水環境・土壌農薬部会(第3回)議事録

日時

令和3年7月29日(木)15:30 ~ 17:30

※ WEB会議により実施

議事次第

1.開会

2.議題

(1)窒素含有量(海域)、亜鉛含有量並びにカドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直しについて
(2)総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲について
(3)瀬戸内海環境保全基本計画の変更について
(4)水環境・土壌環境について
(5)その他

3.閉会

配布資料

資料1   窒素含有量(海域)、亜鉛含有量並びにカドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直しについて(報告)

資料2   総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲(案)

資料3-1 瀬戸内海環境保全基本計画の変更について(諮問)

資料3-2 瀬戸内海環境保全基本計画の変更について(付議)

資料4   水環境・土壌環境行政について

参考資料1   「窒素含有量(海域)、亜鉛含有量並びにカドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直し案」に対する意見の募集(パブリックコメント)の実施結果について

参考資料2-1 「総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について

参考資料2-2 第9次水質総量削減における総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲について

参考資料2-3 水質総量削減における総量規制基準の概要

参考資料3   中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の小委員会の設置について

議事録

午後3時30分開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会第3回を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただき、大変ありがとうございます。

本日の部会は委員総数32名のうち、過半数の24名の委員にご出席をいただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立しておりますことをご報告いたします。また、WEBでの開催であり、YouTubeの環境省水環境課動画チャンネルで同時配信をしております。

WEB会議の開催に当たりまして、何点かご協力をお願いいたします。通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフ、ご発言の際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますよう、お願いいたします。ご発言を希望される場合には、お名前の横にある手の形のアイコン、挙手ボタンをクリックしてください。また、発言を終えられましたら、ボタンを再度クリックして、挙手を解除いただきますよう、お願いいたします。通信トラブル等何かありましたら、右下にチャットの欄がございますので、事務局までお知らせください。

 それでは、開会に当たり、水・大気環境局長の松澤よりご挨拶を申し上げます。

【松澤水・大気環境局長】 環境省水・大気環境局長の松澤でございます。この7月に、山本前局長の後に就任をいたしました。その前は、環境再生・資源循環局でプラスチック問題を担当しておりまして、海洋プラスチックに関しては、水・大気環境局と連携をして担当してきたということでございます。

 本日の議題は、全部で4つございまして、まず1つ目は、窒素含有量、それから亜鉛含有量、カドミウムとその化合物に関する暫定排水基準の見直しでございます。

 それから、総量規制基準に関しての業種その他の区分などに関する議題でございます。

 3点目が、今国会で改正されました、瀬戸内海環境保全特別措置法、これに続きまして、瀬戸内海環境保全基本計画の変更が必要になりますので、それに関する手続についてご報告をさせていただきます。

 そして、最後の4点目、これが本日の中心的な議題でございますけれども、最近のカーボンニュートラル、こういった動きですとか、それから、先ほど申し上げました瀬戸法の改正、あるいは海洋プラスチック問題の対応と、こういったことも踏まえまして、今後の水環境、それから土壌環境行政の大きな方向性について、本日は、委員の皆様からご自由に意見をいただきたいというふうに思っておりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

【事務局】 ありがとうございます。

 それでは、ここからの議事進行につきましては、古米部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【古米部会長】 古米でございます。

 それでは、始めさせていただきます。

 先ほど局長からお話がありましたように、今日の部会の最後の議題については、水環境・土壌環境行政の方向性ということがあります。およそ予定では50分程度の時間を確保しておりまして、本日24名の委員にご出席いただいておりますので、それほど多くの発言時間はございませんので、事前に少し頭で整理いただいて、1、2分でお話しいただく準備をいただければと思っております。

 それでは、以降、議事次第に沿って進めさせていただきます。

 まず、議題1、窒素含有量(海域)、亜鉛含有量並びにカドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直しということで、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。

【筒井水環境課長】 環境省水環境課長の筒井でございます。

 私と閉鎖性海域対策室長の行木から、資料1に沿いまして説明をさせていただきたいと思います。

 資料1を見ていただければと思うんですけど、まず1ページ目でございます。

 暫定排水基準というものでございますけれども、水質汚濁防止法に基づきまして排水基準が定められているわけでございますが、この新規の設定、またはその強化という段に当たりまして、直ちに新しい排水基準に対応できない業種などにつきまして、期間を限って暫定的な排水基準を設けているというものでございます。

 今回、この背景というところがありますけれども、まず一番初めのところ、海域の窒素含有量につきまして、一般排水基準が120mg/L、日間平均60mg/Lなんですけれども、天然ガス鉱業に係るこの暫定排水基準が令和3年9月30日に終期を迎えるということでございます。この一般排水基準120mg/Lに対して暫定排水基準160mg/L、日間平均60mg/Lに対して日間平均150mg/Lというのが適用されております。これの見直しについてのご報告です。それから、2番目のところ、亜鉛含有量と書いてありますけれども、これは亜鉛含有量については、平成15年から基準となっていますけれども、18年12月より排水基準が5㎎/Lから2㎎/Lに強化をされたということでございます。この強化に伴いまして、2ページの表のところにありますけれども、令和3年12月10日までを期限として、3業種について暫定基準、この業種は後ほど説明しますが、5㎎/Lがかかっているという状況でございます。

 3つ目、カドミウム及びその化合物と書いてありますけど、こちらにつきましては、平成26年の排水基準の強化に伴いまして、一般排水基準0.03mg/Lでございますけれども、現在、1業種について令和3年11月末まで、この0.08 mg/Lでという値ですけれども、暫定排水基準がかかっているという状況でございます。

 その後、前回の見直しからの検討状況ということでございますけれども、海域における窒素の暫定排水基準、これは3ページのところにありますけれども、この窒素の暫定排水基準について事業者からの排水技術の開発動向、有識者からの意見聴取等を行いまして、技術的助言を得て、見直しの検討を行いました。

 亜鉛及びカドミウムにつきましては、専門家から構成される検討会を踏まえて検討を行ってございます。

そしてこれらの検討結果につきましては、中央環境審議会の排水規制等専門委員会、5月19日において議論を行いまして、報告案として取りまとめたということでございます。

 さらに、本年、6月~7月にかけてパブリックコメントを実施したところでございます。

 そして、個別の話に行きたいと思います。

 それでは、天然ガスに関する暫定排水基準の見直し案についてということで、閉鎖性海域対策室長の行木室長から説明をお願いします。

【行木閉鎖性海域対策室長】 閉鎖性海域対策室長の行木でございます。

 では、天然ガス鉱業につきまして、ご説明させていただきます。

 資料1の11ページをご覧いただけますでしょうか。

 天然ガス鉱業に関する窒素の暫定排水基準につきましては、平成5年以降、段階的に厳しくされてきておりまして、資料11ページの中ほど、表1にございますけれども、現在は表の一番右側、平成15年から160mg/Lという暫定排水基準が適用されてきています。その後、折々見直しが検討されており、直近では平成30年10月に検討がなされ、その段階で160mg/Lという基準を3年間延長して適用するのが適当という判断がされていたところでございます。

 この天然ガス鉱業の排水でございますけれども、実際、適用される事業場は1か所でございまして、12ページ、13ページの表2、図1、図2に、ここまでの排水の全窒素濃度の推移などが記載されております。ここまでこのA事業場におきましては、排水の全窒素濃度低減のための努力が重ねられておりまして、アナモックスと呼ばれる微生物を使った排水処理設備の設定をいたしまして、安定稼働に向けた努力がなされていたところでございました。

 図1にございますとおり、令和2年10月頃より安定稼働が可能となって運転をしているところであり、直近、今年の1月に至るまでは、この排水濃度は、ピーク濃度も平均の排水濃度も順調に下がってきておりまして、一般排水基準も満足できるようなレベルまで下がってきていたところでございます。

 ところが、13ページの4のところでございますけれども、本年の1月に、ガス井戸の異常が起きてしまいまして、結果として、生産停止をせざるを得ないという状況になってしまい、その結果、アナモックスを使った排水設備も、長期停止中ということになっております。現状、汚泥の能力が下がらないように、間欠曝気等の活性低下抑制対策等を実施しているところでございます。

 このような状況に鑑みまして、13ページ、4、(2)暫定排水基準の見直しのところでございますけれども、今般の見直しに当たりましては、今の暫定排水基準の適用期限を2年間延長いたしまして、現行の基準を維持するということとするのが適当という結論になったところでございます。

 なお、この事業場に関しましては、今後の排出濃度低減に向けまして、現状の課題と今後の取組予定を整理して、15ページのところに記載しております。まずは、ガス井戸の異常への対応というところが、第一歩として非常に重要でございますので、ガス井戸の坑内調査などにより原因調査を行って、対応策の検討などをしようとしているところでございます。

 アナモックス設備は、今、長期停止ではあるのですけれども、例えば、汚泥のバックアップ設備がないといった現状の課題がありますが、別拠点に中規模のアナモックス設備を設置いたしまして、実設備の汚泥を移送し、バックアップ設備を確保して取り組むということをしていく予定となっているところでございます。

 ガス井戸が元に戻りましたら、アナモックス設備の安定稼働に向けた取組をまた進めていきまして、排水基準を次の段階に進められるよう努力をしていく予定というところで伺っているところでございます。

 それから、関連いたしまして、参考資料1でございます。

 パブリックコメントにつきまして、先ほど筒井のほうからご紹介いたしましたが、今回パブリックコメントの結果、上がってきた意見は1つでございます。その内容は、この天然ガス鉱業に係るものでございまして、ご意見というよりも趣旨の確認ということでございまして、「新たな暫定排水基準は今と同じ数字だが、同じ基準の維持という理解でよいのだろうか」という確認の意味合いのご意見をいただいておりました。ご意見に対する考え方といたしましては、「ご指摘のとおり、現行の基準値の適用期限を2年延長することが適当と考えているところ」というふうに整理しているところでございます。

