先ほど申し上げたとおりですが、それぞれの指定水域における、例えば内部生産、左上の緑色の図で御覧いただくと、内部生産量を各指定水域ごとに比較するために、各指定水域の面積で割ったものをグラフとして示しております。内部生産量は東京湾が一番多いというのが分かるかと思います。
 資料の15ページに戻ります。指定水域間での単位面積当たりのフラックスを比較すると、東京湾では、陸域負荷から外海にかけて、いずれのフラックスも他の指定水域と比較して大きいというのが分かるかと思います。また、伊勢湾は、大阪湾よりも単位面積当たりの陸域負荷のフラックスが小さいものの、水中-底泥間のフラックス及び内部生産のフラックスは同程度であり、外海への流出は少ないため、陸域負荷が内部生産を通じて沈降し、底泥での分解を介して溶出するメカニズムが、海域中の窒素及びりんの現存量に比較的大きく寄与しているということが考えられます。瀬戸内海はいずれの項目についても、他の指定水域と比較してフラックスが全体として小さいという状況がございます。各指定水域における詳細な特徴は下記に示すとおりで、ここでは割愛させていただきます。
 続いて、22ページ、1-2-2になります。こちらは過去と現在の水質汚濁メカニズムの比較を行ったものになります。
 図として、後半23ページ目以降に図8の(1)~(9)まで載せてございます。こちらは23ページ左側、図8の(1)を御覧いただけると、左側に1979年度頃の状況、右側に2019年度、現況のものを載せております。こちらは右と左で比較すると、陸域からの負荷が、図の左上の矢印、陸域というところを御覧いただくと、CODがグレー、青が窒素、緑がりんの陸域からの負荷量を示しておりますが、2019年度のものと比較すると、79年度のものは陸域からの負荷量が多いということが分かるかと思います。
 それに関して22ページに、解析した結果を記載しております。4行目のところから御説明申し上げます。陸域負荷以外の外海環境・気象条件・水質及び底質の初期条件などは、1979年度のものについては、2019年度のものと同一にしております。指定水域のいずれにおいても、2019年度現在の陸域負荷は1979年度と比較して44%~68%程度減少しており、内部生産量は減少しております。東京湾の湾奥部では変化が特に顕著であり、東京湾の湾奥部については、内部生産が大きく減少しており、併せて底泥へのCOD沈降フラックスも大きく減少していることが分かっております。同じく伊勢湾、大阪湾でも、それぞれ内部生産が減少し、底泥へのCOD沈降フラックスが減少しております。これらの内部生産の減少に伴って、水中での分解量及び底泥への沈降フラックスが減少することにより、水中及び底泥での酸素消費量が減少し、底層DOが改善しているということが考えられます。これはCODの分解量が1979年度に比較して2019年度で小さくなっているということからも示唆されております。
 指定水域ごとに整理すると、1979年度は、陸域負荷により供給されるT-N、T-Pが、水域内へ供給される総量のうちのそれぞれ21%~35%及び21%~34%でございましたが、2019年度は、それぞれ15%~21%、11%~16%まで減少しており、これに伴い、底泥や外海からの供給の寄与が増加し、特に比較的深度が浅い伊勢湾、東京湾の湾奥部などにおいて、底泥からの溶出の寄与の増加が大きいということが分かります。また、上記と並行して、水域の平均水質濃度もそれぞれ10%~50%程度の減少が見られ、水質濃度が改善している結果が示されております。
 このように1979年度から2019年度にかけて、海域の物質収支に及ぼす陸域負荷の寄与が低下したことに伴い、底泥や外海の寄与が相対的に増しており、総量削減制度による陸域負荷の継続的な削減の効果と考えられます。また、底泥への沈降フラックスが減少しており、陸域負荷が底泥環境に与える影響が緩和している可能性が示唆されております。これは、総量削減制度の効果であり、陸域からの負荷削減により水質が改善していることを示しております。
 以降、※で書いてあるものは、実際のこの図、シミュレーションをするに当たっての留意点を記載しております。
 長くなりましたが、資料2の説明は以上になります。
【古米委員長】 御説明をどうもありがとうございました。
 それでは、今の御説明に関しまして、委員の方々から御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 では、岡田委員、続いて風間委員でお願いしたいと思います。
【岡田専門委員】 岡田です。
 図6と図8の底泥海面でのフラックスについて、2点ほどコメント及び質問をさせていただきます。
 このモデルの詳細を私はまだ正確には把握していないのですが、恐らくこのモデルは底生生物による有機物の除去というのは考慮していないモデルなのかなと思っています。もし、底生生物による有機物の除去の効果を考慮していないのならば、流入負荷をどれだけ減らしても、底泥界面におけるCODとT-N、T-Pのフラックスは、どうしても蓄積傾向になってしまうと思います。そうすると、過去と比較して蓄積フラックスは減ってはいるものの、依然として蓄積傾向だとなると、どうしても流入負荷を今後まだまだ減らしていかなければならないのではないかという方向に行ってしまうことを少し懸念しています。
 一方で、もし、ここで底生生物による除去の効果を考慮し、そこできちんと除去されていますよとなれば、これ以上、流入負荷を減らす必要はないですよねと、そのような議論もできるのかなと思っています。理想的には、今後、このモデルの中に底生生物の効果というのを入れられるのならば、入れて検討していただけると良いというのが一つですが、さすがにモデルに底生生物を入れて計算するのは難しいということならば、せめて底層のDOぐらい計算していただいて、底層が貧酸素化していないのであれば、そこには健全な底生生物相がいるので、このくらいの蓄積量はキャパシティーとして許されるのだろうなど、何かそのような議論もできるのかなと、この計算結果を見て感じました。ですから、この計算結果について、環境省としては、どのように評価する方向性でいるのかというところをお伺いしたいというのが1点目です。
 そして2点目です。今回、この計算結果は、一つの湾を一つのボックスとして考えているのですが、場合によっては、ある湾の一部ではフラックスとして蓄積方向にはなっていない場所があったり、この平均値よりも大きな蓄積量になっているところもあると思います。第9次の目標として、きめ細やか、海域ごと、というワードに照らし合わせて見ると、果たして、今後このように湾全体、一つのボックスで収支を見ていく方向性でいいのかどうなのか、その辺り、どのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
 よろしくお願いします。
【古米委員長】 ありがとうございます。
 それでは、続いて風間委員、どうぞ。
【風間専門委員】 お願いいたします。
 図1についてです。こちらは前回、第9次で示されたもので、今回、ここは要因だけですが、この後、おそらく現状編という資料を作られるかと思います。その場合、この図1の中に、反映したような図にしてほしいです。特に一番下のほうに、近年の状況として、難分解性有機物など、*で書いてありますが、この図というのが、ここの部分の根幹となる図ですので、今回作り直される場合は、難分解性有機物というようなことが、この図の中に反映されるように、ただ、COD濃度の増大*でなくて、ここのところに難分解性有機物云々というようなコメントをつけるような形で修正してほしいです。
 それから、上のほうに陸域、外海とありますが、今回の中では、外洋水のことが割と大事に取り扱ってくださっていると思います。そうすると、陸域、外海では、外海が非常に薄く見えてしまうので、陸域と外海を分離していただきたいです。
 それから、下のほうに底質の悪化と書いてありますが、今回の本文の中には、底泥からの溶出というような言葉があります。そういったキーワードと、それから図の中のコメントを同じ表現でやってほしいということです。もし、できることなら、ここの内部生産のところに、赤潮で種組成の変化というような言葉が出ておりますが、そういうのも、赤潮の発生等ではなくて、そこにそういうのも入ったらいいなということです。ともかく図1を、今回の第10次用に分かりやすく、本文がなくても、うまく図1で代表されると思いますので、その部分の改善をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
【古米委員長】 あと、西嶋委員と田中委員です。
 それでは、西嶋委員、田中委員の順番でお願いします。
【西嶋臨時委員】 西嶋です。
 私も、先ほど岡田委員からあった底泥の部分が非常に気になっています。1970年代、内部生産が非常に大きかったときは、底泥に非常に多くのものが移行して、そこから溶出、分解が追いついていかないという状態は当然起こっていたと思います。ですので、蓄積傾向というのは理解するところですが、現在でも本当にそうなのかというところは非常にやはり大きな視点で、よく水はきれいになってもなかなか生物生産が戻らないなど、ヒステリシスというような言葉を使われたり、昔の水質が同じ、きれいになったとしても、実際の生物生産などが変わらない理由として、底泥のほうに履歴が残って、そこの浄化が水ほどは速くいかないので、ある程度遅れが生じるというようなことを言われています。そういう面でも、底泥が現在もストック傾向であるということになってくると、まだまだ改善というのは進んでいっていないということにもなるので、そこが現状、この計算では、いまだに蓄積のほうが大きいというところは、もう少し精査をいただく必要があるのかなと思います。
 一つの根拠は、瀬戸内海だと10年に1回、底泥とベントスの調査をされていると思いますが、一番直近は第4回、もう10年ぐらい前になりますが、第2回、第3回と比べて、底泥の有機物量は減っているというデータになっていると思いますので、そういう意味では底泥の浄化も進んでいるのではないかと期待されるところです。そういう意味で、今回の計算とは少し矛盾しているところもあるので、すぐにはできないかもしれませんが、今後、その辺りの精査をお願いしたいと思います。
 以上です。
【古米委員長】 田中委員、どうぞ。
【田中臨時委員】 どうもありがとうございます。
 私は、図8は、いろんな問題はあっても、全体の流れが分かるようになったので、理解は少ししやすくなったかなと思います。ただし、今の話があったように、底質側の、特に過去の履歴部分がかなり想定で入っているので、そこの部分の懸念は少しあるので、その精査がもう少し必要だというのは同意します。
