環境配慮契約法基本方針検討会 建築ワーキンググループ(第3回) 議事録

出席委員:
伊香賀委員、河野委員、小黒委員、善養寺委員、中村委員、野城委員(座長)、山田委員 (五十音順、敬称略)
欠席委員:
横田委員 (敬称略)

日時

平成19年10月4日(木) 10時05分~12時00分

場所

環境省第1会議室

1.開会

環境省(笠井課長):おはようございます。遅れていらっしゃる先生もいらっしゃいますが5分経過いたしまたので、第3回の建築ワーキングを始めさせていただきたいと思います。本日は第3回目で最終回でございます。前回までの議論を踏まえて資料を用意させていただきました。本日も資料、議事録については公開となっております。それでは、以降の進行は野城先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

2.議事

(1)建築に係る契約に関する基本的事項(案)について

野城座長:みなさま、今日はお集まりいただきましてありがとうございます。今日は第3回目で、短期間でございましたけれども今日が取りまとめの最終回でございます。これは開会の前に申し上げましたけれども、資料1にございます基本方針につきましては、このままこのワーキングの案として上の検討会に上がってまいりまして、そこで基本方針素案として取りまとめられて、11月末までにはまとめられる基本方針になっていくものでございます。特に資料1につきましては、今日はきっちり議論させていただいた上で。それから資料1だけでは一般実務者の方が具体的に何をすればいいか、誰が何をすればいいかがわからないところがございますので、そのような意味で資料2、前回スケルトンだけでございました解説資料を驚くべきスピードで事務局が中身の案を作ってくださいましたので、これについても引き続き審議をしたいと思います。それでは資料1の案につきまして、事務局よりご説明お願いいたします。

環境省(原田補佐):(資料1説明 略)

野城座長:ありがとうございました。以上が上に位置しております検討会の議を経て、閣議決定における基本方針の素案になるものになります。それではみなさまからご意見をいただきたいと思います。

河野委員:第1項はプロポーザルの場合とそれ以外の場合両方をカバーしているというふうに読めばいいのでしょうか。

環境省(原田補佐):そのとおりです。

河野委員:原則はあくまでもプロポーザルでやるという意味ですね。本来の流れはプロポーザルがあってそれから設計契約という流れになるわけですよね。そうするとこの契約の話は後回しがわかりやすいかなと思ったのですが。

環境省(原田補佐):順番については変えることは可能かと思います。

河野委員:プロポーザルで決まった設計者は特例だという話がありますよね。原則はそういう話だと思うのですが、それもちょっと触れておいた方がいいかなという感じがします。つまりプロポーザルの話が設計者選定だという流れがここにはあまり明確に出ていないという感じがしたのですが。

野城座長:今のご発言は特に4番目。私も表現上の問題で、官庁の方は非常にわかりやすいのかもしれませんけれども、4つ目で「環境配慮方プロポーザル方式を採用し、特定された者」と書いていますが、たぶんこれが平たく言えば選定された設計者のことを指しておられると思うのですが。そういうことですよね。

河野委員:その内容について契約書に書けというということは、場合によってはその契約者が別でもいいというふうにも読めるんです。そういう意味なんです。

環境省(原田補佐):わかりました。特定された者と明記して契約した場合にですね。

善養寺委員:先ほどの第4項ですが、「原則として設計成果について、LCCO2や建築物総合環境性能評価システム等を活用し、総合的な環境性能の評価を設計者に求めること」とありますが、言葉としてはLCCO2も「等」の中に入ってしまうのではないかと思うので、「設計図書については環境性能評価システム等を活用し、総合的な評価を求めるとともに」のように、確実にLCCO2だけは入れろという表現にした方がいいのではないかという気がします。総合評価とともにLCCO2は確実に入れてくれというふうにするのであれば、ここを後ろにした方がいいのではないか。確実にそこだけは抜き出させてやるというふうに限定した方がいいのではないかと思います。

野城座長:善養寺さんがおっしゃった意見で2つ確認する必要があって、1つは今日参考資料で出していただいている法律の原文を見ると、略称は環境配慮契約法ですけれども、正式名称は「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進…」で、最も重要視されているのが温室効果ガスになっているというあたり。もう1つは伊香賀先生にご意見を伺いたいのは、LCCO2と建築物総合環境性能評価システム、いわゆるCASBEEとの関係ですね。その2点あると思いますので、まず政策的な意図がいかにあるかということをここで統一することと、ものさしとしてのCASBEEの位置づけをどうするかという、その2つを整理させていただいて。1つ目は何度か議論が出ておりますけれども、これは事務局の方の考えを。

環境省(原田補佐):何らかの指標を使って、省エネ効果が向上して二酸化炭素排出量等が減っていることをきちんと評価していただくことが大切だと考えております。評価の形を見ると、確かにご指摘のとおりCASBEEなどで評価をすると最終結果は丸められておりますが、どこのところで減っているかをきちんと確認できますので、そういう意味で並列で書いても差し支えがないのではないかという考え方をして、入れているということです。それからもう1点考えなければいけない点は、実際のできた建物が寿命を全うするまで使われているかどうかという問題があるのではないかと考えておりまして、総合的なバランスを評価して下さいといったのは、そういう部分を考え合わせて。逆に言うとLCCO2だけに着目をして、未来価値を買っているわけですからLCCO2だけに着目して考えてしまった場合には発注者側の都合によって、そこだけを強く求めてしまった場合に他の性能が至っていない場合にはそういうことも考えられますので、その辺を加味してこの書き方がいいのではないかということで今のところは整理しております。

善養寺委員:細かい話ですが、それは意図としてはわかるのですが、これが地方までいった時にどうなるのかといったら、やはり言葉の使い方なので。LCCO2というのは必ずしも50年とかいって決めるわけではないですから、もしこれが25年だった場合、50年だった場合、100年だった場合とかいう意味での提案というのは出されますので、「LCCO2や」といった時に、「や」の先のLCCO2がこのCASBEEの中に入っているので総合評価したでしょう、で抜けてしまう可能性があるとすれば、やはりきちんと法律の趣旨に基づく意味では、ちゃんと総合評価をするととともにLCCO2の提出を求めるというくらいの方がよいです。