 天然ガス鉱業につきましては、以上です。

【筒井水環境課長】 次に、亜鉛含有量並びにカドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直し案ということで、16ページからでございます。

 この亜鉛とカドミウムの暫定排水基準の設定状況は、16ページの表5にありますけれども、先にご説明したとおり、亜鉛については、3業種、金属鉱業、電気めっき業、下水道業、カドミウムについては、金属鉱業について設定がされているという状況でございます。

 それぞれの業種につきまして、見直しの案を17ページ以降に書かせていただいているところでございます。

 17ページ、金属鉱業につきまして、まず、カドミウムのところでございます。

 カドミウムの一般の排水基準を超過するような事業場というのは、今ここに書いてありますけれども、表6にありますけれども、1事業場ということでございます。この取組状況というところが、2)でありますけれども、この1事業場については、令和2年12月に凝集沈殿法による新しい水処理プラントが稼働しております。稼働後につきましては、排水濃度は0.026mg/Lという形で一般排水基準を達成しているという状況でございます。

 このような状況を踏まえますと、この暫定排水基準が切れる今年の12月1日以降、これにつきましては、一般排水基準に移行するのが適当であるという結論としているところでございます。

 めくっていただきまして、18ページ目のところでございます。

 金属鉱業に関して、亜鉛のところでございます。亜鉛につきましては、過去の見直し後の状況からフォローアップが必要だったのが、三つの事業場でございました。そこの中で、ここでA、C、D事業場という書き方をしていますけれども、それぞれちょっと状況を説明させていただきますと、一つ目の事業場、A事業場と仮にしておりますけれども、これにつきましては、ポリ硫酸鉄の添加などを含みます坑廃水処理の全般の教育ということを行いまして、この運転管理の安定化が進められまして、令和2年6月以降は、一般排水基準を達成しております。

 次に、Cと書いてある事業場につきましては、これは、令和2年12月に凝集沈殿による新プラントを稼働しております。稼働後の排水濃度というものは1.2mg/Lということになっておりまして、一般排水基準は達成しております。

 さらにもう一つ、D事業場につきましては、坑内水の中和処理の改善、それから、義務者不存在鉱山からの浸透水と中和処理水の混合などで放流水の水質安定化が進められたところでございます。こういうようなことから、これも平成30年10月以降は一般排水基準を達成しているという状況でございます。

 こういう状況から、金属鉱業につきましては、一般排水基準を達成できるということで、一般排水基準に亜鉛のほうも移行することが適当であるという結論となっております。

 次に、電気めっき業。これも亜鉛の暫定排水基準の関係でございますけれども、電気めっき業の亜鉛につきましては、この表8に書いてありますけれども、公共用水域に放流しているもの、下水道に排除しているものとありますけれども、合計で50ぐらいの事業場が一般排水基準を超過するような状況にあるという状況でございます。

 こういうような中でございますけども、業界団体による講習会の開催、普及啓発の取組等の実施、そういうようなことから、特に4mg/Lを超えるような事業場というものは、この表9に書いてありますけど、10事業場までに減ってきております。そういうようなことでございまして、これらの事業場においても、今後、排水設備の拡張、薬品見直し、排水管理の見直し等によって、本年12月までには4mg/Lは達成することが見込まれているという状況でございます。

 一方で、業界全体として一般排水基準の達成というところまでにはまだ至ってないというような状況でございまして、引き続き、業界団体での講習会開催、普及啓発など、このようなことを実施し、個別事業場の状況についてフォローアップを行うことによって一般排水基準の達成を目指すということになっております。

 こういうことを踏まえまして、20ページのところでございますけれども、今年の12月11日以降でございますけれども、暫定排水基準、今の5mg/Lを4mg/Lに見直すということが、電気めっき業の亜鉛については、適当であるということでございます。その適用期限については、3年間延長をすることが適当ということでございます。

 次でございますけれども、3.3、下水道業(亜鉛)と書いてありますけど、亜鉛の下水道業に関する暫定排水基準の状況でございます。

 見直し案というところは、21ページの2)にありますけれども、金属鉱業については一般排水基準に移行するという方向、電気めっき業についてもこの暫定排水基準を下げていくという方向ということを考えますと、これから今後、こういう2業種から下水道に排除されるような排水の亜鉛濃度というのは下がる傾向にあるということから、下水道業についてもこの一般排水基準に移行することができるというふうに考えられておりまして、そのような形で移行することが適当であるということでございます。

 22ページに今までの結論がまとめられているところでございます。このような形で見直しを行いたいということでございます。

 なお、パブリックコメント、先ほど行木のほうから紹介がありましたけれども、このカドミウム、亜鉛の暫定排水基準に係る部分のパブリックコメントのご意見というものは、特にございませんでしたので、申し添えておきます。

 以上でございます。

【古米部会長】 どうもご説明ありがとうございました。

 それでは、ご意見、ご質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。挙手ボタンでお示しいただければと思いますが。

 窒素の関連と、あとは、亜鉛含有量とカドミウムのところですが、特に挙手がございませんので、よろしいでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 それでは、特段のご意見もございませんでしたので、今の説明のとおり、手続を進めさせていただくことにいたします。

 どうもありがとうございました。

 続いて、議題2に移らせていただきます。

 総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲についてということで、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。

【行木閉鎖性海域対策室長】 閉鎖性海域対策室の行木でございます。

 総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲につきましては、前回、第2回の部会におきまして、パブリックコメントにかける案についてご報告をさせていただいたところです。

 その後、パブリックコメントを6月14日~7月13日まで実施いたしまして、その結果、ご意見を1件いただいたのですけれども、結論としましては、第2回の部会でご提示した案のとおりとするということでご報告いたします。

 具体的にどのような内容だったかと申しますと、資料2でございます。

 まず、1番、時期区分と業種その他の区分・水域区分、これにつきましては、第8次水質総量削減における区分を継続することとするということでございます。

 それから、2番、区分ごとの範囲でございますが、東京湾及び伊勢湾におけるCODにつきまして、以下の表のとおりにするということでして、具体的には、し尿浄化槽で処理対象人員が501以上のものに限るものにつきまして、Cc等で表現されております時期区分ごとの水量のうち、この表の一番下の行のCcjとされるものについてです。この水量区分は、平成3年7月1日以降から適用されている水量でございますが、ここにつきまして、C値の幅を第8次のときは上限が45となっていたものを、40に引き下げます。

 参考資料2-1にパブリックコメントの結果を付しております。その2ページ目のところに、具体なご意見と意見に対する考え方を記しております。

 いただきましたご意見は、「この数字の変更1か所について、これは厳しくなったのか、緩くなったのか、解説をしてほしい」というものでございました。

 これに対する考え方でございますけれども、一言で言うと、厳しくするということなのですが、第9次水質総量削減において、Ccjの上限値を45から40へ引き下げるという見直しを行います。この見直しは、第8次の総量削減におきまして、国の定めたC値の上限値を都道府県の定めているC値のものと比較いたしますと、都道府県の決めたC値の最大値よりも国の定めたC値の上限値が大きいということですので、現状より悪化をさせないという観点から、都府県が定めたC値の最大値まで国の定めるC値の上限値を引き下げるものということで考え方を付しているところでございます。

 なお、参考資料2-2、2-3には、前回部会でご報告した際に使いました区分の範囲などの考え方ですとか、総量規制基準の概要について付しております。

 私からの説明は以上でございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの総量規制基準に関することに関しまして、何かご質問等がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 前回、ご説明いただいた内容でパブリックコメントをいただき、それにも回答しているということでございますが。

(なし)

【古米部会長】 特に挙手がございませんので、それでは、ご報告をいただいたということで手続をそのように進めさせていただきたいと思います。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。

 議題3、瀬戸内海環境保全基本計画の変更についてということで、同じく、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。

【行木閉鎖性海域対策室長】 それでは、資料3-1をご覧ください。

 令和3年6月29日に、小泉環境大臣から高村中央環境審議会会長に対して、瀬戸内海環境保全基本計画の変更について諮問がございました。

 諮問の内容といたしましては、瀬戸内海環境保全特別措置法第3条第3項の規定に基づき、瀬戸内海の環境保全に関する基本となるべき計画の変更について貴審議会の意見を求めるということでございます。

 諮問の理由のポイントをご説明いたしますと、ここまで中央環境審議会におきまして、瀬戸内海の環境保全につきましてご議論を賜っておりまして、令和2年3月には、「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について」、答申をおまとめいただいておりました。

 また、その後、令和3年1月に、瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る制度の見直しの方向性について、環境大臣へ意見具申をいただいたところでございます。

 これらを踏まえ、瀬戸内海における生物の多様性及び生産性の確保を図るために、瀬戸内海環境保全特別措置法の一部が改正をされておりまして、大きく4点ほどの事項が柱となっております。

 まず1点目は、栄養塩類の「排出規制」一辺倒からきめ細やかな「管理」へ転換をするということ。2点目としましては、温室効果ガスの吸収弁ともなる藻場の再生・創出を後押しするということ。3番目には、瀬戸内海を取り囲む地域全体で海洋プラスチックを含む海洋ごみの発生抑制を推進するということ。4番目には、気候変動の観点を基本理念に追加をするといったことです。これらを内容とする改正法が国会へ提出されまして、令和3年6月に成立、公布をされたところでございます。

 このような状況を踏まえて、この法改正の事項を反映いたしました基本計画とすべく、瀬戸内海環境保全基本計画の変更について、審議会の意見を求めるというものでございます。

 これにつきまして、資料3-2をご覧ください。

 令和3年7月2日付で、中央環境審議会、高村会長から、当部会の古米部会長に対して付議がなされておりまして、先ほどご紹介をした諮問につきましては、中央環境審議会議事運営規則第5条の規定に基づき、水環境・土壌農薬部会に付議するということとなりました。

