海底下CCS制度専門委員会(第1回)議事録

日時

令和5年10月16日(月)16:00~17:41
※ WEB会議併用

議事次第

1.開会

2.議題

(1)今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方について(諮問)
(2)海底下CCSに係る制度の現状と検討の進め方について
(3)その他

3.閉会

配布資料

 資料1   海底下CCS制度専門委員会委員名簿
 資料2   今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方について(諮問)
 資料3   海底下CCSに係る制度の現状と課題について
 資料4   海底下CCS制度専門委員会における今後の検討の進め方(案)
 参考資料1 中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の専門委員会の設置について
 参考資料2 中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の運営方針について
 参考資料3 中央環境審議会議事運営規則
 参考資料4 中央環境審議会の運営方針について
 参考資料5 96年議定書対訳
 参考資料6 CO2WAG(2012年版)対訳
 参考資料7 特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄の許可の申請に係る指針
 

議事録

【事務局】 では、ただいまより中央環境審議会水環境・土壌農薬部会1回海底下CCS制度専門委員会を開会します。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日は会場とWeb会議の併用での開催としております。
 まず、Web会議について何点かご協力をお願いいたします。通信環境の負荷の低減のため、発言時以外、カメラの映像は原則オフ、マイクの設定をミュートしていただきますようお願いいたします。
 ご発言を希望される場合には、お名前の横にある手の形のアイコン、挙手ボタンをクリックしてください。また、発言を終えられましたらボタンを再度クリックして、挙手を解除いただきますようお願いいたします。
 通信トラブル等何かありましたら、右下にチャットの欄がございますので、ご記入いただき、事務局までお知らせください。
 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいており、YouTubeの環境省海洋環境課公式動画チャンネルで同時配信をしております。
 本日の委員の出席状況ですが、委員総数9名のうち8名の委員にご出席をいただいております。
 それでは、開会に当たり、水・大気環境局長の土居よりご挨拶を申し上げます。
【土居局長】 水・大気環境局長、土居でございます。よろしくお願いいたします。
 本日はお忙しい中、ご参画いただきまして誠にありがとうございます。
 CCS事業、二酸化炭素を回収し貯留するという事業につきましては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けまして、極めて重要な技術、事業だと考えております。この事業を海洋環境の保全と同時に達成していくということは極めて重要な内容ですので、環境省といたしましても、まず、海洋汚染等防止法に基づきまして許可制度を設けまして、海洋保全の事前の評価、また、モニタリングなど、こういった許可制度を設けまして実施をしているところでございます。
 この制度に基づきまして、経済産業省が許可を得まして、北海道苫小牧沖におきまして、2016年から事業を開始し、これまで約30万トンの二酸化炭素を確実に貯留しているという実績を上げてございまして、こちらにつきましても、現在も海洋モニタリングをしているという最中でございます。
 さらに、2050年カーボンニュートラルに向けて確実なCCSを実施するために、環境省といたしましても本格事業に先立ちまして、どのような内容が必要なのかということを、昨年度に、専門家会合におきましてご検討いただき、実事業を行うに当たりましてのCCS事業の制度につきまして、どのような内容を具備しているかについて整理いただいたというところでございます。
 また、本年3月には経済産業省におきまして、CCS長期ロードマップ検討会、これの最終取りまとめが行われ、2030年までの事業化、この環境を整えるということとともに、2030年以降、本格的にCCS事業を展開するという明確な目標を定めたところでございます。
 こうした中、本年8月17日付で環境大臣から中央環境審議会に対しまして、「今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に関します海洋環境の保全の在り方について」諮問をさせていただきまして、9月4日付で中央環境審議会水環境・土壌農薬部会より、専門家委員会の設置をご了承いただいたというところでございます。
 本日は、この第1回目の専門家委員会でございます。事務局から、まず、CCS事業につきまして現状の制度の中身と、今後詰めていくべき課題につきましてご説明をさせていただきたいと考えております。
 本日は限られた時間ではございますけれども、先生方の貴重なご意見をいただきながら、CCS事業の着実な海洋保全を行いながら事業ができるように環境省としても、また国としても努力していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 すみません。ちょっとYouTube配信の関係で少しだけ確認をしておりますので、少しだけお待ちください。大変申し訳ございません。
 大変申し訳ございませんでした。
 挨拶ありがとうございます。
 本日は第1回の委員会となりますので、初めに委員のご紹介をいたします。お配りしております資料1に委員名簿がございます。名簿順にお名前のみご紹介をさせていただきます。
 大塚委員。本日は会場でご参加いただいております。
【大塚委員】 大塚です。よろしくお願いいたします。
【事務局】 続きまして、石巻委員。本日はご欠席でございます。
 続きまして、岡松委員。本日は会場でご参加いただいております。
【岡松委員】 岡松でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
 続きまして、奥委員。本日はWebでご参加いただいております。
【奥委員】 奥でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 続きまして、海江田委員。本日は会場でご参加いただいております。
【海江田委員】 海江田です。よろしくお願いいたします。
【事務局】 続きまして、工藤委員。本日はWebでご参加いただいております。
【工藤委員】 工藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 窪田委員。本日は会場でご参加いただいております。
【窪田委員】 窪田です。よろしくお願いいたします。
【事務局】 続きまして、佐々木委員。本日はWebでご参加いただいております。
【佐々木委員】 佐々木でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 最後に白山委員。本日はWebでご参加いただいております。
【白山委員】 白山です。よろしくお願いします。
【事務局】 続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に沿って説明をさせていただきます。
 まず最初、資料1、先ほどご紹介いたしました委員名簿になります。続きまして、資料2、今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方について(諮問)。資料3、こちらパワーポイントの資料になりますが、海底下CCSに係る制度の現状と課題について。その後ろ、資料4、1枚紙でございますが、海底下CCS制度専門委員会における今後の検討の進め方。
 続きまして、参考資料のほうに行きまして、参考資料1、中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の専門委員会の設置について。参考資料2、中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の運営方針について。参考資料3、中央環境審議会議事運営規則。参考資料4、中央環境審議会の運営方針について。参考資料5、96年議定書の対訳。参考資料6、CO2WAG2012年版の対訳。参考資料7、特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄の許可の申請に係る指針。
 以上になります。不足等があればお申しつけください。
 それでは、委員長の紹介をさせていただきます。本専門委員会の委員長に関しましては、中央環境審議会運営規則に基づき、部会長が指名することになっており、大塚委員に本専門委員会の委員長を務めていただくことになっております。大塚委員におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
 ここからの議事進行は大塚委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【大塚委員長】 どうぞよろしくお願いいたします。
 一言だけ挨拶をさせていただきたいと思います。委員長をさせていただくことになりました大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 海底下CCSに係る法制度につきましては、今から約15年前の平成18年に中央環境審議会の当時の地球環境部会に専門委員会が設置されました。そこで地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について議論がなされまして、環境大臣に答申が行われております。
 その後、この答申を受ける形で、平成19年に海洋汚染等防止法が改正されまして、現行の法制度が整備されています。当時、白山委員とともに、私も専門委員会の委員でございましたが、はや15年が経過し、脱炭素を巡る社会情勢は大きく変わってきております。今後、社会実装が見込まれる海底下CCSが海洋環境の保全と調和する形で、迅速、かつ適切な形で実施されますよう、現行の法制度について見直しをする必要がございます。
 本日は制度の現状の紹介や見直しの基本的な視点が議論の中心になると思われますが、委員の皆様におかれましては、活発な議論をお願いしたいと思います。
 では、着席します。
 では、議事に入ります。
 議題(1)今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境保全の在り方に関する諮問についてでございます。
 令和5年8月17日付で、環境大臣から中央環境審議会会長に対して、「今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境保全の在り方」が諮問されました。本専門委員会は、この諮問を受けた調査を行うために、水環境・土壌農薬部会に設置されたものです。
 そこで、最初に、この諮問の内容につきまして、事務局から説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大井課長】 事務局を務めます、本件を担当しております海洋環境課長の大井と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
 以降、着座にて、資料説明させていただきます。
 では、お手元、資料2をご覧いただければと思います。
 先ほど大塚委員長からもご紹介がございましたとおり、本年8月17日付で、環境大臣より高村中央環境審議会会長宛に諮問をさせていただいているところでございます。今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境保全の在り方についてということで、貴審議会の意見を求めるということになっております。諮問理由につきましては、先ほど大塚委員長からも触れていただきましたし、また冒頭の局長の土居からの挨拶にもあったとおりでございます。
 今後、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、脱炭素型技術でありますこのCCSの活用というのは重要であると認識をしております。今後、国内での海底下CCSの拡大、また、海外での海底下CCSの実施を目的としたCO2の輸出、こういったものも見込まれるような状況となってきております。
 こういう状況下におきまして、海底下CCSが海洋環境の保全、これとしっかり調和する形で迅速かつ適切に実施されるよう、今後の海底下CCSに係る海洋環境の保全の在り方について意見を求めると、こういう内容になってございます。
 この諮問がそのまま同日付で、この資料の2ページ目といいますか、お配りいただいている資料に対しては裏面をご覧いただければと思いますが、中環審会長から水環境・土壌農薬部会部会長宛に付議をされまして、参考資料1になりますけれども、この水環境・土壌農薬部会のほうで、この専門委員会の設置について、決定されたというのが、本日、ここに至る経緯となってございます。
 参考資料2、3、4と、この会の運営規則に係るものをつけておりますので、ご確認いただけばと思いますけれども、原則、審議は公開、どうしても事情があって公開することが難しいものについては非公開とすることもできるというのが基本的な今回の立てつけとなってございます、
 以上、説明でございました。どうぞよろしくお願いいたします。
【大塚委員長】 ありがとうございました。
 では、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問などがございましたらお願いいたします。Web参加の方におかれましては、挙手ボタンを押していただき、会場参加の方は、机の上の札を立てていただければと思います。
 特にございませんでしょうか。

