第7回 環境省国立研究開発法人審議会 会議録

日時

平成29年7月21日(金)9:57~12:02

場所

場所航空会館(501+502)会議室

議題

(1)平成28年度に係る業務実績等報告及び評価(素案)について

(2)その他

配布資料

資料1 環境省国立研究開発法人審議会委員名簿

資料2 国立環境研究所について

資料3 国立環境研究所平成28年度業務実績等報告

資料4 平成28年度業務実績等報告書

資料5 平成28年度業務実績等報告書資料編

資料6 平成28年度決算関係書類

資料7 平成28年度監査報告書

資料8-1 平成28年度に係る業務実績評価書(素案)項目別評定総括表

資料8-2 平成28年度に係る業務実績評価書(素案)(抜粋)

資料9 平成28年度に係る業務実績評価(素案)に対する意見シート

資料10 第3期中期目標期間期間業務実績評価書における指摘事項への対応状況

資料11 今後の予定

参考資料1 環境省国立研究開発法人審議会運営規則

参考資料2 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)

参考資料3 国立研究開発法人国立環境研究所法(平成11年法律第216号)

参考資料4 環境省国立研究開発法人審議会令(平成27年政令第1918号)

参考資料5 独立行政法人の評価に関する指針(平成26年9月2日総務大臣決定)

参考資料6 環境省所管独立行政法人の業務実績評価基準(平成29年7月14日総合環境政策統括官決定)

参考資料7 平成27年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の結果についての点検結果(平成28年12月8日独立行政法人評価制度委員会)

参考資料8 国立研究開発法人国立環境研究所第4期中長期計画(H28~H32) (中長期目標を含む。)

参考資料9 平成28年度国立研究開発法人国立環境研究所年度計画

参考資料10 平成28年度国立研究開発法人国立環境研究所調達等合理化計画

参考資料11 国立環境研究所パンフレット、福島支部パンフレット、琵琶湖分室パンフレット

参考資料12 国立環境研究所環境報告書2017

出席者

委員

花木啓祐会長、衞藤 隆委員、大久保規子委員、木本昌秀委員、高橋隆行委員、中静 透委員

環境省

総合環境政策局

中井総合環境政策統括官

松本大臣官房総合政策課長

太田環境研究技術室長

環境研究技術室員(審議会事務局)

国立環境研究所

渡辺理事長

原澤理事

立川理事

加藤監事

榑林企画部長

鈴木総務部長

福田環境情報部長

議事録

【太田環境研究技術室長】皆様、おはようございます。定刻少し前でございますが、皆様おそろいでございますので、ただいまから第7回環境省国立研究開発法人審議会を開会いたします。

本日は、審議会委員改選後、最初の審議会でございますが、会長選出までの間、私、環境省環境研究技術室長の太田が司会をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

改選後の委員につきましては、資料1に委員名簿を載せさせていただいておりますけれども、7月13日付で全員の委員の皆様方を再任させていただいているところでございます。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

なお、本日は、沖委員におかれましては、所用のためご欠席とのご連絡をいただいているところでございます。

委員7名のうち、6名の皆様方にご出席いただいております。環境省国立研究開発法人審議会令第5条の規定によりまして、定足数を満たしておりますので、本審議会は成立いたしましたことをご報告申し上げます。

また、本日の会議は公開で開催させていただいております。

また、7月14日付で環境省の組織改革及び人事異動がございましたのでご紹介させていただきます。

組織につきましては、関係するところでは、総合環境政策局が改編されまして、新たに総合環境政策統括官が設置され、これまでの組織の1局4課が総合環境政策統括官グループのもとに配置されることとなりました。

また、人事異動につきましてですが、奥主総合環境政策局長の後任相当でございますが、中井総合環境政策統括官でございます。

それから、白石総務課長の後任相当でございますが、松本総合政策課長でございます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、議事に入ります前に、中井総合環境政策統括官よりご挨拶を申し上げます。

【中井総合環境政策統括官】この度、総合環境政策統括官ということで、新しい組織替えをいたしまして、その統括官を拝命いたしました、中井でございます。

本日は、本当にご多忙の中、また、非常に暑い中、ご参集をいただきまして誠にありがとうございます。第7回環境省国立研究開発法人審議会の開会に当たりまして、一言ご挨拶させていただきます。

国立環境研究所では、昨年度の福島支部開設に続きまして、本年4月には、政府関係機関移転基本方針を受けまして、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター内に琵琶湖分室を開所したところでございます。今、この両方の研究機関の連携強化はもとより、地元の大学・企業などを巻き込みました湖沼環境研究のさらなる発展と研究成果の活用・実用化を図り、 地方創生につながるプロジェクトを推進していくこととしてございます。

また、パリ協定が発効する、また、国連のSDGs、持続可能な開発目標と、世界の中で環境についての潮流の中で、我が日本国におきましても、その環境の課題を解決することで、経済、社会の課題の同時解決を図り、新たな地平を切り開くという、この環境政策におきまして新たなフェーズに入ったと認識しております。そういう文脈での新たな基本計画の検討も始まっているところでございますが、気候変動分野、これは適応も入ります。資源循環分野、自然共生、また、化学物質等の分野も含めまして、国立環境研究所に政策当局として非常に期待をするところ大でございます。この我が国の環境研究の中核的研究機関といたしまして国立環境研究所、ますます役割は大きい、重要であると認識しております。

本日は、国立環境研究所の第4期の中長期目標期間の初年度であります、平成28年度の業務実績につきましてご説明をさせていただき、評価(素案)についてのご意見をいただきたく考えております。

委員の先生方におかれましては、本当にいろいろとご負担をおかけいたしますが、国立環境研究所の評価につきまして、大所高所からのご意見をいただきますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

【太田環境研究技術室長】続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。

上から順番に、議事次第、座席表、「今年度の審議事項等」と題した資料、それから、議事次第にございますとおり、本日の資料といたしまして資料1から11、このうち、資料4と資料5は冊子になっております。それから、参考資料の1から12につきましては、青色のバインダーにとじて席上に配付させていただいております。

資料に過不足等ございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。よろしくお願いいたします。

続きまして、会長の選出を行いたいと思います。

お手元の参考資料4に、本審議会の審議会令がございますけれども、その中の第4条第1項の規定によりまして、「審議会に会長を置き、委員のうち委員が選挙する。」こととされております。どなたか立候補される方あるいは推薦される方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。

大久保委員、お願いいたします。

【大久保委員】今まで会長として、基本的評価や中長期計画の取りまとめ等にご尽力いただきました花木先生に、引き続き会長をお引き受けいただければと思いますが、いかがでしょうか。

【太田環境研究技術室長】大久保委員、ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

(なし)

【太田環境研究技術室長】それでは、前期に引き続きまして、花木先生に会長をお願いさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、すみません、会長席にお移りいただければと思います。

【花木会長】ありがとうございます。花木でございます。

本日は、昨年度からスタートした新たな中長期計画のもとでの初めての年度の評価ということでございます。委員の先生方、昨年、大変な作業をしていただきましたので、大体予想はしておられると思いますが、今年もぜひ客観的に、けれども建設的なご意見を賜ればと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

では、最初に、まず事務的なことでやらなければいけないことがございます。それは環境省国立研究開発法人審議会令第4条第3項というところに、「会長に事故があるときは、委員のうちから会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。」と決まっておりまして、会長代理の方をお願いしたいと思っております。

先ほど推薦いただいたということからではないんですが、大久保先生に代理を、私がどうしても来れなくなったら大久保先生が何かをやると、そういうことでございますが、お願いしてよろしいでしょうか。はい、それでは、お願いいたします。

それでは、具体的に議事に入る前に、今年度及び本日の審議事項について、事務局から説明をお願いします。大体何をやるのかと、最初、皆さん知っておいたほうがいいということで、ご説明をお願いいたします。

【太田環境研究技術室長】それでは、お手元の「今年度の審議事項等」という資料をご覧いただきたいと思います。

今年度の審議事項でございますが、本審議会におきましては、この資料の1ページ目の右下にございますとおり、環境省が国立研究開発法人でございます国立環境研究所の中長期目標の策定・変更、業務実績の評価、組織・業務全般の見直しを行う際に助言をいただくこととなっております。今年度につきましては、その中で赤字で書かせていただいておりますが、平成28年度の年度評価をしていただく予定でございます。

1枚おめくりいただきたいと思います。2ページ目に、年度評価について書かせていただいております。年度評価につきましては、「独立行政法人の評価に関する指針」、総務大臣決定のものでございますが、それに基づいて実施することとなっております。目的といたしましては、国立研究開発法人の「研究開発成果の最大化」に資するということが第一の目的となっております。また、評価対象年度以降の業務運営の改善等にも資するということが、この年度評価の目的となっております。

実施方法につきましては、国立研究開発法人の自己評価の結果、それから、法人が個別に実施しております外部評価の結果などを踏まえまして、中長期計画の実施状況等を留意しつつ、法人の業務の実施状況を調査・分析し、その結果を考慮して、業務の実績の全体 について総合的な評価を実施することとなっております。

なお、評定につきましては、S、A、B、C、Dの5段階で実施いたしまして、「B」が標準となっております。

また、留意事項といたしましては、中長期目標・計画の実施状況を踏まえつつ、中長期目標で設定いたしました評価軸等に留意して実施するということ。それから、研究開発の特性、例えば長期性、不確実性、予見不可能性、専門性といったことも踏まえまして評価を実施するということ。それから、法人のマネジメントの状況にも留意して実施するということでございます。

続きまして、その次の3ページ目をご覧いただきたいと思います。平成28年度から開始いたしました第4期中長期目標の構成でございます。第1から第6までの構成となっておりまして、このうち第3から第6につきまして、評価軸及び評価指標を設定しておりまして、ここにつきまして評価をしていただくということになっております。

なお、このうち、第3の1、2、すなわち第3全体につきまして重要度「高」、それから、第3の1の(1)と(3)、赤字になっているところは難易度「高」ということが目標上設定されているところでございますので、よろしくお願いいたします。

続きまして、4ページ目をご覧いただきたいと思います。今年度の審議の進め方でございます。本日は第7回の審議会でございまして、まず、国環研のほうから業務実績等の報告・自己評価についてご説明いただいた後に、環境省のほうの評価の素案をご説明させていただき、それに対しまして質疑応答をさせていただくということでございますが、二つに分けて実施させていただきます。

研究内容等の第3の1の(1)から(4)を先にさせていただきまして、その後で、第3の2以降につきまして審議を進めていただければというふうに考えております。

なお、本日の審議会後、8月7日を目途に、委員の先生方から、昨年度同様、「意見シート」で本日の議論も含め、また、その他の意見につきましてご提出いただいた後、8月17日ごろに事務局のほうから委員の皆様方に「評価書案」を送付させていただきます。それ等も踏まえまして、第8回の審議会を8月24日に開催する予定でございまして、ここでの審議を踏まえまして、最終的に評価書をまとめさせていただきたく考えているところでございます。

説明は以上でございます。

【花木会長】ありがとうございます。

およそ今日やるべき仕事、これから1カ月少しの間のスケジュールのご説明がありましたが、いかがでしょう、ご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは早速、中身に入ってまいりたいと思います。

議題でいいますと、議事のところに(1)と書いてありまして、平成28年度に係る業務実績等報告及び評価(素案)についてと、これがほとんど全ての本日の議題であります。

一番最初に、国立環境研究所のご説明の冒頭に、新理事長の渡辺先生から説明をまずお 願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