 この後、議論をどうしていくかということでございますが、参考資料3をご覧いただければと思います。

 これは本年、第1回の部会でもご議論いただいたところでございますけれども、この水環境・土壌農薬部会の下には小委員会があり、そのうちの瀬戸内海環境保全小委員会におきまして、瀬戸法の第3条第2項に基づく基本計画などについて調査・審議をするという役割を担っておりますので、この小委員会におきましてご議論を賜るということとなります。

 私から報告は以上です。

【古米部会長】 ご説明、どうもありがとうございました。

 今のご説明のように、計画変更に伴って、瀬戸内海環境保全小委員会のほうでご議論いただくということでございます。

 何か委員の方々からご質問があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 それでは、特段ご質問、ご意見がございませんので、このように進めさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 それではあと、冒頭、私のほうから申し上げましたけれども、議題4ということで、まずは水環境・土壌環境ということで、事務局よりご説明をいただいて、その後、いろいろとご意見をいただきたいと思います。

 それでは、まず、ご説明をお願いいたします。

【筒井水環境課長】 水環境課の筒井でございます。

 それでは、資料4に基づきまして、説明というよりも、この議論を開始するに当たって少し背景説明、アイスブレイキングというか、そのような形をさせていただければと思っております。

 それでは、ここに書いてありますけれども、前回の部会の最後で、6月までの国会において、環境省において、四つの法案が成立した。さらに、昨年には2050年までの脱炭素社会の実現という目標を総理が発表されたというような状況でございます。こういうような大きな環境行政においても流れがあるということでございます。

 そしてまた、今年については、国際的にも今後、来年に向けて、海洋プラをはじめとして、この国際的な動きの加速化、さらに生物多様性のCOPでポスト愛知目標の議論、そんなものもあるわけでございます。

 そういうような中で、まさに環境行政、大きな転換点にあるというところでございまして、先ほど来、話もありましたけれども、瀬戸法の改正というものもなされたところでございます。

 こういうような状況の下で、今後の水環境行政、それから土壌環境行政につきまして、水環境・土壌農薬部会の、この部会の委員の先生の皆様方から専門的なご知見からのご意見を賜れればと思っております。先生方の有する専門的なご知見、そして大所高所から、この水環境・土壌環境分野における重点的に取り組むべき分野・課題、中期・長期的に、今後水環境・土壌環境行政を進めるにおいて考慮しなければいけない視点・事項などを、ご意見の表明をいただければと思っております。

 また、この資料に参考としてつけておりますけども、「なお、水環境保全に関しては・・・」というふうに書いてありますけれども、10年ほど前になりますけれども、この「今後の水環境保全の在り方について」を水環境行政のところでは取りまとめをさせていただいているところでございます。

 その概要等の紹介ですが、ここに書いていますが、地域、グローバル、連携、生物多様性といったような視点であり、この視点を踏まえて、これまで瀬戸法なんかでも、湾・灘ごととかの取組とか、地域での取組、そして、さらにグローバルな視点では、国際的な水環境の改善事業の実施とか、さらに、連携というようなところでの視点ということで、健全な水循環とかそういうところでの普及啓発のような動きなども行ってきたわけでございます。

 そういうようなことでございまして、次のページのところで、今後の取組というところで、この水質、水量、水生生物、水辺地というような目標、良好な水環境の視点から、こういうことを行うべきということで、右の取組ということをこれまで取り組みとして進めてきたところであり、まだ進んできていないところというのはあるのではという、多少議論はありますけれども、こういうようなところの中で速やかに解決されるべき課題という形で、この(1)~(9)のようなこと、こういうような中で、例えば、湖沼なんかで言えば、琵琶湖法とか湖沼法、さらに閉鎖性海域では瀬戸法、における取組等、さらにその他の取組が進んできていたり、新たな施策ということでは、国民の実感に合った環境基準ということで、底層DO、透明度、大腸菌、こういうもののうち、底層DOと大腸菌は環境基準となったり、それから、透明度については、地域環境目標という位置づけで施策が進んできているなどしているところでございます。

 さらに、この水圏生態系の保全とか、これは琵琶湖法なんかの中にも取り込まれているところはありますけども、そういうような取組、さらに、この環境保全のための基盤づくりという基盤的な取組、こういうようなものを取り組んできているところでございますけれども、こういうようなことを10年前に取りまとめたところでございますが、その後、大きな最近の状況の変化を踏まえて、また改めて、先生方からご意見表明をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【古米部会長】 どうもご説明、ありがとうございました。

 本日、24名の方々にご出席いただいておりますので、幸い議題3までがスムーズに進みましたので、ある程度、時間が取れると思っております。

 今日、ご欠席の大塚委員から事前にご意見をいただいておりますので、まず事務局よりご紹介いただいて、その後、委員から挙手をいただいて、ご発言いただくという手順で進めさせていただきたいと思います。

 それでは、事務局より、ご意見、ご紹介いただければと思います。

【筒井水環境課長】 それでは、大塚委員からのご意見を紹介させていただきたいと思います。

 資料4との関係で、今後の水環境行政、土壌環境行政に関し、各委員から意見を述べることとなっていますが、誠に恐れ入りますが、別件と重なってしまい、本日の会議に参加できない可能性が高いため、意見を提出します。

第1に、喫緊の課題として、海洋環境の保全、特に、海洋プラスチック汚染問題への対処をあげておきたい。海洋でのプラスチックによる汚染は,海岸での漂着ごみ(個数の7割程度をプラが占める),及び海洋で漂流するマイクロプラスチックの問題であり,これにより,生態系を含めた海洋環境への影響,船舶航行・観光・漁業,沿岸域居住環境への影響が生じている。既に海洋のプラが魚に摂取され,それを通じて人間に摂取されていることが明らかになっている。プラが有害物質を吸着する性質を有することから,人の健康被害の可能性も懸念されているが,現在,この点はまだ明らかにはなっていないと思われる。海洋プラ汚染問題に関しては、日本近海はプラ汚染の有数のホットスポットである。

先日、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が国会で可決された。もっとも、マイクロプラについては現在化粧品に関して製造者に一部自主的な対応をしていただいているが、なおこれを含有する製品は残されており、欧米のように、マイクロプラの生産販売の制限の立法を導入するかが検討されるべきであろう。また、プラの海洋汚染を食い止めるためには、中国、韓国等との協力が必要であり、さらに、国際条約での対応が極めて重要である。環境省におかれてもこの点の推進をお願いしたい。

第2に、閉鎖性水域での環境改善はまだ十分ではなく、底泥からの溶出等の汚濁メカニズムを解明し、場合によっては底泥の浚渫を実施するとともに、下水道等の汚水処理施設、廃棄物処理施設等の整備を、流域内の関係主体が連携して推進する必要があると思われる。

第3に、図の中には含まれていないようであるが、健全な水循環の構築と、その下での地下水の保全、水利権への対応、流域での治水の関係での森林の管理などを行うという問題は古くて新しい問題として残されている。

第4に、土壌汚染に関しては、緊急の課題として、有害物質貯蔵施設、貯油施設の扱いが問題である。貯油施設は、今後わが国でガソリンスタンドが廃止され、汚染原因者が存在しなくなることが見込まれるため、この扱いをどうするかを検討すべきではないか。ガソリンに含まれるベンゼンに着目してこれを特定有害物質として扱う余地も考えられる。

 大塚委員からのご意見は、以上でございます。

【古米部会長】 どうもご紹介ありがとうございました。今日ご出席の委員の方々から、ご自由に忌憚のないご意見をご発言いただければと思います。特に順番を設けておりませんので、挙手にてお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 それでは、山室委員、お願いいたします。

【山室臨時委員】 大きく2点ありまして、一つは、この資料4の2ページ目です。4つの観点という中の一つにグローバルな観点というのがありますが、これと関連しまして、これまでの水環境に対する考え方の中で、大気と水ということの考え方がちょっと弱かったかなと思います。

 例えば酸性雨の中に入っている硝酸ですとか、近年はリンなども越境大気の中に入っているということが知られておりますけれども、そういうものを今後、富栄養化などを防止する上でどう考えるのかということは、全く検討されていないということが言えます。

 また、先ほど重要性が指摘されたマイクロプラスチックも、欧米では大気を通じて拡散していて、そこから水圏に入っていくということが常識として理解されております。けれども、日本ではそういう環境がなく、やはり海ごみという見方が強いかなという気がいたします。

 こういう観点がないと、日本が受け手としてグローバルな影響を受けるというだけではなく、日本から出しているものも大気を通じて世界に影響を与えるという、そういう責任の自覚が薄れる気がいたしますので、今後、水環境を考える上で、大気を通じて世界はつながっているという観点も必要かと思います。

 2点目は、水環境に与える農薬その他の化学物質の影響というのが軽視されています。重金属など、既に基準になっているものについては、きちんとされているのですけれども、日々新たにいろんな化学物質が出ていく中で、化学物質の影響を調べるという点では薄いかなと思います。

 これは個人的にそう思うのかもしれませんが、私、一昨年に、「サイエンス」という雑誌に殺虫剤によって動物プランクトンが激減することで魚のエサが減り、直接魚毒で亡くなるのではないけれども、魚が非常に激減してしまったという論文が掲載されまして、それについて欧米で非常に反響が大きかったのですけれども、申し訳ないのですが、環境省は、いや、そんなことはあり得ないということをコメントされております。このあたりは、非常に欧米での姿勢と違うなと思っておりますので、もうちょっと考えていただくといいかなと思っております。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございます。

 私の理解では、クロスメディアというのですかね、水以外の土壌であるとか、同時に大気というところの関連性をしっかりと見据えた上で、水環境あるいは土壌環境を考えていくという点と、もう一つは、化学物質の関連では、既にリストアップされているものとして、要監視項目等があり、調査項目もあります。研究レベルでは網羅的な分析が、環境総合推進費で行われていると思いますけれども、それをもう少ししっかりとした体制で考えるということと、私の理解だと、直接的な毒性に加えて、生態系との相互関係の中での影響という点を踏まえていく必要があるというご意見かとご理解いたしました。

