中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会(第80回)議事録

日時

令和3年6月17日(木)13:30~15:00

場所

WEB会議システムにより開催

出席委員

委員長   白石 寛明

臨時委員  浅見 真理

      五箇 公一

      根岸 寛光

      林 由香里

      山本 裕史

専門委員  赤松 美紀

      天野 昭子

      稲生 圭哉

      内田又左衞門

      川嶋 貴治

      後藤 千枝

      築地 邦晃

      (敬称略、五十音順)

      (欠席は、佐藤専門委員)

委員以外の出席者

環境省

  羽石室長、上迫室長補佐、髙松室長補佐、秋山係長、服部主査

オブザーバー

  農林水産省

  独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)

  国立研究開発法人国立環境研究所

議題

(1)水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定について

   ・クロフェンテジン

(2)水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定について

   ・バリダマイシン

(3)その他

   ・「水質汚濁に係る農薬登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

   ・天敵農薬に係る評価体制の構築について

配付資料

 資料1  中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿

 資料2  諮問書(写)及び付議書(写)

 資料3  水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に
      関する資料(案)

 資料4  水産基準値案と水域PECの関係について

 資料5  水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)

 資料6  水濁基準値案と水濁PECの関係について

 資料7  「水質汚濁に係る農薬登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

 資料8  天敵農薬に係る評価体制の構築について(案)

 参考資料 農薬評価書 バリダマイシン(食品安全委員会資料)

議事

【羽石室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第80回農薬小委員会を開催させていただきます。
 私、環境省農薬環境管理室長の羽石でございます。よろしくお願い申し上げます。
 本日、まず冒頭に、本農薬小委員会の位置づけについてのご報告ですが、令和3年2月12日に中央環境審議会水環境部会と土壌農薬部会が統合され、水環境・土壌農薬部会となりましたことに伴い、本農薬小委員会も中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会となりましたのでご報告をさせていただきます。
 続きまして、本日の委員の出席状況でございますが、佐藤委員がご欠席とのご連絡を頂いておりますが、本委員会開催の定足数を満たしておりますことをご報告いたします。
 次に、新たに農薬小委員会に所属いただきました委員をご紹介いたします。
 全国地域婦人団体連絡協議会、茨城県地域女性団体連絡会理事の林由香里委員です。林委員、よろしくお願い申し上げます。

【林臨時委員】 はい、初めまして。全国地域女性団体連絡協議会の私は茨城県の理事をしております、林由香里と申します。地域の女性団体ですので、専門的な難しいことは分かりませんけれども、勉強させていただきますので、皆さん、よろしくお願いいたします。

【羽石室長】 林委員、ありがとうございました。
 今回もウェブ会議での開催となり、委員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご容赦いただきますようにお願いいたします。何かご不明な点がございましたら事務局まで、画面右下のチャット欄かお電話にてお知らせいただきますようにお願いいたします。
 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。

【秋山係長】 それでは、資料のご確認をお願いします。
 画面上に配付資料一覧を表示しておりますので、そちらに沿ってご説明いたします。
 資料は1から8まで、参考資料は1のみとなっております。資料については説明の際に画面に表示いたしますが、事前にPDFでもお送りしていますので、必要に応じてお手元にご準備いただければと存じます。
 事前配付資料からの変更箇所については、その都度ご説明いたします。

【羽石室長】 それでは、議事に入らせていただきます。
 議事の進行中は、委員長及び発言者以外はマイクをミュートに設定させていただきます。ご発言がある先生は、ご自分でミュートを解除いただきますようにお願いいたします。なお、ミュート解除がうまくいかない場合は、チャット等でお知らせください。また、会議中、PCの不具合等によりウェブ会議へのご参加が困難な事態が生じた場合には、電話、メール等でご連絡をいただければと存じます。
 それでは、これ以降の議事の進行は白石委員長にお願いいたします。白石委員長、よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 白石です。議事の進行を務めさせていただきます。
 まず初めに、本日の会議の資料の公開の扱いについてご説明いたします。
 本日の農薬小委員会は、昨年2月27日に決定されました「中央環境審議会における新型コロナウイルス感染症対策について」を受けまして、ウェブ上での開催となっていることから、傍聴を取りやめて開催します。資料及び議事録については、ホームページ上にて公開とさせていただきます。
 次に、農薬小委員会の決議の取扱いについてご説明させていただきます。
 小委員会の設置についての水環境・土壌農薬部会決定では、農薬小委員会の決議は、部会長の同意を得て水環境・土壌農薬部会の決議とすることができることになっております。したがいまして、この農薬小委員会で決定いただきましたら、水環境・土壌農薬部会の古米部会長の同意を頂いた上で、部会としての決定としていくことになります。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
 まず、議事1、水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります。
 まず初めに、事務局から諮問書を紹介してください。

【秋山係長】 画面に資料2を表示しましたので、ご覧ください。
 本日の審議剤ですが、こちら平成29年6月27日付の諮問書となっております。
 別紙2のほうに、本日、水産基準についてご審議いただくクロフェンテジンが記載されております。
 続きまして、こちらが中央環境審議会から土壌農薬部会に宛てた付議書となっております。
 続きまして、こちらが令和3年6月10日付の諮問書となっております。本日、水濁基準の設定についてご審議いただくバリダマイシンについての諮問書となっております。
 最後のページが、中央環境審議会から水環境・土壌農薬部会への付議書となっております。
 諮問書についての説明は以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。それでは、審議に入ります。
 本件につきましては、この農薬小委員会に先立って、水域の生活環境動植物登録基準設定検討会において、基準設定の根拠となる農薬申請者から提出された試験結果や公表文献情報について精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定し、基準値案を策定していただいております。
 事務局から資料の説明をお願いします。