伊香賀委員:基本指針の文面としては善養寺さんの意図と同じだと思うのですが、LCCO2の位置を後ろに移動して、「建築物総合環境性能評価システム等を活用し、総合的な環境性能とともにLCCO2の評価を設計者に求めること」というのがたぶん誤解がないかなと。それと総合環境性能評価システムに関して言いますと、実は先月CASBEEの中にLCCO2評価を自動計算して、総合評価とともにLCCO2の表示、どのくらい減るかとか、それも絶対値で示すとか、という改定を行ったものを発表しましたのでCASBEEの方も進化しております。それから国のグリーン庁舎に関して言いますと、以前からCASBEEとLCCO2は併用する形できちんと削減も担保する基準を作られていらっしゃるので、事務庁舎に関して言うと大丈夫かなとは思います。それからあと1点、「LCCO2」という用語がこれより上位の文面の中で定義されていればいいのですが、もしこの基本事項が最初にLCCO2という言葉が出るとすれば、例えば「生涯温室効果ガス排出量(LCCO2評価)」とか、付け加えた方がいいかなと思います。

野城座長:今の点はよろしいですね。今みなさんのご意見をうかがっていると、次のいずれかまではみなさんのコンセンサスがあるのではないかと理解をしますが、原則として設計成果について建築物総合環境性能評価システム等を活用し、LCCO2の評価を設計者に求めること。もしくは、システム等を活用するとともに、LCCO2の評価を。つまり「するとともに」か「し」か。そこの段階でご意見の差異があるようですが、いずれかにしてもLCCO2をご提案のように後ろの方に持っていくということについてはみなさんお考えと相違ないでしょうか。

山田委員:今のLCCO2とCASBEEの前文のところに、原則として設計成果についてLCCO2やCASBEEという書き方なんですよね。この設計成果については、第1項目に「原則として設計成果に求める環境保全性能を、契約図書に明記すること」というふうになっておりますので、例えばこの4行目の設計成果の定義として、契約図書に明記する設計成果についてと書けばそこで明記されるわけですから、それでずっと演繹されていくのではないかというふうに思います。

野城座長:よろしいですか。原則としてたぶんいろいろな意味でここに書いていらっしゃると思いますが、今のご意見は設計成果そのものはすでに特定されると言いましょうか、別の項目で特定されるということで。順番としては河野さんのご意見でこれをトップにするかどうかはともかく、第1項で設計図書にどのような環境保全性能を実現するかということを事業ごとに定義される。それについて、今議論になっているように評価をしなさいと。

環境省(原田補佐):ご指摘の趣旨はわかりましたので修正をしたいと思います。

野城座長:「活用し」か「活用するとともに」か。活用するとともにという場合は、ショートカットをしてLCCO2だけを測ることもあると読めると私は思うのですが。「活用し」とするか「活用するとともに」とするか。

善養寺委員:「活用するとともに」の方がいいと思います。それと建築物だけでなく、前回も議論がありましたが、細かいことを言わなくても等と付けてしまえば。建築物に近いようなもの。工作物ということは有り得ないのかどうなのか。

野城座長:整理しますが、4点目についてはみなさん「活用するとともに」でよろしいでしょうか。ご異論がなければ「活用するとともに、LCCO2の評価を設計者に求めること」。事務局の方いかがでしょうか。

環境省(笠井課長):先生が言われた文章は「総合的な環境性能の評価を設計者に求めること」ですか。

野城座長:確認します。「特定された技術提案の内容を契約図書に明記した場合にあっては、契約図書に定めた環境保全性能に関わる設計成果について、建築物総合環境評価システム等を活用するとともに、LCCO2の評価を設計者に求めること」。つまり、総合的な環境評価を求めるとともに、LCCO2の評価を設計者に求めることという。

善養寺委員:笠井さんが言っているのは、「総合的な環境性能の評価を求めること」という言葉を切ってしまう時に、総合評価を求めないのかということだと思いますが、これはかぶっているんですね。CASBEEはそもそも総合的な環境評価システムなので、それを求めている時にまたその後に総合評価を求めると書かなくても、総合評価を活用するというか両方求められているわけなので、総合評価もLCCO2も両方求める意味では確実に総合評価を見ることになるので、別に総合評価性能を設計者に求めることと書かなくても求められることになるのではないか。

環境省(笠井課長):日本語だけの問題なのですが、総合評価ができるシステムを使うということと、何を設計者に求めるかということは日本語として違うと思うので、求めるものが何かをはっきり書くなら書くで、求めるものを書かなくても手法だけ書いていけばいいのだったら手法だけ書くという整理の仕方になると思うのですが、そこをどう考えられるかというのがちょっとわからなかったのですが。だから求めるものは求めるもので書くというのであれば、どういう手法を使うのかということとは別に書く必要があるのではないかと思ったまでなのですが。

野城座長:そういうことであれば、「契約図書に明記した場合にあっては、建築物総合環境性能評価システム等を活用するとともに、LCCO2及び設計図書に記された環境保全性能に関わる評価を設計者に求めること」。つまりLCCO2というのが環境性能の1つのエレメントですので、その他の環境性能というのは先ほどのご指摘からいけば、環境プロポーザルを受けて設計図書に書き込まれた環境保全性能としてそれぞれの設計図書に項目としては明記されますので、LCCO2及び環境保全性能について評価すると。

環境省(原田補佐):言っている趣旨が少し違うようなので。要は評価ツールは書かなくてもいいのではないかという提案です。求める性能だけを書けばいいので。ですから「建築物総合評価システムを活用し」をそのままそっくり取って、「設計成果については総合的な環境性能とともにLCCO2の評価を設計者に求めること」と書いた方がすっきりするのではないかと。

野城座長:わかりました。それは非常にすっきりしております。事務局、委員のみなさま方よろしゅうございますか。

中村委員:私も今の方がいいと思いますが、CASBEEを全ての建築に求めるのかということですよね。全てに求めなくてはならないのか。他の方法を使ってはいけないのか。等だからいいという話だったのですが、それも消えたことでいろんな方法も有り得るということになるのですが。

野城座長:今日はCASBEEを推進している方がいらっしゃるのでお2人から。

伊香賀委員:環境保全性能という言葉が基本事項の一番目に登場して、たぶん官庁営繕さんが定義されている環境保全性能の中に総合環境評価に関わる項目も入っていますし、それからLCCO2に関することも官庁営繕さんの定義の中には入っているんですね。ただここで登場する環境保全性能という用語の定義がこの段階では一致していなくて、要は他の省庁が発注するものにおいての定義がずれるところもあるというのが1点あります。それからどのシステムを使うかというのは、この基本事項の中に明示しなくても、結局解説が付いてくるということですので、そこで具体的な方法論が紹介されていればいいのかなとは思います。

国土交通省:住宅局でございます。今日は直接担当している原課の者が出ておりませんので最終的な判断は確認をさせていただかなくてはいけないと思うのですが、私の感覚としては先ほど伊香賀委員がおっしゃられたように、ひとつのシステムという理解でよろしいのではないかと思います。