(なし)

【大塚委員長】 では、お認めいただいたということで、ありがとうございます。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。
 議題(2)海底下CCSに係る制度の現状と検討の進め方についてでございます。資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【大井課長】 それでは、資料3をご覧をいただければと思います。非常に大部となっておりますけれども、なるべく要点を絞ってご説明をさせていただければと思います。
 資料3、海底下CCSに係る制度の現状と課題についてということで、おめくりをいただきまして、目次、主な内容、構成を紹介させていただいております。大きく5点ございます。まず、このCCSの動向について簡単に紹介させていただいた後に、国際的な対応、この海底下CCSについての国際的な規制等がどうなっているかということで、ロンドン条約、それから、その議定書を解説させていただきます。それを受けた国内における対応ということで、海洋汚染等防止法における規定の概要。また、それにまつわる様々な制度の検討の経緯。最後に課題と見直しの観点ということでお示しをさせていただいております。
 では、まず動向というところで、さらに1枚、2枚おめくりをいただきまして、ページ番号でいきますと3ページになるかと思います。
 CCSとはいうことで、これはもうご案内かと思います。二酸化炭素を地中深くに埋める技術でございます。地中の中には様々な層がございますけれども、左下の図にあるような、水を通しにくい非常に粒の細かな層と、それから比較的、水や空気を含むことができるような帯水層があり、こういうような構造になっているところにCO2を入れ込むことによって、上でしっかり蓋をして漏れてこないようにするということでございます。
 このCCS、既存技術としては石油や石炭の掘削などの際に、ガスを送り込んで回収するというような技術もございまして、実際には、もう使われている実用可能な技術となっているということでございます。
 次の4ページに国内におけるCCS事業の概要ということでございますけれども、これは冒頭の局長の土居のご挨拶からもございました。我が国におきましては2016年4月から北海道苫小牧沖におきまして第1号の海底下CCSの実証事業が実施がされてきているところでございます。実際には2019年に実証事業としての目標であった30万トンという圧入量を達成しまして、現在は追加的な圧入は行っておらず、その後の海洋環境の影響などについてのモニタリングを実施しているという状況でございます。
 さらにおめくりをいただきまして、ここ最近における動向でございます。経済産業省のほうにおきまして、CCSの長期ロードマップということで検討し、公開をされております。特に2050年カーボンニュートラルというのを見据えたときに、長期的にCCSをどの程度、我が国、国内においても展開をしていくかと、そういうことでロードマップを描かれております。
 基本理念で書いておりますけれども、CCSを計画的、かつ合理的に実施することでコストを最小限にしつつ、健全な事業の発展を図り、もってカーボンニュートラル達成などに寄与するというのを目的としております。
 このロードマップの中では目標といたしまして、2050年時点で年間約1.2~2.4億トンのCO2貯留を可能とするということでございます。現状、先ほどの実証事業でやっておりましたのは30万トンというオーダーでございますので、桁が二つ、三つ違うということでございますけれども、それだけの規模のCCSを将来的には展開していくと。そのために2030年までの事業開始と、これが一つの目指すところとなっているところでございます。そのための事業環境を整備して、2030年以降、本格的にこの事業を展開していくというのが経済産業省で描かれている長期ロードマップになっております。
 そのための具体的なアクションとしまして、政府においてもその事業への支援、また、コストの低減化に向けた取組、国民の理解の増進、それから海外の事業の推進、それから、CCS事業法、仮称と書いておりますけれども、こういったような法整備のようなものについても検討されているということでございます。
 次の6ページにさらに続きとして、少し先ほど書いたアクションを時系列的に書いたものがございますけれども、2030年以降の本格的な事業展開と、そのために概ね2026年頃、今後3年間ぐらいで最終的な投資の判断、決定が事業者においてなされる必要があるというのが中長期的に見た展開かというふうに認識をされております。
 さらにおめくりをいただきまして、7ページになりますけれども、こうしたCCS長期ロードマップを受けまして、今年の6月に具体的に幾つかの事業が、モデル性のある先進的CCS事業として選定をされているところでございます。
 この地図に書いておりますとおり、国内では、先ほどの苫小牧周辺の地域ほか、日本海側の東北地方でありますとか、東新潟、それから首都圏、それから九州北部~西部沖といったところで、海底、ないしは陸域も含めたエリアが選定をされていると。
 また、海外に持っていく話として、大洋州でありますとか、マレーシアへの輸送、あるいは貯留というようなことも先進的事業としては選定されているということでございます。
 これらの7つの案件で2030年までに年間貯留量約1,300万トン程度の確保が想定といいますか、目指すというふうにされているということでございます。
 続きまして、国際的な条約議定書の紹介でございます。9ページをご覧をいただきまして、ロンドン条約、それから96年議定書とございます。正式な名称はそこに書いてございますとおり、「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」という非常に長い名前となっておりますけれども、これは海洋環境の保護を目的といたしまして、陸上で発生する廃棄物その他のものの海洋投棄を規制する、こういう条約でございます。
 海洋投棄ができる具体的な品目を定めているのが議定書で、これも通称ロンドン議定書というふうに呼ばれることが多いかと思いますが、96年に採択されたので96年議定書というような呼び方もしているということでございます。
 そこに解説がしてありますが、日本は条約については1980年に締結をしておりますし、また、この議定書についても2007年10月に締結をしているところでございます。それぞれ条約、議定書の加盟国数はそれぞれ異なっておりますけれども、それぞれ87、それから54となってございます。
 議定書でございますけれども、この議定書の中で、海洋投棄を検討できる品目というのを限定列挙していると。その次のページに解説がございますけれども、リバースリスト方式といいまして、原則、海洋投棄できないとしつつ、こういうものについては海洋投棄を検討できるという形で列挙するという形になっております。
 その中の一つの品目としてCCSの形で海底下に投棄といいますか、貯留されるCO2が入っているということでございます。
 それから、この議定書では、投棄だけではなくて、輸出の関係についても規定がございます。2009年に改正がされておりまして、海底下貯留のためのCO2の輸出を解禁するという趣旨の改正がなされておりますが、この部分につきましては、まだ未発効であると、また後ほどのページで詳しく解説したいと思いますが、そういう状況になってございます。
 こうしたロンドン条約、それから議定書を我が国が締結する際に、国内で担保法として何があるかというところで海洋汚染等防止法が実質的にこれを受けているということでございます。
 恐らく10ページの話も先ほどご説明したかと思いますので、10ページは飛ばさせていただければと思います。
 11ページ、もう少し詳細にCO2について特化してご説明させていただきますと、この96年議定書が、先ほど申し上げた附属書Ⅰで投棄を検討できる廃棄物その他のものをリバースリストということで規定をしていると。その中の7品目に、地中貯留に限るCO2というのが規定をされている状況でございます。ですので、条約・議定書上、海底下CCSは許容されているということではございますけど、そのための様々な制度を確保していく必要があるということでございます。
 また、この議定書の下で、いわゆる締約国会議での決定レベルでございますけれども、その取組内容を具体化したガイドラインが様々定められております。一般的な廃棄物に関する評価ガイドラインと、それから個別品目ごとにWAG、ワグと呼んでますけれども、Waste Assessment Guidelineの略でございます。品目ごとのガイドラインが定められていると。その中の一つにCO2の海底下貯留に関するガイドラインがあると、こういうことでございまして、これも説明、先取りになるかもしれませんけども、このWAGに従って海洋汚染等防止法等の措置を現在、進めているという状況でございます。
 それから、次の12ページが輸出の関係に関する議定書の改正の話でございます。2009年の締約国会議におきまして、海底下CCSを目的としたCO2の輸出、これを可能とするような議定書の改正案が採択をされております。この改正が発効するには、締約国の3分の2の受諾ということでございます。議定書の締約国が54ですので、3分の2ということで36か国の受諾が必要かと思いますけれども、現時点では、その真ん中下辺りに書いてございますけれども、先月末時点で10か国ということでございますので、まだこの改正自体は発効していないということでございます。
 この改正の内容ですけれども、要は、輸出した先でしっかりこの議定書に即した対応が取られているということでございまして、受入国が締約国、輸出先が締約国だった場合はその受入国で必要な許可体系が整っていることを確認するということ。その双方の責任と、輸出側と輸入側の双方の責任と権限を明確にした協定、あるいは取決め、こういったものを締結すると、こういう条件の下で輸出ができるということでございます。また、受入国が非締約国の場合は、この96年議定書に沿った許可体系を受入国に整備してもらうか、また、それを準用するということに同意をしてもらうと。要は、しっかり非締約国においても、議定書同等のことがやっていただけるということを確認をすると。また、双方の責任と権限を明確にした協定や取決めを締結すると、こういったことを条件に受入国が締約国であろうと非締約国あろうと、いずれしてもしっかりやるということを確認した上で輸出ができるという、こういう改正でございます。
