環境基準健康項目専門委員会(第19回) 議事録

日時

令和3年2月26日(木) 10001049

場所

Web会議システムにより開催

議事録

午前9時58分 開会

○小林係長  それでは、定刻より少し時間が早いですが、第19回中央環境審議会水環境・土壌農薬部会環境基準健康項目専門委員会を開会いたします。

 委員の皆様には、ご多用中にもかかわらずご参集賜り、誠にありがとうございます。本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ウェブ会議での開催とさせていただいております。会議中、音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら、事務局までお電話またはウェブ会議のチャット機能にてお知らせください。

  また、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。ご承知おきください。

  それでは、議事に先立ちまして、環境省水・大気環境局長の山本よりご挨拶申し上げます。

○山本局長  皆様、おはようございます。ご多忙のところ、本専門委員会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

 また、日頃より水環境行政の推進につきまして、格別のご指導をいただいておりますことにこの場をかりて御礼申し上げたいと思います。

 さて、本委員会につきましては、これは平成14年8月の諮問、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて、これを受けまして、これまでに18回にわたりましてご審議をいただいてきておりまして、この結果に基づいて環境省におきまして人の健康の保護に関する環境基準等の見直しを行ってきたところでございます。

 本日の委員会では2つの議題についてご審議をお願いしたいと考えております。1つ目の議題は六価クロムの環境基準値の見直しについてであります。こちらにつきましてはできましたら見直し案をパブリックコメントの手続にかけたいと考えておりますので、専門委員会報告案としてお取りまとめいただければと考えております。

 2つ目の議題は、前回、ご審議いただきましたPFOS、PFOAの代替物質でありますペルフルオロヘキサンスルホン酸、PFHxSにつきまして、最新の国内外における動向や水環境中における検出状況等を踏まえ、その取扱いについてご審議いただきたいと考えております。実はたまたま昨日、国会でこのPFOS、PFOAにつきまして審議で取り上げられておりまして、バイデン政権になってこちらについて規制を強化するということがありました。PFOS、PFOAもそうですけれども、その代替物質の本日ご議論いただくPFHxSについても、大変そういう意味では重要な事項だと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 委員の先生方には、専門的見地から幅広いご意見を賜りたいと思いますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

○小林係長  ありがとうございました。

  本日は委員総数10名中9名の委員にご出席いただいております。なお、岡田委員からはご欠席とのご連絡をいただいております。委員につきましては、お手元にお配りしております委員名簿をもってご紹介に代えさせていただきます。

 続きまして、事務局を紹介いたします。本日はお名前のご紹介のみとさせていただきます。

 水・大気環境局の山本局長、森光審議官、水環境課 筒井課長、鈴木課長補佐、斉藤課長補佐、能登環境専門員、本日、司会進行を務めます小林でございます。また、土壌環境課地下水地盤環境室 新田室長、伊藤室長補佐、伊藤主査でございます。

 以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。ご発言の際はお名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、ご発言についてはこのマークで確認いたします。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、ご発言いただきますよう、お願いいたします。

 ご発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、ご協力よろしくお願いいたします。

 続きまして、資料の確認に移ります。資料は議事次第に記載のとおり、議事次第、委員名簿の資料1、資料2及び資料3、参考資料1から3を事前にメールにてお送りしております。もし、不足等がございましたら、改めてお送りいたしますので、お申出ください。

 よろしいでしょうか。

 それでは、以降の進行は白石委員長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○白石委員長  では、議事の進行を務めさせていただきます。早速ですが、議事に入りたいと思います。まず、議題1の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しに係る第6次報告案について、事務局から資料の説明をお願いします。

○小林係長  それでは、資料2、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しに係る第6次報告案について、ご説明させていただきます。資料の1ページ目をご覧ください。

  まず、6次報告となっておりますが、これは参考資料1の平成14年8月の諮問を受けた6回目の報告案ということでございます。内容は六価クロムに関する環境基準値の見直しについてです。見直しを検討することとした経緯は、1ページ目の「2.検討事項」に記載のとおり、平成30年9月に内閣府食品安全委員会において、六価クロムの耐容一日摂取量TDIが1.1μg/kg/日と評価されたことを受けて、令和2年4月に厚生労働省において水道水質基準の基準値が0.05mg/Lから0.02mg/Lに改正されております。このような状況を踏まえ、今般、水質環境基準健康項目である六価クロムの基準値を見直すことについて検討を行いました。資料の2ページ目にその検討結果を記載しております。

