土壌制度小委員会(第4回)議事次第・配付資料
開催日時
令和7年3月31日(月) 16:00~18:00
開催方式
WEB会議システム併用(YouTubeによるライブ配信)
議題
今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点
資料一覧
資料1 中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会委員名簿
資料2 今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点
資料2 今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点
議事録
(長谷川土壌汚染対策係長)
定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙のところ、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の小委員会は、委員総数20名のうち、過半数の19名がご出席で、西井委員がご欠席の予定です。定足数の要件を満たし、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。
また、WEBを併用した開催であり、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信をしております。
それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。議事次第の配付資料一覧をご覧ください。
まず、資料1として、本小委員会の委員名簿、資料2として、今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点の2点をお配りしております。
また、委員の皆様のお手元には、議事次第の配付資料として示してはおりませんが、参考資料として土壌汚染対策法の概要、法令の条文、さらに第1回小委員会で使用した現状と主な課題に関する資料をお配りしております。会議の中で必要に応じ、ご参照ください。
こちらの参考資料等は次回以降も使用しますので、会議が終わりましたら、机の上に残してご退出されますようお願いいたします。
何か不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
なお、これらの資料及び本小委員会は運営規則等に基づき公開とさせていただきます。
それでは、これより議事に移りたいと思います。大塚委員長に議事進行をお願いいたします。
(大塚委員長)
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、「今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点」です。この議題は、複数回に分けて審議いたしますが、今回はその第1回目でございます。
事務局から資料2の説明をお願いいたします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
環境省環境汚染対策室の金井と申します。
資料2のご用意をお願いいたします。
資料2は、今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点となります。第1回小委員会では、土壌汚染対策法の施行状況とともに、土壌汚染対策法の施行状況等に関する検討会の提言をベースに審議を開始しまして、土対法の施行状況をめぐる問題意識や、今般の点検・見直しの大まかな方向性を頭出ししました。第2回、第3回の小委員会では、関係団体にヒアリングを実施しまして、今後の点検・見直しに当たってのご意見をいただきました。
今回から複数回に分けて、今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点を議題としまして、これまでにいただいたご意見等を踏まえ、個別論点を示し、それぞれの論点に対して課題や対応の方向性の整理を進めてまいります。
おめくりいただきまして、1ページをお願いします。1ページは目次でございます。論点は、制度全体にわたるものから、運用の内容のものまで多数ございますが、中央環境審議会では、制度全体や法令の規定に直接関係、影響するような論点を優先的に取り上げて、順次審議を進めていきます。
本日審議する論点は、目次にある4点でございます。この資料の構成は、これらの論点ごとに、まずは現行制度の概要、施行状況を簡単に振り返ってから、検討の提言、自治体アンケート、ヒアリング意見などと、それらから見出された課題と論点に対する方向性を示す形としております。今回は、論点に対する方向性の審議にとどめまして、具体的な制度の細部までは盛り込んでおりません。本日は、まずは論点に対する方向性をご承諾いただきまして、それを受けて、制度の具体化の検討を進めることを想定しております。また、具体的な制度の細部であっても制度全体や法令の規定に直接関係、影響するような観点については、次回以降の審議会で審議をいただくといったことを想定しております。
では、2ページをご覧ください。2ページからは、論点1、汚染情報に係る調査契機について取り扱います。
まず、現行制度ですが、土対法における土壌汚染状況調査は、土壌汚染の可能性が高い土地について、調査を行う必要性の大きい一定の契機を捉えて行うものです。具体的には有害物質使用特定施設の使用の廃止、一定規模以上の土地の形質変更といった契機に加え、土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認める場合には、調査命令をかけることができる規定や自主調査の規定もございます。
3ページをお願いします。法第3条調査、すなわち有害物質使用特定施設に係る調査には、いわゆる法第3条第1項ただし書として、調査義務の履行が一時的に免除されるという規定がございます。具体的には、引き続き工場や住居として利用する場合には、土地の利用の方法から見て、土壌汚染に伴い人の健康に係る被害が生ずるおそれがないものとして、都道府県知事が確認を行い、調査が猶予されるものです。
4ページをお願いします。有害物質使用特定施設の廃止に係る施行状況をお示ししています。有害物質使用特定施設を廃止した事業場の7割以上が調査義務の一時的免除を受けております。
また、過去に調査義務の一時的免除を受けた土地で900㎡以上の土地の形質変更を行うと、改めて調査契機を迎えますが、その件数は、例えば令和4年度は333件となります。
課題としては、調査義務の一時的免除を受けた後に長期間経過した土地において、施設廃止時に把握しておけば把握できたはずの情報(有害物質の使用状況等)が適切に管理されずに、散逸してしまうケースがみられると掲げています。
5ページをお願いします。4ページで示した課題を根拠として、5ページは自治体アンケートの結果を示してございますが、有害物質使用特定施設等の設置された(されていた)土地などでは、土地所有者等が自らの土地の履歴を把握していない(できない)場合が一定数存在することや、調査が一時免除中の土地が切り売りされるなど、法の調査契機がかからない間に土地が売買され、売買後に汚染の可能性が判明する事例も発生していることといった実態や汚染リスクに関する情報が正確に承継されれば、土地の買主にとっては、事業の見通しの確保、土地の活用・流通の活性化などにも寄与するとのご意見が得られているところです。
6ページをお願いします。自治体アンケートからは土地の所有者・使用者変更時に汚染のおそれに関する情報が十分に承継されず、対応に苦慮した事例等が約3割の自治体で存在することや、多くの自治体が土地の汚染のおそれに関する情報の承継に関する対策・制度を要望している旨を把握しております。
7ページをお願いします。現行制度として、土壌汚染状況調査は、指定調査機関が実施すること、また、土壌汚染状況調査は地歴調査と試料採取等調査からなることをそれぞれの趣旨とともに示しております。地歴調査は調査対象の土地における特定有害物質の使用等の履歴に関する既存の文書などの情報を入手・把握するとともに、収集した情報を基に試料採取対象物質を選定するものです。試料採取等調査は、言わば土壌を採取し汚染状況を分析するものであり、地歴調査の結果を踏まえ、単位区画ごとに土壌汚染のおそれの分類を3段階に評価し、評価結果に応じて、試料採取をし、表層付近の土壌中の特定有害物質の濃度を分析するものです。
8ページをお願いします。検討会の提言では、地歴情報等の土壌汚染状況に関する情報については様々な要因によって散逸が進んでおり、地歴調査を円滑に行うことが年々困難になりつつあることが指摘されていました。そこで論点として、有害物質の使用状況等の土壌汚染状況調査に必要な情報の散逸を防ぐため、何らかの仕組みを設けてはどうかとしました。
論点に対する方向性として、まずaとして、現行法においては、法第3条第1項ただし書の確認を受ける、すなわち調査を猶予する場合や、有害物質使用特定施設の承継等の関係主体が変更される場合において、有害物質の使用状況等に係る情報が収集されていないことから、これらの契機においても、必要な情報を把握・承継することとしてはどうかとしました。
一方で、bとして、これら全てのケースで試料採取等調査まで義務づけることは困難であるため、必要な契機に必要な情報の把握まで行うことを義務づけることとしてはどうかとしました。ここで必要な情報としては、例えば使用していた化学物質の種類や使用時期、化学物質の倉庫や配管等の図面等を想定しておりますが、現行の地歴調査と比べて、どの程度の精度の情報を求めるかなど、ご意見をいただきたいと思っています。
また、cにおいて、土壌汚染状況調査に必要な情報が散逸するおそれがある契機として、①法第3条第1項のただし書の確認を受ける場合、②有害物質使用特定施設の承継、③有害物質使用特定事業場の土地の所有者の変更(土地の切り売りを含む)の場合を掲げております。こうした契機に土地の所有者等に必要な情報の把握を行うことを義務づけ、この規定の履行の実効性を法的に担保するようにする等の観点から、都道府県等に届出をすることとしてはどうかとしております。
あわせて、dとして、上記で把握した必要な情報を有害物質使用特定施設の承継や土地の所有者変更が行われる際の関係主体間で、適切に受け渡しを行うことを義務づけてはどうかとしております。
続けて、9ページをお願いします。このページからは、論点2、健康リスクに応じた試料採取等調査について取り扱います。
まず、現行制度ですが、土対法では、土壌汚染による健康リスクとして直接摂取、地下水の飲用摂取の2つの摂取経路を対象としています。この試料採取等調査をめぐる課題としては、まず2つの摂取経路が想定されず健康リスクがない場合でも、試料採取等調査を行わなければならないことを挙げています。また、試料採取等調査が実施されることで土壌汚染が判明したときには、健康リスク、すなわち摂取経路の有無によらず区域指定され、区域指定された土地では、区域指定を解除するための掘削除去等の措置が多く行われているといった課題が生じている旨も挙げています。
さらに、工場跡地等の用地における各種施設の整備に当たっては、脱炭素社会の実現等に資する土地の円滑な利活用が図られるようにする観点にも言及しておりまして、令和7年2月に閣議決定されたGX2040ビジョンにもこの趣旨が盛り込まれているところでございます。
10ページをお願いします。上の表は、土地の形質変更を契機とした土壌汚染状況調査の結果報告件数です。全体の規模感は、年間700から1,100件で、9ページで示した問題意識を踏まえると、この結果報告件数の中には摂取経路が想定されず健康リスクがない場合も含まれている可能性がございます。
下の表は、土対法では土壌汚染による健康リスクとして地下水の飲用摂取の経路を対象としていることを踏まえまして、要措置区域において、実際に地下水汚染があるかどうかのデータを示しています。表中の赤字のとおり、要措置区域であっても必ずしも実際に地下水汚染が生じているとは限らないことが分かります。
また、特定有害物質別に見ると、地下水汚染の有無の比率が異なるため、地下水の汚染状況を個別具体的に確認することの重要性も読み取ることができます。
続けて、11ページをお願いします。検討会提言では、試料採取等調査について、健康被害のおそれがないことが確認できる場合には、一律に義務づけないようにするなど、健康リスクに応じた調査の実施の確保と制度に基づく各種手続等の運用のしやすさ・分かりやすさの両立を図るべき旨が、土壌汚染対策と地下水汚染対策の連携強化を図る旨とともに盛り込まれていました。
そこで論点として、引き続き工場・事業場として利用する場合であって、土地の形質変更を行う際に、土壌汚染による健康リスクがないと考えられる場合においては、試料採取等調査を一律に義務づけないスキームを検討してはどうかと掲げております。
論点に対する方向性については、まずaとして、土対法では土壌汚染による健康リスクとして地下水の飲用摂取の経路を対象としていることも踏まえて、より直接的に土壌汚染による健康リスクを把握するため、地下水モニタリングの結果を活用してはどうかとしました。
具体的には、bにおいて、引き続き工場・事業場の敷地として利用される場合、すなわち一般の方の立入りに伴う直接摂取の経路が想定されない場合で、かつ、地下水の飲用摂取の経路の観点からは、地下水モニタリングを実施し、一定期間、地下水汚染の有無を確認し、健康リスクがないことを確認できれば、試料採取等調査を一律に義務づけないようにしてはどうかとしました。
その上で、cとして、試料採取等調査を行わない場合には、事前の地下水モニタリングに加えて、形質変更の実施中及び終了後の一定期間においても地下水モニタリングを義務づけることとしてはどうか。また、敷地外に土壌を搬出する場合には、搬出前に土壌汚染の有無を確認し、汚染土壌が適正に処理されるようにしてはどうかとしました。
12ページをお願いします。11ページで説明した論点に対する方向性をフロー図で改めて示したものになります。現行フローは左半分に示したとおりとなっており、法第3条と法第4条でフロー図を分けていないため厳密に正確ではございませんが、いずれにせよ土地の形質の変更を行おうとする場合には、着手の届出をして、土壌汚染状況調査として地歴調査、試料採取等調査の両方を実施します。その結果土壌汚染があれば、直接摂取、地下水の飲用摂取の2つの摂取経路から健康リスクの評価をし、評価結果に応じた区域指定がされ、区域指定した土地から土壌搬出を行う際には搬出の規制がかかります。
これに対して、右半分に示したものは、試料採取等調査を行わずに土地の形質変更を行う新たなフローのイメージです。このフローは、引き続き工場等として利用する場合に土地の形質変更を行う事業者が選択することを想定しており、使用履歴等がある特定有害物質を対象に地下水モニタリングを実施し、地下水の飲用リスクから健康リスクを判断、試料採取等調査を行わずに土地の形質の変更に着手する旨を届出するものとしています。あわせて、実際に土地の形質の変更を行い、敷地外に土壌を搬出する場合には、試料採取等調査を実施していない土壌を搬出ことになるため、搬出前に土壌汚染の有無を確認することとしています。また、形質変更を契機に地下水の汚染が新たに発生していないかを確認するために、形質変更の実施中及び終了後の一定期間、地下水モニタリングを実施するものとしております。
なお、地下水モニタリングによって、地下水の汚染を確認した場合には、土壌汚染による健康リスクがない等の要件を満たさないことになるので、試料採取等調査を行う現行フローに戻って管理されることが想定されます。また、地下水モニタリングの方法、位置、期間、頻度などの考え方や地下水汚染の有無の判断基準などについては、本日審議会で論点に対する方向性の確認が取れた際、詳細を技術的に検討していきたいと考えております。
続けて13ページをお願いします。13ページからは、論点3、汚染土壌の管理票について取り扱います。管理票は、汚染土壌の適正な運搬・処理の実施を確認するために、汚染土壌を要措置区域等から区域外へ搬出する際に交付するものです。具体的には、管理票交付者(搬出者)が交付し、運搬受託者や処理受託者が汚染土壌の運搬・処理の状況を記載して回付し、それぞれの関係主体が管理票またはその写しを保存します。今般ご提案する論点は、二次管理票と電子管理票となります。
汚染土壌の処理では、複数の処理施設によって段階的に処理を行う場合があります。二次管理票は、16ページに示しておりますとおり、再処理が必要な場合に一次処理受託者が交付するもので、一次管理票交付者、つまり元の搬出者に再処理受託者の運搬が終了した旨を報告する仕組みです。
また、電子管理票は、管理票の交付・保存等を紙によらず、電子的にも実施できるようにしたものです。環境省e文書規則により、令和6年4月から運用できるようになりました。
14ページをお願いします。管理票に関する課題は二次管理票と電子管理票の観点から挙げております。
まず、現行の二次管理票は、再処理施設への運搬が終了した旨を報告するまでが規定されておりまして、再処理の終了を報告する規定はありません。
また、電子管理票に関しては、現行では管理票は基本的に複写式の紙で運用されており、普及が始まるのはこれからという段階です。
検討会提言にも不適正な処理事例に対しては必要に応じ、厳正に対応できる制度や運用の在り方を検討する観点からも、管理票を通しての汚染土壌の適正処理のさらなる推進、処理の透明性の向上を図るべき旨が盛り込まれておりました。
15ページをお願いします。第2回、第3回で実施したヒアリングでも汚染土壌の処理量全体に占める二次処理量は半分程度であり、一次処理以降の過程で様々な搬出元の汚染土壌が混在することで、汚染土壌の運搬・処理の透明性等の確保に課題がある旨などのご意見がございました。また、ヒアリングでは電子管理票の普及促進に向けたご意見もございました。
そこで論点として、汚染土壌の適正処理をさらなる推進、処理の透明性の向上等のため、管理票によって最終的な適正処分まで追跡できるようにするとともに、電子管理票の普及促進を進めていくべきではないかと掲げております。
論点に対する方向性において、まずaとして、汚染土壌の再処理(最終処理)が終了した旨を記載した管理票の写しを、再処理を行った汚染土壌処理業者から搬出事業者へ送付するようにしてはどうかとしました。具体的な方法としては、16ページ上段にも示しておりますが、廃棄物処理法の規定を参考にしつつ、管理票に再処理(最終処理)終了年月日の記載欄を設け、処理受託者が再処理(最終処理)終了日を転記して、一次管理票交付者へ送付をする規定を追加することなどが考えられます。
また、bとして、電子管理票システムの運用状況を評価し、利用の普及拡大の方策を検討するべきではないかとしております。具体的には、環境省としても法の施行状況調査の一環として、電子管理票の活用状況や活用に当たっての課題などを把握しまして、課題への対応を検討することや電子管理票の普及促進の資材を作成して、関係団体と連携して、普及促進に努めることなどを想定しております。
最後に、17ページから論点4.ただし書の確認を受けた土地の形質の変更の際の調査報告について取り扱います。19ページの図をご覧になりながらご説明する形が一番分かりやすいと思います。法第3条第1項ただし書に基づいて、有害物質使用特定施設の廃止時に一時的に調査の免除を受けた土地で900㎡以上の土地の形質変更を行うときには、着手の届出を行います。この届出があった場合に、19ページ左半分の図のとおり、都道府県知事による調査命令が裁量の余地なく、調査の要否に検討の余地はなく発動されます。また、土地の所有者等は、命令発出後に調査結果を報告することとなります。