 というのが2009年の状況でございましたけれども、その後さらに進展がございまして、2019年の締約国会議におきまして、この改正についてはまだ発効していないんですけれども、暫定的な適用を可能とすると、こういう決議が採択をされております。これをもう早急に進めたいという国が、そういう強い意向がありまして、それに全体としては了解をしたということでございます。
 これは、この6条改正の暫定的適用に関する宣言、これを事務局に対し寄託をした国については、海底下CCSのための輸出が可能となるという、そういう趣旨の決議でございます。
 ですので、日本は、まだこの2009年改正を締結していないという状況でございますけれども、事実上、日本も宣言をすれば、海底下CCS目的のCO2輸出ができるという、そういう状況になっているという状況でございます。
 ちなみに2019年の締約国会議以降、暫定的適用を既に宣言をしている国が7か国でございます。既にこの改正を締結している10か国のうちの7か国ということでございます。
 次の13ページには、今ご紹介した旨が具体的な原文、条文及び仮訳として書いてございますけれども、もう既に説明済みでございます。
 さらにおめくりをいただきまして、これを受けた国内における対応ということで海洋汚染等防止法の対応をご紹介させていただきます。15ページになります。
 海洋汚染等防止法につきましては、昭和45年の少し古い法律になりますけれども、廃棄物を海底に廃棄することを環境大臣の許可を受けた場合を除き禁止をするということで、先ほどご説明をしましたロンドン条約・議定書の規定を受けているということでございます。
 CO2の海底下廃棄に関しましては、CO2が品目指定をされたことを受けて、法律の改正をしておりまして、ここに掲げております三つの許可内容から成る許可制度を現状、導入をしております。CO2を海底の下に廃棄しようとする者は、環境大臣の許可を受けなければならない。また、この許可を受けようとする者は、環境影響、海底下にCO2を埋めて、それがもし漏れたときに海洋環境にどういう影響が出るかと、こういった観点からの環境影響の評価をしなければならない。また、その許可を受けて廃棄をする者は、海洋環境の保全に障害を及ぼさないような廃棄をして、また、海洋環境の状況について監視をしなければならない。大きくこの三つの許可、それから、それぞれの許可者の義務ということで規定をしてございます。
 この法律の構造としましては、海洋汚染等防止法に基づきまして、先ほど申し上げたような規定を置いた上で、同法の施行令において、その対象となる特定二酸化炭素ガスの基準ということで、アミン法という方法で回収されたCO2濃度が99%以上であるガスというのが規定をされております。
 ちなみにこの基となっておりますロンドン条約・議定書の中の規定ですと、廃棄するものがoverwhelmingly、大部がCO2でなければならないとか、そういう規定があるところでございます。
 この施行令の下にさらに省令、あるいは告示等で、二酸化炭素の濃度測定の方法でありますとか、海底下廃棄の許可に関する省令等というようなことで定めているところでございます。
 さらにおめくりをいただいて、許可制度の流れでございますけれども、許可申請者は、海底下廃棄に関する実施計画や監視の計画、事前に実施した環境影響の評価の評価書、こういったものを併せて申請書類として提出、許可の申請をするということでございます。申請書類を環境大臣が審査するわけでございますけれども、許可の審査の観点としては、海底下廃棄の方法が基準に適合するものであって、また、海底下廃棄をする海域の海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがないものであるということ、また、この海底下に廃棄する以外に適切な処分の方法がないということ。さらには、その実施計画や監視計画、これを継続的に実施する能力を有していると、こういったような観点からの審査を行い、許可を発給し、もちろん、想定上は不許可になる場合もあるのかもしれませんけれども、許可が発給された場合には、それぞれ事業者において事業が行える。そのときには、監視計画に基づいて監視をやっていただくと、そういうことでございます。
 また、この許可は現状、更新ということになっておりまして、許可は最長5年で許可の更新をしていくということで定期的に許可の内容についても検討すると、こういう仕組みになってございます。
 通常、これと同様に当然ながら許可を受けた者についてのいろんな改善命令でありますとか、停止命令、また許可の取消しといったような規定も法律上規定をされてございます。
 18ページは、その許可申請に要する書類ということで、先ほどざっとご説明をいたしましたけれども、ここに書いてあるような書類を提出いただいて審査をしているということでございます。
 19ページが環境影響評価、あるいは許認可の手順ということでございます。海域をまず選定した海域の選定書につきまして、漏出があった場合のどういう影響があるかという仮定を置いたり、それから自然的条件の現状把握をしたりということで影響を推定するというような形になってございます。最終的には環境影響評価を実施し、影響のおそれがないと判断して、許可を発給しているということでございます。
 また、監視に当たっての考え方ということで20ページにフローチャートを書いておりますけれども、監視は大きく3段階に分けておりまして、通常の状態での監視、ある一定の異常値、特に海洋、海底、海水のモニターをしていて何か異常値が検出された場合には、圧入の中止などの緊急措置を取ると。その後には、懸念時の監視ということで2段階目、さらに漏出のおそれがある場合には、異常時監視ということで3段階目のフェーズに入るというようなことでありまして、何か異常値が検知されたときに直ちに何か改善とか、そういう形になるのではなくて、こういう3段階の監視の段階を踏むことで、最終的には異常に対応するという形になってございます。
 こうした基本的な監視の考え方につきましても、先ほど最初のほうで紹介をいたしました議定書に基づきますガイドライン、こういうもので示されている考え方に沿って、決めているところでございます。
 それから、海洋汚染等防止法におきましては、指定海域の指定制度というものがございます。実際に許可がされて、海底下CCSが実施されている海域を環境大臣が指定することによって、その海域で第三者が海底に形質の変更など、もし万が一、使用するような方は、事前に届出をしないといけないということで、これによって第三者からの何か要因によって海底下CCSを実施しているところが、海洋環境の保全上の障害が生じるおそれが発生するようなことがないようにしていると、そういう仕組みでございます。
 以上が今現在の海洋汚染等防止法に基づく対応の概要でございました。
 こうした制度も含めまして、これまでの制度導入に当たっての検討の経緯を簡単にご紹介させていただければと思います。23ページでございます。
 これは海洋汚染等防止法でこうした海底下CCSに対応する制度を設けたその前に、中央環境審議会のほうでご審議をいただき、答申をいただいたものでございます。
 冒頭の大塚委員長のご挨拶にもございました。その当時からご参画いただいている先生方もいらっしゃるかと思います。
 当時2007年2月にこの答申をいただいているところでございますけれども、海洋環境への影響防止の在り方ということで議定書を踏まえた適切な制度による管理の下に置かれるべきであるということ。また、事業者が申請を行って、議定書担保としての責務は国が有しているので、国が許可を行うことが適切であるということ。また、許可の発給に当たっては、透明性の確保、説明責任の遂行等々の観点から、国民の意見提出の機会を確保する必要がある、こういったような内容の考え方が示されているところでございます。
 また、24ページ、続きになりますけれども、事前の適切な影響評価の実施、それから、当該貯留を計画する地点を選定して、監視計画の策定を行った上で、その貯留地点を適切に選択することが必要。それから、漏えいした場合に海洋環境に与える影響について、議定書に基づくガイドライン等に基づきまして、事業者が評価を適切かつ慎重に実施するような措置が必要。また、監視モニタリングにつきましても、海洋環境の変化の程度を監視することが必要であると。こういう点が指摘されています。
 さらに25ページに続いておりまして、このモニタリングにつきましては、圧入期間に加えて圧入が終了した後も相当期間、監視を実施する必要があるということ。また、許可制度、監視結果等に基づいて許可の更新を行う仕組みとすることが適切であると。こういったような内容の答申をいただいて、先ほどご説明をしたような、現在の海洋汚染等防止法の規定になっているということでございます。
 26ページからは、少しこの法律、あるいは許可に関連をしまして、環境省のほうで対応していることについて2枚にわたって紹介をしております。特に海洋環境への影響の調査というところでございます。特に苫小牧沖におきます実証事業におきましては、事業者に行っていただいている調査に加えまして、環境省においても独自に調査を実施し、環境の保全を確認しているところでございます。何しろ日本での最初の事例ということで、この辺はかなり地元のニーズなどもございまして、入念的にやっているところでございます。苫小牧海域で、各春夏秋冬、四季の海水の化学的性状でありますとか、底質の状況、それから、海洋生態系の調査などを実施しているところでございます。
 それから、このモニタリングにつきましても様々な、先進的な技術も含めまして、様々な技術があるものですから、そういったものの採用によるコストの低減でありますとか、効率的な実施というようなことについても併せて検討を実施しているところでございます。