 結論から申し上げますと、六価クロムについては従来の基準値0.05mg/Lを0.02mg/Lに見直すことが適当であると考えております。また、変更する基準値に基づいた場合においても、公共用水域等における検出状況から見て、従来どおり水質環境基準健康項目とすることが適当であると考えております。

  基準値の導出根拠については、1)に記載のとおりです。TDIについては内閣府食品安全委員会において評価された1.1μg/kg/日を、また水道水質基準の改正においては飲料水以外からの六価クロムの接種経路が確かにないとは言えないため、水の飲用の寄与率は60%とすることが適当とされております。

  これらの結果を踏まえ、六価クロムの基準値についてはTDI 1.1μg/kg/日に対し、水の飲用に係る寄与率を60%、体重と1日当たりの摂取量については従来どおり50kg、2L/日として、基準値を0.02mg/Lに見直すというものです。

 また、新たな基準値案における過去10年間の公共用水域及び地下水の検出状況については、12ページ目の別添2をご覧ください。公共用水域においては、平成22年度から平成24年度の計4地点で、地下水においては平成23年度、平成27年度、平成28年度、平成30年度及び令和元年度に計6地点で新たな基準値の超過が確認されています。このような検出状況から見て、六価クロムについては従来どおり水質環境基準健康目とすることが適当であると考えております。

 続いて、「4.測定方法」です。基準値を強化する六価クロムの測定方法については、18ページ目の別添5に整理しております。測定方法につきましては、従来の測定方法のうち、必要な定量下限値を担保できないと考えられるフレーム原子吸光法を除外するとともに、そのほか測定上における注意事項を追記することで測定方法を整理しております。

 事務局から報告案に関する説明は以上です。

○白石委員長  ただいま説明のありました資料につきまして、ご質問、ご意見がありましたら、お願いします。では、浅見委員が挙手がありました。お願いします。

○浅見委員  ありがとうございます。聞こえますでしょうか。

○白石委員長  聞こえています。

○浅見委員  すみません、ありがとうございます。今般の六価クロムの改正につきまして、このようなご趣旨で進めていただくのでよろしいのではないかなと思いますが、ちょっと2点質問というか、1点が質問で、1点はちょっと状況の補足をさせていただければと思います。

 1点は検出状況なんですけれども、最近はあまり検出が見られないということなんですけれども、資料別添2の13ページのところで、過去の検出事例で0.22mg/Lという地下水での検出事例がございました。これはどのような状況で検出をされているのかとか、その後フォローアップをどのようにされているのかというのを教えていただければと思います。

 もう1点は、水道のときにも議論になったことなんですけれども、クロム自体は塩素が入っておりますと水道水中では六価にどんどん転換をしていきまして、水道水としては六価の検出が8割ぐらいを占めるのではないかという検出事例がございまして、詳細に調べるとクロムとしてはそのようになるんですが、測定法上は今、全体のクロムが測れるような形で測定をしておりますので、安全側といいますか、クロムの全体として事実上は見ているような状況になっております。

 今回の測定方法では、一応分離をしつつなんですけれども、排出源のほうではクロムとしての排出を抑制するということも踏まえて、今後も対策をしっかりととっていただければと思います。以上でございます。よろしくお願いいたします。

○白石委員長  ありがとうございました。これは事務局からご回答願えますでしょうか。お願いします。

○伊藤室長補佐  地下水の検出状況についてお答えいたします。0.22mg/Lを記録した地点でありますけれども、平成27年度の調査で明らかになったときに自治体において周辺の地区の井戸の調査も行われ、周辺では汚染はなかったという結果になっております。また周辺の事業者への立入調査等もこのとき行われておりますが、設備の不具合等もなかったということで、検出原因については特定できていないという状況となっております。自治体で月1回のモニタリング調査がその後継続されておりまして、基準の見直し後も継続して調査を実施していく予定と伺っております。