 その上で、特にこの40年間、確かに陸域でずっと負荷を減らしてきたのですが、減らし方が、最近20年と過去の20年~40年で違います。要するに、先ほど御説明があったように、窒素・りんの総量規制をかなり強化した最近20年間と、それ以前の20年間で、おそらく減り方がかなり違っているかもしれません。その際に、この収支図がどう変わっているかも、できれば一緒に見て、最近20年間の窒素・りんを減らしている意味がどういうところにあったかを、もう一度、このような収支図で理解するようにしたほうがよいのではないかと思います。つまり、1999年頃か2000年頃、この情報が、もう一段階入れば、もう少し理解が深まるかなと思いました。
 それから、もう一点は、これは少し私の理解が間違っているのかも分かりませんが、先ほどの図7の外海と書いてあるところで、ここは正味と書いてあります。正味というのは、ネットという意味で、インとアウトの差ですよね。これは、本当にここまで大きな数字になるのでしょうか。先ほどからの収支図をそれぞれ見ていくと、外海というところの境界で見ると、フローとしては大きいが、結局希釈して持ち出している量も多くて、全体としては、どこも湾としては持ち出し量のほうが大きくなっています。そうすると、誤解を招くのは、正味で書いてあるのは、これは外から入ってきた量のことを言っているのか、それとも持ち出しも含めたネットのことを言っているのか。この意味だと、外から持ち込まれている量がかなりあるというような、少し誤解を受ける可能性があるのですが、それは本当に正しいのでしょうか。その辺りを確認させてください。
【古米委員長】 どうもありがとうございます。
 それでは、事務局から御回答をお願いいたします。
【工藤海域環境対策推進官】 御指摘ありがとうございました。
 まず、底泥へのフラックスに係る御指摘についてお答えさせていただきます。
 御指摘をいただいたように、底生生物での有機物の状況については、現在のモデルには考慮はされていないと考えておりまして、底泥へのフラックスが過大になっているといったところは、このモデルの課題と感じております。一方で、各湾を比べてみますと、東京湾、伊勢湾と比べて、瀬戸内海につきましては、底泥へのフラックスと底泥からの溶出というところが割と均衡してきておりまして、そういった意味では、東京湾、伊勢湾については、底泥へのフラックスということが相対的に大きいというところは、シミュレーション上の結果としてはあろうかと考えております。
 また、こちらもシミュレーション上の課題になりますが、今回、過去の1979年のシミュレーションを実施をしており、こちらにつきまして、底質の状況については現在の状況を使ったままやっております。そうすると、恐らく、1979年度のほうは、さらに底泥への堆積がしていると考えられますので、1979年度の溶出の結果が過小評価になっていることも課題としては挙げられまして、そういったところを加味しながら、このシミュレーションをひもといていく必要があると感じております。
 西嶋委員から御指摘いただいたとおり、瀬戸内海におきましては、底質のTOCが改善傾向にあり、また、底層DOにつきましても、平均が4.0㎎/L以上になっておりまして、底層環境は改善しているという結果がモニタリングデータでも示されておりますので、そういった各湾ごとの違いもあるかと感じております。
 以上でございます。
【森川室長補佐】 私からは、風間委員と田中委員から御質問いただいた件について、御説明させていただきます。
 風間委員からは、図1について、第9次のものがベースになっているので、第10次のものに合わせて、しっかりこのタイミングで図1を充実させてほしいという御指摘かと思います。おっしゃるとおりですので、このタイミングで、以降の記述をベースに、図1について充実させるところはさせていきたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
 田中委員からは、全体的に見やすくなったという御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 そのほか陸域から減らしてきた、現状、1979年と2019年の比較をしているという状況ですが、中間年度のあたりもあったほうが見やすいのではないかという御指摘かと思います。そこについて、この図の目的は、指定水域全体として物質収支がどのような状況なのかということ、また、過去と現在の比較というのを、大まかな状況をしっかり把握するというところを目的としておりますが、より分かりやすくするという観点で、引き続き、我々でも、どのようなことができるかというのを考えていければと思っております。
 また、最後、図7で、外海の正味が少し分かりづらいのではないかという御指摘いただきました。御質問の中でおっしゃっていただいたとおり、外海に出ていく量のほうが多いという状況ですが、そこがプラスというのが少し表現として見づらいということだったかなと思います。図としてはしっかり説明、整理はできているのですが、見え方として少し分かりづらいということだったと思うので、ここの部分は見やすくなるような工夫をしていきたいと思います。ありがとうございます。
【古米委員長】 要は、これは逆方向に行っているので、正味というのは外海に行っている負荷量を表示しているという意味ですが、ほかはみんな内海にどれだけ入ってきたかなので、逆転しているので、それを直すということですね。
【森川室長補佐】 はい。
【田中臨時委員】 確認です。そうすると、正味という表現は変えてもらう、変えられるということですか。正味というのはネットですよね、差引きになりますよね。今の話だと、外から入ってくる量ですよね。
【森川室長補佐】 注書きで、ここは外に出ていく量のほうをプラスとして捉えているなどのような説明書きを追加したいと思います。
【田中臨時委員】 それを説明するということと、それからその際に、いかにも外海が汚染源になっているような印象を与えているので、そこの表現は文章をもう一度見直す必要が少しあるかなと思いました。例えば、陸域と比べて、外から入ってくる量が確かに水量は多く、外海の変化による部分も確かにあるとは思いますが、それが陸域と比べてどうのこうのというのは何かおかしい気がして、それであれば、ネットという数字でしっかり出さなくてはいけませんし。
【古米委員長】 底泥と同じように、外海とのやり取りで、外海にどれだけ出ていて、外海からどれだけ入っているかを両方表記すれば、正味とわざわざ書かなくてもいいわけで、そちらのほうが私も理解しやすいと思います。そのように少し工夫していただければと思います。
 それでは、和木委員、そして古川委員、御質問をお願いします。
【和木専門委員】 すみません、この図6などにあるフラックスの陸域からの流入についてです。この陸域からの流入は、恐らく排水濃度を基に試算されたと思いますが、例えば田畑からの流出などの面源負荷は考慮されていないのでしょうか。また、その理由は寄与が小さいからかということを質問したいと思います。
【古米委員長】 古川委員、どうぞ。
【古川専門委員】 委員長、ありがとうございます。
 陸域からの負荷削減における水質改善の科学的検証を行っていただき、一定程度ですが、その因果関係を示していただきました。感謝を申し上げます。
 他方で、これまでも議論があったように、科学的な因果関係が必ずしもすべて明らかになっているわけではないと思っております。産業界はこの情報が非常に大切だと考えておりますので、陸域からの負荷削減に対する効果を考える上でも、引き続き、詳細な分析を行い、因果関係の解明に御尽力いただきたいと思っております。
 あわせて、産業系では、目標値を上回って削減を達成している海域もございます。削減対策には、コストや二酸化炭素排出を伴うものもございますので、水質の改善のみならず、環境負荷全体の効果的な削減という観点で、目標値を設定していくことが今後は重要ではないかと考えております。
 以上でございます。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。東委員、どうぞ。
【東専門委員】 先ほどの議論の中にありました外海について、外海との汚濁物質のフローが正味のT-N、T-Pは流出しているとありますが、恐らく外界からは栄養塩として入ってきて、有機態に変わって外界に出ていくことになるため、内部生産への影響に外界は関わっていると思われます。一度、栄養塩でフローを見たほうがよいのではないかと思います。
 あと、もう一つ、先ほど底泥が現在でも沈降が卓越している点について、少し気になるのは、2019年という年が少し特殊というところがあり、東京湾では強風災害をもたらした非常に強い台風が来ております。1つの年度だけでなく、複数の年度で結果を確認した方がよいかと思われます。過去の1979年の計算も同様で、2019年と同じ気象条件で計算されているということなので、他の年度での検討も必要だと思われますので、御検討ください。
【古米委員長】 オンラインの珠坪委員、どうぞ。
【珠坪専門委員】 図8の上のほうに脱窒と記載がありますが、これは水中の脱窒を示していて、特に底泥の中の脱窒は示していないという感じでしょうか。
【古米委員長】 それでは、事務局から御説明をお願いします。
【工藤海域環境対策推進官】 和木委員、御指摘の陸域の負荷につきましては、こちらは点源の工場・事業場、下水処理場などの陸域負荷に加えて、面源の負荷も含まれたものになっておりますので、全体の流域からの陸域負荷を表しているものでございます。
【珠坪専門委員】 脱窒という文字が書いてありますが、これは水域の脱窒を示しているのでしょうか、底泥からの脱窒は入っているのでしょうかという質問です。
【森川室長補佐】 ありがとうございます。環境省の森川です。
 こちらは水中からの脱窒のみを示してございます。
【珠坪専門委員】 了解しました。実際、かなり底泥でも脱窒は起きていると思いますが、それに関して、特にここでは計算されていない感じですか。
【森川室長補佐】 はい、そのような状況になります。
【珠坪専門委員】 はい、了解しました。
【古米委員長】 あとは、古川委員、東委員のコメントということでよろしいですか。
 今の段階でのシミュレーションですが、より精査して追加の計算なり、モデルでどう水質を予測して、総量削減の意味というものをしっかり整理していくということだと思います。
 私自身は、こういったフラックス図が出て、水質汚濁のメカニズムがある程度定量化された形で、見やすくなってきているということは非常に重要かなと思っています。まだ、底泥の部分の課題がありますが。
 オンラインの横田委員、どうぞ。
【横田専門委員】 横田です。
 ここに図8のところで、1979年と2019年ということが出されていますが、これはこの1979年の入りと出、2019年の入りと出ということで理解しています。複数年度のシミュレーションができるのであれば、どの程度、陸域から入ってくるものが減ったら、海の中の物質がどのように変化するのかといった時間差というものを示すことができるのか、お伺いしたいです。