この制度に伴う課題として、命令手続き上、一定の作業と時間が必要となることと、事業者が調査結果の報告を行うためには、都道府県知事からの調査命令を待つ必要があり、工期等への影響があることがございます。17ページの自治体アンケート、また18ページのヒアリングでの意見のとおり、多くの自治体から法第3条第7項と第8項の関係を見直すべきとのご意見をいただいておりました。
そこで、18ページに論点として、法第3条第7項による形質の変更の届出に係る手続きの合理化を検討してはどうかと掲げております。論点に対する方向性としては、法第3条第7項による形質変更の届出を行う際、調査命令によらずに、土壌汚染の調査結果を報告できる方法等を検討すべきではないかとしました。この方向性は、法第4条第2項にて既に土地の形質変更の届出と同時に、土壌汚染状況調査の結果を都道府県知事に提出することができるようになっている旨も念頭に置いております。
本日この方向性で検討することの確認が取れれば、調査命令によらず、土壌汚染の調査結果を報告できるような具体的な方法として、19ページのピンク色の四角内に記載のとおり、形質変更の着手の届出と調査結果報告の同時提出を法第4条第2項と同じくできる規定とし、現行のフローによる手続きはそのままとするか、必ず発出される調査命令そのものが必要であるか等、整理すべき観点はございますが、法令面から検討を深めていきたいと考えております。
説明は以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。それでは、ただいまご説明がございました論点について、論点ごとに時間を区切って審議していきたいと思います。資料の2の1ページにある目次のとおり、論点1汚染情報に係る調査契機について、論点2健康リスクに応じた試料採取等調査について、論点3汚染土壌の管理票について、論点4ただし書の確認を受けた土地の形質の変更の際の調査報告についての4つに区切り、最後に全体をまとめて審議したいと思います。
質問事項につきましては、事務局からまとめて回答していただきたいと思います。ご発言のある方は、ネームプレートを立てていただくようにお願いします。WEB参加者の方は、挙手ボタンでお知らせください。
では、まず2ページから8ページまで、論点1、汚染情報に係る調査契機について審議します。ご発言のある方は、どうぞお知らせください。
では、古川委員、お願いします。
(古川専門委員)
ありがとうございます。まず、第1項目の汚染情報に係る調査契機、必要な情報の把握・承継につきまして、今回のご説明に大きな違和感はございません。ただし、スライド8ページの「必要な情報」の範囲の明確化が重要と考えております。先ほど化学物質の種類や図面と説明がございましたが、具体的に示していただくことが必要と思っております。事業者の過度な負担にならないように、合理的な範囲に絞って簡易な方法とすることが不可欠であると考えております。
また、調査契機につきましては、他制度との重複がないようにしていただきたいと思います。例えば、有害物質使用特定施設の所有者が変わらず、土地所有者のみが変わる場合、宅建業法に基づく重要事項説明書の記載事項として、施設の設置状況等の情報は土地所有者まで承継されるものと理解しております。あるいは、特定施設の所有者が変更される場合は、水濁法上の届出がなされます。このような状況がありますので、土対法におきまして他制度との重複がないような形での整理を考えていく必要があるかと思います。
また、情報承継の円滑化につきましては、届出情報を基にしたデータベースなど、情報保管の仕組みを国が補完して整備し、情報を提供することを前提にして制度設計をするべきだと考えます。もちろん制度設計にある程度の時間を要することは認識しておりますが、効率的な制度運用を実現するべく、ぜひ検討をお願いいたします。以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
昨年度の検討会資料の見直しイメージでは、地歴調査を拡充するというような感じで書かれておりますが、今日の説明を聞いた限りにおいては、法第3条の第1項のただし書によって地歴調査の猶予が認められているような場合も含めて、情報を継承するということと理解しました。この第3条ただし書を受けている場合や所有者が変わった場合に情報を承継することは非常に重要な話なので、確実にやっていくべきと思うんですけれども、地歴調査ではないのであれば、どのような情報を承継するのかよく分かりませんでした。恐らく今日の資料の8ページ、論点に関する方向性のaのところの2行目に書かれているように、将来的に地歴調査を行ったときに、地歴調査が行えるような資料や情報といったものを継承していくのかなというふうに思っているんですけれども、環境省でお考えの情報があれば、教えていただければなと思います。地歴調査ができるために必要な情報はガイドラインのAppendixに掲載されていると思いますが、そういった情報になるのかと想定しております。
またそれに関連して、5ページに宅建法では、何か情報を継承するとなっていっているんですが、どういう情報が継承されているのかもしご存じでしたら教えていただきたく思います。以上になります。
(大塚委員長)
ありがとうございました。では、石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
まず、今の資料2の4ページのところで、右側に棒グラフがありますが、この棒グラフの3条7項の届出件数と3条8項に基づく調査命令件数が違うのはなぜなのか教えていただきたく思います。17ページに都道府県知事は、届出があった場合は必ず調査命令する、その場合に裁量の余地はないとされていますが、そうするとこの件数は同じになると思ったのですが、何か理由があれば教えていただければと思います。後の議論になりますが18ページとか、19ページ辺りの、3条7項・8項の調査は4条のように調査命令によらずに調査結果を報告できるようにすべきではないかという議論にも関係していると思います。
それから、8ページのところで、土壌汚染に関する情報について、把握・承継を一定の場面で義務づけるという議論については、基本的に賛成しているのですが、一番下のdのところにあるように、関係主体間で適切に受渡しを行うことを義務づける場合、その情報はあくまでも関係主体間でのみ共有するものとして、国や都道府県が情報を把握しておくという制度にはしないということを現時点では想定されているのでしょうか。今回、お配りいただいております参考資料の7-1の7ページのところに、国の適切な関与の在り方も検討すると書かれております。適切な情報の把握を徹底しようとする場合は、データベース化といったようなことも検討の余地があると思いますが、現時点では想定されていないのでしょうか。当然、データベース化をする場合には、情報をどこまで公開するかという問題もありますし、行政側の管理の負担が増えるなどの課題もあり難しいのかもしれませんが、関係主体間だけで情報の承継がどこまでしっかりなされるのか、それをどう担保するかというのは、情報の把握・承継を罰則ありの義務づけにすることなども含めて考える必要があるのではないかなと思いました。以上です。
(大塚委員長)
石巻委員から質問がありましたので、ご回答お願いします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
ご質問いただきました、資料の4ページの施行状況のところで、左側の施設の廃止に係る件数の推移と、右側の一時的免除中の土地における土地の形質の変更というところがございますが、こちら施設廃止をして、同じ年に必ずしもこういう第7項第8項の手続をするとも限りませんし、それぞれの手続をして、また少しタイムラグもあると思いますので、必ずしも件数が一致しているわけではないとお読みいただけるとよろしいのかなと思います。
(鈴木環境汚染対策室長)
8ページのdの関係主体間だけでの受渡しというところについては、cで都道府県への届出はすることとしています。ただ、ご指摘のとおり、届出をするだけで、全ての情報が届出内容に含まれるわけではないということを考えています。そのため情報の承継が行われた際は、届出によって都道府県も分かるんですけども、その中身自体は、今の案では行政には来ないという案にしています。
また先ほど、古川委員からデータベースの整理の意見がありましたが、課題としては我々も認識をしております。ただ恐らく今回の検討のスケジュールの中で、秋ぐらいに取りまとめとする際、どういうシステムでどういうふうにやるかという検討まで、正直間に合わないだろうなと思っています。課題としては認識していますし、今後こういうことをすべきといった点は、しっかりと盛り込んでいただいてもいいのかと思っております。
(大塚委員長)
大事な点と思いますので、すぐには難しいかもしれませんが、ぜひ将来的なデータベースとして、公表できるものはしていくことをお考えいただければと思います。
では、川瀨委員、お願いします。
(川瀨専門委員)
8ページの論点に対する方向性のcのところで、情報の把握を行って都道府県知事等に届出する契機について、①、②、③と示されています。①のただし書の確認を受ける場合と、②の有害物質使用特定施設の承継につきましては、水質汚濁防止法に基づき、①だと廃止届出、②だったら承継届出がなされるため行政で把握する契機がありますが、③の土地の所有者の変更は、水濁法の届出義務がありません。これは調査猶予前の土地から義務があるのか、ただし書の調査猶予中の土地だけに限っての義務となるのか教えていただきたいなと思います。
私の意見としては、ただし書の確認を受けた土地で土地を切り売りした場合のほうが自治体としては把握しやすいので、いいと思います。ただし書の確認を受けている土地所有者さんとは連絡を取り合っていますが、操業中のただし書前の土地については、土地所有者さんとのやり取りは、自治体は行っていないため、情報が把握しづらいという課題があるというふうに認識しています。
(大塚委員長)
こちらも質問のため、ご回答をお願いします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
ご質問をいただきありがとうございます。土対法の今回の承継のところと、水濁法の届出の関係ですけれども、特定施設の届出をする際に併せて土対法の手続も、自治体からご案内する形を想定しています。水濁法の届出でいらっしゃった際に、実は土対法の手続もありますとご案内をして、それで土対法上の承継にかかる届出の漏れをなくしていくことを想定しております。
土地の所有者が変更した場合に、自治体が追い切れない問題があるという点については、ご指摘のとおり難しい課題だと思っております。土地の情報が散逸されがちなタイミングに情報の把握・承継を義務づけることが目的であるため、散逸されやすい契機を列記しているところです。
その上で、これをどう担保するかというところは課題でありますが、業界団体を通して、周知をしていくというところはありますけれども、手続が漏れないような、何かさらに踏み込んだ一工夫についてご意見等あれば頂戴したいと思っております。以上でございます。
(大塚委員長)
佐藤委員、どうぞお願いします。
(佐藤専門委員)
ありがとうございます。今のご質問とも関係しますが、水濁法のほうで、例えば特定施設の設置廃止や施設の承継が全部届出されているのであれば、基本的に自治体のほうにその情報は全部残っているはずと思います。ですから、情報があるにも関わらず、情報の把握・承継の契機になるということの意味がよく分かりません。例えば自治体のほうでその届出資料が廃棄された場合や、散逸してしまった場合等、把握ができなくなったということであるならば、契機になるのかもしれませんが、もしそうであるとしても元の届出を復活するという方法で把握できるのではないでしょうか。
土地の所有者の変更のときは確かに分かりづらいかもしれませんが、例えば仮にこれを義務づけたとした場合に、今の地歴調査は指定調査機関が行うことになっており、大体費用的に数十万円から、場合によっては数百万円かかると言われております。それを新しい土地の所有者が負担するのか、それとも元の土地所有者が負担するかという費用負担の問題が出てきます。その負担を理由に、そういう負担がある土地ならば相続放棄をしましょうとか、裁量放棄をしましょうとか、汚染のおそれのある土地が放置されてしまうというようなことの契機になる可能性があるのではないかと恐れております。実態からするとその辺が私どもとしては不安に思っています。そのため、どの程度の調査を誰がいつの段階でやるのか。また、そもそも資料が残っていないから行うのか、どこかには存在するが調べるのは大変だから行うのか、その実態を明確にしていただければと思います。
(大塚委員長)
後ほど詳しい方と意見を交わしていただければと思います。
では、小林委員、どうぞお願いします。
(小林臨時委員)
私も情報散逸を防ぐために、承継のタイミングを増やすというのは、方向性としていいと思います。一方で、将来的には地歴調査をするため、このタイミングでしか情報を把握しないというものではないはずです。地歴調査をするための情報というのは、ガイドライン等にリストアップされており、そのための情報を早期から認識をし、散逸しないように日常的に事業者の方々がファイリングしておくような努力をしていただくようなことが本来大事と思っております。情報が束ねられていれば、それを渡すだけで済む話です。承継のタイミングが来てから集めるのではなく、図面や関連の情報が将来地歴調査で必要ということを理解し、リストアップされていて日常的に情報を束ねておくことが大事と思っております。そこは義務化までしなくてもいいと思いますが、その点の意識をしていただいて、将来地歴調査で恐らく試料等採取になりそうだとか、事業者さんが認識をしていただくというのがまず非常に大事なのかなと思っています。そのため、義務づける部分と、日常的に情報を散逸しないように集めておいていただく部分も考えておいていただけたらと思いました。以上です。
(大塚委員長)
島田委員、どうぞ。
(島田専門委員)
日建連の島田です。
この情報の把握・承継に関しまして、元々の承継をする背景からすると、関係主体間だけだと後々承継が切れてしまう可能性があるため、届け出た先で管理するシステムは必要と思っております。それを前提にして、この制度を検討していただきたいと思います。
先ほど、どういうことを情報として残していくかと意見がありましたが、後から調べられる情報であればいいかもしれませんが、化学物質の種類や事故履歴はその土地所有者しか分からない情報ですから、そういう情報は必ず調べるということになると思います。基本的には、指定調査機関が関与し、しっかりとしたものを残していく必要があると思います。
また、土地所有者さんが独自にそれを残していくということも選択肢かもしれませんが、従来あまり対応していないような方々が、どう残していくかというのは非常に迷うところがあると思っておりまして、それを指導される行政のほうも、手間がかかるものと思います。そのため、ある程度しっかりしたところで見ていくことが必要と感じております。
費用面に関しましても、個人でできるところもあるが、中小の方々が切迫した状態で土地を動かす場合のような現実もあることがヒアリングの中でも度々出てきておりましたので、例えば、補助制度のようなことが検討できないかということも検討いただければ思います。以上でございます。
(大塚委員長)
では、金見委員、どうぞお願いします。
(金見専門委員)
いろいろご意見をいただいているところですので、重なる部分もありますが、以前、「地歴調査」とあったところが、「情報の継承」となったのは、地歴調査とすると指定調査機関のようなところがすべきというニュアンスが出てくるので、変更になったのではと受け止めております。私どものほうでも中小事業者の方を審査していますと、数十万円かけるのでもきついというところもあり、地歴調査を行うと100万円、200万円は普通にかかってしまうというところもございます。結局は決めたはいいけども、中小事業者の方が対応できず、実効性がなくなってしまうという可能性もあることから、地歴調査という(決め打ちの)文言ではなくなったという理解です。
やはり中小事業者の方に対して負担ができるだけないような形で、ただ、情報を継承することは、とても大事なことと思いますので、それは何らかやっていく必要はあるかと考えております。
あと、都道府県に届出してはどうかという点ですが、東京都の条例では、情報の継承はうたってはいますが、届出の義務までは課していないところでも一応規制が回っていますので、行政コストをどれだけかけてこれを実現するかというところは、もう少し議論していただければなと思います。
ただ、届出を受ける事務だけしていればいいのではなく、例えば、土地の所有者の変更があったにもかかわらず、届出されていない事案があって行政はちゃんとチェックしているのかという話になった際に、では、行政としては定期的なチェックを行うのか等、そういったところまでいってしまうと、かなりの事務量になるのではと考えています。
規制の細かなところですと、土地の所有者の変更で思いつくのは、土地の区分所有者がたくさんいて、その中に規制対象者がいる場合、一部の所有者が変わった際も契機になるのか。例えば、マンションの中にクリーニング店がある場合に、区分所有者がたくさんいるため、土地の所有者が頻繁に変わってしまうという点もありますので、そういったところをどうするのかというのをきちんと決めていかないと、混乱を招くと考えます。
あとは、先ほどからお話がありましたとおり、他法令で情報が継承されているのであれば、土対法でわざわざ継承する必要があるのかというところもありますので、そこについての議論も必要と考えております。
方向性として、情報を継承するという点については良いと思いますが、議論しなければならないところが結構たくさんあると考えております。以上でございます。
(大塚委員長)
区分所有の場合は新しい問題が発生することは、そのとおりだと思います。
寺浦委員、どうぞお願いします。
(寺浦専門委員)
もう既に出ている意見についての補強と言いますか、私もこちらの8ページの情報についての承継について、関係主体間で適切に受渡しとされていますが、例えば、相続の場合で、遠い親戚が亡くなった際に、相続人であることを知らないというケースがやはりあります。それで、大分時間がたってから、実は相続人でしたという場合もあります。そういった場合に、関係者主体間で相続を承継しろと言われても、相続人としてはどうしようもない事例がございますので、やはり情報については、国が適切に関与して、管理をするようなシステムを早期に実現していただくということが前提ではないかと考えます。以上です。
(大塚委員長)
足立委員、どうぞお願いします。
(足立専門委員)
地歴情報の散逸に関わるところの必要な情報のところでございますけれども、古川委員からの必要な情報が細か過ぎると事業者負担の観点から課題になるというご意見もあった一方で、内容が薄いと承継する意味もあまりなくなってしまいますので、使用の箇所、保管の場所、その保管場所から使用する場所の経路や配管等、ある程度細かい情報がないと承継、記録にとどめる意味もなくなりますので、それが有効な情報になるような細かさ、粒度で求めていただければと思います。
また、そういった情報があった場合ですけれども、その後の採取調査に及ぶ場合についても、土地全体を調査しなければいけないようなことでもなく、使ったリスクに応じて調査範囲をある程度限定するとか、土地全体に調査が及ぶと、ほんの一部でしか使用していなかったものに対して、調査費用負担が非常に過大になることも逆にございますので、特に土地を売買して大きくしていった場合に、ほんの一部でしか使っていなかった履歴が残っている場合であれば、その場所に限って調査する考えもあるかと思いますので、そこはバランスを持って決めていただければと思います。