【渡辺国立環境研究所理事長】渡辺でございます。

まず、審議委員の先生方に、本日は大変お忙しい中、また暑い中、お集まりいただきまして御礼を申し上げます。本日、2時間ですけれども、よろしくお願いをいたします。

研究所の概要の説明に入ります前に、私、4月から前住理事長を引き継いで、その後、理事長を務めさせていただいておりますので、簡単に自己紹介をさせていただきます。昨年度までは、私、東大の医学系研究科の国際保健学専攻というところにおりまして、主にアジアが中心でしたが、アジア・オセアニアに関しての環境保健的な課題にいろいろ取り組んでまいりました。その中で、例えばアジアで今も続いておりますけれども、ヒ素汚染の問題ですとか、それから、アジアの中で、非常に経済や社会の変革が激しい中で、その化学物質の扱われ方についてどんな変化があったか、そういうことが健康にはどんな影響を及ぼしたとかを調べてまいりました。その中でいろいろな分野の方とおつき合いさせていただくことがありまして、そういうご縁もあって、ここに来ているということになります。環境研との関係という点で言えば、昨年までは、外部評価委員を務めさせていただいたということで、今年からは評価される立場に回ったということになります。

では、これから簡単にスライドに基づきまして、お手元の資料2になりますけれども、スライドをお見せしつつ、研究所の概要について簡単にご説明申し上げたいと思います。

1枚目ですけど、このような形で、左側につくばにある本構の様子が写っておりますけれども、右側に憲章がありまして、黄色い字でハイライトしてありますけれども、人々の健康あるいは健やかに過ごせる環境を守り育むという、そういう研究を目指しているということであります。

簡単に概略を述べますと、74年に公害研として発足いたしまして、世の中のいろいろな問題の変遷を反映して、90年に環境研究所と名称を変更いたしました。2001年に独立行政法人になり、それ以降、第1期、第2期と5年ごとに中期計画を立てて、それに沿って研究を進めてまいりました。2015年に国立研究開発法人という形になりまして、それ以降、16年から第4期に入っているということになります。今年が2年目ということになります。

研究所の中の取組の全体像ということで、いつも外部評価委員で聞いていてもなかなかわかりにくかったところですが、簡単に言うと、下のほうが基礎的な分野で、上のほうが応用的ということに大体はなっています。ただ必ずしもそのルールに沿ってないところはあります。基盤的調査・研究が複数の分野によって行われ、それを応用した形で課題解決研究プログラムがあります。それから、災害環境研究プログラムがあって、この間に入っている研究事業と、それから環境研究の基盤整備というのは、かなり中間的な性格を持っているというふうに捉えられると思います。

一つ一つの項目について簡単にご説明申し上げますと、前の図で一番上にあった「研究プログラム」は、目指すべき社会像の実現に向けて重点的な課題に対応していくということで、この第4期の中期計画においては、五つの課題解決型のプログラムと、三つの災害環境研究プログラムが走っています。

次は、中間的な性格を持った「研究事業」ですけれども、国環研の研究に密接に関連して、かつ組織的で、包括的で、継続的な、事業を営んでいるということで、ここに書いてあるような衛星観測、あるいはエコチルという大規模疫学、化学物質を中心とするリスク評価、それから、災害環境マネジメント、気候変動の戦略連携、社会対話・協働推進オフィスということで、連携にも非常に気を配って事業を進めています。

これは「環境研究の基盤整備」というところで、先ほどの図で言うと、二つ目、三つ目になると思いますけれども、環境研究に資するためのさまざまなベースとなるような情報の収集と、あるいは試料の収集を行っております。一つ一つご説明申し上げませんが、大きな項目としては、モニタリングを行っている。それから、環境試料あるいは生物的な試料を収集して、保存して、研究に役立てるための提供を行う、そういうことも行っております。さらに、化学的な環境を計測することは非常に重要ですので、その計測に関わる標準的な物質を提供したり、あるいは標準的な方法の開発もやっています。環境研究にいろいろ役立てることのできる、さまざまなタイプのデータベースの整備も同時に行っています。

ここからが第4期に入ってからの新しい話題ということになります。先ほど中井統括官からもご説明がございましたけれども、昨年の4月1日に福島支部を開設いたしました。これは福島県の環境創造センター -ちょうど福島の重心といいますか中央部にある三春町にありますが .そのセンターの中に福島支部を開設した形で、県および原子力研究開発機構と協力・連携する形で福島の復興と新しいまちづくりに、力を尽くしているところです。

これが福島において行われている研究で、災害マネジメントの研究と非常にオーバーラップしておりますけれども、大きく、県・原子力研究開発機構との連携のもとに、回復の研究、創生の研究、さらには将来的な災害環境のマネジメントの研究という、3本柱に沿った研究を行っています。

今年の4月には琵琶湖分室が開設されました。これは政府の地方創生事業の一環として、滋賀県というのは非常に琵琶湖が重要なウエートを持っているわけですけれども、その琵琶湖の湖畔に建っている環境科学研究センターの中に琵琶湖分室を設けさせていただいて、そこで湖沼の研究を開始しました。ここに環境研から行っているメンバーが写っています。

実際にそこで行われている研究というのは、モニタリング、特にこれは琵琶湖に限らず、もとから霞ヶ浦についてはかなりたくさんのデータの蓄積、研究の蓄積があります。また、摩周湖についてのモニタリングのデータもございます。こういうものと合わせて、こういったそれぞれタイプの違う湖に関する研究というものをデータベースとして整備して公開していくと同時に、こういったところをフィールドとして使って、湖沼の研究を進めていくということになります。国の中での湖沼研究の一つのベースといいますか、中核的な立場・役割を果たしていくということを考えております。

最近の話題ですが、これは主に環境省の主導によって、フィンランドの国立環境研究所、「SYKE」との間で研究協力協定を10日ほど前に結んで参ったところです。主な研究領域としては、ここに書いてあるように、北極域を含んだ環境の保全と改善ということですが、そのディテールについては、今から両機関で話し合って詰めていこうということで、ポジティブな方向で話し合いができましたので、いろいろなことができるのではないかと期待しております。

もっと最近ですけれども、6月の末から九州北部での豪雨があったときに、環境研からもこの環境省で主導している「D.Waste-Net」という活動チームの一員として専門家1名を派遣し、現地での廃棄物の処理・対策あるいは助言などに努めてきたということです。

非常に簡単でございますが、環境研が今、このような形で研究および事業を進めているということを紹介させていただきました。

【花木会長】どうもありがとうございました。

今のお話を聞きながら、それを踏まえて、今後のこれからの議論はさせていただきたいと思います。今の琵琶湖分室以降のお話は、実は今回の評価対象外で来年になりますけども、こういう動きもあるんだということを頭に置きながら評価できればなというふうに思っております。

それでは、早速ではありますけども、これから第4期中長期計画の項目に従って審議をしてまいります。進め方につきまして、太田室長から先ほど少し説明がありましたが、全体の評価対象が大部にわたりますので、二つの部分に分けるというわけであります。二つに分けるんですが、それでもまたいろいろ議論の進め方をきっちり交通整理しないとややこしいことになりますので、一番最初に、国立環境研のほうから自己評価をしていただきまして、その後、環境省のほうから、それに対して、じゃあどう評価するかという案をいただきまして、それから委員の皆様にコメントをいただくと、そんな順番でさせていただきたいと思っております。

それでは、最初に国立環境研究所のほうから、業務実績報告をお願いしたいと思います。これは項目でいきますと、先ほど説明がありました、研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項のうちの1番、環境研究に関する業務という、今、青で出ている部分ですね。しかも青のうちの、上のほうの青のポツまで、そこまで最初に説明いただいて、それから以下はパート2ということでさせていただきます。

それでは、原澤理事、説明いいですか。お願いいたします。

【原澤国立環境研究所理事】おはようございます。研究担当理事の原澤でございます。

業務実績報告書に基づきまして、特に環境研究に関する業務について、主な業績と自己評価についてご報告させていただきます。

こちらは、環境研究に関する業務の内訳でございます。四つに分かれてございまして、(1)は重点的に取り組む課題ということで、課題解決型研究プログラムと災害環境研究プログラムということで、研究の応用部分であります。2番目が、科学的知見の創出ということで、ここは基礎的な研究ですとか基盤整備あるいは研究事業といったものが含まれます。さらに、そういった研究活動を踏まえまして3番目は各種のネットワークあるいは橋渡し拠点としてのハブ機能の強化、4番目は積極的な成果の発信とか政策貢献・社会貢献の4項目になってございます。

研究評価の仕組みがどうなっているかを簡単にご紹介いたします。所内には研究評価委員会がございまして、そちらで、所内の公募型研究ですとか、いろいろな研究基盤の整備等々の検討をやってございます。それを踏まえまして研究評価について、外部の有識者による研究評価委員会をつくっておりまして、現在16名の専門家の方々に加わっていただいた評価委員会でございます。そういった研究評価及びいろいろな業績等を取りまとめたものが業務実績等報告書でございまして、業績とともに自己評価を書いているということです。今日ご説明しますのは、この業務実績等報告書の中の主な業績と自己評価に関わるまとめをご紹介いたします。

まず、課題解決型研究プログラム、既に理事長からお話があったように、五つ進めております。低炭素、資源循環、自然共生、安全確保、統合研究ということで、昨年は、初年度でございますけれども、低炭素につきましては温暖化研究の継続課題という位置づけもございますので、そういう意味では、新たに始まった研究プログラムというよりも、継続的に発展させた研究プログラムという形になっています。

評価軸といたしましては、統合的な取組によって環境問題の解決につながる成果が得られているかということで、この評価軸に沿って評価いただくということになりますが、まず、低炭素研究プログラム、いろんな成果が出ておりますけども、今回、特にお示ししましたのが、COP21、パリ協定の後に、各国は長期的な戦略を2020年までにつくらなきゃいけないですとか、あるいは1.5℃の長期目標についてどう考えるか、そういったいろいろな国際的な要求もあったりするということで、環境省の中環審のもとに、長期低炭素ビジョン小委員会がつくられております。ここでこういった戦略づくりを検討しているという中に委員として加わると同時に、我々の研究成果がここに反映されるということで、特に2020年26%削減ですとか、2050年80%削減をどう実現していくかというような、統合評価モデルAIMを使った研究成果を提出して議論いただいているということであります。これにつきましては、環境省と経産省が二つ委員会等をつくって検討していて、ある段階で政府レベルで一体化させることになると思いますけれども、今、こういった検討もこのプログラムの中でやっているということであります。そういう意味では、研究の成果を具体的に行政、社会に生かすべく活動もしているということの例であります。

資源循環プログラムにつきましては、現在、五つのプロジェクトが動いております。その中の一つということで、いわゆるグローバルマテリアルフロー分析の結果を挙げさせていただいております。鉄、銅、ニッケル、例えばニッケルは非常にいろんなところに使われているということで、こういった金属類がどう世界中を動き回っているかということを分析できるような仕組みをつくって、さらにそれを適用すると、アジアに半数以上が集まってきている。もしその資源の循環が断たれるとどうなるかですとか、あるいは3Rをこの地域でどうやっていくかというような、基礎的な知見が得られております。また、こういった知見に対しては、ポスター発表ではございますけども、賞をいただいているということで、研究成果として学術的にも貢献しながら、具体的にその地域をどうやっていくかというような知見も得られてきています。

