水環境・土壌農薬部会(第4回)議事録

議事録

午後1時30分開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会第4回を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、御多忙中にもかかわらず、御出席いただき、大変ありがとうございます。

本日の部会は、委員総数32名のうち、過半数の28名の委員に御出席をいただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立しておりますことを御報告いたします。

また、ウェブでの開催であり、ユーチューブの環境省水環境課動画チャンネルで同時配信をしております。

ウェブ会議での開催に当たりまして、何点か御協力をお願いいたします。通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフ、御発言の際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言を希望される場合には、お名前の横にある手の形のアイコン、挙手ボタンをクリックしてください。また発言を終えられましたら、ボタンを再度クリックして挙手を解除いただきますようお願いいたします。通信トラブル等ありましたら、右下にチャットの欄がございますので御記入をいただきお知らせください。

それでは、開会に当たり、水・大気環境局長の松澤より御挨拶を申し上げます。

【松澤水・大気環境局長】 水・大気環境局長の松澤でございます。

本日の水環境・土壌農薬部会でございますけれども、審議事項が一つございます。ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直しについて、こちらに関しましては、排水規制等専門委員会、それから、その後のパブリックコメントを経まして取りまとめているものでございます。これについて御審議をお願いしたいと考えております。

それから、報告事項が6件ございます。一つ一つ申し上げませんけれども、土壌汚染から、瀬戸内海の問題、それから海洋プラスチックに関する事項というようなことでございます。

本日は、こういったことで時間が十分ございませんので、前回の部会でフリーディスカッションをいただきました、御指摘いただきました水環境行政全体の今後の取組に関しましては、できましたら、時期はまだ決まっておりませんけれども、次回の部会で、環境省のほうで今、いろいろ局内で検討、議論しておりますので、そういった議論の状況なんかをぜひ次回報告をさせていただいて、委員の皆様方と御相談させていただければというふうに思っております。

ということで、本日は審議事項1件、報告事項6件ということでこの部会をお願いしたいというふうに思います。

今日もよろしくお願いいたします。

【事務局】 ありがとうございます。

それでは、ここからの議事進行につきましては、古米部会長にお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

【古米部会長】 古米でございます。

それでは、議事に入りたいと存じます。

議題1、ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直しについて、事務局より御説明をお願いしたいと思います。

【事務局】 資料1を用いまして、ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等の暫定判定基準の見直しについて、先日の排水規制等専門委員会で取りまとめられた報告書を御説明いたします。

まず、資料1ページ目ですけれども、暫定排水基準というものがございまして、こちらは水質汚濁防止法に基づき一般排水基準が設定されたとき、すなわち全業種一律の排水基準が設定された際、直ちにその新しい排水基準に対応できない業者などに対して、期限付きで暫定的な基準値を設定しているものです。

今回の議題のほう素・ふっ素、硝酸性窒素等の3項目については、平成13年に一般排水基準が設定されまして、この際、合計40業種に暫定排水基準が設定されました。その後、3年ごとに業種ごとの排水実態ですとか対策状況を踏まえまして、見直しのほうを行っていきまして、現在は合計11業種に暫定排水基準が適用されています。

2ページ目に行きまして、現行の暫定排水基準のほうは令和4年6月末で適用期限を迎えるということから、業種ごとの排水実態ですとか対策状況など把握を進めまして、大きく4分野に分けて、各分野の学識有識者の先生方からの御助言等をいただきながら、基準の見直し案を検討してまいりました。そして、本年1月31日の排水規制等専門委員会で報告書として取りまとめられたところです。

今回取りまとめられました見直し案は、資料6ページのほうに表の形式でまとめております。4分野としまして、温泉、畜産、工業、下水に分けて検討してまいりました。これらの暫定排水基準が適用されている業種または区分について、矢印で現行、それから、見直し案のほうを記載しています。

全体的な傾向としましては、ほう素、ふっ素については一部では基準を強化するんですけれども、導入可能な処理技術の見通しが立たないなど延長するものが多い形となっています。

硝酸性窒素等については、排水実態や処理技術の導入状況に応じて、一部業種及び区分で一般排水基準に移行、または基準を強化する案としています。

以降は、別添資料を用いて4分野それぞれの見直しの検討結果のほうを御説明いたします。

まず、温泉分野についてです。温泉分野については、ほう素、ふっ素の暫定排水基準が適用されています。

この温泉分野については、源泉中の共存物質の影響などにより、排水処理が難しいという課題がございまして、前回、この暫定排水基準の見直しを審議した際の令和元年度の水環境部会において暫定排水基準を従来どおり3年ごとに見直すこと自体を考え直すことも視野に入れて検討すべきといったことが示されておりました。

今回は、そのような経緯を踏まえつつ検討を進めてきまして、検討結果として取りまとめております。

まず、現行の温泉旅館に係る暫定排水基準の設定状況ですけれども、ほう素については、一般排水基準が10mg/Lのところ、暫定排水基準は500mg/Lが設定されています。

ふっ素については、一般排水基準が8mg/Lのところを源泉の湧出時期などに応じて15~50mg/Lの暫定排水基準が設定されています。

別-2ページに移りまして、次に排水実態について御説明いたします。

全国の自治体に御協力いただき排水実態調査を実施した結果をまとめています。

温泉旅館が全国に13,000程度ある中、源泉中のほう素濃度が一般排水基準を超える事業場というのは700程度把握されています。そのうち、排水中のほう素濃度が一般排水基準を超える事業場というのは、表1の真ん中にございますとおり、170事業場程度が把握されています。したがいまして、全国の温泉旅館のうち1~2%程度が排水中のほう素濃度が一般排水基準を超える事業場だというふうに捉えております。

ふっ素についても表2に同様に整理しておりまして、規模としては同程度となっています。

次に排水処理技術について御説明いたします。

別-6ページ、ほう素の処理技術の現状について表3にまとめております。前回令和元年度見直し以降、COP法と呼ばれる処理技術について実際の温泉旅館に設置し、実証などを行ってまいりました。しかしながら、処理薬剤のランニングコスト等の課題があり、導入可能な処理技術の見通しは立っていない状況です。

ふっ素については、表4に処理技術としてまとめておりますけれども、同様に、温泉旅館に導入できる技術の見通しは立っていない状況です。

そのほか源泉取水量の削減や排水中濃度の平準化、そういった排水処理技術以外の濃度低減手法についても検討してまいりましたが、一般排水基準を達成することは難しい状況です。

別-10ページに移りまして、これらの検討結果を踏まえ、今後の温泉旅館に係る排水対策の在り方について整理しています。

まず、暫定排水基準の適用期間の考え方ですけれども、温泉旅館の排水中のほう素及びふっ素の濃度を一般排水基準まで低減させるためには、導入可能な排水処理技術が必須となる中、現時点で導入可能な排水処理技術の見通しは立っていない状況です。暫定排水基準は期間を設定して事業者に対策を促すことで一般排水基準に近づけていくといったスキームでこれまで進めてきておりますけれども、従来どおり、この温泉旅館の暫定排水基準を3年ごとに見直す、そういうことで対策を促進する効果というものは限定的であるとされまして、温泉旅館の暫定排水基準の適用期間につきましては、導入可能な処理技術などの見通しが立つまでの当分の間、設定する案として取りまとめられています。