あと、江種委員からの宅建業法上の情報継承みたいなお話がございましたが、業法上は土対法に関わる内容しか重要事項の説明対象にならないので、法に合致せず、任意でやっている調査については、承継する義務もないものです。ですので、承継している内容もあくまで法に基づいた対応の内容、調査の内容、あるいは区域指定されていればその内容をそのまま承継するという、法の内容がそのまま承継されるということでご理解いただければと思います。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
オンラインのほうに移りまして、光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。今、お話があったところなのですが、情報の承継は非常に大事なことだと思うんですが、土地の所有者の変更というところで、情報承継するのにやはり宅建業法の重要事項に書くという連携が必要なのではないかと思いますが、一方で、足立委員からもあったように、指定区域のみが重要事項として書いてあるというのが今の状況で、有害物質の名称まで書くという、少し技術的な情報まで踏み込むのかというのも、今後の論点かと思いました。
あと情報の承継は非常に重要なのですが、今回、水濁法の特定施設に限りという形になるのであれば、土対法の一部の情報が非常に詳しく承継されるという感じになる、その辺りのバランスというのをどうするのか議論していただく必要があるかと思いました。
以上でございます。
(大塚委員長)
ご質問、ご意見はよろしいでしょうか。
鎌田委員、どうぞ。
(鎌田専門委員)
論点に関しましては、情報の散逸を防ぐというのは賛成でございます。何らかの仕組みが必要かなと思います。
その後の論点に対する方向性という中で、先ほど古川委員とか、ほかの方からもありましたとおり、水濁法の施設の設置届、それから廃止届といった情報が、後々その土地を開発で形質変更する際に有用な資料となると。これが継承されていないというのが問題なので、シンプルに言うとこの部分だけデータとして、その後引き継いだ事業者が利用できるような形になるという方向がいいのではないかという意見です。よろしくお願いします。
(大塚委員長)
ありがとうございました。よろしいでしょうか。
では、ここまでの委員のご発言に関しまして、事務局からこの場で回答や補足などがございましたら、お願いいたします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
ありがとうございます。時間も限られているので、手短に、大きなところだけお話ししたいと思います。汚染情報に係る必要な情報を把握、承継する契機を拡充するに当たっては、個人事業主を含めた事業者の負担が過剰にならないように配慮しつつ、自治体の負担にもならないように配慮することを意識しながら、特定有害物質に係る情報の散逸が防止されるように、バランスの取れた制度設計をしていきたいと思っております。
具体的には、水濁法の手続と重複していないかなどの点について、精査が必要だと思いますし、重要事項説明と何か連携できる可能性という点についてもご指摘をいただいているので、少し調べる必要があるかと思っております。
また、制度の趣旨で、小林委員からご指摘があった点ですけれども、今回、ご提案したように、特定有害物質に係る必要な情報を把握、承継しておけば、それらの情報を地歴調査するときに指定調査機関が収集、整理できるものとなります。
したがって、理屈上は試料採取等調査で過剰な負担を求められる可能性を低減できる可能性があるという点から、特定有害物質に係る必要な情報を把握・承継したほうが、事業者にとっては有意義になりますので、ご提案した制度を具体化するという形になったときには、制度の趣旨も含めて社会に浸透させていく必要もあると理解したところでございます。
以上でございます。
(鈴木環境汚染対策室長)
もう少し補足します。
基本的には今、金井のほうからご説明したとおり、バランスを持って制度設計していくということと思っております。指定調査機関を使うべきというご意見と、使うと結構な負担になるのではないかというご意見がありました。承継を義務づけるのであれば、ある程度負担感に配慮した制度にしないと、なかなか実効性が乏しくなってくるかと思っております。
細かい話では、例えば区分所有者が変わった場合とか、いろいろご質問が出ましたが、そういうところも含めて、あまり届出の回数が負担にならないよう考えていきたいと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、次の論点に移ります。9ページから12ページまで論点2、健康リスクに応じた試料採取等調査についてを審議します。ご発言のある方はお知らせください。
中込委員、お願いします。
(中込専門委員)
鉄鋼連盟、中込でございます。
今回、お示しいただきました論点の方向性につきましては、基本的には異論ございません。その上で、繰り返しにはなりますけれども、鉄鋼連盟の基本的な考え方といたしましては、製鉄所が立地するような臨海部などの工業専用地域におきましては、一般住民の立入りもないですし、地下水を飲用するということもないということから、健康リスクも極めて低いという地域でございますので、その特性に応じた合理的な運用の考えになるようにお願いしたいと考えてございます。
その中で、この現行制度に加えて地下水のモニタリングにより試料採取等の調査を不要とするようなスキームの導入につきましては、これで選択肢が増えるということで、これは大変ありがたい提案でございます。
一方で、この地下水のモニタリングの評価につきましては、一定期間を要するということで、場合によっては、試料採取をするよりも本当に長い期間がかかってしまうというおそれがあるかと思います。
それから、この健康リスクの極めて低い地域でありながら、形質変更のたびにその周辺を新規に井戸を打って施工して、形質変更後の地下水の変化もフォローしなければならないということで、試料採取調査と比べても負担軽減とはならない可能性もあると考えてございます。
こういったところから、ご提案いただいている方法に加えて、ほかの方法もできましたら併せて検討いただきたいと考えてございます。
この、健康リスクのないエリアであるということを合理的に判断する方法といたしまして、臨海部におきましては、敷地境界の中でも一般河川が通ったり、あるいは海域で区切られている等、物理的に区切られている島になっているようなところの形質変更でも調査が必要ということになってございまして、物理的に区切られているようなところは除外できるのではないかというところ。また、区切られていなかったとしても、地下水の流向が敷地境界とは逆の流向でなければ、敷地境界内の部分におきましても、モニタリングとしては形質変更のごとに実施が不要な場所ではないかなというところもございます。
それから、かなり敷地境界から地続きになっていながらも、4キロも5キロも離れているような、かなり十分な距離を保っているようなところでの形質変更がございますので、そういうところも健康リスクがないと判断ができる場所ではないかと考えてございます。
この資料の11ページの検討会の提言にもございますけれども、健康リスクがないことを確認できれば、試料採取等の調査を一律に義務づけないようにという記載をしているところでもございますので、改めて今言ったようなところを追加していただければと考えております。
以上になります。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
古川委員、どうぞ、お願いします。
(古川専門委員)
鉄連様と意見がほぼ重なってしまいましたので、簡潔に述べます。
土壌汚染による健康被害のおそれがないと考えられる場合においては、試料採取等の調査を一律に義務づけないというこのスキームには賛同いたします。
一方、全ての場合において地下水モニタリングを義務づける必要があるというのは疑問に思っております。例えば、鉄連様からご説明がありましたように、臨海部だけでなく、埋立地や飲料井戸が周辺にない場合など、地下水飲用による健康リスクを想定し難いケースは多々あると思われます。そのような場合にも地下水モニタリングは果たして必要か、一度ご一考いただくか、もしくは議論が必要と思っております。
また、地下水モニタリングのコストがイメージしにくいと感じております。工法等がまだ分からない状況ではありますが、費用・期間がかかるために、結局、試料採取したほうが早く着工できトータルで便利という制度になってしまっては元も子もありません。地下水モニタリングに絞ることなく、様々なケースでの検討の可能性を残していただくことが必要と考えます。
以上です。
(大塚委員長)
では、金見委員、どうぞ。
(金見専門委員)
一つは運用する立場というところで、移行期間の話なのかもしれませんが、今、しっかり区域指定という形で土地を確定させているところと、地下水モニタリングだけで済むところ、汚染レベルとしてそれほど変わらないのに、義務のレベルが違う土地がまだらに存在するような形になってしまうので、そこをどうつなぐのかなというところは、一つ法上の区分けが必要となるかもしれないなと考えております。具体的にどうすればというのは、今の時点でアイデアはないです。
あともう一つ、考え方としてなんですけれども、今、土対法と水濁法の線引きについてですが、土対法は土壌があって、その土壌がから外に対して汚染を拡散しないようにしましょうという形で、土が始まりで地下水という方向性になっていると思うのですが、地下水を見て土壌汚染のところを判断するというとなると、逆のベクトルを土対法に含めるというところがあって、水濁法との境目がだんだん近くなってきているような感じがしています。 地下水でいろいろな地下水汚染のモニタリングとかをしたりして、汚染の高いところが見つかった場合、そうするとどんどん二つの法律のリンクが強くなると、その辺のつながりがどうなっていくのかなというのが、ちょっと気になっているところです。
以上でございます。
(大塚委員長)
今の点補足していただくと、東京都の条例は似たようなことは全く考えていなかったでしたか。
(金見専門委員)
土対法の場合、そこら辺をしっかりすみ分けという形なんですけれども、東京都の条例ですと地下水汚染の防止というところもきっちり求めておりまして、例えば第二溶出量基準を超える場合については、周りで地下水を飲んでいなくても対応しましょうと。将来的な地下水汚染を周りに広げないためにということで、東京都の条例ですと、そこまで見ているというところなので、土対法もそちらのほうに寄っていくのか寄っていかないのかというところがちょっと気になったところということで、お話しさせていただきました。
(大塚委員長)
対応を強化するために地下水汚染を見ているのが東京都の条例だけど、ちょっと観点が違うということですね。ありがとうございます。
江種委員、どうぞお願いします。
(江種専門委員)
2点あります。1点目は、方向性に書かれているのが地下水モニタリングを運用するということなので、地下水の飲用摂取の経路の部分だけに絞っているんですけれども、直接摂取の経路というのも考えに入れたほうがいいんじゃないかなと思います。直接土壌に触らないような状況であれば、アスファルトとかコンクリートとかで被覆されていて、全く誰も汚染されている可能性がある土壌を触る可能性がなければ必要ないとか、ほかにもあるかもしれませんけれども、そういったものが必要なのかなと思っております。それが一つ目です。
もう一つは、試料採取の調査をしないため区域指定されないことになります。区域指定されると何らかの形でその情報が続いていくと思うんですけれども、区域指定されなければ、その情報が将来にわたってどうなっていくかという点です。地歴調査まではやっているけど、先ほどの1番の論点につながるんですけど、その情報が継承されないということになったら困るので、こういった地歴調査までしました、試料採取調査はしませんでしたという情報も、1番の論点に含めて継承していくような仕組みにしてはどうかなと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
いろいろなことを考えていただいて、ありがとうございます。
小林委員、どうぞ。
(小林臨時委員)
ありがとうございます。私も江種委員がおっしゃったように、含有量基準が超過をしている土壌について、ここでは見られていないというのが1点。
もう一点、地下水のモニタリングがある程度判断できるような物質もあるとは思うが、一方で鉛、カドミウム等、吸着性の高いような物質ですと移動も非常に遅いですし、地下水のモニタリングで判断しようと思うと非常に長期間モニタリングしなければいけなくなる。中込委員が先ほどおっしゃっていたように、状況によってはこれで判断するというのが難しいケースもあり得るということで、そういう意味では地下水のモニタリング情報を活用するというのはよいとは思います。しかし、最初の検討会の低減のところで、健康被害のおそれがないことが確認できる場合というのが、物質であったりとか土質であったりとか、立地、埋立地で全く飲用井戸がないですとか、状況によっていろいろあると思います。そういう健康被害のおそれがないことが確認できる場合というのを、少し整理して、こういう場合にはある程度簡易的に、健康リスクの懸念がないと判断できるというような、それを整理できたらいいのではないかという印象を持っております。いろいろなケースがあるかと思いますので、検討会のほうで議論するなどされてはいかがでしょうと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
では、佐藤委員、どうぞ。
(佐藤専門委員)
ありがとうございます。地下水モニタリングで汚染状況の調査に直接すぐ行かないというような別のルートを設けることはいい方向だと私も考えております。ただ、中小企業の立場でいくと、まず地下水の飲用リスクがないということが前提ですが、そうすると中小企業の事業場の外にいる方の飲用の井戸がどこにあるのかということが分かった上で判断をされるのだと思いますが、その情報は、例えば事業者には分からない場合、これは飲用リスクの有無や、モニタリングで対応できるのかという判断は自治体に聞かないと分からないのか、それとも自分で事業場の外の地下水の方向を見て、その下流側に飲用井戸有無を自分で調べることになると、そういう調査業務までかかってしまうと、これは大変な話になりそうだと懸念しています。
それから、もう一つの懸念点は、中小企業の場合、事業所が狭隘ですので、例えば形質変更が起こる場合も、敷地ぎりぎり出たところで作業をする可能性があります。その場合、隣地との間でボーリングをする余地がないとか、場合によっては軟弱な地盤というか、沖積層のあるところでボーリングを取ったら逆に地下水が上がってきてしまって、汚染水が地表上に流出してしまうとか、そういう可能性もありますので、果たして本当に地下水モニタリングというのが、次の負担軽減の経路として有効なのかが、いま一つよく分からない。したがって、調査内容と、それからどの程度の調査が必要なのか分からないことが、すごく判断が難しいなというのが私の懸念点でございます。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。
では、勝見委員、どうぞ。お願いします。
(勝見専門委員)
ありがとうございます。これまでほかの委員の方がおっしゃったことと重なるところもございますけれども、今回のこの試料採取調査を一部義務づけない形の選択肢もあり得ると、その中で地下水モニタリングをやってはどうかという方向性については、私も、これは合理的にできるのであればいいのだろうと思っています。それの二次的な結果ということでございますけれども、もし試料採取調査をしたところ、基準超過が発覚した際に掘削除去をしてしまうようなケース、そういったものが減ることも期待はできるのかなと思っておりますが、何人かの委員の方がおっしゃったように、やはり地下水モニタリングを具体的にどうするのかということで、今回の資料では一律に書かれていますけれども、やはりいろいろなケースがある、特に、委員の中にもありました、臨海部の広い工業地域の話と、それから市街地にあるような小さな土地での形質変更というところを果たして一緒に議論できるのかということもございますので、地下水モニタリングを具体的にどうするのかという技術的なところをうまく詰めることで、それが手間がかかったり、時間がかかったりしても意味がございませんので、負担軽減につながって、一方で土対法の本来の目的である人の健康被害の防止というところで、大事な汚染の見逃しがないような形で、制度をまとめていただく必要があると思っています。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。では、オンラインのほうに移ろうと思います。
では、原委員、お願いします。
(原専門委員)
私もこの議論に関して、地下水モニタリングを使うということに関しては、懸念を感じておりまして、やはり有機溶剤等の汚染を想定しているかと思うんですけれども、第一帯水層、第二帯水層で、重いものすと、第一帯水層は汚染が無くても第二帯水層は汚染があることが往々にしてありまして、モニタリング井戸がどちらの深度の地下水をモニタリングしているかでも、汚染が出る、出ないということが懸念されます。
また、土対法では浸透情報だけではなく、直接摂取の曝露というものがあります。地下水のみに限定すると深い位置にある汚染しか対象としないということになりますので、健康被害のおそれがないことを確認できる場合というこの基準について、用途別のことを想定されて、この議論をしているのでしょうか。そこの立てつけに関しては疑問を持っております。直接摂取の曝露リスクを中心にもう少し議論を深めていただけたらと思っております。
よろしくお願いします。
(大塚委員長)
ほかによろしいでしょうか。この健康被害のおそれがないことを確認できる場合について、も少し検討してほしいということですが。
では、ここまでの委員のご発言に関して、事務局からこの場で回答や補足がもしあれば、お願いいたします。
(鈴木環境汚染対策室長)
たくさんご意見をいただきまして、ありがとうございます。まず、含有量について考慮していないのではというご意見がありました。今でも土壌汚染対策法の中で、健康リスクの有無によって要措置区域か、形質変更時要届出区域かというのがありますけども、含有量リスクに対しては、工場・事業場であるということで、一般の方への含有量のリスクはないと現行制度でも判断をして運用していますので、今回の資料でも工場・事業場であってというところで、含有量についてはそこでリスクを見ていると考えています。
それから、今回のこのご提案ですけれども、これからさらに議論を深めていければと思っていますが、形質変更を行う場合ということにしています。なので、将来ずっと土壌汚染調査がされなくなるのではないかということではなく、工場・事業場として操業している方が形質変更を行う場合に、選択ができるようなスキームというのをイメージしていますので、そういう操業しながら形質変更、一部建替えをする際とか、そのような場合での利用というのが想定されるのかなと考えています。
あとは佐藤委員から、飲用井戸の有無の確認のため、事業場の周辺の井戸の調査をしないと分からないんじゃないかというご指摘がありましたけれども、そこは考えておりません。当然行政に聞かないと分からない部分でありますし、土地の所有者に飲用井戸の有無の調査を求めることは考えておらず、地下水モニタリングをして地下水汚染がなければ周辺に仮に井戸があっても飲用による健康リスクはないだろうと判断するということで考えています。
ほかは、金井のほうから。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
