水環境・土壌農薬部会(第2回)議事録

日時

令和3年6月9日(水)15:00 ~ 17:00

※ WEB会議により実施

議事次第

1.開会

2.議題

  (1)底層溶存酸素量に関する環境基準の類型指定について

  (2)六価クロムに係る水質環境基準の見直しについて

  (3)水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて

  (4)総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲について

  (5)その他

3.閉会

配布資料

資料1-1 「底層溶存酸素量に関する環境基準の類型指定について(報告案)」の概要

資料1-2 底層溶存酸素量に関する環境基準の類型指定について(報告案)

資料2-1 「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第6次報告案)」の概要

資料2-2 水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第6次報告案)

資料3-1 「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて(第2次報告案)」の概要

資料3-2 水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて(第2次報告案)

資料4   第9次水質総量削減における総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲について

資料5   瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律の概要

資料6-1 自然公園法の一部を改正する法律の概要

資料6-2 改正地球温暖化対策推進法の概要

資料6-3 プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の概要

参考資料1-1 「底層溶存酸素量に関する環境基準の類型指定について(報告案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の実施結果について

参考資料1-2 東京湾・琵琶湖における底層溶存酸素量類型指定検討会の概要

参考資料1-3 水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて(答申)(平成27年12月7日)

参考資料1-4 底層溶存酸素量及び沿岸透明度の評価方法等について(平成28年11月1日水環境部会資料)

参考資料2   「水質汚濁に係る人の健康の保護等に関する環境基準等の見直しについて(第6次報告案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について

参考資料3   「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて(第2次報告案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について

参考資料4   水質総量削減における総量規制基準の概要

議事録

午後3時30分開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会第2回を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただき、大変ありがとうございます。本日の部会は委員総数31名のうち、過半数の28人の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立しておりますことをご報告いたします。また、WEBでの開催であり、YouTubeの環境省水環境課動画チャンネルで同時配信をしております。WEB会議の開催に当たりまして、何点かご協力をお願いいたします。通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフ、ご発言の際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますよう、お願いいたします。ご発言を希望される場合には、お名前の横にある手の形のアイコン、挙手ボタンをクリックしてください。また、発言を終えられましたら、ボタンを再度クリックして、挙手を解除いただけますよう、お願いいたします。通信トラブル等、何かありましたら、同じく右下のチャットの欄がございますので、事務局まで連絡ください。それでは、開会に当たり、大臣官房審議官の森光よりご挨拶を申し上げます。

【森光審議官】 審議官の森光でございます。

水環境・土壌農薬部会の開催に当たりまして、ご挨拶をさせていただきます。

まず、ご参加の委員の方々には、お忙しいところ、当部会にご参加いただきまして、ありがとうございます。

本日の部会では、先生方にご審議いただきたい議題として、四つの議題を用意しております。

まず、底層溶存酸素量につきましてでございますが、これは平成28年3月に生活環境項目環境基準に位置づけられまして、平成28年11月の水環境部会でも底層溶存酸素量の運用等の検討を行っております。今回は、東京湾及び琵琶湖の類型指定案等を令和3年3月23日に第1回底層溶存酸素量類型指定専門委員会でご議論していただきまして、その後、パブリックコメントを経まして、本日「底層溶存酸素量に関する環境基準の類型指定について」という報告案を取りまとめておりますので、この案につきまして、ご議論いただきたいと考えております。

また、六価クロムに関してでございますが、これも令和3年2月26日の第19回環境基準健康項目専門委員会、その後、パブリックコメントを経まして、「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第6次報告案)」として取りまとめております。

この報告案につきまして、ご議論をいただきたいというふうに思います。

それから、さらに、水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについてでございますが、これは、水質汚濁に関します環境における衛生微生物指標であります大腸菌群数を大腸菌数へと見直すことにつきまして、平成30年の第9回生活環境項目環境基準専門委員会、それから令和3年2月4日の第10回生活環境項目環境基準専門委員会と検討を重ねておりまして、その後、パブリックコメントを経まして、「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて(第2次報告案)」に取りまとめております。この報告案につきまして、本日ご審議をいただきたいというふうに考えております。

それから、総量規制基準に係る業種その他の区分、その区分ごとの範囲についてということでございますが、これは本年3月にご審議いただきました「第9次水質総量削減の在り方について」の答申を踏まえまして、COD、窒素、りんの総量規制基準の指定値の際に係る告示の改正案についてご報告したいと考えておるところでございます。

本日、内容が大変多岐にわたりまして、長時間に及びますけれども、先生方の活発なご意見をいただきたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

以上でございます。

【事務局】 ありがとうございます。それでは、ここからの議事進行につきましては、古米部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【古米部会長】 部会長を仰せつかっております古米です。どうぞよろしくお願いいたします。

早速ですけれども、議事次第に沿って議事を進めさせていただきたいと思います。

先ほど審議官からお話があったように、環境基準関連が3項目、総量規制基準に関するものが一つということでございます。よろしくお願いいたします。

議題1、底層溶存酸素量に関する環境基準の類型指定についてということで、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。

【筒井水環境課長】 私、環境省の水環境課長の筒井でございます。よろしくお願いいたします。それでは、説明に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。

資料1-1でございます。「底層溶存酸素量に関する環境基準の類型指定について(報告案)」の概要という紙がございます。

報告案本体は資料1-2でございますけれども、非常に大部にわたりますので、資料1-1のパワーポイントの形式で、その内容をまとめておりますので、その説明を、この資料1-1に基づきまして、概要説明をいたしたいと思います。

まず先ほどのお話、審議官よりお話し申し上げましたけれども、過去、この中環審の水環境部会での審議、検討事項の説明から入らせていただきたいと思います。こちらは、環境基準項目でございます。平成28年3月に、平成27年12月の中環審答申を踏まえまして、底層溶存酸素量(底層DO)、湖沼、海域における底層DOについて、新たな項目として追加をされております。この背景でございますけれども、4ページ目のところでございますけれども、既存の環境基準のCOD、窒素、りんというものは、環境の状況を表す対策と結びつける役割を担ってきたわけでございますけれども、一方で、湖沼や海域の状況を見ますと、貧酸素水塊の発生などの課題が残されております。そういうふうな意味で、魚介類などの生息や藻場の生育などに直接的な影響、これを判断できる指標が必要であろうということで、先ほど申し上げましたけれども、28年12月の審議会答申を踏まえまして、平成28年3月に環境基準として底層DOが設定されたところでございます。

5ページ目でございますけれども、こちらに底層溶存酸素量の基準値というのを、下の青色っぽい表で示させていただいているところでございます。三つのクライテリアというか、区分ということで、一つ目が、貧酸素耐性の低い水生生物が生息・再生産できる場を保全・再生する水域として、これは底層DO4.0以上と、次が、貧酸素耐性の低い水生生物を除き、水生生物が生息・再生産できる場、これを保全・再生する水域につきまして、3.0mg/L以上、一番下でございますけれども、貧酸素耐性の高い水生生物が生息・再生産できる水域、これを2.0mg/L以上という基準値の区分けを設定して、基準値が定められたところでございます。この基準値につきまして、この導出方法としては、24時間の曝露時間における95%の個体が生存可能な溶存酸素量からこの値を導き出しているというところでございます。

目標設定についてということで、各水域において、どういうふうに、その今の三つの区分を設定するのかということなんですけれども、水域があれば、水域の状況などを踏まえながら設定をしていくと、具体的には、保全対象とすべき種の選定を行って、その保全対象種の生息状況、これを踏まえまして、その水域の範囲を設定するということでございます。

その際には、各地域の意見などを踏まえて、各地域の特徴に応じた目標値を設定するということでございます。要は、このような区分けをするときには、地域の意見も踏まえた上で設定をするということでございます。

評価方法についてということで、これは答申というよりも、平成28年11月1日に開催されました中環審の水環境部会でご議論をいただいたものでございます。当時の資料として、参考資料の1-4という形でお示しをしているかというふうに理解しております。ここの中で、先ほど申し上げましたように、基準値は24時間の曝露時間において95%の個体が生存可能な溶存酸素量から導き出しているということから考えれば、この下のところ、連続測定をする場合には、その目的を下回る日間平均値の測定結果が2日以上続いた場合は「非達成」、そうでない場合は「達成」とすべきだと、そういうふうに各地点を評価すべきだと。それから、連続測定を実施しない場合はどうするかということなんですけども、日間平均値の年間平均値、これをもって評価するという形で、この整理を示させていただいているというところでございます。

そして、評価方法ということでございますけれども、しかしながら、底層DOというのは、その一時的かつ部分的な低下が生じたとしても、水域全体の個体群の維持に問題を生じる可能性は低いということで、個体群の維持が可能な最低限度の水域割合、期間割合というものを求めることは非常に困難であるという状況から、この当時の中環審での資料におきましては、水域における保全対象種の個体群維持を目的とする場合は、当該水域、水域の中に幾つかいろんな環境基準点があるわけでございますけれども、その全てで、その全ての環境基準点及び期間で基準値に適合しなくても、目的は達成できるというようなことも書かれているということでございます。こういうことから、評価方法としては、この枠囲いの中、水域ごとに達成・非達成の評価はせずに、水域内の全ての環境基準点のうち、目標値に適合している基準点の割合で評価をすると。例えば、Aという水域で二つの測定地点があって、一つが適合、もう一つが不適合であれば、評価方法は50%のところで、適合しているという評価の方法となるということでございます。

それでは、この類型指定ですけれども、国が行うものと県が行うものがありますけども、国が行う水域についてはこのような水域が決まってございまして、このようなところを順次類型指定を行うということで検討を進めております。今回、その第一弾としまして、琵琶湖、それから東京湾についての案をお示しするということでございます。

ここからが、本日の資料1-2で書いてあることの報告の概要になります。1枚目、類型指定等に関する事項についてということでございまして、これまでのところの、これまでの答申や部会での検討、先ほど申し上げましたけれども、27年12月の答申、28年11月の部会での資料、こういうような中で、底層DOの類型指定案の検討を行う上で、さらに詳細に補足すべきところを具体化させていただいているというところでございます。