 その一例といたしまして、現状は人工的に弾性波を発生させて、それが地中にどのように伝わっているかというようなところを解析することによって地質構造を推定するというようなことが一般的にされているわけですけれども、これを別の方法でできないかと、具体的には電磁探査というような形で、電磁波を使ってやるということについても今、検証しているところでございます。
 それから、28ページからが直近の検討作業の話になりますけれども、幾つかこの実証事業をやっていく中で、あるいは、国際的な議論を受けるような中で、いろいろな課題が出てきているところかというふうに思っております。
 まず一つは、対象とするガスの基準でございます。先ほど少し簡単にご紹介しましたけども、アミン法という方法で分離する方法によって集められたもので、二酸化炭素の濃度が99%以上というのが現状の法施行令において規定をしている基準となっておりますけれども、これについて、それが妥当か、合理的かどうかというところでございます。
 実際に、国際的な条約・議定書などで、こういう方法でやりなさいとか、何%以上とか具体的な数値、あるいは方法が規定されているわけではございませんで、要は大部分がCO2であり、CO2以外のものが混じって、それが余計な悪さをしないというようなことが確保されるということが大事である、そういう観点から、果たしてこの現在の規定がよいのかどうかと、そういう検討を行っているところでございます。
 実際には、今、CO2の分離回収技術として、アミン法以外の方法というものも検討されたり、あるいは、もう実用化のレベルまで達しているようなものもございます。こういったようなものも評価をいたしまして、結論から言いますと、いろんな方法について対象とし得るということで検討していきたいというふうに考えているところであります。
 それから、おめくりいただきまして29ページでありますけれども、昨年度、環境省におきまして、「環境と調和したCCS事業のあり方に関する検討会」ということで検討をいただいたところでございます。
 29ページ目の右下に書いてございますけれども、この専門委員会にご参画いただいてる先生方、非常に多くの方が、実際にはこの検討会のほうでもご議論をいただいたということでございます。
 30ページに具体的に検討会において議論いただいた内容をまとめさせていただいております。左側に論点、それから、それに対する主な提言ということでまとめておりますけれども、まず、海域における貯留につきましては、現行の海洋汚染等防止法の許可期間を最長5年ということで、5年ごと更新ということで実施をしております。ただ、これが今後、商業ベースでCCSが事業化されていくと、現状からもう本当に規模が100倍、1,000倍というふうに拡大して実施されていくという世界を想定したときに、本当にその5年ごとにずっと更新をしていくというようなことが果たして現実的、あるいは効率的、効果的なのかどうか、こういったところでございます。
 ここにつきましては、提言といたしまして、ロンドン議定書の要求事項は当然担保していく必要がありますけれども、許可期間についてはさらに長期間とするような方向が妥当ではないかということ。また、不適正な事案があった場合には許可の取消し、こういったものも含めまして、取消しをするという規定が現状もございますけれども、そうした場合に、取り消された後であっても、きちんと措置が取られるというか、必要な措置についても整理が必要ではないか、こういう提言をいただいているところでございます。
 また、操業段階に関しましては、事業者が行うモニタリングを実際今やっていただいているわけでございますけれども、ここもいろんな事情を踏まえた項目の設定が可能となるような見直しが必要ではないかということでございます。これも、もうほとんど答えはそのとおりでございますけれども、地域や事業の進捗を踏まえた項目の設定などが可能となるような見直しが必要。それから、コストの低減、あるいはモニタリング技術の開発なども引き続き推進をしていくというようなことが提言されております。
 それから、圧入が終了した段階でございますけれども、圧入が終了した後は、もちろんその後も様子を見ていかないといけないというのはあるんですけれども、実際にはCO2が漏えいするリスクというのは時間がたつにつれて低下していくということでございますので、圧入が終了した段階で、圧入終了に伴う事業段階の変化、これに応じた制度の在り方というのを検討する必要があるのではないかということでございます。
 これにつきましても、検討会の提言としては、CCS事業の廃止を行えるような制度を新たに整備をするとか、廃止をするに当たって、事業者のモニタリング終了の要件など、様々などういう要件で終了ができるのかということについては引き続き検討が必要ではないかということ。
 それから、この専門委員会は海底下CCSをスコープにしておりますので、2番目は参考でございますけれども、陸域における貯留につきましてもご議論をいただいたところでございます。
 ページおめくりいただきまして、31ページに行きますけれども、分離・回収、それから輸送ということで、今後、事業商業化に伴いまして、埋めるところの前の段階というところにも様々な事業者の参入が見込まれるところでありますけれども、CO2のトレーサビリティとか、海洋環境の保全という観点からCO2の性質の確認が必要じゃないかというようなことが論点としてはあるかと思います。当然ながら、トレーサビリティを確保することは重要ですし、特に海底下に貯留する際には、圧入するCO2を含むガスの性質を確認することが当然ながら必要であり、そういう観点からどういう対応が必要かということではないかと思います。
 最後4点目が輸出の話でございまして、今後、我が国のCO2を海外のサイトで貯留するというようなことも実際にもう検討されているという状況でございますので、ロンドン議定書の2009年改正、これの受諾、あるいは宣言、これに向けまして、国内の担保措置についても検討が必要であるということでございます。特に海洋環境保全という観点からCCS目的のCO2の輸出について、どういうことを考慮すべきかということでございまして、これについても許可等の行政手続が輸出についてもやっぱり必要になるのではないかということで提言をいただいているところでございます。
 32ページが参考ということで、諸外国におけるCCSに係る制度の概要を簡単にまとめてございます。EUの指令、それから、ノルウェー、オーストラリア、アメリカは陸域に限った制度でございますけれども、参考までに記載をしてございます。いずれの国の制度におきまして、CCSを実施するための探査とか貯留とか、あるいは実際の実施、こういったところを許可制にしていて、操業段階で監視、あるいは、その結果の報告などを事業者に義務づけているという観点が非常に似たような形の制度にはなっているかとは思います。ただ、例えば圧入終了後から責任移管までの年数が20年、15年というばらつきがあったりとかというようなことはあるかとは思います。
 最後、ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、こういったような話を含めまして、本専門委員会における制度の課題、検討いただく制度の課題、あるいは見直しの観点ということでございます。
 検討会における取りまとめなども踏まえまして、現在の海洋環境の保全に関する海底下CCSに係る制度の課題としては、以下のような事項が考えられるのではないかと思っております。
 まず一つ目が、これから商業ベースでCCSが事業化していく、拡大していくということで、これらの対応ということでございます。非常に長期にわたって事業が実施される見込みであるということで、海底下CCSの制度の在り方について検討する必要があるということでございます。
 また、特に先ほどの検討会の取りまとめでもございましたけれども、CO2、ガスの圧入が終了した後、どういう形で管理をしていくのかということ、特に圧入を終えた後は、漏えいするリスクというのは低下に向かっていくということも念頭に置きまして、どういう制度にしていくかということが論点としてはあろうかと思います。
 それから、CCSの実施段階の海洋環境保全上の管理としましては、事業者の行うモニタリングについて、地域の実情などを踏まえながらどういうものとするかということを検討していく必要がある。
 それから3点目に、輸出については、海洋環境保全のこういった観点から考慮すべき事項について検討する必要があるというところでございます。
 最後のページ、基本的な観点ということで書かせていただいておりますけれども、ここは、もうまさに先生方にご議論いただきたいところでございます。ごく基本的な考え方、基本的な観点としては、2007年の当初、この制度を導入した際の中央環境審議会の答申なども踏まえながら、国際的な海洋環境保全に関する枠組みであるロンドン議定書、これをしっかり担保するということは第一の前提であるかと思います。
 また今後、事業の実施が予定される企業が主体となるCCS事業、これを実態を踏まえた許可制度の見直し、適切な合理化、それから効率化、より効果的な方法というのを考えていく必要があるかと思います。次に、海外にも輸出して貯留する動きにも対応した国内制度。
 それから、地域を含む利害関係者にしっかり理解していただくと、これが実際に事業を進めていく上では非常に重要なポイントかと思いますので、こういう点も重要と思います。
 また、特に苫小牧事業、実証事業ということで貴重な経験を得ているかと思います。こういう苫小牧事業で得られた知見、あるいは、諸外国における制度の状況なども踏まえながら、これを的確に議論に反映いただければというふうに考えているところでございます。
 以上大変長くなりましたけれども、資料3の説明でございました。
 資料4もまとめてご説明いたします。資料4は非常に簡潔でございます。今後の検討の進め方ということで案を示させていただいておりますので、ご覧をいただければと思います。