では続けて補足いたします。地下水モニタリングに関して、多くのご意見がございました。元の発想としては、この試料採取調査よりも地下水モニタリングのほうが負担が軽くなる可能性がないか、考えられる余地がないかという発想でございます。したがって、地下水モニタリングの方法、程度によっては負担が多くなるというところはご指摘のとおりだと思いますので、そこのバランスにも配慮しながら、制度の地下水モニタリングの方法の詳細を検討していくというものは肝要であると考えております。
また、臨海部に関してもご意見がございましたけれども、臨海部は既にご指摘をいただいているように、地下水の飲用リスクが内陸部に比べて低いなどの特徴がございますので、先ほどのモニタリングの回数や頻度、期間、また、何をもって汚染されているかという基準、そういったところについては、臨海部の場合はそれに応じた個別の検討が考えられるのではないかと思っております。
いずれにせよ、この地下水モニタリングの方法と、試料採取調査の方法、どちらのほうが合理的で、かつ負担が軽くなるかというところを、一つ目の論点と少し似ていますが、事業者様のほうでよくご検討いただいて判断できる、それがとても大事かと考えておりまして、もしこの制度が具体的になった場合には、この制度の趣旨というところをしっかり補足をしていきたいと思います。
以上でございます。
(鈴木環境汚染対策室長)
もう一点だけ補足させていただきます。小林委員のほうから、物質によってはかなり移動が遅いものもあるのではないかというご意見がありました。11ページに書いてあるc、事前のモニタリングに加えて形質変更を実施している間と形質変更の終了後の一定期間としていますので、一定期間をどれくらいにするのかというのがこれからの議論ですけれども、比較的、事前、形質変更中、形質変更後ということで、それなりの期間をやっていただくことになれば、重金属についてもある程度は把握できるのではないかと考えております。
(大塚委員長)
よろしいでしょうか。形質変更時を考えているということで、そこをどれくらい明記するかということが問題になっているかと思いますけれども。
では、引き続きこれについてもご検討いただくということにしたいと思います。
では、次に13ページから16ページにつきまして、論点3、汚染土壌の管理票についてを審議します。ご発言のある方はお知らせください。
鎌田委員、どうぞ。
(鎌田専門委員)
まず、汚染土壌の管理票について論点、中身としては二つあると思いますが、一つは、まず汚染土壌の処理の二次処理の二次管理票を義務づけるということに関しては、透明性を高めるという面でいくと、この部分は賛成でございます。
もう一つ、電子管理票の普及ということですが、ちょうどこの利用が始まったばかりなので、ぜひ価値の評価をしていただきたいというのが意見でございます。その中で、この使いやすさというのを皆さんに理解していただいた上で、この電子管理票の普及というところについて、今後あるべき姿というのがあると思います。申し上げると、今の管理票ですと利用者が使うという形だけに特化しているので、最後、自治体が使えるために、もしくは皆さんが使えるためにどうしたらいいかというのは、ぜひ議論いただきたいと思います。
以上でございます。
(大塚委員長)
では、川瀨委員、どうぞ。
(川瀨専門委員)
ご提案いただいた内容で、ヒアリングのときに名古屋市のほうから述べさせていただいた意見を踏まえていただきまして、ありがとうございます。
今回いただいた方向性で、管理票一枚で搬出者から再処理者まで見える形になると理解しております。あと一点、それを16条、汚染土壌搬出届出のほうにしっかり添付してもらって、届出にも書いてもらうということで、搬出者の方が最終処理までしっかり責任というわけではないですけれども、そういう認識を持って管理していただくことが担保されるといいと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
では、島田委員、どうぞ。
(島田専門委員)
ありがとうございます。島田です。
16ページにあります図ですけれども、今回の見直し案ということでD票のところで、最終的に右の管理票が最後まで戻るような仕組みということで、これは透明性という意味では非常にいいことだと考えております。
そのD票の左横に書いてある、再処理施設へ引渡しがされた旨の通知ということで、現状はここの時点で報告書を上げて、その報告書が上がることによって区域指定解除の手続が始まるということになりますが、もし見直し案Dのところまでいかないと、この手続が始まらないとなると、今よりも長い時間がかかってしまうということになりますので、その部分は現行と同じような状況の区域指定解除の手続がなされるほうがよろしいと思います。このことによって工期が延びて、次の段階に進めないということになりますと、その後の土地の円滑な活用にちょっと難があるかということを思いましたので、よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
ほかにはいかがでしょうか。では、佐藤委員、どうぞ。
(佐藤専門委員)
ありがとうございます。中小企業の実態として、やはりまだ、この処理についてパソコンを使っていない人が多いという状況です。ファクスで紙ないしは郵送で受け取るという方が過半と、ある業界では言っております。
したがって、義務づけというか、電子管理表はおそらく1回使ってしまえば大変便利なものだと思うので、そちらに移行するというのは基本的に賛成ですけれども、時間を限って早期にというようなことは、その実態をよく見ていただいて、無理のない範囲で電子管理表とファクス、紙の併用と、期間を設けていただきたいというのがお願いでございます。
(大塚委員長)
ほかには、いかがでしょうか。
勝見委員、お願いします。
(勝見専門委員)
先ほど、鎌田委員がおっしゃったことと重なりますけれども、電子管理表の活用については、ここでは利用者の観点で使うようにということで、もちろん第一段階としてはそこだろうと思いますけれども、その先、データが透明性をもって集約をされて、それをいろいろな立場の方が活用できるということが、その次のステップにもうまくつながっていくだろうと思いますので、佐藤委員がおっしゃったように、目の前ということだと、今すぐに全ての方が活用できるということは難しくても、幾らかの時間がたった将来のタイミングでは、そういうデータを活用できるような形にこの分野もなっていく形があると思っていますので、その点ぜひご検討いただきたいと思います。
(大塚委員長)
ほかにはよろしいでしょうか。
では、袖野委員のコメントを代読してください。
(長谷川土壌汚染対策係長)
オンラインの袖野委員からコメントをいただいておりますので、事務局のほうで代読させていただきます。
汚染土壌が最終的に適正処分されたか追跡できるようにするという観点から、汚染土壌の搬出者の責任を明記できるとよいと思います。現行の土壌汚染対策法は、廃棄物処理法のような事業者の責務の規定がないため、誰がどの範囲で責任があるのかが不明確となっています。
ただ、本来は汚染者が責任を負うべきであり、汚染者が不明なまま汚染された土地を所有している場合もあるため、責任のかけ方には整理が必要かもしれません。
熱海の盛土問題においても、残土の搬出先が最終的な処分まで追跡できない、しなくてもよいところに問題があったので、搬出元は最終的な処分までを追跡できるようにするのは妥当な方向性だと思います。
また、廃棄物処理においても、トレーサビリティ確保のためにマニフェスト制度が導入されていますが、e-マニフェストは処理フロー中の1社でも紙ベースだと機能しない点が課題となっています。制度導入の時点で最初から電子マニフェストをベースにした制度設計ができるとよいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
ほかはよろしいですか。
私からも、鎌田委員と勝見委員からご発言がありましたけど、自治体が使えるようにすることが大事だと思いますし、現行のシステムですと情報処理機関は一つということにはなっていませんので、将来的に国がお困りになることも多分出てくる可能性もあるので、情報処理機関を一つにすることも、法律上明記することが必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
では、淡路委員、どうぞお願いします。
(淡路臨時委員)
ありがとうございます。淡路です。
電子管理票について発言いたします。あらゆる業界で、このペーパーレスを進めようとしても、関係者の温度感が大きく違っており、普及しないという実態がどこも同じだと伺っておりました。補助を出すことは、いいことではないと思いますが、情報の正確性を担保するために、足並みをそろえることが重要であれば、こういったところに共通のツールを入れるなどして、普及させていくことも重要ではないかと感じました。
以上です。
(大塚委員長)
よろしいでしょうか。では、ここまでの委員のご発言に対して、事務局からこの場で回答や補足がございましたら、お願いいたします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
事務局です。ありがとうございます。まず川瀨委員からご指摘があったところは、法第16条の届出、汚染土壌の搬出時の届出がありますが、これとの関係についてご指摘をいただいたという理解をしております。こちらですけれども、届出以降、諸般の事情によって再処理で当初想定していた施設を変更される場合には、その都度修正をするという事務負担が生じるおそれもあるので、様々なご意見をいただきながら見極めていきたいと思っています。
また、島田委員から区域指定を解除することがC票ではなくD票も設けることによって、遅くなるのではないかといったご指摘がございました。こちらについては現行でもC票のシリーズで汚染土壌が再処理施設に引渡しがされた旨、搬出事業者に通知をされて、それで区域指定解除の手続が進められているので、D票を設けた場合においても、引き続き同様の通知を残すなどして、区域指定解除に係る手続の負担を増加させない、現行と同じように区域指定解除は先行で進めて、後ほどD票が届いたら、それは手元に保管しておくなど柔軟な運用ができないかというところは考えていきたいと思っております。
また、電子管理票の普及促進、将来のビジョンやデータの活用というところについて多くご意見をいただいたと思っております。また、電子管理票はまだ1社目が1月にリリースをしたばかりになりますので、電子管理票を活用することによってどういう効果があるのかいうところを上手に導入できた事例を効果的に、国も一緒に入りながら普及促進など応援をしていくところは、やはり重要かと思いましたので、その点は改めて認識したところでございます。
以上でございます。
(大塚委員長)
では、次に移ります。17ページから19ページに関しての提案、ただし書の確認を受けた土地の形質の変更の際の調査報告についてを審議します。
ご発言のある方は、お知らせください。
勝見委員、どうぞ。お願いします。
(勝見専門委員)
第3条でこの調査命令がスキップできるようにしてはどうかというご提案、第4条では既にそういう制度になっているということで、第4条でなっていて、第3条で今なっていないということは、何か理由があるのか、もし理由があってこうなっているのであれば、その点はお調べいただいくことが必要だと思いました。
よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
3条7項8項が前回改正で規定され、そのときに4条の改正をしていますので、その件は後で回答してもらいます。
では、川瀨委員、お願いします。
(川瀨専門委員)
ありがとうございます。今回、4条第1項2項にならって、この3条7項も同じようなスキームでやったらどうかという方向性でございますけれども、現行の法3条7項は、形質変更届出をあらかじめ出すという形になっているけれども、第4条は土地の形質の変更の30日前までに届出する形になっていて、現行のまま事前調査結果と同時に提出するという形になりますと、土地の形質の変更の直前に調査結果を提出という形になり得る可能性がございますので、3条も事前調査結果を同時に提出する場合につきましては、例えば土地の形質の変更の30日前までに届出するなどの規定を設けていただきたいと思います。
やはり事前に調査項目や調査地点などを打合せはするけれども、実際届け出るときに手違いがあって調査不足となりますと、スケジュールも変わってくると思いますので、その点をご配慮いただきたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
行政指導ができるということをおっしゃっているということになりますか。
(川瀨専門委員)
行政指導もできるし、事業者にとっても準備ができるということになります。
(大塚委員長)
分かりました。どうぞ、石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
ありがとうございます。先ほどご質問があったところに関係するんですけれども、4条では、都道府県知事にとって調査命令を出すことは義務ではないので、出る場合も、出ない場合もあるということで、土地の形質変更をしたい人の側からすると、調査命令がいつになったら出るのか、出ないのか、というところの予測が立たないことから、迅速に土地利用ができないという課題があり、これをクリアするために、届出と同時に調査の報告もすることができるという制度に変更したと私は理解しておりました。不十分なところがあるかもしれませんが。
それに対して3条7項・8項の場合は、調査命令を出すことに裁量の余地はないと、先ほどもお話があったと思いますので、調査命令を出すことは義務ということになり、出るかどうかの予測ができないといった事情がないというところが4条との違いなのだろうと思いました。そのうえで、現状として自治体から3条の7項と8項の関係を見直すべきいうご意見がかなり多いところも踏まえて、4条と同じように、命令が出る前に調査を実施して報告することも届出とセットでできるようにする制度自体は、よいと思います。
その理由づけとして、4条の場合と同じように、迅速に合理的な土地の利用を可能にするためということはできるのではないかと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
ほかにはいかがでしょうか。
では、先ほどの回答も含めて、事務局から回答や補足があれば、お願いします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
事務局です。この第4条の命令の際に、同時報告ができる仕組みは、そもそもどういう考えで導入されているかというところですけれども、石巻委員からもご指摘いただいていますけれども、第4条は土地の形質変更に際して汚染のおそれがあると認められる場合には、調査命令が出る。調査命令が出る場合もあれば、出ない場合もあるという点はご指摘いただいたとおりです。
したがって、事業に予見性が立てづらいということで、事業者から同時に提出できるようにすべきという意見があり、その上で第4条に対しては、その意見を反映した形になっております。土地の形質変更ということの制約になりますので、業界の影響する範囲もとても広いですから、その点を反映したということではないかと思っております。
以上でございます。
(大塚委員長)
では、3条7項、8項のところは、調査命令が出るかどうかということに関しては、命令は出るということで、よろしいでしょうか。その点をご説明していただけますか。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
ありがとうございます。19ページをご覧いただき、第3条第7項に基づいて形質変更の着手の届出がされ、その上で調査命令を必ず発出されることになるということで、ご理解いただければと思います。
(大塚委員長)
そこは違うということでございます。
いかがでしょうか。勝見委員、何かございますか。
(勝見専門委員)
ご説明は理解いたしましたけれども、なぜ今、この形になっているのかということは、また少し勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
(鈴木環境汚染対策室長)
法第3条第8項の調査命令は同条第7項の届出があった場合に、裁量の余地なく発動することになっています。当時の資料を見返すと、調査命令が必要かどうかという議論があったということです。ただ、結果としては調査命令で良いということになったと聞いています。届出の内容、調査命令の範囲や対象物質などについては、やはり自動的に決まらない部分もあるので、恐らくそういったどういう物質をどう調査するところを含めて、行政が確認したほうが良いということが当時の判断だったように聞いています。
(大塚委員長)
勝見委員が聞きたいことを答えていただいたと思います。
(勝見専門委員)
ありがとうございます。当時の状況と、今の状況に違いがあって、今は調査命令のステップをスキップして改正案のような形でも大きな問題はないくらいまで関係者の方々、技術的にも実務的にも成熟されているという理解をさせていただきました。
(鈴木環境汚染対策室長)
ただ、その提出された届出の調査内容が適切ではないということは、やはりあり得るため、命令をもし残すとすれば、調査内容が適正ではないことによる命令のようなものはあるかもしれないので、細部はまた検討していきたいと思います。
(大塚委員長)
検討事項が残っているということでございます。よろしいでしょうか。
では、まだ時間も少し残っていますので、ここまでの審議を踏まえてさらなるご発言がございましたら、お願いいたします。ご発言がある方は、どうぞ、お知らせください。
全体を通して、いかがでしょうか。第1議題、第2議題は結構意見が多かったと思いますけれども、大丈夫ですか。
では、淡路委員、お願いします。
(淡路臨時委員)
ありがとうございます。1と2の論点のところを聞いていて感じるんですけれども、調査やモニタリング、それに対するコストやかかる期間が状況によって異なるとは思うが、例えばもともとその土地を利用していて、形質変更のときにモニタリングに該当する方はまだ良いかもしれませんが、土地の売買などで初めてこの土壌汚染対策に携わる人にとっては大変なじみがなくて、コスト感や必要な期間のイメージがすぐ湧かないのではないかと感じましたので、それが初めて接する人にも分かるように、何かもともと売買する際に、必ず必要な条項や書類などがクリアになってくると、よりなかなか着手、売買に決心がつかない人もだんだん減っていくのではないかと感じます。
少し感想めいたことになってしまいますが、透明感のある仕組みということがポイントではないか。今まで携わっている方については、もちろんコストの削減ですが、初めて携わる方については、制度の透明性、コストの透明性ということも必要ではないかと感じています。
以上です。
(大塚委員長)
大変重要なご指摘、ありがとうございます。
ほかにはいかがですか。よろしいですか。
今のご指摘に事務局からコメントをお願いします。
(鈴木環境汚染対策室長)
ありがとうございます。土壌汚染対策法はなかなか対応が大変だというところで、我々もいろいろな声を聞いております。ただ、施行して20年過ぎてきて、関係の皆様には大変な反面、浸透しているというところもあると思いますので、いろいろなご意見を聞いて、また検討を続けたいと思います。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは本日の審議はこれで終了といたしまして、議事の進行を事務局にお返しいたします。
(長谷川土壌汚染対策係長)