続きまして、暫定排水基準の値についてです。基準値につきましては、可能な限り排水実態に基づくものとしています。

図2に横軸が源泉中のほう素濃度、縦軸が排水中のほう素濃度としてプロットしたものがございます。ほう素につきましては、源泉中の濃度が突出して高い事業場が1事業場ございます。従来は、この事業場の排水自体を踏まえて温泉旅館に対しては一律で500mg/Lといった暫定排水基準を設定してきたところですけれども、今回の見直しでは、源泉中の濃度に応じて基準を設定する案としております。

具体的には、源泉中のほう素濃度が500mg/Lを超える場合のみ、暫定排水基準500mg/Lとし、それ以外の源泉中のほう素濃度が500mg/L以下の事業場に対しては、排水実態を踏まえまして300mg/Lとする案とされました。

ふっ素につきましては、既に排水実態を踏まえた区分ごとの基準が設定されており、現状の排水実態も現行の基準に近い値であることから、引き続きこれらの案とする案とされました。

今後の取組については別-12ページに掲載しております。今後の取組として大きく3点示されまして、現在は温泉旅館を由来としたほう素、ふっ素の環境基準の超過というのは確認されておりませんけれども、環境基準の達成状況や温泉旅館数の動向把握について、引き続き関係自治体に必要な周知等を実施した上で的確に把握していくこと、引き続き温泉旅館に導入可能な処理技術の動向調査を行うこと、それから、水質汚濁防止法の排水規制の在り方を検討する中で実態に応じた排水規制等の在り方についても検討していくことがまとめられております。

次に、畜産分野の暫定排水基準の検討結果について御説明いたします。別-13ページを御覧ください。

畜産分野には亜硝酸性窒素等の暫定排水基準が設定されております。設定当初、畜産農業には1,500mg/Lの暫定排水基準が適用されていましたが、段階的に見直されてきまして、前回令和元年度の見直しで500mg/Lに強化されたところです。

これまでの見直しでは、畜産農業のうち、排水濃度が高い養豚事業場の排水実態を踏まえて、見直しの検討が行われてきましたが、基準値が当初よりも低くなってきたこともあり、今回の見直しでは、豚房、牛房、馬房、それぞれの排水実態を踏まえた見直し案とされました。

別-14ページを御覧ください。豚房施設の排水実態を表2に掲載しております。前々回での見直し、前回の見直しと、3年ごとに掲載しておりますけれども、全体的には改善傾向が見られておりまして、現在、一般排水基準を達成している豚房施設の事業場の割合は8割程度というふうになっております。

次に、牛房、馬房施設の排水実態を表3にまとめております。まず、牛房施設については、農水省の統計によりますと公共用水域に排水を排出している割合が頭数ベースで1%と限定的となっております。全国の自治体へ確認した結果、一般排水基準を超過することのある事業場は4事業場のみとなっておりました。

それから、馬房施設について、こちらも農水省の統計によりますと公共用水域に排水を排出している事業場というのは限定的でありまして、環境省の調査において一般排水基準を超過する事業場は確認されませんでした。

次に、排水濃度の高い事業場への調査結果を御説明いたします。別-16ページを御覧ください。豚房施設については、継続的に300mg/Lを超えるおそれのある事業場を中心に現地調査等を行った結果を表5に掲載しております。これらの事業場では、曝気量の調節や汚泥の管理などが課題となっておりましたが、装置の修繕や適切な汚泥の引き抜き等の取組により400mg/L以下にはできる見込みとなっております。

次に、牛房施設について、こちらは一般排水基準を超過するおそれのある事業場に対して調査を行いまして、その結果を表6にまとめております。施設修繕や堆肥化などの取組により、4事業場中3事業場が一般排水基準を達成できる見込みです。残る1事業場につきましては処理設備の増設が必要な状況ですけれども、現状300mg/L以下は達成できる見込みとなっております。

これらを踏まえまして、見直し案を別-18ページのほうに掲載しております。まず豚房施設を有する事業者についてですけれども、こちらは排水実態、それから、対策状況を踏まえまして、500mg/Lから400mg/Lに見直した上で3年間延長することが適当というふうにされております。次に、牛房施設を有する事業場ですけれども、こちらにつきましては、対策状況を踏まえまして500mg/Lから300mg/Lに見直した上で3年間延長することが適当というふうにされております。馬房施設につきましては、一般排水基準に移行することが適当というふうにされております。

今後の取組につきましては別-19ページに掲載しております。取組内容としましては、一般排水基準を超過する事業場のほうをリストアップしまして、関係自治体と連携しながらフォローアップを進めていくこと、それから、対策の優良事例ですとか、処理技術の動向などを収集し、事業者による対策促進や自治体における指導などに活用をしていただくような形で周知することなどが挙げられております。

続きまして、工業分野のほうの検討結果に移ります。別添3の別-20ページを御覧ください。

工業分野には、ほう素、ふっ素、硝酸性窒素等のいずれかの暫定排水基準が適用されている業種が8業種ございます。こちら、個別に業種ごとに概要について御説明いたします。

まず、ほうろう鉄器製造業について別-21ページを御覧ください。ほうろう鉄器製造業には、ほう素、ふっ素の暫定排水基準が適用されております。一般排水基準を超過する事業場は2事業場確認されておりまして、これらの事業場では凝集剤の試験や使用するゆう薬の変更などの対策を進めてきておりますけれども、一般排水基準の達成は難しく、3年間延長する案とされております。

続きまして、金属鉱業について別-25ページを御覧ください。金属鉱業には、ほう素の暫定排水基準が適用されており、1事業所のみが一般排水基準を超過している状況です。この事業場では排水処理による対応は困難な状況であり、現在は地下還元の可能性を調査検討しているところです。現在、排水実態としては20~30mg/Lではございますけれども、今後、深部の開発に伴い濃度が高くなるおそれがあるということからモニタリングのほうを続けておりまして、今回は暫定排水基準を3年間延長するんですけれども、あと3年間程度の深部モニタリングをした上で基準値のほうは見直しを検討していきたいと、そういった案とされております。

次に電気めっき業について、別-29ページを御覧ください。電気めっき業には、ほう素、ふっ素の暫定排水基準が適用されております。下水道に排除するものも合わせて30事業場程度で一般排水基準を超過しています。この業種では、薬品の切替えや工程中のめっき液のくみ出し量の管理などの対策を進めてきておりますが、一般排水基準の達成は難しく、3年間延長する案をされております。

次に、貴金属製造・再生業について別-33ページを御覧ください。貴金属製造・再生業には硝酸性窒素等の暫定排水基準が適用されており、7事業場で一般排水基準を超過しています。生物処理によって改善が見られているような事業場もございますけれども、一般排水基準の達成は難しい状況であり、3年間延長する案とされております。

次に、酸化コバルト製造業について別-39を御覧ください。こちらも同様に、硝酸性窒素等の暫定排水基準が適用されており、1事業場がフォローアップ対象としてフォローしておりました。今回、一般排水基準を達成できる見込みが立ちましたので、令和4年7月以降は一般排水基準に移行する案とされております。

次に、ジルコニウム製造業について別-42ページを御覧ください。こちらも硝酸性窒素等の暫定排水基準が適用されており、一般排水基準を超過する事業場は1事業場のみとなっております。現在、こちらの事業場ではアンモニアストリッピング装置を導入した別の事業場に順次生産ラインのほうを移管している状況でして、段階的に排水中の濃度が低減しています。このため、今回は基準値を実態に合わせて600mg/Lから350mg/Lに見直して、3年間延長する案というふうにされております。

次に、モリブデン化合物製造業について別-45ページを御覧ください。モリブデン化合物製造業には硝酸性窒素等の暫定排水基準が適用されており、一般排水基準を超過する事業場は2事業場ございます。こちらはアンモニアストリッピング装置の導入により配管が閉塞してしまうといった技術的な課題があり、今回は基準値を実態に合わせた上で3年間延長する案とされております。