 山室委員、どうもありがとうございました。

 それでは白石委員、その後、東海委員からお願いしたいと思います。

【白石委員】 白石です。どうもありがとうございます。

 今資料で頂いているものが平成23年と、ちょっと非常に古いなという印象なんですが、環境基本計画の点検のときに、いろいろ取りまとめられて、そのときにも、いろいろ盛り込んだつもり、細見さんがお亡くなりになった後、ちょっとお手伝いしたのですけども、取りまとめたものがあると思いますので、そういったものも少し参考にしていただけたらいいのかなというふうに思います。

 平成23年ですから、当然、地域循環共生圏みたいな考え方は、あまり取り入れられていなくて、そういったことも別添の中に、4つの視点の中に、多分大きなものになろうと思いますので、それを取り込んでいったらいいのかなというふうに思います。

 瀬戸内法にいろいろと視点が新たに取り組まれていますので、生物の多様性、生産性。特に生産性の確保ということですかね。あるいはきめ細かな管理という、順応的管理みたいなところとか、気候変動の観点、基本というのは、多分地域循環共生圏がそれをバックアップしてくれるんじゃないかと思いますけども、そういった視点も必要かなと思います。

 社会全体が大きく変わっているので、多分、プラスチックに関しても、化石燃料からほかの原料に変わっていくようなこともあるし、科学というのも進展していくでしょうから、そういったことによる汚染、あるいは環境問題ということも視点に置くほうがいいのかなというふうに思います。

 取りあえず、以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、東海委員、お願いいたします。

【東海臨時委員】 東京海洋大学の東海です。

 2点あります。一つは、海洋プラごみの問題です。マイクロプラスチックも含めて大変非常に大きな問題になっているということで、先ほど山室委員からもご紹介いただきましたように、空中から海に入るという問題もあります。この海洋プラごみについては、環境研究総合推進費、環境省による研究資金によって、実はかなりいろいろなことが分かってきております。これはまだ、しっかりとピアレビューの下で論文化されて結果公表までは全てがなされているわけではございませんが、非常に細かなプラスチック、今までネットで採取していたのですけども、その網目を抜けるような細かなものというのは非常に密度が高いということが分かってきております。一部,生物実験、室内実験で行われて影響があるだろうと思われる濃度に至るものも、実際、海中でも起きているというようなことが見えてきてまいっております。この問題については、さらに、こういった学術研究の成果の下に次の対策を考えていかないといけないと思います。

 そのときに、二つのことを考えないといけない。昨年度も環境省が中心になって,空中、それから土壌、河川の研究者と一緒にこの海洋プラスチックごみ問題についての学術シンポジウムを行いまして、そういった多様な観点から、海洋のプラごみにつながっているということが見えてきておりますので、このあたりをしっかりとつなげていく必要がある。これは山室委員もご指摘になったそのものだと思いますし、この部会であります土壌とも河川を通じて海へのつながりという意味で、実はここで議論することが、かなりいろいろあるのではないかというように考えております。また、この資料の一つ前のところ、4つの観点の中で、連携の観点というのがあります。今のところ、海洋プラごみについては発生抑制ということを中心に対策が考えられておりますけども、既にいろいろなセクターで、海洋における回収についてのアイデアもいろいろ出てきております。こちらについても環境省だけに限らず、いろんな省庁、経産省も含めて、そういった取組にどのように進めていくかという検討が必要になるのだろう考えております。

 長くなって、すみません。もう1点は、この4つの観点のところにあります生物の多様性の問題です。この資料の最後に、生物生産性というのが書いてあります。瀬戸内海を中心に貧栄養の問題、既にここで取り上げられているように、非常に多くの内湾のところでこの貧栄養の問題というのが考えられてきております。とはいえ、どなたかご指摘がありましたけども、海底の汚染については、依然として、やはり注視するべきところはあると思います。また、もう一つ、指摘しておきたいのは、この海底を漁業によって攪拌、攪乱することについて、一部には、それによって海底の環境を浄化するというような考え方もありますけども、もう一方では、生物の多様性という意味で、欧米では十数年前からクリア・カッティング、いわゆる皆伐と同じ概念が用いられたりしてきております。そういう意味で、海の利用の仕方というものについて、生産とそれから多様性というのをしっかりと議論していく必要があるだろうというように思っております。

 すみません、長くなりましたが以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、白山委員、田中委員の順でご意見をいただきたいと思います。

 それでは、まず白山委員、お願いいたします。

【白山臨時委員】 ありがとうございます。白山でございます。

 最近というか、数年前にIPBESという生物多様性に関わるIPCCの国際的なレポートの中で、トランスフォーマティブ・チェンジというのが行われないと、現在の生物多様性の喪失は止められないというようなことが、非常に明確に強く打ち出されたわけですけれども、今回お示しいただいているいろいろな観点とかは、非常に個別具体的には重要なポイントを押さえているとは思うんですけれども、トランスフォーマティブ・チェンジにつながるような、そういう劇的な何かの変化を期待させるようなものは、残念ながらないというところが少し問題としてあるのではないかと思います。

 地域の観点とか、連携の観点とか、いろいろありますけれども、やはりそういう物すごく大きな大変革をしないと、多様性の保全ができないのだという、そういう共通認識の下に、水環境、土壌環境の保全ということを考えていくという、そういう視点が全体を通して重要な柱として考えられているという雰囲気がぜひ加えられるように、今後の施策を考えるときに検討していただきたいというふうに思います。

 そこの個別具体的ではなく、もっと統合的、大胆な変革が必要だというような概念をもっとはっきりと出していただきたいということです。よろしくお願いいたします。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、田中委員、お願いいたします。

【田中臨時委員】 どうもありがとうございます。

 ちょうど10年ほど前に、先ほど見せていただいた、今後の環境保全の在り方をも少し関わらせてもらって思い出しているところです。

 それに基づいて、着実に幾つかは進められているんですが、その視点から非常に大きな問題に改めてなっているのが、気候の変動による洪水、それから、渇水によるインパクト、それが与える、一つは健康、公衆衛生上の問題。これは必ずしも気候変動によってダイレクトというわけでもないにしても、今、新型コロナの問題をはじめとして、この先進国においても公衆衛生問題がかなり大きな課題があるということが、もう一回再認識している点を、もう一回認識すべきだという点ですね。

 それから、先ほどからも話が出ている生物の多様性、これが特に水質というのは、ちょっと中途半端に今終わっているところがあるので、この辺をしっかりやってもらいたい。

 それから、閉鎖性水域のこの管理の問題、これはかなり大きな変化で、必ずしも栄養塩の管理を下げるばかりではなくて、ある程度、適切な管理が必要だ。今、最近言われ始めているのは、栄養塩のほかにも、有機物としての管理もトータルで考えるべきだと、こういう視点があると思うんです。

 まず、最初の視点なんですけども、水道水の利用、これについては、もう今の水環境上、ほとんど問題が、一部まだ残っている部分はあると思いますけども、かなり解決されてきている、これは事実だと思います。ただし、ほかの利用、今回、大腸菌の基準も考えて、改定にも関わってきたのですけども、水利用の親水利用ですね、この安全性について、実は、大腸菌だけの指標では不十分な視点がかなりあるという意見がやはりあって、例えば、ウイルスの問題、長期的に言えば、薬剤耐性のような細菌差が、さらに遺伝子の問題、この辺が海外ではもう当然、今議論されていて、一部は集合化され始めている分があります。こういうところを考えないといけないですし、農業利用上も、日本では水田が多いので、あまりこれまで分類上、大腸菌なんかも分類にも該当してこなかったんですけれども、ヨーロッパでは、農業利用で畑地に使う水についても、そういう問題についての管理を考え始めているので、そういう視点からのやっぱりまだ問題点が足らないと思います。

 今回の大腸菌の変更についても、恐らく2年以内に環境基準がどの程度達成できるかの議論が初めて、50年間、大腸菌からでは気づいてこなかった汚染の問題がやはり出てきて、これの原因と、それから、その対策は求められるだろうと、そこら辺にかなり視点を置かないといけない。

 ただし、それで満足していてはいけなくて、その先にある、先ほど言ったウイルスとか、AMRの問題ですね、これは、環境省のテリトリーの中に、AMRのワンヘルスの環境分野の調査が極めて遅れていて、推進インフラの一部しかやっていないので、ここの部分についての推進を図る必要があると思います。

 それから、二つ目の生物の多様性の問題は特に、化学物質管理の視点で、2003年でしたか、最初に環境省が水環境基準の考え方を出したときに、化学物質管理の生物への影響の評価をする考え方、世界的な流れとちょっと違う体系をつくっちゃったんです。それはなぜかというと、有用生物である魚類と、餌生物としての位置づけを切り分けてしまった。それで、山室先生も少し言われていたような、魚より下にある生態構造に対するインパクトがどういうものが、何の影響があるのかという議論が、海外の議論とちょっと違う形のまま進んできている。このままの形で果たしていいのかどうかという議論をもう一度、ちょっと考える必要があるのかなというふうに私は考えています。

 それから、閉鎖性水域をはじめとした栄養塩と有機物管理の問題。これ極めて、今、面白い方向に進み始めているわけですが、その中で、やはり栄養塩をある程度の管理をしないといけないんですが、同時に底層の利用の問題のコントロールと、どうやって両立させるかが、実はまだ十分よく分かっていないと。ここの部分をどうするのか。

 それから、有機物が、実はそこの中に関わってくるんですが、CODのマンガンの指標の限界性から、海域についてのこの位置づけというんですか、これはなぜ、どこから、何が来て、どれをコントロールしないと、その値が変わらないのか、果たして、その数字はどういう意味を持つのか。この議論がまだ残ったままなんですよね。ここの部分についての何らかの考え方を今後やっぱりまとめていく必要があると思います。