自然共生研究プログラム、これは外部研究評価でも非常に評価がよかったのですけれども、愛知目標をいかに研究面でサポートするかというようなことでいろいろやってきたということでございますが、特に今回アルゼンチンアリの防除マニュアルをつくって、それを1都2府9県に適用して、防除体制を構築して、実際に防除ができたという実践例を挙げております。これについては、昨今、ヒアリの問題が出てきましたので、こういった知見を踏まえて、今、環境研にも非常に問い合わせが多くて、また、現場担当の五箇室長などが、ヒアリの初動体制づくり等を今進めているところであります。こういった蓄積があったから今ヒアリに生かせるようになってきたということで、学術的な成果とともに、社会にも実装していくような知見が得られており、私どもは自己評価でありますけれども、高く評価できるのではないかと思っております。

こちらが一例でありますけれども、さきほどご紹介したように、1都2府9県に関わる話ということで、部分的ではありますけども、環境研と自治体等々が協力してやって、かつ、最近では残存確率に関する論文も出しておりまして、どこまで行けば根絶したというような、そういう判断ができるかといったような研究も引き続きやっておりますので、こういった知見がヒアリについても活用できるかと思います。

安全確保研究プログラム、これについては八つのプロジェクトから成っておりまして、第3期におけるいろいろな研究活動を集約した形、特にリスクという形で、健康および生態系リスクを取りまとめたプログラムということで、それぞれ重要な結果が出ています。一つは網羅的ターゲット分析法を開発いたしまして、多様な、新しい化学物質がたくさん出てくるわけですけれども、そういったものを一網打尽で分析するような仕組みをつくっているということで、こういった新しい技術開発も進めているとおりです。

あと、下のほうは、これは新聞発表されておりますけれども、大気汚染の疫学的な研究成果ということで、常位胎盤早期剥離と大気汚染、NO 2との関連を、関連学会から得られたデータをもとに解析した結果を公表しているということです。これについては学会レベルで高い評価を得るとともに、社会的にもいろいろな情報提供になったのではないかと思います。

統合研究プログラムにつきましては、三つのプロジェクトが動いております。何を統合するかということで、これまで説明した四つの研究プログラムを統合するという意味もございますし、環境、社会、経済を統合するという意味もあったりもしますので、そういった統合の意味を考えながら進めているということであります。ここでお示ししましたのは、国際的には今、気候変動の関係では、社会経済シナリオが非常に重要な役割を果たしてくるということで、IPCCの中にSSPという「共通社会経済経路」という名前のシナリオづくりがありまして、五つございますけれども、そのうちの一つを環境研が担当して、論文を出し、さらに使えるような形で公表しているということであります。このSSP3というシナリオ自身は最悪シナリオに近いシナリオではございますけれども、ほかのシナリオはうまくいったシナリオとか、適応に注力したシナリオとか、あるいは排出削減に注力したシナリオとかがあって、今後こういったシナリオが国際的な研究で使われていきます。そういったところで、かなり重要な役割を果たしているのではないかと思います。これを契機といたしまして、IPCCの次の第6次評価報告書に向けても国際貢献はしていけると考えてございます。

課題解決型研究プログラムの政策貢献ということでは、私どもはこういった研究がどう政策貢献に使われているかを表にまとめておりまして、後でご紹介いたしますけれども、150項目ぐらいありますけれども、そのうちの50項目ぐらいにつきましては、課題解決型研究プログラムの成果が生かされていると考えてございます。外部評価におきましても、学術的な評価に加えまして、政策貢献の評価ということで、点数をつけていただいております。5点の評点のうち、3を標準にしますと、この場合の政策貢献については3.84という評価をいただいております。

こちらはモニタリング指標ということで、課題解決型研究プログラムがどう進んでいるかということで、一番大きな指標としましては、誌上発表等の数でございますけれども、前期に比べると、28年度は増えているということで、学術的にも成果が出ていると考えてございます。

先ほどご紹介した外部評価につきましては、低炭素4.07ですとか、自然共生が4.36といったような評価をいただいております。3が基準でございますので、いい評価をいただいていると思います。

こういった研究評価と、ご紹介したような、いわゆる政策貢献の成果を踏まえて、自己評価としてはAをつけさせていただいております。

続きまして、災害環境研究プログラムでありますが、この場合は、学術的な研究ももちろん大事ではありますけれども、それにも増して、災害環境研究において、行政あるいは社会への貢献をしたかという軸、さらに、昨年の4月から環境創造センターに福島県とJAEAと入って協力をしながら研究を進めているので、連携がうまくいっているかという二つの評価軸を設定してございます。

まず、環境行政や社会への貢献ということで、一部ではございますけれども、関連のいろんな委員会に研究者として参画している、また現場でお仕事をされている環境省の方たちと一緒になって成果報告会をやったりとか、研究を進めたりとか、具体的に、例えば新地町につきましては復興のまちづくりをお手伝いしたりとか、その知見をもって、今、三島町に木質バイオマス等を利用した新たな展開を検討中であります。

先ほどご紹介した熊本の地震発生時には、災害オフィスの主導でありますけれども、緊急環境調査に加わったというようなことであります。

また、研究報告書も英文も含めて出しておりますし、アウトリーチ活動として、研究成果を地元の方々をはじめとして、いろんな形で提供しています。

あとは、福島県、JAEAとの連携ということで、こちらについては昨年4月、環境創造センターに入居しまして、施設の整備等にちょっと時間がかかったんですけれども、並行して自治体の方、民間企業あるいは住民の方たちと連携をとるべく、いろいろな形の活動をしております。

具体的には、例えばさっきご紹介しました三島町の話ですとか、市民参加型の「バードデータチャレンジ」、飯舘村における生活環境モニタリングですとか、特筆すべきこととしましては、災害環境のいろいろな知見をシミュレーションすることによって人材育成をしようということで、災害廃棄物の対策図上演習を考案いたしまして、兵庫県、埼玉県と連携して、具体的に今後起きたときにどうするか研修をして、人材育成も図っているということです。

国際連携につきましては、IAEA、IRSN、これはフランスの機関ですけれども、そういったところと研究協力をしております。もちろん所内でも、いろんな分野と連携をして進めているということであります。

初年度ではございますけれども、災害環境研究については非常にうまく進んでおり、成果もでていると自己評価をしてございます。

モニタリング指標のほうにつきましては、参考値が第3期の研究発表数等でございますけれども、28年度、査読ありの誌上発表については前期の17件から40件ということで、これまでの成果が論文になったという面はありますけれども、28年度、単年度をとっても、非常に論文化の努力をしたということが、大きく成果の拡大につながっていると思います。

以上を踏まえまして、例えば外部研究評価では、4点以上の評価をいただいておりますし、さきほどご紹介したいろいろな連携が進んでいる話と、また、学術的にも論文が出ているということで、自己評価としてAをつけさせていただいております。

続きまして、2番目の科学的知見の創出ということで、基盤的な調査・研究と基盤整備と研究事業、この辺がちょっと外部の方にはわかりづらいという話が、理事長の話にもありましたけれども、そこについて自己評価等をご紹介いたしたいと思います。

まず、基盤的調査・研究につきましては、現在9分野について基礎的な研究を進めてございます。地球環境分野から始まって、環境計測研究分野、さらに、災害環境分野ということで、基礎的な研究ということでありますけれども、例えば都市におけるCO 2の起源を分析するような手法の開発ですとか、あるいはヒ素汚染に特異的なDNAメチル化の問題、生物分野におきましては、絶滅危惧種のヤンバルクイナ、コウノトリ、タンチョウの全ゲノムを解読して、それを公表したというような基礎的な研究と位置づけて進めてございますし、学術的にもいろいろな成果が得られております。

モニタリング指標につきましては、学術論文数ということでございますけども、第3期に比べても同程度の発表等をやっているということであります。数字が小さいので、初年度ということもあるので若干少な目ではございますけれども、第3期と同じぐらいのレベルで出ているかと思います。

それを踏まえまして、外部研究評価も3.92という高い評価をいただいておりますので、基盤的調査・研究も進んでいるということでございます。

また、政策貢献につきましても、外部研究評価で点数をいただいておりますが、そちらは3.75ということで、3が標準ということでありますので、学術的な成果とともに、政策貢献もかなり頑張っているという評価をいただいてございます。

次が、基盤整備と研究事業ということで、まず、基盤整備のほうでございますけれども、こちらは環境標準物質や微生物保存株を充実させて、それを提供していくということでございますが、こちらについても相当数が増えております。かなり世間のニーズも高まっているということで、それに対応するべく、こういった基盤整備を順調に進めてございます。

こちらは、研究事業ということでありますが、研究と事業両方の側面をもっていて、特に環境省と進める大きなプロジェクトですので、そういったプロジェクトにつきましては、組織的、継続的に実施する必要があるということで、国内外の中核的な役割を担うような話もやるということで、一つはGOSAT、こちらも順調に進んでおりますし、得られたデータを提供するだけではなくて、我々もそれを解析して、大気中のCO 2濃度の変化あるいはメタンの濃度の変化といった分析結果をすぐ公表して、例えばCOPで報告する等をしております。

エコチル調査も順調に進んでおりまして、昨年はエコチルの試料保管棟ができましたので、さらに一層エコチル調査が進むと期待しておりますし、実際、確実に15ユニット研究センターとの連携も含めて進んでいるかと思います。

あと、リスク関係につきましては、いろいろな拠点をつくっておりまして、こちらもある程度、国のほうの動きも見ながらしっかり進めていって、ガイドライン等の形で成果をまとめるということで進めてございます。

こちらが外部研究評価でありまして、研究事業につきましては、GOSATについては4.27、エコチルについては4.09、ほかの四つの研究事業については4.18ということで、外部研究 評価においてもよい点数をいただいていることも踏まえまして、こちらにつきましてもA評価という自己評価をしてございます。

3番目のネットワーク・橋渡し関係ですけれどもれ、これは中核的な研究機関となっているか、あるいはいろいろなプラットフォームになっているかという評価軸であります。

先ほど理事長から紹介があったように、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター内に琵琶湖分室を設置しました。分室そのものは今年度からではございますけれども、設立準備の関係者の調整に相当時間がかかりましたが、最終的には設置を実現できたということは大きな成果であると思いますし、また、国立水俣病総合研究センターとも連携ができ始めたところです。

さらに、国際的にはIPCCに、研究者が6名、執筆者になっているとともに、1.5℃特別報告書等にも執筆者を送ることができたということであります。

プラットフォームの形成ということで、衛星にしろ、エコチル調査にしろ、かなり連携をしっかりしていくプラットフォーム機能が重要でありますので、そういった機能をしっかり確保できたということと、その適応に関しても、昨年の8月に、我々と環境省が協力して適応情報プラットフォームを開設して、今後進められる国内外の適応についての活動を始めたということであります。新しい活動ではありますけれども、28年度は、相当頑張りまして、うまくいきつつあるということであります。

以上を踏まえまして、ネットワーク・橋渡し拠点についても、いろいろなものがうまく進み始めたということと、成果も出始めているということで、自己評価としてはAをつけさせていただいております。

最後の4番目につきましては、研究成果の発信あるいは政策貢献ということで、こちらにつきましては、いろいろな媒体による成果の発信ですとか、政策貢献・社会貢献はどうかということでございます。こちらについては、先ほどご紹介した誌上発表数のほかに、いろいろなメディアによってデータ提供もしているということでありますし、また、例えば論文の質につきましても、相対被引用度を計算してモニタリング指標にしております。ただ、この相対被引用度は昨年度の値を計算するのが非常に難しいということで、1年前ですけれども、こういった指標も継続的に見ていくことによって論文の質がどう変化しているかモニタリングできるようにしております。