(1)の類型指定の基本的な考え方についてということでございますけれども、類型指定に当たっては、先ほど、個別の湾、それから湖沼というところがありますけれども、そこの中でも、やはり状況がかなり違う場合もあるということでございますので、現に底層の貧酸素化が著しく進行している、または進行するおそれがある水域を優先して類型指定するという方法も考えられるということを示しております。

先ほども申し上げましたけれども、○○湾、○○灘とか、そういうところがありますけども、そこの中で、例えば湾奥部などが非常に大きな課題になっていると、湾口部は比較的そんな大きな課題はないという場合、例えばそういう湾奥の問題が大きいところを優先的に指定するということも考えられるということを示させていただいているというところでございます。

(2)、(3)、(4)は次ページ以降のスライドで示させていただいておりますので、次のページをお願いいたします。底層溶存酸素量の具体的な手順の概要ということで書かせていただいておりますけれども、ここの中では、これまでの、この答申での内容に加えて、少し補足するところを加えさせていただいております。具体的には、この左側のところで、赤い線で囲っているところでございます。この水域の水生生物の生息状況など、ここから保全対象種を選定して類型指定にいくところでございますけれども、この「生態特性を考慮した検討対象種の抽出」につきましては、この保全対象種の選定の前段として必要な作業を明確化するということで、この生態特性という、底層に依存した生活史を持つ、それから底層DOの低下しやすい時期に底層に生息し・再生産を行うというようなものについて、この水生生物の把握の後に、そういうようなことを考慮した対象種を抽出するということを明確化させていただいております。

それから、「水域の特徴の観点」のところからの検討なんですけど、ここのところ、具体的な記載が書いていなかった。一方で、答申の中では、水域の底層溶存酸素量の状況等を踏まえた上で類型指定をするという記載となっていたというところでございますけれども、そういうことを踏まえまして、このような形で水系の特徴に関する考慮事項を明確化させていただいたということでございます。

それから、評価方法のところでございますけれども、これまでの検討結果を踏まえまして、評価方法の方法を提示しております。このように、各地点のところを表にした上で、さらにグラフのような形などで示しながら、状況を把握するというようなことでございます。

それから、目標とする達成率・達成期間の話でございます。これにつきまして、底層溶存酸素量は新しい基準であるということでございますので、類型指定された後に、まずは評価するための測定地点を設定した上で、5年間程度の情報収集を行った上で、そこで得た情報を基にして、目標とする達成率・達成期間を設定するということを示させていただいております。

この類型指定、本日ご承認されれば類型指定がなされるわけでございますが、その上で、5年間程度測った上で、情報収集をして、具体的にどのぐらいのところの達成を目指すべきなのかということを設定するということでございます。この下の真ん中のところに書いてありますけれども、目標の達成に長期を要するという場合には、暫定的な目標を設定して、段階的に必要な施策に取り組むということも可能であるということを示させていただいております。

次、東京湾、それから琵琶湖の類型指定案についてでございます。

報告案で対応するのは18ページから27ページになりますけれども、具体的な例としては、実際の類型指定案につきまして、この左側に書かせていただいております。まず、この保全対象種の観点ということから検討をさせていただきました。保全対象種につきましては、75種を検討対象としまして、対象種としてはここに書いてありますとおり、魚類5種、甲殻類2種、軟体動物4種、棘皮動物1種ということで、マアナゴ、シロギス、マハゼ、ヒラメ、マコガレイ、クルマエビ、シャコ、コウイカ、アサリ、ハマグリ、アカガイ、マナマコ、これを対象としております。これを、単純に、保全対象種の観点からということで指定を考えますと、生物1類型が多く、4mg/L以上というところが非常に多くなります。このことは、答申案のほうの、報告案の23ページに書いてあるところです。

一方で、この底層DOの指定におきましては、水域の特徴の観点という観点からも検討すべしということになっております。

水域の特徴の観点からは、ここの湾の中央から奥のところにつきましては、環境悪化前、これは昭和30年台前半より前から2mg/L未満や3mg/L未満となっている地点がございまして、貧酸素化しやすい特徴を汚染が深刻になる前から持っている、さらに、港湾区域内は、埋立てや、港湾施設の建設による流動変化で、閉鎖的で海水交換が悪いということが推測されるとなっています。

この二つの観点を重ね合わせまして、この左側に書いているような案を類型指定案とさせていただくということでございます。

この水域の特徴を踏まえまして、東京港、それから千葉港、木更津港は生物3類型、さらにその環境悪化前から貧酸素化しやすい特徴がある範囲は生物2類型または3類型という形で区分をさせていただくということでございます。このオレンジ色のところが生物3類型、黄色のところは生物2類型、そして、緑のところは生物1類型と、このような形とさせていただきたいということでございます。

次に、琵琶湖のところの報告案でございますけれども、こちらにつきましては、保全対象種112種を検討した上で、そこからの絞り込みということで、魚類6種、コイ、ニゴロブナ、ホンモロコ、それからイサザ、イワトコナマズ、ビワマス、さらに、甲殻類は1種、スジエビ、それから、軟体動物は1種、セタシジミということでございまして、これを保全対象種として検討しました。

この結果、保全対象種の観点からですと、水深20m未満の水域では生物1類型と生物2類型が混在している、さらに、水深90mより深いところでは生物3類型になるということでございます。

一方で、水域の特徴の観点としては、今、継続して貧酸素化が顕著になっているというようなところは、今のところは見られない。水深90mより深いところでは、底層溶存酸素量が2mg/Lより低くなるというような年度がありますけれども、全ての年度で計測されているわけではないということでございます。

このことを踏まえまして、この左のような図でさせていただきたいと。生物1類型と2類型が混在している部分は、生物1類型として、水環境管理の実施しやすい範囲で区分と書いてあります。この図の中に書いていますけども、北のほうでは水深50mまでの水域を1類型、そして琵琶湖の西のほうでは水深30mから60mのところまでを1類型と。琵琶湖の東側のほうでは、水深20mより浅いところを1類型、こういうような形で検討させていただいております。

あと、すみません、申し遅れましたけれども、底層DOの定義ですけれども、基本的に底層DOは底から1m以内の範囲で測るということが定義となっているところでございます。このことを付け加えさせていただきます。

最後でございますけれども、検討のこれまでの流れを簡単にご紹介させていただきたいと思います。

先ほど、地域の意見を踏まえということでございましたので、この地域の意見を踏まえた、聞くための検討会というものを開いております。ここの中では、学識者はもちろんでございますけれども、自治体関係者、それから漁業関係者、それからその環境保全に取り組む団体などの代表、こういうような方からの意見を踏まえた上で、本日の類型指定案を定めさせていただいた、このようなことでございます。

私からの説明、資料1、議題1の関係は、以上でございます。

【古米部会長】 ご説明、どうもありがとうございました。本日は、底層溶存酸素量類型指定専門委員会の委員長であります福島委員長がご出席いただいております。福島委員長、いかがでしょうか。

【福島底層溶存酸素量類型指定専門委員会委員長】 はい。専門委員会の委員長をしております、福島です。ただいま筒井課長から説明がありましたように、底層溶存酸素量の基準は、平成28年に生活環境項目環境基準に位置づけられ、その後、類型当てはめの議論が、東京湾と琵琶湖を対象として、参考資料の1-2のような検討会でなされてきました。初めての当てはめということで、今後ほかの水域に当てはめる場合の先例となることから、慎重に時間をかけ、また、回数を重ねて議論を行い、その結果を3月に開催した専門委員会で審議し、最終案として取りまとめました。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。以上です。

【古米部会長】 ありがとうございました。それでは、議題1に対しまして、委員の方々からご意見、ご質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

それでは、髙村委員、お願いいたします。

【髙村委員】 髙村です。ありがとうございます。本文を少し読ませていただきました。私は琵琶湖分室におりましたので、少し琵琶湖のことで気になる点がございましたので、少しお聞きしたいと思います。対象種を選ぶ段階で、85ページの、表の1.4.1。判断項目の重みづけというのがございましたが、ちょっと出していただけると助かるんですが、いいですか。

【古米部会長】 資料の1-2の、報告書案の。

【髙村委員】 全体の85ページだと思うんですが。表の1の。これですね。それの判断項目が七つ示されているんですけれども、琵琶湖というのは、生物多様性の保全の観点から、極めて、世界的にも極めて貴重な湖なので、生物多様性保全の観点というのが一つの項目でも入れていただければよかったかなというのが、私の感想です。

それと、あとコイというのが書かれていますが、琵琶湖のコイは古代ゴイですので、これは古代ゴイのことを想定されているというのは本文を読めば分かるんですが、それを全てについてしっかりと明記していただくことが必要かと思いますので、これはお願いです。といいますのは、ほとんど、日本にいるその辺にいるコイというのは、国内外来種です。唯一、琵琶湖の古代ゴイというのが日本にもともといたコイで、今、多少、遺伝子は混ざっているんですが、生態学的には、外来性のコイと古代ゴイというのは全く違いますので、ここで選んだ保全対象種は古代ゴイのことですね。コイ(野生型)と表記して、皆さん納得されるかどうかちょっと不安なんですが、説明を加えていただいて、その辺にいるコイとは違うんだよということをしっかりと明記していただければありがたいと思いました。

あともう一つ、最終的に、底層DOというのは、水生生物の生息が健全に保たれることを目指す一つの要因にすぎないわけで、ほかにもいろいろやらないといけないことというのは、水・土壌局のほうでもよく認識されていると思います。それで、藻場とか干潟の再生なんかもやっていっていただくことになると思うのですが、一方で、水生生物の過剰繁茂をどうするかという問題もありまして、DOだけに焦点を絞っちゃうと、藻場の水草を全部刈ってしまったらDOは上がりますので、いいんじゃないかとか、そういうふうなことにならないように、本来の目的をよく理解していただくように周知していただければいいと思いました。以上です。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。3点いただいたと思いますけれども、事務局からありますでしょうか。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。私からお答えさせていただきます。