 以上です。
【古米委員長】 いかがでしょうか。
【森川室長補佐】 事務局でございます。
 すみません。今の委員からの御質問の趣旨というのは、1979年度と2019年度の比較でございますが、これは複数年度の比較を、この2か年だけではなく、もう少し複数やったほうがいいのではないかという御指摘でしょうか。
【古米委員長】 複数年度で計算をした場合に、陸域負荷が減ったことによって、内海での収支がどう変わっていくのかが比較できます。先ほど田中委員が言われたように、T-N、T-Pの削減をしなかった期間のときの動きと、T-N、T-Pの削減も入れた状態で経年的にその収支がどう変わっていくのかというのを見ると、負荷削減のうちCODがどれぐらいの意味を持っているかや、それに加えて、T-N、T-Pを削減したことがどう意味を持っているのかということを比較可能になろうかと思います。
 ただ、底泥のモデルが、あくまでも仮定したある条件でしか設定できない。しかし、気象条件を同じにはできるので、相対比較はできると思います。負荷削減の効果やその傾向を、もしかすると見ることができるのかなと思います。
 ただ、現実の現象を反映するかどうかは、毎年毎年気象は変わるので、モデル上で同じ条件だったら、この負荷削減がどういう意味を持っていたのかと。さらに、T-N、T-Pが削減することによって、どの部分が生産量が大きく削減できているなど、それによって底泥に行く量が減っているなどというのを見やすく表示できるのではないでしょうか。この2年だと40年も離れているので、若干どういう経緯でここまで至ったのかというところをもう少し整理をすればいいのではないかという御趣旨だと思うので、きっとある程度可能だというのが回答かなと、私は思います。
 先ほどのほかの御質問のように、詳細にモデル解析することになりますが、限界があることを理解した上で、条件付きでこういう傾向で陸域負荷削減に一定程度意味がありましたということと、あとは底泥の取扱いをこうしないと現実には合わないので、こういうようなモデル改善が必要だということなどを整理をしていく段階になるのかなと思います。横田委員、よろしいですか。
【横田専門委員】 説明ありがとうございます。そのような趣旨になります。ありがとうございました。
【古米委員長】 ほかに御質問、御意見はよろしいでしょうか。いろいろと重要な議論ができたと思います。
 それでは、議題の2に移らせていただきます。海域における生物の多様性及び生産性に影響を及ぼす要因についてということで、資料3を用いて事務局より御説明をお願いします。
【森川室長補佐】 事務局でございます。
 それでは、資料3について説明さしあげます。
 こちらの資料ですが、まず目次構成のところを御覧ください。まず冒頭に、海域における生物の多様性、生産性に関して、また海域における生物多様性、生産性に影響を及ぼす要因についてを整理しております。そして2の項目で、以下に示す分類群ごとの状況というものを、既往の知見をベースに整理しております。
 早速、2ページ目を御覧ください。海域における生物の多様性、生産性について、今回この資料をまとめるに至った経緯を載せております。御承知のとおり、瀬戸内海においては、水質の改善が必ずしも豊かな海の実現につながってないという問題意識から、令和3年に瀬戸法が改正され、特定の海域ごとに栄養塩類のきめ細やかな管理ができるよう、栄養塩類管理制度の創設や、藻場・干潟の保全・再生・創出を進めていくため、自然海浜保全地区の指定対象の拡充等が行われるなど、生物の多様性、生産性が確保された「豊かな海」を目指すこととされております。瀬戸内海におけるこうした動きは、他の海域にも広がりつつあり、水質のみならず、生物の多様性、生産性の観点を踏まえた対応を検討する必要がございます。このため、海域における生物の多様性、生産性に影響を及ぼす要因について、既往の文献等から整理を行ったものです。
 1、海域における生物多様性、生産性に影響を及ぼす要因について。ここの文章は、以降の分類群ごとの状況で示しているものを総括したサマリーのような文章だと御理解いただければと思います。
 閉鎖性海域の生物の多様性及び生産性は、栄養塩類をはじめ、気候変動による海水温の上昇や、赤潮、貧酸素水塊の発生など、様々な環境要因が複合的に影響した結果と考えられております。窒素、りんといった栄養塩類については、プランクトンや海藻において、栄養塩類濃度の低下による生物量の低下や種組成の変化などが生じており、一部の海域において栄養塩類の不足が指摘されております。一方、生物多様性という側面について、陸域負荷の低減に伴い、貧酸素水塊の解消等を通じて、底生生物や海藻類において生物多様性の向上が見られております。
 近年、特に顕著となっている気候変動に伴う海水温上昇については、生息可能な種の分布を変化させ、また、海洋一次生産を変化させる可能性があることから、食物連鎖を通じて生態系全体へ広範な影響を及ぼす可能性が予測されております。一方で、海域の生物の多様性、生産性に影響を及ぼす要因については、現在も未解明な点が多く、例えば、栄養塩類と一部の水産資源との間に相関関係が見られるが、因果関係は明らかになっていない部分もあり、今後も、基礎調査や科学的知見を充実させる必要があります。
 3ページ目以降は、分類群ごとの状況です。こちらの構成ですが、まず分類群ごとに概要をボックスの中に示しており、その下に概要を詳述した要点、さらに要点以降の次の、プランクトンであれば、4ページ目、5ページ目において、要点における、さらにエビデンスに関する文章、文献等を引用した形で文章を整理しております。
 以降、同様に、4分類群について整理しております。
 まず、3ページ目、2.1、プランクトンの生物の多様性及び生産性についてです。概要のみ御紹介させていただきます。陸域負荷の低減に伴い、瀬戸内海における赤潮発生件数は、高度経済成長期から現在まで減少しており、プランクトン量が減少するとともに、水質が改善してきたことがうかがえます。近年では、海域中の栄養塩類の濃度が低下し、植物プランクトンは生物量の減少と種組成の変化が見られ、DIN濃度の低下に伴う植物プランクトンの生物量の減少によって、動物プランクトンの生物量の減少が見られています。また、窒素・りんの負荷量が低下した場合、一次生産から二次生産に至る転送効率が低下する海域があることが明らかになっています。水温上昇により、植物プランクトンの生物量が減少し、それに伴い動物プランクトンの生物量も減少すると予測した知見がございます。
 続いて6ページ、2.2、底生生物(ベントス)の生物多様性及び生産性についてです。陸域負荷の低減に伴い、海域ではベントスの種類数の増加が見られています。また、栄養塩類が減少した伊勢湾では、植物プランクトンの生物量の減少とアサリの現存量の減少に相関が見られておりますが、因果関係は明らかになっておりません。
 底層DOとベントスの生物の多様性、生産性の関係として、大阪湾では貧酸素水塊の解消により、生物多様性の向上が見られています。また、東京湾では、低酸素状態による大型底生生物の幼生の定着の阻害等の可能性が示唆されております。
 続いて8ページ目、2.3、遊泳生物(ネクトン)の生物の多様性及び生産性です。栄養塩類の濃度変化は、魚類の餌生物の量などに影響し、魚類の再生産に影響することが指摘されており、栄養塩類の濃度が線形的に生物の現存量に影響するとの知見もあります。また、水温上昇は、ネクトンの生息域に影響を及ぼし、一部の高緯度域では移入による生物多様性の向上が予測される一方で、餌生物である動物プランクトンの種類が変化することで餌の質が低下し、魚類のバイオマスが下がると予想された例も報告されています。また、播磨灘では、水温上昇によるイカナゴの増減が確認されております。
 続いて11ページ、海藻類の生物多様性・生産性についてです。栄養塩類の海藻類への影響は、栄養塩類濃度の低下に伴って富栄養化が改善し、海藻類の種類数、湿重量が増加した例が見られます。また、水温変動による海藻類への影響として、急激な水温上昇の頻度増加による海藻の生育密度の減少、生物量の減少が示唆されています。さらに、水温上昇に伴う冬の植食性魚類の摂餌活動の長期化等により、食害が海藻の生産性に影響を与えているとの知見がございます。
 13ページ目以降は、引用している文献の一覧になります。
 資料3に関する説明は、以上になります。続いて、本日の資料の参考資料3に、本日欠席の山口委員から事前にコメントをいただいておりますので、少し御紹介させていただきます。
 栄養塩類の水産資源への影響について、ノリについては、ある程度、直接的な効果が確認されている一方、他の水産資源については、間接的には影響を及ぼす可能性はあるものの、相関があっても因果関係は分からないのが現状である。また、栄養塩類が海域に及ぼす負の影響について、必ずしも明らかとなっていないことからも、栄養塩類管理をする際には、水産資源への効果のみならず、水産資源以外の生物や海域環境への影響を把握し、将来的な科学的基礎知見として活用可能なものとなるよう、広くモニタリングを行っていく必要があると考える。
 以降の記述のように、事前にコメントをいただいておりまして、真ん中の三つ目のポツのところについて、上述の点について、現在利用可能な情報が資料3においては提供されており、冒頭の記述に対する違和感はないといったコメントもいただいております。
 一方で、モニタリングについては、充実すべきではないかというコメントもいただいております。
 ここで御紹介させていただきました。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の方々から御質問、御意見をお受けしたいと思います。
 風間委員、お願いいたします。
【風間専門委員】 ありがとうございます。
 先に、今いただいた文書の中で3ページのところにあります、DINが低下するにより、植物プランクトンの生物量の減少、それから動物プランクトンの生物量の減少が見られるということが書いてありますので、ぜひ現状編のところは、ここをしっかり解析をしたものを入れていただきたいと思います。
 それはイントロでありまして、山口委員のコメントに対して、全体的には、全くそのとおりだと思います。ただ、だからといって、きちんとした調査ができる理想の状況を考えると、それはいつのことかと思うのですが、現在、既に実績のあるデータ、例えば東京都では、昭和60年(1985年)から、もう45年以上、水生生物調査が毎年行われてきています。それは予算の制約上、どんどん縮小はされていますが、前にそういったデータがあります。