野城座長:基本方針ということでありますと、特定の評価システムを名指しするのもいかがと思いますので、今お2人の議論を踏まえまして、先ほど事務局からご提示がございましたように「LCCO2及び総合的な環境保全性能の評価を設計者に求めること」。

伊香賀委員:たぶん「総合的な環境保全性能」の中に本来は温室効果ガス排出削減に関するものも含まれているので、あえて言うならば「LCCO2評価を含む総合的な環境保全性能評価を設計者に求める」というのが言葉の使い方としてはいいかと。

野城座長:「LCCO2評価を含む総合的な環境保全性能評価を設計者に求める」と。

環境省(笠井課長):善養寺委員が言われていたのは、総合評価は総合評価であって、その中からLCCO2を抜き出して2つで評価するべきではないかというご意見だったと思うので、今言われた含めということだと別の意見を提示されたということになるのですが。2つで評価するのか、総合評価の中でLCCO2を見るだけにするのか。そこが議論だと思います。

伊香賀委員:私自身は、併記ということでもLCCO2を含む総合評価ということでもどちらの表現でもこだわりませんので。

善養寺委員:総合評価でSランクの方が重視されてしまうのか、ちゃんとLCCO2をプロポの中の中心項目になるのか、そこは大きく違うし、今回は温室効果ガスの削減が目指すところであればその評価軸に沿った審査方式にするべきではないか。

伊香賀委員:参考情報として言いますと、グリーン庁舎の中ではCASBEEの総合評価とLCCO2を併記する形で、環境報告書にも実際掲載されています。

野城座長:今後の予定を考えるとやはり笠井課長のおっしゃったように2つでしょうね、これは。11月に発表して来年の4月から本番で流していくこと等々考えていきますと、やはり2つの評価でというふうに表現していくと考えます。そうすると、どうなるんでしょうか。事務局の方から案をおっしゃっていただくと。

環境省(原田補佐):「総合的な環境性能とともにLCCO2の評価を設計者に求めること」となると思います。

野城座長:よろしゅうございますか。その前は「契約図書に明記した場合にあっては、」から今おっしゃったところまで飛ぶということでよろしいでしょうか。

環境省(原田補佐):第4項のパラグラフは3つの意見をいただいておりますので、「環境配慮型プロポーザル方式を採用し、特定された者の技術提案の内容を契約図書に明記し契約した場合にあっては、契約図書に記載された設計成果について、総合的な環境性能とともにLCCO2の評価を設計者に求めること」と記載をしたいと思います。

野城座長:今のお話はよろしいですか。その上であとは用語として、基本方針の中に環境保全性能と環境性能が併用しているということなのでその整理が必要はないかと思います。

環境省(原田補佐):それはどちらかに統一したいと思います。

善養寺委員:環境保全性能の方がいいのではないかと思います。

野城座長:これについては検討会にお任せいただきますが、揃えることだけを確認したいと思います。一応参考意見として伺っておきます。善養寺さんは、生物多様性等の議論が段々年を経るごとに増えていって、2、3年後には地球温暖化ガスと生物多様性の保全の話が同じくらいの大きさになっていく可能性もあることを考えると保全を入れた方がいいのではないかと。他のワーキンググループと合わせて、環境性能、環境保全性能が出てくると思うので、そういうご意見はございますけれどもそこと整合を取るということでよろしいでしょうか。

伊香賀委員:先行して用語を定義されている国土交通省のご意見を伺った方が混乱がないのでは。例えば先行してすでに環境保全性能はこうだと解説の方には定義されているので、先行しているものを多少用語の使い方は尊重して問題ないかどうか、官庁営繕部さんのご意見を聞いた方がいいのではないかと思いますが。

国土交通省:全般的にこの文章が、国土交通省が事業を実施するにあたっていろいろ定めているものがありますが、その中で定義されている用語をそのまま流用されているのではないかと思われる部分が多々あります。これについてはやはりきちっと定義をし直された方がよろしいのではないかと思います。そういう意味で混乱云々という話であれば、そこのところは十分ご検討していただいて整理していただければいいと思います。それぞれ別に定義をするということも有り得るのだろうと思います。ただ同じ用語で別の定義をするというのは明確に示していただく必要があるのではないかと思います。

野城座長:いずれにしてもこの建築設計に関わる6か条の中に環境保全性能と環境性能が混じっているのは格好も悪いですし、読む方もわかりづらいので、これについては統一するということだけをここで決めさせていただきたいと思います。

中村委員:第1項の環境保全性能というのは、まずこれは企画をしている事業者が最初に出す性能品質ですね。第3項と第4項のところに、第4項の「特定された者の技術提案の内容が契約図書に明記」されて、そこに加えられてここまでは成果として作りなさいといった環境性能のレベルが示されるということですね。それぞれの段階の環境保全性能が混ざっていて、という気もしないでもないのですが。

河野委員:「契約図書」という言葉が第1項にも出てきますし、第3項と第4項にも出てきますが、契約図書というのが、ぱっと読んだ時には設計契約書という話かなと。つまり契約発注、あるいは設計仕様という言葉がありますから。ただ途中から何となく設計図というか、いわゆる設計成果品的な契約書というふうにも読めるようなところがあって。「契約図書」というのがどっちかなというのがわかりにくい感じがしました。

国土交通省:事務局の代わりにご説明をいたしますと、これも定義がありまして、全省庁統一基準として使っております「公共建築設計業務委託共通仕様書」というのがあるのですが、この定義が書いてあります。このままの表現だと、ご指摘のように誤解を受ける可能性があると思います。ここで言っています契約図書というのは、契約書及び設計仕様書と定義があって、設計仕様書の中には契約過程で行われる質問回答書、現場説明書、別冊の図面、特記仕様書及び共通仕様書をいうとなっております。

河野委員:今のお話に図面もありましたけれども設計図も含むという。設計仕様書というのは普通に言えば、設計図を作る前に設計契約をするわけですよね。設計契約をする段階での1つのしばりとしてプロポーザルの当選者に設計契約をするということがまず一段階目にありますよね。その時のある種仕様書というのがたぶんあって、設計図書とは段階が違う。

国土交通省:ここで言っている図面というのは工事発注用の設計図ではなくて、設計の企画を説明するための図面ですね。

野城座長:だから今世の中で言われている実務者の言い方だと、この契約図書がデザインブリーフですね。つまり設計者に発注者が何を求めるかを文書化して渡す文書であると。今度は請負業者とか建築業者に対して建設契約をするための契約図書として、この通りにやれば建物が立っていきますよというそれを契約図書というふうに考えていますので、これは解説をするなり何か補わないと。設計者にこれから設計を始めて下さいと。それについては発注者としての条件はこうですよということをまとめたものを契約図書と呼んでいらっしゃるという理解でよろしいですよね。注意深く読めば確かにそういうふうに書いていらっしゃると思うのですが、世の中一般の方が使っている言葉と乖離があるかも。誤解される可能性があります。