本日は、委員の皆様、ご多忙のところご出席いただき、また大変活発なご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回以降の予定でございますが、引き続き複数回に分けて今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点に関する審議を予定しております。
次回の日程、議題等は、また追ってご連絡、ご案内させていただきます。また、今回の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様のご確認を経て、環境省ホームページに掲載いたします。
以上をもちまして、本日の土壌制度小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。
定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙のところ、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の小委員会は、委員総数20名のうち、過半数の19名がご出席で、西井委員がご欠席の予定です。定足数の要件を満たし、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。
また、WEBを併用した開催であり、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信をしております。
それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。議事次第の配付資料一覧をご覧ください。
まず、資料1として、本小委員会の委員名簿、資料2として、今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点の2点をお配りしております。
また、委員の皆様のお手元には、議事次第の配付資料として示してはおりませんが、参考資料として土壌汚染対策法の概要、法令の条文、さらに第1回小委員会で使用した現状と主な課題に関する資料をお配りしております。会議の中で必要に応じ、ご参照ください。
こちらの参考資料等は次回以降も使用しますので、会議が終わりましたら、机の上に残してご退出されますようお願いいたします。
何か不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
なお、これらの資料及び本小委員会は運営規則等に基づき公開とさせていただきます。
それでは、これより議事に移りたいと思います。大塚委員長に議事進行をお願いいたします。
(大塚委員長)
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、「今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点」です。この議題は、複数回に分けて審議いたしますが、今回はその第1回目でございます。
事務局から資料2の説明をお願いいたします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
環境省環境汚染対策室の金井と申します。
資料2のご用意をお願いいたします。
資料2は、今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点となります。第1回小委員会では、土壌汚染対策法の施行状況とともに、土壌汚染対策法の施行状況等に関する検討会の提言をベースに審議を開始しまして、土対法の施行状況をめぐる問題意識や、今般の点検・見直しの大まかな方向性を頭出ししました。第2回、第3回の小委員会では、関係団体にヒアリングを実施しまして、今後の点検・見直しに当たってのご意見をいただきました。
今回から複数回に分けて、今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点を議題としまして、これまでにいただいたご意見等を踏まえ、個別論点を示し、それぞれの論点に対して課題や対応の方向性の整理を進めてまいります。
おめくりいただきまして、1ページをお願いします。1ページは目次でございます。論点は、制度全体にわたるものから、運用の内容のものまで多数ございますが、中央環境審議会では、制度全体や法令の規定に直接関係、影響するような論点を優先的に取り上げて、順次審議を進めていきます。
本日審議する論点は、目次にある4点でございます。この資料の構成は、これらの論点ごとに、まずは現行制度の概要、施行状況を簡単に振り返ってから、検討の提言、自治体アンケート、ヒアリング意見などと、それらから見出された課題と論点に対する方向性を示す形としております。今回は、論点に対する方向性の審議にとどめまして、具体的な制度の細部までは盛り込んでおりません。本日は、まずは論点に対する方向性をご承諾いただきまして、それを受けて、制度の具体化の検討を進めることを想定しております。また、具体的な制度の細部であっても制度全体や法令の規定に直接関係、影響するような観点については、次回以降の審議会で審議をいただくといったことを想定しております。
では、2ページをご覧ください。2ページからは、論点1、汚染情報に係る調査契機について取り扱います。
まず、現行制度ですが、土対法における土壌汚染状況調査は、土壌汚染の可能性が高い土地について、調査を行う必要性の大きい一定の契機を捉えて行うものです。具体的には有害物質使用特定施設の使用の廃止、一定規模以上の土地の形質変更といった契機に加え、土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認める場合には、調査命令をかけることができる規定や自主調査の規定もございます。
3ページをお願いします。法第3条調査、すなわち有害物質使用特定施設に係る調査には、いわゆる法第3条第1項ただし書として、調査義務の履行が一時的に免除されるという規定がございます。具体的には、引き続き工場や住居として利用する場合には、土地の利用の方法から見て、土壌汚染に伴い人の健康に係る被害が生ずるおそれがないものとして、都道府県知事が確認を行い、調査が猶予されるものです。
4ページをお願いします。有害物質使用特定施設の廃止に係る施行状況をお示ししています。有害物質使用特定施設を廃止した事業場の7割以上が調査義務の一時的免除を受けております。
また、過去に調査義務の一時的免除を受けた土地で900㎡以上の土地の形質変更を行うと、改めて調査契機を迎えますが、その件数は、例えば令和4年度は333件となります。
課題としては、調査義務の一時的免除を受けた後に長期間経過した土地において、施設廃止時に把握しておけば把握できたはずの情報(有害物質の使用状況等)が適切に管理されずに、散逸してしまうケースがみられると掲げています。
5ページをお願いします。4ページで示した課題を根拠として、5ページは自治体アンケートの結果を示してございますが、有害物質使用特定施設等の設置された(されていた)土地などでは、土地所有者等が自らの土地の履歴を把握していない(できない)場合が一定数存在することや、調査が一時免除中の土地が切り売りされるなど、法の調査契機がかからない間に土地が売買され、売買後に汚染の可能性が判明する事例も発生していることといった実態や汚染リスクに関する情報が正確に承継されれば、土地の買主にとっては、事業の見通しの確保、土地の活用・流通の活性化などにも寄与するとのご意見が得られているところです。
6ページをお願いします。自治体アンケートからは土地の所有者・使用者変更時に汚染のおそれに関する情報が十分に承継されず、対応に苦慮した事例等が約3割の自治体で存在することや、多くの自治体が土地の汚染のおそれに関する情報の承継に関する対策・制度を要望している旨を把握しております。
7ページをお願いします。現行制度として、土壌汚染状況調査は、指定調査機関が実施すること、また、土壌汚染状況調査は地歴調査と試料採取等調査からなることをそれぞれの趣旨とともに示しております。地歴調査は調査対象の土地における特定有害物質の使用等の履歴に関する既存の文書などの情報を入手・把握するとともに、収集した情報を基に試料採取対象物質を選定するものです。試料採取等調査は、言わば土壌を採取し汚染状況を分析するものであり、地歴調査の結果を踏まえ、単位区画ごとに土壌汚染のおそれの分類を3段階に評価し、評価結果に応じて、試料採取をし、表層付近の土壌中の特定有害物質の濃度を分析するものです。
8ページをお願いします。検討会の提言では、地歴情報等の土壌汚染状況に関する情報については様々な要因によって散逸が進んでおり、地歴調査を円滑に行うことが年々困難になりつつあることが指摘されていました。そこで論点として、有害物質の使用状況等の土壌汚染状況調査に必要な情報の散逸を防ぐため、何らかの仕組みを設けてはどうかとしました。
論点に対する方向性として、まずaとして、現行法においては、法第3条第1項ただし書の確認を受ける、すなわち調査を猶予する場合や、有害物質使用特定施設の承継等の関係主体が変更される場合において、有害物質の使用状況等に係る情報が収集されていないことから、これらの契機においても、必要な情報を把握・承継することとしてはどうかとしました。
一方で、bとして、これら全てのケースで試料採取等調査まで義務づけることは困難であるため、必要な契機に必要な情報の把握まで行うことを義務づけることとしてはどうかとしました。ここで必要な情報としては、例えば使用していた化学物質の種類や使用時期、化学物質の倉庫や配管等の図面等を想定しておりますが、現行の地歴調査と比べて、どの程度の精度の情報を求めるかなど、ご意見をいただきたいと思っています。
また、cにおいて、土壌汚染状況調査に必要な情報が散逸するおそれがある契機として、①法第3条第1項のただし書の確認を受ける場合、②有害物質使用特定施設の承継、③有害物質使用特定事業場の土地の所有者の変更(土地の切り売りを含む)の場合を掲げております。こうした契機に土地の所有者等に必要な情報の把握を行うことを義務づけ、この規定の履行の実効性を法的に担保するようにする等の観点から、都道府県等に届出をすることとしてはどうかとしております。
あわせて、dとして、上記で把握した必要な情報を有害物質使用特定施設の承継や土地の所有者変更が行われる際の関係主体間で、適切に受け渡しを行うことを義務づけてはどうかとしております。
続けて、9ページをお願いします。このページからは、論点2、健康リスクに応じた試料採取等調査について取り扱います。
まず、現行制度ですが、土対法では、土壌汚染による健康リスクとして直接摂取、地下水の飲用摂取の2つの摂取経路を対象としています。この試料採取等調査をめぐる課題としては、まず2つの摂取経路が想定されず健康リスクがない場合でも、試料採取等調査を行わなければならないことを挙げています。また、試料採取等調査が実施されることで土壌汚染が判明したときには、健康リスク、すなわち摂取経路の有無によらず区域指定され、区域指定された土地では、区域指定を解除するための掘削除去等の措置が多く行われているといった課題が生じている旨も挙げています。
さらに、工場跡地等の用地における各種施設の整備に当たっては、脱炭素社会の実現等に資する土地の円滑な利活用が図られるようにする観点にも言及しておりまして、令和7年2月に閣議決定されたGX2040ビジョンにもこの趣旨が盛り込まれているところでございます。
10ページをお願いします。上の表は、土地の形質変更を契機とした土壌汚染状況調査の結果報告件数です。全体の規模感は、年間700から1,100件で、9ページで示した問題意識を踏まえると、この結果報告件数の中には摂取経路が想定されず健康リスクがない場合も含まれている可能性がございます。
下の表は、土対法では土壌汚染による健康リスクとして地下水の飲用摂取の経路を対象としていることを踏まえまして、要措置区域において、実際に地下水汚染があるかどうかのデータを示しています。表中の赤字のとおり、要措置区域であっても必ずしも実際に地下水汚染が生じているとは限らないことが分かります。
また、特定有害物質別に見ると、地下水汚染の有無の比率が異なるため、地下水の汚染状況を個別具体的に確認することの重要性も読み取ることができます。
続けて、11ページをお願いします。検討会提言では、試料採取等調査について、健康被害のおそれがないことが確認できる場合には、一律に義務づけないようにするなど、健康リスクに応じた調査の実施の確保と制度に基づく各種手続等の運用のしやすさ・分かりやすさの両立を図るべき旨が、土壌汚染対策と地下水汚染対策の連携強化を図る旨とともに盛り込まれていました。
そこで論点として、引き続き工場・事業場として利用する場合であって、土地の形質変更を行う際に、土壌汚染による健康リスクがないと考えられる場合においては、試料採取等調査を一律に義務づけないスキームを検討してはどうかと掲げております。
論点に対する方向性については、まずaとして、土対法では土壌汚染による健康リスクとして地下水の飲用摂取の経路を対象としていることも踏まえて、より直接的に土壌汚染による健康リスクを把握するため、地下水モニタリングの結果を活用してはどうかとしました。
具体的には、bにおいて、引き続き工場・事業場の敷地として利用される場合、すなわち一般の方の立入りに伴う直接摂取の経路が想定されない場合で、かつ、地下水の飲用摂取の経路の観点からは、地下水モニタリングを実施し、一定期間、地下水汚染の有無を確認し、健康リスクがないことを確認できれば、試料採取等調査を一律に義務づけないようにしてはどうかとしました。
その上で、cとして、試料採取等調査を行わない場合には、事前の地下水モニタリングに加えて、形質変更の実施中及び終了後の一定期間においても地下水モニタリングを義務づけることとしてはどうか。また、敷地外に土壌を搬出する場合には、搬出前に土壌汚染の有無を確認し、汚染土壌が適正に処理されるようにしてはどうかとしました。
12ページをお願いします。11ページで説明した論点に対する方向性をフロー図で改めて示したものになります。現行フローは左半分に示したとおりとなっており、法第3条と法第4条でフロー図を分けていないため厳密に正確ではございませんが、いずれにせよ土地の形質の変更を行おうとする場合には、着手の届出をして、土壌汚染状況調査として地歴調査、試料採取等調査の両方を実施します。その結果土壌汚染があれば、直接摂取、地下水の飲用摂取の2つの摂取経路から健康リスクの評価をし、評価結果に応じた区域指定がされ、区域指定した土地から土壌搬出を行う際には搬出の規制がかかります。
これに対して、右半分に示したものは、試料採取等調査を行わずに土地の形質変更を行う新たなフローのイメージです。このフローは、引き続き工場等として利用する場合に土地の形質変更を行う事業者が選択することを想定しており、使用履歴等がある特定有害物質を対象に地下水モニタリングを実施し、地下水の飲用リスクから健康リスクを判断、試料採取等調査を行わずに土地の形質の変更に着手する旨を届出するものとしています。あわせて、実際に土地の形質の変更を行い、敷地外に土壌を搬出する場合には、試料採取等調査を実施していない土壌を搬出ことになるため、搬出前に土壌汚染の有無を確認することとしています。また、形質変更を契機に地下水の汚染が新たに発生していないかを確認するために、形質変更の実施中及び終了後の一定期間、地下水モニタリングを実施するものとしております。
なお、地下水モニタリングによって、地下水の汚染を確認した場合には、土壌汚染による健康リスクがない等の要件を満たさないことになるので、試料採取等調査を行う現行フローに戻って管理されることが想定されます。また、地下水モニタリングの方法、位置、期間、頻度などの考え方や地下水汚染の有無の判断基準などについては、本日審議会で論点に対する方向性の確認が取れた際、詳細を技術的に検討していきたいと考えております。
続けて13ページをお願いします。13ページからは、論点3、汚染土壌の管理票について取り扱います。管理票は、汚染土壌の適正な運搬・処理の実施を確認するために、汚染土壌を要措置区域等から区域外へ搬出する際に交付するものです。具体的には、管理票交付者(搬出者)が交付し、運搬受託者や処理受託者が汚染土壌の運搬・処理の状況を記載して回付し、それぞれの関係主体が管理票またはその写しを保存します。今般ご提案する論点は、二次管理票と電子管理票となります。
汚染土壌の処理では、複数の処理施設によって段階的に処理を行う場合があります。二次管理票は、16ページに示しておりますとおり、再処理が必要な場合に一次処理受託者が交付するもので、一次管理票交付者、つまり元の搬出者に再処理受託者の運搬が終了した旨を報告する仕組みです。
また、電子管理票は、管理票の交付・保存等を紙によらず、電子的にも実施できるようにしたものです。環境省e文書規則により、令和6年4月から運用できるようになりました。
14ページをお願いします。管理票に関する課題は二次管理票と電子管理票の観点から挙げております。
まず、現行の二次管理票は、再処理施設への運搬が終了した旨を報告するまでが規定されておりまして、再処理の終了を報告する規定はありません。
また、電子管理票に関しては、現行では管理票は基本的に複写式の紙で運用されており、普及が始まるのはこれからという段階です。
検討会提言にも不適正な処理事例に対しては必要に応じ、厳正に対応できる制度や運用の在り方を検討する観点からも、管理票を通しての汚染土壌の適正処理のさらなる推進、処理の透明性の向上を図るべき旨が盛り込まれておりました。
15ページをお願いします。第2回、第3回で実施したヒアリングでも汚染土壌の処理量全体に占める二次処理量は半分程度であり、一次処理以降の過程で様々な搬出元の汚染土壌が混在することで、汚染土壌の運搬・処理の透明性等の確保に課題がある旨などのご意見がございました。また、ヒアリングでは電子管理票の普及促進に向けたご意見もございました。
そこで論点として、汚染土壌の適正処理をさらなる推進、処理の透明性の向上等のため、管理票によって最終的な適正処分まで追跡できるようにするとともに、電子管理票の普及促進を進めていくべきではないかと掲げております。
論点に対する方向性において、まずaとして、汚染土壌の再処理(最終処理)が終了した旨を記載した管理票の写しを、再処理を行った汚染土壌処理業者から搬出事業者へ送付するようにしてはどうかとしました。具体的な方法としては、16ページ上段にも示しておりますが、廃棄物処理法の規定を参考にしつつ、管理票に再処理(最終処理)終了年月日の記載欄を設け、処理受託者が再処理(最終処理)終了日を転記して、一次管理票交付者へ送付をする規定を追加することなどが考えられます。
また、bとして、電子管理票システムの運用状況を評価し、利用の普及拡大の方策を検討するべきではないかとしております。具体的には、環境省としても法の施行状況調査の一環として、電子管理票の活用状況や活用に当たっての課題などを把握しまして、課題への対応を検討することや電子管理票の普及促進の資材を作成して、関係団体と連携して、普及促進に努めることなどを想定しております。
最後に、17ページから論点4.ただし書の確認を受けた土地の形質の変更の際の調査報告について取り扱います。19ページの図をご覧になりながらご説明する形が一番分かりやすいと思います。法第3条第1項ただし書に基づいて、有害物質使用特定施設の廃止時に一時的に調査の免除を受けた土地で900㎡以上の土地の形質変更を行うときには、着手の届出を行います。この届出があった場合に、19ページ左半分の図のとおり、都道府県知事による調査命令が裁量の余地なく、調査の要否に検討の余地はなく発動されます。また、土地の所有者等は、命令発出後に調査結果を報告することとなります。