次に、バナジウム化合物製造業について別-48ページを御覧ください。こちらも硝酸性窒素等の暫定排水基準が適用されておりまして、事業場としましてはモリブデン化合物製造業とほぼ同じような事業場がフォローアップ対象となっておりまして、技術的な課題も同様となっております。こちらも排水実態を踏まえ、3年間延長する案というふうにされております。

今後の工業分野の取組については別-51ページを御覧ください。今後の取組としましては、関係省庁や自治体、業界団体と連携のもと、適切な運転管理等の指導を進めていくとされております。また、次回の暫定排水基準の見直しでは、中長期的な見通しを示しつつ検討を進めることというふうにされております。

続きまして、下水道業の検討結果について御説明いたします。別-52ページを御覧ください。下水道業には、ほう素、硝酸性窒素等の暫定排水基準が適用されており、それぞれ1事業場ずつがフォローアップ対象となっております。

まず、ほう素のほうですけれども、ほう素の暫定排水基準は、温泉旅館の排水を受け入れている下水道の終末処理場に暫定排水基準が適用されております。温泉分野の検討結果と同様に、温泉排水については導入可能な処理技術の見通しが立たないことから、今回、こちらの下水道につきましても排水実態を踏まえた基準値に見直した上で、期間につきましては導入可能な処理技術の見通しなどが立つまで当分の間設定する案とされております。

次に、硝酸性窒素等の暫定排水基準について、こちらはモリブデン化合物・ジルコニウム化合物製造業の排水を受け入れている下水道の終末処理場に暫定排水基準が適用されております。こちらは処理設備の増設などにより一般排水基準を達成できる見込みであるため、令和4年7月以降は一般排水基準に移行する案とされております。

以上が見直し案になりまして、最後に参考資料1ですけれども、2月8日~3月9日まで、こちらの見直し案につきましてパブリックコメントのほうを実施してまいりました。

意見提出は5件ございました。

 まず1件ですけれども、温泉関係でして、公衆浴場の取扱いについての意見になります。温泉旅館には排水基準が適用されるのに対し、公衆浴場や足湯は特定施設に含まれず排水基準が適用されていないことに関する意見となっております。こちらについては、今後の検討の参考にさせていただきたいというふうに考えております。

 そのほか、畜産、下水、工業分野について基準を強化すべきといった意見が2件ございました。こちらにつきまして、暫定排水基準については、引き続き排水実態等を踏まえつつ、見直し案のほうを検討してまいりたいと考えております。

 残り2件につきましては、温泉旅館の見直し案に賛成する意見となっております。

 資料1の説明は以上になります。

【古米部会長】 どうも御説明、ありがとうございました。

 それでは、議題1に対しまして、御意見、御質問をお受けしたと思います。いかがでしょうか。

 それでは、大久保委員、お願いいたします。

【大久保委員】 ありがとうございます。

今回の暫定基準の見直しに関しましては、利用可能な最善技術に対応して値が決められている、あるいは見直さないということになっておりますし、また、モニタリングもしっかりして、環境基準の達成自体には影響がないということですので、今回の見直し案には異存がございません。

その上で、パブリックコメントにも出てきておりますように、温泉排水に関しましては、従来からの課題がございまして資料1の12ページの「③排水規制の課題への対応について」にあるような暫定基準だけの問題ではない課題が依然として残っております。

これは、今日最初の環境省の御挨拶にもありましたように、現在検討中ということだとは思いますけれども、水質汚濁防止法制定から50年以上が経過した中、改めて法律の枠組みそのものを検討すべき時期に来ていると思っております。

この温泉排水に引きつけて言いますと、12ページの③にありますように、まず、特定施設の在り方については、まさに同じようなものを同じように扱うという観点から言えば、温泉旅館と、それから日帰り温泉入浴施設とのバランスの問題があるということかと思います。

それから、また暫定基準に関しましては、現在、基本的には暫定基準が適用されるものについて全て同じように取り扱うということにした上で、モニタリングで環境への支障の有無というものを計っているわけでございますが、こちらも本来は、排水の状況、実態を見ながら決めるというよりも、その事前の段階で新規施設についてどのような対応が可能かという観点から本来は整理すべきものであり、そうした観点からは、現在暫定基準と言われるものを適用しなければならないような一般排出基準を達成できないものについては、あらかじめ許可制にして、個々の施設の地域性、特徴といったものを踏まえて、可否を判断するといったことがないと新規施設の増加というものに十分対応できないおそれがある。この点は温泉法の運用等によって一部対応可能な点もありますが、本来は水濁法の枠組みの中で対応していくことが適切かと考えますので、この③に書かれていることの意味は、そのようなものとして捉えております。今後ぜひ具体的な検討を進めていただきたいと思います。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 環境省のほうからはよろしいでしょうか。

【事務局】 御助言、ありがとうございます。

いただいた特定施設の公平性の適用対象と適用対象になっていないもの、そちらの整理も含めて、今後検討していきたいと思いますし、水濁法が制定され50年間たって、従来の最大値に対する直罰規制での一律的な対応というところも少し見直す時期に来ているのかなと思いますので、そういったことも含めて検討していきたいと思います。ありがとうございます。

【古米部会長】 よろしいでしょうか。

【大久保委員】 はい、ありがとうございます。

【古米部会長】 ほかに御質問、御意見、ございますでしょうか。

 田中委員、お願いいたします。

【田中臨時委員】 田中です。ありがとうございます。

1点ちょっと、初めて規制の関係の資料を見ましたので、資料の意味をちょっと聞きたいところがあるんですけども、内容については、細かくいろんな特定事業場の情報をいただいていますので、こちらからは特段異議はありません。

質問は、資料1の2の別添で個別にいろいろ書いていただいている中の畜産の関係です。畜産の15ページ目のところで、特定施設の頭数が、いろいろ調べていただいて、牛の関係、あるいは馬の関係を調べていただいて、その範囲が左側の「農水省資料を基に算出した結果」と書いてある「排水を公共用水域に排出している割合」と書いてあるんですけれども、「頭数ベース」と書いてあるんですが、この意味が、ちょっと確認したいんですけども、馬とか牛なので、基本的にはほとんど固形分が中心で水はあまり出ないとは思うんですが、その中の出てくる牛とか馬の出す排せつ物の1%程度という意味をここに書いているのか、それとも、幾つか小規模な施設、それからある程度の頭数がいる施設、そういう施設全体で頭数を出して、その中の公共水域に処理して流しているもの、これが1%、あるいは0.2、0.1、このどちらの意味なんでしょうか。

【事務局】 今御質問の答えとしては後者のほうになりまして、施設ベースで排水しているか否かのほうを整理しておりまして、施設ごとの頭数を足し合わせた数がこちらの乳用牛であれば12,000頭、肉用牛であれば4,000頭という数となっております。

【田中臨時委員】 分かりました。意味は分かりました。そうすると残りの99あるいは100というのは、かなり規模が小さいために放流していない、あるいは、実態がどうなっているかということぐらいは、何か環境省としてはつかまれているんでしょうか。

【事務局】 牛と馬につきましては堆肥化されている、農地に還元されているというものがメインというふうに伺っております。

【田中臨時委員】 排せつとかはそうだと思うんですけども、排水としてはほとんど出ないと思うんですけども、そうすると実態はやっぱり、あまり環境省としてはつかまれてないという理解でよろしいですか。