3点でございますけれども、1点目のところ、生物多様性の視点というところでございます。まさに、そういう意味で、まさに底層、これは底層DOという一つの項目でございますけれども、ほかのいろんな項目も含めて、今回はその底層に生活史とか再生産などをおく生物を保全していくという観点での指標ということでございますけれども、ほかの指標なども合わせながら、やはり、きちっと生物多様性という観点も入れながら、また総合的に、今後、水環境行政を進めていく必要があると思います。その辺の話は、また改めて、委員の先生方からお話を聞く機会をいただければなと思っております。

それから、2番目の、琵琶湖の古代ゴイの話でございます。これにつきましては、今回はそういうことでございましたけれども、この古代ゴイであるというようなところ、どこか、何かここの中に書けることがあるかどうかは、ちょっと検討させていただきたいなと思います。

それから、最後のところでございますが、底層DOは、一つの項目であって、藻場・干潟の保護と、一方で、過剰繁茂の問題があるということでございます。琵琶湖については、琵琶湖保全再生法などの法律なども新しくできて、5年ぐらいたっております。ほかの湖沼など、それから、その海域では、瀬戸法の改正なんかで、藻場・干潟の再生なんかも新たに、今日またご説明しますけれども、加え、強化ということを図られるということになっておりますので、いただいたご指摘を踏まえながら、湖沼、それから海域についての水質保全について、水環境保全についての行政を進めさせていただきたいと、このように考えております。以上でございます。

【古米部会長】 髙村委員、よろしいでしょうか。

【髙村委員】 はい。コイと書いてあるところを、古代ゴイとか、野生型とか、そういうふうな表記にして、普通のコイと間違えることがないように説明を入れていただくということとをお願いしたいと思います。

【古米部会長】 今のところ、表の1.3.2というところの検討対象種のところには、「コイ(野生型)」と書いてありますが。

【髙村委員】 表には。

【古米部会長】 ご指摘のように、1.4.1のほうの保全対象種のところは単純にコイと書いてあるので、そこに、通常のコイではないということが分かるような形で最終的なまとめをするというご指摘かと理解しましたが、そういうことですね。

【髙村委員】 そういうことです。よろしくお願いいたします。

【古米部会長】 はい、分かりました。それでは、続いて、須野原委員、お願いします。

【須野原臨時委員】 ちょっと質問なんですけれども、東京湾の類型指定のところで、千葉の湾奥にかなり深掘りのところが結構あるんですよね。そこはあえて、全体で見るとなれば、非常に、そんなに大きくないので、同じにしているということなんでしょうかね。3.1で、東京湾類型指定で、類型指定の黄色のところの、千葉港と湾奥部が書いてある間に、かなりの面積で、東京湾の、千葉側の埋立てをするので深掘りしたところがありますので、そこのところは若干違うとは思うんですが、全体から見るとそんな大きな影響はないということで同じ形にされているのか、ちょっとそこら辺だけ教えていただきたいと思っているんですけども。

【古米部会長】 千葉港の深掘りの部分について、どういう取扱いになっているかというご質問だと思います。いかがでしょうか。

【筒井水環境課長】 水環境課長、筒井でございます。おっしゃるとおりで、規模が小規模であるということを踏まえまして、全体としてということでの評価ということとさせていただいているところでございます。

【須野原臨時委員】 はい。分かりました。ありがとうございます。

【古米部会長】 それでは、続いて、白山委員と、それに続いて河口委員から、続けてお願いしたいと思います。

【白山臨時委員】 白山です。ありがとうございます。底層というのが、海底から1mということで理解をしましたけれども、最初のほうで、連続測定をやる、やらない。やらないときにはこういうふうに、というようなお話が出ていたと思いますけれども、日間平均値の年間最低値をもって評価すると、こういうことなんですが、そもそもどうやって連続測定をすることを想定されているのか非常に興味がありますが、もしも昼間しか測定しないということになりますと、一般的には多分、この有光層では、底層DOは植物の光合成で上がる方向になりますので、環境評価ということからいうとむしろ甘い方向になってしまうリスクがあると思うのですが、その辺りについて、何らかの指針というか、何かそういう過小評価をしない、あるいはDOそのものについては過大評価をしないということに関する配慮がどこかにあるかというのがちょっと分からなかったので、それを教えていただきたいというのが一つの質問です。

それから、もう一つはコメントになりますが、資料1-2の126ページにマアナゴに関する生活史の記載があるのですけれども、マアナゴの産卵場は、沖ノ鳥島の南の400キロ弱ぐらいのところにあるというのが分かっておりまして、2012年の論文に出ていますので、さすがにもう10年近く前の科学的情報ですから、何らかの記載をされるときに、全く最新の科学的情報を反映していないような記載にならないように注意をする必要があるのではないかというふうに思いました。それについては少し配慮をいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

【古米部会長】 どうもありがとうございます。底層DOについては、課長からお話があったように、表層ではなくて、底層から50センチとか1m以内のDOを測定するということでございますけれども、事務局から追加でご説明をいただければと思います。

【筒井水環境課長】 白山先生からのご指摘でございます。この課題、甘い方向の評価、過小評価になるんじゃないか、過大評価になるんじゃないかということでございましたけど、こちらについては、今回、実はもう、これ部会の中で一度ご議論をしていただいたところでございますけれども、95%の個体、ここに書いておりますけど、24時間のLC5、24時間曝露における95%の個体が生存可能な溶存酸素量というのが基のところになっておりますので、やはり、この24時間以上続いた場合、2日以上というふうに、連続測定では書いていますけど、その場合は不達成という形と考えるとなっています。

一方で、連続測定をしない場合、月1回とか、そういうような測定になる場合については、それぞれの測定値の日間平均値の最低値、年間平均で最低値、一番低い値、年12回測れば一番低い値をもって評価をするということでございますので、そのようなところの心配はあまりないのかなというふうには思っておるところでございます。

ただ、いずれにせよ、この底層溶存酸素量というものにつきましては、評価の仕方、再集計評価の仕方、それから改善に向けてどういう目標をセットするかということは、非常に難しい面もあるということでございますので、先ほど申しましたように、どういう方向で改善をさせていくのかということについては、地域ごとに、今後5年間などの測定状況の結果などを踏まえながら、どういうところに持っていくかというところを考えていきたいというふうに考えているところでございます。

それから、マアナゴの件につきましては、すみません、また資料など、また先生にもちょっとご協力をいただきながら記載について検討させていただきたいと、このように考えております。以上です。

【白山臨時委員】 ありがとうございました。

【古米部会長】 続いて、河口委員から、お願いいたします。

【河口臨時委員】 ありがとうございます。私は生物の専門家ではないので的外れかもしれないんですが、先ほどの髙村先生のお話にもあったと思うのですけれど、こうした、この琵琶湖と東京湾の生態、魚についての保全ということで、これが最近ちまたで言われている生物多様性戦略とどのように結びついているのかなという、非常に素朴な疑問なんですけど、水域でこういうものをきちっと保護するというのは、それはそれで専門家的にいいんですが、一般的な文脈で考えると、これも非常に重要な生物多様性保全の一環なんだろうなと思いつつも、それとは分かれたところで、ここで、こう議論しているような気がするので、もうちょっと全体の広がりがあるように、これがくっつくといいなと思ったので、どのようにお考えなのかをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

【古米部会長】 はい。髙村委員からご指摘のように、生物を取り扱った指標ですので、生物多様性という切り口、考え方との関連があります。私も検討委員会に関わっておりましたが、まず基本的に、底生生物自体の生態が壊れていないようにすることが目標で、もう少しレベルの高い多様性の確保という一つ前の段階での議論でした。しっかりとした底生生物がいるような環境を探ると。それができることによって多様性の議論も深まっていくというような状況の中で、対象水域の代表的な保全種をまず選び出そうと。しかし、そのときには、その生物の生態特性に依存しますので、ある意味、生物多様性とも関わった観点で生物種が選ばれてきているというように私は理解しています。

ただ、確かに、この報告書の中に生物多様性という切り口からどう議論が始まっているかという文言はございませんし、底層DOの議論の段階でも、生物を保全するという観点で多様性のところまでは至っておりませんので、将来的にそういった観点とのつながりや方向性が出てくるものかなと、私としては理解しております。どの程度、事務局のほうでその関連性を今後展開していくかというのは、次の段階かも分かりませんけど、何か事務局から追加でご説明があれば、お願いしたいと思います。

【筒井水環境課長】 今、部会長のおっしゃられたところに、尽きるというふうに考えております。

現在の、特にこの底層DOの状況を踏まえれば、多様性というのは、将来的なゴールとしては、当然ながら意識はし続けておるところでございますけれども、まずはその一歩として、この東京湾とか、閉鎖性海域、それから湖沼などで問題となっていているこの底生の生物、溶存酸素の不足による生物の問題というものを解決していくということがまず第一歩になるというふうに考えております。当然ながら、全体の、そこの生物多様性という大きなアンブレラというか、そこの中での活動の一つ、一歩であるというふうに理解をしているところでございます。以上です。

【古米部会長】 河口委員、よろしいでしょうか。

【河口臨時委員】 ありがとうございます。これ、説明の仕方だけだと思うんですけれども、今年、生物多様性10年ということで、愛知目標も達成できないしとかいって、いろいろと、ここは加速度的に動きが強まってくるので、こういった問題に認識を持ってもらうためにも、生物多様性というキーワードとタグづけしておいたほうが、実際何やるのというところで、こういう、東京湾で身近でこんなことをやっているんですというような見せ方ができると、もっと注目度が集まって、私のようにあまりこういうことに知見のない人間でも、そういう切り口だと、琵琶湖を見る目とか、東京湾を見る目が変わって、大事だねって思ったりとか、そういう広い影響を考えると、非常に重要なコンテンツになると思うので、有効活用するということでお考えになるといいかなと思いました。以上です。