○小林係長  それでは、2つ目のご意見につきまして、ちょっと事務局のほうからもコメントさせていただければと思います。

 まずはご意見ありがとうございます。今後、クロム全体として環境基準において見ていく必要があるのではないかということについてなんですけども、今回、六価クロムの見直しに関しましては、内閣府食品安全委員会において耐容一日摂取量が評価されたことを受けて、速やかにその結果を反映すべく検討を行ったものということで、まずは六価クロムの基準値の見直しを早急に行うということで本日、ご審議させていただいております。ご意見いただいた部分につきましては、今後も検討していく必要があると考えておりますので、クロム等の取扱いにつきましては今後の検討課題とさせていただき、今後も環境省として知見の集積を行っていきまして、必要に応じて環境基準項目の見直し等を行っていければと考えているところでございます。以上です。

○白石委員長  よろしいでしょうか。

○浅見委員  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。今回の測定方法に関しましては、定量下限値等はご検討いただいいるということでよろしいでしょうか。

○小林係長  そのとおりでございます。

○浅見委員  よろしくお願いいたします。

○白石委員長  ありがとうございました。では、ほかの委員の方で。鈴木委員から挙手ありました。鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員  鈴木です。ありがとうございます。今の続きなんですけれども、基準値を見直す方向性はそれでいいと思いますけれど、賛同いたします。新しい基準値を運用するに当たりまして、有効測定地点数というのは現在の環境測定のうち新基準値を満たさない地点数が一定程度存在するようでありますが、その新しい方法に対して各測定試験を担当している部局、自治体さんというものは大概対応できる見込みなんでしょうかという点をご質問いたします。

○白石委員長  よろしいですか。では、事務局からお願いできますか。

○小林係長  事務局からご回答させていただきます。今回の分析法の見直しにつきまして、別添5にまとめさせていただいているところでございます。従来ですと、フレーム原子吸光法が入っていたのですが、こちらについては今回の環境基準値の見直しに当たって、その定量下限値の担保が難しいからといった理由で除外をさせていただいているところでございます。それ以外の分析法につきましても、その精度の確認試験等を行いまして、その測定の中で諸条件等、追記をさせていただいているところです。これらの測定方法を用いれば今後は0.02mg/Lの基準値に対する定量下限値を満たすことが可能になると考えているところでございます。なお、一般的に各自治体において最も普及している方法としてこのジフェニルカルバジド吸光光度法というものが用いられているんですけれども、そちらについては光路長50mmの吸収セルを用いることによって、今回の定量下限値を満たせるというところについては確認を行っております。以上です。

○鈴木委員  分かりました。運用が始まれば今回の言葉で言う有効測定地点数は大体同じになるような見込みだという理解でよろしいでしょうか。

○小林係長  おっしゃるとおりかと思われます。

○鈴木委員  分かりました。ありがとうございます。

○白石委員長  ありがとうございました。では、他の委員、お願いします。平沢委員、お願いします。

○平沢委員  ご説明どうもありがとうございます。説明よく分かりました。厳しくなったので排水規制も厳しくなると思うんですけども、六価クロムの排出源等は大体分かっているんでしょうか。事業者とか鉱山とか何かその手の、あるいは廃棄物とかというのが質問なんですが。

○白石委員長  では事務局、お願いします。

○小林係長  ありがとうございます。こちらにつきましては、水質汚濁物質排出量総合調査というものを令和元年度に実施しておりまして、その中で排出の報告があったところにつきましては、今、平沢委員からもありました金属製品の製造業であったり、鉄鋼業、あと繊維工業等からの排出が報告されているところであります。一方で、この調査の結果においてはということにはなるんですけれども、その結果によれば鉱業採掘業、あと砂利採取業等からの六価クロムの排出の報告はありませんでした。

○平沢委員  どうもありがとうございました。

○白石委員長  ありがとうございます。他、いかがでしょうか。與語委員、お願いします。

○與語委員  すみません、與語ですけど、よろしいでしょうか。

○白石委員長  お願いします。

○與語委員  質問なんですけれども、6ページ目の(2)環境中運命のところで、2パラ目、3パラ目辺りになるんですけれども、これを見ると六価クロムの化学種というのは、下の※印のところを見るとかなり三価に比べて水溶解度が高いというのを示していただいているんですが、3パラ目のところに一応、「水域における全クロムの多くは、粒子状で存在する」ということで、下を見ると粘土とか有機物とか酸化鉄なんかに吸着する状態ということですが、2パラ目にあるような六価クロムはかなり水溶解度が高いように思うんですが、それも含めて全クロムが粒子状で存在するというような理解でよろしいでしょうか。以上です。