【服部主査】 事務局でございます。今、画面にお示ししておりますのが資料3でございます。水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準値案に関する資料でございます。
 本資料は、水域の生活環境動植物登録基準設定検討会においてご審議いただいておりますので、検討会でどのような審議が行われ、またご指摘があったかについても簡単にご説明させていただきます。今回、ご審議いたく農薬はクロフェンテジン、1剤です。
 それでは、説明に移ります。
 クロフェンテジンの物質概要につきましては、こちらに記載のとおりとなっております。
 作用機構等について、クロフェンテジンは、テトラジン骨格を有する殺ダニ剤でありまして、作用機構は不明ですが、胚の発育時にクチクラ形成を阻害するものと推定されております。
 事前にお送りした資料では、作用機構は不明であるのみを記載しておりましたが、赤松委員より、農薬抄録等に記載の文言を参考に情報を何らかの形で入れておいてはどうか、という旨の事前コメントをお寄せいただいており、それを踏まえて推定の機序を追記しております。
 本邦では既登録でありまして、製剤は水和剤が、適用農作物等は果樹等として基準値設定依頼がされております。
 また、申請者からの聞き取りによりますと、原体の国内生産及び輸入は行われておりません。
 この点、補足をいたしますと、本剤の最終出荷年は2012年であり、それ以降の国内での販売がないことを確認しておりますので、現在は日本国内での使用はないものと考えられます。
 各種物性につきましては、こちらの表に記載のとおりとなっております。
 続きまして、水域の生活環境動植物への毒性についてでございます。
 初めに、魚類については、コイによる試験1試験が実施されております。本試験については、流水式、96時間で試験が実施されておりまして、LC501,920μg/L超値となっております。
 なお、本試験では、助剤の硬化ヒマシ油が分散剤に使用され、水溶解度より大きい濃度で試験が行われておりますが、その点に関し、水産検討会におきましてミセルに取り込まれて毒性がマスキングされる可能性があるのではとの指摘がございました。このことに関しては、臨界ミセル濃度より低いと考えられることからほとんど影響は見られないものとご判断いただいております。
 続きまして、甲殻類についてです。甲殻類では、オオミジンコを用いた試験が提出されております。止水式、48時間で試験が実施されておりまして、EC50値は18.6μg/L超値となっております。
 本試験について、当初、申請者から提出されていた試験成績では、本来投与群の遊泳阻害率がOECDテストガイドラインに定められている割合を上回っており、限度試験として不成立であることが水産検討会で指摘され、再試験を実施することになったという経緯がございます。その結果、出し直した試験の結果というのがここの資料に記載されております。
 なお、事前にお送りした抄録には、この古い試験のみが記載されておりましたので、別途、抄録差し替えとしてこちらに記載の新しいほうの試験成績をお送りさせていただきました。
 続きまして、藻類についてです。藻類では、ムレミカヅキモを用いた試験が実施されておりまして、ErC50値は61.3μg/L超値となっております。
 本試験についても、当初、申請者からイカダモによる試験が提出されておりましたが、水産検討会において供試藻類としては不適当と判断され、本資料に記載のムレミカヅキモによる試験が新たに実施されることになったという経緯がございます。
 なお、こちらについても事前にお送りした抄録の中にはなく、別途、抄録差し替えとしてムレミカヅキモによる試験成績をお送りさせていただきました。
 続きまして、水域PECについてです。クロフェンテジンは、果樹等として基準値設定依頼がなされておりますので、非水田使用第1段階ということでPECを算出しております。その結果、0.022μg/Lとなっております。
 最後に、総合評価についてです。登録基準値案は、各毒性試験結果から算出される急性影響濃度のうち、最小の値である甲殻類の試験に基づきまして、1.8μg/Lとさせていただきます。
 リスク評価については、水域PEC0.022μg/Lであり、登録基準値1.8μg/Lを超えていないことを確認しております。
 説明は以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、ただいまのクロフェンテジンにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見、お願いいたします。いかがでしょうか。
 どうしようかね、ウェブでは少しやりにくいので、初めからいきますかね。1ページ目で新たに作用機序等が追加されましたが、これでよろしいでしょうか。コメントを頂いた先生、よろしいでしょうか。

【内田専門委員】 内田ですが、よろしいですか。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【内田専門委員】 作用機作が追加されてよかったと思うのですけども、ここの「胚の発育時に」と書いていますので、これは殺卵活性ではそうかもしれないのですけども、標的害虫はダニですから、若虫にも効果があると思います。
 だから、「胚の」という文言は要らないと思うのですけど。その辺、いかがでしょうか。ちょっとダニのことはあまりよく分からないですけど。

【白石委員長】 はい。どなたか、ダニに詳しい先生方はおられますか。

【五箇臨時委員】 すみません、五箇です。

【白石委員長】 はい、それでは、お願いします。

【五箇臨時委員】 一応、私、大学でダニが専門なのでお答えしますが、これはカーラフロアブルという薬で殺剤に活性がありますけども、基本的には卵から幼虫、若虫というステージで成長を止めるということで、実は卵に対する殺卵活性が一番高くて、どうやら胚発育を抑制するというか阻害するという効果が認められているということです。ただし、作用機構自体は本当に不明なところが多いという不思議な薬だったので、胚の成育、そういったものに対しても影響があるというのは確かです。

【白石委員長】 はい、ありがとうございます。先生、それでは、「胚」という文言は残してもよろしいですかね。

【五箇臨時委員】 残したほうがよいと思います。

【白石委員長】 はい、分かりました。

【内田専門委員】 「胚の」という文言を残すと、殺卵活性だけになるのではないですかね。その若虫などにも効果があるので。

【五箇臨時委員】 はい、胚から若虫に至るまでの成長阻害ですね。

【内田専門委員】 そうですね。だから、「胚の」という文言はあったほうがよいとおっしゃいましたけど、ないほうがよいような気が私はしたのですが。
 これ、下の脚注にあるように、IRAC10Aというのは、これは多分、追記ではクチクラ形成阻害と書いてあるのですけども、キチン合成阻害、CHS1の阻害と書いてあると思うのですけど、その辺は何か知見がないのですかね。