【古米部会長】 糞尿の処理方法は、ほぼ農地還元ということなので、公共用水域に直接的に出るものはないと。ただ、可能性としては地下水に入ってじわじわ出てきているけども、水濁法上の公共用水系の排出はないというように理解することになるのかと私は理解していますが、田中委員、さらに。

【田中臨時委員】 私も多分、そういうことになっているんだろうなと想像はしてますけれども。要するに今、特定施設でかなりある頭数から上のものは、かなりどんどんレベルを下げようという方向に行っているんですけども、残りの部分は、法体系としては仕方がないと思うんですけども、実態がどうなっているかということぐらいは、何らかの形でつかんでおく必要あるのかなと、ちょっと思いましたので、質問させていただきました。ありがとうございます。

【古米部会長】 御指摘は、特定施設になっていないような小規模のところの御指摘なんでしょうか。

【田中臨時委員】 そうですね。要するに、ほかの対象になっているところはかなりカバーされている、水濁法での対象の負荷の中で、取り込まれているところが圧倒的に多いと思うんですけども、畜産部分だけは、先ほどの話で1と0.2と0.0、これが実際に出てくる負荷の割合ではなくて、施設についての割合で、残りの99とか、99.8というのは、恐らく今の排せつ物が基本的には集められて、処理されてはいるんですけども、水濁法の対象になっているような水を全く使っていないわけではないかもしれないので、そういうものについての実態が、環境行政の中でどの程度つかまれているのかなという質問からスタートしたものです。だから、そういうことをつかまえる何か機会なりというものが、考えることは何かありますかという質問でもあったんですね。

【事務局】 環境省の寺内と申します。

 こちらに示しております、処理割合の1%などにつきましては農林水産省から出されている「家畜排せつ物処理状況等調査結果」を基に算出した結果を記載しています。残りの99%の処理方法につきましても、この資料に記載されており、尿であれば液肥であるとか、固形分であれば堆肥であるとか、そのような処理方法ごとの割合が記載されています。

 以上になります。

【田中臨時委員】 はい、分かりました。結構です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。西川委員、どうぞ。

【西川臨時委員】 資料1の1ページ、出ますでしょうか。そのページの終わりごろに参考として主な健康影響が記載されております。これはたびたびコメントさせていただいているところですが、これが環境基準の設定、根拠となる健康影響であるのでしたら、やはりこれも、できれば適宜アップデートしていただきたいと思います。

 前回の会議で、環境基準は変わらないということだったのですが、それが食品安全委員会の評価書に基づいているのであれば、やはり評価の仕方も変わってくるわけですから、食品安全委員会の評価書に基づいた記載に改めるというほどでもないのですが、正確な記載をお願いしたいということです。

 具体的には、例えばほう素については、ラットを用いた催奇形試験における胎児の体重の増加抑制とありますが、食品安全委員会の評価書では、体重増加抑制に加えて、骨格変異が書いてあるので、これは追記したほうがいいと思いますし、それに続く高濃度の摂取による嘔吐、腹痛等はヒトの急性中毒の所見であって、環境基準とは関係ないので、削除してもよいのかなと思います。

 それからふっ素については、斑状歯の発生があるのですが、これ当然過剰な摂取による発症であるので、過剰な摂取によるという文言は必要ないかなと思いました。

 その斑状歯については、歯のふっ素症というのがより医学的な用語に近いと思いますので、歯のふっ素症(斑状歯)ぐらいがよいかなと思います。

 それから硝酸性窒素等ですが、ここに乳幼児のメトヘモグロビン血症とありますが、これは硝酸性窒素に限った環境基準に関わる健康影響ですので、亜硝酸性窒素の場合は、食品安全委員会の評価書ではラットの副腎皮質球状帯肥大というのが挙げられておりますので、それを追記するか記載が煩雑になるのであれば、例えば乳幼児のメトヘモグロビン血症等したほうが、より正確かなと思いました。

 健康影響についてのコメントは以上ですけども、硝酸性窒素については、亜硝酸性窒素と同時に存在する可能性が高いことから、最新のWHOの飲料水の基準においては、それぞれの濃度をガイダンスバリューで割った値の足し算が1より小さくなることをリコメンドしていますが、そういう考え方は環境省ではしていないのかどうか、これはちょっと質問としてお答えいただければと思います。

 それからもう一つ、亜硝酸塩はWHOのIARCでグループ2Aになっていて、実験動物では発がん性があるがヒトの疫学データでは発がん性があるかどうか不明であることから、グループ1にはなっていませんが、そういうことについては今後も科学的知見を収集して、慎重に対応していただくのがよいと考えますが、そのあたりについても御意見いただければと思います。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。要は、記載の内容と、もう一つは環境基準に関わりますけれども、亜硝酸等の取扱いについて、今後どうするかということだと思いますが。

【事務局】 記載の健康影響の書きぶりについては改めて確認した上で、必要に応じて、こちらの報告書を見直すような形にしたいと思います。

 それから、最新の科学技術的な知見に基づいてというところは、環境基準の検討にも影響する話かと思いますので、引き続き科学的な知見を収集しながら、環境基準の、そちらのほうの検討をする場もございますので、そういったところも含めて検討していくということかと思います。

【古米部会長】 きっと硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の基準値自体は、水道水質基準との関連もあります。御指摘のように、例えば農薬もそうですけども、いろいろなガイダンス値で割り算して、合計で1というのは、ある意味、合理的な表現ですので、亜硝酸等の場合は、硝酸性窒素は非常に毒性が高いということが分かっていますので、そのものが高いということをうまく反映した形で、よりいい公共用水域の管理をするために、同様に排水規制をするという方向性は今後検討する価値があるのかなと私は思っておりますので、ぜひ、そういった最新情報を集めていただくということが必要かなと思います。

 あとは、記載については他の専門委員会等の表現ぶりを採用していただいて、絶えずアップデートしていただくということで御確認いただければと思います。

 西川委員、このような対応でよろしいでしょうか。

【西川臨時委員】 はい、よく分かりました。よろしくお願いいたします。

【古米部会長】 それでは続いて小林委員お願いいたします。

【小林臨時委員】 ありがとうございます。横浜大学の小林です。

 暫定排水基準の見直しについては特に異存ないんですけど、一言だけコメントということで、ふっ素、ほう素については環境基準や、一般の排水基準と比べるとかなり高濃度となりますので、ぜひこの取り扱いを、土壌汚染ですとか地下水汚染につながらないよう事業者らが注意するように、十分に御指導いただきたいということをコメントさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。事務局、よろしいですね。

 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいですか。

 一番最初に大久保委員からありましたように、排水規制の課題というのは大きな問題ですので、すぐに答えが出るとは思いませんけれども、どういう体制でどう検討するかというのを具体的に御検討いただくことも重要かなと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、この議題につきましては、暫定基準に関する原案のとおりということで、進めさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。

 それでは、議題2に移らせていただきます。議題2は報告事項です。報告事項は全体で6件ということですので、初めに資料2及び3について、まとめて事務局、土壌環境課から御説明をお願いしたいと思います。

【事務局】 土壌環境課の高澤です。

 それでは資料2及び資料3について説明をいたします。ともに土壌汚染対策法の規制緩和に関する省令改正の内容となっております。

 それでは資料2-1を御覧ください。土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令案についてでございます。1ポツ、改正の趣旨を書いておりますけれども、土壌汚染対策法第4条第1項による一定規模以上、これは3,000㎡以上の土地の形質変更の届出になりますが、その数でございますが、令和元年度で1万1,000件以上に上っております。申請する事業者及び受け付ける側の自治体の事務負担がともに大きくなっているところでございます。