○白石委員長  事務局、いいですか。

○小林係長  それでは、事務局のほうからお答えさせていただきます。おっしゃるとおり、基本的な環境中運命といったところにつきましては、ここの記載しているとおりではございます。ただ、下の※印にも書かせていただいておりますけど、pHの状態によっては三価クロムとして水中で存在するといった情報もありますので、「水域における全クロムの多くは」といったところで、全てではないといったところに関してはこの記載の補足説明とさせていただければと思います。今ので回答になっておりますでしょうか。

○與語委員  ありがとうございました。よく分かりました。以上です。

○白石委員長  ありがとうございます。ほかにご質問、ご意見、ございますでしょうか。ほか、ございませんでしょうか。それでは、ほぼご意見出尽くしたと思いますが、よろしいですか。特にご賛同する意見以外はなかったように思うんですが、本資料2の内容を本委員会の報告案として取りまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。

(全委員 異議なし)

○白石委員長  ありがとうございます。ご異議がないようですので、本資料を報告案として取りまとめたいと思います。 それでは次に、今後の進め方について事務局より説明をお願いします。

○小林係長  ご審議ありがとうございました。今後、環境省において、今、ご審議いただきました報告案を取りまとめた後、パブリックコメントを行います。パブリックコメント期間終了後、事務局においていただいたご意見に対する回答案を作成しますので、委員の皆様方にメール等で確認させていただきたいと思います。

 再度、専門委員会を開催するかどうかはパブリックコメントの結果を踏まえて委員長にご判断いただきたいと思います。専門委員会報告がまとまりましたら、水環境・土壌農薬部会において委員長よりご審議いただきたいと考えております。以上です。

○白石委員長  専門委員会報告については、ただいまの説明のとおり進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(全委員 異議なし)

○白石委員長  異議がないと思いますので、それではそのように進めることとしたいと思います。

 それでは、次の議題2に進みたいと思います。ペルフルオロヘキサンスルホン酸について、事務局から資料の説明をお願いします。

○小林係長  それでは、資料3、ペルフルオロヘキサンスルホン酸についてご説明させていただきます。資料の1ページ目をご覧ください。

 まず、今回の検討の背景・経緯等として、昨年度、第18回環境基準健康項目専門委員会において、PFOS及びPFOAを要監視項目に位置づけることについて、第5次の報告を取りまとめていただいたところ、本日の専門委員会ではその代替物質として使用されているPFHxSが2019年9月に開催されたPOPs条約の締約国会議の下部組織である残留性有機汚染物質検討会議POPRC第15回会合において、PFHxSを附属書Aへ追加することを次回以降の締約国会議に勧告することが決定されました。そこで、このような動向を踏まえ、本日はPFHxSの取扱いについて整理を行うものです。

 1ページ目に記載の「2.検討に当たっての基本的な考え方」においては、これまで答申等で整理されてきた水質環境基準項目、要監視項目、要調査項目における物質選定の基本的な考え方を記載しています。今般、PFHxSの取扱いの検討に当たっては、この考え方に基づき、2ページ目以降に「3.PFHxSに係る基礎的情報」を整理しております。

 まず、(1)PFHxSの毒性情報についてですが、PFHxSはPFOS及びPFOA同様、自然環境中では極めて分解されにくく、高い蓄積性を有するなどの特徴が報告されています。

 続いて、(2)PFHxSの主な用途、製造・輸入量についてです。PFHxSは主に撥水撥油剤、界面活性剤として使用されており、これはPFOS及びPFOAの用途と類似しております。そのため、PFHxSはこれらの代替品として使用されております。国内における具体的な製造・輸入量については不明ですが、一部の企業においては過去にPFHxSとその塩及び関連物質が製造されていた可能性が報告されています。また、アメリカでは、1980年代から2000年代前半にかけて、数トンから数百トン程度製造されており、中国においては2020年頃までにPFHxSの関連物質を含む製品の製造量は年間1,000トンを超える可能性が報告されています。以上のことから、これまで国内において製造・輸入された製品はいまだ一定量市中に存在している可能性が考えられ、これらの市中に存在する製品が使用された際に、例えば過去に製造されたPFHxSを含む泡消火薬剤が火災時に使用された場合、環境中に排出される可能性が考えられます。