【五箇臨時委員】 クチクラ形成阻害であろうと推定はされていますが、そのメカニズムは解明されてないですね。

【内田専門委員】 詳細は不明なのですね。

【五箇臨時委員】 はい、詳細は不明です。

【内田専門委員】 ありがとうございます。

【白石委員長】 どうしましょう。

【五箇臨時委員】 もしまとめるのだったら、IGR系ですね、要は成長阻害系の作用とまとめていただくのが一番いいかと思います。

【内田専門委員】 そうですね。

【白石委員長】 クチクラ形成を阻害という文言も省きますか。

【五箇臨時委員】 クチクラ形成という文言を入れるとしたら、「考えられる」という表現で。

【白石委員長】 それでは、成長阻害系の。

【五箇臨時委員】 「成長阻害系の作用を持つ」というのが現状分かっている範囲での説明ということになります。

【白石委員長】 作用機構は不明であるが、成長阻害。

【五箇臨時委員】 ダニ類の成長を阻害する作用があるというところですね。

【白石委員長】 と推定される。

【五箇臨時委員】 はい。

【白石委員長】 そうすると、「推定」は要らないか。

【五箇臨時委員】 「推定」は要らないです。成長阻害は間違いないです。

【白石委員長】 はい。事務局はいかがですか。

【服部主査】 ご意見、ありがとうございます。ご指摘を踏まえまして、「作用機構は不明であるが、ダニ類の成長を阻害する作用が考えられる」という記載とさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

【五箇臨時委員】 はい、私はそれでいいと思います。

【内田専門委員】 「(作用が)考えられる」というか、「(作用が)ある」でいいと思います。

【白石委員長】 「ある」でいいですね。

【服部主査】 承知しました。「阻害する作用がある」というふうにさせていただきます。

【白石委員長】 はい。では、そのように修正をお願いします。
 それでは、2ページ目の物性はいかがですか。

【内田専門委員】 この蒸気圧ですけど、単位が「hPa」で、これ初めて見たのですけど、わざわざ「hPa」にして、マイナスパワーの9乗や8乗、7乗などにする必要はないような気がします。

【白石委員長】 これは抄録どおりいつも書いているのですか。抄録どおりですよね。

【内田専門委員】 抄録どおりですね。でも、わざわざ「hPa」と書いて数字を…。

【服部主査】 事務局でございます。先ほど委員のご指摘がありましたとおり、抄録に記載のものをコピーしてきているというところでございます。それでしたら、「Pa」表示に直したほうがよろしゅうございますか。

【内田専門委員】 全般的に統一したらよいような気がしますね、ほかの化合物と揃えて。

【服部主査】 承知いたしました。では、ほかの化合物を参考にしつつ、この単位が「hPa」のところは修正させていただきたいと思います。

【白石委員長】 はい、よろしいですか。ほかの先生はよろしいですか。事務局でよろしいならよいと思いますが。今まで抄録どおりと言っていたので…。

【山本臨時委員】 山本です。今まで抄録どおり表記するのが通例だったのであれば、ここであえて変える必要はあるのかどうかよく分からなかったのですが、そこは事務局のほうに私だったらお任せします。
 以上です。

【内田専門委員】 そうですね。それだったら、そういうルールがあるならお任せします。

【白石委員長】 それでは、そこは事務局でご判断ください。いずれにしても間違いではないと思いますので、はい。
 ほか、いかがでしょう。よろしいですか。
 私も、どちらかというと、この加水分解が非常に見にくいと思います。幾つかの試験結果をまとめて書かれているので、非常に見にくいのですけど、しようがないですね。
 ほか、ご意見がなければ、水溶解度2.52.5といろいろ次の毒性試験で問題があったようですが、何かコメントがあったら、お願いします。平成29年に初回の審議があって、3回ほど審議されていますので。

【山本臨時委員】 水生生物の試験について、山本から少し補足コメントをさせていただきます。
 先ほど白石委員長からお話がありましたが、この剤は水溶解度が非常に低いので、試験に助剤を使っています。DMFを使っているのですが、魚類については先ほど事務局から説明がありましたが、硬化ヒマシ油という界面活性作用があり、懸濁をさせる物質です。これはテストガイドラインでは認められていないということもあるのですが、農薬のこれまでの登録審査では、この剤の使用というのは認められてきたので、水産登録検討会の中でも、よいだろうということになりました。先ほど少し説明がありましたけども、臨界ミセル濃度とは大変かけ離れているのでという説明もありますが、これについては、これまでの通例どおり問題ないと思いました。
 それから、ミジンコと藻類については、これも事務局から説明がありましたが、先に提出していただいたデータについて、特にミジンコは限度試験の不成立という問題がありましたので、これはガイドラインからの大きな逸脱ですので再度試験をしていただき、これについては限度試験が成立しています。
 藻類については、先に提出していただいたイカダモの試験には、種が異なったり、また、時間の問題など幾つか問題点がありまして、ガイドラインからの逸脱が問題であるということで、これも再試験をしていただきました。再試験は通常の試験がされていて、これについても問題がないということになりました。
 私からの補足は以上です。

【白石委員長】 いろいろ動きがあって再試験をして、今の段階では問題がないということでございます。
 ほかに、どなたかコメントはございますか。
 特にないようでしたら、毒性試験に関しては認めていただいて…。

【内田専門委員】 オオミジンコのこの表ですけど。

【白石委員長】 オオミジンコ、6ページ目ですね。

【内田専門委員】 設定濃度のところ、単位が抜けています。

【服部主査】 事務局でございます。大変失礼いたしました。設定濃度のところ、μg/Lですので、そのように追記させていただきます。

【白石委員長】 はい、ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょう。
 ないようでしたら、PECのほうでコメントがございましたらお願いします。特にございませんか。

【稲生専門委員】 稲生です。特に問題ないと思います。

【白石委員長】 はい。
 何かございますか、ほかの先生、いかがでしょう。
 では、ないようでしたら、総合評価でご確認いただきたいと思いますが、ここに書いたような毒性値で、これらのうち最小のAECdでダフニアマグナ(オオミジンコ)の値を基に登録基準値を1.8μg/Lとするということでございます。水域PEC0.022μg/Lであり、これを超えていないことを確認したということです。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 それでは、基準値案はこれで確定とさせていただきたいと思います。
 資料につきましては若干修正点がございますので、修正のほど、よろしくお願いいたします。

【服部主査】 事務局でございます。ご審議いただき、ありがとうございます。作用機構のところで頂いていた記載の修正と、あと「hPa」の単位のところですね、こちらにつきましてはこれまでの運用等も踏まえて確認しまして、また改めてご連絡させていただきたいと思います。