この制度に伴う課題として、命令手続き上、一定の作業と時間が必要となることと、事業者が調査結果の報告を行うためには、都道府県知事からの調査命令を待つ必要があり、工期等への影響があることがございます。17ページの自治体アンケート、また18ページのヒアリングでの意見のとおり、多くの自治体から法第3条第7項と第8項の関係を見直すべきとのご意見をいただいておりました。
そこで、18ページに論点として、法第3条第7項による形質の変更の届出に係る手続きの合理化を検討してはどうかと掲げております。論点に対する方向性としては、法第3条第7項による形質変更の届出を行う際、調査命令によらずに、土壌汚染の調査結果を報告できる方法等を検討すべきではないかとしました。この方向性は、法第4条第2項にて既に土地の形質変更の届出と同時に、土壌汚染状況調査の結果を都道府県知事に提出することができるようになっている旨も念頭に置いております。
本日この方向性で検討することの確認が取れれば、調査命令によらず、土壌汚染の調査結果を報告できるような具体的な方法として、19ページのピンク色の四角内に記載のとおり、形質変更の着手の届出と調査結果報告の同時提出を法第4条第2項と同じくできる規定とし、現行のフローによる手続きはそのままとするか、必ず発出される調査命令そのものが必要であるか等、整理すべき観点はございますが、法令面から検討を深めていきたいと考えております。
説明は以上でございます。
(大塚委員長)
ありがとうございました。それでは、ただいまご説明がございました論点について、論点ごとに時間を区切って審議していきたいと思います。資料の2の1ページにある目次のとおり、論点1汚染情報に係る調査契機について、論点2健康リスクに応じた試料採取等調査について、論点3汚染土壌の管理票について、論点4ただし書の確認を受けた土地の形質の変更の際の調査報告についての4つに区切り、最後に全体をまとめて審議したいと思います。
質問事項につきましては、事務局からまとめて回答していただきたいと思います。ご発言のある方は、ネームプレートを立てていただくようにお願いします。WEB参加者の方は、挙手ボタンでお知らせください。
では、まず2ページから8ページまで、論点1、汚染情報に係る調査契機について審議します。ご発言のある方は、どうぞお知らせください。
では、古川委員、お願いします。
(古川専門委員)
ありがとうございます。まず、第1項目の汚染情報に係る調査契機、必要な情報の把握・承継につきまして、今回のご説明に大きな違和感はございません。ただし、スライド8ページの「必要な情報」の範囲の明確化が重要と考えております。先ほど化学物質の種類や図面と説明がございましたが、具体的に示していただくことが必要と思っております。事業者の過度な負担にならないように、合理的な範囲に絞って簡易な方法とすることが不可欠であると考えております。
また、調査契機につきましては、他制度との重複がないようにしていただきたいと思います。例えば、有害物質使用特定施設の所有者が変わらず、土地所有者のみが変わる場合、宅建業法に基づく重要事項説明書の記載事項として、施設の設置状況等の情報は土地所有者まで承継されるものと理解しております。あるいは、特定施設の所有者が変更される場合は、水濁法上の届出がなされます。このような状況がありますので、土対法におきまして他制度との重複がないような形での整理を考えていく必要があるかと思います。
また、情報承継の円滑化につきましては、届出情報を基にしたデータベースなど、情報保管の仕組みを国が補完して整備し、情報を提供することを前提にして制度設計をするべきだと考えます。もちろん制度設計にある程度の時間を要することは認識しておりますが、効率的な制度運用を実現するべく、ぜひ検討をお願いいたします。以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、江種委員、お願いします。
(江種専門委員)
昨年度の検討会資料の見直しイメージでは、地歴調査を拡充するというような感じで書かれておりますが、今日の説明を聞いた限りにおいては、法第3条の第1項のただし書によって地歴調査の猶予が認められているような場合も含めて、情報を継承するということと理解しました。この第3条ただし書を受けている場合や所有者が変わった場合に情報を承継することは非常に重要な話なので、確実にやっていくべきと思うんですけれども、地歴調査ではないのであれば、どのような情報を承継するのかよく分かりませんでした。恐らく今日の資料の8ページ、論点に関する方向性のaのところの2行目に書かれているように、将来的に地歴調査を行ったときに、地歴調査が行えるような資料や情報といったものを継承していくのかなというふうに思っているんですけれども、環境省でお考えの情報があれば、教えていただければなと思います。地歴調査ができるために必要な情報はガイドラインのAppendixに掲載されていると思いますが、そういった情報になるのかと想定しております。
またそれに関連して、5ページに宅建法では、何か情報を継承するとなっていっているんですが、どういう情報が継承されているのかもしご存じでしたら教えていただきたく思います。以上になります。
(大塚委員長)
ありがとうございました。では、石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
まず、今の資料2の4ページのところで、右側に棒グラフがありますが、この棒グラフの3条7項の届出件数と3条8項に基づく調査命令件数が違うのはなぜなのか教えていただきたく思います。17ページに都道府県知事は、届出があった場合は必ず調査命令する、その場合に裁量の余地はないとされていますが、そうするとこの件数は同じになると思ったのですが、何か理由があれば教えていただければと思います。後の議論になりますが18ページとか、19ページ辺りの、3条7項・8項の調査は4条のように調査命令によらずに調査結果を報告できるようにすべきではないかという議論にも関係していると思います。
それから、8ページのところで、土壌汚染に関する情報について、把握・承継を一定の場面で義務づけるという議論については、基本的に賛成しているのですが、一番下のdのところにあるように、関係主体間で適切に受渡しを行うことを義務づける場合、その情報はあくまでも関係主体間でのみ共有するものとして、国や都道府県が情報を把握しておくという制度にはしないということを現時点では想定されているのでしょうか。今回、お配りいただいております参考資料の7-1の7ページのところに、国の適切な関与の在り方も検討すると書かれております。適切な情報の把握を徹底しようとする場合は、データベース化といったようなことも検討の余地があると思いますが、現時点では想定されていないのでしょうか。当然、データベース化をする場合には、情報をどこまで公開するかという問題もありますし、行政側の管理の負担が増えるなどの課題もあり難しいのかもしれませんが、関係主体間だけで情報の承継がどこまでしっかりなされるのか、それをどう担保するかというのは、情報の把握・承継を罰則ありの義務づけにすることなども含めて考える必要があるのではないかなと思いました。以上です。
(大塚委員長)
石巻委員から質問がありましたので、ご回答お願いします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
ご質問いただきました、資料の4ページの施行状況のところで、左側の施設の廃止に係る件数の推移と、右側の一時的免除中の土地における土地の形質の変更というところがございますが、こちら施設廃止をして、同じ年に必ずしもこういう第7項第8項の手続をするとも限りませんし、それぞれの手続をして、また少しタイムラグもあると思いますので、必ずしも件数が一致しているわけではないとお読みいただけるとよろしいのかなと思います。
(鈴木環境汚染対策室長)
8ページのdの関係主体間だけでの受渡しというところについては、cで都道府県への届出はすることとしています。ただ、ご指摘のとおり、届出をするだけで、全ての情報が届出内容に含まれるわけではないということを考えています。そのため情報の承継が行われた際は、届出によって都道府県も分かるんですけども、その中身自体は、今の案では行政には来ないという案にしています。
また先ほど、古川委員からデータベースの整理の意見がありましたが、課題としては我々も認識をしております。ただ恐らく今回の検討のスケジュールの中で、秋ぐらいに取りまとめとする際、どういうシステムでどういうふうにやるかという検討まで、正直間に合わないだろうなと思っています。課題としては認識していますし、今後こういうことをすべきといった点は、しっかりと盛り込んでいただいてもいいのかと思っております。
(大塚委員長)
大事な点と思いますので、すぐには難しいかもしれませんが、ぜひ将来的なデータベースとして、公表できるものはしていくことをお考えいただければと思います。
では、川瀨委員、お願いします。
(川瀨専門委員)
8ページの論点に対する方向性のcのところで、情報の把握を行って都道府県知事等に届出する契機について、①、②、③と示されています。①のただし書の確認を受ける場合と、②の有害物質使用特定施設の承継につきましては、水質汚濁防止法に基づき、①だと廃止届出、②だったら承継届出がなされるため行政で把握する契機がありますが、③の土地の所有者の変更は、水濁法の届出義務がありません。これは調査猶予前の土地から義務があるのか、ただし書の調査猶予中の土地だけに限っての義務となるのか教えていただきたいなと思います。
私の意見としては、ただし書の確認を受けた土地で土地を切り売りした場合のほうが自治体としては把握しやすいので、いいと思います。ただし書の確認を受けている土地所有者さんとは連絡を取り合っていますが、操業中のただし書前の土地については、土地所有者さんとのやり取りは、自治体は行っていないため、情報が把握しづらいという課題があるというふうに認識しています。
(大塚委員長)
こちらも質問のため、ご回答をお願いします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
ご質問をいただきありがとうございます。土対法の今回の承継のところと、水濁法の届出の関係ですけれども、特定施設の届出をする際に併せて土対法の手続も、自治体からご案内する形を想定しています。水濁法の届出でいらっしゃった際に、実は土対法の手続もありますとご案内をして、それで土対法上の承継にかかる届出の漏れをなくしていくことを想定しております。
土地の所有者が変更した場合に、自治体が追い切れない問題があるという点については、ご指摘のとおり難しい課題だと思っております。土地の情報が散逸されがちなタイミングに情報の把握・承継を義務づけることが目的であるため、散逸されやすい契機を列記しているところです。
その上で、これをどう担保するかというところは課題でありますが、業界団体を通して、周知をしていくというところはありますけれども、手続が漏れないような、何かさらに踏み込んだ一工夫についてご意見等あれば頂戴したいと思っております。以上でございます。
(大塚委員長)
佐藤委員、どうぞお願いします。
(佐藤専門委員)
ありがとうございます。今のご質問とも関係しますが、水濁法のほうで、例えば特定施設の設置廃止や施設の承継が全部届出されているのであれば、基本的に自治体のほうにその情報は全部残っているはずと思います。ですから、情報があるにも関わらず、情報の把握・承継の契機になるということの意味がよく分かりません。例えば自治体のほうでその届出資料が廃棄された場合や、散逸してしまった場合等、把握ができなくなったということであるならば、契機になるのかもしれませんが、もしそうであるとしても元の届出を復活するという方法で把握できるのではないでしょうか。
土地の所有者の変更のときは確かに分かりづらいかもしれませんが、例えば仮にこれを義務づけたとした場合に、今の地歴調査は指定調査機関が行うことになっており、大体費用的に数十万円から、場合によっては数百万円かかると言われております。それを新しい土地の所有者が負担するのか、それとも元の土地所有者が負担するかという費用負担の問題が出てきます。その負担を理由に、そういう負担がある土地ならば相続放棄をしましょうとか、裁量放棄をしましょうとか、汚染のおそれのある土地が放置されてしまうというようなことの契機になる可能性があるのではないかと恐れております。実態からするとその辺が私どもとしては不安に思っています。そのため、どの程度の調査を誰がいつの段階でやるのか。また、そもそも資料が残っていないから行うのか、どこかには存在するが調べるのは大変だから行うのか、その実態を明確にしていただければと思います。
(大塚委員長)
後ほど詳しい方と意見を交わしていただければと思います。
では、小林委員、どうぞお願いします。
(小林臨時委員)
私も情報散逸を防ぐために、承継のタイミングを増やすというのは、方向性としていいと思います。一方で、将来的には地歴調査をするため、このタイミングでしか情報を把握しないというものではないはずです。地歴調査をするための情報というのは、ガイドライン等にリストアップされており、そのための情報を早期から認識をし、散逸しないように日常的に事業者の方々がファイリングしておくような努力をしていただくようなことが本来大事と思っております。情報が束ねられていれば、それを渡すだけで済む話です。承継のタイミングが来てから集めるのではなく、図面や関連の情報が将来地歴調査で必要ということを理解し、リストアップされていて日常的に情報を束ねておくことが大事と思っております。そこは義務化までしなくてもいいと思いますが、その点の意識をしていただいて、将来地歴調査で恐らく試料等採取になりそうだとか、事業者さんが認識をしていただくというのがまず非常に大事なのかなと思っています。そのため、義務づける部分と、日常的に情報を散逸しないように集めておいていただく部分も考えておいていただけたらと思いました。以上です。
(大塚委員長)
島田委員、どうぞ。
(島田専門委員)
日建連の島田です。
この情報の把握・承継に関しまして、元々の承継をする背景からすると、関係主体間だけだと後々承継が切れてしまう可能性があるため、届け出た先で管理するシステムは必要と思っております。それを前提にして、この制度を検討していただきたいと思います。
先ほど、どういうことを情報として残していくかと意見がありましたが、後から調べられる情報であればいいかもしれませんが、化学物質の種類や事故履歴はその土地所有者しか分からない情報ですから、そういう情報は必ず調べるということになると思います。基本的には、指定調査機関が関与し、しっかりとしたものを残していく必要があると思います。
また、土地所有者さんが独自にそれを残していくということも選択肢かもしれませんが、従来あまり対応していないような方々が、どう残していくかというのは非常に迷うところがあると思っておりまして、それを指導される行政のほうも、手間がかかるものと思います。そのため、ある程度しっかりしたところで見ていくことが必要と感じております。
費用面に関しましても、個人でできるところもあるが、中小の方々が切迫した状態で土地を動かす場合のような現実もあることがヒアリングの中でも度々出てきておりましたので、例えば、補助制度のようなことが検討できないかということも検討いただければ思います。以上でございます。
(大塚委員長)
では、金見委員、どうぞお願いします。
(金見専門委員)
いろいろご意見をいただいているところですので、重なる部分もありますが、以前、「地歴調査」とあったところが、「情報の継承」となったのは、地歴調査とすると指定調査機関のようなところがすべきというニュアンスが出てくるので、変更になったのではと受け止めております。私どものほうでも中小事業者の方を審査していますと、数十万円かけるのでもきついというところもあり、地歴調査を行うと100万円、200万円は普通にかかってしまうというところもございます。結局は決めたはいいけども、中小事業者の方が対応できず、実効性がなくなってしまうという可能性もあることから、地歴調査という(決め打ちの)文言ではなくなったという理解です。
やはり中小事業者の方に対して負担ができるだけないような形で、ただ、情報を継承することは、とても大事なことと思いますので、それは何らかやっていく必要はあるかと考えております。
あと、都道府県に届出してはどうかという点ですが、東京都の条例では、情報の継承はうたってはいますが、届出の義務までは課していないところでも一応規制が回っていますので、行政コストをどれだけかけてこれを実現するかというところは、もう少し議論していただければなと思います。
ただ、届出を受ける事務だけしていればいいのではなく、例えば、土地の所有者の変更があったにもかかわらず、届出されていない事案があって行政はちゃんとチェックしているのかという話になった際に、では、行政としては定期的なチェックを行うのか等、そういったところまでいってしまうと、かなりの事務量になるのではと考えています。
規制の細かなところですと、土地の所有者の変更で思いつくのは、土地の区分所有者がたくさんいて、その中に規制対象者がいる場合、一部の所有者が変わった際も契機になるのか。例えば、マンションの中にクリーニング店がある場合に、区分所有者がたくさんいるため、土地の所有者が頻繁に変わってしまうという点もありますので、そういったところをどうするのかというのをきちんと決めていかないと、混乱を招くと考えます。
あとは、先ほどからお話がありましたとおり、他法令で情報が継承されているのであれば、土対法でわざわざ継承する必要があるのかというところもありますので、そこについての議論も必要と考えております。
方向性として、情報を継承するという点については良いと思いますが、議論しなければならないところが結構たくさんあると考えております。以上でございます。
(大塚委員長)
区分所有の場合は新しい問題が発生することは、そのとおりだと思います。
寺浦委員、どうぞお願いします。
(寺浦専門委員)
もう既に出ている意見についての補強と言いますか、私もこちらの8ページの情報についての承継について、関係主体間で適切に受渡しとされていますが、例えば、相続の場合で、遠い親戚が亡くなった際に、相続人であることを知らないというケースがやはりあります。それで、大分時間がたってから、実は相続人でしたという場合もあります。そういった場合に、関係者主体間で相続を承継しろと言われても、相続人としてはどうしようもない事例がございますので、やはり情報については、国が適切に関与して、管理をするようなシステムを早期に実現していただくということが前提ではないかと考えます。以上です。
(大塚委員長)
足立委員、どうぞお願いします。
(足立専門委員)
地歴情報の散逸に関わるところの必要な情報のところでございますけれども、古川委員からの必要な情報が細か過ぎると事業者負担の観点から課題になるというご意見もあった一方で、内容が薄いと承継する意味もあまりなくなってしまいますので、使用の箇所、保管の場所、その保管場所から使用する場所の経路や配管等、ある程度細かい情報がないと承継、記録にとどめる意味もなくなりますので、それが有効な情報になるような細かさ、粒度で求めていただければと思います。
また、そういった情報があった場合ですけれども、その後の採取調査に及ぶ場合についても、土地全体を調査しなければいけないようなことでもなく、使ったリスクに応じて調査範囲をある程度限定するとか、土地全体に調査が及ぶと、ほんの一部でしか使用していなかったものに対して、調査費用負担が非常に過大になることも逆にございますので、特に土地を売買して大きくしていった場合に、ほんの一部でしか使っていなかった履歴が残っている場合であれば、その場所に限って調査する考えもあるかと思いますので、そこはバランスを持って決めていただければと思います。