【古米部会長】 はい。ぜひ、生物多様性というキーワードをうまく関連づけながら、この底層DOの中における保全種の取扱いという形で、オープンにしていくということはとても私も大事だと思いますので、ご配慮いただけるようにしたいと思います。かに、いかがでしょうか。

福島委員、どうぞ。

【福島底層溶存酸素量類型指定専門委員会委員長】 どうもありがとうございます。ただいまご指摘のように、生物多様性との絡みという話は、それほどあまり表に出さないような格好でまとめてございました。少なくとも、生物が生息できる、あるいは再生産できる場にするというのが今回の大きな基準設定の目的でして、まず生物が住めるような環境に戻してから、多様なものがいられるようにまたプラスしていくというような考え方になっているかというふうに思っております。今後とも、言葉に気をつけながら、皆さんに分かっていただけるように努力したいと思います。どうもありがとうございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか。

【筒井水環境課長】 すみません。あと、先生方、大変申し訳ないんですけど、参考資料の1-1というのがございまして、パブリックコメントの結果について、少し私が飛ばしてしまいましたので、簡単にご説明させていただきたいと思います。

今年の4月から5月にかけまして、パブリックコメントを1か月間行いました。この中の意見について、簡単に紹介させていただきたいと思います。

東京湾のこの類型指定につきましては、大きく幾つかの意見がありますけども、この初めのところの1、2という意見が、見にくくて申し訳ないですけど、ほぼ同じでございまして、この東京湾の真ん中のところで、過去底層DOの低かったところを、ここを3類型にしていますけど2類型にすべきだというような話でございます。

ここについては、地域の中の検討会でも議論したところでございますけれども、最終的に、まずは、ここについては3という形でセットした上で、そこに向かって改善を取り組んでいこうということになっておりますので、原案のとおりということとさせていただいております。

あと、幾つかありますけれども、細かなところでございますけれども、東京湾、ハマグリを保全種に入れていますけれども、これは純粋な江戸前ではないので不適切ではないかというようなご意見をいただいておりますけれども、ただ、これは地域の関係者の意見を踏まえた上で、ハマグリについても保全対象種として、検討対象として入れたということでございます。

それから、4番目の意見でございまして、シャコの関係でございます。シャコの情報、卵の形態、卵の状況などについて、不正確なところがあるということですので、これは当初の専門委員会の報告から部会への報告では直させていただいているところでございます。

それから、報告書の記載についてということでございまして、記載の中で、底層DO対策については、多角的取組が必要であるというようなことを書いてほしいということなどのご意見もいただいております。

それから、評価方法についても、やはり評価を今後決めていく上で、湾灘協議会などでしっかりやっていくべき、そういうことを書いていくべきというような話もいただいているところでございます。

さらに、ほかの意見、7、8、9のところでは、意欲的な類型指定だということでお言葉をいただいていると、一方で、8のところでは、対策をより提示していくべきではないかと、9番目のところは、ほかのところの水域の指定についても検討されているのかということでございます。これについては、今後の参考とさせていただきますとともに、他の水域の類型指定については順次進めさせていただきたいというふうに考えております。以上です。

【古米部会長】 どうも、追加の説明、ありがとうございました。ほかにご質問、ご意見がなければ、次に進みたいと思いますが、それでは東海委員、お願いいたします。

【東海臨時委員】 この底層の溶存酸素量をこういう形で入れていただくというのは大変重要なことだというように認識しております。今回のまとめで結構かとは思いますが、少し気になったことだけコメントとして述べさせていただきたいと思います。

一つは、この溶存酸素の水塊というのは、海流とかの流れによってかなり移動しているということが1点です。そういうことについての記載があまりないように思いましたので、そこと、場所としての類型との関係というのは少し気になりました。

それから、同じように、貧酸素水塊が動いたときに、今回、東京湾の場合、魚5種について特に移動能力が低いという形で挙げられていますけども、幾つかの魚種については、貧酸素水塊を避けた形でその縁に漁場が形成されるということは、よく知られていることですので、ある程度の移動能力があるという上で、こういう形になっているんだということの理解も少し必要かなと思いましたので、コメントをさせていただきます。その分野の専門家の方々のご意見でつくられていますので、当然、ご理解の上だとは思いますけども、一応コメントさせていただきたいと思います。以上です。

【古米部会長】 よろしいでしょうか。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。先生、ありがとうございます。ご指摘、受け止めさせていただきたいと思います。そういうところも含めて、評価の方法なんかも非常に難しいということで、地域的に状況を見た上で、目標の達成、どういうところを達成するかということを考えていきたいというような、この評価方法になったということもございます。

これはご参考でございます。以上でございます。

【古米部会長】 ほかにございますでしょうか。特になさそうですので、幾つかご指摘をいただいたこととしては、まず、コイの野生型あるいは古代種というところ、マアナゴの最新情報、あと生物多様性については報告書案の中にどう取り込むかは未定ですが、その方向性みたいなものを周知するというような点がありました。また、ご指摘の貧酸素水塊が移動することとか、あるいは貧酸素耐性評価値である95%値であることに応じて、日間平均値が2日間以上、下回るかどうかで達成の可否を評価するということ、すなわち魚類の移動する能力も含めた上で、必ずしもその日間平均値が2日続か、1日程度であれば大丈夫だろうという趣旨で基準値が設定されている内容が分かるような形でこの基準値を運用していただくとともに、測定もしっかりしていただくということを皆さんに周知することがとても大事だということのように私も理解いたしました。そのように反映させていただきたいと思います。ということで、一部修正ということで進めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【古米部会長】 特にないようですので、それでは、次の議題に進ませていただきます。議題の2、六価クロムに係る水質環境基準の見直しについてということで、また事務局からご説明をお願いします。

【筒井水環境課長】 引き続き、水環境課の筒井からご説明させていただきます。報告案は資料2-2でございますけども、資料2-1にそのポイントをまとめておりますので、これに沿ってご説明させていただきたいと思います。次のスライドは環境基準の説明でございますので飛ばさせていただきます。

次のスライドですが、健康項目の中で、六価クロム、今回基準の見直しをさせていただきたいというものについては、この健康項目の中の六価クロムでございます。現在、0.05mg/L以下という環境基準値が設定されているところでございます。

次は、基準値設定の見直しについて、どのような経緯かということでございます。元々はというところでございますけれども、2018年9月に内閣府の食品安全委員会が六価クロムのTDIを見直しました。1.1μg/kg体重/日ということで、これは資料2-2の別添3、4のところに書いていますけども、雄のマウスの十二指腸のびまん性の上皮過形成のBMDLから導き出しているということでございます。

これに伴いまして、これから計算していきますと、水道の水質基準が0.05という環境基準と同じ値であったものが、0.02に改正になったということでございます。

これを踏まえまして、環境基準の基準値も見直しを始めたということです。

その結論につきましては、新たな基準値として、水道の水質基準と同じになりますけれども、六価クロム0.02mg/L以下を提案させていただくという内容でございます。

ここの水質基準値、基準値の設定の仕方でございますけれども、特徴的なところとしては、寄与率のところでございます。60%を採用させていただいています。

普通ですと、環境中からの、環境基準の健康項目を設定するときには、地下水とかの水の飲用の寄与なんかを考えて10%を使うのが通常なんですけども、ただ、ここの食品中のクロムというのは、三価の状態で存在しているということですが、ただ、飲料水以外からの六価クロムの摂取経路というのは、ないとは言えないと、基本的には三価なんだけれども、飲料水以外のところの食品からの経路が確かにないとは言えないと。一方で、水道水中については、残留塩素の影響で、水道水中ではクロムはほぼ六価で存在するということから、水道の飲用の寄与率は高い値の6割、60%で設定をさせていただいているということです。これは、厚労省のほうの水道の水質基準の考え方と同じような考え方の結論となっております。

そのようなことから、従来の基準値を0.05mg/Lから0.02mg/Lに見直すことが適当ということでございます。

次のスライドでございますが、六価クロムの基準値の見直しに伴いまして、分析方法への影響を簡単にご紹介させていただきたいと思います。

幾つかの方法を指定しておるんですけれども、吸光光度法、ジフェニルカルバジド吸光光度法のところにつきまして、光路長、セルの光路長を50mmと明記させていただくと、濃度が低くなるということで、光路長の長いセルを使うことを明記させていただくということでございます。

それから、この電気加熱原子吸光法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法、流れ分析法につきましては、標準品を用いた添加回収率確認作業を追加するということでございます。

一方で、フレーム原子吸光法につきましては、目標とする定量下限値、環境基準の半分という値でございますけど、これを満たさないということから削除するという方針でございます。

これまでの経緯ということでございますけど、このことにつきましては、健康項目環境基準専門委員会でご議論いただいて、3月にパブリックコメント、その上で今回に臨んでいるところでございます。

参考資料の2のほうで、パブコメの結果を簡単にご紹介させていただきます。全て測定方法に関する話でございます。

細かい話ですので、本当、簡単にでございますけれども説明します。吸光光度法で50mmセルを使う場合の、その場合の説明が不明瞭だということでしたので、これは適宜、文章を専門委員会報告から直させていただいております。

もう一つ、3、4というところの質問分類ですけど、これは添加回収試験の頻度などについてのことの意見というか、質問というようなものでございます。そこは、全数全て実施頻度は必要ない、必要ないけれども、各試験機関で十分な精度が担保できるようお願いするということでございます。

それから、5、6については、先ほどの吸光光度法、100mmセルは使えるかというような話でございます。そういうようなところでございますので、そこが使えないというふうにみえない、使えるようにも読めるように、これも適宜文章は修正をさせていただいたところでございます。

それから、7、8は、定量下限値の質問、確認的なものでございました。そういうことでございますので、回答を示しているところでございます。

9、10ですけど、9については、これは溶存態を測っているのに、そこが不明瞭ではないかというような話ですので、これはご意見として承るということになります。

10番目は、フレーム原子吸光法を除外というふうにしましたけども、追加してほしいというご意見をいただいていますけど、これについては、やはり公定法としての定量下限値、それから繰り返しでの分析の変動係数などから、やはり今回は外させていただくという形とさせていただきたいと思います。