【白石委員長】 今回の審議剤は1剤だけということで、以上で水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準の設定についての審議を終了したいと思います。
 それでは、次に、議事2、水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります。
 事務局から資料の説明をお願いします。

【秋山係長】 それでは、資料5、水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料についてご説明させていただきます。
 本日、ご審議いただく剤は、バリダマイシン、1剤となっております。
 それでは、バリダマイシンのご説明をさせていただきます。
 まず、物質概要ですが、こちらの表に記載のとおりとなっております。
 作用機構等でございますが、バリダマイシンは、グリコシド系抗生物質殺菌剤であり、その作用機構は菌体内でのトレハロース分解酵素であるトレハラーゼの活性の阻害であります。
 本邦での初回登録は1972年でありまして、製剤は粉剤、水和剤及び液剤が、適用農作物等は稲、果樹、野菜、いも、豆、花き、樹木、芝等がございます。
 国内生産量及び輸入量については、こちらに記載のとおりとなっております。
 続きまして、2ページ目、各種物性についてです。各種物性については、こちらの表に記載のとおりとなっております。
 赤松委員より事前にオクタノール/水分配係数は実測値ではなく、計算値であるため、その旨記載するように、とのことでコメントを頂戴しておりますので、表の欄外に農薬抄録の記載に基づき、「Hansch-Leo法による算出値」ということで記載いたしました。
 以上の点が事前送付資料からの変更点となっております。
 続きまして、安全性評価でございます。食品安全委員会は、令和2年9月29日付で、バリダマイシンのADI0.36 mg/kg体重/日とする食品健康影響評価の結果を通知しております。
 この値は各試験でやられた無毒性量のうち最小値40.4 mg/kg体重/日を、有効成分であるバリダマイシンAの純度で換算し、安全係数100で除して設定されております。
 続きまして、水濁PECについてのご説明です。製剤の種類、適用については、こちらに記載のとおりとなっております。
 まず、稲の適用がございますので、水田使用時の水田PEC(第1段階)を算出しております。
 使用方法はこちらに記載のとおりとなっております。
 箱育苗器に3%液剤を1ha当たり6 gで1回、移植後に0.3%粉剤を1ha当たり120 gで計5回使用ということで、合計の投下量は606 g/haとなっております。こちらを年間の河川流量で割ってPECを算出しております。
 続きまして、非水田PECについてです。芝への適用から算出した値が最大となっております。単位面積当たりの有効成分投下量は1,000 g/haになっておりまして、総使用回数は8回となっております。
 使用方法は散布としまして、表に記載のパラメータを設定しております。
 地表流出とドリフト、二つの流出経路を考慮してPECを計算しております。
 水濁PECの算出結果は、こちらの表に記載のとおりとなっております。水田、非水田のPECをそれぞれ合計しまして、0.008171、四捨五入しまして0.0082 mg/Lという結果になっております。
 続きまして、総合評価です。登録基準値の案としましては食安委で設定されたADI0.36 mg/kg体重/日、こちらに係数のほうを掛けまして、水濁基準値の案として0.95 mg/Lを計算しております。
 リスク評価ですが、水濁PEC0.0082 mg/Lであり、登録基準値0.95 mg/Lを超えないことを確認しております。
 続きまして、資料6ですが、ご覧のとおり、水濁PECが基準値案の10分の1を下回ることを確認しておりますので、モニタリングの対象外としたいと考えております。
 続きまして、本日、佐藤先生がご欠席ですので、毒性の概要については事務局より口頭でご説明させていただきます。
 まず、各種抑制試験の結果から、バリダマイシン投与による影響は、主にラットにおける体重増加抑制、下痢及び軟便といった消化管への影響が認められています。神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響及び生体において問題となるような遺伝毒性は認められていません。
 また、ウサギを用いた発生毒性試験において、母動物で著しい毒性影響が見られる用量で胎児に骨格異常及び外表異常が認められております。
 ラットでは催奇形性は認められませんでした。
 各試験で得られた無毒性量のうち、最小値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験を40.4 mg/kg体重/日であったことから、こちらを根拠としまして、安全係数100で除してバリダマイシンAの純度で換算した0.36 mg/kg体重/日、こちらを許容一日摂取量として設定しております。
 説明は以上になります。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、ただいまのバリダマイシンにつきましてご質問、基準値案についてのご意見をお願いします。いかがでしょうか。

【根岸臨時委員】 よろしいですか。

【白石委員長】 はい。お名前をお願いします。

【根岸臨時委員】 根岸です。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【根岸臨時委員】 先ほどと同様、作用機構のところなのですけれども、バリダマイシンについては、たしか抵抗性誘導の機構もあったという気がしたのですが、いかがでしょうか。

【白石委員長】 事務局、分かりますか。

【根岸臨時委員】 大丈夫ですか。

【秋山係長】 すみません、今、抄録を確認しますので少々お待ちいただけますでしょうか。

【根岸臨時委員】 はい。

【白石委員長】 では、確認いただいている間、ほかに質問はございますか。

【内田専門委員】 このPECですけど。

【白石委員長】 はい、PECのほうですね。

【内田専門委員】 PECの芝で10%の液剤をPEC計算に使われていますけど、ネギやテンサイの苗のリゾクトニアには結構たくさん施用すると思うのですけども、それよりも芝のほうがPECは高くなるのですかね。たしか平米6Lぐらい撒くと思うのですが。

【白石委員長】 PECのほうは分かりますか。ネギやテンサイで多いらしいですが、割合が。

【秋山係長】 一応、適用がある農薬の中で最大となるPECをこちらの表に記載しているところです。ただ、ご指摘にありましたように、ネギとテンサイでの適用を踏まえたPECについては、事務局のほうでお調べして、また後ほどお返事させていただきます。

【白石委員長】 それらは多分、多いということだと思いますので。

【内田専門委員】 分かりました。

【白石委員長】 ネギやテンサイにつきましては、後日。

【内田専門委員】 芝のほうは、使用回数が多いからですかね。

【白石委員長】 ああ、そうかもしれないですね。

【内田専門委員】 はい、分かりました。ありがとうございます。

【白石委員長】 ほか、いかがでしょう。

【天野専門委員】 天野です。

【白石委員長】 はい、天野さん、お願いします。

【天野専門委員】 今の芝のPECの件に加えてですが、芝ではなくて、水田使用のほうですけれども、イグサの登録もあると思います。イグサの場合は、投入量がたしか4.5 kgで回数制限がないと記憶していますので、その場合でもやはり稲のほうが多いのかどうか、とご確認いただければと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。イグサについてはどうでしょうか。