中村委員:普通設計というのは業務ですね。業務契約書と言いますね。工事契約書というのとは別だと思うのですが、この業務に対する仕様、業務仕様書ということですかね。あるいはその前に「設計時における」とか、設計契約時という言い方を前に書く。

善養寺委員:これは、省庁はこの言葉が統一用語なのでこれを崩すわけにはいかない。

野城委員:そうなんです。これはもう公共事業されているところは、すでに文書があり、それをご覧になって各省庁、自治体等のコミュニティの中では契約書というのは先ほどおっしゃったものを指しているわけですね。

河野委員:一番わかりにくいのは「図書」という言葉だと思います。契約図書の設計だったり、契約図書という言い方が、先ほどのお話にも設計段階での企画的な部分を簡単なプランニングというかそういう場合ももちろんないわけではないので、そういうことをおっしゃっているのかなと思うのですけれども。

国土交通省:それはブリーフィングですよね。

野城座長:「契約図書」、解説書でわかるという言い方もあるのですが、ちょっと言葉を補ってそこの誤解を。でもこれはメインにこれを読んで実施する主体が公共建築を発注する主体だとすれば、契約図書だということで、資料2の方に、これは民間の方がお読みになった場合には契約図書というのは実はデザインブリーフということを指していますよということを明記していただければ誤解がなく。

環境省(原田補佐):何点か、定義がされていないというご指摘がありますので、それらを合わせて定義が十分でないものについては資料2の解説資料に入れる内容だと思いますので、そちらで何のどこを受けた定義なのか書くようにしたいと思います。

野城座長:一般の実務者に流通していて、むしろその方がすぐにわかる言葉も書いていただけるといいと思います。こちらの方はやはり今国土交通省の方からご説明がございましたように、すでに使用されている定義がありますのでこのまま「契約図書」という言葉を使わせて頂きたいと思います。建築物については、私はもうこれ以上記述しなくても仕方ないのではないかと思いますが。いわゆる社会常識上建物とみなさんが認識する物を言っているのだと思いますので。

善養寺委員:でも実際環境省などで使うもので、工作物じゃないのかというような建築物ではないようなものも拵えたりするわけじゃないですか。

野城座長:例えば。

善養寺委員:遊歩道に電気ショック型の熊よけ付きの歩道を作ったりとか、大きな鳥かごを作ったりとか。それってエネルギーを使う割には実際建築物ではないわけですよ。そうすると、「等」なり基準法に関わってくるようなものをみんな入れておいた方がいいのではないかという気はしないではないのですか。

野城座長:建築物にするか、建築物等にするか、どのようにお考えですか。

環境省(原田補佐):本日お配りした条文の4ページ。申し訳ないのですが第5条の4項で建築物に関する契約というのは明確に記載されておりますので、ここはやはり建築物と書かざるを得ないと考えてございます。その他の契約で問題が大きいものについては、順次次年度以降追加をすることを考えております。

野城座長:それは来年度以降で、ビニールハウスとかいろいろありそうですから、ここは法律を受けることにしたいと思います。他にはいかがでしょうか。

中村委員:公共的な建築物ということなのか。国が発注するという全ての建築物ということなのか。

野城座長:つまり暗黙の大前提として、こういうことを閣議決定した場合は、我々が聞いている範囲では直接拘束力があるのは国、省庁および独立行政法人ですね。

環境省(原田補佐):そのとおりでございます。

都市再生機構:私どもが作っているいわゆる賃貸住宅ですとか、国で作られる宿舎であるとか、そういった個人の利用に供される建物を公共建築物と言うかどうかというのは議論があるところかと思うのですが、その点については。

環境省(原田補佐):法の定義どおり、国が発注する建築物ですから、公共建築と指定をしているわけではございませんので、基本的に対象であるという認識を持ってございます。ですから、そういうものも当然含まれると認識しております。

環境省(笠井課長):契約をする時に何に注意するかですから、契約の対象になるものはそれは公共建築かどうかということは関係ないということです。

野城座長:第2項の但し書きのところでご配慮されているのではないかなと理解をしております。基本的には広い意味での公共的な国に関わる資金が投入されている建物ですが、いろいろな、他を優先させざるを得ないご事情などもゼロではありませんので、そこを第2項の但し書きで配慮されていると私は理解しています。

環境省(笠井課長):適用範囲については解説資料で詳しく説明していきます。

野城委員:わかりました。大変大事なことですが、資料1を集中して議論しておりますけれども、資料2もございます。資料1については他にご意見はございますか。

小黒委員:第6項に、「適切な時間を確保する」という項目がございますが、これは実務者の立場からすると、当然それには時間をかけるということについては費用もかかるという問題もございます。建築士法の方で見直し等やっておりますので、そういうものがこういう契約をした場合に少しでも反映されるような文言を。報酬と書くとあまりにも露骨なのですが、何かそういう文言を配慮していただきたいという要望がございます。

山田委員:プロポーザルの参加者に対して時間を与えますよということですから、契約以降の話ではないのでいわゆるノーフィーの段階の話だと思うのですけれども。

小黒委員:国土交通省のプロポーザルはそういう形なのですが、特に今地方でやられているプロポーザルというのは過大な負担を求めているという話も聞いておりますので、そういうふうなことでご配慮があってしかるべきということで申し上げました。

野城委員:第5項以降がそこを包み覆う形で、つまり1つは年度期首にプロポーザルする案件についてのリストが公表されてきますから、こういったプロポーザルをして設計を受注したいとお考えになる方は、どういうふうになっていくかということは公平な形での情報開示がなされるということでありますし、またこれは全体としてプロポーザル方式ということですので、知的な成果に対してはそれなりのリスペクトする、少なくとも今までのような安ければ安いところの設計者を選ぶということではないということになっておりますし、最後の「公平性・透明性・客観性を確保すること」ということで、これは閣議決定のレベルですから原則になりますけれども、この3か条をきちっと明記しておくことによって、実際ご心配の点というのは資料2に書き込んでいただければ現状の問題点というのはかなり改善してくるのだろうと思います。

善養寺委員:プロポーザルというよりほとんどコンペになっている場合が多くて、それで設計をしなくてはいけないゆえに、人件費がかかるのですよ。ただ、プロポーザルをするからと、その参加者に対していくばくかのフィーを払ってしまうと、どうでもいいから手を挙げて小銭を稼ぐ状態になっても困るわけですし。そうするとやはり自由に門戸を開く意味からすれば、負担にならない仕様をきちっと今後定めていって、それがプロポーザルのひとつのスタイルということを確立していくことに努力するしかないのではないかと思います。