 それから、横浜市は、かつて40年も昔に、詳しい生態系調査のようなものをされておりますし、東京都の杉並区でも、10年に1回のそのような調査などもあり、北九州市でも実施されています。そういったデータで分かっていることだけでも抽出といいますか、明らかにしていくべきだと思います。東京都のデータにつきましては、成魚が貧酸素のときは獲れないというグラフは毎回使わせていただいているのですが、それ以外にも毎年調査をし、それを有識者にコメントをつけてもらった報告書が出ています。そういったもので使えるものといいますか、今はここまで分かっているんだよというようなことを、全体ではなくとも、分かっている実績を示していくということがすごく大事ではないかなと思います。その次に、そういった行政がやるデータのほかに、市民調査によるデータがあります。東京湾においては、ハゼ調査やカニ調査、そのような調査を市民がやっています。それから、毎年、NGOがずっと大阪湾全体を調査しております。そういったデータなども、表に出していくべきだと思います。
 それから、こういった生物の豊かさ、豊かな海をということをやるならば、本当はそれに対しての指標、例えば東京湾では、岡田室長のリーダーをもちまして、現在、WQIを準用した総合指標というのが検討されてもいます。そういったことにも少し目を向けて、調査できないからどうしようもないというのではなく、分かっていることを少しでも外に出していって、それでほかが少し引っ張られていくというのは変ですが、そういったことが必要かと思います。東京都が生物調査をやったことによって、東京都内でも、あちこちの区や市で調査をやっているところが今でもあります。
 よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 黒木委員、どうぞ。
【黒木専門委員】 ありがとうございます。コメントと質問を一つずつということで、少し発言させていただきます。
 5ページのベントスの生物の多様性と生産性のところで、概要と、あと要点のところにも書いてありますが、アサリに関しては、植物プランクトンの生物量の減少とアサリの現存量の低下に相関が見られたというところで、因果関係が明らかになっていないと、少し強調する形で文章が締めてあるのですが、ここ数年、アサリに関してはかなり調査・研究進んでおります。まずアサリが現存量として、その数を減らすという前の段階で、肥満度が低下しているということが観測もされておりますし、その肥満度の低下に伴いまして、秋ですが、その低栄養の状態で産卵・放精するので、大量にエネルギーを消費することで、その生物としての活力の閾値を下回るということで大量へい死が起きる、あるいは、肥満度が低い状態になると、アサリが通常は砂の中に潜りますが、その潜砂能力が非常に落ちて、波浪などで死亡しやすくなるというような知見が様々ありますので、因果関係についてはかなり推測されていることが多々あると認識しておりますので、明らかになっていないと断言するというのは少し言い過ぎかなと思います。ここは再検討をお願いしたいと思います。
 それから、この資料全体を通じて、こちらは質問です。生物の多様性と生産性、これをともに上げましょうというのは結構難しいことかなと思いまして、例えば、生産性、特に漁業生産で考えると、特定の物がたくさん獲れるという、それで豊かな海だというような状況と、多様性は必ずしも両立しないというところがあるのですが、その辺りは環境省としてどのようにお考えかなというのを、少しざっくりとした質問です。
 よろしくお願いします。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 ほかにないようですので、事務局、二つの御質問、コメントについてお願いします。
【森川室長補佐】 ありがとうございます。
 風間委員から御指摘いただきましたこと、ごもっともで、我々が予算をつけてやらなくてはいけないと考えておりますが、やれることにも限界があります。一方で、やれないからそのまま何もしない、という事ではなく、様々な関係者において調査等をされているので、おっしゃられたように断片的な情報になる部分はあるかもしれませんが、ただ一つ一つ分かってきていることがあり、各地の皆さんの努力等によって分かってきてることがあるというのは、そのとおりだと思いますので、とりまとめる努力をしていければと思います。
 私たちも、東京湾の再生会議をはじめ、各湾の再生会議にも、関わり具合の大小はあるものの、関わらせていただいておりまして、各地で行政だけによらず、先ほどおっしゃられた地域のNGOや、民間団体の方、NPOの方も含めて、必ずしも現状把握するというだけではなく、環境教育や環境学習、体験の機会の創出といった目的もあるかと思いますが、調査をいろいろ行っておられて、その結果、分かってきているということもあるかなと思っています。できるだけ情報収集したいと思いますし、そういった活動が行われるように、環境としてできる努力を続けていければと思います。
【西川室長】 黒木委員からの御指摘で、アサリについて、相関はあるが因果関係はないという記載につきましては、御指摘いただいた幾つかの知見についても、後ほど論文など教えていただきながら、記載ぶりを改めて検討させていただければと思っております。
 また、生物生産性と多様性の両立ということ、非常に難しい課題と認識をしておりまして、まさに、その前にいただいた御指摘で、豊かさの指標とは何かという風間委員の御指摘にも共通していると思いますが、特定の水産資源の漁獲高だけで判断をするというよりは、場の生息場としての機能、あるいはレクリエーション、親水空間としての価値といったところも含めて、我々として、どういった指標で評価をしていくかということを、まさにこれからの課題と考えておりますので、ぜひこの場でも皆様から様々に御審議いただければと思ってございます。
【古米委員長】 よろしいでしょうか。
 ほかの委員からいかがでしょうか。よろしいですか。
 特に挙手がないようですので、次の議題に移らせていただきます。
 続いて、議題3、水質将来予測についてということで、資料4を用いて、事務局から御説明をお願いいたします。
【工藤海域環境対策推進官】 それでは、資料4に基づきまして、水質将来予測について説明をいたします。
 こちらのモデルについては、国立環境研究所が開発した数値モデルを用いまして、将来の陸域からの負荷量を仮定した場合の水質予測を行った結果となっております。
 2ページ目に、モデルの概要を記載しております。今回用いたモデルにつきましては、二つのサブモデルから構成されておりまして、陸域汚濁負荷流出モデルにおいて、指定地域から海域へ流出する流入水量及び汚濁負荷量を算定して、その結果を海域モデルに与えることで、海域での水質-底質濃度を算定をしております。陸域汚濁負荷流出モデルでは、降雨による流出や地下浸透などを考慮したモデルにより、流域から陸域への淡水流入量を算定をするとともに、汚濁負荷量につきましては、土地利用に応じた面源からの負荷量、それに加えて、点源については立地場所の計算格子が有している河道に負荷量が排出されると仮定をして、計算しております。
 3ページ目に海域モデルを記載をしておりますが、海域モデルにおいては、流動モデルにおきまして、水量、流速、水温などを予測変数としまして、水平方向を格子状に、鉛直方向を多層で分割したモデルとなっておりまして、水質-底質モデルでは、この図1-2に示しておりますように、炭素、窒素、りん、酸素の生物化学的な反応を考慮して、海水、底質への循環プロセスを含めて解析をしているものになっております。
 4ページ目に、設定した将来予測の条件を説明をいたします。まず、将来予測に当たりましては、現況再現をしております。再現計算の条件につきましては、気象、流量、負荷量、境界条件を設定いたしまして、環境省が実施をしている広域総合水質調査結果のモニタリングデータと、その現況再現のシミュレーションにおける結果を比較をしまして、モデルにつきましては概ね現況を再現していることを確認しております。
 今回の将来予測の条件を2.2に記載しておりますが、予測年次としましては、第9次総量の目標年度である令和6年度の5年後として、令和11年度としておりまして、その際の陸域からの負荷流入条件としましては、第9次水質総量基本方針の目標量と同等の量を想定しております。
 現況ケースでは、令和元年度実績と将来係数の汚濁負荷量につきましては、5ページ目に示すとおりとなっております。
 続いて、6ページ目でございます。こちらから水質予測結果を示しております。まず、将来ケースにおける水質濃度の変化について、COD、全窒素、全りん、クロロフィルa、底層DOの水平分布を湾ごとに示しております。発生負荷量につきましては、今回は令和6年、第9次の目標量と同等の量を令和11年度の量として設定をしており、現況とほとんど変わらないということになっておりますので、どの項目におきましても、現況ケース、将来ケースとの間に大きな差は認められませんでした。
 続いて、将来ケースにおける環境基準の達成状況の整理したものを、13ページ以降に示しております。将来ケースにおける各指定水域の環境基準点の水質濃度につきましては、こちらに示しておりますように、現況ケースに対する将来ケースの濃度変化率に、現況ケースである令和元年度の実測水質濃度を乗じて算定をしております。
 14ページ目から、各湾の結果を示しておりますが、併せて別紙でお配りしておりますとおり、環境基準点ごとの各地点ごとの具体的なデータ一覧を示しておりますので、そちらも併せて御覧いただければと思っております。
 結果につきましては、14ページ目以降に示しております。東京湾については、いずれの水質項目も、将来ケースにおいて、新たに環境基準値を超過する地点は見られませんでした。一方で、令和元年度と同様に、将来ケースにおいても環境基準値を超えている地点が複数存在しておりまして、CODについては沿岸域を除いて、全体的に環境基準を達成していない地点が多く見られ、また全窒素、全りんについては、特に湾奥部で環境基準を達成していない地点が見られたという結果になっております。
 続いて、伊勢湾についてです。伊勢湾につきましても、同様に、いずれの水質項目におきましても、将来ケースにおいて新たに環境基準値を超過する地点は見られませんでしたが、一方で、令和元年度と同様に、将来ケースにおいても環境基準値を超えている地点が複数存在しておりました。特にCOD及び全窒素につきましては、狭義の伊勢湾の湾央部と、それから三河湾を中心に、依然として環境基準を達成していない状況が見られるとともに、全りんについては、湾奥部の一部で環境基準を達成していない状況が見られております。
 瀬戸内海を16ページ目に示しております。こちらも将来ケースにおいて新たに環境基準値を超過する時点は見られませんでしたが、CODについては、令和元年度と同様に、将来ケースでも一部海域において環境基準を満たしていない地点が見られております。全窒素、全りんにつきましては、将来ケースにおいても、ほとんどの海域において環境基準を満たしている状況となっておりました。
 資料4の説明は以上となります。