特筆すべき成果としましては、審議会等に多くの職員が参画していること、あとは、環境省の関係部局と研究内容というよりも、ざっくばらんな意見交換も含めて政策ニーズを把握するとか、そういった政策連携も努めたということで、こういったことが今後の研究にも反映できるのではないかと思っております。

各種のデータについては、今は公表するというのが当然のことでありますが、データ公表に当たりましては、使いやすく、また品質保証する形でホームページを通じたデータ提供をしております。

こちらが環境政策への主な貢献事例ということで、政策貢献の定量的な指標というのはないものですから、数年前から研究成果が、例えば国の法令をつくるのに使われたとか、あるいはガイドラインに使われたとか、そういう区分をつくりまして、そこに何件関わっているかということで、平成28年度は145件、政策貢献できたということです。かなり幅広な捉え方をしてございますけれども、こういった指標を使ってモニタリングをしつつ、成果の政策貢献を図っているということであります。

社会貢献につきましては、いわゆるアウトリーチということで、公開シンポジウムおよび一般公開、実を言うと明日が一般公開でありまして、昨年ですと、5,200人ぐらいの方が来られるということで、天候にもよりますけれど、同数ぐらいの方は来るのではないかと思います。来てくれる方は、非常に熱心にお話を聞いていただきますし、また、小さなお子さんも楽しめるようなイベントもあったりしますので、こういう機会を通じて、環境研の活動を伝えているということです。また、いろんな形で、例えばプレスリリースにつきましては45件(3期)が65件、そのうち特に研究成果に関するプレスリリースについては16件から25件ということで、こちらもプレスリリースの中でこういった研究報告が増えるように努力しているということでございます。

以上を踏まえまして、いろいろやってきているわけでありますけども、それぞれがそれぞれのいい成果を出しているのではないかということで、積極的な発信と社会貢献につきましても、自己評価としてAをつけさせていただいてございます。

以上が研究に関わる業務実績報告書のまとめということでございます。

【花木会長】それでは、環境省のほうから、その評価案についてご説明いただきたいと思いますが、どれを見ればいいですか、資料としては。

【事務局】資料8-1と、8-2をご覧下さい まず、A3の横開の資料8-1をご覧下さい。こちらの平成28年度に係る業務実績報告(素案)の項目別の総括表ということで整理をさせていただいております。右側に参考ということで、平成27年度と第3期中期目標期間の評価の総括表というのを掲載させていただいております。ただいまの国環研のご説明では、左側の、平成28年度の第3の1の(1)から(4)までのご説明ということで、自己評価全てAということでいただいております。環境省の評価も現状、素案としてAという評価をさせていただいております。

中身について、次の資料8-2に基づきまして、ご説明をさせていただきますので、そちらをご覧ください。

1枚おめくりいただきますと、上下段になっております。各項目ごとに中長期目標・計画と、評価軸・指標ごとの評価の部分と、項目別評定というふうに、三つの項目で分かれて整理をさせていただいております。

3ページの項目別評定のほうをご覧いただければと思うんですが、年度別評価のポイントというところと、項目別評定Aの判断根拠となる主要な事例ということで挙げさせていただいております。特にこちらの部分は、項目別評定Aということにしておりますので、本日は、項目別評定Aの判断根拠となる主要な事例についてご説明をさせていただきます。ほぼ国環研の自己評価とかぶるような部分がございますが、まず、3ページの部分、重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進の課題解決型研究プログラムの部分でございますが、五つのプログラムがございまして、各プログラムから一つずつ主要な事例を挙げさせていただいております。低炭素の部分でございますが、研究成果について、中央環境審議会の長期低炭素ビジョン小委員会有識者ヒアリングで発表を行いまして、環境政策に貢献をしております。

資源循環のプログラムにおきましては、先ほどもご紹介がありましたけれども、国際会議においてポスター発表が、賞を受賞しましたということです。

自然共生分野につきましては、アルゼンチンアリの防除マニュアルの作成に貢献をいたしまして、環境省と自治体が実施しております防除事業の実施都府県全てで個体数を減少させて、大きな、実用的な成果を上げました。

安全確保の部分につきましては、エストロゲン受容体結合活性物質143物質中123物質の精密質量数の条件を決定しました。

統合の分野ですが、SSP3のマーカーシナリオを開発いたしまして、論文として成果をまとめ、IPCCの第6次評価報告書に向けて大きな貢献をしましたということで、主要な事例を挙げさせていただいております。

続きまして、5ページをご覧いただければと思います。こちらが②番の災害環境研究プログラムのご説明ということになります。こちらの項目別評定Aの判断根拠となる主要な事例でございますが、新地町と連携したまちづくり支援事業が成果を出しておりまして、補助事業の採択に結びつきましたという話、ほかの自治体に対しても地元と連携した水平展開が図られていますという部分も掲載させていただいております。

また、研究成果の発表といたしまして、誌上発表(査読あり)40件、誌上発表(査読なし)が23件、口頭発表も国内で130件、国外で28件行いまして、第3期の平均に対して大幅に増加してますということを挙げさせていただいております。

また、外部評価委員会においてのプログラム全体の評価が4.08、また、コメントとして、熊本地震への対応の早さや研究プログラムを短期間に立ち上げて戦略的に研究を進めていると評価されているということを挙げさせていただいております。

引き続いて、9ページをご覧いただければと思います。(2)の環境の保全に関する科学的知見の創出等の推進の分野でございます。8ページのほうが年度評価のポイントになっていまして9ページのほうが項目別評定Aの判断根拠となる主要な事例を挙げさせていただいております。地球環境研究分野において、都市域でのCO 2発生源に対する化石燃料起源の寄与率推定法を開発いたしまして、CO 2削減対策の効果検証に活用可能な成果を上げました。

資源循環研究分野におきまして、国際的な制度相互比較研究の成果を出しまして、拡大生産者責任に関するOECDのアップデートガイダンスマニュアルの作成・公表に貢献したということ。また、要約の和訳版を作成して、我が国での普及活動に貢献をしております。

環境健康研究分野におきましては、ヒトの血液を用いまして、ヒ素汚染に特異的なDNAメチル化を検出することによりまして、ヒ素による健康影響を解明する重要な成果を上げたということでございます。

衛星観測に関する研究事業におきましては、温室効果ガスの観測によって環境研究を支える重要な基盤となっておりまして、外部評価委員会において国際的に大きく貢献する事業であるということで評点4.24をいただいたということでございます。

子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)において、国環研が研究実施の中心機関であるコアセンターの機能を適切に果たし、外部評価委員会において、大規模で長期にわたる重要な研究事業であるということで、評点を4.09いただいたということを挙げさせていただいております。

続いて、12ページをご覧ください。(3)国内外機関とのネットワーク・橋渡しの拠点としてのハブ機能の強化という項目でございます。こちらにつきましては、項目別評定Aの判断根拠となる主要な事例といたしまして、先ほどご説明ございましたけども、この4月に、滋賀県の琵琶湖環境科学センター内に国立環境研究所琵琶湖分室の設置を実現しましたということの準備を実施してきたということ。

また、水銀に関する水俣条約を背景に、国立水俣病総合研究センターとの研究に関する連携協定を28年11月に締結しております。

また、気候変動に関する政府間パネル、第5次報告書において、研究者6名が執筆者等となり、大きく貢献をしていますということを挙げさせていただいております。

続きまして、15ページになりますが、(4)の研究成果の積極的な発信と政策貢献・社会貢献の推進の部分をご覧ください。こちらでは、項目別評定Aの判断根拠となる主要な事例といたしまして、論文に対する相対被引用度の平均値1.36でございまして、世界標準(1.0)を上回る質の高い論文を発表していますということでございます。

また、プレスリリースの件数につきまして、先ほどもありましたけど、65件ということで、第3期の中期目標期間の年間の平均件数に対して大きく上回って、成果を出しております。また、うち研究成果に関する発表件数といたしまして25件ということで、大きく上回ったことを挙げさせていただいております。

ちょっと駆け足になってしまいましたが、以上でございます。このような形でA評価とするための主要な事例ということで整理をさせていただいております。

【花木会長】ありがとうございます。

それでは、今から委員の方々からご意見をいただきたいと思います。

最初にちょっとお伺いしたいのは、先ほどからの議論で外部評価の点数が何回も出てきたんですが、外部評価は具体的にどのようにされたかというのをちょっと説明いただけますでしょうか。多分、報告書本体のほうに書いてあるんですかね。

【原澤国立環境研究所理事】外部評価につきましては、資料編の資料5、ページで言いますと、10ページに外部研究評価の結果の総括表がございますけれども、そちらに点数の表がございます。外部評価そのものは、先ほどご紹介したような研究プログラム、基盤研究、基盤整備あるいは研究事業に分けて、それぞれの成果や業績等のプレゼンをいたしまして、それに対して評価委員の先生方に、点数とコメントをいただくという形になっております。委員会の前には、分厚目の事前配付資料として冊子体で委員の方に送って、当日は、それを踏まえてプレゼンをするという形になっております。このほかにも、10ページ、11ページは、評点としては総合的な点数でありまして、例えばこの研究プログラム等につきましては、学術的な点と政策貢献の点と総合点という形で、小分けにした形で点数をつけていただいております。この資料編には総合な点数のみをお示ししておりまして、先ほど説明した政策貢献等については、その内訳というような点数でありまして、そこが資料編にはちょっと載ってございません。

【花木会長】ありがとうございます。

それでは、今の国立環境研究所からのそもそもの自己評価、それから環境省からの評価書素案についてご説明いただきましたが、ご意見をいただければと思いますが。

【大久保委員】ありがとうございます。大変精力的に研究していらっしゃることはよくわかるご発表だったと思います。それを前提にして、ちょっと評価の枠組で共通理解があったほうがいいと思いますので、お伺いしたいんですけれども、今、花木先生からご質問がありましたように、外部評価なんですけれども、こちらのほう、例えば科研費の評価ですと、計画どおり進捗しているかどうかで、その計画に比して、よりもっと進んでいるとかいうことになると、Sとかいうことになるわけですけれども、研究計画どおりに進んでいると普通という評価になるんですね。この10ページを拝見いたしますと、この評価は計画どおり進んでいるかではなくて、計画の内容そのものが普通なのか、すぐれているのかという、そういう判断基準になっていますよね。そうしますと、今回の業務の評価をするに当たりまして、その関係をどう見るかということなんですけれども、こちらのほうは、ちょっと私、今さら聞いたら申し訳ないんですけれども、評価の基準は参考資料でもらっている資料6の一般的な独法業務評価基準でやるということになるんですかね。もしそうであるとすると、2ページのほうで、結局Aになる、Bが標準って先ほども、そこのところは何回もおっしゃっているんですけれども、Aであるとすると、定量的指標は120%以上で、そのほかのものは初期の目標を上回る成果だというふうに言わなければいけないので、書き方としては、Aをつける場合には恐らく、その中期目標で、初年度はこのぐらいやることになっていますけれども、それをこういう意味で、これだけ上回っているんだという書き方になっていないと、Aをつけにくいのかなというふうに思います。それで、特にモニタリング指標で言うと、研究ですから当然なんですけれども、モニタリング指標的には120%を上回ってない部分もありますよね。モニタリング指標と、それから外部評価との関係を含めてどういうふうに評価されたのかという、スキームの話をちょっと先にお伺いしたほうが効率的かなと思います。

【事務局】そうですね、そこまではあまり考えてなかった部分はございますけども、一応、外部評価の部分については、4を上回ったものについて、A評価相当というふうに考えて整理はさせていただいております。