野城座長:前回も国土交通省からご説明があったように、国土交通省では設計案を採用しないということですよね。そのテーマに対してどのようにするかという設計の方針と設計者の資質を踏まえて、設計者を選定するプロポーザルだという位置付けと理解しておりますが。

国土交通省:今の件ですが、善養寺委員がおっしゃったとおりだと思っていますし、国土交通省ではそういうふうに情報公開段階でも説明しております。当然フィーなしでやるわけですから十分な配慮をするようにということで、設計案を提出しないようにお配りしているものにも明記しているところですが、ところが設計者の中に一部コンペまがいの応募をされて、それをしないと勝てないと思っている方が間違えて平面図とかを出される方がいます。そのところはきちっとするということで、失格にするということを実施の時に明確にお伝えして、実際そういうものが出てくると失格にしているというのが実情でございます。

野城座長:今の点、国土交通省が実施しているということも資料2の中で適切な場所に入れていただくとよいのではないかと思います。

小黒委員:特に地方がこういう手法を借りて、擬似的なコンペみたいなものをやってしまう。特に何人かを限定してやっているということをかなり沢山聞いています。地方でこういうものが普及しないと実態としてよくならないので、ぜひリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

野城座長:大事なご意見ですので、資料2にご意見を踏まえた書き込みをするとともに、この上の検討会でもお伝えしたいと思います。今回の制度を正しく理解してもらうためにはそれらの普及のための活動が必要であるということは私の方からも申し上げたいと思います。

国土交通省:1つ設計者側の委員の方々にお伺いしたいところがあるのですが、この文章でいくと建築物の新築ということで書かれていることになるわけですが、我々実際仕事している中で50m2を切るような小規模な増築というのがあります。これを全てやるといった場合に、現実にやった例が何件かありますが、応募者がお見えにならないということがありまして、この規定でやれと言われると現れるまで延々と募集を続けなければ建物ができないということも、我々としては実務者として危惧をしておりますが、その辺はいかがでございましょうか。非常に小規模なものでも、複数の方々が手を挙げてやっていただけるのかどうか。

善養寺委員:そういう情報が流れていないのです。国土交通省のホームページに出されてもたぶん埋まってしまったり。公示の問題もあると思うので、もう少し業界団体などと連携をして情報が行く仕組みづくりをしたらどうかと思います。大物は取れないけれども、そういうものなら参加したいと思う中小設計事務所もいっぱいあると思うのですけど、うちもそういう小さいものまでプロポーザルをやられているということを知らなかったくらいですから。そういう点では建築家協会とか建築士会とかその他のところで、メーリングなどを活用した情報提供システムを少し協議していただけたらなと思います。

河野委員:善養寺さんと同じですけれども、やはり知らないという場合が多いのだと思います。50m2という数字はともかくとして、基本的には規模にかかわらずこういうことでプロポーザル、いわゆる入札ではないということを原則にしたいということから言えば、それを踏まえてきちっとした広報なり、あるいはある団体との連携があれば、応募ゼロということはないような気がしますけれども。今までの結果がよくわかりませんので、感想にしかすぎないですが。

国土交通省:情報提供の話が常にあるわけですが、なかなか今談合問題がありまして情報の提供の仕方というのは相当限定されておりまして、そういう業界団体の方に提供していいのかどうかというのは非常に問題があるということと、プロポーザルというのは無償でお願いしておりますので、少額の設計業務の場合には相当ハードルが高いというのが実感です。情報がないから来ないわけではないということになります。これは工事も同じで、一般競争でやっている少額の工事も3回やっても誰も出てこない。知らないかというとみなさんご存知だけとやりたくない。民間の工事のもっと利益率のいいものをやりたい。

河野委員:どういう類の建物かわかりませんが、設計料が極端に安くかったりしているのかもしれないという気もします。中身とフィーの関係が。規模は小さくても設計はそれなりに手間もかかりますし、あまり一般的な言い方ではなくて議論にならないのですが、繰り返せばそういうことで必ずしもみんなが忌避をするとは私自身は思いませんけれども、あまり議論しても仕方ないことかもしれません。

山田委員:受けるか受けないかというお話がありましたけれども、基本的には受けないという言い方はたぶんできないと思いますし、規模によって事情も違うと思いますので、言われるように設計フィーの話と、同じようにプロポーザルにされるにしましても簡易型みたいな、できるだけ楽に手間をかけずにできるような仕掛け、仕組みみたいなものを作っていただけるといいと思います。

野城座長:そうですね。総合評価制度という、プロポーザルと類似ですけれども、それについては各省庁で適用範囲を広げるという同じような議論があって、小規模のものについては簡易型にすることによって、単純な一般入札はしないで提案内容というものをある程度加味するというやり方がされていますので、この基本方針が定まった上で実際に実施するにあたってはいろいろと工夫する余地があるのではないかと思います。

善養寺委員:談合を恐れて、業界団体と連携しないよりも、やはり色々な手段で、広く情報を開示をして多くの方々にそれなりに競争してもらう仕組みづくりの方が重要なのではないかと思いますけれども。

野城座長:本筋から離れてきましたので元に戻りたいと思いますが、資料1につきましては、概ねこれでみなさまのご了解をいただいたということで。環境保全性能にするか環境性能にするかにつきましては、先ほどのことを加味した上で統一したいと思います。その点を除きましたらば、この案でよろしゅうございますでしょうか。あと先ほど河野さんからおっしゃっていただいた第1項をどこに持ってくるかにつきましても、編集上どこがいいかについては検討させていただいて、私の方の裁量でやらせていただきたいと思います。では資料1の基本的な事項につきましてご了解いただいたということですね。一応みなさま各団体を実質的には代表されているお立場でもありますので、この資料1につきましては、団体のみなさまにメール等で連絡いただければと思います。それでは資料2につきまして、今日は最終回でございますのでポイントをご説明いただきます。

(2)建築物に係る契約の解説資料(案) について

環境省(原田補佐):(資料2説明 略)

野城座長:ありがとうございます。それではこれにつきましてもみなさまにご意見をいただきたいと思います。今日が最終回ですので、できるだけご意見をいただき結論を得ていきたいと思いますが、もし修文まで、どういうふうにするかまで至らない部分につきましてはご趣旨だけをみなさまの中で統一しておいて、実際の文章表現につきましては私の方にお任せいただくということで。