 特にこの土地の形質変更の届出の際には、届出を行う形質変更の実施者が、土地所有者等の同意書を取得するということになっておりまして、例えば共有地等で土地所有者等が多数いる場合などもございますので、大きな負担になっているとの声があります。そのため、この同意書の添付に代えまして、土地所有者等が明らかになる書類の添付に変更するという省令改正を行います。

 こちらの背景について少し補足いたしますと、内閣府による令和3年地方分権改革に関する提案募集におきまして、本件について12の自治体から要望があったものでございます。

 土壌環境課におきましても、全国158自治体に対してアンケート調査を実施いたしましたところ、同意書が事務手続上の支障と感じていると回答した自治体が多数ございました。

 同意書を添付するとの趣旨につきましては、形質変更を行おうとする土地に汚染のおそれがあると自治体が判断した場合には、調査命令がかかることになりますけれども、その場合の命令の対象者は、土地の形質変更を行う届出者ではなくて土地所有者等になります。そのため土地所有者等から形質変更に関する同意を事前に得て、同意書を提出してもらうことによって、調査命令を発出する場合の対象者を自治体が把握でき、円滑な命令の発出に寄与してきたというところでございます。

 一方で実態を見てみますと、土地の形質の変更を実施することにつきましては、土地の賃貸借契約でございますとか、土地計画法等の開発行為に関する他の法令での同意等による確認がなされておりますので、土地所有者等と届出者との間において、意思疎通が図られていることが一般的と言えます。

 そのため、検討の結果、2ポツに改正の概要と書いておりますけれども、同意書の添付までは求めないことといたしますが、調査命令の発出を確実に行うために不可欠な情報として、土地の所有者等の所在が明らかとなる書面、例えば登記事項証明書などの添付を求めるということに変更するというのが、今回の改正になります。

 資料2-2に、省令改正の該当条文をつけております。また参考資料2にパブリックコメントの結果をつけております。26件の御意見をいただきました。

 今後とも円滑な手続が確保されるよう、届出者から土地の所有者等に対して、土地の形質変更を行う際の届出でありますとか、調査命令が発出される可能性があることについて、十分に説明いただくよう自治体から指導していただきたいことを通知で示す予定でございます。また環境省としてもガイドラインやQ&Aで必要な添付書類等について丁寧に説明するとともに、届出手続や調査契機についての普及啓発に努めたいと考えております。

 本省令の改正につきましては明日、24日に公布されまして、本年の7月1日から施行されることとなっております。

 資料2-1については以上でございます。

 次に資料3の説明に移ります。資料3-1を御覧ください。汚染土壌処理業に関する省令の一部改正についてでございます。

 汚染土壌処理業者が処理施設の処理能力等を変更する際には、都道府県知事の許可が必要となりますが、軽微な変更については届出でよいとされております。その対象につきましては処理能力の減少、10%未満の場合のみと限定されているところでございます。

 自治体においても厳しく運用されておりまして、例えばでございますが、受入設備に屋根を設けるといった変更でありましても許可手続が必要となっておりまして、汚染土壌処理業者及び自治体の双方の事務負担になっているとの要望がございました。

 そのため、2ポツの改正の概要に書いておりますが、引き続き許可が必要な場合について列挙しておりまして、施設の種類の変更でありますとか、構造の変更で処理の根幹となる設備の変更でありますとか、処理能力の増大などでございますが、これらに該当しない場合には変更の許可ではなくて届出でよいとの省令改正を行うものでございます。

 資料には記載していませんが、今回の改正で軽微な変更として、届出でよいものとなりますものにつきましては、例えば、受入設備や保管設備に屋根を設置する場合でありますとか、汚染土壌の移送用のベルトコンベヤーに覆いを設置する場合でありますとか、排ガス処理設備を電気集塵機から性能の高いバグフィルターに変更する場合といったものなどが挙げられます。

 今後、関連するガイドラインにおきまして、具体例などについても丁寧に説明することを考えております。

 こちらにつきましても、資料3-2に省令改正の該当条文をつけておりまして、また参考資料3にパブリックコメントの結果をつけております。4件の御意見をいただきました。こちらについても、明日24日に改正省令が公布されまして、本年7月1日から施行されることになります。

 以上資料2及び資料3について御報告となりますが、説明を終わります。

 以上でございます。

【古米部会長】 どうも御説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして御質問があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 土壌汚染関連の対応ですが、よろしいでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 特に挙手がございませんですので、次の説明に移らせていただきます。

 次は資料4、閉鎖性海域対策室から御説明をお願いしたいと思います。

【事務局】 それでは続きまして資料4、それから参考資料4でございますけれども、第9次水質総量削減におけるCOD、窒素、りん含有量に係る総量削減基本方針について、御報告を申し上げます。

 この第9次水質総量削減につきましては、この部会におきまして第1回からずっと御議論いただいているところでございます。第1回の部会で御審議をいただきまして、第9次水質総量削減について、在り方の答申をおまとめいただいたところでございます。その答申を踏まえまして、今般、基本方針がまとまりましたので、その御報告ということになります。

 資料4でございますが、まず第1番、総量削減の基本方針についての説明を述べてございます。

 御案内のとおり、水質総量削減は、人口と産業が集中している閉鎖性海域を対象としておりまして、東京湾、伊勢湾、それから大阪府を含む瀬戸内海をターゲットとし、全ての汚濁発生源について総合的、計画的に対策を進める制度となってございます。

 今般、御報告いたします総量削減の基本方針は、汚濁負荷の総量削減目標量と削減の方途、それから目標年度を定めるという、この制度の根幹をなすものでございます。今般、昭和54年以降、8回にわたり策定されている基本方針の9回目の策定ということとなっております。

 この基本方針は今年の1月24日に公害対策会議での承認を経まして、環境大臣が策定をして公表しているものでございます。

 基本方針の概要ですが、中ほど2番のところに、まず削減目標量の表が記載してございます。

 この表では、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海とそれぞれにつきまして、COD、窒素、りんにつきまして、真ん中の列にありますものが第9次の削減目標量ということで、今回定めたものでございます。目標年度を令和6年度といたしまして、それぞれの湾、それぞれの項目につきまして、この目標量が定められたということでございます。

 その右側の列は、参考といたしまして、前回、第8次のときの削減目標量、そのときは目標年度が令和元年度でございましたが、そのときはどうだったかということを記してございます。

 続きまして、(2)汚濁負荷量の削減の方途でございます。先ほど申し上げました昨年3月の第9次総量削減の在り方の答申を踏まえまして、汚濁負荷量の削減の方途としましては、まず東京湾、伊勢湾につきましては、窒素、りんについては、環境基準の達成状況を維持しながら、生物多様性・生物生産性の視点においても望ましい水質を目指しつつ、貧酸素水塊の発生抑制等の観点から水環境改善を図る。それから、瀬戸内海については、大阪湾では湾全体としては現在の水質を維持するための取組を継続しながら、湾の奥では赤潮や貧酸素水塊など問題が発生している特定の海域がございますので、局所ごとの問題に対応することを目途とし、大阪湾を除く瀬戸内海においては、現在の水質から悪化させないことを目途とすると、そのようにしております。

 汚濁負荷の削減の方途につきましては、ここに挙げているような下水道浄化槽といった水処理設備などの整備といったことから、適正な総量規制基準の設定による対象事業者の規制といったこと、それから、環境保全型農業の推進といったことや、情報発信、普及啓発といったようなことが書かれております。