【秋山係長】 ご指摘、ありがとうございます。すみません、イグサについても確認して折り返しご回答いたします。

【白石委員長】 ほか、ございますか。ないでしょうか。
 PECが変わってくると困るのですが、イグサが一番効くのですかね。それはすぐ出ますか、出ませんか。後日ということなのでしょうか。

【秋山係長】 すみません。まず、内田委員からご指摘いただいたネギとテンサイのPECについて、いま農薬抄録を確認しましたところ、確かに最大の単回散布量は芝の1,000 g/haに比べて6,000と非常に多くなっているのですけれども、使用回数が1回となっておりますので、結果的にPECは芝のほうが大きくなっているものと考えられます。
 続きまして、根岸先生からご指摘いただいた作用機構のところですが、農薬抄録を確認しましたところ、確かに植物の全身獲得抵抗性誘導が示唆されているということで記載がありましたので、作用機構のところには、こちらの作用機構についても追記したいと思います。

【白石委員長】 少し聞こえにくかったのですけど、抵抗性について追記するということですね。

【秋山係長】 はい。

【白石委員長】 はい、分かりました。

【内田専門委員】 同じく作用機構ですけど。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【内田専門委員】 「トレハラーゼの活性の阻害」という文言、前にもこういう表現があったと思うのですけど、これは「トレハラーゼの阻害」だけでよいですね。それと、IRACのほうはIRAC番号が書かれているけど、FRACにも、あれはU18だったかな、何か番号を引用しておいたほうがよい気がします。そのあたりの書き方を統一したほうがよいと思うのですが。

【白石委員長】 これは水濁でも引用していましたか。

【内田専門委員】 水濁は引用してないのですか、今まで。

【白石委員長】 今のところ引用してなかったような気がします。

【内田専門委員】 そうなのですか。それでしたら、これで結構です。

【白石委員長】 事務局、そうですよね。水産だけ入れていたような気がしましたが…。

【秋山係長】 はい。基本的に水産のほうは記載しているのですけど、水濁のほうは特に記載する決まりとはなっていません。

【白石委員長】 その辺は統一感がないのですが、これまでどおりということでよろしいでしょうか。

【内田専門委員】 はい、結構です。

【白石委員長】 ありがとうございます。あとは、イグサですかね。

【秋山係長】 イグサのほうは、登録内容等を確認して、また折り返し回答させていただきます。

【白石委員長】 はい、分かりました。それでは、後ほど確認してご連絡いただくということですね。おそらく、このPECが最大だろうとは思いますが、取りあえず総合評価のご確認をいただきたいと思います。食安委のADIを基に登録基準値を0.95 mg/Lとするということです。水濁PECは、今のところ0.0082 mg/Lということで、登録基準値を超えていないということですが、若干変わる可能性も万が一あるかと思いますけども、どうしましょうかね。ここはそれほど大きく変わらないと、マージンもたくさんありそうですので、水濁PECにつきましては、後ほど事務局からご連絡いただくということで、この基準値をお認めいただくということでよろしいですか。

【内田専門委員】 はい、結構です。

【白石委員長】 では、水濁PECについてはイグサについてご確認をいただいた上、それで問題がなければこの総合評価を認めていただき、登録基準値を0.95 mg/Lとするということにしたいと思います
 そのほか、ご意見等ございますか。

(発言なし)

【白石委員長】 では、ご意見なければ、今のとおりとさせていただきます。
 では、これでおしまいですかね。バリダマイシンについてはおしまいですので、続きまして、事務局より、議事1及び2に関する今後の予定について説明をお願いします。

【服部主査】 事務局でございます。本日、ご了解いただきました農薬の登録基準につきましては、行政手続法の規定に基づき、今後、パブリックコメントを1か月ほど実施いたします。その結果、もし何か修正等を求める意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度、農薬小委員会で審議を行うかどうかご相談をさせていただきましてご判断いただくことにしたいというふうに思います。再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得て、中央環境審議会長に部会決定として報告を行い、さらに会長の同意を得られれば、中央環境審議会決定として環境大臣に答申いただくことになります。そして、答申後、基準値を告示させていただきます。
 今後の予定につきまして、ご説明は以上です。

【白石委員長】 今後の予定につきまして、何かご質問等ございますか。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようですので、次に議事の3、「その他」に移ります。
 案件は2件です。事務局より説明をお願いします。

【秋山係長】 資料7をご覧ください。本件は、令和3年1月8日に開催した第79回農薬小委員会で審議されました「水質汚濁に係る農薬登録基準値(案)」についてご意見を募集した結果です。
 まず、対象農薬ですが、こちら前回ご審議いただきましたフェンプロパトリンとプロクロラズでございます。
 意見募集期間が2月9日の火曜日から3月10日の水曜日となっております。
 意見募集の結果ですが、ご意見が1件寄せられています。提出されたご意見については、農薬の複合影響に対するコメントとなっております。
 回答としまして、まず、現行の登録制度の概要について説明した後、複数農薬へのばく露による影響については、現段階では国際的に評価方法や考え方が検討されている段階であり、評価手法として確立したものはなく、現時点で評価は困難であると考えています。今後も引き続き、最新の科学的知見の収集に努めてまいります、と回答しております。
 以上については、最近の厚生労働省及び食品安全委員会のパブコメにおいても同様のコメントを頂いておりまして、その際の回答と書きぶりをそろえております。
 当該基準値を定める環境省告示については、今後、省内での手続をいたしまして、パブリックコメントの意見募集結果につきましても当該告示日と同日付で環境省のホームページや電子政府の窓口で公開することとしております。
 説明は以上になります。

【白石委員長】 ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問等ございますか。よろしいでしょうか。

【内田専門委員】 この意見、結構厳しいことが書いてあります。前段に「省令で法の趣旨が損なわれている典型的な事例とも言えます」という記述があります。このようなご意見には、さらっと書いておくほうがよいのですかね。