【古米委員長】 御説明をどうもありがとうございました。
 それでは、委員の方々から御質問、御意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 小川委員、どうぞ。
【小川専門委員】 ありがとうございます。
 令和元年度と11年度との予測をしているのですが、現在、下水処理場では季別運転を実施していますので、その点を考慮してこの予測値が計算されているのか、あるいは今後も、ほかの施設にまで適用するようなお考えなのか、その辺を少し教えていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
【古米委員長】 では、続いて、風間委員、どうぞ。
【風間専門委員】 前のときもそうですが、毎年、横軸に負荷量で、上に水質、濃度としたグラフを、例えば第9次のときは139ページに掲載されているのですが、そういった各年度によってどう変わっていくかという、そのような推移なら割と見やすいのですが、この図というのは少し分かりづらいなと。そのうち、きっと出てくるとは思いますが、そういうほうが分かりやすかったのかなと思います。
 そして、例えばここの東京湾だと、この予測でやると環境基準を超えるところはなかったと言っていて、それでも個々には増えるとかとありますが、評価というのは、全体の面といいますか、それで見るのか、全てがクリアしないと達成と言わないのかということを思うと、超えるところがなかったといったら、では、もう総量削減は要らないのではないかというような感じになってしまうので、その辺はどうなのかなと思いました。
 よろしくお願いします。
【古米委員長】 田中委員、どうぞ。
【田中臨時委員】 まだ作業中なので、今後どうされるかということについて少し質問です。これまでの議論の中で、環境基準値としての値がどうかということもあると思うのですが、今回、底層のDOを新たに取り上げていると。先ほどからの話の中で、水産の問題もありますが、もっと広く生物の問題も扱ってという話が出てきていると思います。
 そうすると、今まだ環境基準値の類型指定まではされたが、現在、地域地域で達成率の議論が今始まる、一部はもう既にスタートしていますが、それらを今回の場合、どのように検討の中に組み込んで評価していくのか、その予定なり考え方が何かあれば、少し教えていただきたいです。
 というのは、特に達成率を決めていくのは、恐らくまだ結構時間がかかりますが、この総量規制はもう迫っている、結論を出さないといけないと、この辺をどのように見なされているか、ここを少し教えていただきたいという点です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 それでは、オンラインの横田委員、どうぞ。
【横田専門委員】 横田です。
 将来予測ということをされているのですが、気候変動に伴って降水状態が変わるということは、もう明らかになっていて、総降水量は変わらなくても、降雨強度が変わるということも言われているのですが、例えば面源負荷等はどのように評価されていて、この先どのように変化するのかというのは、適切に反映されているのか教えていただければと思います。
 以上です。
【古米委員長】 ほかにないようであれば、今の四つの御質問について、お願いいたします。
【工藤海域環境対策推進官】 事務局からお答えをいたします。
 まず、小川委員からも御指摘いただきました季節別運転管理につきまして、令和元年度で、既に季節別、能動的運転管理を実施されているところについては、反映をしていると考えておりますが、今後、瀬戸内海において、瀬戸法改正による栄養塩類管理を実施していく中で、栄養塩類の増加措置をしていくところについては、現況と、将来年度に反映していない状況になっております。
 一方で、今の瀬戸内海の栄養塩類管理の状況を見ましても、総量にすごく効いているというような状況ではないというところがございますので、総量のほうにどのような影響を及ぼすかというところは、検討が必要と考えております。
 風間委員から御指摘の分かりやすい図表につきましては、改めて検討させていただきますが、湾全体として濃度分布がどのようになっているかといった点、又は湾のどこで環境基準点が将来ケースにおいて非達成になっているかといった点について、今回お示しをしております。
 また、説明が悪かったかもしれませんが、今回、令和元年度と将来ケースを比べて、将来ケースにおいて新たに環境基準値を超える地点はなかったというところが確認されたわけですが、令和元年度から継続して環境基準値を上回っている地点というところは、湾によっても少し状況が違いますが、依然として見られておりますので、現状非悪化という観点から、現行の対策を継続をしていくということは、先ほどの資料2でお示ししたフラックスの図を見ていただいても、そういった意義があると考えております。
 田中委員の底層DOのお話につきまして、御指摘いただいたように、底層DOの目標、環境基準点、それから達成期間につきましては、これから検討をしていくということになっておりますので、そちらとも連携をしながら検討していきたいと考えております。現時点では、類型指定までは進んでおりますので、類型指定の状況と今の濃度との適合状況などを見ていくといったところは、分析としてはできるのではないかと考えておりまして、その結果を資料6にお示しをしているところです。
 横田委員の気候変動のお話でございます。今回のシミュレーションにおきましては、過去の気象状況の変化は反映をしておりますので、現在表れている気温の上昇の変化などは、この将来年度のケースにおいても勘案をしているようなものとなっております。一方で、これから5年間でどれほど極端に気象が変わるかといった点はあるかとは思いますが、そういった過去のトレンドとして変わってきているところは入っているのですが、将来としてこう変わるというところは、今回、シミュレーションには含まれておりません。そのため、面源の負荷につきましては、気象パターンの降雨量の変化に応じて、土地利用を考慮したフラックスを勘案をしている状況になっております。
 説明は以上となります。
【古米委員長】 一番最後の横田委員に関する説明としては、資料の4ページにあるように、将来予測時の条件設定の気象条件は、令和元年度と同じで、気候変動については考えていないということですよね。令和5年なり、6年から11年までずっと同じ気象条件で、同じ削減量を継続したときの結果が、令和11年度の図として出てきていると。そうすると、その前の状態と11年度、ずっと同じ負荷量、削減量のままで行ったとしても、環境基準点の達成の状況は変わっていないというような説明の図になっていると、今の理解でよろしいですか。
【工藤海域環境対策推進官】 はい。
【古米委員長】 要は、ある1年だけ計算したわけではなくて、継続的に同じ削減量のままにして11年までだが、気候変動は予測はできないので、令和元年度の気象条件で繰り返し毎年計算した結果としての評価ですという点を確認しておいたほうがいいと思いまして、発言しました。
 ほかに御質問。田中委員。
【田中臨時委員】 どうもありがとうございます。
 先ほどの件で、底層DOをきちんと評価されるということで、評価したいと思うのですが、その際に、底層DOの場合、やはりあるリミットになる期間があるわけですよね、一番低いとき。それから、先ほど少し、その前の質問があった栄養塩の供給は、これまでは季節的な運転をある程度想定されているところがありましたが、中には常時栄養が欲しいというシナリオを求めているところがあって、その際には、どのような供給の仕方をするか、ということがもしかすると結構、評価の結果に影響があるかもしれません。
 したがって、今すぐに結論を出さなくても結構だと思いますが、評価する際には、どのような出し方をするのかということまで含めて、本当は総量規制なので全体の枠があればいいわけですが、出し方によって、結構結論が変わる可能性があるので、そこは慎重にいろいろ検討をいただきたいというお願いです。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 ほかに、いかがですか。よろしいでしょうか。
 特にないようですので、今いただいたコメントを反映して、より追加の解析等で検討いただきたいと思います。
 続いて、議題の4番、汚濁負荷削減対策等の実施状況についてということです。これは第2回~4回において、各関係団体からヒアリングした水質総量削減制度に係る取組の実施状況についてまとめたものです。
 事務局より、資料5を用いて御説明をお願いしたいと思います。
【工藤海域環境対策推進官】 それでは資料5に基づきまして、汚濁負荷削減対策等の実施状況について御説明をいたします。
 先ほど、古米委員からも御説明いただきましたように、本資料は第9次答申に基づきまして、その9次の中で総量削減にどのように取り組んできたといったところを示しておるものでございまして、こちらも答申の中で、これまでの取組状況をまとめるためのベースの資料となると考えております。
 本資料の内容につきましては、第2回~4回目までの関係団体のヒアリングの内容を中心に整理をしております。全体の構成としては、目次に記載しておりますように、1に汚濁負荷削減対策実施状況として、生活系、産業系、その他系をまとめており、2に汚濁負荷削減対策以外の対策の実施状況として、藻場・干潟の保全・再生・創出、底質改善、栄養塩類管理を含めた、きめ細やかな水質管理といったものを整理をしております。また、(参考1)に第9次総量削減目標に対する進捗状況、(参考2)に第9次答申から対策の在り方を抜粋したものを掲載をしております。
 まず、汚濁負荷削減対策の実施状況として、生活系の削減対策を整理をしております。生活排水の処理技術、下水道の高度処理の進展状況を記載をしておりますとともに、下水道の合流式改善についても記載をしております。合流式改善につきましては、令和5年度末に、全ての都市において、下水道法施行令で定められた改善対策が完了したことなども記載をしております。また、浄化槽につきましても、合併浄化槽への転換の進捗状況や、合併浄化槽の高度処理の導入状況等を記載しています。
 続いて、6~10ページ目は、産業系の削減対策につきまして、各産業界からのヒアリングでの内容を踏まえて、6ページ目に総論を、7~10ページ目には個別業界での取組事例を整理させていただいております。
 続いて、11ページ目にその他系を整理しておりまして、こちらには農業分野、畜産分野、養殖分野における環境負荷低減の取組状況を整理しております。例えば、農業分野につきましては、みどりの食料システム法における環境負荷低減のための計画認定制度の創設、化学肥料の低減に係る取組等について、第9次でどのようなことが取り組まれているかということを中心に記載をしております。