 いずれにしても、環境省が最近、目標を立てるだけじゃなくて、達成性を目指すという方向の政策を大分打ち出されているので、そこの部分についても、これから推進いただけると非常にありがたいと思います。どうもありがとうございました。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、三浦委員、大東委員から手が挙がっておりますので、今の順番、三浦委員、大東委員という順番でご意見をいただきたいと思います。

 それでは、三浦委員、お願いいたします。

【三浦臨時委員】 三浦です。

 それでは、私のほうからは、今後の水環境についてということで、様々な委員のほうから、マイクロプラスチック問題や、海洋プラスチック問題につきましては出ておりますので、その中で、海洋生物に対する影響や、その海洋生物を食べた時の、人体に対する影響等々の研究というものも必要になってくるんだろうと思っております。プラスチック問題については、この辺でおわりますが、今回は、ブルーカーボンの生態系を利用した食料生産の推進の観点からも、ノリですとか、ワカメ、昆布等々の藻類養殖では、食料として、海藻を利用するのはもちろんのこと、その生育過程で分解されにくい難分解性の有機炭素を放出しながら、海底ですとか、深海に輸送したり、貯留している可能性というものが大いに指摘をされているところでございます。

 そしてまた、貝類養殖では、生育過程でCO₂が水に溶けた重炭酸硫黄を吸収しながら貝殻として固定もしていることから、今後は、藻類・貝類養殖等、無給餌養殖の推進に大いに我々としても期待をしているところでございます。

 そのため、主に閉鎖性海域等を含めて、栄養塩類不足によって、無給餌養殖の生育不良というものが指摘されていることから、下水処理の施設管理運転等の順応的な管理の推進であるとか、植林やかい掘り等も含めた森・川・海の連携による栄養塩類供給のメカニズム等とも含めた、継続的な議論というものも進めていただきたいと思っています。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、大東委員、お願いいたします。

 【大東臨時委員】 大東でございます。

 ちょっと私のもともとバックグラウンドが土木工学系のものなので、ちょっと視点が、今まで話された視点と少し違ったところからお話ししたいと思います。

 今日の資料4の最初に書かれていた2050年までに脱炭素社会の実現というのが、一応、国の方針として提示されてきたわけですから、この脱炭素社会の実現というのは、いわゆるエネルギー問題なんですね。そのエネルギー問題に、この部会が、水環境の部会がどういうふうに関わっていくかということが多分、今環境省に期待されていることの一つではないかとは思います。

 それで、まず一つは、この水環境の中に、例えば、表流水も地下水もそうなんですけれども、これらを使った再生可能エネルギーの取組というのが、今後いろいろ出てくるんではないかと思います。

 一つは、地中熱の利用というのが、もう既に大阪のほうでも、私も環境省と一緒に関わってやったわけですけれども、地中熱を使って、その地域の冷暖房に使っていくと。それによって、火力発電等のCO₂を出すようなエネルギー生産を抑制していくと。多分そういったこととの関連で、この水をどういうふうに使っていくのか、あるいは、使うことによって、当然、水質も変わっていくでしょうし、当然、そこには汚染が、地下水の汚染、あるいは表流水の汚染が生じないようにしなきゃいけない、そういう取組も必要になってくると思います。そういった観点をこれまでの部会では取り組んでおられなかったと思うんですけれども、今度新しく今後の在り方、保全の在り方というところに加味されていかれたらいいのかなということを一つ感じております。

 それから、もう一つは、生物多様性の話なんですが、私自身が今、愛知県の知多半島の生態系ネットワーク協議会の会長をやっているということもあるんですけれども、生物の多様性を保全していく、あるいは、新しく創出していく、このときにやっぱり水というのが非常に重要な役割を果たしていて、その水がどういうメカニズムでそこに存在しているのか、例えば表流水、湧き水もそうですし、そういったものをきちんとデータベース化するというんですかね、それは地域の問題、あるいは国の問題なのかもしれませんが、そういったものを整備していく方向性を示すことと、それから、そういう枠組みだけをつくってもなかなかそれが継続していかないので、これは教育の問題と絡むんですけれども、次世代の担い手をどういうふうに育てていくのかという、自然環境、地域の水環境、そういうものに興味を持つ学生を、子どもたちをどうやってこれから育てていくのかと。ちょっと環境省のテーマとは少しずれてくる可能性もあるんですけれども、でも、そういった少し今までにない方向性をこの新しい目標の、観点というんですか、それに組み込んでいっていただけるといいかなと、そういうふうに思います。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、現在、手が挙がっております小林委員からお願いいたします。

【小林臨時委員】 横浜国立大学の小林と申します。今回から参加させていただきます。よろしくお願いいたします。

 私自身は、土壌環境分野について大きく三つ申し上げたいと思っています。

 まず、1点目ですが、土壌汚染調査対策の推進ということで、現在、土対法ではリスクに基づく土壌汚染地の管理という考え方から、要措置区域と形質変更時要届区域との区域指定がされて、必ずしも浄化しなしなくてよいという法律になっております。

 ただ、実際は、基準値を少しでも超過すると、リスクの大小にかかわらず、七、八割方がコストもかかる、CO₂排出ですとか、埋立地の逼迫ですとか、他の環境負荷も大きい掘削除去が選ばれるという状況になっております。

 また、コストもかかることから、特に中小事業所では、調査や浄化の取組事態がなかなか進まないという状況にもございます。土壌汚染は、ストック型の汚染ですので、法規制前の汚染も非常に多いということもございます。ですので、こういうリスクに基づく対応の考え方の普及ですとか、あと、中小事業所に対しては、社会からの支援も必要なのではないかとも考えています。

 また、国際的にも、議論が進められていますが、サステイナブル・レメディエーションのような環境・経済・社会への影響も踏まえた土壌汚染対策という考え方の普及も、今後必要になってくるのではないかと考えております。

 あと、2点目として、未規制物質についてお話ししたいのですが、現在、PFOS、PFOAですとか、土壌の分野でも検討が進められているんですが、土壌の場合、これもストック型汚染ということで、早めの対応が重要になってきます。一度、規制されますと、汚染行為は過去のことであっても、現在も汚染は残存していますので、対応が必要になります。ですので、例えば、PFOS、PFOAですと、現在も消火剤としての利用は認められているわけですけれど、やはり火を消さなければいけないんですけれど、使ってしまうと汚染が残留する可能性があるという意味では、極力早めの切替えが必要と思っています。

 三つ目は、先ほど山室先生がお話しされたように、クロスメディアの関係では、土壌も、ぜひそういう観点が重要と思っています。例えば、ダイオキシンとか、鉛とかですと、比較的、水の基準に比べると大気の排出基準等が少し緩めなのかなと考えていまして、実際に大気から沈着したものが長年土壌表層に蓄積をして、土壌汚染となる可能性もあり得る。今、そういう研究テーマを考えているんですけど、やはり土壌についても、ほかの媒体と同様にクロスメディアの物質移動の考え方も想定して化学物質管理を考えていけるといいなと考えております。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 続きまして、松永委員からお願いしたいと思います。

【松永委員】 科学ジャーナリストの松永和紀でございます。

 私、コミュニケーションに携わっていますので、非常に難しい水環境の課題と今後の取組において、情報をより透明化していただきたい。それから、双方向のコミュニケーションに取り組んでいただきたいという観点から、ちょっと申し上げたいと思います。

 今現在、環境教育とか、普及啓発、資料4でも、そういう言葉で表現されていて、もちろんきちんと情報提供をしていこうと思っておられるんだと思うんですが、どうしても、何というか、情報を提供すればいいというような、一方向の印象があります。そうではなくて、やはりコミュニケーションということを強調したいというふうに思います。

 私、いろんな方と接する機会があるんですが、非常に端的に出てきているのが、瀬戸内の環境保全に関してですけれども、栄養が不足しているというときに、多くの方がその話を知って驚くんですけれども、結構少なくない方が、何というか、それ見たことかというような反応をされます。今まで非常に厳しく規制をしてきて、ご苦労をされた方たちというのは、そういう反応になりがちです。

 どうしてもいろんなことを理解するときに、これは悪いから減らすんですというような形で多くの方が理解してしまって、そのように行動をされますし、規制がそれを流してしまうというところもありますが、実際には、なかなかそういうものではないということは、もういろんなデータが示しているとおりでして、やっぱりリスクとベネフィット、化学物質も両方、ベネフィットも当然あって使われるわけですので、一方で、リスクがあって一定の管理が必要であると。さらに何かやったときには、リスクのトレードオフも起きると。そのようなことをいろいろ勘案しながら、いろんな対策を講じていかなくちゃいけないということ。

 これまでも、そういうことを検討されて、いろんな形で対策が進んできているんですけれども、なかなかそれが一般の方には見えなくて、やっぱりこれは悪いものだから、どんどん減らしていくみたいな、極端な理解になってしまっていたような気がします。

 今後は、より難しい、例えば栄養不足でしたら、それを解消するためにどうするかみたいなこと、より難しい対策をこれから講じていかなくてはいけなくなっていますので、やはり情報伝達と、それから、理解を促すためには、組織の透明化、それからいろんな政策を講じるに当たって、その検討段階からの情報の透明化というのがより求められますし、それを双方向のコミュニケーションで、いろんな方にお知らせして、国民の科学リテラシーの向上みたいなところにつなげていっていただかないと、なかなかこの先、難しいのではないかなというふうに思っています。

 今までの環境省のコミュニケーションというと、該当エリアできちんとされるんですけれども、そこのエリアを外れてしまうと、どうもよく見えなくなるみたいなところがありました。例えば、今の瀬戸内の問題みたいなことは、ほかの先生方がおっしゃっていましたけれども、これからいろんなところで起きて、表面化していくことだというふうに思います。ですので、そこのエリアだけではなくて、全体、いろんな方たちがきちんと理解できるような情報提供とか、情報発信とか、コミュニケーションを努めていっていただきたいと思います。その際には、環境経済学とか、行動経済学とか、心理学とか、いろんな分野の先生方の力も借りなければいけないと思いますけれども、なかなか容易なことではありませんけれども、そうやって水環境とか、より大きな環境対策とかというようなところに進んでいっていただければと思っています。