 (3)国際的な動向についてです。先ほどご説明したとおり、PFHxSについては次回以降のPOPs条約の締約国会議において、附属書Aへ追加することを勧告することが決定しています。PFHxSに関する飲料水の目標値等については、現在、WHOにおいて飲料水水質ガイドライン値は設定されていません。また、一部の国や機関において、目標値や有害性評価値の設定が行われているものの、こちらについては資料11ページ目の表7をご覧ください。

 表7には、諸外国における飲料水の目標値等を整理しており、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機構やデンマーク、スウェーデン、EUにおいては他の有機フッ素化合物の有害性評価の結果に基づき、複数の物質の合算値として目標値が設定されていたり、ドイツ、カナダ、韓国においてはPFHxS単独で目標値が設定されていても、その値は限られた科学的知見に基づくものであり、国際的に見てもPFHxSに関する科学的知見が十分に得られているとは言いがたい状況です。

 (4)国内の動向についてです。化審法においては、今後、POPs条約の締約国会議において、附属書Aへ追加することが決議された場合、所要の措置を講ずることになるものと考えられます。

 水道水質基準等については、現時点で水道水質基準、水質管理目標設定項目、要検討項目のいずれにも位置づけられていませんが、厚生労働省が2021年1月に開催した令和2年度第1回水質基準逐次改正検討会において、PFHxSを要検討項目へ位置付ける方針について検討が行われています。

 (5)水環境中におけるPFHxSの検出状況についてです。15ページ目の表9をご覧ください。2018年度と2019年度に環境省で実施したPFHxSの水質調査結果によると、全調査地点中の9割以上の地点でPFHxSの検出が確認されています。また、各地方公共団体等が実施した調査においても、PFHxSの検出事例が報告されています。

 これらの状況を踏まえ、「4.PFHxSの取扱い方針案」を3ページ目に整理しております。PFHxSについては、次回以降のPOPs条約の締約国会議において、附属書Aへの追加が勧告されることになっていますが、現状ではWHO等において飲料水水質ガイドライン値は設定されておらず、国際的に見てもPFHxSの有害性に関する科学的知見が十分に得られているとは言いがたい状況であり、要監視項目へ位置付けるための判断に必要な情報が十分にあるとは言えません。一方、PFHxSとその塩及びその関連物質は、過去に国内において製造・輸入されていた可能性があり、国内で実施されたPFHxSの水質調査結果においても水環境中からPFHxSの検出が広範囲に確認されています。

 以上のことから、PFHxSについては要調査項目として位置づけ、有害性に関する科学的知見の集積を行うとともに、水環境中からの存在状況について知見の集積を図っていきたいと考えております。資料3に関する説明は以上です。

○白石委員長  では、ただいまの説明のありました資料につきまして、ご質問、ご意見がありましたらお願いします。佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員  佐々木です。聞こえておりますでしょうか。

○白石委員長  聞こえております。

○佐々木委員  今回のご説明ですと、全国でかなり検出されているということですが、随分以前に都内の河川調査を行った際にも、PFOS、PFOAについて高濃度が検出された河川もございまして、今回の要監視項目に設定することは適切だというふうに私も考えます。

 ただ、PFOS、PFOAのときにも申し上げたんですけれども、有機フッ素化合物というのは10種以上一括分析できますので、こういったように要監視項目になりますと、また代替物質というような動きもあるかと思われます。今後に向けてその関連物質につきましても環境実態、検出状況を取得しておくということが望ましいのではないかというふうに考えます。以上です。

○白石委員長  ありがとうございます。では、事務局からご回答ございましたら、お願いします。

○小林係長  ご意見ありがとうございます。佐々木委員よりご意見いただきましたとおり、確かに有機フッ素化合物を複数同時に測定できる手法があるといったこと、こちらとしても認識しているところでございます。当然、他の有機フッ素化合物に関しましてもその知見の集積を図っていきたいと考えておりますので、引き続き、有機フッ素化合物全般の知見の集積に努めてまいります。以上です。