 それから、その他、汚濁負荷量の総量の削減、それから水環境の改善に関し必要な事項といたしまして、藻場・干潟の保全再生などを通じた水質浄化や、生物多様性・生物生産性の確保といったことも視野に入れて、総合的な取組を着実に推進していくことが必要としています。それから特に湾奥部で栄養塩類の偏在などの局所的な問題があるので、地域の特性も考慮して、局所的な対策を講ずることが有効であるということから、そういったところに、実施可能な取組を検討して、関係者連携のもと、複層的に実施をしていこうといったことが記載されているところでございます。

 詳細につきましては、参考資料4を御覧いただければと思います。

 以上、第9次水質総量削減における基本方針につきまして御報告をさせていただきました。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に対しまして、御質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 よろしいでしょうか。

 特に挙手がございませんので、次に移らせていただきます。

 続いて資料5について、同じく閉鎖性海域対策室より御説明をお願いしたいと思います。

【事務局】 続きまして、瀬戸内海環境保全基本計画の変更について御報告を申し上げます。

資料5、それから参考資料5を御参照いただければと思います。

 瀬戸内海環境保全基本計画につきましては、前回の部会で諮問をさせていただいたところでございました。その後、瀬戸内海環境保全の小委で御議論を賜りまして、今般、今年の2月25日に閣議決定がなされてございます。

 資料5を使って内容を説明させていただきますが、まずこの基本計画の位置づけでございますけれども、昨年6月に改正をされた瀬戸内海環境保全特別措置法に基づきまして、基本計画として政府が策定をするものとされてございます。

 この瀬戸法の改正に当たりましては、この審議会の中でも御報告をさせていただいておりましたが、令和2年3月の答申、それから令和3年1月の意見具申を踏まえまして、改正がなされている法律でございます。今般はその法律が改正をされたことを踏まえて、その改正を反映させるために基本計画を変更しています。

 ここまで、この瀬戸法の基本計画につきましては、昭和53年4月の策定以降、過去3回変更されてきたところでございます。

 審議の経過につきましては、今ほど申し上げたことと重なりますので割愛させていただきます。

 基本計画案のポイント、資料5の下半分のところでございます。ポイントとしては二つございまして、まず1点目は、おのおのの地域が主体となって、「海域ごと」、「季節ごと」の視点を踏まえ、きめ細やかな栄養塩類の管理や藻場・干潟などの保全、再生、創出といった里海づくりを推奨するということが盛り込まれたということでございます。

 それからもう一つのポイントは、気候変動や海洋プラスチックごみといった、近年クローズアップされてきた課題について、個々の地域での取組に加えて、内陸域も含む瀬戸内海地域全体で連携した取組を促進するといったことが入ってございます。

 資料5の裏のページを見ていただければと思います。

 基本計画案の概要でございます。計画策定に関する方向性といたしましては3点ございまして、まずは瀬戸内海の水質が、これまでの取組により、全体としては一定程度改善が進む一方で、気候変動、海洋プラスチックごみといった、近年、特に注目されてきたような課題も含めて、地域ごとに課題が多様化している状況をまず整理したものです。

 それから2番目の点としましては、瀬戸内が元来有している美しい自然と人の営みが古くから共生してきた、まさに里海らしい場所であったという原点に鑑みて、今の時代に合った令和の里海づくりを推進していくというところです。

 それから3点目は、気候変動による影響など十分分かっていないことも多々ございますので、引き続き調査研究を進めるとともに、常に最新の科学的知見を踏まえて、順応的な、その状況に応じた柔軟な対応を推進していこうということが書かれてございます。

 それから、基本的な政策といたしましては、ポイントを以下5点、書いてございますが、まず一つ目としましては、水質の保全及び管理並びに水産資源の持続可能な利用の促進ということで、何点かございますが、水環境管理の観点からの汚濁負荷の低減と、それから順応的な栄養塩類の管理ということで、今般、瀬戸法の改正で新たに加えられた以下についても含める改正としております。

 それから、続いて基本的な政策の二つ目ですけれども、沿岸域の環境の保全、再生、創出並びに自然景観の文化的景観の保全ということでは、今般、対象を拡充したということもありまして、自然海浜の保全及び沿岸域の環境再生といったようなことについて改正をしております。

 それから基本的な政策の3点目、海洋プラスチックごみを含む漂流ごみ等の除去・発生抑制等でございますが、今般の法改正によりまして、海岸漂着物等の除去と、内陸地域を含んで発生抑制を推進していこうということが新たに盛り込まれましたので、そういった事項を含む改正がなされております。

 それから4点目といたしましては、気候変動への対応を含む環境モニタリング、調査研究等の推進ということでございまして、新たな課題も含め、監視測定の充実や調査研究等の推進といったことが、その視点から改められております。

 最後に、基盤的な施策の着実な実施ということも盛り込まれているところでございます。

 以上、瀬戸法の基本計画改正につきまして御報告させていただきました。

【古米部会長】 御説明どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの瀬戸内海環境保全基本計画変更について、御質問があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 ございませんでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 それでは、私から一つ確認をさせていただきたいと思います。

 今回の基本計画の計画期間というのが10年ということで、策定時からおおむね5年ごとに見直しや点検を行うということなんですけれども、これは今回の変更から5年後というような定義として理解すればよろしいでしょう。

【事務局】 今、古米部会長がおっしゃられた、そのとおりでございます。今般の策定から5年ということとなります。

【古米部会長】 ありがとうございます。

 ほかに御質問、御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。

 それでは次の説明に移らせていただきます。

 次は、資料6ということで、海洋プラスチック汚染対策室から御説明をお願いしたいと思います。

【事務局】 海洋プラスチック汚染対策室、中島です。

 資料6、国連環境総会(UNEA)におけるプラスチック汚染に関する決議について、御説明させていただきます。

  まず、UNEAというのは何かということですけれども、日本語で言いますと国連環境総会、国連環境計画(UNEP)の最高意思決定機関総会に当たります。ケニアのナイロビで2年に1回開催するというものです。

 今回、第5回が行われたわけですけれども、UNEA5.2と書いてありますが、通常2年に1回で、その2年に1回の年が昨年だったんですけれども、コロナの関係で事務的な話だけ昨年行い、実際中身があるような、実際の環境に関連するような議題というのは今年に持ち越されたということで、継続した取組ということでUNEA5.2ということで、ハイブリッドで開催されました。日本からは環境省の正田地球環境審議官を筆頭に、松澤局長も直接参加、出席しております。

 内容としましては様々な議題があったんですけれども、一番注目されていたのが、今回御説明させていただく海洋プラスチック関連に関する決議に関する議題ということになります。これに関しましては、日本からも決議案を提出しております。

  日本から決議案を提出させていただいたんですけれども、皆様、御存じのように2019年の大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを一つの契機に、ここで書いてあるような会合、あるいはこれ以外にも国際的な取組というのを日本はかなり積極的にしてきております。これは日本が東アジアに位置していまして、排出国に東南アジアあるいは中国等、東アジアの国がとても多いということもあり、プラスチック問題を解決していくためには、この地域を巻き込むことが大事だというような考えになっているというふうに考えております。