 本日、第1回目の専門委員会でございますけれども、第2回を11月1日で予定をさせていただいております。この第2回におきましては、関係団体のヒアリングなどを中心に、さらにそのヒアリングをしていただいた内容も含めてご議論いただくと。第3回以降は、ちょっとまだ日程を確定できておりませんけれども、11月下旬、それから12月下旬~1月に向けて、合計4回程度のご審議をいただければと考えておりますし、この専門委員会としての報告書を取りまとめいただく際には、骨子をまとめていただいた後でパブリックコメントを実施し、報告書を取りまとめていただく。その上で、水環境・土壌農薬部会に報告をいただくと、こういう流れを想定しているところでございます。
 非常にタイトなスケジュールで恐縮でございますけれども、ご理解をいただければ幸いでございます。
 以上、長くなりましたが、資料のご説明でございました。よろしくお願いいたします。
【大塚委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、まず、質問をお願いしたいと思います。ご意見につきましては後でお伺いします。いかがでしょうか。
 工藤委員、お願いします。
【工藤委員】 どうもありがとうございます。
 私も昨年の検討会も出ていて、今回いろいろ過去からの流れを通してご説明いただいて理解が進んだのですけれど、1点だけ、全く基本的なことで恐縮なのですがロンドン条約の改正議定書、その後2019年の自己宣言的な要素の時間軸を追いかけていく中で、日本がなぜそのタイミングで預託できていなかったのか、何か日本のポジションがあったのかどうか。こうした国際条約を巡る様々な国の立ち位置が多分あると思うので、日本として、何かしらの立ち位置があったのかどうか、もしご説明が可能だったらば教えていただければと思いました。
【大塚委員長】 ありがとうございます。ほかにも何人かお受けしてから、事務局に回答していただこうと思いますけど、ほかにはいかがでしょうか。
【佐々木委員】 佐々木です。
【大塚委員長】 佐々木委員、お願いします。
【佐々木委員】 資料3の6ページに、経済産業省の長期ロードマップということで、各期間での進行の状況が示されているわけですけども、このビジネスモデルの構築期間であっても、何らかの許可申請とか、そういうものが関わってくるかと思いますが、環境省としては、どの段階でどういう関与を予定されているのか、ご説明いただけると助かります。
【大塚委員長】 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
【海江田委員】 では、私からよろしいですか。
【大塚委員長】 はい。では、海江田委員お願いします。
【海江田委員】 私が気になったのは輸出の件なんですが、輸出のほうなんですけど、輸出に関しては相手国が海底下に貯留する場合に限るんですよね。輸出先が陸域に貯留するというときにはどうなるんですか。対象になるのか、ならないのか、質問です。
【大塚委員長】 では、奥委員お願いします。
【奥委員】 経産省の資料について、ちょっと教えていただきたいのですけれども、2050年時点で年間1.2~2.4億トンのCCSの実現を目指すということで数字が出されているんですけれども、これ、CCSについては、例えばCCS可能量の上限というものは一切、これ、考えなくていいものなのかどうか、そういったことはそもそも想定する必要がないのかどうか、未来永劫ずっと年間それだけの大量な量を投入し続けるということが、そもそも、そういう前提でいいのかどうかというところが疑問に思いまして、ちょっとお伺いいたします。
【大塚委員長】 4人の委員からご質問がございました。では、回答、事務局の回答をお願いいたします。
【大井課長】 ご質問ありがとうございます。では、順番に回答させていただきます。
 まず、工藤委員のほうから議定書の改正、あるいは、特に輸出の部分かと思います。海底下CCSを目的としたCO2の輸出に関する2009年の改正、それから、2019年の締約国会議決定、ここのタイミングで日本がこれを受諾等をしていない理由というか、その背景ということでございますけれども、これ、なかなかお答えしづらいところもありますけれども、端的に言いますと、日本において、まだCO2をCCS目的で輸出をするということが具体的に想定がされていなかったということに尽きるのではないかと思っております。
 少なくとも2009年の改正のときに、日本が何か大きなポジションを持って反対したとか、そういうことはないんですけれども、実際にじゃあ日本がそれを使うかと、それが日本として考えられるかということについて、少なくとも2009年の時点、あるいは2019年の時点でも、まだ具体的には想定がされていなかったということではないかなと思います。
 それがカーボンニュートラルという流れも受けまして、やはりCCSを使っていかないと、日本としても、これはもう不可避であるということで、最近になっていよいよそういう議論が起きてきたので、それにどう対応していくかということを、今まさにご議論いただいているという、そういう状況かと思います。
 それから、佐々木委員のほうから経済産業省のロードマップなどを見ながら、環境省として、どの段階で関わるのかというお話がございました。
 これはまさしくこれからご審議をいただく内容にもなるかなと思いますけれども、仮に現在の海洋汚染等防止法の規定がそのままであるとして、それで考えるということでございますけれども、海洋汚染等防止法におきましては、まさにCO2を海底下に貯留するという、そういう行為が、そういう事業が実際に実施されるという段階で、その事業実施までにきちんと環境大臣の許可を取ってくださいねという、こういう制度でございますので、具体的にどの段階というのは、なかなか言いにくいんですけども、最終的に事業判断とかをされて、これを実施しますという段階までのどこかの段階で許可を取っていただくということになるかと思います。
 それがどこの段階になるかは、ある種、事業者の判断になるわけなんですけれども、なるべく後戻りができないようなタイミングにならないようにやっていただく必要があるというふうに、現状の制度を前提とすれば、そういうことになるかと思います。より詳細に、どの段階でどういうことが必要かということにつきましては、今後、ご審議、ご検討もいただければと思います。
 それから、3点目、海江田委員からのご質問でございました。輸出は、あくまでもロンドン条約・議定書は海洋汚染防止の観点からの条約・議定書でございますので、陸域に埋めることを目的とした輸出というのは対象外でございます。海域海底下に埋めることを目的として輸出されるものについて、原則、禁止だけれども、認めることはできるという規定を設けたというのが、この議定書改正の趣旨でございます。
 それから、最後、奥委員のほうから、経済産業省のほうの話でございますけれども、CCSによる貯留量についての上限のようなものを決める必要はないのかというご指摘がございました。ここにつきましては、これからの議論といいますか、結局、日本政府として、2050年カーボンニュートラルを実際にどのように達成するのかと、そのために、CCSで、一体、何トン必要なのかというところについては、しっかりした方針はないものというふうに承知をしております。現状、まだ決められないものと承知をしております。
 CCSの長期ロードマップにおきましても、ある種、事業化を想定するときに、やっぱりこれぐらいの量が可能となるようなことを目安としてということで書いてございますけれども、これが、ある種、絶対1.2~2.4億トンを確保するんだということでもないのかなというふうに思っておりまして、現状はあくまで目安だというふうに考えていただければと思います。
 ちょっと直接担当じゃないところについてもお答えをしておりまして、若干、不十分というか、不適切な回答をしているかもしれませんけれども、そのような状況にあるということをご理解いただければと思います。
【大塚委員長】 ありがとうございます。
 ご質問、ほかにいかがでしょうか。
 工藤委員。
【工藤委員】 今、説明しにくいことを説明していただいて、誠にありがとうございました。
 ただ、やはりこのタイミングで、必ずしも過去のことを知らない方々も結構いらっしゃると思うので、そういう意味で、今ご指摘のとおり、輸出の重要度が高まってきたことに伴って検討するというようなことを丁寧に書かれていたほうが、ここでの検討内容であったり、方向性を考えるに当たっても、とても大事な前提ではないかと思いました。
 以上です。
【大塚委員長】 ありがとうございます。
 ご質問は、ほかによろしいでしょうか。
 では、続きまして、ご意見のほうに移りたいと思います。ご意見がございましたら、どうぞお願いいたします。
 佐々木委員、お願いします。
【佐々木委員】 佐々木です。
 意見として、資料3の32ページに各国のCCSに関わる制度の概要が並べられていますが、探査許可、貯留許可という記載があるところと、アメリカのように坑井の許可というような違いがありますが、私の意見として、海底下地質構造は場所ごとに異なり、地質構造がそれぞれの日本の海域で必要です。国の基礎試錐とか、そういうデータがある場所もあるかと思いますが、事業者がさらに例えば掘削をして探査をしたい、あるいは海洋環境の調査をしたいという場合の許可と、CO2圧入許可は切り離して考えるべきかと思いますが、いかがでしょうか。
【大塚委員長】 はい。ご意見について、何人かまとめて、事務局に回答していただこうと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
【海江田委員】 じゃあ、よろしいですか。
【大塚委員長】 どうぞ、海江田委員お願いします。
【海江田委員】 私がちょっと気になったのは、31ページの、主な提言の上から三つ目の丸印のところで、CO2が液状になったものと書いてあるんですが、これは地下貯留した状態は、大体、超臨界状態になってくるんじゃないかと思って。液状というと、液体のCO2もあるので、これは別物じゃないかと思うんですが、その辺、ちょっと検討いただければと思います。