○白石委員長  佐々木委員、よろしいでしょうか。

○佐々木委員  ありがとうございます。

○白石委員長  ありがとうございます。他の委員の方々、いかがでしょうか。広瀬先生と浅見先生。広瀬先生からお願いします。

○広瀬委員  広瀬です。ありがとうございます。代替物質ということで、構造も近いということもありますので、調査して今後もウォッチするということは賛成したいと思います。ただ、事務局から説明がありましたように、毒性の評価というのは構造が似ているから似ているという予測はできるんですけれども、それほど知見が集積されていないということもあるということで、ちょっともし、こういう毒性が固まったり、あるいは水質で決まったりしたら、今後は要監視項目に変わったりする予定とかはあるんでしょうかというのが1つ質問と、コメントとしては先ほど佐々木委員からもありましたけれども、他の物質もという話で監視していくというのは私も必要かなというふうに思います。

 他の国のいろいろな基準というのは20物質まとめてとかヨーロッパはしていますけれども、これは毒性がというよりは検出実態から物質連携しているという感じもありますので、それだとちょっと矛盾なんですけれども、毒性の評価というのが追いついてこないということがあったときに、将来的には、毒性がある程度固まらなくても何か感知するとかそんな方向とか予定とか事務局のほうにあるんですかねというのがちょっと質問として聞きたいです。よろしくお願いします。

○白石委員長  ありがとうございます。では、今のご質問にご回答ありましたら、お願いします。

○小林係長  広瀬先生、ご意見ありがとうございます。広瀬先生ご意見いただきましたとおり、当然ですけれども、今後も新たな知見が得られていくなかで毒性評価等も定まってくるようであれば、今、要調査項目へのPFHxSの位置づけについてご審議いただいているところですけれども、要監視項目への位置づけの変更といったことも当然、今後、想定されてくることかと思われます。一方で、もう一点いただきました他の物質について、その検出状況から有機フッ素化合物といった形での位置づけについて検討されるのか予定はあるのかといった点につきましてですけども、今回につきましてはあくまでPFHxSがPOPs条約等で国際的な動きもあり、国内においても水道水のほうで要検討項目へ位置づけられるといったような動きがあることをもって今回、PFHxSの位置付けについて検討させていただいているところです。

 当然、ご指摘ありましたとおり、他の有機フッ素化合物、こちら佐々木委員のご意見とも関連するんですけれども、今後の知見の集積状況に応じて、その水質環境基準体系上での位置付けについては今後も検討していければというふうに考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。以上です。

○白石委員長  ありがとうございました。広瀬委員、よろしいですか。

○広瀬委員  お願いします。

○白石委員長  検討していくということで。では、浅見委員お願いします。

○浅見委員  ありがとうございます。1点目は今の広瀬委員のともちょっと関連するんですけれども、要調査項目に設定して、ぜひ計画的にといいますか、モニタリングがPFOS、PFOAも含めて計画的にできるようにというふうにお願いしたいと思います。

 ちょっと測定上の問題の1つに定量下限を確保するのが難しいとか、あと分岐鎖の定義をどうするかというところもあるんですが、それに加えて標準物質が今、輸入のものしか、当方のほうで知っている限りは主立った物質以外に関しましては輸入のものしかないので、それが非常に高くて1か所で購入して分析するにはかなり高価だということもありまして、国内でもちゃんと入手可能なような体制も整備が進むことを望みたいと思っております。もし、可能であれば、そのようなご支援もお願いできればと思います。

 あと、もう一点はちょっと細かいところなんですけれども、12ページの下のところにドイツの状況が書いてありまして、ちょっと水道のときにも議論になったんですけれども、「この評価はボーダーラインケースである」という表現がちょっと分かりにくいかもしれないかなというのがありまして、なかなか毒性の評価が難しいところもあるんですけれども、この辺のちょっと補足の説明を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○白石委員長  では、事務局からご回答お願いします。

○小林係長  事務局から回答させていただきます。1点目につきましては、今後も水質調査に当たって各自治体等でも推進していけるような分析法、手法の検討等も行うという趣旨でのご意見かと思いますので、そちらにつきましては、今後も分析方法について、こちらとしても知見集積を行っていく上で検討してまいりたいと思いますので、その点についてはまた何かしらある程度の知見の集積がまとまってまいりましたら、自治体の皆さまにもお示しできるような形を考えていければと考えているところでございます。