 以上です。

【古米部会長】 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、肴倉委員からお願いしたいと思います。

【肴倉臨時委員】 ありがとうございます。国立環境研究所の肴倉です。

 私も今年度、土壌の分野から参加させていただいておりますけれども、先ほど小林先生からも土壌の大気のクロスメディアの視点でおっしゃっていただきました。私からは、その下のほうの地下水環境ですね、土壌環境と地下水環境保全のための連携を密にして、さらに一体的な取組を行っていくべきではないかということを、ちょっと例を述べさせていただきたいと思います。

 例えば、移動性が極めて高い、具体的には1,4-ジオキサンとかですけれども、そういった物質が既に地下水に流れ出ていってしまっていますと、今の工場敷地内だけの調査を土壌汚染対策法で行うといっても、しっかり捉えられないという懸念があります。そういったジオキサンは一例ですけれども、ほかにも土壌と地下水を分けて管理するということの対策向上の難しさは様々ありますので、土壌環境の保全と地下水環境の保全対策、これを一体的に運用できるように、法制度を整備していくことを検討していくべきだと考えております。

 また、さらに付け加えさせていただきますと、私は、リサイクルのほうも専門にしておりまして、様々、土壌に近いところでリサイクル材料が使われますけれども、そのような資源循環と土壌地下水環境保全、さらに、もうこれは完全に範疇を超えてしまっているかもしれませんけれども、そういったところも視点に入れていただいて、これから検討を重ねていっていただければと思います。

 以上です。ありがとうございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、お二人、浅見委員、高村委員の順でご意見をいただきたいと思います。

 まず、浅見委員、お願いいたします。

【浅見臨時委員】 ありがとうございます。

 今回、いろいろな先生からもご指摘がありましたので、ほかの部分ということで、三つお願いしたいと思います。

 一つは、お題にあります脱炭素社会の実現に向けてということで、水環境と土壌でできることと、逆に脱炭素社会でいろいろな変化があったときに、水環境とかでいろいろ変化があることにどう対応するかというところとあるかと思っております。

 水環境のほうで改善できることというか、水をもっと上流から取れると、その位置エネルギーを利用することができるといったような見直しの仕方もあるかと思いますので、この部会をちょっと超えるかもしれないんですけれども、そういう検討ができるといいきっかけになるのではないかと思います。逆に、太陽光発電ですとか、洋上発電とか、再生可能エネルギーがいろいろ注目される中で、水環境のほうで、こういう条件が満たされれば、もっと導入できるというのを明らかにすることができれば、より一層推進できる部分があるのかもしれないなと思っております。

 2番目は、投資の活用なのですけれども、海洋の汚染の防止ですとか、マイクロだけではなくて、普通のプラスチックですとか、海で使われるもの、物理的に、網ですとか、いろんなものが障害になっているとお伺いしているんですけれども、清掃に対して、誰がお金を負担するのかというところの議論はなかなか難しくて、そういったところに投資を向けるとか、国のほうでもっと予算を拡充するとかという部分について、どこに組み込んでいくのがいいのかという議論を入れていただけると思いました。

 もう一つは、防災です。水環境の保全と防災的なところ、いろいろなハザードマップで、危ないところに住んでいらっしゃる方が、国土と全体でいきますと、人口では7割というふうに数値を拝見しておりますので、水環境の保全と、かつ防災の両立というのを図るというのも、やり方の中に入れていただくというのがあるかと思いました。

 すみません、以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、高村委員、お願いいたします。

【高村委員】 ありがとうございます。

 平成23年の段階で、生物多様性の観点がとり入れられて、それからもう10年以上がたつんですが、先日の底層溶存酸素量に関する琵琶湖の類型、指定、検討ですね、その保全対象種を選ぶ評価軸にも生物多様性が入っていないとか、観点の重要性の認識はされていますが、具体的な計画に生物多様性の保全が入っていないんじゃないかなと、入っていきにくい事情がどこかにあるんじゃないかなと思います。瀬戸内海の委員もさせていただいておりますが、その場でもそういうふうに感じております。指標種の選び方とか、そういった点について、何か困難があるのかなど、ネックになっている点を考えていただいて、積極的にとり入れていっていただければいいなと思います。

 生物多様性の保全に関しては、国土交通省とか、農林水産省もかなり意識して入れてくださっております。それで、環境省のほうも、自然局に任せるだけじゃなくて、水の生態系に関しては、この水環境局のほうでしっかりとカバーしていっていただければありがたいと思っております。

 先ほど、白山先生がIPBESの紹介をされましたが、生物多様性条約事務局から2020年に地球規模生物多様性概況第5版というのが出ておりまして、それの2050年ビジョン、すなわち、自然と調和した社会を築く、というビジョンがあるんですが、その中にも「持続可能な淡水生態系へのトランジション」というのが、八つの重要項目のうちの1本の柱として捉えられていて、その中で重要な項目として五つ挙げられています。

 一つ目は、環境保全の流れを水管理と、その実践に統合すること、二つ目が水質の改善、三番目が資源の乱獲の防止、四番目に外来生物の駆除、五番目に重要な生物の生息地の保護・再生の五つがあります。そういうふうな点が重要だと国際社会でも認識されているということです。

 瀬戸内海の委員会で出させていただいてもらって、干潟とか、植生帯とか、そういったものの保全・再生というのは、積極的にやってくださっているんですが、流域を考えた環境保全という意識がちょっと欠落しているかなと感じております。やはり水環境は、森から河口域までつながったものとして保全すべきですので、流域の水管理のようなものにも配慮して、今後やっていただければありがたいと思っております。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、藤江委員、お願いいたします。

【藤江臨時委員】 先ほどの白石先生と、東海先生が話された湾・灘海域のあるべき姿に対してです。これらの適切な管理を考えるときに、やはり多様なステークホルダーを考慮したと取り組み、高みを目指す取り組みとか、様々な考え方があると思います。海域管理の目標、ビジョンをつくるときに様々な議論がありますけれども、明確な目標をつくる、あるいは、明確な指標を持ってその実現に向けた管理の在り方、取り組みを議論していくという、そういう考え方が当然必要かなと思います。

 そのための指標としては、負荷に関するインプット側の指標と、適切な管理がもたらすであろうベネフィットを考えるアウトプット側の指標、これらをやはり明確にしておく必要があると思います。こういう観点では、環境研究総合推進費S-13<持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の開発>で検討が始まったところであると私は認識しておりますけれども、その先、この研究の成果を閉鎖性海域であるそれぞれの湾・灘等のあるべき姿の設定であるとか、その適切な管理にどういうふうに生かしていくのかという議論、あるいは具体的な動きが一層求められるのではないかなと考えております。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、須野原委員、お願いいたします。

【須野原臨時委員】 この直接じゃないかもしれませんけれども、国連でSDGsの17のターゲットの中で、ナンバー14はLife Below Waterという項目があるんですけれども、毎年、ケンブリッジ大学の出版局が評価した結果を出版しているんですよね。その中で、日本のSDGsの14番目のLife Below Waterというのは、かなり低い評価をされているんですよね。そんなところ特に、グローバルの観点というところですね。生物多様性の視点というところで見たときに、少しこれ事務方でちょっと見ていただいたほうがいいのかなというふうに思っています。

 たまたま、これ毎年、ケンブリッジ大学が出版していて、例年度と比べてプラスなのか、マイナスなのかと見ているんですけれども、相変わらずずっと、オーシャン・ウォーター・インデックス、クリーン・ウォーター・スコアというのは、含めて14番目のスコア、日本は、真っ赤かの評価になっているので、やっぱり国際的にも水環境というんですか、これはフィシェアリングを含めてなんですけれども、厳しい評価になっているという状況をやっぱり事務方を含めて認識したことで、このグローバルだとか多様性というのをもう一度見ていただくのがいいのかなというふうに思っていますので、その辺をちょっとご検討いただきたいと思います。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 続いて、中川委員、お願いいたします。

【中川委員】 ありがとうございます。

 4つの観点の連携の部分です。現状ですと、公共団体や地域活動主体、もしくはNPOさんなどとの連携が強く書かれています。ぜひそれにプラスして、既にされているとは思うのですが、国民全体の関心を一段階上げるための取組について改めて検討していただきたいです。現在ですと、環境への興味やリテラシーの高い方はごく一部という印象があります。例えば私がいろいろな地域の海に行ったときに、最近ごみ拾いの活動を定期的にされている団体などが増えていて、そこに関わる方もちょっとずつ増えてはいるんですが、やっぱりまだまだ一部の方だけが繰り返し頑張って拾っていて、そうではない人たちが、ただ静観するだけではなく、一部がポイ捨てを繰り返してしまい、毎回毎回すごいごみが出てしまうという状況が続いています。これは見ていても、参加をしていてもすごく心がつらくなってしまうところです。

 今回の連携に挙げられている団体などからも、もちろん発信はたくさんされているとは思うのですが、環境省や国から国民に広く呼びかける、さらにできれば、今あまり環境への興味が高くない方等も関心を持つような方たちを、うまく巻き込んでPR的に進めていくことで、全体を底上げし、参加者を増やしたり、既に活動されている方等がよりやりやすい環境ができていくと思います。そのあたりもぜひご検討いただけたらうれしいです。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございます。

ほかの委員の方々からもご意見をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 それでは、西嶋委員、お願いいたします。