善養寺委員:この解説書が公に出て行く、一般の方々に理解してもらうという点では、最初の8ページの3のところで「環境配慮型プロポーザル方式について」というところで、技術提案を求めることが適切だというのが今回の趣旨なのですが、突然プロポーザルの話が、下の方で一方でプロポーザル方式というふうになっているので、ここで本来わからない人に読んでもらうためには、趣旨は技術提案が必要であるとした場合に、技術提案の求める方向として環境配慮型プロポーザル方式を採用することとするというような、プロポーザルというものが何なのかということを説明しないと。突然問題提起というか一方でプロポーザル方式の問題もあるというようなことが出てきてしまう。提案を求める際にする手段としてプロポーザル方式を採用する。そのプロポーザル方式というものは、ここで表に出すべきなのか、下の注意文で国土交通省が書いてあったようなプロポーザル方式とは何なのかというようなことを説明した上で、そのプロポーザル方式の中の環境配慮型のプロポーザル方式ということを説明しないと、技術提案そのものがプロポーザル方式ということがわからない。それを足すべきではないかというふうに思いました。適用範囲のところでも、「技術提案の中に1つ以上に温室効果ガスの排出に関する内容を盛り込む」というような書き方なので、それよりは基本的に盛り込むというか、1つということではないのではないか。あと「自然エネルギーの積極的な利用を含む」とかっこ書きになっているのですが、限定せずに「自然エネルギー等の」というような説明の方がいいのではないかと思いました。

野城座長:まず第1点は私も見ていてそうかなと思ったのですが、これを読んでみますと、「であるがゆえに環境プロポーザルを採用します」という一文がないままにいきなり内容の説明に入っているので、確かに趣旨のところで第一段落、第二段落を受けて、まず「であるがゆえに環境プロポーザルを採用しますよ」と。それについては次のことに注意して下さいという第四段落、第五段落がくるということで、第二段落と第三段落のあたりに一言入ってこないと、いきなりプロポーザル方式の注意点が出ていますので、一段落入れていただけますでしょうか。2点目は、これは1つ以上にという表現ですね。

善養寺委員:分母がいくつで分子が1つ以上なのかという時に、まずプロポーザル方式の中にある原則として入れろというような内容が必要。

野城座長:官庁だったら原則として、一般社会だと必ず温室効果ガス削減に関する内容を盛り込むこととすると。だから一般から見たら必ず入れるという趣旨ですよね。「1つ以上」というのは少し回りくどい言い方ですね。ここはどういうご意図が。

環境省(原田補佐):ここの部分は誤解を受けないようにしようということでこういう書き方をしています。「必ず」と書いてもいいのですが、中には誤解をしてしまって提案の全てを環境配慮項目だけで埋め尽くしてしまう方もいるのではないかという趣旨で、提案のうち1つ以上をやって下さいということでございます。逆に言うと、そこがちゃんと伝わる形にしないと、優先されるべき事項があるのでやらないという選択肢を採られると不本意ではないかということを心配してこういう記載を行ったということです。

善養寺委員:もしそうするのだったら、先ほどの基本事項の文章ではないですけれども、「温室効果ガスの削減を必ず入れろ」というような言い方をした方がいいのではないかと思います。

野城座長:ですから事務局が今おっしゃったことを素直に書いてもいいのではないですか。プロポーザル方式の実施にあたっては、様々な環境性能項目に関わる提案を求めることとする。その求める提案事項の中には必ず原則として温室効果ガス削減効果を含むものとすると。要はこの「1つ以上」のところに先ほどおっしゃった意味が込められていると思うのですが、温室効果ガスだけではなくて、包括的に様々な環境性能、環境保全性能かな、どちらか求めるという。

善養寺委員:基本事項をそのまま入れちゃった方がいいのではないですか。言葉の使い方として。先ほど修文をした基本事項をそのまま入れる。

野城座長:これは編集上の問題ですので、1つ以上という書き方が少しわかりづらいので、趣旨としては今事務局から説明をいただいたことでご異存はないと思います。

河野委員:環境配慮型プロポーザルというのは、環境配慮だけをやればいいということではないと。いわば建築のプロポーザルですから、もっと地域の読み方とか計画を書く人もいるでしょうと。あるいはそれも非常に大事な選択項目だということで考えて欲しいという趣旨かなと今私はお聞きしたのですが、それはとても大事な部分だろうという気もするんですよね。ですから、そこを上手く書くようなことが。しかし当然環境なわけですから、少なくとも善養寺さんがおっしゃったようなことは書かなくていけないということはあるのですが、もう少し緩やかなプロポーザルだということはどこかに欲しいという気はします。

善養寺委員:発注者側はCO2だけの問題ではなくて発注するので、当然プロポーザルをする時に求める要件というのは必ず入ってくる。それと先ほどのCASBEEのように環境総合評価制度が近隣に対する影響とか周りに対する様々なものも出てきていますから、だから環境評価をするのであれば、これを今入れているのは温室効果ガス削減に関する内容を1つ盛り込めと言っているので、であればLCCO2をちゃんと性能として入れなさいと言っている先ほどの基本事項にまるきりそのまま両方入れておけば、環境総合評価と。

野城座長:ですからLCCO2はとても大事なのですけれども建築でありますので、全国のどこかで非常にバランスの悪い、ここでみなさんが想像し難いような理解し難いものが建ってしまう可能性もあるので、やはりそこは様々な技術提案の項目は求めて欲しいと。ただし、やはりその中には必ず温室効果ガスの削減は入れて下さいという趣旨に読めるように。

山田委員:参加表明書の内容というのが15ページにございますよね。この環境配慮型プロポーザルにおいて、例えば同種又は同類の業務の実績というのは、一般論の実績ということに通常通りいくのか、その中に少し環境配慮契約法に関わる発注案件についての実績みたいなものを入れるのか。その辺が設計者としては気になるところですが。

野城座長:素晴らしいエコスクールを設計した人が、エコ庁舎のプロポーザルに参加するための実績としてカウントできるかとか、そういうご趣旨ですね。

環境省(原田補佐):その部分については、その事業その事業の特性を考えて、適宜緻密に同種業務とか類似業務というのは定義をして求めますので、その中で優先されるべき事項を同種業務として規定をすることになろうかと思います。

野城座長:ケースバイケース。その事業の特性に応じてということですね。それから善養寺さんからあったのは、8ページの「自然エネルギー」のところ。

中村委員:私はそこの部分については、「自然・循環型エネルギー」と入れたらいいと思いますが。

野城座長:これは政府内で何か用語があるのですか。みなさんがおっしゃっている対象は風力発電、太陽光発電等々を指しているのだと思うのですが、再生可能エネルギーと言ったり、今おっしゃったような自然循環エネルギーと言ったり、色々な言い方があるのですが。バイオマスも。