あとは、簡易的な分析方法を適用してもいいかという話ですけど、これはあくまでも簡易分析法をやった場合は参考値とするというような話。

それから、12番目のところは、LC-ICP-MSですね。これを、分析を加えてほしいということです。これについては、意見の中でも、分析機関は少ないけれども、将来的に進む、測定方法として、これは、三価と六価をよく分別、定量できるということもあるので加えてほしいという話ですので、これは今後の意見として参考にさせていただきたいということでございます。

最後の13番目のところですけれども、年間平均値を基準値とするのは納得いかないということでございますけども、これは環境基準項目の基準値、主に長期摂取の影響を踏まえた平均値ということですので、ご理解をいただきたいというようなことでございます。一方で、大きな値が出た場合には、原因究明の調査等について、各都道府県などでお願いするように、我々、環境省としてもお願いをしているというところでございます。以上でございます。

【古米部会長】 ご説明、ありがとうございました。それでは、今の説明につきまして、ご質問、ご意見を受け付けたいと思います。いかがでしょうか。それでは、西川委員、その後に大久保委員の順番で、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。まず、西川委員、お願いします。

【西川臨時委員】 基準値が厳しめになるということ、それは全く異論がないことでございます。それから、それが食品安全委員会の評価に基づいてなされているということ、これも全く問題がないのですが、そうすると、何の確認もできないということなので、ちょっと念のため、食品安全委員会の評価書を見てみました。

そこで、幾つかちょっと確認していただきたいことが見つかったのですが、資料にもないことであり、すぐにお答えしにくいことかと思いますので、できる範囲でお答えいただければと思います。まず、説明にもありましたように、食安委でベンチマークドーズを用いた方法によりTDIが求められています。環境基準値を一通り見てみますと、これまでベンチマークドーズを用いたTDIを使用されたということは、恐らくなかったかと思います。

したがって、今後もこういう方法を導入していくことになるのかどうかについて確認させていただきたいと思います。それが1点。

それから、もう一つ、食安委の評価書を見ますと、マウスの長期試験で、小腸のがんが出ております。さらに、in vitro、in vivoの多くの遺伝毒性試験が陽性となっております。

したがって、通常は、こういう物質に対して遺伝毒性のある発がん物質という評価をするのが普通かと思うんですが、実はいろんなメカニズムの検討から、遺伝毒性試験では陽性であるが、発がん性には関与していないだろうということになっています。

その、最も大きな根拠として、トランスジェニックマウスを用いた遺伝毒性試験で、発がんの標的となる小腸で陰性であるということが重要な根拠となっております。

ところが、長期のマウスの試験と、トランスジェニックマウスの系統が違うわけです。ストレインですね。つまり、毛の色から言ったら白い毛のマウスと黒い毛のマウスを使っていて、おそらく発がんの標的臓器も違うわけなので、トランスジェニックマウスで遺伝毒性が陰性だからといって、長期試験のマウスの発がんに遺伝毒性が関与していないとはどうも言えないような気もしますので、これは念のため食安委に確認していただくことになるんでしょうか。もちろん環境省でお答えいただければいいのですが。

それから3点目。環境水中の六価クロムというのは、ほとんどが人為的要因によるという記載があります。もしも本当に遺伝毒性が払拭されていないのであれば、排出を止めればいいわけなので、もっと厳しめの対応もあり得るのかなと思いました。

以上について、可能な限り、お答えいただければと思います。以上です。

【古米部会長】 ご質問ありがとうございました。事務局、いかがでしょうか。

【筒井水環境課長】 ありがとうございます。水環境課課長の筒井でございます。お答えさせていただきたいと思います。

1枚目のところにつきまして、ベンチマークドーズの関係のTDIからということで、このような形で今後導入をしていくことになるのかということでございますけれども、我々としては、今後この健康項目などにつきましては、幅広くいろんな評価について、食安委の評価というのは政府の中では非常に重いわけでございますけれども、そういうところも含めて、そこはまた国際的な評価なども踏まえまして、各項目ごとに専門家の先生方の意見を聞きながら、最終的なところの値については決めていきたいと、このように考えているところでございます。

2番目のところにつきましては、ちょっと、そこのところにつきましては、我々としてもご意見として承って、また食安委などにも確認などをさせていただきたいと思っております。

最後のところの、環境中の六価クロムについての値につきましては、これもご意見として受け止めさせていただきたいと思います。今のところ、食安委のTDIがこの値という形になっておりますので、この値で、まずは改定をさせていただきたいというふうに考えております。

以上です。

【西川臨時委員】 それで結構です。

【古米部会長】 それでは、大久保委員、お願いいたします。

【大久保委員】 ありがとうございます。基準の見直し自体には全く異存がございませんが、健康項目ですので、可及的速やかに環境基準を達成するために、現時点で新しい基準を仮に当てはめてみると、超過している地点が何地点かあるということでした。報告書案にはPRTR情報なども載せていただいており、量としては下水道が多いけれども、必ずしも下水道の寄与とは限らないというような趣旨のことが書かれています。今後の排水基準の改定も含めまして、基準達成に向けた見通しといいますか、タイムスケジュールについて、もし現在検討していれば、分かる限りで教えていただければと思います。以上です。

【古米部会長】 お願いします。

【筒井水環境課長】 はい。すみません、私が詳細な説明を少し飛ばしましたけれども、現在の環境中での新たな基準値超過事例、5ページのところに示させていただいております。

ここ数年で、公共用水域については平成24年に超えた地点が最後、地下水については平成30年が最後ということで、地下水については年1か所ぐらいというようなところでございます。これにつきましては、地下水は、これはもう、今、飲み水という形で使っているところではないというところも確認されています。引き続き、これについては、自治体など、水質汚濁防止法の担当部局のほうで、引き続き指導などをしていただくという形になると思います。

それから、排水基準につきましても、今日この結果を、環境基準値、お認めいただければ、早急に作業に入っていきたいというふうに考えております。以上でございます。

【古米部会長】 大久保委員、よろしいでしょうか。

【大久保委員】 はい。ありがとうございます。

【古米部会長】 それでは、ほかにご質問、ご意見はありますでしょうか。特に挙手がなさそうですので、それでは。

【大塚委員】 あの、大塚ですけど、ちょっと今、手を挙げていないんですけど、よろしいでしょうか。

【古米部会長】 どうぞ。

【大塚委員】 よろしくお願いします。今、大久保委員が聞かれたことに、さらにちょっと追加して、お伺いしておきたいところがありますけども、今回、六価クロムがこれだけ環境基準が厳しくなると、地下水の浄化の基準のほうにも影響すると思うんですけども、そうすると、今まで対策をもし取っていた事業者が、新しい基準との関係でさらに対策を取らなくちゃいけないかという問題が発生する可能性がありますので、今のところ、地下水の浄化基準との関係では、浄化命令が出たことは1件もないんですけども、多分、自治体のほうで行政指導はなさっていると思いますので、ちょっとそういう問題が出てくる可能性があるということを、環境省さんのほうでちょっとお考えいただく必要があるということを、ちょっと一言申し上げさせていただきたいと思います。以上です。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。ありがとうございます。

その問題、これに伴う関係のいろいろなところへの波及というところにつきましては、省内でもいろいろ意見交換をさせていただいており、引き続き、検討を進めてまいりたいと思っております。以上でございます。

【大塚委員】 ありがとうございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。ほかに。浅見委員、どうぞ。

【浅見臨時委員】 申し訳ありません。実は、ちょっと食品安全委員会のワーキンググループに、最後のほう参加させていただいていたものですから、西川先生のご指摘に補足するのは大変恐縮なんですけれども、若干、議論の様子をお話しさせていただければと思います。

食品安全委員会のほうでも、この六価クロムの見直しにおきましては、発がん性をどう評価するかというところは確かにお話になっておりまして、遺伝毒性を、in vitroの一部の試験ですとか、in vivoの試験でも陽性というのが見られた場合はあるんですけれども、飲水として投与した場合ですとか、飲水としての評価の中では、遺伝毒性として評価できるものはちょっと考え難いという判断もございまして、今回の数値につながったものでございます。

十分低い値になっております上に、現在の曝露の状況からいきましても、十分余裕があるものではないかということで、TDI等の余裕もあるんではないかということでしたので、そのような議論になって、もう考慮した上の数値だということで、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。

また、全体の動きとしましては、恐らくベンチマークドーズを用いてという評価がだんだん増えてきて、増えてくる可能性はあるかなと思われますので、一番いい方法で評価された安全評価の値を用いて、水道の基準の見直し等行われておりますので、それと合わせた形で見ていただくことの機会が増えてくるのではないかなという、ちょっと個人的な感触ですけれども、補足をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

【古米部会長】 どうも、追加のご説明、ありがとうございました。ほかにございませんか。

【西川臨時委員】 よろしいでしょうか。

【古米部会長】 はい、どうぞ。

【西川臨時委員】 西川です。よく分かりました。浅見先生のおっしゃることで納得しましたけども、どうもその評価書全体を眺めてみても、明らかに遺伝毒性が関与しているかどうかまでは明記されていないんですよね。何かこう、もやもやとしたところが残ったものですから、確認させていただきました。これ以上、結構です。ありがとうございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

ほかにご質問、ご意見はいかがでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 特段、挙手がございませんでしたので、ただいまのご説明のとおり進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

それでは、次の議題に移ります。議題3、水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しということで、事務局よりご説明をお願いいたします。

【筒井水環境課長】 引き続きまして、水環境課の筒井からご説明をさせていただきたいと思います。ここに書いてありますとおり、大腸菌数の環境基準化に向けた検討ということで、報告案をまとめさせていただいております。

生活環境基準項目の説明については飛ばさせていたただきます。次に、今、この生活環境項目については、河川、湖沼、海域について、こういう項目が定められているというところでございます。ポイントとしては、河川、湖沼、海域においても、全てのところで大腸菌群数という形で環境基準項目として設定されていると。