 次に、14ページ目からになりますが、こちらは汚濁負荷削減以外の対策の実施状況となっております。まず、藻場・干潟の保全・再生・創出について記載しております。具体的には、港湾分野では、ブルーインフラ拡大プロジェクトや、Jブルークレジットの取組、水産分野では、藻場・干潟の保全等による水産業の多面的機能を強化するための支援や、磯焼け対策の取組、環境分野では、地域生物多様性増進法に基づく認定制度の創設や、里海づくりに係る取組、さらに民間企業での鉄鋼スラグを活用した取組などを整理をしております。こちらは16、17ページ目に、ヒアリングを踏まえた地域の具体事例といったところに記載をさせていただいているところです。
 続いて、18~20ページ目につきましては、底質環境の改善を整理をしておりまして、深掘り後の埋め戻しによる貧酸素水塊抑制に係る対策や、覆砂による生物の生息環境改善の取組を記載しております。
 続いて、21~23ページ目につきましては、きめ細やかな水質管理と栄養塩類管理の取組を整理しております。瀬戸法の改正によりまして、兵庫県、香川県、山口県が栄養塩類管理制度を策定し、順応的管理を実施しております。そのうち兵庫県、香川県につきまして、今回ヒアリングの結果を踏まえて、具体事例を23ページ目に記載しております。
 また、下水処理場におきましても、能動的運転管理を実施しておりますので、その状況や、伊勢湾における栄養塩類管理に係る取組に加えて、工場・事業場からの栄養塩類の供給だけではなくて、瀬戸内海における海底耕うんや、ため池のかいぼりについてもこちらに記載をしております。
 最後に、24ページ目に、その他の水環境改善に係る取組としまして、ヒアリングでの内容を踏まえ、清掃活動や森林の保全・管理、または海洋プラスチック問題に係る取組としまして、プラスチックの削減やリサイクルについて記載をさせていただいております。
 資料5の説明は以上となります。
【古米委員長】 御説明をどうもありがとうございました。
 それでは、委員の方々から御質問、御意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 では、風間委員、続いて三宮委員、そして小川委員の順番でお願いしたいと思います。
 まず、風間委員、どうぞ。
【風間専門委員】 ありがとうございます。
 この中では、一つ、栄養塩管理がすごく大事かと思います。私が言いたいのは、この下水道の果たした役割、これは一般的に、この資料の中では生活系、産業系、その他系という中に埋もれた感じなのですが、下水道の果たした役割はすごく大きいと思います。また、下水担当者の人たちからすれば、こんなに頑張っているのに、何も環境はよくなっていないという形で、下水道担当者に対するアピールも含めて、この各系云々の中に、下水道の果たした割合など、今、文書の中では、CO2の話や高度処理の話がありましたが、少し資料の扱い的には、高度処理でいかに負荷が減ってきたかや、それから、今このような準高度処理をやっているなど、それからCSOでこのように汚水貯留管がこんなに充当して、それによってどのぐらい負荷が減ったなど、そういったデータは既に東京湾などでも出ているわけで、そういった下水道の果たした役割、効果というのも、もう少し1項目挙げて示してもいいのではないかなと思いました。
 よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 三宮委員、どうぞ。
【三宮専門委員】 国土交通省国土技術政策総合研究所の三宮でございます。下水道の担当ですので、風間委員のコメント、非常に有り難く思います。
 私からは少し細かいところです。2ページ目で合流式下水道の改善のお話を書いていただいています。平成14年度に合流式下水道緊急改善事業の創設、それから15年度に下水道法施行令の改正とありますが、14年度の合流式下水道緊急改善事業のことが、これだけだと少し分かりにくいと思いましたので、追記していただければ有り難いと思っています。
 三つ目標がありまして、一つは、分流式下水道並みに汚濁負荷量を削減するということ、公衆衛生上の安全確保から雨水吐からの放流回数を半減するということ、それから、ごみ等の夾雑物の削減です。その三つが、この緊急改善事業の目標として定められました。平成25年度で改善すべき地方公共団体と令和5年度で改善すべき地方公共団体があり、いずれも目標の年限までに改善されました。それらをもう少し追記していただけると分かりやすいと思います。
 以上でございます。
【古米委員長】 小川委員、どうぞ。
【小川専門委員】 私も2ページのところです。浄化槽の記載が下段のほうにされています。浄化槽推進室には怒られるかもしれませんが、令和4年度において、単独の基数が大きく減少しているというような書き方になっていますが、実際はまだ300万基もあります。昨年でしたか、総務省の勧告も受けていますので、ここはむしろ、まだまだ残存しています。確かに、元年度に合併のほうが多いという割合にはなりましたが、ただ、相当数残っているということは、やはりきちんと明記したほうがいいということで、むしろ要望ということでございます。
 よろしくお願いします。
【古米委員長】 ほかに、よろしいですか。
 それでは、御質問に対して、お答えをお願いいたします。
【工藤海域環境対策推進官】 御指摘ありがとうございます。
 風間委員、三宮委員からいただきました下水道の件につきまして、総量削減制度の中におきましては、御指摘いただいたとおり、下水道での対策は大きな役割を果たしていると考えておりますので、記載全体のバランスもあるので、追記がどこまでできるかというところは検討させていただきたいと思いますが、先ほどの御指摘を踏まえて修正を考えていきたいと思っております。
 小川委員から御指摘いただいたところにつきましても、そういった現状を踏まえまして、記載を検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
【古米委員長】 ほかに、いかがでしょうか。
 田中委員、どうぞ。
【田中臨時委員】 ありがとうございます。
 今回の特に栄養塩類管理、栄養をどれぐらいにするかというところについての記述を、21ページにかなり記述していただいて非常に有り難いのですが、この中で実際に栄養塩類管理の計画も実施しているのは、兵庫と香川だけではなく、山口県がもう既にやっているので、それを足していただきたいです。
 それから、全て今うまく動いているようなニュアンスで少し書かれているところがあるのですが、実はやはりトライ・アンド・エラーでいろいろやっていると。つまり、流してみて、どのようなことが起こるか、それでどのようなことをやる意味があるのかということを、アダプティブマネジメント的にやっているということをきちんと書いていただきたいです。
 そういうことをできるのは、やはり下水道が公的な管理されているからできるということであって、なかなかやはり民間の企業も、一応兵庫県の中に入られているわけですが、それ以外になかなか広がらないというのは、やっぱりアダプティブマネジメントが結構難しいからだろうと思います。ですから、そのような状況を、少し解説いただいておいたほうがいいのかなと少し思いました。
 よろしくお願いします。
【古米委員長】 よろしいですか。
【工藤海域環境対策推進官】 ありがとうございます。
 山口県につきましても、計画策定をしておりますので、こちらについて追記を検討していきたいと考えております。
 瀬戸法におきましても、順応的管理というところを、制度上、取り入れておりまして、計画を立ててモニタリングをし、また、そのモニタリング結果で計画を見直していくといった、アダプティブマネジメントというところは重要な観点かと考えておりますので、もう少しそういった表現ぶりを検討していきたいと考えております。
【古米委員長】 ほかに、いかがでしょうか。
 風間委員、どうぞ。
【風間専門委員】 今の説明になかったのですが、この資料の一番最後の34ページのところに、前回の課題がそのまま記されています。一番最後の(カ)と(キ)のところにNPOのことが書かれています。NPOが結構、様々頑張っていることに対する、必要な支援に努める必要があるという文章の課題に対する答えではありませんが、今日も午後、環境省さんのシンポジウムをこの視点でやると思いますが、そういったイベントをやるということもさることながら、そういった交流の場といいますか、仕組みをつくることがすごく大事なので、一つ、そのようなことも答えとしてどこかに記していただければと思いました。
【古米委員長】 いかがですか。
【森川室長補佐】 ありがとうございます。
 今日の午後のフォーラムのことを御紹介いただきまして、ありがとうございます。まさにそのような視点で支援するのは、いわゆる本当に直接的な支援以外にも、先ほど風間委員がおっしゃられたように、その団体さん、取組同士、取組を実施されている方同士の交流によって学ぶ機会や、取組支援が追いついていないことを他地域から学んで、向上していくといった機会というものが本当に非常に重要だと思っております。そういった場面、場面、やはり現場で実行していくことを環境省が全て実施するのは難しいと思いますが、現場で実施していただいている方々をコーディネートする、ハブになって地域の取組を進めていくようにするというのは、環境省の一つの役割かなと思っておりますので、引き続き努力してまいりたいと思います。
 今日の午後のフォーラム、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【古米委員長】 ぜひ24ページのその他の水環境の改善等に資する活動というところに、前回の課題のキーワードを入れながら、こういう活動が展開されている、あるいは、さらに伸ばす必要があるというような文章を追加いただくと、ちょうどいいかなと思います。追記をお願いします。
【森川室長補佐】 はい、記述を検討したいと思います。ありがとうございます。
【古米委員長】 ほかに、いかがでしょうか。
 岡田委員、どうぞ。
【岡田専門委員】 岡田です。
 14ページの藻場・干潟の保全・創出のところと、18ページの底質改善のところです。全体的な流れとしては汚濁負荷削減の流れなのに対して、14ページで強調されているところは、CO2吸収など、少しブルーカーボン寄りになっているのかなと思うので、ここでは、干潟・藻場を創出することによって、生態系が生まれ、そこで栄養塩が除去されるなど、何かそのような記述も一つ入れていただけると助かるかなと思います。
 あわせて、18ページの底質環境の改善のところも、覆砂をすることによって生物の生息場も作りますし、貧酸素化も改善しますが、栄養塩の溶出も抑制しますので、そのようなワードも入れていただけると有り難いなと思います。
 以上です。
【古米委員長】 ありがとうございました。