【西嶋臨時委員】 西嶋です。

 少しもう出ている話ではあるんですが、私は、瀬戸内海のほうで活動をしていまして、環境省のほうの委員では、瀬戸小委員の委員とか、総量の委員とかをしています。その観点で、1点だけ少しお話させていただくと、これ先ほど、田中委員から出てきたCODで、有機汚濁を管理しているというところが、やっぱりすごくいろんなところで矛盾が出てきているというのをちょっと感じています。

 要は、CODの環境基準が、環境基準というのは、私の理解では、環境行政の中で、水環境行政の中で、一丁目一番地というか、まず環境基準ありき、それを守るために、いろんな規定があるし、モニタリングもそれにおいてされるということだと思うんですが。そうすると、この環境基準が現在の状況にもし合っていないとすると、いろんなところにゆがみが来るというふうに思えるんです。

 そういう意味で、それと環境基準を当てはめるときの類型、指定というものが、それぞれ類型されている、指定されているんですが、その場所の類型、指定自身が、現在の状況に合っているのかどうかというところですね。そこの根本のところから見直すべきところは、ちょっと見直していかないと、どうしても環境基準の数値とか、その類型の数値を、まず絶対のものとして、スタートすると、いろんな瀬戸法の改正なんかですと、その地域性だとか、いろんなことが、それぞれの地域の特性に応じてとか言っているんですが、そこは自由度が非常に狭まってしまうと。もちろんそれが、必要なことであれば、もちろんそれでいいんですが、もし現状に少し合っていないというがために、自由度が狭くなって、うまくいかないということがあるんであれば、そこは変えるべきではないかということを少し感じます。

 ということで、環境基準というものが、やっぱり全ての基本になっているので、そこの指標の妥当性、地域に当てはめられた類型指定の妥当性というのは、いま一度、見直すところは必要なんではないかというふうに感じます。

 以上でございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございます。

 続きまして、林田委員からお願いします。

【林田臨時委員】 先ほど、田中委員のほうからお話があったときに、日本の農業に関して言えば、畑地ではなくて大方が水田であるというようなお話がありました。そのとおりでして、日本のかなりの面積を水田農業がカバーしているというんですかね、関与しているということですので、生物多様性、先ほどの4つの観点でいうところの、生物多様性の観点に関して、非常に重要なわけですね。水循環の構成要素であったり、生物多様性の確保という観点で非常に重要です。

 そして、高村委員のほうからは、国土交通省ですとか、農水省においては、生物多様性に大分取り組んできているというような評価のお話がありましたけれども、こういったような取り組みについては、やはり予算ですね、国の予算が削減になってまいりますと、どうしてもそういう生物多様性への観点なんかについて、認識はしていても、行動として、薄れていくような気がします。

 ですから、一旦相当普及したはずの、例えば、農業用排水路で言いますと、河川から堰で取り込んで、水路を通って水が流れていくわけですけれども、メダカのようなものについていえば、排水路から、一旦大きな河川に戻ったものが、産卵の際には、水田に戻らなきゃならないわけです。ところが、農業用排水路の改良が進むと水田に戻る道が切り離されてしまうという、そういう問題について、現在では、そういう事業を行うような現場で、そのための対策について相当に認識が進んでいます。ですけど、戻りますが、予算がひっ迫する中で、そういった理解が進んでいても、少し配慮が薄れていくのではないかというような危惧もありますので、どうか関係する省庁、4つの視点のうちの左側の連携の観点ですが、農水省や環境省のほうでも、連携といいますか、そういう話合いを常に密に持っていただきたいというお願いであります。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 ほかの委員からご意見をいただけますでしょうか。

 それでは、豊田委員、お願いいたします。

【豊田臨時委員】 申し訳ございません。

 農業の分野では、有機物を炭化して土壌に入れたり、緑肥や堆肥を入れて、土壌への炭素蓄積を増やそうという動きが日本や世界で動いていますけれど、我が国の場合、農耕地が占める国土の面積は1割ちょっとということで、かなり限定的です。一方で、二酸化炭素を液化して、地下深くとか、海底深くに埋めようという動きがありますので、国土全体を使って、炭素を固定していく。例えば、できる限り炭化して、炭化したものをいろんな土地に埋めていく。それによって空気中の炭素が隔離されるとともに、地下水への汚染も炭を入れることによって浄化できるんじゃないかと考えられるので、国土を挙げた炭素隔離、炭素蓄積の動きを期待したいなというふうに思っております。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 多くの委員からいろいろとご意見をいただきましたけれども、大きな変革としては、2050年までの脱炭素社会ということでカーボンニュートラル、あるいは、SDGsも含めた形で、どう社会が変わっていくかということに関連して、水環境が直接関わる部分、あるいは、間接的に影響するものについて、どう対処すればいいかというようなのが一つあります。また、海洋プラスチックの観点につきましては、マイクロプラスチックを含め、プラスチック資源循環の動きの中で、水環境にどうインパクトはあるのかと、特に生態系への影響という観点も研究が含められていますので、そういった必要性もあるということです。

 瀬戸内海環境保全に関連して、多くの委員の方がご指摘のように、生物多様性というキーワードは10年前から出ているんですけれども、具体的な形で位置づけされていないので、もう少し明確な取組となるよう位置づけていく必要があるだろうと。

 水環境の問題は、流域という大きな枠組みの中で考えなくてはいけなくて、そうすると、必然的にいろいろな利害関係者、あるいは組織、団体と、そこら辺をどう組み込みながら、共通の目標を持って行動できるのかという意味においては、関係者間の連携が非常に重要視されています。この連携という観点においては、今申し上げたような流域の中の団体、あるいは組織の連携もありますが、国の省庁間の連携も必要であるという指摘もありますし、10年前の報告にあるようなボトムアップ的な発想でいうと、国民全体がその環境に対して意識が高まっており、科学に対する知識を正しく持っていること、そういったボトムアップの形をするためにも、環境に関するコミュニケーション力、あるいは、環境リテラシーというものにおいては、情報提供、あるいは、提供だけではなくてご理解いただくような情報共有という形になろうかと思います。そういった内容も重要であるというご指摘があったかと思います。

 それ以外に、土壌汚染に関するご意見もありましたし、マイクロプラスチック問題のご指摘のように、水環境を見る場合にはクロスメディアで重要であり、大気と水と関係、あるいは、土壌と地下水、さらに地下水と河川という形のクロスメディアの観点を踏まえて、具体にどう展開していくのかということが大きな課題になろうかと思っております。あと、流域の観点では、流域治水というキーワードもあったかと思います。要は治水と水環境との関連もあったかと思います。

 それ以外にも幾つかあったかと思いますけれども、多くの委員の方々からご発言いただきました。今日の終了予定までまだ時間がありますので、もしお気づきの点があれば、2度目のご意見も含めて、ご発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 谷口委員、お願いします。

【谷口臨時委員】 すみません、いろんな意見が出ておりますので、私のほうからはあまり言うことがないんですけれども、1点だけ申し上げておきたいなと思うのは、今回は、この2050年までの脱炭素社会の実現とかという前提ということですので、科学技術的にも、脱炭素社会を実現するということになると、かなり大きなイノベーションみたいなもの、そういう技術開発というのが今後、土壌環境にしても、これらをうまくコントロール、浄化とか、あるいは土壌の浄化とか。要は、今後の技術開発についても注目していってほしいなと、水環境・土壌環境で応用できるような技術がいろいろ出てくるだろうと思いますので、そういうようなものに注目していってほしいなと思います。

 以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございます。

 他の委員からご意見いただけますでしょうか。ございませんでしょうか。

 今回の検討では、脱炭素社会、生態系に関わるような瀬戸内海環境保全の法律改正、あるいは、海洋プラスチックの問題、マイクロプラスチック、要は、以前考えていたものよりも、新しい問題点が出てきているので、そういったことを総合的に踏まえて、将来どう考えていけばいいかと。そのときに、長期的な観点もありますでしょうし、5年、10年の間に積極的にやらなくちゃいけない点があるということだと思います。今、申し上げた総合的な観点ですので、特定の検討課題というよりは、水環境・土壌環境の管理の在り方全般に関してお気づきの点がございましたら、ご発言いただくといいかなと思っております。いかがでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 ほかに特にご意見が出てきませんので、今まで多くの方がご発言いただいたようなご意見を皆さんお持ちなのかなと思っております。

 先ほど中途半端でしたけど、私のほうで幾つか各委員からのご発言をまとめさせていただきました。繰り返しなりますが、やはり水環境の問題を水環境という枠組みだけで考えることについてはもう不十分になっていて、連携が重要だという言葉は出てきていました。より具体的に省庁間で実際に行動に移していただくようなことが必要であることが、私も大きな方向性の一つだと考えております。

 その中では、瀬戸内海環境保全関連であれば、水産との関わり、あるいは、流域全体で考えるためには国土交通省であるとか、林野庁との関わりもありますでしょうし、同時に化学物資みたいな話になれば、経済産業省とも関わるということです。いろいろな省庁との関わりも大事だろうというように思います。

 一方で、先ほどの生物多様性のところでご指摘があったように、環境省内部の局を越えた連携ということによって、もっと積極的な生物多様性に対する展開、あるいは、保全に対する施策というものが力を持ってくるというように、私も感じました。省庁間だけでなく、局内での連携ということもお考えいただく必要があるかなと思います。

 長期的には、温暖化、あるいは、気候変動に対して、水環境がどういう影響を受けるのかと、自分たちがどういう行動ができるのかといったことを通じながら、水環境が保全される、あるいは、防災に対して、しっかりとした対策をしながら保全されていくというようなボトムアップの活動を展開することが求められます。そのためには分かりやすい情報提供、あるいは、双方向のコミュニケーション、あるいは、そういった教育、あるいは環境教育でいいんですかね、総合的な学習も含めて、そういった人材育成、あるいは、教育制度みたいなものについても、水環境の単独の切り口ではできないので、きっと文部科学省とのつながりが出てくるというように感じました。