  先ほど日本からも決議案を出したというお話ししましたが、今回三つの決議案が提出されております。ざっと御説明させていただきますと、左からペルー・ルワンダ決議案、日本決議案、インド決議案となっております。ペルー・ルワンダ決議は、これは実質EUと連携して出ている案ですけれども、内容としましてはプラスチック汚染対策を追求し、プラスチックフリーを目指すというようなことが示唆されます。具体的な中身としましては、上流の世界一律の規制を示唆するような内容が、特に注目される点かなというふうに考えられておりました。また、それ以外に国際的な基金の話ですとか、科学的諮問機関の話というものを議論の対象に、政府間交渉、分かりやすく言いますと条約の議論に向けた政府間交渉委員会の立ち上げをするという内容です。

 日本の決議案は、同じく政府間交渉委員会の立ち上げを含んでおります。対象としまして、海洋プラスチック汚染対策を目的にする。ただし、海洋と言っておりますけども、排出源は陸のものが相当多いので、そちらのものも当然、対策の対象とするけれども、保全すべき場所は、たくさんのプラスチックごみが集まる海洋に注目すべきであろうという考えになっています。

 内容としましては、イメージとしては気候変動のパリ協定になりますけれども、各国の事情に応じた国別行動計画を作成して、それに合わせて様々な施策をしていくのがいいだろうというようになっております。意図としましては、先ほどお話ししましたが、できるだけ多くの国が参加するということが、とにかく大事だということで、政府間交渉委員会の立ち上げの段階では、多くの国が参加できる内容から立ち上げることが大事だろうということを意図しております。

 最後にインド決議案ですけれども、これはUNEAの直前に提出されております。対象としては、プラスチック製品、特に使い捨て製品を対象としておりまして、政府間交渉委員会は設置せずにボランティアの取組を推進すべきと。①②③④と書いてあると思いますが、そこに準ずるフォーラムを設定することで、各国が取組を共有し、情報共有しながら、取組を後押ししていきましょうという内容になっております。

 我々のイメージとしては、政府間交渉委員会を立ち上げるという意味においては、ペルー・ルワンダ決議案と日本決議案がかなり類似性が高いと。一方で、各国の取組を後押ししていくべきであろうという考え方においては、日本決議案とインドネシア決議案が、考え方が近いなというふうに考えておりまして、日本としては、やや真ん中的な位置づけになるような案だったかなというふうに思っております。

  最後に決議案の概要です。決議は、日本が中間的な案だというようなこともあったと思いますけども、日本がかなりベースになったかなと、軸になったかなというふうに考えています。決議の名称は、英語で言いますとエンド・オブ・プラスティック・ソリューション、プラスチック汚染を終わらせるというタイトルです。

 対象に該当するところですけども、一つ目の丸の下線部になります。「海洋環境におけるプラスチック汚染を含むプラスチック汚染が、世界的に深刻な問題になっていることを懸念」ということで、海洋に特化しつつも、プラスチック汚染全般を対象にしていくというような考えになっています。

 二つ目は、各国の状況を考慮した包括的なライフサイクルアプローチで取り組む必要があるということ。三つ目は、社会にとってのプラスチックの重要な役割は認識しつつ、取組を進めていくというようなことになっております。

 四つ目は最後のほうになりますが、連携がとれた長期的かつ世界的なビジョンの必要性の認識ということで、我々としては大阪ブルー・オーシャン・ビジョンが、一つの例として該当すると考えておりますけれども、日本でこれまで行ってきた取組をさらに後押していくことが大事だというような記載になったというふうに考えております。

 以下、下の二つ目からが本文になります。まず、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際約束をつくるための政府間交渉委員会の設立を決定ということで、日本の決議案で、まさに一番狙っていたところはしっかりと確保されたということになります。

 その議論の期間ですけれども、2022年後半から開始し、今年の後半から2024年末までに議論を完了することを目指すということになっております。

  議論の内容、国際約束の内容ですけども、「以下を含む」ということですので、ここに書いてあることで限定されるわけではありませんが、少なくともこういったことは議論の対象としていきましょうということです。まずは国際約束の目的の特定、この条約について、どのような議論がされていくか、何のための条約かというのをしっかり定めましょうということ。

 二つ目が、プラスチックの持続可能な生産と消費の促進ということで、括弧して「製品設計」とありますけれども、このあたりがペルー・ルアンダ決議案の意図が組み込まれたというふうに考えております。

 一つ飛びまして、国別行動計画の策定、実施、更新ということで、これは日本決議案から主に引かれてきた内容です。

 大きな丸ですけれども、それ以外に検討すべき事項は以下ということで、以下、何点か指摘されています。その中で、よくある議論ですけれども、二つ目のポツで、国際約束の実施を促進するための資金メカニズムの必要性ということで、主に途上国、アフリカ、南米、アジアの国が、このあたり、とても後押ししておりましたので、こういったことが入っております。また科学的知見及び優良事例をシェアすることですとか、そういった情報提供するためのメカニズムについても議論していきましょうというふうになっております。

 また、その次ですけれども、こういった議論の間にも、既存の自主的な行動は継続して進めてくださいということで、議論の間はプラスチック汚染に関する対策の取組を継続していきましょうというような内容になっております。

 今後の議論ですけれども、5月後半ごろに準備会合が開催されまして、どういった組織、あるいはどういった段取りで議論を進めていくかということについて、議論がされる予定になっております。その後、まだ日程は決まっておりませんが、10月か11月頃に第1回目の政府間交渉委員会が開催されるということになるというふうに考えております。

 以上になります。

【古米部会長】 はい御説明どうもありがとうございました。

 それでは、御質問、大塚委員お願いいたします。

【大塚委員】 どうもありがとうございます。

 ちょっとお伺いしたいんですが、最後のページの二つ目の大きい丸の最初のポツで、国際約束の義務的事項、対策、自主的アプローチと書いてありまして、宣言のほうの3番のところなんだと思うんですけども、そこで、リオ宣言の原則を踏まえつつという言葉が実は書いてあるんですけども、テイキング・イントゥ・アカウントという言い方ですが、この中に汚染者負担原則が入っていると思いますが、このリオ宣言の原則を踏まえつつというのは具体的に、どの辺を議論されていたか、教えていただけますか。

【事務局】 御質問ありがとうございます。

 そこが、今回のこの決議において一番議論になった箇所です。議論においては、今回は政府間交渉委員会を立ち上げることに関する決議ですので、具体的にどういったことという中身というよりは、リオ宣言に関する記載をどの程度書き込むかということ、あるいはどこに書き込むか、どの程度書き込むかということに終始しておりました。

 それにおいて、確かに前半のほうの1か所、前文の1か所だったかと確か思いますけども、そこにその記載をすることにおいて、妥協ができたというような状況だったかと思います。

【大塚委員】 ごめんなさい、リオ宣言のことですか。リオ宣言は本文の3のほうにありますけど。

【事務局】 申し訳ありません。今、手元にないものですから。

【大塚委員】 そうですか。聞きたかったのはリオ宣言の原則はたくさん、基本原則はたくさんあるので、どれかということが議論されたかを聞きたかったんですけど、そこはあまり議論されなかったというか。

【事務局】 はい、深くは議論されておりません。

【大塚委員】 ありがとうございます。どうも恐れ入ります。汚染者負担原則も入っているとは思いますけど。入ってはいるということだと思いますが。

【事務局】 はい。入ってはいると。

【大塚委員】 どうもありがとうございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。ほかに御質問はございますでしょうか。

 私からちょっと質問ですけれども、今回もう既に決議をされているということですので、その決議文というのは英語で出ていて、それの日本語訳というのは、どこかで公表されているんですか。