 続きまして、2点目のご質問について、ドイツの有害性評価値の説明にボーダーラインケース等の表現ということで、ここはちょっと補足させていただきますが、今回、有害性評価値の記載についてはあくまで原文そのままちょっと和訳させていただいたものを記載させていただいているところです。こちらの趣旨についてですが、ドイツにおきまして、他の有機フッ素化合物においても有害性評価の結果の試験結果があるんですけれども、そのような他の有機フッ素化合物においては90日間以上の曝露試験結果が用いられております。ただ一方で、PFHxSは42日間曝露試験の結果を採用しているということをドイツとしてはこれはぎりぎり評価に採用できるという趣旨の表現かと思いますが、それをボーダーラインケースであると記載していると考えております。なので、環境省としても今回、PFHxSの位置づけに当たりまして、このドイツの有害性評価値につきましては限られた科学的知見に基づき、導出された値であると判断しているところでございます。以上です。

○白石委員長  ありがとうございました。浅見委員、よろしいでしょうか。1点気がついたんですけど、別紙1の5ページ目ですかね、構造式に直鎖だけしか書いていないんですけども、分岐鎖も含めるということでよろしいですね。でしたらここに何か例とかで少し記載しておくといいのではないかなと思います。

○小林係長  ありがとうございます。

○白石委員長  ほかご意見、ご質問いかがでしょうか。平沢委員、お願いします。

○平沢委員  どうもありがとうございました。だんだん非常に定量限界が低い物質になってきて大変だなと思うんですけども、今回のレベルがナノグラムレベルのものが多いので、今後のことなんですけれども、よその国のように何か合計値で判断するというようなPFOS、PFOA、PFHxSですか、合計値で規制、環境基準を捉えるとかということもあり得るのかなというのが思ったところでございます。

 それからもう一点は、検出したときに個々に検出されるのか、あるいはPFOS、PFOAがあったらPFHxSもあるのか、その辺の物質ごとというか、3つの物質の存在形態みたいなものは環境水中でどうなのかなというのがちょっと知りたかったです。

○鈴木課長補佐  環境省からお答えします。3つの物質の形態ということでしたけども、これまで環境省で調査をしたところ、PFOSとPFOAを昨年度調査をしているんですが、どっちか出ればもう片方も出るところは多かったなという印象です。ただ、場所によってやっぱりPFOAが多い場所とかPFOSが多い場所というのはそれぞれあるかなと。

 PFHxSについては、今後、同じように調査をしていきたいと思います。自治体で一部やっているようなところでは、やっぱり一緒に出てくるというような場所もあると聞いています。

 それから、1点目のご質問の合計値で示していくのかということにつきましては、それをまさにこれからいろんな国際的な動向とか、国内外の動向をしっかりと調べて、またそういう動きを参考にして検討していきたいというふうに思っております。

○平沢委員  どうもありがとうございました。結構です。

○白石委員長  ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。與語先生、お願いします。

○與語委員  與語です。またこれも質問ですけれども、先ほど説明がありました11ページ目の表7に複数のものをまとめて、今、平沢先生とか広瀬先生とかいろいろとご質問あったんですけども、まとめて合計値として調べるところと、PFHxSを単独でというのはあるんですけども、合計値でやっている国に関する質問ですけど、よくダイオキシンなんかでは毒性等量みたいな考え方があるんですけども、最終的にはそういうところを目指していわゆる合量値でやっているのか、それとも単純に量的なところだけで見ているのか、何かそういう情報とかはございますでしょうか。

○小林係長  事務局よりお答えさせていただきます。先ほどちょうど広瀬先生からもお話がありましたとおり、基本的には各諸外国で検出されている値につきましては、環境中から検出されているというような状況をもってこれらの物質をそれぞれ設定しているといったところになっております。なので、例えば表8のほうを見ていただければと思うんですけど、そういった記載を入れさせていただいているところがございまして、例えばデンマーク、スウェーデンについては地下水で検出された12物質を対象として、これらの物質というような合算での設定というようなところでございます。以上です。

○鈴木課長補佐  ちょっと補足をしますが、その等量みたいな考え方も一部導入はやっぱりされているのかなとは思いますが、ちょっと我々として今後、どうやっていくのかというところはまたいろんなケースを見ながら検討していきたいと思っております。