【工藤海域環境対策推進官】 御指摘を踏まえて、どういった影響があるのかといった、対策についてどういった効果があるのかというところを、改めて追記を検討したいと考えております。
【古米委員長】 ほかに、いかがでしょうか。
 私から、3ページの表1のところで、令和5年度末と令和4年度末と、下の参考値の全国値の事業場数は令和3年度末になっているのですが、これは統計的に同じものがまだ出そろっていないということでしょうか。
【工藤海域環境対策推進官】 改めて整理はしたいと思いますが、現在、最新で分かる統計データをこの表に記載をしているところではございまして、少し統計ごとに年度のずれが生じているというところです。
【古米委員長】 指定地域内は令和5年度統計があるが、全国ではまだないというのも、若干、違和感があるので、ぜひ御確認いただければと思います。
【工藤海域環境対策推進官】 はい、承知しました。
【古米委員長】 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に挙手がないようですので、次に移りたいと思います。
 その他ということで、事務局から願いしたいと思います。
【工藤海域環境対策推進官】 その他というところで、資料6をお配りしておりますが、これまで委員会における主な御指摘を踏まえまして、発生源負荷や水環境の現状等について追加分析をいたしましたので、その結果を御説明できればと考えております。
 今日お配りしている参考資料1に、これまでの委員会での主な指摘事項をまとめておりまして、既に水環境のメカニズム、水質汚濁のメカニズムや、生物多様性、生産性に係る知見への指摘については、前の議題でもお示しをしておるところでございますが、それ以外の事項につきまして、資料6で整理しております。
 全部で五つございます。まず、2ページ目に参りまして、1の各海域の環境基準点ごとの環境基準の達成状況についてでございます。こちらにつきましては、水域の類型指定ごとの環境基準達成状況を第1回の専門委員会でお示ししましたが、それだけではなく、地点ごとにも見るべきとの御指摘を踏まえまして、令和元年度~令和5年度のデータを整理いたしました。
 全体的な傾向としては、資料4にお示ししたものと重複をしておりますが、改めてこちらにも整理をしております。COD、窒素、りんにつきましては2~33ページに、底質DOの結果については34ページ目以降に示しております。まず、COD、窒素、りんにつきまして、各湾ごとに整理をしております。
 東京湾のCODにつきましては、C類型では常に環境基準を達成をしておりますが、湾奥部、湾央部のA、B類型では、環境基準を超過している地点が多く見られておりまして、そのうち約半分は常に環境基準を超過をしている状況でございます。窒素、りんについては、環境基準を達成している地点が多く見られておりますが、湾奥部で環境基準を超過している地点が一部見られております。
 伊勢湾のCODにつきましても、C類型は常に環境基準を達成をしておりますが、狭義の伊勢湾の湾奥部から湾央部、三河湾のA、B類型で基準値を超過している地点が多く見られております。窒素、りんについては、こちらも環境基準値を達成している地点が多く見られておりますが、湾奥部で超過している地点が一部見られておりまして、特に三河湾の窒素につきましては、Ⅱ類型で常に基準を超えていた、または1年度以上を超えた地点が多いといった状況でございました。
 瀬戸内海のCODについては、環境基準達成率は、ほかの湾と比べると高い状況ではございますが、一部の海域において環境基準を超えている地点がございました。また、窒素及びりんにつきましても、こちらはほとんどの地点で環境基準を達成しておりますが、一部地点で超過している地点が見られたといった結果になっております。
 34ページ目に底層DOを示しております。底層DOについては、環境基準点、達成期間、目標については、今後検討していく予定になっておりますので、あくまで今回の達成状況というのは参考値であることに御留意をいただきながら、結果を御覧いただければと考えております。
 まず、東京湾につきまして、生物1類型に該当する東京湾口部の達成率は100%になっておりまして、東京湾央部②の達成率は57%となっております。一方、生物2類型に該当する東京湾奥部の①、東京湾央部①の達成率は0%、生物3類型に該当する4水域は全て達成率が0%という状況になっております。
 続いて、伊勢湾についてでございます。生物1類型に該当する水域の達成率が12%、生物2類型に該当する名古屋港では25%、生物3類型に該当する伊勢湾央部については0%といったような状況になっているところでございます。
 大阪湾につきましては、生物3類型に該当する大阪湾奥部における達成率が21%となっておりまして、5月~9月に環境基準値を下回る頻度が高い状況といったところとなっております。
 次に、2、東京湾における水温上昇の要因について、43~44ページ目に既往の文献を整理した結果を示しております。
 東京湾におきましては、長期的に水温が上昇しているとともに、湾奥の東部、千葉県側や富津岬周辺で上昇傾向がより大きい、といったところがモニタリングデータより示されております。水温上昇の要因としましては、気候変動による気温上昇、河川水温の上昇、固定発生源からの排水の影響、外海からの影響があると指摘をされております。河川水温につきましては、特に荒川や鶴見川では3℃以上の水温上昇が見られておりまして、それらの河口域の温度上昇が見られております。固定発生源につきましては、下水処理場の排水や発電所から冷却水の影響も指摘はされているところですが、定量的な評価は明らかとはなっていない状況です。外海につきましても、貯熱量の増加と高塩分化が要因の一つであることが指摘をされておりまして、富津岬南側、特に湾口の水温上昇は、外海水も寄与しているのではないかといったことが示唆されております。
 このように様々な要因が影響していると考えられておりますが、現在の知見の中では、要因面の寄与については、現時点では明らかとなっていない状況となっております。
 次に、45ページ目から発生負荷量の算定方法を整理をしております。第1回委員会の際に、発生負荷の算定方法に多くの御質問、御指摘をいただきましたので、その発生負荷量の算定方法と原単位につきまして、一覧表に整理をしております。
 発生負荷量の算定におきましては、指定地域内事業場については、事業場ごとに水質、排水量の実測値から算定をしております。指定地域内事業場以外の発生負荷量につきましては、負荷量原単位に排出量、または人口や面積等のフレームを乗じて算出をしており、水産養殖業については、養殖に係る生産量に係数を乗じて算出をしている状況でございます。原単位や除去率、設定水質、排水量につきましては、立入検査による実測値や、各種資料を用いて、地域の実態に合わせて各都府県が設定をしているといったような状況になっております。
 あわせまして、49ページ目に合流式下水道の越流水につきまして、現在のこの発生負荷量では対象外となっておりますので、どの程度の負荷があるかについて整理をしております。ここでは、東京湾に係る知見を整理をしておりまして、平成30年度においては、越流水の負荷量が全体の負荷量に対して4%~7%を占めているといった知見がございます。ただし、この本データは平成30年度のもので、合流式下水道の改善というのは進んでおりますので、今の状況よりは、平成30年度のほうが多いのではないかといったところにも、データを見る際には留意が必要かと考えております。
 次に、50ページに、4番で、削減目標量の達成状況及び発生負荷量の変化要因について分析した結果を整理をしております。第9次目標量については、令和5年度実績で、ほぼ全ての関係都府県で目標量を達成をしております。この主な理由の一つとしましては、第9次在り方答申におきましては、東京湾と伊勢湾の生活系COD以外については、現状、非悪化の観点から、さらなる削減を求めず、現行の対策を継続をするといった方針としておりましたため、第9次目標量を第8次目標量と同等の値に設定をすることで、令和元年度時点において、既に第9次目標量以下の実績となっている実態が瀬戸内海を中心に多く存在していたというところが、一つの理由と考えております。ただし、数値を見る上で、東京湾のように下水処理人口が増加傾向にある地域については、それに伴う負荷量の増大も見込んだ上で生活系の対策の進展を考慮して目標設定をしているというようにも考えられますので、そういった個々の地域の状況にも留意が必要だと思っております。
 また、変化要因としまして、発生源別に排水量と平均水質の変化を分析した結果を、55~61ページに示しております。各湾の詳細な説明は、今回は割愛したいと思いますが、一例として、例えば伊勢湾におきましては、下水処理人口が増加傾向で排出量がやや増加をしておりますが、CODの平均水質濃度が低下をしておりますので、COD負荷が減少しているところが見てとれます。一方で、窒素、りんについては、平均水質が横ばいであることから、負荷量としてやや増加をしているいったような状況になっております。
 また、生活系では、合併処理浄化槽の平均水質が改善傾向となっておりまして、排水量につきましては、単独処理浄化槽、し尿処理場を含め、排水量が減少しておりますので、全体の負荷量が減少をしております。
 また、産業系では、業種別に傾向が異なっておりまして、負荷量が増加している業種が一部見られますが、多くの業種では排水量の減少、または平均水質の低下によって負荷量が減少をしているといったような状況になっております。こちらについて、発生からの変化要因につきましては、例えば下水道では下水処理人口や合流式改善の進展、産業系では生産量の変化や生産プロセスの変更など、様々な要因が影響していることに留意が必要であると考えております。
 最後に、5番として、62~68ページ目に、指定地域内事業場における業種別の窒素及びりんの負荷量と平均水質を整理をしております。こちらは第1回の委員会で、CODで同様の図を御提示していますが、その際に、窒素、りんについても同様の分析をしてはどうかといった御指摘を踏まえて、今回作成をしているものでございます。窒素については、下水処理場では、伊勢湾以外では負荷量が減少しておりまして、産業系でも平成11年度と比較すると、多くの業種において負荷量、平均水質濃度が減少をしておりました。りんについても、下水処理場では、各湾において、りん負荷量、平均水質濃度ともに減少しており、産業系においても、平成11年と比較すると、多くの業種において負荷量が減少、平均水質濃度も低下をしているといった状況になっております。
 以上で、資料6の説明を終わります。
【古米委員長】 御説明どうもありがとうございました。
 資料6について、御質問、御意見があれば、お受けしたいと思います。
 それでは、風間委員、田中委員、和木委員の順番でお願いいたします。
【風間専門委員】 ありがとうございます。