【大塚委員長】 ほかにはいかがでしょうか。取りあえず、よろしいでしょうか。
 では、工藤委員お願いします。
【工藤委員】 ありがとうございます。まだ詳細なご提案があるわけではないので、前回の委員会でも申し上げたのですけれど、モニタリングというものをどういう形で組み込んでいくかというようなことについて、整理をする必要があると思っています。今回も課題として書かれているのですけど、実際問題として、いわゆる環境規制的な視点でモニタリングポイントを多くするという話と、一方で、CO2は、自らの排出、中立化を果たすために他の事業者に輸送を託すという部分も当然出てまいります。そういった意味での、有価物的な要素があったときに、過度なモニタリングや規制を要請すると、取引費用が高まってしまうことが起きないかどうか。サプライチェーンを形成する中での事業者目線で見た許可やモニタリングの在り方と、やはり環境規制として見たときのモニタリングなり、規制、許可の在り方というものをどう整合させるかという両方の視点で検討することが大事という気がいたします。
 いずれにせよ、漏れてしまいますと、せっかくニュートラル化しようと思って実施した契約を伴う対応で経済的にネガティブになってしまいますし、原材料としても使えますので、分離回収したものをしっかりとコントロールするというインセンティブが事業者には働く、そういったことも踏まえながらモニタリングや許可に関する考え方を整理していただけるといいと思います。環境規制的な要素も当然大事と思っているので、その辺の両面の視点から整理をしていただくと理解がしやすいと思いました。
 以上です。
【大塚委員長】 では、窪田委員お願いします。
【窪田委員】 34ページ2番「CCS実施段階の海洋環境保全上の管理、地域の実情を踏まえたもの」との記載箇所について、モニタリングも踏まえて、地方自治体のご協力に基づき手続的に円滑に進めることが必要になってくるかと思います。
 また、港の利用、海底ケーブルを整備したりする際に、漁業関係者など地元の方々への対応が重要になってきます。7ページに示しているCCSの事業化が選定されている地域が、洋上風力事業エリアとバッティングしているところがあり、地方自治体の担当者も、両事業に対応する必要が出てきます。また、洋上風力事業者とも、モニタリング時期、船、港の利用など調整が必要かと思います。何か円滑に進められるよう、地域の実情を共有できる対話の場や、ネット上での情報共有が必要かなと思います。
【大塚委員長】 そろそろ切ろうかと思ったんですけど、岡松さん、今しゃべったほうがいいですね。
【岡松委員】 どちらでも。
【大塚委員長】 どうぞしゃべってください。
【岡松委員】 どうもありがとうございます。
 もう既に検討されているかと思うんですが、国際条約上、パイプラインが人工構築物に当たるかどうかということに関して、明確な定義がありません。この問題については、さっきの、今のALPS処理水の問題でも、海洋構築物に当たる当たらないで、ロンドン条約の適用があるかないかという問題にもなってまいります。
 現在のところ、慣例というか、これまでの様々な条約上での実行から見ると、パイプラインというのは、人工海洋構築物、マンメイドストラクチャーにはならないというふうに解釈されてはいるんですが、しかしながら、多くの国々からこの問題についての再検討が要請されているところでありますので、日本としても、このパイプラインを使っての圧入ということに関して、少し明確な見解を示しておくということが必要ではないかなというふうに思っております。
【大塚委員長】 では、5人の方にご意見をいただきました。ご回答をお願いします。あるいはコメントでも結構でございます。
【大井課長】 ありがとうございます。事務局からお答えできる部分と、あとそれから、実際にご審議いただく中でのまさにご意見ということでお伺いする話と、2種類あるかなというふうに思いますけれども、幾つかお答えをさせていただきます。
 まず、佐々木委員のほうから、探査とか調査の段階での許可と、それから、圧入を行う段階での許可、これは別に扱うべきであるというご指摘がございました。
 現状の海洋汚染等防止法に基づきましては、まさにその圧入を行う、まさに海底下に埋めるという、その行為に対する許可制度ということで実施をしておりますけども、そこはご指摘のとおりかと思います。それぞれの段階に応じて適切な対応を検討していく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
 それから、海江田委員のほうから、資料の31ページの記載についてのご指摘をいただきました。ちょっと非常に分かりにくいんですけれども、実はこの31ページの3番のところ、CO2を分離回収し輸送する段階での論点ということで書いておりまして、実際に貯留をした地下の状態では、海江田委員がおっしゃるとおり、いわゆる超臨界といいますか、そういう状態になっているんだと思いますけども、圧入する前の分離回収し輸送する段階では、気体状であったり、それを液化したような格好での輸送が想定されるんじゃないかと、そういうときに、今、廃棄物処理法では、気体は、通常、廃棄物じゃないという整理になっていて、それを液化してもやはり廃棄物じゃないと、そういうことでございますという、ある種、ただし書的に書いたものでございます。そのようにご理解いただければと思います。
 それから、工藤委員からのご指摘で、特にサプライチェーン全体を見渡してのモニタリング、それから埋めたところでのモニタリング、いろんな観点からの対応が必要だということで、全くそこはおっしゃるとおりだと思っております。
 具体的な対応につきましては、これからご審議をいただければと思いますけれども、モニタリングにもいろんな種類があって、特にサプライチェーンにおけるモニタリングというのは、工藤委員からもお話がありましたけども、海洋環境の保全というよりは、むしろきちんとCO2の回収をしっかりやって、それをちゃんと地中に埋めるというところが偽りなくされているかという、どちらかというと温暖化対策をしっかりやっているかというところの観点からのチェックなのかなというふうに思いますけれども、もちろん、当然ながら、それは必要だと思いますし、また、CCSが実際に事業として成り立っていく上では、当然ながら、必要不可欠なことかなと。
 CCSを回収します、あるいは埋めますということをまさに業としてやられる上では、そういうところをしっかりやられるというのは、ある意味、当然のことかなというふうにも思いますけれども、いずれにしても、その辺も含めまして、どういう対応になるのかというのはこれからご議論いただければと思います。
 ただ、一応、この場は、どちらかというと海洋環境の保全の見地から何ができるかという観点から主にご議論いただくことになるかなというふうに思っているところでございます。
 それから、窪田委員から、地域の方のご意見と、それを聞くことの重要性についてご指摘をいただきました。全くおっしゃるとおりだと思います。
 第2回で、関係者からのヒアリングでは、そういう地元の声も、苫小牧の実際の実例に即してということで、苫小牧の関係者を想定しておりますけれども、ヒアリングのほうで少しご意見も聞きたいというふうに考えているところでございます。
 それから、岡松委員からご指摘をいただきました人工構築物、パイプラインの話でございます。
 私も、岡松先生と、先々週、ロンドン議定書締約国会議に行ってまいりまして、いろいろ対応してきたところでございます。おっしゃるとおりでございます。現状、海洋汚染等防止法に基づきましては、CO2の海底下貯留、これは地上から、陸上から圧入するものも含むということで明示をしまして、対象にしているということでございます。
 いかなる形で埋めるものであっても、やはり海底下にCO2を埋める、それによる海洋環境への影響を防止する観点からはその対応が必要であると、そういう考え方に基づきまして、これは対象としているところでございますけれども、そこにつきましても、しっかり考え方を整理した上で国内外に説明していく必要があるというのは、おっしゃるとおりだと思いますので考えていきたいと思います。ありがとうございます。
【大塚委員長】 ありがとうございました。
 ほかにご意見いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 そうしましたら、この資料3の最後の課題と基本的観点につきまして、各先生からコメントをいただきたいと思いますけども、いかがでしょうか。
 この5のところに出ている課題と基本的観点についてでございますが。先ほど少しお話しいただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、いかがでしょうか。
 奥委員、お願いします。
【奥委員】 この34と35のスライドですよね。
【大塚委員長】 はい。そうです。
【奥委員】 私もちょっと、今、自分の中でこの内容を整理しようと思って読み返していたところであるんですけれども、ちょっと課題と基本的観点というのが、この資料でしっかりときれいに整理し切れているかというと、必ずしもそうではないなと思いまして。課題のところに上がっているものが基本的な視点、観点でもあり得るような内容も入っていたりしまして、この二つのスライドがどうリンクして、課題が、多分、基本的な観点に本当はきれいにもう少しつながっていればいいんですけれども、どうもそのように整理されていないなというのが、ちょっとこれは資料の整理の仕方の問題として思ったところです。
 35ページの最後のスライドなんですけれども、この中にCCSが海洋環境の保全と調和する形で、迅速かつ適切に実施されるようにというふうに四角囲みにあるんですが、この迅速性と適切性というのは、場合によっては相反しかねない、やり方によってはですね。当然、両立し得るものでもありますけれども、迅速性を重んじるがゆえに適切性が損なわれてしまうなんていうことにもなりかねませんので、やはり海洋環境保全がしっかりと担保されると、それが適切になされる上で、いかにスピード、商業化の下でのCCSというものをいかにスピードアップさせていくかという、ちょっとプライオリティをしっかりと見せたほうが、環境省としてはいいのではないかなというふうに思っています。なので、それがちょっと私の意見として申し上げたいことと。