【白石委員長】 そこに対しては、回答案の前段の説明で、少し対応しているのですかね。

【内田専門委員】 だから、回答案の前段のところをもう少し格調高く書いておいたほうがよいような気がします。例えば、基準値を「上回る」のではなく、「超過する場合は」にしたり、また、「厳格に評価され」といった書き方で、少し強めの表現がよいような気がするのですが…。回答内容としては、これで仕方がないと思うのですけども、ご意見のほうが結構厳しい内容を書いているので…。

【白石委員長】 「典型的な事例とも言えます」というご意見に対し、事務局は、どの程度反論してよいのか分からないようですが…。

【秋山係長】 少々お待ちいただけますでしょうか。

【白石委員長】 はい。

【羽石室長】 環境省、羽石でございます。お待たせしました。内田先生がおっしゃるとおり厳しいご指摘を頂いているのですけれども、同じようなご指摘をこれまでも頂いておりまして、同じように回答しているということなのですけれども、前段につきまして、法令に基づいて、こういう場合にはきっちり拒否しますよ、ということをこれまでと同様に回答しているということで、事務局としましては、ここで回答しているという認識でございます。

【白石委員長】 はい。内田委員、よろしいですか。もう少し反論したいところがあるのかもしれませんが。

【内田専門委員】 そうですね。趣旨は分かりました。だから、回答案の「上回る」という表現をこのような口語調ではなくて、「超過する」などというような厳格な表現にしたほうがよいのではないですかね。

【白石委員長】 「基準を超過する場合には」、まあ意味としては同じですか。「超過する場合」、この辺については、事務局で検討していただければと思いますが。

【羽石室長】 分かりました。「ばく露量が基準を超過する場合には、登録を拒否しなければならないこととされています」というふうに修正をさせていただきたいと思います。

【浅見臨時委員】 すみません。

【白石委員長】 はい、浅見さんですか。

【浅見臨時委員】 水道のほうでは、それぞれ評価値の比を取って、加えて、その比率が1以下であるということを確認するという方法を取っております。その方法に関しても、パブリックコメントでは、ご意見をいろいろ頂くところではあるのですけれども、このご指摘は、単体での評価しかしていないのではないか、という点だと思います。今のご提案のように格調高く書いていただくというのはもちろん結構なのですけれども、現在、複数の農薬が同時に検出される場合についてもモニタリングを行っていて、そこで大きな問題があるようであれば、今後、改善を図っていくべくモニタリングを継続していきます、というような趣旨のことを書いていただいたほうが、ご質問の趣旨には合うのではないかと思いました。
 先ほどのご意見への回答案では、第1段落は一つ一つの評価のことしか書いていないと思いますし、第2段落に関しては、(複数農薬へのばく露による影響については)分かってないので、以前と同じことを書いていますという形になってしまいます。今のご指摘からいきますと、もう少しそういったモニタリングで対応していることや、今後、もし本当に問題が大きいようであれば、改善をしていくというようなことを書かれてはいかがかと思いました。
 それから、誤解があるかもしれないのが、「数千種の農薬使用が許されている我が国」というご指摘です。数千種の農薬が同時に同じ場所で使用されるということはまずないと思うので、それについても、何かうまく表現できるとよいと思います。いずれにしても、もう一歩踏み込んで書いていただいたほうがよいのではないかと思ったところです。
 以上です。

【白石委員長】 事務局、いかがですか。(「御意見に対する考え方」の第2段落の)「また」の上辺りに、書ければ書けそうな気がしますが…。

【羽石室長】 ちょっとお待ちいただけますでしょうか。

【白石委員長】 はい。それから、グループADIを設定した農薬についても基準値を設定していますよね。

【浅見臨時委員】 そうですね。例えばコリンエステラーゼ活性阻害に関してとか、グループADIを設定しているような海外での知見というのも全くないわけではありません。

【白石委員長】 (農薬小委員会の)この場でも何かあったような気がしますけど。ただ、それが単体として多分評価しているという気がするのですけど、何でしたかね。トラロメトリンという農薬にグループADIが設定されていて、農薬小委員会で基準値を設定しています。それを基に…。

【羽石室長】 すみません、事務局でございます。お待たせしました。今、ご指摘いただきましたとおり、モニタリングもしっかりやっており、問題があれば対応していくということを書いてはどうかというご指摘と受け取りましたけれども、そのモニタリングにつきましても、複数の農薬のばく露による影響ではなく、その単体ごとにということになりますけれども、そういう観点でもモニタリングで対応して、問題があれば対応していますよということを書いたほうがよいというご趣旨でしょうか。

【浅見臨時委員】 浅見ですけれども、よろしいでしょうか。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【浅見臨時委員】 複数の農薬に対し、同時にモニタリングはしてないということですか。

【羽石室長】 複数の農薬についてモニタリングはやっておりますけれども、それぞれの農薬につきまして、それぞれの基準値に対してどうかということを見ておりまして、複数の農薬をまとめて基準値に対してどうか、その複合影響かどうか、という観点で見ているわけではないということでございます。

【浅見臨時委員】 (河川中の複数農薬の濃度を)同時に計測をしていないのでしょうか。

【白石委員長】 ここの委員会ではやってないですよね。農薬室ではやっていないので、水道ですかね、やっておられるのは水道だけではないかと思いますが。

【浅見臨時委員】 水道では、やっておりますが。

【白石委員長】 はい。そういったことを「科学的知見の収集に努めてまいります」と記述した前後に入れてもよい気がしますけども…。

【浅見臨時委員】 そうですね、一般的な研究や、ほかのところでも行われているようなことも参考にして情報収集に努めていきますというのは、その中にも入れてもよいと思います。今まで複数の農薬が市場に出た後に、それぞれ高い農薬濃度で検出されているケースがもしあれば、もう少し早く対応をしていると思いますので、モニタリング結果によると、今のところ、そういう状況ではないという理解で、このような回答案を作成されたと思うのですけれど。