あとは、目標に対しての部分につきましては、当然達成しているという前提で、それ以外に特筆すべき成果という部分を国環研からいただいておりましたので、そこの部分を項目別評定Aの判断根拠となる主要な事例として挙げさせていただいております。

【太田環境研究技術室長】すみません、補足させていただきたいと思います。

まず、参考資料の6でございます。これは環境省の所管独立行政法人の業務実績評価基準でございまして、環境省の独法としましては、独立行政法人環境再生保全機構と国環研がございます。2ページは、環境再生保全機構のところになりまして、国立環境研究所の評価につきましては11ページのところに、年度評価の評価区分、それからS、A、B、C、D、どういったことをもって評定をつけるかということが書いてございます。11ページでございますが、ここを見ていただきますと、Aは、法人の目的、業務、中長期目標等に照らして、法人の活動による成果、取組等について、諸事情を踏まえて総合的に勘案した結果、適正、効果的かつ効率的な業務運営のもとで、研究・開発成果の最大化に向けて顕著な成果の創出や、将来的な成果の創出の期待等が認められるという場合につけさせていただいているところでございます。

また、第4期の中長期目標におきましては、「重要度」、それから「難易度」というものも設定させていただいておりまして、それも勘案した上で評定をつけさせていただいているということで、ご理解いただければと思っております。

【花木会長】恐らく、今の最後に出てきた重要度・難易度のところが重要だと思っていて、さっきの外部評価は、主として絶対評価で重要度・難易度を評価しておられるんですよね、達成度よりは。この、やっている研究はどれぐらい重要であるとか、難しいのをやっておられるというのは、外部評価のほうはやっておられて、一方で、我々が今ここでやっているのは、ある種、進捗評価的に評価するのですけども、そこに重要度・難易度を加味してAなりBなりつけていくということだと思うんですね。実際に、行政評価としてAなりBなりをつけるときに、この重要度・難易度をどのように組み込んでいけばいいかというのは、先ほどご説明いただいた参考資料の中には明示されていないんですか。ここにはどんなふうに書いてありますか?。重要度・難易度をどう勘案するかということは。

【太田環境研究技術室長】すみません、参考資料の5をご覧いただきたいと思います。「独立行政法人の評価に関する指針」というものでございまして、25ページをご覧いただきたいと思います。25ページのところの下のほうに、「ⅱ、項目別評定の留意事項」というところがございます。そのイのところに、「目標で設定された難易度の高い項目に限り、評定を一段階引き上げることを考慮する。」とか、そういうことが書かれております。

【花木会長】重要度は書かれていないのですか。

【太田環境研究技術室長】「重要度」につきましては、29ページの「ⅲ総合評定の留意事項」のオのところに、「あらかじめ重要度の高い業務とされた項目については、総合評定において十分に考慮するものとする。」というように、その取り扱いについて書かれています。

【花木会長】今のだと、重要度じゃなくて、まず難易度についてはですね、いわば予定どおりやっていると1ランク上がって、Aにしてもいいということですよね。非常に困難なことをやっている。重要だとあらかじめ言っているものについては、総合評定の中で勘案して、1ランクアップじゃないけども、まあ考えると。そういうことだと思うんですね。先ほどの外部評価の中では、恐らく研究者の人ばかり集まっているので、どれぐらい困難で重要なことをやっているかという観点で評価をしておられるので、そちらのほうには、色濃く重要度・難易度が反映していると。それを加味しながら、Bであったものを、難しい挑戦をしているのでAと読みかえるというのをここでしていくと。そういうことだと思うんですね。環境研のもともとの案の中では、そういった難易度・重要度も含めて自己評価をしておられるということなんですが、そこで読み込んでいくということだと思うんですが。

【大久保委員】ありがとうございます。ちょっと、もともとの評価のところを間違ってしまって、すみません。

それで、それを前提といたしまして、今、会長がおっしゃられたとおり、恐らくこのAの根拠として挙げてきておられることの中で、もともと計画的にやっていますよという話のところと、今おっしゃられた、難しいことでもこんな成果が上がったというところと、両方の記述があると思いますので、書き方としては、評価そのものに、やっていらっしゃる内容は、とてもいろいろなことをやっていらっしゃると思いますし、成果も、おもしろい成果が上がっていらっしゃると思いますので、特に異存がないんですけれども、とりわけ業務等報告の中の22ページで、モニタリングでいくと、モニタリング指標的には下がっている部分というのがありますよね。こういう部分について、特に、やはりこの重要度、あるいは特に難易度だと思うんですけれども、難易度に鑑みてこうだったとか、何とかそういうことがわかる説明にしていただくとありがたいと思うんですけれど。もうちょっと、その辺、ご検討いただければと思います。かなり、めり張りをつけた内容に、文章の書き方になっているとは思いますけれども、その辺り、今、会長がご指摘されたようなことを含めて、実際に明記されたほうがいいんじゃないかなというふうに思います。

【花木会長】今の点について。答えてください。

【太田環境研究技術室長】評価書(案)を作成するときに、そういう形で、しっかり明記させていただければというふうに考えております。

【花木会長】評価書(案)は、文章の形になってきますので、表だけじゃないので、その中で、なぜAかという記述に、そこは含まれると。そういうことかと思います。

いかがでしょうか。全然別の項目でも、全体のことでも結構です。

【木本委員】些末なことを聞きますが、資料の何ページだったかな、環境研の説明で、アウトリーチのところで、IPCCの第5次報告書云々で、6名のリードオーサー云々というのがあって、何かちらっと早口で言われて、何か記述が古いとかおっしゃっていましたか。

平成28年度の業務の評価なんだったら、AR5のLAの数とかというのは、ちょっと古いんじゃないのかなと思ったものですから、確認したいなと思います。

【原澤国立環境研究所理事】おっしゃるとおりです。AR5が出たのが大分前で、その後も、IPCCは例えば1.5℃の特別報告書の執筆者を出していたりとか、先ほどご紹介したようなSSPという形で、引き続きIPCCに貢献をしているということで。

【木本委員】ええ。そういう貢献が28年度とあったと思うんですけど。

【原澤国立環境研究所理事】はい。ちょっと、6名が引き続きフォローアップも含めてやっていたりするところもあったりするので。

【木本委員】それはこっちの資料4のほうには、そういうふうに書いてあるんですか。もしくは、あまりにも事務作業量が多かったので、ちょっと古い記述が残っちゃったと。いや、それだったら、それでもいいですよ、別に。

【原澤国立環境研究所理事】該当する箇所は資料4の43ページ。

【花木会長】報告書本体ですか。

【原澤国立環境研究所理事】そうです。そういう意味で、平成28年度単独の業績かというと、違うという感じはしないでもないんですけど、すみません。古い記述が残ったというよりも、IPCCの貢献で、その中で特にIPCCの報告書の中でどれだけの論文が引用されているか、分析も平成28年度にやっているというようなこともありましたので、それを総合させて書かせていただいたということがあります。さっきご紹介したように、引き続き、第6次報告書に向けていろいろな貢献もさせていただいていますが、平成28年度については、この記述になっているということであります。

【花木会長】実質的には続けてやっておられるなり、さっきのシナリオ、あるいは1.5℃の報告書に関わっておられると、そういうことですね。

いかがでしょうか。

【木本委員】ちょっと余計なことを聞いちゃったみたいで。1年ごとに、あれやった、これやったと、毎年記述を変えたりするのは大変ですよね。この分量を毎年書いているだけで、研究所の職員の仕事は終わっちゃうんじゃないかとも思います。これは27年の3月25日に行ったことではないかみたいな細かいことを言っても仕方がありませんので、まあ、なかったことにしましょう。

【花木会長】実際は、IPCCの仕事はかなり長期で、ある種、人の信頼に成り立ってやっておられるので、たまたま端境期で、AR5とAR6の間でも続けていろんなことをやっておられるとか、そういうこともあるわけですね。

【原澤国立環境研究所理事】はい。事実として、しっかりやはり書き込まなきゃいけなかった点もあるかと思うんですが、IPCCについては、いろんな意味で重要性が高いということもあったりするので、執筆者としての活動ですとか、その他のSSPなんかも非常に重要な活動と思いますし、そういう意味では、来年度以降は、しっかり事実を確認して記載するようにいたします。ありがとうございます。

【花木会長】いかがでしょう、ほかの先生方。はい、中静先生。

【中静委員】資料8-2のほうで言いますと。

【花木会長】環境省の評価。

【中静委員】そうですね。環境省の評価なんですが、両方でもいいんですけど、1の(3)のところですね。

【花木会長】何ページですか。

【中静委員】12ページということになるんですか。ちょうどページが消えているところなんですけども、ここのところで、「ハブ機能として」というふうなことを書いてあります。これは地域環境研究所との共同研究を通じて、全国の地方環境研究所間をつなぐハブ機能ということなのですけど、ここのハブ機能というのは、こういう地方環境事務所というか、そういう国内のことだけを言っているのか、もっと国際的な視点でのハブ機能のことをもっと言っていらっしゃるのかなという、ちょっとそこのところの考え方をお聞きしたいのです。

【原澤国立環境研究所理事】ハブ機能の国内と国際、どういうことかということで、先ほどご紹介いただいた地環研との話は、これは国内のハブ機能でありまして、国際的なハブ機能につきましては、モニタリングのネットワークですとか、例えばGOSATのデータを使った研究のネットワークですとか、そういうハブ機能としてのことは、今回、このまとめのほうには挙げてございませんけれども、資料には書いてございます。特に国内のハブ機能として地環研を挙げましたのは、例えばPM2.5の問題につきましては、引き続き、大気汚染という中で、51の地環研をネットワークとして進めているとか、本来、研究成果の最大化というような意味で、日本における研究成果の最大化という意味では、こういったハブ機能が非常に重要だということで、地環研については特出ししております。国際的なハブ機能については、資料のほうには入ってございますけども、まとめの中には入れてございません。ただ、先生がおっしゃるように重要です。

【中静委員】私はむしろ、こういう国内的なハブ機能はもちろん重要なんですけど、国際的なハブ機能としても重要な役割を果たしているというのは書いていただいたほうがいいのではないかなというふうに思ったところです。

【原澤国立環境研究所理事】ありがとうございます。次回から、そういう形で記載します。

【花木会長】ネットワークかな、必ずしも国際的には全部が中心にはならないかもしれないけども、ネットワークって、さっきのフィンランドのやつとか、今度は出てきますよね。ご指摘ありがとうございました。

いかがでしょうか。

【木本委員】今のことに関連して、温暖化の適応のウエブサイトがあって、何とかプラットフォームと呼ばれて、国内中心で立ち上げたけど、アジアにも展開するというお話を別のところで聞いたことがあって、あれはたしか去年立ち上げられ、立ち上げ自体はもう少し前かもしれないけど、去年から本格化した事業だったような気がしたのですが今、どこかでそれは述べられましたか。

【原澤国立環境研究所理事】すみません。私のプレゼンでは詳しく触れなかったんですけれども、昨年8月にA-PLATという、今ご紹介あった気候変動適応プラットフォームを立ち上げております。

【木本委員】昨年なんですか。

【原澤国立環境研究所理事】はい。研究事業の一環として、地球観測オフィスをつくっていまして、その中で適応に関する話をやっているんですが、ほかにも書くものがいっぱいあったものですから、パワーポイントには書いていません。

【木本委員】環境省的には、結構大事な仕事を頼んでやってくれているという感じだと思うので、そこをアピールされてもいいのかなと。

【原澤国立環境研究所理事】ありがとうございます。A-PLATはアピールします。

【太田環境研究技術室長】A-PLATの件ですが、先ほど説明の中にもあったかと思うんですけれども、昨年の8月にA-PLAT、これは環境省の委託事業という形ですが、設置させていただいており、国環研がその事務局をさせていただいております。