環境省(原田補佐):環境配慮型でCO2排出量を削減する提案を出してくれと書いた時に、テクニカルな技術論みたいなものが羅列される非常に可能性が高いという認識を持っておりまして、ここでかっこで書いたのは、そこに限定されることなく、例えばパッシブソーラーハウス等の考え方であるとか、そういうことで元々負荷低減をして下さいということをきちんと含んでいますよということを明示したいということで書いたことでございます。実際の提案されている内容などを見ると、きちんと書いていればそういう提案が出てくるのですけれども、CO2の排出削減量を後でちゃんと提示して下さいという話も今回規定をしましたので、そういうものがかなり減ってくるのではないかということを想定して書いている部分です。

野城座長:いやいや。これだと逆に原田さんが心配された内容に読まれる危険の方が高いように思うんですね。太陽光発電を置いたらポイント1、高効率機器を置いたらポイント2とかいうそういう発想で。

善養寺委員:だからパッシブと言った方がいいのではないですか。

野城座長:「パッシブな省エネルギー技術の積極的な利用を含む」と書いておいた方がこの制度の趣旨に合っている。パッシブな省エネ技術と書いた方がいいですね。他にご意見、ご指摘をいただければと思いますがいかがでしょうか。先ほどの中村さんのご意見を踏まえると、どこかにコンペと混同しないようにという注釈を入れておいた方がよろしいですよね。

環境省(笠井課長):12ページに丸4として入れるのかどうか。

野城座長:では入れていただけますか。現状に問題があるとなると角が立ちますから、それを言わずにコンペと混同してはいけませんとここで書いておけば、抑止されると思うので。

中村委員:もうひとつ重要な点としては、一番最初にお話した設計の前の段階の構想とか企画とか、その辺で普通は建築設計という言い方ではなくて物品の業務委託というような格好で、構想を作ったりブリーフィングなりをすることが発注されますよね。最初の段階、かなり前の段階が非常に抜け落ちてしまう危険性がある。さっきからずっと考えていたのですが、そこの部分が網羅されていないのではないかという気がしています。

野城座長:13ページの手続きは実際にプロポーザル方式の中にいきなりフォーカスがあたっているのですけれども、そもそも建物の企画、こういった公共建築を作ろうかあるいは改修しようかという話がおきて、施工が始まるまでの段階というものについてはフローチャートがあって、その中でこのプロポーザル方式というのはここからここの範囲のことにあたっているんですよと。

環境省(原田補佐):その点については、13ページよりもその点も踏まえた8ページの最初の趣旨のところから続く流れの中で、今回はここにウエイトを置いてクローズアップしていますというのが抜けているのでこういうことが起こるのではないかと思いますので、その中で整理を。

善養寺委員:それを明確にしておいた方が、最後の方の地方公共団体の支援の時に国が支援する意味合いみたいなものが明確になる。

野城座長:あるいはその時にも、おっしゃっている内容が8ページに振り返るとこの部分の支援ですよという、どの事業の段階に対する支援かということも明確になると思うんですね。往々にして支援しようとした時にはすでに物事は決まっていてということがございますので、川上での意思決定にできるだけこういった考え方を早くから入れていただくというメッセージは入れていくといいと思いますね。

善養寺委員:時々仕様書のある程度が定まっているケースがあって、それを超えた提案があった場合に、ある程度トップランナーだと突飛なアイデアが出てきたりする、それが採用されない可能性というのは出てこないですかね。

野城座長:そういう意味ではプロポーザル方式にするということが、今日は横田先生がお休みですけれども前回おっしゃっていただいたと思うのですが。温室効果ガスを削減する技術が一般に普及しているのであれば、こういった随意契約をする理由にはならないのではないかというようなご意見をいただきました。そうではなくて今日はみなさま方の暗黙の前提で進んできているのは、そういったことをするには特段のノウハウが必要である、だからプロポーザル方式ですよということが前提になっていると思います。一種の技術革新というかイノベーションというのものが、また次に続く公共の建築のプロジェクトで経験が継がれてさらに性能を良くしていくという、一種の技術革新あるいはイノベーションを環境プロポーザル方式というものを採用することによって誘発していくんだという、そういうものを書いていただくと、善養寺さんがおっしゃった各提案を見ていく時の見方も違うと思います。1個の事業でやるだけではなくて、そういったことをその建物を作るということがどういう温室効果ガスを減らしていく、さらに次の事業につながっていくような意味を持っているかということを考えることになりますので。

善養寺委員:上の方によるでしょと言っても、上自身がすでに一般化されている技術も上の方に乗るでしょという感覚でこの表現だと思います。そこがまず違う。そうではなくてその先次に次にということであれば、トップランナーとして今あるものの上を越えていくという部分からすると、どこかでそのことが行われる、上の方に行くんだというだけではなくて、もっと先の技術革新や技術向上や何かにつながるということをもっと強めに言ってもらっても。

中村委員:そういう意味でも、18ページの審査体制というところの書き方が弱いという気もするのですが、「技術提案を確実に審査できることが可能な各種技術力のある人員を適切なバランスで配する」と書いてありますが、この辺が専門家という意味なのか、専門的な技術を持った人ということか。その専門家であっても、専門家が必ずしもきちんとした判断ができるとも限らないこともあって、もう少し総合的な技術力がある人員というのも欲しいでしょうし、審査体制の中がそれだけの力がある審査体制を作るというのは、我々のように実際にこういうプロポーザルを出して見ようと思う人間にとっては非常に重要なんですね。そこにしっかりとこちらが提案したものを受けて、それを判断してくれる人がいるかどうかということによって、このプロポーザルを出すか出さないかを決める大きな要因なものですから、もう少しきちっと書いていただきたいと思います。

環境省(原田補佐):どういう体制が望ましいかというのが、たぶん決められないと思うんです。今は、こういう書き方をした上で、おそらく今ご指摘のとおり、良い審査体制というのはどういう体制なのかというのは実績を積み重ねていかないとわからない部分もありますので、ちゃんとまず公表して、体制も含めて知らしめてやっていきましょうというのを書いたつもりでございます。

中村委員:今までもかなりプロポーザルの歴史はあるので、その中から例えば良くないプロポーザルという時には内部の、自治体の内部だけで審査を作ってしまっている時は、これは我々はかなり受けたくないプロポーザルというふうに思っています。ですからきちっとした第三者的な評価のできる人、しかもその審査員は必ず公表することとかですね。それであって初めて我々はその人がどこまでしっかりした人かを判断して受けられる、ということが大前提です。