【羽石室長】 はい、そうですね。おっしゃるとおり水道のほうでは、その検出値の目標値に対する比の総和が1を超えないようにという方式でやられていると承知しておりますけれども、私どもの農薬のリスク評価の観点におきましては、そのモニタリングにおきましても、複数の農薬の和を評価するという考え方では行っておりません。いずれにしましても、我々のモニタリングにつきましては、単体の農薬ごとに基準値を超えていないかということをチェックすることになっております。

【浅見臨時委員】 それぞれ単体でというのは承知いたしましたが、今までのところ、その単体が同じところでそれほど問題を起こすほど検出されてはいない、という理解だと思うのですけれども。

【羽石室長】 そういう観点でもよろしければ、この1段落目と2段落目の間にモニタリングによる対応もしっかりやっております、ということを追記するということで考えさせていただきたいと思います。

【浅見臨時委員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 はい、ありがとうございます。それでは、追記されたら、皆さんにも確認いただきたいと思います。
 ほかにご意見、いかがでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 では、若干修正があったとして、それは一度見せていただくということにさせていただきたいと思います。
 それでは、最後の案件に移ります。事務局より説明をお願いします。

【上迫室長補佐】 それでは、資料8の説明に参りたいと思います。天敵農薬に係る評価体制の構築についてでございます。
 改めまして、天敵農薬とは、皆さんご存じのとおり、害虫や雑草の防除のために生きたまま放飼し、生物農薬として利用する天敵生物でありまして、農薬取締法においては、はっきりと「これを農薬とみなす」とされておりますので、化学合成農薬と同様に、安全性その他の品質、安全かつ適正な使用の確保を図る必要があるものでございます。
 直近ですと、昨年の農薬小委員会において、トマトやキュウリの施設栽培に用いられる天敵農薬であるタバコカスミカメを審議いただいたところでございます。
 天敵農薬に係る経緯について、ご説明を差し上げます。平成11年、もう20年以上前になりますけれども、当時の環境庁で天敵農薬のガイドラインを公表しております。それ以降、FAMICにおいて、当該ガイドラインに基づいて、登録申請のあった天敵農薬について、放飼地域における定着性の有無、在来の生物への影響、この影響というのは寄生や捕食、競争や交雑といった可能性の観点から、すなわち外来種としての影響ということができるかと思いますけれども、この天敵農薬に係る環境影響の有無等を実質的に審査してきたところでございます。
 しかしながら、農薬取締法が、化学合成農薬の環境への影響を想定した枠組みとなっておりまして、先生方ご存じのとおり、これまで影響評価の対象は水産動植物に限定されていることもありまして、環境省においては、これらの天敵農薬について、水産動植物の影響がないということを形式的に確認する一方で、その外来種としての影響というのは評価をしてこなかったところであります。
 そのような中で、平成30年、3年前になりますけれども、農薬取締法の改正によって、影響評価の対象が陸域を含む生活環境動植物に拡大された、こういったことなどを契機に、環境省は農林水産省と連携をいたしまして、天敵農薬に係る評価の在り方について検討を進めているところです。
 対応方針(案)としましては、具体的には農林水産省と詰めているところではありますけれども、農薬取締法の枠組みにおいて、天敵農薬の在来の生活環境動植物に対する影響を評価するということを明確にするとともに、天敵農薬の評価体制を新たに構築しまして、有識者の意見を踏まえて評価方法を確立したいと考えております。
 これまで水産動植物への影響はなしと形式的に評価をしてきたのをもうやめにして、陸域も含めて、この外来種としての影響、先ほどの在来種への影響ということを含めてちゃんと評価できる体制を作ろうと考えているところです。
 説明は以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、ご質問ありましたらお願いします。

【後藤専門委員】 よろしいでしょうか。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【後藤専門委員】 はい、後藤です。この天敵農薬に係る評価体制の構築という案は、どこから発出される形になりますか。発出元の名称が書いていないので、そこをお聞きしたいと思います。お願いします。

【白石委員長】 では、事務局、お願いします。

【上迫室長補佐】 ご質問、ありがとうございます。これは特に通知として発出は予定していません。繰り返しになりますが、その内容は今後、詰めていきますということですので、天敵農薬に係る評価体制ができ次第、またそれは形にしていきたいと考えております。

【後藤専門委員】 特に公表を意図したものではなくて、委員会への提案ということで受け取ればよろしいでしょうか。

【上迫室長補佐】 さようでございます。農薬小委員会の資料として公開はされますけれども、あくまでこういった方針で進めたいと思いますが、いかがでしょうかという事務局としての案というふうにご理解をいただければと思います。

【後藤専門委員】 はい、分かりました。

【白石委員長】 今後このようなことをやりたいということですね。
 進め方等について、何かアドバイスがございましたらお願いします。

【五箇臨時委員】 国立環境研の五箇です。よろしいでしょうか。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【五箇臨時委員】 農水省の農薬資材審議会の農薬分科会の中でタバコカスミカメと言われる生物農薬が審査対象に上がったときに、委員の中から「これ自体は本州以南にしかすんでないのを北海道に持ち込んでよいのか」という意見が出たのですね。そういった経緯もあり、何回も議論されました。そもそも、化学物質ではない農薬について、このような場で審議して、従来の水生生物等に対する影響などの観点から議論していても意味がないという理由から、このような天敵農薬に関しては、やはり外来生物に該当する可能性が大きいので、どちらかといえば環境省案件として、環境省と農水省でこのような生物資材の評価を改めてしっかり考える必要があります。
 このような生物資材の数はこれからますます増えてくる中で、旧態依然のシステムで評価するというのは、有り体に言えば、税金の無駄遣いになるので、新しい評価体制の準備を進めてはいかがかということが、その審議会で答申されました。それを受けての話になりますから、正直なところ、こちらに関しても水・大気環境局だけで行う話ではなくて、やはり自然環境局も参加していただきたい。基本的には、こういった生物農薬は外来種というカテゴリーに入る形でのリスクアセスメントが必要になります。詳細を考えると、この農薬小委員会で云々というよりは、自然環境局、生物多様性といった領域に係る専門家を交えての議論が必要になると考えているところです。この辺に関しては、また、環境省ともおいおい、あるいは農水省も含めて相談していきたいと考えています。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 ほか、ご意見、ございますか。