右のところは、これ、河川の環境基準の一部の部分だけの例でございますけれども、これは類型AAから、実はC、D、Eまであるんですが、Cから下は書いてありません。といいますのは、この大腸菌群数の設定があるのは、AAとA、Bだけなのでということあります。そういうようなことで、今このAAとされるような河川の部分、それからAとされるような河川の部分、それからBとされるような河川の部分では、こういう形で、水道でどういうような浄水操作が想定されるかなどによって、この大腸菌群数の基準も定められているということでございます。

そこで、なぜ、そういうような大腸菌群数という、今の指標から大腸菌数に変えたい、変えるという話になっているのかということなんですけども、この背景のところに書いていますけれども、環境基準設定当初は、大腸菌は直接測ることができないということから、大腸菌群数として環境基準が設定されております。

大腸菌群は、ふん便由来ではない細菌も測定されるというところがございます。ということで、ふん便性の汚染を的確に捉えていないということがございます。

一方で、現在は大腸菌の測定方法も確立されています。ここに、下の図がありますけれども、この大腸菌数と大腸菌群数の関係性をプロットしたものでございます。この下のところで挙動が一致しないと書いていますけれども、大腸菌数で値を測ると、極めて低いのにもかかわらず、大きな値が大腸菌群数では出てくるということでございます。

そういうようなことから、平成30年の10月から、生活環境項目基準専門委員会で、環境基準専門委員会で審議を開始したというところでございます。

今の大腸菌群の環境基準の考え方が、どういう考え方から決まったかということを、ここでは書いています。先ほどちらっと説明させていただきましたけれども、当時、その1970年台初めの当時、まず、その河川・湖沼のAA類型、水道1級、これは、水道1級とは何かというと、ろ過等による簡易な浄水操作を行うような水道ということなんですけれども、塩素滅菌により死滅させ得る大腸菌群の安全限界値ということで、50MPN/100ml以下であるということを決めております。

さらに、次の水道2級というのは、通常のろ過操作などの浄水操作を行うものということでございまして、そういうようなもので対応できる範囲、さらに、河川のB類型というのは、前処理などを伴う高度な浄水操作というようなことを想定しての設定になっております。

基本的に、このように、浄水場の浄水操作のレベルによって、当時はこの値を決められたという経緯があるということです。これはご参考でございます。

次に大腸菌の基準値案ということで、ここから、今回の案についてのご説明でございます。まず、大腸菌、ふん便性汚染などを捉えていくために、どういう指標があり得るかという話でございます。これ、大腸菌数、ふん便性大腸菌群数、腸球菌ということでございます。結論から申しますと、大腸菌数にするということなんですけれども、ふん便性の大腸菌数ですと、ふん便汚染を受けていない水や土壌に存在する細菌が検出される場合がある。腸球菌につきましては、国内の海域における水質調査で検出地点が少ないと。検出された場合も、大腸菌数と比較しまして非常に小さいということですし、指標として採用するのは難しい面があるということで、今回については、この大腸菌数という形で見直すことが適当ではないかという話、結論とさせていただいているところでございます。

次に大腸菌の環境基準案ということでございます。検討の方法としては、どういう基準にすべきかというのは、この水道、水浴、それから自然環境保全という観点から検討させていただきました。水道1級、2級、3級ということでございますけれども、ここに河川及び湖沼の水質汚濁対策の推進につながることから、水道利用の観点を踏まえて基準値を設定しているということでございます。これは、水道1級、2級、3級に相当するようなところでの原水、しかも、きちっと環境基準が守られているような原水での大腸菌の実態から導出をしているということでございます。これは、詳細をまた後ほどご説明します。

水浴の考え方ですけれども、これは国内での疫学調査の事例がなかなか見つからなかったということもございまして、海外における疫学調査結果を踏まえた、設定された、USEPAの水浴水質基準、320CFU/100mlというものを参考に導出しております。自然環境保全というところでございますけれども、先ほど申しましたとおり、従前の場合は、浄水の観点からだけで値を決めていたんですけども、今回、自然環境の利用の観点から、人為汚濁のない、ほとんどない清涼な水環境を目指す値として、このような水環境を目指す値として設定するのは意義があるのではないかという専門家の方々のご意見をいただきました。

そういうことから、現在、自然公園等に指定されている水域の中でも清浄な水質のところの、そういう水域を保全していくことには意義があるということから、人為的な、そういうような、ふん便汚染が少ないと考えられる地点の大腸菌数の実測値から設定をしております。

具体的な案でございます。ここに示させて、次のスライドでございますけれども、河川、湖沼のAA類型、水道1級、自然環境保全、淡水での水道1級、それから自然環境保全のところでございますけれども、これについては、自然環境保全として、その人為的なふん便汚染が極めて少ないようなところについては、20CFU/100ml以下という値を設定させていただいているところでございます。

一方で、この水道1級のところ、そういうような自然環境保全のところではないけれども、水道1級、これは、今設定しているところでは、昭和40年、45年当時とは水道の浄水技術も変わっていますし、水道法規も変わってきております。基本的に、表流水については、ろ過操作を行うというのは水道法でも決まっているところでございますけれども、そういうような状況ですけれども、簡易的な処理、そのような方法で浄水処理が行われているようなところでの水質の実態などを踏まえまして、これが147CFUという形になっていますけれども、そこからその基準値を算出、導出しております。

それから、河川か湖沼、海域のA類型というところでございます。ここにつきましては、水道2級、それから水浴、自然環境保全の観点からということでございます。水道2級、水浴のところは同じ値とさせていただきたいということでございます。USEPAの水浴基準、320CFU/100mlと、水道2級、通常の、急速砂ろ過のような処理を行っているところで、かつ、その原水のBODの基準などを満たしているようなところ、そういうようなところの実態を踏まえますと、350CFU/100mlということでございます。

この値から300、この上のところもそうですけれども、切捨てでの値で320、350からの切り捨てで300という値としています。

それから、自然環境保全、海域の中でも、非常に自然環境保全が求められるような水域、自然公園のところのきれいな海域のようなところについては、そういうようなところの実態値から20CFU/100mlというのを設定させていただいております。

それと、河川B類型というところでございます。水道3級と書いていますけれども、これは、水道の中でも高度浄水、活性炭とかオゾンとか、そういうようなものをやっているようなところで、今のB類型を満たしているような環境基準の原水におけるふん便汚染の状況というところを踏まえまして、これが結果として大体1,500CFU/100mlというところでございました。これの値を切り捨てて、評価をしたということでございます。

そして、また、評価の方法につきましては、年間の90%値で評価をすることが適切ではないかということでございます。これは、年間、月1回、12回測った上で、やはり、この大腸菌というのは、出水とか、そういうところでどうしても特異な値が出る場合があり得るということで、年間12回のうち、1回程度はそういうことが出てくるというところも踏まえまして、ただ、2回出てくるようなところについては、やはり、そういうようなところは問題というか、そこの地点の評価すべき値として見るべきだろうというような意見もありまして、90%値評価という形になっています。ちなみに、アメリカの、この水浴の水質基準のところの320CFU/100mlも、90%評価での値ということになっております。

これまでの経緯と今後の予定につきましてでございますけれども、平成30年、それから昨年度、専門委員会を開催させていただいて、議論をしていただきました。パブコメを経た上で、それで、この部会に報告案をお出ししているというところでございます。

パブコメの結果につきましては、参考資料3のところで書いてあります。これも全て測定方法のところでの意見ございます。簡単に説明させていただきたいと思います。

ナンバー1から4のところについては、CFUではなくてMPN法を採用してほしいという主な意見でございます。ここについては、ここの右側に書いてありますけれども、MPN法についても検討を行いましたけれども、海域の試料などで、液体培地を使ったMPNのほうが大腸菌数が高い測定を示す、それから擬陽性というようなところもあったものですから、今回、この案については、特定酵素基質寒天培地を用いたメンブランフィルター法が適切だというかたちとさせていただいているところでございます。ただ、ご意見としては、今後の参考とさせていただきたいということでございます。

次のところでございます。5とか6のところですけれども、培地について具体的に例示してほしいとか、その具体的な培地の同等性評価について言及してはどうかということでございますけど、これは原案で対応できますので、原案のままとさせていただきたいというようなところでございます。

7については、培養方法、希釈時の培養方法の話でございます。ろ過法ではなくて、混釈や塗抹でいいかという話でございますけど、精度を保つためには、やはり方法、測定方法、操作を統一させていただきたいということで、ご理解をいただきたいということでございます。

8番につきましては、滅菌の仕方のところ、同等の性能で滅菌というところ、高圧蒸気滅菌または同等の性能というところに加熱滅菌も明示してほしいということでございますけれども、これについては「同等の性能」で読めるということで、対応可ということで、原案どおりとさせていただきたいというようなところでございます。

さらに、ペトリ皿のところのJIS規格について、規格を外してほしいというような話がありましたけれども、同等のところ、滅菌してあることを前提に器具及び装置をいただくことを可能な旨、記載しておりますので、これも原案どおりとさせていただきたいというかたちです。

それから、大腸菌の測定方法の部分での、滅菌の条件にする170℃で1時間というところは、食品衛生の検査指針などで、160~180℃、1時間加熱というふうに書いてあるのでということなので、これは文章を修正させていただきたいというふうに考えております。

それから、簡易培地を使わせてほしいということにつきましては、この簡易培地の精度確認試験を行っていないので、今後の参考とさせていただきたいというふうに考えています。

それから、12、13、14といったようなところでございますけど、これは、河川環境中には水生生物がいるので、この方法では擬陽性があり得るのではないかとか、過剰計測につながるのではないかと。それから単位、「CFU/100ml」から、もう少し普遍的な単位にしてはどうかということのご提案もいただいておりますけれども、これについては今後の参考とさせていただきたいというふうに考えております。

あと15、16、最後のところでございますけども、見直し賛成というところ、それから施行時期の考え方について示してほしいということで、それについてはお答えをさせていただいているところでございます。以上でございます。

【古米部会長】 どうもご説明ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見を受け付けたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。谷口委員、お願いいたします。