 一つ、底層DOと水温のことでお聞きしたいと思います。底層DOにつきまして、基準として決まったのは割と最近なので、その現状といった形でデータが示されているわけですが、底層DOの課題というのは随分前からあって、経年的な推移といいますか、ここの資料は現状でもう環境基準という視点でしか書かれていないわけですが、これが経年的にどう幾らか小さくなったりして、また広がっていたかというような経年的なことが分かるような資料をつけてもらったほうが、ほかとの関係が分かるのではないかなと思っております。ですから、その辺、もう少し資料を工夫していただいて、現状につきましても、東京湾におきましては、千葉県の水産総合研究所がそのことに対して様々調査を発表しております。その辺りも参考にしながら、現在だけではなくて、経年的な推移が分かるようなものを示してほしいというのが1点です。
 それから水温上昇についてとてもいい資料ですが、この水温上昇に書かれている各要因、ここでは下水処理水と火力発電のことが書かれているわけですが、そのほかに様々な要因があろうかと思うので、何かそういった話も、もう少し示していただければと思います。
 また、水温上昇について、これもいつからどうなっていったかという、まず東京都の安藤さんが、各地点において水温が上層と下層で、それでどう変わっていったかというような少し細かい図ですが、そういうものがあって、経年的な動き、それが発生負荷量との関係に結びついてくるかと思いますので、そういった経年的なものも分かるような資料をつけていただけるといいのではないかなと思いました。
 よろしくお願いします。
【古米委員長】 田中委員、どうぞ。
【田中臨時委員】 どうもありがとうございます。
 49ページの合流式の吐口からの負荷量を調べていただいて、現状では結果的にこうなっていますということだと思います。たしか都の環境部局の方からのヒアリングの意見の中でも出たと思いますが、現状、総量削減計画の中の見込んでいる負荷量の中に、下水道から出てくるCSOの部分がこれまで入っていない一方で、下水道では現在、合流改善の様々な対策を講じていて、海域に吐き口から直接出る量をできるだけ抑えることをやってきたわけです。それで、下水処理場側にその分の水量が入っている。下水処理場は特定施設になるので、そこから出てくる負荷量は、多くのところで正確に分かっていると。ということは、見かけ上、対策を講じ続けてきた成果から言うと、下水処理場に、これまで環境に吐け口からそのまま無処理で出ていたものが集まってきて、そこの量はきちんとカウントしてくることになるので、施策管理、あるいは全体の負荷量管理として見ると、そこはやはりおかしいのではないかと、何らか見込んでほしい、見込むべきではないかという意見をいただいたと思います。
 それは、実際に非常に重要な御指摘だと思うのですが、現実的には、CSOの出口1個1個が特定施設ではないので、下水道側は水量を量ってないのですよね。ただし、どのぐらいの量がこれまで出ていて、それを計画論的にはどう対応したかというのは、先ほどからの国土交通省での御説明もあったように、20年以上かかってやってきた計画論上の水量、あるいはBODやSSの負荷量としては、これぐらい取り込まれているはずだと、窒素、りんについては、必ずしも対応していない自治体も多いかも分かりませんが、推定はある程度できるかもしれません。
 ということは、毎年毎年、本来であれば、量った変動部分をきちんと出さないといけないと言われると、モニタリングがとても大変で、もういいという話になりますが、計画的な量を基に、どれぐらい下水処理場に取り込まれた、こちらは結構、今、水量を測られているから、その数字をこれから何らかの形で推定いただいて、環境に出ている量はCSOとしてはこれぐらいで、下水処理場はこれぐらい対策しているということを、やはり今後出していただくようなことを努力していただけると有り難いです。ただし、これは環境省からというよりは、おそらく国土交通省との連携が必要だと思いますので、そういうことをお願いしていただけないかという、これはお願いベースです。
 現状では合流改善の計画が一段落していて、今、次の段階に進み始めていて、地域によるゴールをこれから立てて、対策によっては対応すると。その結果、今の総量規制部分についても、該当するような項目は、処理方法を少し変えれば、さらにもっと処理ができるのかどうかなど、そういう部分の努力部分も見えてくるようになるので、あまり大きな負荷がかからないようであれば、やはりそういうことを、できればこれから入れていただけないかなと。環境省としてもこういうことが望ましいということをしていただけないかなという、お願いです。
【古米委員長】 和木委員、どうぞ。
【和木専門委員】 資料の46、47ページです。まず、47ページの排出源の原単位につきまして、数値がかなり幅のあるものが様々示されているのですが、実際として、計算のときに、この平均値なのか、中央値なのか、何を計算に使われたのかということを確認したいです。
 それから、46ページの表7です。勘違いしているかもしれませんが、例えば畜産系の排出などを下水処理場に入れてもらうこともあるのですが、ここで数値を出して、かつ下水処理場の数値も実際に総量として出てきますと、負荷がダブルカウントされているのではないかと思いました。
【古米委員長】 ありがとうございます。
 それでは、オンラインで大久保委員、三浦委員の順番でお願いいたします。
【大久保臨時委員】 御説明ありがとうございます。
 本日の資料、6に限らず、2~5までも含めまして、従来の知見を適切に取りまとめていただきまして、従来よりもとても分かりやすくなっていると思いました。大変精力的な作業をしていただいたものと、まず、御礼申し上げます。
 その上で、43ページです。43ページで水温の上昇につきましても、従来より詳しい情報を載せていただいておりますが、先ほど風間委員の御指摘にもありましたことと関係し、河川水の水温上昇というものが2点目に挙げられています。1点目が気候変動による気温上昇ですが、河川水の水温上昇そのものの要因というのは、気温上昇が大きいのか、それとも温排水等の影響が一定あるのか。また、河川水の水温上昇3℃以上ということで、この点の変化が大きい。ここでの検討自身は総量削減に関するものですが、河川の水生生物、あるいは水質への水温上昇の影響といったものも併せて情報を共有・分析をして、連携して取り組む必要があるのではないかと感じました。
 後半部分はコメントです。よろしくお願いします。
【古米委員長】 それでは、三浦委員、どうぞ。
【三浦臨時委員】 全漁連の三浦でございます。
 52~54ページのところで、第9次削減目標量の達成状況というものが書かれているわけですが、現在、栄養塩類管理計画を策定して増加措置を行っている県域というのが兵庫県と山口県と香川県の3県だと思いますが、それらの県域で増加措置を実施している工場や下水処理施設等の発生負荷量は、目標値においてどのように加味されているのでしょうか。
 その扱い方で目標値も変わってくるかと思いますので確認させてください。
 よろしくお願いいたします。
【古米委員長】 ありがとうございました。
 ほかになければ、5件について回答をお願いいたします。
【工藤海域環境対策推進官】 御指摘をありがとうございます。
 まず、風間委員からいただいた、底層DOの経年変化につきましては、第1回の専門委員会の資料に提示をしておりまして、今回はその資料を提示をした際に、環境地点ごとの状況についても追加で分析をしてほしいという御指摘がございましたので、それを整理をしております。答申の取りまとめに向けましては、そういった経年的な変化の状況も含めて整理をしていきたいと思っております。
 また、水温の上昇の経年的変化につきまして、安藤先生の論文で、今回も資料に図は掲載はしているところではございますが、そういったところも含めて、改めて検討していきたいと思っております。
 田中委員からいただいた、合流式下水道の改善の効果につきまして、やはり国交省との連携というところが必要になってくると思いますので、国交省と連携をして、どういった対応ができるのかを検討していきたいと考えております。
 和木委員から御指摘をいただいた、発生源負荷の原単位の幅につきましては、各都府県が設定をしている上限と下限の幅を示しております。平均値を使っているというものではなく、各都府県がそれぞれ設定しているものを幅で示しているという状況でございます。
 畜産業についても、下水処理場に流入をしていくものと、そのまま河川へ排出しているものを分けてカウントをしておりますので、ダブルカウント自体は生じていないという状況でございます。
 大久保委員の河川の水温上昇につきまして、今回、文献を整理した中では、この河川の水温がどういったことによってもたらされているのかというところまでは、議論されておりませんでした。環境省では適応報告書も整理をしているところではございますが、どういった知見があるのかといったところを整理はしていきたいと思います。
 最後の三浦委員からの御指摘につきまして、現在の第9次の総量制度の中では、栄養塩類管理で増加措置をしているところについても、この総量のカウントの中に入っておりまして、例えば、兵庫県では令和4年度に策定をしておりますので、今回の令和5年度実績には、少なからずその実績が入ってきていると考えております。第10次のときに、どのような評価をしていくかについては、これから在り方の中で検討していきたいと考えております。
 以上となります。
【古米委員長】 どうもありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見はいかがでしょうか。今までの委員会での御指摘に対する追加分析ということでしたが、よろしいでしょうか。
 特にないようですので、どうもありがとうございました。
 本日、予定している議題は以上です。
 全体を通じて、何か御質問、御意見があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日の審議はこれで終了といたします。議事の進行を事務局にお返しいたします。
【西川室長】 古米委員長、ありがとうございました。
 本日は、御多忙のところ、活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございます。
 次回につきましては、別途、日程調整させていただいておりますが、8月下旬~9月上旬辺りを予定してございます。委員の皆様には、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。
 また、議事録につきましては、事務局で作成の上、皆様の御確認を経て、環境省のホームページに記載をさせていただきます。
 以上をもちまして、第5回総量削減専門委員会を閉会いたします。本日は、長時間、どうもありがとうございました。
午前11時45分 閉会