 あと、ここのスライド、35のスライドの二つ目の丸で、企業が主体のCCS事業を踏まえた許可制度の見直しというふうにありますが、これは前の34のスライドにあります、課題でいうと1の二つ目の丸と2の内容ですかね、ここと関連するんでしょうか。先ほど、最初の疑問に戻ってしまうんですが、ちょっとこの課題と基本的観点の関連性のところがちょっと対応関係がうまく理解できていないので、この辺はちょっと質問になります。
 以上です。
【大塚委員長】 分かりました。ちょっと質問が入ったので、どうぞご回答を先にお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【大井課長】 ありがとうございます。
 ちょっと資料34ページ、35ページの整理が悪いというご指摘、ご指摘のとおりだったと思います。申し訳ございません。
 この資料34ページの課題と、それから、基本的な観点が一対一で必ずしも対応するものではないというふうに、思ってございまして、課題を検討する上で全体に係る上での基本的な認識、観点として35ページがあるというつもりで資料は作らせていただいたところでございます。
 それから、迅速かつ適切にというところにつきましていただいたご指摘は、全くそのとおりかと思います。ちょっと環境省におきましても、海洋環境の保全という観点と、それから、温暖化対策をしっかり進めるという観点、両方の思惑があるもので、きちんと整理ができていませんけれども、私ども、特に水・大気環境局、海洋環境保全を担当している者としては、海洋環境の保全がしっかりなされることは大前提でございます。
 また、海洋環境の保全がしっかりなされたようなCCSでないと、やっぱりそれは進んでいかないというか、要は海洋環境の保全をないがしろにするような形でCCSが進められると、それはもう全体としてのCCSの推進に逆にブレーキをかけることになってしまうということかと思いますので、奥先生のご指摘のとおりであります。適切に実施されるというところに、まさにプライオリティを置いて、その上でしっかりCCSが全体として進んでいくと、こういう世界を目指しながらやっていきたいというふうに思ってございます。ありがとうございます。
【大塚委員長】 ありがとうございます。
 そうしましたら、工藤委員、どうぞお願いします。
【工藤委員】 どうもありがとうございます。先ほどちょっとご説明があったサプライチェーンというものの形成ということも含めた視点と、やはり今回議論になっているのはCCSのうちの貯留に近いところの議論になっているのかなと、今までの質疑応答を聞いて感じるんですね。
 そうすると、最後の2枚のスライドに記載されている「地域」という言葉は、一体、サプライチェーンのどこを指しているんだろうかというようなこと、それから、最後の紙にある、「利害関係者」という言葉が出てくるんですけど、この利害関係者というのは、どの人たちを想定してるのかというのが実はよく分からないんですよね。
 なぜかというと、例えば苫小牧の実証だけで見ていけば、今、モニタリングの状況になっていて、ある程度、あそこの海底下貯留に関してのインパクトというのは出ていないんじゃないかというふうに評価されるのかなと思いながら、そういった中での利害関係者は何を想定しようとされているのか。逆に言うと、ネガティブな事象を前提とした利害関係者なのか、ポジティブなあれを考えた利害関係者なのか。
 先ほど苫小牧の方々をいろいろな意味でヒアリングしますといった話は、どういった視点での利害関係者なのか。その辺、クリアにしたほうが、この表現だけで見ていると、ちょっと分かりづらくなっちゃうのかなという気がしました
 逆に言えば、ストレージのところだけ見ているんだとすると、じゃあ、実際に輸送とかというのはいいんですかというような話も、じゃあ輸送と、この海洋汚染等防止法との関係をどこを見るんですかということを特定化しませんと、今、やはり海洋汚染を防止するという前提で考えたいとおっしゃっていたので、そこのどこがシンクロ、リンクしているなというような、そのバリューチェーンのどこかということをちゃんと、しっかりと特定化することが、この先、必要になるんじゃないかなというふうに感じました。
 以上です。
【大塚委員長】 これも、基本的なところになりますので、どうぞ、ご回答をお願いします。
【大井課長】 ありがとうございます。全くご指摘のとおりかと思います。
 議論のそもそものスタートであります諮問、あるいはこの資料の全体の考え方を通しましても、やはり海底下のCCSについて、それをまさに実施する部分というのがやっぱり今回の検討の大きな主眼でございます。
 そういう意味でいきますと、利害関係者も大変いろんな方々がいらっしゃると思いますけれども、特に、今、工藤委員言われたネガティブな関係の関わりがあり得る利害関係者としては、やはり海底下CCSから仮に漏れ出た場合にその影響を被る方々、具体的には地域の漁業関係者であったり、自治体であったりと、そういうまさに地域の方々が想定をされますし、それ以外の関係者ということでいきますと、まさに実施事業者、あるいはその実施事業者にCO2を託す者なども、非常に広がりを持った方々がステークホルダーになるのかと思いますけれども、特には海洋環境の保全という見地からは、その地域の関係者、それから、事業を実施する者といったところが中心となるのかなというふうに思って考えているところでございます。次回のヒアリングでも、そういった方々を中心に検討をしているところでございます。具体的には、苫小牧のCCS事業を実施していただいている、まさに事業者であったり、それから、漁業関係者を考えているところでございます。
【大塚委員長】 輸送のところは、あまり見ているかどうかという問題もありますね。
【大井課長】 そういう意味でいきますと、輸送そのものの段階が、完全にスコープに入ってくるかというとなかなか難しいところはあるんですけれども、他方で、どこかにも記載をしていたかと思います、最終的に埋められるCO2、海底下に埋められるものが大丈夫かというようなところについて、上流に遡って見ていく必要があるということだとすると、関係してくるかもしれない、そういったような関わりなのかなというふうに思っているところでございます。
【大塚委員長】 工藤委員、よろしいでしょうか。
【工藤委員】 ありがとうございます。最後の輸送に関して言うと、どちらかというと、輸出のイメージと思ったのですけれど。要は海外に輸送する際の海洋汚染リスクに対してしっかりと対処してくださいとか、そういったものを許可制なり、きちんとしたモニタリングをしますとか、どちらかというとそういったことかなと思いました。実際に分離回収して国内に貯留、国内の海底下に貯留するというパターンと、海外に持っていくというパターン、国内の貯留より海外を選択する判断をするといった様々なサプライチェーンが形成されると思うので、輸送とはどの部分を指すのかという点はクリアにした方が良いと思います。
 私は、ご説明が海外に持っていくところを言われていると思っていたものですから、必ずしもそうではないという理解でよろしいわけですね。
【大井課長】 ご指摘ありがとうございます。
 ちょっとその海外に持っていくところの輸送というのは、確かにおっしゃるとおりで、海洋汚染防止の観点からは関係し得ると思いますので、ちょっとそこはよく条約、あるいは議定書、あるいはそれに関連する取決めの中でも、あまり明確にされていないかなと思いますけれども、ちょっと確認をさせていただいて、必要に応じて、またご議論いただければと思います。ありがとうございます。
【工藤委員】 ありがとうございます。
【大塚委員長】 どうもありがとうございます。前回の委員会に参加された方との関係で、一言だけ申し上げておくと、この30ページのこの2のところの陸域についての貯留に関しては、先ほど環境省からも少し飛ばしてご説明になったように、ここは必ずしも今回の対象としては重視されていない点が若干違ってきていると思いますので、その辺はご理解いただいたほうがよろしいかと思いました。
 ほかにはいかがでしょうか。
【佐々木委員】 佐々木ですが、よろしいでしょうか。
【大塚委員長】 よろしくお願いします。
【佐々木委員】 34ページに関し、商業ベースで、今後CCSプロジェクトが多くなると思いますが、「圧入が終了した後はCO2が漏えいするリスクは低下に向かうことから」と簡潔に書かれていますが、ここのところは圧入が終了した時点で、圧入後にどういうことが行われ、どういう状況で推移していくかに関する事業者のいろんなレポートやシミュレーションを考慮した上で、この部分を言う必要があると思いますが、最初の時点で漏えいするリスクは低下すると言ってしまうのは、私としては少し疑問があるかなと考えています。
【大塚委員長】 はい、ありがとうございます。
 一問一問になりつつあるんですけど、もしよろしかったらご回答をお願いします。
【大井課長】 ありがとうございます。そこもご指摘のとおりかと思います。
 一般論として、圧入を止めれば、圧入しているときよりもそのリスクが下がるというのは、それから、時間がたてばたつほどCO2も基本的には安定化に向かっていくということで、低下するというつもりで書いたんですけれども、おっしゃるとおり、そこの段階で、何らか制度として、どういう対応を取るのかというところにつきましては、これから、まさにご議論をいただければというふうに考えております。ありがとうございます。
【大塚委員長】 はい、どうぞ。
 34ページ、35ページについて、ご意見。岡松委員、お願いします。
【岡松委員】 既にノルウェーなどでは、輸出などの協定が2国間で決められようとしているところであると思うのですが、この場合、ノルウェーはEUではないのですが、大体、相手にしている国というのがEU諸国ということで、EUの指令などが大きな指針になっているかと思います。そのような国と、今度、日本がやる場合には、やはりどうしてもそういったものが基準になっていくということがあると思うのですが、2国間での実行がどんどん進んでいきますので、日本もその辺りの動向には非常に注意していかなければいけないということと、それから、最初のほうで、日本が海外で貯留を行うときには、これはマレーシアとかを想定しているわけですね。