【谷口臨時委員】 どうもありがとうございます。谷口です。

この説明資料の5ページに、大腸菌群数については、「ふん便汚染を的確に捉えているとは言えない状況にある」ということでして、では、過去の、大腸菌群数をずっと常時監視ということで測ってきたわけですけれども、この行為についてはどうだったのか、どう評価するのか。すなわち、税金をつぎ込んでいろいろと調査をしているんだけれど、ふん便汚染というものについては不十分だったということなのか、それとも、それはそれなりに地域の環境の状況を把握できていて、成果はあったのではないのかということなのか、その辺どう考えるのかがちょっとよく分からなかったもので、教えていただければと思います。それから、大腸菌数を環境基準の項目にしていくということについては大賛成です。以上です。

【古米部会長】 いかがでしょうか。

【筒井水環境課長】 先生、ご指摘ありがとうございます。ここでは、表現としてそういう書き方をさせていただいておりますけれども、当然ながら、過去、これまで測ってきたということについては意味があるというふうに考えております。当然ながら、そういうような中で、様々な施設の整備とか規制がなされてきたというところでございますので、そういうことによって、水域における衛生、安全性というものが確保されてきたというふうに考えているところでございます。

しかしながら、今回、より正確に、ふん便性汚染を捉えることができる、この大腸菌の方法に変更させていただきたいと、こういう趣旨でございます。以上でございます。

【谷口臨時委員】 ありがとうございます。私は、そこのところをしっかりと、環境省の側から地方自治体のほうに説明しておかないと、それぞれの現場での常時監視の予算措置について、このことによって困った問題が生じてはいけないと思いますので、今説明されたようなことはぜひ、この改正についての施行通知などで触れておいてほしいなというふうに思うので、その点、よろしくお願いします。

【筒井水環境課長】 先生、どうもありがとうございます。そこについては、きちっと、施行通知という形とか、それから自治体への説明会などでもきちっと触れさせていただきたいと思っております。以上でございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。それでは、浅見委員、お願いいたします。

【浅見臨時委員】 ありがとうございます。今、谷口委員からご指摘いただきまして、個人的には、大腸菌群数のほうが安全側といいますか、非常に効果的な指標の一つであったのではないかという気持ちもないことはないんですけれども、例えば、水源を見るときに、大腸菌群数のほうが確実に、感度よく検出できるという点で、非常に大きな役割を果たしてきたかと思います。

ただ一方で、この最初のほうの議論で、大腸菌群数と大腸菌とという議論をしたときに、効果が見えにくい、それで大腸菌群ですと、野生の生物ですとか、どこからも出てしまう場合もあるということで、今回、正確性の高い大腸菌に変えていこうというようなことがあって、大分長くご検討をいただいたと思うんですけれども、その点から大腸菌になったということ、より分かりやすく、正確で、効果も分かるような形になるのではないかというふうに期待をしております。

今、筒井課長からご指摘がありましたように、そういった今までの指標と今回の指標との違いというのをご説明いただきながら、追って広めていただければと思います。すみません、ちょっとコメント的だったんですけれども、申し上げさせていただきました。ありがとうございます。

【古米部会長】 どうも追加のご説明ありがとうございます。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。ありがとうございます。先生のご指摘の趣旨を踏まえて、対応させていただきたいと思います。

【古米部会長】 それでは、田中委員、お願いいたします。

【田中臨時委員】 田中です。どうもありがとうございます。この改定の段階でも、今、谷口先生が言われているような議論が大分行われて、やはり大腸菌群数が確かに安全側には出るんだけども、どこが汚染しているかがちょっと分かりにくいということからも、やっぱりこういう形になったというふうに理解しています。

それで、ちょっと私のほうは、全面的にこの案で結構なんですが、今回、今後の予定というのが出てきていますので、この点についてちょっとお聞きしたいんですが、1点は、環境基準の中の、今度、類型を新たに決めるわけではないんですけども、自然環境保全と水道1級というのが同じAA類型であっても、新たに自然環境保全というのを設定するエリアが出てくるのか、あるいは水道だけを適用するようなケースが出てくるのか。A類型も多分、同じようなケースになると思うんですけども、それはどの段階で、どういうふうにされていくのかが、ちょっと分かりにくかったので、今、環境省のほうのお考えがあれば教えていただきたいというのが1点です。

2点目は、やはり、その測定は多分、来年度から始まると思うんですが、達成性の議論がその翌年ぐらいにされる。そのときに、エリアによっては達成できないというところが出てくるということになってくると思うんですが、排水の規制、これも今、大腸菌群数になっているんですけども、大腸菌に、どういうスケジューリングに変えようとされるのか、あるいは、まだ当面、様子を見られるのか、この辺の、今後の進捗がどうされるかを、現時点でお分かりの点の範囲で教えていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

【古米部会長】 いかがでしょうか。

【筒井水環境課長】 先生、ありがとうございます。AAの中で、AAとかの中で、自然環境と分ける形になるのだけれどもどうなるのかということでございますけど、基本的にこの施行、4月1日、来年施行、4月1日見込みと書いています。まだ決まっているところはございませんけれども、我々としてはそういうふうにやっていきたいというふうに考えていますけれども、基本的にはその類型、河川とか湖沼で、現在どういう目的がメインで類型指定されているかというところを踏まえた上で、できるところは4月の1日から、どちらかということを決めていただくことができればと思っています。

ただ、この辺は、また自治体とか声なんかも聞いた上で、少し柔軟性を持たせるということも考える必要があるというふうには、当然、理解しているところでございます。

一方で、排水のほうですけれども、本日お認めいただければ、この排出基準の検討も進めさせていただきたいと思います。さすがに、同時にということは難しいんですけれども、あまり遅れないようなかたちで基準値を設定できればと思っています。

いろいろ技術的な検討事項がありますが、ただ、いずれにせよ、あまり遅れてはいけないという意識を持ちながら検討を進めさせていただきたいと、このように考えております。

【田中臨時委員】 どうもありがとうございました。50年ぶりに変えますので、今、筒井課長の言われているように、速やかに、やはり、いろんな形で対応、準備のほうをよろしくお願いしたいと思います。以上です。

【古米部会長】 それでは、豊田委員、お願いいたします。

【豊田臨時委員】 今回の改正、大賛成です。私、土の中の微生物を研究しているんですけれど、大腸菌群とほぼ同じような培地での挙動を示すものがいるんですが、これ、大腸菌ではないという経験、たくさんありますので、今回の改正、賛成です。

2点、お伺いしたいことがあるんですが、たしか、大腸菌群を指標とした一つの理由に、大腸菌を正確に、安価に測定するのが難しいので、簡易的に大腸菌群を指標にしていたと記憶しているんですけれど、この点、近年の研究の進歩か何かで、大腸菌を簡単に、正確に測れるようになったんでしょうかというのが一つ目で、二つ目は、この大腸菌群の問題。カット野菜とか、いろんな食品にも当てはまるんですけれど、今後そういった方向にも適用していくお考えはあるんでしょうか。これが2点目です。よろしくお願いいたします。

【筒井水環境課長】 先生、ご指摘ありがとうございます。まさにその、最近というか、大腸菌につきましては、確かにこの当時、その昭和45年、6年当時、やはり当時、非常に大腸菌そのものを図るというのは、なかなか一般的な測定方法としては適当でなかったと。しかしながら、環境基準の前に、水道で、かなり前に水道水質の基準に基づきまして、大腸菌群から大腸菌への切替えなども行われております。

そのようなところも踏まえまして、大腸菌について、この環境水中についても、しっかりと個々の測定ができるのではないのかということを、検討の結果、結論を得られましたので、今回、こういうご提案をさせていただいております。

また、その食品とか、その辺のところにつきましては、食品そのものについては我々のほうの検討の範疇の外でございます。一方で、その水の使い方として、農業での使い方とかを踏まえた、そういうことはまた今後、いろいろその先、その辺のところは考えていかなくてはいけないところ、課題であるかなというふうには思っております。例えば、これは田中先生からも専門委員会のときにご指摘いただいたんですけれども、再生水とか、そういうところの安全性に係る知見などがなっているかなども踏まえて、これをどういうふうに、環境水のところの基準、環境基準の中で考えていくべきかということは、課題であるというご指摘をいただいております。これについては、引き続き、我々としても知見を収集していきたいと考えているところでございます。以上でございます。

【豊田臨時委員】 ありがとうございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。ほかにご質問、ご意見、ございますでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 特になさそうですので、今の説明のとおり、進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。続きまして、議題の4、総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲について、事務局より、ご説明をお願いしたいと思います。

【行木閉鎖性海域対策室長】 それでは続きまして、閉鎖性海域対策室、行木からご説明させていただきます。この議題は、ご審議いただく事項ということではなくご報告事項という性格のものとなります。

第9次水質総量削減につきましては、前回、3月17日の部会での議論を経て、答申をおまとめいただいたところでございます。今回は、そのおまとめいただいた答申を踏まえて、その後、事務局で進めました作業について、ご報告をさせていただきます。資料4をご覧いただければと思います。

まず、資料4でございますが、1ページ目のところは、まず、簡単にその答申、前回3月の際におまとめいただいた答申のポイントを示しております。

水質総量削減制度は、人口、産業の集中している広域的な閉鎖性海域としまして、東京湾、伊勢湾、それから大阪湾を含む瀬戸内海を対象水域といたしまして、CODと窒素、りんを指定項目として、汚濁負荷量の総量を削減する制度でございます。

汚濁負荷量は、具体的には排出濃度掛ける排出量ということでコントロールをしておりまして、国が排出濃度の幅を示し、その幅の中で、関係都府県が各業種ごとにそのC値を決定してコントロールをしていくと、そのような制度となっております。

前回の答申の中では、今後の、第9次における、各指定水域における対策の在り方といたしまして、東京湾と、それから伊勢湾のCODについては、生活排水対策に力点を置いて、もう一段、規制の強化を行うと。で、それ以外、CODの生活系以外、それから窒素、りん、大阪湾、瀬戸内海につきましては、COD、窒素、りん、全てにつきましては、ここまでの取組を継続するということで、規制の強化は行わないということが答申の結論であったところでございます。