【事務局】 はい。仮訳は今、最終段階になっているはずですので、もう間もなくホームページか何かで見ることができるようになると思います。

【古米部会長】 分かりました。どうもありがとうございます。

 豊田委員お願いいたします。

【豊田臨時委員】 豊田です。教えていただきたいんですけれど、6ページ目のスライドにあります。上の3行目でしょうか、プラスチックの持続可能な生産というのは、なかなか聞いたことがない言葉なんですけれど、持続可能なプラスチックの生産というのは、具体的にはどんなことをイメージしたらいいんでしょうか。教えていただけますとありがたいです。

【事務局】 これも今後の交渉における、こういったことに関する議論をするということですので、あまり具体的な議論というのは、ここでされているわけではないのですけれども、ここに至る議論においては、ペルー・ルワンダ案がベースになっておりまして、そこで製品の設計ですとか、リサイクルしやすい製品設計ですとか、リサイクル製品をどれぐらい含むですとか、あるいは添加物をどの程度、規制をかけるかだとか、そういったことが議論の対象になっていた中で、最終的にこの文言に落ち着いたということになります。

【豊田臨時委員】 分かりました。

 例えばペットボトルなんかをペットボトルとしてはなくて、服とかの原料として再利用する場合なんか、こういったケースというのは、製品設計上、持続可能な生産の範疇に入る使い方になるんでしょうか。

【事務局】 まだ議論はそこまで至っておりませんので、今の段階ではちょっと申し訳ありません、全く分からないです。可能性は十分あると思います。

【豊田臨時委員】 分かりました。ありがとうございます。

【古米部会長】 よろしいでしょうか。

 私は専門ではありませんけれども、読み方としては、生産と消費が一塊であって、それに対してサステイナブルという形で理解をすると。という形でまとまったんではないかと推測しております。きっと英語と翻訳が出てきますので、きっと丁寧な内容が出てくると、より明確になるかと思います。豊田委員よろしいでしょうか。

【豊田臨時委員】 はい。ありがとうございます。

【古米部会長】 ほかに御質問ございますでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 特に挙手がございませんので、次に移らせていただきます。

 それでは、議題2の最後となりますが、資料7について、水環境課から御説明をお願いしたいと思います。

【事務局】 資料7について御説明いたします。

 今年度、環境基準について六価クロムの基準強化、それから糞便汚染の指標の見直しとして、大腸菌群数から大腸菌数への見直しが行われております。こういったものも踏まえつつ、排水基準の在り方について、今後検討していく必要があるため、このような諮問のほうをさせていただいております。

 これらの排水基準の審議につきましては、令和4年度中に実施できるような形で進めていきたいと考えております。その際は御審議のほど、よろしくお願いいたします。

 資料7については以上になります。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それではただいまの説明について、御質問があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 よろしいですか。今後議論をされるということだと思います。

 特に挙手がございませんですので、議題2をこれにて終了させていただきます。

 議題3、その他は事前に事務局より案件なしと聞いておりますので、これで議題は終了となります。

 せっかくの機会ですので、委員の皆様方から、全体を通して何か御質問、御意見があればお受けしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 はい、大塚委員お願いいたします。

【大塚委員】 申し訳ありません。さっきのプラスチックのことで、もう一つちょっとお伺いしたかったので申し訳ありませんが、日本の決議案は、海洋プラスチック汚染対策を訴求したということで、それはある意味よく分かるのですが、設計製造段階等の上流対策については、あまり重視しなかったというふうにも受け取れるので、日本はこの間つくったばかりのプラスチックの新法では、上流対策もかなり考えていると思うんですけども、この辺は大阪ブルー・オーシャン・ビジョンとの関係で、こういう訴求をされたということなんでしょうか。ちょっと教えていただければありがたく存じます。

【事務局】 中島です。

 日本は上流を訴求しなかったということは全くなくて、国別行動計画の中においては、当然上流から下流まで、全て含まれるものというような決議案になっておりました。ですので、各国の状況に応じた取組を行うというのを強く出しておりましたけども、上流から下流まで、特に日本のような国であれば上流から対策できますので、そういった国であれば、当然、国別行動計画の中に含んでいくということになると思ってます。

 ただし、世界一律な基準というのを、この政府間交渉委員会の立ち上げの段階で、それを強く意図しているというような記載にはなっていなかったということです。

 以上です。

【大塚委員】 ありがとうございます。どうも恐れ入ります。

【古米部会長】 ほかにいかがでしょうか。大久保委員お願いいたします。

【大久保委員】 ありがとうございます。UNEAの決議の中で、先ほどプラスチックの概要について御説明いただきましたけれども、そのほかにも水に関係するものとしては、持続可能な湖沼決議でありますとか、それから、今回の瀬戸内の保全計画とも関わりのあることといたしまして、NbS(Nature-based Solutions)、あるいは持続可能なレジリエントなインフラ決議というものがあるかと思います。これらその他、水に関連する決議、あるいは海域と淡水域における生物多様性の保全等との関わりで、何か特徴的な議論がありましたら教えていただければと思います。

 以上です。

【古米部会長】 いかがでしょう。

【松澤水・大気環境局長】 局長の松澤です。

 私自身、会議に参加をしましたが、ほぼプラスチックの決議の議論の場におりましたので、全体について、全て正確に押さえているわけではございませんけれども、先生御指摘されましたNature-based Solutions、これに関しましては、もちろん水、生物多様性と陸水、それから海洋、非常に深く関係をしているということでありますので、水に深く関係していると思います。

 今回のUNEAの決議は全部で14本あったんですが、そのうちUNEPのほうで重視をしていると、重要な決議とされたもののうちの一つが、このNature-based Solutionsに関する決議でございましたし、それからあとは、先ほど説明したプラスチック汚染に関するもの、それと何といいますか、サイエンス・フォー・ポリシーという考え方だと思いますが、この国際的な環境政策を今後、UNEPで検討していくにあたって、科学的な知見というものを、きちんと整備をして取りまとめていく、それを政策に生かしていくと。こういうメカニズムといいますか、そういうものをしっかりやっていくということで、言ってみますとIPCCとか、IPBESのような、そういったメカニズムといいますか、組織のようなものを考えていくべきだという、こういう決議、この3本は特に重要であるというふうにされたということで承知をしております。

 湖沼に関する決議は、インドネシアが主導して提案されたということで、我が国も霞ヶ浦ですとか琵琶湖とか、様々な湖沼で、世界湖沼会議なんかも行っておりますので、そういう湖沼全体を流域全体というふうに見て、生物多様性も含めて管理していこうという、そういう意味で、非常に今の方向づけをするような決議ではあったんじゃないかなというふうに思います。日本もこのインドネシアの主導した決議については、サポートをさせていただいているということでございます。

 以上です。

【古米部会長】 大久保委員よろしいでしょうか。

【大久保委員】 ありがとうございます。日本が先導的な役割を果たしうる、あるいは期待されている分野だと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。先ほど松澤局長からお話があったように、政府間交渉委員会で検討すべき事項の中に、科学的な知見であるとか優良事例というキーワードがありますので、ぜひ日本でいろいろな研究も環境省の中で行われていますので、そういったものを何か戦略的というんですかね、取りまとめた形で、国際貢献という形で御提供するような、パネルまで作れるかどうか分かりませんけれども、重要なことなのかなと私も感じました。

 ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 特に挙手がありませんので、以上をもちまして、水環境・土壌農薬部会を閉会とさせていただきます。

 それでは進行を事務局にお返しします。連絡等があればお願いしたいと思います。

【事務局】 本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にも御確認をいただきました後に、ホームページに掲載させていただきます。

 次回、第5回につきましては、別途御連絡をいたします。

 以上で終了いたします。どうもありがとうございました。

午後3時00分閉会