【後藤専門委員】 はい、お願いします。後藤です。

【白石委員長】 はい、後藤さん。

【後藤専門委員】 天敵農薬の定義として、案の中に記載されているガイドライン、ここに書いている天敵農薬を想定されているという理解でよろしいでしょうか。現在の書きぶりだと、「生物」と書いているのですが、ガイドラインの中では微生物農薬なども生物に含めるのですけれども、別途ということになっています。今回頂いたものでは、定義があまり明確ではないので、その辺明らかにしていただくとよろしいかと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。事務局は、今のお考えはありますか。

【上迫室長補佐】 ご質問、ありがとうございます。確かにこの辺の資料では「生物」としか書いてなくて、あまりその辺が明確ではなかったかなと反省しておりますけれども、ここで考えていますのは基本的に節足動物であります。

【白石委員長】 当面は今あるガイドラインを改定するということで、リスク評価、これから評価方法を確立するということですので、いろいろ変わってくるかと思いますけど、おそらく大変難しい検討になると思いますので、頑張っていただきたいと思います。
 ほかの委員の方からも質問、お願いします。よろしいですか。
 天敵農薬に関しても評価体制を構築したいということで進めていただくということで、よろしくお願いします。

【後藤専門委員】 よろしいでしょうか。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【後藤専門委員】 言葉の使い方でお聞きしたいことが一つあります。項目3のところで、生活環境動植物の前に「在来の」と書いているのですけれども、これは、今まで生活環境動植物という言葉を使う上で付け加えてきたものだったでしょうか。ここで特に使われているような印象を受けたのですけど、いかがでしょうか。

【白石委員長】 はい、事務局。多分ないですね。

【上迫室長補佐】 そうですね、在来の生物に対する影響ということを言いたかったがために、わざわざ「在来の」という言葉を付け加えたものですが、「天敵農薬の生活環境動植物に対する影響を評価する」と言って差し支えないかと思います。

【白石委員長】 生活環境動植物のまず定義から問題になってくると思いますが、今後の課題ということで、今のところよろしいですかね。これから評価法を定めるということですので。

【浅見臨時委員】 すみません、浅見ですけれども。この中には、遺伝子操作をされたものなども入るのでしょうか。ウリミバエでしたか。

【白石委員長】 はい、分かりました。これは事務局、お願いします。

【上迫室長補佐】 遺伝子組換えの生物につきましては、別途カルタヘナ法というものがございまして、こちらの枠組みの中で評価されているものと聞いておりますので、ここで提案していますのは、あくまで農薬として使うものに関する評価ということでお考えをいただければと思います。

【浅見臨時委員】 ここも議論されていくと思うのですけれども、例えばアイガモなど、そのほかのもう少し大きな生物も含むか、含まないかといった議論をした上でご議論されるという理解でよろしいでしょうか。

【白石委員長】 事務局、どうぞ。

【上迫室長補佐】 アイガモについては、実は過去に議論がされておりまして、これは農薬でないという整理になっております。今のところ、先ほど節足動物と申しましたけれども、節足動物を農薬として使う場合ということで考えておりますが、究極的にはそれ以外のものというのも入ってくるかもしれません。

【浅見臨時委員】 ありがとうございました。

【後藤専門委員】 何度もすみません、もう一つ、お願いしてよいでしょうか。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【後藤専門委員】 この案のタイトルもそうなのですけれども、「天敵農薬に係る」と非常に幅広にタイトルが来ているのですが、これ、農薬登録に係るというふうに限定する意図なのか、それとも、もっと幅広くやろうということなのか、その辺をもう少しご説明いただけるとありがたいです。お願いします。

【白石委員長】 では、お願いします。

【上迫室長補佐】 先生ご指摘のとおり、これは農薬登録に係る評価体制の構築であります。そのタイトルから少し分かりづらかったということであれば申し訳ございませんが、そのようなことでございます。

【後藤専門委員】 言葉の定義も含めて、タイトルもそうなのですけれども、明確にしておいたほうがいろいろなことを進める上でもよいと思うので、その辺のご検討をよろしくお願いします。

【白石委員長】 ありがとうございます。事務局、いかがですか。

【上迫室長補佐】 ありがとうございます。気をつけたいと思います。

【白石委員長】 はい、お願いします。多分「在来の生活環境動植物」という表現もおかしい気がするし、幾つか直したほうがよいなという気がしますが、資料はこのまま公開ですね。

【上迫室長補佐】 そうですね。基本的に委員会にかけた資料をそのまま公表することとしておりますけれども、今後、何か使うときには適宜修正をして使いたいなと考えております。

【白石委員長】 そうですね。これは一番初めということで、今後の資料については、もう少し気をつけて用語を使ったほうがよいと思います。
 ほか、いかがですか。ご指摘、ありがとうございました。
 それでは、評価体制の構築を進めていくというところでお認めいただいたとさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、本日の審議会は一通り終了ということにしたいと思いますが、その他、本日の審議全体につきまして、何かご意見、ご質問ございますか。
 ウェブ会議の運営方法についてもいかがですか。特に問題なしですかね。

(発言なし)

【白石委員長】 では、特にご意見等なければ、事務局にお返しします。

【羽石室長】 白石委員長、ありがとうございました。
 委員の皆様方におかれましては、ご審議ありがとうございました。
 本日ご審議いただきました水産基準のクロフェンテジン、それから水濁基準のバリダマイシンにつきましては、評価書につきましてご指摘いただきました点を修正した上で手続を進めさせていただきたいと思います。
 それから、パブリックコメントの回答につきましては、ご指摘を踏まえまして回答案を修正しまして、また委員の先生方に送付をさせていただきまして、ご確認いただけましたら手続を進めてまいりたいと考えております。
 それから、最後の天敵農薬につきましては、今後、そのリスク評価の方法を検討していくということでございますので、節目節目でまたご報告をさせていただければと考えております。
 本日は、ご審議ありがとうございました。
 次回の農薬小委員会は、9月16日、木曜日を予定しております。近くになりましたら、またご案内を差し上げますので、ご出席をお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、第80回水環境・土壌農薬部会農薬小委員会を終了させていただきます。本日はありがとうございました。