 マレーシアが議定書を批准していたかどうだったか、ちょっと会議に来ていたことがない国だと思うので記憶が定かではないのですが、こういった国だと、非締約国である上に、EUでもないので、日本との間で2国間の協定を結ぶ際に、また、新たな課題が出てくるかと思います。
 これは、ロンドン条約は、すごく残念なことに、遵守していない国が大半といいますか、遵守しているかどうかが分からない国というのが非常に多く、相手国がどの程度きちんと国内法を担保して整えているのかということも非常に大きな課題になってくるかと思います。
 これは同時に遵守委員会の仕事も増えるなと思っているんですが、こういった許可制度なども、きちんと条約に提出する仕組みというのを、恐らくロンドン条約側も整えていくことになると思います。アジアの中でやる場合にもEUでの先行事例をかなり意識しないといけないであろうということを踏まえて、そのような検討をする必要があろうかと思います。
【大塚委員長】 留意点ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 出てこないので、ご回答お願いします。
【大井課長】 ありがとうございます。
 まさに、そこもご指摘のとおりかと思います。現状ですね、二国間でまさに輸出入を目的とした協定取決めをされている例というのは、ベルギーとデンマークの間ですかね、我々の把握している範囲ではその一例かと思います。
 今、ノルウェーというふうにご紹介がありましたけど、ノルウェーはまさにそういうところをこれから考えていくというか、どちらかというと受け入れ国としてヨーロッパの国々などと取決めをしていきたいという、そういう意向を持っているんだというふうに理解をしてございます。
 ご質問いただきました、そのマレーシアですけど、マレーシアは、現状、条約及び議定書の締約国となっておりませんので、これも資料の中で解説をしておりますけども、受入国が非締約国であっても、輸出ができないというわけではないんですけれども、やはり議定書に沿った対応をしっかり取っていただく必要があるということですので、そこは、これからマレーシア側との取決めを本当に実際にやっていくんであれば、これはもう国同士の協定、または取決めを締結した上で、しっかり対応していただく必要があるということかというふうに認識をしてございます。
【大塚委員長】 重要なご指摘ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 課題に書いてあることが割と概観になっているので、なかなか意見が言いにくい方がいらっしゃるかもしれませんが、よろしいでしょうか。
 ここにふわっと書いてあるけど、34ページの1の最初の丸とかは、今までも検討してきた許可に関しての期間をどうするかというような問題などが関係してくると思いますし、許可の取消しの場合に必要な措置などの議論も関係すると思います。
 それから、CO2が漏えいするリスクが低下するというのは、この書き方自体、先ほど佐々木委員から疑問の余地が指摘されましたが、表現をどうするかは環境省がお考えになってくださると思いますけれども、事業者のモニタリングに関しての対応をどういうふうに、時間とともに変えていくかという話がここに出てくると思います。
 2番のところは、モニタリングに関しての地域、海域との関係で、事情がありますので、それを踏まえた上での環境保全上の管理の問題であると思います。
 輸出の話については、先ほど来、いろいろご議論いただいているところでございます。
 この基本的観点のほうも、先ほどと重なるような話が結構ございますが、地域を含む利害関係者の理解については、次回、関係団体のヒアリングをさせていただくことになっておりますので、そこでそういう方たちのお話を聞きつつ考えていくということだと思いますし、この苫小牧事業で得られた知見についても、それを踏まえて検討していくということだと思います。
 諸外国のCCSの制度については、こちらの表のほうに簡単にまとめていただきましたが、前の検討会でも議論したように、この閉鎖とか、廃止とかをどう考えるかというのが、多分、一つの大きなポイントになると思います。
 責任の移管とかという話もそこと関係してくる話ではないかと思います。
 様々な論点が、課題とか、基本的な観点のところには入っていると思いますけども、ご意見は、もうよろしいでしょうか。
 どうぞ、窪田委員お願いします。
【窪田委員】 この許認可や環境影響評価のタイミングは、最初に許可が出たら開発可能になると思いますが、この貯留量を見ますと、掘削が何十本も、しかも一度ではなく、何年か後に、入らなくなったらもう1本…と、掘る場所や貯留量が初めの計画申請内容や環境影響評価内容と変わると思います。この場合、掘る度に許可を得るのでなく、最初だけ対象地域の許可を得る手続きでよいのかどうかのご質問です。
【大塚委員長】 ありがとうございます。
 事務局、お願いできますか。
【大井課長】 ありがとうございます。実際、許可は恐らくケース・バイ・ケースかと思いますが、現状の海洋汚染等防止法の規定でいきますと、まさに圧入する前の許可申請の場所が全く変わるのであるとすると、それは恐らく別の許可になるんじゃないかと思いますけど、今、ご質問いただいたのは、一人の事業者があるエリアで何回もやるというような形だという、そういうイメージですかね。だとすると、最初の段階で、その許可を取る段階で、こういう何回かに分けてこういう工程でやりますということを1回で申請されて、それを許可するというケースは恐らく想定はされると思いますが、当然ながら、それは一人の事業者が、あるまとまった海域で実施をされるということが前提となるかと思います。
 一人の事業者がA海域、B海域でやられるんだとすると、基本的には、そのA海域、B海域それぞれで許可を取っていただくということになると思いますし、また、事業者が変われば、当然ながら、それは人が変わりますので、別々の許可になるというのが、すごくざっくりとした今の制度になります。
【窪田委員】 そうしますと、苫小牧のように、掘ってみたけど入らなかった場合、最初の圧入計画から変わる可能性があり、順応的管理にて、掘った結果を見ながら、計画が変わる場合、最初に、ある貯留層エリアで許可が出ればOKとみなすという形でしょうか。
【大井課長】 基本的には、この苫小牧に関しては、そういう形で対応しておりました。
【窪田委員】 ありがとうございます。
【大塚委員長】 それを掘って駄目だったら、もう一度、また申請してもらうということになるんですか。
【大井課長】 それも恐らくケース・バイ・ケースかと思いますけれども、恐らく最初の段階で、要するにどういうルートで掘りますというところまでは申請の対象になっていなくて、この海域のこの辺りに埋めますという、どれぐらいの量で埋めますという、そういう申請に対して許可を出して、実態として、それに対して1回トライして、駄目で、もう別のところでやりましたというところについては、そこの際に、もう一回、許可を申請し直していただいて、許可をもう一回出し直すということは、実際やっておりません。
 一つの許可の中で、当初に許可した、ある決められた海域にこれぐらい入れるという、そういうものを、あとは要するにやり方というところのお話でございますので、そこについては、許可の取り直しという形にはしなかったということでございますけれども、じゃあ、今後もどうかと言われると、恐らくケース・バイ・ケースの判断になるかというふうに思います。
 どれぐらい、その計画が変わってくるのかというところが、やっぱりポイントなのかなというふうに思います。
【大塚委員長】 よろしいでしょうか。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 早く終わりそうな感じなんですけど、よろしいですか。大丈夫ですか。
【佐々木委員】 すみません。
【大塚委員長】 佐々木委員、どうぞ。
【佐々木委員】 苫小牧の件について、少し補足させていただきたい。萌別層と滝ノ上層の二つの層があって、ほぼ同時期には掘削は終了しています。滝ノ上層は地下3,000メートルという地層ですが、これは掘削した後に試験的に水圧入をしたところ浸透率が非常に低くて、当初計画で30万トンを滝ノ上層に入れるという内容が後に数千トンに修正され、それが承認されたという経緯だったと記憶しています。
【大塚委員長】 ありがとうございます。
 ほかにはよろしいでしょうか。

(はい)

【大塚委員長】 では、少し早いですが、事務局におかれましては、今いただいたご意見を今後の検討資料に反映していただければと思います。
 では、議案の3、その他につきまして、事務局から、何かございますでしょうか。
【事務局】 特にございません。
【大塚委員長】 ありがとうございました。
 以上で議題は終了となります。委員の皆様、全体を通して、ご質問などはございますでしょうか。

(はい)

【大塚委員長】 ないようですので、以上をもちまして、第1回の海底下CCS制度専門委員会を閉会いたします。
 事務局にお返ししますので、連絡事項等がございましたらお願いいたします。
【事務局】 大塚委員長、ありがとうございました。
 まず初めに、本日の議事運営に関しましては、Web上のトラブル等でご不便をおかけして、大変申し訳ございませんでした。
 本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきました後に、環境省のホームページに掲載させていただきます。
 また、次回の委員会につきましては、資料の中でご説明させていただいたとおり、11月1日を予定しておりますが、委員の皆様には、別途、改めてご連絡をさせていただきます。
 以上で終了とさせていただきます。お忙しい中、ありがとうございました。