それから、アジア太平洋地域への拡大につきましては、COP22で山本大臣のほうから、2020年度を目途に、A-PLATをアジア太平洋地域に拡大していくということを述べさせていただいておりまして、それに向けて、国環研も、その事務局的な立場として、今後、大きな役割を果たしていくと、こういう予定でございます。

【花木会長】ありがとうございます。

いかがでしょうか。

【高橋委員】この業務実績報告書に含まれる内容の中に、国際アドバイザリーボードは、これは含まれないんでしょうかというのが一つ質問なんですが、これ、最初の資料3の4ページを見ますと、平成29年8月の末を予定されているようで、そうすると、これは業務実績報告書に反映されないのかなというふうに思うんですけども、ちょっとその点、お伺いしてもよろしいですか。

【原澤国立環境研究所理事】ありがとうございます。

国際アドバイザリーボード(IAB)につきましては、さっきちょっとパワーポイントの中には、今年、分科会的なものでやろうということで、実を言うと2年前にIABをやりまして、それについてご報告を審議会のほうでさせていただきましたが、期が変わりまして、すぐというのは、準備もあったものですから、平成28年度はIABをやらずに、今年度、8月28日、9月1日に、分科会という形で再開しようということで、たまたま平成28年度にはやっていなかったということなものですから、業務実績報告書の中にも記述がないという、そういう状況であります。

【花木会長】今のご質問は、そういう研究評価の仕組み自身は、こちらの評価項目の中ではどこに挙がっていくんですか。だから、外部評価をやった、やっていないということが、今回のこの評価に反映されるのか、必ずしもそういう項目はないのか。もともと、そういうご質問ではあるんですけどね。

【太田環境研究技術室長】国際的な評価につきましては、やっている年、やっていない年もありますので、最終的には第4期の期全体で評価をするときには、それもしっかり反映させていただければというふうに考えています。

【花木会長】確かに毎年だと、やらない年もありますからね。はい。

いかがでしょう。

また、この後もほかの項目がございますので、研究以外のところも、それぞれの委員の先生方、じゃあ、ご質問いただくとして、それでは先に進ませていただきます。

それでは続き、今、もう既に出ておりますが、青い字のところからですね、環境情報以下、まとめてご説明をいただいて、また評価についてご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

立川さん。

【立川国立環境研究所理事】失礼します。私、4月1日付で企画と総務と情報の担当理事を拝命いたしました立川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、お手元の資料3、パワポ形式のやつでございますが、それの37ページから説明申し上げたいと思います。

若干、私、自己紹介させていただきますと、私自身は環境省からの出向であります。途中、大阪府ですとか、富山県ですとか、厚生労働省とか、経産省ですとか、PCB処理事業とか、そういったところへ出向させていただいておりますが、1993年、古くなりますけど、1993年から2カ年、国立環境研究所に来ております。それから、2007年から、いろいろ歩いておりますけれども、環境研究技術室長、それから地球温暖化対策課の調整官、そうしたところで研究開発に携わり、2011年からは地球環境戦略研究機関に事務局長として出向してきたことがございます。

それでは、お手元の資料、37ページから説明させていただきます。途中、関係する資料といたしまして、資料4の業務実績報告書、それから資料5の報告書の資料編、それから資料6の決算書類、それから資料7の監査報告といったものが関係いたしますが、時々、どこの部分が関係しますということを申し上げるということで、基本的には資料3を中心に説明申し上げたいと思います。

1枚めくっていただきまして、38ページでございます。第3の2、環境情報の収集、整理及び提供に関する業務について、ご説明申し上げます。

この項目の評価でございますけれども、右下に書いてございますとおり、標準超のAとさせていただいております。

その理由でございますけれども、限られた体制の中で、各種情報の収集・整理・提供を適切に実施し、定量的評価の指標、ここのページの右側に書いてありますけれど、数字が載っておりますけれども、150%の水準で目標値に比べて達成しているということでありまして、Aの評価基準120%以上というものを満足しているということでございます。

ここの項目、具体的に何をやってきたかということでございますが、第1に、国立環境研究所の研究成果に限定せず、環境情報を横断的に幅広く提供しております「環境展望台」、このページの左側でございますけれども、この「環境展望台」、あるいは、そのほかの各コンテンツにおきまして、情報の追加・更新を進めて、また、アンケート調査を踏まえて、必要な情報にたどり着きやすいようにデザインの変更を実施しております。

デザインの変更につきましては、この次のページ、39ページに載せてあります。

それから、大変恐縮ですけれども、もとの資料、38ページのところ、右側に書いてございますとおり、定量的指標については、先ほど申し上げましたとおり、いわゆる情報源情報、メタデータと呼んでおりますが、これが年度目標2,400件に対して、3,518件を新たに提供しております。

それから、第2に「環境GIS」でございます。この38ページの左下でございます。こちらについては、データの充実を図ったほか、この資料3の40ページ目に載っておりますけれども、例えば大気汚染予測システムにおきまして、予測範囲、それから地図の改良、また新機能の追加等を実施しております。

以上が3の2、環境情報の関係でございます。

続きまして、ページで言うと、41ページをご覧ください。41ページは、第4の1、業務改善の取組に関する事項についてということでございます。

この項目の評価は、所期の目標は達成していると判断いたしまして、右下にありますとおり、標準であるBとさせていただいております。

1、2、3ということを書いてございますが、1の経費の合理化・効率化につきましては、定量的な評価指標であります業務経費及び一般管理費は、目標と整合したルールで交付金の交付を受けております。そうしたこともありまして、そういった基準は達成しているということでございますが、また、さまざまな取組を行っていますけれども、ちょっといろいろ資料が飛び交うとややこしいのですが、資料5の報告書・資料編でございますが、報告書・資料編の255ページ、報告書・資料編が、全体の資料5ですが、その資料5の中に255ページ、その255ページの資料40、これは光熱水費の推移でございますけれども、こういった形で、ここ最近は光熱水費も縮小傾向にございます。このほか、業務効率化のための各種管理システム検討ワーキンググループというものを設置いたしまして、福島支部の設置に伴う決裁の簡素化を検討しております。このワーキンググループでは、所内からの要望を聴取しつつ、電子決裁、決裁権限の移譲等、についても検討を進めているところであります。

それから、本体の資料、今度、資料3に戻りまして、その41ページの2番でございます。人件費管理の適正化でございます。ここでは指標といたしまして、いわゆるラスパイレス指数を書いてございます。このラスパイレス指数につきまして、ここに挙げた数値は、年齢・地域・学歴勘案といった数値でございます。職員のラスにつきましては、27年度よりは低下しているものの、100を超過しております。ただ、研究系職員105.2ということでございますが、こちらのほう、この評価の対象者が、私どもの研究所の場合は、ほとんどが博士号取得の管理職といった、特性がございまして、また、この比較対象のほう、100のほうの数字ですけれども、こちらはドクターを必ずしも取っていない方を平均しているということでございますので、そういったこともあって、私どもの研究所、100を超えているといった状況にございます。それから、事務系でございます。108.5でございますが、国との人事交流、あるいは地域手当における経過措置が影響しているのかなと思っております。ただ、給与のあり方、年齢構成等を考慮した人事計画の取組については、努力してまいらなきゃいけないだろうと考えてございます。

それから、同じく41ページの3番、調達等の合理化でございます。こちらのほうは、所内外の委員会による審査・点検等を実施しております。

それで、いろいろ資料が飛び交って恐縮ですが、資料4、報告書編でございます。資料4の報告書編の71ページから75ページに、調達等の合理化の詳細な状況が書いてございます。また、大変恐縮ですが、そちらの細かい説明は簡単にさせていただきたいと思いますけれども、28年度は、第4期中長期計画の初年度であるということでございまして、継続的に実施している大型調査に関する契約があるということもございまして、随意契約の割合が金額ベースで40%と高く、また、一般競争入札における1者応札も、金額ベースで60%という高い水準にあるわけでございますが、そうした特殊事情を考慮すると、今の仕組みから考えると、公正かつ透明な契約を確保できていると、そのように考えてございます。

続きまして、42ページ、第4の2でございます。業務の電子化に関する事項について説明申し上げます。

この項目の評価も、所期の目標は達成していると判断いたしまして、Bというふうに標準値をつけさせていただいております。

1、2、3と書いてございますが、1の管理部門の業務の効率化、それから2の研究業務の効率化につきましては、セキュリティ対策を確保しつつ、イントラネットを含むシステムを適切に構築・運用していることを例として書かせていただいております。

それから、3のWEB会議システムの導入につきましては、このことによりまして、福島支部、あるいは今年の4月に開所した琵琶湖分室、こちらの後者のほうは、今の28年度の評価の対象外になりますが、そうした支部・分室とつくば本校のWEB会議の開催を可能にして、コミュニケーションの円滑化に努力しているところでございます。

続きまして、43ページ、第5、財務内容の改善に関する事項でございます。

この項目の評価も、所期の目標は達成していると判断いたしまして、右下にあるように、標準であるBということにしております。

それで、最近5カ年の推移は、この次のページに、過去5カ年の予算及び執行状況という数字が載っております。決算額や貸借対照表の純資産、それから、損益計算書には、27年度が第3期中長期計画の最終年度であって、一方、28年度が第4期中長期計画の開始年度ということがございますので、そういう中長期計画の切りかわりということがあって、それが反映した特徴が表れておりますが、本項目の前提となります28年度の財務諸表、これは資料6がそのシリーズでございますけれども、監査報告書については、また資料7ということでございますけれども、独法通則法の規定に基づきまして、監事及び会計監査人の監査報告を添付いたしまして、環境大臣に提出し、今年の6月30日付で承認をいただいております。

それで、この資料の43ページ、ここのページの1番、バランスのとれた収入の確保というところで、自己収入でございます。自己収入は、受託収入ですとか、そういったことになるわけでございますが、競争的外部資金というのは、自己収入のうちの環境研究総合推進費等ということで、こうしたものは27年度と同水準かなというふうに考えております。

種類別の詳細な状況は、資料5の報告書・資料編の256ページ、平成28年度の自己収入の確保状況と、さらには受託一覧といった形で、この報告書の資料編に掲載しておりますが、こういった形で競争的外部資金等を確保しているという状況にございます。

それから、このページの2番、保有財産の処分でございますけれども、28年度に大きかったものでございますけれども、ここ、数字は書いてございませんけれども、資料4には書いてございますけれども、生態系研究フィールドというものが、つくばの本講からやや離れたところにございましたが、その国庫返納を行っておりまして、このことが貸借対照表の固定資産及び純資産に表れているといったところが、特徴になっております。

それから、この資料に書いてございます「エネルギー供給システム検討ワーキンググループ」でございます。こちらのほうは、検討を開始したということで、まだ数値的には表れているものではございませんけれども、投資回収年数も考慮しつつ、光熱水費、先ほど少しずつ下がっていることを説明いたしましたが、そうしたもののさらなる軽減、これを検討しているところでございます。

なお、こちらのいわゆる財務諸表のたぐいでありますけれども、独立行政法人の会計基準が27年1月に改正されまして、28年度から、運営費交付金債務の収益化を行う方法、これが変更になっております。管理部門以外は業務達成基準、管理部門は期間進行基準ということで、研究事業・情報事業・法人共通の三つのセグメントで区分するといった変更がなされております。管理部門の執行残が28年度は2,400万円発生しておりますけれども、これについては、中長期計画の最終年度に国庫返納を要するということでございまして、こうした点にも留意して、今後、適切に執行してまいりたいと思っております。