 私、勝手ながら、追加の意見を申し上げると、やっぱり将来の方向性としては、キーワードになっているデジタルトランスフォーメーションと、グリーントランスフォーメーションという言葉があります。Society5.0ということも言われています。先ほどの情報の提示の方法について意見がありましたけれども、新しい方法論でデータを開示することもあるでしょうし、デジタル化されたデータをただデータベース化するのではなくて、それをどう生かしていくのかというようなところに、もう少し水環境の切り口から変容を目指していただくといいかなと思います。

 失礼な表現でいうと、いわゆる白書類を出していれば、情報は公開したというところにとどまらないで、それをベースにして、次に何を生み出すのかと。また、環境総合推進費のような形で研究成果や新たな情報が出てくるものと思いますが、それが実際に施策にどう反映するのかといったところが重要かと思います。実際にそういう方向で動いていますけれども、もっと具体的に進めていただくことが、とても大事なのかなと思います。

 やはり水環境の議論というのは、要は、思い込みや表面的な知識ではなくて、サイエンス、すなわちしっかりとしたバックグラウンドのある科学的な知見や情報、あるいは、モニタリングデータと、そういったもので判断された形で行政に反映する、言い換えれば、そのためにどんな研究が必要なのかといったことを、うまく相互にリンクさせながら展開していただくというのがとても大事だと思っています。

 あと、グリーントランスフォーメーションについては、いわゆる、温暖化や気候変動対策として再生可能エネルギーや脱炭素ガスに転換する方向性を示されていますが、気候変動に伴う都市浸水などの水害の頻発への対応として、グリーンインフラというものが積極的に取り込まれています。関連する部局は、都市や公園部局になりますけれども、やはり環境を大きく扱う場合に、何がしかの形で水環境は関わってきますので、そういった他の省庁の動きに対して、水環境のほうで、どんな関わりがあるのかといった点も考えていただくことがとても大事なのかなと思っております。

 私から、追加で意見を申し上げましたけれども、改めて言い忘れたという点がございましたら、挙手をいただければと思います。もしないようでしたら、本日の議会を終わらせたいと思いますが、いかがでしょうか。特に追加の発言があれば。

 それでは、田中委員、お願いします。

【田中臨時委員】 今後のこれ進め方なんですが、今日、かなりいろんな議論で、いろんな方向に進んでいると思うんですが、この例で見せていただいた、今後の水環境の在り方、たしか1年半ぐらい議論したと思うんですけど、どういうふうに環境省は、この意見というのを取りまとめるのか。これは今日は、取りあえず聞いただけで終わっちゃうのか。その辺の今後の予定がちょっと分からなかったので、事務局のほうでお考えがあれば、ちょっと教えていただきたいんですけれども。

【古米部会長】 今日の部会は、まずはご自由にご発言いただくという趣旨で行っておりますので、これを受けて、次どうされるかというのは、事務局がお考えになると思います。もし今の時点でお考えがあるようであれば、ご説明いただければと思います。いかがでしょうか。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。実は、7月10日から土壌環境課長も併任ということで、水・土壌両方担当ということでございますけれども、本日は本当に委員の先生方、そして、古米部会長、ご意見をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、部会長からのお話にありましたけれども、少しオープンなという形で、自由にご意見をいただくという形でご意見をいただいたところでございます。今日いただいた意見を踏まえまして、これからどういう形でこれを進めていくか、これを実際の行政の中に取り組むためにどういう形でやっていくかというのは、少し検討させていただきたいと思っております。いずれにせよ、今日の議論の取りまとめ、それから、我々が今取り組んでいる取組というようなものをこの部会の中で、どういうスケジュールでやるかというところまではまだ決まっておりませんけれども、また、引き続き先生方のご意見をいただく機会、これ分野ごとにやったほうがいいのかどうか、そういう在り方も含めてちょっと検討させていただきながら、今後の部会のスケジュール等を見ながら、また、ご意見をいただく機会を設けて進めさせていただきたいというふうに思っております。その中で、取り組むべき施策というものをまとめていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

【古米部会長】 田中委員、そういった事務局からのご回答でございました。

【田中臨時委員】 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

【古米部会長】 それでは、ほかにご意見はありませんでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 それでは、非常に多くのご発言をいただきましたので、いま筒井課長からご説明がありましたように、環境省として、それを踏まえた形で、今後どのように展開されるのか、場合によっては、10年前に行われた検討会とは別の形で何か取りまとめをされるのかどうか分かりませんけれども、ぜひ反映をいただきたいと思っております。

 ついでながら、私から追加で発言させていただきます。今日ご発言がなかった委員、あるいは、ご発言された委員でも、追加で何かお気づきの点があれば、メール等でお知らせをいただければ、非常に意義深いものになろうかと思いますので、ぜひご検討いただければ思います。

 それでは、これにて事務局のほうにお返ししたいと思いますが、いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。

【筒井水環境課長】 結構でございます。

【古米部会長】 それでは、以上をもちまして、議題は終了となります。

 以上をもちまして、水環境・土壌農薬部会を閉会といたします。

 事務局にお返ししますので、もし連絡事項等があればお願いしたいと思います。

【事務局】 本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、先生方にご確認いただきました後に、ホームページに掲載をさせていただきます。

 次回、第4回につきましては、別途ご連絡いたします。

 以上で終了いたします。どうもありがとうございました。

午後5時24分閉会

======

※ 部会後のご意見等

【岡久臨時委員】

以下に、意見等を取りまとめました。ご参考にしてください。

●水環境行政の牽引役

 我が国における水環境行政について、環境省がリーダーシップをとって政策等を実施していただきたいと思います。最近、国民の水環境に対する関心が薄れてきています。そのためか政府も水環境行政を重要視していないように見受けられます。 快適で清澄な水環境を創造し、保全するためのリーダーとなるのは環境省です。水環境行政の牽引役をしっかりと果たして頂きたい。

●今後の水環境保全の在り方

 今回の議論に際して環境省から提出された資料「今後の水環境保全のあり方について」ですが、10年前の平成23年の資料でした。今後の在り方について議論を充実させるためには、10年前に提示した「あり方」を受けて、この十年間で実施した施策、その成果、そこで見出された課題を整理し、今後の在り方の素案を提示していただければよかったと思います。環境省としての今後の方向性を示していただいた上での議論が必要かと思います。また、今後の在り方を取りまとめる予定であるなら、短期間に議論を進める必要があると思いますが如何でしょうか。

●地球温暖化対策

 今後は温室効果ガスの削減が環境行政においても最大の課題と思います。水環境行政として、温室効果ガス削減のために何ができるか早急に検討する必要があると思います。浅見委員が具体的な施策の一例として「水の位置エネルギーの利用促進」を挙げていましたが、水環境行政として具体的な施策の検討が急がれるのではないでしょうか。この課題に対しても環境省がリーダーシップを取るべきです。

●豊かな水環境

 瀬戸内法が改正され、豊かな海を目指すことが打ち出されました。下水道からの栄養塩の補給が期待されていますが、栄養塩の放出が問題なく実施できるように排出基準などを見直す必要があります。現在どのような検討がなされているのか存じ上げていませんが、早急に検討する必要があると思います。

●マイクロプラスティック

 マイクロプラスティック問題が注視されています。現状について詳しく理解しているわけではありませんが、必要ならば、排出規制などを実施すべきです。環境問題への基本は予防保全です。水俣病への対応を反省材料として取り組む必要があります。過去に、酸性雨、環境ホルモンなどで議論になり、今は問題にもなっていませんが、警鐘を鳴らしたことには大きな意義があると思います。下水道事業としてもマイクロプラスティックは非常に影響がある問題です。どの程度のマイクロプラスティックが下水道から排出されているのか分かりませんが、下水道からの排出が問題視された時に対処するためにも環境省の見解が必要です。早急にマイクロプラスティックに対する対応を進めていただきたいと思います。少なくとも、いつごろまでに何をするかのロードマップを示す必要があるのではないでしょうか。今後、下水道事業の新たな施策にもこの問題は影響が生じています。

●「グローバルな視点」について

 資料の「グローバルな視点」で、「我が国の水環境技術の海外への展開」とありますが、この件でも環境省のリーダーシップを期待しています。下水道における我が国の水処理技術は世界的にもトップレベルです。下水道界も海外水ビジネスを展開していますが、思うように進んでいません。我が国の水環境技術の展開が進んでいない一つの原因として、下水処理が遅れ、水環境が悪化している国において、望ましい水環境を創造し、保全するためのマスタープランと規制等の施策が整備されていないことがあります。そのために下水道整備の必要性が十分理解されておらず、当該国の政府の下水道整備に対する認識が低いと感じています。環境省から水環境保全のために取るべき施策を当該国に示すことにより汚水処理の必要性を理解させることが重要と感じています。現在、政府を挙げて海外水ビジネスの展開を促進しています。環境省も積極的に関与していただき、我が国の技術が世界に貢献できるように後押ししていただきたい。

 以上、ご参考にしていただければ幸いです。

【西川臨時委員】

今後の水環境・土壌環境行政の在り方について以下のとおり提言します。

・化学物質の複合影響をより精緻に解析できるツールの開発を急ぐべきである。

 単独では監視の対象となっていない化学物質であっても、複合的に生態ないしヒト健康に深刻な有害影響を及ぼしている可能性は十分あり得ることから、複合影響の解析法開発は喫緊の課題である。すでにWHOやOECD等の国際機関において開発が検討されているが、実用段階に至っていない現状がある。

・動物試験に代わる有害影響の試験・評価法の開発を強化すべきである。

 動物愛護の動きと相まって、動物を用いる試験の削減が世界的に加速しており、米国EPAでは2035年までに全ての動物試験を廃止するとしている。その動きに対応するため、動物試験に代わるin vitroないしin silico試験・評価法の開発は急務である。水環境・土壌環境行政に特化した内容でないため、厚労省・経産省等との密な連携が望まれる。