野城座長:今のご趣旨を踏まえて、18ページの4-9の[2]の表現を工夫するということにしたいと思います。

善養寺委員:それともう1つは審査体制だけの問題ではなくて、やはり先駆的な技術などの提案を受けるにあたっては、国側の方にしてもそれに対する情報収集とかそういうことに対する努力をしていく。ですから審査体制がきちんとできるような状況として学習していくというようなことを付帯したら。

野城座長:それはさっきのプロポーザル方式の推進の中に情報提供だけだけど、そこで口頭でかえって副作用が多すぎるので事例はありませんとおっしゃっていたのですが、原田さんがおっしゃったホームページというか。

善養寺委員:そうではなくて、国側の方の発注者側も学習をすることを…。情報提供だけでは…。先駆的な部分の基礎研究というものは積極的に行っていく必要があるのでないか。提案したものが総合的に使われた時に効果があるかどうかという意味からすると、ある種は設計の提案どおりに入れてくるかはともかく、そういう先駆的な技術の基礎研究は行っていかないとそれに対応できない可能性はあるのではないか。国が行うことによって地方自治体に情報の提供ができるとすれば、そこは基礎研究としてやっていくべきだと思います。

野城座長:それは別途研究開発を進めていらっしゃるところであるので。

環境省(原田補佐):一般的にプロポーザルの審査要綱には、必ず実現性というのを書いてあるということです。逆に言えば、提案される方がたぶん認識不足というところもあるのではないかと思いますが、要件でそういうふうに付されていますので、新技術を使われる際には何を根拠にしたのかというのを書かない方が多いのですけれども、そういうものをきちんと提示をしていただくことも重要なのではないかと思うんですね。優れた提案をされる方は、大体自分たちの理念のかなり尖ったものを出される時にはそういうことに十分配慮されているのではないかと思います。

河野委員:11ページの[2]の設計意図の継承のあたりですが、文言としては「当該業務に対し最も適した設計者として選定された」、例えば技術提案者とか最優秀技術提案者みたいな書き方の方がわかりやすいかと思います。ここに関しては先ほどの議論にも出ましたけれども、設計者との契約の際に契約図書という話がありましたけれども、他の議論とつながってくる議論だと思いますが、意図を明確にする意味で設計契約にそれを盛り込むことがもし基本方針どおりであるならば、ここにもその旨をふれた方がいいかなという感じがします。

野城座長:では今のご趣旨を踏まえて、この表現を加筆したいと思います。よろしいでしょうか。先ほどあった、この中に契約図書という言葉はありましたか?わかりづらいという。あれがもしあるとすれば、基本方針を入れるという話がございましたけれども、その中でデザインブリーフという言葉を結びつけて書いていただくと実務者の方はその方がわかりやすいかと思いますのでお願いいたします。あとみなさんにご意見伺いたいのは、今お話がございました設計条件をゼロから考えていただく方がいいのか、ブリーフについてはある程度テンプレートがあってそれを踏まえて考えてもらった方がいいのかどうか。プロポーザル方式が適切に実施されていくための話なのですけれども、基本方針の中では先ほど議論があったように「契約図書に明記すること」と書いてあります。だとすれば多少副作用が心配なのですが、通常はこれくらいの環境性能あるいは環境保全性能というのを明示的に発注者としては望んでいますよという契約図書もしくはデザインブリーフ的な、テンプレート的なものがどこかに用意されてもいいのではないかと思うのですがどうでしょうか。

山田委員:それはやはり最低限保証みたいなものであって、ボーダーラインがあってそれは当然クリアすることと。あとプラスαいうのはやはり提案された設計者の技量だと思いますから、その辺はフリーにしておいた方がいいのではないですか。

野城座長:そうですね。そうするとミニマムということで、ご説明があったように環境保全性能の項目は出すんですね。あれくらいのものが、少なくともこれくらいの項目は入れましょう、少なくとも、という言い方をしておいた方が、そういうものがあった方がよろしいですね。

国土交通省:それは例文にとどめておいたほうがよい。

野城座長:そこのところも工夫させていただくということにします。他にございますか。

伊香賀委員:細かい話ですが、今回大規模な改修も対象にされる。特に今後は新築より改修のプロポーザルを含めることが多くなるので、19ページに評価のいろいろな例示がされている中に改修に関わるものとして、「グリーン診断改修計画基準および同解説」というのも並べておいてあげた方が。新築だけではなくて。参考までに。

国土交通省:最後にこれは環境省へのお願いですが、前回の議事録にも記載されていますように、会計法令との関係ですね。これはこれから整理されるということですので、その内容をぜひどこかにお書きいただきたい。適用範囲のところとか適切な部分に。そこが明確になっていないとなかなか上手く運用がされないのではないか。混乱を起こす。従来どおりの考え方でやる方法。そこは明確にお書きいただかないといけないかと思いますのでよろしくお願いします。

野城座長:先ほど伊香賀先生がおっしゃったことに絡むのですが、大規模改修の中には耐震改修も入ってきます。ある大学の建物が1棟耐震改修をしたのですが、耐震改修が主目的ではあるのですが結果的には非常に熱負荷を非常に抑制した建物の改修になっておりますので、そういった例も積極的に紹介されていくべきですよね。

環境省(笠井課長):環境法令の関係性で国土交通省からご指摘があった点を踏まえて、こちらから官庁営繕部にご相談する点のほうが多いと思いますけれどもよろしくお願いいたします。

野城座長:他にはいかがでございますか。もしなければ資料2につきましては、いただきましたご趣旨をいただいて、私にご一任いただけますでしょうか。ありがとうございました。それでは私の方で修文したいと思います。それでは事務局から何かございましたらお願いします。

(3)その他

環境省(笠井課長):それでは計3回のワーキングでいただきましたご意見を踏まえまして、まずは資料1の基本的事項を固めてご連絡し、資料2の方も座長とよく相談をして直させていただきたいと思います。今後は10月15日に第2回の検討会があるので、そこで野城先生の方からご報告をいただき、第2回の検討会で審議をして、パブコメにかける案を固めて、しかるべき時期にパブコメをかけて、11月の下旬に第3回の検討会を開催してパブコメの結果を踏まえた上で閣議決定したいと思います。どうもありがとうございました。

野城座長:私の方からみなさまに御礼申し上げたいと思いますが、大変タイトなスケジュールの中、それぞれみなさまお仕事をされている中、参加していただきありがとうございました。おかげさまで実現すれば大変画期的なことになるであろう環境配慮型プロポーザル方式というものを基本方針として盛り込むべく提案をまとめることができました。これが実現していけるように、今課長から説明がありましたスケジュールの中で頑張っていきたいと思いますので、引き続きご協力いただければと思います。本当にどうもありがとうございました。

以上