次に45ページ、第6、その他業務運営に関する重要事項でございます。

こちらのほうも、六つの項目、46ページにかけて出てまいりますけれども、所期の目標は達成していると判断いたしまして、項目別評価はBとさせていただいております。

1番、内部統制の推進ということで、体制や規程の整備、研修等によって、着実に実施している。それから、2番の人事の最適化については、働きやすい職場環境の醸成、経験を有する者の雇用等により、着実に実施している。3番の情報セキュリティ対策の推進については、システムの改善、研修等、こういったものをやっているということでございます。

それから、46ページ側の4番でございますが、施設・設備の整備及び管理運用でございます。こちらのほう、施設の補修・整備、効率的利用といったものを着実に実施しているところでございますが、私どもの研究所、昭和49年の設立ということで、ほとんどの建築物が49年から50年代の前半に建ち上がっております。そういった意味で言うと、そろそろ法定耐用年数を迎える施設が相当数に及びますので、より計画的に、どういうふうにこういった施設を補修していくのか、整備していくのかを、検討に着手しなければならないステージに入ってきております。

それから、5番の安全衛生管理の充実でございます。これも定期診断等により着実に実施しているという段階にございます。

それから、業務における環境配慮、これも電力消費量の抑制ですとか、廃棄物の分別等によって着実に実施しておりまして、こちらのほうは、お手元の参考資料の12番に、環境報告書という形で添付をさせていただいております。

以上が、私の担当いたします情報、それから管理運営部門というところの評価でございます。

47ページに、研究部門も含めまして、自己評価の総括というものを掲載させていただいております。こちらは、重要度を高く設定している項目の全てがAという評価であり、また、独法業務の実績評価基準に規定されました全体の評定を引き下げる事象、こういったものは特になかったということで、全体の評定を標準超のAとさせていただいたところでございます。

非常に早口でございますが、以上でございます。

【花木会長】それでは、本省のほうから評価案を。

【事務局】では、ご説明します。

また、資料8-1と8-2に戻っていただきたいと思います。

まず、資料8-1の表でございます。先ほど、重要度・難易度の、ご説明を忘れてしまって申し訳ございません。

第3の2の環境情報の収集、整理及び提供に関する業務ということで、重要度:「高」に設定されております。こちらは国環研の自己評価がAになっておりまして、環境省評価も同じようにAとさせていただいております。

それ以降、第4から第6までの部分につきまして、国立環境研究所の自己評価はBという評価になっておりまして、環境省評価も同じくBという形にさせていただいております。

詳細のほうは、資料8-2のほうを使ってご説明させていただきます。あまり時間がないので、変わったところだけご説明をさせていただきたいというふうに思います。

資料のまず17ページですけど、環境情報の収集、整理及び提供に関する業務、こちらはA評価になっている部分でございますが、先ほどもございましたけども、「環境展望台」でのメタデータについて、3,518件を整備いたしまして、目標を大きく上回ったということで、Aの判断根拠として挙げさせていただいております。

続きまして、19ページになります。1.業務改善の取り組みに関する事項の部分でございますが、ここは基本的に国環研の自己評価と同様の書きぶりとさせていただいております。

めくっていただいて、21ページになります。2.業務の電子化に関する業務でございますが、こちらも国環研の自己評価と同様の書きぶりをさせていただいております。

すみません、めくっていただいて、23ページになります。第5の財務内容の改善に関する事項でございます。ここの部分につきましても、自己評価の部分と同じような書きぶりとさせていただいております。

2枚めくっていただいて、26ページ、内部統制の推進のところでございます。こちらについても、そのまま自己評価と同じような書きぶりをさせていただいております。

駆け足ですみませんが、まためくっていただいて、次が29ページの人事の最適化の部分でございます。こちらも、年度評価のポイントとして、自己評価と同様とさせていただいております。

続きまして、また1枚めくっていただいて、31ページの部分でございます。情報セキュリティ対策等の推進ということですけども、ここの部分については、情報セキュリティ対策というのは終わりのない対策でございますので、一応、私どものほうで、セキュリティ対策の恒常的な見直しに引き続き努めていただきたいという、文言を入れさせていただいております。

続いて、1枚めくっていただいて、33ページの部分でございます。ここが施設・設備の整備及び管理運用というところでございます。①の部分につきまして、自己評価では特になかったんですが、不測の事態が発生いたしまして、28年度中に整備が完了しない工事が発生して、29年度に2件、繰り越しをさせていただいたというような事実を書かせていただいております。

まためくっていただいて、35ページの部分ですが、第6の5の衛生管理の充実でございます。ここも自己評価と同様というふうにさせていただいております。

1枚めくっていただいて、36ページですね、業務における環境配慮等、ここも国環研の自己評価と同様とさせていただいております。

37の最後のページになりますが、全体の評定でございます。全体の評定として、Aの評定をさせていただいておりまして、適正、効果的かつ効率的な業務運営の下で「研究開発成果の最大化」に向けて顕著な成果の創出や将来的な成果の創出の期待等が認められるとしております。また、理由といたしまして、項目別評定におきまして、「業務運営の効率化に関する事項」、「財務内容その他の改善に関する事項」及び「その他の業務運営に関する重要事項」、全てBでございまして、重要度を高く設定している「研究成果の最大化その他業務の質の向上に関する事項」が現在全てAであることから、総合評定をAとしたというふうに書かせていただいております。

以上でございます。

【花木会長】ありがとうございます。

それでは、質疑を委員の先生方からお願いしたいと思います。

【大久保委員】すみません。細かいことなんですけれども、8-2でいくと19ページの①の経費の合理化・効率化なんですけれども、これはどう読めばいいんですかね。効率化係数以上の削減を達成しているというんですけれども、交付金自体が効率化係数どおりに交付されているんですよね。「以上」ですから、「どおり」も入るんですけれども、それ以上に交付金の額がもともと低かったら、頑張っても、なかなかほかのものに回して業務をしていくということはできなくなるので、これは事実の確認なんですけれども、交付金としては、それ以上の削減がなされてしまったというわけではないという理解でよろしいかというのだけの確認をしたいと思います。

それから、あと、もう一つは、環境配慮のところで、基本的にどんどん削減してはいるんだけれども、すみません、一番最後の環境配慮のところで、いろいろ削減してきたというのがありまして、それで、資料3のほうでいきますと、43ページのほうで、2の保有財産の処分等で、「エネルギー供給システム検討ワーキンググループ」を設置し議論を進めたというのがあるんですけれども、これは何か環境配慮の観点から新たなエネルギー供給システムを構築するという話なんでしょうか。そうすると、その後、施設の老朽化という話もあったので、非常に、そこら辺、どういうふうに計画していくのかというのが、計画期全体ではすごくポイントとなるところだと思いますので、少し検討状況をお聞きできればと思います。

以上2点です。

【事務局】経費の積算に当たっては、効率化係数は掛けておりますので、それ以上の多分削減を努力されているということではないかというふうに、思いますが。実態といたしまして、国で交付するときは、効率化係数を掛けた形で計算をしております。

【立川国立環境研究所理事】ありがとうございます。

予算のほうは、文字どおり効率化係数を掛けていただいているということでございますので、「以上」という表現が、あまり適切でなかったのかもしれないと思ったのですが、ちょっと、こちらは環境省さんと相談してまいりたいと思います。

それから、あと、ご質問いただきました資料3の43ページの「エネルギー供給システム検討ワーキング」でございます。こちらのほう、私どもの研究所、実は昭和49年に設置しましたということを申し上げましたが、当時、流行っていたのが、中央にエネルギー供給施設という、ボイラーで冷水とか熱水をつくって、それを研究所の中にくまなく流して、そこで冷房する、それから空調をやる、それから冷蔵をやるといったシステムを導入しております。こちらのほうが、最近はそんなにはやっていないはずなんですけれども、やっぱり長い管路があるということで、その管路が老朽化することもあって、非常にエネルギー効率が落ちてきちゃっていると。そういったものがございます。したがって、先ほど来申し上げている老朽化の話とエネルギー供給の効率化の話というのは、かなりセットで考えていかなきゃいけないんですけれども、ここを何とかしていかなければいけないというのが、大きな課題になっています。今申し上げましたエネルギーのこういう引き回しが、たしか2kmぐらいは所内ではあるということでございます。この「エネルギー供給システムワーキング」でいろいろ検討しているのですが、例えばちょっと離れたところは、分散型のシステムにすることによって、初期の投資にかかる費用がどれぐらいで、それでランニングコストがどれぐらい減って、例えば5年ぐらいで回収できるのはどれぐらいの施設なのだろうかといったことも今検討して、そういったことと、今後の昭和49年からどんどん建てている建物の改修というものを一体化させて、私どもとしては、ランニングコストを減らしていく形で、システム、いわゆるエネルギーの使用量も減らし、ランニングコストも減らすといったことを今模索しているところでございます。

【花木会長】いかがでしょうか。

【高橋委員】個々の事項に関しての質問というわけじゃないんですが、全体的な印象で。

総括表を見ますと、研究のほうはみんなAになっていて、支援系がみんなBになっていると。支援系のほうは、なかなか顕著な業績というのを出すのが難しいのかなとも思いつつ、何かやっぱり評価というのが、実際に業務に携わった方々に対してのエンカレッジの意味もあるというふうに考えると、何とかならないのかなというのも正直言うと思う部分もあって、例えば評価そのもの、評価のやり方そのものか、基準のそのものが何か見直す余地があるのかとか、あるいは、いわゆる本当に困難な業務であったにもかかわらず、それを適切に困難であるというふうに評価していないのかとか、あるいは、その他いろいろあるのかもしれませんけども、そういった点での将来に向けての改善の余地というか、そういうのもあるんじゃないのかなというふうに、全体の評価の表を見て、ちょっと感じた部分でございまして、今回どうこうという話ではないんですけれども、その辺も今後ちょっと考えていただいてもいいんじゃないのかな。要するに支援系の方々をエンカレッジするというのも、もうちょっと必要なんじゃないかなというふうに思いました。ちょっと感想でございますけども。今後、ご検討いただければというふうに思います。

【木本委員】些末な質問が二つほどあるんですが、資料3の44ページに、予算の表が出ています。私、こういう表を読むのはあまり得意じゃないんですが、運営費交付金とか、年度を遡って時系列的に見て、運営費交付金は、27年度に何か大きな予算が来たみたいな感じに書いてあって、それがなくなって、ちょっとがくっと減っているんですか。でも、ほかのやつは、割と、あら、業務経費なんか、あれですよね。これがどうなっているのかな。これは内訳なのかな。というように見ていくと、何か私の下手くそな読み方だと、あまり削減されていないみたいに見えちゃうんですけど、ちょっと簡単に事情をご説明願えないでしょうか。特に、27年度に何か予算がついたんですかね。

【太田環境研究技術室長】すみません。27年度から28年度に、がくっと下がっているところなんですけれども、実は27年度まで復興特会を計上することができたが、28年度からそれができなくなり、災害環境研究のところを一般会計の中で見なきゃならないということがございまして、そういう観点もありまして、増額要求はさせていただいたんですが、結果的に、このような形で、トータルとしては減額になっているということでございます。