○筒井課長  すみません、またさらに補足なんですけれども、ここのところの毒性値というのは先ほど広瀬先生からありましたけれども、まだ国際的なところが決まっていないところが非常に多い物質だというふうに考えております。そういう意味での情報収集を踏まえた上で、先ほど申し上げたような形での検討を進めてまいりたいと思います。

○與語委員  どうも、現状を踏まえてよく分かりました。どうもありがとうございました。以上です。

○白石委員長  ありがとうございます。

○広瀬委員  すみません、今のでちょっと横から入ってよろしいですかね。広瀬ですけど。

○白石委員長  広瀬先生、お願いします。

○広瀬委員  等量の考え方について、多分使っているところは私のところではまだないと思います。検出はしているけども、例えばPFOSと同じだと見なして安全側というか、予防的な評価でやっているというところもあれば、出ているから合わせているというところもあるし、あるいは疫学調査でまとめた等量でやると、関連性があったからというのもある。ちょっと本当に国に、評価機関によって同じまとめなんですけども、使い方が結構統一されていないというのが実態です。今後はどうなるか分かりませんけど。補足です。   

 以上です。

○鈴木課長補佐  すみません、等量について御指摘ありがとうございます。

○白石委員長  ありがとうございました。よく分かりました。

○與語委員  広瀬先生、どうもありがとうございました。よく分かりました。

○白石委員長  では、鈴木委員、お願いできますか。

○鈴木委員  鈴木です。ありがとうございます。要調査項目にするという方針はよいと思いました。資料の中にPFHxSの主な用途、製造・輸入量等について、必ずしも十分な情報はないという記載がございます。それはそうなんだろうと思いますが、またこの用途、製造量等を調べることは水質監視の数字の中で必ずしも行うべきことではないのかもしれないとも思いますけども、しかし多分、調査と同時に、用途、製造量がどのように動いているかということを見ていくこと自体は多分重要なことかと思いますので、もう一つは関連物質という点についてもこちらから情報を得られる可能性もあるかと思いますので、今後ともこれらの物質の用途、製造・輸入量とどのような形で測定値が推移していったりするのかどうかということは見ながら、方針を見直す可能性を考えていただければと思います。以上です。

○白石委員長  ご質問ありがとうございます。ご回答ありますか。

○小林係長  鈴木委員、ありがとうございます。まさに鈴木委員のおっしゃるとおりでございまして、今回の資料に当たっても、経産省にも問合せさせていただいているんですけれども、有益な情報が得られなかったといったところでこのような表現とさせていただいております。当然ですけれども、今後、PFHxS、国際、国内ともにこのような動きが進んでいくことも承知しておりますので、そういった情報についても関連して集めていければと考えております。以上です。ご意見ありがとうございました。

○白石委員長  お願いします。他の委員の方はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、ご質問、ご意見出尽くしたと思いますが、よろしいでしょうか、閉めて。特に追加のご意見、ご質問がないようでしたらば、ペルフルオロヘキサンスルホン酸を要調査項目として位置付け、引き続き知見の集積を図る必要があるということで、取りまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。ご異議なしということでよろしいでしょうか。

(全委員 異議なし)

○白石委員長  ありがとうございます。では、次に、今後の進め方について、事務局より説明をお願いします。

○小林係長  ご審議ありがとうございました。ただいまご議論いただきましたペルフルオロヘキサンスルホン酸については、要調査項目に位置付けることで今後、必要な作業を進めてまいります。以上です。

○白石委員長  専門委員会報告については、ただいまの説明のとおり進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(全委員 異議なし)

○白石委員長  では、そのように進めることとしたいと思います。それでは、議題3、その他について、何かございますでしょうか。

○小林係長  事務局からは特にございません。

○白石委員長  それでは、ちょっと若干早いですが、ご協力いただきまして、スムーズに審議を進めることができました。これをもちまして、本日の審議は全て終了しました。事務局から連絡事項をお願いします。

○小林係長 本日はお忙しいところ、ご審議いただきまして誠にありがとうございました。本日の議事録につきましては、事務局で案を作成し、後日、委員の皆様にお送りいたします。全員のご確認をいただいたものを環境省ウェブサイトにて公開いたします。

 それでは、以上をもちまして、第19回環境基準健康項目専門委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

午前10時49分 閉会