あと、江種委員からの宅建業法上の情報継承みたいなお話がございましたが、業法上は土対法に関わる内容しか重要事項の説明対象にならないので、法に合致せず、任意でやっている調査については、承継する義務もないものです。ですので、承継している内容もあくまで法に基づいた対応の内容、調査の内容、あるいは区域指定されていればその内容をそのまま承継するという、法の内容がそのまま承継されるということでご理解いただければと思います。
(大塚委員長)
ありがとうございます。
オンラインのほうに移りまして、光成委員、お願いします。
(光成専門委員)
ありがとうございます。今、お話があったところなのですが、情報の承継は非常に大事なことだと思うんですが、土地の所有者の変更というところで、情報承継するのにやはり宅建業法の重要事項に書くという連携が必要なのではないかと思いますが、一方で、足立委員からもあったように、指定区域のみが重要事項として書いてあるというのが今の状況で、有害物質の名称まで書くという、少し技術的な情報まで踏み込むのかというのも、今後の論点かと思いました。
あと情報の承継は非常に重要なのですが、今回、水濁法の特定施設に限りという形になるのであれば、土対法の一部の情報が非常に詳しく承継されるという感じになる、その辺りのバランスというのをどうするのか議論していただく必要があるかと思いました。
以上でございます。
(大塚委員長)
ご質問、ご意見はよろしいでしょうか。
鎌田委員、どうぞ。
(鎌田専門委員)
論点に関しましては、情報の散逸を防ぐというのは賛成でございます。何らかの仕組みが必要かなと思います。
その後の論点に対する方向性という中で、先ほど古川委員とか、ほかの方からもありましたとおり、水濁法の施設の設置届、それから廃止届といった情報が、後々その土地を開発で形質変更する際に有用な資料となると。これが継承されていないというのが問題なので、シンプルに言うとこの部分だけデータとして、その後引き継いだ事業者が利用できるような形になるという方向がいいのではないかという意見です。よろしくお願いします。
(大塚委員長)
ありがとうございました。よろしいでしょうか。
では、ここまでの委員のご発言に関しまして、事務局からこの場で回答や補足などがございましたら、お願いいたします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
ありがとうございます。時間も限られているので、手短に、大きなところだけお話ししたいと思います。汚染情報に係る必要な情報を把握、承継する契機を拡充するに当たっては、個人事業主を含めた事業者の負担が過剰にならないように配慮しつつ、自治体の負担にもならないように配慮することを意識しながら、特定有害物質に係る情報の散逸が防止されるように、バランスの取れた制度設計をしていきたいと思っております。
具体的には、水濁法の手続と重複していないかなどの点について、精査が必要だと思いますし、重要事項説明と何か連携できる可能性という点についてもご指摘をいただいているので、少し調べる必要があるかと思っております。
また、制度の趣旨で、小林委員からご指摘があった点ですけれども、今回、ご提案したように、特定有害物質に係る必要な情報を把握、承継しておけば、それらの情報を地歴調査するときに指定調査機関が収集、整理できるものとなります。
したがって、理屈上は試料採取等調査で過剰な負担を求められる可能性を低減できる可能性があるという点から、特定有害物質に係る必要な情報を把握・承継したほうが、事業者にとっては有意義になりますので、ご提案した制度を具体化するという形になったときには、制度の趣旨も含めて社会に浸透させていく必要もあると理解したところでございます。
以上でございます。
(鈴木環境汚染対策室長)
もう少し補足します。
基本的には今、金井のほうからご説明したとおり、バランスを持って制度設計していくということと思っております。指定調査機関を使うべきというご意見と、使うと結構な負担になるのではないかというご意見がありました。承継を義務づけるのであれば、ある程度負担感に配慮した制度にしないと、なかなか実効性が乏しくなってくるかと思っております。
細かい話では、例えば区分所有者が変わった場合とか、いろいろご質問が出ましたが、そういうところも含めて、あまり届出の回数が負担にならないよう考えていきたいと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございました。
では、次の論点に移ります。9ページから12ページまで論点2、健康リスクに応じた試料採取等調査についてを審議します。ご発言のある方はお知らせください。
中込委員、お願いします。
(中込専門委員)
鉄鋼連盟、中込でございます。
今回、お示しいただきました論点の方向性につきましては、基本的には異論ございません。その上で、繰り返しにはなりますけれども、鉄鋼連盟の基本的な考え方といたしましては、製鉄所が立地するような臨海部などの工業専用地域におきましては、一般住民の立入りもないですし、地下水を飲用するということもないということから、健康リスクも極めて低いという地域でございますので、その特性に応じた合理的な運用の考えになるようにお願いしたいと考えてございます。
その中で、この現行制度に加えて地下水のモニタリングにより試料採取等の調査を不要とするようなスキームの導入につきましては、これで選択肢が増えるということで、これは大変ありがたい提案でございます。
一方で、この地下水のモニタリングの評価につきましては、一定期間を要するということで、場合によっては、試料採取をするよりも本当に長い期間がかかってしまうというおそれがあるかと思います。
それから、この健康リスクの極めて低い地域でありながら、形質変更のたびにその周辺を新規に井戸を打って施工して、形質変更後の地下水の変化もフォローしなければならないということで、試料採取調査と比べても負担軽減とはならない可能性もあると考えてございます。
こういったところから、ご提案いただいている方法に加えて、ほかの方法もできましたら併せて検討いただきたいと考えてございます。
この、健康リスクのないエリアであるということを合理的に判断する方法といたしまして、臨海部におきましては、敷地境界の中でも一般河川が通ったり、あるいは海域で区切られている等、物理的に区切られている島になっているようなところの形質変更でも調査が必要ということになってございまして、物理的に区切られているようなところは除外できるのではないかというところ。また、区切られていなかったとしても、地下水の流向が敷地境界とは逆の流向でなければ、敷地境界内の部分におきましても、モニタリングとしては形質変更のごとに実施が不要な場所ではないかなというところもございます。
それから、かなり敷地境界から地続きになっていながらも、4キロも5キロも離れているような、かなり十分な距離を保っているようなところでの形質変更がございますので、そういうところも健康リスクがないと判断ができる場所ではないかと考えてございます。
この資料の11ページの検討会の提言にもございますけれども、健康リスクがないことを確認できれば、試料採取等の調査を一律に義務づけないようにという記載をしているところでもございますので、改めて今言ったようなところを追加していただければと考えております。
以上になります。
(大塚委員長)
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
古川委員、どうぞ、お願いします。
(古川専門委員)
鉄連様と意見がほぼ重なってしまいましたので、簡潔に述べます。
土壌汚染による健康被害のおそれがないと考えられる場合においては、試料採取等の調査を一律に義務づけないというこのスキームには賛同いたします。
一方、全ての場合において地下水モニタリングを義務づける必要があるというのは疑問に思っております。例えば、鉄連様からご説明がありましたように、臨海部だけでなく、埋立地や飲料井戸が周辺にない場合など、地下水飲用による健康リスクを想定し難いケースは多々あると思われます。そのような場合にも地下水モニタリングは果たして必要か、一度ご一考いただくか、もしくは議論が必要と思っております。
また、地下水モニタリングのコストがイメージしにくいと感じております。工法等がまだ分からない状況ではありますが、費用・期間がかかるために、結局、試料採取したほうが早く着工できトータルで便利という制度になってしまっては元も子もありません。地下水モニタリングに絞ることなく、様々なケースでの検討の可能性を残していただくことが必要と考えます。
以上です。
(大塚委員長)
では、金見委員、どうぞ。
(金見専門委員)
一つは運用する立場というところで、移行期間の話なのかもしれませんが、今、しっかり区域指定という形で土地を確定させているところと、地下水モニタリングだけで済むところ、汚染レベルとしてそれほど変わらないのに、義務のレベルが違う土地がまだらに存在するような形になってしまうので、そこをどうつなぐのかなというところは、一つ法上の区分けが必要となるかもしれないなと考えております。具体的にどうすればというのは、今の時点でアイデアはないです。
あともう一つ、考え方としてなんですけれども、今、土対法と水濁法の線引きについてですが、土対法は土壌があって、その土壌がから外に対して汚染を拡散しないようにしましょうという形で、土が始まりで地下水という方向性になっていると思うのですが、地下水を見て土壌汚染のところを判断するというとなると、逆のベクトルを土対法に含めるというところがあって、水濁法との境目がだんだん近くなってきているような感じがしています。 地下水でいろいろな地下水汚染のモニタリングとかをしたりして、汚染の高いところが見つかった場合、そうするとどんどん二つの法律のリンクが強くなると、その辺のつながりがどうなっていくのかなというのが、ちょっと気になっているところです。
以上でございます。
(大塚委員長)
今の点補足していただくと、東京都の条例は似たようなことは全く考えていなかったでしたか。
(金見専門委員)
土対法の場合、そこら辺をしっかりすみ分けという形なんですけれども、東京都の条例ですと地下水汚染の防止というところもきっちり求めておりまして、例えば第二溶出量基準を超える場合については、周りで地下水を飲んでいなくても対応しましょうと。将来的な地下水汚染を周りに広げないためにということで、東京都の条例ですと、そこまで見ているというところなので、土対法もそちらのほうに寄っていくのか寄っていかないのかというところがちょっと気になったところということで、お話しさせていただきました。
(大塚委員長)
対応を強化するために地下水汚染を見ているのが東京都の条例だけど、ちょっと観点が違うということですね。ありがとうございます。
江種委員、どうぞお願いします。
(江種専門委員)
2点あります。1点目は、方向性に書かれているのが地下水モニタリングを運用するということなので、地下水の飲用摂取の経路の部分だけに絞っているんですけれども、直接摂取の経路というのも考えに入れたほうがいいんじゃないかなと思います。直接土壌に触らないような状況であれば、アスファルトとかコンクリートとかで被覆されていて、全く誰も汚染されている可能性がある土壌を触る可能性がなければ必要ないとか、ほかにもあるかもしれませんけれども、そういったものが必要なのかなと思っております。それが一つ目です。
もう一つは、試料採取の調査をしないため区域指定されないことになります。区域指定されると何らかの形でその情報が続いていくと思うんですけれども、区域指定されなければ、その情報が将来にわたってどうなっていくかという点です。地歴調査まではやっているけど、先ほどの1番の論点につながるんですけど、その情報が継承されないということになったら困るので、こういった地歴調査までしました、試料採取調査はしませんでしたという情報も、1番の論点に含めて継承していくような仕組みにしてはどうかなと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
いろいろなことを考えていただいて、ありがとうございます。
小林委員、どうぞ。
(小林臨時委員)
ありがとうございます。私も江種委員がおっしゃったように、含有量基準が超過をしている土壌について、ここでは見られていないというのが1点。
もう一点、地下水のモニタリングがある程度判断できるような物質もあるとは思うが、一方で鉛、カドミウム等、吸着性の高いような物質ですと移動も非常に遅いですし、地下水のモニタリングで判断しようと思うと非常に長期間モニタリングしなければいけなくなる。中込委員が先ほどおっしゃっていたように、状況によってはこれで判断するというのが難しいケースもあり得るということで、そういう意味では地下水のモニタリング情報を活用するというのはよいとは思います。しかし、最初の検討会の低減のところで、健康被害のおそれがないことが確認できる場合というのが、物質であったりとか土質であったりとか、立地、埋立地で全く飲用井戸がないですとか、状況によっていろいろあると思います。そういう健康被害のおそれがないことが確認できる場合というのを、少し整理して、こういう場合にはある程度簡易的に、健康リスクの懸念がないと判断できるというような、それを整理できたらいいのではないかという印象を持っております。いろいろなケースがあるかと思いますので、検討会のほうで議論するなどされてはいかがでしょうと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
では、佐藤委員、どうぞ。
(佐藤専門委員)
ありがとうございます。地下水モニタリングで汚染状況の調査に直接すぐ行かないというような別のルートを設けることはいい方向だと私も考えております。ただ、中小企業の立場でいくと、まず地下水の飲用リスクがないということが前提ですが、そうすると中小企業の事業場の外にいる方の飲用の井戸がどこにあるのかということが分かった上で判断をされるのだと思いますが、その情報は、例えば事業者には分からない場合、これは飲用リスクの有無や、モニタリングで対応できるのかという判断は自治体に聞かないと分からないのか、それとも自分で事業場の外の地下水の方向を見て、その下流側に飲用井戸有無を自分で調べることになると、そういう調査業務までかかってしまうと、これは大変な話になりそうだと懸念しています。
それから、もう一つの懸念点は、中小企業の場合、事業所が狭隘ですので、例えば形質変更が起こる場合も、敷地ぎりぎり出たところで作業をする可能性があります。その場合、隣地との間でボーリングをする余地がないとか、場合によっては軟弱な地盤というか、沖積層のあるところでボーリングを取ったら逆に地下水が上がってきてしまって、汚染水が地表上に流出してしまうとか、そういう可能性もありますので、果たして本当に地下水モニタリングというのが、次の負担軽減の経路として有効なのかが、いま一つよく分からない。したがって、調査内容と、それからどの程度の調査が必要なのか分からないことが、すごく判断が難しいなというのが私の懸念点でございます。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。
では、勝見委員、どうぞ。お願いします。
(勝見専門委員)
ありがとうございます。これまでほかの委員の方がおっしゃったことと重なるところもございますけれども、今回のこの試料採取調査を一部義務づけない形の選択肢もあり得ると、その中で地下水モニタリングをやってはどうかという方向性については、私も、これは合理的にできるのであればいいのだろうと思っています。それの二次的な結果ということでございますけれども、もし試料採取調査をしたところ、基準超過が発覚した際に掘削除去をしてしまうようなケース、そういったものが減ることも期待はできるのかなと思っておりますが、何人かの委員の方がおっしゃったように、やはり地下水モニタリングを具体的にどうするのかということで、今回の資料では一律に書かれていますけれども、やはりいろいろなケースがある、特に、委員の中にもありました、臨海部の広い工業地域の話と、それから市街地にあるような小さな土地での形質変更というところを果たして一緒に議論できるのかということもございますので、地下水モニタリングを具体的にどうするのかという技術的なところをうまく詰めることで、それが手間がかかったり、時間がかかったりしても意味がございませんので、負担軽減につながって、一方で土対法の本来の目的である人の健康被害の防止というところで、大事な汚染の見逃しがないような形で、制度をまとめていただく必要があると思っています。
以上です。
(大塚委員長)
ありがとうございます。では、オンラインのほうに移ろうと思います。
では、原委員、お願いします。
(原専門委員)
私もこの議論に関して、地下水モニタリングを使うということに関しては、懸念を感じておりまして、やはり有機溶剤等の汚染を想定しているかと思うんですけれども、第一帯水層、第二帯水層で、重いものすと、第一帯水層は汚染が無くても第二帯水層は汚染があることが往々にしてありまして、モニタリング井戸がどちらの深度の地下水をモニタリングしているかでも、汚染が出る、出ないということが懸念されます。
また、土対法では浸透情報だけではなく、直接摂取の曝露というものがあります。地下水のみに限定すると深い位置にある汚染しか対象としないということになりますので、健康被害のおそれがないことを確認できる場合というこの基準について、用途別のことを想定されて、この議論をしているのでしょうか。そこの立てつけに関しては疑問を持っております。直接摂取の曝露リスクを中心にもう少し議論を深めていただけたらと思っております。
よろしくお願いします。
(大塚委員長)
ほかによろしいでしょうか。この健康被害のおそれがないことを確認できる場合について、も少し検討してほしいということですが。
では、ここまでの委員のご発言に関して、事務局からこの場で回答や補足がもしあれば、お願いいたします。
(鈴木環境汚染対策室長)
たくさんご意見をいただきまして、ありがとうございます。まず、含有量について考慮していないのではというご意見がありました。今でも土壌汚染対策法の中で、健康リスクの有無によって要措置区域か、形質変更時要届出区域かというのがありますけども、含有量リスクに対しては、工場・事業場であるということで、一般の方への含有量のリスクはないと現行制度でも判断をして運用していますので、今回の資料でも工場・事業場であってというところで、含有量についてはそこでリスクを見ていると考えています。
それから、今回のこのご提案ですけれども、これからさらに議論を深めていければと思っていますが、形質変更を行う場合ということにしています。なので、将来ずっと土壌汚染調査がされなくなるのではないかということではなく、工場・事業場として操業している方が形質変更を行う場合に、選択ができるようなスキームというのをイメージしていますので、そういう操業しながら形質変更、一部建替えをする際とか、そのような場合での利用というのが想定されるのかなと考えています。
あとは佐藤委員から、飲用井戸の有無の確認のため、事業場の周辺の井戸の調査をしないと分からないんじゃないかというご指摘がありましたけれども、そこは考えておりません。当然行政に聞かないと分からない部分でありますし、土地の所有者に飲用井戸の有無の調査を求めることは考えておらず、地下水モニタリングをして地下水汚染がなければ周辺に仮に井戸があっても飲用による健康リスクはないだろうと判断するということで考えています。
ほかは、金井のほうから。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
では続けて補足いたします。地下水モニタリングに関して、多くのご意見がございました。元の発想としては、この試料採取調査よりも地下水モニタリングのほうが負担が軽くなる可能性がないか、考えられる余地がないかという発想でございます。したがって、地下水モニタリングの方法、程度によっては負担が多くなるというところはご指摘のとおりだと思いますので、そこのバランスにも配慮しながら、制度の地下水モニタリングの方法の詳細を検討していくというものは肝要であると考えております。