【立川国立環境研究所理事】ありがとうございます。

予算的には、そういった部分がございますが、この表は若干特殊な表でございまして、上側の括弧がついていない数字が、ちょっと注1)のところに書いてございますが、決算報告書に基づく執行額ということになっておりまして、予算というよりは決算のほうが、括弧がついていない数字が上に来ております。それで、27年度が第3期の中長期計画の最終年度ということですので、ここまでは、費目間の流用ができないものもあるのですけれども、執行できるというようなものがあって、ここまでで、まとめてどんどん大きなお金を使わなきゃいけないものを執行していると。逆に言うと、28年度は、第4期の初年度ということもあって、そこを無理して執行するというよりは、もう少し、例えば先程来出ているエネルギーの供給のものを手直ししなきゃいけないとか、そういったところが。

【木本委員】早目にするとかですね。はい、わかりました。

【立川国立環境研究所理事】そういったところも、かなり反映しています。

【木本委員】予算については素人が口を出すんじゃないのかな。

【立川国立環境研究所理事】いやいや、すみません。27と28の間に、第3期と第4期の大きな境目があるということが、一つの大きな特徴になっています。

【木本委員】相変わらず予算は難しいですね。

もう一つ質問があるんですが、資料8-2の19ページ、先ほども話題に出ていましたけど。あれ、違うかな。場所が違ったかもしれない。先ほど話題に出ていた、建物が古いので、もう少し長期的に何とかする計画をしなくちゃいかん、これは評価とは直接あまり関係ありませんけど、研究所にとっては大変大事なことじゃないかと思うので、もし何かお考えや計画がおありでしたら、ちょっと聞かせていただいて安心したいと思うんですが。

【立川国立環境研究所理事】ありがとうございます。

今、木本先生からご指摘いただきました、施設の更新の部分でございますけれども、厳密に言うと、実は28年度の業務実績というよりは、まさしく今年ですね、本格的に少しそういった部分を考え始めていますということであります。今、ご指摘いただきましたとおり、私どもの研究所に建っている建物の半分以上ぐらいは、昭和50年代までにできておりまして、そうすると、いわゆる耐用年数、法定耐用年数の50年というのがメーンでございますので、そろそろ考えなきゃいけないということでございます。私ども、こういった施設が急に、特に配管類が機能しなくなって、研究が遂行できないことになると大変なことになるわけですので、そうしたことがないよう、また、建てかえをするといっても、その経過中に研究活動があまりうまく回せないということであっても、これも困るということでございますので、そうした点を加味したマスタープランを早急に作って、そういった施設の老朽化対策が円滑に進められるように、早急に考えていきたいと考えております。そうした施設がだんだん古くなってきたことによって、研究開発、研究活動が、スピードが落ちるということがないように、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

それから、あと1点だけよろしいでしょうか。

【花木会長】短く。

【立川国立環境研究所理事】高橋先生からご指摘いただいたこと、誠にごもっともではありますけれども、なかなか私の担当している、いわゆる総務系の部分というのが、ちゃんとやっていればBということ以外に、なかなか尽きなくて、Aって、むしろ例えば思っていたよりも予算を使わなかったらAになるのかもしれないですけれど、それが本当にいいのかという部分もあったりして、なかなか、ちょっと難しいのですが、またここは「ご意見どおりにできます」と、なかなか言いづらい部分はありますけれど、また環境省さんといろいろ意見交換しながらやっていきたいと思います。少なくとも職員に対しては、この管理系のBというのはGoodという意味だからねということで、ここに並んでおりますけれども、皆さんには伝えていきたいと思います。

【花木会長】管理系でAになる可能性があるのは、多分、人事のところなんですよね。若手の研究者の活用というのが、ほんのちょっと前、福島支部設立以前は、国立環境研は若い人のポスドク問題というのがあって、行き先がないというのが大きい問題だったですよね。今回、あまり触れておられないのは、それなりに研究者の活躍の場ができたということだと思うので、その辺はかなりプラスになり得るポイントかなと思います。ちょっとコメントです。

あと、いかがでしょう。

【高橋委員】加えて、もし支援系でも、チャレンジングなテーマというのも設定し得るんじゃないかなとも思うので、そういうやり方もあるのかなというふうにはちょっと思いました。ちょっとコメントですが。

【中静委員】今のともちょっと関連するんですけど、大変よくやっていらっしゃるとは思うんですが、例えば最近話題になっているライフ・ワーク・バランスみたいな話に関しては、そういうのを意欲的にやっていかれると、プラス評価になるのでは、とも思います。また、研究所というのは研究成果を最大化するということが目的なので、例えば研究者は、エフォート配分をすごく気にするわけですよね。こう言うと事務系の方にはすごく申し訳ないかもしれませんけれど、やっぱり事務的な仕事が多過ぎると感じている研究者は非常に多くなっています。そういうエフォートバランスみたいなものを改善するということをやっていただくと、評価できるように思います。

【花木会長】いかがでしょうか。

【大久保委員】先ほどの回答を聞いてちょっと心配になったんですけれども、復興特別予算があちこちで切られて大変なんですけれども、ということは、それで競争的資金の額が若干下回ったということは、今年度・来年度の災害研究は大丈夫なんだろうかというのがちょっと気になったんですけれども。

【花木会長】その辺はどうですか、見込み。

【太田環境研究技術室長】独法の予算は効率化係数を掛けることになっているので、そのままにしていると絶対下がるんですけれども、さらに必要な研究があるということで毎年度増額要求しておりまして、29年度は、28年度よりもトータルで増額しております。

【花木会長】ありがとうございました。

いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、ありがとうございました。

今後、どういうふうに委員のほうが評価をしていくかということについて、意見シートをつくってもらわなきゃいけないんですかね。今後の作業について、ご説明いただけますでしょうか。すみません、ちょっと時間がぎりぎりなので。

【事務局】わかりました。すみません、手短にご説明させていただきます。

まず、資料9の業務実績評価(素案)に対する意見シートをご覧ください。長時間にわたり、ご審議いただきありがとうございました。本日の資料8-2の部分の審議、報告内容を持ち帰っていただきまして、本日、ご発言できなかった部分ですとか、改めてお気づきの部分、追加のご意見がございましたら、電子メールにてお送りいたしますので、評価項目ごとにご意見をご入力いただきたいと思います。締め切りは、一応、8月7日の月曜日までに、事務局のほうにご返信していただきたいと思っております。

また、資料11のほうもご覧ください。こちらに今後の予定を書かせていただいております。8月7日に意見シートをいただきましたら、委員の皆様のご意見を取りまとめて、評価書(案)を作成いたします。8月17日ごろを目処にメールでお送りさせていただきたいと考えております。次回、8月24日の審議会で、評価書(案)がまとまりましたところで、さらなるご意見がございましたら、そちらを踏まえた形で、8月28日に委員の皆様にメールで送らせていただきます。最終的には、8月末までに平成28年度の評価書を決定する予定でございますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

以上でございます。

【木本委員】資料9の裏側が、これが意見シートで、これ、ファイルは、もういただいているんでしたっけ。

【事務局】PDFでお送りさせていただいていると思いますので、書き込める形で再度お送りさせていただきます。

【木本委員】これだとA4、1枚になっていますが、その程度でよろしいということですか。そんなにいっぱい書かなくても大丈夫だという。

【事務局】そこは制限はございませんので、ご意見、多数いただければ。

【木本委員】そういうふうに了解してよろしいですか。

【事務局】はい。1枚におさめるということでは。

【花木会長】非常に率直に言うと、項目全部を我々が全部書かなきゃいけないというんじゃなくて、今日、お伺いした説明に対して、補足的にご意見を送っていただくという感じ。

【事務局】そうですね。

【花木会長】文章で書くということですね。AとかBとか、そういうのじゃなくて。

【事務局】そうですね。文章でお願いいたします。

【花木会長】これはエクセルでみんな来ているのかな、ワード。とにかく記入できる電子媒体でいただけるんですね。

【事務局】事前のは、PDFで多分お送りさせていただいておりますので。

【花木会長】PDFじゃ、まずいね。

【事務局】書き込める形のものを送らせていただきます。

【花木会長】あと、いかがでしょうか、ご質問等。

【木本委員】非常に一般的な質問で、役所の方に質問したいのですが、環境省で、こういう、総務省から言われた評価をやる法人というのは、環境研だけなんですよね。違いましたっけ。

【花木会長】研究開発法人です。

【木本委員】それで、質問は、よその省庁の似たような評価で、こんなにたくさんの緻密な裏づけ資料を用意してやっておられたかどうか、ちょっと、ちらっとのぞき見たりはしていないですか。いや、充実しているほうがいいんだけども、職員の方々がこれをつくるのに、私は大変な時間を使っていらっしゃるのではないかと感じたので、すごく心配しているんですけど。もし、隣を見て、半分ぐらいで済んでいるんだったら、多少は手を抜いてもいいんじゃないかと。

これは余分な質問なので議事録には乗せなくてよいですが。

【事務局】各省に同じような審議会がございまして、多分、傍聴もできるんだと思うんですけども、多分、皆さん、同じ時期に同じように開催されていますので、時間がなかなかございません。

【木本委員】もう既にこのフォーマットで確立しているから、こっちのほうが楽だという面もあるかもしれないけど。

【花木会長】まあまあ、来年以降に向けてということだけど、恐らくほかのところでも、これぐらいのをつくっておられるんでしょう。私の理解ではね。

【事務局】そうですね。ホームページをちょっと見る限りは、同じぐらいの自己評価書と評価書というのは作成しております。

【花木会長】まあまあ、今後の課題として、いかに効率的にしていくかと。ポイントは押さえながら、あまり時間をかけない範囲でと。今後の宿題かと思います。

さて、すみません、委員のほうからよろしいでしょうか。

それでは、あとはご説明等ございますか、事務局。

【事務局】よろしいでしょうか。あと資料10だけ、ちょっとご説明させていただきたいと思います。

第3期の中期目標期間の期間業務実績評価書における指摘事項に対して、国環研の措置状況をまとめた資料でございます。

基本的には、第4期の中長期計画に反映されているという回答でございますが、1点だけ、1枚めくっていただいて、2ページ目の業務運営の効率化に関する事項の財務の効率化の部分につきまして、第4期中長期計画目標期間においては、計画的かつ効率的な予算の配分及び執行に努め、財務管理を着実にされたいというような指摘事項に対して、先ほど立川理事からもご説明がございましたけども、会計処理のほうが変わって、業務単位を細分化して執行実績を管理しているというふうにご回答をいただいております。

以上でございます。

【花木会長】ありがとうございます。今のが資料10のご説明ということですね。

そうすると、最後にその他というのは、今後の次の委員会の案内とかですか。ちょっと、ごく簡単に。

【事務局】すみません。次回の審議会は、8月24日(木曜日)の14時から、アットビジネスセンター東京駅の会議室で2時間の予定としております。ご案内等はこれからになりますけども、ご多忙の中、大変恐縮でございますが、何とぞご出席いただきますよう、よろしくお願いいたします。

なお、本日の会議資料1から11までは、大部になるため、委員の皆様におかれましては、そのまま机上に置いていただければ、こちらのほうで郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

【花木会長】資料は、みんな電子的にいただいていたんでしたっけ、全員。電子的に見たいという方もおられるので、これは重いので。この前送っていただいたやつに全部ありましたっけ。

【事務局】そうですね。ちょっと最終的に修正をかけたものがございますので、その辺を含めて、一式、電子版を送らせていただきます。よろしくお願いいたします。

【花木会長】よろしいでしょうか。

それでは、これで本日の議事全て終了いたしましたので、以上をもちまして、本日の第7回環境省国立研究開発法人審議会、閉会いたします。

どうも、本日はありがとうございました。