私ども事務局で、総量規制基準委員会を立ち上げて検討するかどうかということも含めて、いただいた答申を基に、どう進めるかを検討いたしましたが、前回、3月の答申で、大きな方針をもうお示しいただきまして、必要な基準につきまして検討しましたところ、ごく軽微な変更にとどまるということとなりましたので、私ども事務局の判断といたしまして、専門委員会を設置せず、ここで、このような方向で総量規制基準について変更するということをご報告申し上げて、その上でパブリックコメントに供するということにさせていただきたいと考えているところでございます。

具体的に、水質総量削減の設定方法について、このように変えたいという案を2ページの上部にお示ししております。前回いただいた答申を踏まえまして、第9次の水質総量削減における総量規制基準の設定方法につきましては、時期区分・業種その他の区分・水域区分については第8次と同等といたしまして、東京湾、伊勢湾の生活系のCODにつきまして、改正の必要性について検討を行いました。

具体的な検討の仕方としましては、3ページ以降の別紙に詳細を記しておりますが、時間の都合上、今回その詳細は申し上げません。要点を申し上げますと、これまでのC値の設定状況から強化の必要があるかないかという観点、それから、現状より悪化させないという観点から、C値、業種その他の区分、それから、時期区分、それぞれについて、そのC値の値の強化の必要性について検討いたしました。結論といたしましては、この表1で示しております、し尿浄化槽についての、Cjとされている時期区分、具体的には平成3年の7月1日以降に該当する時期区分の濃度ということになりますが、このC値を、第8次で45となっておりますところを、都府県が定めたC値の最大値まで引き下げ40に引き下げて強化をするということとしたいと考えております。

今後の予定でございますけれども、2ページ目の下でございますが、今月、6月から7月にかけまして、総量規制基準の設定方法の改正案につきましてパブリックコメント手続を実施いたします。

その結果が出ましたら、また今後、この部会にご報告をさせていただきます。

その結果に沿って告示を改正し、公布・施行をしていくということを、9月から10月に行いたいと考えております。

第9次の総量削減につきましては、国が示す総量削減基本方針の策定は12月頃に行いたいと思っております。

その基本方針を策定しました後、令和4年以降、関係都府県において、それぞれの総量削減計画の検討・策定がなされていくような予定となっていることを併せてご報告申し上げます。

私から、資料4につきましては、以上でございます。

【古米部会長】 ご説明、どうもありがとうございました。それでは、ご質問があれば、挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 特に挙手がないようですので、今ご説明がありましたように、この案でパブリックコメントに進むということで進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。続いて、議題の5番目でございますが、その他でございますけれども、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。

【行木閉鎖性海域対策室長】 続きまして、閉鎖性海域対策室、行木がご報告申し上げます。

こちらもご報告となりますが、ここのところ、環境省におきまして様々な動きがありましたので、それを簡潔にご報告させていただきたいと思います。

まずは資料5をご覧いただきたいと思います。前回、3月のこの部会でもご報告をさせていただきましたが、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正につきましては、2月に閣議決定をされ、国会に提出されたところでございました。その後、国会でのご審議を経まして、資料5の2ページのところの下に、国会での審議の状況が記されております。

これを見ていただきますと、4月に参議院、それから6月に衆議院での議論を経まして、2021年6月3日に衆議院の本会議で可決をされております。それから、公布ですが、資料では「P」、ペンディングとなっておりますが、これがまさに本日、6月9日付の官報で、法律第59号として公布がなされたところでございます。

改めまして、中央環境審議会におきまして、意見具申をおまとめいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。それが、まず一つ目でございます。

それから、今国会には、環境省から、この瀬戸法の関係以外にも3本法律を提出しておりました。簡単にポイントをご紹介させていただきます。まず、資料6-1をご覧いただければと思います。自然公園法の一部を改正する法律の概要です。この法律では、国と都道府県が保護管理を担う国立公園・国定公園におきまして、地方自治体や関係事業者等の地域の主体的な取組を促す仕組みを新たに設けるということで、二つほど柱がございますが、例えば、地域主体の自然体験のアクティビティ促進の法定化・手続の簡素化といったこと、それから、地域主体の利用拠点整備の法定化・手続の簡素化といったことなどを新たに設けることといたしまして、保護のみならず利用面での施策強化をいたします。これによって、保護と利用の好循環、自然を保護しつつ活用することで、地域の資源としての価値を向上するということを実現することを目指した法律改正でございます。こちらは既に、5月6日に公布がなされているところでございます。

続きまして、資料6-2ですが、地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律です。地球温暖化対策に関連しましては、昨年の秋に2050年カーボンニュートラルを目指すということで宣言がなされているところでございます。この宣言をまず基本理念として法律に明確に位置づけるということがなされ、それに加えて、その実現に向けた具体的な方策としまして、例えば、地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業を推進するため、計画や認定制度を創設するということ、あるいは、脱炭素経営の促進に向けて、企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進を行うといったようなことを盛り込み、様々な主体による取組を推進する仕組みを措置するというものでございます。この法律改正につきましても、既に成立、公布がなされてございます。

それから、三つ目が、資料6-3、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の概要でございます。この法律は、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理まで各段階で関連する、あらゆる主体におけるプラスチック資源循環の取組を促進するための措置を講ずるもので、基本方針をまず策定するということとした上で、個別の段階ごとに措置事項を設けまして、設計・製造段階といたしましては、環境配慮設計指針を策定するということとしております。それから、販売提供の段階では、使用の合理化を促すということで、判断基準の策定などを行います。それから、排出・回収・リサイクルの段階では、市町村別の分別収集、再商品化の促進、それから製造販売事業者などによる自主回収を推進するということ、それから、排出事業者での排出抑制や再資源化を進めるために判断基準を定めるといったようなことを行うということが内容となっております。これによりまして、資源循環の高度化に向けた環境整備、循環経済への移行を目指すというものでございます。この法律も既に国会で成立をしているところでございます。

資料はないのですけれども、そのほかの動きについても、少しご報告をさせていただきます。資料6-2でご紹介いたしました温暖化対策法にも関連いたしますが、昨年秋の2050年カーボンニュートラルに向けた宣言がなされたところでございますが、これを実現するために、現在、政府では、国・地方脱炭素実現会議と呼ばれる会議が設置されておりまして、国と地方が協同して2050年に脱炭素社会を実現するために、ロードマップ、それからそのロードマップを実現するための関係府省や自治体などの連携の在り方を検討して議論を取りまとめるということで、検討が進められております。昨年の12月25日に第1回目の会議が開催され、本日の6時過ぎから第3回目の会議が開催される予定となっておりまして、この会議の中で、地域脱炭素ロードマップ案などの取りまとめにむけた議論がなされるという予定となっているところでございます。このように、現在、環境省では、ここまでご審議いただいた瀬戸法や総量規制基準、それから本日ご議論いただいた様々な課題のほかにも、脱炭素社会の実現に向けた動きなど、いろいろなことが起こっているところでございます。以上、私から報告させていただきました。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。ただいま資料5、資料6でご説明いただきましたけれども、何かご質問があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【大塚委員】 大塚ですけど、よろしいでしょうか。

【古米部会長】 はい、どうぞ、お願いします。

【大塚委員】 恐れ入ります。瀬戸内法の改正に関して、1点だけちょっと確認をさせていただきたいんですけども、基本的なことかと思いますが、すみません。瀬戸内法の12条の3の汚染負荷量の総量の削減の規定が今回削除されたと思うのですけども、これは、そのCODに関しては、瀬戸内法で総量規制の規定をなくして、これは水質汚濁防止法の施行令のほうで対応するということなんでしょうか。ちょっと教えていただけますでしょうか。

【古米部会長】 いかがでしょうか。

【行木閉鎖性海域対策室長】 閉鎖性海域対策室の行木です。まさに先生におっしゃっていただいたとおりでございまして、瀬戸法で今回除きました12条の3に関連いたしましては、総量規制の中身自体は変更せず、この後、水質汚濁防止法の施行令を改正いたしまして、水質汚濁防止法の中で一本化して扱うということにしております。

【大塚委員】 そうすると、今までは、CODは、瀬戸内に関しては瀬戸内法でやってたけど、それを水濁法の施行令のほうで水濁法と一本化するという、そういうご趣旨ですね。

【行木閉鎖性海域対策室長】 そのとおりでございます。

【大塚委員】 はい。ありがとうございました。どうも恐れ入ります。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。ほかにご質問はありますでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 特に挙手がないようでございます。それでは、その他、議題の5は終わらせていただきたいと思います。事務局より、追加でご発言があるということですので、お願い申し上げます。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。ただいま閉鎖性海域対策室長の行木よりご説明させていただきましたとおり、最近、急激な環境行政への転換点というか、節目を迎えているところでございます。2050年、カーボンニュートラル、それから2030年の温室効果ガス排出削減目標の改定とか、それから、今日ご紹介させていただいた瀬戸法の改正、さらに国・地方の脱炭素の実現会議など、こういうような動きがございます。こういった社会、環境行政の変化というのを踏まえまして、できましたら、また次回の部会において、今後の水環境・土壌環境などの行政の方向性につきまして、委員の先生方からご自由に意見をいただくような時間帯をぜひ設けさせていただきたいと考えておりますので、ぜひ、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。これで、本日予定しておりました議題は終了となりますが、全体を通じて何かご意見、ご発言があれば、お受けしたいと思います。いかがでしょうか。

(なし)

【古米部会長】 特段、ないようですので、以上をもちまして、水環境・土壌農薬部会を閉会とさせていただきます。

事務局に進行をお返ししますので、連絡事項等があればお願いしたいと存じます。

【事務局】 本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、先生方にご確認をいただきました後に、ホームページに掲載させていただきます。次回、第3回につきましては、本日と同様にWEB会議で、7月29日を予定しております。以上で終了いたします。どうもありがとうございました。

【古米部会長】 どうもありがとうございました。

午後5時30分閉会