また、臨海部に関してもご意見がございましたけれども、臨海部は既にご指摘をいただいているように、地下水の飲用リスクが内陸部に比べて低いなどの特徴がございますので、先ほどのモニタリングの回数や頻度、期間、また、何をもって汚染されているかという基準、そういったところについては、臨海部の場合はそれに応じた個別の検討が考えられるのではないかと思っております。
いずれにせよ、この地下水モニタリングの方法と、試料採取調査の方法、どちらのほうが合理的で、かつ負担が軽くなるかというところを、一つ目の論点と少し似ていますが、事業者様のほうでよくご検討いただいて判断できる、それがとても大事かと考えておりまして、もしこの制度が具体的になった場合には、この制度の趣旨というところをしっかり補足をしていきたいと思います。
以上でございます。
(鈴木環境汚染対策室長)
もう一点だけ補足させていただきます。小林委員のほうから、物質によってはかなり移動が遅いものもあるのではないかというご意見がありました。11ページに書いてあるc、事前のモニタリングに加えて形質変更を実施している間と形質変更の終了後の一定期間としていますので、一定期間をどれくらいにするのかというのがこれからの議論ですけれども、比較的、事前、形質変更中、形質変更後ということで、それなりの期間をやっていただくことになれば、重金属についてもある程度は把握できるのではないかと考えております。
(大塚委員長)
よろしいでしょうか。形質変更時を考えているということで、そこをどれくらい明記するかということが問題になっているかと思いますけれども。
では、引き続きこれについてもご検討いただくということにしたいと思います。
では、次に13ページから16ページにつきまして、論点3、汚染土壌の管理票についてを審議します。ご発言のある方はお知らせください。
鎌田委員、どうぞ。
(鎌田専門委員)
まず、汚染土壌の管理票について論点、中身としては二つあると思いますが、一つは、まず汚染土壌の処理の二次処理の二次管理票を義務づけるということに関しては、透明性を高めるという面でいくと、この部分は賛成でございます。
もう一つ、電子管理票の普及ということですが、ちょうどこの利用が始まったばかりなので、ぜひ価値の評価をしていただきたいというのが意見でございます。その中で、この使いやすさというのを皆さんに理解していただいた上で、この電子管理票の普及というところについて、今後あるべき姿というのがあると思います。申し上げると、今の管理票ですと利用者が使うという形だけに特化しているので、最後、自治体が使えるために、もしくは皆さんが使えるためにどうしたらいいかというのは、ぜひ議論いただきたいと思います。
以上でございます。
(大塚委員長)
では、川瀨委員、どうぞ。
(川瀨専門委員)
ご提案いただいた内容で、ヒアリングのときに名古屋市のほうから述べさせていただいた意見を踏まえていただきまして、ありがとうございます。
今回いただいた方向性で、管理票一枚で搬出者から再処理者まで見える形になると理解しております。あと一点、それを16条、汚染土壌搬出届出のほうにしっかり添付してもらって、届出にも書いてもらうということで、搬出者の方が最終処理までしっかり責任というわけではないですけれども、そういう認識を持って管理していただくことが担保されるといいと思っております。
以上です。
(大塚委員長)
では、島田委員、どうぞ。
(島田専門委員)
ありがとうございます。島田です。
16ページにあります図ですけれども、今回の見直し案ということでD票のところで、最終的に右の管理票が最後まで戻るような仕組みということで、これは透明性という意味では非常にいいことだと考えております。
そのD票の左横に書いてある、再処理施設へ引渡しがされた旨の通知ということで、現状はここの時点で報告書を上げて、その報告書が上がることによって区域指定解除の手続が始まるということになりますが、もし見直し案Dのところまでいかないと、この手続が始まらないとなると、今よりも長い時間がかかってしまうということになりますので、その部分は現行と同じような状況の区域指定解除の手続がなされるほうがよろしいと思います。このことによって工期が延びて、次の段階に進めないということになりますと、その後の土地の円滑な活用にちょっと難があるかということを思いましたので、よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
ほかにはいかがでしょうか。では、佐藤委員、どうぞ。
(佐藤専門委員)
ありがとうございます。中小企業の実態として、やはりまだ、この処理についてパソコンを使っていない人が多いという状況です。ファクスで紙ないしは郵送で受け取るという方が過半と、ある業界では言っております。
したがって、義務づけというか、電子管理表はおそらく1回使ってしまえば大変便利なものだと思うので、そちらに移行するというのは基本的に賛成ですけれども、時間を限って早期にというようなことは、その実態をよく見ていただいて、無理のない範囲で電子管理表とファクス、紙の併用と、期間を設けていただきたいというのがお願いでございます。
(大塚委員長)
ほかには、いかがでしょうか。
勝見委員、お願いします。
(勝見専門委員)
先ほど、鎌田委員がおっしゃったことと重なりますけれども、電子管理表の活用については、ここでは利用者の観点で使うようにということで、もちろん第一段階としてはそこだろうと思いますけれども、その先、データが透明性をもって集約をされて、それをいろいろな立場の方が活用できるということが、その次のステップにもうまくつながっていくだろうと思いますので、佐藤委員がおっしゃったように、目の前ということだと、今すぐに全ての方が活用できるということは難しくても、幾らかの時間がたった将来のタイミングでは、そういうデータを活用できるような形にこの分野もなっていく形があると思っていますので、その点ぜひご検討いただきたいと思います。
(大塚委員長)
ほかにはよろしいでしょうか。
では、袖野委員のコメントを代読してください。
(長谷川土壌汚染対策係長)
オンラインの袖野委員からコメントをいただいておりますので、事務局のほうで代読させていただきます。
汚染土壌が最終的に適正処分されたか追跡できるようにするという観点から、汚染土壌の搬出者の責任を明記できるとよいと思います。現行の土壌汚染対策法は、廃棄物処理法のような事業者の責務の規定がないため、誰がどの範囲で責任があるのかが不明確となっています。
ただ、本来は汚染者が責任を負うべきであり、汚染者が不明なまま汚染された土地を所有している場合もあるため、責任のかけ方には整理が必要かもしれません。
熱海の盛土問題においても、残土の搬出先が最終的な処分まで追跡できない、しなくてもよいところに問題があったので、搬出元は最終的な処分までを追跡できるようにするのは妥当な方向性だと思います。
また、廃棄物処理においても、トレーサビリティ確保のためにマニフェスト制度が導入されていますが、e-マニフェストは処理フロー中の1社でも紙ベースだと機能しない点が課題となっています。制度導入の時点で最初から電子マニフェストをベースにした制度設計ができるとよいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
ほかはよろしいですか。
私からも、鎌田委員と勝見委員からご発言がありましたけど、自治体が使えるようにすることが大事だと思いますし、現行のシステムですと情報処理機関は一つということにはなっていませんので、将来的に国がお困りになることも多分出てくる可能性もあるので、情報処理機関を一つにすることも、法律上明記することが必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
では、淡路委員、どうぞお願いします。
(淡路臨時委員)
ありがとうございます。淡路です。
電子管理票について発言いたします。あらゆる業界で、このペーパーレスを進めようとしても、関係者の温度感が大きく違っており、普及しないという実態がどこも同じだと伺っておりました。補助を出すことは、いいことではないと思いますが、情報の正確性を担保するために、足並みをそろえることが重要であれば、こういったところに共通のツールを入れるなどして、普及させていくことも重要ではないかと感じました。
以上です。
(大塚委員長)
よろしいでしょうか。では、ここまでの委員のご発言に対して、事務局からこの場で回答や補足がございましたら、お願いいたします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
事務局です。ありがとうございます。まず川瀨委員からご指摘があったところは、法第16条の届出、汚染土壌の搬出時の届出がありますが、これとの関係についてご指摘をいただいたという理解をしております。こちらですけれども、届出以降、諸般の事情によって再処理で当初想定していた施設を変更される場合には、その都度修正をするという事務負担が生じるおそれもあるので、様々なご意見をいただきながら見極めていきたいと思っています。
また、島田委員から区域指定を解除することがC票ではなくD票も設けることによって、遅くなるのではないかといったご指摘がございました。こちらについては現行でもC票のシリーズで汚染土壌が再処理施設に引渡しがされた旨、搬出事業者に通知をされて、それで区域指定解除の手続が進められているので、D票を設けた場合においても、引き続き同様の通知を残すなどして、区域指定解除に係る手続の負担を増加させない、現行と同じように区域指定解除は先行で進めて、後ほどD票が届いたら、それは手元に保管しておくなど柔軟な運用ができないかというところは考えていきたいと思っております。
また、電子管理票の普及促進、将来のビジョンやデータの活用というところについて多くご意見をいただいたと思っております。また、電子管理票はまだ1社目が1月にリリースをしたばかりになりますので、電子管理票を活用することによってどういう効果があるのかいうところを上手に導入できた事例を効果的に、国も一緒に入りながら普及促進など応援をしていくところは、やはり重要かと思いましたので、その点は改めて認識したところでございます。
以上でございます。
(大塚委員長)
では、次に移ります。17ページから19ページに関しての提案、ただし書の確認を受けた土地の形質の変更の際の調査報告についてを審議します。
ご発言のある方は、お知らせください。
勝見委員、どうぞ。お願いします。
(勝見専門委員)
第3条でこの調査命令がスキップできるようにしてはどうかというご提案、第4条では既にそういう制度になっているということで、第4条でなっていて、第3条で今なっていないということは、何か理由があるのか、もし理由があってこうなっているのであれば、その点はお調べいただいくことが必要だと思いました。
よろしくお願いいたします。
(大塚委員長)
3条7項8項が前回改正で規定され、そのときに4条の改正をしていますので、その件は後で回答してもらいます。
では、川瀨委員、お願いします。
(川瀨専門委員)
ありがとうございます。今回、4条第1項2項にならって、この3条7項も同じようなスキームでやったらどうかという方向性でございますけれども、現行の法3条7項は、形質変更届出をあらかじめ出すという形になっているけれども、第4条は土地の形質の変更の30日前までに届出する形になっていて、現行のまま事前調査結果と同時に提出するという形になりますと、土地の形質の変更の直前に調査結果を提出という形になり得る可能性がございますので、3条も事前調査結果を同時に提出する場合につきましては、例えば土地の形質の変更の30日前までに届出するなどの規定を設けていただきたいと思います。
やはり事前に調査項目や調査地点などを打合せはするけれども、実際届け出るときに手違いがあって調査不足となりますと、スケジュールも変わってくると思いますので、その点をご配慮いただきたいと思います。
以上です。
(大塚委員長)
行政指導ができるということをおっしゃっているということになりますか。
(川瀨専門委員)
行政指導もできるし、事業者にとっても準備ができるということになります。
(大塚委員長)
分かりました。どうぞ、石巻委員、お願いします。
(石巻専門委員)
ありがとうございます。先ほどご質問があったところに関係するんですけれども、4条では、都道府県知事にとって調査命令を出すことは義務ではないので、出る場合も、出ない場合もあるということで、土地の形質変更をしたい人の側からすると、調査命令がいつになったら出るのか、出ないのか、というところの予測が立たないことから、迅速に土地利用ができないという課題があり、これをクリアするために、届出と同時に調査の報告もすることができるという制度に変更したと私は理解しておりました。不十分なところがあるかもしれませんが。
それに対して3条7項・8項の場合は、調査命令を出すことに裁量の余地はないと、先ほどもお話があったと思いますので、調査命令を出すことは義務ということになり、出るかどうかの予測ができないといった事情がないというところが4条との違いなのだろうと思いました。そのうえで、現状として自治体から3条の7項と8項の関係を見直すべきいうご意見がかなり多いところも踏まえて、4条と同じように、命令が出る前に調査を実施して報告することも届出とセットでできるようにする制度自体は、よいと思います。
その理由づけとして、4条の場合と同じように、迅速に合理的な土地の利用を可能にするためということはできるのではないかと思いました。
以上です。
(大塚委員長)
ほかにはいかがでしょうか。
では、先ほどの回答も含めて、事務局から回答や補足があれば、お願いします。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
事務局です。この第4条の命令の際に、同時報告ができる仕組みは、そもそもどういう考えで導入されているかというところですけれども、石巻委員からもご指摘いただいていますけれども、第4条は土地の形質変更に際して汚染のおそれがあると認められる場合には、調査命令が出る。調査命令が出る場合もあれば、出ない場合もあるという点はご指摘いただいたとおりです。
したがって、事業に予見性が立てづらいということで、事業者から同時に提出できるようにすべきという意見があり、その上で第4条に対しては、その意見を反映した形になっております。土地の形質変更ということの制約になりますので、業界の影響する範囲もとても広いですから、その点を反映したということではないかと思っております。
以上でございます。
(大塚委員長)
では、3条7項、8項のところは、調査命令が出るかどうかということに関しては、命令は出るということで、よろしいでしょうか。その点をご説明していただけますか。
(金井環境汚染対策室室長補佐)
ありがとうございます。19ページをご覧いただき、第3条第7項に基づいて形質変更の着手の届出がされ、その上で調査命令を必ず発出されることになるということで、ご理解いただければと思います。
(大塚委員長)
そこは違うということでございます。
いかがでしょうか。勝見委員、何かございますか。
(勝見専門委員)
ご説明は理解いたしましたけれども、なぜ今、この形になっているのかということは、また少し勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
(鈴木環境汚染対策室長)
法第3条第8項の調査命令は同条第7項の届出があった場合に、裁量の余地なく発動することになっています。当時の資料を見返すと、調査命令が必要かどうかという議論があったということです。ただ、結果としては調査命令で良いということになったと聞いています。届出の内容、調査命令の範囲や対象物質などについては、やはり自動的に決まらない部分もあるので、恐らくそういったどういう物質をどう調査するところを含めて、行政が確認したほうが良いということが当時の判断だったように聞いています。
(大塚委員長)
勝見委員が聞きたいことを答えていただいたと思います。
(勝見専門委員)
ありがとうございます。当時の状況と、今の状況に違いがあって、今は調査命令のステップをスキップして改正案のような形でも大きな問題はないくらいまで関係者の方々、技術的にも実務的にも成熟されているという理解をさせていただきました。
(鈴木環境汚染対策室長)
ただ、その提出された届出の調査内容が適切ではないということは、やはりあり得るため、命令をもし残すとすれば、調査内容が適正ではないことによる命令のようなものはあるかもしれないので、細部はまた検討していきたいと思います。
(大塚委員長)
検討事項が残っているということでございます。よろしいでしょうか。
では、まだ時間も少し残っていますので、ここまでの審議を踏まえてさらなるご発言がございましたら、お願いいたします。ご発言がある方は、どうぞ、お知らせください。
全体を通して、いかがでしょうか。第1議題、第2議題は結構意見が多かったと思いますけれども、大丈夫ですか。
では、淡路委員、お願いします。
(淡路臨時委員)
ありがとうございます。1と2の論点のところを聞いていて感じるんですけれども、調査やモニタリング、それに対するコストやかかる期間が状況によって異なるとは思うが、例えばもともとその土地を利用していて、形質変更のときにモニタリングに該当する方はまだ良いかもしれませんが、土地の売買などで初めてこの土壌汚染対策に携わる人にとっては大変なじみがなくて、コスト感や必要な期間のイメージがすぐ湧かないのではないかと感じましたので、それが初めて接する人にも分かるように、何かもともと売買する際に、必ず必要な条項や書類などがクリアになってくると、よりなかなか着手、売買に決心がつかない人もだんだん減っていくのではないかと感じます。
少し感想めいたことになってしまいますが、透明感のある仕組みということがポイントではないか。今まで携わっている方については、もちろんコストの削減ですが、初めて携わる方については、制度の透明性、コストの透明性ということも必要ではないかと感じています。
以上です。
(大塚委員長)
大変重要なご指摘、ありがとうございます。
ほかにはいかがですか。よろしいですか。
今のご指摘に事務局からコメントをお願いします。
(鈴木環境汚染対策室長)
ありがとうございます。土壌汚染対策法はなかなか対応が大変だというところで、我々もいろいろな声を聞いております。ただ、施行して20年過ぎてきて、関係の皆様には大変な反面、浸透しているというところもあると思いますので、いろいろなご意見を聞いて、また検討を続けたいと思います。
(大塚委員長)
どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは本日の審議はこれで終了といたしまして、議事の進行を事務局にお返しいたします。
(長谷川土壌汚染対策係長)
本日は、委員の皆様、ご多忙のところご出席いただき、また大変活発なご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回以降の予定でございますが、引き続き複数回に分けて今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点に関する審議を予定しております。
次回の日程、議題等は、また追ってご連絡、ご案内させていただきます。また、今回の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様のご確認を経て、環境省ホームページに掲載いたします。
以上をもちまして、本日の土壌制度小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。